人材委員会(第102回)議事録

1.日時

令和6年6月24日(月曜日)16時00分~18時00分

2.場所

科学技術・学術政策局15F1会議室及びWeb会議(ZOOM)

3.議題

  1. 2050年を見据えた「シン・ニッポンイノベーション人材戦略」(案)について
  2. 科学技術イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材に関する課題の整理と今後の在り方
  3. その他

4.出席者

委員

 狩野委員、稲垣委員、梶原委員、迫田委員、隅田委員、長谷山委員、桝委員、水口委員、村上委員、柳沢委員

文部科学省

 西條大臣官房審議官、生田人材政策課長、髙見人材政策推進室長

5.議事録

科学技術・学術審議会 人材委員会(第102回)
 

令和6年6月24日

 
 
【狩野主査】  ただいまから科学技術・学術審議会 人材委員会の第102回を開催いたします。
 本日の会議は、冒頭より傍聴者の皆様に公開しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。なお本日は定足数を満たしております。
 議事に入ります前に、本日の委員会の開催に当たりまして、事務局の皆様から注意事項と資料の確認をお願いできればと思います。
【滝沢人材政策課長補佐】  本日の会議は対面とオンラインのハイブリッドでの開催となりますので、対面で御出席の委員は、御発言の際には挙手または名立てなどで御合図をいただき、オンライン御出席の委員は挙手機能により挙手ボタンを押していただき、主査より指名を受けましたら、お名前をおっしゃっていただいた上で御発言いただきますようお願いします。
 機器の不具合等がございましたら、対面で御出席の委員は会場の事務局にお声がけいただき、オンラインで御出席の委員はマニュアルに記載の事務局の連絡先に御連絡ください。
 資料につきましては、Zoom上での共有も行いますが、会場ではお配りしておりますので、各自お手元の資料を御覧ください。
 それでは、資料を確認させていただきます。事前に送付させていただいた資料といたしましては、議事次第、資料1、資料2-1、2-2、参考資料1、2、参考資料集でございます。議事の進行の過程で不備等がございましたら、事務局までお知らせ願います。
 以上でございます。
【狩野主査】  それでは、本日の議題に入ってまいります。本日の予定の主な議題が2つございまして、1つ目にまず参ります。「2050年を見据えたシン・ニッポンイノベーション人材戦略」という題でございます。以前から議論をしてきたところですが、今日の御意見をもってそろそろ完了ということを考えておりますので、意見等がある方はぜひ今日のうちにお出しいただければと思っております。今までいただいた御意見も踏まえて改善版を作ってくださっておりますので、これの内容について、生田人材政策課長から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【生田人材政策課長】  それでは資料1に基づきまして、事務局から説明させていただきたいと思います。
 資料1の体裁といたしまして、黄色でマーカーが引いてあるところが前回の5月30日のバージョンから修正した部分でございますので、その旨あらかじめ申し添えます。
 まずタイトルのところで、前回の人材委員会でも様々御議論ありましたが、ひとまずこのとおりとさせていただいております。
 ただ、この黄色のところにございますように、「イノベーション人材」という言葉のニュアンスが、人によって異なる恐れがありますので、ここで定義づけを書いております。
 「研究者、技術者、研究マネジメント人材、リーダー人材等、社会の中で新しいアイデアや価値を創り出す人材や、そうした人材を創り出す教員・サイエンスコミュニケータ等の総称」と、かなり広い形で、まずイノベーション人材というものを捉えてこの戦略を作っているという形にさせていただいております。
 続いて1ページ目でございます。こちらは、我が国のイノベーションに係る背景ということで、前回の御議論でも、ネガティブ思考から入っていくというのは戦略としてどうなのかというような御意見をたくさん頂戴したと覚えております。
 一方で、この1ページ目の背景は我が国をとらまえた背景、ファクトベースのものでございますので、書いてある中身自体は変えておりません。
 ただ、タイトルとして、例えば、「人口動態の状況」のところは、もともとは「人口減少・少子高齢化」と書いてありましたが、「人口動態の状況」とあくまでもファクトを書いているという形で項目を変えております。
 同じく相対的な地位の「低下」と書いてあったものを「相対的な地域の状況」、右下、「研究力・技術力・起業力」の「低迷」と書いてあったものを「現状」という形に修正をさせていただいております。
 続いて、2ページ目のところでございます。こちらはかなり黄色が多くなってございます。こちらはもともと、我が国のイノベーションに係る「問題点」ということで、ひたすら課題を連ねておりました。
 ここの背景としまして、課題から我々政策として何を打ち込むかといった思考回路で政策文書を作っておりましたが、この間の御指摘を踏まえまして、まずタイトルも「状況と改善の兆し」と、課題はもちろん認識するが、それに応じて少しずつ変わってきているという兆しが見られ、それを追記する形で修正をさせていただいております。
 具体的に申し上げますと、まず「次世代人材の進路選択」で、理系を目指す女子について、いまだに男子に比べては少ないですが、少しずつ増えてきている兆しを記載したり、「DXやデジタルツールの活用を通じた、生徒一人一人への個別最適で協働的な教育機会の提供充実など」と、昨今こういった取組も行われ始めているというような形で付記したりさせていただいております。
 続いて「イノベーション人材を取り巻く状況」について、博士、ポスドク・若手、そして流動性の記載があります。もともと「内向き」でしたが「外向き」という形で変えていています。博士のところにつきましては、矢印の先として、「スタートアップをはじめとする企業での博士人材の活躍拡大など」と、まだまだ博士を持つ意味合い、価値というものの評価を社会で上げていかなければいけないといった課題認識はあるものの、昨今少しずつ、こういう活躍がなされる現場というのも出てきているということを追記しております。
 マル2、ポスドク・若手についても、「任期なし」等言葉を少し補っております。矢印の先として、若手研究者等をめぐる窮状に対する社会的な認知度も高まっており、政府としてもこれに呼応した長期的・安定的な視点での諸施策が展開されているといった形で兆候を書いているところでございます。
 マル3、流動性・外向き志向も同様でございますが、矢印の先、「ジョブ型雇用や個人の働き方の価値観が多様化する中、若手の転職に対する肯定的意識が向上しているなど」という形で付記をしております。
 左下、「社会的環境」のところでございます。こちらは少し言葉を補っております。もともと「ゼロリスク志向」や「事なかれ主義」といった言葉が並んでおりました。そこを「慎重な国民性」とし、「(失敗を恐れ、リスクを避ける)や新卒一括採用の雇用の慣行など」という形で文言を変えた上で、矢印の先は、「リスクに挑むスタートアップ育成の機運醸成や、国際的な人材獲得競争激化に伴う通年採用の拡大など」といった形で、昨今行われつつある社会的な変化を記載しております。
 「社会的コミュニケーションの変質」は、1点項目を増やしております。日常生活や社会の基盤となり得る最先端の科学が急速に高度化・複雑化することに伴い、社会にとって科学が近くて遠い存在になりがちであるといったことを、変質としてファクトベースとして書いており、矢印としては、場所や環境によらず、誰もが最先端の科学に触れられる機会が増大、もしくは、人と人とのつながりですとか、直接本物に触れるリアルな経験を通じた感性・感覚の醸成などという形に記載しております。
 これに伴いまして、右のもともと日本地図の上に「Problem」と書いておりましたが、これを「Now&Perspective」という言葉に修正をさせていただいております。
 続きまして、3ページ目でございます。こちらは、我が国が目指す国家像とそのために必要なイノベーション人材(大方針)として、ここを「3つの力」という形で、書かせていただいております。
 その上のところに、冒頭にも記載したイノベーション人材の定義を再度こちらにも記載すると同時に、3つの力の下に、1人の人間がこの3つの力を全部持つということではなく、チームとしてこの3つの力が総合力として備わるような形が目指すべき姿じゃないかということをより明確に分かるように、「1人が3つ全ての力を持つわけではなく、それぞれの力を持つ多様な人材のチーム力として発揮」というものを書いた上で、力の説明をしております。
 また、前回の会議の資料では、この力を6つに分けておりましたが、6つだと頭に入りにくいということもあり、その要素を3つに整理した上で溶け込ませるという形で整理をし直させていただいております。
 言葉として変更したのは、01のつなぐ力、俯瞰的・統合的視点、そして、デザインする力、コミュニケーション力の発揮、そしてネットワークの築きといったような言葉を補わせていただいておりますが、言葉というよりは、6つを3つに整理をし、さらにその3つを1人が持つわけではない、といった明確化の修正に伴う黄色のマーカーとなっております。
 続いて4ページ目でございます。イノベーション人材戦略の具体の中身に入ってまいります。
 こちら、まずゼロのところ、これが1、2、3の全体に通ずる社会的な基盤のようなところでございます。まず左側は前回の意見で出ましたDE&I(ダイバーシティ・エクイティ、インクルージョン)のようないった要素も必要ではないかという御指摘をいただいておりましたので、「相手が自分と似ているかどうかにこだわることなく、DE&I、すなわち相手の違うところを互いに活かし合うことが当たり前の社会」と追記させていただいております。
