令和7年6月13日(金曜日)16時00分~18時00分
文部科学省 東館 15F 科学技術・学術政策局1会議室 及び Web 会議(Zoomウェビナー)
狩野委員、天野委員、稲垣委員、江端委員、梶原委員、唐沢委員、川越委員、迫田委員、杉山委員、武田委員、波多野委員、桝委員、水口委員、宮崎委員
井上科学技術・学術政策局長、福井大臣官房審議官、先﨑科学技術・学術総括官兼政策課長、奥人材政策課長、高見人材政策推進室長
令和7年5月19日
【狩野主査】 それでは、16時になりました。ただいまから109回の科学技術・学術審議会人材委員会を開催いたします。
本日は2時間の中で4題の議題がございます。それぞれ御説明及びヒアリング及び意見交換がございますので、ぜひ皆様、簡潔にお願いいたします。
今日は16名に御出席いただいておりまして、定足数を満たしております。
では、議事に入ります前に、開催に当たりまして、事務局から注意事項、そして資料の確認をお願いいたします。
【髙橋人材政策課長補佐】 本日の会議は対面とオンラインのハイブリッドでの開催になります。御発言の際には、対面で御出席の委員は挙手または名立てなどで合図を、オンライン御出席の委員は挙手機能により挙手ボタンを押していただくようお願いいたします。主査より御指名を受けましたら、お名前をおっしゃっていただいた上で御発言ください。機材の不具合などがございましたら、対面で御出席の委員は会場の事務局にお声がけいただき、オンラインで御出席の委員はZoomのチャット機能などでコメントなど連絡をお願いいたします。
それでは、資料の確認をさせていただきます。事前に送付させていただいた資料としまして、議事次第、資料1-1から1-3、資料2、資料3-1及び資料3-2、そして資料4、参考資料になります。資料につきましては、Zoom上での共有も行います。議事進行の過程で不備などがございましたら、いつでも構いませんので、事務局までお知らせ願います。
以上です。
【狩野主査】 ありがとうございます。会場ではたくさんの資料を印刷していただいておりまして、印刷をしてくださった皆様にも感謝を申し上げたいと思います。
それでは、議題1に早速入りたいと思います。初めに、先日行われましたワーキング・グループでの検討状況について、事務局より説明をお願いしたいと思います。最初は、5月30日に実施されました第2回の科学技術人材多様化ワーキング・グループ及び6月9日に実施されました第3回の科学技術人材多様化ワーキング・グループの報告を髙見さんからお願いしたいと思います。お願いいたします。
【髙見人材政策推進室長】 承知いたしました。人材政策推進室の髙見と申します。前回5月19日の本委員会におきましては、資料1-3丸2にございますけれども、こちらの論点・検討課題というところをお示しいたしまして、そしてまた、資料1-3丸1は、多様化ワーキング・グループ等における主な意見ですけれども、こちらの5ページ、6ページにございます多様化ワーキング・グループにおける主な意見というところを前回御報告させていただきまして、委員の皆様からは、丸1の7ページから9ページにまとめておりますとおりの御意見を頂戴いたしました。技術者とか大学における技術職員、それから研究開発マネジメント人材に関する御意見を頂戴いたしました。
その後、いただいた御意見を多様化ワーキングのほうにフィードバックをした上でさらに審議を進めまして、資料1-3丸3、丸4にありますように、技術者と研究開発マネジメント人材に関する現状・課題・今後の具体的な取組というところにまとめているところでございます。
今後の具体的な取組・方向性について御紹介をいたします。まず、丸3の技術者でございます。少し資料が大部で申し訳ありません。分かりづらいかもしれません。丸3の技術者ですけれども、5ページから今後の具体的取組・方向性をお示ししております。5ページの下ですけれども、実践の観点から最先端の知見を活用し新たな科学技術・イノベーションを生み出すことのできる質の高い技術者の活用の推進が重要だとしておりまして、その次の6ページから、必要と考えられる取組について記述をしております。
(1)番、大学・大学院(及び高等専門学校)における工学系教育の充実・強化といたしまして、大学等による企業からのニーズを踏まえた研究や実践の場の提供。JABEEと書いてありますが、日本技術者教育認定機構でございます。こちらによる認定の認知度の向上や、認定校の事務負担軽減のための取組の検討などを挙げております。
(2)番、丸1といたしまして、大学・企業等における技術者の育成・確保というところでは、国による大学等と企業との組織的な連携・協力や共同研究等の拡大に向けた支援の充実・強化、国と大学・企業等の連携・協力による先端研究施設・設備・機器等の整備・共用・高度化等による研究基盤強化。
それから、(2)の丸2です。大学等における技術職員の育成・確保といたしましては、国による技術職員の人事制度等に関するガイドラインの策定、それから、大学等による技術職員の適切な配置、処遇・評価の改善、キャリアパスの構築等を挙げております。
(3)といたしまして、技術士制度の活用促進。ここでは、国による技術士資格の取得促進のためのインセンティブを高める仕掛けの検討や、国による技術士資格の取得からその後の活動までの一貫した整合性あるシステムの構築・改善に向けた検討、以上のような取組が必要であるということでこれまでの審議の中で整理をさせていただいております。
次に、丸4番ですけれども、研究開発マネジメント人材でございます。こちらは4ページ以降に今後の具体的取組・方向性について整理をしております。(1)番、研究開発マネジメント人材の位置付け・役割の明確化につきましては、国による同人材の人事制度等に関するガイドラインの策定・展開。こちらのガイドラインにつきましては、この後御説明をさせていただきます。それから、競争的研究費の申請書等に研究開発マネジメント人材の氏名・役職を記載することなどによる同人材の業績の可視化。それから、国の事業として創設されたURAスキル認定制度の着実な推進と、大学等における人材確保のための効果的活用、こういったことを挙げております。こちらの特徴といたしまして、間に優良事例を多数入れておりますけれども、これは追って御覧いただければと思います。
6ページを御覧いただければと思います。6ページの(2)研究開発マネジメント人材の育成・確保・活躍促進というところでは、国による研究開発マネジメント人材に関する体制整備事業の実施、今年度の新規事業でございますけれども、こちらの実施。それから、7ページのほうですね、JSTによる基礎力育成研修の実施や、科学技術分野の文部科学大臣表彰の研究支援賞において研究開発マネジメント部門を創設し、同人材を表彰していくことなどを挙げているところです。
次に、8ページです。(3)番の取組の普及展開というところでは、J-PEAKSとか研究大学コンソーシアムといった枠組みの中の参画大学における取組が拡大するように、ガイドラインや体制整備事業の周知・普及といったことを挙げております。また、国立大学法人の第5期中期計画におきまして、研究開発マネジメント人材を含む研究推進体制の整備を求めることの検討、以上のような取組が必要であると整理をしているところでございます。
そして、資料1-3丸5と丸6を御覧いただければと思います。こちらが多様化ワーキングのほうで、これまで議論をしてまとめてまいりました研究開発マネジメント人材の人事制度等に関するガイドラインの案でございます。
内容をかいつまんで御説明をいたします。丸5のほうを御覧いただければと思います。こちらの上の目的というところにありますけれども、研究大学とか大学共同利用機関において研究開発マネジメント人材が意欲を持って継続的に活躍できるよう、研究大学等が組織として研究開発マネジメント体制を整備する際に活用するためのガイドラインというふうに整理をしております。
第1章には、研究開発マネジメント人材とはどういう人材なのかということを書いております。
第2章におきましては、研究に付随する多様な業務、組織経営に関する業務をこのマネジメント人材が担うことで、研究者が研究活動に専念して、プロジェクトを優れた研究成果につなげることを研究大学等に期待するとしています。
第3章ですけれども、ここでは同人材に期待される業務といたしまして、丸6のガイドライン本体の5ページにコア業務構造をお示ししております。これは新しくマネジメント人材に期待される業務につきまして図としてまとめた内容になります。ここにあるような4つの柱、プロジェクトマネジメント、組織マネジメント、産学連携・知的財産マネジメント、研究基盤マネジメントという、この4つの項目として整理をしたということを記載しております。
丸5のほうに戻っていただいて、第4章におきましては、こういった人材の職階の設定とか適切な給与設定、それから博士課程学生や事務職員等からのキャリアパス、業績評価の在り方等についてまとめております。
第5章は、同人材の安定的な雇用を確保するための雇用財源の在り方、JSTにおける研修や、URAスキル認定機構による認定の効果的な活用についてまとめております。
本ガイドラインにつきましては、委員の先生方に御確認をいただきまして、6月中にセット、公表いたしまして、大学等に周知してまいりたいと考えております。御審議どうぞよろしくお願いいたします。
【狩野主査】 ありがとうございました。先にもう一つ御説明いただきますが、今おっしゃったように、ガイドラインについては今月中にセットしたいということで、意見がある場合には6月18日までにお寄せくださいということを伺っております。もし今日言いそびれたことがあったらお知らせください。あと2日ですね。
では、続いてのワーキング・グループの御報告を今度は白川さんから1-2に基づいてお願いできればと思います。お願いいたします。
【白川人材政策課長補佐】 白川でございます。私のほうから資料1-2に即して御説明をしていきたいと思いますが、次世代人材育成ワーキング・グループの6月5日の御議論につきましては、少し資料4の一部のスライドも参照をしながら御説明をさせていただければと思っております。
6月5日に関しましては、資料4の36ページにございます、今後のSPRINGにおける支援の在り方についての資料を用いながら、今後のSPRINGの取組について御議論をいただいたり、その後ろの39ページから41ページにございますスーパーサイエンスハイスクール事業の今後の在り方に関して資料をお示しして御議論をいただいたところでございます。そうした内容も含めて取りまとめておりますのが資料の1-2の丸3から丸5ということになりまして、少し資料が大部になって恐縮でございますけれども、御報告をさせていただければと思います。
資料4の36ページを開いていただくと、SPRINGに関しましては、こちらにございますように、日本人学生と留学生、それから社会人学生に関し、対象に応じた戦略的な支援を行っていくことや、研究奨励費に関し、事業趣旨の観点から見直しを検討してはどうかということ、研究費に関しては、優秀な学生に対する研究費支援の重点化など支援の階層化を検討してはどうかということ、留学生に関しては、国・地域の多様化に向けた取組のさらなる促進を図っていくこと、そして社会人学生に関しては、現在支援なしとなっているところ、優秀な学生に対する研究費支援の重点化など支援の階層化を検討してはどうかといったところについて論点として御議論をいただいたところでございます。
これに関しまして、資料の1-2に戻っていただきますと、いただいた御意見といたしましては、優秀な学生への支援の階層化の方向性はよく、優秀性の定義や支援の階層化の具体的な制度設計が今後において重要な課題ではないかということであったり、日本人学生や留学生など対象に応じて支援の方向性を分ける考え方は非常によいのではないかという御意見。また、社会人の博士課程学生への研究費等の支援を行うのは非常に効果があるのではないかという御意見であったり、その下、博士人材の活躍促進に関する具体的な取組を日本人学生や留学生、社会人学生といった対象に応じて行うことが必要ではないかという御意見、博士課程に進むモチベーションを持ってもらうためには、支援が決まるタイミングも重要ではないかという御意見をいただいていたところでございます。
その他、博士課程学生支援については、ドクターからは社会人であるというメッセージを強く出すことで、学生や教員の博士課程学生に対する意識も変わるのではないかといった御意見を頂戴しているところでございます。
博士課程学生支援関係については、次回6月26日に関しても引き続き具体的に検討を行っていくことを予定しております。
続きまして、初等中等教育段階における科学技術人材育成関係でございます。こちらも少し資料4の39ページになりますけれども、こちらで具体的な制度設計の在り方の案をお示しして御議論をいただいたところでございます。ごく簡単に御説明をしますと、スーパーサイエンスハイスクールの指定期間の途中にございます発展Ⅰ期・Ⅱ期という時期がございますけれども、ここに少しスーパーサイエンスハイスクールを通じて目指していく人材育成の目標、これに応じた類型を設けまして、類型に応じて取扱いを変えていったり、資金配分についても変えていってはどうかということであったり、SSHの仕組みを卒業した認定枠の学校に関し新しく支援の枠組みを設けてはどうかというような御提案について御議論をいただいたところでございます。
これに関して、資料1-2に戻りますと、1ページ目の一番最後から始まりますけれども、案のような形でメリハリを持たせる方向性はよいのではないか。指定校ごとに自らの強みや自校がどこに力点を置きたいのかを検討し、人材育成の目標の設定をしっかり行うことが重要になるという御議論であったり、類型化を通じて、いずれかの類型で産業界が積極的にSSHに関わるようになると面白いのではないかという御意見。また、認定校向けの加速支援は非常に大切ではないかというような御議論をいただいているところでございます。
そのほか、初等中等教育段階における科学技術人材育成、いわゆる裾野の拡大も含めてということになりますけれども、これに関しては、トップクラスの生徒に関し、交通費等の支援をしながら生徒を一つの場所に集めて育成していくことも重要ではないかという御議論をいただいておりまして、こうした取組についても今後の方向性に載せさせていただこうと考えているところです。また、女子生徒の理工系進路選択支援の取組については、これまでも非常に重要だという御意見をいただいてきましたけれども、さらに男子生徒も対象に含めて行っていくことも非常に重要ではないかという御議論をいただきました。
