令和6年10月15日(火曜日)10時00分~12時00分
文部科学省 東館 5F 3会議室 及び Web 会議(ZOOM)
狩野委員、梶原委員、迫田委員、杉山委員、鈴木委員、隅田委員、長谷山委員、桝委員、村上委員、柳沢委員
髙谷大臣官房審議官、先﨑科学技術・学術総括官兼政策課長、奥人材政策課長、髙見人材政策推進室長
令和6年10月15日
【狩野主査】 定刻ですので、ただいまから第103回科学技術・学術審議会 人材委員会の開催をさせていただきます。
本日の会議は、冒頭より傍聴の皆様に公開をしております。よろしくお願いいたします。
本日は10名の委員の方に御出席をいただいておりまして、定足数を満たしております。
また、議題2に関連いたしましては、ワーキング・グループの川端先生にもオブザーバーとして御出席をいただく予定です。
それでは、議事に入ります前に、まず本日の委員会の開催に当たりまして、事務局の髙橋さんから注意事項と資料の確認をお願いいたします。
【髙橋人材政策課長補佐】 本日の会議は対面とオンラインのハイブリッドでの開催となりますので、対面で御出席の委員は御発言の際には挙手または名立てなどで合図いただき、オンライン御出席の委員は挙手機能により挙手ボタンを押していただき、主査より指名を受けましたら、お名前をおっしゃっていただいた上で御発言いただきますようお願いいたします。
機材の不具合などがございましたら、対面で御出席の委員は会場の事務局にお声がけいただき、オンラインで御出席の委員はマニュアルに記載の事務局の連絡先に御連絡ください。
資料につきましては、Zoom上での共有も行いますが、会場ではお配りしておりますので、各自お手元の資料を御覧ください。
それでは、資料を確認させていただきます。
事前に送付させていただきました資料としまして、議事次第、資料1から資料4、及び参考資料になります。議事の進行の過程で不備などがございましたら、いつでも構いませんので事務局までお知らせ願います。
以上になります。
【狩野主査】 ありがとうございました。それでは、早速議題の1番から参りたいと思います。最初の議題は、「実社会課題に対応するコミュニケーションの推進事業に関する事後評価」ということですが、御担当の井上さんから御説明いただくということでよろしくお願いいたします。
【井上科学技術社会連携係長】 承知いたしました。人材政策課で科学技術社会連携係長を担当しています井上と申します。資料1に基づきまして簡単に御説明をさせていただきます。
「実社会課題に対応するコミュニケーションの推進事業」という事業がございまして、こちらは、1番の事業概要のところにあるように、科学コミュニケーション活用に必要な様々な能力を大学の取組として定着させて人材育成に資するといったことを目的とし、令和元年度から令和5年度まで実施をしておりました事業でございます。
こちらは公募により採択いたしまして、大阪大学と同志社大学、この2大学に対して補助金という形でお配りいたしまして、事業規模が各機関1年間当たり900万円で実施をしていました。
こちらは既に終了しているのですが、終了した事業ということで事後評価を実施する必要がございまして、こちらは中間評価の段階で、別の委員会で実施をしたのですが、今回の事後評価については今年度中に人材委員会で実施させていただければと考えております。
こちらの評価は人材委員会で決定という形で行っていただければと考えておりまして、進め方に関してはこの下にあるとおり、スケジュールは、今回まず概要を御説明させていただいた上で、その後、各実施機関により成果報告書の作成ですとか、評価項目等の確認を進めた上で、次回また日程調整をさせていただきますが、次回の人材委員会の場でヒアリング審査と評価案の審議といったことを簡単にさせていただきまして、最終的に、今年度中に結果を公表できればと考えているところでございます。
次ページに、各大学の簡単な取組の内容が記載されてございまして、簡単に御説明をさせていただきます。
大阪大学、同志社大学の2大学がございますが、大阪大学では「社会ソリューションコミュニケーターの育成」と題しまして、学内の異なる強みを持つ複数の組織が、体系的なカリキュラム開発ですとか、プロジェクトベースドラーニングの実績ですとか、そういったことを生かして、共感力と構想力を持った社会ソリューション、社会解決のソリューションのコミュニケーターを育成するプロジェクトを実施してございました。
また、同志社大学では「京都発世界に通じるオンリーワン技術の継承」と題しまして、2016年から開設していらっしゃるサイエンスコミュニケーター養成副専攻というのがありますが、そちらの中で「未知型探索パッケージ」というものを設置しています。京都の各企業や、京都市の産業技術研究所などの取組を取材して、それらのすばらしさというのをお話しくださいという科学コミュニケーション能力を培うモデルプログラムを構築していらっしゃったということでございます。
最後の3ページ目に簡単な評価項目、評価基準等の案を記載してございます。評価項目といたしましては基本的に前回、3年前ぐらいに実施した中間評価のときと同じものになりますが、制度設計、計画、科学コミュニケーション活動に必要な能力の育成手法の開発状況や、その実績による人材の育成状況、あるいは人材育成に関して他機関との連携や成果の展開等の状況、その定着状況といったことを評価させていただくこととしております。
また、評価基準に関しましては、こちらの中間評価と基本的に同じですけども、S、A、B、C、Dの5段階といたしまして、Bを標準といたしまして、計画値が一応プロジェクトベースドラーニングの回数ですとか人材育成のニーズですとか、そういったものがございますので、それに対して達成できているかとか、あるいは定性的な部分でどの程度できているかといった部分を評価していただければと考えております。
以上でございます。
【狩野主査】 御説明をありがとうございました。こちらは今御説明のとおり、この委員会でこの事業についての事後評価を行うということで、特に評価項目などについて、多分もし質疑がございましたら、いただければということになると思いますが、いかがでしょうか。今日これでよければ次回以降また、より詳細なところを決めて、こちらの委員会に諮り、実際の評価に進むということなると思います。いかがでしょうか。
隅田先生、どうぞお願いします。
【隅田委員】 ちょうど令和元年から令和5年度で、コロナ禍に重なったかと思いますが、そういうことへの考慮は何かあるのでしょうか。
【狩野主査】 なるほど、ありがとうございます。井上さん、どうでしょうか。
【井上科学技術社会連携係長】 おっしゃるとおりでして、コロナ禍に重なった部分で、まさにオンラインでしかできなかった部分等々はあると思います。評価案を事務局で作成いたしますが、そのときには十分に考慮いたしまして作成していこうと考えております。
【隅田委員】 分かりました。
【狩野主査】 ありがとうございます。そのほかは御質問いかがですか。特に今の段階でよろしければ、こちらの案で差し当たり了承にさせていただきます。よろしいでしょうか。では、そのようにさせていただきます。井上さん、ありがとうございました。
【井上科学技術社会連携係長】 ありがとうございます。
【狩野主査】 では、続いての議題になります。次の議題が「研究者・教員等の流動性・安定性に関するワーキング・グループ論点整理」ということで、昨年末より開催をしてまいりましたこの関係のワーキング・グループにおいて論点整理をいたしておりますが、この内容について、主査をしてくださいました川端先生からまず御発言をいただいて、その後、より事務的なところを髙見さんに御説明いただきたいと思っております。では、まず川端先生、ぜひお願いいたします。
【川端WG主査】 このワーキングについて、これ自体論点整理という中間報告という格好ではありますけれども、そのポイントについてお話をさせていただきます。
まず、本ワーキングは、ポスドクも含めた任期付教員等の若い人たちに関して、雇用期間が10年を超えると無期転換申込権が発生する10年特例がスタートして10年目に当たるということで、10年たって一体何が起こっているかということをしっかり見ていきましょうということがポイントの一つです。
それと同時に、任期付教員が中心になりますが若手教員の流動性・安定性に関しても一体何が起こっているのだろうか、またそれについてどう考えればいいのかということが、もう一つのポイントになります。
現在、外部資金が増え続けており、逆に言えば運営費交付金が増えないから外部資金を増やして、それで教員を雇用するという状況になっています。このためJSPSの学振PDも含め任期のついたポストというものがアカデミアの中には多く存在しています。他方、一般企業においては大半は任期なしという形で雇用される。そういうことから、マスコミを通して、若手研究者や博士課程への進学を目指す人達から、アカデミアの職は不安定なものだと、魅力的なものではないのだというような声が上がりつつあります。
そこで、ワーキングでは、アカデミアにおける若手教員、若手研究者にとって流動性・安定性はどのような状態にあって、これらはどのような意義を持つのかということについて多くの時間を割いて委員の中で議論をしました。その結果、企業就職の場合の流動性は、大企業の場合ですけれども、一つの企業の中で部署を渡り歩くという流動性があります。最近は、若い人たちの中で企業を渡り歩くという人も出てきつつありますけれども、基本的にはこういう話です。
一方で、アカデミアにおいてはどうかというと、博士号を獲得した、またはする前に出身大学から他の国内外の大学や研究機関を本人の希望によって移動することが多く、それを制度として容易にできる状態にあります。それを通して、広い見識とか学識、学術的な新しい知見だとかそういうものを、順々に経験を積みながら強化していきます。そういうのが若手の時期においては非常に大切な経験だとアカデミアの中では捉えて、これを推奨しているということになります。
その後、任期なしのポストに年を経て就いていくのですが、そういった経験が、任期無しポストに就く際の評価にもつながっているというのが現状です。近年では、大学と産業界を移動されるということについても評価がだんだんされていくという状況になっています。
博士後期課程修了後の大半は、学振PDも含めてですが、まず任期付のポストに、就きます。また、その大半は年齢を経るに従って、安定な、任期なしのポストに就いていきます。これを理解するためには、一大学の中で人事がどうあるか、どういう状態かということだけではなくて、アカデミア全体での人事の流動性・安定性をストックとフローで考えることが重要で、アカデミア全体で年齢ごとにポスト数がどれだけあって、どういうふうになっているか、もう一つはそこを流れる研究者、要するに採用されて退職される、または流動する、その人たちが一体どういう人数で動いているかという、こういう定量的なデータを示すことで、若い人にも今のこの流動性と安定性が、アカデミアの中でどう実現されているかということが理解していただけるのではないかということも考えております。
中間報告では、任期なし教員に関するデータは集めることができまして、この後のお話しになりますが、任期付のポストに関しては、今後調査で明らかにしていこうという予定になっております。
ヒアリングを通して各大学の考え方で、10年特例も含めて人事制度を工夫してうまく運用されているということ、それから任期なしポストに比べて、任期付ポストは駄目なポストなのかというとそうではなくて、抵抗感がなくて興味のあるポストに希望を出して、機関としては受け入れやすい。そういう人事制度でもあり、またプロジェクト型なので研究に専念ができる、短期間で成果が出やすい、若手の期間において新たな経験を積むにはよい面というのも多々あると考えています。
ただ、若手研究者がこういうポストを変えて活躍するためには、改善する点も多々あると思っております。特に任期が断片化して2年以下の非常に短い任期付ポストが現れていること。それからライフイベントとの関係、それから次のポストを探すためのポストを探す支援という、そのような話も幾つかあるかと思います。
人事制度とともに若手任期付研究者に対する活躍・支援の充実、それから若手教員の養成にとって流動性がいかに重要であって、そのためにアカデミア全体でのシステムとして構築していること。それから、それを若い研究者や学生に伝える必要があると思っています。
このような観点で若手研究者や大学等へのメッセージというものを発信していくことが、このワーキングでの最終的なゴールになろうかと思っております。それによって、よりアカデミアが魅力的な職としても認知されるようになっていけばと願っております。
あとは今のワーキングの論点整理ということを、髙見室長からよろしくお願いいたします。
