人材委員会(第92回) 議事録

1.日時

令和3年10月21日(木曜日)16時00分~18時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 若手研究者支援等に係る最近の動向について
  2. 博士人材のキャリアパス等について
  3. その他

4.出席者

委員

宮浦主査、宮田主査代理、岩崎委員、狩野委員、川端委員、小林委員、迫田委員、隅田委員、髙橋(修)委員、高橋(真)委員、塚本委員、長谷山委員、桝委員、村上委員、山本委員

文部科学省

千原科学技術・学術政策局長、氷見谷科学技術・学術総括官、斉藤人材政策課長、三輪人材政策推進室長

5.議事録

科学技術・学術審議会 人材委員会(第92回)

令和3年10月21日



【宮浦主査】 人材委員会の主査の宮浦でございます。定刻となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会人材委員会の第92回を開催させていただきます。本日の会議は、冒頭より傍聴者に公開となっておりますので、よろしくお願いいたします。
本日は、勝委員、柳沢委員の2名が御欠席ですけれども、15名の委員が御出席で定足数を満たしております。
それでは、開催に当たりまして、千原科学技術・学術政策局長より御挨拶をお願いいたします。
【千原科学技術・学術政策局長】 先生方、大変お世話になっております。7月1日付で科学技術・学術政策局長に着任いたしました千原でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
先生方、もう御案内のとおりでございますけれども、我が国の研究力は、世界と比べて相対的に低下している状況にございます。これに歯止めをかけて強化していくことが今急務だと認識してございます。その要となりますのが、本日御議論いただく、博士をはじめとする研究人材ということでございまして、研究者の方々が安心して研究に打ち込める環境を整備していくことが必要だと思っております。先生方におかれましては、人材育成、確保に関して忌憚のない御意見、御指導、御議論を賜れればと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございました。また、事務局に人事異動がございましたので、御紹介をお願いします。
【鈴木人材政策課長補佐】 事務局の人事異動でございますが、局長の千原に加えまして、本年7月1日付で異動がございましたので御紹介させていただければと思います。
まず、科学技術・学術総括官に氷見谷が着任をしております。
【氷見谷科学技術・学術総括官】 氷見谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【鈴木人材政策課長補佐】 続いて、人材政策課長に斉藤が着任しております。
【斉藤人材政策課長】 斉藤でございます。よろしくお願いします。
【鈴木人材政策課長補佐】 最後に、申し遅れましたが、人材政策課長補佐の鈴木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
【宮浦主査】 ありがとうございます。それでは、議事に入ります前に、まず、本日の委員会、オンライン開催でございますので、事務局から注意事項並びに資料の確認をお願いいたします。
【鈴木人材政策課長補佐】 オンライン会議開催に当たりまして、何点かお願いがございます。まず、ビデオはオンにしていただきまして、発言時以外、マイクはミュートでお願いいたします。御発言の際には挙手機能により挙手ボタンを押していただきまして、主査より指名を受けましたら、マイクをオンにし、お名前をおっしゃっていただいた上で御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたら、挙手の取下げとミュートをお願いいたします。機材や通信の不具合などがございましたら、先日お送りしたマニュアルに記載の事務局の連絡先に御連絡をいただければと存じます。
続いて、資料の確認をさせていただければと思います。事前に送付させていただいた資料は、PDFファイル2つでございます。1つが議事次第と資料一式をまとめたもの、もう1つが参考資料一式をまとめたものでございます。資料につきましては、議事の際には事務局より画面共有をさせていただきます。お手元に御覧になられる際には、ファイルの表示の画面の左側にしおり機能がございまして、それぞれの議題の資料に移動することもできますので、そういったものを適宜御活用いただければと思います。
事務局からは以上でございます。
【宮浦主査】 ありがとうございました。
それでは、議題1に入らせていただきます。議題1といたしまして、若手研究者支援等に係る最近の動向について御報告いただきたいと思います。事務局から、令和4年度概算要求並びに次世代研究者挑戦的研究プログラム採択状況について御説明をお願いします。
【鈴木人材政策課長補佐】 事務局でございます。それでは、まず、資料1-1に基づきまして、令和4年度概算要求につきまして御説明させていただければと思います。ただいま画面共有もさせていただいております。
こちらについては、8月末に概算要求した内容でございます。実際は、政府予算案として決定されるまで内容の調整がございますので、検討中の内容として御説明を申し上げさせていただければと思います。
1ページ、科学技術・イノベーション人材の育成・確保施策の全体像でございます。若手研究者の育成や次代の人材の育成、また、女性研究者の活躍促進などを柱としております。中央の背景に青い斜めの三角で示しておりますけれども、下から、小中高、大学の学部、院、その後のポスドクなど各層で支援メニュー展開をしております。本日は特に、大学院博士課程の施策を中心に御説明させていただければと思います。
2ページです。博士後期課程の学生への支援につきましては、前回の委員会でも様々御意見をいただいたところでございます。こちらの資料で、現在の概況と政府としての目標、また、今回の要求のポイントをまとめております。概況といたしましては、博士の後期課程在学者数、中央の上に数字がございますが、約7万5,000人いるところです。内訳としては、修士課程からの進学者、いわゆるストレートドクターが約3万人、また、社会人学生・留学生として約4万5,000人いると推計されるところでございます。これらのうち、昨年度の時点で既に180万円以上、つまり、生活費相当額以上の支援を受けている者は、この緑色のところに塗られた約7,500人と推計されているところでございまして、これには、いわゆる学振と呼ばれます特別研究員約4,200人を含んだ数字でございます。令和3年度からは、これに加えまして、下の赤枠の支援を行っているところです。こちら、合計で約7,800人分ございまして、内訳としては、創発的研究を支える博士課程学生等へのRA支援の充実で約800人、また、後ほど御説明します次世代研究者挑戦的研究プログラムで約6,000人、大学フェローシップ創設事業で約1,000人という形になっております。
そして、この緑と赤を足すと、令和3年度は、約1万5,000人に対して、これは博士の約2割に相当する数字ですけれども、支援ができる状況になっております。この数字というのは、昨年度までの第5期の科学技術基本計画での目標値であり、まさにこの水準が達成できたという状況でございますが、今年度からの第6期の計画では、目標をさらに上方に設定しておりまして、従来の約3倍、約2万2,500人に支援を増やしていくということで設定をされております。この目標も踏まえまして、令和4年度の概算要求におきましては、上のオレンジの吹き出しにございますように、大学フェローシップ創設事業で、学年進行も踏まえまして、約1,000人分の支援を拡充すべく、現在予算要求を行っているところです。
ここからは個別の事業の御説明をかいつまんでさせていただければと思いますが、まず、3ページ、大学フェローシップ創設事業であります。中ほどに事業概要がございますが、博士後期課程学生の処遇向上、経済的支援と、キャリアパスの確保を、全学的な戦略の下で一体として実施する大学を重点的に支援していくものでございます。分野としては、大学の強みや地域の強みを生かしたもの、あるいは、産学を通じて人材ニーズの高まる分野、すなわち情報・AI、量子、マテリアルなど国が指定をして、こうした分野に重点的に支援をしていくのがポイントとなっております。
今年度からこのフェローシップ事業では、47大学で、博士1年の学生1,065人の支援が決定したところでございまして、来年度はD1からD2に上がった学生を引き続き支援するとともに、D1で新たに約1,000人を採用するために所要の要求をしております。
続いて、4ページ、次世代研究者挑戦的研究プログラムでございます。こちらについても、優秀な学生に対して経済的支援及びキャリア開発を行う大学に対して、JSTの基金から助成を行う事業でございます。ポイントとしましては、大学の研究科や研究室など既存の枠組みを超えて優秀な博士課程学生の選抜を行う事業統括を選定するということ、また、その下で学生が自由で挑戦的・融合的な研究に専念をするということ、併せてキャリア上の支援として国際性・学際性の涵養、トランスファラブルスキルの習得、また、次に御説明をしますジョブ型研究インターンシップの取組などを含め、様々なキャリア開発の取組も併せて行っていくところがポイントでございます。
採択状況は後ほど御説明をしますけれども、この事業についてはD1からD3の合計約6,000人を今年度から支援をするというものでございまして、今回の要求は来年度もこの規模を維持するために必要な要求を行っているところでございます。先ほどのフェローシップ事業、そして、この次世代プログラム、いずれも大学でのキャリア開発もしっかり行っていくのをポイントとしております。学生がアカデミアに限らず、様々な選択肢を持って主体的に幅広いキャリア選択ができるようにというような狙いを持った取組でございます。
続いて5ページ、日本学術振興会(JSPS)の特別研究員事業、いわゆる学振でございます。こちら、アカデミーを支えるトップレベルの研究者への登竜門とみなされている事業でございまして、先ほどの2つと異なって、JSPSから個人に直接支援を行うスキームでございます。この下のグラフにあるように、これまで支援を行った研究者は非常に優れた成果を創出しておりますので、この事業、引き続き規模を維持しながら、博士課程の学生、ポストドクター、また、出産・育児による研究中断から復帰する若手研究者を含めて支援を継続しながら、加えて、健康保険料相当額の支援を積み増すなど、支援内容のさらなる充実を図るという要求にしているところです。