その他、科学コミュニケーション活動関係につきましても、コミュニケーターの社会的な立場や存在の認識が確立されることも併せて重要ではないかという御議論や、科学館等において本物に触れて実体験ができる機会は極めて重要といった御意見をいただいてきたところでございます。
以上でございます。
【狩野主査】 ありがとうございました。今日は時間がないので押し気味で申し訳ないのですけれども、既に時間が押しておりまして、御意見をこれから賜りたいと思います。
まず、ワーキング・グループの委員を兼任されていない皆様から御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。
何でしたら五十音順にお名前を挙げてお願いします。よろしければ、天野委員、いかがでしょうか。
【天野委員】 御説明いただきまして、ありがとうございます。とても膨大な資料ですけれども、頑張って理解に努めました。
研究開発マネジメント人材のところで、URAであったり、研究開発マネジメント人材、また、URAとは別のもう少し上のレイヤーのというイメージだということをこの前伺いましたけれども、そういった人材は、今までの概念だと、各大学に配置するとか大学で安定して雇用するというところでずっと議論がされてきていたのではないかと思いますが、組織の中にいるとどうしても個々人の適性とか得意分野あるいは能力を生かし切れない場合もあると思っていまして、そういった場合、優秀な研究開発マネジメント人材を生かし切れていないということも発生するのではないかなと感じています。ですので、フリーランスのそういった研究開発マネジメント人材を増やすような取組も大事ではないかなと考えています。
そういったフリーランスのURAなり研究開発マネジメント人材の人たちに安定して安心して働いてもらえるような施策を打っていくのもありかなと考えています。例えば外部資金でのプロジェクト単位でマネジメント人材を入れていくような場合ですと、PI人件費的な感じで直接経費から払えるようにするとか、あるいは大学の経営に関わるようなものである場合も、例えばスタートアップ企業ですと、CFO人材も、人によっては時限を切って、シリーズAまでのバリュエーションアップを5年以内に必ず達成しますというようなところだけが得意なCFO人材もいらっしゃいます。そういう人は、シリーズAの5年間でバリュエーションアップをしっかりやってほしいというスタートアップの会社を転々と回っていかれるのですね。出来高制であったり、そういうところで稼いでいるというか安定して働いていらっしゃるわけですけれども、そういった人材ももしかしたら大学経営でも要るのではないかなという気がします。ですので、大学の中で安定して雇用するというところだけではなく、フリーランスの優秀な人材を登用していけるようなそういう土台づくりを考えていくのも一つ有用ではないかなと感じました。
あとは、科学技術コミュニケーションのところなのですけれども、そもそも何のために市民が科学リテラシーを持たないといけないのか。特に科学技術が苦手であるという意識を持っている人にも興味を持ってもらうのは何のためなのかというと、国として科学技術的な競争力を高めるとか産業競争力を高めるとかそういう国目線だけではなくて、やっぱり市民目線で考えたときに、結局、人社系の科学技術コミュニケーションも併せて重要な事柄が多いのではないかなと感じています。
特にゲノム医療とかAI医療、そういったところですと、法的なこと、倫理的なことなどをセットで国民に伝えていく。そして、コメンテーターという立場でいろいろ垂れ流す先生方がいらっしゃるのですけれども、そうではなくて、市民が自分たちで考えられる素材を与える。そういう意味での科学技術コミュニケーションが、いわゆる自然科学だけではなく人社系でも必要だと思っています。そういったところで自然科学とセットで人社系の科学技術コミュニケーションも推進していくというふうにしていくと、なかなか浸透していかない層でも自分事として捉えていってもらえることが増えるのではないかなと考えました。
以上です。すみません、つらつらとお話ししてしまいましたが。
【狩野主査】 いえいえ、よいお考え、ありがとうございました。フリーランスマネジメント人材はどうかということ。科学コミュニケーションにおいては、市民が自分で考えられるようにしていくべきではないか。という御趣旨だったと思います。ありがとうございます。
では続いて、唐沢委員、よろしいですか。
【唐沢委員】 唐沢です。よろしくお願いします。マネジメント人材については、今まで出てきたこととも重なるのですけれども、マネジメント人材が重要であるということで充実した御議論をいただいているなかで、どういう資質を持つ人がマネジメント人材としてプレゼンスを示し、活躍できるかが、論点の一つになると思います。例えば研究者としての経験または、アドミニストレーションの経験を持つなど、研究マネジメント以外のことにも経験を持つことが有用な可能性を考えると、マネジメント人材として活躍する場と他のところの行き来や、流動性についても確保できるような仕組みとか、一旦マネジメント人材として自分を位置づけたとしても、そこにとどまるのではなく、研究者としての活動や、大学のアドミニストレーションでも活動する機会があればよいのではないかと思ったのが1点目です。ですから、流動性という観点をどのように考えていくかという論点になるかなと思います。
また、人材の育成についても非常に充実した議論がなされていまして、これらが実効性を持って推進されることが博士人材の活躍につながるというのは納得するところがあるのですが、一方でこれをいかに実効性のあるものとするのか、それをどこが担うのかが重要になるかと思います。例えば大学の本部など、アドミニストレーションの中心におられる方々は、大学の施策という形にこれらを反映させていかれると思いますし、また、それが各研究の現場に下りてくると思います。そうすると、博士の指導に当たる、キャリア形成に対しても、ガイダンスをしていく、アドバイスをしていく立場の教員が、これらを受け止め、実際の指導の場に適切に反映させる必要があり、そこに課題があるのかもしれないと思います。
それを、個々の教員の意識の問題と位置付けることが良いかどうかは、判断が難しいところがあるのですけれども、ここにあるメッセージとしての博士人材育成の重要さを理解し、自分が何をなし得るかを考え、どのような選択肢があるのかを学生にどう伝えていくのかということもまた論点になりますし、また、そういうことに対して積極的に考えていくという態度といいますか、自分たちの研究やラボの運営、後継者養成にのみ目が行くという視座ではなくて、より広い観点や可能性を前提に、人材を育てるのだという意識の下で研究室を運営していく、そのために何が必要なのかということも各研究者が考えていくことにつなげていく必要があるわけです。このようなことは、教員それぞれが考えるべきことでもあると同時に、博士人材育成の重要性というメッセージを効果的に伝えていく必要や、その方策も検討するべきことかと思いました。
もう一点、メッセージをどのように伝えるかということに関して、細かい分野の特性に応じた議論は、この場で行うことではないと思うのですけれども、一方で、各分野で育つ博士人材の活躍の場の多様な展開ということについては、それぞれの特徴を踏まえて広がる可能性があると思います。したがって、各分野がこの議論にどう関与するのかも論点になるかと思います。
例えば心理学だと、学術会議の分科会で出口・入り口に関しての議論を行っていまして、博士人材の活躍をどのように実現するのかについての議論をしています。ただ、参加しているメンバーが学術会議の会員や連携会員の大学教員だけに閉じた議論になる、またこの会議のように多様なバックグラウンドを持った方がおられないので、論点も狭くなることが危惧されます。ただ、せっかく議論の場であるので、この会議での論点とうまくつながっていくのが望まれるという感想を持っています。他の分野で、このようなことについてよい取組をされていたり、政策的な議論をどう活用したら良いかということについて、事例やアドバイスなど共有いただけるとありがたいと思いました。
私からは以上です。
【狩野主査】 ありがとうございます。マネジメント人材の流動性も要るのではないか、あと、現場で実施するにはどういうメッセージにしたらいいかという辺りをいただきました。
本当はあと5名おられるのですが、予定どおりにいきますと、私の今いただいている時間が残り3分になっておりまして、もし先に発言されたい方がおられたらぜひ挙手をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ、湊先生。
【湊委員】 私もワーキングには入っていなかったのですけれども、博士後期課程の支援のところなのですけれども、この間情報系の8大学研究科長会議に少し出ていて少し小耳に挟んだ話なのですけれども、博士充足率の厳格管理のところが本当はどうなんだと。昔はそこまで管理されてなくて、最近、修士は結構厳格に管理されるようになってきています。
博士は今のところあんまり言われていないですけれども、今後もしそういうことがあったときに、充足率が低いところを増やすところはいいのですけれども、でも、やっぱり新設のところをつくるときに、充足率が心配なので少なめにしたりとかそういうことをやっていたりするのですけれども、例えばコースで4人とかそういうようなすごい小さい定員だとすると、1人2人増えると1.5倍とかになってしまって、それで何かペナルティーが来るのではないかとかそういうことも起こり得る。
あと、社会人の方が最近増えているのですけれども、社会人の方は仕事の関係で、標準年限でなかなか出られないときもあります。そうすると、結局その分が充足率に影響して、それで全体の充足率がもう100を超えてしまってまたペナルティーが来るのではないかというようなそういう心配も少ししているところがあるということで、博士に関しては普通、出口をしっかりコントロールしていますので、入ってくる人はやる気があって入ってくる人なので、そこまでペナルティーをしなくてもいいのではないかというところ、それが人材育成を萎縮させないでもっと後押しすることになるのではないかと思った次第です。
もちろん留学生ばかりで固めて、もう何か留学生だらけにして定員を見かけ上増やしているとかそういうのはあまりよくないと思うのですけれども、日本人学生、留学生、社会人のバランスが取れた運用のところについては、そこまで厳しく厳格に管理しないほうがいいのではないかなと思った次第です。
【狩野主査】 重要な御意見ありがとうございました。特に確かに定員が少ないときに、割合で言われると難しいというのは全く同感でございます。社会人の方もそうですね。
では、杉山先生、お待たせしました。
【杉山委員】 幾つか、まず、研究開発マネジメント人材の人材制度等に関するガイドラインの中では、人事制度としてどうかというのですけれども、2つちょっと気になっているのが、身分としてURAという身分の中で我々は首席とかいろいろつくっているのですけれども、教員をどうしても望む方もいらっしゃって、外部との対応でURAでは相手にされないので、教員としてどうしてもタイトルが欲しいとかそういうことがあるのですね。この辺、職種として研究開発マネジメント人材をどういうふうな職種をつくっていくかある程度ガイドラインのところで何か明確化できると。それをちゃんと社会に訴えていけないと、いつまでたっても認識されないのかなという気もするのが一つ。それと付随して、実務家教員というのが別に我々いるのですけれども、これもかなり近い人たちなので、ここの区別ですね。
あと、2点目は、キャリアパスというところで、単一の機関内でのキャリアパスが今主だとは思うのですけれども、ただ、大規模大学の中ではそれは可能ですけれども、小さい大学で数名しかURAとかが採れないところだと、なかなかこれ、キャリアをどう上げていくのかが難しいと。どこから入ってくるかというキャリアパスと書いてありますけれども、全体としての市場をつくっていかないと、URAの人たちが回っていかない。ただし、皆さん、よい人材は当然よそには出したくないので、人材交流の仕組みを何かうまくつくるということをぜひ検討いただきたいなというのがここのところです。
次世代のほうでは、SSHですけれども、いろいろ類型に分けたりして継続してますますいいものにしていこうという意欲はすごくいいと思うのですけれども、1点、現場の教員のほうは結構負担があると思うのですね。これは我々が見るとそこがどうしても抜けているような感じがして、これ、すごく現場で汗をかいて大変な思いしている教員の人たちに対するインセンティブみたいなものがあんまり渡せていないのかなという気はします。もしその観点が何か入れられたらいいなと。
それから、SPRING事業ですけれども、これは2点少し気になっている点は、一つは、この左側に国・地域の多様化に向けた取組のさらなる促進と書いてあるのが、なかなか今、一部の国が非常にドミネートしているという状況を、ここのやりようによっては国ごとに何か枠をはめるとかそういうことになるのも、またそれはちょっと違うのかなとも思うので、この取扱いは書き方にしても何にしてもすごく注意をしていただきたいということです。
それからあと、社会人の話がありました。社会人ドクターは我々もぜひ増やしたいと思っているのですけれども、ここで少し、内部で話をしたときに、社会人ドクターの方は授業料が個人の負担になる場合が多いと聞いています。ですので、研究費というのもあるのですけれども、授業料を負担してあげるということができると、ますます社会人としては来やすくなるのかなと思いました。この辺もぜひ検討していただけたらと思います。
以上です。
【狩野主査】 たくさん重要な点をありがとうございました。ほかの委員もきっといろいろすてきな御意見をお持ちだと思うのですが、今日は時間の設定が短くて申し訳ございません。ほかの御意見はぜひ後でまた書面に起こしてお送りいただければと思いますし、先ほど申し上げたとおりで、髙見さんがお話しくださったほうのガイドラインについては、6月18日までに欲しいということでございます。よろしくお願いいたします。
それでは、青木先生、お待たせいたしました。東北大の青木先生から次の議題としてお話をいただくこととしております。内容としては、今後の科学技術人材政策の基本的方向性に関わることということで、東北大学のお取組を御説明いただきたいと思います。