【狩野主査】 川端先生、ありがとうございました。このペーパーを今から髙見さんに御説明いただきます。中を見ていただくと、後で見ていただければいいのですけど、「文部科学省がしないといけないこと」という小見出しをたくさんつけていただいております。御承知のように、これは文部科学省だけでやっていただけるような内容でもないわけでありまして、それぞれ何ができるかということを考えながら聞かないといけないということと、それからどんな制度もいい点と悪い点と必ず出てまいりますので、なるべくそれをよりよい方向にするにはどうしたらいいかということで御検討いただきたいと思っております。川端先生、大変思いのこもったお話をありがとうございました。
では、続いて髙見さん、お願いいたします。
【髙見人材政策推進室長】 人材政策推進室長の髙見です。私からは、昨年12月、人材委員会の下に設置されました、研究者・教員等の流動性・安定性に関するワーキング・グループ、こちらの論点整理としておまとめをいただきましたので、その内容につきまして御報告を申し上げます。川端先生のお話と重なるところも多々ございますけれども、御容赦いただければと思います。
まず、1ページ目ですが、0ポツ、はじめにとしております。本ワーキング・グループとして、ポストドクターを含む若手研究者が人生の大切な時期にあるということを記載しています。この時期だからこそできる経験を積み重ね、望むキャリアパスを描き、大いに活躍してほしいと考えているということ、こうした思いを持って、ワーキング・グループの中では議論を積み重ねてまいりましたが、若手研究者が公私にわたって安心して活躍できる環境支援をいかに行うかという視点で対応策を検討してきた旨を述べております。
2ページの背景・経緯というところを御覧ください。1996年にポストドクター等1万人支援計画、こちらを第1期科学技術基本計画に盛り込み、数値目標は早々に達成されたけれども、ポスドク期間終了後の進路等に課題が残ったこと、その後、ポスドクのキャリアパスの確保に関する施策が講じられ、直近では2020年に、ポストドクター等の雇用育成に関するガイドラインを整備したこと、そして2023年度以降、労働契約法における無期転換ルールの研究者等に対する10年特例の対象者に本格的な無期転換申込権が発生している状況、こういったことについて記載をしております。
3ページの現状というところを御覧いただければと思います。ここでは、先ほど川端先生の御説明にもありました、教員全体に占める若手教員の割合等の数が減少傾向にあると述べた上で、研究者の安定性・流動性を議論する際、アカデミア全体の有期・無期の雇用、形態ごとの研究者のストックとフローについて留意すべきことを述べています。
その上で、少し省かせていただきますが、5ページの上段を御覧いただければと思います。無期転換ルールの10年特例の制度の施行から10年が経過したため、文部科学省において令和5年4月1日現在で調査を行った結果について、今回の調査の対象とした1万2,397人については、約8割の者が無期労働契約を締結した、または無期転換申込権が発生したことが明らかになったということを記載しております。
次に、3ポツの課題です。5ページの一番下の丸ですけれども、ポスドク調査の結果を御紹介しておりますが、その上で6ページの上を御覧いただければと思います。当該調査結果からは、ポスドクの流動性が高まりつつあるようにも見えるが、ポスドクを経験した機関の数、それからポスドクとなってからの累計年数、こういったことについて把握することが必要であるとしております。
その後、「研究者・教員等の雇用状況等に関する調査」を実施しておりますが、その中で把握をいたしました若手研究者に対して実施されていない研究活動支援ですとか、その次の丸で書きましたキャリア開発支援、こういったところの改善を図ることが必要であるとしております。
4ポツの対応策というところでありますけれども、項目ごとにヒアリング等を行った機関におけるグッドプラクティスを御紹介しております。(1)番から、次の7ページのところ、機関における取組例といたしまして、ヒアリングを行ってまいりました多様な機関においてどんな工夫をしているのかということを御紹介しております。
それとともに、先ほど狩野先生からおっしゃっていただきました、文部科学省による今後の対応というところについてまとめております。こちらもいろいろ書いてございますが、ポイントを御紹介いたします。
7ページ下の2つ目のポツでありますけれども、文科省による今後の対応のところです。有期雇用の研究者の人材のストックとフローの実態把握を行うこととしております。それから、8ページ上のポツといたしまして、先ほども言いましたが、次回のポスドク調査の変更項目として、これまでの調査項目に追加をして、ポストドクター等を経験した機関数、ポストドクター等となってからの累計年数についても把握するよう検討することとしております。
丸2番として、10年特例の状況とキャリアパスの関係について、9ページの上段を御覧ください。令和5年3月1日時点で有期労働契約を締結している人というところを母数としたものですから、令和5年3月1日より前に契約が更新されなかった特例対象者に関しては、今回の文科省調査では把握をしていないという状況であります。ただ、そこの人たちがどうなっているのか、つまり無期転換申込権が発生する前に、有期労働契約が終了した特例対象者の状況について、「引き続き把握していくことが必要である」としております。
また、今回の調査で明らかになりましたのは、本制度を知らない研究者もいるということでありまして、ちょうど10年目を迎えたという段階でありますので、まだまだこうした改善を加えるべき点があるということを言った上で、「本ワーキング・グループとしては」というところですけれども、特例が開始されたばかりの現段階においては、本制度の運用の結果、研究者等の雇用の安定性の確保に一定の役割を果たしているということができ、直ちに本制度を見直す必要はないものと考えるとしています。
これは、少なくとも本制度により無期転換をした研究者等が発生しているという状況がありますので、一定の役割を果たしているというようにしている一方で、無期転換申込権が発生する前に契約を終了している研究者等の苛酷な状況についてもお聞きをしております。ですから引き続き状況把握が必要であること、そして、無期転換申込権は発生していますけれども、それが実際行使されるのかについては、今後の調査で本格的に把握をしていくことになりますので、現時点においては、制度の見直しについて判断しないけれども、今後の状況を注視し、その必要性について検討していくということを示しております。
文部科学省による今後の対応というところですけれども、今後特例対象者が継続的に現れることになりますので、当分の間、本制度の運用状況については注視していくこと、それから今年度ですけれども、特に無期転換申込権を行使した者の数等については、今実際に調査中というステータスです。また、無期転換申込権が発生する前に契約が終了した特例対象者の状況について、可能な限り把握に努めることとしてございます。
そして、10ページを御覧いただけますでしょうか。若手研究者のキャリアパスの多様化に向けた文部科学省の今後の対応といたしまして、2つ目のポツですけれども、若手研究者が企業へのインターンシップに参加する道がつくれないかということを検討するということ、そして、その下の3つ目には、企業の求人情報にも触れやすくなるよう、JREC-IN Portalの見直しを行うことについて検討するなどとしております。
11ページでございます。最後、5の「まとめに代えて」というところでは、先ほど川端先生からも御説明をいただきましたが、若手研究者が挑戦的な活動に、より打ち込みやすくなるよう、本ワーキングとして、ポストドクター等の若手研究者へのメッセージを作成することとするとしております。
今回の論点整理の御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【狩野主査】 詳細にありがとうございました。もう一度、ポイントだけ申し上げると、まず、「制度が始まってちょうど10年というところで、まだ全体像の把握が十分できていない状況」です。ただ、個別例としてつらい思いをされている方の話は聞いておりますので、両方にこの時点で対応できるとすると、「個別に対しては職のマッチングあるいは元気をつけていただくようなメッセージが発せられるとよい」ということ、ただ、「制度変更をするにはまだ統計学的な知見が足りない」というような時点ではないかという、そういう捉え方をワーキング・グループの主査としてはしているところでございます。
これにつきまして、ぜひ皆様の御意見を頂戴できればということでございます。あるいは御質問でも結構です。挙手をいただければと思います。お願いいたします。
杉山先生、お願いいたします。
【杉山委員】 ありがとうございます。非常に重要な点で、我々もいろいろと苦慮しているところで、こういうものが出てきてよかったなと思っています。
まず、質問としては、10年を超すものになった者について、8割がもう無期労働蹴役を締結しているまたは無期転換申込権を得ていると言っていて、そのうち行使されているのかこれから調べるという話ですけれども、2割の人はどうですか。これは法律的には無期転換申込権を持つはずなのに、それがなぜ10割じゃなくて8割なのかというのが質問です。
【狩野主査】 まず質問についてお答えを、髙見さんがきっと詳細を把握しておられるのでお願いできますか。
【髙見人材政策推進室長】 まず、この特例対象者の1万2,397人というのが、令和5年の3月1日時点に有期労働契約を締結していて、令和5年の4月1日までに契約更新をすれば、10年を超えることとなった者というような母数になっております。その上で8割が、これは機関の判断として無期労働契約を締結したというのが4%で、有期労働契約を継続した、つまりそれによって無期転換申込権が発生した者というのが76%いたということであります。
この間に、この1か月、3月1日から4月1日までの間に労働契約を終了した者というのが残りの2割になっております。これは、定年退職の者というのもありましたけれども、そうではない、このタイミングで労働契約を終了したという方が2割ということになっております。
【杉山委員】 ということは10年を機に、ちょうど10年だから、これでクビと言われた人は2割だったということでよろしいでしょうか。
【髙見人材政策推進室長】 そうですね。
【杉山委員】 分かりました。ありがとうございます。本当にいろんな大切なポイントを幾つも言っていただいたと思います。流動性が大切であるというところは、最初まとめるところでもおっしゃっていたように、実際のところ、海外でも同様にポスドクというのは流動性を逆に非常に重要な時期だという認識でやっていますが、海外の場合にテニュアトラックに就くのは、大体ポスドクを2回やってから就くというのが相場だと私は理解しています。もし間違っていたら、この辺は柳沢さんに訂正してもらえればと思います。
そうすると大体5年とか6年とか、そのぐらいで皆さん、テニュアトラックに就きます。この辺りは国際比較みたいなものをされて、日本の現在の状況がどうなっているのかというのは調べることができたら重要なのかなと思います。流動性と安定ということは表裏にはなりますが、30代になって安定が得られないというのはすごく精神的にも不安定な状況をつくり出すので、ポスドクの人でなかなか取れない人は、海外でも本当に不安定になっているのはよく見てきたところであります。日本でもなっています。
先ほどの10年で切るという話ですけれども、我々の立場からすると、プロジェクト経費みたいなものしかなくなっていて、運営費交付金は減っているし、それから間接経費があるじゃないかと言われても、間接経費も、もう大学の運営に使ってしまっているので、人件費のところにまで回せる余裕がないというのが大学の実情です。その中で、プロジェクト等で雇っていると、プロジェクトが終了するのが見えているといって10年より先、どこまでも責任が持てないということであれば、泣く泣く切らざるを得なくなっているというのが実情だと思います。それが10年ぴったりなのか、5年で切っているのかというのは、現場毎で違うと思いますけれども、要するに、定年まで保証できないという気持ちが非常に強くなっているというのは、もう想像に難くないかと思います。
一方で、若手にアンケートを学内ですると、そういう特任の方々が、もちろん今一番興味があることは無期契約のポストであるということは非常に強く出てきていますので、この辺りは、もう少しそういう若い人たちにアンケートをやってみると結構はっきり出てくると思います。
私からは以上です。
