人材委員会(第91回) 議事録

1.日時

令和3年4月28日(水曜日)14時30分~16時30分

2.場所

Web会議
<傍聴室>文部科学省 17F1会議室(東館17階)

3.議題

  1. 議事運営等について
  2. 科学技術・学術分野における人材の育成・確保をめぐる現状と課題について
  3. 博士後期課程学生への新たな支援方策について
  4. その他

4.出席者

委員

宮浦主査、宮田主査代理、岩崎委員、勝委員、狩野委員、川端委員、小林委員、迫田委員、隅田委員、髙橋(修)委員、高橋(真)委員、塚本委員、長谷山委員、桝委員、村上委員、柳沢委員、山本委員

文部科学省

梶原大臣官房審議官、奥野人材政策課長、三輪人材政策推進室長

5.議事録

科学技術・学術審議会 人材委員会(第91回)

令和3年4月28日
 

【宮浦主査】  それでは、本日の会議でございますけれども、冒頭、人事に関わる案件等を含みますために非公開となっておりますので、よろしくお願いいたします。
 本日は、第11期の最初の人材委員会となります。私は、科学技術・学術審議会、濵口会長から第10期に続きまして第11期の人材委員会の主査の指名を受けました、宮浦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入ります前に、第11期の人材委員会の委員に御就任いただいた先生方17名について事務局より御紹介いただきたいと思います。
【根津人材政策課長補佐】  事務局でございます。資料1-1を御覧いただければと思います。人材委員会の委員名簿、資料1-1の順に沿って事務局のほうから御紹介させていただきますので、大変お手数ですが、お名前をお呼びいたしましたら、マイクをオンにしまして一言御挨拶のほうよろしくお願いいたします。それでは、資料1-1に沿って御紹介させていただきます。
 まず、岩崎委員でいらっしゃいます。
【岩崎委員】  東京大学の岩崎と申します。本務は東京大学なのですけれども、あと、日本学術会議の若手アカデミーの代表をしておりまして、若手研究者の声を届ける、そういった活動をしております。私自身の専門分野はバイオインフォマティクスで、ライフサイエンスとコンピュータサイエンスの融合領域の研究を行っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、勝委員でございます。
【勝委員】  勝と申します。よろしくお願いいたします。私の専門分野は、国際金融論となります。前回に引き続き、よろしくお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、狩野委員でいらっしゃいます。
【狩野委員】  狩野でございます。私は、専門は医学です。
【根津人材政策課長補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、川端委員でいらっしゃいます。
【川端委員】  川端です。今日の話題になるような博士に関する話について、ここ以外にも文科省のほかのところのジョブ型であったり、経産省であったり、いろいろなところで似て非なるようなものがいっぱい動いていますので、その辺の要の部分の話をできればなと思っております。よろしくお願いします。
【根津人材政策課長補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、小林委員でいらっしゃいます。
【小林委員】  広島大学の小林です。前期に続いてまたよろしくお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、迫田委員でございます。
【迫田委員】  日立アカデミーの迫田でございます。今回初めての参加になります。日立グループのコーポレートユニバーシティーである日立アカデミーの社長をやっております。文科省の関係では、中央教育審議会の大学院部会、それから、最近では教育再生実行会議の高等教育ワーキンググループなど、また、経産省の産学イノベーション人材循環育成研究会にも参加しています。どうぞよろしくお願いします。
【根津人材政策課長補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、隅田委員でいらっしゃいます。
【隅田委員】  愛媛大学の隅田と申します。科学教育をやっておりまして、特に才能教育に関する研究をやっております。国際連携と、あと、附属高校にも関わっております。よろしくお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、髙橋修一郎委員でいらっしゃいます。
【髙橋委員】  リバネス、髙橋と申します。どうぞよろしくお願いします。子供たちの科学教育あるいは博士のキャリア、あとは、大学発スタートアップの立ち上げの支援の活動をやっております。どうぞよろしくお願いします。
【根津人材政策課長補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、高橋真木子委員でいらっしゃいます。
【高橋委員】  高橋真木子です。前回に続きよろしくお願いいたします。私自身は、研究開発のマネジメント、産学連携、技術移転の実務と研究の経験がありまして、その関係から、大学院部会や、経産省の研究開発小委員会にも出ております。PMやURAなどの人材についてもぜひ議論を深めていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、塚本委員でいらっしゃいます。
【塚本委員】  ありがとうございます。塚本でございます。よろしくお願いいたします。外資系の企業で長く働いており、前職はIBMで、今は製造業のキャタピラーにおります。日米の比較や雇用の形態などの観点から少しでも議論に貢献できたらと思います。よろしくお願いします。
【根津人材政策課長補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、長谷山委員でいらっしゃいます。
【長谷山委員】  北海道大学副学長、情報科学研究院長の長谷山です。専門はAI、ビッグデータ解析です。副学長の担務はデータサイエンスとなっており、人材育成と産学連携のエコシステムなどを担当しています。よろしくお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、桝委員でいらっしゃいます。
【桝委員】  皆さん、初めてお邪魔いたします。日本テレビの桝太一と申します。専門は、アナウンサーをやっております。大分場違いな感じだというふうに皆さん思われるかもしれませんが、私自身が修士から研究者、ドクターに進むことを諦めて企業に就職した経歴を持っております。一番外野な人間かと思いますけれども、だからこそ分かることもあるかと思いますので、少しでも貢献できればと思っております。どうぞよろしくお願いします。
【根津人材政策課長補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、宮田委員でいらっしゃいます。
【宮田委員】  宮田総研の宮田と申します。専門と言われてもちょっと戸惑いますが、サイエンスジャーナリズム、バイオテクノロジーを40年間ぐらいカバーしてまいりました。JSTのポスドク救済プログラムの座長を何回かを務めた後、人材委員会を拝命しています。去年からもうなかなか博士を大企業が採ってくれないので、ベンチャー企業を支援するためのベンチャーキャピタル、1号ファンドですので20億円弱ですけれども、それを集めまして、今、若手の博士課程卒業の人たちをどんどんリッチにしようと努力をしております。以上です。
