人材委員会(第90回) 議事録

1.日時

令和2年12月3日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

Web会議
<傍聴室>文部科学省 17F1会議室(東館17階)

3.議題

  1. 「ポストドクター等の雇用・育成に関するガイドライン」について
  2. 令和3年度概算要求について
  3. 「科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業」について
  4. スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の今後の方向性について
  5. その他

4.出席者

委員

宮浦主査、宮田主査代理、狩野委員、川端委員、小林委員、隅田委員、高橋(真)委員、塚本委員、八木委員、柳沢委員、横山委員

文部科学省

板倉科学技術・学術政策局長、梶原大臣官房審議官、楠目人材政策推進室長

5.議事録

科学技術・学術審議会 人材委員会(第90回)

令和2年12月3日
 

【宮浦主査】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会人材委員会(第90回)を開催いたします。本日の会議は、冒頭より公開となっておりますので、よろしくお願いいたします。
本日は、長我部委員、勝委員、柴原委員、髙橋修一郎委員、竹山委員、藤垣委員の6名の委員が御欠席でございますが、11名の委員に御出席いただいておりますので、定足数は満たしておりますので、開催とさせていただきます。
それでは、議事に入ります前に、まず本日の委員会のオンライン開催に当たりまして、事務局から注意事項と資料確認をお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】 事務局でございます。まず冒頭でございますけれども、先ほど宮浦先生から御紹介あったとおり、11名の委員が出席予定なのですが、出席予定の隅田委員が若干遅れると事前に御連絡いただいておりまして、現在も入られていないので、1名後で参加されます。
また、本日の会議はオンラインでの開催となりますので、事前にお送りしておりますマニュアルに記載のとおり、御発言の際には、挙手機能により挙手ボタンを押していただき、指名を受けましたら、マイクをオンにし、必ずお名前をおっしゃっていただいた上で、はっきり、ゆっくり御発言いただきますようお願いいたします。なお、主査以外の委員の皆様は、御発言されるとき以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
機材の不具合等ございましたら、マニュアルに記載の事務局連絡先まで御連絡ください。
資料につきましては、本日はWebex上での共有はいたしません。お手数ですが、事前に送付しております資料をお手元で御覧いただければと思います。
続きまして、資料確認をさせていただきます。事前に送付させていただきました資料としましては、議事次第、また、議事次第に書いておりますとおり、資料1、資料2、資料3、資料4、資料5-1、資料5-2がございます。御確認をいただければと思います。
また、議事進行の過程で不備等ございましたら、事務局までお知らせ願えればと思います。
また、冒頭でございますけれども、今回の第10期の人材委員会につきましては本日が最後の開催ということで、事前にメールでも御連絡させていただきましたが、そのような形で進めていければと思っておりますので、その旨、事務局からも改めてお知らせさせていただきます。
事務局からは以上でございます。
【宮浦主査】 それでは、議題1に入らせていただきます。令和2年10月27日に開催されました第6回ポストドクター等の雇用に関する小委員会において、「ポストドクター等の雇用・育成に関するガイドライン(案)について」が策定されましたので、小林委員及び事務方のほうから御報告いただきたいと思います。それでは、小林委員、よろしくお願いいたします。
【小林委員】 小林です。それでは、簡単に御紹介したいと思いますが、前回の委員会の際の御指摘あるいはその後のメール等でのやり取りを踏まえまして、また小委員会のほうでも会合及びメールでのやり取りをしまして、かなり細かいところを明確になるように書き換えました。大きい趣旨が変わるものではありませんけれども、皆様に御指摘いただいたところを反映して、分かりやすく直した次第です。
ポイントだけ申し上げますと、お手元の資料を見ていただきたいのですが、4ページ目の上から3段目というか、丸でいうと2つ目ですけれども、そこに書いてあることは、このガイドラインが各大学・研究機関においてポストドクターの雇用・受入環境の改善あるいは研究者としての能力開発、キャリア開発支援等の取組をするということを大学等に要求するというか、そこにお願いするという形のガイドラインであると書いております。
ただし、1つ飛ばして、「一方で」というところがありますが、法令遵守の問題とか様々なことについて、ポスドクに止まることなく、機関として留意すべきであるということを書いてあります。
あと、大きな違いはないのですけれども、5ページ目の一番最後、下のほうに、不合理な待遇差の禁止ということが書いてあります。以前も議論、御紹介があったかと思うのですが、本ガイドラインは、皆さんがすでにお分かりのことを改めて確認するという面と、こういうこともあるということに気づいていただくという、あるいは知っていただくというような趣旨の面もあります。ここの不合理な待遇差の禁止というようなものについては、法的にそういうことが要請されているということを示して、大学等でも努力してほしいという、そういう趣旨で書き加えたものです。
あるいは、次のページの6ページ目のRAとしての博士課程学生の雇用という項目があります。これはポスドクではないのですけれども、ここにあえて書きました。特に今後、博士の学生の確保の上で、あるいは研究力強化の上でも、いわゆる研究力強化・若手研究者支援総合パッケージに書かれているようにいろいろ支援をしていくということで、特に奨学金、フェローシップ制度、RA制度等の組合せで支援をすることを学内で整備し、HP等で公表してほしいというようなことを書いてあります。
次の7ページ目の適切な労務管理に関しては、これもある意味では当たり前と言えば当たり前なのですけれども、ポスドクであってもきちんと労務管理をしていくことが求められているということを書いてあります。
また、フェローシップでの受入れのところについては、ほとんどの機関はもう分かっておられると思いますけれども、フェローシップについても大学の中できちんと位置づけてほしいという趣旨のものです。
あとは、法律なども紹介してあります。
あと、第2章におきましては、10ページ目の最後のところに機器利用等における配慮といったこと、あとは、その次の11ページの冒頭のほうに、チーム型研究体制の整備・活用というのがありますが、これは前回の御指摘を踏まえて、明確にしたものです。
また、その下の大きい3番目のPI等による研究活動の支援というところは、PIにも責任があるということを認識していただくための項目として書いてあります。
さらに12ページ目の真ん中辺りのところに、カウンセリングへの取組等について各機関で考えてほしいというようなことを、この前の御指摘に従って付け加えているということになります。
あと、第3章は、あまり大きくは変わっておりませんけれども、キャリアパスの多様化ということを従来よりも明確に打ち出しております。
大方はそんなところですが、最後の第4章、その他、20ページですけれども、ここでも改めて、大学・研究機関での組織的な取組の推進ということで、本ガイドラインが、大学・研究機関での取組を期待すると、しっかり各大学等で組織的な取組を推進するようにしていただくということをお願いしているものであるということを明確に書いています。
あとは、「終わりに」に要点をまとめてありますが、最後のところに、政府としても、国として、今後どうするかということが書かれています。
なお、最後に、参考資料という形で、法律関係で具体的にどのようなことが書かれているかを2ページにわたって紹介させていただいています。
以上、簡単ですが、御紹介いたしました。どうもありがとうございました。
【宮浦主査】 ありがとうございます。事務方から補足等ございますでしょうか。
【根津人材政策課長補佐】 事務局でございます。今、小林先生に御紹介いただきましたけれども、ポスドク小委員会におきましてこういったガイドラインの案を取りまとめいただきました。文科省といたしましても、この内容をきちんとポスドクが所属する各大学・研究機関に通知をいたしますとともに、この内容を早速、例えば博士のRA経費をしっかり適切な対価として盛り込むようにというような内容につきましては、省内の関係部局とも調整をしまして、文科省が作る今後の公募要領にきちんと盛り込んでいくように関係部局との連携も行っていきたいと思います。
また、このガイドラインの内容を各大学・研究機関の方々がどのようにやってらっしゃるかというところを、一定期間の後にフォローアップをいたしまして、その結果を踏まえながら今後の適切な支援策の検討につなげていきたいというようなことを現在考えております。
そういった状況につきましても、今後またこの委員会に御報告なり御相談をさせていただくことになろうかと思いますので、その際はぜひいろいろと御意見・御指導をいただければと事務局としては考えております。
補足としては以上でございます。
【宮浦主査】 ありがとうございます。小委員会のほうで非常に御尽力いただきまして、このような案ということで、前回いろいろ御意見いただいた部分を反映していただいた形でまとまっております。ただいま御説明いただきましたけれども、基本的には小委員会で作成いただいたガイドラインの案について、人材委員会としても了承する形で策定という形にしていきたいと考えております。
委員の皆様からこの場で何か御意見等ございましたら、御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。挙手機能をお使いください。
狩野委員から手が挙がっております。どうぞ。
【狩野委員】 大変よくまとめていただきまして感謝を申し上げます。1点だけこの機会なので確認させてください。6から7ページにかけて東工大の給与規程のみを参考として挙げておられますけれども、せっかく挙げていただくのであれば、複数挙げていただいたほうがいいのかなと思って拝見をした次第です。何か東工大だけにされた経緯があれば結構ですけれども、一応そこだけお伺いできましたらと思いました。失礼いたしました。
【宮浦主査】 今の点、いかがでしょうか。7ページの表の例でございますが。
【楠目人材政策推進室長】 事務局でございます。よろしいでしょうか。
【宮浦主査】 お願いします。
【楠目人材政策推進室長】 規程について、幾つかの大学で既に2,000円や2,500円以上の時間給の支払いを設けている大学もありましたので、幾つか例を載せることも検討したのですけれども、内規として定めているところや、公表していないところ、少し変える予定があって今出されるのは困るというところもあって、調整の結果、東工大のものを本体に載せさせていただいているところでございますけれども、また少し別の形で、これから各大学で規程の改定を進めていただけると思いますので、その際には複数の例等を周知できるような形についても検討していきたいと思います。経緯としては特に何かあったということではなくて、当時このヒアリング等で御協力いただいている大学の規程の中で、公表しても大丈夫ということで御了解いただいたところのものを載せさせていただいているのが現状でございます。
