科学技術・学術審議会人材委員会(第89回)及びポストドクター等の雇用に関する小委員会(第5回)合同会議 議事録

1.日時

令和2年9月25日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

Web会議
<傍聴室>文部科学省 13F2会議室(東館13階)

3.議題

  1. 科学技術・学術審議会人材委員会運営規則の改正について
  2. 「ポストドクター等の雇用・育成に関するガイドライン」の検討について
  3. 「研究大学における教員の雇用状況に関する調査」及び「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査」の報告について
  4. その他

4.出席者

委員

(人材委員会)
宮浦主査、宮田主査代理、狩野委員、川端委員、小林委員、柴原委員、隅田委員、髙橋(修)委員、高橋(真)委員、竹山委員、塚本委員、藤垣委員、八木委員、柳沢委員、横山委員
(ポストドクター等の雇用に関する小委員会)
小林主査、早坂主査代理、川端委員、小鍛冶委員、竹山委員、堀委員

文部科学省

板倉科学技術・学術政策局長、梶原大臣官房審議官、合田科学技術・学術総括官兼政策課長、奥野人材政策課長、楠目人材政策推進室長

5.議事録

科学技術・学術審議会人材委員会(第89回)及び
ポストドクター等の雇用に関する小委員会(第5回)合同会議

令和2年9月25日


【宮浦主査】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会人材委員会(第89回)及びポストドクター等の雇用に関する小委員会(第5回)を合同開催させていただきます。本日の会議は冒頭より公開となっておりますので、よろしくお願いいたします。
本日は、人材委員会から、長我部委員と勝委員が御欠席でございますが、15名の委員に御出席いただいております。また、ポストドクター等の雇用に関する小委員会からは、長我部、加藤両委員が御欠席ですが、6名の委員に御出席いただいております。人材委員会、ポストドクター等の雇用に関する小委員会共に定足数を満たしておりますので、開催とさせていただきます。
また、事務局に人事異動がございましたので、御紹介をお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】 事務局でございます。
まず、本年7月29日付で科学技術・学術政策局長に板倉が着任しております。局長、よろしくお願いいたします。
【板倉科学技術・学術政策局長】 科学技術・学術政策局長に就任いたしました板倉でございます。よろしくお願いいたします。
人材問題は非常に重要な課題でございまして、日本の研究力の本当に礎だというふうに思っておりますので、先生方におかれましては忌憚のない御意見を賜ればと思います。よろしくお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】 また、本年4月1日付で科学技術・学術政策局総括官に合田が着任しておりますが、ただいま別件がございまして、途中参加の予定となってございます。
また、申し遅れましたけれども、本年8月1日付で、私、人材政策課課長補佐に着任いたしました根津と申します。今後ともよろしくお願いいたします。
人事異動の紹介は以上でございます。
【宮浦主査】 ありがとうございました。
それでは、議事に入ります前に、まず本日の委員会のオンライン開催でございますが、事務局から注意事項、資料確認をお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】 事務局でございます。本日の会議につきましてはオンラインでの開催となりますので、事前にお送りしておりますマニュアルに記載してございますが、御発言の際にはWebexの挙手機能で挙手をいただきまして、指名を受けましたらマイクをオンにし、必ずお名前をまずおっしゃっていただいた上で、はっきりゆっくり御発言をいただいた後に、事務局のほうでオフにできないので、挙手機能を発言が終わった後にオフにしていただければと思います。また、主査以外の委員の皆様につきましては、御発言されるとき以外は、マイクをミュートにしていただければと思います。
また、機材の不具合等ございましたら、マニュアルに記載の事務局連絡先まで御連絡をいただければと思います。対応させていただきます。
また、資料につきましては、本日は大変恐縮ですが、Webex上での共有はいたしません。お手数ですけれども、事前にメールでお送りしております資料をお手元で御覧いただければと思います。
それでは、資料の確認をさせていただきます。議事次第に記載させていただいておりますけれども、まず議事次第、あと、資料1として、科学技術・学術審議会人材委員会運営規則改正案、また資料2-1、ポストドクターのガイドラインの検討状況についてという横紙でございます。また、資料2-2、ガイドラインの素案、これはワードの文書になっております。また、資料3-1と3-2として、研究大学における教員の雇用状況に関する調査並びにポストドクター等の雇用・進路に関する調査についてという資料、これはパワポの横紙でございますが、3-1、3-2としてお送りしております。また、資料4として、科学技術・学術審議会学術分科会資料2-4でございますが、「コロナ新時代に向けた今後の学術研究及び情報科学技術の振興方策について」というワードの文書をお送りしております。また、資料5、1枚紙でございますが、今後のスケジュール(予定)もお送りしております。また、参考資料1、2も併せてお送りしておりますので、不足等ございましたら、事務局の連絡先まで御連絡いただければと思います。
なお、本日、冒頭主査からもおっしゃっていただいたとおり、公開の会議として開催しておりますが、傍聴者が文科省の別室で様子を傍聴しております。その際、別室の傍聴者の方から、本日の会議を録音したいという申出がございました。事前に両主査にお諮りをしまして了解いただきましたので、録音のほう認めております。その旨御了承いただければと思います。
そのほか、議事進行の過程で不備等ございましたら、事務局までお申し出いただければと思います。
事務局からは以上でございます。
【宮浦主査】 ありがとうございます。それでは、議事1に入らせていただきます。議題1は、人材委員会運営規則の改正についてでございます。事務局から御説明をお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】 事務局でございます。資料1「科学技術・学術審議会人材委員会運営規則―改正案―」という資料を御覧いただければと思います。こちらは人材委員会の運営規則でございますけれども、現状、書面による議決を可能とする規定が入っておりませんでした。一方で、資料1の参考2にありますとおり、人材委員会の親会であります科学技術・学術審議会の総会におきましても書面による議決を可能とする規定がございます。今般のコロナの拡大に関する状況を踏まえましても文科省内の各会議でも書面審査を可能とする規定が盛り込まれておりますので、この人材委員会におきましても、この機会にそういった規定を盛り込んではどうかという御提案になっております。
具体的には、資料1、赤字にございますとおり、書面による議決という規定を第4条に設けまして、ちょっと読み上げさせていただきます。
主査は、やむを得ない理由により会議を開く余裕がない場合においては、事案の概要を記載した書面を委員に送付し、その意見を徴し、又は賛否を問い、その結果をもって審議会の議決とすることができる。
2 前項の規定により議決を行った場合、主査が次の会議において報告をしなければならない。
という規定を第4条に新たに設けてはどうかという御提案になっております。
事務局からの説明は以上でございます。
【宮浦主査】 ありがとうございました。ただいまの事務局の御説明に関して質疑を行いたいと思います。御意見、御質問のある方は、挙手機能で挙手をお願いいたします。
竹山委員、手が挙がっております。まずどうぞ。
【竹山委員】 第4条の1行目の文言なのですけれども、「会議を開く余裕がない場合」というのは、堅い言い方をするなら、「余裕がない」というよりは、「開くことが困難な場合には」と言葉を変えたほうが良いかと思いました。
【宮浦主査】 ありがとうございます。事務局、いかがでしょう。
【根津人材政策課長補佐】 この文言につきましては、先ほど御説明させていただきましたとおり、親委員会の科学技術・学術審議会総会の規定をそのまま持ってきておりますので、もしよろしければこの表現のままで行かせていただければなと思うのですけれども、いかがでございましょうか。
【楠目人材政策推進室長】 こちらは、参考2という本資料の後ろについております資料に、科学技術・学術審議会の運営規則が載っておりまして、その第3条の書面による議決とありますが、この規定と同様のものを学術審議会の下にあります人材委員会においても設けようとしているものでございます。原則として、余裕がある場合にはもちろん会議を開催、ウェブの方式も含めてさせていただくことが原則であると考えておりますので、表現ぶりに少し工夫が必要なところはあるかもしれませんけれども、そういった趣旨も踏まえて、「会議を開く余裕がない場合」という形で御了承いただければありがたいかなと思っております。よろしくお願いいたします。
【宮浦主査】 そのほか御意見、コメントございますでしょうか。こちら、審議会の親委員会の文言をそのまま本委員会に適用するという事情がございますので、どうも自由に変えにくいということもあるようでございます。御了承いただけるとありがたいと思います。意見としては上げておくのはいいかなと思っております。
ほか、手が挙がっていないようでございますので、御質問は以上ということかと思います。ありがとうございました。一応こちらで本規程改定の質疑は終了とさせていただきます。
事務局の御説明のとおり、運営規則の改正をさせていただくということでよろしいでしょうか。
それでは、お認めいただいたということで、改正の手続をさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、次の議題、議題2に移らせていただきます。第87回人材委員会におきまして設置が承認されましたポストドクター等の雇用に関する小委員会につきまして、7月22日までに4回開催されております。その審議状況等を小林主査及び事務局から御報告いただきたいと思います。小林主査、よろしくお願いいたします。
【小林主査】 小林です。それでは、資料2-1の2ページ目を御覧ください。そこにポストドクター等の雇用に関する小委員会の開催状況が書いてあります。昨年11月に第1回を開催して、3月までは順調にヒアリング等を行いましたが、その後、コロナで、ほかのいろいろな会合もそうですが、止まってしまいまして、やや間が空いてしまって議論がちょっと滞ってしまったようなところがありますけれども、7月にテレビ会議の形でガイドラインの検討を行いました。また、ヒアリングも行いました。その結果を事務局のほうでまとめていただいたものが今日のガイドラインです。
やはりテレビ会議だと対面のときのように突っ込んだ議論ができないということもありまして十分でない部分もあるかもしれません。個人的な感触かもしれませんけれども、ポストドクター等の雇用に関してはかなり状況も良くなってきている面と、あと、いろいろ取組等も進んでいる面があるので、これを1つの締めくくりというか、取りあえずのまとめにできればと思います。むしろ人材委員会としてはこれから新しい課題がたくさん出てきています。博士の進学者の確保とか、優秀な若手研究者の確保とかといういろいろな課題が出てきていますので、ポスドクについては、現場の取り組み等でまだ十分でないところもありますけれども、これを1つのまとめとして次のステップに行くのがいいのではないかと思っています。
詳しくは、これから事務局のほうから御紹介をいただきます。よろしくお願いします。