【根津人材政策課長補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、村上委員でいらっしゃいます。
【村上委員】  早稲田大学政治経済学術院の村上と申します。長年、イノベーション人材の研究をいたしております。どうぞよろしくお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】  ありがとうございました。
 続きまして、柳沢委員でいらっしゃいます。
【柳沢委員】  筑波大学睡眠研究機構の柳沢と申します。名のとおり、専門は睡眠の神経科学、脳科学です。多分私がここにいる理由は、24年アメリカの大学でPIを過去にやっていたことにあると思います。また、最近では、筑波大学発のベンチャーで株式会社S’UIMINというのも立ち上げております。前期から継続でございます。どうぞよろしくお願いします。
【根津人材政策課長補佐】  ありがとうございます。
 続きまして、山本委員でいらっしゃいます。
【山本委員】  日刊工業新聞の山本です。大学と産学連携の担当記者を長くやっております。私自身は、修士までは化学を学び、博士課程は、社会人になってから産学連携をテーマに45歳で修了しました。日々の博士人材の取材としての関心もありますし、自分のキャリアみたいなことと重ねての関心もございます。よろしくお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】  ありがとうございました。
 続きまして、文科省からの出席者を御紹介させていただきます。
 まず、大臣官房審議官の梶原でございます。
【梶原大臣官房審議官】  梶原でございます。本日はよろしくお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】  続きまして、人材政策課長の奥野でございます。
【奥野人材政策課長】  奥野でございます。よろしくお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】  続きまして、人材政策推進室長の三輪でございます。
【三輪人材政策推進室長】  三輪でございます。どうぞよろしくお願いします。
【根津人材政策課長補佐】  最後に、申し遅れましたけれども、私、人材政策課長補佐の根津と申します。本日事務局を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、17名全ての委員に御出席をいただいております。以上でございます。
【宮浦主査】  それでは、議事に入ります前に、まず本日の委員会、オンラインの開催に当たりまして、事務局から注意事項並びに資料確認をお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】  事務局でございます。本日の会議はオンラインでの開催となりますので、事前にお送りしておりますマニュアルの記載のとおり、御発言の際には、挙手機能にて挙手ボタンを押していただき、指名を受けましたら、マイクをオンにして、必ずお名前をおっしゃっていただいた上で御発言いただければと思います。また、御発言されるとき以外にはマイクをミュートにしておいていただければと思います。
 機材の不具合等がございましたら、マニュアルに記載の事務局連絡先まで御連絡をいただければと思います。
 また、資料につきましては、大変恐縮ですが、本日はwebex上での共有はいたしませんので、お手数ですけれども、事前にメールでお送りした資料をお手元で御覧いただければと思います。また、資料の確認でございますけれども、事前に送付した議事次第にも記載ありますとおり、資料1-1、1-2、1-3、資料2、資料3、資料4、また、参考資料1から7を送付してございます。御確認をいただき、もし過不足等ございましたら事務局までお申し付けいただければと思います。
 以上でございます。
【宮浦主査】  それでは、議題1に入ります。資料は1-1、1-2、1-3となります。
 まず第11期人材委員会、主査代理についてでございます。参考資料3の科学技術・学術審議会運営規則を御覧ください。2ページ目に記載ございます第6条第7項におきまして、主査に事故があるときは、当該委員会に属する委員等のうちから主査があらかじめ指名する者が、その職務を代理するということになっております。
 そこで、主査代理でございますが、株式会社宮田総研代表取締役社長でいらっしゃって、これまでイノベーション人材を担う多様な御活動をされてきておられる宮田委員に、第10期に引き続きまして11期の人材委員会の主査代理をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【宮田主査代理】  宮浦座長、御指名ありがとうございました。宮浦先生に万一のことがあるとは思えないので、喜んでお引き受けさせていただきます。
【宮浦主査】  ありがとうございます。それでは次に、第11期の人材委員会運営規則並びに公開の手続につきまして、案文を事務局より御説明ください。
【根津人材政策課長補佐】  事務局でございます。資料1-2及び資料1-3を御覧いただければと思います。
 まず資料1-2でございますけれども、こちら、人材委員会の運営規則の案となってございます。こちら、第11期の最初の会議でございますので、人材委員会の運営規則並びに公開の手続を案として事務局としてお諮りをするというものでございます。基本的に第10期の運営規則並びに公開の手続を踏襲するような形で案を作成させていただいておりますけれども、簡単に御説明をさせていただければと思います。
 まず運営規則、資料1-2のほうでございます。まず第1条として、趣旨。人材委員会におきまして、議事の手続及びその運営に関し必要な事項につきましては、参考資料2と参考資料3でお配りしております、科学技術・学術審議会令及び科学技術・学術審議会運営規則が既に別の親会議の人材委員会の上位の会議でもう既に決定されているものがございますけれども、それに定めるもののほかはこの規則に定めるところによるというところをまず趣旨として記載しております。
 次に、第2条でございます。この人材委員会では、機動的に何か集中的に議論すべきというふうな案件がございましたら、作業部会を設置して、そこに議論をしてもらうことができるという規定を第2条として設けております。
 続きまして、第3条、議事でございます。こちらは委員の過半数が出席をしなければ開催することができないという趣旨を規定しているものでございます。
 続きまして、第4条でございます。書面による議決とありますけれども、こちら、会議をやむを得ない理由で開くことができないという場合においては、事案の概要を記載した書面、規定は書面と書いてありますけれども、恐らくメールで御連絡することになると思いますが、こちらを委員に送付いたしまして、その意見を徴し、または賛否を問い、その結果をもって審議会の議決とすることができるという規定を設けてございます。ただ、この規定によって書面による議決をした場合には、次の会議において主査から御報告をいただくという規定を第2項として定めているものでございます。
 続いて、第5条でございます。会議の公開でございます。こちらは、人材委員会は国の審議会の下部組織というところで設置されている会議でございますので、基本的に会議及び資料は公開ということにさせていただいてございます。ただし、第5条の1から3項にありますとおり、例えば人事に係る案件、あるいは行政処分に係る案件、あるいはその他、個別利害に直結する事項、あるいは審議の円滑な実施に影響が生じるものとして、委員会等において非公開とすることが適当とされる場合には非公開とすることができるという規定も設けてございます。