 また、真ん中の部分でございますが、これは地域との協働や共創社会といった要素がないのではないかという御指摘を踏まえまして、「地域・社会課題の解決に資する科学コミュニケーションを通じた共創社会の形成」といった文言を追加させていただいております。
 そして右側はテレビ等の受動的メディアの重要性も書くべきではないかといった御指摘を踏まえまして、「受動的なメディア(TV等)を通じた、関心の有無によらず、誰もが共有できる日常的な科学の存在の浸透」というような形で追記をさせていただきました。
 「1.次世代育成」の右端でございますが、こちらは、「特定の分野に優れた意欲・能力を持つ児童生徒の能力をさらに伸ばす取組推進」と記載しておりましたが、これの層を広げていくということも重要ではないかという御指摘を踏まえ、その旨文言を追記しております。
 続いて5ページ目でございます。「2.抜本的強化」のところでございますが、ポスドクの関連の文言が、欠けておりましたので、「ポスドクの力を最大限活用」という形で、追記をさせていただきました。
 また「3.流動性確保・好循環」のところで、当たり前かもしれませんが、「国籍、性別、組織、分野等の壁を越え」と様々な壁を越えて連携していくといった要素を追記するとともに、一番右の国際頭脳循環のところですが、人的ネットワークの形成というものが「将来的にも有益な早い段階からの」という要素を追記するとともに、「海外に在住する優秀な人材を包含した国際頭脳ネットワークの獲得」と、こちらも前回の委員会での御意見を踏まえて追記をさせていただいたものでございます。
 ここまでが戦略の中身でございまして、次の6ページ目が全体の理想像でございます。こちらのタイトルも、あえて「イノベーション人材の目指す理想像」という形で修正させていただき、前回からかなり見た目も変わっております。まず、大きく茶色で回った矢印を追加させていただいております。
 こちらの矢印は、研究者や多様なリーダー人材等々の枠が固定化して、一回研究者になったらそのまま研究者にしかならないというものではなく、それぞれの境界を越えて、人材が生き生きしながら全体として循環するというイメージが理想像ではないかというような御指摘もございましたので矢印で表現しております。
 さらに、見た目の変化として、海外では多様なリーダー人材が中心ではないかというような御指摘もありましたので、前回リーダー人材は右端に点々で書いてあったのですが、真ん中に持ってきております。
 また、技術者に含まれる技能者と高度研究マネジメント人材の技術支援人材が一部重なる部分もあるのではないかという御指摘もございましたので、こちらについては少し重なっていくようなニュアンスが出るような絵に修正をさせていただいております。
 このほか言葉として、研究者の一番上のところをもともと「研究責任者」として教授やセンター長と書いておりましたが、あまり細かく規定するよりは、若手PIのその上、「教授等シニアPI」と修正するとともに、博士後期課程学生のところはもともと「能力の多様化・可視化」でしたが、「能力深化」として能力をさらに深めるという意味合いを補っております。
 その下は、前回は書いておりませんでしたが、学部・博士の前期課程(修士課程)学生がごっそり抜けておりましたので、ここを追加するとともに、小中高校について、もともと「理数分野で卓越した才能」という形で記載をしていましたが、必ずしも理数分野に限定するものではないだろうということで、「好奇心に基づく探究力」というような言葉に修正をさせていただいております。
 7ページ目以降は、前回から特に修正はございません。第6期の科学技術・イノベーション基本計画における人材政策に係る目標値と、最後の9ページ目は、博士人材活躍プランにおける指標でございます。
 なお、本日参考資料も配付しておりますが、参考資料にこの博士人材活躍プランの概要については前回ついておりませんでしたので、追加をさせていただいております。そちらも御参考いただければと思います。
 資料の説明は以上でございます。
【狩野主査】  ありがとうございました。
 それでは、続いて質疑応答に移ります。今日の質疑応答をもって本内容をまとめ、上の審議会に出してまいりますので、ぜひ思いついたことは教えていただきたいですが、ここで意見が出たからすぐ政策として取り組めるかどうかということもあり、他方で、せっかく意見を出したからには、我々あるいは今日傍聴の皆様、それからそのほかのつながる皆様に、頑張ってこの政策を次やろう、ということを言っていただくのにも活用していただけるといいかなと思います。そういうことを思ったときに、あとどんな表現があればいいかいうことを教えていただければと思っております。
 また、もう1つ個人的に申し上げれば、「イノベーション」とは「新しい組合せ」ですが、「文部科学省」の名前と「この内容」の組合せというのは「シン」であるという感じはしておりまして、委員の皆様のいろんな御意見があったおかげさまで、非常に今後必要なことが、文部科学省として出していただけているのではないかという気がしております。ぜひとも加えての御意見をお願いしたいと思います。
 水口委員、何かありますか。
【水口委員】  ありがとうございます。若手のアカデミアの人材やスタートアップのところは、博士人材は増えており改善の兆しというところは見えていると思う一方で、若手のアカデミア人材が、希望のある未来が見えているのかどうかというところは、いろいろな声も聞きますし、その辺についてのところがもう少し含まれているといいのかとは思いました。
【狩野主査】  それはどういう表現がいいでしょう。例えば、「当事者の声を聞きながら進めていく」とかということですか。
【水口委員】  そうですね。いろいろ意見は上がっていると思いますので、その辺を拾いつつ、どう政策に生かしていくかが重要と感じます。
【狩野主査】  じゃあ、あるいは「当事者と共に進めていく」とかいうようなことでしょうか。
【水口委員】  はい。
【狩野主査】  大変ありがとうございます。アントレプレナーシップ的にも、後で何か思いついたらまた教えてください。
 では迫田委員、お願いいたします。
【迫田委員】  迫田です。見直していただいて、全体としては非常に分かりやすくなったと思いました。
 大事なことは、指標をどう設定するかというところだと思っています。なかなかこれは難しいですが、現状認識が1ページのところだとすると、研究開発力で後れを取っていること、それから起業が十分ではないということ、という2点が上がっていると思います。この辺がアウトカムの指標になるところだと思いますが、起業というのはほかの要素もあり過ぎるので、科学技術力を上げるというところで設定すべきだと思います。議論はあると思いますが、例えば引用された論文数や大学ランキング等、今は負けているというところに関して、それを改善していく目標設定をすることが必要ではないかと思います。
 その上で、人材委員会として人材面での指標を考えていくわけですが、これは博士の数と質をどう上げていくのかということになると思います。数値目標については奨学金の話が出ていますが、今から何倍に増やすとかいうのは、この間も申し上げましたが、あまり指標としてはふさわしくないだろうと思います。生活するのに十分な金額であり、海外からも人が呼べる金額ということを考えれば、例えば、一般の働いている人の所得に対してどの程度のレベルなのか、それが諸外国の博士課程と比べてどの程度なのか、といったところが指標になるでしょう。なお、一方で流動化を促すと言いながら、社会人については会社任せというのは完全に矛盾していると思うので、社会人も含めて考えることも必要だと思います。
 研究の質を上げるという観点でいうと、例えば1人当たりの研究費は諸外国と比べてどうか、我々のライバルの国々と比較してどうかということを、ファクトとして固めて、それをどこまで上げるというふうに目標設定していかないと、結局、頑張ったけど、どれだけ効果があったかは分からないということになるのではないかと思います。
 それらを実現しようとすると、金額的にはとんでもない感じになると思いますが、ここまで上げようとするとこれぐらいの金はかかるということを明確に提示することも、政策を考えていく段階では必要なのではないかなと感じました。ぜひ、そういう観点で詰めていただければと思います。
 以上です。
【狩野主査】  大変ありがとうございました。量的指標的に、できれば背景から政策的
介入があって、どんな結果が導けるかという表現が使えるようにという観点、それから、
企業任せじゃなくて社会全体としてやっていかなくてはいけないという視点、そして、量
的指標の中に、例えば研究費総額としてどうなのかということ。これも平均値にすると
多額をもらっている人に引っ張られて大変大きな額になりますので、中央値的な表現が要
るかなとか、いろいろ思うところがありながらお伺いいたしました。どのぐらい反映で
きるか分かりませんが、事務局と御一緒に考えてみたいと思います。
何かこの時点でお返事はありますか。
【生田人材政策課長】  迫田先生、ありがとうございます。まさにこれは今人材委員会としてのKPIで、それは人材施策としてのKPIではありつつ、最終的には当然、我が国の研究力、成長力というところに寄与していくと思っておりますので、最後は、現時点の第6期科学技術・イノベーション基本計画の中でも、GDP比や科学技術・イノベーションに対する政府投資、もしくは民間と合わせての投資額のようなものが、目標値として第6期でも掲載されているところでございますので、その辺は文部科学省だけでは力不足なところもありますので、政府全体として考えていきたいと思っております。さらに、そこから分解する中で、人材、博士に関する指標の設定の在り方というのは、今迫田先生がおっしゃったような、例えば社会人に対する支援はどうしていくべきかなど、大学ではなく一般の世の中に就職した人との比較において、どのぐらいの奨学金のような経済的支援を受けるべきなのかといった政策としての設定の在り方というのは、我々としてもしっかり考えていかなくてはいけないと思っており、引き続き検討していきたいと思っております。ありがとうございます。
【狩野主査】  ありがとうございます。もう1つ、今伺いながら思ったのは、選び方や配り方の議論も、人材の育成に対して、限りある資金をどう使うかという意味で大事かもしれないということでした。今後の議論の糧になるかもしれません。ありがとうございます。
