基本計画特別委員会(第3期科学技術基本計画)(第12回) 議事録

1.日時

平成18年2月2日(木曜日) 14時~16時

2.場所

三田共用会議所4階 第4特別会議室

3.議題

  1. 第3期科学技術基本計画の実施に向けた検討状況について
  2. 平成18年度予算案について
  3. その他

4.出席者

委員

 末松主査、笠見委員、岸委員、小磯委員、小平委員、澤岡委員、真行寺委員、谷口委員、十倉委員、中西委員、野依委員、馬場委員、平野委員、森下委員、山野井委員、若杉委員

文部科学省

(大臣官房) 林文部科学審議官、干場総括審議官、藤田審議官、金谷計画課長(文教施設企画部) 
(科学技術・学術政策局) 小田局長、河村総括官、吉川政策課長、有松調査調整課長、田中基盤政策課長、内丸計画官、町田国際交流官 
(研究振興局) 佐野研究環境・産業連携課長、杉野学術研究助成課長 
(研究開発局) 森口局長、渡辺開発企画課長 
(高等教育局) 清木高等教育企画課長 

5.議事録

議題1)第3期科学技術基本計画の実施に向けた検討状況について

 事務局より、資料1及び資料2に基づき、第3期科学技術基本計画策定にむけた検討状況を説明。
 その後、以下のとおり質疑応答。

【委員】
 資料1の平成18年度予算と平成17年度予算に横棒が随分引いてあるが、どういうことか。

【事務局】
 現時点において、いろいろな制度で直接、予算にあまり関係のないもの、もしくは予算に関連はあるが、外縁が広過ぎて拾い切れないものについて空欄ではないという意味で棒を引いている。

【委員】
 いろいろな分野について新しい取組をこの中に盛り込んでいるが、現場にいる者として、あわせて確認させていただきたいこととお願いがある。特に安全・安心な社会構築は当然必要なことだが、同時に大学にいる者として、設備だけではなく建物自身が大変危ないものが非常に多い。耐震性からみて、施設の関係の方が非常に努力をしているが、第2期で十分行なわないまま第3期にきているので、大きな予算が必要になっている状況ではないか。3期目の国立大学等施設緊急整備5か年計画では、どこに重点をおく予定か。

【事務局】
 指摘の点については、答申の34、35ページに、緊急に整備すべき整備計画を作成し、計画的に進めるようにと書かれている。それに向けて、新たな整備5か年計画を策定するために文科省(本省)内にプロジェクトチームをつくっている。
 老朽化施設を最優先の課題として、老朽対策を確実にできるようなボリュームと数値目標を掲げていきたいということで現在、検討中。

【委員】
 特に今、社会で設計上の問題がいろいろ出ている。現在の建築基準に当てはめてもう一度設計の数字を出すと、赤が入ってくる部分が多くなる。当然、私たちは学生にもその数字をきちんと説明しながら動いているが、赤がついたところに学生をいつも置いておくのかということで、現場としては大変苦慮しているところ。これは各大学同じではないか。

【事務局】
 指摘の通り、耐震性が十分ではないというのは、昭和56年に現在の耐震基準に改定されている。今の基準は満足していないということで、かなり低い構造体力のものも存在していることは事実。
 先ほど老朽対策について申し上げたが、その中でも特に耐震性の劣ったものを最優先課題にしていきたい。

【委員】
 全体を通じて、従来に比べて競争原理を強めていき、選択と集中をテーマも含めてさらに進めていくという全体の構想については、全く賛成。
 ただ、進めるに当たっては、特に産業界では、イノベーションの問題が大きく出てきているが、基礎的な研究をどう組み合わせて社会ニーズにつなげていくかということになる。こういう問題も含めて競争原理を強める、選択と集中を進めるということの表裏一体の問題として評価体系の問題が、途中のウォッチも含めて非常に大事。
 この評価体系の問題が全体の中の裏側にあると思うが、全体をみた中ではきれいに浮かんできていない。その辺は大事なポイントではないか。

【事務局】
 研究評価に関する質問だが、評価に関しては3期の議論の中で二つほど重要なポイントがある。
 一つは、競争的な環境で、より有効に資金を使いながらよい成果を出すための基本としての評価。答申の本体では、33ページの「評価システムの改革」の部分でかなりページを割いている。
 評価の問題は、第2期計画で評価が相当進捗して、さまざまな分野で評価制度が導入された。現在、まだまだ進行途上であるが、評価のための人材を充てて競争的なファンディングをより高めていくことが書かれている。
 今後もその努力を一層続けることに加えて、総合科学技術会議で評価に関する大綱的指針の改定があった。その中で議論があったのは、新しい芽を育てていくような評価をどうするかという点。もちろん切るための評価という面も大事だが、それに加えて育てていくための評価をどうやっていくかという点が、大きな課題になっている。
 これについては関係省庁において新たな指針の策定をしている。その中でも、育てていく評価という点についても大きなポイントとして書いている。
 2点目は、評価の問題がイノベーションに非常に関係してくるが、さまざまな基礎から応用に至るフェーズにおいて点在している各省庁の制度、もしくは一つの省庁の場合でも制度間のつなぎをするための道具に使えないかということ。
 例えばある基礎的な研究で出た成果の事後評価が、できればそのまま次につながるファンディングの制度の事前評価に、より役立つような形にうまく連携をとっていく話や、場合によっては人的な評価者の交流を図るとか、そのようなことをうまく工夫する。イノベーションは非常に長い時間がかかるので、節目でいろいろな施策がきちんと対応できるようなツールとしても使えないかということも、検討しているところ。

