科学技術関係人材の養成・確保 ポストドクター
(主な意見の概要)
○ ポスドクは研究者の層を厚くし、日本の国力にはプラス。
○ ポスドクの不安は、身分の不安定さと将来の就職の不安。
○ 研究に向いていない人をポスドクとして、残しておくのは問題。問題はポストが無いのではなく、採りたい優秀なポスドクがいないことではないか。
意見の例
● ポストドクトラル制度について
- ポスドク個々人は大変だが、研究者の分厚い層があるのは国力にはプラス。(大学教授/専門分野:行政法、知的財産法)
- ポスドク1万人計画により、研究はレベルアップしたが、助手や技官等のポストがなくなってきている。(大学助教授/専門分野:科学技術政策)
● ポストドクターの不安
- ポスドクの不安は地位の安定性や将来の就職の不安。ポスドクは他の研究室に勉強しに行けるなど視野を広げる機会にも恵まれ、良い制度と思うが、地位の安定性があるとなお良い。あまり長いと競争的環境にならないので、3年から5年位がちょうど良いと思われる。(大学の若手研究者/専門分野:農学、工学、理学)
- 銀行からの借入れも出来ないなどポスドクは依然身分が不安定であり、ポスドクの社会的身分の保障について検討の必要がある。(公的研究機関の若手研究員/専門分野:ナノテクノロジー・材料)
- 日本は既にポスドクがいて当たり前の社会となっているが、ポスドクの身分が未だはっきりせず、ポスドクを一つの職業として位置付け、これらの不利益を解消することが必要。(大学助教授/専門分野:科学技術政策)
- ポスドクを終えた後の行く先がはっきりしないことが問題である。3年程度はポスドクとして働く必要があると思うが、年ばかりとって正規のポストにつけないのは問題。(大学教授/専門分野:材料科学)
- 30半ばになると、次も先行きが不透明なポスドクでもいいのかと不安を感じる。(公的研究機関の若手研究員/専門分野:ライフサイエンス)
● ポストドクターの課題
- 研究に向いていない人をポスドクとして残しておくのは問題。向いていない人もプラスαがあれば、他の職にチャレンジすることができる。(大学助教授/専門分野:科学技術政策)
- ポスドク問題にここで手を打たねばフリーター問題になりかねない。博士号を持った技術者(テクニシャン)の養成と世界に通用する研究者・科学者の育成が混同されている。(大学の若手研究者/専門分野:農学、工学、理学)
- 大学院教官の増員が無いまま、ポスドク1万人計画が行われたため、教員の数に対し学生が多過ぎ。(公的研究機関チームリーダー/専門分野:発生学)
- 問題の原因はポストが無いのではなく、採りたい優秀なポスドクがいないことではないか。(公的研究機関チームリーダー/専門分野:ナノテクノロジー・材料)
- 世界に通用する若手研究者は、プロジェクト対応型研究開発のポスドクからは育たない。(大学の若手研究者/専門分野:農学、工学、理学)