 では、桝委員、お願いいたします。
【桝委員】  よろしくお願いします。今ちょうどお話にもあった定量的な指標という点ですが、特に私自身が今回意見させていただいたコミュニケーションの部分というのは、定量的な指標の効果が全然はかれないタイプのものだと思います。
 逆に言うと、効果がどれぐらいあったかというのをあまり気にせず、これだけやりましたというだけで止まってしまうというパターンが、これまでの科学コミュニケーションは多かったかなというふうに感じています。特にマスメディアの場合は、国民全体のイノベーション人材としての科学リテラシーが上がったかどうかを定量的に評価するのは大変難しいので、そこは無理だとしても、少なくとも今回のこの戦略で目的の1つとしている博士人材を増やすという点に関していうと、実際に博士課程に進んだ人たちに対して、何をきっかけにその道を選んだかとか、こういうコミュニケーションの場があったから選ぶ後押しになったとか、フィードバックをできるアンケートのようなものは作っておいたほうがいいのではないかと思いました。
 これは人材戦略案の中に入るという意味ではなく、実際にこの戦略が役に立ったかどうかということを確認するような仕掛けというものは念頭に置いておいたほうがいいのかなと考えております。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。昨今、特に社会科学の分野で「ミクストメソッド」という言い方があって、量的指標と質的指標をうまく両方とも使いましょうという話があると思います。
 アンケートも結局、半定量的ではありますが、数値化しているような雰囲気になるという意味ではいいのかもしれません。データの取り方で、はかるとうまく介入効果がはかれるかという方法も、一緒に考えていく必要が今後あるなということを思いました。
 どうしても量的指標に頼りたい人がたくさんおられるのですが、質的指標じゃないとまずは言い始められないところがあるかもしれず、その結果として、どうやって量的にするのかということは、今後の議論の課題だなということを思って伺っておりました。ありがとうございます。
 何かこの時点で。よろしいですか。
 では続いて、稲垣委員、お願いたします。
【稲垣委員】  取りまとめありがとうございます。気になったのは、以前柳沢先生が、科学技術・イノベーションだと後ろ寄りの話になってしまってということをお話しされていたと思いますが、この資料だけを見ると、どうしてもイノベーションだらけになっており、基礎科学はいいのか、と思われる方が多いのではないかなということを気にしました。
 イノベーション人材の定義とかのところに研究者と入っていますが、それも出口志向の研究者しか入らないのかといった誤解をお持ちになる方もいらっしゃるような気もするので、本当の基礎科学も含めての内容というのが伝わる言葉遣いのほうがいいのかと思いました。
 3ページの左上には「科学技術イノベーション」人材と書いてありますが、それ以外は全部「イノベーション人材」になっているようなので、そこの言葉とか説明の仕方を工夫されたほうがいいのではないかなと思いました。以上です。
【狩野主査】  ありがとうございます。
 政策化にして政策的資金にもつなげていこうと思うと、その方面の方々にも分かりやす
い表現である必要がある一方で、今おっしゃったような面もあり、どのぐらいの表現でバ
ランスをとるべきかと、私も悩ましく思っていました。黄色で米印として表紙に書き加
えてある部分がそういう意味だったというところがございます。「研究者、技術者」等々の名前が並べてあり、その中で、「社会の中で」と書いてあるけど、新しいアイデアと
いうところに基礎的なアイデアも入っている、と言いたかったところはあります。
なかなか、好奇心に基づいて、だけれども、新しいことを見いだしていくということも、
結局人間が持っている、何か説明されていない事象に説明をつけたいというニーズの表れ
や、社会の中での必要な新しいアイデアかなと思ったりもしています。生田課長、何か加
えてくださいますか。
【生田人材政策課長】  実はこの言葉と6ページ目の絵はある意味連動していると思っておりまして、この6ページ目に研究者からいろいろな人材が書いてありますが、こういう全部のことをまとめて、我々としてはこの戦略の中では言いたいのです。
 ということをどう表したらいいのかというところで悩んで、先ほど主査からお話があったとおり、すごく長い注釈を加えました。
 引き続き検討したいと思います。ありがとうございます。
【狩野主査】  少なくとも私が扱う範囲では、そういう注釈をつけながら行きたいと思っております。必ずしもお金にすぐにつながらなきゃいけないというつもりではない、ということで行きたいと思っております。
 隅田委員、お願いいたします。
【隅田委員】  よろしくお願いします。博士号の取得数を増やすということに関して2つ、まず質問があります。
 1点目は、単純に数を増やすのではなく、例えば現状で分野の偏りや、あるいは本来あってもいいのに、この分野で博士号が取得できていないとか、そういう何かもう一歩あったほうがいいのではないかという点です。もう1つは、博士号取得者が地域の偏りなく、全国どこにも博士号を持っている人がいるような国にするとか、単に数を増やすだけでなく、もう一つ踏み込んで説得力があるものがあったらいいと思うのが意見です。
 あともう1つは、5ページ目の国際化のところで、早い段階から人的ネットワークをつくるというのは、これはもう間違いなく有利ですよね。
 それで言うと、私が例えば関わっている初等中等でも、アジアの中だけでも、サイエンスもできて英語もできるような生徒が一定数います。大学生だけでなく、もう少し下の段階から国際的な科学技術人材育成の推進はあっていいのではないかと思いました。
 同時に、これで留学経験が関わると、地域や経済的な格差がかなり効いてくる取組です。大学自体もそうで、同じ国立大学の授業料を払っていながら、特定の大学は非常に手厚い奨学金があったりするわけで、この辺りは何かサポートがあるといいと思いました。
 以上です。
【狩野主査】  これも大変大事な御指摘で、ありがとうございました。今回の内容で加えられるかは分からないですが、今後ぜひ考えていかなくてはいけない内容と思って伺っておりました。
 特に、博士の分野、そして地域のサブグループ化をしたときの数はどうなのかという視点や、早くからネットワーキングをするときに、それに対する経済的サポートのありようが全国の中で均一ではないんじゃないかという御指摘、これも、さすが愛媛におられるだけあって、ありがたいコメントであり、ぜひこういうことについて考えていく必要があると思ったところです。大変ありがとうございました。
 隅田先生、加えて、大学に至る前の教育に関する記述に、ほかの点はいかがでしょうか。大体こんなところでよろしいでしょうか。
 特に層を厚くするというところは、ダイヤグラムのページには書いていませんでしたが、何かございましたらお願いいたします。
【隅田委員】  先ほどの英語もそうですが、能力がある人が、数も多く能力も高いというのが、もう今は掛け算で考えなくてはいけないので、その総量で強くするというか、人口が減っているから総量でと言われても苦しいのかもしれませんが、ネットワークも含めて、優れた科学技術人材が、数も要るというのはスタートポイントかとは思います。
 そう考えると、幼い時期は結構いますから、初等中等のときに離れてしまうことの内容に、残しておきたいチャンネルだと思います。
【狩野主査】  ありがとうございます。これは桝先生がどこかのタイミングでおっしゃっていたことですが、全員に聞かせられるチャンスとして義務教育というのは大変重要な機会であるということだったので、それを踏まえて何かできることがあるといいなと思いながら伺っておりました。
 これは科学技術・学術政策局だけだとできないかもしれませんので、必要があればほかのところとつながりながらやっていく必要があるということも思っております。
 梶原先生、何かございますか?
【梶原委員】  ありがとうございます。文言的に細かいところをコメントしながら、少し申し上げたいと思います。まず資料の4ページのところで、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの表現があるのですが、このDE&Iの本質は、その人それぞれを尊重するということから始まると思っているので、「相手の違うところを互いに活かし合う」というところの直前に、「ところを尊重し」と入れていただくほうがいいかなと思いました。
 それから2ページ目のところですが、ネガティブ表現ばかりではなくて改善の兆しも入れていただいて大変ありがとうございます。
 私が伝えたかったことは、改善の兆しがあるので、この流れを加速させるというところが最も重要だと思っており、そういうスピード感を持ってやるんだというトーンがどこかに、見えてくるといいと思います。「スピード」という表現が入っているかどうか確認できていませんが、本質はそこだと思っていまして、例えば、資料2‐2のURA(ユニバーシティ・リサーチ・アドミニストレーター)の認定制度の話ですとか、あるいは文部科学大臣表彰について経営層に対する周知とか提言みたいなところがまだ不足しているから十分やらなくてはいけないというのを見ていると、以前から政策で取り組んでいるので、実際に政策をつくっている側と、本当の現場の間でのコミュニケーションの在り方を少し工夫するだけで、もっと加速して動き出すのではではないかということを期待したいところがあります。そういった意味では、兆しというふうに言いたかったのは、もう動いているところは動いているので、それを早く加速して変革していきましょう、変化を起こしていきましょうよというところをお伝えしたかったということです。
 イノベーションという表現をどうするか。「イノベーション人材」というと、同じように経済産業省でも取り組んでいますので、ぜひ文部科学省のこの成果を、経済産業省のしかるべき部門と意見交換しながら、お互いが同じ方向を向いて相乗効果で動いていただけるといいと切に思っておりますので、よろしくお願いいたします。
