人材委員会(第110回)議事録

1.日時

令和7年7月9日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省 東館 15F 科学技術・学術政策局1会議室 及び Web 会議(Zoomウェビナー)

3.議題

  1. 今後の科学技術・人材政策の基本的方向性について(次世代人材育成ワーキング・グループ及び科学技術人材多様化ワーキング・グループにおける検討の状況について)
  2. 今後の科学技術人材政策の方向性(中間まとめ概要及び本文)(案)について
  3. その他

4.出席者

委員

 狩野委員、天野委員、稲垣委員、江端委員、梶原委員、川越委員、迫田委員、杉山委員、武田委員、玉田委員、桝委員、水口委員、湊委員

文部科学省

 井上科学技術・学術政策局長、福井大臣官房審議官、先﨑科学技術・学術総括官兼政策課長、奥人材政策課長、高見人材政策推進室長

5.議事録

科学技術・学術審議会 人材委員会(第110回)
 

令和7年7月9日

 
 
【狩野主査】 では、ただいまから第110回の科学技術・学術委員会人材委員会を開催いたします。 
 今日は、2件、議題の予定となっております。
 13名の皆様に出席をいただいておりまして、定足数が満たされています。
 では、議事に入ります前に、本日の委員会の開催に当たりまして、事務局から注意事項と資料確認をお願いいたします。髙橋さん、お願いします。
【髙橋人材政策課長補佐】  本日の会議は、対面とオンラインのハイブリッドでの開催になりまして、60名以上の方に傍聴していただいております。
 御発言の際には、対面で御出席の委員は挙手、あるいは名立てなどで合図をいただきまして、オンライン御出席の委員は挙手機能により挙手ボタンを押していただくようお願いいたします。主査より指名を受けましたら、お名前をおっしゃっていただいた上で御発言ください。機材の不具合などがございましたら、対面で御出席の委員は会場の事務局にお声がけいただきまして、オンラインで御出席の委員はZoomのチャット機能などでコメント、あるいは御連絡をお願いいたします。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。資料としまして、議事次第、資料1-1から1-3、資料2-1及び2-2、資料3、参考資料になります。資料については、Zoom上での共有も行います。議事進行の過程で不備などがございましたら、事務局までお知らせお願いいたします。
 以上になります。
【狩野主査】  ありがとうございました。
 では、本日は議題1として、ワーキング・グループからの報告を聞いていただいて、それに関する質問を主にしていただき、議題2として、今後の中間まとめに関することをよりたくさんの時間を取って進めたいと思います。その中にワーキング・グループの報告と共通するところもありますので、前半の議題1では、主に質問、質疑、疑義照会的なことを聞いていただければと思っております。
 では、議題1に入ります。今申し上げたとおりで、先日行われましたワーキング・グループの検討状況について、事務局からの説明をお願いしたいと思います。
 先に、次世代人材育成ワーキング・グループの報告を、髙橋さんからお願いいたします。
【髙橋人材政策課長補佐】  それでは、資料1-2を御覧ください。6月26日に第4回の次世代人材育成ワーキング・グループを開催させていただきまして、そこでいただいた主な意見について御紹介させていただきます。
 まず、博士課程の学生支援関係につきましては、1つ目の丸ですけれども、都市部と地方の格差において、今や物価は都市部が高いだけではなく地方も高くなっているため、その点も考慮してほしいという御意見や、世界の中で特別研究員(DC)という位置づけの競争力が落ちていることも考えて、経済的な充実を検討するべきだ。
 また、一方で、機関支援であるSPRINGは、層としての支援の形が見えているため、大学全体の教育研究の改善に対する影響力はあると。SPRINGのキャリアパス支援は、個別の学生への支援に加えて、産業界と学生をつなぐ架け橋を行う支援という受け止めであり、継続的に押していくべき支援になると、こういった御意見をいただいております。
 また、次のくくりとして初等中等教育段階における科学技術人材育成関係につきましては、子供たちの科学に対する興味・関心をどう育成するかは、環境整備も含めて幼児教育の段階から考えるべき課題であると。この文章のどこかで、幼児段階に関する取組にも少しでも言及していただきたいという御意見。
 また、理系進学率を高めるためには、理工系の学部で学べることや、その進路などについて国民に分かりやすくPRされることも非常に大事であると。
 また、キャリアパス支援への多様性を伝えていくというところが、将来的には博士人材の増や女性研究者増にもつながるため、女子中高生支援の拠点を増やして拡充してほしいという御意見や、高校の先生や保護者にとって、学校における各教科・科目と社会との関係性が見える形の支援になると、すごくよいということ。
 また、学部生のうちから博士後期課程進学支援について情報を発信していくようなアクションもあるとよいといった御意見をいただいています。
 ページをまたぎまして、科学コミュニケーション活動関係ですと、科学技術コミュニケーションの推進の在り方として、市民、産業界、アカデミア、政府をつないでいく形をしっかりと描けている点が今回新しいという御意見。
 また、科学館などでコミュニケーターと話すことにより、サイエンスの理解が深まるので、そのような場を増やすことが非常に重要であるといった御意見をいただいております。
 また、前回のワーキングにおきましては、この中間まとめ全体につきましても御議論いただきまして、そこでいただいた御意見はその他という形でまとめています。
 この中間まとめについて、こうした形で科学技術人材政策を進めていくことが国民の皆さんにアピールできるような、全体像が分かる1枚絵などがあるとよいという御意見。
 また、2つ下の丸へ行きまして、産業人材の将来像は、我が国の産業がどのような構造で成長していくのかという将来像と一致していかないといけないと。先端科学技術は展開のスピードが速い分野なので、次世代人材の育成で重要なのが人材流動であり、産業界と大学がパートナーシップをもって連携し、具体的な人材流動を強化する仕組みが進むとよいと。
 また、最後のところで、研究開発マネジメント人材についても、研究者同様に人件費や安定的なポストを確保できる枠組みがあると、流動性と安定性のバランスが取れて、目指す人の裾野が広がるのではないかといった御意見をいただきまして、議題2の中間まとめにも反映させていただいております。
 次世代ワーキング・グループの報告としては以上でございます。
【狩野主査】  ありがとうございました。
 では続きまして、6月30日に開催された、今度は人材多様化のワーキング・グループの報告について、髙見さんからお願いしたいと思います。
【髙見人材政策推進室長】  ありがとうございます。資料1-3を御覧いただければと思います。
 科学技術人材多様化ワーキング・グループでございますが、6月30日に開催をいたしまして、今回3点ほど主な意見として記載をさせていただいております。
 技術者につきましては、技術職員と研究者、こちらを便宜的に分けて整理をしているところですけれども、こちらは重複している部分があるため、両者に違いがあることを言い切るというよりは、技術職員の中に研究者的、研究という役割も存在するということが滲むようにしたほうがいいといった御意見をいただきました。
 また、前回の多様化ワーキングの中で、今日の資料2-1にお示ししているような中間まとめの概要をお示ししまして御説明をしたところから、こうした人材政策の方向性全体の議論を踏まえて、このワーキング・グループのまとめを取りまとめていくことが大事だといった御意見もいただいております。
 そして、研究開発マネジメント人材関係ですけれども、人事制度に関するガイドラインですが、6月30日付でまとめまして公表しておりますけれども、セットして終わりということではなくて、大学等現場の反応についてフィードバックをして、より一層進化できるようにしていくことが必要ではないかといった御意見をいただいております。
 ですので、いただいた御意見を踏まえ、本日の中間まとめの内容に反映をさせていただいているところです。以上でございます。
【狩野主査】  御説明ありがとうございました。
 こちら、少し内容が薄めかもしれない理由は、前回のワーキング・グループの会議時間内でかなりヒアリングをたくさんしておられてということもあるかなと思って拝見しておりました。
 それでは、2つのワーキング・グループからの御報告をいただきましたので、この説明に対して御質問がありましたら、ぜひいただければと思います。とりわけワーキング・グループの委員をされてない皆様方におかれては、ぜひ質疑がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 では、杉山先生どうぞ。
【杉山委員】  まず、次世代のほうのSPRINGについては、また後で議論があると思っていいですよね。
【狩野主査】  はい、また議論がございます。
【杉山委員】  人材多様化のほうで、技術職員と研究者ということが書かれているのですけれども、こちら私もすごく重要だと思っているのですけれども、技術職員が技術開発という意味で、研究力のある者になってもらいたいというような気持ちがあるわけです。つまり、雇用するときの、これまで技術職員は割とやはりサポートするスタッフというイメージだったのだけれども、これからはやはりそういう研究力もある技術職員、博士を取ったような人たちが欲しいというメッセージなのか、それとも今いる人たちをやはりもっと研究に向かわせるべきだという御意見なのか、これはどちらなのでしょうというのが質問です。
【髙見人材政策推進室長】  ありがとうございます。後者といいますか、今後の方向性として、技術職員にもっと研究力を身につけていただきたいというよりは、現実的に技術職員がワークするためにはというか、効果的に動くためには研究のことを当然分かっていなければいけなくて、研究支援を行っている方々という側面を捉えますと、研究の一端を担うという役割が既に内包されているので、そこをはっきりと区分けをして研究者と違うのであるというのが正しい整理ではないのではないかという御指摘でありまして、我々もそこは共感しているところでございます。
【杉山委員】  私はどちらかといえば、理想的にそちらに向かうべきだというふうには、そこは共感します。
【髙見人材政策推進室長】  ありがとうございます。
【狩野主査】  ありがとうございます。やはり政策においては言葉の定義が結構大事ですので、そういう御質問も大事かなと思って伺いました。
 ほかはいかがでしょうか。特に現段階でよろしければ、後半でまたいろいろ御意見をいただければと思いますけれども、よろしいですか。
 では、議題1については以上とさせていただきまして、早速ですが、議題2に移りたいと思います。
 今後の科学技術人材政策の方向性、中間まとめ概要と本文案についてということになります。こちらについての説明を、奥課長からお願いできればと思っております。後で質問、あるいは意見について気にしておいていただければと思うのは、6つ柱がありますけれども、それぞれについて時間を区切って質疑の予定にしております。題名で申し上げると、優れた研究者の育成・活躍促進について、産学で活躍する技術者の育成・確保について、大学等で活躍する高度専門人材の育成・確保について、大学・大学院における教育・研究活動の充実・強化について、初等中等教育段階での科学技術人材の育成について、そして、次世代人材育成に向けた科学コミュニケーションの展開という6つの柱を立てていただいております。これに向かってそれぞれに時間を区切って御意見をいただきたいと思っております。
 また、今日の議論が、昨年10月からこの話が始まっておりましたけれども、中間取りまとめとしては今回と次回でまとめになりますので、ぜひ充実した議論をお願いしたいということでございます。前振りが長くなってすみませんでした。
 では、奥課長、お願いします。
【奥人材政策課長】  ありがとうございます。昨年の10月以降、この人材委員会において、今後の科学技術人材政策の方向性ということで御議論をいただいてきました。特にこの4月、今期に入ってからワーキング・グループを2つ設けて集中的に御議論いただいて、その結果を今回取りまとめさせていただいたものです。
 資料2-1が概要で、資料2-2が本文、それとあと資料の3としてお配りしていますが、昨年の10月以降、この審議会での議論と並行して関係者、関係機関に対するヒアリングをずっとさせていただいていました。そのヒアリングの結果につきまして、資料3として取りまとめています。現状と課題の認識の1つとして、これを材料として使わせていただいていますので、後ほどこれも御参照いただければというふうに思います。
 主に説明は、資料の2-1に基づいて行わせていただきます。前回の委員会でも大方は御説明していますので、重複となりますけれども、御容赦いただければと思います。
 まず、資料2-1の1ページから2ページ目。まず、基本認識として、科学技術・イノベーション政策を取り巻く諸情勢の変化ということで、各国の状況、科学技術への投資であるとか我が国の研究力の現状というのを、図表を基にまとめさせていただいています。
 また、資料の3ページ目では、特に人材に関して、後ほどの柱となるような科学技術人材の状況、特に研究者であるとか研究開発マネジメント人材の状況、それと各教育段階における人材育成の状況、それと女性であるとか外国人の状況等についても、図表を基に取りまとめをさせていただいているところです。
 5ページ目にいただいて、今後の科学技術人材政策の方向性、5、6、7ページ、この3ページでポイントをまとめさせていただきます。
 まず、5ページ目で、1ポツ目が基本的な考え方です。やはり科学技術人材というのが国の存立の上で重要な柱だということで、人材を中心に据えた科技・イノベーション政策を考えていくべきというのが、まず基本的な考え方としてあります。
 左下、3つ、今回基本方針を挙げています。まず、人的な投資というのを抜本的に増やしていこうということで、基盤的経費であるとか競争的資金を含めて、国の科学技術投資について、特に人材に重点を置いて抜本的な強化を図っていくというのが1です。2は、ここの場でも御議論いただいていますように、科学技術人材と一言で言っても、研究者、技術者、あるいは研究開発マネジメント人材等多様な人材がいます。こうした様々な方々が、社会の多様な場で活躍できるような環境整備を一体的に進めていこうというのが2です。3は、人は1人で育つわけではありませんので、こうした科学技術人材と支えるような機関であるとか、組織の役割が大事だということで、この3つを基本的な方針として組み立ててはどうかということを提案させていただきます。