【楠目人材政策推進室長】 人材政策推進室長の楠目でございます。よろしくお願いいたします。それでは、3ページ以降の部分について、私のほうから御説明させていただきたいと思います。
資料2-1の3ページを御覧いただければと思います。今回の「ポストドクター等の雇用・育成に関するガイドライン」策定の趣旨・背景についてでございます。こちらについては、小委員会の設置の際にも御説明させていただいたことと重複いたしますけれども、まずポストドクター等の重要性といたしましては、上の枠にありますように、我が国のポストドクター等が各種の研究プロジェクトの遂行等の先端研究の現場を支えていることとか、若手研究者にとっても、ポストドクターの時期は研究者としてのレベル向上にとって重要な意義を有する時期であること、さらには、今後の我が国にとってポストドクター等の経験を通じて研究力を身につけた博士人材が社会の多様な場で活躍していくことが必要であることなどが挙げられるところでございます。
ただ一方で、ポストドクターを巡る課題といたしまして、下の枠にございますように、おおむね共通して、雇用や受入れに関して、任期が短い、自律的な研究活動のエフォートが限られる、そういった環境が見られることとか、雇用管理や育成については、大学・研究機関における組織的な取組の促進がより必要であることとか、その後のキャリアパスにつきましては、産官学を通じた多様な場での活躍が期待される一方で、民間企業へのキャリアパスは事例もまだ少ないという状況にあるといった課題があるところでございます。こうした状況に対応するような各大学・研究機関の取組を推進するということが、今回のガイドラインの策定の主な趣旨となっているところでございます。
次のページをお願いいたします。4ページ目でございます。「ポストドクター等の雇用・育成に関するガイドライン」の構成についてでございます。趣旨のほうは少し省略させていただきまして、構成(案)のところでございますが、4つの章から構成をさせていただいているところでございます。
1つ目の章ですが、雇用・受入環境等に関する事項ということで、一定の任期の確保や処遇の確保といった適切な待遇の確保とか、労働法規等を踏まえた望ましい雇用・受入環境の確保などについての記載をしているものでございます。
2つ目の章でございますけれども、研究環境に関する事項といたしましては、研究に専念できる自律的な環境の確保や、機器利用等における配慮、PI等における研究活動の支援の重要性等について記載をさせていただいております。
それから、右側に移りますけれども、3章目のキャリア開発の支援に関する事項につきましては、研究者としての能力開発機会の充実とか、計画的なキャリア支援の実施、また、参考になるような具体的な先進事例について記載をさせていただいているところでございます。
4章目のその他、こちらはまとめの章になりますけれども、1章から3章の内容を実現するための大学・研究機関での組織的な取組の推進や、任期つきの若手教員や博士学生といったポストドクター以外の若手研究者への配慮等についても記載をさせていただいているところでございます。
次のページを御覧いただければと思います。5ページ目でございますが、本ガイドラインで対象とするポストドクターについてでございます。先ほど述べさせていただきましたとおり、本ガイドラインの目的につきましては、各大学等における雇用管理の改善や育成支援の充実であることに鑑みまして、対象とすべきポストドクターについては、こちらに書かせていただいておりますように、博士号取得後に大学等で研究業務に従事する者のうちで、大学等が任期つきで雇用している研究者及びフェローシップ等の制度により受け入れている研究者であって、おおむね40歳未満の者とすることが適当というふうにまとめさせていただいているところでございます。
対象となるポストドクターのイメージを下に少し棒グラフを描かせていただいております。本日後半で御報告させていただきますポスドク調査におきましては、この棒グラフの一番上にありますようなポストドクター等1万6,000人が人数として把握されているところでございますが、この中には、いわゆる満期退学者が学位を取得するまでの間研究員などとして研究室で受け入れる制度とか、社会人等を対象にして施設利用料を徴収して研究員などとして受け入れるような、そういう雇用関係のない者も含まれているところでございます。こういった者は雇用管理の対象としてガイドラインの対象とすることは適当でないと考えられますので、それを除いた者が真ん中の棒グラフでございます。
そういったポストドクター等1万6,000人のうち、博士号取得者で雇用またはフェローシップで受け入れている者が約1万3,000人いるところでございます。この1万3,000人の中には、60歳以上とかで再雇用とかで研究員として受け入れられているポストドクターの方が最近増えている状況もございますので、今回のガイドラインが育成支援、キャリア支援を重点的に支援するということを鑑みまして、40歳未満の者を主たる対象として考えますと、約1万人の者が本ガイドラインの主たる対象として念頭に置かれるということになるものでございます。
続きまして、6ページ目をお願いいたします。6ページ目は、ただいま御説明したことの補足の資料でございますけれども、ポストドクターの雇用の状況について図示をしたものでございます。こちらの①から⑥までありますけれども、⑥に該当するような者については、言わばサービスの利用者という形でございますので、雇用管理の対象外ということで今回のガイドラインから外しているということを図示させていただいたものでございます。
続きまして、7ページ目をお願いいたします。本ガイドライン策定により目指すべき方向性でございます。本ガイドラインを踏まえまして、各大学等における雇用管理の改善や育成支援に関する取組が充実することで、下の枠にございますように、一定の任期や処遇が確保された雇用環境の下で、ポストドクターが研究活動に専念できるような環境を実現すること、PIやメンター等による適切な関与の下で、ポスドクが能力を十分に発揮できるような望ましい研究環境を確保すること、3番目でございますが、ポストドクターの期間に、研究者として必要となる能力が計画的に育成されるような機会を充実すること、4点目ですけれども、組織的・計画的なキャリア開発などによりまして、高度な博士人材が社会の多様な場で活躍できるような環境を実現すること、こういったことを目指すべき方向性として、これまでの御議論も踏まえまして示させていただいているところでございます。
続きまして、資料2-2を御覧いただければと思います。「ポストドクター等の雇用・育成に関するガイドライン」の素案でございます。こちら、事前に資料をお送りしていることもございますので、ポイントのみ簡潔に御説明させていただければと思います。
まず1ページ目は目次でございますので、おめくりいただきまして、2ページ目、3ページ目の「はじめに」のところですが、こちらについては、先ほど御説明したガイドラインの作成の趣旨・背景とか、主たる対象として想定されるポストドクターについて記載させていただいております。
4ページ目を御覧いただければと思います。4ページ目から第1章でございまして、雇用・受入環境等に関する事項でございます。(1)の適切な待遇の確保につきましてはポストドクターの任期に関しまして、2つ目の丸の下から3行目ぐらいですけれども、ポストについては3年から5年程度の任期の確保が望まれるということを記載させていただいております。
また、3つ目の丸については、ポストドクターの給与等について、最後の行にありますが、職務内容等に応じた適正な処遇の確保に努めることが必要であること等を記載させていただいております。
次の5ページ目をお願いいたします。5ページ目には、リサーチ・アシスタントとしての博士課程学生の雇用に関しまして、1つ目の丸の下のほうにございますように、大学等においては、生活費相当額以上の額を博士学生が受け取ることができるように適切な支援制度の設計や学内の規定の整備を行うことが必要であるということとか、その次の2つ目の丸の下のほうの行にございますように、博士学生の貢献を適切に評価した処遇とすることが特に重要であることについて記載をしております。また、具体的な適正な処遇について、下の注のところでございますが、2,000円~2,500円程度の時間給の支払いが標準的となるというようなことも具体的に示させていただいているところでございます。
次のページをお願いいたします。6ページ目の(2)望ましい雇用・受入環境の確保につきましては、適切な勤怠管理など労働法規等を踏まえた望ましい環境の確保について記載をさせていただいております。こちらについては若干補足をさせていただきますと、事前に小委員会の先生から、用語の扱いなどで確認が必要な部分があるというようなアドバイス等もいただいておりますので、今後、最終版に向けまして、関係省庁との調整も踏まえて、適宜そうした点については改善を図ってまいりたいと考えておりますので、御承知おきいただければと思います。
続きまして、8ページ目をお願いいたします。8ページからは、研究環境に関する事項でございます。研究に専念できる環境の確保といたしまして、8ページの3つ目の丸の下に参考として書かせていただいておりますが、プロジェクト雇用における専従義務の緩和等の制度改善を行っておりますので、こうした制度を積極的に活用いただいて、自律的な研究機会の拡大を図っていただくことなどを記載させていただいております。また、(2)ですが、機器利用等における配慮につきまして記載をさせていただいております。
次に、9ページを御覧いただければと思います。(3)からはPI等の研究活動の支援の重要性などを記載させていただいておりますが、9ページの(3)の1つ上でございますけれども、御議論のありました日本学術振興会の特別研究員(PD)につきましては、望ましい研究環境での受入れを各機関に求めることとか、日本学術振興会においてさらに検討をいただくことが必要であることなどを盛り込ませていただいているところでございます。
続きまして、11ページをお願いいたします。11ページが、第3章でキャリア開発の支援に関する事項でございます。(1)の研究者として成長するための能力開発機会の提供といたしましては、研究者としての能力開発の重要性や、必要なスキルの可視化・体系化などについて、諸外国の例を含めて取組が進められていることなどを記載させていただいております。
また、11ページの下にあります(2)の計画的なキャリア支援の実施のところでは、計画的なキャリア支援などについて記載をさせていただいておりますけれども、特に、12ページを御覧いただければと思います。12ページの3つ目の丸以降、研究者としてのキャリアパスを見据えた雇用・育成に関しまして、一番下の丸の真ん中辺りからでございますけれども、ポストドクターが若手研究者にとっては、研究者としての成長の1段階であることに鑑みまして、ポストドクターとしての雇用は2回までとし、3年から7年程度で次のステップに臨んでいくような環境を整備していくことが必要であることとか、その後にアカデミアでのキャリアを選択する場合には、少なくとも博士号取得後10年から15年頃までにテニュアトラック等のポストに就けるようにすることなど、各大学等において具体的な方針を定めて、計画的に若手研究者育成に取り組んでいくことが必要である旨を記載させていただいているところでございます。
次のページをお願いいたします。13ページ目でございます。13ページ目は、キャリア開発支援に関する具体的な事例について、国内の事例、海外の事例をここから記載させていただいております。
続きまして、16ページをお願いいたします。第4章でございますけれども、こちらは、まとめの章になります。(1)では、大学・研究機関での取組の推進につきまして、組織的な方針の策定が必要なこととか、組織的な取組を進めるためにも、PI等が支援するということが重要であること等を記載させていただいております。
また、(2)では、若手の特任教員や博士課程学生などのポストドクター以外の若手研究者についても、ガイドラインの趣旨を踏まえまして各機関において適切な対応が図られることが期待されることを記載させていただいております。
