6.第三次提言(骨子案)に対する主な意見

1.総論

○ 提言が具体的にどういうエフェクトを持つかが非常に大事。日本の科学技術政策、人材育成が国際的にも注目されるような政策に結びつかないといけない。企業や大学の人がどれだけこの提言を読んでいるのか。こうした点も考える必要があるのではないか。

○ 5つの人材が必要で、具体的方策があり、こうした人材を育てていくためにベーシックなところから継続的にやらなければいけないということか。

○ 「人材」といわずに、「資質」「クオリティー」としてはどうか。

○ こうした提言の背後に、今行っている施策や、今後どういうプロジェクトに予算をつけていくのかといった対応があると、もっと具体的でよいのではないか。

○ 基本的視点の中で、各段階に応じた取組、とりわけ大学では教員の教育能力の向上が重要。教育レベルをどう上げるかも重要。実現可能性の問題もあるが、研究機関や教育機関でも、社会科学についての素養も持った超エリート機関を日本に作るなどしないと、真に世界に冠たるレベルのものを生み出す科学技術者や、その後の人を育てる科学技術者というのは出てこないのではないか。

○ 濃淡や順番を付けないと全部やるのは難しいのではないか。

○ 各国の知への投資割合のデータによると、日本は世界で11位となっており、こうした現状にも触れるべき。

○ 改革方策は、バランスをとって満遍なくというより、ポイントを絞ってこれは是非やりたいということを強く示すようにするべき。

2.知の創造により、社会に貢献する人材

○ 外国の若者が進んでくるような拠点が大事。関連してポスト21世紀COEをどう考えるか。研究だけではなく、それを通じて世界に冠たる魅力あるような人材育成の拠点とするような施策も考える必要があるのではないか。

○ 21世紀COEの後について、更に大学の競争的環境を高めながら、大学自身が改革に取り組めるような条件整備をしていく必要があるのではないか。

3.知の活用や社会還元を担う人材

○ 小、中、高の理数系の先生については、この審議会としては、新しく採用する場合は大学院卒業者に限るとか、ポイントを絞って強くアピールするべきではないか。

○ これからの社会で安心して豊かに生きていくためには、科学リテラシーが欠かせない。科学リテラシーのある人が住む社会が人材を生む苗床になる。科学館などで、子どもにだけでなく、生涯教育として科学教育を与えるチャンスを提供することがあってもよいのではないか。

4.持続的な知識基盤社会の構築

○ 教育を中心に置くステージと、研究を通じて人材教育をしていくというステージがあり、学部段階では教育が中心であろうが、大学院後期の場合は研究を通じて鍛えていくことを中心に置くべきではないか。アカデミアや公的部門の研究者に進む人を鍛えるプロセスと、産業界の中心になっていく技術者、研究者をコースとして分けていくのは最終的にはあり得ると思う。しかし、基礎学力が足らないとか、問題発見能力が弱いということになると、産業界もアカデミアへ行く人も同様。

○ アメリカはほとんど全員、博士課程学生に奨学金がついている。21世紀COEが非常にうまくいっていると認識されている一因は、RA経費を出せるようにしたこと。しかし、1時間当たりの単価が低いなどの問題もある。

○ 大学院重点化によって、学部が少し軽視されているのではないか。学部があり、修士が2年あり、博士が3年あるという構造が、今の時代の人材育成に見合っているのか。人材育成を本当に考えるならば、博士を持っているところが一緒に学部を持つことは余りよいことではないかもしれない。今後の課題として指摘しておいてもよいのではないか。

○ 世界各国でいろいろな形態がある中、アメリカは非常に教育に力を入れており、日本はアメリカ型を選んだと思う。それぞれの国が採っている大学院の制度があり、そのクローズした中で制度がきちんと機能している必要がある。

○ 大学院入学の時点でRAがついてきて、年間幾らかを保証されているという仕組みがあったような気がする。

○ 日本の場合、歴史的に大学院博士課程が研究者養成であって、技術者は他で養成しており、そのために、キャリアパスが違っていたのではないか。大学院を活性化し、そこでいい教育を受けた人が出て行ってキャリアパスが開けるというのが日本の将来にとって一番よいのではないか。

○ アメリカの博士を出た人がいろいろ活躍できるのは、進学してくる人が既にリベラルアーツの段階を経て、広い関心を持つ素養を持ってきているからではないか。

○ 初等中等教育について、科学リテラシーの問題が特に中等教育レベルで非常に大事な要素になっているが、教育の中身の検討も書き加えるべき。また、技術者養成の問題もあり、触れてないわけではないがもう少し中身を書き込むべき。

5.その他

○ 科学技術創造立国を実現するためには、科学技術だけが進歩したら良いというのではなく、精神文化の涵養や、新しい社会制度を作り出すような人材など、そうした裏付けがあって初めて科学技術人材というのが生きてくるのではないか。早い時期から、理科の教育だけをたくさんすれば科学技術創造立国が達成できるものではない。

○ 科学技術創造立国が単独で存在しているのではなく、一方でリベラルアーツの問題とか社会の問題がある。また、戦後アメリカ型のシステムをずっと見習ってきているが、そのやり方が本当にいいのか、優れた人材は国際マーケットの中で競争状況が非常に激化する中、それを無視していい人を育てられないし、育たない。知識基盤社会というのはベースということもあるが、最終的にこれらがベースにある社会になる。

 

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