 続きまして、第6条、議事録の公表でございます。こちらは、当該委員会の委員にお諮りした上で、議事録については公表するという規定を設けてございます。ただし、先ほどの第5条で非公開とされた場合の議事録につきましては、当該事項の議事録を非公表とすることができるという規定を第2項に設けているものでございます。
 また、第7条、Web会議システムを利用した会議への出席という規定でございます。こちらは実は第10期にはなかった規定で、今回新たに新設をしてお諮りをする規定でございます。まさに今回もこうした形でウェブ会議にて開催をさせていただいておりますが、そうした場合のルールといいますか、規定をこの運営規則に新たに設けたものでございます。
 第1項、第2項につきましては、ウェブ会議を使えば、出席をしているというように認めることができるという規定を設けているものでございます。
 第3項につきましては、例えばよくあることでありますけれども、通信の不具合等で一時的に音声のやり取りができなくなったという場合では、その間については、やはり会議に参加しているというような状況と言えないということを鑑みまして、当該会議を退席しているものとみなすという規定を第3項に設けております。
 また、第4項でございますけれども、先ほどの第5条で非公開にすることが適当とされた場合は、やはり多くの方が会議を傍聴することができないということがございますので、委員の御覧いただいている通信環境の先でも、主査が認めた場合を除いては、本人以外の方に当該ウェブ会議の画像及び音声は視聴させてはいけないという規定も設けさせていただいております。
 最後に第8条として、雑則として、この規則に定めるもののほかにつきましては、その都度この委員会でお諮りをして決めていくというところをこの第8条で設けているというものでございます。
 続きまして、資料1-3、こちら、公開の手続ということで、少し事務的なことにはなってしまいますけれども、例えば会議の原則1週間前には、会議の開催する旨を文科省のホームページで公開するということや、また、一般傍聴者あるいは報道関係傍聴者につきましては、前日の17時までに事務局に登録をするとともに、もし一般傍聴者が多い場合は抽選を行うことも検討するということを規定しております。
 また、会議の撮影、録画、録音につきましては、原則として撮影することができるというような規定を設けております。ただ、その場合には、会議の進行の妨げにならないようにする、あるいは、いわゆる頭撮り、会議の冒頭のみの撮影とするというような規定を設けております。
 また、傍聴者が会議の進行を妨げる場合には、主査の判断で退席を求めることができるというような規定も設けているところでございます。
 駆け足になってしまいましたが、事務局からは以上でございます。
【宮浦主査】  ありがとうございます。ただいま事務局から御説明ありましたとおり、運営規則並びに公開の手続を定める件でございます。よろしいでしょうか。
 それでは、案のとおり、運営規則並びに公開の手続について制定させていただきます。
 では、これより会議を公開とさせていただきます。報道関係者並びに一般傍聴者の方の入場を許可いたします。
 これより会議は公開となります。改めて、私は、科学技術・学術審議会の濵口会長から第11期人材委員会における主査を拝命いたしました、宮浦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、ここで主査の宮浦より簡単に御挨拶をさせていただければと思います。人材委員会は、我が国の科学技術に関わる人材育成にとって非常に根本となる議題を議論させていただいているところでございます。今回は、10期に続きまして多数の委員の先生方並びに11期から新たに入っていただいた委員の先生方とまた1段2段進んだ議論を進めていけることを楽しみにしております。
 特に、後ほど話題に出ますけれども、博士後期課程の学生への支援体制とか若手研究者、ポスドクの活躍推進、また、女性研究者の増加と活躍推進に向けて、諸外国に比べてまだまだ数値目標を達成できていない部分等ございますので、本委員会で活発な議論をお願いできればと思っているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 引き続きまして、主査代理に御就任いただきました宮田委員から一言御挨拶をお願いいたします。
【宮田主査代理】  主査代理を拝命いたしました株式会社宮田総研の宮田と申します。人材委員会も長きにわたって参加させていただいています。しかし、人材こそが我が国の成長を決めるものだと思っておりますので、今後新たなメンバーと今までのメンバーと合わせて議論を進めさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【宮浦主査】  ありがとうございます。それでは続きまして、本日、第11期最初の人材委員会でございますので、事務局を代表いたしまして、梶原審議官より御挨拶をお願いいたします。
【梶原大臣官房審議官】  繰り返しになりますが、文部科学省大臣官房審議官の梶原です。第11期の科学技術・学術審議会人材委員会の開催に当たりまして、事務局を代表して一言御挨拶させていただきます。
 急激な少子高齢化やグローバル化の進展、そして、皆様かなり懸念されていると思いますが、COVID-19の感染拡大などで産業や社会構造がかなり変革していく、そこへ進んでいく中で、新たな知の創造や革新的技術による社会課題の解決や新産業創出など科学技術が担う役割はますます大きくなっております。
 そのような状況において、科学技術の力によって先進的かつサステーナブルに挑戦を続けていく社会を構築していくためには、科学技術イノベーションを担う人材の育成は極めて重要と考えております。皆様御存じのとおり、昨年の1月には総合科学技術・イノベーション会議で決定された研究力強化・若手研究者支援総合パッケージや、今年3月に閣議決定された第6期科学技術・イノベーション基本計画においても、若手研究者のポストの確保、そして、博士後期課程学生の処遇向上など人材育成に関する取組が盛り込まれております。
 これらの動きを踏まえて、この第11期の人材委員会においては、第6期科学技術・イノベーション基本計画を踏まえて、国や大学などが中長期的に取り組むべき人材の育成や活躍促進の方策の方向性などについて幅広く御議論いただければと考えております。宮浦主査をはじめ、このたび委員に御就任または御再任された皆様におかれましては、我が国の科学技術・学術を担う優秀な人材の育成・確保のためにお力添えいただけますようよろしくお願いいたします。
 以上です。ありがとうございました。
【宮浦主査】  ありがとうございました。それでは、議題2に進ませていただきます。議題2といたしまして、科学技術・学術分野における人材の育成・確保を巡る現状と課題について御報告いただきたいと思います。それでは、事務局から20分以内で御説明をお願いします。
【根津人材政策課長補佐】  事務局でございます。資料2を御覧いただければと思います。表紙に「科学技術・学術分野における人材の育成・確保をめぐる現状と課題」と書いてあります資料でございます。
 まず1ページ目、博士後期課程学生に関する現状・課題でございます。
 おめくりいただいて2ページ目でございます。こちら、修士課程修了者の進学者数及び進学率の推移を表したグラフでございます。御覧いただけるとお分かりのとおり、2000年には約9,300人、進学率16.7%であったものが、2020年では進学者が大体7,000人弱、また、進学率でいうと9.4%というようにかなりの勢いで減ってきているという状況が見てとれます。