【狩野主査】  たくさんの御指摘をいただきましてありがとうございました。
スピード感ですね。ぜひと思います。スピード感を出すには役所だけではなく、関係各
所がやらないといけないので、今関係している人たちもスピード感が出せるところはぜひ
出すべきということがあるでしょう。それから、主体が違えば、違う優先順位を持てるところとの協働も必要でしょう。経済産業省をもし話題に出されたとすれば、そちらは比較的産業的にサイクルとしていい方向というのをできれば。
【梶原委員】  もちろん経済産業省なので、日本の産業に関する産業政策ですけど、人材育成は基本のところです。同じように博士人材の重要性を認識し動いているので、あれはあれ、これはこれというよりも、それこそ垣根を越えて議論が必要だと思います。産業界もアカデミアも、でしょうし、省庁でもです。新しい価値を実装するイノベーションを実装するという、最終的な実装のところまで行くと産業化の形で、スタートアップ、大企業の世界ですが、そこに至るまでは、基礎研究がしっかりあってというところがありますから、シームレスにお互いのことを理解しながら、それこそダイバーシティとして尊重し合ってまいりましょう。
【狩野主査】  まさに、尊重し合いながら、ということですね。ありがとうございます。
 そういう志を同じくする人が、今の壁を関係なく集まれる場の設定というのも、そういう意味では大事かもしれないですね。
 それが霞ヶ関でお出来になるかどうかはまた検討していただくとして……。
【梶原委員】  できますよ。できます。
【狩野主査】  あ、できます。そうですね。じゃあ、背中を押すように。
【梶原委員】  何事も意思があれば変われます。
【狩野主査】  そういうところを御指摘いただきました。ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。長谷山委員、お願いしてよろしいですか。
【長谷山委員】  長谷山です。きれいにまとめられた資料で、生田課長の御説明も大変お上手で、最初から最後まで流れるように聞かせて頂きました。今回のこの資料ですが、科学技術・イノベーション基本計画をにらんで、人材委員会の範囲の中で、次の策を打つという意味合いがあるように思っているのですが、そのような視点でよろしいでしょうか。生田課長、いかがでしょう。
【生田人材政策課長】  はい、そのとおりでございます。
【長谷山委員】  そのように考えますと、今までとは違っていて、やるべき大方針がまとめて記載されているのは、3ページでしょうか。それとも、何ページになりますでしょう。
【生田人材政策課長】  はい、そのとおりでございます。
【長谷山委員】  そうだとすると、一番今までとは違っていて、やるべきことというのは、3ページでしょうか。それとも、何ページになりますでしょう。
【生田人材政策課長】  3ページはどちらかといいますと、本当に大上段の方針を示していまして、4ページ目5ページ目が、我々の施策の1つ上の上位レイヤーの考え方となっております。
 おそらく長谷山委員の問題意識としては、今までと何が違うんだというところですよね。
【長谷山委員】  穏やかに申し上げたことで、明確さが欠けてしまったのだと反省します。生田課長にはお分かり頂けたようで、ありがとうございます。ご理解の通りです。今までとの違いのポイントを知りたいです。
【生田人材政策課長】  それは、施策レベルに落とし込んだときのイメージですかね。
【長谷山委員】  そうなります。私の理解力の問題だと思うのですが、それが透けて見えるところが、残念ながら分からなかったのです。どこになりますでしょうか。
【生田人材政策課長】  正直申し上げると、この基礎研究者も含めてのイノベーション人材を語るときに、今までやっていないことってないのではないかなと思っています。やり方が薄い、もしくはやり方が間違っている、もしくは何かやり方が足りていない、お金の問題だけではないとは思いますが、そういう課題意識を持っておりまして、その課題認識を書いたのが6ページ目のところで、吹き出しでいろんなことが入っているのがまさにそういうことです。
 いろんな人材がいるけれども、例えば研究者のところでいうと、ポスドク人材、不安定な身分からの脱却や、若手PI、独立した研究環境や安定ポストの確保が必要だとか、それぞれに対する課題意識があり、それに応じて様々な施策を我々は展開してきているというようなことを想定しておりまして、そこまで実は本当に穴が空いているところがあるのかというと、あえて申し上げると、この高度研究マネジメント人材にこれほどフォーカスを当てたことはなかったというのは一つあるのかなと思います。
 それに関しては、今日の議題のもう1つのほうで、ワーキング・グループを人材委員会の下に立ち上げて、ここ数か月間議論をしてきた内容を御報告させていただきますが、その部分、今までやっていなくはないのです。まさにURAのようにいろいろやってはいたと思うのですが、こういうふうに研究者・技術者等々と同じような形で議論してきたかどうかというと、そこはそうではなく研究者が研究成果を出すというのが第一義的にあって、それをサポートする人という意味合いでのURAという語られ方しか今までしていなかったのではないかというような問題意識は持っており、その部分は、今回の戦略の中では、そうではなくて同列にするというような形でさせていただいているところではあります。
 あとは、個人的に申し上げると、実は技術者のところも、文部科学省としてはなかなか弱いところであり、あとは、先ほど桝委員からも御発言いただいたように、科学コミュニケーションところも、具体の施策として何をやっているのかと言われると、少し弱いという問題意識を感じているところでございます。
 王道の若手研究者のところに関しては、博士も含め、今までいろんなことはやってきていたものもありますので、そのようなところをどちらの方向に強化していくかみたいなことを、今後政策レベルとしては考えていきたいなと思っております。
【長谷山委員】  今の御説明ですと、研究者というよりも、研究者を今まで支えると言っていたものが、共にという体系に変化し、対等な組織体制をつくり、そこに支援する予算を当てるというところが具体的な施策で、推進する事業になると理解したのですが、正しく理解しておりますでしょうか。
【生田人材政策課長】  もちろん、そこだけではないですが、今までとの違いをあえて特出しするとしたら、そこは確実に出てくるのではないかと思っております。
【長谷山委員】  URAや技術者、我々大学は、その組織体制を随分と文科省の予算を頂きながら変化させてきたと思っています。そのような現状を御覧になった上で、この政策が出てきたと理解してよろしいでしょうか。
 資料2-2では、事例として、同じ大学の名前が複数回出てきています。何かの文科省予算を獲得し、実施したものなのか、なぜこの大学だけがグッドプラクティスとして仕組みを確立できたのか分かりませんでした。その点は明確に記載することを考えた方が良いかと思います。今回の案は、全国の動きを見て、より効果的な発展のために、技術者、そしてURAに投資する施策を打つものと理解してよろしいですか。
【生田人材政策課長】  そうですね。実際、今日は御紹介できるか分かりませんが、人材委員会の下でマネジメント人材に関するワーキング・グループを回しており、そのワーキング・グループと同時に、文部科学省で全大学に調査はしております。
 それはマネジメント人材ということで、URA等々、それから技術者、技術職員をめぐる、現時点での大学における現状というのを調査し、その調査結果を踏まえて、我々としてもどういったことが必要なのかというのを今後検討していきたいなというように思っているところでございます。
 もちろん、それで十分かどうかという御議論はあるかもしれませんが、一応、机上の空論だけで政策を語るつもりはございません。
【長谷山委員】  ありがとうございます。理解いたしました。人材育成を考えると、次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)で博士課程学生に生活費と研究費を提供し、創発的研究支援事業で若手研究者に長期の研究費を提供する事業が走っていますが、私は、博士課程学生と創発研究者の間に空白があると感じていて、それを埋めていかないと、例えば資料1の6ページにあるような循環によるイノベーション人材の育成の輪が生まれないのではないかと思ったので、そこをうまく埋めるために、技術者やURAと共に前進するという施策が出てくるかと思っていました。しかしながら、どちらかというとイノベーション人材の育成の輪というよりも、技術者・URAに投資する施策を打つように聞こえたものですから、質問させていただきました。
 私の質問は以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。なかなか踏み込んだところをやり取りしていただきまして、感謝いたします。そうですね、そこも一つあり得るポイントではあるかもしれません。
 私があと思っているのは、例えばOECDのトランスフォーマティブ・ポリシー (https://www.oecd-ilibrary.org/science-and-technology/oecd-agenda-for-transformative-science-technology-and-innovation-policies_ba2aaf7b-en) の中で言われている、社会の中で解いたほうがよい内容と、関連する科学技術との接合を進めていくべきだという国際社会での一つの流れがある中で、その選び方、配り方の方向をどういうふうにしていけばいいだろうかということも今後課題になって行くだろうと思っています。それと創発的研究支援事業のありよう、それから今の次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)のありようというものを考えたときに、物差しが一本で大丈夫だろうかということも思ったりはするところがありまして、今後また議論できればなと思って伺っておりました。
 