続いて6ページ、卓越研究員事業でございます。ポスドクなど若手研究者と産学官の研究機関とのマッチングを促進するものでございます。こちら、後ほどの議題の参考資料にもつけておりますけれども、申請者数が減少し、特に企業とのマッチングがなかなか増えないというような課題もありまして、過去の人材委員会でも様々な御指摘をいただいておりますところ、それらも踏まえながら毎年改善を続けてきているところでございます。令和4年度は令和3年度と同数の20人の新規採用を予定しておりまして、ニーズを踏まえた実施という形で継続ができればと考えております。
続いて7ページ、科学技術・イノベーションを担う女性の活躍促進の施策も併せて御紹介できればと存じます。左上、ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブでございますが、こちらは研究とライフイベントの両立、あるいは女性研究者の研究力向上を通じたリーダーの育成を一体的に推進する大学の取組を支援するというものでございます。令和4年度要求においては、新たな支援メニューとして、女性リーダー育成型の新設を検討しておりまして、こちらは、右のグラフにございますように、特に女性の割合が低い教授以上の職、また准教授などへの女性研究者の登用を推進するために、挑戦的・野心的な数値目標を掲げる大学などの優れた取組を支援すべく、現在具体的な検討を進めておるところでございます。また、このほか、先ほど申し上げた特別研究員事業において、優れた研究者が出産・育児による研究中断後、円滑に復帰することができるような支援は引き続き行っていくとともに、女子中高生の理系進路選択支援プログラムなどで、女子中高生の理系分野への関心・興味を高めるような取組も継続して行うべく要求をしております。
これ以降につきましては、時間の関係で説明を割愛させていただきますけれども、小中高大の各段階において、理系人材育成のプログラムを引き続き推進していくとともに、また、研究マネジメント人材という観点で、URAの質保証制度などを実施していくなど、引き続き様々な階層で事業の展開を図っていければと考えております。
以上が令和4年度の概算要求の状況でございます。
続けて、資料1-2に基づきまして、次世代研究者挑戦的研究プログラムの採択状況について簡単に御説明させていただきます。
1ページ、こちらは、先ほどの図に戻りますけれども、このプログラムは約6,000人を支援するという形でございまして、これは博士全体約7万5,000人の約1割弱、また、経済的支援を受ける約1万5,000人を分母とすれば、約4割となる非常に大きな事業でございます。スキームの概要は2ページに記載のとおりでございます。JSTが大学の事業統括を選抜しまして、JSTから大学への助成を行うというようなスキームになっております。
こちらは、公募を2回に分けて実施をしておりまして、先月の7日にはA日程、1回目の採択結果をJSTが公表してございます。3ページの表に記載のとおり、40の国公私立大学について5,450人分の支援規模で採択がなされたところでございます。この人数は各事業統括が持てる人数の枠のようなものでありまして、この枠に基づいて、各事業統括が現在、学生選抜を実施しているところであり、これが決まり次第、順次支援が開始されていくというものでございます。並行して、残りの550人分については、9月末を申請期限とするB日程の公募を実施したところでございます。現在、JSTにおいて審査を行っておりまして、来月以降になるかと思われますけれども、決定次第、これについても公表がなされる予定です。
私からは、簡単でございますけれども、資料1-1、1-2の説明は以上でございます。
【宮浦主査】 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問、いかがでしょうか。挙手機能をお使いください。
狩野委員、手が挙がっております。どうぞ。
【狩野委員】 こんにちは。お世話になります。狩野でございます。
非常にたくさんの施策が新たに始まったものもあり、大学でも大変喜んでいる人も増えまして、ありがとうございます。その中で、次のステップは何であろうかということをこれを拝見しながら考えました。
一つは中身をどうやって充実させるか、でしょうか。今、制度とお金の差し上げ方を大分充実していただいたわけですけれど、それを具体的にどのように活用していくかということです。
それの一つ目が、社会全体の課題を視野に入れながら、専門分野をつなげていくという方向性です。やはり今まで学術というと、それぞれの専門分野を深めていくということのバランスがどうしても高かったのですが、徐々に社会全体、例えば気候変動も含めてですけれども、ノーベル賞もこのようなことに出てくるという時代になってきました。そういったことについて意識をしながら、それと専門分野をつなげていくような、そういった活動の必要性が随分高まってきているなということをあちこちで感じています。
例えば、日本学術会議でもそのようなことが出てまいりましたし、昨今、OECDの科学技術政策の仕事も少しいただきましたけども、そちらの方面でも、やはりそのような議論が、日本だけでなく、ほかの国でも起きているということは徐々に感じております。こうしたことを、今までつくってきてくださっている、例えば企業との連携であるとか、あるいは学生さんの支援であるとか、こういったところにどのようにこれから入れていくかということをぜひ今後議論をしてまいりたいということを、まずは思った次第でございます。
次に、自己効力感を高めるということです。例えばOECDの別のPISAの調査とか、あるいは教育研究所の調査などで拝見していると、国際比較で日本の生徒さんに当たる人たちが、自分が何とかできるという気持ち、つまり、自己効力感があまり高くないというデータが出ていて、加えて、理科や数学、算数の力を使った職業をできる気持ちがあまりたくさんの人が持ってないという調査結果なども出ております。
その辺りを加えつつ、最初に申し上げたような、自分の関心が持てるような社会の課題、もう一つ言えば、ここに社会の課題を何とかしたいという気持ちの人が若い人で増えているという調査結果も併せて考えると、そういったことと、学術の世界で行われている専門的な技能をどのようにつなげていくかということに今後の議論の方向を持っていくことによって、よりたくさんの施策が生きてくることを仮説として持ちました。
これを、ここで1回共有させていただきたいと思い発言しました。
ちょっと長くなりまして、すみません。以上でございます。
【宮浦主査】 ありがとうございます。非常に重要な点で、学術専門分野を深める重要性と社会課題への貢献という意味で、非常に広いのですけれども、そういうものが求められているという点、また、STEM教育が、我が国は広くないというか、強くないというか、その辺りも指摘されているところかと思います。様々な事業が動く中で、学振などはDCを出た方はもう専門分野を深めるというところはかなり特化していると思うのですけれども、もう少し幅広に考えると、社会課題といってもなかなか広いとは思うのです。その辺りで新たな事業のシーンですとか強化の方針と、そういう社会的ニーズというあたりが重要かと思いますが、関連した御意見がございますか。よろしいですかね。その辺りを、幾つか手が挙がっていますので、これからも関連させながら議論させていただければと思います。ありがとうございます。
迫田委員、お願いいたします。
【迫田委員】 ありがとうございます。大変すばらしい取組で、随分充実してきたなと感じております。と思う一方で、中教審の大学院部会でも発言させていただいているのですけれども、やはりこれが魅力的かどうかというのは、ほかの国と比べてどうかという観点、あるいは、修士で卒業して働いている人と比べてどうかという観点が必要だと思います。もちろんお金だけではないですし、魅力的な研究テーマに取り組むのは非常に大事なことなのですが、同時に生活もしていく必要性もあるわけなので、やはり大学で研究が進み、優秀な方々を引きつけるためには、その支給水準もしかるべきものになっている必要があると思います。今年真鍋氏がノーベル賞を受賞されて大変うれしく思っているのですけども、そういう方々が海外でしか活躍できないのは非常に寂しいことです。海外との比較、社会に出る場合との比較という観点で分析して、どこまで引き上げていくのか、どこまで拡大していくのかというのを、まずゴールを明確にして取り組んでいったほうがよいのではないかなと思います。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。海外比較、非常に重要で、博士学生が生活費に困るというのは日本ぐらいだということからして、いろいろ事業が大きく動いているところですけれども、御指摘のとおり、出口のキャリアパスの問題もございますので、後ほどキャリアパスの話題を用意しておりますので、そちらでまた御議論いただきたいと思います。ありがとうございます。
山本委員、お願いいたします。
【山本委員】 山本です。私は、次世代研究者挑戦的研究プログラムの件で事務局に伺いたいと思います。事業統括が、各大学、どんな方が務めているのかを教えてください。部局ごとに人数を割り当てるとかではなく、全学の博士育成について戦略的に考えられる方を選ぶポイントだと伺っていましたので、どのような方が務めているのかお教えください。
【宮浦主査】 事務局、いかがでしょうか。
【鈴木人材政策課長補佐】 事務局でございます。今回の会議、この事業を担当しておりますJSTの中村室長にも入っていただいておりますけれども、まず、私のほうでざっと事業統括のお名前を拝見した限りでは、割合としては研究担当の理事や副学長など、ある程度全学的な視点を持ってプログラムを進めていけるような方が割合採択されている方が多いのかなと思います。
もし、中村室長から何か補足がありましたらお願いします。
【科学技術振興機構中村室長】 先生がご懸念される部局間の縦割りについての学生の選抜方法を提案に含めていただき、問題がないことを確認いたしました。
【山本委員】 研究担当理事らという点では、意外性がないものの、提案の点で弊害を吟味した、ということで承知しました。

