資料5 科学技術・学術審議会 第23回人材委員会 説明資料 技術者の養成・確保

科学技術・学術審議会
人材委員会(第23回)
平成16年1月23日

大橋秀雄

JABEE副会長
日本工学会PDE協議会委員会委員長
工学院大学理事長

科学技術基本計画 第2章 重要施策の計画的な実施

2.科学技術システムの改革

4.優れた科学技術関係人材の養成とそのための科学技術に関する教育の改革

(2)技術者の養成・確保

 我が国の技術革新を担う高い専門能力を有する技術者は、国際競争力強化を図る上で、重要な役割を果たしている。
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 常に最先端の技術・知見の習得が可能となるよう、学協会、大学等における継続的な教育の充実を図る。これらにより、技術者教育、技術士等の資格付与、継続的な教育を通じ一貫した技術者の資質と能力の向上を図るシステムの構築を図る。

第1章 科学技術政策の基本的方向

1.21世紀初頭における我が国の目標

2.我が国が目指すべき国の姿

(1)知の創造と活用により世界に貢献できる国

(2)国際競争力があり持続的発展ができる国

(3)安心・安全で快適な生活のできる国

優れた技術者はなぜ必要か?
  • 国際競争力の確保
  • 信頼できる社会のために安心・安全な国造り

技術の社会的責任を担う認知された集団が必要
      ↓
技術士など資格を有する(公的責務を負っている)プロとしての技術者集団を強化する

国際的に通用する技術者とは?
  1. 能力の見地から
     他国の技術者と互角に戦えるか?
     識別困難!
  2. 備えるべき条件の見地から
     適切な基礎教育(学士レベル)を修了したか?
     必要な実務経験を経ているか?
     継続能力開発に努力しているか?
     公的な資格をもっているか?
     識別容易!
技術者をengineerと同義にしなければ国際的に通用しない!

Engineer(Ingenieur)とは:
 「学士レベルの自然科学・数学知識を基礎に、人工物・人工システムの開発、設計、製造、管理に関する技術業に携わるもの」という国際的了解がある。国や地域によっては、engineerという呼称を登録者に限定するところもある。

 国際化が進む中、わが国においても技術者をengineerに対応する者に限定して、技能者を含み技術に係わるもの全てを指す曖昧な意味付けから脱却しなければならない。

参考:電気電子技術者協会(世界最大の技術者協会)の声明

IEEE Statement

It is our position that the title,Engineer, and its derivatives should be reserved for those individuals whose education and experience qualify them to practice in a manner that protects public safety.

Strict use of the title serves the interest of both the IEEE-USA and the public by providing a recognized designation by which those qualified to practice engineering may be identified. The education and experience needed for the title, Engineer, is evidenced by

  • Graduation with an Engineering degree from an ABET/EAC accredited program of engineering(or equivalent※), coupled with sufficient experience in the field in which the term, Engineer, is used; and/or
  • Licensure by any jurisdiction as a Professional Engineer.

※A degree from a foreign institution (or the total education when a person holds a graduate degree in engineering but no accredited B.S. in engineering) can be evaluated through a service offered by ABET.

科学技術系人材の量的構成

科学技術系人材の量的構成

技術者の養成・確保のために一貫した能力開発支援システムの構築

技術者の養成・確保のために一貫した能力開発支援システムの構築

日本技術者教育認定機構JABEE

Japan Accreditation Board for Engineering Education

目的:高等教育機関における技術者教育の認定(accreditation)を通じて、技術者教育の質保証と国際同等性の確保を目指す。

組織:技術者教育認定に関し、わが国を代表する民間組織とする。
(国際同等性を担保するためのワシントン協定加盟条件)
公益団体(社団法人)の認可を受けるべく準備中
会長 吉川弘之、理事は主要学協会会長

認定の担い手:大学人によるピアレビューではない。技術者の基礎教育として適切であるか技術者の眼で判定する。審査の主体は、産官学の技術者が集う場、技術系の学協会とする。

Washington Accord加盟国, 2003~2005

Washington Accord加盟国, 2003~2005の図

 

JABEEの活動実績
年度 2001 2002 2003 2010
目標
認定プログラム数
累計
3
3
32
35
60+?
≒100
100
500+
認定修了者/年
合計
+約200
200
+約2300
2500
+約5000
7500

30000+
審査員適格者
(研修+経験)
335 529 744 1200+

参照:http://www.jabee.org/

JABEE審査の仕組と産業界、行政との連携

JABEE審査の仕組と産業界、行政との連携の図

継続的職務能力開発 Continuing Professional Development, CPD

継続的職務能力開発 Continuing Professional Development, CPDの図

21世紀の産業社会で技術者に求められる対応力は?

より多様な課題に対して!
より先端の課題に対して!
より速く変化する課題に対して!

従来の大学教育・企業内教育では時代の要請する職務能力開発機会を技術者に十分提供できない

継続的職務能力開発の充実を目指して

CPD機会提供者である大学、企業、学協会は各々の特徴を活かして、内容の充実を図る

三者は、機能の補完・連携を強化することで効率化と利便性を高める必要がある

技術者の自己研鑽意欲向上が鍵でありそのインセンティブ付与の仕組が不可欠

PDE協議会構想

PDE:Professional Development of Engineers

目的

  • PDEの重要さに対する意識改革を、個人にも企業にも浸透させる。
  • 多様なCPDプロバイダー(学協会、大学、企業など)が、それぞれの特色を生かしてCPD機会を提供できるように連携を図る。
  • 多様なCPDコンテンツの選択を容易にするため、課題の幅、深さ、難易度、質保証などに対する共通の基準を導入する。
  • CPD時間の算定、CPD記録の様式について標準を設定し、プロバイダー間の互換性を高めて、個人単位の学習歴とその証明を容易にする。
  • 多様なプロバイダーが提供するCPD機会が容易に検索でき検索システムを構築し、専門分野以外の他分野のCPDへの参加を助長する。
  • 技術者が専門資格を取得する機会を増やし、それを助長する。

次年度以降、学協会を主体として組織を立ち上げ、徐々に事業を拡大する予定である。

参照:http://www.pdecj.org/

 現代を特徴付ける最大のものは、環境の人工化である。その中での人々の生活も、人工物の道具に支えられてのみ成立する。このような状況は、近代に始まる技術の進歩を根拠として出現したものである。・・・・

 技術の進歩の中心に技術者がいる。それは技術進歩の推進者であると同時に、多くの可能性の中から現在の技術の様態を定めた選択者でもあると考えるべきであろう。とすれば、技術者とは組織の中の一要素として従属する者でなく、社会の中で主体的に振舞う行動者として、改めて位置付けることが必要となる。

技術者教育の認定制度及び技術者資格問題に関する日本学術会議会長談話から

平成10年12月17日 吉川弘之

お問合せ先

科学技術・学術政策局基盤政策課

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(科学技術・学術政策局基盤政策課)

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