 では続いて、村上委員に先に御発言いただければと思います。
【村上委員】  6ページのイノベーション人材の目指すべき理想像というこの図は、大変よくできていると思います。
 こういうところに全て関わる人たちを総称して「イノベーション人材」と言っているということはよく理解できるので、私はこの言葉を使うということで特に問題はないと感じています。
 その中で、研究者のウエートをどうするかとか、技術支援人材とか、高度研究マネジメント人材のウエートをどうするかというのは今後の議論だとは思いますが、そういうところを全部包括して「イノベーション人材」と呼んで、全体的に目配りをして、これから人材の育成なり活躍促進なりをしていくのはいいことではないかと思います。
 ただ、この中で、多様なリーダー人材というところが、前はちょっと右のほうにあったのが左のほうに寄ってきたのは、ここが今すごく我が国に欠けている部分なので、そこに目を向けるという意味でもいいと思いますが、「スタートアップ(CTO等)」と書かれている部分が、多様なリーダー人材に入っていることについて、CTOだったらリーダー人材なのかもしれないのですが、アントレプレナーだったら、リーダー人材というところに入るのに違和感があるような気がしています。
 経営層や行政官などとは違う支援も必要な部分ではないかと思いますので、ここは検討の余地があるのではないでしょうか。CTOだけだったらリーダーでいいという気はしますが。
 それからKPIに関して、私が前回申し上げたように、「博士人材活躍プラン~博士をとろう~」のところの指標に関しては、まだ納得しているわけではありません。既にここは設定された指標ということなので、今回あえてさらには申しませんけれども、前回発言させていただいたような意見は持っているというところでございます。
 以上です。
【狩野主査】  大変ありがとうございました。CTO等のところについては、水口委員がまさに御経験したかと思いますので、一言いただければと思っているところです。
【水口委員】  ありがとうございます。そうですね、CTOだけに限らず、CXOという表記、XはOであったりEであったりいろいろあると思いますので、そういう表記のほうが、より多様なリーダー人材を表す言葉かなと思いますので、そういった修正があるといいかなと思います。
【狩野主査】  ありがとうございました。では、そのように修正させていただきます。
 村上先生、ありがとうございました。
 では、続いて迫田先生お願いします。
【迫田委員】  ありがとうございます。先ほど言い忘れたのですが、博士を増やすというところについては非常にいいことだと思いますが、同時に出る方を考えることも重要です。先ほどの村上先生の懸念のところにもあるかと思いますが、どこで活躍いただくのかという点についておおよその目安があっていいのではないかと思います。
 7ページのところに、産業界では採用者数を1,000名増やすという目標がありますが、これはこれで構わないのですが、これだけで上手くいくかどうかという点がよく分からないです。パブリックセクターではどの程度の規模なのか、あるいはアカデミアで、先ほどのURAなどを含めてどれぐらい拡大していくのかという点がよく分からない。出口の数がちゃんと合っていないと不安は払拭できないし、計画、グランドデザインにならないと思います。概要だけで結構なので出口のところを表に出したほうがいいのではないかなと思いました。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございます。博士人材に関する出入りの数が合うかどうかということでございますが、政策的におっしゃれる範囲があればお願いします。
【生田人材政策課長】  まさにおっしゃるとおり、今回、博士活躍プランの中で一番強調しているのが、博士を増やしただけでは結局最後困るよねという、我々政策の反省は当然思っておりますので、博士人材を増やして、それをどこで活躍いただくかということにかなり注力をした形で、活躍プランというほうも議論をして作っているところでございます。
 今、迫田委員おっしゃったように、それをエビデンスベースではないですけども、現状においてどこにどのくらいいるのか、それを例えば5年後にどういうふうにしていくのかといった相場感を頭に描きながら、確かに政策を打たなければいけないというのはごもっともだと思いますので、そこも含めて、目標設定を考えるときには議論していきたいと思っております。
 以上です。
【迫田委員】  ぜひお願いします。数は増やしたけど、結局出口のところでそれだけ道がなかったということで、非常に困ったことになってしまった反省があるので、今回はそういうことはないようにしていかないといけないなと思います。ぜひよろしくお願いします。
 以上です。
【狩野主査】  重要な御指摘をありがとうございました。例えば産業界で出口を増やせと言って増えるかどうかという問題もあるし、アカデミアはアカデミアで国民人口が減っていく中で、公費を回していくか、公的資金を回していくかということもあり、なかなか難しい中で、できることはしていきたい、ということになるだろうと思っております。
 ぜひ、関係の皆様におかれては、そういう方々を活用していただきたいですし、活用するに当たってどんな能力セットがあれば活用できるのかということについても教えていただき、徐々に進められていくといいなということを思いながら伺いました。ありがとうございます。
 柳沢先生、何か一言いただけませんでしょうか。
【柳沢委員】  1点は、6ページ目のところで、前回申し上げた記憶があるのですが、博士課程の学生を学生として扱って、完全にその後の、社会人としてのという意味だと思うのですが、人材像との間を隔ててしまっている図式が、私はよくないと思っています。できる学生は博士課程のうちからこういうことは始めていますし、何度もこの会で私が申し上げているように、少なくともアメリカでは博士の学生も研究者として扱われます。だからこそデフォルトで全員に給与が払われますし。ヨーロッパでもそうですね。
 この、博士課程の学生が学生であるという隔絶した書き方を、何かうまく図を重ねるとかして表現してもらいたいです。
 もう1点はより細かい話ですが、例えば2ページ目の左下の「社会的環境」というところです。これ、非常に重要な要素だと思うのですが、日本の社会は同調圧力が非常に高いということを前回申し上げたような気がします。その同調圧力というようなキーワードを入れていただけると、より強烈なアピールになると思います。同調圧力が高い慎重な国民性でもいいと思いますが、失敗を恐れ、リスクや他と異なることを避けるとか、そんな表現で、ほかと違っていることを避けるような風潮があることをどこかで入れていただけると、よりよいと思いました。その2点です。
【狩野主査】  ありがとうございます。6枚目の枠が違う点はまさに、もし何かよりよい表現があればよかったのですが、現時点ではなかなか枠線の作り方が難しくてやりそびれました。場合によっては濃い枠線をもう少し広げようかなと思います。
【柳沢委員】  単純に下の後期課程学生の楕円を、広げちゃうみたいな、半透明にして高めに。
【狩野主査】  そうですね。おっしゃるとおりです。
【柳沢委員】  技術者と高度研究マネジメント人材の部分、重ねていますよね、まだ。
【狩野主査】  そうですね、じゃ、こういう感じで。
【柳沢委員】  それに近い表現をとっていただくといいのかなと私は思いました。そのぐらいドラスティックに考え方を変えていかないと博士学生、増えません。
【狩野主査】  ありがとうございます。それから同調圧力に関しては、一応関係させた表現としては、4ページ目ですね。先ほども話題に出たDE&Iの手前のところに「自分と似ているかどうかにこだわることなく」という表現で同調圧力を一応表現したつもりでいましたが、同調圧力という単語4文字があったほうがよければ、これを特に入れていただくということにしようと思います。
【柳沢委員】  このぐらいの強烈な言葉を入れたほうがいい気がします。
【狩野主査】  それは多分、文部科学省にとってかなりイノベーティブだと思ったので少し遠慮していましたが、分かりました。ありがとうございます。貴重な御意見、承りました。ありがとうございました。
 そんなところで一巡したかなと思っておりまして、よろしければ、これら今、頂いた御意見を踏まえて主査に一任という格好でまとめをつくりたいと思います。皆様、御意見をありがとうございました。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【狩野主査】  それでは、そのように進めさせていただきます。ありがとうございます。本資料のまとめたものについては、先に申し上げました、科学技術・学術審議会の総会へ報告をさせていただきます。役割として主査が報告するようですので、私が内容を御説明をということでお任せいただければ思います。大変ありがとうございました。
 では、続いての議題に入りたいと思います。続いての議題が、科学技術イノベーションの創出に係るマネジメント業務・人材に関する課題の整理と今後の在り方ということでありまして、これについては研究開発イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材に係るワーキング・グループをまとめていただきました小泉周先生より報告をいただきたいと思います。
 それでは小泉先生、よろしくお願いいたします。
【マネジメントWG小泉主査】  狩野先生、どうもありがとうございます。このたび、研究開発イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材に係るワーキング・グループの座長をしておりました、小泉と申します。どうぞよろしくお願いいたします。この人材委員会の下の2つのワーキング・グループのうちの一つということになります。我々が議論していたのは研究開発マネジメント人材、そして業務ということに関して議論をしてまいりました。人材委員会には稲垣先生にも御参加をいただいておりましたので、改めましてこの場で御報告させていただければと思います。
 狩野先生、報告書に基づいてお話をするということでよろしいでしょうか。
【狩野主査】  そうですね。資料の番号を先に申し上げておきますと、資料の2-1がポイント、そして2-2が今、おっしゃっているしっかり内容を書き込んでいただいている版だということで理解しております。皆様、お手元の資料を御覧になりながら説明を聞いていただければと思います。お願いします。
【マネジメントWG小泉主査】  ありがとうございます。では、まずは御報告させていただいて、議論いただければと思います。資料2-1がまとめになっていますが、資料2-2から説明いたします。ワーキング・グループのタイトルそのものは研究開発イノベーションの創出と言っていたのですが、我々ワーキング・グループ内の議論で科学技術イノベーションの創出だろうということ、創造に向けた研究開発マネジメントというのが、特に大学、研究機関における研究開発マネジメントということで、ワーキング・グループの当初の名前と報告書のタイトルがずれていますが、科学技術イノベーションの創出に向けた大学における研究開発マネジメントということでお話をさせていただいています。
 報告書の38ページ目にどういうメンバーで話をしていたかということがあります。各大学、理事クラス等にも集まっていただき、かなりディスカッション盛り上がりました。審議経過としても39、40ページ目に書いておりますが、9回にわたってかなりヒアリング等も行い、大学、研究機関における研究開発マネジメントの現状というところをかなり幅広くヒアリングをして報告書をまとめていったところになっております。
 一番初めから少しお話をしていきたいと思います。1ページの「はじめに」のところで、そもそも論として研究開発マネジメントという言葉、実は聞いたことがあるようですが、今回改めて定義をして話をしております。
 具体的にはURAや、その他関連する業務を行っている人材、また、その中には事務職員や研究者、そうした業務を行っている人も幅広く含むような、そういった言葉として研究開発マネジメント人材と言っています。広い意味では、ここに技術人材も含まれ、大学や研究機関における研究開発マネジメントに関わる、あらゆる職種の人材を全て含む言葉として今回、研究開発マネジメント人材というのをクローズアップしたのはこの報告書が初めてだろうと思います。
 こういった人材は、研究者とともに大学や研究機関から科学技術イノベーション創出に向けた、様々な取組をしている人材ということになります。本報告書においては、そうした大学や研究機関における科学技術イノベーションの創出に向けて、研究開発マネジメント業務・人材に関する課題と今後の在り方に焦点を当てています。
