人材委員会(第107回)議事録

1.日時

令和7年4月24日(木曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 東館 15F 科学技術・学術政策局1会議室 及び Web 会議(ZOOM)

3.議題

  1. 議事運営等について
  2. 今後の科学技術・人材政策の基本的方向性について
  3. 研究者育成に関する現状・課題・今後の方向性(案)
  4. その他

4.出席者

委員

 狩野委員、和田委員、稲垣委員、江端委員、梶原委員、唐沢委員、川越委員、迫田委員、杉山委員、武田委員、玉田委員、波多野委員、水口委員、湊委員、宮崎委員

文部科学省

 井上科学技術・学術政策局長、福井大臣官房審議官、先﨑科学技術・学術総括官兼政策課長、奥人材政策課長、高見人材政策推進室長

5.議事録

科学技術・学術審議会 人材委員会(第107回)

令和7年4月24日

 
 

【髙橋人材政策課長補佐】  本日の会議についてお知らせがございます。
 本委員会は3月27日に行われました技術学術審議会総会を経て設置が決定されました。主査につきましては、科学技術学術審議会運営規則第6条第3項に基づいて、科学技術学術審議会の会長がこれを指名することとなっておりますが、その指名により、狩野委員に御就任いただいております。本日の議事進行につきましては、狩野主査にお願いいたします。よろしくお願いします。
【狩野主査】  ありがとうございます。ワーキング・グループも関わっておられる皆様におかれては、ほとんど毎週で大変ありがとうございます。濃密な議論で、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 では、ただいまから第107回の科学技術革新委員会人材委員会を開催いたします。
 本日は2件議題がございます。実は出席が15名いただいておりまして、これでも2名御欠席なのでございますけれども、少なくとも定足数は満たしているのですが、計算いたしますとお一人3分掛ける2回話すと2時間が終わりますので、ぜひ内容については整理をした上で御発言いただければと存じます。
 それでは、議事に入ります前に、まず、本日の委員会の開催に当たりまして、事務局から注意事項、そして資料の確認をお願いいたします。
【髙橋人材政策課長補佐】  本日の会議は対面とオンラインのハイブリッドでの開催です。
 御発言いただく際には、対面で御出席の委員は挙手や名立てなどの合図を、オンラインで御出席の委員は挙手機能により、挙手ボタンを押していただくようお願いいたします。そして、主査より指名を受けましたら、お名前をおっしゃっていただいた上で御発言ください。機材の不具合などがございましたら、事務局のほうにいつでも御連絡いただければと思います。
 それでは、資料の確認ですけれども、事前に送付先資料として、議事次第、資料1、資料2-1から3-2、そして参考資料及び机上配付資料となります。資料につきましてはZoom上で共有も行います。議事進行の過程で不備などが何かございましたら事務局までお知らせお願いいたします。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。
 では、早速議題の1に入ります。まず、人材委員会の主査代理について、でございます。科学技術学術審議会運営規則の第6条第7項というところに、主査に事故があるときは、事故がないように気をつけますが、事故があるときは、当該委員会に属する委員等のうちから主査があらかじめ指名する者がその職務を代理するということになっております。この主査代理に金沢大学長の和田先生にお願いをしております。どうぞよろしくお願いいたします。
【和田主査代理】  和田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【狩野主査】  ありがとうございます。医学同士でございまして、お世話になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
【和田主査代理】  よろしくお願いします。
【狩野主査】  では、私と和田主査代理から簡単に御挨拶をということでございまして、改めまして狩野です。よろしくお願いします。結局、人口が減っていく中でそれぞれの人により高い力を持っていっていただかないと、我が国は心配であるということは皆様、極めて承知のところだと思います。けれども、じゃあ、どんな人材の方にどんな力を持ってもらえるのかという理想に基づいて何ができるかというところが、この委員会のコアということになります。何ができるかはもちろん政策としてということなのですけれども、ここについて、今までの取組では何かもし足りないことがあるのか、あるいは、こういうところをもっと強く打ち出せば良いのか、あるいは、何か対象の方の定義を変えればいいのかというような論点があると思います。ぜひこうしたことをいただきながら、国が行う施策というのは極めて大きな影響を持ちますので、皆様と一緒に考えていけたら、と思っております。よろしくお願いします。
 では、和田先生、お願いできますでしょうか。
【和田主査代理】  ありがとうございます。今お話ございましたように、一人一人の個々の力を上げることはとても大きい点だろうと思っています。また、3月に出ました知の総和答申にいろいろな方向性もございます。ぜひ我々の施策としての面と、それから受け手側の視点と両方に立って、未来の豊かな像をお互いに描きながら進めればいいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【狩野主査】  誠にありがとうございました。それでは、ほかの委員の皆様に関しては申し訳ございませんが、お時間の関係ございますので、お名前の紹介だけをさせていただきます。少しだけ挨拶をいただければ、「こんにちは」程度でお願いします。
 では、最初に、こちらにお越しの方々から五十音順で御紹介いたします。江端先生です。
【江端委員】  サイエンス東京の江端です。よろしくお願いいたします。
【狩野主査】  梶原先生です。
【梶原委員】  梶原です。よろしくお願いいたします。
【狩野主査】  川越先生です。
【川越委員】  東京大学の川越です。よろしくお願いいたします。
【狩野主査】  玉田先生です。
【玉田委員】  九州大学、玉田です。よろしくお願いします。
【狩野主査】  水口先生。
【水口委員】  メタジェンの水口です。よろしくお願いいたします。
【狩野主査】  ありがとうございます。では、続いてはオンラインで御参加の先生方をご紹介申し上げます。まず、和田先生です。改めまして、お願いいたします。
【和田主査代理】  よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【狩野主査】  恐縮です。続いては、五十音順になっておりまして、稲垣先生です。
【稲垣委員】  よろしくお願いいたします。
【狩野主査】  唐沢先生です。
【狩野主査】  ありがとうございます。迫田先生、お願いします。
【迫田委員】  迫田です。よろしくお願いします。
【狩野主査】  ありがとうございます。杉山先生、お願いいたします。
【杉山委員】  杉山です。よろしく。
【狩野主査】  お世話になります。武田先生です。
【武田委員】  武田でございます。よろしくお願いいたします。
【狩野主査】  お世話になります。波多野先生です。
【波多野委員】  サイエンス東京、波多野です。よろしくお願いいたします。
【狩野主査】  ありがとうございます。湊先生です。
【湊委員】  湊です。よろしくお願いします。
【狩野主査】  ありがとうございます。宮崎先生です。
【宮崎委員】  産総研の宮崎です。よろしくお願いいたします。
【狩野主査】  皆様、改めまして、誠にお世話になります。どうぞよろしくお願いします。本日は天野先生と、それから桝先生が御欠席でございます。医学系だと、思わず敬称に先生をつけたがるのですが、委員でお呼びしたほうがよければ、またお知らせください。
 では、続いて、事務局の代表として井上局長に御挨拶をお願いしたいということでございます。どうぞお願いいたします。
【井上科学技術・学術局長】  文部科学省の井上です。先生方におかれては、お忙しい中、御参加ありがとうございます。科学技術というのが、本当に国力にますます直結している中にあって、日本の科学技術力、研究力が落ちてきていると言われて久しいのですけれども、止まりません。これをぜひ反転攻勢したいと思っていまして、それを支える人材、ここのところが本当にキーだと思っております。
 我々としては、この日本をよりよい方向に変えていくための具体策を、本当に先生方の御意見をお伺いしながら、練っていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【狩野主査】  誠にありがとうございました。力強く、御一緒したいということで、よろしくお願いいたします。
 それでは、続いて髙橋さんに、また戻りまして、事務局から審議スケジュールについて御説明をお願いいたします。
【髙橋人材政策課長補佐】  資料1を御覧ください。人材委員会の審議スケジュール予定を一覧でお示ししております。
 本日開催の人材委員会を含めて、その下に設けます次世代人材育成ワーキング・グループ及び科学技術人材多様化ワーキング・グループの予定となっています。おおむね月1回それぞれ開催していきまして、最後、夏の中間取りまとめに向けて御議論いただければと思っております。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。
 では、早速議題2にまいりたいと思います。今後の科学技術・人材政策の基本的方向性についてということで、予定は55分間でございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、初めに、この方向性について事務局から御説明をお願いしたいと思います。奥課長、お願いできますでしょうか。
【奥人材政策課長】  人材政策課の奥です。先生方におかれては、お忙しいところ御審議に参加いただき、本当にありがとうございます。今期始まって、実質的には初回になりますので、これまでの検討の経緯、それに向けた考え方、それと、今後の検討の進め方と状況について、簡単に御説明をさせていただきたいと思います。先生方が多数御出席いただいているので、説明時間は極めて簡潔にさせていただきたいと思います。
 資料2-1の丸1、丸2、それと資料の2-2を用いて私のほうから御説明をさせていただきます。その後、資料の2-3で白川のほうから御説明をさせていただいた後に御審議という形でお願いできればと思います。
 まず、検討の背景、考え方ですけれども、我々の人材委員会、人材政策を扱っておりますけれども、これまでの人材政策はどちらかというと博士であるとかポスドクであるとか、個別、点での議論になってしまっていたのではないかと、総合的な人材戦略というのは必ずしもなかったのではないかという背景の下で、まずは文科省における、あるいは、国全体における科学技術人材政策の在り方を体系的に議論して取りまとめてはどうか、要は総合戦略をつくってはどうかということで、検討を始めさせていただきました。
 それに当たって、人材というのは、ある種、どの項目というか、産学連携であるとか研究費戦略であるとか国際であるとか様々な分野に横断的にまたがる、あるいは、どの分野にも必ず関わってくるようなものですので、まずは文科省における政策体系を全部整理した上で、そこで人材に関わる論点というのを抽出しようではないかということで基本的な考え方を整理させていただいたと。それが資料2-1の丸1になります。ここで、今、お示しさせていただいているのは検討の課題スケジュールですけれども、最初の基本的考え方は今、申し上げたところです。人材委員会の下で、昨年の10月から実質的には2回審議させていただき、今期になって人材委員会の下に多様化のワーキング・グループ、それと、あと次世代の人材ワーキング・グループ、2つのワーキング・グループを設けて集中的に総合戦略を議論しようという形にしています。
 次の4ページ目のところで、ここの検討のアウトプットを幾つか示させていただいています。3つありますが、まず、1つ目は、文科省の政策体系を一旦補完してみたものというのを、この場でオーソライズしようというのが1つ目。2つ目は、そこで出てきた人材の論点をある程度、人材政策という形でパッケージ化して取りまとめる、これを概算要求であるとか基本計画等に反映していこうということで、人材政策パッケージというものをつくっていこうじゃないかというのが2つ目です。それの基となるような報告書を人材の委員会のほうで取りまとめをいただきたいということで、3つアウトプットとして示させていただいています。
 まず、文科省の人材政策を議論するに当たって、科学技術イノベーション政策体系を全て俯瞰してみようというので書かせていただいた、我々としてのポジションペーパーが7ページ目、8ページ目になります。7ページ目のところ、これ何度も御説明させていただいているので、本当に簡単にですけれども、基本認識のところは先生方も釈迦に説法だと思いますので、我々として、今後イノベーション政策を考えていくに当たっての基本姿勢というのを真ん中の左側で3つ挙げています。まず、資源配分、予算等の資源が限られる中でも、戦略性を持った形での取組というのが必要だろうということが1つ目。2つ目、そうはいっても大学等の組織、あるいは人材、それと施設といった中核的な基盤となるようなものはきちんと維持強化していくべきじゃないかと。また、社会的課題が複雑化する中で社会と競争する、ステークホルダーと一緒に考えていくという政策の推進が必要じゃないかということで3つ柱を立てています。