【委員】
 まさにそのとおりで、新しいことあるいは強調することを進めようとする場合に、担当する人たちを含めて、全体の意欲を沸かすようなインセンティブになる評価が非常に大事。それは表裏一体の問題として設計していく必要があると思うので、お願いしたい。

【委員】
 競争原理、競争的環境は投入する資源配分と創出される成果のフィードバックがうまくいく場合に(役立つ)。経済市場原理も、即時に生産されて需要と供給がバランスしていくことがあると競争原理は活性化に非常に役立つが、第3期の基本計画は人を育てるところに重点が移ってきている。大学にいて、必ずしも短期的な資源投入と生産物、成果というものが即時に、例えば1年や2年の単位でバランスするようなシステムではなく、非常にノンリニアなシステムだと思う。
 悪い人を育てると、その人たちは悪い人しか育てないというところがあって、第3期の基本計画は、単純な競争原理がなかなか働かない領域に着目せざるを得ない状況になってきている。やはり、そこのところを評価という体系の中でどういうふうにうまくこなしていくのか、ここが非常に大切。

【委員】
 二つの点で話したい。一つは今、議論のある問題点と関わるが、例えば研究データの捏造などに関連する不正の問題一つをとっても、問題点についてどう対策するかという視点と同時にどういう理念で行うべきか、あるいは理想的にはどうあるべきかという姿の両方が、科学技術の発展にはぜひ必要。不正だけをどう取り締まるかという方向に行くと、本来どうあるべきということが見えなくなってくる。
 例えば現在いろいろ問題になっているようなデータ捏造をとってみても、実験記録をどうとるべきということが科学者の考え方で違ってきているので、大変驚いている。技術的なコンピューターの発達などによってノートのあり方は変わっているから、一概にノートがないから全く意味がないと言ってしまうこともできないかもしれない。
 その点の科学者としての常識のあり方も変わってきているので、どうするかということは大変難しいと思うが、不正を取り締まるという観点での評価では、本来の姿が見失われてねじ曲げられてしまうことも危惧される。
 具体的にアイデアがあるわけではないが、そういう両方の視点、問題点を直接取り上げながら、それを減らす努力と理想的なあり方を見据えることが必要ではないか。不正の問題だけではなく、人材をどう登用するかという問題や流動性の問題、予算配分を含めたすべてに共通することだろう。
 もう一つは人材の件だが、人材を育成するためにはお金や育成できる人の能力、場所などさまざまなことが必要である。国立大学法人にしても、独立行政法人にしても、人件費削減ということが今はどうしようもない状況にある。それを基本から覆すことができれば、いま言ったことは必要ないかもしれないが、人件費削減というプランが進行する以上、その中で新しいさまざまな計画をどのように進めていくのか、つまり一つ一つのプロジェクトには多分人件費を含めることをお考えなのだろうと思う。それはあくまである意味での時限つき。そうすると、全体としてどういうふうに人材を育て、それを使い、かつ皆さんがやる気を起こすようにしていくかということの理念というか、プランニングがないと、個別に幾つものプロジェクトが同時進行しながら肥大化していく危険性があるように思う。いい方が育てばいい方向へプラスのフィードバックがかかるが、悪い方向に行き始ると大変恐ろしいことになる。そのあたりをどう盛り込んでいくのかというのは非常に難しい問題だが、考えてもらいたい。

【事務局】
 今、指摘をいただいたように、人材の話は、最終的な施策の成果としていい人材が育つまでに、お金、場所、さらにそれを育てるための人的な体制など、いろいろなものがある。ある意味で、文科省はそういうものを一括して対応できる立場にある、数少ない省だと考えており、何とかその辺のバランスをとりながら進めていけないかと考えている。
 次に、データ捏造に代表されるような昨今大分騒がれている点だが、これについては昨日、(科学技術・学術審議会)総会が開かれて、総会の直属の委員会として「不正行為に関する特別委員会」の設置が決定され、昨日もさまざまな議論があった。いわゆる取り締まり的なものだけではない視点ということも指摘があった。そういうことを重々認識しながら進めていくことが大事と考えている。

【事務局】
 補足すると、昨日、(総会で)特別委員会の設置を認めていただいたが、研究活動の不正については、本来かくあるべきというポイントを踏まえながら議論しなければいけないと、会長からも強く指摘があった。
 当面の目標としては、競争的な資金を用いて不正が結果として起こったということで、国民の目から見ると貴重な税金が心ない研究者によってむだになっているという思いが強くなるわけである。
 もちろんお金だけで議論するのはいかがかと思うが、競争的資金に関して研究者の不正があった場合に、申請資格の停止等の措置がまずルール化されるべきという思いで、特別委員会の直近の課題としては、共通のルールに関してのガイドラインを夏ごろを目指して早くまとめてほしいということをお願いした。
 その中でも、議論の中で指摘があったことは、例えば最初に出会う研究指導者の教育的な指導が十分行き届いているかどうかという点で、ある種若い人たちの物の考え方が決まっていくところがあるから、教育の問題等も重視すべきであるという意見も出た。
 こういったことも今後の検討の中では十分議論してもらい、夏までにすべてがまとまらないかもしれないが、一定のルールづくりはその報告を受けてそれぞれの競争的資金の中にその後速やかに反映していきたいということで、現在、検討を始める準備をしているところ。
 先ほど指摘があった本来の姿、科学者としての本来とるべき態度というか、方法論というか、そういうことについても日本学術会議等において行動規範に関してのガイドラインが示されるものと期待しているが、そういったものも十分よりどころにしながら、我々としては必ずしも対策面のみに陥ることなく、全体的なご指導をその委員会を中心にしてもらいたいと思っている。