 その上で右側、今回の科学技術人材政策の3つの柱として、今回整理をしています。1つ目が、多様な科学技術人材の育成・活躍促進ということで、研究者、技術者、研究開発マネジメント人材といった、いわゆる職種別での人材育成が1です。2は、初等中等教育から高等教育、さらには社会教育に至るまで、教育段階別での人材育成というのが2です。3は、こうした科学技術人材に関わるような制度・システム改革というのを一体的に進めていくということで、この柱で具体的な方策というのを整理させていただいています。
 6ページ目に行っていただいて、まず、4、多様な科学技術人材の育成・活躍促進、これはいわゆる職種別の人材育成になりまして、この項目の中、1ポツで研究者、2ポツ目で技術者、それと3ポツ目で高度専門人材という形で3つの柱で整理をしています。特にこの3の高度専門人材のところは、今回、研究開発マネジメント人材にかなり特化して御議論いただいていますので、その観点から取りまとめをさせていただきます。重複しますので、ここは柱だけにしますが、研究者については研究費、それとポストの確保、それと活躍の場、国内外と産業界での活躍の場の機会の拡大、それと組織における環境整備という形で具体的な方策をまとめています。詳細は、また後ほどです。
 2ポツ目の技術者の育成・確保のところは、大学、あるいは高等専門学校における工学系教育の充実であるとか、産業界、アカデミア双方で活躍できるような技術者の育成、それと技術士制度をいかにして活用・促進をしていくかという辺りを書かせていただきます。
 3ポツ目の高度専門人材のところは、研究開発マネジメント人材とともに、多様な専門人材の育成・活躍促進ということで2つの柱で整理をしています。
 次、7ページ目で、教育段階別の人材育成になります。1ポツ目は大学・大学院における教育研究活動の充実・強化ということで、ここは特に博士人材の活躍促進、社会の多様な場での活躍促進ということを柱として挙げています。
 また、右側の2ポツ、初等中等教育段階における人材育成は、いわゆる裾野拡大とトップ層の育成というのを双方で力を入れていこうということで、先進的な理数系教育の充実・強化と、あと裾野の意味で、小中高等学校における理数系の充実・強化ということを挙げさせていただいています。
 また、3ポツで、科学技術コミュニケーションの展開ということで、STEAM教育と科コミとの連携であるとか、科学コミュニケーションに関わるような人材育成といったこと。あるいは、科学技術と社会に関する研究開発の推進ということも柱として挙げています。
 また、3つ目の柱として、制度・システム改革の推進になります。1つ目として、多様な人材が活躍できるような環境整備ということで、女性であるとか外国人、あるいは産学官での人材流動の促進という辺りを挙げていることと、2ポツ目で、制度・規範の整備ということで、研究員インテグリティ・セキュリティ、あるいはELSIに関する取組ということも、柱として挙げさせていただいているところです。
 8、9、10辺りは、これまでの審議会における検討の経緯、体制というのを書かせていただいています。
 11ページ目に飛んでいただいて、今回の科学技術人材政策の検討に関して、いわゆる骨太の方針の中でも、左側の真ん中辺り、科学技術人材の育成を強化するという文言が初めて入っていたりとか、次12ページ目のところで、新資本実行計画、これは骨太と並ぶような政府の総合戦略になりますが、この右側の下辺りです。産業人材育成プランの中で、科技人材の育成に関して、パッケージとして一体的に実行するといった取組を書かせていただいています。まさに今回の人材政策の今後の方向性が、まさにこのパッケージに当たるものだというふうに認識しています。
 13ページ目からが、それぞれの柱に沿った形で、具体的な中身というのを書かせていただいています。
 14ページ目で、問題意識だけ共有させていただくと、真ん中の下です。国立大学の経常収益の推移というのを書かせていただいています。黄緑色が運営費交付金でして、平成19年の法人化以降、右肩下がりに下がっている一方で、病院収入に加えて右側の濃い緑、競争的資金が増えた結果として、国立大学法人の総収入というのが増えている一方で、右側にあるように、国立大学の本務教員の数、特に薄い水色になりますけれども、任期なしの若手のポストというのが大幅に減少しているということは非常に問題だろうという認識でいます。
 そうした観点から、15ページ目になりますが、これまでの実績評価・課題を踏まえて、今後の方向性というのを3ポツで書かせていただいています。
 1、多様な研究費の充実・確保ということで、大学の基盤経費、それと競争的資金、これを質的・量的に充実・確保していくということはもとよりですけれども、それに加えて、1の2つ目の丸ですが、重要な科学技術分野、産業分野を特定して、これに関して研究開発と人材育成を一体的に推進するような新しい資金的な枠組みを整備してはどうかということを打ち出させていただいています。
 それとともに、2で競争的資金制度の改革ということで、直接経費、それと間接経費の中での人件費の支出割合を高めようということで、特に直接経費のうち、PI人件費の対象を拡大するであるとか、間接経費を積極的に活用する。これは(2)の安定したポストの確保のとこにもつながりますが、その観点から、使途の柔軟化等々の取組も書かせていただいております。
 (2)の安定したポストの確保のところは、これも大学の基盤的経費を充実・確保するということは大前提となりますけれども、その上で、16ページ目で、2です。競争的資金であるとか外部資金を活用して新しいポストを確保するということを書かせていただいています。特に間接経費の使途拡大であるとか、間接経費の割合を高める取組、さらには競争的資金であるとか外部資金を活用して、若手研究者をはじめとする研究者の安定したポストを確保するという取組を拡大していくということを書かせていただいています。
 また、(3)で研究者の活躍の場・機会の拡大ということで、日本の我が国の若手研究者の海外派遣はもとより、海外から優れた研究者を招聘・獲得すると。今回、政府としてJ-RISEという取組を発表させていただきましたが、こうしたものの一環として、優れた海外の研究者を招聘するということも積極的に進めていきたいということを書かせていただいています。
 また、2のところで産学官連携による研究者の育成・活躍促進ということで、やはり日本の中で産業界とアカデミアとの間の人材流動が少ないということがありますので、共同研究の拡大等、あるいはクロスアポイントメント制度などを活用することによって、双方での人材流動を積極的に進めていくということを書かせていただいています。
 また、(4)で、組織・機関における研究環境の整備ということで、組織体制の整備、特にここの中でもAIとかDXということも書かせていただいていますが、AI for Science等も含めて研究者の研究時間の確保を図るための大学における体制整備の重要性ということも書かせていただいています。
 17ページ目は参考として、各大学における取組を紹介させていただいていることと、18ページ目をおめくりいただいて、先ほど申し上げた新しい資金制度の枠組みをつくってはどうかということで、1つの施策の案を書かせていただいています。
 総理の御指示の下で、産業人材プランというのを政府として策定するということになっていますが、問題意識として右上、やはり企業と大学との間の人材流動が非常に細いというところがあります。こうした観点から、産学官で最先端の分野を設定し、アカデミアと産業界、国との間のマッチングファンドにより、大学のクロスアポイントメント制度などを活用することによって、双方での人材流動を促進する。そのメニューとして1、2、3とありますが、研究者、それと技術者、それとあと教育プログラムの開発というのを一体的に進めるような支援の枠組みというのはつくれないかということで検討させていただいているところです。これは来年度の概算要求の1つの柱に据えたいというふうに思っています。
 また、19ページ、20ページ目のところでは、競争的資金制度の改革として、19ページ目では、直接経費の中から研究所のPI人件費の支出が可能とする範囲を拡大するであることや、これに加えて研究分担者の支出も可能とするということ。間接経費についても、特に産学連携の間接経費については、知の価値を踏まえたような適切な間接経費の在り方を検討するといったところを書かせていただいています。
 実際にPI人件費の拡大については、20ページ目、JSTの戦略創造事業などにおいて、既に来年度以降から可能な範囲で実現に向けて取組を進めてまいりたいというふうに思っております。ここまでが研究者です。
 21ページ目からが、技術者の育成・確保になります。現状と課題を踏まえて22ページ目、今後の具体的取組・方向性として、3つの柱で整理をしています。
 1つ目が、大学・大学院、高等専門学校における工学系教育の充実・強化ということで、特にJABEEの認定を受けているような工学系教育の大学が減少しているということもありまして、こうしたJABEE認定をより拡大していくような取組というのを強化するというのが(1)です。
 また、(2)のところで、産業界・アカデミア双方で活躍するような技術者の育成・確保ということで、共同研究であるとかクロスアポイントメント制度、さらには先端的な研究施設・設備の整備・高度化等を通じて技術者の育成確保を図っていくということが重要だというのを書かせていただいています。
 また、先ほど杉山先生から話がありました、大学における技術職員の育成・確保ということで、今回この委員会でも引き続き御議論いただきたいポイントになりますが、技術職員における人事制度のガイドラインを今後整備したいというふうに思っておりまして、これに基づいて、技術職員の配置、処遇、評価の改善、さらにはキャリアパスの構築等を促していきたいというふうに思っています。
 また、国立大学法人の第5期の中期計画は今後議論になると思いますが、この中でも、技術職員を含めた研究推進体制の整備を求めるということも検討してまいりたいというふうに思っています。
 また、(3)技術士制度の活用促進ということで、特に技術士制度について、より民間での活用を促進するということで、この周知・活用促進に向けた具体策を、特に技術士分科会において具体的方策を検討するということを書かせていただいています。
 23ページ目、24ページ目は飛ばさせていただいて、25ページ目です。先端的な研究施設・設備の共用・高度化に関する施策というのを、来年度の要求の中でも盛り込んでいきたいというふうに思っていまして、この中で、技術者であるとか技術職員の育成・確保を図っていくということを1つの柱として挙げています。この下にあるように、研究施設・設備の開発であるとか共用ネットワーク化の促進、こうしたものを通じて、大学における技術職員の確保、さらには官民で活躍できるような技術者の育成・確保も併せて図っていくということを考えてまいりたいと思っています。
 27ページ目は先ほどと重複になりますけれども、新しい産業人材プランの施策の中で、先ほど申し上げた技術者の育成・確保であるとか、教育プログラムの開発というのを併せて行っていくということを想定しています。
 続いて、28ページ目からが高度専門人材の育成・確保になります。これまでの実績・評価、それと取組事例を書かせていただいていますが、29ページ目、今後の具体的取組・方向性のところになります。こちらも同じように今回、この委員会と傘下のワーキング・グループで、研究開発マネジメント人材というのを明確に定義いただいた上で、ガイドラインを初めて策定をさせていただきました。これについて、より各大学における人事制度の構築等につなげていきたいということがありまして、2にありますが、今回、文科省のほうで研究開発マネジメント人材の体制整備事業というのを今年度からスタートしています。こうしたものを通じて、先行的な実施事例というのをつくっていくというのと、総体として、こうした人材を増やしていく取組というのを促してまいりたいというふうに思っております。
 そうした観点から、3になりますけれども、これも先ほどの技術職員と同じように、国立大学法人の第5期の中期計画の中で、こうしたマネジメント人材を含むような体制整備を求めるということを検討するであるとか、あるいは、ほかの機関を対象とするような競争的資金制度の中で、こうした体制医整備を求めていくということも考えてまいりたいと思っております。
 (2)は、それ以外の専門人材の育成・活躍促進ということで、知財であるとかアントレプレナーシップの人材というのを書かせていただいていますが、これは最終報告に向けて、さらに議論を深めてまいりたいと思っています。
 30ページ目で、ガイドラインの概要を書かせていただいているところです。
 続いて、32ページ目からは、教育段階別での人材育成、2つ目の柱になります。
 まず、大学・大学院における教育研究活動の促進ということで、34ページ目、今後の具体的取組・方向性の中で、まず、1つ目として、博士の育成・活躍促進というのを挙げています。まず、基本的な考え方として、博士人材を文科省のほうでも3倍増にするという目標を掲げていますが、全体として博士人材の層を増やしていくということと、社会の多様な場で活躍を促進するということをうたっています。そうした中で、経済支援の充実・強化ということも大事となっていますので、まず、特別研究員(DC)について、アカデミアで活躍する優秀な研究者を育成する事業として単価を引き上げていくということ。それとSPRINGについては、優秀な博士課程学生を戦略的に育成・確保するための事業として、その見直しを図っていくということ。具体的にSPRINGについては、日本人、留学生、社会人、今は基本的に一律的な支援となっていますけれども、日本人と留学生ですね、一律的な支援となっていますが、今回、見直しの案というのを提示させていただいています。これは後ほど触れさせていただきます。
 また、博士人材の民間企業等での活躍促進に向けて、今回経産省と一緒にガイドブックであるとか、ロールモデル集というのを作成させていただきました。こうしたものをより展開することによって、活用を促してまいりたいと思っています。
 36ページ目、SPRINGの基本的な見直しの方向性を書かせていただいています。まず、事業趣旨として、主としてやはり日本人学生の博士課程への進学を支援するという、ストレートドクターを増やしていくということがもともとの事業趣旨であったこと。それに加えて、学生が安心して研究活動に専念できる環境を整備するということ。それと大学におけるキャリア支援であるとか環境整備を行うこと、これがもともとの事業趣旨であったことを踏まえて、今回見直しの案というのを提案させていただいています。