では、お願いしてよろしいでしょうか。資料2でございます。
【青木理事】 私のほうで共有してもいいですか。
【狩野主査】 もしうまくいけばお願いいたします。
【青木理事】 本件、奥課長からも少し伺っていまして、その範囲で我々の取組が何かきっかけになるというか参考になることがあればと思いましてお話を持ってきました。
自己紹介は、今、副学長で、私自身は14年目ぐらいになりますが、現在、国際卓越の関係の企画・実行の責任者になっております。そのほか、現在、大学ICT推進協議会という格好で、これは大学のDXとかICT活用の国公私立大学の協議会がございまして、これの会長を務めております。先代は深澤先生という早稲田の先生でございますが、今、国公私立で190ぐらいですかね、大学が加盟いただいて今、非常に伸びているところです。今回提言も奥課長からも見せていただいて、DXの関係があまり入っていないので、何かこういう部分も可能性があれば、例えば人的資本経営のためのDXの活用とか、あるいは逆方向で、研究データ、いわゆるデータ駆動型の研究のための人材とかURAとか、そういったところの観点も我々のほうでは少し気にはしているということだけ付言しておきます。
次のページ、時間もありませんので、少し時間を見ながらどんどん行きたいと思います。これは私自身が書き下した自分の課題意識という意味で、非常にビジーなので後で見ていただきたいのですけれども、何か意外といいことも書いてある気がするなということで書いておきました。
大学の場合、研究、教育、社会連携、国際はここはないのですけれども、そういったところの全方位なのですが、やはり役所のほうは意外と局が違っていたりしますので、そういう意味でいうと、ぜひファンディングの連携というのは大事なテーマだなと思っています。とりわけ近年、杉山先生の前で少し釈迦に説法なのですけれども、経営との連動というのは極めて大事なテーマだろうと思っています。個人に行くファンディングであってもやはり経営と連動して、あるいはガバナンスの利かせ方を変えていくというようなことができる時代になっていますので、ぜひともそういうことをもっと加速いただきたいというのが、今日のメッセージは1点かなと思っております。
それで、科学技術・人材政策の方向性ということでこれ書いてありますが、経営の観点からということでいいますと、卓越した研究というのは当然豊かな研究環境に宿ると、これはどなたでもそうだとおっしゃるのですけれども、日本は今貧しい状態になっているということも皆さん何となくそういうふうにおっしゃっていると。ただ、豊かな研究環境というのはやはり優れた経営に宿っていくということが非常に大きなポイントかなと感じています。大学にとって魅力ある研究環境を生み出すということはまさに経営課題となっていると。ですから、研究と経営を独立に議論することも不可能な状況になっているだろうということが非常に、やはり総長の御経験のある方ですと、そういう感覚があられるのではないかと思います。
それから、そもそも現代的な意味での学問の自由とか大学の自治、憲法23条というのはありますけれども、実際に考えて、実質的にはやはり自分のある意味自由度の高い自己投資ができるかというところが非常にポイントになってまいりますので、ここの部分は、昨今の会計基準の改定なども含めて非常に大きな関係があるので、この辺もぜひ見ていただければと思います。
今日はこういうテーマではないということで少し絞ってまいりますが、研究者を中心とするいわゆる、あえて私は人的資本経営と書いていますが、これはこれからの研究大学の生命線であって、人材を消費対象の資源というわけではなくて資本投資対象として捉えて、投資を行って価値を上げていく、中長期的な組織活動を高めるというのは極めて重要かなと常に思っております。
そのときに、下が、奥課長との議論の中でこんな構造になっているのかなということで描いた絵なのですが、国から当然、いわゆる機関経費、運営交付金が1番で入ってくる。こういう中で、こちらはどちらかというと細っていって効率化を求められる流れになっていますが、その中で研究ファンディングは比較的重点的に投資が入る分野もあるということで伸びてきていると。これが個人に行くのですけれども、やはり資金のガバナンスという意味でも、間接経費等も含めてやはり大学の経営を後押しするような格好が非常にありがたいと感じているということ。それから、3番目が社会からの支援という、これは先ほどいろいろな方がおっしゃっていましたが、やはりリボルビングドアといいますか、やはり双方向の交流が極めて大事な状況になっている。そういう関係をいかにつくっていくかということで、これもやはり経営に関係してくるということかと思います。
この2番目の研究ファンディングのところは、やはり間接経費が1個ありますし、PIの直接経費によるPI人件費の支出などもあるわけですが、実際に現場で統計を取ってみますと、意外とそれで若手を雇用して増やしているというケースはほとんど見られていないということもあって、そういうものをどういうふうに誘導していくかということも極めて大事な視点かなと思っておりました。
これは釈迦に説法なのでやめますけれども、初めの2つぐらいは、最近はいわゆる人件費が上がってきて人勧対応、極めてどの大学も超赤字体質になって、病院も非常に赤字になってきていて全く攻め手がない。その次に、研究大学としては円安の進行というのは極めてこれも重要で、海外から人が採れない。600万とかそんなオーダーで例えばポスドクなんか絶対採れないということになります。海外のポスドクでやはり教授の給与を超えているケースが多いので、そういう経験がもう日本では積めなくなってきているというのが非常に、とりわけ地方大学ではもうあり得ない状態になっているというのは極めて深刻かなと思っています。若手のところは最後にお話ししたいと思います。この2つの点ですね。
そのほか、現在、東北大学の国際卓越大学の計画というのは、構造がこんなふうになっています。どの大学でも同じですけれども、3つのコミットメント、Commitment for Impactというのが一番社会に近いところなのですが、学術的価値と社会的価値を生み出すためのコミットメントが、そういう環境整備等もございまして、これが1点目。
2点目が実は一番の中心課題で、ほとんど投資の8割がここに行きますが、Commitment for Talentという形で、人材に対する投資ということをうたっております。
3つ目は、研究者の皆さんにあんまり理解いただけない場合もあるのですが、やはりChangeという、コミットメントの中でやはり実は日本の仕組みの隘路がたくさんございます。規制がかかっていたり、自己規制だったり、習慣がそうなっていたり、極めてたくさんの規制的なものがあるので、こういったところは非常に改善していただきたいと随分文科省の皆様とコミュニケートしてやっておりました。特に昨年の会計基準の改定などは非常に大きなテーマとなって議論しておったというところでございます。今回はこの2番目ということでございます。これは真ん中の部分。
9ページです。1点だけ申し上げておきたかったのは、特に私が個人的にも非常に気になっていた部分で、若手研究者がやはり早期に独立する環境、自由な発想でリサーチフロントに挑んでいく、伝統分野以外のところに挑んでいく、そういう機会が日本の理工系では少ないのではないかというのは、東北大学だけかもしれませんけれども、聞いてみるとそうでもないので、ここら辺は非常に問題があると感じておりました。欧米では特に30代で一旦独立環境で挑戦をする機会を、フェローシップ等を取ってテニュアトラックで動いていくという機会がございます。こういったものがあまりにも日本では対照的に少ないということが非常に問題であると感じておったというのがこの部分でございます。当然、教授、准教授、助教という格好で、科研費のPIに助教の方はなってるのですが、実際の意味での本当に自分のチームを持って動いているわけではないというケースが多い。
少し私のほうで申し上げますと、東北大ですと、部局によっては、40代を超えた平均年齢になっていたり、これ、名古屋大学のことも伺ったって変ですけれども、大手の研究大学ではかなり承継枠の助教の方は、そうすると40代までPIじゃないという状況になっている。そういうことが非常に大きな問題ではないかと思っています。研究室がいろいろなものを自前で頑張ってやっているのですけれども、やはり独立環境で、せっかくプロフェッサーなので、やはり独立で動ける体制にして、外側に研究リソースを共通的に持っていくということが大事で、コアファシリティですと、スタッフのサポートというものを現代的に提供していくというのが極めて大事だと思っています。
そういう環境はいろいろな大学でトライしている場合もあるのですが、私たちも10年ぐらい実は悪戦苦闘しているということでございます。もちろんいろいろな取上げもあったりするのですが、助教の方50名を本当に独立環境で動いていただいて、本当にファシリティがないという場合はコアファシリティも提供して動いている方々がおられます。これはうちの学際科学フロンティア研究所、FRISといいますが、こういった問題。こういうものを10年ぐらい運用すると、実はシニアよりもはるかにパフォーマンスが高かったりする場合もありまして、そういう意味では大変に大きな違いを感じているということでございます。こういったところの経験があって、やはり全学的にこういうものを展開して、テニュアトラックで展開していきたいと感じております。
4月から実はスタートしたものがございまして、これは今、冨永総長がトップで、臨床系についても病院の赤字も含めて極めて働き方改革で重大な時期に差しかかっているのですけれども、病院、いわゆるMDPhDあるいはフィジシャン・サイエンティスト、シニアの場合もあるので、このフィジシャンであってサイエンティストであるという方を日本の医療現場が全く育てられていないという危機感がございます。ですから、若手臨床医に独立研究環境を提供して6年間ぐらいとにかく集中していただくということを苦しい中でもやっていくというのは、極めて国立大学の病院の仕組みなどでは重要ではないかということでこういうトライをし始めて、5名からスタートしているのですが、海外の方も含めて、海外ですが日本国籍の方なのですけれども、スタートをしております。今、非常に勢いを持って動いているということかと思います。
独立環境を支えるコアファシリティは当然重要になってきますよということを少しスライドで提供しておきました。
まとめますと、研究大学としての人への投資は極めて大事で、やはり実は仕組みとしては何が申し上げられるかなと思っていましたのですけれども、一番は、一番初めに国際卓越の前倒しでやることということで、実は4月からスタートなのですが、10月にはもう部門をつくろうということで動いています。これはHuman Capital Management室という、HCM室ということで、東北大学の中で今非常に有名な言葉になっているのですが、人事の統括と、それからサポート支援等を行うということです。
先生方の大学でもそういう場合も多いと思うのですが、冷静に考えて、教員・研究者の人事部門はございますでしょうかね。教員とか研究者の人事部門、これは意外とない場合が多くて、学科とか教室の中でもいろいろやりくりをしている場合が多い。そういう体制だとほとんど、世界とも当然戦えないですし、なかなか戦略を振ることができないということで、このHCM室を立ち上げて誘導をいろいろやっていると。
これがこんな構造になっていまして、プロポストが一応室長になっていますが、副理事級の方で全学の専門分野あるいは比較的広い専門分野をカバーできる11名がおります。これは研究者の経験方と、あと専従の職員7名で、あと兼務でいわゆる普通の人事部門の23名とかそういうこと、企画部門含めて入って41名体制で動いています。ですから、研究者の人事部門をつくってスタートした。
特にこれのミッションが、一番初めは国際卓越人事トラックというものを誘導していこうということで、全学との調整、戦略の相談といいますか、はっきりいいますとトップダウンのところはあるのですが、そういう部分も動かしていく。それから、処遇のいわゆるオファー、契約、それからアポイントの方式、それからテニュア基準の交渉、こちらのルールをお願いするということもあります。あと、評価基準の交渉も含めて行っているということです。こういったところが今動いているというところで、現在、33の部局とほぼいろいろなものを進めておるということです。研究者の人事部門をつくった。
そのほか、いろいろなテーマで動いておりまして、支援スタッフの拡充、URA、教育担当教員、それから、ポスドクのしっかりしたモニターをしている方々をリサーチフェローという格好で任命をしていく。それから、高度人材、コアファシリティの提供、あるいは海外派遣毎年30名とか、あるいはオープンアクセスの支援、人文・社会ですとモノグラフの出版支援とか。
それから、インセンティブ付与は東北大はかなり進んでおります。ここは比較的自慢できるのですけれども、産学連携で上乗せ加算というのが相当、230名ほどいまして、総長より給与が高い場合もあるという、そういう状況になっております。それからPIへの処遇については、国際卓越人事トラックを中心に今動いておりまして、アポイントメントのやり方も相当いろいろなものを用意しています。そういう意味では、ここら辺のバックオフィスも兼ねてHCM室が先行で動いているという状況でございます。
何が今できていないかというと、これは結構喫緊の課題になっているのですが、個人評価をもっと科学的に、デジタルを活用してある意味自動的にやれるような研究者データレイクの構築ということと、これを活用した評価フレームワークを準備中でございます。それから、URAの評価のところはかなりいろいろやっているのですが、やはり特任教員、ここのマネジメントの体制が未熟だということで、増えていくと非常にいろいろな問題が出てまいります。こういったところを今検討している。事務職員のところは、本学はかなり進んでいるのではないかと思っています。そういう意味では、こういったまだできていない部分の評価、その他処遇への反映というのを検討。
ちなみに、特任教員の中には、先ほど杉山先生の議論もございましたが、URAは特任教授とか准教授になっています。ただ、運営のメインの業務という格好で、少し違う、ほかの大学と違うような職責で認めていくことになっておりまして、現在141名ぐらいが、これは研究者ではないセクターとして動いているということになります。こういった方々の管理が増えていくと、やはりいろいろな問題も出てまいりますので、ここら辺が課題になっている。