 これに基づいて、次のページ、8ページ目になりますが、文科省における政策体系というのを3つの柱、さらに、それを3つの項目に分けて全体を9象限に整理しましたというのが8ページ目になります。左上から研究費、いわゆる競争的資金戦略、2つ目が産学官の連携、3つ目が国際。2つ目の柱の基盤のところだと大学等の機能強化、真ん中がまさに人材。3つ目は先端研究施設設備、社会競争の取組は左下になりますが、科学技術と社会、自然科学だけでなく人社系も含めた科学技術と社会に関する研究。2ポツ目のところで、予算のみならず制度、仕組み、枠組みに関わる取組。3つ目が科学コミュニケーション、政策体系を全部分類すると、どちらかに入ってくるだろうということで、こうした形で一度取りまとめをさせていただきました。見ていただければと思いますが、全て人材というのも関わってきますので、ここで論点を出した上で、最終的に真ん中の5-2のところですけれど、多様な人材の育成確保というところで、ある種の政策パッケージみたいな形で取りまとめをしようではないかということで議論をさせていただきました。
 昨年の10月、11月、それと今年の1月、合計3回、委員会でこれを議論いただいたのと、並行して関係者の方々にヒアリングをさせていただきました。ヒアリングの結果、それとこの審議の意見の結果というのを取りまとめさせていただいたというのが今お手元に、オンラインの方は事前送付させていただいていると思いますが、机上配付資料としてお配りをさせていただいているものです。かなり御意見については丸めた形にさせていただいていますけれども、全部で76ページぐらいありまして、先生方から多様な御意見をいただいたところです。こうしたものを踏まえて、今後の科学技術・人材政策の在り方というのを議論しようではないかということで考えているところです。
 ということで、次の資料の2-1は今申し上げた9象限に関わるような取組というのを文章化して書かせていただいているものです。先日の委員会の審議の中でも、9象限とかその前の考え方について、もう少し詳細な背景等を御説明いただきたいというのがありましたので、文章化してお示しをさせていただいたというのが資料2-1の丸2です。こちらは、説明は省略させていただきますので、後ほど御覧をいただければと思います。
 こうしたものを踏まえて、今後の委員会において、これから御審議をいただきたいと思っておりますのが、まさに今後の科学技術・人材政策の方向性です。全体、ここの委員会の委員の先生方に共通認識を持っていただいたほうがよろしいだろうということで、資料の2-2で、今後の方向性の中間まとめの骨子案という形で、一案を提示させていただいております。こちらは最終的に、この委員会で夏頃までに取りまとめをいただく骨子案のイメージという形になっています。こちらの柱に沿って、若干簡潔に御説明をさせていただきます。
 基本認識は、これまでのことと変わりませんが、これまでの検討状況ということで2ポツ目のところで、今後の人材政策の在り方、今申し上げたように、9象限に整理をさせていただいたもの、体系的なものから論点等を抽出した上でこれまで審議を重ねてきたと、並行して先生方にヒアリングをさせていただいて、そうしたものを踏まえて、今後の方向性を考えていくということを書かせていただいています。3つ目のところで基本姿勢、人材政策というのを考えていくに当たっての基本姿勢というのを2つ目で書かせていただいています。1つ目は基本方針として、科学技術・人材政策というのはもうイノベーション政策とほぼイコールであろうということで、まず、人材に対する投資というのを抜本的に拡充していく必要があると。また、こうした人材を多様な場、機会で活躍を拡大していく必要がある。また、人材は1人で活躍できるわけではありませんので、組織、機関の役割が重要だろうということで、この3つ辺りを基本的な方針として書いています。
 それを踏まえて、今後の政策の具体的な取組の方向性として3つの柱に整理してはどうかということで書かせていただいています。1つ目が1ページの上です。1つ目が多様な科学技術人材の育成活躍促進、2つ目が学校、各教育段階における人材の育成、3つ目が、制度、システム改革に関する取組ということで、この3つで今後の在り方というのを議論してはどうかと思っております。
 1つ目の柱、多様な科学技術人材の育成活躍促進、いわゆる職種別の人材育成になりますが、1つ目が研究者の育成活躍促進になります。全ての項目について、基本的な考え方、これまでの実績と評価、課題、それと今後の取組の方向性という形で例示をさせていただいています。いずれも先ほど申し上げた今後の審議会での議論であるとか、あとヒアリングでいただいた御意見等を踏まえて、ここら辺の中身というのを書かせていただいています。
 まず、1つ目、研究者の育成・確保は4つの項目に分けています。1つ目が多様な研究費、研究資金の充実・確保に関する取組。(2)が研究者等の安定したポストの確保に関する取組。3つ目が研究者による研究活躍の場・機会の拡大、いわゆる国際的に活躍する人材であるとか産学、企業とアカデミア双方において活躍するような人材の育成、拡大ということを書いています。4つ目が研究環境の整備充実ということで、研究者を取り巻くような環境整備を行ってはどうかということを書いております。それの中身、具体的に取組とか方向性とか例示を書いていますが、あくまで一つの例示でしかないので、ここをどんどん膨らませていくというのが今後の議論の方向かなと思っています。
 同様に2つ目の柱が技術者の育成・確保になります。これまで文科省、研究者にかなり注目した取組を進めてきましたが、技術者戦略というのはこれまでなかったというところもあって、今回初めてこうした形で例示をさせていただいています。技術者を育成・確保するに当たって、アカデミア、文科省なのでアカデミアが中心になりますが、アカデミアと企業との間でどう必要な技術者を養成して確保していくかという意味で、例えば1つ目として、先端的な研究施設・設備を整備しながら、アカデミア、企業双方での技術者の育成につなげていってはどうかということが1つ目。2つ目、大学において、技術職員の育成・確保というのを挙げています。いわゆる技術職員、研究者を支える役割としても極めて重要な役職です。こちらは今後ガイドライン等の整備も考えていますけれども、こちらも一つ、柱として書いてはどうかと思っています。
 3つ目は技術士制度の活用促進ということで、文科省は技術士制度を持っていますが、これと工学教育を絡めたような形で、技術士の在り方ということも、この中でも考えていってはどうかということで上げさせていただいています。
 3つ目の柱が高度専門人材の育成・確保ということで、1つ目、特出しして書かせていただいていますが、専門人材というのはかなり多様な方々がいらっしゃいますけれども、まず、1つ目として、URAをはじめとする研究開発マネジメント人材の育成・確保です。これは文科省としてもこれまで集中的に重点化していこうという方向性を打ち出していますけれども、こうした新しい職種の人材をどう育成・確保していくのかと、大学等でどう活躍を促進していくのかという辺りを、具体策を考えていきたいと思っています。
 2つ目が次のページです。多様な専門人材の育成・活躍促進ということで、先ほどの研究開発マネジメント人材に加えて、大学等では産学連携に関わるような知財の専門人材であるとか事業化に係る専門人材等、多数の人材がいると思います。こうした方々をどう育成していくかということも書かせていただいています。
 2つ目の柱、5ポツであるのが各教育段階における人材育成ということで、1つ目が大学・大学院における教育研究活動の充実・強化、その中でも特に博士人材の育成・活躍促進というのが我々として特に重要視しているところで、最初の柱に入れさせていただいています。博士の育成・確保、それと多様な場での活躍促進ということで、優秀な博士課程学生を育成確保するであるとか、多様な場での活躍を促進していくという辺りを具体策も含めて書かせていただいています。
 2つ目が大学・大学院改革等の推進になります。先ほど和田先生から大学院部会、中教審での御議論の御紹介がありましたけれども、そこでも大学教育、大学院教育の改革であるとか大学院の機能強化といった取組がいろいろ書かれております。そうしたものと連動させながら、ここでの大学院における教育研究活動の実施への充実、強化、そういうあたりの具体策を盛り込んでいければなと思っているところです。
 その次、2つ目の柱が初等中等教育段階における人材の育成になります。1つ目として、先進的な理数系教育の充実強化で、スーパーサイエンスハイスクールをはじめとする先進的な理工系教育、理数系教育をやっているような学校に対する支援の話。(2)のほうで、もう少し裾野を広く、小中高等学校における裾野拡大のための理数系教育の充実強化という辺りも書かせていただいています。
 3つ目が、もう少し広げていわゆる社会教育の観点から、コミュニケーションの展開ということで、国における科学技術コミュニケーション活動の充実強化とSTEAM教育との連携、促進のようなことを書かせていただいています。
 また、3つ目の柱、6ポツになりますけれども、制度、システム改革に関する取組になります。1つ目が多様な人材育成確保ということで、女性であるとか外国人の研究の活躍を促進すると、研究者の活躍を促進するというような取組であるとか、産学官における人材流動の促進ということで、大学と企業との間で、より人材が行き来できるような環境整備、特にクロスアポイントメント制度を活用しながら取組をどう拡大していくかというあたりも書かせていただいています。
 2ポツ目のところは、予算面だけではなくて科学技術イノベーション政策を推進するに当たって、制度、規範等の整備というのも大事だろうということで、今回、昨今ですと研究セキュリティ、インテグリティ、研究公正に関する取組であるとか、あるいは法的・倫理的、社会的課題、いわゆるELSIに関する取組推進、こういうところも人材の層というものがかなり限られているというところもありますので、こうした取組を実質化していく中でどう専門人材というのを育成、確保していくかということも課題かなと思っています。
 こうした論点を、これはあくまで骨子の例として書かせていただいていますけれども、このうち、特に研究者、研究者については、ここの親の委員会のほうで集中的に御議論いただきたいということで、次の議題のほうで設けさせていただいています。また、技術者、技術職員を含めた技術者、それと、研究開発マネジメント人材等の専門人材については、多様化のワーキング・グループというところで御議論いただきたいと。また、博士、それとあと初等中等教育、それと科学コミュニケーションについては、次世代のワーキング・グループのところで同様に集中的な御議論をいただきたいということで、これは今申し上げた項目について、幾つかの親の委員会とワーキング・グループにそれぞれ分掌する形で御議論をお願いしたいと思っているところです。ということで、骨子案をベースに、ここをさらにワーキング・グループであるとか本委員会の御議論を基に充実をさせた上で、最終的なまとめに持っていければなと思っているところです。
 ということで、続けて、先日行われました次世代のワーキング・グループ、こちらの議論も紹介させていただいて、併せて御議論いただければと思います。
【狩野主査】  私が一言差し挟むように台本に書いてあるので挟んでみますと、次の御説明に関しては、順番としてご説明の後でワーキング・グループに加わっていない方からまずは御意見を賜りたいという話でございますので、これは初めて聞くと思っている方々はぜひ意見を考えておいていただければと思います。よろしくお願いします。白川さん、お願いします。
【白川人材政策課長補佐】  では、私のほうから、先日、4月18日に開催いたしました第1回次世代人材育成ワーキング・グループの議論について御紹介をさせていただきます。
 当日は、資料の2-3の丸2、それから丸3を主な資料といたしまして、博士課程の後期の学生の支援、それから初等中等教育段階での科学技術人材の育成について御議論をいただいたところでございます。ごく簡単に御紹介をさせていただきますと、当日は資料の2-3の丸2、丸3を使いまして、それぞれのテーマの現状、そして課題、そして今後の方向性の案というようなものをお示しし、それについて御議論をいただいたところでございます。
 例えば、お手元に資料があれば資料の2-3の丸2、博士課程の後期の学生支援に関しましては、3ページの下のほうから今後の方向性の案ということをお示ししておりまして、優秀な後期課程学生の育成確保についてということで、4ページ目の1つ目でございますけれども、例えば、博士後期課程学生に対する既存の支援について、事業制度の見直しを行うとともに、日本人学生、留学生、社会人ドクターのそれぞれの対象について適した支援方法で見直しを行うということを今後の基本的な方向性の案としつつ、具体的な取組方針について御議論をいただいてきたところでございます。
 また、丸3の初等中等教育段階での科学技術人材の育成については、4ページ目の中ほどにございますけれども、今後の方向性の案として、科学技術イノベーションを生み出す力を持つ次世代人材の育成に当たって、学校教育と連携しつつ、科学技術に興味、関心を有する児童生徒の裾野の拡大を目指すとともに、その中で育成された理数系に優れた素質を持つ児童生徒のさらなる伸長を図る、こういったところについて、具体的な取組について御議論いただいたところでございます。