【宮浦主査】 川端委員は手が挙がっていますか。どうぞ。
【川端委員】 次世代の生活費というか、このようなお金、もともとドクターの進学者が減って仕方がない、それをどうするという、それがど真ん中で、こういった事業が形成されている。そういった意味でいうと、こういった非常に大規模な奨励金だとかこういった事業が立ち上がったのはとてもありがたいというか、喜ばしいことで、日本中全体で喜ぶと言いたいのですが、実はこれが次に進学したいと思う学生に届いているかどうかが一番重要で、これがベースとなって、「俺は進学するぞ」と思ってくれるようなものにつなぐためのイベントが必要だと思っていて、いっそのこと日本中を挙げたお祭りでよい。このような話をやって、「ドクターというのは国中でプロモーションされているんだぞ」のようなメッセージが、今の学部生だとかそういうものにぜひ伝えるような、そのようなイベントをお考えいただけるとありがたいという話でした。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。学部生、修士の学生、事によっては高校生などにも伝えて、世の中の流れを、波及効果を期待していくのが重要だという御意見です。ありがとうございます。
村上委員、お願いいたします。
【村上委員】 包括的なプログラムが幾つも用意されていて、今後が非常に楽しみだなというのが全体的な印象でございます。そういった中で、1つは質問、1つはコメントと質問を兼ねたようなことを発言させていただきます。
まず質問ですが、これは大学フェローシップ創設事業に関してです。スライドの3枚目で、下のほうに図が描かれておりまして、フェローシップという入り口のところと、それから2の出口のところのキャリアパスの確保というところが書かれていて、この両面からきちんとした取組ができる大学を助成するという内容と理解いたしました。特に出口のほうで、大学の研究員、民間企業の研究者の2つが書かれていますけれども、やはり大学単体で個別にこういった就職先を開拓していくには限界があるのではないかと考えています。そういった意味で、特に民間企業等での研究者、民間企業での職を開拓するための取組が何かないのかということが1つの質問です。
もう一つの質問兼コメントというのは、やはりいろいろな事業を展開していくとなると、大学の負担は大きくなると思います。私の実感としては、近年、教育の負担は高まっていて、その分、研究に割ける時間が少なくなっているという認識を持っています。教育で、特に理系の場合などは、博士の学生が増えると研究室のマンパワーが増えて、実験等を担当してもらえて、先生も論文を多く生産できることがあろうかと思いますけれども、文系の場合ですと学生と先生がやっている研究は必ずしも一致していないということで、博士の学生をたくさん増やして、そしてきちんと教育をしようとすると、自分の現在やっている研究の周辺ではありますけれども、全く同じものではないことは結構ありますので、かなり負担も増えてきます。
特に留学生となると、より一層負担は大きくなります。いろいろ事業を展開していくと大学側の負担は大きくもなりますので、リサーチのアドミニストレーター、URAを強化しようとする動きとは別に、やはりエデュケーションのほうのヘルプも課題なのではないかというコメントです。できればそういったところも、今後の課題として手当てできないのかというのが質問兼コメントでございます。
【宮浦主査】 ありがとうございます。若手研究者の支援にも関わるのですけれど、若手教員の研究に割ける時間が確実に減少しているというデータはかなり明確になっておりますので、その原因としては、やはりアドミニに時間を使うとか、大学院生の教育、指導等々で研究に割く時間が圧倒的に減っているというデータがありますので、その部分、事業、プログラム、いろいろやればやるほど忙しくなり、個々の研究強化がいま一つ発展しないとか、そういった議論はいろいろあると思います。新たな事業を立てるときには、そういった考え方も十分入れていく必要があるという御意見かと思います。ありがとうございます。
宮田委員、お願いいたします。
【宮田主査代理】 皆さんの努力、危機意識を反映して、文科省が努力なさって、これだけ予算を獲得したことは非常に敬意を表したいと思いますが、なお足りないと思っております。ですから、今後、いろいろな知恵を使って予算を確保することが次の科学技術計画でも埋め込まれていると思うのですけれども、少なくとも、3割じゃなく半分ぐらいのところはぜひ狙っていただきたいと思っています。
そのときに、多分2つ問題が出ると思っていて、文科省の皆さんが誠実に努力すると、いろいろなところから予算をかき集めてきて、いろいろなプログラムをつくると思うのですけれども、そうなると、現場は大混乱する可能性があるので、これを統合的にコンシェルジュのように、こういったプログラムがあって、君にはこういったのが適しているのではないかのような相談機能及びワンストップショッピングの機能を文科省のホームページに当然つくるのですけれど、各大学事業担当者にも義務づけるべきだと思います。
2番目、予算の継続性を考えたときに、いわゆる普通の予算でこれを確保するのはとても難しいと思っているので、10兆円の大学ファンドではございませんけれども、人材の育成こそが未来への投資ですので、建設国債というのは、そのような考え方は、今ないような気もしますが、ぜひ国債である種の基金をつくっていただいて、毎年きちっと支出できるような財政的な基盤をつくっていただきたい。それによって大枠が決まって、少なくとも大学院の博士の半分ぐらいはちゃんと生活支援を受けることができる。これ、半分の根拠は、あまりちゃんと勉強していない人には与えるべきではないと私は思っていて、やはり受給した人が一体どのような御努力をなさったかという評価はすべきだろうと考えているので半分にしています。もう半分は、民間の奨学基金などを動員して、ほとんど全部の大学院生が安心して研究できるような環境をつくるべきだと考えています。
それはなぜかというと、今、若い親が窮乏化しているからです。非常にお給料が下がっていて、日本人の平均給与が400万円ですけど、大学院生を出すぐらいの世代でも多分5、600万円がいいところだろうと思うので、昔のように親のすねをかじって大学院の生活を送れる層はそう多くないと考えていますし、そのような層に大学院システムが頼ると知性の劣化を招く可能性があるので、なるべく幅広い日本及び海外の若手層を吸引するような仕組みとして、やはり半分ぐらいの大学院生に対しては生活補助が日本で与えられるというようなシステムが必要かなと思っています。
末尾に、川端先生がおっしゃっていたイベント、やるべきだと思います。毎日新聞の理系白書のキャンペーンで、理系は非常に厳しい待遇であるという印象が世間には流通しておりますので、こうした誤解を打ち破るためにも、文科省は大学院生に対して厚遇をするという発信を行うべきだなと思います。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。各主事業をワンストップでレギュレーションするような仕組みが必要であること、また、財政的な支援基盤、継続性、そちらをもっとしっかりさせて、将来にわたって、半分ぐらいの大学院生がしっかり支援を受けられるようにすること。それでも欧米並みにはならないとなると、我が国の脆弱さからの脱却の一歩が始まったという感じでしょうか。ありがとうございます。
岩崎委員、お願いいたします。
【岩崎委員】 東京大学の岩崎でございます。日本学術会議若手アカデミーの代表も務めておりまして、人文社会、生命科学、理工系の若手研究者の現状について議論を共有して、政府や関係機関に声を届ける、そういった活動を普段させていただいております。
前回も申し上げたのですけれども、このように若手研究者支援の制度が拡充されているのは本当に大変喜ばしく、尽力されてきた関係の皆様に感謝を申し上げたいと思います。これで十分ということではなくて、やはり先生方もこれまでおっしゃっていましたけれども、さらにどんどん進めていただきたい。特に、なかなか最近、若手の研究者が増えないということは、博士号を取った後、さらにその先の見通しもつかないということもありますから、全体として、若手が博士課程も含めて、その専門性を高めるということに飛び込んでいきやすいような環境をさらに整えていっていただければと考えております。それがまず1点申し上げたいことです。もっともっと拡充していただきたい、キャリアの見通しがつくようにしていただきたいというのが1点目。
もう1点申し上げたいのが、これも村上先生、宮田先生もおっしゃっていましたけれども、制度がどんどん複雑になっていくことのデメリットもあるということです。制度が複雑になっていくと、それだけ申請書も書かないといけないですし、審査をする側のオーバーヘッドもかかってきて、結局、全体として本当に研究力がどこまで上がっているのか、そのせいで負担も増えているのではないかと。やはり新しい制度を入れたり改革をしようとすると、その改革をするための資金投入も必要であろうと、そういった視点は見逃されがちだと思うのですけれども、非常に本質的なのかなと思っております。やはり本丸はあまり複雑にしないで、今ある制度をきちんと増やしていく。それだとなかなか予算措置が出ないとかいろいろな事情があるとは思うのですけれども、やはり一番のあるべき姿というのは、今ある制度をきちんと拡充していく、そういったことを理解してもらえるように活動していくことは必要かなと思っています。
例えば、次世代研究者挑戦的研究プログラムのプロジェクト名、いろんな大学から出たのを皆様御覧になって、どう思われたかなと思うのですけれども、非常に工夫を凝らされているというか、ある意味で奇をてらったような、ちょっと言い方が難しいですけれども、いろいろなタイトルが並んでいて、学生から見ると、このようなことを言わないとなかなかサポートしてくれないのかなと不安になってしまうところもあると思います。やはり堂々と、こういった若手の研究者の支援は大事ですよということを言って、それが反映されていくといったことが方向性としては大事かなと思っています。さらに、どんどん進めていただきたいということと、複雑にし過ぎると、そこにはデメリットもあることを理解していくことが大事かなと思っております。
以上になります。ありがとうございます。
【宮浦主査】 ありがとうございます。支援とセットでキャリアの出口の明確化が非常に重要であるという、また、後ほどキャリアの出口の話題もありますので、よろしくお願いいたします。また、制度の複雑化によって、いろいろなものが新しく今後も立っていくとよく分からなくなるので、しっかりした事業を継続しながら太くしていくほうがいいという、そういう御指摘ありがとうございました。
リバネスの髙橋委員、お願いします。
【髙橋(修)委員】 リバネス、髙橋です。文部科学省の方に1つお聞きしたいなと思っているのですけれども、こういったもので博士への支援が増えていくというのは非常にすばらしいと思っている一方で、第6期科学技術・イノベーション計画で今度3割を狙うというような話だと思うのですけれども、それに向けて、どういった姿になれば、こういった予算はさらに拡充させていくというのが国の考えなのかと。それこそ、先ほどあった博士の進学者が増えてくるというのが非常に重要な話なのだと思うのですけども、産業界で活躍する博士の姿や、あるいは数や質というものが上がってくるとか、どういった観点で大学側の今回のこのプログラムが設計されているか。こういった予算額、数ともに増やしていくために、今の段階で文部科学省の中でどういったことがゴールとして見せられているのかというのがありましたらお聞きしたいなと思いました。
以上です。
【三輪人材政策推進室長】 文科省からよろしいでしょうか。
【宮浦主査】 お願いします。