 特に、報告書に取り上げている重要な点としては、そもそも論として、こうした大学や研究機関が科学技術イノベーションを促進するために、組織として明確なビジョンを確立する必要があることを強調している点です。
 社会課題が複雑化する中で多様な研究活動を推進し、次世代の人材育成を促進して、そして、さらには産業界との連携やスタートアップ支援等も行って研究成果を社会に還元する、そういった環境を整備していくためには、こうした大学が組織として単に人を集めればいいというだけではなく、ビジョンを持ってほしいということを言っています。そして、その上で業務を整理し、必要な業務に人材を充てていくということです。大学は単に研究者の寄り合い所帯ではなく、組織としてビジョンを持って科学技術イノベーションの創出に貢献していくことをするためにも、研究者だけではなく、研究開発マネジメント業務の整理と人材の確保というのが必要であろうということを言っています。
 繰り返しになりますが、具体的にはURAと、技術職員の話ということで、この後URA等、研究開発マネジメント人材、狭い意味でのURAと研究開発マネジメント人材の話と、それから後半は技術職員の話に分けて書いているところです。全体としての方向性としては、こういった形になっています。
 2ページ目、次のところからお話をしたいと思います。1ポツで、大学等における研究開発マネジメントの重要性とそれを担う専門人材ということで、研究開発マネジメントの実施そのものが大学にとっても、それが目的にしてはならず、ビジョンを明確にする必要があるんだということを言っています。そして大学等の規模や特色、地域、国際性などによってその目的も異なるということで、大学等が自らの強みや特色に応じて適切で柔軟な体制を構築していき、その中で研究開発マネジメントを定義していくことが必要だろうと言っています。
 人材としては、人材も多様であるということ。研究開発マネジメントを行う研究者も当然プレーヤーなわけですが、それだけではなくてURAをはじめとするそういった人材、そして技術職員といった人たちが連携してチームをつくっていくことも重要だということを言っております。まずこの点がしっかりしてないと、単に人をどうするかという矮小化された議論になってしまうというところを危惧して、まず、こういったことをワーキング・グループとしてメッセージとして、しっかりと打ち出したところです。
 2ポツのところで、研究開発マネジメント人材に係る背景というところを話しています。平成20年代前半以降、リサーチ・アドミニストレーター、URAの育成、確保に係る施策というのが展開されてきました。それとともに知的財産の管理や活用、産学官連携体制の再編というところで産学連携コーディネーター等というところの文脈もございました。
 こういったところが全て集まってきて、平成25年度にはURAスキル標準というのが東京大学等を中心につくられました。これによってURAというものが定義され、研究大学強化促進事業において平成23年度、URAの配置が進み、平成23年度には323人だったURAが令和4年には1,671人まで増えるところに至ります。
 さらに令和3年度以降、稲垣先生の御尽力もありまして一般社団法人リサーチ・アドミニストレータースキル認定機構、URAスキル認定機構において研修と認定制度、これも東京
大学がつくったURAスキル標準を基にこういった運用がされているのが背景になっております。
 次のページをお願いします。研究開発マネジメント人材というのを改めてここで定義しています。今までURAだけを取り上げるとかということがありましたが、URAだけでなく、様々な職種、人材の人たちが研究開発マネジメントに関わるわけで、研究開発マネジメントを広く捉えたのが今回報告書の特徴です。そうすると、東京大学がつくったスキル標準に書かれているようなことだけではなく、近年では研究セキュリティやインテグリティ、そうしたELSI、そしてスタートアップ支援やファンドレイジング、最近ではオープンアクセス義務化への対応と、こういったところも含めて本当に様々な業務が、研究開発マネジメントとして組織として行うべきこととしてあることを言っております。
 その下のところでは、こういったところに関わる人材はURAだけではないよということを改めて言っています。URAのみならず教員・研究者、事務職員、様々な専門職、多様な人材がこういった組織の中で研究開発マネジメントに関わっているという、業務も多様化し、それに関わる人材も多様であるということを言っているところです。
 その下(3)になりますが、研究開発マネジメント人材について検討する意義ということで、繰り返しになりますがURA以外の人材も含めて育成していく必要、そしてこれまでURAのためにといってつくられてきた研修や認定制度をいかに活用、発展させていくのかということです。研究開発マネジメントという観点で発展させていく必要があること、それから2点目は、さらにそういったものが多様化し、それぞれの分野、業務において高度化している実態があることです。そもそも、大学としてこういった業務が必要であり、科学技術イノベーションの創出という点で大学がこういったものを明確に認識して、取り組んでいく必要があるということを言っているところです。
 次のページをお願いいたします。3ポツのところ、研究開発マネジメント業務・人材の現状ということで、昨年の12月から我々のワーキング・グループでアンケート調査、実態調査を行いました。URAのみならず、研究開発マネジメントに関わる人材ということの調査を行い、864機関から回答を頂いたところです。ただ、研究開発マネジメントという言葉が先ほど冒頭に申し上げたように、今回初めて明確に定義されたこともあり、大学ごとにニュアンスの違う回答となったところが反省点としてはありますが、そういった背景を踏まえて結果を御覧いただければと思います。
 (1)、まずは内訳ですが、研究開発マネジメント人材を配置していると答えたのは864機関のうち365機関でした。そのうち無期雇用が5,874名、56%と半分以上が無期雇用ということで、半分以下が有期雇用となっております。その下を見ていただくと分かるように、URAは1,755人ですが、研究開発マネジメントに関わっている人間としては教員・研究者、それから事務職員、そしてその他専門職員、かなり幅広いいろいろな方々が関わっていただいていることが分かります。そういう意味で研究開発マネジメント、改めて広く捉えることが重要であるということを感じているところです。
 次のページをお願いいたします。(2)のところ、研究開発マネジメントの雇用に関しては79%が運営費交付金であるところがあります。こういった現状があるということを踏まえる必要があるかなと思っています。
 それから(3)、業務内容ですが、URAのスキル標準で示されているような業務というのが3分の1、それから産学連携支援、知財関連、これが3分の1、そしてそれ以外を全部合わせて3分の1となっております。そういった意味でも、従来のURAのスキル標準に表されているところだけのみならず、大学として組織として研究開発マネジメントの業務というのはかなり多様になっていることが分かると思います。
 (4)の研究開発マネジメント人材の育成のところに関しては、URAスキル認定機構の研修制度を行っており、業務としてそういったところを認めているのが50%弱、そしてキャリアサポートを行っているところが30%弱、それから管理職との面談で業績評価をちゃんと行っているといっているところが71.8%でした。(4)のところですね。71%というとまあまあ高い数字と思うかもしれませんが、逆に言えば残りの30%は業績評価を行っていないということになるのは、問題なのかなと思っています。例えば表彰を行っているような大学は15%しかなく、雇いっ放しになっている現状もあるのかなと思ったところです。
 (5)、研究開発マネジメント人材に対する機関の評価ということで、研究開発マネジメント人材がいることに対して満足している、大変満足しているということをおっしゃっている機関が75%と4分の3はいるところです。実際にはその次のページになります。共同受託研究が増えたとか、外部資金が増えたとか、3点以上ということで比較的低いんですけれども、3点以上になっていることで研究成果としては高まったとか、量が増加したとか、そういったことも書かれているところです。
 ただ、その一方で人材雇用の難しさということもアンケートから挙がってきています。人材確保が難しい、いい人を量的に集めることが難しい、または雇った後にキャリアパスをつくるのが難しいことを課題として挙げているところがあります。そういったところが問題点になっているのかなと思っています。
 4ポツのところ、こうしたアンケートを受けて、研究開発マネジメント人材全体に関する課題ということで幾つか挙げております。丸1として、研究開発のマネジメント人材の不足というところがあり、量的な不足を挙げている大学は多いです。私自身の感触からいうと、例えば自然科学研究機構はURAが30人以上いるような機関です。幾つかの大学で30人とか40人とか、URAを集めている大学もあると思いますが、そういったところは珍しく、大学によっては1人、2人しかいないとか、そういったところも多々あると思っています。そういったところで、人手の必要性は大学として感じながらも、人がいない状況が多く見られるのかなと思っています。
 丸2のところ、研究開発マネジメント業務が拡大しており、人材も多様になっているということです。特に業務の拡大があり、1人の人間で全てをこなしていくことが難しくなり、多様な人材をどのように集めていくのか、多様な業務をどのように行っていくのかというところが課題になっているところです。
 丸3のところ、機関内での人材育成の困難さというところもあります。なかなか、ここも課題として挙げられているところですし、丸4、適切な評価、キャリアパス確立ができていない、難しいことも課題となっております。
 そして、丸5、職への高いインセンティブといったものを、とにかく高めていく必要があるだろうと書いています。これは機関の中で、例えば昇給昇進などのインセンティブをつくるとかといったことです。そもそも評価してない大学が30%ぐらいあるという、ある意味、びっくりする内容がありますが、そうではなくて昇給昇進のインセンティブというのをつくるとか、表彰制度を設けるとか、そういったインセンティブというところが重要なのかなと思っています。
 次のページをお願いします。そもそも機関において、こうした研究開発マネジメントに係る人材が必要であり、こういったところの認識というものをもう少しつけていく必要があります。価値を生み出す人材、アセット人材として研究開発マネジメント人材をしっかり捉えると、機関を組織として捉えることが重要なのかなと思っているところです。
 その下、(2)URAの質保証制度についてです。質保証制度というのがURAの育成・確保、質保証ということで、URAスキル認定機構で研修と認定というのが始まっております。研修については令和6年度よりJSTに移管され、継続的な実施は見通しがついておりますが、スキル標準を超えて業研究開発マネジメントの業務が拡大しておりますので、この拡大した業務をどのように研修の中に組み込むかというのが一つ大きな問題になります。
 それから同じくスキル認定制度についてです。これについては引き続き、URAスキル認定機構において実施していくことになっております。ただ、実態調査で、URAのみならず教員・研究者、事務職員、そうした研究開発マネジメントに関わる人材が1,700人のURA以上にたくさんいることが分かりましたので、そういったところにいかに広げていくか、スキル認定制度の発展的な在り方を模索することが必要になっていると思っています。
 次、5ポツの、研究開発マネジメント人材の確保の意義というところです。国際卓越研究大学研究等体制強化計画や地域中核・特色ある研究大学強化促進事業もありますけれども、これは繰り返しになりますが、研究開発マネジメントというものを組織として捉えていくところが重要であり、それを行う人材を適切に雇っていくことが雇用し、確保していくということが重要だと思っています。
 (2)研究開発マネジメント人材像ですが、本当にこのような人材像を、特定の業務を行う人材として人材像を描くことは現時点ではなかなか適当ではないことになりますが、大学、研究機関の現場の状況に応じて、柔軟かつ、そして必要な業務を必要なときに行っていくような、本当に多様な業務といったものを対応できるような体制づくりがまずは重要であると思っています。そしてまた、そうした人材を育てていくということも重要だと思っています。