 まず、日本人については、日本人の学生が博士課程に進学しない大きな要因として、生活不安であるとか職業的な不安定さというのが要因であるということで、研究奨励金については、引き続き支援をすると。あとは研究費の支援と併せて、研究費については、より分野であるとか、あるいは研究内容の質などに応じて支援額を階層化するということを考えていったらどうかということを挙げさせていただいています。
 また、留学生については、もともと博士の後期課程進学を目的に来日していることと、あと私費留学が多いということで、研究奨励金、生活相当額の支援は行わない一方で、研究費については、研究活動自体は日本人、留学生、社会人でも同じだということで、優秀な学生に関して大学における研究費、研究活動にかかるような研究費を支援するということを書かせていただいています。
 また、社会人については、これまで生活費相当額等の支援はありませんでしたが、給与をもらっていない社会人学生に関しては、引き続き日本人と同じ扱いとするとともに、社会人でも民間企業から派遣されている方については、研究活動にかかるような研究費については一定程度優秀な学生に対しては支援するという枠組みをつくってはどうかということで提案をさせていただいているところです。
 2ポツ目、次は初等中等教育段階における人材育成になります。37ページ目の現状課題を踏まえた上で、38ページ目、今後の具体的な方向性として、先進的な理数系教育、特に優れた資質能力を持つような児童生徒の才能を伸ばしてあげるということと、(2)で、裾野の拡大という観点からの理数系教育の充実・確保ということで、充実・強化ということを入れさせています。この中で、特に今回見直しとして入れさせていただいている部分が、2のスーパーサイエンスハイスクール事業の見直しになります。
 39ページに行っていただいて、今回の見直しの中で、これまで現行制度とありますが、創成期、発展期、合計20年、それに先導期の3年掛ける2の合計26年間の長期支援だったものを、右側の見直し案にあるように、全体を20年に短縮する。先導期に行くまでの期間を短縮する一方で、右上にあるように、卒業した後、認定枠に移行した後も資金的な支援の枠組みというのを新たに創設するということ。
 それと真ん中の発展Ⅰ・Ⅱ期、これについて今までは一律的750万の支援だったというところを、学校の特性、取組の状況に応じて、類型に応じて重点配分をするということを考えてはどうかということで提案をさせていただいています。
 41ページ目で、類型に関する考え方というのを入れさせていただいています。類型のⅠが、いわゆる全学的に理数系教育を充実させている学校、いわゆる通常のSSHの学校。一方で類型のⅡは、その中でも特に研究者であるとか技術者といった高度人材を育成することを目的とするような学校。Ⅲは、さらに国際感覚を育成するために、グローバルで活躍できるような人材を育成するような学校、こうした観点で3つに類型化をした上で、それぞれ資金的な金額の差をつけておいてはどうかということを書かせていただいています。これについては、本格的な実施は令和9年度を念頭に置きつつ、来年度から一部の見直しというのを図っていきたいというふうに思っているところです。
 それに加えて42ページ目で、次世代チャレンジプログラム、いわゆるSTELLAのプログラムであるとか、43ページ目、女子の理数系の進路選択プログラム、これについても、より発展的な内容になるように見直しを図ってまいりたいというふうに思っています。
 また、44ページ目からは、科学技術コミュニケーションの展開になります。現状と課題を踏まえて、45ページ目、今後の取組の方向性として、この場でも様々御意見いただきましたが、政策に関わるような市民、産学の科学技術人材、それと政府関係者の対話を促進するということであるとか、目的、対象を踏まえたような科学コミュニケーションの在り方について検討するであるとか、あるいは学校・教育機関におけるSTEAM教育について情報を集約し、これを学校教育でもきちんと活用していくといったことであるとか、こうした科学技術のアウトリーチに関わるような研究者の方々について、大学等の中でも適切にこの活動を評価する取組というのを充実させるといった辺りを書かせていただいています。
 科学技術と社会に関する研究開発として、シチズンサイエンス等の新しい取組についてもきちんと支援をしていくであるとか、科学コミュニケーションに関しては、人材育成をきちんと図っていくといったことも書かせていただいているところです。
 46ページ目にあるように、幾つかの大学では科学コミュニケーターを育成するような専攻、あるいは学科等も設けているので、こうしたものを横展開していくということも大事かなと思っております。
 47ページ目、最後3つ目の柱で、制度・システム改革の推進になります。
 48ページ目で、研究活動におけるダイバーシティの確保ということで、女性研究者の一層の活躍促進であるとか、特に上位職への登用であるとか、処遇改善に関する取組、それとあと、今回のJ-RISEで発表させていただいたように、海外の優れた研究者を招聘し、それに応じた形で大学における体制整備を進める。
 (2)として、産学官における人材流動の促進ということで、大学と企業との間の組織的な共同研究等を通じた、あるいはクロスアポイントメント制度等を通じた産業界とアカデミアとの人材流動を促進するということを書かせていただいています。
 また、50ページ目になりますが、制度・規範の整備ということで、研究者等が遵守すべき研究インテグリティ、研究セキュリティ、研究公正、あるいは生命倫理等に関する指針等の整備・運用を図っていくとともに、ELSIに関しては、基本的に全ての研究者が身につけるべき基本的な素養だということで、こうしたものをJST-RISTEXの取組等も通じて、きちんと横展開していくような取組を展開してまいりたいというふうに思っています。
 以上が概要でして、こちらを文章化したものが資料の2-2になります。こちらの説明は省略しますが、目次をめくっていただいて、基本的には9ページ以降、今後の科学技術人材政策の方向性のところは、今の概要のところをそのまま文章化したところになりますが、それに先立って基本認識として、我が国における科学技術・イノベーション政策を取り巻くような諸情勢の変化であるとか、国内における現状の変化、それと特に人材を取り巻くような今の国内外の状況について、データ等も含めて第1のところで整理をさせていただいています。
 また、今回のワーキング・グループのところで、多様化のワーキング・グループ、次世代のワーキング・グループのところで、それぞれ技術者であるとか高度専門人材、さらに教育段階では、大学・大学院、初中教育、それと次世代の科学コミュニケーションという形で、それぞれワーキング・グループの中で報告書をまとめていただきましたが、そこは基本的には合算した形で、この全体の中間まとめを整理しています。
 その中で一部、特に高度専門人材のところで、研究開発マネジメント人材以外の多様な専門人材、それと大学・大学院において、博士以外の大学・大学院改革の推進、ここはワーキング・グループで御議論いただいていませんけれども、ここの報告書の中では一部その部分を追記させていただいています。これについては、また後ほど御覧をいただければというふうに思っています。
 すみません、長くなりましたが、御説明は以上でございます。
【狩野主査】  ありがとうございました。
 それでは、先ほど申し上げたように、柱ごとに議論をしていただければと思っております。今、お話をいただいたように、文書のほうで例えば見ていただくと、それぞれの柱について基本的な考え方、あるいはこれまでの取組・現状、そして後半に、以前から見ていただいている具体的な取組方針という内容がありまして、前半の情報について何か疑義があるかどうか、あるいは訂正したほうがいい、書き換えたほうがいいところがあるか、あるいは、後半の取組の内容についてほかにアイデアがあるかなどなどについていただければと思っております。
 では、最初に、優れた研究者の育成・活躍促進ということですが、ここの枠からいかがでしょうか。
【杉山委員】  ごめんなさい、どこからどこまでかよく分からないので、スライドで何ページまでという言い方で。
【狩野主査】  文章版で12から24ページで、スライド版では13から20ページのようです。
 杉山先生、すみません、お待たせしました。
【杉山委員】  研究者をパーマネント、任期なしで雇うというので、間接経費を増やそうというような話が書いてあったと思うのですけれども、スライド19ページかな。違うな、間接経費は16ページですね。今の19ページのところには、直接経費も含めて、そちらにぜひ入れられるようにしていこうという、知の価値観みたいな話なのですけれども、こちらの16の本体のほうに、参考ではなくて少し何か直接経費も入れていくような可能性も検討していくとか、何か入れておくことはできないのでしょうかということが、1つ目のコメントです。
【狩野主査】  ありがとうございます。これは今すぐ何か返事をされますか。
【奥人材政策課長】  本文のほうに書き込んだほうがいいという御指摘ですか。
【杉山委員】  間接経費というと、前にも指摘しましたけれども、国のほうはいいのですけれども、企業とかの共同研究も含めての話ですね、これ全部。そうなると、算出根拠とかということがあって、そこはにわかには増やせないというような状況もあるので、直接経費で、JSTもそうかもしれませんし、企業のほうも、教員を自分のところで雇うような形にして、その分、フォローアップなのかもしれませんけれども、その研究費で教員自身を雇うようなことというのが、あとの19ページになったと思いますけれども、そういう形でお金を入れていくと。ほかの教員の雇用につなげていくみたいな話があってもいいかなと思いました。
【奥人材政策課長】  ありがとうございます。大学等の知の価値化というのは杉山先生がずっとおっしゃっていることですので、こちらはぜひ本文の中でもきちんと入れたいと思います。
【狩野主査】  ありがとうございます。
【杉山委員】  直接経費ということは、やはりこれは言わないということでしょうか。
【狩野主査】  多分趣旨としては、国のお金であれば、間接経費といったときに根拠が分かりやすいけれども、特に産業界と一緒にやるとき、直接経費のほうにも関係する言い方にしておいたほうが分かっていただきやすいのではないかという感覚に聞こえましたけれども。検討していただくということで、すみません。では、次回がまだありますので、それまでに検討していただきたいと思います。
 続いて、いかがでございましょうか。どうぞ、稲垣先生。
【稲垣委員】  ありがとうございます。すごくいろいろ書き込みがされていて、中身は全部いいと思うのですけれども、こういう新しい取組をする場合、何が一番大事かというと、事務手続が物すごく大変になるので、事務体制の強化といったようなことまで踏み込まないと、結局すばらしいことが書いていても、実際現場で動かせなければ実行に移せないので、例えばクロアポにしても、恐らく人事について物すごく詳しい人が対応しないとトラブルしか起きないとか、そういうことになりかねないですし、外国人の先生をお招きするにしても、英語が堪能な方が、しかも、各種手続について精通された方が対応しないといけないので、そういうある意味高度専門人材だと思うのですけれども、そういう方々にしかるべき待遇でこういった業務に従事していただけるような環境整備についても言及したほうがいいかなと、今さらで申し訳ないのですけれども。以上です。
【狩野主査】  いえいえ、重要な御意見だと思いました。検討いただきたいと思います。
 ほかの御意見いかがでしょうか。天野先生、どうぞ。
【天野委員】  御説明ありがとうございました。クロスアポイントメントのお話が出たので、少しずっと思っていることを言わせていただきますと、クロスアポイントメントというのは会社で雇用されている立場の人と、大学で雇用契約を結んでいる立場で両立しないといけなくて、すなわち何が言いたいかというと、例えば、大学発スタートアップなどで創業して役員になられた先生とかはクロスアポイントできないですよね。あくまでも役員兼業にしかならない。役員報酬を支払うにしても、非常にいろいろ大変です。クロスアポイントメント制度の改革ということになると、もしかしたら経産省マターなのかもしれないですが、役員に対しても、例えば大学発スタートアップで、その先生の知財を社会実装するようなのであれば、特例的に所属している大学と創業した会社のクロスアポイントメントのようなことができるようにするとか、何かそういった改革があると、よりスタートアップ支援という面にもなりますし、大学としても非常にいろいろやりやすくなるのではないかなというふうに感じていたところです。
 すみません、書かれてないことなのですけれども、ちょっと、今後の取組で御検討いただけたらどうかなと思いました。
【狩野主査】  ありがとうございます。クロスアポイントメントの言葉自体は、スライドの16枚目に載っていたしますし、今のことでより具体的に必要なことが明快になったところもあるなと思いました。ありがとうございます。
 例えば、玉田先生、そういう意味合いでなくてもいいのですけれども、何かここのセクションで御意見いかがですか。
【玉田委員】  優れた研究者のところですか。
【狩野主査】  はい。
【玉田委員】  先ほどからの御意見は、それを実現するために、多様な人材が必要という議論と関係してくるようなお話であったなとは思うのですけれども、ここに書かれていること自体はもっともだというか、そうだなと思いながら聞いていました。
【狩野主査】  具体的な方策のところに入ると、御経験から、もっとこういうものがあったら産学官が動きやすいとか、あるいは大学でずっと頑張っておられる研究者の方がもっと生きるであるとかというようなところはいかがでしょう。
【玉田委員】  そういう視点ですか。そうですね、私自身産業界出身ですが、壁があると感じる理由があまりよく分からないというか。そこにもし何かしらの偏見的なものがあるのであれば解決しなければいけないし、やはり多様性のほうの議論になってしまうのかもしれないのですけれども、アカデミアや研究者が優位で、技術士ですとか民間との間には何らかの壁があると、そういう捉え方をしているとしたらそれは違うということで、今回技術士ですとかマネジメント人材というものを取り上げたのは、それぞれの価値を認めて、もっと活用し、人材を流動させて、また、教育にも関わってもらうことで、新たな突破口を見いだそうという着眼点だと思うのですよね。それについて、すごく賛成です。