【狩野主査】 ありがとうございました。御意見をまとめますと、1つ目は「国際比較ができたらいいな」ということと、もう一つは「雇用経費の現状としては保証しにくい状況なので、これをどのようにやっていくかということについて今後検討ができたらいい」ということをいただいたと思います。
では、続いて鈴木委員、お願いしてよろしいでしょうか。
【鈴木委員】 ありがとうございます。こういう文章を私が読み慣れていないからなのかもしれないですけれども、企業の人間として、ストックという表現は若干違和感を覚えました。家畜みたいな印象を受けます。人財とか人材とか、ヒューマンリソースとかいろんな言い方はあると思いますけれども、ストックという表現が正しいのかどうかというのが一つの疑問です。
もう一つは、全体的な印象では、安心して働ける環境、これはもう大変大切なところなので、そこはしっかりと整えなければいけないと思いますが、アカデミアじゃない産業でも、一生同じ会社でずっと所得を得るという時代から脱皮している人もいるとは思います。そういう、整える最低限の部分と、より伸びたい人たちが伸びることのできる環境、そちらに関しての議論に向けても肉づけがあるとよりいいのではないかと思いました。これは私の感想です。
【狩野主査】 ありがとうございます。「用語について、人を人として扱うべきである」、おっしゃるとおりでございます。ぜひ検討させていただきたいと思います。
あと、「ずっと一つのところにいるという安心のみならず、才能のある人が伸びるようにするにはどうしたらいいかということを並行できたら」ということで、これも私も異存ございません。うまく入れていけるといいなと思ってお伺いいたしました。誠にありがとうございます。
【川端WG主査】 川端です。ありがとうございます。先ほどの杉山先生の話もそうで、民間から考えると不思議かもしれないですけれども、アカデミアが一大学で閉じていない全体で考えるというのがあります。だから、必ず大学を移っていくこと自体が非常にいい経験を積んでいくし、世界を超えて動いていく。ここがうまく理解をされていく必要があるという気持ちはあります。そこをどういうふうに発信するかというのは、私たちの世界観として、違う世界だぞということを伝えなければいけないと考えています。
それからもう1点、これはいろんなところでアンケートを取ると必ず出てくるのですが、要するに生涯賃金が低い。生涯賃金が高いほうがいいですかと聞いたら絶対高いほうがいいとみんな言います。任期付か、パーマネントかという選択は、パーマネントがいいと、それは誰でも言います。でも、それとトレードオフに、こういう制度があるからこそ、みんながいろんなところを気楽に、というのはおかしいですけど、いろんな経験ができるという、そこのトレードオフの話がうまく表現できるといいと思います。
ただし、さっき言われた30代の後半にはうまくパーマネントのポストに就いていけている現状みたいなものを、誰もはっきりさせたことがないので、そこをはっきりさせた上で、理想形としては、さっきのストックとフローとか、一企業の中だったら、年齢構成として若い頃から増加して、ミドルからシニアの終わるところまでが一定の形になっている。アカデミアでも、こういうような年齢構成の状態だからこそ、入った人間がどこかでパーマネントに就いて、パーマネントで最後に退職できるという、ことが明らかになるとよいと思います。難しいかもしれませんが。
分野のずれはあると思いますけれども、そういうことがうまくデータに出ていくと、確かにアカデミアの教員全員が幸せなわけじゃないかもしれませんし、能力や経験や運が作用する部分もあると思いますけど、大半の人が渡り歩くうちに能力を伸ばしてうまくパーマネントのポストに就いて活躍されていくという姿がアカデミア全体で出せたらよい、というコメントでした。
【狩野主査】 ありがとうございます。川端先生は企業の御経験もある方で、両方をつないでどういう言い方がいいかをいつも考えてくださっていると思っております。動いていくという世界観、あるいはその全体像がもうちょっと伝わったらいいということ、それから、動いていけるということのいい面、捉え方についても伝わるといいというお話だったと思います。
それでは、柳沢先生、お願いします。
【柳沢委員】 ありがとうございます。この報告の1点、私が言わざるを得ないのが、5ページ目の前半の8行目ぐらいから、文科省が調査して8割近くが無期労働契約、あるいは有期労働契約した者ということで、一定の雇用継続をしようと思えばできることが明らかになったという調査結果です。これは文科省が公表されたものですけど、実は髙見室長も御存じのように、数週間前、学会連合、特に神経科学学会や脳科連が中心となり、この調査と現場の感覚がかなり大きく乖離しているという、現場サイドからの調査結果を文科大臣に提出しております。
その件について、実は先日、私も大臣官房の審議会で研究開発局担当の清浦様と、ここにいる髙見様のお二人に、インフォーマルな形で、まとめをした慶應義塾大学の柚崎教授と2人でお会いして、この文科省の調査が、先ほど杉山先生がおっしゃっていた現場感覚と非常に乖離しているということを率直に申し上げました。
これは機関側からの調査です。だから、大学なり雇用者側が見えている人しか正直分からない。先ほど、9年以前に転職してきた人は分からないとおっしゃっておりましたが、私の正直な現場感覚だと、この75%以上が有期継続したというのは信じ難いです。大学によるのかもしれないですけど、一例を挙げると、筑波大学では、基本的に10年契約が終わった人は有期雇用契約ができないというのが現状です。本当にテニュアになれる一部のエリートの方はなれますけれども、それ以外はなれないというのが現状で、多くの大学や研究機関がそういうスタンスを取っていると思います。
杉山先生がおっしゃったとおりで、基盤的経費が減っていて、競争的資金によるプロジェクト経費がどんどん増えている時代ですので、大学としては、その方の残りの定年までの期間の人件費を保障する術がないということです。
なので、これはもう文科大臣に提出されている資料ですので、それをぜひこの人材委員会でも、少なくとも取り上げていただいて、現場からの感覚というのを一度ここで話し合う必要は絶対にあります。これは強く進言したいと思います。
それからもう1点は、これは10年縛りについての、10年特例についての調査、文書ですけど、これだけでは正直申し上げて片手落ちでありまして、実際には5年で、この労働契約法の通常のやり方、5年で無期転換申込権が生じるというので出ていかなければならない方が現場感覚ではかなりたくさんいます。特に、教員でない技術員等のエキスパートで教員でない方や、それから筑波大の場合は学内の規則で、この10年特例を適用される研究者は全員ではありません。その一部の、私がいるところも含めた一部のWPIなどのセンターで、学内で特例扱いしている例を除けば、私の理解では医学医療系、例えば医学部の普通の有期契約の助教の方々というのは、基本的に5年です。
機関によってはそういう扱いをしているところもあって、実際には5年で出ていくか、何か工夫をしないと続けられない方が相当数いるというのが私の現場感覚です。少なくとも私の身近では5年で、本人も続けたいし、雇う側もお金があってプロジェクトは継続しているので続けてほしいけれども、この制度のために5年で出ていかなければいけない人というのが、すごくたくさんいるという感覚です。
特に、分野にもよると思いますが、それぞれの研究室内プロジェクトで培ってきた技術を、そういうのが属人的になってはいけないという一般論はあるにせよ、現実にはそういうエキスパートをすごく時間をかけて育てたところで、法律のために5年なり10年なりで出ていかなければいけないという現状になってしまっている。つまり、雇われる側も続けたい、雇う側もお金があるので雇えるのに、この制度のために出ていかなければいけないという状態になっている。せっかくできた労働契約法のせいでやめなければいけないということが現場感覚では現実にたくさん起きている。これは、この調査とどうしてこんな大きな乖離が生じるのかということを含め、この委員会で絶対に継続して審議していく必要があると私は思っています。以上です。
【狩野主査】 ありがとうございました。まず、統計のデータ収集について、「現場を反映したやり方がないかどうか」という御示唆が一つでした。それから、「5年で終わっている方々の中に、研究支援の働きを強くしておられる方々がたくさん含まれているけれども、そちらはどうだろうか」という御提起をいただいたと思いました。今の時点で何かお返事はございますか。
【髙見人材政策推進室長】 ありがとうございます。柳沢先生やJAAS、日本科学振興協会でまとめられた報告書を私も拝読をしております。我々の行った調査の結果は結果として、ですけれども、そこで述べられている現状が、ここだけでは語り尽くされていないところが随分あるというのは思っておりますので、その点をどうしていくことが、アカデミアをよりよくすること、アカデミアを魅力化することにつながるのかというところはおっしゃるとおり、継続的に本委員会、あるいは流動性・安定性ワーキングで議論を継続していただけるとありがたいと考えております。ありがとうございます。
【柳沢委員】 少しだけ追加ですけども、要は、いろんな視点があって、一方で、先ほどのポスドクの件もありましたけれども、ポスドクと自認しているような方々が10年以上も同じポジションにずっと居続けるというのは、これはよくないです。これはもう皆さんが認めていることで、そういう意味で流動性を確保するというのはとても大事ですけれども、実際には、狭義のポスドクでテニュアトラックを目指している方々でない人もものすごくたくさんいて、そういう方々が、アメリカでも日本でも研究を支えています。だから、そういう方々が法律のせいで出ていかなければいけないとなると、本当に研究力の低下を招きます。
先ほど杉山先生がおっしゃっていましたけども、アメリカでは六、七年するとテニュアトラックになるのが一番よいとされています。でも、それはすごく上積みの一番のエリートでよくできる方々です。ものすごく競争が厳しいです。多くの方々が企業に転出、これも別に企業に行くことが悪いと言っているわけではなくて、アカデミアではないところに行く方もたくさんいる一方で、アメリカはほとんどの大学が、リサーチトラック制度というのがあって、実質的に、テクノロジストとか、要するに、自分がPIになるわけではないのだけれども、大きなグループの屋台骨として長く働いていくという立場のリサーチトラックのアシスタントプロフェッサー、アソシエイトプロフェッサー、そういうふうになっていく方もたくさんいます。
そこの部分が、日本は制度的にはアメリカのようではないということを考えると、ここでまさに、プロジェクトから見れば、育て上げた人材が失われてしまうということにつながるということです。だから本人が本当に将来PIになってやっていきたい、PI、研究者としてやっていきたいという方は流動性が必要ですけれども、そういう方ばかりではないということです。ありがとうございます。
【狩野主査】 ありがとうございます。後でもう1回振り返りたいと思った、皆様でまとめたこのシン・ニッポンイノベーション人材戦略、こちらで出しました「3つ類型、それぞれにふさわしい制度組みは何なのか」という、この御提起をいただいたようにも思いました。また、議論させていただければと思います。柳沢先生、ありがとうございました。
それでは、続きまして迫田先生、お願いします。
【迫田委員】 ありがとうございます。今日の御説明で、任期付のシステムというのが育成上非常に重要だというお話を伺って、なるほどと思いました。その魅力を伝えるということは非常に大事だと思う一方で、セーフティーネットというか、その不安定性をどう消していくのかというあたりは、もう少し取組が必要ではないかと思いました。
最後にある御提案の中にあったように、いろんなポストについての情報がしっかり届いて、もっとマッチングがうまくいくようなシステムを考えなければいけないだろうと思っています。もちろん大学間というのもあるし、海外の大学や研究機関、民間、それから公共の案件もあるだろうし、そういうのをうまく活用しながら、そのセーフティーネットを築いていくというのが非常に重要ではないかと思いました。
今、正規・非正規だの、よく民間でも言われますけど、非正規に対する風当たりというか批判が非常に強い時期なので、そこは少しイメージも転換していく必要があるのではないかと思います。今、柳沢先生のお話にもあったように、本当に実態がどうなのかというところがまだ見えにくいところは私自身も感じておりまして、大学院部会での議論の中では、随分ポスドクの方で、今何やっているか分からない方が相当数いるというのが大分話題になっておりました。
そういう意味でいうと、どれぐらい本当に困っておられる方がいるのかという全体像もしっかりつかんだ上で、それに対するセーフティーネットというのを考えていく必要があるかと思いました。以上です。