最後に、お時間がもうないので、経営のことでいいますと、大学ファンドの右側はいろいろな仕組みがあっていいのですけれども、真ん中の総長裁量経費が、我々の場合100億です。今91になっているのは、昨今の人件費の高騰等充当を行わなければいけなかった分が9億円程度昨年度来あって、今年も同じぐらいの額が動いてくると思います。こういったところで少しと目減りをしているのですが、裁量できる財源がある。この裁量できる財源の左側から来るのは、基盤的な、使途が指定なしのものが半分、55%。これは55%のオーバーヘッドを取っているというのではなくて、全体の55%が左から来る。右側は、今議論されている競争的資金も含めたオーバーヘッドの部分で入ってくるのは91億のうちの45%ぐらいになっていると、そういうように読んでいただくと結構でございます。
本学の場合、予算委員会等は一切行わないルールになっていまして、総長の裁量で充当を行っていくということになっています。ここがやはりガバナンスの部分が結構大事だなといつも思っています。先ほど御覧いただいた独立環境の助教の研究所というのがございまして、皆さんの、これ、上位ポストも含めて今80名まで増やしていこうということになっていますが、こういったところのシードマネーもここから出ております。ですから、ある意味そういう戦略的な財源、研究環境をリッチにしていく戦略的な財源を確保できるという仕組みが重要で、やはり例えば3割の間接経費の半分を部局に、半分を本部に持ってきたときに、その本部に持ってきたものはかなり戦略的に充当できる体制をつくるという極めて大事かなと思って伺っておりました。
最後に、DXも、人的資本経営のためのDXで、逆にデータ駆動型研究への転換のための人材とか仕組みとかデータ基盤とかデータマネジメントプランとかサポートとか、そういったところも両面で大事かなと思って入れております。
以上でございます。どうもありがとうございました。
【狩野主査】 御説明ありがとうございました。それでは、今の御説明も踏まえつつ御意見をお願いできたらと思うのですが、波多野先生がお出になる時間がそろそろ近づいているということで、先に何かございますでしょうか。
【波多野委員】 ありがとうございます。科学大の波多野でございます。いつもお世話になっております。非常にインパクトある大学経営に、これだけしっかりしているから国際卓越が通ったのか、それは逆なのかという、非常に羨ましく感じました。
部局に拡散していた人事をHCM室に集中して戦略的に実行していらっしゃる。一つ最近のことでお伺いしたいのは、米国からの研究者を東北大学さんは300人から500人ぐらい対応できるというところの仕組みをつくられているということなのですけれども、これもこういう人事戦略をHCM室、そして総長の指示の下で戦略も実行もされているというふうに理解してよろしいでしょうか。
【青木理事】 おっしゃるとおりでございます。逆に言いますと、私たちもやはり部局任せになっていた部分があって、先ほど言ったいろいろなアポイントメントの契約とか交渉までやるわけですね。部局事務と先生が一緒になってやる。非常にあり得ないぐらい大変な事業になってまいりますので、そこを全部一手に引き受けるという形で動くと、意外とこれが非常に重要な仕事になってくるということが分かりました。
例えば先生よく御存じの、WPIなんかは一部できるところもあるのでしょうか。
【波多野委員】 そうですね。
【青木理事】 でも、あれはやはり数年なのでいろいろ工夫してできるということで、それが一定のボリュームになってくると、やはり体制を組まないと、契約の体制とか、例えばエージェントを使うとか、そういうところも含めてやっていかないと駄目だということの経験が、この半年ぐらいで審査員の皆さんに責められているうちにできるようになってきたということで、そこの経験がないと、かなりこういう今回のような機会でもなかなか……。
【波多野委員】 すぐ動けないですね。
【青木理事】 波多野先生お感じなのはそこの点かなと思って。お金を積んだからといって……。
【波多野委員】 ええ、できないです。
【青木理事】 そこが今の日本政府の皆さんにも、ぜひというのでいろいろお願いをしているところです。そういう体制が大事ですよということはお話をしているということです。
【波多野委員】 もう一つは、やはりそういう研究者、留学生・研究者を米国からというときに、長期的にということが望ましくて、それはやはり大学ファンドですと25年間という長期ですので、羨ましいなと感じています。長期的なサポートが必要と思います。
【青木理事】 政治家の皆さんもおっしゃっているのですけれども、例えば教授を1人採ったときに非常に最低ランクぐらいの人を3,000万ぐらいで採る。そのときに3,000万じゃ済まないので、最低でも2,000万ぐらいスタッフ分がないと、基盤経費がないと、その下の人たちが動かない。そうすると、5,000万ぐらいの投資になるのですが、それが20年いると10億円ぐらいになります、1人当たり。だから、1人誘致すると10億ぐらいの経営判断になるということがなかなかお分かりいただけない。
【波多野委員】 定量性も含めてあまり伝わっていないと思います。
【青木理事】 そうですね。ポスドクの方は比較的短いのですけれども……。
【波多野委員】 三、四年でと。
【青木理事】 ええ。そこがぜひ先生のほうからも。投資の感じがちょっとお分かりいただけていないかなと思います。
【波多野委員】 ありがとうございます。本委員会は人への投資が中心でございますので、骨太の方針にも、「研究者」に留まらず「科学技術者」と書き込まれたのが今までにない進展と思います。それは研究マネジメント人材も含めて、技術者も含めて科学技術の向上に必要な人材の大きな枠組みであると思います。今回の国際頭脳循環にも効果的に進捗する、モデルケースとしても伺ってよかったと思います。ありがとうございます。
【狩野主査】 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。予定時間は実はそろそろ過ぎてしまうのですが、いかがでございましょう。よろしいですか。委員の皆様には……、じゃ、江端先生、お願いします。
【江端委員】 聞こえますでしょうか。
【青木理事】 お世話になっています。
【江端委員】 青木先生、御無沙汰しております。大変素晴らしい取組の御紹介ありがとうございます。非常に進んだ人事制度改革や組織改革を進められているということで、改めてお話を伺うことができ大変参考になりました。
1点御質問させていただきたいのは、HCM室の話の中で、エビデンスに基づく人事の透明性を確保する人事制度改革についての御紹介が13ページにありました。
【青木理事】 これですよね。
【江端委員】 はい、そうです。人事制度に関するガイドラインは本委員会やワーキング・グループで議論されておりますが、例えばどのようなエビデンスを用いて評価につなげているのか、貴学で議論されている人事制度自体の規程は公開してシェアしていただけるようなものになるのか、その場合どういった形で我々は参考にできるのかなど、ぜひ教えていただければ幸いです。よろしくお願いします。
【青木理事】 国際卓越研究大学からスタートしていまして、そういう意味でいうと、かなりマーケットドリブン。マーケットドリブンというのは、ジャンルによってもいろいろなやり方も人件費も体制も違いますし、実はコントラクトでアウトカムもこういうことをやりましょうねというのをやっぱりお互いに契約をしていくわけで、そこもいろいろ出てきております。
そういう意味でいうと、何か一律にこうだということがなかなか言いにくいのですが、当然、今回の大学ファンドで文部科学省さんからは、やはり10%論文の話とかそこら辺が非常に大事だということを随分言われて、科学大学もそうだと思うのですけれども、そういうことが来ていますので、そういったものについては当然重視していますが、ただ、分野によって違います。モノグラフを出版したほうがいいという場合もものすごくたくさんあるので、ここはそういったものを各部局とかなり詰めて、逆に言うと、これじゃ駄目だとかああだとかということを、かなり先ほどの11人が議論してそれを決めていくというような格好になっております。
逆に言うと、日本人はそうでもないのですが、海外の方なんかと交渉すると、こういう成果を出すのだったらこれでは足りないとかという、いわゆるもっと増やしてほしいとかそういう交渉になってくるということがあって、その交渉のやり方とか、こういうところに軸足を置いて評価をしましたとか、そういうところは比較的透明にやるのですけれども、一件一件の場合で結構違ってくるというのは、分野によっても違ってくるというのは一つあることかなと思います。評価の体制とか仕組みとかは非常に透明に公平にやるということなのですが、人によってやはり契約の細かいところはかなり変わってくるということになろうかと思います。
【江端委員】 その辺の情報は、HCM室内ではシェアされているのでしょうか。
【青木理事】 ええ。実は学内で共通にホームページなんかも公開していて一部出しております。ただ、具体の個人とかが想像できそうなものはなかなかやれないのです。あと、部局の戦略とかがあって、ほかに出してくれるなという部局もありますので、そこは少し個別にまた議論させていただきたいと思います。こういうところで今日も結構踏み込んだものを出していますけれども、もう一段、文科省さんにはもうちょっと踏み込んでレポートも出しているのですけれども。
【江端委員】 分かりました。では、また、ぜひ勉強させてください。
【青木理事】 お願いします。
【江端委員】 ありがとうございます。
【狩野主査】 ありがとうございました。
私、1点だけこの機会に申し上げてみたいのは、総会のときにも少し申し上げたのですけれども、「組織としてどうするか」というお話はどちらかというとたくさんいただいている中で、大学にいるいろいろなペルソナというか類型の人たちがいますけれども、この人たちを主語としたときに、それぞれこの組織制度にあてはめたときにどういうふうにより創造性が発揮できるかということをぜひ考えてくださると、最終的なアウトプットがよりよくなるということにつながるのかなと思って拝見しておりました。ぜひ御検討いただければと思います。
【青木理事】 おっしゃるとおりで、こういう部分を前向きに出していくだけではなくて、実は例えば外から連れてくる部分もあるし、中から上がる場合もあるのですけれども、やはり逆にそういうものがディスカレッジする場合もあるんです、非常に。そこは非常に重要なかじ取りかと思います。おっしゃるとおりかと思います。
【狩野主査】 どうもすみませんでした。余計な一言でしたけれども、よろしくお願いします。大変なことだと思って。失礼いたしました。
それでは、取りあえず一度ご意見が尽きたようですので、青木先生、今日はお話いただきまして、大変ありがとうございました。踏み込んだ内容を出していただきまして、参考になりまして、ありがとうございました。
【青木理事】 またどうぞよろしくお願いします。失礼します。
【狩野主査】 それでは、続いての議題に参りたいと思います。議題3、議題4が連続ということですが、研究者の育成・活躍促進に関わる現状・課題・今後の具体的な取組(案)というのが一つ出来ているのと、あと、議題4番としては、今後の科学技術人材政策の方向性、この中間まとめの概要ということを説明いただきまして、今日は特にせっかく御出席いただいたのにまだ発言されていない皆様がたくさんおられますので、後に発言の時間を取りたいと思います。
ではまず、髙橋さんから資料3に基づいて御説明いただき、その後、奥課長から議題4についてのお話です。では、髙橋さん、お願いします。
【髙橋人材政策課長補佐】 資料3-1を御覧ください。研究者の育成・活躍促進に関わる現状・課題・今後の具体的な取組(案)になります。前回の人材委員会においてもお示ししたところから、先生方からいただいた御意見や、あるいは全体の文章を読みやすくする観点から表現などをちょっと修正しております。時間も限られるので簡潔に行きたいと思います。
2枚目のところで課題・指摘事項を書いているところが後半にあります。例えばですけれども、1つ目の丸で大学における予算が非常に厳しい状況にあるといった御指摘。また、下から2つ目の丸のところで、先ほど青木理事からも御発言がありましたけれども、直接経費による研究代表者(PI)の人件費支出について対象事業の拡大は進んでいるものの、いまだ一部の取組とどまっていることや、また、PI以外の研究分担者への直接経費の支出などを認めていない事業もあるといった御指摘。また、次の丸のところで、競争的研究費制度について、直接経費に加えて間接経費の割合を高めることや、間接経費の使途の自由度を高め、研究支援に関わる人材確保や若手研究者の支援などに活用するような取組が必要といった御指摘などを書いております。
3ページ目の上から2つ目の丸で、こちらも先ほど青木理事からもありましたけれども、研究者の事務負担の軽減に向けて、競争的研究費制度におけるファンディングエージェンシーへの申請書などのフォーマット統一や、申請手続の簡素化・DX化、こういった点についても取組が必要ということを書いております。
また、5ページ目まで飛んでいきまして、これも下半分のところで課題・指摘事項です。先ほど波多野委員からもありましたけれども、特に昨今米国ではトランプ政権の方針により政府による科学技術分野の投資が大幅に削減され、大学などの研究者は他国に流出する可能性が指摘されている。こういった動向も適切に捉えて、国・大学などにおいて海外の優秀な研究者などを獲得するための幅広い取組を推進・支援していくことが急務かつ重要となっているといったこと。
また、産学官連携、続いて5ページ目の下から6ページ目にかけてになりますけれども、欧米諸国と比較したときに、相対的に大学・企業等との間での共同研究などの産学官連携が低調であることや、大学・企業などの間の人材交流・流動も相対的に低い傾向があるということ。6ページ目に行きまして、2つ目の丸、国においてクロスアポイントメント制度などの整備・推進を図っているものの、特に大学・企業などの間での人材交流における活用はいまだ途上にあるといったこと。そのさらに2つ下の丸で、産学連携を促進する上で、大学などに対する企業などからの共同研究を拡大していくことが重要であるといったことなどを書いております。