【狩野委員】 承知いたしました。ありがとうございます。
【宮浦主査】 6ページのほうに東工大の規程の例と書いてありますので、一例という扱いかと思います。よろしいでしょうか。
そのほか、高橋委員から手が挙がっております。どうぞ。
【高橋(真)委員】 高橋です。小林先生、本当に取りまとめと、コメント等を踏まえた再検討、ありがとうございました。1点だけ、御趣旨の確認的な質問を、細かい話なのですが、7ページの(2)の2個目の丸、裁量労働制を適用する範囲についてなのですけれども、言わずもがなですが、イントロダクションのところに書いてあるように、研究に没頭する時間をいかに我々は環境として確保してあげるかというのがそもそもの趣旨だと理解しております。
その関連で、2個目の丸の2行目ですが、22時から5時の間も場合によってはポスドク自身がその時間帯に研究をしたいとか、そういうポジティブなニーズも実際にはあるということを委員の先生方はきっと御存じかと思います。質問は、小委員会のほうでの議論で、自発的でヘルシーな状態で研究に没頭するという活動を妨げないようにしつつ、法律をきちんと守るというところについて何か御議論はあったかということと、今回のこの表現ぶりについて何か込められた趣旨があれば伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
【宮浦主査】 ありがとうございます。この点いかがでしょうか。
【小林委員】 小林です。後で不足があったら事務局からも追加してほしいのですが、ポスドクについては裁量労働制が適用されるのが一般的です。また、今御指摘のあったようなことは、自己研鑽というような言われ方をします。労働法制の中では、裁量労働制の場合にも、上司に指示されたものは自己研鑽にならないわけですけれども、自発的に研鑽をすることについては、これは基本的には認められていることです。
ただし、労働時間の状況を把握することという文言がありますが、これは本人の健康とかいろいろなことに配慮するということも雇っている側の責任でありますので、その点では良識的にやっていただくということが前提だろうと思います。例外的に深夜に及ぶような実験等があるということも分かります。やってはいけないわけではないのですけれども、そこは曖昧な書き方になっております。少なくとも業務としてやる部分については、時間外の深夜労働の状況を把握するというような趣旨で書いてあります。
自己研鑽のことについては、これについて書くと、さまざまなケースがあって、ある意味では切りがないところもありますので明確には書いてありません。ただし、今回のガイドラインは、特に文科省関係の事業で雇われているポスドク等に関しては、雇われている時間の枠内でも一定の時間の自己研鑽を認めることを明確化するという趣旨もありますので、そういったところで運用していただくということになろうかと思っております。
事務局のほうからちょっと追加いただければと思います。
【楠目人材政策推進室長】 ありがとうございます。事務局でございます。今、小林先生から趣旨について御説明をいただいたとおりでございます。高橋先生が御指摘いただいたようなことについて小委員会でも御議論いただいた結果、こういう形になっております。
若干補足をさせていただきますと、自己研鑽等と労働時間の扱いについては、正面からは確かに書いていないのですけれども、9ページの注釈にも少し考え方を整理して入れるなどして、参考にしてもらえるようなところを注釈等含めて充実させております。
補足としては以上でございます。
【宮浦主査】 ありがとうございます。今御指摘いただいた点、非常に重要でございまして、ポスドクの方、自己研鑽や裁量労働制という枠組みの中でやはり非常に深夜仕事をされる実態があるということも含めて、大学等が適切な労務管理、健康管理を行うことが必要であるということで一応まとめておりましたので、その辺りの意図を読手が把握していただければありがたいかなと思っているところでございます。
高橋委員、よろしいでしょうか。
【高橋(真)委員】 ありがとうございます。あえて申し上げますと、やりたいからやらせてくれという旬の時期の若手研究者の自発的な活動を阻害しないようにというところがきちんと出ればと思っておりました。ありがとうございました。
【宮浦主査】 ありがとうございます。
そのほか手が挙がっておりませんが、そのほかの委員から何か御意見ございますか。よろしいですかね。
それでは、一応この案をお認めいただいたということで、小委員会でおまとめいただいた今回のガイドライン(案)を人材委員会として了承したいと思いますが、よろしいでしょか。
それでは、御了承いただいたということで、決定とさせていただきます。ありがとうございました。
事務局、すみません、こちら了承ということで、あとはお進めいただくという形になります。有効活用や周知徹底が重要かと思いますので、よろしくお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】 承知いたしました。どうもありがとうございます。
【宮浦主査】 ありがとうございます。それでは、本件は決定ということとさせていただきます。
次に、議題2及び議題3に進みたいと思います。まず議題2といたしましては、令和3年度概算要求(科学技術イノベーション人材の育成・確保関係)について御報告いただきますが、議題3における大学フェローシップ事業についても関連内容ですので、合わせて事務局から御説明いただきまして、その後、質疑の時間を設けたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、事務局から20分以内で御説明をお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】 事務局でございます。まず資料3を御覧いただければと思います。表紙に「令和3年度概算要求について(「科学技術イノベーション人材の育成・確保」関係)」とある資料でございます。
1枚おめくりいただきまして、こちら、「科学技術イノベーション人材の育成・確保」という文科省の施策のくくりの施策を一覧にまとめたものでございます。それぞれの事業の詳細は次ページ以降で御説明させていただきますので、こちらのページは割愛をさせていただきます。
続きまして、3ページ目でございます。科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業でございます。令和3年度の概算要求額は約29億円という形になってございます。こちらの事業につきましては、やはり博士に進学する人数が非常に減ってきているということを危機感として持っておりまして、やはり処遇の向上、生活費の支援、また博士に進学した後にキャリアパスが非常に不安であるという声も上がっているとお伺いしておりますので、こちらの事業につきましては、資料にもございますとおり、博士後期課程学生の処遇の向上、特に生活費相当額180万円以上を含むようなフェローシップと、キャリアパスの確保、博士課程修了後のポストへの接続を一体として実施する大学への新たな補助金ということで、今回新規で要求させていただいております。
事業概要に、以下の2タイプとあって、ボトムアップ型と分野指定型を書いておりますけれども、こちら、別の資料4で御説明させていただきます。
支援内容でございますけれども、支援対象は大学への機関補助ということを考えておりまして、支援規模は延べ55機関とありますが、博士の学生にすると大体1,000人ぐらいの規模を支援したいという形で概算要求の規模を計上しております。また、補助率につきましても、大学への御支援ということで、3分の2という補助率を設定させていただいているところでございます。
少し飛びまして、資料4を御覧いただければと思います。先ほど申し上げたとおり、このフェローシップ事業につきましては、2つのタイプを設けて推進していければと考えております。
事業名にもございますとおり、こちらの大学フェローシップ創設事業につきましては、科学技術イノベーション創出の担い手となる博士後期課程学生を支援していこうというところが1つ政策の目的になっておりますので、イノベーション創出に資する分野を考えていくというところを考えたときに、まずボトムアップ型とありますけれども、やはりAIに代表されますとおり、例えば10年前にここまでAIが広がることを、一部の先生方は当然予見されていたと思うのですが、我々行政官も含めて世間ではそれほど認知されていなかったというようなところがございますので、やはり将来イノベーション創出につながる分野をある程度特定するのは非常に難しいというところがございますので、大学の強みや、あるいは地域の強みを生かしたイノベーション創出等が見込まれる分野、幅広い分野を対象として支援するというところが、まずこのボトムアップ型というところを想定しております。こちらは、大学で、今申し上げたような大学の強みや地域の強みを生かした分野を御提案いただくという形を考えております。
2つ目としまして、分野指定型とありますけれども、こちらは既にイノベーション創出のためにということで全政府的に戦略を策定している分野が幾つかございます。そちらの資料では例示として、情報・AI、量子、マテリアルを挙げさせていただきましたけれども、こういった分野を国が指定をさせていただいて、その指定した分野の中でどういった取組をしていただけるかというところを御提案いただくというところを考えております。
ただ、括弧に書いておりますけれども、やはり博士課程について、産業界等における人材需給というものも御指摘をいろいろなところで受けているところもございますので、そういったところを勘案しながら決定していくということを現在考えているところでございます。以上がフェローシップ創設事業の御説明になります。
資料3にお戻りいただきまして、4ページ目でございます。特別研究員事業でございますけれども、こちらは概算要求額として約178億円の計上をしているところでございます。こちら、特別研究員事業のDCにつきまして、特に支援人数の新規の規模を2,000人にするなどして拡充要求しているほか、今年は新型コロナウイルスの影響で学位の取得が遅れる可能性があるという不安を持たれた学生の方々から非常に多くの要望をいただいたというところもございますので、そういったところに対応するために、学位取得が遅れた場合でも採用を延長できるような経費として必要額を増額要求しているというところが大きなポイントになっております。そのほか、PD、SPDあるいはRPDというところは、今年度と同程度の規模を実施できるような予算要求をしているところでございます。
続けて、5ページ目でございます。卓越研究員事業でございます。概算要求額は13億円程度になっております。こちらにつきましては、規模としては、事業スキームのところに人数を書いておりますけれども、新規採用を50名程度できるような規模で来年度要求をさせていただいております。予算は前年度より少し少ない額となっておりますけれども、以前人材委員会でもお諮りさせていただいたとおり、特に民間企業とのマッチングの率を上げるために例えばブリッジプロモーターを今年度から導入しておりますし、また、資料上にあるとおり、企業でのインターンシップを通じたマッチング、あるいはJREC-IN Portal、JSTに設けられているそのポータルにあるような企業のポストにつきましてもマッチングに活用するような改善策を現在考えておりまして、来年度はこういった改善策を講じて、民間企業へのマッチングなども含めてマッチングの数を増やしていきたいなというところを現在考えているところでございます。