 順番前後して恐縮ですけれども、資料2-3の丸1に、そのとき、いただいた主な御意見の概要を書かせていただきました。少し御紹介をさせていただきますと、博士後期課程学生支援関係につきましては、社会の理解の増進ということで、高校生や大学の学部制の段階から博士課程の進学の魅力や進学のサポートの存在、デメリットはないのだということの情報発信を行っていくこと、また、博士人材施策の効果が出ている点はしっかりと発信していくべきではないかというような御議論をいただきました。
 また、博士支援については、学習の特別研究員DCと次世代研究者挑戦的研究プログラム、SPRING、それぞれにおいてどのような評価軸で優秀性を図るのかということや、博士後期課程の学生は提案力や行動力、突破力を持って主体的に社会の中で活躍できる研究者となるよう、社会との連携の下で育成していくことが大切だという御意見。また、経済的支援に加えて、メンターなどによる精神的な支援の充実も重要だという御意見。異分野の研究者や起業家など多様な関係者に出会える機会が大事だという御意見。次のページに行かせていただきますけれども、SPRING事業については、留学生も含めて一律的な支援とするよりも、対象に応じて戦略的に最適な支援という考え方を取るべきではないかという御意見もいただきました。
 続きまして、初等中等教育段階における科学技術人材育成でございますけれども、スーパーサイエンスハイスクール事業については、指定校が230あるという中で、取組内容や到達点が非常に多様な状況になっていることを踏まえ、重点化等より高度な取組や成果の創出を促すための制度設計を検討すべきではないかということや、成功の取組の中にも現行制度を対象としたもの、高い意欲を持つ人材を対象としたものがあるが、それらノウハウの整理、体系化していくと成果の横展開にも資するのではないかという御意見。また、トップレベルの人材育成の取組については、移動可能距離を考えると小中学生の高い意欲、能力を有する児童生徒の育成拠点は各都道府県に一つあることが望ましいのではという御意見。また、学協会との連携も有効ではないかという御意見。
 最後のページに参りますけれども、女子生徒の理工系進学率の向上については、保護者や進路指導の教員、社会全体へのアプローチが重要だという御意見や、工学系の出口となる企業の皆様の協力を得るのがよいのではないかという御意見。また、海外と日本の取組の比較や、これまでの施策による女子の理工系進学率の変化などの分析も必要ではないかといった御意見を頂戴したところでございます。
 私からの御報告は以上でございます。
【狩野主査】  ありがとうございました。お二方とも大量の情報をポイントを踏まえてお知らせいただきまして、ありがとうございました。
 続きまして、これは今後のこれからの開催予定だと思いますけれども、科学技術人材多様化ワーキング・グループの予定についてお話しいただければと思います。お願いいたします。
【大場人材政策推進室室長補佐】  では、大場から説明させていただきます。資料2-4にございます、科学技術人材多様化ワーキング・グループ、今後の進め方についてです。こちらは6月末までの開催日時と議題を紹介しているものです。
 4回実施する予定で、議題は記載のとおりでございます。当ワーキングで検討していただくことは2つあります。1つは第1回の議題2に関わるもので、技術者、研究開発マネジメント人材に関する現状と課題、今後の方向性についてで、初回では現状と課題等の案を提示し、意見交換を行う。2回目以降で今後の方向性についても検討していくこととしております。もう一つは、研究開発マネジメント人材及び技術職員の人事制度等に関するガイドラインの策定になります。研究開発マネジメント人材については、ヒアリングを重ね、昨年度末に素案を公表、今年度の6月中に確定されるという段階であり、第1回と第3回で議論を行い、人材委員会へ提出、公表することを予定しております。技術職員については情報を注視しつつ、今年度中に確定、公表いたします。
 この2つを進めるために、当面ワーキングには技術者の知見のある方は、ファシリティ等を通じて技術職員の整備や人事制度の構築、構築しようとしている機関の有識者をお呼びして発表、意見交換を行っていく予定でございます。第1回から第4回の議題のとおり、ヒアリングを実施いたします。
 以上でございます。
【狩野主査】  御説明ありがとうございました。
 では、これから意見交換といいますか、意見を聴かせていただきたいというところに入ります。毎回お願いしておりますのは、例えば資料の2-2で見ていただくといろいろな項目に基本的考え方、これまでの実績と評価、課題、その後に今後の具体的取組、方向性ということがありまして、この中で特に3つ目の今後の具体的取組、方向性について熱く意見をいただければ幸いであるということであります。
 ここの議題については、おおよそ先ほど白川補佐から説明いただいた、既に先週開催したワーキング・グループの内容を主なところにして御意見を、ほかの、つまりワーキング・グループ以外の方からいただきたいという趣旨でありまして、その順番で指名していいですか。江端先生、お願いします。
【江端委員】  分かりました。ありがとうございます。資料2-3の話とか。
【狩野主査】  そうですね。2-3について、主に伺えましたら。
【江端委員】  承知しました。ありがとうございます。
【狩野主査】  その後、ワーキング・グループに参加していた方も、ぜひ追加でいただければと思います。
【江端委員】  ありがとうございます。江端です。こちらに書かれている今後の方向性の案という意味では、ざっくりと全体の方向性、総論というように書いてありますし、各論としてもしっかりと記載されているなと思うのですけれども、一番大事だなと私が思うのは、その研究者、あるいは博士学生にとっての研究環境がどれだけきちんと充実したものになっているかというところだと思います。
 4ページのDCのところに少し優秀な研究者としての活躍できる環境を充実すると書いてあるのですけれども、それ以外のところに対しては、お金をつけるとかもあるんですけれども、それは全部個人でやってくださいという形になると、研究者としては非常に厳しい、様々手続も含めて、大変なお仕事がどんどん増えていくというようなことになるので、研究に集中できる環境をいかにつくるのかというところはもう少し具体的に書いていただければと思っています。特に事務支援体制の話とか、先ほどから出ている技術者の充実の話とか、そういったところももう少しフォローして書いていただければいいかなと思いました。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございます。もし後で、また加えたくなったら、時間の許す限りお願いいたします。
【江端委員】  ありがとうございます。
【狩野主査】  御配慮くださいまして、ありがとうございました。内容としては、研究環境のことも、お金をあげるだけじゃなくて重要だよと、その中に、機器のことだけではなくて事務支援体制等々も重要であるということをいただいたと思いました。
 では次、玉田先生に飛びますが、大丈夫でしたらお願いします。
【玉田委員】  そうですね。まだ情報が多くてフォローし切れていないのですが、全体で気になった点としては、科学・技術イノベーションの弱体化が懸念されているところと、人材の今、不足しているところの各論のウエイティング、果たしてどういう人材が不足しているかの方針がどのような関係にあるのか。各論に入ってしまうと各論の話になるので、もう少し説明を伺いたいなと思いました。
【狩野主査】  今後議論したらよいかなと思いますし、そこで今の議論の中で抜けているものについて、具体的にはどういう政策を立てれば支えていけるかということを話ができるとよいなと思います。
【玉田委員】  確かに技術者の人がいるとよいのですけれども、それが最重要課題かと、そういう目で見ていった時のバランス……。
【狩野主査】  バランス。優先順位というか。
【玉田委員】  どうなのかなというところを思いました。
【狩野主査】  ありがとうございます。今、描かれている人材以外にどんな人材像が必要なのか、それからそのときの優先順位についてはどうかなということを提起いただきました。ありがとうございます。
 では、続きまして、和田先生にいきなり飛びますが、大丈夫でしょうか。
【和田主査代理】  ありがとうございます。非常に重要な議論だと思います。1つの総論と3つの各論を簡単に話したいと思います。
 1つの総論は9象限全体を俯瞰的に把握することです。体系化することは大変重要な点だと思います。その中で、技術者という新しい視点も入れたというのは非常にすばらしい点だと思います。これは総論です。
 3つの各論のうち一つは、今後、タイムラインという時間軸という意識が必要になってくるのではないかと思っています。恐らく政策パッケージをつくってそれを実行するときには、より重要になってくると思います。
 それから2つ目に関しては、立ち位置という点を少し話したいと思います。今この方向性が示されて、各政策が打たれることになると思います。そうしますと、政策を打つ側とそれを享受する側とあると思います。享受する側の視点から見ますと、自分が今後どういうタイムラインで、どういう政策の恩恵を受けられ、それが自分のキャリアパスにどのようにつながっていくか。その人が描く人生のタイムラインというところとフィットしていくとより伝わりやすくなると思います。したがって、視線が政策側だけではなく、政策を受ける側の視点から見た全体像というのが描かれると、より希望を持って研究者なり技術者の道を進んでいくという将来設計が描けるようになる、そういう安心感というところにもつながっていくのではないかと思います。ですので、受け手側の視点というところをここでぜひ入れていただければよいかなと思います。
 それから初等中等教育、3つ目です。このワーキングに私は出ておりませんが、非常に重要な点だろうと思っています。実際、小学校、中学校、高校と、お子さんが成長していく過程で、継続して科学技術に触れ続けることができる。そういう設計を大学とともに、あるいは高等教育機関と一緒にやっていけるというところを政策に盛り込んでいけるとよりよいのではないかと思います。そのときには教員の先生方とのつながりということも少し意識してあるとありがたいと思います。
 以上です。
【狩野主査】  急にお願いしたにもかかわらず、大変整理してお話をいただきまして、誠にありがとうございました。9象限が素敵である、それからその中に技術が入っているのが素敵であるという話があったのと、それから教員の方も見据えて、しかしながら、研究する人全般に、人生につながっていくようなタイムラインを、政策をつくるときも考えていきたいというお話だったと思います。ありがとうございました。
 では、続きまして、稲垣先生の順番のようですが、よろしいですか。
【稲垣委員】  私も何を言えばいいかよく分かっていないのですけれども、初等中等教育に関しては、こういう議論が入試改革とつながっていくと日本全体に波及していくのかなと思いました。博士人材はいろいろな取組をされているのですけれども、学生はいろいろな個性があるので、標準修業年限で終了させることを強く求めるとかいうよりも、学生が取り組んでいることをきちんと最後までやらせてあげて、きちんと達成感を得た形で外に出るような評価にしてあげたほうがお互いハッピーになるのではないかなと思って拝見しておりました。
 研究開発マネジメント人材に多分言及したほうがいいと思うのですけれども、また時間があればお願いします。
【狩野主査】  ありがとうございます。より多様な人たちの人生がインクルーシブになれるような政策のつくり方があるのだろうかという問題提起をいただいたように思いました。ありがとうございます。
 では、続きまして、唐沢先生でしょうか。お願いします。
【唐沢委員】  まだ私も整理し切れていないのですけれども、自分の専門が人文系にも近いこともあり、科学技術人材という話とどのように折り合いをつけて進めていくかということから考えると、文系の科学技術人材とはどういうものか、また、どのようなキャリアパスがあるのかということが課題かと思います。最初の御説明から、例えば科学技術と社会をつなぐ役割を持ちつつ、文系としての専門性を生かすという方向があり得るのだと思いますが、現状、どのようにそのような方向につなげていけるのか、そのためにどのようなサポートが必要なのか、政策的にどのようなことが可能なのかという点が、よく見えていないので、この辺りについてもう少し強化する議論ができると、文系の科学技術人材というイメージが分かりやすくなると思いますし、また、文系出身の科学技術人材のキャリアパス、文系人材活躍の多様化にもつながる可能性があるので、重要な点かと思います。
 もう一つは初等中等教育についてですが、科学技術と社会との関係についての意識を早い段階で高めること、そのための題材や考える場をそこに組み込むことも、非常に重要であると思います。将来の自分のキャリアを考える上でも、文系を学んだあとに、そのような道もあるという志向につながることを、その段階から埋め込むことができれば、有効なのではと思いました。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございます。私の勝手な思いとしては、「文系」の活動もあまり科学・技術というのと変わらないかもしれないと思っています。つまり答えがないことを見つけて、それに問いを見つけて、それに対して何か思いついたことを証明していくという作業だという定義にすれば、文系も理系もなくて同じかなと思っています。そういうことができる人をどうやって増やせるのだろうかとか、あるいはそういうことができそうな人を、今だったらもし勇気づけられていないとすると、どんな政策があったら勇気づけられますかのような質問だったら、何か思いつかれることはありますか。