 また、3ページ目でございます。こちらは博士号取得者の国際比較の図でございます。主要国において、日本がやはり人口100万人当たりの博士号取得者の数がかなり少ないということと、あと、日本だけ減少傾向が続いているように見てとれるという状況が3ページ目からお分かりいただけるかと思います。
 続いて4ページ目でございます。では、なぜ博士後期課程へ進学することをしないのかというところを明らかにするために、こちら、博士に進学しなかった修士卒業者にアンケートを取った結果でございます。やはり博士に進学しなかった理由としては、一番上に、経済的に自立をしたいとか、特にあと、赤枠で囲っておりますとおり、博士課程に進学すると修了後の就職が心配であるという点、あと、博士課程に進学すると生活の経済的見通しが立たないというように回答していた方が上位に来ているということから、経済的な不安とキャリアパスへの不安というところが博士課程への進学を阻害する要因ではないかということが見てとれると思います。
 また、5ページ目でございます。現状、経済的支援はどれぐらいされているのかというのを表した円グラフでございます。文科省が行った調査によりますと、回答数4万1,000人のうち、大体生活費相当額として180万円以上と書いてありますが、180万円以上の支援を受けている者は全体の約1割というところがデータから見てとれます。
 おめくりいただいて6ページ目でございます。また、キャリアパスに関するデータでございますけれども、こちら、修士課程と博士後期課程修了者の就職率の推移を表したグラフでございます。緑色が修士、青色が博士となってございますけれども、修士が若干増えておりつつ、かつ80%後半で推移しておりますが、博士課程は70%台前半で推移をしていて、ほぼ横ばい、停滞しているという状況が見てとれます。
 また、7ページ目でございます。博士人材の産業界への就職等の現状ということで、こちらのグラフは、企業の研究者に占める博士号取得者の割合であります。日本が4.4%ということで非常に低いというところが見てとれます。また、別の調査ではありますけれども、博士後期課程の理工系修了後の進路としての産業界の割合は約3割ということも分かってきております。こうしたことから、やはり博士人材のキャリアパスの多様化、産業界を中心として多様化していくことが重要であろうということが考えられると思います。
 続きまして、8ページ目でございます。そういったことを受けて、政府としましても博士への経済的な支援を非常に強化してきているという現状がございます。こちら、令和3年度の状況ということで、博士後期課程在籍者が大体7万5,000人ぐらい令和2年度でいるのですが、そのうち、修士課程から進学してくる方が大体推計で3万人程度、社会人学生と留学生が4万5,000人程度と推計されております。
 修士課程の進学者3万人のうち約半分の1万5,000人、こちらにつきまして、先ほど申し上げたとおり、大体10%は既に180万円以上の支援を受けているということで、大体7,500人ぐらいは既に支援を受けているだろうと。これが緑色の部分でございます。その下の赤い点線の部分、残りの約7,500人について、令和2年度の第3次補正あるいは令和3年度の当初予算を使いまして、合計約7,800人程度に新たに支援をできるような施策を令和3年度から開始をしていくという状況でございます。約1,000人の大学フェローシップ事業につきましては、前回の第10期の会議でも御紹介をした上で御意見を様々いただいた事業でございますが、残りの6,800人につきましては、別の議題でまた改めて御説明させていただきますけれども、今年度新たにスタートするスキームという状況になっております。
 9ページ目でございます。また、政府における様々な政策の方針をまとめた文書につきましても、博士支援に関する記述が記載されてございます。例えば令和2年1月に決定されました研究力強化・若手研究者支援総合パッケージがございますけれども、その中では、そちらの資料の上の段にありますとおり、多様な財源を活用し、将来、希望する博士後期課程学生が生活費相当額等を受給できるよう、当面、修士課程からの進学者の約5割、つまり、人数でいうと1万5,000人ぐらいを支援していこうということが書かれております。
 さらにその下の令和3年3月に決定されました第6期科学技術・イノベーション基本計画につきましては、下の濃い太字で書いてある主要な数値目標というところで、2025年度までに生活費相当額を受給する博士後期課程学生を従来の3倍、修士課程からの進学者数の約7割に相当する人数を支援していこうということが書かれております。こちらは人数にしますと約2万2,000人ということで、さらに1万5,000人を上乗せしていこうという目標が記載されているという状況でございます。
 以上が博士後期課程を巡る現状・課題でございまして、次、10ページ目からは、ポストドクター等の若手研究者を巡る現状・課題について御紹介をさせていただきます。
 おめくりいただきまして、11ページ目でございます。ポストドクター等の人数推移等につきましては、前期の第10期でも事務局のほうから調査結果を御報告いたしましたが、定期的に文科省が各大学や研究機関に調査をして人数や年齢等を調査しております。こちらの資料はその結果をまとめた資料でございます。
 例えばポストドクターの延べ人数でございますが、2018年度の実績ですと1万5,591人という人数になっております。下の細かい棒グラフを見ていただくとお分かりのとおり、一番多かった人数が大体1万7,000人から1万8,000人ぐらいだったのですが、それに比べるとやや減少してきているという状況が見てとれます。また、平均年齢、こちらは37.5歳となっておりまして、年齢は上昇傾向にあります。
 また、男女比につきましては、下の棒グラフでいうと、青い部分が男性、少しオレンジのような部分が女性になるのですけれども、こちら、最新の数値は29.8%ということで、徐々に女性が増えてきているという状況であります。また、下の横になっている棒グラフ、これは同じ色で紛らわしくて申し訳ないのですが、こちらは外国人の方の状況を調べた数字でございます。外国籍の方が、最新の数値だと約3割ということで、人数も割合も増加してきているという状況、つまり、女性も増えてきていて、外国籍を持っていらっしゃる方も増えてきているというふうな状況がお分かりいただけるかと思います。
 続きまして、12ページ目でございます。同じ調査の中で、ポスドクの雇用に関する状況ということで、任期の長さについても調査をしております。そちらの結果をまとめたのが12ページ目の円い円グラフ2つでございます。まず左側の任期の長さにつきましては、これは現在実際にポスドクと研究機関が結んでいる任期の長さを純粋に聞いておりまして、その調査によりますと、やはり3年未満というポスドクが全体の67%ぐらいを占めているという状況でございます。一方で、普通、ポスドクの方というのは任期を何回か繰り返すというところがございますので、現在の任期だけではなくて契約可能な最長期間についても併せてお伺いしたところ、こちらについては5年以上契約が可能であるという回答が46%ぐらいを占めるというような状況になっております。
 また、13ページ目でございます。こちらはポスドクのキャリアパスの状況も併せて調査をしております。2018年度から見て次年度の2019年4月にポスドクを継続しているか、あるいはほかの職に就いているかというところを調査したところ、引き続きポスドクを継続しているという方が7割強いらっしゃる一方で、大学教員や民間企業等その他の研究開発職に職種変更しますという方が大体13%いるというような状況になっております。下の棒グラフは、上が2018年度、下が2015年度となっておりまして、それを同じような数字で比較をしてみますと、職種を変更する割合が若干減っているという状況が見てとれます。