【三輪人材政策推進室長】 人材政策推進室長の三輪でございます。お尋ね、ありがとうございます。現時点でお答えできる範囲でお答えしますと、まず、先ほど鈴木補佐から、第5期の1万5,000人という目標を達成して、次は7,500人の3倍であるところの2万2,500人を目指すということを説明しましたが、一応この2万2,500人という数字は、現行の博士後期課程学生7万5,000人という数字を前提に、それでも2万2,500人は支援しなければならないという前提で組んでいる数字ですので、7万5,000人が減らない限り、2万2,500人という数値を後退させることはあまり考えていません。逆に言うと、7万5,000人がさらに増えていけば、むしろこの2万2,500人をどう増やすかという議論が出てくる可能性はありますが、今のところ、そのような位置関係です。
一方で、まさにもう皆様に御案内のように、一番のポイントは、今回、ようやく1万5,000人の支援を達成しておりますが、この1万5,000人への支援というのが、まさに政策上のコスパとして真っ当なものになっているかということは厳しく問われておりまして、6,000人に年間180万円以上の生活費とプラス研究費を支給するということが、ちゃんと我が国の優秀な若手研究者を育てて、我が国の科学技術・イノベーションの発展に貢献しているのかというところは、財政当局をはじめとして非常に厳しく見てきておりまして、それをちゃんと立証しながら、だから、この予算規模は増やしていかなければならないという主張をしていくのが基本戦略になると考えております。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。立証するのは、人づくりは時間がかかるので、3年、4年で結果を見ていくのは難しい部分もあり、基本的な政策としてやるべきという考え方で、継続して太くする必要があるというお考えの委員が多いのではないかと思います。
今、3名の委員から手が挙がっております。3名の方、小林委員、長谷山委員、高橋真木子委員でこの話題の御質問を一旦閉じさせていただく予定です。
それでは、小林委員、お願いいたします。
【小林委員】 小林です。実は僕は、もっと細かい複雑なシステムにしていくべきだというのが個人的意見なのですが、これは後でまたチャンスがあったら述べたいと思うのですが、今は、確認だけします。今日の予算要求の書類を見ると、次世代研究者挑戦的研究プログラムが従来創発の中にあって、なおかつ10兆円ファンドと結びつけられていたという、そういった構造だったと思うのですけれども、今日は単独で出てきていますが、それとはもう切り離されたと理解してよいのでしょうか。10兆円ファンドと結びついていると非常に不安定になってしまって、いつなくなるか分からないという心配もあるので非常に不安ではあったのですけれども、そこだけ確認したいと思いますので、よろしくお願いします。
【宮浦主査】 事務局、お願いします。
【鈴木人材政策課長補佐】 事務局でございます。この次世代プログラムはもともと、先生がおっしゃられたような10兆円ファンドの先駆けとなる事業として開始をしたものでございまして、現在もその位置づけは変わってはおりません。10兆円ファンドは内閣府の総合科学技術・イノベーション会議の専門調査会で現在、支援の内容の在り方が検討されておりまして、その中でも、メニューの1つとして博士支援について具体的な検討が進んでいるところでございますけれども、まだ、そちらのファンドによる支援がすぐに始まるものではございませんので、それまでは引き続き、この次世代プログラムを継続していくという形で、今回も必要な予算を要求させていただいているところでございます。
以上です。
【小林委員】 ある日突然なくなるという可能性もあるわけでしょうか。
【鈴木人材政策課長補佐】 大学ファンドによる博士課程の学生への支援がどのような形で、いつから始まるのかというのがしっかり固まった上で、この次世代研究プログラムはそれまでの間、支援を続けていくのが基本ですので、我々としては、ある日突然これをなくすというようなことは考えておりません。大学ファンドによる支援の在り方、時期を議論の上で固めていただいた上で、そこまでに必要な経費を引き続き確保をしていきたいと考えております。
【宮浦主査】 今後も継続するのが大前提であるというのが委員全員の考えだと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、長谷山委員、お願いします。
【長谷山委員】 先にご発言の皆さんと同じ視点のもの省き、発言させていただきます。JST「次世代研究者挑戦的研究プログラム」は、「大学ファンド」の運用益による支援策の検討等を踏まえて、毎年度、継続が判断されることになっています。大学人として、安定的な実施を強く希望しておりますが、基金の性質から、大学も積極的に成果創出に貢献すべきと思っています。基金創設の目的は、我が国における科学技術力の向上とイノベーション創出を目指すものと思いますので、例えば、本会に関係するものとしては、博士課程学生のキャリアパスの多様化などの指標が含まれると思います実施する大学に早期に共有頂くことで、各大学が固有の人材育成の取り組みを検討できるのではないかと思います。多様な人材の育成につながるよう、情報の共有をお願いしたいと思います。
次に、JST事業と合わせて、文科省フェローシップ創設事業でも博士後期課程学生支援が行われています。他の委員から、制度が複雑との指摘がありましたので、私からは別な視点でお話ししたいと思います。実施する大学にとって、文科省フェローシップ創設事業とJST事業の根本的な違いは、自主財源の投資の違いにあると思います。自主財源をいかに確保していくかは大学にとって重要な検討事項ですが、許された資金運用の方法では、短期間で大きな資金を生み出すことは大変に難しいと思います。財政確保が難しければ、学生にとって公平性を欠くことも起こりかねません。本来の目的のために、制度の検討をお願いしたいと思います。また、両者ともに、実施の状況につきまして、応募者数や支援対象となった学生の研究分野などのデータをこの委員会にも共有していただきたいと思います。本会としても大変に参考となるデータだと思います。
最後に、博士後期課程学生の支援とは異なる事項ですが、資料1-1の女性研究者の活躍促進の支援について発言させていただきます。先ほどの説明で、研究と出産や育児等のライフイベントの両立を推進する大学の取組みを支援する事業予算が要求されていると説明がありました。世界に向けて我が国が信頼されるためには、女性の出産やライフイベントに対する支援が都度、年度要求で額が不安定な状態となっているのは、問題ではないかと思っています。このような支援を安定的に実施できない状態で、世界から信頼されるダイバーシティ環境が維持され得るのか、継続的に議論いただきたいと思います。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。博士の学生から見て、制度の複雑によって、いろいろ状況が変わってしまうようなことは避けるべきで、博士の学生の支援ですとか子育て支援等々は基盤的な政策として太く継続したほうがよいという御意見だと承りました。ありがとうございます。
高橋真木子委員、お願いします。
【高橋(真)委員】 ありがとうございます。今までの先生方と同じ意見なので、コンパクトに申し上げます。やはりこれは政策を議論する場であると思いますので、多くの事業がうまく、そして、もっと規模を拡大し、質の向上という意味では全く同感です。
一方で、私たちがここでやはり、資料1-1の1ページ目で全体感を持つというのがとても重要だと思っておりまして、もう一歩進んで議論するために、やはり量的な把握をしたいと思っています。博士人材の今回の事業に関して言うと、1万5,000人の中の何割がという、そういうボリューム感が御説明の中であって非常に分かりやすかったです。この図の中で、それが全体で見られると、どこが最も欠けているとか、そういう目標とか評価の話も出ましたけれども、それがより具体的になるかと思いますので、可能な限りで、こういう全体感を私たちに与えていただけるような議論が今後できるといいなと思っています。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございました。目標、あるいは状況を継続的に見ていくという重要性、また、目標の立て方の規模感ですとか正当性なども議論していくという御意見だと承りました。
以上、この案件について、ほか、手が挙がっている方はいないと理解をしております。それでは、案件が押しておりますので、次に進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
次に、ジョブ型研究インターンシップについて、事務局から御説明をお願いします。
【中澤専門教育課企画官】 文部科学省の高等教育局の中澤です。説明させていただきたいと思います。
ジョブ型研究インターンシップでございますけれども、ちょうど先ほど村上委員からお話がありました博士制度の出口の部分の議論というところの部分にまさに対応する部分なのかなと思っておりますので、そういったところで御説明させていただきたいと思います。
資料の背景のところに2つございますけれども、この事業、研究イノベーション政策、それから教育政策、この2つの文脈を引っ張っているようなところなのかなと思っておりまして、1つは研究力強化・若手支援パッケージというような中、これはCSTIのほうの議論で、あるいは文部科学省の科学技術・学術政策局の議論の中にあって、まさに博士人材のキャリアパスがしっかりとあってこそ、アカデミアあるいは企業関係なく優秀な人材が集まるというようなところなのかなと思っておりまして、そういった文脈からの政策であると。
もう一つは、まさに私は高等教育局におりますけれども、この教育政策という観点で、いかに実践的な教育を備えていくかというような観点から、しっかりとしたインターンシップを博士でやるところの文脈という中で進んでいるものでございます。
経緯のところにございますが、こちらのジョブ型研究インターンシップ制度自体も、有識者会議、推進委員会ということで御意見をいただきながら進めているところでございます。まさに今日の人材委員会でもお世話になっております新潟大学の川端先生、今日も御出席いただいておりますが、川端先生にも御協力いただきながら、この委員会は進めてきたところでございます。後ほど、よろしければ川端先生、コメント、御意見をいただければと思います。
このジョブ型研究インターンシップ制度でございますけれども、ポイントが幾つかございます。スライドが小さく、パワーポイントが細かくて恐縮ですが、真ん中のところに、赤字で「ジョブ型研究インターンシップ(先行的・試行的取組)の要件」ということで1から6まで上がっておりますけれども、このポイントを幾つか補足させていただきますと、1つは、このインターンシップ、マル1番でございますけれども、主として理工系の博士課程の学生を対象にしているということ、2番目は、長期的、これは2か月以上ということと、それから有給、これはインターンシップに行ったときにお給料が出ることにしていること、3番目は正規の教育課程の中で位置づけているという部分でございます。4点目も、これは特徴的でございまして、名前にも「ジョブ型」ということを冠していますが、受入れ企業側はインターンシップの際にどのようなことをさせるかということについて、ジョブディスクリプションをしっかり書かせるというような形でマッチングを進めるというものでございます。5番目、飛ばしますが、6番目、これはインターンシップ、この取組自体は採用選考活動にしっかり反映させていくという取組にもなっております。こういった中で、ジョブ型研究インターンシップ制度を進めていきましょうと。現在、準備段階にはございますが、既に参画いただく大学、企業のメンバーを募っておりまして、一旦運営委員会というところが下にありますけれども、ジョブ型インターンシップ推進協議会という参画する方々の協議会をつくってございまして、後ほどちょっと触れますが、企業は45社、大学は45大学、たまたま同じ数になっていますが、件数は本質的に一緒という意味は特にございませんが、こういったところに御参画いただいて、これから進めていく状況にございます。