【委員】
 昨日(総会で)、取り決められることが研究社会を活性化する、あるいは研究社会の質を向上する方向でぜひ検討いただきたいということを申し上げた。
 これはアメリカ等では「ミスコンダクト」という言葉が使われているが、そんなわけのわからない片仮名は使わないでいただきたいということを申し上げた。ミスコンダクトが不正行為と訳されているが、私はルールに反する不正行為というのは多分当たらないのではないかと思っている。これは非倫理行為とか、背信行為とか、そういった道徳あるいは倫理にかかわることであって、一定の法律や規則に反するとか反さないというものではない。したがって、今言ったミスコンダクトをなくするためには、やはり研究者あるいは人々の良心をはぐくむ以外にないのではないか。
 いたずらに内部告発を奨励したり、研究管理を強化したり、監査を強化するということでは問題の解決にならないのではないか。大学の教育もそうだが、さらに幼少教育、家庭教育の問題にさかのぼるのではないかと思っている。
 もう一つ、巨額の国税を投入してこのような行為が行われて、納税者である国民に迷惑がかかるという面もあるが、お金の面に帰することは問題を矮小化することだろうと。このような行為は研究費の多寡、財源の如何を問わず、許してはならないこと。
 仮に研究が私費で行われることについても、やはりこういったミスコンダクトということは断じて許されないと思っているし、さらに科学に国境はないので、他国で行われるようなミスコンダクトについても、我が国の研究者は声を上げてそういうことが起こらないようにすることを進めていかなければならない。
 世の中のマスメディア、あるいは文科省も含めて、論点が若干財政面に矮小化されていることが非常に残念。したがって、議論されるときに、不正行為と決まってしまえば仕方がないが、やはりこれは道徳あるいは倫理に戻るものであるということをぜひ留意いただいて、検討していくことが必要ではないかと昨日申しあげた。

【委員】
 人材育成や人材養成は非常に重要なことで、大変結構。社会が成熟して知識社会に入ったときに、人的資源が国家の競争力を、あるいはもう少し広げて言うと品格をあらわす指標になるというのは間違いないことだが、今求められているのは、育成、養成も重要だが、むしろ人材の活用と登用ではないか。日本はそういうところが非常に遅れている。
 例えば女性研究者や外国人研究者等の活躍の場を広げていくというのも、結局はそこに人材を活用する、登用するという施策なり視点に力が入っていない。人材育成や養成に目が向いていって、そこが少しおかしいのではないかと感じる。例えばこれまでになかった優れた装置や製品が世の中に広がらない、あるいは広がせようとするときに、行政が主導して需要創出という思想も最近は取り入れられて非常に重要視されてきている。それと同じように、雇用創出という視点で有能な人材を、あるいはさまざまなタイトルを持った人を行政、国、官界が率先して活用していくことが必要ではないか。
 そういう意味では、例えば博士号取得者の産業界等での活躍促進は、これはこれで大変結構だが、産業界だけに求められているのではなく、むしろ行政や官界に求められているのではないか。これは人事院に対する答申になるのかもしれないが、例えばレジュメに「産業界においては、優れた博士号取得者に対し云々」とあるが、この産業界のところを行政や官界に置きかえると、そのままぴったりとこの要望は求められているのではないか。
 そのように機会を拡大していくと、例えば文部科学省に弁護士や弁理士の資格を持つ人が3~4人いてもおかしくはない。地方自治体にしても、弁護士が県や大きな市に1人もいないということ自体がおかしいことであって、そういうところに登用していく。今、弁護士や弁理士などの資格取得者を増大する方向で、早くも過剰であるという声が聞こえているが、知識社会において過剰ということは今のような人数ではあり得ないこと。
 優れた人材を育成するのは結構だが、活用するほうにもう少し視点を向けた施策、計画を考えていただきたい。

【事務局】
 指摘いただいた点だが、予算案の概要の資料の33ページにあるように、科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業を新しく平成18年度予算で盛り込んでいる。ドクターを出た方々はどちらかというアカデミックな世界に行くことが中心で、結果として十分活用されていないということで、そういう方々の活躍の場を促進していくということ。
 今ほどの指摘は、行政という中にそれを盛り込めということであったが、もちろん我々はこの中でも主たる出口として確かに産業界ということは頭にある。その場合も単にメーカーの製造現場というだけではなく、さまざまな知的財産部門であるとか、みずから起業していくとか、あるいは産業界でも金融機関やベンチャーキャピタルなど、今までの分野ではないところに理系のバックグラウンドを持っている方、特にドクターを持っている方にどんどん出ていってもらう。
 その中で、現実に行政機関が採れるかどうかは別であり、うちの局長はたまたまドクターを採っているが、そういう意味では多分、これからは行政機関の中でもドクターを持っている方もだんだんふえてくるのではないかと期待している。いずれにせよ、いろいろな出口を考えて施策を組んでいきたいと思っている。