こういった課題・指摘事項なども踏まえまして、7ページ目以降で、3、今後の具体的取組・方向性を書いております。まず、1つ目、多様な研究費の充実・確保になります。基本的考え方としまして、大学などにおける基盤的経費の充実・確保に加えて、競争的研究費をはじめとする研究費を一層充実するとともに、研究費の使途に関して、研究者の人件費などに対する支出を拡大するための取組を推進。この一環として、競争的研究費制度について使途の拡大や柔軟化、また、直接経費及び間接経費のうち、人件費に対する支出を促進し、割合を高めるための取組を検討し、制度的な改善・見直しを推進するというのを基本的考え方に書いています。
その下で必要と考えられる取組案を以下書いています。まず、研究費の質的・量的な充実・確保として、1つ目の丸、大学などに対する基盤的経費や多様な競争的研究費制度などにより、基礎的・基盤的な研究費の質的・量的な充実・確保に向けた取組を進める。また、国は、国家的・経済的・社会的に重要な科学技術分野・産業分野を特定し、これらの分野における産学による研究開発や人材育成を一体的に推進する競争的研究費制度などの新たな枠組みを充実・強化する。また、次の丸のところで、国は、研究者に対する研究費の確保及び大学などにおける研究環境整備の双方を一体的に支援するための競争的研究費制度の充実・拡大を推進する。
8ページ目に行きまして、丸2、競争的研究費制度の改革。先ほどもありましたけれども、特に人的資本投資の拡大と。例えば2つ目の丸で、国は、競争的研究費制度について研究者及び機関・組織の支援の観点から、使途拡大や効率的運用を図るとともに、研究者などの人材育成・確保の重要性に鑑み、競争的研究費の直接経費及び間接経費のうち人件費に対する支出を促進し、割合を高めるなどの制度的な改善・充実に向けた取組を検討する。1つ下の丸で、国は、特定の競争的研究費制度について、関係府省連絡会申合せに基づき、直接経費から研究代表者に加え、研究分担者などに関する人件費を支出できるよう、改善・見直しなどの取組を進める。
8ページ目の下半分から、(2)として研究者などの安定したポストの確保の内容になります。まず、基本的考え方としまして、大学などの研究者が安心して研究活動に専念することができるよう、基盤的経費や競争的研究費などの外部資金も活用して、大学などにおける研究者の安定したポスト確保・拡大を図るための取組を推進する。
必要と考えられる取組案としまして、丸1、基盤的経費などによる安定したポストの確保の例えば2つ目ですけれども、大学などは、基盤的経費などにより、研究者などの安定した雇用・ポストを確保するための取組を進めることが期待されること。その際、若手研究者のポスト確保や処遇改善など、人事給与マネジメント改革やガバナンス改革などに関する取組に努める。
続いて丸2、競争的研究費や外部資金などの活用による新たなポストの確保として、9ページ目に移っていただきまして、例えば上から3つ目、国及び資金配分機関などは、競争的研究費制度の性格・位置づけなどに応じて、間接経費の割合を30%以上に高めるための取組を検討・推進する。
9ページ目の下半分から、(3)研究者の活躍の場・機会の拡大。基本的考え方としまして、研究者自身の能力伸長に向けた自己研さん機会の拡大に向けた取組や、国内外あるいはアカデミア・産業界などの幅広いネットワーク構築を通じた研究活動などを積極的に展開するための取組を推進する。
必要と考えられる取組案としまして、丸1、国際的に活躍する研究者などの育成・確保の1つ目の丸のところで、国は、大学などにおける優れた研究者の海外派遣や、大学などにおける海外からの優れた研究者の招聘・獲得に向けた戦略的な取組を推進・強化する。その際、欧米諸国はもとより、多様な国・地域の大学などとの戦略的な科学技術ネットワーク構築や、国・地域に応じたより戦略的な取組を重視する。
一番下の丸2の産学官連携による研究者の育成・活躍促進について、10ページ目に行っていただきまして1つ目の丸で、国は、大学・企業などの間の人的交流を促進するため、産学連携の拡大に向けた大学などにおける組織的な取組や環境整備に関する支援を推進・強化する。また、国は、企業・大学などの共同研究やクロスアポイントメント制度などを活用した人材交流を一層促進するための取組を推進する。次の丸のところで、産学共同研究に関して、大学における知の価値を踏まえた適切な間接経費の在り方や直接経費における人的費用も含めた共同研究費における適切な費用負担の在り方について検討し、必要に応じてガイドラインなどの改善・見直しを行う。
最後、(4)になりますけれども、組織・機関における研究環境整備として、まず基本的考え方としては、優れた研究者の育成・確保や活躍促進を実現するため、大学などにおける組織的な取組の充実・強化や、こうした組織における研究支援の体制や、研究環境の整備などの幅広い取組を推進する。
必要と考えられる取組案としまして、丸1、大学などにおける組織的な研究者の育成・確保。3つ目の丸のところで、特に若手研究者の研究活動の円滑化に向けて、研究・教育活動の観点から適切な指導・助言などを受けることができるようなメンター制度の整備を進めることが期待される。
丸2、組織における研究支援体制・研究環境の整備としまして、1つ目の丸、国は、大学などにおいて、研究者が研究活動を円滑に行うことができるよう、研究開発マネジメント人材や技術職員の育成・確保をはじめ、組織的な研究支援体制・研究環境整備などを支援するための取組を推進する。次の丸として、大学などにおける多様性・ダイバーシティの確保に向けて、女性研究者や海外からの優秀な研究者などが活躍しやすいような研究支援体制・環境整備などの支援に関する取組を進めるといったことを記載しております。
簡潔になりますが、以上になります。
【狩野主査】 ありがとうございました。以上は、研究者についての育成・活躍促進に関わるまとめでございました。
では続いて、奥課長から、この人材委員会全体として中間まとめにどんな内容を出そうということになってきているかということについての御説明をいただきたいと思います。お願いします。
【奥人材政策課長】 ありがとうございます。先生方におかれては、この短期間の間に本委員会、それとワーキング・グループに熱心に御参画・御議論いただいて、本当にありがとうございます。前後は逆になりますけれども、中間まとめの本体、報告書をまとめるに当たって、まずポイントを列挙した概要という資料を今回お示しさせていただきました。これについて簡単に、本当にエッセンスだけ申し上げさせていただきたいと思いますので、ぜひ御議論いただければと思います。報告書については、次回7月の委員会のときにお示しをさせていただきたいと思います。
2ページ目、3ページ目、4ページ目、ちょっと飛ばして恐縮ですけれども、この辺りは科学技術・イノベーション、それと科学技術人材を取り巻く国内外の情勢変化について資料、データ等も含めてお示しをさせていただいています。
5ページ目、6ページ目、7ページ目が今回の中間報告の本当のポイントになります。5ページ目の基本的な考え方のところで、やはり科学技術とか人材自体が国の基盤だということで、特に科学技術人材に関して、他の政策等も含めて一体的に進めていく必要があるというのが基本的な考え方です。
3つの基本方針を左側に示させていただいています。何度もお話が出ているように、1つ目として、科学技術人材に対して人的投資を抜本的に増やしていくというのが1つ目。2つ目は、科学技術人材といってもいろいろな方々がいらっしゃいます。研究者、技術者、それとマネジメント人材、こうした人材がアカデミア産業界含めて多様な場で活躍できるような環境をつくっていくというのが2つ目。3つ目は、人材を育成するに当たって、人は一人で育つわけではありませんので、組織とか機関の役割が非常に大事だという、この3つを基本的な方針として掲げさせていただいています。
その上で、今後の政策を考えるに当たっての3つの柱を右側に示させていただいています。1つ目が多様な人材の育成・確保(活躍推進)ということで、研究者、技術者、それと技術職員、研究開発マネジメント人材といった、いわゆる職種別の人材育成が1つ目。2つ目が、初等中等教育段階から大学・大学院、さらに社会教育も含めた形で、学校教育段階別の人材育成。それと丸3が、科学技術人材に関わる制度・システムに関する取組ということで、この3つに整理をして具体的な取組をまとめさせていただいています。これそれぞれが多様化のワーキング・グループ、それとあと、次世代のワーキング・グループに対応した形になっていまして、それぞれの議論の内容をまとめたものが次のページになります。
6ページ目、1つ目は多様な人材の育成・確保です。ここは1つ目で研究者、2ポツ目で技術者、それと3ポツ目で高度専門人材という形で整理をしています。1つ目の研究者のところは、先ほど髙橋のほうから説明があったとおりですが、研究費、それと安定したポストの確保、それと活躍の場の拡大、そして組織・機関の役割の重視ということで、この4つの形で具体的な施策を整理しています。後ほどまた少し触れさせていただきます。
2つ目が技術者の育成・確保ということで、こちらも先ほど話がありましたが、工学教育の充実、それとあと技術者の育成・確保。この中に技術職員も入っていますが、活躍促進の場の拡大、それとあと技術士制度の活用促進を挙げています。
また、3ポツ目で高度専門人材の育成確保ということで、高度専門人材は多種多様な人材がいますけれども、この委員会の中では特に研究開発マネジメント人材の育成・活躍促進というところに焦点を当てて御議論いただきましたので、そこをまとめさせていただいています。ガイドラインの整備とか、新規事業によるこうした人材の登用・処遇に係る支援事業の整備、それと、こうした取組が他の大学にも広がっていくように、各種体制整備を競争的資金等で要件化するなどの取組を書かせていただいています。
また、7ページ目が教育段階別での人材育成になります。こちらは大学・大学院、それと初等中等教育段階、3つ目で科学コミュニケーションという、3つの項目で整理をしています。
1つ目の大学・大学院は、特に博士後期課程学生に対する支援ということで、経済的支援に加えて、社会の多様な場で活躍できるようなキャリアパス支援に関する取組を書かせていただいています。また、2ポツ目の初等中等教育段階に関しては、いわゆるトップを伸ばすというのと裾野を拡大するということで、STELLAとかSSHといった事業を通じたトップ層の育成、それとあと、理工系に関する興味・関心を持つような児童生徒の幅を広げるという意味で裾野拡大的な取組をそれぞれ書かせていただいています。また、科学コミュニケーションに関しては、いわゆるSTEAM教育との連携とか、科学コミュニケーターといった人材育成に関する取組を書かせていただいています。
また、3つ目の柱、制度・システム改革に関しては、多様な人材が活躍できる場の形成ということで、ダイバーシティ、女性研究者とか外国人研究者、あるいは産業界における人材交流・人材流動の促進という形で、多様な人材が活躍できるような制度面での取組を書かせていただいています。また、2ポツ目、関連する制度・規範の整備ということで、研究者等が遵守する規範、研究公正はそうですけれども、研究セキュリティ・研究インテグリティといった取組に加えて、ELSIへの対応といった形もこの中に含めさせていただいています。
次の8ページ目以降が検討経緯を書かせていただいているものです。9ページ目、10ページ目は飛ばさせていただいて、今回、先ほど波多野先生から少しお話がありましたが、政策文書の中で今回の取組も書かせていただいています。今、いわゆる骨太方針の原案が示されていますが、ここの中の真ん中の左側、科学技術人材の育成を強化するといった記載とか、次、12ページ目、この新資本実行計画というのがもう一つの方針としてありますが、この右下のところで、科学技術人材の育成、こうした取組をパッケージとして促進・推進するということも政策文書の中で書かせていただいています。こちらは御参考までに。
次、13ページ目以降が、それぞれの柱の中身についてもう少し具体的に書かせていただいているものです。ここもちょっと駆け足で申し上げます。
14ページ目からが研究者の育成確保のところで、基本的考え方、それと実績評価に加えて、15ページ目からが具体的な取組・方向性を書かせていただいています。先ほどから説明があったように、まずは研究費の質的・量的な充実・確保に加えて、今回新しく、重要な科学技術分野・産業分野に対して、研究開発と人材育成を一体的に進めるような新しい枠組みをつくってはどうかという辺りを書かせていただいています。また、競争的資金制度の改革に関しては、特に直接経費、間接経費双方について人件費に対する支出割合を高めるといった取組を進めてはどうかという辺りを書かせていただいています。
また、安定したポストに関しては、基盤的経費を充実させるというのはもとより、次の16ページ目にありますが、競争的資金とか外部資金を使って新しいポストを積極的につくっていくということを考えてはどうかという辺りを書かせていただいています。
また、活躍の場の機会の拡大のところでは、研究者の海外派遣、それとあと、海外からの優秀な研究者の招聘の取組、それとあと、産業界との間でクロスアポイントメント制度などを活用しながら双方向の人材流動を促進するための取組、特に大学等の知の価値をきちんと評価するといった取組を書かせていただいています。
また、組織・機関の環境整備のところでは、先ほど青木先生からも御紹介がありましたが、研発マネジメント人材、技術職員といった体制整備に加えて、先端的な機器共用の話とか、あとは大学における多様性確保に関する取組も書かせていただいています。
17ページ目、前回の委員会で取組事例を御紹介いただいた科学大、金沢大、それと名古屋大の事例も御紹介をさせていただいています。
18ページ目が、先ほど新資本の実行計画のところで一部書かせていただいているもので、日本の産業競争力強化の観点から、真ん中にありますが、いわゆる産学官で分野を設定し、産業界と大学とがマッチングファンドによって、研究者、技術者、それとあと新しい人材育成プログラム、こうしたものをつくるような資金制度をつくってはどうかといった提案をさせていただいています。
また、19ページ目で、競争的資金制度の改革の検討ももう少し細かめに書かせていただいています。左側、競争的資金の直接経費の中からPI人件費に加えて、さらに研究分担者をはじめ多様な人材に対して支出を促進するとか、右側、間接経費について、使途の把握をした上で間接経費等を使ったポストの確保を進めてはどうか。特に産学連携に関する間接経費については、もう既に知の価値を評価して30%以上に高めている大学もありますので、こうした取組を広げていってはどうかということを書かせていただいています。