 6ポツ、研究開発マネジメント人材の育成・確保というところが当然重要になってくるわけですが、JSTをはじめとした多様な機関における人材育成というところで、JSTに移管されました研修制度というものを活用するのもそうですが、例えば一般社団法人大学技術移転協議会や医療系の産学連携ネットワーク、medU-netといったところでも研修を行っておりますので、それぞれの分野に特化した研修、様々な研究開発マネジメントのように、JSTに移管された研修のみならず、様々な研修を組み合わせていくことが必要なのであると思います。
 そして、その下丸2、URAだけが研究開発マネジメントしているわけではなく、組織として行っていく上でURAや教員・研究者、その他事務職員も含めて幅広く多様な人材が研究開発マネジメントに関わっていることを知った上で、こういったところにも裾野を広げていくことが重要だと思っています。この辺が丸3、人材育成の在り方のところに引き続き書いているところです。
 URAスキル認定機構には歴史があるわけですが、現在RU11や研究大学コンソーシアム、それからRA協議会等、7つの団体の総意により、こうしたURAスキル認定機構ができました。研修をJSTが行うということになっておりますが、これを発展的にいかに拡大させていくかというところが次の課題になっていくところだと思います。URAだけが研究開発を行っているわけではないということ、研究開発マネジメントを行っているわけではないというところは、まずは認識が必要であると思っています。
 これまでの取組の成果と課題というところにおいても、こうしたところを書かせていただいております。また知識だけではなくて経験、実績といったところを組み合わせていくことが必要です。研究開発マネジメントは、机上の知識だけではなくて実際に現場で働いていく、現場で動かしていくところが大変重要なところです。
 こういったところを踏まえて考えると、様々な研修のみならず、そうした実績等の組合せといったことを考えていくことが必要です。例えば東北大学においてはURAの公募時にそのような認定をもらったURAは博士の学位と同等とみなす運用をされていたり、信州大学においては認定URAであることが昇進昇給の要件となっていたりもします。これは大学ごとに、ミッションごとに違うとは思いますが、こういったことを進めていく必要もあると思います。
 その下、URAの認定に関する今後の方向性としては、URAの評価の際には知識と理解力、そして業績、実績、経験といったものを重要視していく必要があるということ、JSTの研修のみならずUNITT、それからmedU-net、またはファンドレイジング協会がファンドレイジングに関する認定等も行っているということを今回ヒアリングでお聞きしました。こういったものを組み合わせていくことが重要だと考えているところです。
 文部科学省としてはこういった研究開発マネジメント人材というくくりを今回改めてつくったわけで、この研究開発マネジメント業務、そして人材に関して情報発信・集約するページを文部科学省において作成し、研修や認定制度を示していくことをお願いしたいと思っています。
 また、研修の見直しをしていくことも大変重要だという話をしているところですが、研修の見直しで業務が増えているとともに、参考1の上のところに書いてありますが、研修だけではなくて実践が必要なので、例えばOn the Job Trainingのような指導を受けられるといった単なる知識だけではない、On the Job Trainingという機会も新たにつくっていくことでより実践的なナレッジとして研究開発マネジメントが身についていくのではないかと考えているところです。
 16ページにはファンドレイジングの例などが書いてあります。その次のページをお願いいたします。機関、企業との人事交流等、こういった、とにかく実践面を重んじるような、またクロスアポイントメント等ものような人事交流、人材交流ということも重要だろうと考えているところです。
 そしてその下、表彰制度です。インセンティブという点でしっかりとした研究開発マネジメント人材を人事面で評価することもそうですし、尊厳や誇りを醸成する仕組みというのは重要です。文部科学省においては、科学技術分野の文部科学大臣表彰に研究開発マネジメント人材を表彰する部門を設けていただくことを検討すべきですし、やっていただければと思います。
 それから我々、自然科学研究機構が幹事機関を務めております41の大学でつくる研究大学コンソーシアムにおいては、新たに山本進一記念賞というのを創設することにいたしました。こういった賞を示すということは本人のインセンティブにつながるだけではなく、表彰によるロールモデルを示すことで新たな若い人材にとっての道しるべとなりますし、キャリアの選択肢の一つとなるような、そういったロールモデルとなることがいいのではないかと思っているところです。
 それから(2)のところ、大学においては体制の構築というのが重要なポイントです。研究開発マネジメント体制構築をぜひ大学にはしっかりとお願いしたいです。研究開発マネジメント人材は1人雇えば何とかなるというものではないと大学や経営層が理解をし、その上で体制を整えるというビジョンを持ち、体制を整えることが非常に重要だと思います。そういう意味ではグッドプラクティスをやっているところ、そうでないところ、いろいろありますので、こういった研究開発マネジメント、体制づくりからグッドプラクティス、また人事制度に至るものというところを何とか文部科学省等で取りまとめられないかということも考えているところです。
そして機関内の連携というところも重要だということは丸2のところで言っているところです。一人一人個別に雇うだけではなくて、研究開発マネジメント人材同士が連携することも重要だということを言っています。
 そしてその次のページの丸3のところ、機関における評価、適切な雇用・処遇の実施についてです。ここも大変重要で、本当に雇いっ放しになっている大学もあることが今回のアンケートでも浮き彫りになりました。そうではなく、しっかりと組織として評価、適切な雇用・処遇をしていってほしいと思います。そういった意味でも、何らかのグッドプラクティスを皆さんと共有するような、そういったものがガイドライン的なものがあってもいいのかと思っています。
 次のページには筑波大学の事例、信州大学の事例、名古屋大学の事例を書かせていただいておりますし、医療系のマネジメント人材についてのことも書かせていただいているところです。
 23ページをお願いいたします。7ポツ、技術人材も広い意味で研究開発に関わるマネジメント人材、研究開発マネジメント人材で、広義の研究開発マネジメントの中に技術職員も入るということで今回こちらも書かせていただいております。
 大学等において研究開発を行っていく上で技術職員が不可欠であると認識を持つことが重要だと思いますが、実際には大学は技術職員のポストを奪いまくっています。実際に研究者の数や事務職員の数は増えているにもかかわらず、技術・技能職員は半減しています。それでは駄目だろうと思います。最近では研究設備の高度化、機器の供用促進等において技術職員が重要であるという認識があるものの、機関内での位置づけやミッションの明確化が不十分であるというように感じているところです。これだけ技術職員のポストを減らしてきてしまっている現状があります。
 そういった中で令和4年度に、研究設備・機器の共用促進、共用という観点のガイドラインの中で、共用ガイドラインの中で、技術職員が大切であるということを改めて定義をしました。ここがある種、エポックであったと思います。技術職員の研究設備・機器の維持管理に関し、高度な専門的な知識技術を有しており、研究者とともに課題解決を担うパートナーであると、重要な人物であることを初めて言ったのではないかと思います。技術職員が大切なパートナーであり、その上でしっかりと技術職員の処遇、キャリアパス、育成そして確保、維持、そして技術職員の貢献を可視化することも重要だということを言っているところです。
 (2)の上のところですが、一般社団法人研究基盤協議会が令和6年1月につくられました。そういったところでも技術h惻隠の重要性ということは議論されてきているところです。(2)技術職員確保の意義ということで、人材確保の意義という点ではまず、とにかく技術職員に関しても担い手が足りないというところ、求められる技術職員像として高い技術力が求められるとともに、研究を企画、立案する力、コミュニケーション能力、交渉能力、そういったものも含めて技術職員のキャリアパスというのを考えなきゃいけないということがあります。
 (3)のところは、技術職員の定義を改めて2023年にしておりますので、こういったところも参考に各大学は技術職員を雇用、維持、確保していくことが重要だと思います。
 (4)のところ、こちらも現状を把握するためにアンケートをとりました。705機関から回答を頂いたところですが、丸1のところ、URAとは逆で技術職員の内訳は無期雇用よりも有期雇用のほうが多いのが現状です。男女比は女性のほうが若干多いぐらいです。無期雇用は男性5,400人、女性が2,536人というところです。これは、技術職員といっても様々な働き方の方が交ざっているからであろうと想像できます。職階については、准教授・課長以上は10%未満しかいない現状がありますし、技術職員を統括して大学全体で統括してみているところがあるところが少ない現状も見えてきたところです。
 丸2、技術職員の育成等ということに関しては、独自のプログラムを設けているのは30%弱で、大学共同利用機関法人が提供する、研修プログラムを業務として認めて研修を受けている機関が60%となっています。
 (5)技術職員を取り巻く課題ということで言えば、機関内の状況把握の不十分さというのがあると思います。技術職員は、各研究室や各部局に所属していることが多く、技術職員全体を把握することが大学全体としてできているわけではないと思います。経営層で把握し、戦略的に人員配置をしているというわけではない実態があるように思います。
 それから丸2のところで、機関内での適切な評価と処遇、キャリアパスの確立もURAと同じように課題になっているところですし、本人のモチベーションが上がるようなキャリアパスがなかなかつくれてないところがあるのかもしれません。
 そして丸3、人材育成の困難さということもあります。丸4、他機関と情報共有する仕組みといったものも必要なのではないかと考えているところです。
 8ポツのところで、人材育成、研修に関しては大学共同利用機関の研修の具体的な事例というのを書かせていただいております。それから東京工業大学、TCカレッジのテクニカルコンダクターという形で高い技術力、研究企画力を持つ技術者に称号を付与する取組を大学共同利用機関法人の取組と東工大の取組を書かせていただいているところです。
 それから次のページの技術職員同士のネットワークといったところで、研究基盤EXPOというのが文科省と研究基盤協議会の共催で行われていること、それから丸3のところで表彰制度というものを書いてございます。文部科学大臣表彰の中にこうした表彰制度も創設されており、個別にも次のページ、マテリアル先端リサーチインフラ等で技術スタッフの表彰も行っているところです。
 (2)のところですが、人事制度の構築というのも大学によっては行われているので、こういったものも参考にしながら技術職員のキャリアや尊厳と誇りを、インセンティブを持って行っていくような、ガイドラインづくりというのも、好事例を皆さんで教育していくところも重要なのではないかなと思います。
 全体としましては、研究開発マネジメント人材というものを今回、業務・人材というのを広く捉えるということを初めていたしました。そしてその中で、従来のURAのみという形だった研究開発マネジメント人材を幅広く捉えるとともに、技術職員といったものも研究開発マネジメントを担う重要な人材として、ちゃんと把握することが重要であるということを言っています。その上で、それぞれのURA、研究開発マネジメント人材、技術職員についての好事例がありますので、そういったものを例えば人事制度のガイドライン等をつくることによって、より多くの大学が参考とできるような、そういった取組を続けていくべきなのではないかと考えているところです。
 以上になります。
【狩野主査】  ありがとうございました。残り15分でございますので意見を出していただきたいと思います。いろいろな人材戦略がありましたが、その中に書き込まれている「多様な在り方」というのが実際には、一つ一つをとってみるとこれだけの熱気が必要であることもお伝えしたい気持ちもあったので、最後まで行っていただきました。
 では、御意見お願いできればと思います。どなたでも。稲垣先生、加えることはありますか。