ちなみに、事務局として文科省は入ってございますが、この業務を、株式会社アカリクという、これまでも博士あるいはポスドクなどの就活支援、マッチングのようなことをしている会社に委託して一緒にやっているという状況でございます。スケジュール自体は、今年度中にトライアルという形で試行的な取組を、まず小規模でやりまして、来年度から本格実証という形で取り組む予定にしてございます。
何点か補足で、1点は、まさに今、トライアルのマッチングをしてございます。マッチングという意味では、学生がジョブ型でございまして、ジョブディスクリプションの提示があって、それに対して提案という、学生側から、それに対してエントリーをしていくという形にしてございますけれども、そのトライアルを今しているところでございますが、先ほどの話題にもございましたとおり、フェローシップ事業あるいは次世代研究者挑戦事業、こういった中でしっかりインターンシップ活動も併用して、そこを大学がやりましょうということでかなり旗を振っていただきましたので、大学もそういったところはかなり積極的な状況になってございます。
もう一つ、大学の正規課程の授業に位置づけているところも1つのポイントでございまして、これは当然教育という点からインターンシップを捉えているということでもありますし、2つ目の意味としては、なかなか博士課程の学生が研究室から出にくいというような方がある場合であっても、これは正規のこういった取組ですということで、出やすくするためにも、正規課程ということでやっているところでございます。
説明、以上になります。
【宮浦主査】 ありがとうございます。
こちらに関わっておられる川端委員、何か追加、御発言ございますか。
【川端委員】 少しだけ言うと、大学ごとにマッチングシステムが非常に成立している大学もあれば、全然していない大学もあって、それを全国的に一気に全員が使えるようなマッチングシステムというのを作ろうというのと、私から見て面白いと思っているのは、二つ目が、博士自体に博士課程の途中で自分の能力の価値を企業からリアルに見ることができる、それがジョブに対して、企業がどれだけのお金を払うかという話が2点目。三つ目は、今までほとんど博士を採ったことがない企業がこれに参画していただいていて、そういった企業さんたちがお試しをやってくれるという、その3点が、多分、面白い展開を作るのではないかと期待しているというところです。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。個々にやってきたのが、システムとして動くということ。
宮田委員、手が挙がっております。お願いします。
【宮田主査代理】 全国統一マッチングシステムの完成を期待しております。
もう一つ、ぜひお願いしたいのは、要するに課題を企業から出すだけでいいのかという話があって、それでは、まるで何か博士課程の学生自身が企業の提示する商品像に合っているかどうかといったスクリーニングが、まずかかります。これはこれでいいと思うのですけれども、大学院ぐらいのジョブ型のインターンシップをするのなら、提案型があってもいいのではないかと実は思っていて、この企業に一緒に2か月、こういった研究をしてみたいという提案を、ぜひ大学院生のほうから出すような仕組みが欲しいですね。そうでないと、八百屋さんのように野菜とか鍋物用のしらたきみたいな要望があって、店頭に並べていくという印象があって、とても受動的。もっと能動的に大学院生が企業と交流できるようなシステムにしたほうが絶対よいと思います。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。逆方向の提案も、ぜひよい形で御検討いただければと思います。
産業界のほうから手を挙げていただいております。塚本委員、お願いします。
【塚本委員】 どうもありがとうございます。
既に検討済みかもしれませんが、先ほどの価値や夢を見られるという観点で、なかなか抵抗もあるかもしれませんが、最低賃金的なものを、決めておいたほうがいいと思います。
例えば、学部制に対しての、インターンで1日1万円は払いますし、外資系IT企業ですと、夏休みのインターンに月額28万円払ったりしています。あまり金額が安いと、夢を見られないのではないかと懸念する次第です。可能であれば、ミニマムラインを決めておいたほうがいいのではないかと思いました。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。非常に重要な点だと思います。ぜひ、具体的な検討をお願いいたします。
山本委員、お願いします。
【山本委員】 山本です。事務局に質問なのですけれども、まだマッチング始まったばかりではありますけれども、分野によって反応が違うかなというところを伺いたいと思います。
一番企業の意欲が大きいのは、多分AIとかITなどかなと想像するのですけれども、ここの部分は、もう修士の段階で就職に引っ張られているようですし伝統的な理学系のようなところと違って、これらの分野は進学率もそれほど高くないと聞いています。そうするとミスマッチが生じないかなとちょっと気になりました。お願いします。
【宮浦主査】 事務局からコメントございますか。
【中澤専門教育課企画官】 よろしいでしょうか。
【宮浦主査】 お願いします。
【中澤専門教育課企画官】 分野による部分、結論から言うと、今、トライアルをしているところなので、まだ、ちょうどこれから見えてくるところかなと思いますので、見えてきましたら、また、こういった場でも、お返しさせていただきたいなと思っておりますが、はっきり言って出ています。かなり見え始めておりまして、逆に企業側も、企業側がどういった人材を欲しいかというところも結構見えておりまして、今回、このマッチングに参加している企業、いろんな企業、出てございますけれども、例えば、金融系の企業だとか、あるいはいわゆる研究者をこれまで採ってこなかったようなところも出てきていたりするので、そういった企業側の色というのも、これから見えてくるといいなと思ってございます。
【山本委員】 ありがとうございました。
【宮浦主査】 ありがとうございます。一覧表を見ますと、金融関係ですとか、かなり多彩ですので、期待しております。
隅田委員、お願いいたします。
【隅田委員】 よろしくお願いします。このトライアルと今シーズンにかけて、昨年からのコロナ禍で企業の働き方自体が大きく変わっていると思います。テレワークとか、オフィスの移転とか、そういったことによって、何かいい影響とか、新しいこととか、そういうのはございますでしょうか。
【中澤専門教育課企画官】 事務局でございます。
トライアルは、まさに今、始めようとしているところでございます。具体的に言うと、今まさに企業側と大学の学生のほうとマッチングをしているところなので、コロナの影響というところは、ちょっと分からない部分があるのですけれども。
今回、インターンシップ自体は、100%ずっと企業のほうに行ってというだけではなくて、週どのぐらい行って、週何日間かは研究室でというパターンだとか、あとは部分的にはテレワーク型で家でいろいろ分析しながらということも認めて行っているところではございまして、企業はその辺りをいろいろな複線型のやり方で、ずっと企業に来てという形でないやり方の企業のほうが、どうやらちょっと多そうかなと思っております。
【隅田委員】 分かりました。そういった意味でいくと、タイミングがよかったというか、すごく多様になる可能性があって、さっきの研究室から出たがらない博士人材という少しお声が出ましたけど、より多様な参加形態が可能になると思いました。期待しています。
【宮浦主査】 コメントありがとうございます。コロナの関係で、テレワーク、社員の方も在宅等々が多様な働き方になっておりますので、インターンシップでも、いろいろな働き方といいますか、インターンシップの形態を検討してみるチャンスでもあるかなと思います。よろしくお願いします。
狩野委員、お願いいたします。
【狩野委員】 私の申し上げたかったのは、宮田委員がおっしゃったのとちょっと重なるのですけれども、科学のトレーニングがどのように世の中に役に立つかということを考えると、それは答えが未知の問いがあったときに、それに対して上手に「理由つき」で自分の考えを組み立てていくということかと思っています。これは、文部科学省の別の事業で「政策のための科学」というのに関わらせていただいていますが、それも似ているところがあると思っていて、自分の考えを作っていくとき、あるいは何か進めていく方針を立てるときに、理由をちゃんと探してやっていこうということです。
この意味から企業側が持っている何か乗り越えたいことというのを、それぞれの博士課程にいる方が、自分の専門とつなげたときに、どのようなことがそこにつながってやっていけるのかと、そういったことを考えていくトレーニングとして機会を活用していっていただくのが非常に今後重要ではないかと思っています。
例を挙げますと、OECDのPISAというのをさっきからちょっと話題に出しておりますけれども、OECDのPISAという教育の測定の話がございますが、これを進めておられる方は、実は物理学の出身の方で、物理の観点を教育学に取り入れた結果として、行われている教育の測定の方法が十分ではないのではないかということを思いつかれて、PISAのプロジェクトを動かしておられるということを聞いたことがあります。そうした場合に、大学院で専門的に学んだ、あるいはそこで身につけた思考方法というのが世の中でどう役に立つかということを上手に企業の持っておられることと結びつけていくことによって、我が国でも博士人材、あるいはそのような高等教育を経た人材がより活用されるということが期待されるかなと思った次第です。その入り口にこの事業がなったらよい、ということを願っております。よろしくお願いいたします。
【宮浦主査】 ありがとうございます。その有効性の検証方法なども、今後、検討していく必要があるかと思います。
それでは、髙橋修一郎委員、お願いいたします。
【髙橋(修)委員】 ありがとうございます。
1つお聞きしたいというか、コメントなのですけれども、産業界側から参加した45社のリストというのを見させていただいて、多様な分野から来ているというのは、とてもすばらしいなと思った一方で、いわゆるベンチャーとかスタートアップの比率がちょっと低いのではないかと感じました。
大学発のベンチャーもとても増えているという現状の中で、そして、あと大学、アカデミアとの距離感ということを考えたときにも、例えば、テック系のベンチャーとか、そういったところがこういったものの受入先になるというのは大いに可能性もあるのではないかなということを考えています。ただ、ベンチャーの現場を見ている経験からすると、時間や場所を規定するジョブ型というのが、逆に博士人材の可能性や別の分野での自分の強みとか、あるいは研究的思考というものの広がりを実感するというところで、制限になってしまったらもったいないなということを思いました。ぜひ、こういった取組の中からベンチャー、スタートアップにも進むような博士人材がいてくれたらよいとと思いました。
以上になります。
【宮浦主査】 ありがとうございます。