次の17ページ目でございます。17ページ目は、「終わりに」ということで、目指すべき方向性について記載をさせていただいております。
18ページ目以下については、参考資料として主な法律について記載をさせていただいているところでございます。
私からの説明は以上でございますけれども、不足な点とか不十分な点等ございましたら、小林主査、また、小委員会の先生方から随時御議論の中等で補足をいただければありがたいと思います。私からは以上でございます。よろしくお願いいたします。
【宮浦主査】 御説明ありがとうございました。小委員会で詳細なガイドライン案を作成いただき、ありがとうございます。小林主査から追加の御発言等ございますでしょうか。
【小林主査】 小林です。今御説明いただいたもので大体結構ですが、まとめと言うには、まだレイアウト含めて、あるいは言葉遣い含めて不十分ですが、中身についてぜひ今日御議論いただければと思います。よろしくお願いします。
【宮浦主査】 ありがとうございます。それでは、内容的な部分を中心に議論をさせていただきたいと思います。40分程度お時間用意しておりますので、委員の皆様から御意見、御質問をいただきながら議論ができればと思います。挙手いただければと思います。
まず、大阪大学の八木委員。順番に指名させていただきます。八木委員からお願いいたします。
【八木委員】 よろしくお願いいたします。2点気になったことがあります。1点目は、コメントとも言うべきか、簡単なことなのですけれども、12ページのところでドイツでは博士課程在学中云々とかと書いてあるフレーズがある中で、日本では期限がないようなことが書いてあるのですけれども、いわゆる有期労働契約の関係からすれば、5年、10年という明確な雇い止めが存在するので、それとの兼ね合いがここの中では何もないのと、それからあと、先ほどの説明の中で、どこかフォローアップできなかったのですけれども、雇用を2回までするというような発言があったかと思うのですが、現実の雇用の問題を考えると、いわゆる競争的資金等で雇われているような若手ポスドクの場合、年次更新でしか雇用できないという予算上の制約がある。そうすると、5年どころか、2回更新であれば3年で終わってしまうという、全く実態に合っていない発言ではないかなと思いました。これは非常に簡単なポイントです。
それからもう一つは、一番冒頭のところですね。いろいろガイドラインなんかあるのですけれども、本当の意味でポスドクを、若手研究者を、有期雇用の研究者を育てていこうと思ったら、一番初めのところの雇用・受入環境に関する事項で書かれているポイントが一番重要ですね。要は、今の雇用というのが、雇用の安定性をちゃんとできていない、担保できていないということがある。それに対する解決策が実はほとんどリアリティーのあるものがないのです、この中に。書かれているものでいうと、外部資金の間接経費や寄附金、自己収入と書いて、自由度の高いお金でと書いてあるけれども、これで大学のポスドクを養うだけの十分なお金があるかというと、これはノーですね。これはいわゆる経営者方の立場からすれば、あり得ないのです。そんなお金は大学にありません。私は理事をやっていたので、それはよく分かっています。だとすると、ほかの形をちゃんと考えていく必要がある。
これは前のときにも申し上げましたが、競争的資金自体の柔軟な運用ができるということがやっぱり重要なポイントだと思うのです。それは一体何かというと、5年間の例えば競争的資金でも、その運用、雇用に関しては例えば7年とかに、済んでからでも使えるような整備を、これはいわゆる文科省を含めた競争的資金を配る機関側がそういう運用をちゃんとできるように提供してくれれば、大学としては非常に柔軟に人の雇用ができるようになると思います。お金の担保のできていないものを大学に入ってくる別資金で何とかしろといっても、大学の間接経費もほとんど赤字で回っていて、寄附金もそんなに集まらない中で、現実に実現していくことは極めて難しいのではないかと思うので、ぜひそういったことを国として変えられるようなことが併せてこの中で考えられるといいのじゃないかと思います。
【宮浦主査】 ありがとうございます。なかなか、以前から議論してきている部分でもありますけれども、非常に重要なポイントだと思います。ポスドクの方の、多くの大学で、単年度雇用という、形式上でも毎年度更新というような形になりがちであるとか、2回までというと、じゃ、2年かということにもなりますし、大学によっても違うとは思いますけれども、その辺りの制度上の問題が1点。
もう一点は、やはり財源の問題で、キャリアパス重視ということで、プロジェクトが終わってから自己資金で継続的に雇うとか、そういう方向はなかなか難しいという現状を考えて、雇用経費については柔軟な対応ができるようにするとか、そういうことも考えていってもいいのではないかと。
なかなか画一的に、じゃ、こうするべきだとガイドラインとしてお示しするのは難しい部分も個々のケースではあるとは思うのですが、その辺り、ガイドラインへの方向性ということで何か御意見ございますか。すみません、手が挙がっているのはよく承知しているのですが、今の点について、こうすればというような御意見。ミュート外していただいても結構です。
小林主査から、その辺り、ガイドラインへの書き込みの方向とか何か御意見ございますか。なかなか難しい部分が。
【小林主査】 前半のほうのご指摘は、書きっぷりというか書き方の問題であると思いますが、後半のほうのご指摘はかなり本質的な問題で、簡単に言えば、国が何とかしろという話になるわけですけれども、そういうことが書けるかどうか。もしそうでないとすると、各大学においてできるかどうかということなのですが、現状でそこまで具体的に書き込めるかどうかというのはなかなか難しいところではないかなという気がします。特に国に要求しても、あるいはファンディング機関に要求しても、できる範囲とできない範囲があると思いますので、調整はしていただくにしても書き込めるかどうかというのは、結果を見ないと分からないかなと思っています。現実的にはかなり今のところ難しいのかなという気がしています。ご指摘を否定をするわけではないのですけれども、調整の結果を待ちたいと思います。
【宮浦主査】 八木委員から何かこのコメントでしょうか。
【八木委員】 ここ、ぜひ、ガイドラインの中に、これは本当言うと、板倉局長に頑張っていただけると一番ありがたいのですけれども、ガイドラインの中に書けるとすれば、競争的資金の柔軟な運用を今後期待したいというようなことをさらっと書いておくだけでも、その文言をベースに板倉局長に頑張っていただくという私は期待をしたいです。
【宮浦主査】 ガイドライン、重要ですので、そういう雇用に関してはキャリアパスの活動とセットになると思いますので、柔軟な外部資金運用も含めて検討が望まれるとか、何らかの書き込みを小委員会のほうで検討いただくという方向でよろしいですかね。
【楠目人材政策推進室長】 宮浦先生、よろしいでしょうか。事務局でございます。八木先生からいただいた御意見のうち、前段のほうのことでございますけれども、小林先生からも言っていただいたように、書きぶりに少し不十分な点があったかもしれません。雇用2回までというのは、1つのプロジェクトのポストの更新を繰り返すということではなくて、3年のプロジェクトなら3年間の任期にしてほしいということを申しておりますので、それを1回のポストとして雇用2回ということを言っておりました。ここの文言は少し誤解を招くことがあるかもしれないということが分かりましたので、ポストは2回とか少し書き方を工夫したいと思います。
また、10年での雇い止めの規定との関係では、ポスドクというのが若手研究者のやはり1つのステップであって、ずっとその状況を続けるというのは適切ではないということが背景にございますので、特に10年の雇い止め規定とかとの関係で抵触するようなものではないとは考えているところでございます。
また、こちらのガイドラインについては大学や関係機関に向けてのものでございますので、どういった書きぶりができるかということはまた考えたいと思いますけれども、いただいた御意見については関係部局とも共有をさせていただきたいと思います。また、ほかの委員の先生からも御意見があれば、いただければありがたいと思います。
以上でございます。
【宮浦主査】 補足説明ありがとうございます。その辺り、関係部局とも調整していただいて、どのような形で小委員会で御検討いただけるか御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【板倉科学技術・学術政策局長】 すみません、板倉です。ちょっと補足させていただいてよろしいでしょうか。多分、今の御指摘は、理想と現実の問題かなと思っています。確かに現実論としての競争的資金の運用の問題はあると思うのですけれども、これも競争的資金によって様々、毎年雇用しなければ、年度更新じゃなきゃいけないというものもあれば、3年間の資金であれば3年雇用してもいいよという、あるいはそういうことを明記していない制度も様々あると思います。それで、現実の部分どうするかということは、また事務局とも議論していきたいと思っております。
また、先ほど事務局から説明しました、理想的なあるべき姿をどう書いていくかという、そういったこともお示しもしなければならないかなと思っておりまして、そういう観点から案文についてまた文科省のほうでももう少し検討させていただければと思います。
【宮浦主査】 ありがとうございます。その辺り御検討いただくということでよろしくお願いいたします。
柳沢委員から手が挙がっております。どうぞ。
【柳沢委員】 筑波大学の柳沢です。八木さんが最初におっしゃった例の5年ないし10年の雇い止めとの関連の件なのですけれども、先ほどの事務のほうからの御説明で、ポスドクというのは本来3年、5年で替わっていくものなのだからそこは抵触しないというのは、極めて甘い、現実離れした解釈だと思います。
どうしてかというと、いわゆるポスドクの期間というのは、私も3年とか5年なり、それで卒業していくべきものだと思いますけれども、現実には、その後、同じ機関、同じ雇用母体で、例えば非継承枠の教員、助教なり何なりになって、実質的にはPIに近いないしはPIの立場になれる方はなるわけですけれども、それでもやっぱり雇用形態としては継承枠になれないことが多々あるわけですね。少なくとも私どもの大学ではそういうことはすごく多く起こります。そうしますと、5年とか10年ってすぐ経ってしまうのですよね。
なので、やはりこのガイドラインの中で、いわゆる雇い止め規定、私は大学のような職域にあっては、あれは本当に悪法だと思っていますけれども、ガイドラインがそれとの関連性に触れないというのは本当におかしな話だと思います。ポスドク終わった後、その同じ機関に残るというのはよくあることですので、PIになっても承継枠になっていない教員というのは現実にはこれからどんどん増えていくと思います。しかも業績を出して頑張っている方でも、法律がバリアになってしまうということが本当に起こり得ますので、それ関係ないというのは非常に甘い見方だと思います。
それから、もう一点、これ、単純な質問なのですが、資料2-2の9ページで先ほどちらっと触れておられたところですけれども、いわゆる学振のPDですね。学振のPDは何かほかのポスドクと異なる研究環境に置かれ云々という、支障が生じている場合があると書いてあるのですが、私、申し訳ないのですが、この議論を全く存じ上げていなかったので、一体どういう問題が具体的に起こっているのでしょうか。
以上です。
【宮浦主査】 ピンポイントで、学振のPDにつきましては、今まで幾つか雇用形態、機関が雇用しているわけでないために生じている問題があるということで書き込まれていると思うのですけれども、その辺りは事務局からコメント可能でしょうか。