 おめくりいただきまして、14ページ目でございます。こちらは前回の第10期の人材委員会におきましてポストドクター等の雇用や育成に関してガイドラインをおまとめいただいた、そのポイントをまとめた資料でございます。本体につきましては、参考資料7で全体版をお配りしてございます。
 その内容としましては、先ほど申し上げたようなポスドクの状況を鑑みまして、やはり雇用受入環境等に関する事項として、まず適切な待遇を確保することが必要だろうということで、例えば任期をある程度確保するとか、あるいは適正な水準の給与をきちんと確保する必要があるということを盛り込んでおります。また、博士学生のRAについても、適切な単価として具体的に2,000~2,500円というような時間給の支給についても記載をいただいたところでございます。
 また、第2章としましては、やはりポスドクは研究をしていくということでございますので、研究環境に関する事項として、例えば大学あるいは研究機関が持っている機器利用をポスドクもきちんとできるようにしていくべきであるとか、あるいはPIが、PIは研究主催者のことでありますが、ポスドクをきちんとレビューやメンターみたいなことをして支援していくという重要性についても盛り込んでいただいております。
 また、第3章、キャリア開発の支援についても、やはりポスドクを雇用する大学なり研究機関でやっていっていただきたいということで、トランスファラブルスキルというように言われますけれども、研究者としてのほかに行っても汎用的に通用するようなスキル・能力をきちんと身につけていただくような取組を促していくということ、あるいは計画的なキャリア支援ということで、2か所程度までポスドクをすることと、あと、3年から7年程度で次のステップに進めるような環境を整えることが必要ではないかということを盛り込んでいただいております。
 第4章として、そういった取組を大学や研究機関の組織的な取組として実施していただくということを盛り込んでいるところでございます。
 以上がポスドクに関する内容でございますが、続きまして、15ページ目でございます。こちら、研究大学と資料には書いておりますけれども、15ページ目の下に※で書いてあるような大学18大学につきまして、教員の状況も調査をしておりますので、それをまとめたものでございます。
 こちらの18大学の教員数につきましては500人程度増加をしているという結果でございましたが、若手研究者が1,300人ぐらい減っているという一方で、中堅・シニアが増えているという状況、また、任期つきの教員の割合が全ての年齢区分で増えているというところが主な結果でございました。
 続きまして、16ページ目でございます。また、任期の長さ、契約可能な最長期間についても併せてお伺いをしておりますところ、任期つきの教員の任期の長さを見ると、5年以上6年未満というところと、1年というところにボリュームゾーンが来ておりました。また、契約可能な最長期間につきましては、10年以上の割合が最も高かったというところ、また、5年以上の割合が8割を占めているというところも見てとれます。
 また、17ページ目でございます。こちらは全ての大学の若手教員の割合でございます。やはり低下傾向が続いておりまして、最新の数値によりますと23.5%となっている状況でございます。
 18ページ目でございます。こちら、若手研究者に関する政府の方針ということで抜粋を掲げてございます。先ほど申し上げました若手研究者総合パッケージ、令和2年1月の計画でございますが、こちらの中では、40歳未満の教員の割合が3割以上であることを目指しつつ、40歳未満の大学本務教員を約1割増やしていくというようなところでございます。また、産業界による採用者を1,000人増やしていくというようなところが盛り込まれております。
 また、第6期科学技術・イノベーション基本計画におきましても、同様に40歳未満の教員の割合を増やしていくというところや、将来的に40歳未満の教員の割合を3割以上にするところでございます。また、研究大学において、35歳から39歳の大学本務教員数に占めるテニュア教員あるいはテニュアトラックの教員の割合を、この5年の期間中に2019年の割合の1割を増やしていこうというところも盛り込まれてございます。テニュアトラック制の制度活用といったところが本文にも取組として盛り込まれているところでございます。
 続きまして、19ページでございます。女性研究者を巡る現状・課題でございます。20ページ目は、女性研究者の推移でございます。こちらはアカデミア、民間含めて全ての女性研究者の数・割合でございます。こちらは数も割合も増えていっているという状況が見てとれますけれども、21ページ目の国際比較で見ると、やはり諸外国に比べて非常に少ないという状況が見てとれます。
 また、22ページ目、23ページ目でございますが、こちらは大学の教員の割合の状況でございます。こちらにつきましては、青い数字が平成20年度、赤い数字が平成30年度でございますが、増加傾向にはあるものの、やはりまだ目標値には達していないというところでございます。また、23ページに御覧いただくとおり、学長・副学長・教授の割合はまだまだ低いというところが見てとれます。
 そういう中で、24ページ目でございます。先ほど申し上げたような科学技術に関する方針の中で、やはり女性の割合を増やしていくという目標も盛り込まれているところでございます。
 25ページ目、URA、エンジニア等を巡る現状・課題でございます。26ページ目はまず、URAの整備状況等について記載をしております。URAにつきましては、やはり研究成果を社会に実装していくという観点から、チームサイエンスの一員として取り組んでいく重要性が非常に認識されていて、人数自体はそこの棒グラフにもあるとおり増えてきているという状況でございますけれども、27ページ目にあるとおり、やはり各機関に聞いてみますと、量・質共に足りていないという認識の機関が約8割存在するということが分かってきております。
 また、28ページ目、29ページ目でございますが、研究を補助する研究補助者あるいは技能者の数につきましては、近年横ばいで推移してきているとともに、国際比較で見てみますと、やはり研究者1人当たりの人数は諸外国に比べると少ないという状況が見てとれます。
 以上がエンジニア等の状況でございます。
【奥野人材政策課長】  続きまして、30ページ、技術士制度でございます。技術士制度につきましては、これ、各国におきましても、広義のエンジニア、技術者につきまして、米国、英国等でプロフェッショナルエンジニア、チャータードエンジニア等の資格体系がございますが、これに相当するものとして昭和30年代から我が国が整備しておるのがこの技術士という資格でございます。
 30ページにありますとおり、この資格に関しましては、科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項について、計画、研究、設計等の業務を行う能力を有する者を国が国家試験により認定し、他の資格と違いまして、業務独占ではなく名称独占という形で技術士を名乗れるようにしております。
 この技術士の資格につきましては、30ページの下にございますとおり、まず基礎的な知識を持った者を一次試験で、もしくは大学等の高等教育課程を経た者を修習技術者といたしまして、一定の実務経験を経た後の者を二次試験で資質能力を確認して技術士にしているところです。この技術士になった方につきましては、30ページの右の上側にありますとおり、これまで主として建設分野の建設コンサルタントのようなお仕事とか公共土木の施工管理等を中心に活躍していただいております。