続けて、6ページ目でございます。世界で活躍できる研究者戦略育成事業でございます。こちらの事業は、研究者の研究生産性の向上を図るために、世界トップクラスの研究者育成に向けたプログラムを開発していただくとともに、組織的なシステムとして構築していただく取組を支援する事業ということになっております。こちら、事業概要の支援機関にもありますとおり、4機関程度、うち来年度新規1機関程度を採用できるような予算規模ということで、4.2億円を計上しているところでございます。支援機関の※にもございますとおり、来年度につきましては、特に複数の大学と企業との連携の下で、各機関の強みを生かして産学を通じて活躍できる研究者を育成するような取組を重点的に支援していきたいということを考えております。
続きまして、7ページ目でございます。次世代アントレプレナー育成事業(EDGE-NEXT)でございます。こちらの要求額は約20億円になっております。こちらの事業は、起業家のようなアントレプレナー育成に係る取組の成果や知見を活用しながら、裾野の拡大やアントレプレナー育成のロールモデルとなるプログラムの発展に取り組むというところに取り組んでいる事業でございます。来年度の要求額につきましては特に、右下にございますとおり、EDGE-NEXT COSMOSとありますが、こちらは、コロナの影響下においていろいろな指標が落ち込んでいるという中で、やはりこういう時代だからこそアントレプレナー教育を広げていこうということで、内閣府を中心にいろいろな施策をパッケージするという動きがございまして、こちらと連動して自治体や民間事業者と連携した教育プラットフォームを形成するということを目的として増額要求しているというところが主な内容になっております。
続けて、8ページ目でございます。スーパーサイエンスハイスクール(SHH)支援事業でございます。こちらは議題4でも今後の方向性について御報告をする予定でございますので、事業の詳細についてはそちらを御参考いただければと思います。概算要求額としましては約23億円を計上しており、事業規模としまして、資料中にもございますが、令和3年度指定校数を220校程度、うち新規を30校程度採択できるような規模を概算要求額として計上しているところでございます。
続けて、9ページ目でございます。グローバルサイエンスキャンパスでございますが、こちら、要求額は4.1億円を計上しております。事業としましては、地域で卓越した意欲や能力を有する高校生の幅広い発掘、あるいは選抜者の年間を通じた高度で実践的な講義や研究を実施する大学を支援するという内容でございまして、こちらも実施規模としては14機関程度、うち令和3年度の新規を2件程度採れるような事業規模として4.1億円を要求しているところでございます。
おめくりいただきまして、10ページ目でございます。ジュニアドクター育成塾でございます。こちらは2.7億円を要求させていただいております。事業の内容としましては、理数分野で特に意欲や突出した能力を有する全国の小中学生を対象とした事業でございまして、大学等がそういった子供たちのために特別な教育プログラムを提供して、その能力等のさらなる伸長を図ることを支援する事業となっております。事業の規模としましては、実施規模は30機関程度、うち令和3年度の新規を3機関程度採択できるような概算要求額ということになっております。
おめくりいただきまして、11ページ目でございます。科学技術イノベーションを担う女性の活躍促進です。こちら、複数の事業がまとまったポンチ絵になっておりますけれども、そのうち、ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブという事業につきましては11億円の概算要求額となっております。こちらは、先生方御存じのとおり、牽引型、先端型、分野の特性に対応した特性対応型、全国ネットワーク中核機関(群)、あるいは調査分析等の実施というところで構成されておりますけれども、それぞれ何とか型という拠点物につきましては26件程度、うち新規8件程度を採れる額、また、調査分析については3件程度、うち新規2件採れるような規模ということで、11億円を要求しているところでございます。特に特性対応型の※で書いておりますけれども、令和3年度につきましては、女性の博士後期課程学生の処遇の向上に資するフェローシップの取組についてより支援できるようなスキームを考えて概算要求をしているところでございます。
特別研究員のRPDにつきましては、先ほど特別研究員事業で御説明したとおり、前年度と同規模と、事業規模を維持するような概算要求額になっております。
また、女子中高生の理系進路選択支援プログラムにつきましても、前年度と同額の4,200万円を要求しているところでございます。事業規模としましては、17件程度、うち新規5件程度を見込んでおります。
資料3と4につきましては、説明は以上でございます。
【宮浦主査】 御説明ありがとうございます。令和3年度概算要求について御説明いただきました。これから30分程度お時間取っておりますので、御質問、意見交換をさせていただきたいと思います。挙手の上、御質問、御意見、いかがでしょうか。
狩野委員、どうぞ。
【狩野委員】 お世話になります。私から申し上げてみようと思ったのは、例えば科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業というところで、ボトムアップ型と分野指定型があって、両方存在すること自体は非常に喜ばしいのですけれども、我が国ともすると、やってほしいことにはお金がつくけれども、本人がやりたいことにつきにくいという、何かそういう事象をたくさん見受ける気がしております。でも、やっぱり両方がバランスしていくことがきっと大事なのだと思います。
それを考えますと、お財布元はきっとやってほしいことにたくさんお金をつけようとされるかもしれませんが、ぜひ文部科学省担当とされては、ボトムアップ型のような、本人あるいは大学などの主体が、自発的にやる気がすることに関する支援のバランスもぜひ保っていただきたいというのが1つです。あと、ほかでも同じですけれども、本人に自発的な動機づけがある方向性が、どれほど支援側がやってほしいことに関係しているかの程度が、何らか関係性があればよく、支援側がやってほしいことそのものだけをやりきらなければいけない、ということではないような、何か、在り方も、今後御一緒に考えていけるといいなと思いながら今お伺いしておりました。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。新規事業でございます大学フェローシップ創設事業の関連について御意見を頂戴したところです。特にボトムアップ型のほう、やりたいことをしっかりサポートするということの重要性を考えるべきであるという御意見かと思います。ボトムアップ型と分野指定型ということで2つのタイプがございますけれども、その比率といいますか、どちらを重点的にやるべきかとか、あるいはこういう情報、量子、マテリアル等の分野指定をすることについても含めまして、その辺り、こちら新規事業でございますので、御意見、御質問、ほかいかがでしょうか。高橋委員、どうぞ。
【高橋(真)委員】 ありがとうございます。私から一言、今の狩野先生の御趣旨に賛同しますので、補足的にこういう根拠もあるのではないかというところを申し上げたいです。競争的資金は目的志向型のものが増える中で分野指定型はやはり政策的なトレンドを押さえたものがメインになるかと思います。しかし、フェローシップを受けた学生たちが育つ頃に、果たして今書いてある3つの分野指定型の分野の研究が旬のトレンドであるかというのは、言わずもがなですが、時差を考慮すべきと思います。
そうすると、戦略的に考えても、やはり広くいろいろな分野に支援を広げること、ボトムアップ、キュリオシティドリブンの多様なテーマを拾っておくというのが、政策戦略上も重要なことかと思います。結論としては、分野指定型にはなるべく広く採っていただきたいですし、むしろボトムアップのところこそが、少なくとも何年後でしょうか、この支援を受けた方たちが若手研究者として活躍するときの次のフィールドを担うという意味でも重要なのかと思いました。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。指定がかかる分野が、これが現在旬で、適切で将来的な戦略性がどうかという辺りも考える必要があるという御意見かと思います。
小林委員、いかがでしょう。
【小林委員】 小林から発言させていただきたいと思います。事務局のほうでは多分もう重々お分かりかと思いますけれども、分野指定型の中にある情報・AIという分野は、実は情報・AIという専門分野が重要というよりは、今、例えばデジタルトランスフォーメーションとかいろいろ言葉がありますように、様々な分野で情報・AIを活用した研究活動あるいは技術開発等が進むというのが実態ですので、狭く取ってしまって、情報・AIのところだけ研究するような人たちを対象にすると、むしろ方向性を誤る可能性があります。そういう意味ではボトムアップ型と分野指定型の中間のような形で、むしろ多様な分野で情報を生かすような人たちの育成を促進するような形にしていっていただくのがいいのだろうと思っております。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。今御指摘いただいたのは、情報・AIの専門家をとにかく増やすというのも重要だけれども、幅広い分野でのデジタル化ということの将来を見据えて育成したほうがよいという御意見かと思います。ありがとうございます。
川端委員、どうぞ。
【川端委員】 川端です。今言われている話そのままなのですけれども、内閣府が人材育成という旗を揚げたために、今、経産省にしても、ほかの、高等教育局にしても、似たような話が動いていて、さらにその前で考えれば、卓越大学院だとかって言わばこういうキーワードの分野がどうしても多いのですね。だからこそ、全体のバランスを取っていくというような観点がやっぱり重要だと思うのです。
もう一点は、それを支援するのは、資料4の2ページ目に書かれている、これ、内閣府ですかね、経産省ですかね、両方とも似たようなやつがあるのですけれども、要するに、ドクターがどこで活躍したかというデータが今取られています。それで見たときに、要するに、ドクターの持っている専門性の分野で彼らは活躍しているだけではなくて、もっと違う分野で活躍しているということはいろいろな企業からも認められているという、そういう姿が出ているので、だから、あまりその分野の人間を、一生懸命ドクターを過剰生産するというよりは、さっきから言われているような、単語をボトムアップというのをどうにかもっといい、かっこいい名前があればいいのですけれども、何かそういうような全般的なものをともかく育成していくという。これのゴールはやっぱり博士離れをどう解決するかのためにこれはやっているのであって、別にある分野の人間を今すぐ生産したいといったって5年後とか6年後になっちゃう話かもしれないので、そういう観点でいえば、ぜひこの事業は文科省という目線の事業にぜひしていただければいいかなと思います。
