人材委員会(第95回)議事録

1.日時

令和4年12月15日(木曜日)14時00分~16時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 第11期科学技術・学術審議会人材委員会審議まとめ(論点整理)案について
  2. その他

4.出席者

委員

 宮浦委員、宮田委員、小林委員、迫田委員、隅田委員、髙橋(修)委員、高橋(真)委員、桝委員、村上委員、柳沢委員

文部科学省

 北山科学技術・学術総括官、橋爪人材政策課長、岡人材政策推進室長

5.議事録

科学技術・学術審議会 人材委員会(第95回)

令和4年12月15日

 
 【宮浦主査】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会人材委員会の第95回を開催させていただきます。
 本日の会議は、冒頭より傍聴者に公開しておりますのでよろしくお願いいたします。
 本日は10名の委員に御出席いただいておりまして、定足数を満たしております。
 それでは、議事に入ります前に、まず本日の委員会のオンライン開催に当たりまして、事務局から注意事項、資料確認等をよろしくお願いいたします。
【對崎人材政策課長補佐】  文部科学省人材政策課の對崎でございます。先生方、本日もお忙しいところ御出席をいただきまして、どうもありがとうございます。
 毎回でございますが、オンライン会議に当たりまして何点かアナウンスさせていただきます。
 まず、先生方はビデオをオンにしていただいて、発言時以外はマイクをミュートにしていただければと思います。また、名前の表示のほうはフルネームでしていただけると助かります。また、御発言の際はZoomの挙手機能のボタンを押していただきまして、主査より指名を受けましたら、マイクをオンにして、お名前をおっしゃった上で御発言をいただければと思います。また、御発言が終わりましたら、挙手の取下げと再度ミュートにしていただくようにお願いいたします。機材や通信等、不具合がございましたら、マニュアルに記載の事務局の連絡先まで御連絡いただければと思います。
 続いて資料の確認でございますけれども、事前に送付をさせていただいておりますとおり、議事次第と資料1がセットになったPDFファイルをお送りさせていただいております。
 事務局からは以上でございます。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 本日は第11期の科学技術・学術審議会人材委員会の審議のまとめ、論点整理案について、まず事務局から御説明をいただき、その後、背景、取り組むべき事項、留意すべき事項、今後の検討課題というように一応区切って、意見交換を進めてまいりたいと考えております。
 それでは、事務局から15分程度で御説明をお願いいたします。
【對崎人材政策課長補佐】  それでは、私から説明させていただきます。事前に先生方からの御意見や個別の御相談等させていただいておりますので、簡単に全体の概略を申し上げます。
 まず、今回の審議まとめでございますが、この2年間で御議論いただいた観点からの論点整理という形で整理をしております。
 全体の構成は、今、目次をお示ししておりますけれども、審議経過として博士人材のキャリアパスについてという観点で、中心的に議論していただきました。その背景としては、高等教育からの変容や雇用システムの変容、国際頭脳循環といった背景。そして、そうした背景を踏まえて取り組むべき事項として、国・アカデミア・産業界が共通して取り組むべき事項。その中でも特に国で実施すべき取組、アカデミアで実施すべき取組、産業界で実施すべき取組。また、それ以外に留意事項といたしまして、分野や業種の違いや研究人材の多様性、研究力向上や研究時間確保、その他、国の計画との全体の整合性等を記載しております。
 
 審議経過の概要といたしましては、今期は特に博士人材のキャリアパス確保というところを中心的に議論を行ってまいりまして、産業界・アカデミア含めて、様々な方からヒアリング等を行いながら議論を行ってきたところで、論点を取りまとめることにしております。
 まず背景の2点でございますが、1点目の高等教育の変容につきましては、知識集約型社会の到来やデジタル・グローバル化社会といった背景の中で、高度専門人材と言われる、高度な知識を持ってそれを活用し、新たな価値を生み出す人材の育成と活躍がますます求められている。また、さらに背景として総合知や融合分野の研究開発の重要性、また、こうした市場ニーズの高い分野の研究開発の動向がほかの領域や分野にも波及しているといった背景。また、このような状況ではこれまでにない短いスピードとスパンで、知の創出とか破壊的イノベーションというのが起きており、こうした知の構造変化によって経済・社会の変容そのものが起きている。
 こうした背景を踏まえますと、アカデミアが果たすべき役割はますます大きくなっておりまして、研究室やラボといった単位の教育・研究活動を超えて組織全体での活動がますます必要になると。また、労働市場の変化の中でもリカレント・リスキリングといったものがますます推奨される中でのアカデミアの役割の変化。また、産業界のほうでも、今期ヒアリングをさせていただいたとおり、高度人材として博士人材をどう採用するか、あるいは、社内公募の中で博士号取得を推奨するなど、こうした高度な専門性に対する職能支援等の動きも広がってきている。
 国のほうでは、博士号取得者のキャリアアップ形成に関しましては、まずは経済的支援の充実として、幾つかの事業による充実を図りましたが、今後もこうしたものが現場に継続的に届くようになるとともに、フォローアップもしながら、特に博士号取得者のキャリアパスを整備することが高等教育の中でも一層重要になってくる、ということでございます。
 2点目が、旧来型の雇用システムからの変容と国際頭脳循環でございますが、企業の中では旧来型の新卒一括採用・メンバーシップ・終身雇用から、キャリア型・ジョブ型への変容が起きてきていると。特に成長の著しいAI・ITの分野では、そもそも人材の競争力が高くて、そうした人材がグローバルに様々なところで活躍することがスタンダードになってきている中で、我が国の教育ではまだまだジョブ型採用で競争力を持つ人材が十分に生み出されていないところも課題である。
 博士人材がベンチャーやスタートアップ企業で高いポジションで活躍するような例も増えてきており、研究者というものの職能成長を考えると、これからますますグローバルにリーダーシップを発揮できる博士人材も重要な要素になるだろうと。
 