これを具体的に制度に落とし込むと、20ページ目の戦略創造事業とか創発の事業、こうしたところにどう落とし込むかという辺りも書かせていただいているところです。
続いて、2つ目、技術者が21ページ目からになります。同じく基本的考え方、これまでの取組に加えて、22ページ目で今後の具体的な取組方策を書かせていただいています。工学系教育の中では、先ほど話があったように、JABEE認定、この拡大とか、(2)で優れた産学で活躍するような技術者の育成・確保ということで、産学での共同研究、クロアポとか、あるいは先端的な機器開発の整備・共用・高度化等を通じて、産業界、アカデミア双方で活躍できるような技術者を育成してはどうかという話。大学の技術職員については、特にガイドラインを今後整備するということを想定していますので、これに基づいて技術職員の配置とか評価、キャリアパスの構築等を進めていってはどうかという辺りを書かせていただいています。
23、24、25、26、27までが関連する資料をつけさせていただいています。これは後ほど御参照いただければと思います。
また、28ページ目からは高度専門人材の育成・確保ということで、29ページ目で今後の具体的な取組・方向性を書かせていただいています。こちらは冒頭に説明があったとおり今回新しくガイドラインを整備させていただきました。こちらについて、こちらに基づいた人事制度の構築を促進するという観点から、今年度より新しく研究開発マネジメント人材に関する体制整備事業を文科省のほうで始めました。こうしたものとか、JSTにおける基礎力の育成研修、あるいはURAの認定制度、こうしたものも活用しながら、こうした人材が教員・事務職に次ぐ第3の職種として地位を確立する、さらにキャリアパスも整備するといった取組を広げてまいりたいと思っております。
続いて、32ページ目からが2つ目の柱、各教育段階別での人材育成になります。33ページ目からが大学・大学院における教育研究活動の充実・強化ということで、こちら、次の34ページ目が、まず博士に関して集中的に御議論いただきました。
(1)で博士人材の育成・確保ということで、特別研究員(DC)、それとSPRING、これを双方活用しながら、ドクターの活躍促進に向けた支援を強化していくということを考えさせていただきたいと思います。まず、経済支援のほう、丸2のほうですけれども、DCに関しては研究奨励金の単価の引上げを考えるということ。SPRINGについては、特に優秀な日本人学生の進学を後押しするという観点から整理をしてはどうか。また、博士人材の社会の多様な場での活躍促進に向けて、DCの起業支援とか、SPRINGで留学生あるいは社会人も含めて学生が安心して研究活動に従事できるように研究費の支援とかキャリアパスの支援を充実・強化する。さらに、優秀な学生に対して支援を階層化・重点化するといったこと、さらに、国・地域の多様化に努めるといった取組を考えてはどうかという辺りを書かせていただいております。
35、36は、先ほども説明がありましたが、関係する資料をつけさせていただいています。
37ページ目からが初等中等教育段階での人材育成です。38ページ目で今後の具体的な取組・方向性を書かせていただいています。まず、先進的な理数系教育、いわゆるトップ層を伸ばすという意味での人材育成の機能強化ということで、大学を対象として才能教育等を重点的に行っているSTELLAの事業とか、スーパーサイエンスハイスクール事業について、発展的に充実・強化するということを書かせていただいています。
このうち、特にスーパーサイエンスハイスクールについては、次の39ページ目、冒頭に説明がありましたが、制度的な改革をすることを想定しています。現行で最長26年間の支援を、全体として最後の先導期まで行く期間を縮めることで全体を20年に短縮する。ただし、卒業した後の認定枠に対してさらに追加的な支援を行うような枠組みをつくるとか、真ん中の5年から15年の間、発展のⅠ期・Ⅱ期については、次の41ページ目になりますが、3つの類型に応じて金額的な支援に差をつけてはどうか、類型を3つに分けた形で支援の重点化を図ってはどうかと。
丸1は全学的な理数系教育を行うような学校、丸2のところは、特に研究者、技術者といった高度の専門人材を育成するような学校、丸3はさらにこうした人材がグローバルに活躍できるような環境をつくってあげるような高校といった形で類型化をした上で、それぞれ金額も含めた支援の枠組みに差をつけるということを考えてはどうかという辺りを提案させていただいています。
42ページ目がSTELLAで、さらに43ページ目が女子中高生の理数の事業等を参考までにつけさせていただいています。
また、44ページ目、45ページ目科学技術コミュニケーションに関する取組です。45ページ目では、科学コミュニケーションの展開ということで、従来のアウトリーチ活動に加えて、対話とか共創の活動を充実させるとか、目的とか対象に応じた形で科学コミュニケーションを充実・強化するとか、あるいはSTEAM教育との連携、さらに、先ほどお話がありましたが、こうしたアウトリーチ活動みたいなものを積極的に大学で評価するといった活動を展開してはどうかという辺りも書かせていただいています。
また、科学コミュニケーションに関する人材育成に関しては、次の46ページ目で幾つか、各大学のほうでも学科等を設けて重点的に育成活動をしているところもあります。同志社大学も書かせていただいていますけれども、こうした取組を横展開するといったことも考えてはどうかという辺りを入れさせていただいています。
最後、47ページ目からが制度・システム改革に関する取組になります。48ページ目では、今後の取組のところで、ダイバーシティの確保で女性とか、海外からの研究者の招聘、さらに産業界との間の人材流動を促進するための枠組みの整備を書かせていただいています。
また、50ページ目では、制度・規範の整備ということで、研究インテグリティ・研究セキュリティ、研究公正といった研究者等が遵守すべき規範の整備に加えて、ELSIへの対応ということで、基本的にELSIは全ての研究者が身につけるべき共通的な素養だろうということで、こうした取組を全国全ての研究者に適用できるような仕組みを整備してはどうかという辺りを書かせていただいています。
これまでの議論、これまでお配りしている各種の資料に基づいてエッセンスをまとめさせていただいたのがこの資料になります。これに基づいてまた報告書等は次回に向けて整えさせていただきたいと思いますが、まずはこの段階で御意見等をいただければありがたいと思います。
以上です。すみません、長くなりまして。
【狩野主査】 いえいえ、ありがとうございました。これだけ体系的・網羅的なものを作っていただきまして、奥課長ほか事務方各位の御努力に感謝を申し上げたいと思います。
他方、委員としては、名前も載せていただいていて若干、共同名義的ですので、その気持ちでおっしゃりたいことをぜひおっしゃっていただきたいということでございます。
せっかくお出ましなので、どなたからでも一言ずつぜひいただければと思いますが、いかがでしょうか。では、梶原先生。
【梶原委員】 おまとめいただいて、大変ありがとうございます。私が強調したいところを、あるいは応援したいところを少し申し上げたいと思います。
まず、15ページ、19ページで、研究者にできるだけ質と量の手厚い費用支援が行くようにというところで、今までやっている事業の見直しをして、間接経費を使えるようにするだとか、そこはもう本当に早急にできるものからどんどんやっていただきたいと、本当に強く思うところです。
もう1点は、25ページと26ページを見ていて思ったのですけれども、先ほど東北大学の青木先生がおっしゃっていた、あまりそこの部分が入っていないですよねと言われたところはずっと思っていて、何かというと、いわゆるDXといいましょうか、経営をマネジメントする上でのシステムの整備の話。それがあって初めて人材をどうするということもトータル的に見えてくるので、そういうシステムがない状態で動いていくと結構、穴といいましょうか、個別最適になってしまうので、ずっと思っていました。東北大学の国際卓越の審査過程では、東北大学のそこの取組が非常に秀逸でした。青木先生も先ほど何かのコミュニティーでしたか、委員長をされているという、やはりそういうところが非常に重要と思います。
そこの表現が、例えば、一言入っているのですけれども、25ページでしたか、現状認識・課題の一番下、抜本的な改革のためには、大学の財務・人事・経営改革にも資する取組をすることが必要だと。ここの要素が非常に重要なのですけれども、全体最適になるように機関としての大学が何をできるかというところの話があまり見えてきていないのが少し残念だなと。
同じように、一番下のところで、AI for Scienceの潮流というような表現がありますけれども、今ここを見ていくと、生成AI時代における人材育成みたいな視点というのが入っていないのですね。何を言いたかったかというと、25ページを見ながら26ページを見ると、ここは技術士の話なのですけれども、この技術士制度のところに、例えばここは技術士分科会において検討を加速とあるので、その中の一つの要素で検討していただけないかと思うのが、生成AIを利活用するという視点での技術士というのは、今、何事もAI掛ける××という世界にあるので、技術士の人が従来型の範疇での技術士、専門性ではなくて、それを生かすためにAIを活用する、AI掛けるというところができるような専門性を持っていくということがとても重要じゃないかなと。
そうすると、今までと違った価値の広がりがあって、もっと全体的に技術士ということの意味合いが広がるのではないかと思ったりもします。今検討されている範疇がAI時代における技術士はどうすべきというところの議論ができているのであればいいのですけれども、もしそうでなければ、そういった要素を入れて広がっていくともっと認識が高まるでしょうし、研究者自身がAIを使うということはもちろんなのですけれども、その人たちと一緒に何かをやっていこうとするときには、当然まだまだこれから知見が必要だったりとか使い方ということで専門性を高めるという意味でもとても重要ではないかなと思います。AIという視点と、DXというかシステムのところは思っていました。
それで、すみません、ここのページで技術士の今後の方向性で、「官公庁における入札・補助金の要件化等を進める等を進める等」って文字がかぶっているのですけれども、ここの要件化については、私はどちらかというと加点方式を言いたいです。先ほど、湊先生が、何かリクワイアメントに沿っていないと減点というかペナルティーになると。ペナルティーは、多いのを絞るときにはペナルティーでいいのですけれども、もっと増やすときには加点ではないと動いていかないと思うので、ぜひ、奨励する云々というように、ほかのところもいろいろ出てきていますけれども、加点の要素として検討していただけるといいかと、小さいところで申し訳ないのですけれども、思いました。
あとは、43ページのところの女子中高生の拠点を増やす事業、これはもう、効果が出ているということは見えているので、広げましょうと。とてもたくさん広げていくということが重要かと思うので、そこを後押ししたいと思います。
最後に、長くなって申し訳ないのですけれども、ガイドラインをつくっていただいたという研究マネジメント人材。これは誰向けのガイドラインですかといったときに、組織に向けてこういう事例がありますという話になっているのですけれども、先ほどペルソナの話が出ていましたけれども、それによってこういう人がこういうふうに変わっただとか、ロールモデル的な情報が入ってくると、組織側の話と個人側の、先ほど青木先生も、場合によってはディスカレッジになってしまうケースもあるとおっしゃいましたが、人事制度をいじるというのはそういうことが起きてしまうのですけれども、やることによって、こういう良いことになってこうなったみたいなロールモデルも出てくるといいと思いました。まだ入っていないですよね。多分こういう取組をしていますという大学の取組で、その結果がどうなったというところの話が出てくるようになるといいと思ってガイドラインは見ました。
以上です。すみません、長くなりまして。
【狩野主査】 いいえ。多岐にわたる大事なお話をありがとうございました。ニューコンビネーション・バイ・AIというのが、多様化している人たちの把握を、マネジメント側はもう頭がいっぱいなので、できるときに使えるといいなと思いながら伺いました。ありがとうございます。
続いていかがしましょう。川越先生、御発言されますか。
【川越委員】 ありがとうございます。このような形におまとめいただいて、ありがとうございました。また、御説明もありがとうございます。
まず、私からは、全体に対してというところで、初等中等教育であったり、博士人材の育成について、間口を広げる、広く支援するというところとトップ層を伸ばすという、二面性といいますか、2つの観点があるかなと思います。それに対して、技術者の育成でも幾つかの観点があったり、研究開発マネジメント人材についても、今回ガイドラインや図解してありますが、いろいろな立場や状況があるかと思います。SSHもメリハリをつけたり、博士人材もメリハリをつけた支援になっているかと思いますが、全体的に目的を明確化したり、メリハリがつくような形の支援になっていき、それが分かりやすい形で出ていくと、それを受ける側も受け取りやすかったりするのかなと感じました。
2点目は、19ページの間接経費とか直接経費のところで使途の自由度を高めるというところは、ぜひそのような形で進めていただけるとありがたいなと思っているところです。そういう中で、いろいろな方への支援とか使い勝手というところもありますが、ぜひ関わる人へのインセンティブデザインについてもどこか触れていただけるといいかなと思いました。今回この資料をインセンティブで検索すると9か所出てきますが、その9か所はどれも本人のモチベーションというかたちになっているかなと思うので、本人を取り巻く人たちにとっても何かインセンティブになるようなものが考慮できる形で費用なり支援なりに使えるといいなと感じます。