それからもう一点は、これは政策課の方にもう言ったのですけれども、要するに、キャリアパスという単語がある意味いろいろなところでいろいろなふうにもうやられていて、個人的に言うと、僕、一番重要なのはリクルートのほうが重要だと思っていて。要するに、学部生がドクターに行こうと思うときにこういうものが魅力的に見えるような施策。それは各大学がやらなきゃならない仕事なので、そういうものをともかくこの事業の中に組み込んでいっていただいて、どうやったら学生、進学者が増えていくかというものに関係するような施策を、各大学もっといっぱいやるべきことがあると思うのですね。言われたようなキャリアパスのマッチングばっかり一生懸命考えてないで、もっとやることはいっぱいあると思うので、その工夫の部分をぜひ取り上げられるような事業設計にしていただけるとありがたいと思います。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。今御指摘いただいた点は、ボトムアップ型と分野指定型の是非の部分が先ほどから議論いただいているところと、キャリアパスの内容については、博士離れということの解消を狙っていることもあるので、修士から博士、あるいは学部・修士から博士への魅力ある取組も含めたほうがいいのではないかという御指摘でございます。資料4については、御指摘いただいたところで、幅広い分野でICTの人材がむしろ活躍したほうがいいという御指摘かと思います。
私も1点分からなかったのは、緑色と赤とブルーの乖離があるところを資料4の2ページ目では指摘されていると思うのですけれども、緑色の研究者数というのがどのようにカテゴリー分けされたのか。これは恐らく博士後期の学生数ではないだろうなと思っておりますので、このグラフの高さの違いから判断していいかどうかがよく分からないなと、すみません、思ったところはございます。
手がいっぱい挙がっておりますので、順次お願いいたします。まず、塚本委員からお願いします。
【塚本委員】 ありがとうございます。皆さんがすでにおっしゃっている点と同じですが、ボトムアップ型と分野指定型のバランスというのは、文部科学省の視点でどのくらいが適切かについては、主張されたほうがいいと思います。例えばですが、情報分野の博士号を持っているIBMの東京基礎研究所の所長だった人たちが期せずして、三菱マテリアル、花王、そして旭化成のフェローになっています。従いまして、情報系は今まさに必要とされる人材で、多分今すでにいる人材で進めていくべき重要分野だと思います。将来の成長分野も視野に、大学としてバランスをきちんと主張したほうがいいのではないかと思います。
また、先ほど川端委員がおっしゃったキャリアパスの確保の点で、当該大学の研究員ポストや企業等の外部ポストへの接続が要件とあるのですが、これはどういうふうに担保するのでしょうか。現在、コロナで採用人数が減っているなどの事象がある中、なかなかコミットを得るのも難しいところだと想像しまして、制度としてどうなるのか、もしも分かっていたら教えていただければと思います。
以上です。ありがとうございます。
【宮浦主査】 ありがとうございます。2点御指摘いただきました。1点目は、先ほど来議論になっておりますボトムアップ型と分野指定型、バランス、比率をどれぐらいに考えているかという点が第1点目。第2点目は、企業等の外部ポストへの接続が要件という、接続が要件というのは何を求めているのか、具体的な数字かと。その辺り、事務局から御説明ございますか。
【楠目人材政策推進室長】 事務局でございます。ありがとうございます。先生方から御質問いただいた点ですけれども、まずバランスにつきましては、予算要求の際には、ボトムアップ型は25機関程度、分野指定型が30機関程度ということで要求をしております。分野が情報・AI、量子、マテリアル、3つありますので、大体10機関ずつぐらいのイメージで、あとは大学から提案いただくボトムアップ型を25機関ということで見込んでおりますけれども、またそこについては、この後の予算の状況や、実際の大学からの申請の状況を見ながら、全体のバランスをよく見て、運用のほうで配慮してまいりたいと思いますが、現時点のところのバランスとしては、そのぐらいのことを要求の時点では想定していたところでございます。
また、2点目の、今、塚本先生から御質問いただきました接続が要件という少し強めの書き方をしてあるところですけれども、こちらについては、修士から博士に上がるときにやはり一番不安に思っているのが、経済的な支援の部分と修了後のキャリアパスでございますので、大学でその両方の取組をやっていただきたいということで、フェローシップの経済的支援と、キャリアパスの確保に向けて、まず研究力を向上してもらうことに加えて、企業との共同研究や長期インターンシップなどいろいろ企業と連携したプログラム、あるいはそもそもフェローシップを選ぶときから企業の方を入れて審査をするといった取組をしていただくことを考えております。
これまでコンソーシアム事業の前例で、文科省の事業等を使っていただいている大学はあるのですけれども、例えば一例としては、大学と企業とでコンソーシアムを組んでいただいて、その中で優先的にということではないのですけれども、優先枠や推薦枠みたいなものを企業に設けていただくようなことをやっていただいたり、あるいは大学で企業を招いた研究成果の発表会をやっていく中でマッチングを進めていくなど、そういう取組をしてほしいということがございまして、そういうことを通じて、博士課程修了後のポストの接続をやってほしいというのが趣旨でございます。実際には3年後、4年後の取組なので、その間に大学で取組を充実していただいて、中間評価等で実際の状況を評価して改善を図っていただくというようなことを事業としては考えているところでございます。
また、小林先生、高橋先生からもいただきましたように、分野指定型においても、限定しないで、少し幅広く、情報掛ける何々分野というものを含めて採用できるような形で、少し柔軟に幅広く分野を見られるように事務局としては留意していきたいと考えております。
以上でございます。
【宮浦主査】 ありがとうございます。ボトムアップ型と分野指定型の比率は、同じぐらい、あるいは若干分野指定型を多く事務局としては考えておられるというようなニュアンスかと思います。じゃ、分野融合はどうするかとか、いろいろ御意見が出るところかと思いますが。
隅田委員、どうぞ。
【隅田委員】 愛媛大学の隅田です。遅れて失礼いたしました。1点質問がございます。先ほどから出ているボトムアップ型と分野指定型でありますと、学問分野の成熟度合いとかマーケットの大きさとかかなり違う可能性があるのですが、成果の指標評価とか事業評価は同じ指標にされる予定なのか、別の指標を何か用いる予定があるのか質問です。
【楠目人材政策推進室長】 事務局でございます。評価については、今の時点では特段変えることは考えておりませんで、修了後の就職の状況や、博士学生の間に学会に参加した数、あるいはいろいろこのフェローシップを使って学会で発表した数など研究活動が充実した度合いのようなことを大学の計画に基づいてどのぐらい達成されているかということを中間評価で見ていくということを検討しております。またそこはいろいろ本日の先生方の御意見も踏まえて考えていきたいと思いますけれども、変えることは考えていないところです。
また、先ほど申し忘れたのですが、重複で申請いただくことは可能でございますので、ボトムアップ型、分野指定型の各分野、それぞれ併せて出していただいたりする際に、融合領域だったら一番近いところで出していただくというような形も可能にするようには考えているところでございます。
以上でございます。
【宮浦主査】 続きまして、柳沢委員、どうぞ。
【柳沢委員】 ありがとうございます。ずっと話題になっているボトムアップvs分野指定については、私もボトムアップをむしろ多くせよと、そういう意見でございます。皆さんと言っていることは同じです。
それから、1つお聞きしたかったのは、例えば卓越大学院制度とこれとの関係というのは、文科省ではどのように捉えているのでしょうか。相補的に働くものと捉えているのか、むしろお互い排他的なものと捉えているか、その辺りをお聞かせください。
以上です。
【宮浦主査】 事務局、いかがでしょうか。
【根津人材政策課長補佐】 ありがとうございます。卓越大学院事業との関係については、卓越大学院は大学院教育の充実を趣旨に置いた事業だと思いますけれども、卓越大学院事業で大学院教育の内容を実践的なものに変えていただいたことで、こちらのフェローシップ事業にもそういった取組というのはつながっていくものだと考えております。
今度の新規のフェローシップ事業については、博士学生が減っている中で、それが日本の論文数の減少にも寄与しているというデータもございますので、博士学生の数を充実させて、研究力を向上させて、日本の研究力の向上につなげていくということが主眼でございますので、博士課程学生の研究者としての側面に光を当てまして、博士課程学生に必要となる研究費と研究に専念するためのフェローシップの生活費相当額の部分と、それにプラスして、出口のキャリアパスについても取組をしていただくという事業ですので、卓越大学院事業は大学院教育改革に向けたもので、こちらは研究者としての博士課程学生の支援と活動の充実に向けたものなので、相互に補完し合うような関係にあるものではないかと考えているところでございます。
【柳沢委員】 ごめんなさい。そのことを聞いた理由は、恐らく多くの卓越大学院を実施している機関は、卓越大学院の補助金から博士課程後期の学生にそういう一種のフェローシップみたいなものを出しているところが多いと思うのですね。だから、その辺りの関係について捉え方をお聞きしたかったということです。
【根津人材政策課長補佐】 宮浦主査、よろしいでしょうか。
【宮浦主査】 はい、どうぞ。お願いします。
【根津人材政策課長補佐】 ありがとうございます。卓越大学院事業は、期間の限りもあるものだと思いますので、だんだん実装化していくような形になると思いますけれども、今度の新規事業については、3分の2の補助率を入れているものでございますので、3分の1については、大学で財源をどこからか確保していただくことになりますが、その際にほかの事業で措置されているものを組み合わせていただいても構いませんし、そういった形で卓越大学院事業と補完し合って活用していただくことも可能なものだと考えております。よろしいでしょうか。
【宮浦主査】 ありがとうございます。今の点は非常に重要なところで、ほかの人材育成事業、卓越大学院ほかも含めまして、補完的というか協力的に進めればよいという御回答であったと思います。
八木委員、手が挙がっております。
【八木委員】 ちょっと違う観点なのですが、先ほどからあるボトムアップとか分野指定、これって本当言うと、各大学の強み、また、学生の分野等に合わせて本当は大学が戦略的にいろいろできたらいいので、ボトムアップだけでいいのではないかなという気はするのですが、分野指定で出されているような、なぜこの分野指定をしてきたかという情報をちゃんときっちりと大学に提供し、大学が戦略をつくれるようなのが僕はいいかなと思います。
それはそれとして、1点すごく気になったのが、いつも何かこういう助成があると、おおむね月額20万ぐらいを博士が生活していくためのお金のような感じでいろいろな議論が行われていると思うのですね。それって考えてみると、今の時代ですと、例えば修士卒だと年俸でいうと大体400万ぐらいは普通にはもらえる話で、そう考えると、極めて貧乏な生活をしないといけないということになろうかと思うのですね。それに3分の2助成します、大学に対して助成しますというのは、これはある意味、年間200万ちょい、二百二、三十万ぐらいでいいのですよということを暗示しているような書き方だなと思って見ていました。