 ただ、31ページを御覧いただきますと、この技術士の二次試験に合格して技術士の資質・能力を獲得するに至る受験者及び合格者の年齢ピークが徐々に高齢化してきているというのが従前から課題とされておりますところです。このため、現在、技術士制度につきましては、国家試験の実施及び制度については、この審議会の下にございます技術士分科会において検討が進められております。
 主として、技術士につきましては、同様の各国の資格との国際通用性を維持していくとともに、先ほど課題でございました、必要な資質・能力をやはり早い段階で獲得して、より長い期間活躍していただきたいというので、資質・能力の活用をいかに速やかに行うか、また、技術士になった後の技術士の方の資質・能力をいかに維持・向上していくかにつきまして、これまで技術士分科会におきまして、32ページ、33ページにあるような形での議論が行われ、34ページでございますが、今後、技術士制度について、技術士の資質・能力の獲得の過程、さらには、技術士の資質・能力を獲得した後どのようにそれを維持していくか、及びこの資格体系を国際的な水準としての通用性及び国際的な活躍という意味での通用性を確保していくというのが課題になっております。
 この点につきましては、技術士分科会だけの議論ではなく、やはり科学技術政策全般の中で、こういった、主として産業界等で活躍されている、ある意味、技術者の中の最高水準の資格の1つでございますので、人材政策との整合性という観点で1つアジェンダとして今回、制度改正が迫っておりますので提起させていただいたところです。
【小田人材政策課長補佐】  文部科学省人材政策課で課長補佐をしております小田と申します。私のほうからは、35ページ以降の資料に基づきまして、次世代人材育成を巡る現状と課題と題しまして御説明申し上げます。
 資料の36ページを御覧いただければと思います。こちらは、次世代人材育成事業として、初等中等教育段階を中心とした次世代を担う科学技術人材育成を担当する事業の一覧になってございます。横軸が小、中、高校、大学というふうに学校段階を横軸としており、縦軸が裾野とトップ人材ということで、対象とする生徒の特性を示すという見方をしていただければと思っております。
 例えば一番上にございます科学技術コンテストの推進でございますと、中学・高校生を対象に、意欲・能力が高い中高生が競い、研さんする場を提供しているというものでございます。次世代人材育成として、ここにあります合計6つの事業を担当しており、JSTマークがついておりますのがJST事業で、文科省のマークがついておりますのが文科省の直轄事業ということになっております。
 この中でも特に大学の学部生を対象としたサイエンス・インカレという事業がございます。こちらの事業につきましては、大学の学部生による自主研究の成果を発表・顕彰する場を創設するという趣旨で始めたところでございますけれども、こちらは、平成23年、つまり、2011年の事業開始から10年目の節目を迎えましたことを契機に、現在の事業の状況を精査いたしまして、新たな形での学部学生への支援・施策を検討しているところでございます。
 少しその背景につきまして、簡単に説明をさせていただきます。39ページを御覧いただければと思います。サイエンス・インカレの応募者数でございますけれども、第4回大会以降、減少基調にあるというところがございます。青の縦軸が応募者でございますけれども、第4回をピークにだんだん減ってきているというところがございます。資料には出てはございませんけれども、また、応募者の所属大学も偏在・固定化しておりまして、裾野が広がっていない状況も見られるというところでございます。
 こうした状況を受け、発表機会の充実により応募学生の数が減少したのではないかという仮説を持っており、この課題につきまして大学や学会関係者、学部学生等のヒアリングをさせていただきました。そうしたところ、40ページにございますとおり、学部学生による発表機会が学会等によって充足されたことによりまして、優秀な学部学生は研究発表の場を学会に絞る傾向が高まっている可能性あること、それから、知的財産の取得や起業を目指す学部学生にとっては公の場で研究発表を行うモメンタムが乏しいのではないかということで、こうしたことから、優秀な学生に対しての研究発表の場を提供するというサイエンス・インカレの当初の目標は既に達成していると今、評価してございます。
 それで、42ページにございますとおり、こうしたことを鑑み、現在の研究発表の場を提供する形で実施してきたサイエンス・インカレという形での実施につきましては第10回を区切りに最後といたしまして、ただ一方で、小中高大の一貫した人材育成が引き続き大事だと考えておりますので、今後は大学関係者などの意見も聞きつつ、別の形での支援策について検討を進めることとしております。このスキームにつきましてまた御審議いただくことになるかと思いますけれども、ここで提案させていただきたく、この場で御説明をさせていただきました。
 以上でございます。
【宮浦主査】  御説明ありがとうございました。人材育成に係る現状と課題についてでございます。今の御説明に関連いたしまして、これから30分程度意見交換を行いたいと思います。御質問、御意見がある委員の方は、挙手機能を使っていただきまして手を挙げていただき、指名を受けましたら、御発言をお願いいたします。本日は初回ということもございますので、委員の皆様、ぜひ少なくとも1回は御発言いただくように、もちろん何回でも結構なのですけれども、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 村上委員、挙がっていますか。お願いします。
【村上委員】  2つ質問があります。まず1点目ですが、国際共同研究をするとか、国際的なネットワークを持つというのは非常に重要なことだと思っています。それで、そのために若手が海外で研究をできる機会を与えられるということは非常に重要だと感じているのですけれども、今日はその点に関する資料はなかったので、例えば若手で海外留学を経験している人たちが増えているとか減っているとか、あるいは政府のファイナンシャルサポートを持っている人はそのうちどのぐらいいるかとか、あとは若手の国際共同研究をどのぐらい支援したかとか、何かそういうデータはないのでしょうかということです。それで、その現状が、最近増えているとか、横ばいとか、減っているとか、その点はどうなっているのでしょうかということが1つ質問です。
 それから、もう一点は、最初のほうで、博士後期課程学生で修士課程からの進学者1万5,000人のうちの半分を御支援するという計画をお持ちだということなのですけれども、これに関して何か学部とか分野とかそういうもので重点的に配分するという御計画なのか、あるいは分野の人数に応じて配分するという御計画なのか、その点について御質問させてください。
【宮浦主査】  ありがとうございました。本日は国際共同研究等の国際連携の話題が資料にはなかったのですけれども、非常に重要な点でありますので、事務局から何かコメントございますか。
【根津人材政策課長補佐】  事務局でございます。まず村上委員から御指摘いただいた点につきましては、非常に重要な点と認識してございます。申し訳ございません、今日資料には盛り込んでいなかったのですが、おっしゃったようなデータは文科省の中に幾つかデータがあると思いますので、もしよろしければ、次回の人材委員会なり、あとは、事後にメールにはなると思いますけれども、委員の皆様にお送りするような形のどちらかで対応するように検討したいと思います。
