参考資料 米国における理工系人材をめぐる政策の動向

科学技術・学術審議会
人材委員会(第19回)
平成15年6月19日

米国科学審議会(注)における「科学及び工学のための国家人材政策タスクフォース」報告書案(パブリックコメント中)の概要

1.検討の背景

 科学・工学系人材をめぐる以下の需給傾向は、米国の長期的繁栄、国家安全保障等にとって深刻な脅威になるとの懸念。

  1. 科学・工学系人材をめぐる国際競争の激化により、米国が国内で不足する需要を満たすために国際的な科学・工学系の労働市場に依存することが困難。
  2. すべての人口動態グループ(特に、科学・土学系の職業においてその割合が低いグループ)から、科学・工学系に進む学生の割合を増やすべく国が措置を講じない限り、米国生まれの科学・工学系の卒業生数は減少。

2.検討中の勧告等

 連邦政府及びその関係機関は、米国の科学・工学系人材の確保に乗り出すべき。すべての関係者は、科学・工学分野の学業や職業を目指す米国籍市民数を増加させるべく、努力を傾注すべき。

1.科学・工学の学部教育

 あらゆる人口動態グループ出身の科学・工学を専攻するアメリカ人学部学生の学業成功を改善するための支援を行うべき。

  • 優秀な学生への奨学金等経済的支援の確保
  • 学位の取得が不十分な分野において、科学・工学教育プログラムの質の向上を目指す機関へのインセンティブの付与
  • 優秀な学生の4年制大学への転入を増やすためのコミュニティーカレッジヘの財政的支援
  • 科学・工学分野でその割合が低いマイノリティーや女性をうまく卒業させている機関のプログラムヘの資金援助の拡充

2.科学・工学分野の上級教育

  • 連邦政府の研究や大学院教育への支援は、学生の真の経済的ニーズに対応するとともに、国の技能二一ズに対応する教育上の選択を拡大すべき。
  • 連邦政府の院生及びポスドク学生への支給金が便益を提供し、また他の収入の機会に比べ引けをとらないことを確保
  • 修士教育の革新的な取組みへの投資
  • 科学・工学分野での、質の高い学問的、学際的な博士訓練プログラムに対する長期的支援の提供

3.大学前の数学、科学技術教育人材

 連邦政府は、関係者とともに、数学、科学技術の質の高い教師を引き付け保持するために行動すべき。

  • 数学、科学技術の教師について、同様に訓練を受けた他のセクターにおける科学・工学系の職業人に匹敵するよう報酬を払う
  • 教育という職業を重要で報いられる職業として強化するとともに、教師を科学・工学的職業のなくてはならない部分に含めること
  • クラスルーム訓練や教育以外の職業からの科学者、エンジニアの教員免許を促進すること
  • 工学、科学学部の教授陣及びカリキュラムを、教育学部と統合することに成功している機関の教師養成プログラムの支援

4.国際的な科学・工学系人材への米国の取組み

  • 競争を増す国際的な科学・工学教育において米国の研究大学がリーダーシップを維持するための能力を強化
  • 米国の学生及び教授陣が国際的な科学・工学教育及び研究に参加する機会を強く支持
  • 米国が、国家安全保障上の懸念を調和させつつ、国際的に競争力のある研究者、教授陣、学生を引きつける能力を維持

5.科学・工学系人材についての知識基盤

  • 効果的な科学・工学系人材に関する政策と戦略づくりを支援すること。
  • 国際的な科学・工学人材の動態に関する研究への投資の増
  • 現在の科学・工学系人材の状況、国の科学・工学分野の技能二一ズ、高い能力を有する学生等を科学・工学分野の職業にひきつけるための戦略、についての情報基盤の構築
  • 米国が、国家安全保障上の懸念を調和させつつ、国際的に競争力のある研究者、教授陣、学生を引きつける能力を維持

注:科学評議会(NationalScienceBoard)
 独立した国家科学政策機関として、また、国立科学財団の活動を監督、指導するために、1950年に議会により設立された機関

24歳人口に対する自然科学・工学分野における第一学位取得者の比率 (1975年、1999年)

 24歳人工に対する自然科学・工学分野における第一学位取得者の比率 (1975年、1999年)のグラフ

1998年の自然科学・工学分野の学士学位取得状況

全24歳人口 24歳人口のうち
学士学位取得者
全自然科学・
工学分野の
学位取得者数
24歳の人口に占める
学士学位
取得者の割合(%)
学士学位取得者数に占める
自然科学・工学分野学位
取得者数の割合(%)
24歳人口に占める
自然科学・工学学位
取得者の割合(%)
3,403,039 1,199,579 205,355 35.3% 17.1% 6.0%
性別 男性 1,714,571 525,714 128,481 30.7% 24.4% 7.5%
女性 1,688,486 673,865 76,874 39.9% 11.4% 4.6%
人種別 白人 2,251,292 878,018 142,500 39.0% 16.2% 6.3%
アジア・太平洋島嶼国 140,413 69,988 22,003 49.8% 31.4% 15.7%
マイノリティー 1,002,334 181,709 25,820 18.1% 14.2% 2.6%
黒人 473,402 95,878 12,731 20.3% 13.3% 2.7%
ヒスパニック 497,620 78,125 12,006 15.7% 15.4% 2.4%
アメリカインディアン、
アラスカ先住民
31,312 7,706 1,083 24.6% 14.1% 3.5%

出典:ScienceandEngineeringIndicators-2002

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科学技術・学術政策局基盤政策課

(科学技術・学術政策局基盤政策課)

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