何かどこかの議論の中で、やっぱり本当にドクターに行かせたいインセンティブを与えるのであれば、ドクターに行っても経済的なデメリットが起きないような仕組みを意識してこういう値段設定をしていったほうがいいのではないかなという気がいたします。そうしないと、なかなか科学をしたいという気持ちだけでドクターに進む時代ではないような気がいたします。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。180万円の少なさという御意見かと思います。魅力的になかなか映らないのではないかという御意見かと思います。
一通り御意見伺います。宮田委員、どうぞ。
【宮田委員】 資料4のところで皆さんのやっている議論と全く同じなのですけれども、このやり方だと絶対遅れるのですよね。ライフサイエンスでひどい目に遭った状況をまた分野指定によって再現してしまう可能性があるので、国家としてはしょうがない面もあるのですけれども、先ほどの阪大の八木さんの議論でもあるのですけれども、この中の人材というものの定義が何か複雑になっていて、1つは企業がすぐ使いたい技術者の養成みたいな話と、本当の意味での創造的な科学者の養成という話とどうも2つがごちゃごちゃに混ざっているような雰囲気があって、そこら辺をもう少し明確にしていただきたい。
それと、今回の宿題ではございませんが、どうしても国税を使って人材を育成すると、需給ギャップが必ず出てしまうのではないかと。国の意思決定でまず2年ぐらい遅れ、大学がそれじゃやりましょうといって人材が出てくるのはあと3年後だから5年ぐらい遅れてしまうのですよね。前から申し上げていますけれども、イノベーションのスピードがすごく上がっているので、このやり方一辺倒だと、いつも若い人材が需給ギャップに遭って苦労してしまうのではないかということを心配しています。ですから、国の予算だけじゃなくて、企業のほうの予算、あるいはベンチャー企業を巻き込むような形でオンザジョブで大学と一緒に共同研究しながら人材を養成するようなプログラムも、今年はいいですから、来年の予算要求でぜひ検討していただきたい。本質的な大きな問題が国税でやる限りあるのではないかと実は思っています。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。
川端委員、手が挙がっていますでしょうか。お願いします。
【川端委員】 さっきのこれを企画されている文科省の方々の話を聴いて、やっぱりゴールは博士の数を増やすことなのですよね。さっき言われた話って、もう10年前からやっている話の同じことを言っている。それの一部が結局、こういう資金、彼らの生活費をどうにかすればドクターは増えるのだという論理なのです。
でも、いろいろな方御存じのように、リーディングでも卓越でもそうですけれども、生活費を置いたからといってドクターに進学するかというと、それは別問題の話が起こっていて、もっと違う観点がどうしても必要なのだぞということをもっと何か主張していいような気がするのですね。これだけで解決する、それからもう一つ、キャリアパスがありさえすれば解決するという、そんな単純なものじゃないというのがここ10年かけて分かったことなのではないかなと私はそう思っていて。
だから、民間へのドクターの就職者数といえば、ほとんど変わっていないのですね。微増したぐらいで。あんなにいっぱいいろいろな事業をやったのに、微増しているという。そういうようなことから考えても、もう一声これに足すものがあるのではないか、メッセージとして各機関に向かって足すものがあるのではないかなという、そういう気がしているというのがさっきからの話です。
本事業において共同研究参画やキャリアパスマッチングが非常にしっかりしたものをつくってくださいといったら、卓越大学院を取ったところは、そのシステムをすでに作っているのですでにオーケーなのですよ。リーディングを取ったところも。それらの機関が、この事業費を持っていけば、博士の人数はこの事業費によっては増えないのです、結局。その機関のある一部分の分野だけでシステムが回るだけなので。だから、今やるべきことは、それらの事業費で構築された領域や機関以外を掘り返すこと、全国的に掘り返すことという、そういうような観点でぜひ御検討いただけるとありがたいと。何かほかの省庁でも同じこと言っているのですけれども、なかなか形にならないからここで言いました。すみません。
【宮浦主査】 ありがとうございます。これで解決するかという本質的な御意見もいただいたところでございます。
横山委員、手が挙がっていますか。
【横山委員】 横山です。皆さんのこれまでのお話に非常に賛同するのですが、分野指定型のほうに人社が入っていないような表現ぶりになっているのが気になりまして、ぜひ人社も入れていただくとよろしいのではないかなと拝見しております。
私自身、卓越大学院でAI、量子の分野の担当教員もやっておるのですが、人社研究者として入っておりまして、主にAI倫理・ゲノム編集倫理など先端技術の倫理を扱っております。学生や若い研究者が、NHKが報じたAI美空ひばりがどういうふうに社会に響いたのか、どのような問題があるのかというのを研究しておりまして、その分野は非常に盛り上がっております。特に科学技術基本法が変わってまだ間もない時期でありますので、意識的に人社をバランスよく配置していただくとよろしいのではないかなというふうに思っております。
あと、こうした事業においてもジェンダー関係も常に気をつけていただきたいと思っております。ダイバーシティ特性対応型については、昨年度、皆様の御努力で、閣議決定で新しい予算をつけていただきまして、本当にありがたく心強く思っておるのです。私のおりますKavli IPMU、東京大学では、今、人事採用のときにIATを人事採用教員に受けさせることにしております。昨年度からそのようにしておりまして、採用を担当する教員自身が自分の持っているバイアスにまず気づいて、注意して推薦書を読んだり、面接をしましょうということを心がけております。
特にAI、量子は非常に女性も少ない環境で、優秀な女性たちがさらに能力を伸ばせるように、ジェンダーバランスなども注意しながら進めていただければと思った次第です。人社とジェンダーのことです。ありがとうございます。
【宮浦主査】 ありがとうございます。人社系とのまさに融合研究の重要性ということかと思います。もう一つは、多様性やジェンダーへの配慮をしっかり盛り込んでほしいという御意見かと思います。
柳沢委員、手挙がりましたか。
【柳沢委員】 よろしいですか。
【宮浦主査】 はい、どうぞ。
【柳沢委員】 今、川端委員がおっしゃったことに追加なのですけれども、私、すごく単純なことだと思っていて。前にも何かの機会に同じことを申し上げたかもしれないのですけれども、例えばアメリカでは、PhDの学生というのはかなりの給料取るのが当たり前なのですね。私はライフサイエンス系の分野しか詳しくは知らないですけれども、給料を出さない大学はまず皆無なのです。いろいろなフェローシップを取ってくる子は取ってきますけれども、取ってこなくても、多くの場合は指導教員が自分の研究費から給料を出さないとPhDの学生を採れないという、教員から、PIから見ればそういうふうになっているのが当たり前なのですね。
だから、日本で博士課程の学生が増えないというのはある意味当たり前であって、要するに、博士課程の大学院生というのはもう一種の就職先なのだという概念に変えていかないと絶対増えないですね。まだ教育を受けている身分なのだ、学生なのだという考え方から脱却しないと駄目で。そういう意味では、今回のこのフェローシップは重要な一歩だと思うのですけれども、この数字が示すように、全然足りないですよね。1,000人/年で5年で5,000人になったとしても、まだ全員に行かないわけで、まして母数を増やしたいと思っているのだったら、数倍・10倍に増やさないと話にならないというのが私の率直な意見です。本当に、先進国の中で博士課程の学生が給料を取るのが当たり前でないのは日本ぐらいだと思います。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。おっしゃるとおりでございまして、根本的課題が解決されていないので、これでどれぐらい解決するだろうという御指摘で、なかなか難しい部分がございます。
御発言はどなたですか。
【八木委員】 八木です。
【宮浦主査】 どうぞ。
【八木委員】 今の柳沢委員のお話は、まさに私、さっき申し上げたのはそういうことで、生活支援じゃ駄目だと思うのですね。やはりこれは1つの給料で、そこでちゃんと自活できて生活ができるということは、家族も持てて、社会の中で生きていけるということだと思うのです。そういう位置づけでドクターを位置づけるというような改革を今後考えていかないと、やっぱりドクターを一気に増やしていくということは多分できないと私も思います。なので、先ほどのような発言をさせてもらいました。
【宮浦主査】 ありがとうございます。生活支援では解決できないという根本的な議論となっております。なかなかエンドレスに続きそうなのですけれども、1つこの新規事業について、一応いただいた御意見を少しまとめさせていただきますと、ボトムアップ型と分野指定型に分けるやり方が、先ほど宮田委員からお話ありましたように、我が国の非常に重要な分野を牽引するというやり方で後れを取る要因になってしまう可能性があるというのは非常に重要なところかと思います。
ボトムアップ型という単語が良いかどうかはさておき、分野融合やデジタル化含めた、情報と他分野の融合的研究の重要性というのを皆様御指摘されたと思っております。分野指定型になると指定ですので、情報のみとかAIのみとかそういうニュアンスが非常に強くなってしまいますので、メッセージとしてはどうなのかなということで、分野融合型の重要性が伝わるような、実際動かすときには工夫が必要かなと思った次第でございます。多くの委員が、ボトムアップ型を多くすべきではないかという御意見をいただいたと思います。
その辺りの各委員の御意見も含めまして、事務方のほうで今後具体的に動く方向の策定で、引き続き御意見もいただきながらお考えいただけるとありがたいと思っております。
【楠目人材政策推進室長】 宮浦先生、事務局からよろしいでしょうか。
【宮浦主査】 どうぞ。
【楠目人材政策推進室長】 宮浦先生、ありがとうございました。また、委員の皆様方からいただいた御意見、宮浦先生におまとめいただいたとおり、少しまた反映できるように事業の設計をしていきたいと思っております。
幾つかお答えできていなかった質問のところ、若干補足をさせていただいてもよろしいでしょうか。
【宮浦主査】 お願いします。
【楠目人材政策推進室長】
冒頭より川端先生からおっしゃっていただいていた、博士学生のリクルートにより大学が活用できるようにというところですが、我々としても意識をよくしていきたいと思います。今相談している各大学においても、この事業を活用することで、フェローシップの審査や内定の時期を大学で早めることや、修士の学生に対しての周知をする過程で、よりアカデミアへのリクルートにも活用すること等を御検討いただいているところでございますので、そういったことも充実していくように引き続き検討していきたいと思っております。