ベンチャー企業等も積極的に手を挙げていただくように広報するというのも重要かと思いますし、また、ジョブ型ということで、先ほど宮田委員から、両方向から提案できるようにするとよいというお話をいただいていたと思うので、そういった形によってマッチング型、違った形のマッチングも可能かもしれませんので、その辺り、また事務局のほうでも御検討いただければと思います。
岩崎委員、お願いします。
【岩崎委員】 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
今、私は髙橋委員の御指摘のリストが気になりまして、博士号を取った人を採用した実績のある企業が並んでいるような気もして、お試しというのとは、ちょっとずれているのかなという気もいたしました。ですので、もっといろいろな企業に参加してもらえるといいかなと思っております。
この枠組みとしては、もう宮田委員や狩野委員がおっしゃられたことと重なるのですけれども、やはり博士号を持った人材を雇ったときに、どういった新しい展開があるか。ジョブ、何をしてほしいかということを企業側が提示するだけでなく、どういった新しいことができるかということを学生の側から提案することが本質的に重要かなと思っております。
というのも、何か決められた仕事をやってもらうなら、別に博士号があってもなくてもよいということに、結局、最終的には行き着きかねないので、逆に、学生の側から、こういったものをやりたいということを受け入れて、それがこの企業にとって新しい展開につながると、それが日本企業が世界で戦えるような新しい技術開発等につながっていくと、そういった流れをつくっていくことが大事だと思いますので、学生から提案するという方向も押し出していくということが大事かなと思っています。
あと、もう一つ懸念点がやはりありまして、細かいところでトラブルが起きて、うまくいかないのではないかなということを心配しておりまして、丁寧な制度の運用をお願いできればと思っております。
例えば、研究室で研究して、知財に相当するようなものを企業に持ち込んでしまって、トラブルが起きてしまうであるとか、逆もあり得ると思いますけれども、あるいは学位取得に必要な研究が阻害をされて、学位の取得時期が遅れてしまって、指導教員と学生がトラブルになるとか、そういった問題によって制度がうまくいかないということがあり得るかなと思っておりますので、そういったトラブルがないような運用をしていただけるといいかなと思っております。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。学生からの提案の方向性、非常に重要かと思います。
村上委員、お願いします。
【村上委員】 先ほどの図で、出口のところには大学関係と民間企業というのがあったと思います。民間企業のほうでは、今ここに、インターンシップに御協力いただける企業がある程度の数あり、こちらを拡大していく、範囲を広げていくというのは非常に重要だと思います。大学のほうの出口も、意外に大変でありまして、それが大変なのは、いわゆる教えた経験、1科目でもいいのですけれども、教歴がないとなかなか就職できないという状況があります。その教歴を、いかに博士の学生につけさせるかというのは、やはり一つ課題になっています。いわゆるテニュアトラックとか、正規のテニュアつきの雇用とかという職以外に、非常勤講師もあるわけですけれども、その非常勤の場合でもやはり前にどこかで非常勤やったなどの条件がないと、なかなか採用されないような状況になっています。そうすると、博士課程で研究を結構やって、できる人だけれども、非常勤の経験もないからなかなか採用されないというようなケースがあります。これは今、早稲田大学だけではなくて、東大とか、ほかのところでも起きているという話を私は聞いていますので、いわゆる民間企業のインターンシップに相当するような、何か教歴をつけさせると仕組みも考えていく必要があるのではないかと思っています。
【宮浦主査】 ありがとうございます。
これで一応、この話題の御意見、手が挙がっていた御発言が終わったところです。言い忘れ、手挙げ忘れないでしょうか。よろしいですか。
それでは、ちょっと時間が押しておりますので、次に進めさせていただきます。ありがとうございました。
まず、議題2に入ります。
議題2は、今期の人材委員会では、博士人材のキャリアパスについて中心的に御議論いただきたいと考えているところなのですけれども、先ほどから出口、キャリアパスの話題も多々出ていたところでございます。この点、まず事務局から御説明いただけますでしょうか。
【三輪人材政策推進室長】 失礼します。人材政策推進室長の三輪でございます。議題2の博士人材のキャリアパス等につきまして、まず簡単に御説明いたします。
既に出ておりますように、今現在、文部科学省は、おかげさまで博士課程学生、大体6,000人規模の新規事業といった大きな取組が、今、動いているところでございますが、やはり、これをやっていく過程で文科省の中で出ている1つの結論は、これは併せて博士課程人材のキャリアパスについて真面目に考えないと、最終的にはうまくいかないという一つの結論であります。
先ほど中澤企画官からありましたジョブ型インターンシップ等は、もうほぼマストのファクターになっているわけですが、当然、ジョブ型インターンシップだけでは恐らく駄目で、トータルとしての博士人材のキャリアパスをどう考えるかということに関して、一つの方向性を早めに出さないといけないということで考えております。
御覧の資料2-1は、今日の議題2の議論がやりやすいように、事務局のほうで見繕ったものでございますが、あくまでこちらで思いついた論点としてリストアップしただけのものですので、ここに書かれていることとは別のことでも構いませんので、博士人材のキャリアパスに関して、ぜひ、この場で御指摘いただいたほうがよいこと等に関して、ざっくばらんな御意見をいただけたらと思います。
ポイントは、この資料の後半にありますように、やはりプレーヤーとしては、博士人材を輩出する側の大学、そして受け入れる側の産業界という2つのプレーヤーがある中で、併せて国がどう動くべきかと、この3つの動きがどう連動するかという問題であると考えております。
資料2-2は参考として御用意したものですが、もう時間もございませんので、ポイントだけ御紹介します。前回の人材委員会で御紹介したものも一部重複しておりますので。
例えば、3ページでございますが、一応、データ的には、我が国においては、米国等と比べますと、やはり博士人材が民間企業に行くというのは、ややレアなケースというふうになっております。
それから9ページを御覧いただきますと、これは如実なグラフですが、青線のグラフですが、大学において、25歳から39歳という、いわゆる40歳未満の若手教員の割合は大幅な減少となっております。
16ページ、御覧ください。これも先ほどの議論で一部出ておりましたが、一方、ベンチャー企業というものが、博士人材の活躍の場として非常に注目を集めておるところでございます。
27ページでございます。と言いつつ、日本の博士人材って、そもそも少子化の中で多くなっているのではないかなどという指摘はあるのですが、これは結論として間違いでして、27ページですが、主要国の中では、人口100万人当たりの博士号取得者の減少傾向が、唯一日本でだけ出てきているということがございます。
29ページ、これは前回の人材委員会でも御紹介しましたが、では、なぜ博士人材を目指さないのかという大きな理由は、D1、D2、D3の3年間の経済的見通しが立たないということと、やはり修了した後のキャリアパスが見えてこないという指摘が非常に多く挙がってきているというところでございます。こういった状況なども踏まえた上で、ここを何とかしなければ、6,000人を引き続き支援していって本当にいいのかという議論になりかねなくなりますので、ぜひ、様々な御意見をいただけたらと思います。
以上でございます。どうぞよろしくお願いします。
【宮浦主査】 ありがとうございます。
博士人材のキャリアパスの話題、引き続きお願いいたしたいと思います。
やはり博士学生の支援が、これまでになく充実してきた状況で、その出口、キャリアパスの問題が極めて重要でありまして、諸外国に比べて、我が国の博士人材の伸び悩み、進学者の少なさということが、やはり出口の問題に直結しているところでございます。
手挙がってきました。ありがとうございます。桝委員、お願いします。
【桝委員】 ありがとうございます。お願いします。
博士人材のキャリアパス、企業に向かって、どういくかというところなのですけれども、これまでいろいろお話伺っていると、やはり博士人材の強みって何なのかというところが、比較的研究そのものの専門性が深まっているというところのほうに寄ってしまっているのではないかという印象を受けております。
先ほどちょっと資料に見えましたけれども、ベンチャー企業のほうで博士号取得者の企業の就職率がよいという話がありましたけれど、ちょっとこれはイメージで申し訳ないのですけれども、恐らくその専門性を生かしてというよりは、博士課程まで進んだところでのプロジェクトのゼロからイチの立案、遂行能力みたいなものを評価されて、あるいはそれを生かそうというところで能力を生かしているのではないかと思っております。ですから、先ほどのジョブ型インターンの話もあったのですけれども、研究そのものの専門性という一つの強みと同時に、同じ、並行して、研究を通して身についたプロジェクトの立案能力であったり遂行能力、マネジメント能力というところも同じ評価軸として二つの部分で評価するような考え方とシステムを作ってほしいなと思っております。
そこに関して言うと、やはり学部卒、修士卒とは全く違うといいますか、ある一定の期間でプロジェクトをゼロから自分で提案して、遂行してというところが評価されるところだと思いますので、そこの評価軸といいますか、を明確に、博士課程の人材の能力というのは2種類あるというところを明確にしてほしいなというところが一つです。
もう一つ、この後、取り組むべきことというところの分野に入ってしまうかもしれませんけれども、先ほど川端委員から、イベントをと言って、イベントでこういった厚い待遇の周知徹底をという話がありましたけど、そこで学生、事によっては高校生にも周知をというコメントもあったかと思いますが、恐らく高校生にPRするのは遅いくらいじゃないかなという気でおります。小・中学生ぐらいから博士課程というものがあって、ポスドクというものがあって、そこから様々な道が広がっているというところをアピールする必要があるのではないかと個人的に思っています。
以前、とある研究者の方に話を聞いたときに、『鉄腕アトム』の時代に博士というのは、お茶の水博士のように、皆さんから尊敬されるような人物で描かれていたものが、現在は『名探偵コナン』を見て、阿笠博士という変な研究しているオタクのおじいさんという印象になってしまっているのではないかというような、非常に端的な例ですけれども、分かりやすいなと思いまして、小・中学生ぐらいのときからもう、博士課程進学というものが1つの将来のキャリアパスとして思い描けるような形になってほしいなと思っています。
個人的にテレビの人間の感覚からいいますと、最大のPR方法というのは、モデルケースとなる人物を作ってしまうことでして、理系のヒーローがいないというように私は言い続けているのですけれども、そういった存在をメディアの力も使って、ぜひ、文科省発信でアピールしてほしいと思いますし、何でしたら文科省がスポンサーになって、ミニ番組を1個、魅力的な博士課程経由の研究者を毎週1人紹介していくというような番組があってもいいのではないかというのを、半分冗談、半分本気で考えております。
ちなみに日産自動車は、1社提供番組で、『博士は今日も嫉妬する』という番組で、テクノロジーを毎週紹介する番組、5分番組作っているのですけれども、それも恐らくテクノロジーに対して興味を持つ後進の育成という意図を持ってのスポンサードだと思いますので、ぜひ、そういった形も検討いただければなと思っております。

