2.ポストドクター等若手研究者の現状と課題

<ポイント>

  • ポスドクは我が国の研究活動の活性化の原動力となっている一方、その後のキャリアパスが不透明。社会の多様な場における博士号取得者の活躍促進も期待感はあるものの、明確なキャリアパスが開かれていない。
  • 優秀な人材が博士課程へ進まなくなる懸念があり、ポスドク等のキャリアパスの問題に対して早急な対応が必要。

 第1期、第2期の科学技術基本計画を通じて、我が国の研究水準の向上の成果が上がりつつある中、ポスドクが我が国の研究活動の活性化のための大きな原動力となっていることは評価すべきである。
 その反面、ポスドクや任期付の若手研究者のその後のキャリアパスが不透明であるという指摘がある。ポスドクの実態調査の結果や研究人材の需給見通しから考えると、研究人材は、中長期的には、質的にも量的にも需要の高まりが予想されるものの、現実にはポスドク等にとって希望する職が得られにくく、活躍の機会が十分に与えられていないという、需給のミスマッチが生じていると考えられる。また、研究人材に限らず、社会の多様な場における博士号取得者の活躍促進についても、期待感の高まりはあるものの、未だ明確なキャリアパスが開かれているとは言い難い現状にあり、さらなる推進方策が求められている。時期的に見ても、第1期科学技術基本計画によって拡充された支援を受けてきたポスドクの世代が、第一線での活躍が期待される年齢になってきており、先送りのできない問題となっている。
 博士号取得者のキャリアパスが不透明であることにより、優秀な人材がポスドクを経て研究者をめざす道を敬遠したり、博士課程への進学を避けたりすることになれば、我が国の科学技術関係人材の質と量の確保に関して深刻な事態になりかねない。さらに、産業構造の変化や少子高齢化・人口減少に伴い、今後我が国が直面していく様々な問題に対応するために、博士号取得者が社会の多様な分野に活躍の場を広げることが強く期待されている。このため、ポスドク等のキャリアパスの問題に対して、早急に手を打たなければならない。

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