また、八木先生、柳沢先生からもいただいた、180万円だと少し足りないというところがございましたけれども、この180万円については、国の科学技術基本計画で、目標が180万円以上受給できる学生をというところがあるので180万円以上としておりますけれども、それで十分ということではなくて、大学でもちろんもう少し出したいというときには、180万円を超えるものを設定した場合でも3分の2出せるようにしたいと思いますし、もちろん予算の限りがあるので、上限は定めることになると思いますけれども、必ずしも180万円でいいというメッセージにならないように、そこは留意をしていきたいと思います。
それから、宮田先生から、人材について少しぼんやりしている部分があるのではないかということで、確かに科学技術イノベーション創出に向けてというところではくくっているのですが、その他のところはボトムアップと分野指定の両方があるなど少し曖昧な部分はあるのですけれども、こちらについては、各大学の戦略に応じてぜひ活用いただきたいというところもありますので、少し幅を広めに人材を読めるようになっているところが少しそういう印象を与えてしまうところがあるのかと思いますけれども、そこは引き続き留意をしてやっていきたいと思いますので、引き続き御指導いただければと思います。
また、横山先生からいただいた分野指定の件ですけれども、政府の戦略を基本にはしていきたいということは考えているところですけれども、御指摘いただいたように、人文・社会と情報・AIの融合などそういったものも当然入ってくるものだと思っておりますし、宮浦先生からおっしゃっていただいたように、分野指定ということであまり狭いという印象を与えないように、もう少し幅広いものだということが分かるように、よく運用の際には気をつけていきたいと思っております。
また、ジェンダーについてのところも、よく意識して審査をやっていきたいと思いますし、こちらの事業は3分の2補助になるのですけれども、来年度のダイバーシティ事業で、女性枠をこのフェローシップで設けていただく場合に、大学負担の3分の1の部分にも充てられるような新しい型も入れておりますので、そうしたものも活用いただいて、より女性の学生の進学を誘引するような取組についてもぜひ活用いただけるようにしていきたいと思っております。
最後に、柳沢先生と八木先生からの、これだけだと足りないということは確かにそうだと思うのですけれども、これ以外にも、特別研究員事業や、RAの充実など、そういった全体の事業の中で、今後、博士学生への支援を充実していきたいと思っておりますので、引き続き御指導いただければと思っております。
以上でございます。
【宮浦主査】 ありがとうございます。新規事業は非常にメッセージになりますので、かなり気をつけて動かさないといろいろな御意見が出るところだと思いますので、さらに今後も具体的なところで工夫、御検討いただいて、委員の皆様にも引き続き御意見を個別でもいただいていければいいかなと思っているところです。
ほかの事業について特に御意見なかったのですけれども、何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、時間も超過しておりますので、SSHのほうに移らせていただきたいと思います。議題4、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の今後の方向性についてでございます。まず御報告をいただいております事務局から、かいつまんでお話、御説明をお願いいたします。
【伊藤次世代人材育成係長】 ありがとうございます。人材政策課の伊藤と申します。今、議題4のところで資料5-1と5-2がございますけれども、今回SSHの支援事業の今後の方向性等に関しまして、隅田先生にも御参画いただきまして有識者会議で議論いただきまして、このたび、現状までの議論について論点整理として昨日公表させていただきましたので、その件について御報告させていただきたいと思っております。資料5-2のほうが本体ではあるのですけれども、今回説明には資料5-1のほうを概要としてつけさせていただいておりますので、こちらを用いまして御説明させていただきたいと思っております。
資料5-1でございますけれども、1ページ目です。まず、ちょっと順番が前後してしまうのですが、今回の第二次報告書に向けた論点整理の検討の背景から御説明させていただきます。1ページ目真ん中のところですけれども、検討の背景といたしまして、昨年度、予算執行調査をSSHが受けまして、そこで様々な指摘を受けたところでございます。例えば平成14年からSSHはやっているのですけれども、長きにわたってやっているところ、なかなか有効な評価方法がまだ確立されていないのではないか、あるいは明確な評価基準が文科省から示されていないのではないか、そういった御指摘や、あるいは、長年指定されている学校も出てきている中で、自走化というところも見据えていくべきではないかというような御指摘を受けたところでございます。
また、一方で、SSHの管理機関や指定校のほうからも国のほうに、他校との交流機会や取組充実のための情報提供、あるいは自走化のための制度の創設、そういったところで国や管理機関の支援をしっかり充実してほしいという声も出てきたところでございますので、こういったことも踏まえまして、これから事業成果をさらに上げていくために、事業の目指すべき方向性や国の支援の在り方、取り組むべき方策について検討を進めているところでございます。
右上のほうに行っていただきまして、これまでSSH事業が上げてきた成果を整理させていただいております。丸1 として、優れた科学技術人材の輩出ということで、事業開始当初の卒業生も、年齢の高い方だと今、30代になられているのですけれども、准教授クラスの方も出てきておりまして、そういった形で人材も輩出しておるところでございます。また、成果の丸2 のところでございますけれども、高等学校の理数系教育の教育課程の改善というところで、学習指導要領の改訂のところで、SSHで取り組まれている課題研究などの探究的な活動がしっかりと理数探究基礎、理数探究という形で学習指導要領にもこのたび反映されたところでございます。そのほかにも、生徒の意欲・関心の向上、あるいは理系進学率に与えた影響等、SSHがこれまで成果を上げてきているところでございます。
そういったことも踏まえまして、これから今後の方向性を検討するに当たって、一番下の事業の趣旨・目的の再確認というところでございます。これからの趣旨・目的というところで、Society5.0が今到来しているところ、また、コロナという状況の中で、我が国がこれからも持続的に発展していくためには、科学技術イノベーションを起こしていくことが不可欠であり、そういった人材育成を行う必要がある。また、STEAM教育を推進していく上でも、SSH指定校が今まさに行っている課題研究の充実が求められているというところで、SSH事業は引き続き、将来国際的に活躍し得る科学技術人材の育成を目的として掲げ、国として科学技術人材としての資質・能力を育成するシステム開発を推進する必要があるというふうに整理いただいております。
続きまして、具体的な目指すべき方向性や今後取り組むべき内容については、2ページ目にございます。2ページ目に移っていただきまして、まず事業の目指すべき方向性というところでございます。国あるいは教育委員会、SSH指定校の間でしっかりと指定期数ごとに目指す姿を共有することが課題となっておりました。SSH事業は今まで20年近くやっていたところでございまして、指定を長きにわたって受けている学校もあれば、指定期数がまだ始まったばかりだという学校もある中で、取組が多様化しているところでございましたので、一度、指定期数ごとの目指すべき姿を具体化して、これを関係者間で共有することとされております。
具体的には、3ページ目の別紙1でございますけれども、このような形で整理いただいております。例えばまだ始まったばかりの学校が、下のほうに1期、2期と書いてありますけれども、これは、1期5年間ですので、例えば初めて指定を受けた学校とか、あるいは2回目の指定を受けた学校などは、まずはしっかりとSSHとしての体制を組んでいただいたり、安定的なSSHの推進体制を組んでいただく。それから、3期、4期と指定を受けてくる学校については、さらに自校の特色を発展させていただいたり、深めていただくというようなフェーズで取り組んでいただくというところでございます。そして、さらに5期目に入ってきますと、より一段と高い、国のシステム改革を先導するような取組を行う学校を指定して、こういった学校に先導的にSSH事業を引っ張っていただくというようなことを考えております。
一方で、また後ほど説明しますけれども、期数を重ねていくごとに当然より高い取組が求められていくのですけれども、より高いところというよりは、今までの取組を継続したいという学校についても、しっかり自立を図って自走化のモデル校として展開していただくということを考えているところでございます。
2ページ目に戻っていただきまして、ローマ数字の3の今後の国による支援の在り方というところでございます。幾つか見出しに分けて整理をさせていただいております。1つ目として、事業全体の成果の把握・検証というところで、成果の客観的検証の強化とか、あるいは国からSSH指定校に対する情報提供の充実・強化が必要ではないかというところで、例えばですけれども、右のほうに、成果の把握として、卒業生の活躍事例を収集する仕組みを整備したり、あるいは国としてもしっかり卒業生の活躍実績を収集して発信していくといったことが必要ではないか、また、SSH指定校がモデルとできるような実践事例集を作成するべきではないかというような指摘をいただいております。
それから、2つ目の認定制度の創設というところでございます。指定終了後もSSHの活動を継続可能にする仕組みが必要ではないか、また、これまでの成果をそういった学校も普及・展開していくことが必要ではないかということで、右のほうに、認定制度を創設するということを書いております。
この認定制度につきましては、資料の4ページ目の別紙2にございます。先ほども自走化が求められているということを述べましたけれども、一方では学校のほうからも、スーパーサイエンスハイスクールとしての指定が切れてしまうと、教育課程の特例が使えなくなったりすることで今までの取組が継続できなくなるというような声も伺っておりましたので、SSHの指定が切れた後でも、しっかりと今までせっかく培ってきたノウハウあるいは取組を継続していただくために、新たな認定枠という制度を設けまして、そういった学校が地域の拠点校としてこれまでの取組を継続していただける制度を考えているところでございます。
認定枠とはどういう取組をするのかというのが、オレンジ色の部分に書いております。教育課程の特例への申請が可能となったり、あるいはやはりそういった学校も取組を継続していく上で、ほかのSSH指定校との交流や研鑽の機会は非常に大事になってくるというお声も伺っておりますので、全国の生徒研究発表会とか、先生同士の情報交換会、研修会への参加も可能として、そういったところに対する旅費の支援などを可能にすることを現在検討しているところでございます。こうして今までの取組をしっかり継続して頑張っていただく認定枠と、それから、さらに一段と高い研究開発をどんどん推進していく事業枠がしっかり連携し合って相互に関連し合うことで、事業成果をさらに高めていきたいというふうに考えているところでございます。
2ページ目に戻っていただきまして、3つ目の長期指定校への支援というところです。認定制度というところで自走化に取り組んでいただく一方で、これからもさらに一段と高い開発を進めていく学校もしっかり支援していく必要があるということで整理いただいております。