最後は、45ページの科学コミュニケーションのところでSTEAM教育との連携というところがあるかと思うのですけれども、STEAM教育はいろいろな側面ありますが、産学連携で進めると非常に効果的なものになると感じています。そういった産学連携でSTEAM教育や科学コミュニケーションを実践する際の枠組みであったり、それで使えるような資金の枠組み、また、支援というようなものがあると、産学連携で次世代育成を進めていくという一つの足がかりになるのではないかなと感じました。
私からは以上です。
【狩野主査】 これもたくさんいろいろありがとうございました。メリハリについて思うところがあるのはとてもよいのだけれども、採択率とか予算の限りで採れなかったときに、その人たちをどうするかというところは、本当は、考えたいですね。現場としては。すみません、ほかもたくさんいろいろありがとうございました。
それでは、次、迫田先生が手を挙げてくださいましたので、お願いします。
【迫田委員】 ありがとうございます。大変すばらしいまとめだなと思って聞いておりました。このように科学技術を発達させるための施策を総合プログラムとしてつくっていくというのは非常に大事なことだと思いました。
一方で、その中にかなり大きな問題から小さい問題までいろいろあるように思うのですけれども、これをどういう順番でどう進めていくかというのが実は大変重要なことだなと思っております。今日の発表の中でも、研究と経営は不可分だという話がありましたけれども、経営の要諦は、要するに、順番をつけて、やることとやらないことを分けるということだと思っています。何をどういう順番でやるのか、何をやらないのかということを決めることがまさに経営だと思いますが、これだけ施策があると、どういう順番で何をやるかによって成果が変わってくると思います。
そういう意味で、前から申し上げているのですけれども、ゴールをどこに置いて、いつまでに何をというところをはっきりさせていかないと、施策としての妥当性、手段が妥当なのかどうか判断できないと思います。これはこの後議論されていくのかもしれませんけれども、施策の中には内容としてかなり大きなものから小さなものまであって、どこに重点を置いて何に取り組むのか決めておかないと効果が出ないのではないかなという点が少し心配になってります。
以上です。
【狩野主査】 ありがとうございました。この壮大な話を奥課長と進めるときに当初話があったのは、これは人材委員会から提言を出すと。それで、着手できるところから各課、人材政策課だけじゃなくて、あちこちでつけられるところからやっていきますと、そういう気持ちでつくっているということでお伺いしております。従って、多分、現実味のあるところから行くのかなということは思っているところです。後で多分お返事があると思います。
では続いて、宮崎先生、お願いいたします。
【宮崎委員】 宮崎です。あまり気の利いたことは言えないのですけれども、皆さんがあまり触れていないところで申し上げると、技術者の養成というところですけれども、我々の産総研においても技術者というのはどんどん今つくっていく形ではあるものの、やはりどうしても、多分大学でそういう制度をつくっていったときに一つ大きな問題点は、やはり劣後にいる人というポジションの低さというのが人事制度として非常にモチベーションを下げていくことになると思うので、そこの設計をしっかり最初からしておく必要があるかなと思っています。
我々の研究所でもよく議論になるのですけれども、例えば論文を書くときのオーサーラインに載れる人なのか載れない人なのかとか、そういったところがしっかり制度とともにそういうポジションの意味づけをきっちりつくってあげるということが技術者は重要なのですけれども、そこが一つの盲点になり得るので、やはりそういうポジションを求める人がどれだけ出てくるかというところと、やっぱり活力ある研究活動のためにはそこが重要かなというのが1点です。皆さんあまりポジションがない場合のことですけれども。
それからもう一つは、URAのところで感じたことですけれども、我々の研究所においてもUARのそういう活動をしている部署を外出しに今、AIST Solutionsという株式会社でつくりましたけれども、研究者がそこにうまくスライドしていくケースはやはりすごく少ないのです。それは、これまでの教育活動という、人材育成がなっていないというところもあるのですけれども、やはり我々のところで今一番活躍してこられるのは、企業から入ってこられる方です。やはりそういうビジネスマインドみたいなものがきちっと入っている方と研究者とがぶつかり合うことで育ってくるというところもありますので、こういった部署においては、中からの登用もそうなのですけれども、きちんと企業側からのリクルーティングをどんどん重ねていって、そこの多様性というかスキルのとかナレッジの多様性の中で生まれてくる部署で、そういうことができないときちんとしたURAの活動はできないと我々のところでも感じているところです。かなり民間からもどんどんそういう方を採れる状況にもありますので、ぜひ大学でも試していただきたいと思います。
先ほどフリーランスというお話が出ていたのですけれども、私はやはりURAのところは、各大学でガイドラインに沿って育成していくのは物すごく難しいと思っているので、それこそ成功しているところにOJTでどんどん入っていくとかですね。そういう意味では、我々のAIST Solutionsに来ていただいて、例えば一緒に大学の技術を民間と産総研の技術とかいろいろ混ぜながらつくっていくというのをOJTでやはり学んでいくようなシステムはどんどんつくるべきかなと思いました。
それからもう一つは、今、文科省さんがつくっている制度なので、どうしても公的資金で回そう回そうという、どういう施策を打って税金を入れるかという議論もある一方で、先ほどの社会人大学院ですけれども、社会人大学院に関してはもっと民間が、自分たちのポジションのところの人が行くのであれば、やはり支出していくべきだと思っています。産総研の場合は、博士を取るのに全額我々の公費を入れますので、やっぱりきちんと民間が、自分たちの産業のところで生かす、科学技術って何のためにつくるのかといったときに、必要なポジションの人がきちんとお金を支出できていくようなカルチャーを、今どんどん民間でもそういう事業費を出すという企業も増えてきていますので、やはりそういうところを活用しながら引き出す。
それから、財源。やはり人をこうやってそろえていくときには、先ほどから皆さん議論しているように、お金が必要なんですね。じゃ、そのお金をどうやって引っ張ってくるかというところに、競争的資金もそうなのですけれども、どうやったら民間からのお金をマネタイズできるかって、民間の方が何人かいるので少し言いにくいですけれども、やはりそういうところと一緒に民間のお金を入れながらつくっていく部分もあっていいと。研究費はそういうところから入れていくとか、そこから人件費を捻出できるとか、そういうような仕組みをもっと、間接経費以外で直接経費でも載せていけるような制度をどんどん取り入れていくことによって、エコなシステムになっていくといいなと思いました。
私のほうからは以上です。
【狩野主査】 これもたくさん重要な御意見をありがとうございました。目立たない「支える人」たちの視線が、リスペクトが要るなということとか、立ち位置に対する柔軟性、資金への多様化と、いただきました。
きっと皆様大変いい内容をたくさんお持ちだと思います。決められた時間はあと8分で終わりなのですが、皆様よろしければもう少し延ばさせていただいて、できるだけお伺いできればなと伺いながら思っているところでございます。
今のところ挙手いただいているのが、次は杉山先生、武田先生で、そして玉田先生の順番なっておりますが、ぜひ全員一言ずつ何かいただければ。 江端先生が今加わられましたね。
では、杉山先生、次お願いいたします。
【杉山委員】 では、できるだけ短く。SPRING事業についてなんですけれども、やはりお金のことがどうしても中心に書かれているのだけれども、キャリアパスとかということも書かれているのですけれども、キャリアパス支援とかいう言葉よりは、キャリア支援というか、こういう事業で博士人材に新しい価値をつける、新しい人材をここで生み出していくのだという、従来型ではないというところをやはりある程度強調して、そこをどうやって今後発展させていくのか、キャリア支援と言ったほうがいいと思います。
そこと、あと、ここに入っていないと思うのですけれども、横展開ですね。SPRINGを取っている人たち同士の間の横展開があると、もっとネットワークが出来て、日本の中で博士人材の間の緊密なネットワークがつくられていくとすごくよくなるのではないかとSPRINGについては思いました。
もう1点だけ。この間少し話していて、産業界とのクロアポの件はすごく我々はやりたいのですけれども、知財の問題がやはり少し今引っかかっていて、知財がどうしても産業界のほうに行ってしまうと、なかなか大学としては厳しいのかなというので、その辺りも何か課題としてもしあれば入れておいていただきたいなと思います。
【狩野主査】 ありがとうございました。すてきな点をいただきました。
続いて、武田先生、お願いできますでしょうか。
【武田委員】 武田でございます。中間まとめは、本当に包括的に様々な課題に対しての解決策についてまとめられていて、私自身も頭の中が整理できました。
やはり一番重要だと思うのは、先ほどからも議論がありますが、資金の問題について、直接費も間接費もそうですけれども、研究者の待遇が、民間企業や海外と比較してあまりよくないという課題があります。また、研究費の規模についても、海外と比較すると、資金を1.5倍、2倍、3倍にするというレベルですと根本的な解決にならないかもしれないと、少し限界を感じます。それを公的資金から何とかしようと思ってもやはり限界があります。
それで、では、どこから資金を持ってくるかというのは真剣に大学の経営課題として考えないといけないのですが、やはり一つの策として企業からの資金を引き出すことかと思います。米国の大学の運営から学ぶことも多いのですが、企業が米国の大学と共同研究を検討するときには、まず最初にリサーチアドミニストレーターが打ち合わせに参加されて、研究資金に関するいろいろな話をしてくださるのです。大学の研究費や運営費は、企業からの資金と、個人の方の寄付の占める割合が高いということです。
大学のリサーチアドミニストレーターによる企業へのアプローチ方法は、まずは企業側が何を大学に期待し求めるのかというヒアリングから始まり、それに応えられる連携について提案するというようなものになっています。お互いにメリットのある関係を築くという観点で対話を進めるような面があります。私も国内の大学とピンポイントの研究テーマで、双方で役割分担して研究を一緒にさせてくださいというような形での産学連携をすることが多いのですが、包括的な連携というのも重要かと思います。成功事例もあると思いますが、大学の経営層と、企業側の経営層やマネジメント側の者同士がよく話し合って、包括的な連携を検討することによって、大学が比較的規模の大きい研究費を長期的に得る機会が増えて、研究が発展し、教員や研究員の待遇も上がり安定的な雇用に繋がることになると思います。企業にとっても、認識していなかった技術シーズを明示いただき大学から提案いただくということが可能になるかと思います。包括的な大型の産学連携がもっと活性化できるといいと思います。
また、米国では個人からの寄附が大きいのは、超富裕層の存在があるということでもありますが、日本でも余裕資金ある方はそれなりにいらっしゃると思います。米国では初等教育の時期から、収入の何%かは寄附することが当たり前と教えられて子供たちは育っていて、アルバイトでも本業でも得た収入の一部を寄附に回すというのが当たり前の環境で育っているところがあります。日本ではそのような社会環境がないと思うので、その辺りの社会教育を変えていくというようなことでも、研究資金の調達ができるかと思います。
さらに、人事制度で評価をきちんとすることも、人材教育の観点で重要だと思います。人事評価制度により評価ポイントが明確に体系化されることによって、評価者側も被評価者側も共通の理解が進み結果的に教育になると思うのです。評価制度を大学でしっかり取り入れられた例というのは本当にいいことであると思いました。ありがとうございます。
【狩野主査】 ありがとうございました。資金循環に関して、大企業の御所属で、大変心強いお話でした。
今6時を過ぎてしまいましたが、まだまだおられますので、手短にお願いできますでしょうか。玉田先生、まずお願いします。
【玉田委員】 概要に関してはこの間勉強会のときにもう意見をお伝えさせていただいたので、今日は青木先生のお話を中心に聞きながら思ったことだけ追加したいと思います。
「マネジメント人材」のイメージなのですが、まさに国際卓越人事でやろうとしている、いわゆる卓越人材、学術でいく卓越と、スタートアップなどのビジネスの卓越と、あとはマネジメントの卓越と、そういった人材を最初は海外から連れてきて、その後それに相当する人材を国内で若い世代から育てて供給できるようにするというイメージで捉えていることに気がつきました。だから、URAとか技術士とはまた違う、教授や研究者をサポートするのではなく、むしろ不足気味のリーダーシップ人材を投入することが重要ではないかというのを言いたかったのですが、それがちょうど事例で出てきたので。まさにそれがイメージしているマネジメント人材だと。
そのためには、すみません、順番が逆になってしまったのですが、実は先ほどから迫田先生、宮崎先生ともう1人の方も含めて、国際卓越のときに「経営と教学の分離」が言われる理由がはっきりしたなと思って。もしこれが分かれていたら、文部科学省や我々は思う存分教学に集中した話ができるのですけれども、それに経営が混ざってくると、どうやってお金を出すんだということで、理想と現実の話がどうしても混ざってしまう。大学はこれまで交付金で運営されてきた背景がありますので、今は過渡期なのだと思うのですけれども、議論をまとめて答申を上げるときに、現状の経営と教学が分離できていない状態が将来の理想像だと誤解されない形でまとめていただくのが大事だと思います。それについては産業界の方々も同意していただいているということだと思いますので、その辺り意識していただければなと。
最後にもう一つだけ。AIなのですが、学術会議でいろいろ議論しているのですけれども、文科省ではAIと教育について明確な方針が決まっていながら入れていないのか、まだ議論中だから入れていないのかというところについては、質問として聞かせていただきたいなと思いました。
以上です。
【狩野主査】 イエス、ノーだけぐらい。
【奥人材政策課長】 まだ議論中です。