【委員】
 幾つかあるが、一つは人材。今回はアウトリーチ、若手、女性という形で非常に幅広い予算をつくっていただいて、そういう意味では人材に関してかなり重点が移ってきたのではないかというよい印象を持っている。
 問題として、やはりテニュア制なり、外部との回転ドア的な人材交流なり、このあたりを大学の中の一部の部門だけが行うということでは、やはりいけないのではないかと思う。
 今、若手で一つの不満というのは、任期制も含めて必ずこういうものは若手だけから始まって、大学全部に行っているわけではないのではないかと。常に自分たちのところだけに競争が来て、ある意味で割を食っている世代だという認識が非常に強い。そういう意味では、大学の中のあるところがしたからすべて終わりというわけではなくて、やはり大学全体に行くような目配りを少しやっておく必要があるのではないか。
 もう一つは産学協同だが、これも産学協同シーズ事業という形で新しい仕組みを入れていただくということが今回出ていて、非常によい、おもしろい試みだと思っている。
 ただ、その判断基準が従来の科研費と同じような形の論文を重視するということでは当然意味がないので、ぜひ評価システムだけではなく判断基準そのものも従来とは異なった形で、それぞれの事業に適したようなものを採用すべきではないか。これは従来の評価に引きずられる傾向があるのではないかと思うので、このあたりは事業の目的に応じた判断基準をぜひ決めていただきたい。
 最後に、間接経費の話。間接経費の拡充は非常に重要で、各大学の自主的な財源という意味で、大学ごとに決められて行っていくということは理解できるが、かつては我々研究者の中で10パーセントぐらいしかとれなかったのが、今は標準で30パーセント、場合によっては50パーセントをとる大学も出てきている。五公五民という江戸時代の農民に戻っているところも出てきている。
 昨年度に比べて、グラントを今までの2倍以上とらないと同じ研究費にならないという実態も出てきているので、真水としての研究費を入れないと、基礎研究重視というのは看板倒れになるのではないか。
 そういう意味では、間接経費を外づけなりの形で、研究者に渡る研究費は十分確保していただいた上で、それをとった人たちに対する大学へのインセンティブの部分をはっきりしていただかないと、とった分は昨年より金額が大きいのに実際上は内容が減っているケースが多々出てきている。ぜひ間接経費の拡充の中身を考えていただきたい。
 科研費はよいが、競争的研究費は全部が全部外づけではない。物によっては、金額はたくさんふえたが中身が減っているということが結構ある。ある大学では、本当に五公五民というところがある。正直に言って、研究者側から見て、予算をとってもとらなくても一緒ではないかという声もかなり上がっている。予算の種類というか、全部の予算で実は間接経費はまだ整備されていない。ぜひ、このあたりは整備していただきたい。

【事務局】
 人材の問題について、先ほどの予算案の概要という資料の45ページに科学技術振興調整費がある。科学技術振興調整費の中でも、平成18年度からスタートするが、若手研究者の自立的研究環境整備促進というものがある。これは基本計画の中でテニュア・トラック制の導入が奨励されているので、テニュア・トラック制を導入していくような大学あるいは研究機関に対して一定の研究資金を提供して、若手研究者が自立して競争的環境の中で活躍できる機会を与えていこうということ。そういう意味では、テニュア・トラック制を導入していく大学に対して一種のインセンティブを与えることを考えている。
 テニュア・トラックと言うのは、当然ながら将来的にはテニュアを取るという前提なので、若手の方が任期を終わっていい成果を上げればそのまま大学の中でテニュアを持っていけることになるかと思っている。
 一方、基本計画の中では、諮問第5号「科学技術に関する基本政策について」に対する答申の17ページの3に、「人材の流動性の向上」がある。まさに委員指摘のとおり、若手だけに任期制を強いて、一たん終身在職権を取ったら後は安定していいのかということに関しては、ここにあるように「また」以下だが、「任期付きの職を経てより安定的な職に就いた場合には、落ち着いて研究活動等に専念することが期待されるが、その活動の活性化を維持するため、例えば、再任可能な任期制や、適性や資質・能力の審査を定期的に行う再審制による雇用を行うことを奨励する」ということで、若手に対して競争的な環境を持つだけではなくて、既に一旦安定したテニュアを取ったような方についても、一定の競争的環境が維持されるべきだろうということは指摘されているので、それに向けた何らかの取組をしていく必要があると思っている。