また、4つ目の経費支援の在り方ですけれども、これは予算執行調査でも指摘を受けたところであるのですけれども、例えば海外研修ですと、多額の予算を使っていながら、なかなか海外研修に参加する生徒が少なかったり、あるいは学校内で還元がなされていなかったりすることで、あまりコストパフォーマンスがよくないのではないか、あるいは、備品・消耗品などについても、例えば高額の実験機器などを一度買ったのだけれどもしばらく使っていないなど、そういった例が見受けられましたので、そういったところについてしっかり効率的に効果的に経費を使っていただけるように整理をいただいております。
また、5つ目の自走化に向けた支援というところですけれども、認定制度も含めてですけれども、例えば外部資金の獲得や活用についてノウハウを共有させていただいたり、あるいは近隣の大学等の最先端の設備を共用させていただいたり、借用させていただいたりするということを促進することで、自走化した後でも継続的に取り組めるような体制にしていきたいということで書いていただいております。
ローマ数字の4でございますけれども、そういった目指すべき方向性の実現に向けて取り組むべき方策として2つ挙げていただいております。成果の普及・啓発や情報共有というところが1つ目にございますけれども、例えばですが、地理的・時間的な制約を超えた他校との交流の充実・強化ということが必要だというところで、今後、オンライン等を活用することで学校間のネットワークをさらに強化していくことが必要であると書いていただいております。
また、2つ目ですけれども、これは、予算執行調査でも指摘を受けたところでございますが、SSH事業について有効な評価方法を確立するべきであるというところです。それに当たって、指定校に対して、評価の指針や参考事例など情報提供の充実や強化が必要ではないかというところで、国からこれを評価すればいいなどそういったことを言うのではなくて、今までもしっかりとSSHに対しては採択時にも審査を行っていたり、あるいは中間評価において、指定の途中でしっかり取組が進んでいるかどうか評価をしていたりするのですけれども、どういった評価があって、そこでどういった考え方で評価がなされているのか、また、各学校が自校の取組を評価する際にどういったことに気をつければいいのかというようなことを体系的に整理してお示しするような指針となるような評価ガイドラインを策定するべきではないかということでまとめていただいております。
ここまでが論点整理の中身でして、今後については、ローマ数字の5にございますけれども、SSHにおける研究倫理の在り方や、SSHそのものの今後の展開について検討していくことを考えております。こうしたことも含めながら、年度内をめどに第二次報告書を取りまとめて公表する予定としております。
説明は以上になります。ありがとうございました。
【宮浦主査】 ありがとうございます。SSHの現状と今後について御説明をいただきました。SSHについては、非常に実績のある継続性のある事業でございます。今後に向けて、実績の高いところには順次認定枠というようなことも含めて発展的に進めていくという御報告内容だったと存じます。
ただいまの御説明、SSHに関連いたしまして、御質問、御意見いかがでしょうか。狩野委員、どうぞ。
【狩野委員】 ありがとうございます。先ほどあった、内発的動機づけとか自己肯定感をキーワードに意見を申し上げます。我が国では、ほかの人が期待していることをやるという動機づけはたくさんありますが、その一方で、さっき申し上げたように、ボトムアップといいますか、内発的な動機づけが本当はもっと強いほうがいいかなと思うときが、特に社会を変えていったり、あるいは科学を発展させていったり、という意味では必要かと思うことは少なくありません。
例えば先ほど議論にあったような、制度と資金配分ができる国の制度で、そのほかの動機づけも、例えば物事を変えていくには必要だと思うわけです。けれども、そのときに、ほかの人と違っても試してみるという行動規範がある人がもう少し増えないと、例えば現状では就職が難しそうに見えてしまっている博士課程に敢えて行く人は増えないかもしれない、という気持ちもするところです。
もう一つは、しかしながら、予算の支出元では、そうは言いながら支出を決めるにあたって合意形成が必要なわけです。この合意形成に、先ほどお話がありました評価指標が必要だということになると思うのですけれども、この合意形成のプロセスでも、ほかの人と違っても自分は見どころを感じるからこれを支援する、というかたにももうちょっと入っていただかないと、物事が変わる方向に合意形成がなされないというところも思うわけです。
それで、取りあえず評価指標のところに話を持っていくと、では、このSSHはその意味では、内発的動機づけとか自己肯定感を高めることにつながっているのかと、そういう評価指標はどうだろうということを、今申し上げたような背景から、御提案してみようと思った次第です。
ここに関係して、1つに、OECD PISAの教育評価というのがあります。2018年の結果を拝見すると、あまり日本が点数が高くなかったと出ているものには、自分ではどう対処するか根拠を示して説明するという、そういう問いに対する答えが残念ながらあまり高くなかったそうです。これと、今申し上げた自己肯定感とか、それから、自分を主語にしたらどうできるかとか、内発的動機づけというところの余地があるなということを感じるわけです。
とある女子校でSSH事業に3年ぐらい前に採択されたところに関わらせていただいているのですが、採択以来、どんなことが変わったと思いますかと聞いてみました。生徒たちがSSH事業を通じて自らの発想に基づいた試みの成功体験を積み、自己肯定感が上がったという調査結果が出ました、ということを教えていただきました。
このように、内発的動機づけや自己肯定感を上げて、独自性のあるものを作っていくということをこのSSHを通じて実現できると、ほかの人と違うような、例えば日本でしかできないような科学成果を上げるのにつながるということももっと出てくるのではないかなということを思う次第です。以上合わせまして、内発的動機付け、あるいは自己肯定感を高めるというような指標でSSH事業の成果を測るのはどうだろうかと思いますし、それを1つの軸としてこの事業を今後進めていくのはいかがかなということを思いまして、御提案を申し上げます。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。今、評価指標関連ですけれども、御担当の事務方から何か御説明あるいはコメントございますか。
【伊藤次世代人材育成係長】 ありがとうございます。この説明させていただいた評価ガイドラインにつきましては、これから検討するところでございますけれども、先ほどの内発的動機とか自己肯定感というところにつきましてPISAの調査の御紹介をいただいたのですが、今やっている最中ではあるのですけれども、我々のほうでもPISAを活用しまして、科学的リテラシーに関する調査問題とか、あるいは質問紙調査を指定校に対して行っているところでございます。そういった自己肯定感というところも含めて、どういった評価指標が適切なのかというところも今後検討していきたいと考えておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
【宮浦主査】 ありがとうございます。川端委員、手が挙がっております。どうぞ。
【川端委員】 ありがとうございます。川端です。私ちょっと理解が及んでいないのかもしれないので、ぜひ教えていただきたいところが何点かあって。
1つは、18歳人口が下がっていくという中で、高校はサバイバルゲームが――ゲームと言ったら怒られる、大学も一緒ですけれども、そういう状況に陥っていて、こういうものを取ること自体が死活問題的な動き方をするのではないかなという、そういう気がしています。そういう中にあって、このSSH自体、取れたらいい、うまくいくというか、すごい大変なことを、教員の方々がふだんの何十倍も働かれている教員の方が多分核になってこれやられるという話もお聞きしていて。そうなったときに、要するに、切れた後、たまたまうまくいってがんと走ったのだけど、それが切れた後、じゃ、自分の外部資金でどうにかといったときに、高校で外部資金なんて、とても1,000万なんていうお金がそんな簡単に手に入るわけもなく、そういう中で、今こういう中で取れたところ、その後切れた後、要するに、継続がうまくいかなかったときに、どういうふうに外部資金を取られているのかという話の情報がもし得られたら。
さっきから何が言いたかったかというと、要するに、高校というもの自体の組織としてこういうものを取ることを至上命題的に動き始めたときに、高校自体がうまくバランスが取れて発展するのかどうか。なぜこういうことを言っているかというと、裏返すと、地域の中小企業に産学連携の例えば10億円のお金を持ってきた場合には、中小企業群はそれのマッチングファンドがどうのこうのといった段階ですぐに壊れてしまうのですね。地域ごと壊れていくという、そんなことすら起こりかねない状態。そういう中と同じようなことが高校の中にもひょっとすると、これを至上命題的に何千万か1,000万か何かのお金が入って、企画をして、人を置いてと、こういうことをやったときに、それが継続がずっとされていればいいのですけれども、時々切れたり、入替えが起こったりと、こうやったときに、その高校はその後どうなるのかという。そこについてうまくいった例とうまくいかなかった例がもしあるのであれば、その辺もちょっと教えていただければと思います。
【宮浦主査】 ありがとうございます。継続性を可能とする資金的な問題、事例がございましたら、事務方からお願いいたします。
【伊藤次世代人材育成係長】 ありがとうございます。御指摘のところですけれども、我々のほうでもSSH指定校に、過去指定を受けていた学校も含めて少し話を聴いたりしたことがあります。学校によってやはり様々な部分はあるのですが、例えばうまくいっている学校では、外部資金、例えば民間の助成団体とか財団から資金を受けて、そちらに申請してそちらからお金をもらうことでお金の面をやり繰りしている学校もあります。それから、教育委員会がうまく先生を回したり、近隣にまた別のSSH指定校があるという場合に、そことうまく連携しながら事業を継続してやっているような学校もあります。
一方で、指定が切れた後は、教育課程の特例が切れるというところもあるのですけれども、取組がなかなか継続できていないという学校もあるようには聞いておりますので、今回この論点整理でも示させていただいておりますけれども、認定制度という枠組みをつくって、制度上の問題をクリアするとともに、そういった外部資金をうまく使って継続している学校もありますので、そういったノウハウを提供したり、一方で、今後さらに高い取組をやっていきたいという意欲的かつ挑戦的な学校には、引き続きしっかりと支援を継続していくと。こういったことでやっていきたいと考えております。
【宮浦主査】 ありがとうございます。それぞれの地域で、大学も含めてサポートしていくような体制が必要ではないかと思います。
塚本委員、手が挙がっております。どうぞ。
【塚本委員】 ありがとうございます。資料5-2を読ませていただきました。どうもありがとうございました。地域の企業との連携という文言がなかったように思うのですが、ネットワーク形成のときに近隣企業も入れておいていただけるとよいかと思いました。社会貢献活動として、1社から数百万の単位は難しいとしても、20万、30万などであれば、コミュニティ活動として協賛可能ではないかと考えます。多くの企業からの協力を集めればそれなりの金額になると思うので、サポートになるのではないかと思いました。