【唐沢委員】  そうですね、専門の中で閉じ籠もってしまう可能性が高くなることについて、視野をどのようにして広げられるのか、自分の専門の狭いところを深くというのも大事だけれども、言わばメタ化して、他の分野や理系とも共通する課題が見える、発見できるようなところに身を置く、そういう機会が増えると良いのではないかと思います。
【狩野主査】  ありがとうございます。これも勝手に翻訳させていただくと、視野が広い人とかメタ化ができる人という、そういう優秀性について軸がいるかもしれないという理解をしました。
【唐沢委員】  まとめていただいてありがとうございます。
【狩野主査】  ありがとうございます。では、続きまして、迫田先生お願いします。
【迫田委員】  ありがとうございます。私も情報量が多くて、処理しきれていないのですけども、何をもってゴールとするのかという辺りを、もう少しはっきりさせていったほうがよいのではないかなと思います。
 整理すべき論点は全部入っていると思います。9象限の中にもよく書き込まれているので、あとは何をもって今の科学技術が低迷していると言えるのか、何をどこまで、いつまでに実現したいのかという辺りを明確にしていかないと、政策が効いているのかどうか、政策が成功したのかどうかということがわかりません。エビデンスベースドポリシーメーキングとか当たり前に言われている中で、そこがうまく見えないなというのが正直な感想です。
 産業界では、常にROIで投資が評価されます。リターンで、まさに金額で幾ら返ってくるのかと言われるのが当たり前だと思うのです。政策の場合は常に金額換算ではないと思いますが、ゴールとすべきところを明確にして、そして、それに向かって進捗していると言えるのか、あるいはこのゴールを達成するにはこれだけの予算がかかるという辺りを議論できるようになるとよいのではないかなと思いました。そうしないと、お金がないから今年はここまでしかできませんと、そういうことの繰り返しになってしまうと思うので、ゴールを決めることが重要と思いました。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございます。迫田先生、産業界的な視点をいただいた、あるいは経営的な視点をいただいたかなと思いました。インベストメントに対して、どこまでいつまでに何を得られたらいいかという、しかもそれがお金で換算できないものだったら、どうやって測って何を得たと言えばよいかということを、問いをいただいたように思いました。ありがとうございます。
 では、続いて杉山先生、お願いいたします。
【杉山委員】  幾つか、さっき和田先生も言っていたことと関係するのですけれども、人材のキャリアをどのように描いていくのかと。それを、本人のキャリアと、また受け取る側がどうするかと。一番分かりやすい例で言えば、博士人材を産業界がどのように受け取ってきているかと、この10年間ぐらいで随分変わってきているのですけれども、それが例えば博士課程の学生、学部の学生に伝わっているのかというところがすとても気になるし、そういうロールモデルというのか、人のこのように発展していくのだというところが見せられるとよいと。
 それと少し関係して、大学のURAとか支援人材、技術職員というところが、どのように大学の中で発展していくのかもあるし、市場としてほかの大学も含めた市場をつくるのか、それだけではなくて企業とかも巻き込んだ大きな市場の中で人が移動していくような仕組みをつくっていくのかというあたりが重要ではないかなと思います。
 アカデミアについては、任期なしのポストをどのように拡充していくかというのが将来、夢を持てるか、そこのポジションに夢を持てるかということだと思っていて、いつまでも任期ありでつないでいく人がいたら、それは次に続く人は全然夢もないし、本人にとっても非常に消耗するので、これがキャリアとしての一番、我々の課題ではないかと思っています。
 SPRING事業については、博士と進学する修士、ここの部分での支援をどうするのか、博士だけからの支援だとなかなかそこまで続かないという人も結構いるので、博士から修士へ一貫したPhDコースみたいなものをどのように支援していくのかというのがあるかもしれないと思っています。
 あと最後に、エビデンスに基づいた議論をぜひしていただきたいと。SSHの話がありましたけれども、私もずっとこの十何年、ある高校とかに付き合っているのですけれども、相当練られてはきています。ただ、その結果として、人材が社会にどのように根づいていっているのか、そういうサイエンスの人材が、そこのところがもう結果が出ているはずですけれども、その辺をしっかりと見極めた上での議論、検証が必要ではないかと。これはSPRING事業についても、博士人材についても同様ではないかと思います。
 以上です。
【狩野主査】  簡潔にたくさんのことをいただきまして、ありがとうございました。まず、一つは本人、そして受け取り側から見たときのキャリアの一直線に並べた場合に、本当に政策がどう関わっているのかという視点はどうですかと。
 あと多分、後半の議題でまた出てくるのですけれども、参考資料3-1から3-3というのは、高見さんをはじめ、皆さんが頑張ってつくられた博士人材のロールモデルに関する資料だったりするのですけれども、これのようなものが、本当に実際の人たちにどれぐらい伝わっているのかという問題は確かにあるなと思っていて、この伝え方の改善も必要かもしれないことを今、伺いながら思いました。
 それから、あと市場の問題、そして任期なしポストをどのように扱うと、将来に希望を持った気持ちになれるかということや、SPRING事業に、修士については、支援はどうするのか、あるいは、育成された人材をどうやって測定すれば、成果としてよりよく把握できるかということをいただいたと思いました。ありがとうございます。
 では、続きまして、武田先生、お願いできますでしょうか。
【武田委員】  武田です。まず、科学技術というのを発展させてイノベーションにつなげるということを考えたときに、2つの必要な要素があると考えております。1点目は優れた研究ができる研究者や技術者を育てるということで、2点目が得られてくる研究成果を社会実装するということ、その2つの要素というのが非常に重要で、それぞれに必要な人材というのもあるのかなと、これまでの御議論を聞いて思いました。
 それで、まず優れた研究者を育てるということは、もちろん初等教育から本当に始めるべきことで非常に重要です。例えば米国などと比較すると日本はどうしても一つ飛び出ているような個性を、なかなか良しとしないというような社会的な背景とか環境があるのかと思います。そういう人材は非常に得意な点を持っているので、その芽を摘むことなく、将来優れた研究者になれるような教育や環境作りから取り組むというのが大事ではないかと思います。
 それから、2点目の社会実装するというところは、研究者、技術者以外に必要な人材の育成のために、URAの活性化というような活動につながっていると思います。ただ、これをURAというのかどうか分からないのですが、技術オリエンティッドに社会実装を考えるというベクトルと、社会のイノベーションという観点から必要な技術の芽は何なのかという社会オリエンティッドなベクトルの二方向からのアプローチが重要と思います。その二方向でそれぞれ人材が異なっていても良いかも知れないのですが、その両方ができる人材というのが大事と思います。URAの議論にするのか、URAとはまた違う社会オリエンティッドな観点で技術の芽を探索する人材の議論にすべきなのか、これらも取り組んでいくと良いのではないかと私は考えています。
【狩野主査】  ありがとうございます。つくる人、知識を生産する人に関することが一つあって、それを育てるためには小さい頃から人と違えることというのは大事ではないかというお話がありました。それから、つくられてきた知識を今度は活用する人についてもお話があって、活用する人をどうやって、どこの段階から伸ばしていけるのか。その中にURAという職種ももちろんありますけれども、ほかに武田先生みたいに産業界で活躍される方も多分必要ですし、いろいろなことが必要だと思うのですけれども、そういう方々のような類型をどの政策で、どうやって支えることができるかということを考える必要があるなと思いながら伺いました。
 さらに、活用する中にもバックキャスト型とフォアキャスト型があるのではないかというお話があったと思います。つまり、今あるものをどうやって活用するのかということと、逆に今必要なものから逆算すると何が必要なのかを考える人、そういう類型があるなということを伺いながら思いました。ありがとうございました。
 では、続いて波多野先生、お願いできますでしょうか。
【波多野委員】  ありがとうございます。今、武田委員がおっしゃった人材は私も必要だと感じていまして、特に基礎研究と社会実装ビジネスが接近してきた現在、URAというよりも、エコシステムにつなげるエコシステムビルダー、バックキャストとフォアキャストとを駆使し、世界のグローバルなエコシステムのイノベーションにつなげるような人材が必要だと日々感じています。
 先ほど次世代ワーキング・グループ、私は参加していませんが、よくまとまっていまして、支援、そして、活躍の場という観点で重要だと思っています。特に博士人材の民間企業における促進に向けたガイドブックは素晴らしく、皆さんで普及していくということ、まず、第一と思っています。特に科学技術基本計画第6期で数値的に約束している中で博士人材、高度研究者、若手人材というところが多分未達になっていると思います。それは深刻で、今後重点化されていく課題です。重点課題であります量子やAI、先端エネルギー、バイオ関連の研究では、博士人材でないと世界に立ち向かえなくなっている、またそのような分野が増えています。何とか博士人材を増やさないと、と思っています。
 それに関しまして、現場の課題としましては、就職活動がどんどん早期化していまして、研究室で研究テーマを決める前の収支1年生の夏休みに、内定をもらいましたなので研究テーマは何にしましょうという、相談に来る状況です。修士の1年生の夏から就職活動が始まっていて、もう彼らには博士に進学するという選択肢はないのです。ですので、今後ますます深刻になると思いますので、ぜひ企業の方々と一緒に検討することが必要です。
 また、学生発のスタートアップが増えていますが、スタートアップと博士人材はリンクしていると思います。ですので、博士課程とスタートアップ、米国のようにベンチャー企業と博士課程を行ったり来たりできるような制度があればと思います。
 本委員会の課題は、9象限に整理されており、わかりやすいです。ただ9象限は独立ではなくそれぞれ関連していると思いますので、個別の政策にならないように、ダイナミックな政策につなげられればよいなと思っています。
 もう一つ、申し上げたいのは、AIの急伸によって自立型AIが実現されつつあり、AI for Scientistとの共生が課題です。またサイエンティストの再定義というのが私は必要だと実感しています。その辺りは、何らかの形で提言に入れた方が良いと思います。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。CSTIに関わっておられて、さすがいろいろ見ておいでだと思いながら、伺いました。一つにエコシステムビルダーという言葉を頂戴したことと、それから就活時期との関連の話も出まして、ここはワーキング・グループでも博士人材というのは、それが職だと思っていけるような上手な言い方をするべきではないかという話が出たりしておりました。それから、9象限に分けちゃっているけども、ぜひリンクした内容をということ。それから、AIが出てきたことによって、職業科学者というのは一体誰なのかということをもう一度、考えたほうがよいということをいただいたと思いました。誠にありがとうございます。
 それでは、続いて湊先生、お願いいたします。
【湊委員】  私は現在、京大の情報学研究科におりますけれども、情報系のかなりトップの、例えば教育プログラムで世界大会に行くような学生もいるのですけれども、日本人の優秀な学生がなかなかドクターに進学してくれないというのが悩みの種でありまして、先ほど波多野先生もおっしゃっていましたけれども、M1の夏にインターンなどそういうところで、実質的には内定をもらっているなど、M1の冬ぐらいには、もう始まっているという感じで、学振のDCとか、出すとか出さないとかという以前にもそういうところで、さらに教授よりも高い年収でオファーというような、そういうことが来ていたりするので、本当のトップの人材はそうなりますので、そうすると、最近DCとかSPRINGとか頑張って増額していますけれども、そういうものは少し増額したぐらいでは、全く歯が立たないという感じで、どうしようもないなという感じはしています。
 ただ、なぜ学位を取るのかというと、昔と違って終身雇用とかでもないので、30代ぐらいで必ず転職というのは出てくると思うのですけれども、そのときに学位を持っているかどうかということは全然選択肢の幅が違うということと、あと欧米の技術者とやり取りをするときに、学位を持っていないと1人前の扱いをされないというようなこともあるので、トップ人材の人が学位取っていてほしいとは思うのですけれども、それがなかなか修士の段階でそれを言ってもなかなか実感として分かってもらえなくて、一番高く自分が売れるところでそれを売るというところで就職してしまうという感じになっているのかということが最近悩んでいるところです。