 また、リスキリング等の社会背景も踏まえますと、様々なキャリアパスの複線化、人材の還流などが進んでいき、人生においてキャリアを再活性化するようなものが必要になるだろうと。
 こうした国際的なマーケットにおける人材の競争力強化、頭脳循環の観点からは、高度専門人材の活躍の場をいかに確保していくかが重要ですので、その点を国・アカデミア・産業界が強く認識する必要があるということを書いております。
 こうした高等教育の変容や、雇用システムの変容や国際頭脳循環といった観点も踏まえまして、今期の人材委員会では、広く社会で活躍する博士人材や関連する取組についてのヒアリングを集中的に実施いたしました。
 そして、博士人材などの高度専門人材が研究の担い手であると同時に、社会全体において様々な課題解決を牽引していく社会のイノベーターというべき存在として、今後ますますの活躍が期待されるということで、以下に国・アカデミア・産業界が取り組むべき事項をまとめております。
 国・アカデミア・産業界が共通して取り組むべき事項というところに3点書いておりますけれども、1点目として、大学や研究機関等のアカデミア側の育成と、産業界側の活用の好循環、これは従来、大学側がしっかり人材育成すると。産業界側が育成されてきたその人材をどのように社会の中で活用するかという論点でありますけれども、ここは、国がこうした育成と活用の好循環を生み出すというところが重要ではないかということで、3つ目のポツに書いているような内容でございますけれども、これまで取り組んできた博士後期課程学生の質的向上・量的拡大といったことと併せまして、とりわけ産業界で共同して取り組む場合でも、特定の大学等ではなくて、学協会や複数大学・自治体等のコンソーシアムと連携を図るなど、多層的な連携を図っていくことが重要ではないかと。また、さらに産業界とアカデミアでの博士人材の需給バランスや出口の可視化というところも、併せて図っていく必要があるだろうと。
 本来、大学や研究機関等のアカデミアと産業界の人材の採用というのは、キャリアというイベントがなくても、直接関係なくても自然と連携を行って、その連携が人材の産業界への就職といったものにつながる環境がまず望ましいと考えられます。
 こうした点を考慮するに当たっては、博士人材についてストレートドクターだけではなく、ポストドクターや社会人博士、URAやプログラムマネージャー等の様々な研究を企画する職種が存在することにも留意する必要があるだろうと。
 そうした育成と活用の循環を図るための観点として、以下の2点を書いております。
 1点目が、産業界での博士号取得者のロールモデルの形成や普及といった観点で、これは産業界の中で、どういう場で実際に博士号取得者が活躍しているのかが見えづらい背景がありますので、様々なポジションで活躍するロールモデルを広く社会に浸透させて、さらに次世代の育成や活躍につながるように産学官で連携して取り組む必要があるだろうと。
 特に、アカデミア志向の学生も一定数いる中で、研究開発以外にもベンチャー企業等の活躍の場があることも含めて、多様なキャリアパスを認識できるように取り組むべきである。
 また、そうした博士号取得者の活用ロールモデルをつくるに当たっては、当然その博士号取得者がどのような能力を持っているかといった点を可視化して、それを向上させ、PRしていくという観点が重要ではないかということを書いているのが3点目ですが、博士号取得の中での様々な研究に関する専門性を磨くプロセスの中で、高度な課題設定能力やその解決のための能力を身につけ、それを様々な外部の人との連携も含めて、評価に堪えるクオリティーのある結果を出すというプロセスの中で、様々な能力を身につけることが期待されると。
 こうした能力は、専門性に裏打ちされたトランスファラブルスキルと言われるものですけれども、研究に対する評価とは別に博士号取得者が持つものとして可視化して、産学官を通じて認知されるべきものであるということを書いております。
 以下は、それぞれのステークホルダーが特に実施すべき取組というところで書いておりますけれども、まず国で実施すべき取組について、こちらは、従来取り組んでいるジョブ型研究インターンシップや経済的支援の充実等々、記載させていただいておりますが、隗より始めよというところで、国の行政機関のほうでも博士号取得者の給与体系を見直すなど、積極的な活用を図れるように取り組んでいるところ。あるいは、従来活用していただいている研究人材のJREC-IN Portalなどのデータベースをより使いやすい形にしていくこと。あるいは、産業界との連携をさらに深めていくこと等々を記載しておりますが、最後のポツに書いているところですけれども、様々なメニューが増える中で、ニーズに沿った支援が必要とされる人材に確実に届くように、様々な事業を分かりやすく示すことも、国の役割としては必要ではないかということを書いております。
 次に、アカデミアが実施すべき取組について、こちらは国の取組を様々活用していただきながらでございますが、上から2つ目のポツのとおり、全ての学生がキャリアパスを主体的に認識してキャリアを選択できるような形で、大学でも人材育成の基本方針やカリキュラム等も明確にしていただく必要があるだろうと。その際に、トランスファラブルスキルをどう涵養するかといった点も充実を図るべきであると。
 次に、産業界で実施すべき取組について、こちらも基本的には国と国がうまく連携をしていくというところですけれども、とりわけ産業界の中で、1つ目のポツ、博士号取得者のような高度専門人材を採用・育成する場合に、そのポートフォリオを明らかにした上で採用や登用、適正な評価処遇等も行っていくと。
 また、とりわけこれから産業界における博士人材の活用事例というのが増えてくることも期待されますけれども、そうした事例を共有する中で、特にベンチャー企業や企業内の新規事業の企画・立案・遂行事例など、博士人材の持つ能力が生かされる成功例を増やしていくことが重要でして、国が積極的にこうした事例の周知・広報もしていく必要がありますが、企業側にも、どういった観点で博士人材を積極的に活用することにメリットがあるかということも併せて示していく必要があるだろうと。
 また、そうした観点と、最後の(4)の4つ目のポツについて、これまで産業界とアカデミアの人材のマッチングでは様々な方策が図られてきましたが、今後はさらに産業界全体としての方向性やビジョンについても、国が主導してアカデミアに連携を促すなどの抜本的な取組が必要だろうということも最後に書かせていただいております。
 続きまして留意すべき事項について、4点書いておりますが、1点目が分野・業種の違いで、分野の違いとしましては、自然科学と人文・社会科学での置かれてきた状況の違い。特に人文・社会科学では、そもそも博士課程以前に修士課程修了者も自然科学分野と比べると少ないという状況にありますので、まずは修士課程修了者の社会の場での活躍を促すことも重要ではないかと。
 また、AIやITなど産業成長の著しい分野で求められる博士人材の質と量が異なる点。あるいは、背景のところに書いてあるような総合知や分野融合といった点がさらに重要になること。
 業種の違いといたしましては、大企業とベンチャー、スタートアップとでは人材の流動性や、求められる職種、あるいは人材のサイクルの速度なども違いが見られますので、特に近年、博士号所有者の活躍の場としてベンチャーやスタートアップといった企業がプレイアップされるという観点からも、こうした企業が持つ社会的意義というところも踏まえつつ、国の事業でも積極的にこうした企業との連携も期待されるのではないかと。
 また、(2)の研究人材の多様性につきましては、女性研究者のキャリアパスをつくるためのライフイベントと両立できる環境の整備、社内風土の整備や、ロールモデルの形成といった観点が必要であると。
 また、URAや技術職員、プログラムマネージャー等の研究をマネジメントする人材については、研究の範囲を個人から組織のレベルに上げるという観点で重要な人材であるので、そうした人材の能力の可視化・認定など、育成支援をさらに充実させて、キャリアパスを明確にしていくことが必要であるということを書いております。
 また、(3)の研究力の向上や研究時間確保は、人材の育成が組織的な研究力の向上や研究時間の確保につながる必要があるだろうというところで、大学等のアカデミアの現場では研究時間の確保が喫緊の課題でありますので、そうした研究のマネジメントや支援・人材等の充実も含めて、人材育成がこうした組織的な研究力向上につながっていくように留意して検討することが必要であると。
 最後に、第6期科技イノベ基本計画や大学ファンド等の、政府全体の戦略との整合性でございますけれども、世界的なイノベーションのスピードに対応するためには、人材育成政策もPDCAサイクルをこれまで以上に迅速に回していく必要があるだろうと考えられます。
 今期は第6期科技イノベ基本計画の下での進捗ということも進めていますが、次の期ではさらに次の基本計画の設計、とりわけ博士後期課程学生の支援が、今後大学ファンドによる運用益からの支援に円滑に接続できるように、個別の事業の観点ですが、関係者も連携して検討を進める必要があるだろうと。
 また、政府の掲げる「新しい資本主義」における人への投資やスタートアップ支援など、政府全体の政策との整合性も考慮しつつ、引き続き議論を進めていく必要があるだろうということを書いております。
 