ささやかな例ですが、私どももリケジョ育成の賞をやっておりまして、40歳までの研究者という一般部門と、高校生からの学生部門を設置しております。学生部門の今年の最優秀賞は、兵庫県の今年からSSHの認定を受けた高校の2年生の女子生徒が取得されました。先生も生徒も非常にSSHというブランドを得たことで元気になっていまして、改めてすごい力があるなと思いました。
また、今回最優秀賞を取ったSSHの高校と出会うことによって、これからはもっとSSHと一緒に何かをするということも考えようというふうに、社内の流れになりました。近所の企業との連携というのは1つの取り組みとしてあり得るのではないかと感じましたので、御参考までに意見を述べさせていただきます。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。各企業様が地域で高校と連携されたりとか、活動があると思うのですけれども、それをSSHとの連携ということも含めて推進していただくと、継続性という部分でも非常にいいのではないかという貴重な御意見です。ありがとうございます。
そのほか御意見ございますでしょうか。それでは……、手挙がりました。宮田委員。
【宮田委員】 発言をさせていただきたいのですけれども、この自立、文科省のよくないところなのですけれども、要するに、自立させて次の高校をSSHに入れて、いわゆる均てん化を図ろうというのが本当に正しいのかというのが実は私、心から思っておってですね。SSHって本当にエリートでいいのではないかと思っていて、そうなると、そのSSHの高校は少なくとも、競争があって脱落する高校があってもいいのですけれども、最終的に卒業があるということを前提にしないほうがいいのではないかと思って。地域で一番のSSHが常に優秀な生徒をどんどん集めていって、科学者の卵たちを生み出すというような循環をつくったほうがいいのではないかと思っていてですね。
何かもう同じような金太郎あめみたいな高校をつくろうというプロジェクトじゃなかったはずなのに、なぜか何年かたってくると金太郎あめ化するというのが我が国の一番いけないところでありまして、そこら辺の議論はしっかりやっておいていただきたいというふうに思っています。僕は卒業しなくてもいいのではないかと。あるいは、自立。自立は違う。SSHのプログラムから外すという意味で自立と書いてあるので、そうではなくて、国は常に地域の一番いい高校を支援し続けるべきだと私は思っています。すみません、私の意見と物の見方というのはこうじゃないかと。均てん化は、実はこのSSHの本来の哲学に反するのではないかと思っておりますので、ちょっと事務局から反論をいただきたいと思います。
【宮浦主査】 事務局、御意見ございますでしょうか。
【伊藤次世代人材育成係長】 宮田先生、ありがとうございます。御指摘のまず1点目のところの金太郎あめ化するという話なのですけれども、今まで長期で指定を継続されてきまして、さらに意欲的にどんどん開発を進めていきたいという学校につきましては、引き続き採択をしまして、支援をしていきたいと考えております。
また、自立というところも、SSHから外すということではなくて、4ページ目にありますように認定制度をつくって、しっかりSSHのコミュニティの中に入っていただいて取組を継続していただくというようなことを考えているところでございますので、また御意見賜われればと思っております。
【宮田委員】 自立という言葉が妥当ではないということですね、そうすると。
【伊藤次世代人材育成係長】 そうですね。単純に自立というと、外れるというところではなくてですね。
【宮田委員】 いや、だから、それは文科省がお金を出さないという響きがあるので、違う言葉を考えていただきたい。
【伊藤次世代人材育成係長】 承知いたしました。御意見参考にさせていただきます。
【宮田委員】 要するに、資金源の多様化とかいろいろな言葉があると思うのですけれども、自立すると何か文科省が見放すみたいなニュアンスがあるので、そこはぜひ御検討いただきたいというふうに。
【宮浦主査】 継続性について、少し文言の工夫をしていただいたほうがよりいいのではないかという御意見かと思います。
お二人手が挙がっております。簡潔にお願いいたします。最初に隅田委員からお願いします。
【隅田委員】 すみません、私、これ、有識者会議で20回やっていまして、事務局からの説明の補足も兼ねてなのですが、さっきの宮田委員のこと、継続性のお金のことは、工夫しているところはありました。同窓会からお金を集めたりとか、ふるさと納税の寄付金をうまく使うシステムとか。でも、それ以上に、やはり人口が減ってきた中で、学校としてとかではなくて、日本としてやっぱり質の高い教育を科学技術やらなくちゃいけないという点で、国として十分なてこ入れをもっとしてもいいのではないかというようなところだと思います。
今までの実績がある分、成果がすごく整理されていて、国際オリンピックのようなこととか学会で受賞とかそういうところもあれば、学習指導要領に反映された、一般の学校に広く行くようなレベル、フォーマルなところにもかなり影響を与えているということ、それと、217校今あるわけですが、重点枠をつくって、高大接続、広域、海外、社会共創的な実装的なもので少し方向性をつけて展開するとか、あるいは今回資料で出てきているところで、指定の継続期間に応じて少し整理することで、縦と横の整理をしながら展開を複層化しようというような工夫もされていると思います。あと、認定制度があることで、その多様性、継続性、波及性を加速させるような可能性も期待できると。
あと、ヒアリングを非常に丁寧にしていて、今ある学校の実践事例集を作ろうとしているということも書かれていますし、評価ガイドラインを作ろうとしているのも、これはすごく、いわゆる科学技術の博士人材育成にも参考になるようなものになるのではないかと思います。
あと、コロナ禍があったことで、オンラインの学習をすごく進めることも出ていまして、これも期待できるのではないかと思っています。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。隅田委員は具体的に関わっておられますので、引き続きよろしくお願いいたします。
柳沢委員、お願いします。
【柳沢委員】 宮田さんが言われたことを補強したいのですけれども、本当にこれ、やっぱりブランドづくりだと思うのですね、基本的に。ブランドってやっぱり20年、30年、50年かけて出来ていくものなので、やはりローテーションするというよりも、真面目にやっていれば、基本的にリニューできると。リニューするときは当然厳しく審査をして、駄目なところは落とすべきだと思いますけれども、真面目にやっているところに関しては、基本的にリニューするという姿勢。
別紙1、資料5-1の3ページ目ですか、やっぱり3期目になるときは、これを見ると、原則として続けないと読めるわけで、そこは私はやっぱり宮田さんの意見に大賛成で、原則として続けるというスタンスでやるべきで、いろいろなところにどんどん広げていくよりも、上手にやっている、一生懸命やっているところを20年、30年、40年支援するほうが僕は大事だと思います。
手前みそで申し訳ないですけれども、WPIなんかもまさにそうなのですね。どんどん数ばっかり増やして、結局ほとんどのところは10年で終わっているわけで、10年じゃ絶対ブランドなんて出来ないので、考え方を根本的に変えたほうがいいように私は思っています。
【宮浦主査】 ありがとうございます。SSHがもうブランド化しつつあるところなので、とんがったところをさらに継続するべきだという御意見かと思います。
【柳沢委員】 SSH自体がブランド化しているのはすばらしいことだと思うのですけれども、私が言いたいのは、個々のSSH校ですね。SSH校をSSH校としてブランド化していくには、やっぱりすごく個々の高校から見て時間がかかるということを言いたかったのです。
【宮浦主査】 ありがとうございます。SSH校、かなり各高校さんで苦労されて、大変な努力でやられているので、継続的なサポートも必要であるという御意見だと思います。ありがとうございます。
お時間迫っておりますので、一応この議題はここまでとさせていただきます。
議題5でございます。その他。第10期人材委員会でございますが、本日で最後となります。事務局を代表して板倉局長より一言御挨拶を頂戴したいと思います。よろしくお願いします。
【梶原大臣官房審議官】 よろしいでしょうか。文部科学省科政局審議官の梶原です。局長は急用で退出されましたので、私から代わって御挨拶させていただきたいと思います。
本日は、最後の会議になりますが、委員の皆様、御参加いただき、また、活発な御議論をいただきまして、誠にありがとうございます。また、宮浦主査には、いろいろと御調整いただきましてありがとうございました。
今日は2つのメインの議題があったと思いますが、それについてはいろいろな厳しい御意見をいただきまして、文科省としても十分に今回の御意見を活用いたしまして今後に向けて進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
人材政策に関しましては、第6期科学技術基本計画の検討に向けた重要論点をこの委員会で取りまとめていただいただけでなく、今日も最後にありましたように、ポスドクの雇用・育成に関するガイドラインの策定もできまして、幅広い観点から御議論いただけたということで大変感謝しております。今回のポスドク等のガイドラインについては、今後、このガイドラインの内容を競争的資金制度の公募要領にも活用するなど、しっかりと関係機関に周知して進めていきたいと考えております。
また、次期の科学技術・イノベーション基本計画については、最終段階の検討に入っております。そこでの科学技術イノベーションの担い手となる人材の育成・確保に関する施策は必要不可欠であると認識しておりますので、皆様の御意見を活用して引き続き反映に鋭意努力していきたいと思います。
本日はいろいろと御意見いただき、また、この委員会に御尽力いただき、委員の皆様においては誠にありがとうございました。心よりお礼を申し上げます。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。最後に、事務局より連絡事項等ございましたら、お願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】 事務局でございます。本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にお目通しいただきまして、主査に御確認の上、文科省のホームページを通じて公表させていただきたいと思います。
以上でございます。2年にわたり、どうもありがとうございました。
【宮浦主査】 閉会に当たりまして、主査の宮浦より一言、委員の皆様に御礼申し上げます。本委員会は、平成31年から2年間にわたりまして、委員の皆様に非常に活発な議論をしていただきましたことを改めて御礼申し上げます。司会の不手際でいつも最後議論がぎりぎりになることが多かったのですけれども、これも皆様の活発の御意見のたまものであったと思いますので、改めて御礼申し上げまして、本日は閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
 

―― 了 ――

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