【狩野主査】 ありがとうございました。「セーフティーネット、あるいはポストについての情報をぜひ共有」ということと、それから「実態の調査」ですけれども、「誰が主体でやると、現場に近いものが出てくるのか」ということも、本当は考える必要があるのかなということは思いました。どうしても文部科学省様の調査となると、より公式な見解を述べる方が多いのではないかという現場的感覚もございますので、これを乗り越えて、より実態に即したものが取れるには、どういう調べ方がいいかも考えていく必要があるということは伺いながら思ったところです。
あるいは、「非正規雇用という言葉とこのポスドクの周りのことがつながって論じられることもある」ということも、確かに印象としてあると思っておりまして、ここはよい情報発信ができるといいと思いました。ありがとうございます。
それでは長谷山先生、お願いします。
【長谷山委員】 長谷山です。私も柳沢先生がおっしゃった、5ページの上から8行目からの、76.4%が有期契約を継続したという記載に少し疑問を感じています。資料全体を細かに読んでいないので見落としているかもしれませんので、教えて頂きたいのですが、これは学校基本調査の数値でしょうか。この数字がどのような調査方法で得られたものか教えて頂きたいです。どこかに記載されておりますでしょうか。
【髙見人材政策推進室長】 学校教員統計調査といった総務省の指定統計というものではなくて、我々で行いました「研究者・教員等の雇用状況等に関する調査」というものを基にした数字になっております。こちらですけれども、令和5年4月1日現在ということで調査をいたしまして、令和5年9月12日に公表をしたものでありますが、機関への調査と個人への調査をそれぞれ取っておりまして、機関からは回答率が94.6%で、個人からは6.5%と限られた数字にはなっておりますが、そのような調査内容になってございます。
【長谷山委員】 機関の回答率94.6%から得られた数値が含まれているとのお話ですが、学校基本調査で、大学における教員数は、有期雇用と無期雇用の別と職階など各々で公開されていると思うのですが、私の理解に誤りがありますでしょうか。もし、学校基本調査と同じ調査なのであれば、数値はほぼ同数と理解してよろしいでしょうか。また、個人への調査というのは、機関に属していれば、自ずと機関のデータに含まれるので、そのような個人ではないのだと思いますが、どのような方なのでしょうか。
【髙見人材政策推進室長】 機関につきましては、御指摘のとおりで、国公私立大学、それから大学共同利用機関法人、研究開発法人、この847機関を対象にいたしまして、先ほどの回答率ということになります。個人に関しては、その機関に所属をする特例対象者ということで、機関を通じて特例対象者にこのアンケートを促してくださいということでお届けしている状況になります。
【長谷山委員】 機関というのは、各大学本部に依頼したということでしょうか。
【髙見人材政策推進室長】 そうです。
【長谷山委員】 委員の中に大学の先生もいらっしゃると思いますが、国プロ、例えばWPIなどで雇用されているポスドクについては、機関の調査の数字に反映され、個人を特定することができると思います。
一方で、大学が受けた事業ではなく、研究室や研究グループが、民間企業などと行う共同研究で雇用されている有期雇用の研究者は、大学本部が把握し切れていない可能性もあると思います。柳沢先生も仰っていましたが、このような研究者が研究を下支えしてくれているのに、そういう方にリーチできていないがために、現場の印象と乖離した数値が出てしまっているのではないかと思います。
私は本学でIR(Institutional Research)を担当していますが、大学の人事課に確認しても、ポスドクの数値が明確に出てきません。雇用研究者数のカウントの方法がそのようになっているのです。大学も、文科省もどちらも悪くありません。でも現場にそのような研究者がどれほどいるのか、リーチする方法がない、これが今回の数値に、大学人として、奇妙な印象を受けた理由ではないかと思います。先の私の質問にお答えいただいて、多少理由が分かりました。どうもありがとうございます。
【狩野主査】 ありがとうございます。確かに本来、科学技術として私が個人的には推進すべきだと思っている、「思いつきレベルの活動も高めていく」というような活動をするときに、今、長谷山先生がおっしゃったようなところにどうしても入りがちであって、大きくなった後だと、こういうのに見出されまた計ってもらいやすくなりますが、その手前の段階の人たちがどのぐらいいるかというのは、実際まずは認識が必要だということはよく分かりました。
問題は、それにどうやってリーチできて、どう調査できるのかというところの具体を考えないといけないわけです。このお知恵もあったらいただければと。学会経由ですかね。でもそうするとダブルカウントが発生しますよね。どうしたらいいか分からないところですね。
【長谷山委員】 よろしいでしょうか。どこの大学も研究インテグリティやセキュリティが重要となっています。大学に雇用された研究者は、IDを持ち、そこに人事課が関与していない大学は無いと思います。大学がセキュリティレベルを考えて対応すれば、管理だけでなく、研究を下支えしてくれている研究者を把握することができるのではないかと思います。文科省が、しっかりと対応することを推奨すれば、可能ではないかと思います。早めに着手すべきと思います。以上です。
【狩野主査】 なるほど。御提案ありがとうございました。なかなか法人化した後の大学にどうやって監督官庁が関わるかというところが、官の皆様とお話ししていると難しい面がありそうなので、ぜひ検討ができたらということを伺いながら思いました。ありがとうございます。
杉山先生、再度手を挙げておられますか。
【杉山委員】 2つありますが、1つは4ページ目の教員のストック・アンド・フロー、これは非常に興味深いのですけれども、採用が毎年、この年は1万1,248人あったということですよね。これは本務教員ですので、特任という任期付も全部含めてだと思いますけれども、この内訳が任期のある人、任期のない人、またテニュアトラックとして任期が外れる前提で、ある程度取られた人というのを確認していただけるとうれしいなと思います。
それから、その下に、転職とその他とありますが、その他5,346人というのは、アカデミアを離れた人という印象でよろしいのかということです。フローで見ると採用が1万1,248人で定年退職が3,519人ということは、これはその差額の8,000人が途中で消えているということですよね。転入と転出はほぼイコールなので、これはほかの大学へ移るみたいな話でキャンセルしていますが、途中で抜けていくわけです。
抜けていくのが5,300なのか7,000なのか、時代によって違うのでそこのずれかもしれませんけれども、そういうことを意味しているとすると、明確なのは、大学に本務教員として雇い続けられるリソースは、年間三、四千人しか日本にはないということ。だけど一方で、この採用したのは1万1,000人いる。そこでもう一つ調べていただきたいのは、この採用に対して毎年新しいポスドクというか、教員になる前の人たちがどのぐらい誕生しているのかということです。全体のフローとして新しく入ってきた人と出ていく人の間で差額が非常に多いような気がするわけです。
それは当然大学には吸収できないということを意味しているので、それは大学のこういうPIポストのような、定年退職するような従来ポストです。そうすると、そこを調べていただいた上で、そこがはっきりしてくれば、もちろん無理に普通のポジションを任期なしにしていくのではなくて、さっき柳沢委員がおっしゃったような、新しいリサーチトラック制度とかいうのを導入するとか、大学の中の支援人材、URAも含めた、そういうところへの転出というか移動を促していくといった方法があると思います。
それからあと企業です。企業でぜひ受け取っていただく努力をする、その辺は書いてあったと思いますけれども、そういうことが明確に出てくると思うので、これはぜひもう少しだけ掘り下げて、いい資料だと思いますので、いただいた上で、PIとしてのキャリアからあぶれてしまった人たちをどうしていくのかというところの提言をいただきたいと思います。
少しだけ関連しますが、先ほど川端先生がおっしゃった、アカデミアとしての世界観、移ったほうがよいという世界観、それはおっしゃるとおりだと思います。それが企業とは違うところだと思いますが、そこでの任期なしと任期ありは、それは切り離された話で、ポスドクのときは任期ありで動いていくわけですけれども、一旦我々でも、うまく助教の任期なしになってからまた移動するということは十分あって、それもすごく推奨されていると思います。
大学によっては、それをインブリーディングと言って、なるべく文科省としても同じところで上げないようにというところを推奨していると理解しています。実際に自分のところの学部、大学院、助教出身の教授がどれだけいるかというのも調査されていると思いますが、そういうところは、そこのインブリーディングをなるべく減らしていくという、ある程度の努力は必要かとは思います。そうすると、より多様性が増すと、研究が活発になるとも思いますけれども、ただインブリーディングをゼロにすると伝統も何もなくなりますので、それはそれで私は反対です。
私個人的には移ったほうがいいという世界観はそのとおりだと思いますが、それを任期なし・任期ありと任期と関連づけるのは若干危険かというのがコメントです。以上です。
【狩野主査】 ありがとうございます。この人数の流れ図は川端先生が一生懸命おっしゃって、髙見さん、ほかのチームの方が一生懸命調べてくださって作ったもので、大変状況がよく分かります。杉山先生がおっしゃったとおりに、ここで大学という機関での雇用能力が大体見えると、そこに対して入ってくる人数がそれよりも多かったらどうするのかということを考えるために使ったらどうかというお話だったと思いました。
それから後半は、「流動性が高いのは一つの理想だけど、それが任期付きという方法での表現でいいのでしょうか」というお話をいただいたと思うのと、「人によっては流動するだけじゃなくて、その場所で守り続ける人たちもいる」というお話があったと思いました。
何か反応はありますか。
【髙見人材政策推進室長】 1点だけ、途中で御質問のありました、その他や転職の数について、この辺りですが、こちらは元の調査が学校教員統計調査から図にしたものですけれど、ここでいう離職というのが大学教員ではなくなったことをいうと、この転職も含めての数字です。よってA大学からB大学に異動するのは、ここには含まれていないような図になっております。
その他というところ、定年と転職以外ということですが、病気であったり、家庭の事情であったりというものも含みつつ、その他というくくりがありまして、それが具体的に何なのかというのはなかなか、それ以上細分化がない状況ではありますが、そういうデータになっています。
【杉山委員】 30代、40代が多いというところを見るに一番我々の経験からして想定されるのは、ポスドクを長年やっていて任期なしのポジションに就く見込みが結局なくなったから企業へ行くとか、いろいろなディシジョンをした人たちと見えます。
【髙見人材政策推進室長】 ありがとうございます。
【狩野主査】 たくさん御議論をいただきましてありがとうございました。なかなかここは大変なところで、もうちょっと御意見があるかとも思います。どうでしょうか。予定していた時間が実は10時50分までだったのを大事な内容だと思ってどんどん伸ばしていますが、それを踏まえて川端先生と長谷山先生と一言ずつお願いできますでしょうか。
川端先生、お願いします。
【川端WG主査】 一言、髙見さん、こちら任期付きは入っていないのではないでしょうか。そうですよね。
【髙見人材政策推進室長】 こちら、改めて精査をしたときに、本務教員というくくりですね。これは有期も無期も含まれる数字として整理がなされております。なので、これのうち、無期がどうで有期がどうなっているのかというところは、実は今、10年特例の調査として行っております今年度の研究者・教員等の雇用状況等に関する調査と併せて今、細分化する調査というのを実施しているところです。
【川端WG主査】 そうですか。では1点だけ。どうしても、若手もそうですけど、先ほど柳沢先生からも言われたように、この特例の数字がどうのこうのという話ではなく、不満を持っている人たちというのは確実にいるはずです。それも含めて考える必要がある、となったときに、もう一つ言うと、アメリカで先ほどお話しになったいっぱい落ちていく人たちは不満でないのかという、そこも含めてやらないと、日本には不満のある人がいるでしょうっていったら、それは沢山います。どこにも不満のある人は沢山いるはずです。それがメジャーなのか、マイナーなのか、それともその人たちが次のポストを得ていく過程で不満なだけであって、その人たちがサドンデスのように、その後もうどうしようもなくなるような状態に陥っているのかどうかとか、そんなような大きな観点で見ていかないといけないと思っています。