 最後に、3番の今後の検討課題(例)に記載している内容を説明させていただきますけれども、こちらは前掲の取り組むべき事項のところに書いてある内容が対応するものではありますけれども、特に深掘りすべき検討課題例というところで、こうした検討課題例も踏まえて、全体的な議論は引き続き必要であるだろうということで書かせていただいております。
 まず1つ目のポツは、議論の前提として、博士人材がどのくらいいて、どういう能力を持つ人材で、キャリアパスはどうあるべきかという、国としての認識と長期的な戦略、そして、産学官関係者への発信というのが必要であるという点。
 また2つ目のポツは、今後の産業界のキャリアパスの充実に向けては、業界団体等の連携も進めて議論を深めていく必要があるのではないか。
 また3つ目は、博士号取得者のキャリアという観点では、JREC-IN Portalが今、運用されているわけですけれど、これの産業界の情報を強化したようなもので、利便性の高いポータルサイトを構築するといった具体的な取組も必要ではないかと。そうしたポータルサイトを活用しながら、博士人材のロールモデルの情報を発信するなど、社会全体で博士人材を受け入れる土壌を醸成するような取組を進めてはどうかと。
 また、人材政策のPDCAを早くというところも書かせていただきましたけれども、人材育成の期間というのは非常にそれなりに時間がかかるというところも、当然必要なところですけれども、個々の事業の評価ということで考えると、事業の評価にフォーカスされがちですけれども、事業の中で雇用されたポスドクや人材等を評価するなどして、これまでの事業の人材育成に関する蓄積についての評価の方策なども議論できるのではないかと。
 また、最後のポツは、URAやプログラムマネージャーなどの戦略的に研究をマネジメントする人材といったものは、産業界でいえば研究開発に長く携わってきたハイキャリアの人材が携わるようなところもありますので、多様な研究人材がいるということにも留意しつつ、そうした育成・支援についても議論するべきではないかということを書かせていただいております。
 私からの説明は以上でございます。
【宮浦主査】  御説明ありがとうございました。
 それでは、審議のまとめ案ということで、この資料1を今期のまとめとして最終的につくり上げていくに当たって、意見交換を進めさせていただきたいと思います。
 まず、背景のところです。背景は、資料1の2ページから3ページ、4ページの上半分ぐらいまでだと思いますけれども、これをまとめるに当たっての背景を、委員の皆様の御意見を取り入れさせていただいた現状が、このような形になっております。
 背景について、まず御意見を伺いたいと思います。御発言、御質問、挙手機能で挙手いただけましたらと思います。
 髙橋修一郎委員、どうぞ。
【髙橋(修)委員】  よろしくお願いします。背景の部分を今読んで気づいたのが、国際頭脳循環の3ページから4ページにかけての部分ですが、流出については書いてある一方で、今後を考えると優秀な人材が循環して流入してくる部分に関しても、それを広げていくべきだ、というような記載があったほうがいいのではないかと思いまして。今読むと、循環と書いてあるけれど、流出ばかりを恐れているように読めてしまったので、そこを御検討いただければと思いました。
 以上になります。
【宮浦主査】  今の点、いかがでしょうか。人材の流出と、入る両方、そのニュアンスを少し強くしたらどうかという御意見が出ております。
 具体的には、髙橋委員、どの辺に手を入れたいという感じですか。
【髙橋(修)委員】  4ページ目の上から2ポツ目です。この部分が、「流出が懸念」というところは書いてありますけども、これに対になる形で、日本のアカデミアや産業界を、博士人材活躍の場として国際的に魅力的な場にしていくべきであるというか、そういう方向性を書かれるといいのではないかと思った次第です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。4ページのポツの2番目のところ、流出の懸念で終わってしまっているので、流入とか、相互の流動性の強化という感じで、少し手直しをしたいと思いますがよろしいですかね。
 柳沢委員、どうぞ。
【柳沢委員】  ありがとうございます。今の御議論を聞いていて、今さらのように私、思ったのですが、そもそも海外に頭脳が流出してしまうことが懸念だという考え方自体が、既に駄目なのではないかと思いました。
 つまり、海外に行きたい人は行けばいいのではないかと。その代わり先ほど議論のように、入ってくる人は拒まず受け入れて、どんどんまさに循環させればいいのでは。海外に出る、出たい若い者はどんどん出させたらいいのではないかと。
 今、日本のより大きい視野での問題は、ガラパゴス化です。日本の若い人材が海外に行かなくなってしまっていることがむしろ問題なので、「流出してしまうことが懸念される」、この時点でもう駄目だ、考え方として根本的に駄目な気がします。
 私自身、31歳でアメリカに行って、24年間アメリカにいましたが、アメリカの24年がなければ今の私はないので。私の場合は、たまたま日本に戻ってきていますが、国際循環というからには、この「海外に流出してしまうことが懸念される」という文章は駄目ですね。
 ありがとうございます。以上です。
【宮浦主査】  御意見ありがとうございます。ごもっともな御意見で、優秀な人材が海外に抜けて困っているのだと、そういう問題ではないという御指摘でございまして、国際的には、我が国も国際的なワンパーツとして人材を輩出しながら受け入れていくと。
 近年、博士号の学生で、学位取得後に海外留学や海外のポスドクをする人数が非常に減っておりますので、それ自体、非常に問題で、それに比べてアジア諸国はどんどん外に出している状況もございますので、この辺りはぜひ、加筆修正をしたいところでございます。ありがとうございます。
 高橋真木子委員、どうぞ。
【高橋(真)委員】  ありがとうございます。2ページ目の下から2個目のポツです。
 要は、研究活動も人ベースから組織レベルにやることによって、国際的な競争力にも太刀打ちできるようになるのかと思っておりますので、具体的な修正がもしお願いできればと思うのは、2ポツのところ、最後の行、「産学連携や複数の機関等の連携による教育・研究活動に、より一層取り組む必要が増している。」、そのとおりです。
 「増している」の後に、「また、それに携わる専門人材の必要性も高まっている」というような、一言、これは人材委員会でもあるので、いわゆる研究者だけじゃなくて組織マネジメント自体も大切ということを、前提のところで書いてしまってもいいのではと思いました。
 以上です。
【宮浦主査】  具体的に書くとしたら、3ページ、4ページ、どこに。
【高橋(真)委員】  後ろのほうはまたそのパーツで御指摘申し上げたいと思いますが、今は、前提、背景認識のところの2ページ目の下から2ポツに、組織全体としての活動が必要です、と書いてあるのですが、それに加えて、「より一層取り組む必要性が増している」の後に、「また、それを担う専門人材も必要である」と書いてもいい、意味の強調であって変更ではないですけれども、書いてもいいと思いました。
 以上です。
【宮浦主査】  御意見ありがとうございます。専門人材、URAとかマネージャーは非常に重要で、背景でもちょっと触れて、また後ろのほうでもしっかり書く方向でよろしいですかね。ありがとうございます。
 小林委員、どうぞ。
【小林委員】  先ほどの、4ページ目ですが、言いたいことは、ジョブ型の雇用の話です。話としてはよく分かるのですが、現実問題としては、そこまで日本社会はまだジョブ型に移行していないし、本当に移行するかどうかもよく分からないところがあります。
 例えば、M1の学生は既に就職活動しているわけです。M1の途中ということは、能力・技能等が確定していない段階で就職活動をしていることを意味するので、これは明らかにジョブ型ではないという話になります。そういう現実と、書いてあることの乖離が、3ページ目辺りに出てきていますが、理想に走り過ぎている感じがします。少し強過ぎる気がします。
 それに、本当にジョブ型に移行したときには、今度はキャリア採用との競争になるわけです。当然ながら、そういうキャリア採用と競争になるような企業への就職については、ジョブ型雇用が問題になりえます。ベンチャーとか、小規模企業だと、新卒でもジョブ型雇用がありえると思います。全然話が違ってくるわけです。
 そういうことを考えると、少しジョブ型のところが強過ぎて、現状はそうでないが理想はそうである、といったように、ちょっと弱めたほうがいいのではないかという気がします。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。3ページの(2)の最初のポツのところ、ジョブ型採用の潮流がまさに大きく動いているというニュアンスに読み取れてしまう可能性があるので、そこを少し弱めて、そういう方向性はまだまだだというようなニュアンスですか。
【小林委員】  望ましいけれど、なかなかそこまで行っていないという現実もあるということです。
【宮浦主査】  そうですね。この辺りが、「潮流が起き始めている」というと相当進みつつあるような背景に読めてしまうので、この辺を少し弱くしようという御意見でございます。ありがとうございます。
【小林委員】  少し補足すると、フェローシップ制度(科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業)がかなり効いていて、M1の学生が就職活動かフェローシップかという選択をし始めています。これはまとめの後のほうに出てきます。そういう意味では、全く意味がない話だとは思いません。
 ただし、現実はまだ少し多いかなという、そういうニュアンスです。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 宮田委員。次、隅田委員に行きますので、宮田委員、どうぞ。
【宮田主査代理】  お話どうもありがとうございました。短くまいります。
 今のジョブ型のことですが、ジョブ型という明確な認識はないと思うのですけれども、今の新入社員は全く終身雇用制を信じてなくて、しかも、自分たちが同じ会社にいるとキャリアアップできないと思っているので、転職を彼らはもう入社してすぐ考えていると思いますので、「ジョブ型」と言うと確かに刺激は強いと思うのですけれども、かなりジョブ型に現場は移行していると私は認識をしています。
 ですから、書きぶりをちょっと工夫していただきたいと思います。