【楠目人材政策推進室長】 人材政策室の楠目でございます。こちらにつきましては、学振のPDについて、ほかの雇用関係にあるポストドクターと比べて、例えば雇用関係が大学にないことから、すごく卑近な例だと、IDの付与がなかったりとか、それで施設への出入りが少し難しい場合があるとか、メールアドレスとかの付与がないとか、あるいは研究室の机とかそういった環境が十分に確保されていない場合があるとか、毎年受け入れている大学とかでそういう問題はないのかもしれませんけれども、なかなか毎年受け入れていないような慣れていないような大学ですと、そういうようないろいろな課題もあるということは、指摘といいますか、学振のほうにもそういう御意見があるということを聞いております。この人材委員会でもそういった議論は、柳沢先生がもしかしたら御欠席のときだったかもしれませんけれども、御議論をいただいたことがありますので、それを踏まえてこうした記載を入れさせていただいているところでございます。
また、雇い止めの規定のところは、関係ないという言い方をしたつもりはなかったのですけれども、表現ぶりが少し不適当でしたらおわび申し上げます。
以上でございます。
【宮浦主査】 ありがとうございます。学振PDの身分のID取得とかはかなり改善をしてきていると思いますけれども、学振PDに慣れていない機関は一部そういう問題もまだ残っているという観点から、一応残しておいたほうが安全かなということかと思います。
あとは、なかなか常勤ポストがそもそもないのにという問題が非常に根本的な問題であり、キャリアパスの多様化あるいは産業界での活躍などを幅広く議論していくことが必須になると思うのですが、その辺り、すみませんが、手がいっぱい挙がっているのですけれども、今の点、宮田委員からいかがでしょう。全然違う話題で手が挙がっていた可能性はあるのですが、申し訳ありません。
【宮田委員】 全然違うことを言おうとしていたので、もう一回後で指していただきたいと思います。今回のは小林座長の努力で非常によくまとまっていると思いますけれども、あるべき姿と現実にできる姿の乖離というのは多分これから出てくるだろうと思って、それをこれからみんなで埋めていく努力、さっきの予算確保も含めてですけれども、必要だと思っています。
ちょっと一べつしただけなので、きちっと書かれているかもしれませんけれども、今、宮浦主査がおっしゃっていた産業界への出口とかそういったことがなかなか読み取れなくてですね。今のところ、大学でしっかり研究をしていただく環境の整備はできているのですけれども、それでは、そこで出来上がった研究者というのはいつまでもアカデミックキャリアを循環するだけでいいのかと。我々の人材委員会でずっと議論していた観点がすっぽり抜け落ちているような気がしますので、どこかでそれをうまく書いていただきたいと思っています。それが1点。
それから、実は私が質問しようとしたのは、今回のガイドラインですごくインパクトがあるのは、私が読んでですけど、2つあって、40歳未満というのを明確にしたことですね。これによって40歳以上のオーバードクターと言われるような人たちにとってみれば非常に肩身が狭くなるでしょうし、これから大学院に入ろうという人たちが自分たちのキャリアパスをイメージするときに、40歳というのがある意味断崖絶壁になるということが分かって、自分でも努力するようになるだろうと期待しています。それから、もう一つ大きなインパクトがあるのは、リサーチ・アシスタントの時給を提示したことで、これはある意味本当の意味でガイドラインということになるのじゃないかと思っています。
実は40歳というところに関して言えば、じゃ、40以上の人どうするのだという、愛のないガイドラインになってしまう可能性がありますので、先ほど申し上げたアカデミア以外のキャリアパスに対する配慮というところで、この40歳以上の人たちの救いの道を開いていただけないかなと私は考えています。以上です。
それが実は私が本来質問したかったことなので、2度当てなくて結構です。よろしくお願いします。
【宮浦主査】 宮田委員、ありがとうございます。幾つか重要な点を御指摘いただきまして、画期的に書き込んでいただいた点としては、40歳未満という明記あるいは時給ベースの話題って今までなかなかなかったわけですけれども、形式上身分とかいう、非常に時給が低いというようなことが生じないように、基準となる時給もガイドラインに示したというのが画期的だという点。また、先ほどもございましたけれども、キャリアパス支援をやっていくのであれば、やはり多様なキャリアパスということで、産業界への活躍の場を推進するということをガイドラインにある程度しっかり書き込んでおくのがいいのじゃないかという御意見でございますが、小委員長、小林主査から手が挙がっているのですけれども、この点いかがでしょうか。
【小林主査】 今の話じゃなくて、先ほどの柳沢先生のお話に関してなんですが、小林個人の意見として聞いていただきたいのですが、繰り返し雇用されるというケースの場合に問題になるのは、実は無期転換の問題と雇い止めの問題と2つあります。これについては弁護士の先生か何かにちゃんと確認していただいたほうがいいと思うのですけれども、時々5年を10年にしたところが問題だというふうに議論されることがありますが、それだけではなくて、実は雇い止め法理というのがあるので、もともと雇い止めは駄目だという場合があります。10年どころか、場合によってはもっと早い段階で本来であればちゃんとした雇用に変えなければいけないという、あるいは次も雇用されるということが期待されるので雇用を繰り返していかなければいけないという結果になる可能性があります。この辺りどうするかというのは、実は単純じゃなくて、本委員会として、あるいは小委員会としてどういう方向で行くのかというのは非常に迷うところです。
単純に10年過ぎると雇用を止めるのだという話であるならば、それはそれでいいのですけれども、その場合にも雇い止め法理は有効になる可能性があります。現実に本学の場合は、雇い止め法理を適用して無期転換にしているケースもあります。ですから、非常に財政的にはきついのですけれども、法律を守ればそうなるということです。そういった問題について、小委員会もしくは委員会としてどういう方向で議論するかというのは固めておいたほうがいいのかなという気がしています。
【柳沢委員】 ちょっとよろしいでしょうか。ありがとうございます。まさにそこが問題で、要するに、私が何を申し上げたいかというと、本人の実力もあって、PIに、例えば助教のPIになれる人、実力もあります、それから、財源もあります、いろいろなやり方で財源もあるのだと。なのに、承継枠がない、常勤雇用枠がないがために大変なことになるということは多々起こるということです。大学がそれで無期化していただければそれで解決する場合もあるのですけれども、そうはいかない事もたくさんあると。なので、これ、やっぱり国のレベルでこのガイドラインに何らかの指針を盛り込むべきなんじゃないかというのが私の意見です。ありがとうございます。
【小林主査】 その場合にはどちらがいいでしょうか。つまり、財源の問題を解決してできるだけちゃんと雇用していくことを優先するのか、あるいは法律が法律なので、そういういろいろなものに引っかからないように、財源の問題もあるので、諦める、逆に法律を変えるとかですね……。
【柳沢委員】 私の意見は当然、よりフレキシブルなほうでありまして、本人の実力もあり、財源もあるのであれば、当然そこでその場で続けられるのが当たり前だと思うのです。それがつまらない、私に言わせると悪法のためにできなくなっていることがあるという、それがけしからんというのが私の意見です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。様々なケースがあると思いますので、承継ポストがそもそも足りない、財源がそもそも確保できない、財源が確保できていてもポストがない、財源が十分確保できるかといいますとできない大学が圧倒的に多いといった、その辺りも含めてガイドラインにどのような形で書いておくかということは、なかなかここの議論で結論が出ないと思いますので、引き続き検討させていただければと思います。
関連の質問が、手がいっぱい挙がっておりますので、全員にお話しいただきたいと思いますので、狩野委員ですかね。どうぞ。
【狩野委員】 狩野です。今の話に直接関係しないこともあるかもしれませんが、3つ申し上げられたらと思います。少し前の論点と関わるところから始めます。やはりどうしても今の議論にもあったとおりで、昨今アカデミアで雇用枠がそう簡単に広げられないような状況になっていると思っております。そうしますと、企業の方にこういう人材を確保していただけるかということも考えるべきであると思うわけです。そのときに、採用に関して何が心配かと考えると、3章などに書いていただいているトランスファラブルスキルのような能力がポスドクのかたに備わっているかどうかということが明確になることでより妥当な人材であることが明確になるのではという点がきっとあるのかなと思っております。例えばこのトランスファラブルスキルの教育を本気でやるとすると、各機関またはどこかの機関がそういうものに対して認定プログラムみたいなものをつくって、その受講があれば、例えば何か採用の際にインセンティブをつけるでも、企業の方に採用していただけるようにするなどの可能性を、実際にどこまで書き込めるかはご検討いただきたいですが、一案として御提案してみたいと思いました。これが1つ目です。
2つ目です。それはポスドクになっている人たちの立場で考えた時、仕事そのほかうまく回っている間というのは別にほかの人の助けは要らないのですけれども、何かで少し落ち込んだりしたときには、どうしても同じような境遇の人に支えてもらえる機会というのもあるかなと思っています。何が言いたいかというと、今それぞれのポストドクターの方がうまくいっているときにどういう処遇ができるかということが書いてあるのですが、やはり少し落ち込む時期もあったときに、それを支えられるような何か研究室外の交流の機会、これは組織が提供できるものと思うのですけれども、そういうものを、強制的でなくてもいいのですけれども、あんまり排他的にしてしまうと同じような人しか来なくなるので、少し多様な、だけれども、立場が似ている方々の集まれる場を何か設定するというのも、提案できることかなと思いました。第4章として、です。これが2点目です。
あともう一点だけ。3点目ですけれども、少し中に書いていただいておりますけれども、ポストドクターの時期というのは、本人自身がどんな研究のストーリーを立てられるかというのをやはり確立する時期でもあるかと思います。この際に、資金が取ってこられるかどうかというのは結構重要な要素になるときも、昨今競争的資金の枠が増えていることからあるかなと思います。ですが、いろいろな制度変更の結果、自分が今その立場でどの資金に応募できるのか、あまり明確に簡単に分かりにくいのではないか、という状況があるかなと思っております。
例えばそういう応募可能資金の情報をまとめたような、ホームページでも何でもいいと思うのですが、どこかに作る。それは組織ごとなのかもしれませんし、あるいはまとめてかもしれませんけれども。例えば今、ポストドクター応募可能資金とか検索してみても、あんまりぱっと明快に出てこないかなというのを思いまして、こんなことも組織ができる、しかもあんまりお金もかからない提案としてガイドラインに入っていることは悪くないのかなということを思いまして、御提案してみたいと思いました。
最後になって恐縮ですけれども、基本的には非常によくいろいろな方面に目配りをしていただいている内容をつくっていただきまして、ありがとうございました。以上です。
【宮浦主査】 狩野委員、ありがとうございました。まずポスドクの人材のマッチングのシステムが十分でないということがまず1点目、御指摘だと思います。また、組織としてのキャリアパス支援というのが十分に、これはガイドラインでもうたっていただいた部分で、3つ目の、ポスドクの方が応募できる資金とか、これは人材のマッチングとも関連してくると思いますけれども、ポスドクの方に焦点を当てたマッチングや応募、資金情報も含めた専用ウェブサイトのようなものがない。そういうものが仮にあれば、そこからワンストップサービスということで、次の職を探したり、あるいは資金獲得に向けて検索したり、あるいはキャリアパス支援の、学内だけでなくほかにも参加したりというような、そういうきめ細かな支援体制みたいなものが現在全国的にないというのが、人材は個々の外部資金、個々のPIが募集しているのでなかなか、JREC-INはありますけれども、膨大なリストから本人が考える状況になってしまっていると。幾つか御指摘いただいた点は、今後何らかの取組に生かせるのじゃないかなと思ったところでございます。