【委員】
 今回25兆円が明記されて、我々産業界としてもほっとしている。今日の新聞を読むと、アメリカも教育を含めて基礎研究重視で、10年間で倍増するということを言っている。したがって仕組みも含めて、これから第3期をいかに実りあるものにするのかということはすごく重要。
 そういう視点から三つ。二つは要望で一つは質問だが、イノベーションを生み出すシステムを日本の中にどう構築していくのかということはすごく重要。イノベーションを担うのは人材なので、人材と切り離して考えるわけにはいかない。ところが、残念ながらイノベーションをシステムと言っても、文科省、大学、産業界の人たちがみんな共有しているかというと、共有はしていない。では、イノベーションを生み出すということは何なのだと。イノベーションというと出口指向だと短絡する人がいるが、そんなことは全然ない。イノベーションを生み出すシステムをしっかり行うには、まずは多様な知恵、知識が生まれないと仕方がない。それはディシプリンだが、それをイノベーションの種に持っていくにはインターディシプリンの機能がすごく要る。
 昔はそういう発想で附置研が生まれたのだろうが、今はそういう機能を出させているのかということなので、大学も自分自身をもっと改革していかないと(いけない)。知のディシプリンの力、イノベーションの種をインターディシプリンで生み出すことまでは最低限大学でしっかりやってほしい。そこから先のイノベーションの種から引っ張っていくことは、産業界が責任を持つ。もちろん産学連携でやらないとだめだが、そういうところをまずは共有しないことには、それぞれが別の考えを持っているのではやはり日本はよくならない。今後、具体的な政策を決めていく上で、それを共有できるような機会、ステップをぜひ持って欲しいというのが第1点。
 第2点は、今回、集中と選択ということもあって、戦略的科学技術をアサインして、その予算をふやそうと言っている。どういう戦略的科学技術をアサインするかというのは、いま分野別に行っているが、最終的には府庁間の連携も含めて、やはり各省庁が実行していくので、そこのところを単にアサインするだけではなく、それが有機的なつながりを持って、今言ったようなイノベーションにもつながっていくストラクチャーを全体としてどうつくっていくかということが大変重要。これからの課題。
 3番目は質問だが、戦略重点科学技術の中で費用の大きいものを国家基幹技術と位置付けようとなっている。今の資料1にも、文科省に絡むものが六つぐらいある。総合科学技術会議としては3ないし4個と言っているわけだが、文科省の中でもある程度ウェイティングしていく必要があるのではないか。
 こういう候補の中から国家基幹技術をどうアサインしていくのか、資料1の1ページ目の上にあるので、その辺をどういうステップで行っていくのかというのが質問。その三つをお願いしたい。

【事務局】
 3点目の基幹技術の今後の選定の流れ、プロセスについて、現時点においては、内閣府のほうからきちんとした形でどういう時間のタイミングで行うかということがまだ来ていないので、あくまでも推測にすぎないが、次のようになる。
 まず、内閣府のほうで、戦略重点化の各分野別の中の重要研究開発課題の作業が進んでいる。恐らく2月中旬ぐらいまでには固まる。次に、国家基幹技術を含んだ戦略重点科学技術の具体的な選定作業が2月半ば以降に始まって、最終決定は年度末ではないかと理解している。
 その流れの中で、内閣府では、まず国家基幹技術を含む戦略重点科学技術の候補のようなものを、各分野別に選び出す作業に着手されようとしている。各分野の中でさまざまな有識者の議員に入っていただいて議論が進められる中で、重要な戦略重点科学技術がだんだん形づくられていくという理解でいる。
 その際に、特に今ご指摘のあった国家基幹技術については非常に大きなものなので、これが議論の中でどこまで選ばれていくのかという点については文科省としてはこの答申に示されたような内容を含む科学技術については当然進める。ただ、非常に大きな予算でもあるので、全政府的な努力をしていく。

【委員】
 この委員会で第3期の計画を議論する最初の時点で、第3期で幾らの金額がとれるかということが、出発点で大変関心があった争点。関係者の大変な努力があったのだろうが、25兆円という金額が一応決まったということは、よかったのではないか。
 しかも金額の相当部分は、文部科学省の方々によって受けとめられる部分なので、今日いろいろな形で説明があった具体的な内容が既に検討されていることは大変心強い。
 25兆円は大変な難産だったと思うが、持っている意味というのは、やはり金額を示すことによって国民の目をちゃんとここにくぎづけにしておくという政治的な意味もあるのではないか。要するに、金額がはっきりしていないのとしているのとでは、国民の関心の持たれ方が全然違うということではないか。
 そういう意味では、これからの具体的な内容において、各先生方からいろいろなお話があったように、これを国民としてどう受けとめるかということについては、大変な関心を持って見られるということだろう。その中の一つは、やはり評価ということが当然重要。
 この答申の中でも、評価に関してはこれからさらに各省庁において検討していくので、具体的にどのような評価をするかということは大変重要な課題になってくるのではないか。その場合に、各先生方から話があったように、単純に1本の評価ということでは多分ないだろう。
 今回の第3期基本計画では、基礎的な研究と政策課題型の研究それぞれに分担するところがちゃんとあり、そこは違った角度で見るということが非常に大きな特徴。評価に際しても、そのような複眼的な見方できちんと評価していくシステムが大事。
 特に基盤的、基礎的な研究については、単なるタイムスパンだけの問題ではなく、ある種の確率で事が起きていくというような新しい考え方も必要ではないか。他方で大変多額の金額が投入される政策課題型研究については、もっとシビアな評価も必要ではないか。この辺はぜひこれからも検討課題として取り上げる機会があればお願いしたい。

【委員】
 人材育成は5年、10年の国家の大事業としてもちろん大事だが、経済が縮小している中で問題にならなかったことがここ1年で急激に問題になってきたときに、技術者の確保、研究開発者の確保という点で、この基本計画はこれでいいのかということが急にクローズアップされてきたような気がする。そのあたりについても手おくれにならないように、検討いただきたい。

議題2)平成18年度予算について

 事務局より、資料3から資料5に基づき、科学技術・学術政策局、研究振興局、研究開発局、高等教育局、文教施設企画部の平成18年度予算案について説明。
 その後、以下のとおり質疑応答。