 それから2番目、この背景説明のところで、2ページの下から3ポツ、「このような状況においては、人材を核としてこれまでにないスピードで」、この文章、全然文章として成り立っていないので、「このような状況においては、人材を核として」というのはやめて、「これまでにないスピードと短いスパンで新たな知の創出や破壊的イノベーションが連続的に起こり、そうした知の構造変化による経済・社会の変容が起こっており、それを担う人材の育成や供給が重要となってきた」という説明のほうが、すっとする気がします。
 この、「人材を核として」という表現が紛らわしいので、少し丁寧に解説したほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。確かに御指摘のとおり、ジョブ型という形式でないものの、多くの学生が、新入社員の方、長くそこで仕事をしていこうという認識はあまり持っていない。3年、5年というような視点、考え方を、若い人はみんな持っていると思いますので、そういう意味では、そういう考え方自体は非常に浸透している部分もあるので、ただ、「ジョブ型」という言い回しというのが、彼らがそれをジョブ型だと自分たちが思っているかというと、きっとそうではないと。
 その辺り、文言の使い方を少し修正できればと思います。ありがとうございます。
 隅田委員、どうぞ。
【隅田委員】  3ページ目の(2)の、旧来型の雇用システムからの変容のところかとは思うのですが、我々、これで3年ぐらい、コロナ禍でずっとこの会議もやっていましたし、研究も社会もやってきたわけです。
 その経験から、この必要性がさらに増しているとか、そういう、少し触れた部分があっていいのではないかと思いました。
 今書いている必要性をさらに強くするのか、一つ何か立てたほうがいいのか、すぐには判断できないですが、コロナ禍の経験を踏まえて、前に進む力をさらに強くするような部分があっていいと思いました。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。ここ2、3年のコロナ禍の環境が、就職あるいは仕事の関係、海外留学も非常に行きづらかったですし、様々な影響が大きかったので、その辺りを背景としても入れておく必要があろうという御意見です。ありがとうございます。
 迫田委員、どうぞ。
【迫田委員】  まず1点目がジョブ型のところで、宮田委員がおっしゃったように、私もこの辺はかなり進んでいると認識しております。
 とりわけ理工系が多い会社では、もう相当な割合、大企業でも4割とか5割程度がキャリア採用になっているので、既に変わっていると考えたほうがいいと思います。
 まだまだ、文化系が中心の金融等々ありますから、全体としてはそこまで行っていないと思いますけど、相当な速度で変わっているし、キャリア採用の方が多い会社も相当多いと思います。
 また、それとも少し絡みますけども、4ページ目で、「社会イノベーター」について書いてありますけども、社会を変えていく、変革していく、良くしていくというのは、必ずしも理工系だけの話ではないはずです。
 今、日本で少ないのはどこなのか考えますと、人文・社会系の修士と、博士が少ないというところが、諸外国と比べて著しく違うところではないかと思います。もう少しその比較があって、方向感を背景の中で示したほうがいいのではないかと感じました。
 博士を除けば理工系でそんなに負けていない一方、人文・社会系はもう、公的機関もそうでしょうし、民間企業もそうですが、修士さえほとんどいないというところではないかと思います。
 ここが大きな差になっており、また、マネジメント層には人文・社会系の修士が多いのは確かなので、それが処遇等にも影響しているのではないかと思います。後ろのほうで人文・社会系修士の強化は入っていますけども、むしろ背景のところに書く方が良いのではないかと感じました。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。人文・社会系の記載をもう少ししっかりという御意見、特に2ページの総合知のところで、総合知の重要性、人文・社会系の重要性というのを、この辺り冒頭ですので、この辺りでしっかり書くということでいかがでしょうか。
 あと、ジョブ型の問題ですけれども、特に理工系を中心にジョブ型に移行してきているという考え方はごもっともで、今、気になったのが、3ページのところ、ジョブ型採用と比べて通年採用(キャリア採用)というのが、キャリア採用とジョブ型採用を分けてここに書いてあるので、少し分かりづらいかと。
 おっしゃっている意味は恐らくキャリア採用のことだと思いますので、その辺りを、通年がキャリア採用、ジョブ型はまた違う形というのではなく、その分野とか能力あるいは特性に応じて、「キャリア採用あるいはジョブ型採用の形で」とか、少し言い回しを整理したほうがいいと思いましたので、その辺り、少し手当てしたいと思います。ありがとうございます。
 村上委員、どうぞ。
【村上委員】  私も今のジョブ型採用のところです。濱口桂一郎さんが「ジョブ型雇用」というネーミングを生み出していて、御自身で、世の中でジョブ型雇用は非常に間違った使われ方をしていると、岩波新書の中で書いていますので、あまり「ジョブ型」という言葉を使わない方が良いと思います。例えば転職が多いことや流動的になっていることを言いたいのであれば、「流動化」とか「キャリア採用」とか、「ジョブ型」という言葉を簡単に使わずに、内容をきちんと説明したほうがいいと思います。
【宮浦主査】  ありがとうございます。まさにその「キャリア採用」と「ジョブ型」が違うような言い回し、意味合いが複雑になってきて、言いたいことが少しずれてきておりますし、また、「ジョブ」という単語が前に出てきてしまうために誤解を招くという御意見かと思いますので、「職の流動化」とか「キャリアを生かした採用」とか、そのような形に少し文言を整理したいと思います。
 そういう方向でよろしいでしょうか。
 小林委員、どうぞ。
【小林委員】  先ほどの続きになってしまいますが、ジョブ型雇用で一番重要なのは、多分ジョブディスクリプションがあるか、ないかだと思います。
 先ほど、若い人たちがジョブ型になってきているという話ですけども、本当にジョブディスクリプションを前提としてやっているかというと、おそらくそうではないのではないかと思います。
 ですから、そういう意味でも、表現は工夫したほうがいいということに賛成します。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。それでは、ジョブ型採用という、それに取りまとめたような言い回しはやめて、少し工夫をするということで御意見をまとめさせていただきます。
 そのほか、背景、そのようなところでよろしいでしょうか。
 では次に進ませていただきます。続きまして、取り組むべき事項でございます。
 取り組むべき事項は4ページから、これは長いですけれども、4ページから7ページの下の辺りまで、取り組むべき事項について御意見、御質問いただければと思います。
 桝委員、どうぞ。
【桝委員】  ありがとうございます。取り組むべき事項、2-1-2の、次のページの丸2番の一番下の行ですけども、ロールモデルの形成・普及というところ、「博士課程学生が多様なキャリアパスを認識できるように取り組むべき」と書いてありますが、これは博士課程学生にこのロールモデルを普及させるという意味に聞こえてしまうと思います。個人的には、博士課程に行く前の部分だと思っていたので、以前、中高生とかにもしっかり普及したほうがいいのではないかという話をさせていただきましたけども、博士課程になってからキャリアパスを認識しても遅いと思いましたので、ここはもしかすると、もう少し広く、「博士課程学生が持つキャリアパスを、広く若い世代にも認識できるように」という形で書いたほうが、よりいいと思います。
 そのキャリアパスを認識できないと、そもそも博士課程に進まないという現状があるかと思いましたので、それは少し変えたほうがいいと思いました。
【宮浦主査】  ありがとうございます。5ページの丸2です。博士後期課程学生への経済的支援とロールモデルの形成というところで、ロールモデルは、次世代というのはマスターあるいは学部学生、事によっては高校生に浸透させることが重要で、その辺りが伝わってきませんので、「ロールモデルとして広く社会に浸透し」というところを、次の世代の学生などをターゲットとしているという言い回しに変えるということでよろしいですかね。
【桝委員】  はい。少しだけ加えれば十分だと思いますので。お願いします。
【宮浦主査】  はい、分かりました。
 そのほか、御意見ございますか。長いので、前後しても構いませんので、気になる部分や御質問でも結構です。
 迫田委員、どうぞ。
【迫田委員】  ありがとうございます。ロールモデルをしっかり提示していくことは非常に大事だと思います。イメージをちゃんと持っていくことは必要だし、それが社会に出てからということをイメージしながら研究活動をやるというのは非常に大事なことだと思います。
 その一方で、出口のところの対策をどう考えるかという点が重要だと思います。7ページの下のほうに「マッチング」について記述頂いていますが、この辺をもっと強調すべきと思います。JREC-INを、使ったことがないのでよく分かっていませんが、通常の採用活動に使えるようなもの、民間で広く使われているようなものと結びつかない限り、「ここを見てください」というのではマッチングにならないと思います。
 この間、LinkedInというお話もヒアリングの中で出てきておりましたけども、一般的にキャリア採用で使われるものを活用し、自分がどのようなことができるのか、それを一般の方にも分かるような形で表現できる訓練ができて初めてマッチングが成立すると思います。
 おそらくほとんどの企業は、そもそもドクターが応募してくることに慣れていません。経験がないので必要かどうか判断もつかない、考えたことがない会社が、数からいえば圧倒的に多いと思います。特に中小企業はそうでしょう。
 そのような会社でも、解ける課題がはっきりしていてマッチングができれば、活躍の余地は幾らでもあると思います。そこをうまくつなげるような方策を考えないと、マッチングにはならないのではないかと思います。そこをもっと強調していいのではないかと思いました。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。マッチングですね。出口が非常に重要だということで、マッチングがそもそも、十分産業界の皆さんに活用していただくようなものが存在していない。一部はつくられてきていて、ヒアリングも部分的にしたところではありますけども、全くないわけではないものの、広く使えるかというとなかなかそうはいかない。見える化できていないので、どこにどういう人がいるかよく分からない中で、目的志向型で採用がかけられる、キャリア採用できるかというと、その部分がまだまだ課題があるという御意見かと思います。