日本の今の制度が現状から、確かに私も80%という数字については乖離していると思います。それも10年特例の10年目でしかないので、本当はもうちょっと時間がたったほうがしっかりした数字にもなるし、彼らの意見、その後、どうなったかという話もトレースできるという気がします。そういう意味で、いろんな意味でアンケートだとか色々なものをやろうとしたときには、どういう形でとっていったら全体が良いものになるのか。
それからもう1点は、任期付き制度は、なくて上手くやれればいいのですが、アカデミアの中というのはパーマネントポストを雇用しようとすると徹底的に人事委員会が開かれて、ものすごい分野戦略をやられて、初めてパーマネントポストに採用する、採用しないという話になる。その一方で任期付きだから、プロジェクトとして雇用するから、まあ、いいかというような雇用制度というものがあるがゆえに、いい人たちはそういういいところに簡単に移っていけるという、これが企業とは全然違う空気感なので、この制度はどう生きていくのかというのを、いま一度、アカデミア全体として考える必要があります。ただし、ミドル・シニアまでポストを不安定に引っ張っていくようにならないようにしてあげる必要はあるとは思いますが。
【狩野主査】 いや、ありがとうございました。大変どれも、そうだなと思っていました。
あと、長谷山先生、お願いいたします。
【長谷山委員】 短く一言。高見さんが触れた1万3,521人、これは、学校基本調査の結果から得られたものであれば、男女比も分かるのではないかと思います。そうすると、学位取得後、10年ほど経って、ライフイベントによって、このような数値が出ているのかもしれないと感じます。議論の件とは異なる問題かもしれませんが、統計データであれば問題がないと思うので男女比が分かれば教えて頂けますでしょうか。
以上です。
【狩野主査】 ありがとうございます。これも確かにと思いました。何かほかにありますか。
【髙見人材政策推進室長】 ありがとうございます。学校教員統計調査に基づく図になっておりまして、今、私の手元では男女比がすぐ出ないものですから追って御連絡申し上げます。
【長谷山委員】 ありがとうございます。よろしくお願いします。
【狩野主査】 これも大事な視点でございました。ありがとうございました。なかなか人、人材に関わることはいろいろと奥が深くてなかなかでございますけれども、一歩ずつできることを進めていけたらとお伺いしておりました。大変ありがとうございました。
では、この議題について今はこの限りにさせていただきまして、次にまいりたいと思います。今日はあと2つ議題が用意されておりまして、一つが、令和7年度の関係の概算要求の内容を御紹介いただくことと、最後になるべく時間をとってということですけども、課長が奥さんに代わられまして、より政策としてどうするかというところについてお考えをいただいておりますので、この内容をまずは共有いただいて、その後、意見交換にしたいと、そういう流れになっております。
では、続いての議題としてということで、科学技術・イノベーション人材の育成・確保に関する令和7年度の概算要求の概要について御紹介いただきたいと思います。課長補佐の髙橋さんからどうぞお願いします。
【髙橋人材政策課長補佐】 資料3に基づいて、令和7年度の概算要求の御説明をいたします。時間も限られております。また、御報告事項になりますので手短にまいりたいと思います。
1枚おめくりいただいて、今、投影されている資料が全体像になります。次世代の人材育成という観点から、下は小中高生などをはじめとして、上は博士後期課程学生や、まさに今、御議論いただいていたポスドクなどの若手研究者までを対象として、各年代に応じた事業などを推進しているところでございます。また、右側にありますとおり、女性研究者に対する事業というのもこれまで引き続き行っています。また、令和7年度についてはこういった研究者に加えまして、一番左上にありますとおり、研究開発マネジメント人材に関する新規事業というものを要求しているところです。本日は時間の関係上、このうち主なところだけ簡単に御説明したいと思います。
次のページを御覧ください。こちらが今、まさに御説明しました新規事業になります。右上に概算要求額がありまして、令和7年度としましては約15億円になっています。左上に現状と課題がありますけれども、社会が複雑化していく中で社会を変える力を持つ科学技術・イノベーションについても同様に高度化していく必要があります。特にそれに関わる人材についても、同様に多様な方々が一緒になって研究開発に挑戦していくことが重要と考えております。研究開発マネジメントを担う人材については、右側の表にありますとおり、人材確保が困難であることなどがあることで、キャリアパスの確立とともに育成をするための事業を今回要求しております。
簡単に左下の事業概要を説明します。本事業については、体制を強化したい機関と既に育成制度などを有する機関が一緒に取り組み、日本全体で研究開発マネジメント人材を新たな職として確立することを目指していきたいと思っています。また、今年3月に盛山前大臣の下で取りまとめました博士人材活躍プランで掲げるキャリアパスの多様化という文脈においても、この新たな職種というのは博士人材のキャリアパスの一つとして想定されているところです。
次は特別研究員制度です。この制度自体は優れた若手研究者に対して研究に専念できる環境をつくるということで、研究奨励金を支援している制度になります。令和7年度の概算要求におけるポイントとしましては、中央の少し太字になっているところに書いてありますけれども、DC、PR、RPDともに研究奨励金の単価増というものを要求するとともに、PD、RPDにおかれましては出産育児による中断に係る支援としまして出産手当金であるとか、育休手当に相当する支援というものを要求しているところです。
次のページを御覧ください。こちら、博士後期課程学生の支援になります。近年、特に力を入れて取り組んでいるところですけれども、右肩にありますとおり、令和7年度の概算要求としましては少額になっています。そこについては、昨年度の補正予算及び大学ファンドの運用益を活用することによって、令和7年度についても引き続き同様の支援を実施していく予定になっております。
次のページを御覧ください。ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブということで、先ほど長谷山委員からも男女比といったこともありましたけれども、第1期科学技術基本計画より女性研究者の活躍促進というのを掲げて事業など取り組んできているところで、女性研究者の割合というのは増えてきてはおりますけれども、今現状においては教授などの上位職などに占める女性研究者の割合というのは依然として低い状況があります。これら上位職の研究者は、ロールモデルとして重要であることから、最近はこの事業において、そういった上位職への登用を推進するための取組などを実施する機関を支援しているところです。来年度におきましても、この機関の数を増やすべく概算要求をしているところです。
最後、少し飛びまして7ページ目のスーパーサイエンスハイスクール支援事業を御覧ください。この事業としては、生徒の主体的な取組である課題探求などの先進的な理数系教育などに取り組む高等学校などをSSH、スーパーサイエンスハイスクールとして指定して支援することで、将来の人材を育成する事業になります。令和7年度については引き続きこの指定校の数を増やしていくとともに、先ほど申し上げた博士人材活躍プランなども踏まえまして、博士教諭が活躍するための活動費などを概算要求に盛り込んでいるところです。
最後に御参考にはなりますけれども、最後のページにおいて、度々申し上げている博士人材活躍プランに基づく取組の拡充として関連する事業を一覧としてまとめております。
御説明としては以上になります。
【狩野主査】 髙橋さん、ありがとうございました。
今、御紹介いただいたように、これは次の議論にも関係しますので少し私から頭出しをさせていただくと、人材政策課で要求していただいているものは非常に人材に直結するものに一定限られている感覚がありまして、問題意識があるとしますと前回までに皆様とまとめました、この人材戦略という全体像を考えたときに本当にこれだけでいいのという気持ちが確かにあるというところはある中で、どのようにするかということ。
それからあと、企業の方々と最近話をしておりますと人口減少社会になっているゆえに、先方も人材の確保、あるいは、その育成ということに非常に興味があるような時流になってはきておりますので、それを主に担当するところである文科省に対する期待も高くなっていると感じているわけですけれども、そういうことも踏まえながら概算要求そのものに対して、まず御意見、御質問がございましたらいただければと思います。もし特に今、なければ、続いての内容を踏まえながら、その後の意見交換に行きたいと思いますが、まずこの時点でいかがでしょうか。何か、もし教えていただけることがあるとすると、財政当局にこの内容を説明するなりのときにどんな困難があって、例えば審議会の委員からデータが共有されるともっとうまくいく内容があるとか、何かそういうことがあれば教えていただいてもいいと思いましたけど、いかがですか。
【髙橋人材政策課長補佐】 髙橋です。今、まさに折衝しているところですけれども、人材育成の難しさとしては最終的な成果が長期的なことになるところで、なかなか定量的に国費を投入したので、すぐにこういった成果が出ましたというのが示しにくいところにあると個人的には感じているところです。一方で様々な形で日々、こういう事業取り組んで、実際に現場にいらっしゃる先生方はこういった成果があるというのは、定量的にも定性的にも示せるところがあるかもしれないと思うので、いろんな観点から御協力いただけると幸いです。
【狩野主査】 中長期的なものに対して説明をするときの、成果指標でしょうか。これは比較的、数量的なものが好まれるのでしょうか。
【髙橋人材政策課長補佐】 それは、その時々によりますが、定量的なものを好まれる方が担当者であれば、そういったものを求められますし、割と定性的なストーリー的なものでもインパクト強いものがあれば、それで納得いただけるケースもあって、まちまちです。
【狩野主査】 なるほど。例えばインパクトがあるという意味でいうと、何というのか、目立つ例が幾つかあれば、それで説得的になるという、そういう面もあるのでしょうか。
【髙橋人材政策課長補佐】 はい、それはおっしゃるとおりです。
【狩野主査】 なるほど、ありがとうございます。
桝先生、まずどうぞ。
【桝委員】 ありがとうございます。スーパーサイエンスハイスクールに関してですが、仕事柄、様々な科学イベントとかの参加させていただくことが多く、すごいと思う学校って大体スーパーサイエンスハイスクールであることが多いので、本当にいい取組で、しかも実際に結果が出ていると思っています。まさに今、おっしゃっていた成果の定量化という部分でいうと、たしかスーパーサイエンスハイスクール、2002年からもうやっていらっしゃるので、そろそろスーパーサイエンスハイスクール出身者が一流の名のある研究者になっていることもあるのと思います。どれぐらい、その後のキャリアパスを追跡されているのか、そういう仕組みをつくっていらっしゃるのかというところに関しては伺えますでしょうか。
【狩野主査】 いかがでしょうか。また調査の手法の話になってしまいますが、よろしくお願いいたします。
【桝委員】 そういう何かシステムが出来上がっているのであれば聞きたいですし、もしあまりないのであれば、何かぜひともコホート追跡のような形で追跡したほうが絶対いい結果が出ると思いました。
【奥人材政策課長】 人材政策課の奥です。どうもありがとうございます。おっしゃるとおりで、スーパーサイエンスハイスクール、もう既に開始から二十数年たっているのですが、正直申し上げて精緻な追跡調査というのはできていません。
ただ一方で、スーパーサイエンスハイスクールには目的が2つあると思っています。高度に専門的な知識を持つような専門人材の育成と、あと理系的な素養というのを文系の方々含めて幅広く展開するという2つの目的だと思いますが、そこがどのような成果を上げているのかということを追跡調査は今後やっていかないといけないと思っています。一部のスーパーサイエンスハイスクールの指定を受けた学校では自主的に、自発的に成果をいただいているところはありますが、今後は体系的に全部で今、225校を支援させていただいているので、そこに対しての調査というのを今後かけていきたいと思っています。