川端委員、お願いいたします。
【川端委員】 ありがとうございます。この小委員会に参加させていただいて、ちょっとだけ今の全体の話にちょっとコメントなのですけれども、これ自体もともと「ポスドク等」と書いていて、かなり若手全体をカバーするような話から始まって、そうなると、特任助教が入っていて、ポスドクの中にも、学振のパターンであるとかっていろいろなパターンがあって、それを最終的には全部切り分けてポスドクだけというところまで絞り込んで、これに対してどうかと、こういう話に整理していただいたというところで、私としてはともかくターゲットがはっきりしたし、言うべきこともはっきりしたかなという気がします。
その上で、ドクター、ポスドク、特任と、こうなっていったときに、先ほどの雇い止めだとかいろいろな話はあるのですけれども、これ自体はやっぱり雇用者に対するガイドラインという意味で、大学であったり、それから、雇用する人が本当によく考えてねという、そういう大きなメッセージを持っていて、そのときに、1点もうちょっと強く書いたほうがいいと思っているのが、今、ポスドク、特任というと、特任助教のほうが数が増えていっているのですよね、日本中で。ポスドクのほうは、何となくイメージも悪いし、いろいろなものがあって、数的にいうと頭打ちという。
そういう中で、実は、これは私の個人的なイメージもいろいろなものがあってお話しするのですけれども、ポスドクだからこそできることがあるだろうと僕は言いたいのです。特任助教になると、いろいろなものがのっけられてできなくなる。もっと自由な動きができるだろうという、そこがもっと強く出ていると、ポスドクというもの自体の魅力。ハンドリングする側もそこをもっと生かしてやるようなハンドリングだとかマネジメントをやらせるべきだと、そこのくだりがちょっと何か抜けていて、何となくポスドクって、何か仕方なしになったような人たちをどう守るかみたいな、そんなようなイメージが強いようにちょっと思っていて、そこが私、もうちょっと表現を考えていただければと思います。
その中にキャリアパスの話もさっき出ていたのですけれども、ポスドクの民間へ……、どうせ人数的にいえば、全員、大学のアカデミアのパーマネントになれないのです。それは当たり前の話で、人数、全体のフローを見たらそれは無理な話なのだけど、その中の、選ばれて上に上がっていく。ごめんなさい。選ばれて……、社会になるとみんなそうですよね。選ばれたと同時に運がいいという、そういう世界があって、そういう中で上に上がっていくという。
そうなっていったときに、キャリアパスという、さっき宮田委員が言われたみたいに民間に出ていくという、そういう道が当然必要になるのですが、私がポスドク関係の人材育成の話をやった限りにおいては、ポスドクになればなるほどアカデミア志向が猛烈にきつくなって、民間に行きたがらない人たちのほうが非常に多いという、私的にそういうイメージを持っています。
であれば、キャリアパスのマッチングの会というのは、ドクター向けのマッチングの会って、日本中でいろいろなところで、いろいろな大学でやり始めていてやっている。そこにポスドクってなかなか出てこないというのが今の状況で、そこのメンタリティーをもうちょっと考えさせるのがPIの責任という、そういうくだりの2点が何かもうちょっと強く出たらいいのになと、そんなふうに思いました。コメントです。
【宮浦主査】 ありがとうございました。PIの意識改革、組織としてキャリアパス支援をするにしても、PIが連動していないとなかなか本人に伝わらないという部分が御指摘かと思います。
もう一点は、ポスドクのネガティブなイメージではなく、ポスドク魅力発信という意味での視点も重要だという御指摘でございます。研究者なら誰もが一度通って、そのときに研究に集中できる非常にすばらしい機会があったと振り返って考えていらっしゃる研究者も多いと思いますので、それのいろいろな、現代版ポスドクになってきている部分もあると思いますから、その辺りを何らかの書き込み、産業界とのマッチング等も言われてきたところで、各大学がそういうマッチングをやっていると、御指摘のとおりでございます。ただ、それが全国的に見える化されているかというと、そうでもないという部分もあろうかと思いますので、それは今後の取組になろうかと思います。
すみません、一通り御発言いただいていきたいのですけれども、竹山委員、どうぞ。
【竹山委員】 ありがとうございます。さっき宮田委員のほうからも言及がありました若手の年齢に明確に40歳にしたことへの質問です。
第2のキャリアとして博士を目指した人たち、修士取得後一度企業就職をしたのち再度博士号を取得してアカデミックを目指す場合もあります。ですので、よくあるのは博士号取得後8年などの条件を付けることが多いです。
この40歳というところに、附帯事項として、博士号取得した後何年とつけることによって、優しい言葉になるのではないかと思いますので御検討いただければと思います。
【宮浦主査】 ありがとうございます。年齢的に、よくぞ書いたという御意見と、じゃ、41歳はカテゴリーから外れますかというようなそういう厳密な意味での年齢、もちろん書き込んでいい部分、有用な部分と、あとはやはり企業で、第2のキャリアパスというので一念発起してアカデミアに戻ってきて学位を取られた方は年齢制限に引っかかるというようなこともあろうかと思いますので、その辺を若干配慮した書き方。また、若手という表現が、じゃ、何歳なのかということ等年齢的な問題、学位を取ってから何年以内という問題など、ポスドクについては若干幅があってもいいのじゃないかという御意見かと思います。
高橋真木子委員ですね。お願いします。
【高橋(真)委員】 ありがとうございます。まずは小林先生、取りまとめをありがとうございます。全体的には大変きれいにきちんとおまとめ頂いたと思うのですけれども、コメントが2つあります。まずコメントの前の前提認識から申し上げますと、1つには、この議論を始めていただいたときと、今このCOVIDの中で、とりわけ来年度以降、大学との共同研究のメインプレーヤーとしての日本の製造業の研究開発投資がどれぐらい減っていくのか、しかもそれはここ1年、2年の話ではないだろうという、よりシビアな環境が続いていくということをどのぐらい盛り込むのかという点です。とりまとめの9月の時点で、ここからの二、三年というのは非常にシビアだということがかなり見えてきているという認識ですので、今この段階でまとめるときに、その点を書かなくていいのかなというところが1つ思ったところです。
もう一つ、今までの御議論の中で、この文書が対象とする人物像について、メインターゲットではないのですが、要は、ノンアカデミックキャリアで今後活躍してほしい人たちがこの文書を読むときに、どういうメッセージが伝わるかというところ……、すみません、いつも早口なので、もうちょっとゆっくり言います。というところから、2点ほど具体的に申し上げます。
1つは、これはぜひ、URA経験をもち推進する立場から、変えていただければなと思う点がページ9の一番上の丸なのですけれども具体的にあります。ここに、URA等のいわゆる研究のソフトインフラも活用しなさいというふうに書いてあります。ただ、これ、私の立ち位置から読むと、ポスドクの方が望むべくはアカデミックキャリアのいわゆるPIになっていくときにインフラとしてのURAを活用できるようにしたらいいねというのは、今後もしかしたらいわゆる産業界やPM、プログラムマネジャーやプログラムダイレクターや、URAのような人に自らなっていく人たちが読むということを考えると、そういう職種は研究環境なのか、という、ある種愛の無いメッセージとして読めます。
これは本を正せば、「科学技術白書」にURAのような人材がここ10年重要だと言われているのに、いまだに「環境の一要員」という取り扱いになっているところに根本的な問題があると思っています。その立てつけに従えばこの2章のここにあるのは理解できるのですが、とはいえ、文言は表現ぶりで随分印象は変わるのだと思います。そういう意味で、ぜひこの9ページ目の丸、ポストドクターがモチベーション高い状態を維持していくためにこういうサポートも使ってねというのではなく、時代は今やチームサイエンスですね。いかに研究者がボトムアップのキュリオシティドリブンの素晴らしい研究をやっても、それだけでは研究成果がイノベーティブなものにつながらないということが言われている中で、こういう人たちとのコラボも重要だということをきちんと書いていただくというのはぜひお願いしたいところです。これが1点目。
もう一つ、既にお話が出ていましたが、いわゆるチームサイエンスで、PIという立ち位置であろうと、今後競争的資金がプログラムダイレクター、マネジャーがより重要になっていく中で、トランスファラブルスキルというのは非常に重要だと思います。実はそういう意味では、またURA等で恐縮ですが、URAは昨年、今年で、来年度以降のナショナルインフラに向けて、スキル標準とか質保証という動きをやっています。共通の物差しとして、自ら何ができますかというところの自分の得意項目の共通言語化を行っているので、これはVitaeのようなものとほぼ同じです。
また、JSTは、プログラムマネジャー人材育成という事業をやっていますが、こちらともURAの質保証は連動しながら、いわゆるドクターを持って、研究の何たるかを知り、ラボの活動を理解した人たちが、多様化したキャリアを進める。学術研究以外のところのスキルというのも実は重要だというメッセージを出していただければと思います。
それを具体的にどうするかということに関していうと、やはり最初の「はじめに」という部分がとても大切なのではと思います。2点目についての具体的なお願いは、「はじめに」のところに、先ほど川端委員が言っていただいたように、この文書のメインターゲットは、資料2-1の四象限の軸とかもすごく分かりやすかったですが、いわゆるアカデミックキャリアを目指すポスドクの方たちなのだけれども、それ以外の人たちがいることがちゃんとスコープに入っているということの明文化と、そことのコラボが重要であるというところをぜひ、なお書きの最後の下2つの丸ぐらいでしょうか、そこら辺に入れていただくと、メインターゲットとそれ以外というふうな軸もクリアになると思うので、ぜひそこだけは小林先生、お願いしたいと思います。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございました。御指摘、まずURAの問題ですね。URAについてはかなり議論もしてまいりましたが、まだまだのところがあり、第三の職種として、博士号を持った方の優秀なURAを全国的に増やし、かつ活動していただくという点で、ポスドクの方の多様なキャリアパスの1つとしては非常に重要な位置づけであるということをもう少し見える化して書き込むという点が第1点目。
あとは、「はじめに」のところが極めて重要ですので、今の視点を盛り込んだところで少し改定をしていただけるとありがたいと、そういう御意見だったと思います。ありがとうございます。
柴原委員の手が挙がっています。どうぞ。
【柴原委員】 ありがとうございます。基本的なことを1つ教えていただきたいのですけれども、大学から離れて2つ目のキャリアパスへ入っていくために、企業側の考え方が多分大事だと思うのですね。今回40歳で切ったというのは非常に分かりやすいことだと思っていますが、第2のキャリアパスとして受け入れてくれる企業さんとかそういう方々が、例えば40ということに対してどういう感想をお持ちか、その辺調査はされたのでしょうか。例えば35だったらいいけど、40はちょっとなということがあるかもしれない。そうなったときに40というのは本当に妥当かどうか、その辺のことをお聞かせ願えればと思います。
以上です。
