平成17年7月20日
科学技術・学術審議会人材委員会
「科学技術と社会という視点に立った人材養成を目指して」(第三次提言)の後、少子高齢化を踏まえた科学技術関係人材の将来需給およびポストドクターの実態に関する調査や、有識者からの意見聴取を実施。ポストドクター等若手研究者のキャリアパスに関する内容を中心に、課題と当面取り組むべきことについて整理した。
ポストドクターは我が国の研究活動の活性化の原動力となっている一方、その後のキャリアパスが不透明。社会の多様な場における博士号取得者の活躍促進も、期待感はあるものの、明確なキャリアパスが開かれていない。優秀な人材が博士課程へ進まなくなる懸念があり、ポスドク等のキャリアパスの問題に対して早急な対応が必要。
若手研究者が活躍できるポストや機会の確保等の環境整備を中心とした、ポスドクから中堅、高齢研究者までを含めた戦略的な人材の活用方針の策定。
研究機関以外への進路も含め、多様化するポスドクのキャリアサポートについて、個々の研究者任せにするのではなく組織としての取組に期待。企業とポスドクの関わる機会を充実。
研究プロジェクトの企画・マネージメント能力など、大学等の研究機関でも産業界等でも通用する実力を身につけられるような大学院教育の充実。
第三次提言までの施策を着実に推進しつつ、各研究機関等のキャリアサポートの取組のうち優れた取組に対する財政的支援や、キャリアサポートに関する情報提供を実施。
キャリアパスに関する問題については、画一的な方策のみによっては解決することが難しい。直面する課題への速やかな対処という観点と、10年・20年先を見通した人材養成という観点の双方を踏まえ、「博士課程を修了したら全員が大学の研究者になるのが当然」という価値観に縛られず、実効性ある施策の実施に向けた改革に期待。
科学技術に関わる多様な人材を養成・確保することは、我が国が直面している喫緊の課題として社会全体で認識されなければならない。業種や分野等の枠を超え、大学等の研究機関、産業界、学協会等の関係者が幅広く集い、相互に協力して取り組む機運を醸成していくことが重要。
人材委員会としても、若手研究者や関係機関などの意見を幅広く聴取しながら、さらに議論を深め、社会に対して強くメッセージを発信すべく、引き続き検討を継続する。
科学技術・学術政策局基盤政策課