【桝委員】 ありがとうございます。恐らく高校時代の成果よりも10年後とかにすごく出てくる成果だと思いますし、肌感覚としては本当に成果が出る可能性は高いと思いますので、ぜひ、そこの構造はつくっていただきたいと思いました。
【狩野主査】 ありがとうございます。JSTの自己評価委員会もさせていただいておりますけれども、その中でもSSHについてどうかといった話が当然出た覚えがありまして、今のお話は大変重要な御指摘だと思いました。ありがとうございます。
では杉山先生、お願いします。
【杉山委員】 SSHについて、まずコメントですけど、一つは毎年夏に全国大会やっていて、1,000人ぐらいの生徒が集まって、その高校に閉じない横展開もすばらしいと思います。
それはコメントで、先ほどの8ページに色々な政策がまとめられていますけれども、この中で、ここの課ではないですけど大学院改革の推進って、恐らく例の卓越大学院の後継だと思いますが、大学院の重点化ということとともに学部を縮小するという言葉まで入っているので、その辺の意図を、もしコメントしていただけたらいいと思います。
それから長い期間の支援ということでいうと、逆にSPRING事業と関連したBOOSTで情報系・AI人材と呼ばれる人たちにお金をたくさん充てるということですけれども、これがすごく期間が短くて、始まったと思ったら、もう終わりみたいな感じになってしまっているので、さすがにこれだと全然まっとうなシステムがつくれないようになっていると思います。なので、もし何かそちら、今後伸ばしていける可能性があるようだったら、コメントもお願いします。
【狩野主査】 では、何か答えられることがありましたらお願いします。
【髙見人材政策推進室長】 大学院改革ですけれども02の横にあるとおり、徹底した国際化と徹底した産学連携というのを掲げておりまして、博士課程リーディングプログラム以来続けております大学院教育というのを外に開いて、色々な人の力、借りながらやっていくところは継承しつつ、杉山先生がおっしゃったように、大学院に重点化をしていく大学においては、これは組織改革等も行いながら大学院に重点化をしていくところもにじませた事業と思っています。それをどこまで要件化するのかは、高等教育局の事業になりますので軽々に私から申し上げられないですが、国際化と産学連携というところがメッセージにはなっているとは思っております。
【髙橋人材政策課長補佐】 あともう一つ、BOOSTにおきましては、これは制度としては博士後期課程学生支援と若手研究者支援の両方あり、特に博士後期課程学生支援については博士人材活躍プランもありますけれども、この先の第7期科学技術基本計画などにおいて、どういった位置づけでやっていくかという大きな全体像の中で考えることが必要かと思っておりますので、このタイミングにおいて事業をさらに伸ばすという話は難しいと思っています。恐らく次の議題の論点の一つかなと思います。
【杉山委員】 ありがとうございます。
【狩野主査】 ありがとうございました。
では、続いて隅田先生、お願いします。
【隅田委員】 ありがとうございます。私もほかの先生と少し関わりますが、次世代人材育成事業に少し予算をつけていただいているのがすごくありがたくて、ここの層をどうにかすることから始まるということで、SSHももちろんすばらしいです。私も関わっていますが、あともう一つ、STELLAでしょうか。先週末、サイエンスカンファレンスが行われまして私も参加しました。ジュニアドクター育成塾とグローバルサイエンスキャンパスと、STELLAが合同で行ったのですが、すばらしかったです。大賞を取った子は4年間継続して研究していたという子で、こういう子を育成できるプログラムが全国に展開しているというのは、日本の強みになってくると思います。
それでいうと、さっきのトラックで特別研究員制度は追跡調査がされていて、研究職とかで活躍している人がもう一定、かなりの数いるということなので、今度はSSHとか次世代育成事業を経験した子が今度は特別研究員にどれぐらいなっているかといったことを見れば、比較的最近の取り組みから活躍している子がいるというのはもう明らかに出るのではないかということを一つ思いました。
もう1点は博士人材のところで、海外研さん機会とか留学機会の充実についての話が出ていますが、円安から予算的に苦しいということと、日本の子供の数自体が減っていることを考えると、留学というか、受け入れももう少し開いて、多様な国から優秀な子を呼んできて一緒に学ぶ機会へもサポートがあったらいいと思いました。
以上です。
【狩野主査】 ありがとうございました。いずれも重要な意見だと思いました。国際はもう一つ国際戦略委員会というのがありましても、そちらも関わっているので思っているところですが、日本に来るとどんなことが楽しいのかとか、あるいは何が魅力だから来てほしいのかということを、もう少し宣伝できるようにしていかないといけないということも思いながら見ているところではあります。
あともう一つ、前半の話では私も意見を加えさせていただくと、恐らく必ずしもピュアアカデミーの人になるルートだけを調べればよいというわけではなくて、産業で活躍するように思いを定めた人とか、いろんなところにSSHで育まれた能力というのは活用できると思いますので、それも総合的に見せられるような調査ができるといいと思います。が、言うだけは簡単、実行は大変であって、申し訳ございません。
【隅田委員】 それでいくと、海外の例だとパテントを取得している割合がかなり多いとか、そういうものも指標に含めて調査をされていると思います。
【狩野主査】 ありがとうございます。それも確かにいい方法だと思いました。ほかに何か御反応ありますか。よろしいですか。
では、続いて長谷山先生、お願いいたします。
【長谷山委員】 細かなことですけれども、桝委員がおっしゃったようにSSHはとても良いものと思いますが、その良さを数値エビデンスに基づいて、主張したいと感じています。最近の事業では、定性的なものだけではなく、定量的なもの数値エビデンスが要求される時代になってしまったように思います。
そうすると、先ほど杉山委員が仰ったように、BOOSTについて大学の現場で問題が生じています。学生は、3年間しか実施しないBOOSTってなんだろうと思っています。優秀であるがゆえにBOOSTに採択された学生のほとんどが学振に採択され、多くの学生が学振を選択します。BOOSTは、補欠を採ることになります。そうなると、BOOSTの学生の業績がどのように伸びて行くかでBOOSTの評価が決まると思います。3年間という短い期間で、高く評価されるものに仕上げられるのか、そうでなければ、その後の継続や新事業に影響を与えるのではないかと不安を持っていることを現場からお伝えします。既に、他の大学でも起こっているのではないかと思います。
以上です。
【狩野主査】 ありがとうございます。このデータのとり方は常に難しいところで今、おっしゃるとおりで、特に長期的なもの、あるいは人生において基盤的なものというのは、それのありがたみを本人も忘れることがあります。この辺の調査の仕方がうまくできたらいいのですが、ぜひ調査法についても御示唆がありましたらお伝えいただけると、ここにおられる文科省の皆様が良い活用方法を考えてくださるのではないかと期待しているところです。よろしくお願いします。
それでは、今日の本丸にまいりたいと思います。皆様のお手元にも改めて参考資料としてお配りしたシン・ニッポンイノベーション人材戦略ですが、前回、科学技術・学術審議会の総会で御紹介いたしまして、並ぶ委員の皆様から極めてたくさんの反応を、多分紹介した中で一番たくさんの反応いただき、また、非常にサポーティブな御意見をたくさんいただいたように思っております。
この中を少し振り返っていただくと、今、柳沢先生のオファーが目に入ったので同調圧力に屈しないという表現を入れたのも思い出しましたけど、加えましてセントラルとしては3枚目ぐらいにあります、この3つの力の要素をぜひということで、最後は実現する力って書いていました。それをこの前、若い学生の人に、大学1年生に紹介したら「活かす」でいいじゃないですかと言われて、「活かす」に変えてみましたが、これで全部大和言葉に沿いました。つなぐ、深める、活かすという3つの力が要るし、これを個々人が全部持つというのではなくて社会の中にこれがキュミュレーティブに存在することが大事で、それをうまく支え合えるといい、という話です。
委員の人から1人言われたのが、であれば、自分が持ってない力もちゃんと把握しないと、これをお互い活用、リスペクトできないと思いますので、それもぜひと言われて、そうだなと思って聞いていました。
それから6ページにありますのが、そういう意味でこの新しいことを出していくのに必要な人材の今の箱のありようの多様性を大体書いているものという理解でおりますけど、こういう全体のマッピングがあった中で、文部科学省の現在、走っている多様な政策、あるいは、これからそれを踏まえてつくっていくべき内容は何なのかということを今日議論いただければというのが主査としての思いです。多分、奥課長からは違う思いがまたあると思いますので、これをぜひ今日は共有いただきまして皆様からの御意見を頂戴できればというのが最後の議題の内容です。
それでは、今後の確実人材政策の基本的方向性、議論のたたき台というペーパーをかなりしっかり作ってくださっていますので、これを御説明いただいて皆様と議論したいと思います。
奥さん、よろしくお願いします。
【奥人材政策課長】 ありがとうございます。改めて、生田の後で人材政策課長を拝命しました、奥と申します。初めての先生方もいると思いますので、どうぞこれからよろしくお願いいたします。
今、狩野先生からありましたように、シン・ニッポンイノベーション人材戦略を今回まとめていただいて、これは第7期基本計画に向けた基本的な方向性として共有できたものだと思います。こうしたもののさらに上に立って今後の中長期を見据えて、まさにこの委員会の先生方に御議論いただきたいというものをこちらから問題提起をさせていただきたいと思って今回、お配りをさせていただいています。
最初、我々の問題意識だけ申し上げると、人材政策というのを、とかく一つの分野のようにこれまで捉えられてきたところがあると思います。要は産学連携であるとか、国際であるとか、研究費戦略とか、いろんな政策、施策群というのがありますが、ここの中の一つの分野として人材というのを取り扱っていた気配がややありました。しかし、人材というのは、あらゆる政策に横串的に関わってくるところがありますので、全体を一旦俯瞰した上で人材に関わるところというのを課題として抽出し、整理する必要があるのではないかという問題意識があります。
こうした観点から、まさに科学技術・イノベーション政策自体が、そのものがもうある種、科学技術の人材政策だという観点で、まさにこの委員会では科学技術政策全体をある種、俯瞰した形の議論というのをやっていただけないかと思っております。そうした観点で事務局としてのたたき台を配らせていただいたというのが、このペーパーになります。あくまで我々としての考え方を取りあえず整理したものになります。
時間もありませんので本日は議論の出発点、キックオフとしてお聞きいただければと思います。2ページ目のところで、文部科学省における科学技術・イノベーション政策、それと科学技術・人材政策を合わせた形での基本的な方向性というのを2枚紙で書かせていただいています。取りあえず現状を踏まえた形で今後のあるべき姿というのを、まず俯瞰してみたというものになります。基本認識として国際情勢の変化であるとか国内の現状、状況変化というのは、世の中で言われていることが多々あると思いますが、将来的に見ると人口減少であるとか、労働生産性の低下というのが非常に大きい問題だと思います。
一方で、国の科学技術政策の現状と課題として、よく言われるように論文数、被引用論文数が低下しているだとか、科学技術予算が長年にわたって低下、停滞していること、あるいは国際的な人材ネットワークの中になかなか入り切れてない辺りがいろいろ問題として指摘されていると思います。そうした観点から、今後文科省として科学技術・イノベーション政策をどういうふうに遂行していこうかというときに、3つぐらい基本姿勢として考え得るところがあると思います。
まず、一つには戦略性の向上ということで資源配分、国の予算も含めて資源がある程度、限られる中で、今後一定程度の資源配分の重点化というのをしておく必要があるということで、戦略性を持って取り組む必要があるだろうというのが1つ目です。一方で、文科省として人材であるとか施設であるとか、あるいは組織といった基盤をきちんと維持強化するというのは、文部科学省の最大のミッションだと思っていますので、この中核的な基盤をきちんと維持強化するということも引き続き大事というところで、科学技術の成果というのを社会に発信していく、あるいは社会とともにつくっていく視点も今後必要だろうと思っていまして、社会競争による科学技術・人材政策の推進というのを、ここら辺を3つの方向性として書かせていただいています。