 先ほど前半の杉山先生も少しコメントされていましたけれども、技術士も技術職員も研究をというのをどういう意味で使われたかですけれども、それぞれが高度化していくという意味ではいいのですが、研究をやらないことには(話にならない)みたいな、そういう意味合いだとそれは違うと思うのです。それぞれが日本の高度人材としてさらなる高みを目指し、そして連携も強め、目的を達成する。それを今回明記して社会のコンセンサスを得る。それがポイントなのかと思っています。ワーキングもそれぞれに立ち上げて、意見を吸い上げて、ということだと思っているのですけれども。いずれにせよ、これまでの議論に賛成です。
【狩野主査】  ありがとうございました。時間の都合で、次にそろそろ行ったほうがいい時間になっておりますけれども、一応この柱の意味としては、それぞれ例えば、今の柱でしたら、研究者という人が主語のときに、どんなことをよりやると活躍の道がよりよくなりますかという質問、その次のところであれば、技術者という人が主語だったときに、もっとどういうことをやると、より活躍の道が広くなり、今おっしゃったように連携が深まるでしょうかとか、そういうことで考えて何か追加をいただければよいかなということは思っておりますが。どうぞ。
【髙見人材政策推進室長】  すみません、先ほど杉山先生から御指摘をいただいた直接経費の部分の話なのですけれども、本文の19ページを御覧いただきますと、競争的研究費制度の改革の具体的な取組方針というところがございまして、ここの2つ目の丸で、「国は」というところが主語になっておりますけれども、競争的研究費の直接経費及び間接経費のうち、人件費に対する支出を促進し、割合を高める等の制度的な改善、充実に向けた取組を検討・推進するといったことを書かせていただいていたり、あるいは次の丸では、直接経費からPIに加え、研究分担者等に関する人件費を支出できるよう改善、見直し等の取組を進めるということを書かせていただいておりまして、一方の企業との共同研究の直接経費で何を支払うのかということは、まさに企業との話合いの中で決定されることかなと思いますので、そのような御理解でよろしいでしょうか。
【狩野主査】  なるほど。
【杉山委員】  分かりました。ありがとうございます。
【狩野主査】  多分文部科学省の文章に書いておいてくださると、両側、大学側と企業で、それを基にしてこういうことをしましたということを言いやすくなるという側面があって、という意味では言及しておいていただくといいという御意見かなということを思いました。御検討ください。
 それでは、時間の都合で、取りあえず次の柱に行きます。最後にまた戻ってきて、全体について討議をする時間も取れますので、そのときにまた、その後思いついたことがあったらお知らせいただければと思います。
 では次の柱が、先ほど申し上げたように、技術者というくくりの方々に対してどんな内容を進めたらよいかという発想でつくっていただいておりますけれども、ここについての御意見を頂戴できればというふうに思います。いかがでしょうか。
 すぐに手が挙がらないと、水口先生いかがでしょう。技術者的立場も知っているし、大学の研究者立場も知っているし、企業にもおられる方として何かございましたら。
【水口委員】  ありがとうございます。技術者に関してですが、やはり人事評価制度の在り方は非常に重要になってくると考えています。例えば企業の視点では、技術者と研究者では求めることが異なるため、それぞれ別軸の評価軸が必要になってきます。今後、技術者における人事制度等に関するガイドラインを構築されていくところかと思いますが、どういう技術者を育成したいかも踏まえて、連動した形で人事制度をつくっていく形がいいかなと思っています。
【狩野主査】  なるほど。今おっしゃった技術者の役割というところについて、類型はどんなものが今、頭に浮かんでおられますか。
【水口委員】  例えば、ある実験をやるにしても、熟練の技術者がやる場合と、そうではない場合では、結果にばらつきが出ることがあります。サイエンスでは再現性が求められますので、きれいなデータを出すことは重要になります。また、非常に煩雑な実験や扱いにくい機械等、その人しかできない実験等が出てくると思いますので、それは評価に値すると思います。ただ組織において、属人化してしまうのはよくないため、他の人に教えることも重要であり、教育するスキル等を評価することも重要になってくるかなとは思います。
【狩野主査】  なるほど。それに関係する大学や高専での教育という意味ではいかがでしょうか。すみません、1人にずっと聞いていて申し訳ないのですけれども。ほかの方もどうぞ、手を挙げてください。
【水口委員】  例えばJABEE認定ですが、教育プログラムとして重要ですが、事務負担等が大きいといった課題を聞きますので、そういったところは改善できるといいかなと思ってはおります。また認定を受けて、それが評価にどうつながるかを示していく仕組み等は重要かなと思っています。
【狩野主査】  ありがとうございます。
 どうぞ、迫田先生。
【迫田委員】  産業界にいると技術職員のイメージがなかなか湧かなくて。
【狩野主査】  でも、これは技術職員に限った話じゃなくて、一般論としての技術者ですので、大学に限ったものではございません。
【迫田委員】  30ページにある研究マネジメント人材のガイドラインのような、期待される業務であるとか、そのためのスキルだとか、そういうのが少しはっきりしてくると、もう少しイメージしやすくなるのですけれども、何となく今のままですと、研究者のサポートをする人というイメージしか湧いてこなくて、企業で考えている技術者とは全くイメージが違います。
【奥人材政策課長】  先ほど申し上げたように、技術職員についても、今回新しく人事制度のガイドラインというのを今後策定するということを想定していますので、これに沿った形で、優良事例の展開であるとか、あと大学における処遇改善であるとか、キャリアパスの整備を進めるという取組を展開していきたいと思っています。
【迫田委員】  そうですね、その業務がはっきりしてくると、もう少しキャリアパスのイメージが湧いてくると思います。研究マネジメント人材のところにも技術職員からとなっているので、そういうキャリアパスをイメージされているのかなと思いますが、それがないとなかなか技術者を希望する、こういうキャリアパスで自分は頑張っていこうというふうにはなってこないような気がします。ぜひそこをはっきりさせていただくとありがたいなと思います。
【狩野主査】  ありがとうございます。今、パワーポイントのほうでいうと22枚目のところに、今後の具体的取組・方向性というリストがあります。ここを見ていただくと、技術者という主語で、今回何をやりたいと思っているかが大体載っていると思っております。例えば工学系の教育の充実とか、それから、産学どちらでも活躍できるような方々という、その中に技術職員の話もあるし、あるいは技術士制度の話も入っているという、そういう構造になっています。ということでは今おっしゃったような、技術者という言葉の中にどういう姿の人がいるのかということがもう少し分かったほうがいいという御意見だなということを伺いながら思いました。
【迫田委員】  やはり明確なジョブディスクリプションが要るのではないかと思うのですけれど。
【狩野主査】  そういうことでしょうね。
【迫田委員】  研究職員のほうも、まだ書ききれていない気がするのですよ。研究マネジメントのほうもそうですけれども。
【狩野主査】  はい。その言葉の中にどういう類型の方がいるかということを、より詳細に語る必要があるのではないかということですね。
【迫田委員】  そのための能力とかスキルだとか、そういったことを含めて語っていかないと、イメージしにくいのではないかなと。育成も、それがないとやはり逆にできないと思います。
【狩野主査】  分かりました。ありがとうございます。
 ほか、製造業というと武田志津先生はいかがでしょうか、何かぜひ。製造業で振っていいか分かりませんけれども、伺ってみます。
【武田委員】  ありがとうございます。技術者といったときに、それは多分人によって、違う定義で考えられている面があるのかと思っています。これまで議論がありましたように、技術者でもあり研究者でもある方という人も多くいて、その結果、非常に良い研究を推進されて、素晴らしい研究成果を出した研究者としてそれなりの処遇を得るというパターンと、サポーティングスタッフとして、専業としての技術者というパターンもあり、後者の方の定義で検討をしている面もあるかと思います。
 後者について、処遇をもっと上げるべきではないかということが議論されていて、私も本当にそのとおりだと思っています。優れた技術者がいたから、その技術者に助けられて研究者がすばらしい研究成果を上げたというようなことは多くあると思います。そういう本当に優れた技術者の処遇が相応のものではないと言われると、大学も、企業も両方そうかと思います。
 ですので、研究成果への貢献度という意味では、パートナーとなった研究者と本当に同等の貢献か、それ以上の貢献になっている場合も多いと思うのです。だから、優れた技術者を研究への貢献で評価する制度や仕組みは非常に大事だと思います。そこで、優れた技術者をめざす人材が、次々と生まれ、育つというような、制度や環境を整えるというのは、私は非常に重要だと思います。
【狩野主査】  ありがとうございます。これに関するワーキング・グループのほうは、稲垣先生や江端先生はやはり入っておられるのですが、両方とも技術者の目線というよりかはマネジメントの目線で入っておられたような気がするので、聞いていて私見で申し上げると、技術者はどちらかというと方法の創出を優先し方法に誇りを持つ存在、科学者のほうは、理由とか理論をつくるところに誇りを持つ存在、もちろん両方やってもいいのですけれども、その中で方法に誇りを持つ存在としてはどういう仕事になって、それでどういうことが優れているという設定になるのかということなのではないかなということを仮説としては思って聞いたところです。いずれにせよ、だんだん時間が来たので、この内容はほかの意見は今のところいただけていますか。何か加えられますか。玉田先生、どうぞ。
【玉田委員】  迫田委員が話しているのを聞いていて思っていたのですけれども、例えば、大学で教育を受けても、民間企業で再教育をしなければいけないですよね、実際にR&Dをやるには。それはどうしてかというと、ある種基盤的な教育との間に差があるからです。それを埋めるための措置が海外だと結構やられていて、早い時期からインターンシップをやって、両方を体験し、その上で自分はどちらへ向くかということで職業を決めるなど。日本ではそれが不十分で、整備がされてないと。そのために民間の研究者なり技術者の力をもっと借りるべきだと。それは学生が企業体験に行くのでもいいし、大学の中に企業人材入れるというのでもいいし。そのようなことが根底にあった上でのいろいろな議論だろうなとは思っていたのです、人材育成委員会なので。
 それが大学で技術職員という言葉を使うと、一般にはサポーティブな仕事ということに限定がかかるのですけれども、民間のほうは研究者から技術者までの人材がスペクトラムとして連続的にいるのですよね。どの部分のどういうところをサポートする人材が欲しくて交流したいのかということを、民間と大学の技術者の間で十分に議論した上で交流を進めると、必要なところに届くのではないかなと思うのですが、これを読むと、その辺り大丈夫かなという気になります。私自身、民間と大学の両方を経験しているのですが、実際は研究交流と技術交流の両方が要ると思います。大学の技術者も、民間との交流が進めばもっと高度化できるし、また研究に近いようなところでも、例えば技術から始まる発想の仕方など、むしろ大学人はピンと来てないところが分かるようになり、学生もキャリアを考える上で非常に役立つと思います。
【狩野主査】  言語化していただいてよかったように思います。おっしゃるとおりで、ですから、現実に使える意味での技術に、教育がより寄れるかどうかということ、あるいはそこに橋渡しがもっとできるかどうかという視点は、今そこまで書いてない気がするので、いただいたのではないかと思います。
【玉田委員】  行数に限りがありますので、分かっていただいているようであれば大丈夫です。
【狩野主査】  ありがとうございます。
 江端先生、すみません、お待たせしました。どうぞ。
【江端委員】  ありがとうございます。技術職員に関しては、処遇や評価の改善などよく出てくる話なのですが、少なくとも処遇自体をどう改善するか、日々悩みを抱えております。
 例えばですが、一般的な企業の技術者の給与水準と、大学における技術職員の給与水準というのは大分違うと言われていますから、それを合わせていくことを考えたときに、そもそもその財源どこから持ってくるのかという議論になります。そうなると、技術職員の人件費の財源は基本的に運営費交付金ですから、運営費交付金のフローの中でうまくやってくださいというような話になりますが、それではなかなか処遇の改善をドラスティックにはできないので、大学組織の秩序を壊さない程度に、技術者あるいは研究開発マネジメント人材等高度人材の処遇改善を求めていくのであれば、基本的には教員と同じような人事制度を転用するぐらいのことはやってもいいのではないかと思います。
 PI人件費の制度を活用して御本人の給与に上乗せしていくことや、外部資金をうまく活用しながら給与に乗せていくことはもちろん、業務の自由度を高めていくという方向も十分あり得ると思っています。賛否両論ありますが、裁量労働制を適用できるようにするとか、実際に技術者の方々が成果を出しやすいように、仕事がしやすいように人事制度を変えていく必要もあるかと思いますので、ワーキングでも十分議論する話かもしれませんが、本委員会の皆さんにも共有した上で、引き続き御議論をさせていただきたいと思っております。以上です。
【狩野主査】  ありがとうございます。処遇という言葉に何が含まれるかですけれども、ウェルビーイングに関する経済学の成果で、お金のほかに社会的地位というのですか、立ち位置を感じられるかどうかという要素がありまして、多分これもそういう意味では処遇という言葉に含まれるのかなとか、あるいは社会の寛容さというのも入っているのですけれども、それも入るのかなということは思いながら今伺ったところです。
 したがって、職階制度とか、それからどうやって周りがリスペクトするのか、そういうマインドセットにみんなで持っていくのかということも大事なのだろうなということは、お金が限られている中で思った次第でございます。ありがとうございました。
【江端委員】  本日の午前中からいろいろな方とお話ししていて、結局同じ話になるのですが、いまの大学で働くこと自体が本当に幸せか、本当に誇りを持って仕事ができる魅力的な環境かと言われたときに、「そうだ」と言って一生懸命働くことができる方はどれだけいるのだろうかという点で懸念があります。