 あと、経団連に入っているような総合電機メーカーの研究所とかですと、最近はドクターに進学すると同時に社会人ドクターで雇用するという、雇用すると同時に進学というパターンで、博士を取ってから実質的に就職というような、そういう制度を導入し始めているところがあって、給料では外資に勝てないので、そういうところで魅力を出そうというところもあるかもしれませんが、そういう取組をされているところが最近少し増えてきているかなという気はするのですが、ただ、GAFAみたいな一番トップ人材が、人気で行くような外資系、あるいは、経団連に入っていないような新興のITの企業とかだと、まだそこまでそういうことをして、これからそういう時代が来るのかもしれませんが、そういうところに、むしろ外資のほうこそドクターを取っていないと将来困ると思うのですけれども、そういうトップ人材にドクターを取らせられるような、そういう制度的な仕組みのようなものを、企業と国とか産官学でそういうことを考えていくというのは必要なのではないかなと思っているところです。
 私からは以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。後半多分同じような話題について、また深める時間があると思いますので、よりそこでまたお話しいただければと思いますが、PhDというものの魅力が、金銭面ではかなり不可能になってきているので、代わりの魅力、あるいはインセンティブの表現、それからそれの把握をより若い人にしてもらわないといけないなということを思いながら伺いました。また、杉山先生がおっしゃったように、修士にも支援をしていかないと続きがなかなか出てこないのではないかということももちろん思ったところではあります。ありがとうございました。
 では、宮崎先生、お願いいたします。
【宮崎委員】  今、皆さんの話を聞きながら、私は大学という教育機関のほうにはおりませんので、そういった外から見た立場での御意見と思っていただければなと思いますけれども、我々が今、採用をいろいろしていく中で、今までなかった議論の中で、割と行かないからどうするべきという議論があるのですけれども、一方で、私たちが博士人材を採用する際に、なぜ博士に行きましたかと聞くことがあるのですけれども、その方たちがみんなほとんど同じ答えを言うのですが、研究が楽しかったからと言うのです。この研究をもっと突き詰めたいと思って博士に来ましたという方が非常に多いので、その視点はもう一つポジティブに捉えるところが必要かなと思っています。なので、そういったポジティブに捉えている研究環境をどうやったら提案できるのか、今そのように学生にとって映っていない環境があるのかなと感じます。
 一方で、やはり大学院生は、今、理系は特にですけど、マスターに行くことは当然みたいな感じのカルチャーがあるのですけれども、その中で博士に行くのが当然というカルチャーはどうやったらつくっていけるのかなというところを、いま一度じっくり考えてみることがあってもよいのかなと思いました。
 それから、大学が今後産業界に人を出していくときのキャリアパスの多様性とか、民間における博士を持った人たちの活躍の場を早いうちから教育していく必要があるというふうには思っています。そういった意味では、スプリングスの中でのカリキュラムとかというのは、各大学が競争的にいろいろされているという実態は分かってはいるのですけれども、逆にそういったことが大学に負担になっていないかなというふうに思っています。
 今の時代ですので、オンライン等の状況を活用しながら、しっかり統一の1つのプラットフォーム、1つとか2つとかのプラットフォームをどこかで逆に文科省が全然用意して、大学には負担をかけずに、そこに皆さんがオンラインでアクセスできるようなプラットフォームをつくれば、それは案外大学にも負担なく、そして、大学院生も自由に学びの場を提供できるようなものが実は考えられるのではないかなと思っています。産総研で実はそういうコースを持っていると、大学生皆さん集まってきて、人材育成コースに参加してくださる方がおられます。これは、大学の中で用意されていないというケースもありますけれども、大学側もそれをつくることの負担がある。それは首を絞めていくことで、やはり今後サステーナブルにシステムをつくっていくときにはそういうプラットフォームという考え方も、URAの場合も含めて、そういうことがやれるとよいかなと思います。
 それから、大学院生に限らず、これからの早い段階に就職活動をしてしまうということもありますから、早い段階でのシラバスの中に、そういう理系の人材の在り方みたいなものがどんどん教育カリキュラムの中に入っていくとよいなと。実際にあるのであれば、それをもっともっと誘発していくとよいなというふうに思いました。
 私のほうからは以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。楽しいからやりたい人たちがせっかくいるので、その環境をもう少しつくる方向の政策ができないだろうかという御意見。それからあと、楽しかった後でどんな人生が待っているかということ、あるいはそのときに、大学外にもし行くのであればどんな能力セットが必要かということについて、統一的な何か教材がつくれないだろうか。というような御意見をいただいたかなと思いました。特に、それを必修として見てもらったほうがよいのではないかということも含められていたような気がします。例えば、先ほど少し言及いたしました、経産省と一緒につくられたこのガイドブックの内容のようなものを、ビデオか何かに例えばするお金を取ってきて、それを視聴しないといけないようなたてつけをつくれば実現しそうな気もしますけれども、そういうことをやるかどうかというところはあるかなということは思いました。ありがとうございました。
 あとお三人、いかがですか。流動性について。
【梶原委員】  幾つかあるのですけれども、先ず、流動性について。
 先ほど湊先生から、企業によっては博士の入学と同時に、入社と共に博士のコースに行くという事例が増えてきているというような表現がありましたけれども、多分そういう流れというのは増えてくると思いますし、企業のほうではやはりキャリア採用が非常に増えているので、職種業種によるのはもちろんあるかもしれませんけれども、5割を超えているとかというような企業もあったりするので、一括採用ではなくて、私の前職の富士通だと一括採用するよりも、全部通年のキャリア採用にしていくので、同じジョブで定義してジョブで取っている。そのよさというのは、やはりそのジョブに合った人が採れる、そういう意味でいうと、博士の人たちがマッチしているとこに入ってこられるということがあるので、そういう仕事と合って、その能力と合った人を適切な処遇で採用しているという例で、私はこれからもどんどん増えていくと思います。キャリア採用が増える、ジョブ型も増えて、傾向の中で、まだ日本の中で全体は一括採用で教えていってというパターンなのですけれども、どんどんどんどん変わっていくと思っている、その変わっている様子をどんどん発信していくのはやはり必要だと思っていて、先ほど入社してから博士という表現もありましたけれども、あるいは先ほどどなたかが、博士を持っている意味というのが、個人で、いつかどこかのタイミングで30代後半とか、グローバルで活躍するためには、名刺を出すときに、博士がついているかどうかで大分向こうの対応も違うということも含めて、博士を持っていないとグローバルで活躍できないと認識する個人の人は、やっぱりそこから博士を取りにいく人も明らかにいるので、すぐそこで入って博士に行かなかったからという流れではなくて、どこかでまた戻ってきてという形はあるので、その例も多く示していくということが重要だと思っています。先ほどの経産省と一緒につくったガイドラインのところで、ロールモデルというのは、恐らく大企業に行った自然科学系の博士人材が活躍しているのが結構多いのではなかろうかと思うので、次は、地域で活躍している人だとか、それから中堅中小企業でとか、多分スタートアップは普通にいると思うので、そういう分野とか職種も違う形の人たちをどんどん見つけていって増やしていかないと。そこには人社系の人ももちろん入れてみたいな形で、日本は変わっているというのはあると思うので、それをどう押し上げていくかというところは、知らしめるというか露出を多くしていくことも重要ですし、極端な話、去年、シンポジウムやっていますよね。
【狩野主査】  博士フェス。
【梶原委員】  大臣に来ていただいて、あのフェスティバルをやった後の、それを受けていた人が1年後どう変わったとか、そういう効果的な話のところを、先ほどEBPMの話が出ていましたけれども、やはりエビデンスに基づいた何かの変化を示していくということはとても重要だと思うので、解像度を上げた施策を打っていく。
 あとは、高専に焦点が当たっているのであればよいのですけれども、高専も当ててくださいと思っています。やはり工学部、女性が少ないという話のところで、高専の女性は結構、この間も言いましたけれども、企業としてはすごく価値があると見ています。それから、女性に限らず、高専の人、昨日も少しそんな話を産業界の人としているときに、すごく評価高いです、産業界にとって高専の人は強く優秀だと。何が違うかというと、すぐ手が動くということです。頭で考えているだけではなくて、自分で何か作ってみよう、やってみようということですぐ手が動くので、すごく評価が高くて関心が高いので、そういう人たちが5年たって企業に入ってきた事例、人によっては大学まで行き研究に行きたい人もいると思いますし、そういう人たちに目を向ける。あるいは設備のところの共用化のところで、皆さん、大学とか国研とかってあるのですけれども、実は高専のところへの設備の提供の仕方とか使えるよという話がどの程度出ているのかあまり分かっていないのですけれども、たまたま昨日、東京都の高専の人が来て少しお話をしたときに、やっぱり設備の取得にすごくお金がかかって大変だという話をいろいろ言っていて、だから産業界、手助けしてくださいみたいな話だったのですけれども、大きな設備云々というところの話は、そういえば大学の共用化という話をしていたから、高専にも望ましい、あるいは研究力に関係するとか、使える設備のようなところを開放するとかの視点も入れていただいたほうがいいのではないのかなと思いました。
 企業でいうと中堅企業と地域と、教育機関のほうだと高専、そこにもターゲットを入れていただきたいなと思いました。
 あとは、人材多様化WGへのお願いなのですけれども、どなたか、人材の規模感が分からない。今どのぐらいで、どのぐらいにしたいのかというような目標値みたいなところが、いつまでにどのぐらい、というのがあるとよいなと思いました。人が足りている、足りていないというところの中では、研究者を増やしたい、だとすると、こういう人たちはどのぐらい必要なのだろうという、そういう規模感的な数字のイメージが欲しいと思っているので、そんな話題になるのかどうかということと、あと、研究セキュリティ、研究インテグリティの領域のところも、こういった支援するような人材の人たちの能力、あるいはそういった内容に精通している人が多くいるほうがいいと思うので、そういった中でもお話ししていただけるといいかなと思います。
 あと、最後に1つ、大学改革の話があるのですけれども、具体的に何をしてもらいましょうかというところがまだよく分からなくて、自ら変わってくるような大学、変わっている大学に対して後押しをしてあげられるような、それを何かの形で示すというのが当然必要だと思いますし、もともと言っているJ-PEAKSですとか国際卓越で終わるのではなく、自らやってきたところを広げていくということで、お金が足りないから結局こうなっているということではなくて、この中でどういうふうに、自分たちが変革しているかというようなところの話を、どうアクセラレートしてあげられるのかなと気になっています。その中の1つは、人件費物価高騰のところがあるけれども、そこを踏まえて、基盤的経費を上げることを検討されようとしていますね。資料2の2のページ6に表現ありますけれども、そこが、具体的に現場に対してどういうゴール、タイムラインとおっしゃっていた先生いらしたように、どういうタイミングでそれがやってくるのだろうという予見可能性があるほうが、恐らく変わっていこうとする大学にとってはすごく有用な情報だと思います。大学の現場の方と話をすると、今の状況ではもうやれないという話ばかり聞こえてくることに対して、検討している、いつそれが実現できるようになるのか、やっぱりそこのスケジュール的な要素がどうしても落ちてしまうので、スケジュールということを意識して政策を打っていただきたいと思います。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。それぞれ深い内容で、どれかは自分にも身に迫るなと思って、返事がしたくなりましたが、取りあえずしないことにして、一括採用的な常識が変わっていくにはどうしたらいいか、1つ加えるとすると、保護者の常識も変化しないと恐らく駄目かなと思ったので、そういう、保護者が信頼してくれるような情報の発信の仕方というのが必要だな、というふうに聞きながら思いました。フェスティバルのフォローアップの話、あと高専ですね。それから、高専は、あとはここが所管かどうかという問題が恐らく出てくるので、御一緒できればということになると思いますが、そしてあと、規模感の定量化ができるかということ、それから大学の話は後で言いたいことが多くあります。
 では、水口先生、どうぞ。
【水口委員】  高専の話がございましたが、私は高専出身で、その後に東工大(現:東京科学大学)に編入学をいたしました。高専は5年の課程で、その後に大学の3年次に編入するというルートがございます。高専は、技術を磨いておりますので、地元の企業を中心に重宝されていると聞きます。高専は全国にあり、各高専によって就職率が高いところもあれば、大学への進学率が高いところもあります。
 私の周りでは、高専から大学に編入学をした学生のうち、博士課程に進む学生が内部での進学者と比較して多く、科学技術や研究に熱心な人が多い印象です。なお感覚的なものですので、実際のデータについてはお調べいただけますと幸いです。