【宮浦主査】 ありがとうございます。博士ならではの立案能力ということを評価していただけるようなシステムで考えていくという、今の通常の就職システムで、それが果たして評価されているのかという問題があろうかと思います。
第2点、非常に重要なところで、博士のヒーローを作って、それを全国的に発信していただいて、みんなで目指すのは博士だというような方向を盛り上げたらどうかという非常に貴重な御意見で、ぜひ日本テレビのほうで御検討いただけるとありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【高橋(真)委員】 この論点に対して、ぜひ加えていただきたいということなのですけれども、やはりメインの博士人材のキャリアパスは、従来どおりアカデミックキャリアと、それからもう一つ、産業界、研究能力を生かした研究開発活動に貢献するというところだと思うのですが、URAを含めて三つ目、もしくは三つか四つか、さらに多様性があるキャリアパスがあるということを、ぜひ忘れないように、課題の中に頭出しをしていただきたいというものです。
中教審大学院部会でも類似のことを申し上げたのですが、URAのみならず、欧米では、例えば博物学とか歴史学などの分野で博士号を取得した人材が、地域や実際の生活の具体的課題を解決する活動を担う団体などを立ち上げたりする例も見えるようになってきました。いわゆる自然科学系の博士号と科学技術による、従前私達がメインストリームと思っていたイノベーションとは異質の、しかし社会が豊かに変化し続けるためにはとても大切な構成要素の一つだと思っています。具体的にはNPOなど、小規模だけれど具体的、であるがゆえに、組織のリーダーシップが必要なところで、その組織を動かしていくというようなイメージです。ですので、いわゆる研究推進支援の専門以外にも、学術を推進するところにも、もう少し脚光があってもいいのかなと思ったので、多様性という意味で加えていただければと思います。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。アカデミア産業界、第3にURAですとか、各種NPOで活躍するような人材。URAも制度化されていく流れもあると思いますので、その辺りを十分に、アカデミアと産業界という2本だけではないという部分をしっかり議論していければいいかなと思っております。ありがとうございます。
川端委員、お願いします。
【川端委員】
1点は、先ほど桝委員が言われたのがとても印象的で、ひっくり返したら何が言いたいかというと、今、卓越大学院とか、リーディング大学院事業とか、キャリアパスも奨学金もカリキュラムも全部そろえても進学者、希望者が増えないのですよ。要するに、全部そろえても動かない、何かそこに原因があるという、私はそこはやっぱり一番目に見えている大学の中にお茶の水博士のような人がいない、へこたれている教員がいっぱいいて、日々の暮らしで、それを見て、なかなか前に進まないのではないかという意味で、大学の研究というもの自体の魅力を上げるための施策というのを考えなければならないと思っています。
二つ目は、十数年前からキャリアパスだとか、この事業をやっていますけれども、結局のところ、企業への博士の進学者数は大して増えていません。たくさんいろいろな事業をやっているのに増えないのです。それは一体どうしてかというと、大きい意味で言うと、企業の中には、もうドクターの割合、採用割合をとても増やしている企業があります。その一方で、トータル数が増えないということは、採用しないという企業が増えているということです。日本の中では。だからこそ、企業の中での、うまくいっている企業がうまくいっていない企業との事実交流であるとか、情報交流であるとかという横のつながりの話を、ぜひしっかりとやっていただくような施策を取っていただきたいというのと、裏返したら、先ほどジョブ型インターンシップという話の中にあったのですけれども、情報系ではあるのですが、言わば日本の企業ばかり相手にしているから、こうなっている。だから、国際的な企業、海外の企業に向かってジョブ型インターンシップをやるようなマッチングのシステムというのを作って、国内の優秀な博士の中で、そういった人間を外へ出していくというような、今までPh.Dの頭脳を囲い込んでいたのですけれども、そろそろ世界に開いてよいのではないかという提案でした。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。ジョブ型は海外も視野に入れて、逆に留学生も参加、海外の企業も参加、日本企業ももうグローバルになっているので、そういった意味で、少し広げていったらどうかという御意見でございます。
あとは、参加している企業さんと、興味がないところに特化しているという御意見もあったところなのですけれども、迫田委員、いかがでしょうか。
【迫田委員】 ありがとうございます。
ある大学の学長が、「ドクターというのは、ラーメン屋をやっても繁盛できる」と、そういった力がある人だというようにおっしゃっていて、なるほどと思ったのですけれど、やはり自分で問題を、課題を発見して、それを解決する力がある、それが本来、求められるところだと思います。
今の博士課程の課題というのは、育成の方向がアカデミア中心になっていることだと思います。そちらを目指していて、たまたま職が得られない方が、それから社会へ行こうかというのでは、やはり通用しないのではないかなと、そこがやっぱり大きな課題だと思います。
一方で、リーディング大学院とかの卒業生は、各企業が採用しようと奪い合いになっています。あるいは特にAIとかデータサイエンスの分野でありますけれども、CEO(サーキュラーエコノミー推進機構)があっせんしているデータサイエンティストなどもすごい競争率で、なかなか採用できません。このような事例から考えると、分野の問題と、産業界へ出ていくという意識の問題、この2つがやはり大きいのではないかなと思います。
もう一方で、社会での活躍ということを視野に入れるのであれば、今、理系のところだけが話題になっているのですけれども、社会・人文系は本当に薄い層しかいないし、ほとんどの人がアカデミアにしか興味がないと思います。 海外では、社会・人文系の層が非常に厚くて、コンサル会社や、シンクタンクなどにたくさんの職があって、そこから民間企業へ回るという、よい循環ができています。そちらに手をつけない限りはなかなか広がっていかないのではないかなと思います。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。分野の問題ですね。比較的産業界で取り合いになっている分野と、学生側も非常にアカデミアに最初から向いているというのですか、目が向いている学生がまだまだ多いということで、その辺りを解決していかないと、なかなか広がりがない。
文系の博士の問題も御指摘のとおりでございます。中教審の大学院部会でも、文系の博士の話題がかなり出たのですけれども、人材委員会では、どうも理系に偏った話題が多いのですけれども、文系の博士。文系といいますか、融合領域の博士人材の活躍というのも大変重要な点かと思っております。ありがとうございます。
小林委員、お願いします。
【小林委員】 小林です。
博士に対する支援も非常に厚くなってきたということがあって、とてもよくなってきたということがありますが、分野別の問題等も今出てきています。状況は、実は分野別等でとても大きい違いがあります。
例えば、今のお話だと、文系の場合、博士に行くのは研究者志向の人ばかりみたいな言い方もありますが、実は文系で博士に来てくれないという問題も大きい問題としてあります。一番典型はおそらく法学だと思いますけれども、このまま行くと、日本の法学部は後継者がいなくなり崩壊するのではないかという危惧を持っている方も少なくないです。そのような状況です。ですから、もっと細かく、対処していくこと、多様性が今度は必要だろう。大きく網をかけることはできたので、次の段階では多様性を重視して、さらに細かく分けて、状況に応じたことをしなくてはならないというのが課題ではないかなという気がしています。
それで、もう一つ、今の大学の教員の問題を考えたときに、先ほど高橋委員がURAの話をされましたけれども、最近、ちょっと別のところで書いたのですけれども、URAだけではなくて、アメリカの有力大学というのは、実は専門スタッフというか事務スタッフのほうが教員より多いくらいなのです。そういった条件の下で大学が非常に強い競争力を持ってやっているというのが現実です。つまり、URAのような非常に少数なものではなくて、根本的に大学の構造を変えていかないと、大学の教員も忙しいだけだし、それこそ人材育成もちゃんとできないしという悪循環に陥るのではないかという危惧があります。この辺りは人材委員会の問題がどうか分かりませんけれども、大学の専門職のスタッフを、大規模に増やすということも考えていかないと、今の日本の大学の状況、あるいは博士の育成そのものも回っていかないのではないかという危惧を持っています。
細かいことは、いろいろ言いたいことがありますが、これくらいにしておきたいと思います。
【宮浦主査】 ありがとうございます。分野の問題、非常に重要ですので、全体の底上げの次、分野の議論が要る。分野ごとに課題も違うと思いますので、また議論を深めていければと思います。
手が現状挙がっているところで、一旦締め切らせていただきます。
次が、岩崎委員です。お願いいたします。
【岩崎委員】 こういった、何がポイントかということを議論すると、学生側にこういったキャリア、スキルが足りないという観点が出てくるのですけれども、私自身は日本の博士課程の大学院生と他国の大学院生を見ていても、それほど違いがあるとは思えないのです。日本の大学院生は非常に優秀で、いろいろなスキルを持っているなと思っております。それが企業への就職になかなかつながらないというのは、やはり企業の側から、もっと博士号を取った学生はウエルカムだというメッセージを示していただくということが一番大事なのではないかなと思っております。
例えば、理系では修士課程に行く学生が多いですけれども、それは修士課程に行ったときにも、企業は採ってくれると思っているから、普通に修士課程へ進んで行くわけです。そういったことを博士でも行っていく、そういったことが大事かなと思っております。
そうすると、博士号を取ったような学生を採用することで、国際的な競争にも勝っていこう、そういったメッセージをどんどん学生の側に発信していただく、そういったことを企業が行いやすいようにサポートしていくと、そういったことが大事かなと思っております。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。
宮田委員、お願いいたします。
【宮田主査代理】 この問題は1年で解決できるような問題じゃなくて、もうちょっと大学と社会の在り方というのを深く突っ込んで検討しなきゃいけないと思っています。
私が知る限り、何で企業に行かないのというと、大学院生の多くはアカデミアにしがみついているという状況があって、では、知らないから行かないのか、食わず嫌いなのかという疑問が十数年前にありましたけど、それはもうなくなったと考えています。なので、むしろ大学ももっと企業に対してオープンになって、人材交流が自在にできるような状況を10年とか20年かけて実現したほうがいいのではないかと思っています。そうすると、別に企業に行って、ある程度仕事した後、もう一度自分でテーマを発見して、大学に戻ってきて基礎研究をやるとか、そういった本来のイノベーションのサイクルが回るようになると実は思っています。なので何か必死な思いをして、アカデミアでずっと一生暮らすとか、あるいは企業ももう既に終身雇用崩れていますので、企業に就職することが終身雇用の保障だという古いような考え方で考えないで、もっと人材交流を大学と企業で積極的に行えるような仕組み、それをまず根本的に考えたほうがいいような気が今しております。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。
過去のデータですと、企業とアカデミアの人材の動きがほんの数%であるというデータは恐らく変わっていなくて、お付き合いで動くことはあっても、雇用関係で動くことは極めてまれというような状況は続いていると思いますので、何か日本型になってしまっていて、途中で動くと中途採用、アカデミアに動くには教員経験がない、そういった従来からの課題がまだ解決できていない部分が人材交流の低さの原因かと思いますので、その辺りも、少し時間かかるかもしれませんけど、ぜひ解決していくべき課題かと思います。ありがとうございます。
隅田委員、お願いいたします。
【隅田委員】 2点あります。
1点目は、分野というか職種なのかもしれませんが、官というか、行政関係に博士号を持っている人が、いろいろなところにもっと、地方でも入ることで、やはり政策の厚みとか出てくるかなというのが1点です。
それと併せて、業種でいくと、マスコミとか言論界ですよね。さっきのどういったところで戦略を打って、どういったステレオタイプをというのは、実像に裏打ちされたものがあるほうがいいだろうというのが1点です。