【稲垣委員】  特にないですが、研究者だけで研究がなかなか進まない状況に合わせて考えると、その周辺を支える人材をきちんと専門人材として配置していくことが、大学個々のレベルアップではなく、日本の科学技術が世界と対等にやっていく上で重要だというメッセージも込めている文章だと思います。
【狩野主査】  ありがとうございます。それからポイントの絵に、最後に文部科学省が主語の内容が書き込んであったりしますけれども、髙見室長、何か追加をいただけますか。
【髙見人材政策推進室長】  ありがとうございます。小泉主査、大変丁寧な御説明ありがとうございました。資料2-1については、小泉主査から御説明をいただきました内容をポイントだけお示しをしているものになります。特に、その報告書の内容というところにあります関係者に求められる取組というのが、今後の具体的なアクションについてまとめている内容になります。狩野主査より御指摘いただきました文部科学省のところを御覧いただきますと、小泉先生から話もありましたが、研究開発マネジメント人材や技術職員の評価、処遇、雇用、こういったことに関する優良事例を盛り込んだ人事制度のガイドラインを策定していくことを予定してございます。
 また、JSTや外部団体による研修認定の機会が様々ありますが、これらを一元的に文部科学省のホームページで情報提供をしていくこと。そして研究開発マネジメント人材の座学の研修だけではなくて、OJTで学ぶような研修というものを創設していくこと。そして科学技術分野の文部科学大臣表彰、こちら、技術職員を主に対象とした研究支援賞というものは既にあるのですが、研究開発マネジメント人材を対象としたものというのが明示的にないというか、研究支援賞の中でごちゃっとなっているようなところがあります。したがって新たに、このマネジメント部門というものを創設していくということ。そして何よりも大学、研究機関の経営層がこういった人材の重要性について御理解をいただけることは大変重要なことですので、経営層に向けた発信というのを継続的にしていく、この辺りをまとめているところでございます。
 以上でございます。
【狩野主査】  ありがとうございます。では村上委員、お願いたします。
【村上委員】  私はここ何年か、URAに関して調べる機会がありまして、大学側やURA個人、それからRA協議会の稲垣さんとか、いろいろ方からお話を伺う機会があり、御説明いただいたことはとてもよく分かります。
 国際的な競争力のある研究成果を生み出すことが大事だということは多くの人が認識しているところだと思いますが、国際的な競争力のある研究には、国際的な連携をしている研究が多いわけです。国際的な大学間連携や、国際産学連携です。そういうところを担えるURAがあまり育っていません。
 URAの4つの業務のうちプレアワードとかポストアワードは結構やられる方いらっしゃいますが、国際連携や知財関連というところは弱いのではないでしょうか。国際的な産学官連携、大学同士の連携という点で日本のURAの育成は遅れているのだと思います。国際的な大学同士の連携は研究者同士のネットワーク等で進んでいくこともありますが、国際産学連携には海外企業との交渉力や技術的な専門知識、言語力といった面で優れたURAが必要です。私が調べていたときに、京都大学は国際URAを意識的に採用したり育成したりしていましたが、ほかの大学はどうもそうでもなさそうであり、そこに例えば博士人材が活躍できる可能性というのも多分にあると思います。高度なところを担えるURAをもっと育成するような仕組みが必要だと思います。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。小泉主査、何か国際の観点に関して追加ありますか。
【マネジメントWG小泉主査】  今回狭い意味でURAとは言わずに、研究開発マネジメント人材という言い方をしているところです。おっしゃるとおり、狭い意味でURAとなると、先ほど大学の中で申し上げたようにURAスキル標準でやっている業務は3分の1ぐらいで、残りは本当にどんどん多様化し、また、おっしゃるとおり、従来のURAじゃないところで、例えば国際的なところとかも含めて、ほかの人材がいろいろと専門人材が関わってくる。当然そういったところに博士人材も関わって、多様なキャリアパスの中でそういった人材が生かされていくような未来が描ければいいなと思っています。
 なので、まさにおっしゃるとおりで従来のURAという枠を超えた様々な高度な専門人材がこの研究開発マネジメントに関わることが重要なのではないかと思っています。
【狩野主査】  ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。例えば表彰についても、先ほど1つ目の議題で挙げました3つの力というのがありました。それを踏まえた結果、内容としては、「つなぐ」と「深める」と「実現する」という言い方になっています。「深める」に対する表彰制度は今までたくさんあったと思いますが、「つなぐ」力に関して、どのように測って、どう評価できるかとか、あるいは実現するに関してどう評価できるかと、こういうことも開発していただくと、もしかするとマネジメントというものについての重要性がよりよく表現できたり、あるいは、それの能力を持っている人たちを元気づけたりすることはできないかなと思って拝見していたところであります。
桝先生、例えば科学技術コミュニケーションの世界でこうしたような努力が、もしかしてこれから必要になるのではという気もしながら聞いていたのですが、そういった意味で御発言があればお願いします。
【桝委員】  URAという、これだけ役割と意義がしっかりした内容であるにもかかわらず、実際に人材を確保するのがどれだけ大変かということが、すごく小泉さんのお話からよく分かりました。今回、戦略で科学コミュニケーターと、よくも悪くもぬるっと書いてしまっているのですが、それも役割や意義をしっかりと定義しないと、人材の実際の確保というのは難しいだろうということが一つ分かったところです。
 もう一つは、先の長い話ですが、研究開発マネジメント人材のブランディングというのは、これから高めていったほうがいいと思いました。誤解を恐れずに言うと、研究者になれなかった人がなるというイメージではよくなくて、むしろ私は最初からこのマネジメントをしたいのだと、その経験として博士課程へ進んで、その後、堂々とマネジメントに回るような、そんな人材が欲しいなと思いますので、そのプランニングというのは文部科学省もそうでしょうし、メディアも含めてつくっていくものかなと思います。プロ野球選手だけじゃなくてバット職人さんが本当に格好いいと思うような、そんなカルチャーをつくっていければというのは、先は長いですけども感じたところです。
【狩野主査】  最後に何かすてきな喩えを頂きまして、おっしゃるとおりだなと思いました。ありがとうございます。
 水口委員の御意見はいかがですか。
【水口委員】  ありがとうございます。ベンチャーを見ているような話を聞いたなと思いました。初期のベンチャーも人材が不足しており、評価制度も整っていないといった様々な問題抱えているところです。僕自身も研究者の教員と二人三脚的に会社をつくってきましたが、初期のベンチャーでは特に一人があらゆる役割をこなす必要があります。そういった意味でURAと非常に何か似ているというところがあります。
 だからこそ、経営層へのアプローチは非常に重要かなと思っています。どういうビジョンがあって、それを達成するためにこういう配置が必要だよねとか、こういう評価制度必要だよね等、ベンチャー経営とリンクしているところを感じますので、上のレイヤーからそろえていくと、より進みやすくまとめることができるのではと感じました。
【狩野主査】  なるほど。何かそういう共通性を抽出して、それも政策につなげていくということもあったらいいかもしれないですね。ありがとうございます。
 多分もう一つ必要な領域としては、隅田先生が御専門の、科学技術に関係するより早い段階での教育の領域はどうかと思ってもいましたが、何か御発言いただくことはありますか。
【隅田委員】  ありがとうございます。私も不勉強なところもあるので3つぐらい聞きたいことがあります。一つは、愛媛大学でもこのような人材は欲しいと思っています。研究開発マネジメント人材の有用性は高まっているのですが、先ほどの人材の議論の続きでいくと、こういう分野の方の年齢とか性別とか国籍のような多様性は今、どれぐらいあるのかということが知りたいです。
 あとは、先ほどの主査の話の関連でいきますと、本当はこういう職場のこういうスタンスというか、プロフェッショナルの人が初等中等教育にもいると、それはもう間違いなくよくなります。何かそういうのに入っていただけるようないい仕組みがないかなというのは思います。
 3点目は、少しずれるのですが、このリサーチ・アドミニストレーターと別でエデュケーション・アドミニストレーターも最近あると思います。UEAというようなものも範疇に含めることで、教員のエフォートを作り出すとともに研究のアピールにもなると思います。そういうエデュケーション・アドミニストレーターとかの議論はどうなっているのか、もし御存じでしたら教えていただきたいです。
【マネジメントWG小泉主査】  ありがとうございます。よろしいですか。
【狩野主査】  はい、お願いします。
【マネジメントWG小泉主査】  アンケートの結果は、この報告書とはまた別に公表しております。URAの比較的年齢層が若い層で問題になっているところです。あと、ごめんなさい、UEAに関しては一緒の議論を今回しておりませんけれども、当然URAという観点、また研究開発マネジメント人材という観点から見るとそういった業務に関わっている人たち、その人たちがいることによって研究開発に研究者が専念できる事情もありますので、多分に関わっていると思っています。すいません。答えになっていますでしょうか。
【隅田委員】  ありがとうございます。もう、ぜひ何かうまく協働できるというか、いい関わりができることを願っております。また教えてください。
【マネジメントWG小泉主査】  ありがとうございます。
【狩野主査】  ありがとうございます。では最後に長谷山先生からお願いします。
【長谷山委員】  すいません、小泉先生、長谷山です。お久ぶりです。
【マネジメントWG小泉主査】  こんにちは。小泉です。ありがとうございます。
【長谷山委員】  今、主査は、URAが必要であろうと思われる研究分野の先生を指名なさったものと思います。私は情報系ですが、URAは大変に必要だと思っています。先生の調査の中で、情報系分野のURAの必要性というのは出てこなかったのでしょうか。
【マネジメントWG小泉主査】  ありがとうございます。その点、分野ごとということはやってなかったと思います。髙見室長、何かありますか。
【髙見人材政策推進室長】  今回の実態調査の中では隅田先生からありました年齢や性別は聞いていたと思いますが、分野のデータは取っておりません。
【長谷山委員】  そうですか。一般にお声がけをすると、日本のサイエンティストの割合は化学、ライフサイエンス分野に多いので、そちらにどうしても偏ると思います。これからライフサイエンスや化学だけでなく広い研究分野で、AIを使えるスキルがあり、研究マネジメントなどができるURAは必須になると思います。今日の調査は情報系の研究者としてとても興味深いものでした。ありがとうございました。
【マネジメントWG小泉主査】  とても重要な観点だと思います。そういったお声も頂いていたところです。また、分野という意味では人文学、社会科学系のURAも必要だよねとか、本当にいろんな分野で、ある特定の分野というよりも広くいろんな分野から必要されているというのは、肌感としては持っております。ありがとうございました。
【狩野主査】  ありがとうございました。予定していた時間にそろそろなってまいりました。最後に事務連絡を事務局からお願いできればと思います。
【滝沢人材政策課長補佐】  ありがとうございます。次回の委員会につきましては、今後開催する際に改めて日程調整をさせていただきます。
 本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にお目通しをいただき、主査に御確認の上、文科省のホームページを通じて公表させていただきます。
 以上でございます。
【狩野主査】  ありがとうございました。今日も大変活発な議論をいただきまして感謝をいたします。傍聴の皆様もありがとうございました。
 では、これで閉会といたします。ありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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