 また、人材育成に関しまして、まず目指す世界として、科学技術が発展しながら、その成果が社会に実装、還元され、人々の生活がより豊かになると共に、お金も回りながら潤い、更なる科学技術の競争優位性が増し、国力が高まってくることが理想になるかなと思っております。
 これを実現させるための役割として、アカデミア発のベンチャーが重要であると考えており、研究開発の成果を社会に実装し、シームレスに実社会につながっていくといいなと思っております。新しい技術が社会に浸透すると共にお金が生まれますので、そこで新たな研究開発に投資ができ、そういったサイクルを生み出すことが理想なのではと考えております。なので、こういったビジョンからバックキャストしながら人材育成やキャリアパスの設計ができるといいかなと思っております。
 また、ディープテックを社会に実装していくに当たって重要となってくるのが、一般市民に対する啓蒙活動です。新しい技術はなかなか理解されにくいですので、サイエンスコミュニケーションは今後ますます重要になってくるのではと感じており、そういった視点でも、人材育成ができるといいのかなと思っております。
【狩野主査】  この中ではディープテックスタートアップは先生しかおられない気がするゆえ、水口先生に伺いたいのですけれども、エコシステムを回っていくために、例えば今JSTにフィージビリティースタディーみたいな枠組みがあったり、あるいは別途では、そういうところに対してキャピタルからお金がもらえるかもしれなかったりするわけですけど、その中で、政策として、あとどういうことがあればそういう界隈がもっと盛んになるという感覚はいかがですか。
【水口委員】  まず、ベンチャーに挑戦することに対するそもそもの認知が足りていないと感じます。基本的に研究者は研究のことばかり行っていますので、どういうふうに会社を起こすのかはわかりません。私もそうですが、ずっと研究のことばっかりやっていましたので、経営のことなど1ミリも分からない状態からでした。なので、どういうふうにやるんだというような経験を積める場が大切であると感じます。例えば、起業に興味がある学生がスタートアップにインターンとして来るという場合もあり、そういった経験が積める場を増やしていくことができるといいかなと思っております。
 一方、ベンチャー側からすると、育成を行う余裕があまりないことが課題にあげられます。なので、お金の面や、人材の面等に対してサポートがあると、両社にとっていい関係性が生まれるかなと思っておりますので、そういった支援があるといいかなと思っています。
【狩野主査】  なるほど。そういう教育プログラムをつくるような、公募事業とかそういう感覚はある。
【水口委員】  アカデミアとベンチャーの距離は近いところにありますので、そこで人材の行き来が、円滑になるような形になるといいかなと思います。
【狩野主査】  両方の人が交わっているようなプログラムではないと少しまずいよねという、そういう設定とかですよね。分かりました。
 あともう一つ、高専と関係すると、技術士、技術者という視点も、この中では一番近くにおられる気がするので、そこに対して何かおっしゃりたいことをぜひ。
【水口委員】  私がいたところは、技術者である前に人間であれというような教育理念が貼ってあり、技術者になるためには人間としての豊かさや魅力を備える必要があるという考え方がありました。また、高専は自由なところで、最初に言われたのが、あなたたちは生徒ではなくて学生ですよと、すなわち全ては自分の責任であると言われて育ちました。なので、自由に動き、その枠組みを超えて新しいことをやっていくというような教育になっていました。技術士から話がそれてしまいましたが、高専本科卒業の先に専攻科があり、JABEEの認定教育プログラムが設計されておりました。
【狩野主査】  それを大学院にもっと広められるかとかいう視点も、その後出てまいりますので、また御意見をいただければと思います。ありがとうございます。
 たくさんありがとうございました。
 川越先生、お待たせしました。どうぞ。
【川越委員】  ありがとうございます。あまり時間もないので手短に、3点あります。
 まずは、初等中等教育のところで、初等中等教育段階での科学技術人材育成の点では、教員養成や教員育成も大事なのかなと思っています。
 現在、先生方のティーチングとかのスキルといった教育はできているかなと思うのですが、探究とか研究を通して社会との関係を考えるという中では、コーチングもすごく大事かなと思います。そういったコーチングの教育というのがあまりないので、教員養成や、科学技術人材の育成に関係する方には、教育プログラムとか、教員養成の制度の中で触れる機会があるといいのかなというふうに思います。
 そういったところは、科学技術コミュニケーションの観点というものも同様に、科学技術人材になる人もそれを育成しようとしている人も、何かの形で1度でも触れる機会、学習する機会って必要かなと感じました。
 2点目は、先ほどSSHのエビデンスの話が杉山先生からもありましたけれども、データや、これまでのロールモデルというところも大分たまってきていて、今SSHでも追跡調査も実施するようにというふうに変わったところだと思います。それでぜひ、これは個人的に知りたいところなのですけれども、現在の若手研究者とか、大学経由でアカデミアの30代ぐらいの若手研究者に一斉アンケートとかをとって、SSHとか、高専出身なのかといった、データが取れるのであれば、これまでどういう変遷をたどったかというのが数値化されていいのかなというふうに感じました。
 最後、3点目なのですけれども、今回の政策で、博士人材の育成や研究者の育成に加えて、技術者や研究マネジメント人材でURAとかも入っているのがすごくよいなと思います。URAについては、大学によって定義が非常に異なっていて、研究職か事務職かも違ってくるところなので、URAとしてどういう人材かというところを1つにする必要はないと思うのですけれども、バリエーションがあるのであれば、どういう職種があるのかをより明確にした上で、どういう育成が必要なのかといった、この資料の中にはガイドラインの整備というふうに書いていたのですけれども、その辺りをより明確化ができるとよいのではないかなと思いました。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。教員のコーチングの方面の教育も大事ではないかということ、水口先生がおっしゃった、自由にさせる教育のやり方ですよね。ということだと思います。それからあと、今既に若手研究者になっている方々を遡って調査したら、より面白い像が見られるのではないかという、こういう調査的な政策もあってもよいかもしれませんね。
【狩野主査】  大学に関して少しだけ言いたいことを言うと、大学がもし自発的にいろいろ努力をした場合に、現在国策で図られている方向の成果でないとなかなか認めてもらえないというか、資金に変換されないという問題があって、この点はぜひ何かうまい方法あるとよいなと思って言いました。さっきの自由に触発されました。以上です。
 では、続いて議題3に入りたいと思います。
 研究者育成に関する現状と課題等についてということで、まず、滝沢さんから説明をお願いしまして、その後に意見交換ということになります。先ほども申し上げましたが、できるだけ具体的な方向性が出るようにということが今回お題でございますので、そう思って意見を考えていただければ幸いです。では、お願いします。
【滝沢人材政策課長補佐】  ありがとうございます。今回、資料3ですが、3の1、3-2という。3-1が本体、3-2のデータが主になっております。先ほどの中間まとめ(骨子案)のイメージの中の2ページ、3ページのところに、研究者の話少しありましたけれども、こちらのより詳細な部分を、今回、議論させていただきたいと思っております。
 資料の構成自体は冒頭に基本的な考え方を入れております。現状、課題、そして最後、具体的な取組の見直しの方向性、取組方針という流れになっております。既に幾つか議論も出ておりますので、少しまず、簡潔に私から説明させてください。
 まず、基本的な考え方ですけれども、これも人材育成が大事ですよ、特に研究者がやはり大事ですよと。これまでも、国のほうでは基盤的経費によって支援をして、あとは研究開発として進めてきましたけれども、全体的に、科学技術人材は、相対的には低下傾向にあるのではないかというところで、今回我々としては、この研究者の育成確保、活躍促進に向けた取組の充実強化のために、多様な研究費の充実確保、安定したポストの確保、活躍の場、機会の拡大、質の高い研究環境の整備と、この4点についてしっかり進めていきたいと考えております。その4点について、これから説明をしたいと思います。
 まずは、2の(1)の多様な研究費の充実・確保でございますけども、これまで先ほど基盤的経費と主に競争的研究の2つで、国としては支援をしてまいりまして、その中で科研費だったりとか、戦略的創造研究、これはCRESTやさきがけと言われたりするものですけれども、そういうもので支援をしてきました。最近、創発的創発的研究支援事業、これも優秀な若手研究者を支援する事業でございますけれども、こういうものを行ってきました。また、国は、研究代表者PIに対して、競争的研究費の直接経費から支援をするという仕組みを導入しておりまして、これによってPI処遇改善等も進めてまいったところでございます。
 2ページのところ、指摘事項ですけれども、まずは、基盤的経費の確保やであったりとか、2研究者の処遇の向上であったりとか、あとは多様な人材、マネジメント人材等々をより適切に処遇して育成確保する観点から、この競争的研究費を使って、単価を増やすことありますけれども、それを使った人材の登用の拡大も大事ではないかいうところと、先ほど、江端先生からありましたけれども、個人で研究費だけではなくて、研究環境整備も含めて大事ではないかというところを挙げております。
 2ページの(2)安定したポストの確保のところですけれども、こちら、現状としては、年長の教員のポストのいわゆる安定ポストが増えておりまして、若手教員の人気なポストが減少しているという状況が、若手教員の任期つきポストが増加しているという状況になっております。
 その上で、2ページの下、指摘・課題事項のところでございますけれども、まずは、そもそもいろいろ諸外国との関係で、研究者の待遇が落ちてきているのではないかということ。また、ほかの業種、国内のほかの業種と比べても、やはり魅力が下がってしまっているのではないかというところと、先ほど安定ポストをいかにこれからつくっていくかという観点からしましても、基盤的経費のみならず、競争的研究費、直接経費、間接経費両方や、企業との共同研究、寄附金収入等の外部資金を使ってポストの確保というものも大事ではないかというところ。既に幾つかだけこういう例も出てきているという状況でございます。
 また、産学連携の関係でございますけれども、この共同研究を強化していくためには、間接経費の大学のほうでもしっかり確保いただくことが大事ではないかと考えておりまして、今、既に40%の大学も出てきている状況でございます。
 次の3ページ(3)研究者による活躍の場・機会の拡大というところでして、我が国の人材を国際的で活躍いただくこと、また、外国の優秀な人材をひきつける、両方が大事だということを書いてあるところでございます。
 産学官の連携のところ、丸2のところでございますけれども、大学自体も、まず、基礎的、基盤的な研究を発展させるという観点と、また幅広い視野と経験も、人材を育てる観点でも、この産学官連携が大事でございますし、企業の視点からも、自社だけではなくて、外部の資源を使ったオープンイノベーションが大事でありまして、大学や国研との連携も非常に重要であると考えております。そうは言っても、今、欧米と比べても、まだこの活動が、産学官連携が低調であるとか、先ほど議論を通わせるとありましたけれども、人材養成の話もまだ低いという状況でございます。
 とういうところで、4ページ下、課題・指摘事項ですけども、大体重複しておりますので少し飛ばしますが、①のところ、米国の関係です。トランプ政権で、政府による科学技術分野の投資が下がっているのではないか、大幅に減っていくのではないかというような指摘がありまして、それによって、アメリカから研究所が欧州等に流出するのではないかという指摘もあります。これを受けて、アメリカの優秀な研究者獲得を動かしていくという動きが出ておりまして、我が国としても戦略的取組が大事ではないかということを指摘としてあります。
 産学官の連携につきましては、先ほど間接経費の40%とありましたけども、やはり大学が有する知の価値や研究にかかる人的な経費というものをしっかり共同研究費に含めていくことが重要ではないかというふうに考えております。
 続きまして、(4)のほうに移ります。組織・機関における研究環境の整備というところで、ここで、主に大学が行うべきことという、あと国で支援するべきこと、この2つに分かれておりますけれども、研究環境をいかに進めていくかというところで、2つ目の丸ですけれども、研究環境、組織改革とか資源配分とか、研究者の負担軽減は一応戦略的に取り組んでいくことが重要でして、大学や研究機関でも取組を進めていますけれども、まだ取組が途上ではないかというところで、まず、課題・指摘事項に移りますけれども、大学は運交金だけではなくて、ほかの外部資金も確保して、それに使って、組織として研究環境整備や人材育成・確保についてのしっかり配分をいただくのが大事ではないかというところと、また、大学の収入を、同じ流れですけれども、研究者と人材育成確保に戦略的に配分していただくことが大事ではないか。あと、若手の育成の話、先ほども議論ありましたけれども、資金の支援はありますけど、プラス研究所の助言支援、メンターシップ的なものが問題ではないかというところも書いて、あとダイバーの関係も指摘としてございます。