 今、狩野先生が御説明されたウェルビーイングという観点からも、給与だけではないと言いつつも、業務自体が、本当にやりがいがあって、それをやることによって自らの幸せを実現できるような職場になっているのかという点については、よくよく考えなければならないと思います。大学に関わる様々なルールや規制の問題等は多々ありながら、自由度が失われている部分についても、研究者はもちろんのこと、多くの構成員の方が思われているところかと思っております。
 処遇と言った時には、そういった点も含めて、もう少し検討する必要があるのではないかと思いますので、当然給与面は、大きな課題がありますとお伝えした上で、本当に構成員の皆さんがウェルビーイングを重視しながら活躍できる環境をどのようにつくっていくのか、ぜひ引き続き議論させていただければと思います。ありがとうございます。
【狩野主査】  大変重要な視点だと思いました。もちろん、その中で省庁という役割ができる範囲が一定程度限られていて、お金を再配分することと、それからルールを決めることが主な仕事かなと思うのですけれども、それの中では一体何がその中で実現できるのかという質問について、それぞれまたお考えをいただければと思います。江端先生ありがとうございました。
 それでは、設定している時間を少し超えましたので、取りあえず次の柱に参ります。次の柱が大学等で活躍する高度専門人材の育成確保ということで、今の議論の内容に重なるとこもあると思いますけれども、ページとしては、パワーポイントで28ページからで、文章では35ページからに当たると思います。こちらはいかがでございましょうか。これいかにもURA的な話ですが、稲垣先生、口火を切っていただけますか。
【稲垣委員】  おおむね数年にわたって議論してきたことが盛り込まれているので、基本的にはいいと思うのですけれども、これどこかで言ったのか、これ文科の会議なので、文科の話になるのですが、研究開発マネジメント人材はほかのファンディングエージェンシーに関わる業務もやっているので、ほかの省庁に対しても、こういう人材がいるのですよって、それをうまく利用することで研究者自身の研究活動をより活性化していくみたいな、そういうメッセージがこういう文章に出ると、もっといいのかなというふうに思いました。
【狩野主査】  すてきな視点ですね。ありがとうございます。文部科学省の中でできる範囲をお願いしたいと思います。
 これも江端先生、関係者かと思いますが、いかがですか。さっき発言されたばかりですけれども。
【江端委員】  ありがとうございます。今、稲垣先生がおっしゃったことに完全に同意します。せっかくここまでつくり上げてこられて、本日の資料は、本当にしっかりとまとめられていますし、重要なポイントは全て記載されていると思いますので、あとはこれを読んだ方々が本当に動く気になれるような状況にどう持っていくかというところが、現場感として非常に重要と感じています。
 文章にしたときに、もう少し読んだ方々が心を動かされるような文章というものを作っていただけると良いかと思います。皆さんもしかしたら苦笑いされているかもしれないですが。
【狩野主査】  いやいや、いい方向です。
【江端委員】  ぜひお願いしたいと思います。以上です。
【狩野主査】  もしかするとそれは当事者しか分からないところがあるかもしれないので、どこをどういうふうな表現にすると、より心が動くかについて御意見をいただくことも1案かなということは思って伺いました。お願いいたします。
 天野先生、お願いします。どうぞ。
【天野委員】  ありがとうございます。書かれていることすごく納得がいきますし、今、江端先生たちがおっしゃっていたこともそうだなと思うのですけれども、研究開発マネジメント人材の大学での安定雇用というのは非常に重要である一方で、何のために研究開発マネジメント人材を安定雇用させる必要があるのかというところに立ち返ると、大学の経営力ですとか研究力を高めるためですよね。なので、誰でもいいから安定雇用でURAを大学に定着させて、数を充足させればいいということではないと考えます。
 なので、前回もお話したところではあるのですけれども、今後なのですけれども、優秀な研究開発マネジメント人材をフリーランスでも参入しやすくするような取組も並行してあるといいのかなと思いました。イメージとして、優秀であれば個人事業主として活躍できるような職として、そういうマネジメント職、今まだ日本にないかもしれないですけれども、研究者出身であるとか教員出身の方で、個人事業主としてそうやって優秀なマネジメント人材で活躍されたら、すごくすてきな新しいキャリアパスになるとも思いますし、そういう優秀なマネジメント人材フリーランスでいらっしゃる方をどうしてもうちの大学で必要なのだというふうになれば、外から研究者を引っ張ってくるのと同じ論理でやっていけばいいのかなと思いますので、1年、2年のうちにということではないかもしれませんが、中長期的に見て、そういった職を新しく日本につくるぐらいの感じで取組をつくってもいいのかなと感じています。以上です。
【狩野主査】  ありがとうございます。今の天野先生のお話を伺いながら思ったのは、研究者と技術者については、その教育と、それから産学両方での活躍という目線が入っているのですが、このパートないですよね、今まだ。
【天野委員】  そうですね。それだけ多分ふわっとしていて、新しい職だからなのかなという気がしていますが。
【狩野主査】  例えば、ですから、経営学という部門がそれに相当するのか、よく分かりませんけれども、そういうマネジメントということについての教育は、大学教育ではどういう人がやるのか。どういう内容がよいのか。そこで
育った人たちがもし産業界で同様な能力を発揮するなら、どこに行けるのか。大学との行き来はありなのか。こうしたことは、そういえば今までそういう視点はなかったのですけれども、私も今気づいてしまいました。
 何かございますか、そういうあたりで御意見。玉田先生どうぞ。
【玉田委員】  私、実はこの研究開発マネジメント人材については海外の事例で明確なイメージは持っていて、例えば、理工系バックグラウンドを持っていつつ、一方でマネジメントの勉強あるいは経験もしていて、実際科研費の申請書を直すとか、そういうことだけではなくて、大学間連携とか国際連携を自分たちで企画提案し持ってくる、教員の個性も分かっていて、うまくマッチングさせることができる人材というのが結構いらっしゃるのです。そういう人たちが欲しいなということをおっしゃっているのだと思っています。
 では、そういう人をどうやって探すのか。海外から連れてくるという東北大のお話が先日ございましたが、連れてきて、こういう形で仕事をすればいいのだよというところを見せて、いずれ内部的に育成していくということをこれから始めたいということなのか。
 杉山先生も御存じですよね、一緒に研修受けたりして。そういうことなのかなとは思って聞いていたのですけれども、いかがですか。
【狩野主査】  確かにその文脈だと、トップマネジメントという言葉は大学界隈でどなたかがつくったかという話があるのですけれども、それだけではないマネジメントですよね。何も経営層に入らなくてもいいけれども。
【玉田委員】  そうです。さっき杉山先生に話したのは、我々が研修で海外に回ったときに、それぞれの部署で大学のシステムを説明する人たちが教員ではなくて、専門職の人で。彼女らが財務的な話や研究連携などの話をしてくれた。その人たちは、博士号は持っているのですけれども、教員ではないのですよね。専門職、マネジメント人材、博士という共通項を持つような人材が、丸々日本の大学では抜けていて、あまり見かけないというところに気づかれて、積極的に育てようということなのだろうな。これで合っていますか。
【髙見人材政策推進室長】  よろしいですか。本文の83ページの下のほうにコア業務構造ということをお示ししているのですけれども、今、玉田先生がおっしゃったような研究開発マネジメント人材がどういう業務を担うのかという、我々が見たときの定義ではないのですけれども、こういう業務を中心に担っていくのだということをまとめたものでありまして、真ん中に組織マネジメントというのが入っていて、将来的に経営層に入っていくようなキャリアパスもイメージしてほしいですし、将来的にと言わず、今すぐにでも研究IRとかいうところで、自大学の強みを分析して経営層に進言するというようなことはぜひやっていただきたいというので、この真ん中に据えておりますが、そこを入れつつ、上の黄色のプロジェクトマネジメントというふうに書いてありますけれども、まさに外部資金を取ってきて、研究を推進するための体制をつくるとか、関係者との連携関係をつくるとかというようなところで活躍したりということも、かなり業務の中心にはなってきているのかなというふうに認識をしておりまして、それ以外にも産学連携とか知財のマネジメントをしたり、あるいは研究インテグリティ、セキュリティといったところの研究基盤のマネジメントをしたりというようなことで、このようなところを中心になって担う人たちですということをお示ししているところなのです。
 おっしゃったように、日本の大学では、直近のデータでは1,800人ぐらいURAという人たちがいるというデータがあるのですけれども、まだまだ存在感としては、米国で御覧いただいたような認知はされていないのではないかという、その認知度の低さとかいうところもあって、処遇もしっかりしていないというのが現状でありますので、今回、人事制度に関するガイドラインというものをつくって、ぜひ、これは特に研究大学を対象につくったものですけれども、こういう方々の評価の仕方であるとか、それをどう処遇に反映していくのかといったことに関する優良事例とともに、ガイドラインとしてお示しをしたというところでございます。
 先ほど天野先生がおっしゃってくださったバイネームでURAとかマネジメント人材が認識されるような世界観というのができたら一番いいというか、そこまで持っていきたいなという思いはありつつ、まずは学内でしっかりと、今キャリアパスすらしっかりしていないという現状があるので、学内でしっかりパスできる、あるいは学外でも自分の処遇というのがこれぐらいだから、ほかの大学に移ったときにもこの階層で異動するというか、転職するというようなことが普通にできるような世界にできたらいいのではないかなというふうに今は考えているところです。
【狩野主査】  水口先生、この内容は比較的CxOの役割に近いと思うのですよね。そういう意味で、何が共通していて、何が共通の能力として使えて、そうすると、その人が一生もしこういう仕事をやろうとしたときに、大学だけじゃなくてあちこちで仕事ができるというふうに持っていき得るか、どうですか。
【水口委員】  おっしゃるとおりでして、スタートアップのエコシステムにおいてもそういった経営者だけではなくて、ディープテックの領域だと、研究を知っているということは非常に重要であり、かつ、財務であったり知財であったり、法務もそうですし、それはベンチャーにおいて弁護士であったり弁理士であったり会計士じゃなくても、研究を知っていた上で、そういった知識を持ち、専門家とコミュニケーションできるというのはすごく価値になります。
 今後ますますディープテックベンチャーのエコシステムにおいて、そういった人材、博士を持っていながら知財や法務、財務等、別軸の専門領域が扱える人材は重宝されてくると思います。
 それを知っていると、もちろんベンチャーでも活躍できますし、大学内でも例えばURA,研究開発マネジメント人材として、活躍できる人材になってくると思います。そのため、このような能力のある人材が様々なところで流動性を持ちながら、活躍できるようになってくると、全体としてどんどん活性化していく部分が見えるのかなと思います。
【狩野主査】  ありがとうございます。省庁のペーパーとしてどこまで書いていただくのが適切なのかよく分かりませんけれども、気持ちとしては、例えばディープテック・アントレプレナーシップのところでも必要とされる能力であるので、例えばそことの連携を今後考えていくこともよかろう、といったことはあってもよさそうですね。
【水口委員】  なので、キャリアパスにおいてもそういった道があるよと、博士を取って、研究に突き進むということももちろんいいですが、博士×別軸の専門領域を持つキャリアパスの道筋も示せると良いと思います。より活躍の幅が広がりますよというような見せ方がキャリアパスの支援の中でできるとよいかなと思います。
【狩野主査】  ありがとうございます。多分大学の中だけにとどまっていると、旧来のマインドセットが皆さんそう変わらないので、さきほどの、つまり社会的立ち位置の問題がなかなか改善しにくい可能性があるとすると、そういうあちこちの領域で使える人だ、大学にもいてくれていますという立ち位置も悪くないかなと思いまして、伺っておりました。ありがとうございます。
 時間の都合で次にそろそろ行きたいと思います。では、次が、大学・大学院における研究教育活動の充実・強化ということで、文章版では43ページから、それからパワーポイント版では33ページからになります。いかがでしょうか。ここはおっしゃることがたくさんある方がたくさんおられるのではないかと思っておりますけれども、どうぞお願いします。杉山先生どうぞ。
【杉山委員】  SPRING事業のところの関係なのですけれども、既に報道もされていますし、もともとのSPRING事業の在り方から考えると、これはやむを得ないのかなというのは一つ思うところです。実際にやるときに、現在もらっている人がいきなり落ちると大変なことになるので、これからというところを考えていると私は伺っていますけれども、そこは確保していただきたいというのが、これはお願いです。
 この話なのですけれども、先ほどのお話にありましたJ-RISE Initiativeと関係して考えると、このSPRING事業ってどちらかというとマスでサポートしてしまったので、ニーズベース的なものになってしまっていて、メリットベースではない。ある意味ばらまきに近いものになってしまったというところが、特に外国人については批判を受けてもしようがないのかなというふうに思うところです。
 日本人については、どうしても日本人の博士を増やしたいという国の方針ということもあるということで納得するところです。
 一方で、メリットベース的なものでいったときに、もちろん日本人については学術振興会もあるのですけれども、世界と競争して優秀な外国人留学生をとってこないと、そうしないと日本は勝てないというのはある意味分かっているわけです。そこは、今アメリカはあんなふうになっていますけれども、もともと大学院のPhDコースについてはフルサポートという形で世界中からいい学生を集めて、それで私はすごく研究力が伸びた、国力が伸びたと思っているのです。