こうした観点から、現在の文科省の施策群というのをまとめさせていただいたのが次の3ページ目になります。柱として4、5、6と3つ挙げています。1つ目は科学技術・イノベーションの戦略的な推進、要は戦略的に取り組むべきところで、5のところが人材・環境を含めた基盤として充実・強化すべきところ、6ポツ目のところは社会との共創によって取り組むべきところということで、それぞれ柱を掲げた上で、それぞれの項目、柱の中で3つの項目にそれぞれ分類をして全体として9象限で物事を整理させていただいています。
1つ目、左上にあるのが研究費戦略というべきでしょうか、競争的資金の戦略的な推進となります。科研費であるとか戦略創造事業のような基礎・基盤的な研究開発。一方で、量子であるとかAIのような先端技術に関するシーズプッシュ型の研究支援、医療であるとか健康であるとかエネルギーのような、社会的課題への対応に向けた研究開発、競争的資金の種類としてこの3種類ぐらいに分類できるかなということで、それぞれの観点で物事を考えていく必要があるだろうと思います。同じように2つ目で産学共創ですね。3つ目で国際連携。ここら辺は戦略的に取り組むべきところだと思っています。
一方で、基盤としてきちんと強化していかないといけないところというのが大学・研究機関等の機能強化、大学共同利用機関の教育研究機能の強化であるとか、国立研究開発法人の機能強化に係るところ。2ポツ目では、多様な人材の育成確保ということで、ここは3つに分類していますが職種別の研究者、技術者あるいは研究開発マネジメント人材などの多様な科学技術人材の育成確保というのが1つ目。(2)のところが大学、大学院、高等学校、初等中等教育みたいな各学校教育段階における教育・人材育成。そして制度・システム改革ということで3つぐらいに項目として分類ができると思います。先ほどあったシン・ニッポンイノベーション人材戦略の言うところというのは、まさにこの3つの柱に沿った形だと思っていますので、この中に取り込んだ形で考えさせていただければと思っています。3つ目が先端研究施設・設備の共用の促進ということで、最先端の大型施設であるとか、大学における研究機関の共用といった話があり得ると思います。
6ポツ目が社会との共創ということで、政策に向けた調査分析機能の強化であるとか、最近大学でも取組が進んでいますけれども、研究員インテグリティとか研究公正に関する取組、予算以外の制度的な側面というのが2ポツ目にあります。3つ目として、科学コミュニケーションであるとか社会と科学技術の対話、こうした形で全体の文科省の施策群というのが整理できると思います。
見ていただければお分かりのように、いずれの項目についても人材の観点というのはどこにも入ってくるところで、それぞれについてばらばらに見ていくのではなくて、人材という観点で横串を刺して課題を抽出していくことを今後やっていってはどうかと思っているところです。
4ページ目、5ページ目、6ページ目、7ページ目辺りは最近の政策文書、あるいはデータ等についてつけさせていただいているところです。
また、8ページ目のところでは、文科省における概算要求のポイントというのを1枚にまとめたものをつけさせていただいています。これも御参照いただければと思います。
今後ですけれども、10ページ目に移っていただいて、こうした観点で科学技術政策全体を俯瞰した上で人材政策のあるべき姿というのを考えていってはどうかということで、人材委員会、次期を見据えて人材委員会とその下のワーキング・グループなどを設置して具体的に検討を進めていただいて、来年の夏ぐらいに一つの方向性というのを示していただくことを考えていってはどうかと思っています。本委員会自体、来年の2月に一旦の区切りになりますので、それに向けて論点整理をするとともに、引き続き次期においても継続して議論ができればと思っているところです。
ただ、人材の横串と言ってもなかなかイメージが湧きづらいということもありますので、11ページ目に人材政策に関わる検討の視点例というのを簡単に例示として書かせていただいています。1つ目、例えばですけれども、先ほどの9象限の左上にありました研究開発の戦略的推進、競争的資金に関するところで、人材に関すること、どういうことがあるかというところだと、研究者の育成に関して研究費を一定程度、充実・強化するというのは非常に大事だと思いますし、あるいは先ほどから議論がありました安定的なポストをどう確保していくか、間接経費であるとか、直接経費を使って人件費を充当することもあると思います。研究環境の改善で研究開発マネジメント人材とか、技術職員の確保というのを競争的資金の中で実際上、措置しているところがありますので、ここをどうしていくかという辺りが論点になり得ると思います。
同じように先ほど議論にありました国際に関して言えば、3つ目にありますけれども優秀な研究者を海外に派遣する、あるいは海外から優秀な研究者を招聘するといった、こうした人材育成に関わる取組いうのは当然入り得るだろうと思っています。こうしたことで他の政策項目、施策群の中で人材に係ることということで抽出した上で、最終的に9象限の真ん中にあります人材に関する政策という形で論点整理をまとめていってはどうかと思います。要は、縦を横にするみたいなイメージですが、研究者の育成・確保策、技術者の育成・確保策、あるいは初等中等教育段階からの人材育成のような形で最終的に整理をした上で、次のページにありますけれども幾つかアウトプットを考えていきたいと思っています。
一つ目、飛ばしていただいて2つ目のところで、科学技術・人材政策・施策群というのをパッケージ化した上で、再来年度の令和8年度の概算要求等を念頭に人材政策のパッケージというのをまとめていってはどうかと思います。その中で研究者とか技術者とか専門人材とか、幾つか項目があると思いますけれども、これに連なるような具体的な事業群というのをまとめる形で整理をすることが一つあり得ると思っています。
もう一つ、先ほどの9象限の話がありましたけれども、ああいう形で文科省の科学技術政策全体を俯瞰した形で政策施策体系というのを整理すると、これは非常に意味があると思っていまして、人材委員会、科学技術・学術審議会の下に直轄して置かれている委員会ですので、こうしたところで体系化というのを一つオーソライズしていただいて、我々の課はJSTの所管課でもありますので、JSTの今後の中長期目標等の柱立てに生かしていくことも考えていきたいと思っています。そうしたものも含めて、最終的に報告書みたいな形でまとめられたらいいと思っているところです。
その次、14ページ目以降は先ほどの9象限について、もう少し具体的に書き連ねたものになっています。幾つかだけ御紹介させていただきますが、基本的な考え方のところは置いておいて現状と課題と今後の方向性のところ、(1)(2)(3)とあるのは現状の文科省における事業の概要というのを書かせていただいています。先ほど申し上げた基礎・基盤的な研究のところでは科研費であるとか、先端戦略創造みたいな基礎的、基盤的な研究開発支援の項目、(2)のところではAIとか量子みたいな技術シーズプッシュ型の研究支援の項目、(3)はエネルギー、健康・医療といったニーズプル型の研究支援と、こうした形で現在、競争的資金、様々なものがありますが、今後人材の観点から見たときにこれをどうしていくかということをある種、ここで定義・提案していただいて、今後の事業にも反映させていくことが今後あり得ると思っています。
一つには、多様な競争的資金制度が充実するというのは非常に大事ですので、ここはきちんと質的、量的にも強化していくということ、また、競争的資金制度をきちんと使って研究環境をいかにして改善していくかというところで、例えば安定的なポストを確保するであるとか、URA等を含めた研究開発マネジメント人材や技術職員等を育成していく、といったことも今後、人材政策として考え得るところと思っています。
同じように次、14ページ目は関連のデータをつけさせていただいています。
15ページ目が産学共創で同じように3つ現状として取組を書かせていただいて、今後の方向性として、特に産学連携進めていくに当たって大学における体制整備というのは非常に大事だと思っています。組織経営のマネジメントや、知財あるいは国際標準化等の専門人材をいかにして確保していくかということが課題としてあると思いますので、こうしたところも課題として、ぜひ提起していただければと思っています。
18ページ目は国際に関することで、20ページ目以降からの基盤に関するところを書かせていただいています。
21ページ目、大学・研究機関における機能強化・研究水準の向上のところです。ここも同じように3つ現状の取組を書かせていただいていますが、(1)のところ、大学・大学共同利用機関における研究・教育機能の強化ということで、運営費交付金を通じて基盤的経費をこれまでも支援をさせていただいていますけれども、それに加えて最近だと国際卓越研究大学制度であるとか地域中核・特色ある研究大学強化促進事業のようなファンディングというのが充実してきています。そうしたものについて今後の経営、組織マネジメントの強化であるとか、研究者の安定的なポスト確保等にどうつなげていくのかというところも大きい課題なのかと思っているところです。
22ページ目のところでは、大学における現在の経常収支等と、あと、本務教員の推移というのを書かせていただいています。先ほどから話がありましたように、経常収支を見てみると運営費交付金がずっと長年にわたって減っている一方で、外部資金が相当程度、最近では増えてきているところがありまして、こうしたものをどういうふうに雇用経費等につなげていくのかということも大きい課題だと思います。
一方で本務教員のところだと、これも40歳以上、40歳未満というデータがありますが、任期なしのポストが減って任期付きのポストが増えていっているというのは、これは直接経費、運営費交付金が減ってプロジェクト研究経費に運営経費を委ねている一つの結論かと思っていますが、こうした状況を見据えたときに、どう大学の機能強化を図っていくのかというところが大きい課題かと思っています。
23ページ目のところが人材です。ここは一つ、最終的なパッケージとして縦を横に整理する形で、ここに横串的に人材のことというのをまとめて整理をする形になりますが、一つには多様な科学技術人材の育成・確保ということで、研究者、技術者、研究開発マネジメント人材等の縦の職種別の人材をどういうふうに確保していくかという話です。(2)のところは、学校教育段階で大学、大学院であるとか高等教育とか、初等中等教育段階での人材育成の取組です。
こうしたものも念頭に今後の方向性として、右下になりますが、研究者の育成策とか技術者の体系的な育成策などをどうしていくかということを今後具体的に議論する必要があると思っています。特に初等中等教育段階については、初等中等教育局で一般的な全国一律・機会均等の教育機会の提供というのをやっていただいていますが、その中で特に優れた資質・能力を持つような子供たちというのをどういうふうに育成していくのかという辺りも一つ、検討材料だと思っています。
これと同じように、25ページ目の先端施設であるとか、さらに27ページ目以降だと社会との共創に関する取組というのをまとめさせていただいています。社会共創の取組は一つだけ30ページ目、社会共創に向けた取組で一つ、科学技術と社会との対話であるとか、科学コミュニケーションの充実というのも文科省として取り組んでいるところです。ここは特に初等中等教育との接続というのも非常に重要かなと思っていまして、科学コミュニケーションの活動を推進するとともにSTEAM教育とどういうふうに連携・協力していくかというあたりも、ここの中から課題等を抽出してまとめたいと思っているところです。
雑駁で恐縮ですが、説明は以上になります。繰り返しになりますが、結局、人材政策というのは科学技術・イノベーション政策そのものだと思っていますので、この科学技術政策全体を俯瞰した上で人材に関するところというのを課題として抽出をしていただいて、そこを横串的にまとめていくことを今後具体策として検討を進めていければと思っているところです。今日は時間があまりないので、次回以降、ぜひ精緻な議論をお願いできればと思っているところです。
以上です。