 というところ、今までの議論を踏まえました、見直しの方向・取組の方針が5ページの下からでございます。
 基本的考え方のところ、まずは多様な研究費のところでございますけれども、競争的資金をはじめとする研究資金を充実・強化すると。あと、研究者の人件費に対する支出拡大に向けた取組の推進、これも重要ではないかと。あとは、競金制度自体の改革も必要じゃないかと考えております。
 6ページのところですけども、主なポイントとしては、上のほうが基盤的に大事ですよと。あとは、研究資金制度の充実強化の観点としては、国家的・経済的・社会的に重要な分野に対する制度というのも重要ではないかと考えております。
 6ページの(2)のポストの確保でございますけれども、これは安定したポストの確保ということで、主に基盤的経費等による安定したポストの話と、競争的研究や外部資金による新たなポスト、その2つを書いておりまして、丸1のところ、具体的なところですね。まずは、基盤的経費、これも大学に配分しておりますけれども、それを使って安定した雇用パス等を確保していただきたいというところと、あとは、その際、若手研究者のポスト確保や処遇改善等を組織的に進めるよう努めるということを書いているところでございます。
 また、丸2のところです。競争的研究費等を含んだ外部資金の活用の観点では、直接経費のうち人件費の割合を高めるなど、制度的な改善・充実というものを進めていきたいというところを進めるということを書いているところでございます。
 続きまして、6ページの下、研究者の活躍の場・機会の拡大でございますけれども、国際の部分と産学連携というところを書いておりまして、あと海外派遣、優秀な研究者の海外派遣をしますというところ、海外から優秀な人を獲得します、大学に対しても、大学等は、組織的な連携・協力を海外大学としてすると共に、研究者の派遣等も、人材交流の拡大推進を努めるということを書いているところでございます。
 (4)組織・機関における研究環境整備、最後でございますけれども、7ページのところです。
 大学の養成、育成・確保の観点からしまして、研究分野・機会・人的交流の拡大など能力向上に向けた産学官や海外大学等との人材交流を一層拡大するという観点。あと、大学等においては、若手研究者の登用など人事マネジメントの観点を含めた組織としての取組に努めるというところ、あとはメンターの関係を書いております。
 また、丸2のところで、今度は組織における研究支援体制・研究環境の整備というところでございまして、上から2つ目の研究者の負担軽減・研究活動の効率化に向け、先ほど江端先生の話ありましたけれども、教養の観点と、そのための体制整備、技術職員の確保を含むに関する取組を推進するということと、あとは研究時間の確保や研究活動以外の業務に関する負担軽減というものにも努めるということを書いているところでございます。
 最後はダイバーシティの関係、外国人とか、女性の研究者が活躍しやすいような体制・環境整備が大事であることが書いているところでございます。
 というところのお話をさせていただいて、まず今日は、あくまで今後の方向性の案というところでございますので、より具体的な御意見等いただければ大変ありがたいです。よろしくお願いいたします。
【狩野主査】  ありがとうございました。短い時間で大変簡潔にしていただきました。お一人1分程度で、今度は手挙げで、早い順からどうぞお願いできればと思います。江端先生、どうぞ。
【江端委員】  よろしいですか。
 先ほど博士支援の話に限定してお話をさせていただいたので、全体のところも含めて、今のお話をさせていただきます。
 これ、拝見すると、基本的には科学技術イノベーション基本計画を、ざっと強く書いてもらっているような感じで、この中で、人材に関するところというのを、どう焦点を絞っていったらいいのかというのをいろいろ考えなければいけないと思うのですけれども、細かいことはワーキングでやると思うので、先ほどのURAとか、技術職員、技術士といったところに関する情報として、先ほどから、EBPMの話が出ていますけど、実際に、例えば技術士という資格を持った研究者はどれぐらいいるのかとか、一般的な民間企業での活躍をされている人たちというのは、いろいろとデータとしてそろっているかと思いますけれども、例えば大学でJABEE認定とかいろいろなことをやっていますけれども、結果として大学にどう返ってきているのかというところは、あまりフォローアップできていないのかなというような気がしております。なので、研究力強化とか、大学の科学技術イノベーションに関わる、に資する人材としての位置づけとして、それをどう活用していくのかというのはあるのかなと思っております。
 もう一点、これをどのような形で産学協同のシステムとしてくみ上げていくのかというのは重要だと思っています。今、弊学ではTCカレッジという技術職員の育成システムを全国展開しようとしていろいろやっていますけども、もともとの思想としては、大学の技術職員だけではなくて、民間企業の方々も含めた技術者というのをいかに育成していくのか、そのときにニーズとしては、グローバルに活躍できるエンジニアというのがどこにどれだけいるのか、そしてそれをどう育成するのかというところが焦点だったので、それと技術士の話をうまく組み合わせながら展開していくということが必要かなというふうに思っています。URAの件も、恐らく同じような議論があると思いますので、その点はワーキングでいろいろ議論させていただきたいと思います。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。技術者あるいはJABEEが大学院に戻ってこられるのかどうかということとか、あるいは産学連携の仕組みをどうやってつくるかということを伺いました。杉山先生、どうぞ。
【杉山委員】  これを読んでいると、大学の現状を知らないのかなとか思うところがあって、デュアルサポートを実施していると書いてあるのですけれども、現状、デュアルサポートは実施していないですよね。基盤的経費をこれだけ削っておいてデュアルサポートが今できているなんて思っているのであったら、文科省は大きな間違いをしていると思うので、大学の現実を見ていただきたいと思います。外部資金で安定的ポストをとるというようなことも書いてありますけれども、直接的経費は目的が限られているので、勝手な人事をやることはできない、年限も限られている。間接経費は既に大学の運営経費に充当しています。電気代が上がったり物価上昇など、全て間接経費で何とかやりくりしているだけなので、そこにたくさんのお金が余っているというのは、ごく一部の大大学はそうかもしれませんけれども、ほぼ90%以上の国立大学、これを見たらみんなどう思うでしょう。
 外国の優秀な人材を引きつけるということも、給料が全く見合わないのでできません。アメリカの優秀な研究者を採るチャンスだというのですけれども、フランスとかに行ってしまっていて、研究環境が日本はよくない、給与も非常に低いということですので、来るはずがないという状況で、大学の給与が民間との給与とも全く見合わなくなってきている。先ほど、大学教授よりも最初の就職で給与が多いというような話もありましたけれども、こういう現実、つまり、国立大学の基盤的経費を削り続けてきた現実がある中で、方向性というのは、私は現実に立脚しない話なので、その上で何を言われても、多分大学は政策に移せないです。
 かなり辛口で言わせていただきました。
【狩野主査】  ありがとうございました。この意味では、和田先生がきっと加えていただけるのではないかと期待しておりますが、いかがでしょうか。
【和田主査代理】  ありがとうございます。
 おっしゃるとおりだと私も思っています。基盤的経費は、ぜひここは増加すると書いてありますので、実現をしていただきたいなと思います。
 それから、それに伴って直接関係してくるのは事務の方々の体制だと思います。研究者とか、学生に反映するだけではなく、職員の数とその配置にも当然関係してきます。今後、例えば国際化であったり産学連携を進めるにあたり、事務職員そのものの専門性であったりとか高度化ということが当然求められます。ですので、そういったトータルのディスカッションというのをぜひお願いをしたいと思います。
 以上です。
【狩野主査】  簡潔にありがとうございました。私も大学の経営も関わっていると、いろいろ同意してしまうところがたくさんあるので、和田先生にお願いをしてしまいました。ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。和田先生、ほかに何か加えてくださることがありましたら。
【和田主査代理】  時間がないですから、ほかの方々にどうぞまずは振ってください。
【狩野主査】  そうですか、ありがとうございます。今のところ挙手をいただいている方がまだないのですけれども、いかがでしょうか。迫田先生、お願いします。
【迫田委員】  ありがとうございました。先ほどからの議論、非常に大事なところだと思っています。いわゆる二要因理論でいうと、衛生要因がまず整っていないと、そこから先はいけないので、基盤的な研究施設や給与、サポート体制については、学校サイドでゴールを決めて、どこまではいつまでに引き上げるというように勧めていくべきと思います。しかしそれだけでは決して動機づけにはならない、人を引きつけるということには直接つながりません。例えお金では対抗できないにしても、そこから先は研究テーマが重要だと思います。将来の世界にとって、あるいは地球環境にとって大事なテーマであればやりたいと感じる人はいるだろうし、自国の将来の課題を解くためには、今日本に勉強に行くということが必要だと感じられる途上国の方はたくさんおられると思います。動機づけ要因をちゃんと満たす研究テーマを用意して引きつける方策を考えたらいいと思いました。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。ぜひ魅力を高める方向に持っていかないとということで、そのための基盤は基礎だけであるというような趣旨でいただいたかなと思います。
 私、そういう思いをしていろいろなセクターの方と関わると、例えば政治の人に言われるのは、税金をより使う方向の話は幾らでももちろん、何なら受けるけど、誰が税収を増やすのですかという質問をされて、そうだよねと思うしかないなということもあります。それからあと、医療に関係したことがある人としては、社会保障費がこうやってどんどん増えていく中で、このセクターにお金をもっと入れるとしたら、一体どこを削って入れるのだという議論も当然あり得るなとはもうもちろん思っているところがあります。それらと比較してみたときに、一体何は削れるのかという言い方もしないといけない。それから、何は税収が増えるのに意味があるか、しかもどれぐらいの、今日の言い方で言えばタイムラインでできるのかとかいうような疑問にも、科学技術セクターとして答えていかないわけにいかないのだろうなということを思います。そんなバランスを取りたい人なので、そういう言い方もしてみました。
 ほかはいかがでしょうか。波多野先生、振ってみてよろしいですか。いかがでしょう。
【波多野委員】  今、杉山先生がおっしゃったように、大学は今すごく苦しいので、それどころじゃないというのはおっしゃるとおりかなと思います。そうは言っても、なかなか運営交付金は増えていかないというのがありますし、今JEAKSとか国際卓越に、それの先も見込んだ何か提案につながるとよいなというふうには思っています。
 【狩野主査】  両方関わっておられるので、少し演説をお願いしてみてしまいました。
 玉田先生、どうでしょうか。
【玉田委員】  全体的な話になってしまうのですけれども、いわゆるエコシステムみたいなところの話に、やっぱり落ち込んでしまうというか、本来は、「いかに強くするか」というところで議論しなきゃいけないのですけれども、現状の問題点を洗い出し、それを補充するという方向で果たして目的達成するかというと、達成しない気がするのですよね。お金も足りないのですけども、そのお金を充足したら強くなるか、それはまた少し違う議論だと思うのですよね。
 この委員会は人材育成について議論するのだけれども、そこがちょっとよく分からないところで。もちろん(さまざまな施策は)やればやるほどよくはなるけれども、何か明確な、先ほどちょっと企業の方のお話がありましたが、私も企業出身なので同感なのですが、まずは目的があって、必ずそこに必ず到達するんだというのがないと、やみくもな努力というか、結局それは中途半端だと消えてなくなってしまうので。例えば、ポスドク何万人計画とか、国際卓越も少し懸念があるのですけれども。ここの委員会は人材育成に関わるところなのですが、少なくとも、途中お話ありましたが、人材育成に関しては、トータルビューのようなものを意識しながらの議論が、施策・提案みたいな形にまとまるとよいなというふうに思って聞いておりました。
【狩野主査】  ありがとうございます。我々に余裕があれば、例えば委員会のメンバー側からそういうフォームシステムの絵を書いて、それで、文部科学者の皆様が持っておられる政策的なツールと合わせて、結局どこができているけど、どこが足りないのかみたいなことを、時間があればやることもできるかもしれません。ありがとうございました。重要な論点だと思いますので、エコシステム、理想としては大変共有いたします。