 確かにJREC-INも、国がやっておりますけれども、アカデミアが人を採用するためのサイトになってしまっていますので、これは抜本的に、あるいは何か組み替えて、産業界の方と一緒に新たなものをつくる、あるいはタスクの中に入れる、何かをやらないと使えるような状況にはならない、キャリア採用用にはならないと思いますけれども、7ページのところで、産業界で実施すべき取組にしては、ここの書きぶりは適切と思えないという御指摘かと思います。
 下から2番目のポツ、少し検討するということで、こちらは事務方と文言を検討させていただきたいと思います。このままでは問題だと思います。
 ほかに手が挙がっておりません。御意見、どこの部分に関してでも結構です。いかがでしょうか。取り組むべき事項でございます。
 小林委員、どうぞ。
【小林委員】  せっかくなので、今のところでお話ししたいのですが、以前の会合でも言ったことがありますが、少なくともコロナの前までは、民間のヘッドハンティングの会社とか、いろんな会社が、実は博士の探索とか、採用等をやっていました。
 かなりお金をかけて頼んでいた企業もあったようで、そういう活動は確かにしていたので、JREC-INだけではなくて、民間のそういった各種のサービスも活用するというのは、一言入れてもいいのではないかという気がしますけども、いかがでしょうか。
【宮浦主査】  ヒアリングでも話題になっておりましたし、民間でのサイトの活用なども追加させていただくということで、先ほどのところですね、JREC-INで済むとは思っておりませんので。
 ちょっと関連して、髙橋修一郎委員、民間の出口で、サイトというか、出口システムみたいな、書きぶりで何か御意見ありますか。
【髙橋(修)委員】  先ほど、産業界が一般的に使っている採用ツールという話もありましたが、現場感としては、博士採用で、そちら側が盛り上がっているという感覚はありません。少なくともアカデミアの中での認知という意味ではJREC-INがやはり一番あると思いますので、それをどう産業界側に活用してもらうか、そういうところからと思いながら聞いておりました。
 以上、コメントです。
【宮浦主査】  ありがとうございます。産業界側で構築しつつある、または過去に活用してきたシステムなども活用しながらという感じで、少し修正をさせていただくという方向でよろしいですかね。
 村上委員、どうぞ。
【村上委員】  7ページ目の、(4)特に産業界で実施すべき取組の4つ目に、「今後はさらに産業界全体としての方向性やビジョンを、雇用制度の変更などについて、国が主導して、アカデミアに連携を促すなど抜本的な取組が必要となる」という内容が書かれていますが、ここはどういうことをイメージしていらっしゃるのでしょうか。質問です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。「国が主導し」って書いてありますけれども、でも、このパーツは産業界で実施すべき取組ですよね。
【村上委員】  はい。産業界で取り組むべきものかと思います。産業界で行う取組、雇用制度の変更などの取組を、国が方向性やビジョンを示すというのは、具体的にどういう方向性とかどういうビジョンのことを言っているのでしょうか、というのが質問です。
【宮浦主査】  事務局から何か御意見ありますか。作文に当たって。
【對崎人材政策課長補佐】  ありがとうございます。こちらの点は、確かに国が主導、国が産業界のビジョン、方向性やビジョンを主導するという、書きぶりはいずれにしても修正をさせていただきたいですけども、書かせていただいた趣旨としましては、これまでも産業界側は、きっちり高度人材を使っていくということは、個別にはやっていると。アカデミアも、しっかりとした人材の育成は個別にはやってきているし、実際活躍されている状況が、個別にはいろいろ起きているけれども、今後の全体的な流れをつくっていくところは、さらに国が抜本的に主導するような形を取っていかないと根本的な動きにつながっていかないというのが、書かせていただいた趣旨ではありますので、そうした趣旨が少し伝わるようには、少なくとも修正させていただきます。
【村上委員】  ジョブ型雇用のような、何か具体的な方向性は念頭に置いていらっしゃるのでしょうか。
【對崎人材政策課長補佐】  そこは、すみません、具体的にどういうやり方というところがまだあるわけではないですけれども、これまで、国の機関では、例えば博士号所有者をより積極的に活用・採用するといった動きも含めてだと思いますが、そういう、国が旗を振って、国がそういう方向を示しているならということで、産業界とかアカデミアがついてきてくれるような動きをつくりたいという趣旨でありますので、すみません、具体的に何かというところは、今のところはないので、むしろそういった観点で、もし抜本的に国がやるべきところが何かありましたら、御意見をいただければと思います。
【宮浦主査】  ここのパーツは産業界で実施すべき取組で、国が取り組むべき事項の場所ではないので、例えば先ほどのマッチングとかキャリア採用ですとか、若者の流動的な考え方にさらに柔軟に対応していくとか、産業界側の立場で書く必要があります。ですので、少なくともこの4個目のポツは、具体性が若干ないので、削除なり、少し修正をさせていただくということでよろしいですか。
 隅田委員、どうぞ。
【隅田委員】  アカデミアのところでもう少し実質的なことがあってもいいと思って、例えば博士の論文の審査員に外部委員で産業界の人に、分野によっては入っていただくとか、指導の段階から外部アドバイザーで分野によっては入ってもらうとか、もう少し実質的に、少しずつ絡めるようなものがあったらいいと思いました。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。6ページから7ページにかけてのところでしょうか。
【隅田委員】  はい、そうです。
【宮浦主査】  産業界の方に博士後期の教育に積極的に入っていただくような、そういう内容を。トランスファラブルスキルというのがここで出てくるのですけれども、そこに産業界との協力という感じで入れればよろしいですかね。
【隅田委員】  はい。
【宮浦主査】  既に卓越大学院とか、あるいは過去のリーディングのようなものをやってきた大学ではかなり入っていただいていると思いますけれども、全体的に十分かという部分もあると思いますので、ここのトランスファラブルスキルの強化のところで産業界との連携ということを追加させていただきます。
 迫田委員、どうぞ。
【迫田委員】  何回もすみません。背景のところで申し上げましたが、人文・社会系に対してどういうスタンスなのかというのがほとんど出ていないように思います。7ページから8ページの対策のところで、まず修士増やしましょうというということですが、これも特に何か策があるわけでもないので書き切れないのかとは思いますが、ここは具体策が何もなくてよいのか、方向性もなくていいのかというのが少し気になります。
【宮浦主査】  ありがとうございます。6ページから7ページにかけて、アカデミアで実施すべき取組のところに人文・社会系の重要性やその対策が書いていませんので、そこにまず入れておくというのが必要かと思いました。取り組むべき課題ですので、分野融合や総合知で極めて重要な人文・社会系の博士の強化をするということを7ページの上段あたりに入れさせていただければと思いますが、よろしいですかね。ありがとうございます。
 宮田委員、どうぞ。
【宮田主査代理】  ありがとうございます。5ページの上段のあたりに流動性が低いというのでいろいろな例を挙げていますけど、ここでの議論、もう2年間そうでしたけど、ここで実は思考停止になっているので、もう一歩踏み込んでもらいたいと思っていて、流動性がなぜ低いのかという調査研究をしっかりやるべきだと実は思っています。アカデミア側、あるいは産業界。
 先ほど隅田さんがおっしゃったのか、トランスファラブルスキルみたいなものの審査、要するに可視化のために、産業界と一緒に新たな基準をつくるとか、そういったことは非常に重要ですけれども、根本的になぜ大学院生は相変わらずアカデミアスキルにしがみついているのかという、心理的な、あるいは待遇的な問題も含めて、やはりもう少し、調査研究による事実に基づいて我々議論すべきではないかと思うので。こういうプログラムは簡単につくれるので、調査研究をやるべきだというようなこと、あるいは年度別か何かに、本当に流動化が行われたかどうかというインデックスみたいなものをしっかりモニターするとか、この報告書を読むだけではなくて、次の人材育成のためのプログラムにつながるような、研究プログラムにつながるような文章が欲しいと思います。
【宮浦主査】  ありがとうございます。流動性を高めるためには、まず調査研究などをしっかり産学でやると。その点は今後の検討課題、10ページあたりに入れるのでいかがでしょうか。よろしいですかね。
【宮田主査代理】  分かりました。異存ありません。そのほうがきれいです。
【宮浦主査】  ありがとうございます。そのほか取り組むべき課題、取組内容について御意見いかがでしょうか。
 では、先へ行かせていただきます。
 次に、留意すべき事項についてです。留意すべき事項については7ページから、2-1-3、留意すべき事項として、分野の違い、業種の違いですとか、あるいは多様性の人材、研究時間確保など留意すべき事項、比較的短いですけれども、いかがでしょうか。
 8ページの上から2ポツ目に、総合知などで、留意すべき事項に入っております。ここに人文・社会系の、分野の違いを十分に理解して、その重要性を十分に理解すべきということを先ほどの議論から入れさせていただきたいと思います。
 そのほか、業種の違い、多様性等ございますが、よろしいですか。
高橋委員。
【高橋(真)委員】  ありがとうございます。2点あります。1つは、ページ8、(2)人材の多様性のところですが、そもそもこの留意すべき事項というのは、その上で書いたやることを実装していくときに、こういうことに注意しましょうという項目と理解しています。そうすると、8ページ目(2)の女性研究者については、これはやるべきことであって、「促進を図ることが必要である」とも書いてありますし、書くべき項目がここなのかというのは素朴な質問です。ここに書かれた趣旨が事務局でもしあれば、御教示ください。これがまず1点目です。いかがですか。
【對崎人材政策課長補佐】  ありがとうございます。先生がおっしゃるとおり、まさにその前まで掲げているところが具体的に、分野とかを問わずに総論として必要な部分であるということで書かせていただいておりますので、まさに先生おっしゃるとおり、この多様性という文脈をどう扱うかということにもよるとは思いますけれども、もし研究者個別の職種・女性研究者というところで、上のほうで書くべきところがあれば、そういうところにも入れさせていただきたいと思いますけど、書いた趣旨としては、先生がおっしゃるとおり、全体論、総論として取り組むべきものの実装のために留意すべき観点ということが以下書いてあるところでございます。
