平成29年秋の年次公開検証のとりまとめ(抜粋)

資料1-3


大学(研究等の担い手の育成)

取りまとめ

「国立大学改革強化推進事業のうち国立大学若手人材支援事業」(文部科学省所管事業)
「科学技術に関する人材の養成・活躍促進のうち卓越研究員事業、研究人材キャリアマネジメント促進事業、科学技術人材育成のコンソーシアムの構築事業、 テニュアトラック普及・定着事業」(文部科学省所管事業)
「博士課程教育リーディングプログラム」(文部科学省所管事業)
「卓越大学院プログラム」(文部科学省所管事業)

  • そもそも、こうした個々の事業の乱立は、経営力の強化等をもって、研究及び教育の水準を向上させるという、国立大学法人改革で本来目指した方向性を阻害する懸念がある。具体的には、研究や教育の業績評価に応じた人材活用等は十分に進んでいない。
     これらの事業は、本来、国立大学法人等の経営努力によって解決すべき当面かつ直面する深刻な問題である若手研究者の雇用の維持等のための方策としての事業である。
  • こうした現状に対して、文部科学省が各種の事業を立ち上げ、対応しているが、既存の在籍者の給与削減によって、各大学が人件費をいくら捻出したのか、それを若手の登用に手当てすることができたのか、といった肝心の数値が把握できておらず、これらの事業に対して国民の税金を投じることの合理性について疑念がある。
  • 大枠の今後の方向性としては、(ア)様々な事業の乱立、特に教育政策と科学技術政策の間で、対象者や補助内容の重複を徹底的に排除するとともに、その目的や内容を整理する必要がある。(イ)国立大学法人改革の目指した方向性を促すべきである。つまり、高齢教員と若手教員の入替え、高齢教員の給与削減による若手の登用、更には、各大学における教員の評価システムの制度の確立及び運用など、「経営努力」をしっかり行った大学に対してのみ支援するようインセンティブ設計も見直すべきである。
  • 以下、個別の事業について、必要なものをコメントする。
  • 「国立大学若手人材支援事業」については、国立大学法人の基盤的経費である国立大学法人運営費交付金の既存額の中で対応すべきであることから、廃止すべきである。
  • 「科学技術に関する人材の養成・活躍促進のうち卓越研究員事業、研究人材キャリアマネジメント促進事業、科学技術人材育成のコンソーシアムの構築事業、テニュアトラック普及・定着事業」については、この春の公開プロセスを踏まえるとともに、重複を排し、既存施策との関係を整理するため、廃止も含めて抜本的に見直すべきである。
  • 「博士課程教育リーディングプログラム」及び「卓越大学院プログラム」については、その違いが必ずしも明確でないことに加え、基本的に、それぞれは各大学が取り組むべき今後の方向性を示したものであり、各大学にそうした取組を行うよう促すことは必要であるが、運営費交付金とは別に、巨額となる国民の税金を投じる意義があるのか、バラマキとなっていないか、といった疑念がある。基本的な考え方としては、将来の受益者となる企業の負担を求めるのも一つの考え方であり、いずれにせよ、廃止も含めて抜本的に見直すべきである。


高等教育における先進教育

取りまとめ

「スーパーグローバルハイスクール」(文部科学省所管事業)
「国立研究開発法人科学技術振興機構運営費交付金に必要な経費のうちスーパーサイエンスハイスクール(SSH)支援事業」(文部科学省所管事業)

  • スーパーグローバルハイスクール(SGH)、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)について、世界を牽引する人材育成なのか、全体の底上げなのか、そもそもの事業目的と現在の事業内容が合致しているのか、改めて検証するとともに、その上で、所期の事業成果が得られたのかを指定前や非指定校と比較して適切に評価すべきである。
  • SGH、SSHについて、国費投入の妥当性が確保され、効果を最大化できる指定の在り方を再検討すべきである。
  • 地方自治体の負担や授業料での負担、奨学金との組み合わせなど、国費のみによらない負担の在り方についても検討すべきである。
  • SGHとSSHについて、他方の事業成果を取り入れるほか、共同での実施や事業の一本化の可能性を検討するなど、両者の連携を更に深めるべきである。

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科学技術・学術政策局人材政策課

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