 そこに負けないようにするために、外国人留学生についても優秀な者を、生活費支援ではなくて、雇用するという形でしっかりと日本にも連れてこなければいけない。J-RISEでは多分その一部を担うと思うのですけれども、今の規模、一番望ましいのはSPRINGで今サポートしている規模の人たちを、そういう優秀な大学院生に全部置き換えられると、すばらしいなと思うわけですけれども、そう思ったときには、ここに書いてある優秀な留学生を確保するために国・地域の多様化に向けた取組を促進というところにもう少し具体性を持たせるということと、それから多様性といったときに、すごく奥歯に物が挟まるんですけれども、G7みたいな先進国だけじゃなくて、インドとか、そういう優秀な学生がどんどん出てくる国が今デベロッピングカントリーのところでも随分出てきているので、そういうところも含めて、大学でしっかりと優秀な学生を選んで、雇用できるような財源が確保できることが重要だというふうに思います。
 それがRAでも何でもいいのですけれども、その辺についてもう少し踏み込んだ記述をしていただけないかなというところです。SPRING事業ではないものでということでいいと思います。
【狩野主査】  大変ありがとうございました。どうぞ、湊先生。
【湊委員】  私、学振のDCの審査も何回もやっていますが、今年から京大の情報系の副研究科長になって、SPRINGの審査の責任も来てしまっているのですけれども、両方審査していてすごく悩ましいことがたくさんあるのです。
 35ページの真ん中の斜めにすぱっと切った青と緑の図、すごくよくできていると思いまして、DCはトップ層の育成、SPRINGは中間層を太くするという、そういう仕切りに今なっているのだろうなと思います。
 実際に審査やっていると、DCの審査というのは大学横断で経験豊富な審査員が多数確保されていて、それで、論文を書いているかどうかとか、トップの国際会議で発表しているかどうかとか、受賞しているかどうかとか、そういうところで大学に関係なく優秀なトップ層を審査する、そういう競争的な仕組みというのが長年の歴史で出来上がっているわけですけれども、SPRINGのほうは大学の中で相対的に評価していて、しかも審査員も学内で頼まれてやっている感じで、審査員の仕組みも脆弱です。中間層を太くするという意味ではそのぐらいでもいいのかなと思いますけれども、今33ページのところでSPRINGの取組事例で一部DCを上回るような、そういう金額を出すということをやっていますけれども、そういう本当のDCを超えるような優秀な人を審査する体制にはなっていないというのが一つ問題だと思います。
 それで、私いろいろ考えてみたのですけれども、一番問題なのは重複受給ができないということなのですよね。なので、SPRINGは進学前採用枠とか、そういうのがあったりとか、予約枠があったりするのですけれども、後でDC通ったらSPRING辞退してくださいというような形で、そうすると、下手するとDCのほうが安くなってしまうというようなことになってしまうのですけれども、本来DCのほうがしっかりとトップ層を審査しているので、これ重複受給を一定の条件で認めてもらえると。
 例えば、両方通った場合は、DCは全額受給で、あとプラスアルファで、もう少しSPRINGも出していいというような形にすると、プラスアルファで両方頑張って出そうという、そういう気持ちになって、しかも審査のほうも、トップ層の審査はDCで集中してやって、それでプラスアルファのところだけSPRINGでやる。そちらは例えば次世代AIだとかDX人材とか、分野によってメリハリがついているというような形にできればいいのになと思っています。
 これ昔、DCとJSTのACT-Xは重複受給できなかったのですけれども、今できるようになっているのですけれども、これは、その当時、河野太郎文科省大臣のときに、科研費改革のときにそれでできるようなった。JSPSとJSTってそれぞれ違うので、お互い協力ってなかなかできないのですけれども、文科省レベルで調整していただくと、そういうこともできるようになるのではないかと思うので、その辺ぜひ考えていただきたいなと思います。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。
 一委員として少し違う表現もしてみたいのですけれども、DCのほうは今おっしゃったようにアカデミックな意味での優秀性のメリットベースという意味があったなと思っております。SPRINGのほうは、この絵の解釈ですけれども、私の解釈としては、産業あるいは社会に近いかどうかという意味でのメリットベースというふうに読んでいただくのが手かなと思っておりまして、もしそうだとすると、全国一律の価値軸なのかどうかということは心配もあるなと思ったときがあります。
 各地域におけるメリットって違う可能性があるかなと思っていて、それもあって、各機関に任せるという方法が、もちろんその中での審査員の皆様がそういう気持ちになっていただかないと、その意味にならないのですけれども、その意味で、近くの人じゃないと分からない価値軸というのに向かって選んでいただくことも一案ではないかということで、今のSPRING制度は意味があるのではないかというふうに私は思っておりました。
 もしそれで文部科学省の皆さんも含めて合意されるとすれば、そういうすみ分けで両方の制度が存在しており、もしかすると、両方の価値軸で勝っている人は両方もらってもいいのかもしれませんけれども、でも、国税が限られていることを考えると、ある程度の上限額が決まるのではないかなということは思ったりしているところです。一委員としての意見でした。
【湊委員】  完全な重複受給は認められないと思いますけれども、ACT-Xのときも一定の上限つきで一部だけ重複ということが認められていますので、そういうことを考えていただけるといいかなと思います。
【狩野主査】  ありがとうございます。
 あと、杉山先生の観点に関しては、国際戦略委員会で頭脳循環の話をやっていても思うことなのですけれども、一つは、各地域の多様性を高めるために地域特別などんな枠があるのかという一覧があんまり今のところないかもしれないので、それを整理してはどうかと思ったことがあります。
 それから、今回このSPRING事業で留学生に対するところが減るというような言い方に対して、いろいろな反応がある中で、実は留学生全体に対してはいろいろな施策が動いているはずであって、これの全体像が分かった上で、SPRINGというのはその中では日本人の皆様を中心的に支えるものであると。場合によってSPRINGと同様の形で、さっき申し上げた社会とか産業に向かったメリットベースみたいな意味で、もしその奨学金が使えているかどうかを見たときに、もしないのであれば、それはそれでまた次に施策を考えてもよいのかもしれないというようなことは思って見ているところではあります。
 どうぞ、玉田先生。
【玉田委員】  補足というか、九州大学のSPRING担当者に聞いてきたのですけれども、まさにおっしゃっていたのと同じことを申していまして、DCと違って、こちらSPRINGのほうは奨学金ではなくて政策としてやっていて、博士について、経済支援だけじゃなくて「キャリア支援」も一体化してやる事業だというふうにして理解して、運営しているということだったのです。
 ですから、この後また議論になるかもしれない「キャリア支援」なくしてはSPRINGは語れないという部分と、あとは先ほどおっしゃったとおり、留学生については、それ以外の外国人留学生奨学金制度ですとか国費外国人留学制度でほぼ同額の支援がなされているということを考えると、SPRINGのほうは生活費に関しては日本人、その他の制度のほうで留学生についての生活費を補うという風に考えれば矛盾しないのですが、そのあたりのデータに明確に出していなかったので、またすでに留学生への生活費補助を始めてしまったので、途中でやめるとなると、誤解されかねないというところが気になるということでした。誤解のないようにちゃんと説明してくださいということは聞いてきております。
【狩野主査】  そうですね。ありがとうございます。大変同意するところでございます。
 それから、あと、SPRINGに関しては、今までの状況ですけれども、来たときに奨学金を取り損ねていた、奨学金とかそういうサポートを取り損ねていたのだけれども、来た後にいい人だったので、ぜひ取ってみたらどうでしょうということができるような仕組みだったわけです、留学生から見ると。
 そうした来る前から決まってないといけない以外のサポートや枠組みが今、日本で整備されているかどうかというのは、この機会にレビューしてみてもいいということは思ったところはありました。もちろん財団とかであるのだと思っていますけれども、国としてはどうか。
 私の理解が足りていないところで今付け加えていただいたほうがいいことがあったら。特にないですか。
【奥人材政策課長】  先ほど杉山先生から最初にお話のあった、今現に支援を受けている留学生の人たちがいきなり来年から支援を打ち切られるということは基本的にはないという、不利益処分になるような制度設計にはしないということはきちんと申し上げたいと思います。
 その上で、御指摘いただいているように、SPRINGはあくまで留学生に対する支援政策ではなくて、博士の後期課程学生をきちんと進学を支援するという制度ですので、それにのっとった形で今回見直しをしました。
 留学生については、もちろん我が国の研究力向上のために極めて重要な人材でもあると思いますので、留学生については、優秀な留学生についてはきちんと招聘し、確保して支援をするという別の枠組みはきちんと充実をさせていきたいというふうに思っています。
【狩野主査】  ありがとうございます。大変明快なコメントを今いただいたと思います。
【杉山委員】  ぜひそこを書き込んでいただけたらと思います。
【狩野主査】  ありがとうございます。
【杉山委員】  もう1点だけごめんなさい。さっき言い忘れたのですけれども、前からコメントしているのですけれども、研究費というのはところを書かれているのですけれども、社会人、我々の周りで、産学連携とかを担当している者に言わせると、授業料の負担が個人の負担になる場合が多いと。なので、そこをサポートしてあげられないかというような意見が出てきているので、SPRING事業でそこの授業料相当分が出せるとかいうものはあるといいなとは思っているところです。
【狩野主査】  これも検討いただければと思います。
【奥人材政策課長】  湊先生からお話のあったDCについては、アカデミックキャリアパスの上で極めて重要な制度だと思っていますので、DCがある種重複受給が不要になるぐらいきちんと単価を上げるということがまず大事だと思っていますので、それはそれで我々としても考えていきたいと思っています。
 重複については、いろいろ制度的な制約があるので、そちら検討課題とさせていただきます。
【湊委員】  すぐにはできないと思いますけれども、もちろん重複しなくてもいいぐらい単価上がればもっといいと思いますけれども、それもなかなか難しいのではないかなと思います。
【奥人材政策課長】  決意表明です。
【狩野主査】  公式の場で決意表明をいただきまして、ありがとうございます。
 ほかはこの観点はいかがでしょうか。今のところはよろしいでしょうか。
 先ほどからお話があったように、日本国籍の社会人に対するサポートを明快に打ち出しているところも今回一つメッセージとしては重要なところかなということは思っておりまして、これも強調してもよいかということは思っている次第でございます。
 よろしいでしょうか。では、次の柱に参りたいと思います。
 次の柱が、初等中等教育段階での科学技術人材の育成についてということで、文章では52ページからで、パワーポイントは37ページからになるというふうに思います。このセクションも専門家がたくさんおられますので、どうぞ御発言ください。どうぞ。
【川越委員】  ありがとうございます。まず、いろいろと取りまとめていただき、ありがとうございます。
 私からは1点、パワーポイントですと38ページのところ、小中高校段階における理数系教育のところで、学習指導要領に基づいて日常生活や社会との関連を重視した学習という点と、科学的に探究する学習の充実というのは非常に大事なところと思っております。
 一方で、今、こういった学習の部分と探究の部分が少し分離しているというのか、教育現場では両方をやるのが難しくなっており、分断してしまっていることがあります。そのため、ここに書き込まなくてもいいと思いますが、例えば本文の中ですとか、学習を通して探究をするというところと、探究をするためにまた学習に立ち戻るというような、循環する学びといった観点が入っていると、学校教育の中で取り組みやすくなり、先生方もそういった学習を進めやすく、理数系教育の推進につながるのではないかと感じました。
【狩野主査】  ありがとうございます。多分、個々の人が持っているもともとの特徴や強みに対して、全体を底上げする間隔での教育のときに、その特徴は今しているこの底上げには合ってないから蓋をしておきなさい、という感覚がどうもまだあるのだろうかと思います。しかし、そうではなくて、こういうときにもっと花開けるから頑張ってねという方向に持っていけると本当はいいなということは思います。
 それが特に科学技術に関係するところだと、この施策でもできるでしょう。あるいは、もしかするとマネジメント系の特徴や強みであった場合に、例えば学校では生徒会活動や部活動等以外に何か強化するフィードバックがあり得るのか。などなど、いろいろ考えるところはあるなと思って見ていたところでございます。
 ほかにはいかがでしょうか。人材育成のところは誰にでも関わるといえば誰にも関わりますので、何か御意見を頂戴できればと思いますけれども。今日あまり発言されていない梶原先生、この辺も関係者だと思いますが、こんなところで振ってみてよろしいでしょうか。
【梶原委員】  いろいろと思うことがあります。
【狩野主査】  きっとそうでしょうね。ためておられるかなと思います。取りあえずここで一つ。
【梶原委員】  初等中等教育でありますけれども、先ほど資料の1-2で、幼児教育の段階から考えるべき課題という御意見について、多分この委員会の中では処理されないと思うのですけれども、幼児教育を担当されている部門に、こういう意見が、この議論がされたということはぜひ文科省の中で共有ください。どの程度進展されているのか、私たちが知らないだけかもしれませんが、そこはとても重要だと思います。
 小さいときからということは産業界でも結構話題になり、なので、この委員会では初等中等教育なのかもしれませんけれども、幼児教育に対しても重要だということは省内で共有ください。していますか。しましたと言われるといいな。
【奥人材政策課長】  広い意味で初等中等教育の中に幼児教育は入っていますし、引いて見れば、この後、科学コミュニケーションがあると思うのですけれども、科学技術コミュニケーションはそれこそ学校教育段階だけではなくて、広くそれ以外の階層に対してもアプローチするという手段でもありますので、いわゆる幼児教育だとかそれ以前に対するアプローチの手段として有効なのかなと思います。