もう一点は、キャリアパスで長く勉強し続けるというか、それに対する不安が多いようなので、例えば、本当に優秀な人は、もっと早く博士号を取らせてあげると選択肢が広がるのではないかと思いました。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。
先ほどの人材交流とも共通するところですけれども、まさに政治家の皆様、役所の皆様、マスコミの方々へのいろいろな場で博士が活躍することによって、かなり世の中変わってくるのではないかと、それを小学生にも見せなくてはいけないと、そういった御指摘かと思います。
それでは、残り時間が少なくなってまいりましたので、事務方、よろしいでしょうか。
議題3に進みます。教育人材育成に関する動向について、御説明をお願いいたします。
【斉藤人材政策課長】 資料3-1に基づいて、総合科学技術・イノベーション会議のほうの状況について御紹介させていただきます。
CSTIと言われていますが、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議で、教育人材育成ワーキンググループが設置されているという情報でございます。
今年から始まっております第6期の科学技術・イノベーション基本計画において、教育人材育成が新たな柱として盛り込まれたことを受けまして、ワーキンググループが設置されたということで、本格的に議論をし、文部科学省を含めた関係省庁が支援等を一緒に進めていくということになっております。
次のページ御覧いただきますと、会議の下部組織のワーキンググループという立てつけではありますが、総合科学技術・イノベーション会議、CSTIのほうは有識者会議、一番上の会議のメンバーが全員入っておりますし、特徴的なのは、文科省の中教審や経済産業省の産業構造審議会の委員も相乗りで入っておりまして、一緒に議論を進めるという形になっております。そちらのほうも会長ですとか、かなり上のほうの役職の方が入っていらっしゃって、かなり気合を入れて3省庁、関係の有識者の方にも入っていただいて議論を進めるという立てつけになっておりますので、今後、様々な議論がなされるかと思いますが、この人材委員会も含めて、文科省も様々連動していく必要があるのかなと思っております。
次のページが、今のところ、その内閣府の会議で出ています当面の検討事項ということでございますが、STEAM教育について、どのように興味、関心を高めていくかですとか、STEAM教育を社会が支えるためのエコシステムですとか、あと特定分野に特異な才能がある子供、ギフテッドとかって言っておりますけれども、そういった方も含めて、特異な才能をいかに社会として、制度として伸ばしていくかというような話や、GIGAスクール構想において、オンラインも含めたICT活用みたいなことも含めた様々な人材育成、教育についての課題を検討するということになっております。
最後のページ、スケジュールですが、今年末までに中間取りまとめを行って、来年の3月までに取りまとめを行うことになっております。それを受けて、政策パッケージを政府で作りまして、来年度の予算要求につなげていくというのが大きなスケジュールでございますので、おそらく、科学技術・イノベーション、理工系人材の育成、人材育成のかなり政府としての支援、強化のプログラムといいますか、パッケージが今後大きく議論が進むということになるかと思いますので、引き続き先生方に御相談させていただきながら進めたいと思っております。
以上でございます。
【宮浦主査】 ありがとうございます。
CSTIや中教審との連動ということで、STEM教育にアートが入ったSTEAMですね。先ほども博物館とか歴史の話題出ておりましたけれども、人文社会系、総合知に向かって、幅広い人材育成ということで議論が進むと考えられます。
ただいまの話題につきまして、御質問、お願いいたします。
よろしいですかね。御質問ございませんか。
【三輪人材政策推進室長】 では、事務局から、もう一つだけ資料を御説明させていただけたらと思います。
【宮浦主査】 どうぞ。
【袴田人材政策課長補佐】 人材政策課の課長補佐をしております袴田と申します。よろしくお願いいたします。主に初等・中等教育段階について担当させていただいております。
資料3-2を御覧いただければと思います。
昨年12月ですけれども、論点整理、SSHの支援事業の今後の方向性に関する有識者会議ということで、論点整理を公表させていただいた際にも御報告させていただいておりますが、さらに検討を重ねまして、今年7月5日に第2次報告書を取りまとめて公表させていただきましたので、こちらにつきまして、簡単に内容を御報告させていただければと思います。
検討の背景としまして、様々、管理機関、SSHの指定校から国や管理機関の支援の充実を求める要望ですとか、あとは令和元年度に財務省から予算執行調査で受けた指摘事項を踏まえまして、文科省が取り組むべき主な方策について整理を行ったところでございます。
真ん中から下のほうにオレンジと水色、こちらで5つほど枠を分けさせていただいている一番上のところでございます。SSH指定校が国際的に活躍する科学技術人材の育成の役割を担うこと、また地域における科学人材ネットワーク拠点の形成や成果の普及を行うことを提唱するとともに、次のページをおめくりいただければと思いますが、SSH指定校の目指す姿ということで、こちらの共有を行っております。
具体的には指定第1期、第2期においては、研究開発の創成期としまして、カリキュラムや組織体制の構築を行いまして、3期、4期につきましては、これまで2期までの取組から確立した各校の強みを基に、指定校内だけではなく、地域における科学技術人材育成のための研究開発を促進することを目的としてもらうことを想定しております。
さらに4期以降、こちらにつきましては、卓越した研究開発を通じて、科学技術人材育成システム改革を先導する役割を担っていただくということを想定しております。
お戻りいただきまして、次の下の枠でございます。
事業全体の成果の把握のために、SSH指定校における実践事例集や卒業生の活躍事例集の作成に加えまして、SSH指定校卒業生の追跡調査義務化が提唱されております。既に実践事例集や活躍事例集、こちらは作成したところではございますが、今年、新たに卒業生の追跡調査の実施を義務づけるために、指定校とJSTとの間で締結する共同研究契約書を改訂したところでございます。こちらによりまして、SSH卒業生の状況について、定量的な把握を行っていく予定でございます。
その下になります。さらにSSH指定校としての予算支援終了後もSSH活動を継続しまして、好事例の普及や展開が可能となるように、指定期数が3期目以降の学校を対象としまして、認定枠を創設いたしました。こちら、指定終了後も教育課程の特例を活用できる枠組みを設ける仕組みとなっております。
認定枠に採択された学校については、これまで研究開発の成果を普及する役割を担うということから、一定の基準を満たした場合、広域連携の観点から支援することを可能としております。
以上、簡単ではございますが、報告書の御報告とさせていただきます。
【宮浦主査】 ありがとうございました。
SSH、いかがでしょうか。御質問。
狩野委員、どうぞ。
【狩野委員】 ありがとうございます。
冒頭に申し上げたことに戻るようなところもあるのですけれども、SSHに関しても、若い方々がどちらかというと社会課題に対する興味が増えているという調査結果も加えますと、SSHで学ぶ方々が、そうした課題と、自分たちがSSHとして取り組んでいることは、一体どうつながるのか、あるいは広い視野の中で、自分たちのやっていることはどういった位置づけにあるのかと、そういったことにもぜひリンクを張るような考え方を、その時代からSSHで身につけていただくのはどうか、ということが1つの御提案になります。
もう一つ、報告書を拝見すると、文部科学省のほうで、文部科学省の外から言われたこととして、この事業で一体どういった成果が上がったのかについて指標化を図れという指摘があったようでございます。この点については、先ほどからも議論にあったように、結局、最終的にどういった人材にしたいかというと、博士課程を経た結果として、ゼロからイチを作れる人だと、そういった言い方がありました。ゼロからイチを作るためには、自分が何かを変えられるという気持ちが大事だということを考えると、そこに自己効力感という内容が戻ってくると思います。
この言葉自体は出ていないかもしれませんが、さっき斉藤課長が御紹介になった会議の資料にも、これの低さが日本の一つの特徴として表れていることが、その会議の冒頭資料を御覧いただけると実は出ています。そこも含めて、この自己効力感を、こうしたプログラムを通じて高められるかどうかということは、非常に重要かと思います。
以上2点です。広い社会の課題と、自分のやっている活動が、どうつながるのかということを、より早い段階から、ぜひ、ジョブ型に至る前のSSHからでも、つなぎ方を探していっていただきたいということが一つ。もう一つは、自分もその社会に何かの足跡がしるせる可能性があるという気持ちを、より若いときから持っていっていただきたいと。その最終的な一つのゴールとして、博士人材に至るような道もあるであろうというようなことについて、ぜひお考えいただければと思いました。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。SSHの生徒は、結構、社会課題の解決を目指してやっているケースがあると思いますので、それが大学に進学してから下火になったりですとか、そういったことがないように、また大学院を出て実際にチャレンジするという、非常に時間がかかるところですけれども、モデルケースも含めて明確化していくことが重要だという御意見でございます。
手挙がっております。隅田委員ですかね。
【隅田委員】 ありがとうございます。大変丁寧な資料がありまして、取りまとめありがとうございました。少し説明で触れられなかった部分を、私、追加したいと思いまして。やはり女子生徒への影響が非常に大きいです。これなどは皆さんに知っていただきたい。理系大学進学率が一般校と比べて非常に高いこととか、あと学習指導要領改訂にも影響があったこと、単に選ばれた学校だけのことではなくて、指導要領の理数探究のような新しい科目開設に影響があったこと、それと、やはりコロナ禍でも、昨年から非常に多様な活動を続けていますので、そのようなものも何か、これから事例を集めると参考になるものがあると思います。
あと最後に、この会議の最初のほうで、ジョブ型インターンシップがございましたが、ぜひ、博士課程の人材の学生さんにSSH校に行ったりとか、あるいはその管理機関の教育委員会に行ったりとか、そういったものもあってよいのではないかと思いました。
以上です。
【宮浦主査】 ありがとうございます。最後、宮田委員からお願いいたします。
【宮田主査代理】 SSHの評価をやはり求められていると思うのですけれど、それがドクター進学みたいな矮小化された数値になってほしくないなと思っていて、それはなぜかというと、ビル・ゲイツもイーロン・マスクもドクターまで行ってないのですね。本当の意味で、イノベーションをやって、社会を幸せにする人を作るというのがスーパーサイエンススクールの目的だと思っています。
今、どちらかというと文科省の議論というのは、何としてもアカデミアの人材不足を確保するみたいなところに寄ってしまっているのですけれども、スーパーサイエンススクールのようなことは、根本的に、社会を幸せにするような人材とは何かという、もうちょっと大きな像で議論していただきたいと思っています。
そのために、先ほど自己肯定感、自分はできるというような感覚を持つことが重要だと言いましたけれど、それは高校だけではないでしょう。やはり家族の愛のようなことが根拠のない自信になっているので、そこまで、もし考えるのだとしたら、もうちょっと初等・中等とか、幼稚園教育とか、母親教育とか、そこまで根本的に遡ってやらなくてはならないのではないかと思っています。

【宮浦主査】 ありがとうございます。今後、引き続き御議論いただきたい点でございます。
すみません。お時間になってしまいました。今後のスケジュールについて、ごく簡単に事務局からお願いできますでしょうか。
【鈴木人材政策課長補佐】 事務局でございます。
今後のスケジュール、資料3-4のとおりでございます。次回は来年1月頃に開催させていただければと思います。博士人材のキャリアパスの御審議の参考になるように、大学や企業などのヒアリングなども行っていただければという形で進めていきたいと思っております。
また、この委員会の具体的な開催日時については、改めて調整をさせていただき、御連絡させていただければと思います。
また、最後に本日の会議の議事録に関しましては、作成次第、委員の皆様にお目通しをいただきまして、主査に御確認の上、文科省のホームページで公表させていただきます。
また、今日、途中、YouTubeでの傍聴者の皆様への配信が一時中断しておりました。通信上トラブルがありまして、大変申し訳ございませんでした。おわび申し上げます。
事務局からは以上でございます。
【宮浦主査】 ありがとうございました。
それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。お疲れさまでした。失礼いたします。

―― 了 ――

お問合せ先

科学技術・学術政策局 人材政策課 人材政策推進室