【玉田委員】 ですよねと思いました。
【狩野主査】 ありがとうございます。では続いて、江端先生、お願いします。
【江端委員】 ありがとうございます。
6ページ以降の、人的資本投資の拡大という言葉が私にとっては非常に印象的で、ぜひ研究支援人材も含めて拡大していただきたいと思っていますが、資料では、競争的資金改革の話にその点が整理されているので、見方によっては研究者に限った話に見えてしまう部分もあるかと思います。本委員会で議論されていることをまとめて考えると、研究者を取り巻く環境に対する人的資本投資というような捉え方もあると思っていて、研究支援人材に対するお金の使い方についても、今回の競争的資金改革の話で言及いただけると、非常に良いと思います。
技術職員のクロスアポイントメント制度の話もありましたが、こういった予算を、技術職員の方々が活躍できる場のさらなる拡大のために使うことが望ましいですし、研究開発マネジメント人材も、同じようにクロスアポイントメント制度を活用し、こういった資金を上手に投資していくような流れを作っていただければと思いますので、その点についてぜひ御検討いただければと思います。
以上です。ありがとうございます。
【狩野主査】 簡潔にありがとうございました。稲垣先生、お願いします。
【稲垣委員】 ありがとうございます。私は初等中等教育の部分なのですけれども、たしか去年かもしれないですけれども、文系と理系で早く分けるのが問題だみたいなそういう話もあったかと思います。科学技術・イノベーション計画でも人文科学系をちゃんと取り入れた形で扱いましょうと入っていたと思うので、何かそういう背景があって、こういう事業をどう変えていくかみたいな見せ方のほうがいいのかなと思いました。
今は、これまでやってきた取組をどうしますかという話で、理系に優れた子をいかに伸ばすかというふうになっているのですけれども、そこに興味が、理系は苦手だけど興味がある子もどうやって伸ばすかとか、理系に優れた子に対して社会とのつながりをどうやってより意識させるかみたいな、そういう背景の下こういうことをやっていきますというのが見えるほうが国のメッセージとしては、いいのかなと思いました。
以上です。
【狩野主査】 ありがとうございます。初中局とか高等局とかと御一緒にやる必要があるかもしれませんが、何か入れられたら提言としていいかもしれませんね。ありがとうございます。
湊先生、どうぞ。
【湊委員】 すみません、この35ページの特別研究員のDCとSPRINGとBOOSTのところ、ここは何とかなりませんかというところなのです。今、DC、学振の特別研究はJSPSで、SPRINGとBOOSTは基本JSTだと思うのですけれども、別枠になってしまっていて、それで、SPRINGとかBOOSTに通ったので、もうDC出しませんみたいな、そういう学生もたまに出てくる。しかも、私はDCのほうの審査員もやっていますし、SPRINGとかBOOSTの審査員もやっていますけれども、そもそも特別研究員の審査も結構大変なのですけれども、それプラスアルファでまた同じようなことを同じようなことでやるというのも審査員側も大分疲弊しているというところがあります。すぐにはできないかもしれませんけれども、何とか一本化して、特別研究員の中でさらにプラスアルファで、この分野についてはそれに加えてさらに例えば最大500万まで行けるとか、そういうようなシステムに将来的にしていただけないかというのを非常に強く思っております。
【狩野主査】 ありがとうございます。優秀の方向性が一本化したほうがよければそうなるし、優秀の軸が複数になる場合は審査員数を変えないといけないかもしれませんね。ありがとうございます。
まだ属性的にお話しいただいたほうがいいと思っているのが、桝先生ですけれども。
【桝委員】 では、ごく手短に。とにかくシャープに的確にまとめてくださってありがとうございます。私はP44、45について、これが実際の提言のベースになる文面ということを考慮して1点だけ。P45の冒頭1行目に関して、科学技術コミュニケーションの推進のところで、市民と行政というふうに結構強調してくださっているのですけれども、コミュニケーション対象を市民とここで明記しているのですが、あえてここは変えてしまっていいのではないかなと思っております。
これまでの議論から、科学コミュニケーションを必要とするのは市民だけではないことが分かっていると思いますので、その前のページで科学技術関係者と社会との対話という言葉を使っていますので、それを引っ張ってきて、例えば科学技術関係者と市民・産業界・自治体などとの対話促進みたいな感じしたほうが、よりこの科学技術コミュニケーションというのが科学者と市民だけという従来の考え方からアップデートしたのが伝わるかなと思っています。
その後のアゴラとか未来館に関しては、例えば市民との対話ではアゴラや未来館を活用したというふうに書けば、そうやって対象によって変えていくのだなというところも伝わるので、それは今後この文面を最終決定するときに考慮いただければなと思いました。
以上です。
【狩野主査】 具体的な御提案、ありがとうございました。
では、水口先生、お願いします。
【水口委員】 研究開発マネジメント人材に期待される業務と役割に関連して、研究開発マネジメントの業務に関しては、もっと能動的に大学の知財に関わっていくアプローチをしていかないと、なかなか産業への応用につなげていくことは難しいのではないかと思っております。恐らく現状は、大学の教員が何らかの発見をして、何かこれを知財にできないかと知財関連部門に相談に行く流れかと思いますが、それだと事業化までの一連のプロセスや戦略をイメージしていないまま知財になってしまうため、事業化視点で有効な知財にならないことが多くあるのかなと思います。
やはり活用が難しい知財がどんどんたまってしまってももったいないので、研究開発マネジメント人材がより能動的に、理想的には例えばこういったアプローチで研究を行えばこういった知財につながって、産業界ではこういうふうに応用が期待できます、なので、こういうアプローチで研究を進めるのはどうでしょうか?と産業応用まで見据えたディスカッションまで持っていくことができると、有効な知財が生まれ、それが産業界への活用や、スタートアップの創出にもつながり、そして大学収入にもつながっていき、結果的に大学の経営改善にもつながってくると思います。そのため、大学の教員とサイエンスに関して対等にディスカッションができる素養持ち、かつ事業目線の考え方を持ちながら能動的に大学内を動ける研究開発マネジメント人材・博士人材の育成系や雇用、活用等の仕組みの構築ができるといいなと思っております。また、こういった仕組みを通じて、大学の教員と研究開発マネジメント人材間に相互リスペクトが生まれる関係性が作れるとより良いと思います。
【狩野主査】 ありがとうございます。マネジメントの人たちの主体性ですね。ありがとうございました。
天野先生と唐沢先生、もうあとお二人だけなので、いかがでしょう。一言ずつ、もう一巡。なければないでいいのですけれども。いいですか。大丈夫ですね。
【天野委員】 大丈夫です。ありがとうございます。
【狩野主査】 唐沢先生もよろしいですか。
【唐沢委員】 大丈夫です。
【狩野主査】 ありがとうございました。多分これで一巡したと思います。私の回しが悪くて大分時間が延びてしまいましたけれども、それでは、皆様の御意見を大体拝聴できたということで、あと、先ほど普通の人という話になりました文部科学省の幹部の皆様の御発言をいただいて、終わりにしたいと思います。今日は、先に先﨑さんからお願いします。
【先﨑科学技術・学術総括官】 本当にありがとうございました。青木先生がお出しになった多様な財源を活用した戦略的予算の確保、この資料から目が離せなくて、ページがめくれないという状態でございます。これはもちろん国際卓越をお取りになったからということもあるのですけれども、総長裁量財源91億円ということがぱっと書けるって、同規模かそれ以上の大学で仕事をしたことがございますけれども、こんな額を書けるのかと。それは、国際卓越だからですよと言ってしまえばそれまでで、これは見方を変えるとやっぱり大学としての、要するに、リソースのセントライゼーションを図るべき大学の組織として、どれだけ執行部が責任を負うか。当然その責任は、不平等であったり非効率な分配をすれば、その責任を問われることになる。それをガラス張りにしてやっていこうということの表れなのだなと思って見ていました。そのインパクトが国際卓越ということなのだろうなと思いました。
国際卓越は数校と言われていまして、J-PEAKSは25校をもう採っております。それ以外の大学は取りあえずその対象にはならないわけですから、その中で何を学ぶべきかといったら、やっぱりどれだけ、研究を中心としての大学は自律分散型の組織なわけですけれども、しかし、資金について自律分散というのはどこまでするのか、資金については、できるだけ流動性を持たせた資金をどれだけ本部が持って、それをどううまく分配するのかということを強く求められていて、それは公費だけではやっぱり無理だろうと。オーバーヘッドだけでも無理でしょうと。では、自分たちの持っている大学のリソースの中でそれをどうやって獲得していくのかというようなことを執行部として求められている。
でも、その資金をどうやって使うのかといったときに、ここに出てきている、今回の案として出てきているものですけれども、このいわゆるレシピといいますかリストといいますか、これに沿って自分の大学としてどうやっていくのかというような、多分そういうような流れの中でJ-PEAKSと国際卓越以外の大学も考えていく必要があるのだなと思って、まじまじとこの法人戦略予算245億というその予算を見ておりました。ぜひとも各大学においてもそんなふうな捉え方をしていただけるといいなと思っておりました。ありがとうございました。
【狩野主査】 激励をいただきました、大学関係者。ありがとうございます。
続いて、審議官、福井さん、お願いいたします。
【福井大臣官房審議官】 本日も御議論ありがとうございます。中間まとめに対しまして、様々なコメントをいただきました。この中間取りまとめを取りまとめた後は、これを使って今後の予算要求とか、議員先生はじめ要路への説明とかいうところで具体的に施策につなげていくという活動に使わせていただくというところではあるのですが、本日伺っていまして、あまり思っていなかったですけれども、特に民間からも何か資金提供があればみたいなお話もあって、そういう意味ではこれを使って民間の方にも説明していくというのは大変重要だなと思いました。経産省とは従来、さっき話がありましたけれども、産業人材育成のところで話をしているところではあるのですけれども、経済産業省にも話をし、経済産業省と共に経済団体にもお話をしていってというところが重要なのかなと思います。
あと、寄附のお話もありましたけれども、なかなか寄附をしていただくのも難しくて、経済団体の方に聞くと、大学が魅力的なことをやっていただければ幾らでもしますよみたいなことをおっしゃられるのですけれども、そこもそういう場を深めていかなければいけないと思います。手前みそですけれども、そういう意味で7月3日に文科省の寄附を促進するシンポジウム等を行います。ホームページを見ていただければと思いますが、そういった取組を我が省はしていますので、すみません、前職の話でしたけれども、そういう取組もしていますので、ぜひそういったところも取り組んでいきたいなと思います。ありがとうございました。
【狩野主査】 ありがとうございます。柔軟な資金循環について後押しをいただきました。
では、しんがり発言、お疲れさまでございます。井上局長、お願いいたします。
【井上科学技術・学術政策局長】 ありがとうございます。順番が変わると何かハードルが上がったような感じがしてますけれども、ハードルが上がれば上がるほどくぐりやすくなるのでいいかもしれないですけれども、どうもすみません、どうでもいい話をしてすみません、この時間が長引いているときに。
でも、今日も改めて思いましたけれども、様々な観点で御議論いただきましたけれども、やはりすぐれてこれ、マネジメントに直結してくるわけですね。それはやはり執行部、経営陣がどういうお金の使い方をするのかですね。それで、私は大学によっていろいろなマネジメントの形態があると思うのですね。中央にずっと寄せてしまうやり方もあるし、分散型もあると思うのですけれども、そういう中で最適の形を見つけていくのが必要だと思いますけれども、その中でやっぱり、今のマネジメントをぐっと変えていくためには先立つものが必要で、お金ですよね。それは欧米の大学と比べてもやはり収入源の多様化というのも圧倒的に違うわけですね。だから、やはりそこを多様な収入源を得ていくようなことも含めて変えていく。だから、そこも本当にまたノウハウもそうだし、経験も必要だし、そこにも先立つものが要るわけですね。
私たちは特に研究大学を念頭に置いているわけですけれども、そういう意味では今日青木先生の話もありましたけれども、国際卓越大学とJ-PEAKS合わせて30弱ぐらいですけれども、日本には800大学があるわけですけれども、まずはやはり研究を念頭に置いて、我々はその30大学、そこが本当に自分の大学としてあるべきマネジメントを成し遂げられるように変えていっていただく、そのためのサポートをやはり我々は本当に戦略的に集中的にやっていかなければいけないなということを改めて思いました。
以上でございます。
【狩野主査】 大変ありがとうございました。ボトムアップが最大化されるマネジメント、それを支え実行するトップダウン、というのがぜひできていったらいいなということを思いながらお伺いいたしました。
私の責任で20分も延長してしまいまして誠に申し訳ございませんでしたけれども、大変実りのある内容をいただきまして、改めて御礼を申し上げます。
では最後は、髙橋さんから締めの言葉でございますね。
【髙橋人材政策課長補佐】 次回の人材委員会は7月9日を予定しておりまして、次回では、今回扱った今後の科学技術人材政策の中間まとめ概要を及びその本文案を取り扱うことを予定しております。
また、本日の議事録につきましては、委員の皆様にお目通しいただいた後、主査に御確認の上、文部科学省のホームページを通じて公表させていただきます。
以上です。
【狩野主査】 今日は本当に長い時間ありがとうございました。傍聴の皆様も長い時間お付き合いいただきまして、ありがとうございました。
では、これにて閉会させていただきます。ありがとうございました。
―― 了 ――
科学技術・学術政策局人材政策課