【宮浦主査】  あと、博士課程の支援につきましては、後ほど博士課程の支援のみについて議論をさせていただきますので、そこでもう一度やらせていただければと思います。それ、よろしいでしょうか。
【村上委員】  ありがとうございます。
【宮浦主査】  それでは、手がいっぱい挙がっておりますので、順次お願いしていきたいと思います。狩野委員。
【狩野委員】  よろしいですか。ありがとうございます。狩野でございます。今日は非常に包括的な御説明ありがとうございました。
 コメントなのですが、まず科学の活動の中の何の魅力を感じる人たちをこの領域に引き込みたいのかということについて考察をするのがよろしいかと思っております。科学の活動を私なりに分解すると、「新しい考え」を、「その考えがふさわしい理由」と共に提示する仕事かなと思っております。
 「新しい考え」のほうというのは、違いをもたらすものであって、あるいは国際的魅力もこういうところから来るのだと思いますし、あるいは冒険的要素があるのだと思います。ここが好きな人が、本当は科学の世界に来てくれたらよいだろうという気はするのです。他方、それとともにある「論理的にふさわしい理由」のほうは、こちらは若干、ほかの人と同じじゃないと納得してもらえないし、専門というものも入ってくるし、どちらかというと保守的な要素になるのかなと思っております。こちらの要素が強調されすぎることによって、学生さんがもしかして院の魅力を考えるときに感じておられないかなということを少し懸念しております。
 もし前半の「新しい考え」というほうを強調すると、大学に入ってからよりも、もうちょっと前の中学高校などから、「新しい考え」の面に、魅力を感じてもらうような取組も必要かなと思っております。この意味でいうと、最後に出てきました、科学の方法に親しんだりとか、楽しく感じられたりする取組の設計が、より関係人材の裾野を広げるためには必要かなと思います。これはサイエンス・インカレから変わる後では大事なことではないかと1つ思っております。
 加えまして、院の魅力は何なのかというときに、行けない要素としての経済的理由がたくさん挙がっていましたけれども、経済的理由が解決すれば行く人が増えるのかというと、やっぱりさらに「行きたい気持ち」がしなければ行かないのかなと思っております。どういうことで行きたい気持ちにしてもらうのか、なってもらうのかということのつくり込みがきっと大事だろうと思います。そのときに、ほかの分野と違うところは何か。「理由をつける」ところはほかの分野でもするかもしれません。けれども、「アイデア」がほかの人と違う、それから、だからこそ冒険的であると、この要素が非常に重要なところが大きいかなと思っております。ここをうまくつくり込むような制度あるいは仕組みがこの会議を通じてつくれたらいいなと思っております。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。次世代育成の点につきましてはおっしゃるとおりでございまして、大学に向けて高校生、大学院に向けて大学学部生がモチベーションを持って取組に向けて動けるかというそのアクションの問題が非常に重要で、その辺りは資料にも出ておりましたけれども、今後も継続的に議論いただきたいと思っているところでございます。
 あとは、もう一点は、後ほど博士の支援のところでも話題に出したいと思っていたところでございます。経済的支援だけで進学するかというまさにそこの部分であり、挑戦的な融合分野などに興味を持っている学生がドクターを目指すというような環境整備ということを経済的支援と同時に議論していくことが重要ではないかと思っているところでございます。後ほどまたその点についても御議論いただきたいと思います。よろしいでしょうか。狩野先生、よろしいですか、それで。
【狩野委員】  ありがとうございました。すみません、もう一回声上げるのは申し訳ないかと思ってお辞儀だけしていました。失礼しました。
【宮浦主査】  ありがとうございます。それではあと、迫田委員、お願いいたします。
【迫田委員】  それでは、社会との接続につきまして質問させていただきたいと思います。例えば日立製作所単体でいっても、ドクターを毎年40人から50人採用しております。今、COVID-19とかいろいろありますけれども、優秀な人材は常に不足しておりまして、例えば一律に大学院といっても、リーディング大学院の卒業生は引っ張りだこで、なかなか振り向いてもらえない形です。またデータサイエンティストに関しては、ポスドクを産業界に送り出すサーキュラーエコノミー推進機構(CEO)についても、手を挙げていただくのに苦労しているような状況なので、一律に産業界が採らないと言われると非常に違和感があるところであります。
 今説明を伺っていてやっぱり気になりましたのは、産業界を希望していて就職できないという方々がどれぐらいあるのかという点です。専門分野のアンマッチであるとか、あるいは大学のポストがないために就職を考えざるを得ないとか、どちらかというとそのような理由ではなかろうかと全体のデータを見ていると感じたのですが、産業界を希望して行けないという実態があるのかどうか、その辺何かデータがあれば教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【宮浦主査】  今の点、非常に重要なところでございます。事務局からコメントいただきます。
【三輪人材政策推進室長】  人材政策推進室の三輪でございます。御指摘ありがとうございます。今日の資料には入っておりませんで、もし後で定量的なデータ等が出せるようでありましたら用意したいと思います。ある意味御指摘のとおりでございまして、客観的事実として、博士号保有者の民間企業への就職というのがあまりうねりにはなっていないというのがあるのですが、その原因をいろいろな事業を通じて分析しますと、1つには、率直に申し上げて、博士号保有者が基本的にはアカデミアのほうを志向しているという側面が少なくとも存在するというのはございます。そういったところも1つの要因となって今の状況があるというのは御指摘のとおりでして、決して民間企業が全然採らないという一辺倒な話ではないという問題意識は御指摘のとおりですので、そこも含めていろいろな施策を組んでいく必要があると認識しております。
 以上です。
【迫田委員】  ありがとうございました。
【宮浦主査】  今の御議論は非常に重要なところで、委員からおっしゃっていただいたリーディング大学院の卒業生は引っ張りだこだという部分ですね。人数的には日本全体の大学院卒業生に占める割合はまだまだですけれども、そのポピュレーションを今後広めて、人数を大きくしていくということが、産業界で活躍いただくためには人数のマスを増やすというのが、リーディング大学院を修了した学生を、いっぱい出すということが重要かと思っているところです。ありがとうございました。
 次は、小林委員、お願いいたします。
【小林委員】  幾つかあるのですが、博士の支援のことは後でまた申し上げたいと思いますが、あと2つ細かい話なのですが、まずリサーチ・アドミニストレーターについてです。これは高橋先生に聞くのがいいのかもしれませんが、たしか昨年度までに資格だったか資格認定の何か制度だったかをつくるということになっていたと思うのですが、そのほうはどうなっているのでしょうかというのが1つの質問です。