【宮浦主査】 産業界におけるキャリアパスという面を強化するのに非常に重要な視点かと思います。委員の中で産業界の方、キャタピラーの塚本委員、いかがでしょう。すみません、突然。
【塚本委員】 ありがとうございます。塚本でございます。外資系企業の場合は、年齢ではなく、本人の資質や何ができるかを重要視するので、40歳だからどうこうというのはあまりないと思います。
このガイドラインについても少しコメントさせていただきますと、対象となるオーディエンスを大学・研究機関とし、非常に流れるストーリーになっていると考えます。宮田委員や狩野委員がおっしゃっていたように、企業もキャリアパスとしてあるほうがいいというのはその通りで言及したほうがいいと思います。他方このガイドラインを文字通り受け止めると、研究に専念できる環境を確保しなければいけないなどとなっているので、企業としては、今、コロナで76万人離職したとか、4月~6月のGDPがマイナス27%とか、非常に厳しい環境になっている中で、ポスドクの優秀な人が来たらいいなとは思ったとしても、これだけの環境を用意するのは厳しいと思われる可能性もあろうかと考えます。従いまして、「はじめに」とかもしくは別の章などで、産業界の可能性を入れていただいたほうが、よりアピールするのではないかと思いました。
以上です。ありがとうございます。
【宮浦主査】 ありがとうございます。同じく産業界、髙橋修一郎委員、手が挙がっています。お願いいたします。
【髙橋(修)委員】 リバネスの髙橋です。どうよろしくお願いします。小林先生、取りまとめありがとうございました。
外資系企業に関しては塚本委員のおっしゃったとおりだと思うのですけれども、内資の企業について知る範囲でお話しできればと思います。博士課程やポスドクの方についても、大手志向が強いというか、知っている企業じゃないと安心できないというところがあると感じているのですが、そういう大手企業では、採用を含め非常にルールがきっちりしています。ある大手企業で私が聞いて少し驚いたのですけれども、例えば博士を卒業した博士取得者を採用する場合は新卒扱いだけれども、1日でもポスドクをやった場合は中途の枠組みで採用を見ることになる。理屈でいえば確かに分かるのですけれども、じゃ、中途という枠で見たときに、ポスドクを経験された方と、ほかの企業をやってきた方とが並んだときに企業側から見てどう映るかと考えたときに、やはり産業界での経験があるとなしとで評価されてしまう部分も出てくるのじゃないかなと感じています。
ポスドクの方は、やはりアカデミアのキャリアを第1に考えていると思うのですが、その道が厳しいとなったときに、じゃ、産業界も見てみようかという順序になってくると、産業界としてはなかなかタイミング含めてアプローチしにくいなと感じています。感覚的な話ですが、アカデミアで評価される方と産業界で求められる人材というのは、実際かなり重なっていますので、卓越研究員制度のところなんかでも議論になる部分かもしれないのですけれども、産業界とアカデミアが、同じようにキャリアに関してアプローチができるということになると少し変わってくるかなというのが私のコメントです。
以上になります。
【宮浦主査】 ありがとうございます。産業界とアカデミアをイーブンに用意ドンで同等に考えて、キャリアパスという視点で考えていくべきであるという……。
【髙橋(修)委員】 べきという話ではなくて、現状認識としてやはりアカデミアでずっと育ってきて、アカデミアで研究者志向が非常に強い方から見たときの産業界というものが、やはり2番目、3番目の選択肢になっている中で、産業界側からのアプローチで採用となるのは少しハードルがあるということです。まず、ポスドクの方々の産業界というものに対しての理解を促進する取り組みが必要だと思います。先ほど狩野委員おっしゃっていたようなコミュニティみたいなものがある中にうまく産業界がアプローチをできるとか、何かそういうような工夫が一歩目としては私はいいのかなと考えています。
【宮浦主査】 ありがとうございます。コミュニティのお話が出ました。非常に重要なところで、キャリアパス支援を各組織でもやるべきであるということが本ガイドラインではしっかり書かれている部分ではありますけれども、それをつなぐような産業界も含めたコミュニティの活用ということも可能であれば盛り込むことも検討いただければと思います。
すみません、じゃ、お時間がそろそろ次に行きたいと思っているのですが……、あ、横山委員が手挙がっていますか。すみません。手がどんどん挙がっております。短めでお願いいたします。横山委員からお願いいたします。
【横山委員】 恐れ入ります。既にほかの委員の先生がコメントされましたように、COVID-19下で通常の状況とはかなり異なる状況になっていると感じます。例えば私のおります東大のKavli IPMUでは、ポスドクを国際的にアピールする新たなZoomコロキウムを予定しています。コロナ禍では国際会議の多くがキャンセルあるいはオンラインになって、若手が国際的にアピールするような場がシュリンクしていると懸念をしています。そうした状況下で、通常は流動していく優秀な層も動きが限られてしまっている状況であり、機構長のリーダーシップでこうした活動をすることになりました。
この時期の議論ですので、やはりこうした状況を前段のところに強く書き込んでいただくということ私も強く希望したいと思います。
以上です。
【宮浦主査】 おっしゃるとおりでございまして、海外留学とかポスドクの方がそろそろ海外で数年やろうということなどのステップが全部止まってしまっているということが起きていますので、先ほどのアカデミア、産業界、URA、また、海外の活動ということも含めた形で考えていければいいかなと小委員会のほうで御検討いただければと思います。
隅田委員から手が挙がっております。いかがでしょう。
【隅田委員】 ありがとうございます。じゃ、手短にしたいと思います。今のレポートでいいなと思ったのは、機器利用等の配慮はとても助かると思います。能力があって、予算はあるのだけど、初期投資するような大きな予算がないときに、それをうまく使うような仕組みをつくっていただくとやっぱりいいと思います。
こういうものを入れたらいいのではないかという点で2点。1つは、狩野先生言われたのですが、やはり能力が高い人がいろいろな制約の中でうまくいかない時期という考えもあるので、カウンセリングとか精神的ケアとかそういうのがやっぱり必要なんじゃないかなというのが1つと、あと、その他のところで、多様性に関わるようなところはしっかりと入れていいのではないか。女性とか、ハンディキャップがあるのだけれども非常に能力のある人の話とか、あとは留学生のこととか、そうした多様性に関わることはその他で入れたらいいと思いました。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。カウンセリング、これも横つながりの、先ほど話題にあったような、なかなか機関の中あるいは担当PIだけでは難しい部分もあると思いますので、カウンセリング機能、まさに先ほど御指摘いただいた、留学や海外の活動が止まっているなども相談できれば、何かいい道も出てくるかもしれないということも含めて重要だと思います。
また、多様性、ダイバーシティー、ジェンダー、あるいはルールの中には一部、出産後のキャリアの年数を少し、ドクターを取ってから何年というところをプラス2年とかやっている制度もございますが、その辺りも少し、ポスドクの中で女性や外国人が占める割合は結構高いと思いますので、そういう書き込みもできるといいかなと思います。
ほぼ御意見いただいてきたところなのですけれども、事務局から御発言ございますか。
【楠目人材政策推進室長】 失礼いたします。ありがとうございます。幾つかの御質問いただいた点等について、少し手短に補足をさせていただきます。
まず宮田先生から御質問いただきました産業界へのキャリアパスについては、少し私の説明が不十分だったかもしれませんけれども、3年から7年で次のステップへ進むということは当然産官学を通じてのことを考えておりまして、産業界については、13ページのところにインターンシップの活用ということを書いてありますが、ここを中心に書かせていただいているところでございます。アカデミア以外についても書かせていただいているところでございます。
狩野先生からいただいた意見につきましては、文言の調整等はまた小委員会の先生方と御相談させていただきたいと思いますし、既存の事業等と連携を図れるような部分のアドバイスもいただいたと思いますので、そうしたことも検討させていただきたいと思います。
あと、川端先生から御意見いただきましたこと、もう少し前向きに書けないかということやPIの意識改革といったことは、これまでの意見も踏まえてある程度盛り込んでいたつもりではあるのですけれども、まだまだ不十分なところがあると思います。また小委員会のほうで御議論させていただければと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
それからあと、御質問としていただいていたこととして、柴原先生からの、企業側のということでございます。産業界の委員の先生方からも御回答いただいたところでございますけれども、いろいろな機関や産業界の方々からのヒアリング等をする中で御意見を聴くことはございまして、統計的なものではなく、やはりそれぞれまちまちではあるのですけれども、やはり35歳を過ぎると厳しいとか、40歳を過ぎると厳しいとか、そういった声は実際にはあるところでございます。
また、ポスドクの博士号取得後何年かに応じて、その翌年の就職状況を見ますと、博士号を取った後11年から12年頃の段階までに次のステップに移っていく者が多くいるという状況もございまして、そういったことも踏まえまして、やはり40歳までに一度キャリアを見極める機会を設けるということが非常に重要だということを考えております。そういった御意見も多くいただいておりますので、今回こういった40歳ということを1つ区切りとして入れさせていただいているということは補足させていただければと思います。
あとは、無期転換のことと雇い止めのことですが、労契法の規定については、無期転換の規定などについては従わなければならないということだと思いますが、必要があるのであれば、そうしたことも含めて少し追加することなどもまた小委員会のほうの先生方の御意見もいただきながら調整させていただきたいと思います。
以上でございます。
【宮浦主査】 ありがとうございます。それでは……、宮田委員、一言どうぞ。
【宮田委員】 ありがとうございました。インターンシップ活用などでお茶を濁してはいけないと思っております。やっぱり我々ずっと議論してきたのは、キャリアパスの多様化なのです。それが多分この問題を救う鍵になりますので、キャリアパスの多様化も考慮するみたいな項目立てが必要だと思います。御配慮願いたいと思います。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。小委員会のほうで、キャリアパスの多様化ということをしっかり章立て等で強化していただくとありがたいという御意見を頂戴したところです。
すみません、お時間になりましたので、こちらにつきましては、本日いただいた御意見を参考にしていただきまして、引き続き小委員会のほうでどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、次の議題に移らせていただきます。時間が司会の不手際で押しておりますので、次の議題は急ぎでやらせていただきます。議題3でございます。科学技術・学術政策研究所と文部科学省において昨年度実施いたしました研究人材に関わる2件の調査について、速報版がまとまっておりますので、事務局から御説明をお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】 事務局でございます。資料3-1、3-2を御覧いただければと思います。まず資料3-1でございますが、「研究大学における教員の雇用状況に関する調査」についてという資料になります。なお、冒頭でございますが、3-1と3-2につきましては、速報版の結果となってございますので、年度末に確報版として出す予定ですが、数値の変動は今後あり得るということで御了承いただければと思います。