【梶原委員】  ただ、ここの文章では、文科省の人は分かるかもしれませんけれども、そうではない人たちにしてみると、字面で見ているだけで、ここは幼児教育という、そういうところまで含めてスコープに入っているというのはまたイメージが違うと思います。あえて言おうとすると。
【狩野主査】  確かに。せっかく総合教育政策局を設定しておられるので、そういうところとうまくタイアップすると一案かなと思ったりするのが一つ。あと、幼児教育、今、こども園化すると、そこでどういう教育をするかということは多分議論があると思いますが、あのあたりとも本当は接続した議論が必要ではないかというふうに最近思うところもあります。もう一つ言うと、アメリカで1960年代から始められているペリー・プロジェクトがあり、それによると、それも50年ぐらい追跡調査しているみたいですが、幼児のときのそういう介入、特に非認知的な能力への介入が、非常に生涯にわたって効果があるということが出ているようです。ですから、それと関連して、そうした非認知的能力と科学技術に必要な才能って比較的近い気がするので、あのあたりを継続させた話としてできるといいなということは思うところです。
 ほか。どうぞ、迫田先生。
【迫田委員】  今はどちらかと優秀者を引き上げるところを考えておるのですけれども、科学技術という点で言うと、高校段階で文理が分かれて、文系で数学とか物理とかやらなくなるということに非常に危機感を感じています。入ってくる新入社員のレベルをずっとチェックしていくと、超有名大学卒の方々でも、データ分析力や、論理的な思考力というところではかなり課題があるなというふうに感じています。そういう意味でいうと、高校段階では、文系であろうと数学はやるとか、当たり前のことをしっかりやっていかないと、国全体の科学技術力は相当落ちていくのではないかなと非常に危機感を抱いています。ぜひそういうところも書いていただけると大変ありがたいなと思います。
【狩野主査】  確かに。ありがとうございます。
 関連して言うと、西洋国の中で、中学か小学校高学年ぐらいから作文のスタイルとして論文スタイル、つまり「言いたいことをはっきりさせ、それに理由をちゃんとつけて書きましょう」というスタイル教えているのを知りました。日本ではそれがまだできてないのかな、小論文というところでちゃんとできていればいいのですけれども、そうではないとすると、そのことについても言及することは、科学技術関係者としては「あり」ではないかということは一つ思うところでもあります。
 あとは量的データの活用ですよね。結局。質的データだけでなくて、量的なデータについても注目する必要があるということを「文系」の皆さんにも知っておいてほしいということなのだろうというふうに今受け止めました。
 ほかはよろしいでしょうか。どうぞ。
【湊委員】  最近、小学校の習い事のトップぐらいにプログラミングを習うというのが来ていて、それで、小学生ぐらいからプログラミングの塾みたいなところに行っている子とか結構多い。今、小中高校でも教科情報というのが入ってきて、情報を教えるようになってきているということなのですけれども、そのあたりのことがあんまりここに書かれていないかなという感じがしていまして、特に、情報オリンピックに行ったりとか、競技プログラミングに進んだりとか、そういう人たちをどういうふうに育てていくのかというところもあってもいいのかなと思います。
 今、スーパーサイエンスハイスクールとかは割と部活動的な取組だと思うのですけれども、Jリーグの下部組織みたいな、スポーツ少年団みたいな、そういうところの取組みたいなのと両輪でやっていくような形にできるといいのではないかなと思っています。
【狩野主査】  大変ありがとうございます。ほかのところでDX、デジタル技術の活用という話は出てきたのですけれども、その教育は確かに今までそんなに触れていなかったなということは今思いました。ありがとうございます。
 それからあと、SSHの今後の類型が3つ今並んでいるのですけれども、これ一委員としての意見ですが、類型1にあるような、学校の特色はとにかくとして、地域の特色を生かしというところも実は国際感覚に優れたところに入り得る内容を含むのではないか。つまり、地域課題から始めるのだけれども、似た地域課題のある世界のほかの場所とつながって何かやるというような活動って実は国際活動ではないかと思います。ですので、この類型3に当たるところに、アカデミックな意味での国際のみならず、そちらの方向の国際というセンスも含めるのであればいいし、アカデミックな意味でアカデミックなトップレベルでの国際化という意味だけがもし入っているとすると、もう少しここを検討していただく余地もあるのではないかということは一委員として申し上げてみます。
 ただ、理数系という立てつけがあるからごめんなさいって言われたら、そういう政策なのだなということなのですけれども、だとすると、別のときにそういう枠も考えていくことも必要ではないかということを一委員としては思っております。
 ほか、いかがでしょうか。
【川越委員】  1点だけ手短に。裾野を広げる理数系教育の充実のところに、もし可能でしたら、そういった教育に携わる小中高校の先生の観点も入れていただけるといいのではと思いました。
 というのも小学校の先生は、全ての教科を教えていると思います。専科の先生もいらっしゃいますが、小学校の先生が理科が苦手だったりすると、そのクラスは理科が苦手になったりとか、先生が好きだったりすると皆さん理科が大好きというケースがあったりするので、先生に対する支援であったり、教員研修であったり、ここに携わる先生の視点が1つ入るといいかなという気がいたしました。
【狩野主査】  さっき奥課長が人だけじゃなくて環境も大事だという発言をされていました。それに類することとして、ここでもそれがよりしっかり書いてあってもいいかということですね。
【川越委員】  そうですね。
【狩野主査】  それは思います。あとは、前に議論がありましたように、先生が異動しちゃうと変わっちゃうということがあって、学校という組織の枠に支援をしているけれども、実は人が支えているのでどうするのですかという話があったのを思い出しました。
 玉田先生どうぞ。
【玉田委員】  43ページの女子中高生のことを一言お伝えしたいのですけれども、日本の義務教育はちゃんと男女差別なく行われているということなのですが、社会的な課題としてジェンダーバイアスがあるので、低学年時により積極的に介入し、バイアスを払拭するという活動が必要なのではないかということを専門家の方から聞いております。
 特に女子の理工系進学についてのバイアスをなくすことを、下のほうにアンコンシャス・バイアスの払拭ということは書いてあるのですが、これをもうちょっと強調して書いていただいてもいいのではないかなと思います。よろしくお願いいたします。
【狩野主査】  ありがとうございます。それもさっきの幼児教育にもつながりますね、本当は。
【玉田委員】  そうですね。
【奥人材政策課長】  ついでに申し上げると、本文のほうの58ページ目から59ページ目のところを見ていただければと思います。アンコンシャス・バイアスの解消に加えて、特に59ページ目のところ一番上、幼児期の教育現場における云々ということを書かせていただいているので、一応意見を踏まえた形での修正をします。
【玉田委員】  「積極的介入」みたいな言葉をぜひよろしくお願いします。
【狩野主査】  多分、省内の役割分担にもいろいろな気遣いもあるのではないかと思いますので、書ける範囲でお願いしたいと思います。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。取りあえず、では次の柱に行きたいと思います。
 次の柱が科学コミュニケーションでございます。では、桝先生、お待たせしました。どうぞ。
【桝委員】  本当全部よくまとまっていて全体像が見える文章で、このままでいいなと思いながらでしたけれども、全体像が見えたがゆえに新たに気づいたといいますか、より強く早くプッシュして具体的に動いたほうがいいなと感じたポイントが1個だけあったので、意見します。
 実態把握とエビデンスというところがあったと思うのですけれども、ここは確かに物すごく大事になるなというふうに思っています。情報環境がこの10年と言わずに5年で劇的に変わりましたので、でも、科学コミュニケーションに関する施策って恐らく2010年代か、あるいはもう少し古い時代の情報環境のイメージに基づいて、いまだに推進されているなという感覚があります。
 極端な話、5年後には市民と科学との最大のコンタクトポイントがChatGPTになっているかもしれませんし、どうしてもこの手の文章って、科学館、博物館と最初に記しがちになるのはよく分かりますし、文科省の管轄でもあるでしょうから、僕も科学博物館大好きな人間なのですけれども、本当に現代においてそこが代表的な市民とのコンタクトポイントになっているかどうかというのは、これ早急に把握しないといけないなとは思ってはいるのです。
 なので、実態把握とエビデンスというところは、本当になるだけ早く具体的に動きますというふうに記載してもいいのかなというふうには思っております。
 そこにひもづいてくるのが科学技術コミュニケーション人材の育成なのですけれども、これも同じく現在の社会の現場の状況と実際のニーズを捉えて、そこからの逆算で人材育成を考えなければいけないなというふうに思いました。これ調査の仕方は難しいですけれども、科学をめぐるあらゆるコミュニケーションの場でこんな人材がいたら助かるのにということを産官学の各現場でニーズを把握しておけば、そこに逆算して科学技術コミュニケーション人材って今本当にどんな人材が求められているかということがはっきりするのではないかなと思います。
 先ほど玉田さんがおっしゃった研究者の長所や個性を把握して学外とマッチングさせる人材というものは、私の中では科学コミュニケーション人材の範疇だというふうに思っていまして、さらに、それは科学館とか博物館の方々が兼任できるものではないことは明らかですので、それは別に悪いという意味ではなくて、役割とスキルが違うので、それを育成する教育機関というところも多分、現状の科学コミュニケーター育成プログラムではカバーできていない場所だと思うのです。
 なので、先ほどの実態把握という中の一つに、実際に具体的に今科学をめぐるコミュニケーションでどんな人材が現場で不足しているのかというところを、もし可能であれば把握していただけると、そんな人材を育てるのはどこが育てるのかとか、どういうプログラムで育てればいいのかということが見えてくると思います。
 まとめますと、1つ目は実態把握とエビデンスに基づいた政策推進というのが物すごく実は大事な項目であるということと、具体的に本当に早く文科省さんの管轄で動き出したほうがいいということを、動き出しますよということをアピールしていただいたほうがいいではないかということが一つ。
 それに紐づいて2つ目として、科学技術コミュニケーション人材というものの定義というのを、旧来の市民との対話、協働という範囲で絞ってこれからも考えていくのか、あるいは、その実態把握の結果をきっかけにして、その範囲から脱却して、産官学をつなぐ人材全体のことを指すというふうに捉え直すのかというところは、ぜひ、今すぐでないでしょうけれども、次の基本計画までにその定義を旧来のものに絞るのか、広げるのかという二択になってくるだろうなというふうに思いますので、そこの部分はぜひ考えていただきたいなと思ったところでございます。
【狩野主査】  重要な御意見ありがとうございました。来週総会というのがありまして、そのときにこの内容を紹介するのですけれども、それの内容が次の科学技術基本計画にどういう内容を生かしていけばよいかという議論になりそうな気がするので、今の視点について本当は触れたいのですが、3分しかもらってないので触れられなかったらごめんなさい。
【桝委員】  多分難しいと思います。研究開発マネジメント人材と結構重なってくると思うので、そこはむしろ合体してもいいかなって思いながら。
【狩野主査】  もしかしてそうかもしませんね。
【梶原委員】  それはそう思います。あえてコミュニケーション、コミュニケーターって言ってしまうと、博物館で説明する人とか、そういうことができるように、この46ページのところに書いてありますけれども、こういう大学でこういう学科を持っている、それが概念的にイメージを縮小させてしまっていて、もっと広いという話が重要だと思います。
【狩野主査】  そうすると、研究者とか技術者って言ったときには各人という「点」を今考えているのだけれども、それを「つなげる」人という感覚のところが必要で、それの一つの類型はマネジメントと言っている人だし、一つの類型はコミュニケーターだって言っている人、そういうことですよね。
【梶原委員】  社会とつなぐ人という視点のほうが大きいのでは。URAだと、もしかすると一つの企業の何かと、あるプロジェクトをつなぐという視点が出てくるような気もするのですが、そういったことも含めて、広いけれども、重要というのが打ち出されないと、どうしてもすごく定義が狭くなってしまっているような印象があるので、そこは変えていくほうがいいと思って。
【狩野主査】  いいですね。「深める」人と「つなぐ」人みたいな表現をいつかしたのですけれども、それのうちの「つなぐ」人というところに含まれますね。
【湊委員】  大学でもオープンキャンパスとかやろうとすると、そういうコミュニケーター的な人がどのぐらいいるかというところがすごく重要になってくると思います。
【狩野主査】  ありがとうございます。つなぐ相手も人と人もあるし、セクターとセクターもあるし、いろいろということですね。良い視点をいただけたと思います。
 私が皆様の白熱に乗っかってしまいまして、時間が徐々になくなっているので、そろそろまとめのほうに移りたいといって、あと5分しかないのですが、まとめをためておられた梶原先生からどうぞ。
【梶原委員】  ここで書かれていることは皆そのとおりで、一番重要なのは、それでどうやってそれを進めるのですか、ということだと思っていて、例えばクロアポの話も、ずっと以前からクロアポの制度を活用して誘導できるようにとやっているのに、なぜ進まないのですかというのは、やり方に課題があるとか、制度に課題があるとか、何かあるはずなのだろうけれども、そこが分からないまま活用するとか推進するとだけ言われると、今までと何が変わるのですかという感じです。クロアポは見ていてそういうふうに思いました。
