科学技術関係人材の養成・確保 人材の流動性の向上

人材の流動性の向上 1

主な意見の概要

○ 教授クラスを含め任期制を進めるべき。
○ 若い世代から任期制の導入が進み、不公平感がある。
○ 社会全体として流動性が確保されておらず、任期後に不安。
○ 任期制を導入するならば、全国的に導入すべき。

意見の例

任期制について

  1. 大学の教授、助教授にも任期制を導入すべき。同じ組織・ポストに留まるのは、他者にチャンスを与えず、自分の視野も狭めている。研究者も、2つ3つ違う釜の飯を食べないと健全でないという発想が必要。(公的研究機関研究員/専門分野:経済産業政策)
  2. 任期付き雇用は進めるべき。任期付きを教授クラスにも厳しく適用しなければならない。(新聞記者)
  3. 人文社会についても、コアについてはテニュアで、基盤的経費を保証する一方で、若手については任期付任用を採用し、研究資金を競争的資金から獲得する方向も利用した方がよい。(大学助教授/専門分野:行政学)
  4. 任期後、次の就職に不安がある。社会全体として流動性が十分に確保されていない。(公的研究機関の若手研究員/専門分野:ライフサイエンス)
  5. 6、7年前に比べて流動化は進んでおり、ちょうど過渡期と考えられるが、若い世代から任期制の導入が進み、不公平感を持っているのではないかと心配。(大学助教授/専門分野:科学技術社会論)
  6. 上の世代はポスト増の高度成長期に比較的容易に大学教官となったのに、任期付き雇用が若い世代だけが対象というのは世代的に不公平。
  7. ただ任期を付けたからよいということではなく、任期付きの採用や昇進の審査時に、古い教授がギルドを作って従来どおり決めてしまうことがないようにしなければならない。(大学教授/専門分野:行政法、知的財産法)
  8. 法人化に伴い任期制が導入される場合、学内で評価を誰がどのように行うのか気にかかる。分野によって論文一本の持つ重みが違う。適切に評価できるのか疑問。任期制は人材流動化によるアクティビティの向上を狙ったものなので、全国の機関に導入しないと正しく機能しない。(大学の若手研究者/専門分野:農学、工学、理学)
  9. 任期制は導入するなら「任期付」は「任期なし」より給料を上げることが必要。(大学教授/専門分野:数理解析学)
  10. 任期制の下で優秀な人材を組織に留めておきたい場合には、給料倍増などの優遇措置が必要。(公的研究機関チームリーダー/専門分野:ライフサイエンス)

人材の流動性の向上 2

主な意見の概要

○ 人材の流動性の確保は良い。教授も含め流動化すべき。民間を含め社会全体が流動化すべき。
○ 学生の段階から機関を移動し、流動性を持たせるべき。

意見の例

流動化について

  1. 流動性の確保、評価制の導入が近年良く議論されているが、良いことだと思う。(ポスドク(海外特別研究員)/専門分野:哺乳類の発生生物学)
  2. 大学で、教授の流動率が低いところは駄目と評価してよい。(大学教授/専門分野:行政法、知的財産法)
  3. 現状では、流動化しているのは助教授以下のみ。教授も含め流動化させるべき。(公的研究機関チームリーダー/専門分野:発生学)
  4. 日本の流動化が低いのは、学生の段階で、学部から大学院、または修士課程から博士課程に上がるときに、大学を変えないのが原因。米国では博士課程に上がるときに変えるのが当たり前。学生の段階から流動性をもたせることが重要。
  5. 教授が若い人材の一生を決めてしまう閉鎖的な研究室主義がはびこっている理由の一つは、学生が大学院を変えない、同じ大学に就職するといった体質が問題。
  6. 研究者には、大学を動くと損をするという意識がある。最近は変わりつつあるが、一流大学でも「内部」、「外様」という隠語があり、昇進や大学院生の評価にも影響を与えている。(大学助教授/専門分野:経営学)
  7. 日本では自校出身で良い教員を確保するとの観点で若手を育成しているが、米国では自校のPh.D取得者が多くの他大学で活躍出来るようにとの観点で若手を教育している。(大学教授/専門分野:政治学)
  8. 学部から修士、修士から博士への進学時に異なる大学、学部へ移れるようにすることはよいが、数値目標を設けて強制的にやらせるものではない。(公的研究機関の若手研究員/専門分野:ナノテクノロジー・材料)
  9. 上のポストにいる人は他のポストを兼任している人が多い。それがポスト不足につながり、流動性を阻害しているのでは。(公的研究機関の若手研究員/専門分野:ライフサイエンス)
  10. 研究機関、教授、助教授だけでなく、民間企業を含めた社会全体が一緒になって、中途採用を普通にするくらいの取組を実行しないと流動化は進まない。大学院の学生の2/3といった一定割合は他大学から取るようにするべき。(公的研究機関チームリーダー/専門分野:ナノテクノロジー・材料)

人材の流動性の向上 3

主な意見の概要

○ テニュア制は賛成だが、公正な審査や評価がまず必要。
○ 教員の選考は審査基準がオープンにされた公募をし、採用の理由を明確に説明できるようにすべき。
○ 公募は年齢ではなく博士号取得後何年以内とすべき。

意見の例

テニュア制について

  1. 評価が適正にできるのであれば、テニュア制は望ましい。(公的研究機関グループディレクター/専門分野:ライフサイエンス)
  2. テニュア制の導入は良い。現状は、教授になることが目的化している。(ベンチャー経営者/専門分野:ライフサイエンス)
  3. 今後、各機関はテニュア制を設計することになる。任期制をどうするかの議論の前に、まずテニュアを公正に審査するなどのシステムを確立する必要がある。(大学助教授/専門分野:科学技術政策)
  4. 任期付きから、評価によりテニュアを獲得するシステムが望ましい。(公的研究機関チームリーダー/専門分野:発生学)
  5. テニュアを取るのに厳しい競争があるのは当然。研究者以外の生き方を選ばざると得ないというのも一つの人生であり、それも立派な人生となりうる。(ポスドク(海外特別研究員)/専門分野:哺乳類の発生生物学)
  6. 教員採用やテニュア審査は、審査基準がオープンにされた公募をし、採用の理由を明確にして説明できるようにすることが重要。(大学助教授/専門分野:科学技術社会論)
  7. (テニュア制のような)能力主義はよいが、その能力を適正に評価するシステムがないと何も変わらない。(大学助教授/専門分野:ロボット工学)

公募制による採用について

  1. 教授ポストは全て全国公募とするべき。(大学教授/専門分野:超伝導材料)
  2. 業績はあっても希望のポストに就けない若手研究者が非常に多くいる。当大学では、教員公募を全て全国公募したところ、業績の高い若手研究者が(助)教授ポストに集まってきた。公募と審査の情報公開を推進すれば、流動性はかなり高まるのではないか。(大学教授/専門分野:超伝導材料)
  3. 公募の際の年齢制限を撤廃すべき。年齢ではなく、「大学卒業後X年以内」「博士号取得X年以内」とすべき。(公的チームリーダー専門分野:発生学)
  4. 能力・実力だけで判断される、公平でクリアな評価を望む。もっとも知り合いからの紹介自体は適正に行われる分には問題ない。(大学の若手研究者/専門分野:農学、工学、理学)

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