まず資料3-1、1ページおめくりいただきまして、「研究大学における教員の雇用状況に関する調査」についてでございます。こちらについては、研究大学において教育研究活動に従事する常勤の教員につきまして、年齢構成や任期の有無、給与等の状況を把握するために行ったものでございます。調査の時期でございますけれども、平成25年10月1日時点及び令和元年10月1日時点に在籍した教員の雇用状況について調査を行ってございます。また、調査対象機関につきましては、次のページに詳しく具体名を書いてございますが、RU11を構成する大学あるいは国立大学法人運営費交付金の重点支援において重点支援マル3に当たる大学として18大学を対象としてございます。こちらの調査の公表時期につきましては、速報版は先ほど申し上げたとおり、8月28日に既に公表してございますが、確報版を年度末をめどに公表するべく現在も精査を進めてございます。
2ページ目は飛ばさせていただきます。
続きまして、3ページ目も、ポイントをまとめてございますが、4ページ目以降で詳しく御説明させていただきますので、4ページ目に飛んでいただければと思います。まず教員における任期の有無と年齢別職位構成でございます。まず18大学の総教員数につきましては、平成25年度から令和元年度にかけまして518名増加してございます。一方で、若手教員に限りますと、こちらは39歳以下でございますが、1,310人減少しております。一方で、中堅教員(40歳以上59歳以下)は886人増加、シニア(60歳以上))につきましては942人増加となってございます。また、任期つきの教員の割合に着目いたしますと、若手、中堅、シニアの全ての区分で増加しておりまして、若手では、これは割合で考えてございますが、0.5ポイント増加、中堅は3.0ポイント増加、シニアについては5.5ポイント増加をしているという状況でございます。
続きまして、5ページ目を御覧ください。教員の任期の長さと契約可能な最長期間について調べてございます。まず任期つきの教員(テニュアトラック教員を含む)の任期の長さを見ますと、「5年以上6年未満」という割合が令和元年度は28.9%、また、「1年」(令和元年度は27%)の割合が大きいというふうな結果が出てございます。下の左側の円グラフでいう、赤枠で囲った部分が「1年」と「5年以上6年未満」というところでございます。特に下の円グラフを見ていただきますと、「5年以上6年未満」が、平成25年度は23.2%であったのが、28.9%と割合が増加しているというところが見てとれます。
一方で、契約可能な最長期間についても併せて聞いてございますが、「10年以上」の割合が最も高くて、また、「5年以上」の割合が8割を占めているという状況になっております。特に「10年以上」の割合につきましても、右側の円グラフ、赤枠で囲ってございますところにあるとおり、平成25年度は38.8%であったものが45.2%に増えているというふうな状況になってございます。
続きまして、6ページ目を御覧ください。特任教員の職位別給与月額の内訳についてでございます。こちら、令和元年度の特任教員の職位別給与について調べましたところ、それぞれの区分について、給与額が最も高い割合を上の四角囲いに書かせていただいております。特任教授、こちら、平均59.2歳ですが、これは「65万円以上」、また、特任准教につきましても、平均45.5歳で、「65万円以上」が一番多かったという結果でございます。また、特任講師、こちらは平均年齢42.3歳が、「50万円以上55万円未満」が一番多い。また、特任助教(平均37.7歳)につきましては、「40万円以上45万円未満」が一番多いという状況です。また、特任助手につきましても、平均38.1歳でありますが、「45万円以上50万円未満」が一番多かったという結果でございます。
最後のページでございますけれども、こちらの調査の分析・活用につきましては、教員統計調査がコロナウイルスの感染拡大にともない12月公表予定と聞いてございますが、そういった全大学の状況とともに、次期科学技術基本計画における目標作成等の基礎資料として活用していきたいと考えております。
また、課題への対応につきましては、まず若手研究者の安定的なポストの確保につきましては、国立大学における人給マネジメント改革あるいは卓越研究員事業を引き続き推進していくということ、また、プロジェクト雇用等の任期つき研究者の処遇の確保につきましては、まさに現在御議論いただいておりますポスドクのガイドラインにおいて、望ましい給与水準の確保等についても盛り込み、大学や関係機関に取組を促してまいりたいと考えております。
駆け足で恐縮です。資料3-2を御覧いただければと思います。続きまして、「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査」についてでございます。
1ページ目を御覧ください。まずこちらの調査でございますけれども、大学・公的研究機関において研究活動に従事しているポストドクター等について、任期や雇用財源等の状況を把握してございます。こちらのポストドクター等につきましては、下にちょっと小さい字で定義を書かせていただいておりますけれども、博士の学位を取得した者あるいは所定の単位を修得の上博士課程を退学した者(いわゆる満期退学者)のうち、任期つきで採用されている者で、大学や大学共同利用機関で研究業務に従事している者であって、教授・准教授・助教・助手等の学校教育法第92条に基づく教育・研究に従事する職にない者、または研究開発法人等の公的研究機関において研究業務に従事している者のうち、研究グループのリーダー・主任研究員等の管理職にない者という定義で調査をしております。
調査の概要につきましては、いつの調査かといいますと、2018年度に在籍したポストドクターに関して調査を行っております。ちなみに、前回は2015年度に在籍した者を対象に調査を実施しておりました。調査対象機関につきましては、広く大学、ただし、短期大学は除いてございます。また、大学共同利用機関、国立試験研究機関等、あと、研究開発法人とか、ポストドクターが在籍しているだろう機関に幅広く調査しておりまして、こちらの公表につきましては、まさにこの人材委員会で公表という形でさせていただいております。なお、確報値につきましては、こちらも今年度末の確報値の公表に向けて今現在作業を進めております。
続きまして、2ページ目、調査結果のポイントでございますが、こちらも3ページ目以降に詳細が書いておりますので、説明は割愛させていただきます。
3ページ目を御覧ください。まず全体的な状況でございます。ポスドクの延べ人数につきましては1万5,591人ということで、前回の調査に比べまして319人減少しているという状況です。また、平均年齢は37.5歳でございますが、近年年齢が上昇傾向にあるというところ。また、男女比でいいますと、女性が29.8%でありまして、こちら、女性の割合も近年増加傾向にございます。また、外国籍の者につきましては4,694人で30.1%でございまして、割合・人数が増加しているという状況にございます。
続きまして、4ページ目を御覧ください。雇用に関する状況の主な雇用財源についてでございます。まずポストドクター等の主な雇用財源につきましては、基盤的経費等による雇用が最も多く、5,209人(33.4%)がこちらの基盤的経費で雇われているという状況です。一方で、競争的資金以外の外部資金による雇用が3,086人(19.8%)でありまして、前回の調査に比べまして1,233人増えているという状況にございます。
続きまして、5ページ目を御覧いただければと思います。雇用に関する状況の任期の長さ、また、契約可能な最長期間でございます。こちらの契約可能な最長期間につきましては、今回初めて調査項目に加えたものでございます。まず任期の長さが「3年未満」のポストドクターにつきましては、1万534人で67.6%でございます。一方で、契約可能な最長期間が「5年以上」のポストドクターにつきましては7,168人で全体の46.0%を占めているという状況でございます。
続きまして、6ページ目を御覧ください。キャリアパスの状況になります。次年度(2019年4月1日時点)にポスドク等を継続している者につきましては、1万1,102人(71.2%)でございますけれども、前回の調査に比べて16人減少している一方で、割合でいいますと、全体の数字が減っておりますので、1.3ポイント増加をしているという状況でございます。また、次年度に大学教員やその他の研究開発職に職種変更した者につきましては2,030人(13.0%)でございまして、前回の調査に比べて324人の減少、割合でいいますと1.8ポイント減少しているという状況にございます。
この調査の結果を踏まえた今後の取組の予定でございますけれども、分析につきましては、引き続きこの人材委員会あるいはポスドク小委の検討において御活用いただければと思っております。
また、課題への対応につきましては、まず安定的な研究環境の確保につきましては、まさにポスドクガイドラインの中に雇用の受入環境の改善等について盛り込みまして、各大学や関係期間の取組を促してまいりたいと思っております。また、キャリアパスの多様化につきましては、卓越研究員事業あるいはトランスファラブルスキルを養成するような、世界で活躍できる研究者戦略育成事業等を実施しておりますが、これらを引き続き推進するほか、こちらについても、ポスドクガイドラインにつきまして本日様々な御意見を承ったところでございますけれども、こういったところを通じまして大学・関係機関の取組を促してまいりたいと思っております。
大変駆け足で恐縮ですが、事務局からは以上でございます。
【宮浦主査】 御説明ありがとうございました。アンケート、調査の速報版として出していただきました。先ほどから議論してまいりましたガイドライン、ポスドクの諸課題とも非常に連動してくるところでございますし、新規の項目にも数字が出てまいりました。任期の長さ、例えば「3年未満」が67%とか「5年以上」が46%ですかね、こういう、実際数字で新しい数字も出てきましたので、その辺りも見ながらガイドライン等の議論にも反映していくべきかなと思っているところでございます。
ここで、二、三御意見、御質問をいただきたいところなのですけれども、挙手機能で御自身で一度挙げて下ろされていない方が数名いらっしゃいますので、御確認いただいて、今この質問がない場合は下げていただいてよろしいでしょうか。
今、3人手を挙げていただいております。本調査に関する御質問であろうと思います。塚本委員、どうぞ。
【塚本委員】 間違えました。手を下げたつもりが、下げてなかったです。失礼しました。
【宮浦主査】 分かりました。狩野委員、挙がっていますか。
【狩野委員】 はい、挙げていました。ありがとうございます。質問というよりはコメントなのですけれども、先ほど来出ています多様化の逆の方向として、平均値だけだと分かりにくくなってきている世の中だと思います。よろしければ、中央値とか最頻値に関しても教えていただけたほうがいいかなと思っています。
それを思ったきっかけをちょっとだけ申し上げますと、以前、若手研究者に対する研究費が平均でこれだけですと言っていたのを聞いたことがあった際に、大分実感と違うなと思った経験があるのです。今、例えばの例として、ある10人の集団で、1人だけ1億円もらっていて、あとの9人が50万円もらっている場合の平均値と最頻値を計算してみますと、平均値だと約1,000万円になりますけれども、最頻値と中央値は50万円になります。よろしくお願いいたします。
【宮浦主査】 今の御質問についていかがでしょうか。何らかの情報ございますか。
中央値につきましては、項目で検討可能かどうかも含めて、事務局のほうで、すみません、今後検討していただくということでよろしいでしょうか。今すぐ数字をお答えいただくのも……。
【楠目人材政策推進室長】 すみません、今すぐにはちょっと難しいところがございますので、最終の集計に向けてまたいろいろ御意見を踏まえて検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