 ハウツーのところをどうしようかと思って、この数年、人材委員会を経験させていただいて、ここまで幅広く議論をできるチャンスはあまりなかったと思います。今回は極めて包括的に、課長はじめ皆さんが頑張ってくださっているので、とてもよい機会をいただいていると思います。逆に言うと、今みたいな切り返しもあるなと思って、せっかくこういうメンバーが集まっているときなので、やろうと思えばできる機会でありますから、ぜひできたらいいなと思うところではある次第です。
 ほかはいかがですか。
【川越委員】  1点だけ。
 産学官連携とかの共同研究、産業界との共同研究というところで、そういった体制で研究するというのはすごく大事な点だと思うのですけれども、逆に、若手がここに関わってしまうと、守秘義務などすぐに発表できないということもあり、研究成果という面では難しくなってしまいます。キャリアに関わる部分もあるため、人材育成という観点で考えると、仕組みや、共同研究というところも考えないといけないのかなと感じました。
【狩野主査】  ありがとうございます。確かに産学では優先順位が違うので、新しいことを出さなければいけないのは同じなのだけれども、成果を早めに出さなければいけないのか、それとも先にお金をつくらなければいけないのかという優先が違うねというところですね。ありがとうございます。おっしゃるとおりです。
 だから、本当は全てお金では語れないのですけれども、最後は活動費もいるので難しいですね。ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。特に、今日初めて委員で参加されていて、何だこれは、と思っておられる皆様はぜひ御発言をいただければと思うのですけども、よろしいでしょうか。いかがでしょう。唐沢先生は、例えば、さっき文系だと困りますとおっしゃっていましたけど、何か加えたいところはありますか。
【唐沢委員】  すみません。文系だということではないのですけれども、杉山先生がおっしゃるところは非常に重い話だと思いました。このペーパーの意義というのが何なのだろうかと。今の大学の状況を踏まえると、悲観的なことになってしまうようにも思えますが、こういうことを方向として目指すのだという話のときに、どこまで大学の現状をと客観的に把握して、これができていない、でも、これをやっていかないといけないという話にしていくのかというのは、少し考えどころかなと思いました。
 やるとしても、実際にどうするのか、難しいのではないかと思ってしまうこともあるわけですが、目標とか方向を示すこと自体に意味があるのか、または、こうしたらできるとか、こうするべし、まで書き込むものなのか、もしくは、全部は無理だけれども、あるところを重点的にやればよいということなのか、この文章の意義として、この点をつかみかねているのというか、拝見して疑問に思ったところです。
【狩野主査】  学と官をつなぐ人としての答えをいたしますと、1つには、次に5年間のまた科学技術基本計画というのをちょうど作る時期に入っていますので、その中に一体どんな理想を書き込むのかということが1つの論点かなと思っています。
 もう一つは、来年度の予算要求をするときに、どんな政策がつくって財務省に認めてもらえるように持っていけるかというのを考える時期にも当たっているかなと思っていて、それのためにも使えればいいという、そういう発想があるのかなと思っております。後で修正はきっとあると思いますので、勝手に推測して言うと、そういうことだと思います。
【唐沢委員】  だとすると、理想は書き込まないといけないということですよね。
【狩野主査】  書いてあったほうが、皆さんがお金を出してくれる人も夢を持ってもらっていけるかなというところがあるのだろうというふうに推測しております。
【唐沢委員】  ありがとうございます。
【狩野主査】  ほかはいかがですか。この機会におっしゃって。どうぞ、波多野先生。
【波多野委員】やはりこの委員会の重要なところは、今まで例えば、人に投資というところに重点化しているわけで、それは最も現場でも、研究費はほとんど物を買うのに使っていて、みんなスペースがないというふうに言っているわけですよね。そこはちゃんと、こういう考え方で人に投資して、人が重要ですよという。そういうときに、例えば年度予算は合わないので、年度じゃない、年度予算じゃないものに持っていきますよとか、そうすると、皆さん、大分うれしくなってきますし、人を育てるには長期的な視点で育成もできますので、そういうところにフォーカスすれば、大学の現場も、これはうれしいなと、どんどんプラットフォームに共有して、技術者もどんどん育成して、URAも育成してというポジティブな方向には働くと思いますので、今回このペーパーの一番重要なのは、人を重視しましょうというところだというふうなところを徹底的に強調していただければなというふうに期待します。
【狩野主査】  ありがとうございます。昨今、CSTIの存在感がこの界隈では大変強いものですから、それも経験されて、そういう御発言があるのはすてきだなと思って伺っていました。という意味では、もう1人経験されている方、いかがですか。梶原先生。
【梶原委員】  私は、すごく小さい話ですが、大学の先生方の意見を聞きながら、産業界から、これはけしからんと思って聞いていた話を御紹介します。3ページ目にある産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン、このガイドラインで、共同研究を進めるために、間接経費として適切な費用を求めてよいということを言っていて、私、基本的にそれは理解して、ちゃんと説明してくれるのであれば、支払うのは誰でも支払うでしょうと思っていたのですけれども、一部、運用のところで、ある企業がすごく大きな、億単位の大きな設備を含めて共同研究を依頼しました。そうしたら、その大きな設備の費用にまですごく高いパーセンテージの額をかけて、これが間接経費ですと。全部すごい大きな金額になっているらしいのです。
 なぜそうなのかと問うと、大学で決まっているのですと。説明ができない状態になっていて、現場の運用に一律こうですよというようなガイドラインが出てしまうと、それを忠実に運用しようとすると、本来は違うのかもしれないところがあまりにも忠実に運用され過ぎてしまって、実際の企業に対してしっかりと、担当の人が説明ができなくて、上から決められているのでというような形になってしまっているという例を聞きました。私は最初、払うべきですよ、間接経費の分もと説明したのですけれども、とても大きな研究設備の費用だったらしくて、それが丸々、さらにそれで人件費も含めての払いだと言われたときには、もうびっくりしました。実際ガイドラインを出したとき、現場で運用するときに、しっかりその運用が望ましく回るようにやっていかなきゃいけないという例もありますというのを、事例としてお伝えします。
 そういう小さな齟齬というのですか、そういうところが大きくなっていくと、またお互いの関係性が出てきてしまうので、信頼に基づいて何かをやろうというときに、少しそこの不協和音が出てしまったりすることもあったりするので、そんなところで参考にしていただけると、そのくらい産学が真剣に話せるような環境になっていて、お互いが腹落ちして納得して進むということが一番望ましい世界だと思うのですけれども、一応そんな事例もありましたということを御紹介しておくので、現場でどのような展開をするか、ガイドラインを作れば以上、終わりではないですよねというところだけ、ちょっと御紹介したいと思いました。
【狩野主査】  ありがとうございました。組織対組織という動き方に慣れていないアカデミアの人もいっぱいおりますので、これらのところが、組織対組織になったときに、現場レベルに行ったときに齟齬がないように、そこもできるかというところは、大きな、これからのチャレンジであるなということは、伺いながらいろんな景色が浮かびました。ありがとうございます。
 すみません、もし皆様、ほかに御意見、おっしゃり切れていないことがありましたら、事務局のほうにお寄せいただければということを思っております。その際は、1週間をめどとしてお願いしますと書いてありますので、忘れないうちにお送りいただければと思います。
 それでは、せっかく最後まで聞いていただきました局の偉い皆様に、また御挨拶いただきたいと思うのですけど、先﨑さんからお願いします。
【先﨑科学技術・学術総括官】  本日もありがとうございました。本年度もよろしくお願いいたします。
 今日、話の柱の1つに、やはり博士人材があったかなというふうに思います。前回、別の委員会なのですけれども、今日も皆さんのお手元にありますが、ガイドブックを使って、企業様と、それから企業団体様と経産省でディスカッションする機会があったのですけれども、企業側は、博士というものを1つの社会人のキャリア、社会人側のキャリアとしても見ましょうと。その上で、オーダーメードで採用していくと。だから、就職のパターンとしては、通年採用で、しかも中途採用のようなイメージで博士というのをタッチするというのがいいのかなというような学びというのが企業側の中にできてきているなというのをすごく感じております。もちろん濃淡はあるのでしょうけれども、その上で処遇をどうするのかということと、それから、これは大学側からも言われていたのですけれども、少し専門がずれると、学部学生と違って、すぐナイーブになってしまうところがあるので、そこはもちろん専門性も評価しているけれど、その基にある問題解決能力とかトランスファラブルスキルを物すごく評価しているんだよというようなことも、企業側からちょっとメッセージとして強く発していかないと、うまくマッチングできないなというような、非常にきめ細やかな対応を考えていかなきゃいけないのであって、その相場感も、企業様はもちろん、かなり有名な企業さんでしたけれども、できているのはさすがだなというふうに思っていました。
 片や、そうなってくると、大学における博士人材の活用ということについても同様に、同じ博士ですから、きめ細やかな対応というのが必要になってくるのではないかなと思って、その意見を聞いておりました。つまり、アカデミアになるというのも、もちろん皆さん大体コース分かっているわけですけれども、それだけじゃない人材というのは、大学内においても必要だと。例えばURA、例えばテクニシャン、さらにそこにはコアファシリティーとの関係であるとか、あるいは大学戦略全体との関係とか、ああいうような、あるいは地域の民間企業、スタートアップとの関わりみたいなことも、当然URAも含めてくると出てくるというような、長期的なビジョンを含めて、博士人材というのをどういうふうにして大学内で活用していくのか。また、それにふさわしい賃金の資金構造というのはどういう形なのか。アカデミアと同じ資金構造でいいのかどうかみたいなことを、各大学において考えていただくというようなフェーズに来ているのかなというふうに思っています。
 さらに、今日、高専の話も出ました。実は、民間の方とお話しすると高専の話がかなりの頻度で出てくるのですが、それは大学においても同じで、例えばテクニシャンの人材供給元として、地域の高専と組むというようなことは大学としてできないかいうような話もだんだん出てきています。いろいろな、お金はないのですけれども、ないなりに、いろんな戦略が各大学においても、JPEAKSもあるのだろうと思うのですけれども、出てきているということなので、ぜひともそういったことが、皆様の今回の議論の成果として後押ししていただけるようなものになっていただけると大変ありがたいなというふうに思った次第でございます。
 また今後とも、国際頭脳循環も含めて御議論いただければというふうに思います。ありがとうございました。
【狩野主査】  ありがとうございました。総括官の先﨑様でございました。
 続いて、審議官の福井様にお願いしたいと思います。
【福井大臣官房審議官】 
 本当に率直な御意見いただきまして、ありがとうございました。そういった生の御意見をいただけるというのが大変ありがたい場かなというふうに思っております。我々真摯に受け止めていかなければと、改めて思っているところでございます。
 今日の御意見の中で、政策を受ける側がどう思うかという意見、非常に重要だと思っておりますし、あとは、昨今EBPMが重視される中で、そのエビデンスに基づいてということで、もっとエビデンス的なものも用意していかなきゃいけないかなというふうに、お伺いしていて思ったところであります。受け手がどう思うかという意味では、若い人がこういう科学技術の分野に進んでみたいなと思えるような報告書ができ、それで主査からもありましたが、それを受けて我々が7期への打ち込みや、あるいは予算、その手前には骨太の方針とかありますが、そういったところにしっかり挑んでいけるように、今日で大分意見出た感じではありますが、まだまだ7月まで委員会ございますので、引き続き生の声をいただければというふうに思います。
 本日は本当にありがとうございました。
【狩野主査】  ありがとうございました。この委員会は、このように偉い方々に最後まで聞いていただける機会が多いすてきな委員会でございますので、皆様、ぜひおっしゃりたいことをおっしゃっていただいて、お伝えいただければと存じます。
 誠にありがとうございました。それでは、終わりに、髙橋さんから今後の連絡をお願いいたします。
【髙橋人材政策課長補佐】  次回の人材委員会は、5月19日になります。また、本日の議事録につきましては、皆さんに御確認の上、文部科学省のホームページにて公表いたします。
 以上です。
【狩野主査】  皆様の活発な御意見に改めて感謝を申し上げます。あまりたくさん御発言いただけなかった方、ぜひ次回以降に活発にお願いできればと思います。
 それでは、ありがとうございました。これにて閉会といたします。

―― 了 ――

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