【委員】
 建物が大分整備されているようだが、会社等だと何人の従業員がいて、これだけのスペースがなければいけないということをやっている。
 大学の場合には、教官を基準にしてやっているのではないか。それに加えて、大学院学生などがたくさんいる。これはどうなっているのか。大学院生を入れて基準を(つくっているのか)。

【事務局】
 施設基準は教員を中心としたものになっている。一方、教員以外の学生についても基本的な定員の枠の中で基準をつくり、それに当てはめて基準がつくられている。
 法人化に伴って定員の概念は必ずしもあるわけではないが、基本的に法人が設置されたときのベースにおいて、さらにその後新たに組織ができたものについて加えるような形で施設の基準はつくってある。

【委員】
 これは人材養成にもかかわるが、博士課程の後期課程の学生たちは研究者という定義になっている。当然企業でいう従業員と同じような数え方をしなければ変ではないか。

【事務局】
 若干補足すると、国立だけではなく国公私を通じた大学設置基準、あるいは大学院設置基準があって、それは学生数の定員に応じて最低校舎面積が定めてある。国立大学はもちろんそれを満たして設置されている。その上で、いかなる建物で、どれぐらいの大きさにするかという問題であろう。学生数に応じた最低の面積は、国公私を通じた大学いずれも満たした上で設置がなされているというのが前提。

【委員】
 この中の方々は金銭的なことも含めて理解の上での議論だが、やはり国全体の施策に持っていっていただきたい。
 法人になると管轄が労安そのものになってくる。現場としては、学生について労働基準の中であいまいになっている。通常、私たちの基本的な考え方は、学生も同時に準職員というが、その中で安全対策をとっていくべきだということで努力をしている。一番大きな問題は、多分そこの問題であろう。
 それから、総合科学技術会議の方々と話をしたときにも伝えたが、老朽化には当然対応していただかないと、何か事故が起こると大変な問題。震度5弱ぐらいで危ない建物があちこちにあることは事実。
 それとともに、これは予算の問題で厳しいが、中国を含めた海外の大学はものすごくきちんとした研究環境をとってきているということ。大学院生の人材養成という点でも非常に重要なことである。JABEEの審査を受けるときに、以前、海外の方が日本のJABEEの対応ということで、私がこの学校にいたときに見に来てもらった。「これでは本当は研究室の基準にならない」と言われたぐらいで、ここが本当に悩ましいところ。
 これ以上言っても難しいのだが、やはり国全体で若手を育てる中で、施設の安全と充実ということも重要課題ではないか。

【事務局】
 先ほど来申し上げたいろいろな検討のプロジェクトもあるので、そういった中でしっかりと検討させていただきたい。

【委員】
 私学の立場から陳情めいたことは発言しないようにしていたが、施設整備に関しては画然と差がある。補正を入れると、事業費で大体1,600億円か。それに対して、私学全体では18年度は110億円である。
 これは大変大きな問題なので答えていただくつもりはないが、国全体として、特に競争的研究をやっていくという部分だけでもやはりイコールフッティングに近い形で、何かお考えを進めていただきたい。

【委員】
 高等教育局の平成18年度予算(案)主要事項の説明の8ページに、先導的ITスペシャリストの育成ということで、これは経団連もお願いして、これからスクラムを組んでやっていかなければだめ。ますますソフトとハードが一体化していく中で、そこにあるように世界最高水準のソフトウェア技術者が本当に必要で、日本にはあまりいないのが現状。産業界もカリュラムの作成とか実習に対しては本当に一緒になって行うが、基本的には教育はやはり先生の質が大変重要。
 実は、我々も上級設計を教育するのに、インドのインスティチュートに毎年20名ぐらいを数カ月送り込んで教育を受けている。やはりいい先生をどうやってキープするかというのはかなり大変なので、海外の先生を活用することも含めて、その辺の実行計画をしっかりやっていただきたい。

【事務局】
 実行計画はこれからだが、今言われたような例も含めて、そういうことにつながっていくような新しいプログラムとして動かしていきたいと考えている。

【委員】
 今回、若手研究者の自立支援ということで、一番最初の取組の事例には、若手研究者が研究スペースを確保できるような大学の施設マネーを促進するといったような、場所を与えることを積極的に進めるという話が出ているが、予算案の中ではそうしたところが見えてこない。これは精神論的にそういうお願いをするというベースなのか、それとも何かもっと積極的に予算的な措置も考えているのか、お聞きしたい。
 もう1点は、競争的資金を含めて予算の弾力的執行というか、持ち越しを含めた部分をもう少し勘案していただけないかということ。
 最近、実際に経験した例では、文科省の競争的資金で3月の終わりになると予算が使えないので、その時期に執行したものは返還してほしいとか、特に動物が3月を超えて生きるのはおかしいのではないかということで、3月分の動物の資金は削りたいと。実際に査察官が来られた上で、2月まではいいけれども、その後の3月は何も買えないという話で、どうも趣旨と実際のそういう査察とが合わなくなっている。独法化前に使っていた状態のほうがまだ使いやすかったという状況が一部に出てきている。
 科研費の予算は次年度ということが認められたが、ほかの競争的資金も同様な状況にあると思うので、もう少し柔軟な執行というか、現状に一致した形でお願いできないか。年度末のかなり厳しい細目までにわたるような指導というちょっとおかしな現象があると思っているの。