【高橋(真)委員】  趣旨がまず合っているということ、了解しました。それで、気持ちは分かりますが、やはりここは、それを実装するときにこの点も気をつけよということで、やはりやるべきことという直接的なことよりは、情報の質が変わってくると思うので、ここは議論だと思いますけれども、私自身は、やはり我々の現状把握を踏まえれば、女性研究者に関して幾つかの施策もありますし、きちんと今後もやるべきこととして、そこに明示的に打ち出したほうがいいのではないかというのが1点目です。1点目についてはこれで終わりにします。
 2点目ですけれども、文言も含めて、より明確に、フォーカスした文章にしてほしいという、ある種テクニカルな話ですけれども、URA等の人材の説明ぶりです。ともすると支援人材というのは、やはりサポートであり、プロアクティブなイメージはないのが日本語の語感だと思います。やはりこれからは、単なる研究者支援ではなくて、共に研究力の強化を行うマネジメント専門人材という位置づけを、こういう政策文書では明確にするべきではないかという観点から、支援と書いてあるところは、研究の推進支援等、「推進」という言葉を入れていただくことで、その趣旨の明確化をしていただければと思います。具体的には、今のところではページ8の(2)の2個目、女性研究者の下のところです。
 また、単に研究者のサポートではなく、日本では、いわゆる大学のトップ層が、プロの大学運営の人材ではなく、やはり研究と事務系の人材にまだ限定されていると思うので、なかなかまだ日本では足りていない研究組織のマネジメント人材という観点が文脈として入るといいのではと思いました。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。研究人材の多様性のところは、留意すべき点ではなくて、強化してやるべき取組ではないかという御意見かと思います。ここに突然、多様性が出てくると、今まで多様性のことを全然言っておらず、一応留意してくださいという程度かという御意見かと思いますので、4ページの取り組むべき事項の、国とアカデミア、産業界が共通して取り組むべき事項あたりに、多様な人材の活用強化ということを入れるというのはいかがでしょうか。どこに入れるか要検討ですが。
【高橋(真)委員】  場所に関しては、最終的には主査と事務局の方にお任せしたいと思いますが、やはり項目として、今、主査御指摘のとおり、上に上げていただければ、私は大賛成です。
 以上です。
【宮浦主査】  入れるページ数等は検討させていただき、やるべき事項、取り組むべき事項に多様な人材の強化ということを入れさせていただきたいと思います。それでよろしいでしょうか、高橋委員。ありがとうございます。
 宮田委員。
【宮田主査代理】  短く申し上げます。留意事項で一番重要なのは人材育成のための資金確保だと思いますが、それが抜けておりますので、ぜひ入れていただきたいと思います。
【宮浦主査】  資金確保といいますと、それを新たに項目立てしましょうか。
【宮田主査代理】  はい。時間確保があって、資金確保もあるべきかという、そういうバランス感覚です。
【宮浦主査】  なるほど、時間確保、資金確保ですね。その資金確保は、アカデミア、機関レベル。
【宮田主査代理】  はい。この場合はそうなります。
【宮浦主査】  機関レベルですね。
【宮田主査代理】  できれば企業のところでも、例えば交換プログラムのようなものをつくって資金を充てていただけるとありがたいと思いますが。
【宮浦主査】  ありがとうございます。人材交流プログラムとか、あるいは流動性強化プログラムで、宮田委員おっしゃったように調査研究をやって、それに即した事業を長期的に立てていくとか、そういう意味合いでしょうか。
【宮田主査代理】  はい。それと、トランスファラブルスキルなどの計測システムとか、人材の流動性のマイルストーンみたいなものの調査のためにはやっぱり資金が必要ですし、それからトランスファラブルスキルを、今の大学教官が全員教えられるかというと、そういうこともないので、多分外部人材を導入して、きちっとリーダーシップみたいな議論をしないといけなくなると思うので、そういったところもやはり資金手当てをぜひお願いしたいと思います。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございました。トランスファラブルスキル、今全国でいろいろやっていると思いますが、それを評価するようなシステムがないので、そういう指標、評価、数値化みたいなものも必要ですね。
【宮田主査代理】  はい。
【宮浦主査】  教える側のスキル調査も必要だと思いますし、アカデミアだけで回せるものではないので、システムや評価法なども調査項目とするような資金を、例えば文科省でそういう枠組みをつくっていただけたら、共有事項としてみんなで活用できると、そういう資金。
【宮田主査代理】  しかもそれは多分、標準化されていくと、企業でも使うようになるので、企業で採用するときも大きな目安になるだろうと思います。
【宮浦主査】  ありがとうございます。そこは(3)のところ、タイトル含め、少し変えるという感じで対応したいと思います。
 小林委員、どうぞ。
【小林委員】  2つか3つのことを言いたいのですが、まず1つは、隅田先生が最初にお話しになられていたコロナ等の影響です。我々はここ2年間、コロナの影響とか、あるいは国際的な地政学的問題とか、あるいは最近では経済的な、あるいは社会的なことも含めて見通しが非常に分からなくなっている混乱期にあります。直接議論してきたわけではないけれども、コロナの影響を受けてきたのは事実だと思います。その辺りのことは、今後やはり注視していくべきではないか、あるいはそういったことについても考慮していくべきでないかということを最後のところに付け加えるのがいいのではないかというのが1つです。
 それともう1つは、他の文科省のいろんな施策との関係で、既にいろいろなものが動いています。例えば、設置基準が今度、大幅に改正されたのですけども、その中で基幹教員という概念が出てきました。その元になったのは、大学教育に実務家教員をもっと入れようという話です。要するに、ある一定の活動量を持つ実務家教員であれば、大学のいろいろな、例えば、極端なことを言えば教授会の意思決定に参加するような、そういう権限をきちんと与えましょうと、そういう趣旨で、設置基準も変わってきています。
 まだ大学院の設置基準については完全に整理されていない部分がありますけども、例えば博士の指導に関しても、民間の人が実際に入ってやっていくことは、もう可能です。そのために制度をつくったという面もあるので、そういったことにきちんと言及するとか、人文・社会についても、実は8月に、人文・社会の博士の振興についてレポートが出ているので、一応参照したほうがいいのではないかという気がします。
 それと、今後のことで注視すべきことで言うと、先ほど少し申し上げましたが、フェローシップ制度の開始、これはかなり大きいインパクトが出てくる可能性が感じられます。ほんの1回か2回やっただけですが、博士進学を積極的にしようという人たちが結構出てきている印象があります。従来であれば、もうM1の段階で就職活動に走るという人たちが、これを使うなら博士課程へ行けるという、そういう意見をよく聞くようになってきました。ですから、今すぐ断言はできないですけれども、フェローシップ制度の効果等についても今後注視していくべきだということも書いてもいいのではないかという気がします。要するに、今の留意事項の最後のところに、そういう今後の課題とか、今後さらに注視していくべきだということを付け加えていただくといいのではないかと思います。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。指導教員の資格も含めて、教える側の問題、御指摘いただいたと思います。その辺りがあまり入っていないので、どこかに入れたいと思います。
 また最後のところで、博士後期課程の経済的支援、フェローシップ事業やSPRING事業が果たす役割というのが非常に大きくなってきていて、継続性というのが極めて重要であるので、効果的であることをしっかり書いておくということを、9ページにもう少し追加したいと思います。よろしいですかね。
 柳沢委員、どうぞ。
【柳沢委員】  今ちょうど主査がおっしゃったことにつながりますけれども、事前の文科省さんとの会話でも少し言いましたが、この文書、やはり経済支援に関して博士後期課程に関してしか全く言及がなくて、確かに理系では、今の日本の問題は修士でやめて、博士に行かない学生が多いというのが最大の問題ですが、そうとはいえ、修士に行かないと博士後期には行かないわけで、それから、先ほども問題になった文系では修士に行く人すら少ないということですので、経済支援については、例えば、修士課程だけれども博士にコミットしている学生には経済支援をすると。実際、例えば貸与型の支援にしておいて、博士に本当に入ったら返さなくていい制度にするとか、それから文系だったら、修士から支援するとか、博士前期ないしは修士課程に関する支援というのもメンションすべきではないかと思います。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。ごもっともで、修士課程、博士前期課程から経済的支援、それは博士後期課程への進学を前提としたものを準備することが求められるということを、どこかにきっちり入れておくと。文系は、おっしゃるとおり、博士前期さえ非常に少ないので、そこを解決しないと博士後期は解決しないというところでございます。最後のほうに今の点入れたいと思います。ありがとうございます。
 ほか御意見いかがでしょうか。それでは、一旦先へ進んで、また後で総合的に。
 今後の検討課題でございます。今も幾つか、もう既に出てきている御意見もございますが、案文では10ページになります。
 村上委員、どうぞ。
【村上委員】  海外での研究経験を含んだキャリアパスについては、今期は議論できていないと思います。先ほど背景のところで、我が国の貴重な人材が海外に流出してしまうことが懸念されるという発想自体がおかしいという御指摘が柳沢委員からございましたけれども、私も同感で、グローバルな文脈の中でキャリアパスを考えていくことは今後の重要な検討課題であると思いますので、その点を付け加えていただきたいと思います。
【宮浦主査】  ありがとうございます。今後の検討課題、グローバル人材に育つためには積極的な海外との研究交流、留学等々強化していくべきだということを追加させていただきたいと思います。
 ここの今後の検討課題にしっかり書いておくというのは非常に重要になりますので、ぜひ御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