 あと、事例を見せていく、ガイドラインをつくって事例をつくるということで、どうやるのに対してはそれが書いてあるのですよね。では、ガイドラインと事例を作って、その後どうするのですか。作って、それで政策というか、それがうまく進んでいるのですかというところが、チェックと次のアクションにつながっていなかったのが今までの流れではないのでしょうかと思うところがあります。最初のステップとしては、ガイドラインつくって、こんな事例があると提示することでしょうけれども、その事例が出てきたことによってどうなのか。私は逆に大学の先生方に問いたいのですけれども、それが非常に有効なのでしょうか。あるいはそれをうまく使うためにはこういうやり方で使っているということがあって、非常にいいということなのか、その辺が分からないです。
 ガイドラインがありました。それから事例がありました。そうすると、そこに関心のある人は見に行って、ああ、こういう事例を自分の大学にも入れ込もうというふうになれば、どんどん変わっていく、それがスピード感持って動けるやり方ですかというのを逆に知りたいと思ったので、Howをスピード感を持っていかに進められるかというところがこれでは見えないので、そこが一番の問題かなと思って見ておりました。
【狩野主査】  いえいえ。もっとためておられるかと思っていました。
【梶原委員】  いや、SPRINGは言っていいですか。財務省からの情報をもらって、はたと思ったのは、文科省の方はいろいろ思うことがあるのでしょうけれども、何も知らない私からすると、あの情報を見たときに、では、財務省のデータに対してカウンターができるデータは何を持っていらっしゃるのですかと思いました。
 財務省のデータを突き合わせる形ではない、別のデータがあると言うのであれば、それは逆にSPRINGを活用した意味ってこうなのですということを見たいと思いました。エビデンスに基づいて、データに基づいてその効果を測って政策を進めていくという、希望的にはそういう形にしたいのだけれども、なっていないとなると、違うところからこういうデータが突きつけられて、あれはあれで多分一つのデータだと思って理解をすると、普通にSPRINGってそんなに効果が発揮されていないという結果に見えるのは、ああ、そうなのかと。中の事情を知らないですから、あれを見るとそう思う。では、カウンターはどう考えているのですかと思いました。
 逆に新しいことをやろうとするときに、それをやることによって、どういうデータをどういうふうに変えたいという思いが出てくるというか、考えていらっしゃるといいですね。それをやろうとしたときには長く見ていく人が必要ですよね。
【狩野主査】  はい。任期の問題もあるという話になったわけです。
【梶原委員】  最後はそこにつなげて言いました。
【狩野主査】  ありがとうございました。
【奥人材政策課長】  予算執行調査の件ですね、財務省の。それを、では、玉田先生。
【玉田委員】  SPRINGの話をしていいですか。財務省の話はこれからあるのですか。もう終わりそうなのですが...。
【狩野主査】  今日は時間的にはもう終わりそうになっていますので、何なら今、発言いただいても。
【玉田委員】  九大で聞いてきたのですけれども、反論というか、データの取り方のせいだというところは多分調べたら分かりそうだというのは聞いてきました。例えば九州大学の場合は、財務省のデータと20%以上違うような感じで、もともとが就職率は9割ぐらいなのですけれども、SPRINGのほうがさらに就職率は高い。
 ただ、よくも悪くも、SPRINGというのは理工系と医歯薬系だけではなくて文系もエンカレッジしようということで入っているので、そういう意味で就職率が低くなるのと、全国の大学、国立大学、地方大学と、それも全部合わせたたかだか数年のデータでの議論で結論を出してやめてしまうということになったら、そもそもがSPRINGのキャリア支援、広く社会の中に博士をと言っていた目的が変わってしまいますよね。それはいいのですかと。
【梶原委員】  いや、私が申し上げたいのは、エビデンスを何でもって示していくか、全体なのか、個々の分解能のある、ある特定のことについてなのか。九州大学はこうだというのがあったとしても、全体でどうなのかを見たときに、そういうことを常に持っていないと、違うところから全体感で言われたときに、差はないじゃないかと言われておしまいになるということは、やっている方々は、それはそれで悲しい、全然理解していないというふうに思うでしょうけれども、外野から見ると、データを見せられれば、そのとおりなのかなと思って、そう理解せざるを得なくなります。
【狩野主査】  同じ局内の政策のための科学というのも関係者ですけれども、そこで事業が終わりそうになっていて、私が思うのは、今みたいなセンスを行政官の皆様がもう少し持っていただかないと、先ほどのお話にあったとおりに、質的データに基づいて反論しようと思っても量的データがないと困るときありますよね。
 それの統計学的なデータを取るに当たって、視点が、今の政策に沿った形での視点だけなのか。あるいは、こういう委員各位からあるような、行政とは違う視点に基づいたデータのもし必要があったときに、それがどれぐらい機動的に取れるようになっているのか。お金はどうなのか。それから、行政官の皆様がそれに向かってどれぐらい乗っかっていただけるのかというところが本当はこれから大事なことだなと思っていて、そういう意味で、次の本当は施策が要るよなということは思うところです。
 玉田先生がおっしゃっていることは全くよく分かるし、今の梶原先生がおっしゃったことは、なので、それを、一例調査になっちゃうから、もう少し全国悉皆に同じ目線で見たときに違うデータが取れるのかということを聞いておられたのだなと思ったのですけれども、どうですか。
【杉山委員】  財務省の件で言うと、SPRINGの委員会では、まさに北大の長谷山さんがデータをちゃんと取ってなかったのは悪いのであるという熱弁を振るったということは申し添えておきます。
 それで、今回、就職率というのは、本当はあまり意味がない数字で、どこに就職したかが重要なので、私は、SPRING事業でああいうキャリア支援をすると、アカデミア以外のところにしっかり就職する、そういう希望する人が増えているのではないかというふうに期待しているのです。実際リーディングとか卓越大学院ではそういう傾向もありましたので、だから、あのほぼ同じ数字の就職率の中身が、キャリア支援を受けた人がアカデミア以外のところに就職する確率が増えているというようなエビデンスが出せれば、マスでちゃんと反論ができるのかなと思いました。以上です。
【狩野主査】  ありがとうございます。玉田先生、多分残りありますので、どうぞ。
【玉田委員】  いや、私もそう思っていたのですね。ほかの省庁に統計を出される前に自分たちで出してあればよかった。ただ、できるだけ業務を簡素化するという視点もあるので。データ解析もかなり手間がかかりますよね。そのあたりもあるのだなと思ってはいるのですけれども。でも、今となれば、取ればいいですよね。
【奥人材政策課長】  SPRINGは実態調査をするつもりでいますので、それを踏まえて考えさせていただきたい。
【玉田委員】  そしたら、中身が分かったら、実際上私は心配がないではないかなとは思ってはいるのですけれども、データに対してはデータで出したらいいのではないかなと思います。
【狩野主査】  そのときもしお願いができ得るとすると、どういう視点での統計調査、あるいはどういう質問項目での調査をするのがよいかということも、こういう審議会でも少しもんでいただくことも手かなということは思います。
 そろそろ時間が過ぎてしまっておりますが、ほかに何か総合コメントがございますでしょうか。
 私からあるとすると、今回こういう全体像があったということが、今までと同じネタを何度もやっているのではないかという御指摘もあるようではあるのですが、とは言いながら、全体像が見えたから出てきたコメントもたくさんあるなと思っていて、一つが、とりわけ日本社会の一般的に構成している方々、つまり国民ですね。それから産業界とのつながりというのが、科学技術がどういうふうにつくれるかという点は非常によりよく出てきたのではないかと思っているということが一つ。
 それからあと、科学技術のアウトプットをよりバリュアブルというか、よいものにしていくために、どんな多様なキャリアの方々がどういうふうに関わるかということについても、視点がより明示的に表現されたということは大きいことかなということは思っておりまして、もしそういうことを踏まえることができるとすれば、今回こういう全体を頑張ってまとめていくという気概のおかげさまかなということは思っているところでございます。
 何かほかに御発言よろしいですか。
 そしたら時間もそろそろ過ぎてしまっておりますので、今日の議論はこれぐらいにして、すいません、さっき初めに間違えて言いかけましたが、もう1回次回がこの内容で意見交換できますので、今日より明確になった視点に基づいて、ぜひ御意見をためて、次回また共有いただければというふうに思います。
 それでは、閉会の前に、せっかく局幹部の皆様にまた来ていただいておりますので、何ならよろしければ、一言ずつおっしゃっていただいてということなのですけれども。言いやすいほうからどうぞおっしゃってください。
【先﨑科学技術・学術政策総括官】  ありがとうございました。途中参加で40分しか参加していないのですが、相当いい議論がなされたのではないかなと思います。
 私がちょうど参加したときに幼児教育の話が出ていました。幼児教育は非常に重要です。かなりのことが実は幼児教育でできることが分かっているのですけれども、学校教育制度史の流れの中で、教科主義というものと経験主義のこの概念の整合性を図ることで、小学校と幼稚園の間で相当の実は軋轢があります。今もそれが実は続いているのですけれども、結論を言うと、かなり克服されてきていて、小学校時代の諸問題を解決するためには、幼児教育に学ぶべきであるというベクトルがようやく小学校のほうでもできるようになってきている。
 幼児教育において気をつけなきゃいけないのは、数は数えられるのだけれども、関数の概念がまだないということと、それから量の概念が曖昧というのがあって、そこさえ気をつければ、実はかなりの科学的な思考を幼児教育のことからやっている。それを言語化する力が幼児教育にも学校教育側にも初等教育にもない。そこを何とかしなきゃいけないというような状況になって、さっきペリー教育調査、ヘッドマンの調査ですけれども、挙げられていましたので、そのあたりはかなり、ワーディングの問題はあるのですけれども、そういうことをやっていける、書き込めていけるという時代になってきているのではないかなという気はいたします。
 数学に関してというか、数学の勉強量少ないのではないか、これは大学も高校側も反省していて、指導要領では少なくとも、いわゆる『文系』は数1A、数2B、数Cまで勉強するというふうに形が変わってきていて、教科に情報1というのが入って、一応、遅ればせながら情報リテラシーみたいなこともやって、もちろん内容としても御不満な点はあると思います。
 それから大学側では、『文系』学部における数学重視、配点とか必修科目とかかなり増えてきていて、特に有力私立大学でそれが始まったことによって、かなり受験業界も含めて再編の動きもあるということで、高校も大学側も理数についての重要性、この世の中で生きていく上で理数に着目をしないと、自分たちの存在意義に関わるということが分かってきていて、図体がでかいので動きは遅いのですけれども、それがようやく顕在化しつつあるということなので、また、その点、御批判・御指摘含めて議論していただければ、またそれもこういうところに反映されるといいなと思いました。
 これ、奥課長以下皆さんがつくっているのですけれども、非常に体系的であるということが第一、出色の点であるということと同時に、こちらだけでも十分に読んでいて分かる。これもなかなかないものでございますので、ぜひとも両方見ながら使っていただけるようになるといいなと思いまして、以上でございます。ありがとうございました。
【狩野主査】  ありがとうございます。来週3分でその魅力を伝え切れるか、非常に肩の荷が重い思いをいたしております。
 では、井上局長、お願いします。
【井上科学技術・学術政策局長】  すみません、私も遅れて来て50分しか参加していないのですけれども、今回は本当に非常に包括的な議論をしていただいて、これまでの議論を通じて私もいろいろ思うことがありましたけれども、こうやって見ると、人材の問題というのが幼少期から、あとは大人になるまで、そしてまたこれが社会ともものすごく極めて密接につながっているというのが浮かび上がってきて、非常に私自身も思うところがありました。
 そして、これだけの分厚さ、これだけの文字を書いてもまだまだ今日、まだもっともっと盛り込むべきことがあるということをまた思い知って、私自身もすごく勉強になったところでございます。
 今日改めまして思いましたのは、我々もずっと、例えば、人材についても検討を何年も重ねてきていて、この中にはこれまでにも言われている課題も新しい課題もあるのですけれども、梶原先生おっしゃっていましたけれども、私たち行政官はこの課題をどうやって解決するか。これを考えるのが我々行政官の役目、仕事だと思っていますので、この御議論の結果、こんなに分厚いものができて、まだまだ足りないとは思いますが、たくさんやるべきことがある。
 これをしっかり優先順位をつけて、どうやっていくのかということを本当に真剣に考えていかなければいけないということを改めて思った次第でございます。本当に今日もありがとうございました。
【狩野主査】  包括的なコメントいただきまして、ありがとうございました。ロードマップ化というお言葉が1回ありましたけれども、そういうことも本当は考えていかないといけないのだろうなと。あるいはそれの担当部署ということもあるのかなということを思いました。
 大変長くなってしまいまして、私の不手際で申し訳ございませんでしたけれども、非常に有益な御意見をたくさんいただけたというふうに思います。
 それでは、最後に事務局から事務連絡をお願いしたいと思います。髙橋さん、お願いします。
【髙橋人材政策課長補佐】  次回の人材委員会は7月30日を予定しております。次回の委員会でも今後の科学技術人材政策の方向性、中間まとめの概要及び本文を取り扱います。本日の議事録につきましては、委員の皆様にお目通しいただき、主査に御確認の上、文部科学省のホームページを通じて公表させていただきます。
 以上です。
【狩野主査】  それでは、今日はこれで閉会といたします。傍聴の皆様もたくさん最後までお聞きいただきまして、ありがとうございました。
 では、これで閉会いたします。ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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