【事務局】
 まず、施設の点。17年度までは(予算は)研究施設のほうが非常に多かったが、人材育成という観点から17年度補正、18年度予算も含めて、学生の教育施設、講義棟といったものにかなり重点的に予算を措置した。今後ともそういった面については、当然配分の方針なので年度ごとに多少の変化はあろうかと思うが、方向性としてはそういう観点から配分方針を定めて行きたい。

【委員】
 質問の趣旨は、自立した若手研究者がお金はついても研究スペースがもらえず、結果的に自立ができていないのではないかという議論が第3期の策定のときにあった。そうした独立した若手研究者のために、従来の既存の部分だけではなくて研究スペースを配分すべきではないか。
 依然として大学内での研究スペースの配分は非常に硬直化していて、新規が非常にとりにくい状況にある。このあたりのところの質問である。

【事務局】
 そういう意味では、いわゆるシステム改革の使用面積の再配分というところで各大学にお願いをして、かなり進んできているというデータにはなっている。
 指摘された点については、実際の配分になったときに若手研究者に行っているのか、それとも実績のある先生に行っているのかという観点については、そこまで十分な把握をしていない。各大学でそういった点も含めた施設のシステム改革に努めていただきたい。逆に、これは文科省が指示するというよりも、大学にお願いしたいと考えている。

【事務局】
 今の若手自立支援の研究スペースのことで1点補足すると、「予算案の概要」という資料の45ページに、「若手研究者の自立的研究環境整備促進」ということで25億円ほど予算を措置している。
 ここには「テニュア・トラック制に基づき」ということでテニュア・トラック制を導入することを前提にすると書いているが、このときに若手研究者が自立的に活躍できる機会をその機関が保障することが前提なので、例えばこれに応募してくる大学は当然、若手研究者に対して自分たちの持っているスペースの中から優先的に配分していくことが求められるということ。
 もちろんこれがすべての大学に適用できるものではないが、一つインセンティブを与えるという上で、この中で措置しているということ。

【委員】
 若手研究者の自立支援ということで、これは大変大事な問題。実は大学の人事制度そのものと、あるいは若手人材育成の制度そのものともかなり関係する問題。
 話の流れでは、若手研究者イコール、テニュア・トラックにある者と。初めのほうで、テニュア・トラックはいわゆる助教だと。もしそういう単純な図式が連続的に行く場合、最先端で競争力のある大学の現場ではかなり違うことが起こっている。
 つまり、多くの大学で助教を助手から読みかえるということが起こっているが、現実の問題として、助手全員をテニュア・トラックとして位置付けてその何割かを中に残すということがあると、人材の流動化がかなり妨げられてインブリーディングが過ぎる方向に行くだろうと思う。
 したがって、若手支援のところで各個人の競争的資金も、若手研究者の支援のスタートアップとして科研費等で補てんするということが書かれてあるが、今回の主な新しい施策の目玉は25億円で、振興調整費で、多分機関についてアイデアを求めて応募させることになっている。機関の中でも分野に応じて、若手研究者あるいはテニュア・トラックという考え方が文字どおり助手を助教と読みかえた場合と違う場合が現場では非常に多く、混乱を生じつつあるだろう。まず最初にこういう施策が出たことは大変ありがたく、また評価するべきことだと思うが、近いうちに現状を見て、将来は改正なりフィードバックを1度かける必要があるのではないか。

【事務局】
 これは振興調整費の制度なので、中間評価が3年目ぐらいに入ってくると思うが、その段階で当然現実を見たいということになる。
 今回の調整費で募集されるのはもちろん大学として、機関として募集されるということで、大学全体でテニュア・トラック制を導入するのは現実的には難しいので、学部等の限定されたレベルになる。そこで募集されるテニュア・トラック制に乗る若手研究者は既存にいる方よりは、もう一度広く公募してもらうということが多分、公募上の前提条件になっていく。

【委員】
 実は法人化になって、大学はかなり組織化が進んだ。今まで組織という概念があまりないが、全体像が見えてくるといろいろな問題点が出てくる。一番の問題は、労働安全性の問題。それはソフトの問題もあるし、ハードの問題もある。また私たちは今まで法律の解釈になじみがなかったので、よくよく読むと大学はどういうふうにとらえたらいいのかわからないところがある。
 例えば化学薬品も、労働安全基準では大量に使う工場のようなところを想定してできているものなので、ちょっとだけ試しに使う場合でも同じ法律が適用されるのかなど、いろいろなことがある。
 今、ある大学では何十億もかけて設備をこれからきちんとしなければいけないなど、いろいろな問題にぶつかっている。こちらも驚くような金額がかかってしまうが、そういうところはやはり施設のほうなどに相談できるのか。これはすべての大学に通じるところかと思うが。

【事務局】
 安衛法(労働安全衛生法)対策自体については、法人化の前の年に施設、設備で対応できる部分について、100パーセント満足いただけたかわからないが、かなりの予算の組みかえをして配分した。
 安衛法を運用していったときに、いろいろな解釈の問題などは、労基署がそれぞれの地域で違っているので、いろいろな対応が必要になってくる場合があったかと思う。
 基本的に当然施設整備の中で対応できるものについては老朽改善等がこれからの課題なので、そういった中で考えいただければよろしいが、それだけではないいろいろな問題がある。単に施設の問題、人事の問題、この問題ということではなく、非常に輻輳(ふくそう)しているところ。私たでわかる範囲は相談に乗らせていただきたい。