【狩野主査】 ありがとうございました。あと残り5分ぐらいしか使えなくなってしまっていますが、大まかに申し上げると、まず非常に歯ごたえのある内容をいただいたと思っておりまして、ぜひ、せっかくの委員会ですので皆様と活発な議論ができればと思っていますけれども、大量の情報を処理するときに何か軸足がないと難しくなる面もあるかと思っていて、それで私なりの御提案として、これまで議論してきたシン・ニッポンイノベーション人材戦略をリマインド・レビューさせていただきました。というのは、あれの軸に沿って今、御紹介いただいたいろんなアイテムを見ていったときに、どこに穴があるのか、それからそこは埋めたほうがいい穴なのかということが、より明快になるということで御提案した次第です。
もう一つ言うと、例えばHorizon Europeを見ていると今の幾つかの柱に対してミシン目を初めから入れて、ここにはどれぐらいの割合の予算を充てる、ここにはどれぐらいの割合の予算を充てる、また、そのときに選び方もそれぞれ工夫して違うようになっているというような例を見るところがあります。我が国ではそれがあまり、そういう整理の仕方は今までされていないということも思います。こうした機会にそういう意味でよい議論ができたらと思って、私の役割としては拝見していたところでございます。
短い時間ですけれども、何か今後の方向性について御質問あるいは御意見、こういう捉え方がもっとあるのではないかとかということがございましたら今、お知らせいただけるでしょうか。すいません、短くお願いするしかなくなってしまいました。
梶原先生、お願いします。たくさんいただいていますね。1人1分ぐらいでお願いいたします。
【梶原委員】 御説明大変ありがとうございました。何点か簡潔に。科学技術外交が重要ですとおっしゃっているのは、まさにそのとおりだと思います。グローバルの中での日本の立ち位置ということになりますので、ぜひ、こういうところは外務省との連携ということが入ってくると思いますので、よろしくお願いします。他省庁との連携というのは非常に重要と思います。
それから産業界から見たときに産学連携では、先ほど大学のマネジメントのところで知財の話が出てまいりましたけれども、ぜひ情報管理の扱い、オープンではないものも必要になってきますので、そういったところがまだ十分になっていないところがあれば、そこの充実ということを考慮いただきたいと思います。
また、先ほど来、データがしっかりとれているのか、定性的、定量的という話がいろいろありました。エビデンスを見て物事を判断していくということでEBPMが出てまいりましたけれども、そういった観点で今、やってきたそれぞれの施策、そういう政策に基づいた各施策がどういった効果があったのか、波及効果の大きいものは何だったのかというところもしっかり把握して次につなげるとか、これから新しいものをやろうとするときに何をとらえていくのかということを見ていっていただきたいと思います。本質的なデータをとっていくことは重要と思いますので、現場に負担のない形で何が重要かということは文科省で知恵を出すところであると思いますので、よろしくお願いいたします。
先ほどのSSHの話を聞いて思ったのは、よく多様性の議論で女性が理系に進まないというのがありますが、SSHの学校では、どのぐらいの割合で女子高生が参加しているのかというのも興味があります。実はそこはあまり差がないのではなかろうかと思ったりします。そういった方々がリケ女ということで、ある意味、理系を目指していかれるのは、とてもうれしいことですので、そういったSSHにおけるデータのところでの女子学生の話も取り上げていただけると、この先の進め方もより明確になるのではないかと思います。
以上です。
【狩野主査】 詰まった内容ありがとうございました。残り時間を踏まえ、まとめを申し上げないで次に行かせていただきます。
では鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】 ありがとうございます。今後の少子化を見据えると、多分、これまでの政策というものを違う形で考えざるを得ないと思います。国立大学の合併というのはもっと勢いを持って推し進めるべきであろうし、そこによってコスト削減ということを実現しなきゃいけないし、だからこそ、できるようになることもあると思うので、そこを踏まえた議論だといいかと思います。
【狩野主査】 ありがとうございます。一言に凝縮していただきました。ありがとうございます。
では、続いて隅田委員、お願いします。
【隅田委員】 ありがとうございました。いや、すごい資料で大変勉強になりました。教育が多様化と高度化と、あと、共同化というか、包摂化とか、非常に重要な観点から、勉強し直す必要がある資料だと思いました。私は今、日本科学教育学会という学会の会長をしていますが、今日の話で、データだけではなくて理論基盤の構築も含めて、こういう科学技術人材育成というのが一つの学問領域が新しくできていいのではないかと思いました。学協会と協働で動くような、何か新しい学問分野ができるぐらい中身がある資料だったと思いました。
あと最後、SSHの女性のことで、幾つか私が知っているデータでもSSHの教育効果が男子生徒へも高いのですがさらに女子生徒の理系選択に高い効果があります。また、先ほどのSTELLAでも非常に女子生徒が活躍していて、実施機関によっては女子生徒の参加人数の方が多いとか、そういうデータもありますので、これからいい蓄積ができるのではないかと思います。
以上です。
【狩野主査】 これも大変中身のある内容でありがとうございました。
では、続きまして長谷山委員、お願いいたします。
【長谷山委員】 長谷山です。8ページ右欄にある重点分野の研究開発と、その下に記載の課題解決型の研究開発全てに通じるものですが、事業を行うと事業を行うことが目的になって、投資する分野やグループの選考がどのように行われたのか、その数値エビデンスが見えない状態が起こります。論文データは過去のデータだというだけでなく、経年変化を見ると、アメリカや中国など海外の国々が、どのようにして新しい分野に切り込んで研究費を投資しているのかが分かります。ぜひ、そういう視点で、どこの研究グループに投資するのか、どこの組織に投資するのかということを改めて考える仕組みを入れていただきたいと思います。
以上です。
【狩野主査】 ありがとうございました。大変重要な御指摘でした。ほかは今のところはよろしいでしょうか。
どうぞ、水口先生、お願いします。
【水口委員】 アカデミアが持続的に発展していくためにというところで、財源のところが重要になってくると思います。22ページ目に経常収益を載せていただいておりますが、知財収入等を確保して運営交付金に頼らない、完全に頼り切らないように大学が稼いで、その収益で人材も充てていくことが、持続化につながり、そこを固めていくような政策が必要だと考えております。
また、研究からビジネスにつなげていく人材は結構不足していると感じておりますので、そういった人材の教育や、そういうポテンシャルを持っている博士人材は多くいると感じておりますので、夢をより輝かせていくような政策ができるといいと思っています。
【狩野主査】 ありがとうございます。さすがCFO、ありがとうございました。
これで多分、今日御発言いただいていない委員はおられないかなというところまでやってきまして、ありがとうございました。私も外務省の仕事は科学技術次席顧問をやったことがあるのと、それからあと、政策のための科学のアドバイザーもさせていただいておりまして、そういう意味で今日の御議論は大変重要な内容だったなと思っております。
それでは不手際であと3分になってしまいましたので、そろそろ締めを1回させていただければと思いますが、ということで髙橋さんから事務連絡を最後にお願いできたらと思います。よろしいでしょうか。
【髙橋人材政策課長補佐】 ありがとうございました。次回の委員会につきましては、また改めて日程調整をさせていただきます。
また、本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にお目通しいただいた上で主査に御確認の上、文部科学省のホームページを通じて公表させていただきます。以上になります。
【狩野主査】 大変ありがとうございました。
最後駆け足になったので2分ぐらい残っておりますけど、何か最後におっしゃりたいことがある方が、万が一。そうですね、せっかくお越しいただいたので審議官と、それから総括官から感想を、個人的思いなどがございましたらいただけますでしょうか。
【先﨑科学技術・学術総括官】 総括官の先﨑でございます。御議論ありがとうございました。
さっきの研究者・教員等の流動性・安定性に関するワーキング・グループ、大変たくさんの御指摘いただいたと思います。なるほどと思うところもあるので、また、これらを踏まえて、より精緻なものにしていくということだろうと思います。
それから先ほど奥課長から今後の科学技術・人材施策の基本的方向性というのが示されました。この議論は避けて通れないものだろうと思っております。つなぐ、深める、活かす、さらにそれをどういうふうに引き出していく環境をつくっていくのかというところをおまとめいただいた。人材委員会としてのミッションは、まず、ここが一つの到達点だと思います。
そのうえで、次にどこに行くかということを考えると、人材政策は研究分野を縦軸とすると、横軸で切っていく性格のものですから、一旦それを取っ払う必要があるのではないかと思います。そうなると、ここに示されたような9象限、それが9象限かどうかも御議論いただいていいと思いますが、ただ、それらの政策において人材政策ってどういうふうに考えていくのかというようなことを意図的にやっていくべき時期なんじゃないかということです。
それから、ここにはなかなか出てきにくいものですけれども、国立大学が法人化して20年たち、法人化前と資金構造も大分変わってきています。人材政策も当然、変わっている。そのときのメルクマールとして考えられるのは、これも定義が難しいですけど研究大学とそうでない大学、そのような言い方はあまり好きじゃないですが、あるいは初等中等教育という非常に垂直的統制が効いているけれども、全体的な教育の中から科技・イノベ人材というのはどう見いだして育成していくのかというような、実はいろんな見えない軸があって、それについて一遍御議論いただいて、私どももそれを勉強して施策に生かすことが必要な段階なのかと思っておりますので、ぜひとも今までにはない切り口ではございますけれども御意見いただければと思います。
以上でございます。
【狩野主査】 ありがとうございました。大変踏み込んで力強い御発言いただきましてありがとうございました。せっかくですので髙谷審議官、お願いします。
【髙谷大臣官房審議官】 御挨拶遅れました。この夏、着任をいたしました科政局の審議官の髙谷でございます。もう皆、今、総括官からも総括ありましたとおりでございます。奥課長からの強い思いの方向性、今日紹介をさせていただきました。いろいろ御議論いただければと思います。一方で人材という到達点として、まとめていただいたシン・ニッポンイノベーション人材戦略を柱にいろいろ御議論いただければと思います。一方で、できないところや、ほかの委員会のとの兼ね合いもありますので、しっかり私ども事務局が吸収できるところは吸収し、広げ過ぎたところはいろいろ調整をし、ということになろうと思っておりますのでよろしくお願いします。
今日の流動性・安定性ワーキング・グループの議論を拝聴しておりますと、一方で人材のところだけでもしっかりとまだ足腰、固めて議論しなきゃいけないところも多く残っているというところは、再認識をさせていただきました。しっかりと横串を刺した広い議論とともに、本当に人材をどう支えていくかというところも議論できればと思っております。総括官からもありました国立大学の話、それからSSHの話、いずれもほぼ20年前ですね。20年前というと、橋本行革で文部省と科学技術庁が一緒になって文部科学省になった、そのときから科学技術人材というものが教育と科学技術と両側面で見られるようになったという大きな変換点から、十年一昔という中、もう20年たちましたので、そういうようなところもしっかりと我々事務局としてこの議論を支えてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
【狩野主査】 手厚いお話をありがとうございました。この審議会は多分、科学助言というのも一つの機能の在り方なのかなと思っておりまして、ここで言ったからといって全部が通用するとは思っていませんけれども、ただ、こちらでいろんな意見が出ることによって厚みを増した内容になり、より現実に即した内容になっていくことを目指してこちらもやっていきたいと思っております。
それでは、少し延びてしまいましたけど大変立場のある方々のすてきな御発言をいただきまして、今日はこれでお開きしたいと思います。それではどうもありがとうございました。また、次回もよろしくお願いいたします。
―― 了 ――
科学技術・学術政策局人材政策課