隅田委員、どうぞ。
【隅田委員】  ありがとうございます。3つ目のポツのところで、「国・産業界の支援やキャリア情報」というところがございますが、ヒアリングしたときに、各大学でいろんな支援制度がありますが、情報が分散されているような課題があったように思えます。そうした情報が一括に見られるといいのではないかということで、こういうポータルサイトで各大学の有益な良い情報は集めたらいいのではないかと思いました。それが1点目です。今だと多分、人事情報の詳細とかまで見ないと分からないのが多いのではないかと思います。
 それともう1つは、若手支援について、いろいろな学会がやり始めています。若手の委員会を作るとか表彰制度とか、そういう学協会の状況なども調べたらいいのではないかと思うのと、実際ジェンダーで調査をしているように、論文執筆のどれぐらいの割合、例えばどういう分野でどれぐらいの人が産業界の人と共著なのかとか、学会の役員はどれぐらいの割合でいるのかとか、分野と併せて、その基礎データのようなものがあると、議論に説得力があるようになると思いました。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。今の議論は、先ほど宮田委員がおっしゃった調査研究で、数字を含めてしっかり調査をするということとも共通するかと思いますけれども、それは国がやるべきことか、国が予算を立てていただいて産学でやるべきことか、その辺りは考える必要があると思いますけれども、学協会とか各機関それぞれ採用情報を出してしまっていて、それが一括で見ることができるというのはなかなか難しいという現状も、見える化ですね。見える化について少し書いておきたいと思います。特に博士後期は、前期に比べて数自体は少ないので、十分に見える化できていない部分があると思います。
 高橋委員、どうぞ。
【高橋(真)委員】  ありがとうございます。引き続き、またURA等のことについてなんですけれども、最後のポツです。對崎様の御説明の言葉の中ではあったので、それをより明確に、こういう人材が研究力強化に資するということを文言でも書いたほうがいいということで、テクニカルな文章の提案です。ポツを読みますと、「URAやPM等、組織における研究を」となっていますが、「URAやPM等」の後は、「研究推進支援を担う専門職人材の活躍は、組織における研究マネジメントの向上や研究力強化に必須の要件である。よって、こうした多様な研究人材が魅力ある職種として」というほうが、産業界でこういう人がいるからということよりは、より因果が明確だと思いますし、これまでの議論を直接反映したことかと思いますので、特段産業界との対比で言うことに対して大きな背景がなければ、そういうふうに、今までの議論をストレートに表現したほうがいいと思いました。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。URA、PMの重要性は今後取り組むべき課題の重要事項の一つだと思いますので、もう少し研究力強化にいかに資するかということをしっかり書いておくと、承知いたしました。また、URAとかマネージャーの育成の部分で産業界とアカデミアが協力するという、現状でも産業界からいらっしゃっているマネージャーやURAの方がいらっしゃると思いますけれども、その辺りが諸外国に比べて、我が国は数もシステムも弱い、先生いろいろ御尽力いただいているところではありますが、しっかり書いておくのが重要だと思います。
 宮田委員、どうぞ。
【宮田主査代理】  あまりちゃんと貢献していないので、少し貢献しようと思いました。今後の課題の2番目のポツですか、博士人材の産業界へのキャリアパスの充実に向けて、業界団体などとの連携を進め、議論を深めていくべきではないか、それはそうですけれども、どうでしょう、時々経団連がやりますが、議論の場をつくる、つまり産学官で、博士人材をどう育成し、どう活用していくかというようなものをフラットに討議する場をつくる。多分こういう人材の育成政策担当者に十分現状の情報が入っていないのではないかと思っていて、そういったフラットな情報交換の場をつくると、いいアイデアも出てくるのではないかと思います。これ、当たり前の表現しかないので、もっと議論を深めていく場を、例えば国が各アカデミアや各企業、企業団体などをまとめて、提供することを検討するぐらいはいかがでしょうか。
【宮浦主査】  ありがとうございます。情報交換、議論を深めていく、その場をつくるということですね。
【宮田主査代理】  そうです。
【宮浦主査】  場をつくるということをしっかり書いておく。
【宮田主査代理】  はい。委員会だけでは、やはり情報足りないと思います。
【宮浦主査】  そうですね。特に業界団体、経団連の皆様、アカデミアも様々なタイプのアカデミアもございますので、そういう後で振り返って見られる情報交換サイトのようなもの、あるいはオンラインのシンポジウムのようなもの、何らかの意見交換の場をぜひ、宮田委員、発起人で。サブ発起人やりますので。
【宮田主査代理】  はい。では隅田さんもぜひ参加していただいて。
【宮浦主査】  そういうところから始めることの重要性をここで、今後の検討課題ですので、少し具体的に書いておいてもいいかと思いました。
【宮田主査代理】  ありがとうございます。具体的に、実は尾身先生を議長に、日経・FT感染症会議というのが今、9回もやっています。そこで企業もアカデミアも官界も全部集めて、フラットに議論していて、政策提言するような場をつくっているので、やはりそういう活動が幾つかあって、最終的にこの委員会にそういった御要望が伝わってきて、我々が政策判断をするというか、こういうのがいいのではないかという提言ができる仕組みをつくっておいたほうがいい気がします。まだ個人的な経験で皆話しているので、もう少しパブリックな議論が必要なのではないかと思います。
【宮浦主査】  ありがとうございます。先ほど宮田委員から御提案があった調査研究のことですけれども、その中とも共通する事項なので、調査研究、数字の各種調査と同時に、パブリックな議論の場をつくって、その議論を調査報告書等に組み入れていってまとめるとか、そういうイメージで、一緒に書いてもいいですかね。
【宮田主査代理】  はい。そのほうが世の中動かせると思うので、どうぞよろしくお願いいたします。
【宮浦主査】  微力ながらやってみます。作文を、かなり変えますので、事務方とも御相談させていただきたいところですけれども、そのほか全体を通して御意見いかがでしょうか。
 事務方への御質問です。いただきました御意見で、まず修正をして、委員の皆様に見ていただく機会を頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。
【對崎人材政策課長補佐】  承知しました。ただ、来週、科学技術・学術審議会総会がございまして、そちらで宮浦主査から発表いただく予定ですので、そこに間に合うような形で修正等ができればと思っております。他方、科学技術・学術審議会の場で審議のまとめをオーソライズするというものではなくて、あくまで人材委員会のまとめとして宮浦主査から御報告いただくという趣旨ですので、一定の区切りはつけて先生方に再度見ていただきたいと思いますが、当座そのようなスケジュール感で、今日いただいたものを含めて、一旦、宮浦主査とも御相談の上で、締切りを区切って再度見ていただくような形にしたいと思います。
【宮浦主査】  ありがとうございます。来週の総会までに全部仕上げてというのは、ちょっと時間的に厳しいと思っておりまして、一応総会では、取りまとめ、大筋ということで発表させていただくことになりますけれども、その後、微修正がかかってもいいと思いますし、今期のまとめとして、最終的にいいものを、皆様の意見、再チェックいただいてから仕上げるほうがいいかと思っております。各委員に見ていただく時間を取っていただければと思います。総会の発表資料につきましては、また別途、抜粋という形になると思いますので、そういう方向でよろしいでしょうか。
【對崎人材政策課長補佐】  承知しました。事務方としても結構でございます。
【宮浦主査】  ありがとうございます。それでは、御意見頂戴いたしました内容、全部把握できているかと、録音していると思いますので、それも確認しながら修正版案をつくらせていただき、委員の皆様に御確認いただく時間を取らせていただきたいと思います。メールベースになると思います。また、それと並行いたしまして、科学技術・学術審議会総会で審議まとめの内容を報告することになっておりますので、それは抜粋ということで大丈夫かと思いますので、おおむねできているという形で報告させていただければと思います。
 御意見いただきました最終的な調整は御一任いただくということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 11期の人材委員会、本日で最後となります。まず、事務方を代表して、北山総括官から一言御挨拶を頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。
【北山総括官】  科学技術・学術政策局の総括官をしております北山と申します。11期の人材委員会の会議の閉会となりますが、宮浦主査、第11期人材委員会の先生方におかれましては、科学技術・イノベーション人材の育成・活躍促進に関して貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。
 この11期では、博士課程学生に対する経済的支援の拡充に追い風が吹く中、博士人材のキャリアパス確保を中心に御議論いただきました。現状認識でありますとか取り組むべき事項、留意すべき事項、今後の検討課題といったことについて、幅広い観点から御意見をいただきましたことに御礼を申し上げたいと思います。
 現在、大学における研究を取り巻く環境というのは大きく変わっているのではないかと思います。大学ファンドによる国際卓越研究大学支援というものは、近く公募が始まる予定ですし、先日閣議決定された第2次の補正予算においては、地域中核・特色ある研究大学支援、大学発スタートアップ支援、国際頭脳循環支援などについて数千億円の規模が準備されまして、安定的に支援が行われるよう基金の設置が認められたこともございます。研究という観点からの大学に対する支援が、これまでにない規模で強化されつつあると思います。