【事務局】
 今後、総合科学技術会議の立場としては、議論があった分野別推進戦略や、特に国家基幹技術、戦略重点科学技術を年度末まで詰めていくことになっている。
 この答申にも書いてあるが、やはり一番大きなポイントは、政府からしかるべき量でお金をきちんと出さなければいけない。これは投資として非常に大事。総理も「科学技術は大事だから出さなければいけない」とみずからおっしゃっている。ただ問題は、投資した見返りとしてどれぐらい成果が出るかというのは、まずシステムをきちんと変えていかなければいけないという部分があるということ。
 実は総合科学技術会議では次のステップとして何が大事かというと、制度的に隘路になっているところが結構ある。大学の考え方と労働安全衛生法がぶつかったところで、どちら側が良いのか、あるいはどうすべきというのは、これからきちんと議論しなければいけないが、従来であれば、事務的なところでぶつかってなかなか進まなかった。
 そこはより高いレベルで、特に総合科学技術会議は総理まで出席する会議なので、総理の前できちんと議論しようではないかと。その上で、例えば今の話だと厚生労働省なので、厚生労働省と文部科学省がぶつかって議論して、その上で妥当なところを見つけていく。こういう話をやろうとしている。
 これから内閣府は内閣府で詰めるし、文科省は文科省で詰めなければいけないのは、国立大学、私立大学もそうだが大学といろいろな独立行政法人、そういったものの研究現場で何が制度的な格好で一番ひっかかっているのか、問題になっているのかをできるだけ洗い出して、その上でかつプライオリティーをつけて、それで要求していくしかないと思う。その上で各省ときちんと議論をしていく。
 最終的には、労働安全衛生法のほうが大事なので大学の先生方は我慢してほしいという議論もあり得る。逆にそうではなく、やはり大学のパフォーマンスを高めるためには労働安全衛生法を変えなさいと。どうしてもだめならそこの部分だけを切り出して特別立法にしてもいいわけなので、そういった議論をこれから第2期の中で進めていく格好になる。
 したがって今、先生の話は大いに言っていただいて、我々はそれをきちんと受けとめて、その上で内閣府なり、最終的には総合科学技術会議で議論していく格好にしていく必要がある。

【委員】
 これだけの人材育成のことをずっと提言されているが、ファンディングを見ると、大きなプロジェクトが年寄りの先生のところで動いているという、非常にわかりやすい構図をきちんと受けとめていただきたい。こういう政策はいいところに来ているが、実施側、その中間のところが今は大問題のような気がする。ぜひその点は課題としてお願いしたい。

【委員】
 留学生の問題だが、世界の中でも日本の国のあり方という点では、留学生がうまく育つと研究者交流につながり、外国からいいマンパワーに来ていただくにせよ、また技術的な競争的協力をしていくにしても、非常に大切。この予算を見ると、ほかと同様に減っている。ただ、人数だけでいうと国費留学生を100人ふやしているが、予算は減っている状況。
 最大限の努力をいただいているわけだが、予算が国費ということで、これは文科省で直接実施されているのか、最終的にこの方に奨学金を差し上げるということが決まるのが遅い。外国の方の場合、特にアジア地域でも、例えば10月に入学するのに8月ごろにならないと認可がおりない。
 ところが、欧米の大学だと、1月が会計年度スタートなので、もっとずっと早くに決まってしまって、そちらにいい人材が流れることがあり得るので、留学生政策をきめ細かくお願いしたい。できればもっとフレキシブルに運用できるところに任せることもあるのではないか。
 もう一つは、来た留学生のフォローオンが、アフターケアがなかなかしにくい。皆さん国に帰って研究者になられる。そういう方に1カ月でも2カ月でも、短期のリ・ビジティングプログラムのようなものがあるとフォローオンがきく。留学生に対して日本のサーキュラーを定期的に送るとか、その辺のアフターケアをこれからすると、アジア地域での日本のいろいろな科学技術向上についても、学術向上についても良いプロジェクトが出てくるので、その辺の工夫をお願いしたいと思う。

【委員】
 例えば基礎研究などに関しては科研費や、さまざまな別の省庁の予算などは、全体像をつかみやすいと思う。お話しいただいた基本計画に基づいて計画されるさまざまな予算の全体像が、大学ではつかみにくいのではないかと、心配なところがある。
 基本計画そのものをこの答申の内容の全体像を把握している人はごく一部だが、上部では了解しているとしても、それに基づいてどのような予算が立てられているのかという、ある意味で理念的な部分、背景を理解している方は非常に少ないのではないか。
 新しい予算で、例えば女性の問題について振興調整費で出されると、個別に対応することで頭がいっぱいになってしまって、それが全体の中でどういう位置付けにあるのか、あるいはそれに関連した予算がほかに来るのか来ないのか、そういうことの全体像が見えていないのではないか。だれかが強引に引っ張っていかない限り、せっかく基本計画という立派なものができ上がっても、その理念の方向に動かない。
 もし可能ならば、少しでも効果的にそれを動かすためには、全体の基本計画の考え方のもとにこういう予算が組まれるという、全体像がわかるような仕掛けを何かつくられるとよい。そういうものの全体像が示されれば自分はここでこう動こうとか、所属機関としてはこういう方向に目標を持っていこうという計画が立てやすい。何かそういう仕掛けをつくられたらよろしいのではないか。

以上

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科学技術・学術政策局計画官付

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