【宮浦主査】 狩野委員、御指摘ありがとうございました。非常に重要な点であろうと思います。
八木委員、手が挙がっております。どうぞ。
【八木委員】 ありがとうございます。非常に興味深いですが、もう少しこの数値の中身が分かると面白いなと思ったのが、まず雇用に関しておおむね5,000人ぐらいが基盤的経費で、あと、競争的と、外部資金は多分民間企業等だと思うので、後半は多くが研究に従事しているポスドク、いわゆる任期つき雇用かと思うのですね。一方で基盤的経費になってくると職種が多様化してくると思うので、ここの中の内訳が分かると非常に分かりやすいなと思います。要は、基盤的経費の中で自分のところの部局、また、大学の研究者を雇っているのか、それとも、いわゆる第三の職種が主体なのか、そこはぜひ知りたいです。
それから、2つ目には、これは言葉の定義がどっちなのか聞きたかったのですが、契約可能な最長期間については「5年以上」の任期の者は5割弱を占めているというのは、これ、一番初めに雇用されたときの任期が5年以上であったという意味合いなのか、それとも、通算で5年以上契約している人なのか。多分前者だとは思うのですけれども、確認です。
以上。
【宮浦主査】 今御指摘いただきました、基盤的、運営費交付金等による雇用の場合が結構、33.4%と多いわけですけれども、その中身といいますか、内容、職種を調べることが重要であろうと。URAであったり、特任教員であったり、演習・実習等の教育を担当していたり、様々なケースがあろうかと思いますが、その内容面の、調査の中でそういう情報はございますか。事務局、いかがでしょう。
【楠目人材政策推進室長】 ありがとうございます。職名についてまではこちらの調査では把握はしていないのですけれども、研究業務に携わる者の中でということで前提をつけておりますので、研究業務に携わっている方がカウントされていて、個別の事情を見ると、宮浦先生おっしゃっていただいたように、研究員という形であったり、名称は特任何々という形であったり、それは様々なものがあると思いますけれども、こちらは統計調査なので項目を増やすことは少し難しいところもあるかもしれませんけれども、個別のヒアリングなどをする際そういったこともよく把握して、また何らかの形で御報告できるようにさせていただければと思います。
あと1点は、契約可能な最長期間のところですけれども、ポスドク調査のほうの5ページだと思いますが、任期の長さというほうがいわゆる契約上の任期でございます。ですので、毎年更新しなければいけないと言われているものの長さが左側でございまして、それを何年まで繰り返せるか、何年まで更新できるかというものの定めが、右側の最長期間というような形になっております。
以上でございます。
【八木委員】 よろしいですか。
【宮浦主査】 どうぞ。
【八木委員】 そうしてきますと、この「5年以上」というのは、最長期間5年以上雇っているけれども、繰り返し契約更新してきているという具合に思ったらいいわけですね。決して7年の任期で雇われているわけじゃない。
【楠目人材政策推進室長】 さようでございます。契約自体は1年というような短い形になっておりますけれども、それは雇い止めとか条件がありますので、当然何回か繰り返して、何年間かは安定的な形での雇用を大学のほうはしていただいていると思うのですが、それの最長期間というのが右側のほうの長さになっているところでございます。それを把握するために今回新たに取ったということでございます。
【八木委員】 あともう一点、多分言葉の使い方なのですけれども、ポスドクということと、特任の教員というのが、今現状でいうと、競争的資金で雇われるときには同義だと思うのですね。一方で、部局で教育をサポートする意味で雇われている特任教員もいると思うのですね。それが多分今これ、ごっちゃで入っていて、実は特任教員の多くは実質ポスドクだという具合に私は個人的には認識しているのですけれども、その辺のところの切り分けがちゃんとできているのかちょっと気になりました。
【楠目人材政策推進室長】 そちらにつきましては、研究大学の調査のほうでは、教員として教育と研究に携わっている者をカウントして、常勤の者をカウントしておりまして、こちらのポスドク調査では、研究業務に携わる者という定義にしておりますので、それを基に各大学で判断されて、重複等がないように仕分けをしていただいているというふうに考えております。
【八木委員】 はい。
【宮浦主査】 ありがとうございます。恐らく御指摘の点は、研究に携わるというカテゴリーでも一部教育の補佐とか様々なパターンが、多様な状況が生じているということを御指摘になられているかと思います。なかなか数字で出しにくいのですけれども、調査対象機関へのヒアリング等で実態調査のような形で少しお調べいただく機会があるとありがたいかなと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
宮田委員、どうぞ。
【宮田委員】 ありがとうございます。3ページの図で、ポスドクはやっぱり外国籍の方が相当増えてきていて、国内での減少をある程度補っている状況だと思うのですが、昨今の国際的な政治情勢で、外国籍の学生依存というのが結構リスクになってきているのです。ですから、報告書に明記するかどうかはともかく、私どもにぜひ教えていただきたいのは、外国籍の内訳ですね。僕が知っている某研究大学の工学部の教室なんかは、もし中国からの留学生がゼロになったら研究そのものが立ち行かない状況になっていますので、そういう意味のリスク管理としてもやっぱり私ども知りたいと思っております。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございました。国籍の問題ですね。こちらもヒアリング等で少し情報を取っていければいいなと思っております。
【楠目人材政策推進室長】 宮浦先生、失礼します。
【宮浦主査】 はい、どうぞ、事務局。
【楠目人材政策推進室長】 今御指摘いただいた後段の国籍のほうですけれども、国籍についてはどこの国かということを取っておりまして、速報版では少し大まかにアジアとかヨーロッパとかそういうレベルでしか出しておりませんけれども、年度末の最終版のほうではそうしたことも入っておりますので、また御参照いただければと思います。
【宮田委員】 よろしくお願いします。本当にリスクになっているので、よろしくお願いします。
【宮浦主査】 ありがとうございます。それでは、次のバージョンでは出てくるということで、どうぞよろしくお願いいたします。
竹山委員、手が挙がっております。どうぞ。
【竹山委員】 キャリアパスの状況ですが、ポスドクの3割ぐらいが女性だということですので、その女性のキャリアパスの情報を是非お示しいただければと思います。
【楠目人材政策推進室長】 すみません、よろしいでしょうか。重要な視点かと思いますので、また少し検討させていただきたいと思います。男女別は取っておりますので、集計は可能です。
【竹山委員】 お願いします。
【宮浦主査】 ありがとうございます。30%が女性で、外国人も非常に増えているということで、キャリアパスの状況等については、ヒアリング等で少し情報が集められればいいかなと思っております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
そのほか御質問ありますか。よろしいですかね。それでは、本件はここまでとさせていただきます。
その他に移らせていただきます。次に、議題4でその他でございます。事務局よりお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】 事務局でございます。その他として2つお話しさせていただきたいと思います。
1つ目でございますが、資料4を御覧いただければと思います。科学技術・学術審議会学術分科会及び情報委員会において、「コロナ新時代に向けた今後の学術研究及び情報科学技術の振興方策について」という提言の取りまとめが現在も進んでおります。一方で、この人材委員会に関する、まさに研究人材とか、あるいはURAとか、そういった記載もございましたので、宮浦先生とも御相談させていただきまして、8月の下旬に事務局のほうからメールで御意見をお伺いしたものでございますが、こちら、意見をいただいた委員の方々の御意見を学術分科会のほうに人材委員会からの意見として提出させていただきました。
資料4で配付してございますのは、現状の学術分科会の提言の内容でございます。ページ数でいいますと7ページの下の部分から、博士後期課程学生等への支援、あるいはURAの活用といったところで記載が、皆様からいただいた御意見を踏まえて検討が引き続き進められているところでございます。こちら、現状の御報告でございますとともに、御協力をいただきました委員の皆様におかれましては、大変お忙しいところ、ありがとうございました。
続きまして、資料5でございますけれども、今後の審議スケジュールの予定でございます。こちらの資料5を御覧いただければと思います。令和2年度につきましては、今回赤枠で囲ってありますが、まさに本日、人材委員会と小委員会の合同開催ということで、ガイドラインの検討等を行っていただきました。
次回につきましては、小委員会のほうは、本日いただいた御意見等を踏まえまして、改めて10月以降に会議を設定させていただきまして、10月頃にはガイドライン案の策定を進めさせていただきたいと思っております。
それを踏まえて、次回の人材委員会で改めてガイドラインの案について御審議をいただきまして、大体秋頃ぐらいまでにはこのガイドラインを決定していきたいなというスケジュール観を考えておりますので、引き続き、委員の皆様の御指導をいただければと思っております。
なお、こちらの具体的な開催日時につきましては、委員の皆様の日程を踏まえまして、主査の先生方と御相談させていただいた上で、改めて事務局のほうから連絡をさせていただきたいと思います。
また、本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にお目通しいただきまして、主査に御確認をいただいた上で、文科省のホームページで公表させていただきたいと思います。
今後もよろしくお願いいたします。以上でございます。
【宮浦主査】 ありがとうございました。本日非常にガイドライン関連でいろいろ御議論いただきました。いただいた御意見を少し整理する必要もあると思います。もちろん本日の議事録は作成されるわけですけれども、小委員会の御苦労も考えますと、議事録作成とほぼ同時期ぐらいを目安に、いろいろないただいた御意見を少しリストといいますか、整理をして、類似の御意見もありますし、章立てすべきというようないろいろな御意見を少し整理してリスト化するような形が好ましいかなと思っております。それに主査、宮浦もコミットさせていただき、それを小委員会のほうで検討していただくと、作業していただきやすいかなと。議事録そのままお渡ししても、なかなか非常に多くの御意見が出ましたので、少し整理をして小委員会のほうにお渡しできるような形にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
御賛同いただいた様子でございますので、そのような形で事務局と少しやり取りをさせていただき、小委員会のほうにも反映させていただきやすい形でお渡しできればと思います。小林先生、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
【小林主査】 はい、分かりました。
【宮浦主査】 大変な御苦労ありがとうございます。少し整理をさせていただいてお渡しできるような形にしたいと思います。
本日の予定は以上でございます。特に手も挙がっておりませんので、本日はこれで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。


―― 了 ――
 

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