 博士人材支援については、既に令和3年度に基金が設けられ、取組を進められていて、今後大学ファンドによる支援に移行していくことになりますが、今般設置された基金も、URAであるとか技術職員、産学官の連携やスタートアップの支援人材など、多様な人材に対する支援を行えるものにしたいと考えています。また、報道もされていましたけれども、国家公務員については博士号取得者に対する処遇改善が図られることになりましたし、9月には内閣官房に新たに科学技術顧問が置かれて、JSTの橋本理事長が任命されています。永田町におけるこの分野に対する関心も大いに高まっているように認識しておりまして、有意義な施策をつくっていきたいと思っております。
 今後、本日も様々議論いただきましたキャリアパスの問題も含め、国として長期的戦略を描き、社会全体で博士人材が活躍できる環境をつくっていきたいと考えておりますので、引き続いての御指導のほどよろしくお願い申し上げます。今期の御審議、誠にありがとうございました。
【宮浦主査】  ありがとうございました。次期人材委員会につきましては、科学技術・学術審議会の運用ルールがございまして、それに基づきまして、委員の交代・継続などの手続が行われると思います。今期御参画いただきました委員の皆様には、改めて御礼申し上げるところでございます。
 事務局から、時間が余ったら、1人1分ずつ好きなことを話してよいと聞いておりますので、時間が少々余りましたので、お一人1分ずつ、関連して、関連しなくても結構ですが、一言御発言ください。
 宮田委員からお願いします。
【宮田主査代理】  それでは、1分で。人材委員会、私、随分長くやっていまして、同じ議論を実は堂々巡りしていたという感がありましたが、今回は主査のよろしきを得て、一歩踏み出せたかと思っています。今回私が望んでいる調査研究こそ、次の展開の重要なポイントになりますので、ぜひこれを実施していただきたいと思います。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。小林委員、お願いいたします。
【小林委員】  小林です。私は次の任期があるのかどうか分かりませんが、実は進行性の難病を抱えておりまして、そろそろ審議会等から引退するタイミングではないかと自分では考えております。多分任期も切れる頃じゃないかと思いますけれども、今後、サポートはしますけれども、時間や場所が決まった会合に出るのはなかなか難しくなってくるかと思っていますので、ぜひとも皆さんで頑張っていただければと思っています。具体的なことは、事務局と相談したいと思います。よろしくお願いします。
【宮浦主査】  ありがとうございます。隅田委員、どうぞ。
【隅田委員】  ありがとうございます。今回こういう、若手人材といいますか、科学技術人材育成の取組が発展しようとしているときに関わらせていただけて、大変うれしく思います。高校生とかも、すごいいい子がいます。それがどうして博士に進んでくれないのかとか、そういうところをうまくつないで発展できればと思う次第です。
 あと国際的な状況で、アジアでも、このコロナ禍にオンラインでいろいろなことができるようになって、フィリピンもインドネシアもマレーシアも、急速に台頭してきています。英語を駆使しながらパートナー拡大や波及を大きな規模でやっています。そういう科学技術の内容も分かりグローバルにできる若い人材がアジアだけでかなりプールができている中で、日本がやっぱり頑張ってほしいなと、それに何かお役に立てればと思います。本当にありがとうございました。
【宮浦主査】  ありがとうございます。迫田委員、どうぞ。
【迫田委員】  初めて人材委員会させていただきまして、本当にありがとうございました。現在人材への関心が高まってきたと思いますけども、グローバルに見ると、日本が選ばれない国になりつつあることに非常に危機感を感じております。アカデミアも産業界も、その流れを変えていくことが大変重要だと思います。今回いろいろな提言も出ていたと思いますので、一歩前に、施策につながるようにできたらと思いました。本当にありがとうございました。
【宮浦主査】  ありがとうございました。髙橋修一郎委員、どうぞ。
【髙橋(修)委員】  髙橋です。ありがとうございました。この前、事務局の方とお話ししていて、この委員をもう10年やっているらしくて、自分でもびっくりしましたけれども、自分にとっても、国の考えていることとか皆さんの御意見からたくさん学ばせていただきましたので、まずお礼を言わせてください。
 リバネスは科学教育を創業時から続けていますが、10年前に私たちが教えていた中高生が、修士、博士を取って今入社してきていますので、長期的な視点にたった人材育成は大切だと痛感しています。私はベンチャーを経営していますが、引き続きこの視点も持ちながらエッジが利いた事業を提案していきたいと考えています。国の施策もしっかりと両にらみで見ながら、委員の経験を生かしてチャレンジングな打ち手を打っていこうと思っています。本当にありがとうございました。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございました。高橋真木子委員、どうぞ。
【高橋(真)委員】  ありがとうございます。URA、PM等についていろいろ発言をさせていただいて、私も10年選手になり、今回で恐らく卒業だと思います。まず、ありがとうございました。この10年を振り返りますと、10年前は多分、URAと書いて「ウラ」と読む人がいたと思いますが、随分普及が進んだと思います。とてもうれしいです。ただ、国際のほうに視野を広げてみると、アジア諸国も今、URA人材の団体をつくったり、認定制度を欧米と一緒につくったりと、非常にそういう意味では、取り残されてはいけない、激動の中に引き続きいると思っています。
 産業界との交流に関しても、リスキリングとして、産業界を卒業なさった方が、この後10年アカデミアでということもあると思いますので、ぜひ皆様、引き続きこういう場で御検討いただき、私は現場のほうで、仲間と頑張りたいと思っております。本当にありがとうございました。
【宮浦主査】  ありがとうございます。桝委員は恐らく途中退席されていると思うので、村上委員、どうぞ。
【村上委員】  私は今から10年以上前に、ポスドク1万人計画のあたりでの問題点について書いたことがあります。当時は「ホームレス博士」という本が出るほど、博士人材は本当につらい時期にあったと思います。今回博士人材のキャリアパスに関して、これほどいろいろな角度から提言をすることができましたのは、博士人材のキャリアパスと、彼らの知識や能力を社会に大いに生かすという方向にとって、非常に重要だったのではないかと思います。あとは、ここで話し合われたこととか提言されていることが、着実に実行されて、いい結果を生むことを願っています。
【宮浦主査】  ありがとうございます。柳沢委員、どうぞ。
【柳沢委員】  筑波大学の柳沢です。私も多分この委員になったのは、もう既に、2017年じゃないかと思います。もともとこちらに呼ばれたきっかけが、私の理解では、アメリカに31歳のときから25年もいて日本に戻ってきたということで、そういう視点から何か言ってくれということだったと思います。覚えているのは、就任してすぐに最初の委員会で、ここにいらっしゃる文科省の方々で博士人材どのぐらいいますかといきなり言ったのを今でも記憶しております。そういうのであっという間に5年たちましたが、次の年はまたお声がかかるか分かりませんが、私としても非常に勉強になりました。
 私、アメリカが長いせいで、非常に即物的な考え方で、博士人材を増やす、一番簡単、ほぼ唯一の施策は経済支援だと思っています、お金が全てだというふうに思っています。先ほども修士からやれと言いましたけれど、それが第1点と、もう1つはやはり、今さらですけれども、日本は本当にコロナ禍で、多くの海外からの博士人材、ポテンシャルのある留学生を失ったと思います。コロナウイルスは国籍を選ばないわけで、きちんと留学する意思のある人は、検査をした上で即座に入国させるべき、もちろん隔離期間を置くなら置いて、その上ですぐに入国させるべきだったのを、1年も2年も待たせて、その間にほかの国に行ってしまった優秀な外国人、本当にたくさんいたと思います。だからこれ、文科省さんの問題というより、本当に日本全部の行政の問題だというふうに考えないといけないのではないかと思っています。
 以上です。ありがとうございます。
【宮浦主査】  ありがとうございました。一通り本日御出席の委員の皆様から一言ずつ頂戴いたしまして、ありがとうございます。
 主査の宮浦といたしましては、人材委員会の委員長をいつからやっているか、もう忘れたぐらいに長くやっておりまして、恐らく10年には行っているだろうなという感じでございます。その間いろいろ環境も変わりましたし、ポスドク問題、多様な人材の活用問題、博士後期の経済的支援、出口の問題、様々な問題を議論させていただいた中でも、特に博士の経済支援については、かなりここ数年、進捗が見られたことから、やはり具体的な進捗があることの重要性を感じています。したがって、グローバル化はもちろんですけれども、多様な人材の活用やURAの問題、また博士の出口の問題も、やはり具体的な施策なり活動として見える化して動くということがいかに重要かというのを感じています。
 微力ながらも主査を務めさせていただき、本日いただいた多様な意見を取りまとめるのを、可能であれば最後の仕事にしたいと思っておりますので、今までいろいろ勉強させていただきましたこと、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。
 事務局にお返しいたしまして、審議のまとめの進め方等お願いいたします。
【對崎人材政策課長補佐】  本日も大変活発な御議論、また、お務めいただいた先生方、今期の御挨拶をいただきましてありがとうございます。審議まとめ案は、先ほど主査からも御案内ありましたとおり、まずは本日の先生方の御意見を踏まえて、修正の上で再度御確認いただくというプロセスで進めてまいりたいと思います。また、本日の会議の議事録につきましても、通例どおり作成次第、先生方にお目通しいただいて、主査御確認の上、文部科学省のホームページで公表させていただきます。審議まとめの今後のまとめ、フィックスのさせ方は、再度主査と事務局で相談させていただきますので、その上で、また委員の皆様方、本日御欠席の先生方もいらっしゃいますので、皆様にメールベースで連絡をさせていただこうと思っております。
 以上でございます。
【宮浦主査】  ありがとうございました。
 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。令和3年から2年間にわたりまして、今期の委員の皆様におかれまして、御多忙の中御出席いただき、また多様な意見をいただきましたこと、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。閉会とさせていただきます。
 
―― 了 ――
 

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