 もう一つは、技術士の問題を今回取り上げていただいたのは、とてもいいのではないかと思いました。私も20年ぐらい前、JABEEが出来た当時に技術士制度をどうするかを検討するために技術士会等の議論に参加したことがあるのです。一方最近は、日本でもアメリカのPE制度の試験の受験は可能であるなど、いろいろな環境変化がある中で、見直す時期に来ているのかなという気もします。今後議論していただくといいのではないかと思いました。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。技術士関連ですね。
【小林委員】  技術士は、議論をしていただければということなのですが、質問はむしろURAについて。
【高橋委員】  私が知っている範囲で情報提供させていただいたほうがいいですか。
【宮浦主査】  ありがとうございます。お願いいたします。
【高橋委員】  では、全てを包括的にということではないかもしれないですけれども、補足を事務局のほうから後でしていただくことを前提に。この3月までの2年間、委託事業でURAに関する質保証を目指した認定制度の構築を進めていました。それはかなり充実したものが出来上がり、本年度新たにそれを本格実施するための別途事業が立ち上がる予定になっているというところです。
 これまでの約15年の技術移転人材やコーディネート人材等、科学技術基本計画の中でも各種の専門人材が大学事務と大学研究者以外に第3の職種として必要と言われ、第3の専門人材層もそれなりに蓄積されてきています。今回、それらの団体が初めてこの2年間の準備期間の中で一緒になってつくってきたというのは非常に重要な点かなと思っています。なので、まず、直接的には認定制度のコンテンツが出来ましたのが1つ。
 恐らく小林先生のスコープで見ると、それを今後どうやってきちんと定着、実施させていくかというところが非常に大きな課題だと認識していらっしゃると思うので、そこについて申し上げますと、例えば今の人材委員会のような、きちんと政策がお分かりで、そこに視点を持っていらっしゃる方たちであれば、こういう、マイノリティーだけれども重要だねと言われたたかだか1.000人程度の人材が制度として定着していく重要性はお分かりだと思います。一方、このような制度を利用する側、大学の執行部等が世代交代をしていく中でそれを理解しているかというのは、そこは正直クエスチョンな部分もあります。それをこういう委員会等で議論し、重要なステークホルダーに伝えていくというのが今後の大きな課題かなと思っております。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。貴重な情報を提供していただきまして、ありがとうございました。第3の職種、よく議論になりますけれども、いろいろな形で研究者、学生でもなく教員でもないという人材、第3の人材、URA含めまして、いかに我が国で定着して活躍いただくか、また、任期がないような形で不安定な状況を回避できるか、いろいろその辺りも今後議論していければと思います。ありがとうございました。
 それでは、隅田委員、お願いします。
【隅田委員】  よろしくお願いします。3点質問と1つコメントがあります。
 1点目は、スライド4枚目の進学阻害要因です。博士進学のコストに対して生涯賃金などのパフォーマンスが悪いと。これ、事実はどうなのかというデータがあればということと、全体を通して、こういう項目はジェンダーバイアスのような視点からも分析ができるのではないかと思いまして、もしそういうものがあればというのが1つ目です。
 2点目は、スライド11枚目で、外国籍の者が増加しているということで、増加しているのですけれども、出身国に変化があるのかどうかというのを知りたいというのが2点目です。
 3点目は、スライド20枚目で、女性研究者数がかなり増えているということなのですが、博士人材での女性の割合と比較したらどうなのかと。それを比較すれば、どういう層にインパクトがあって女性教員が増えているのかが分かるのではないかというのが3点目です。
 コメントは、若手を増やすといった場合に、ある特定のところでだけ急に増やすと、ずっと若手で居続けることはできないので、5年、10年たっていくと若手ではなくなりますよね。そういうことを考えると、どう分散させていくかという、多様なパスを同じぐらい重点を置いて議論しなければいけないと思いました。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。幾つか御指摘いただきました。事務局からまずコメントお願いします。
【根津人材政策課長補佐】  事務局でございます。まず1点目の、博士を出た後の、本当に損をするというか、そういう事実関係はあるのかというところなのですけれども、やはり文科省でもそこら辺を詳細にまだデータを集め切れていないところがございます。実は文科省の中に科学技術・学術政策研究所という研究所がありまして、博士の人材をコホート調査するという調査をまさに今実施しているところでございます。そういった調査も追いながら、今御指摘いただいたようなデータを集めつつ、本当にそうなのかどうか。もしかしたらそうではないかもしれないですし、あと、業種とか分野によっても全然状況が違うということも考えられますので、その辺りまた分析できたら、ぜひまた人材委員会でも御紹介ができればと思っております。
 また、御指摘の出身国につきましては、すみません、今、詳細なバックデータが手元にないのですけれども、たしかやはり傾向としましては、やはり近隣のアジアの国々の方々がいらっしゃるというふうな傾向は続いていたと思うのですが、若干多い、少ないに変動はあったと思いますので、その辺りも後でデータをお送りできれば、調べてお送りしたいと思います。
 また、女性の博士の割合につきましては、御指摘のとおり、実はデータは載せていないのですけれども、教員とかに比べるとやはり高い割合、博士、女性は進んでいるというような状況がございますが、職位が上に上がるにつれどんどん減っていってしまっているという状況がありますので、その辺りはやはりいろいろな要因が、例えば出産・子育てとか、もしくはもっと別の要因とかいろいろあると思いますけれども、その辺りもいつかの機会に分析を御紹介できたら御紹介できればと思っております。
 以上でございます。
【宮浦主査】  コメントありがとうございます。ドクター後のフォローアップ調査も大変な調査なのですけれども、今後この委員会でも順次情報提供いただきながら議論していければと思っております。
 また、女性研究者の問題は、基本的には博士後期課程のドクターの女子学生の比率とほぼ同じ比率でその分野に女性の教員がいるということを目指しているわけですけれども、その数値がまだなかなか、特に理工系は伸びが十分ではないという理解になろうかと思います。
 よろしいでしょうか。
【隅田委員】  ありがとうございました。
【宮浦主査】  それでは次、勝委員、お願いいたします。
【勝委員】  御説明大変ありがとうございました。PDFの資料の通番の3ページに修士課程の進学率・進学者数とあるわけですけれども、この次のページに国別の博士号取得者の国際比較があります。これ、たしか前どこかの部会で見たのですけれども、イギリス等がかなり大きく上昇しているというのは、社会科学系、人文系の伸びが非常に大きかったという記憶があります。やはりこの委員会は、もちろん人文系、社会科学系も入るわけですけれども、科学技術・学術という部分での人材育成というところからすると、分野別のデータもあるとより分かりやすいのではないかなと思いました。
 また、優秀な研究者を育成するには若手研究者の裾野を広げるということが一番重要であるということを考えると、経済的支援、例えば去年だとフェローシップ創設事業とか、あるいは様々な生活費まで支援するというようなこともあるわけですが、ただ、やはりキャリアパス、ポジションというのが一番大きな要因なのではないかと思うわけです。
 その中で1点質問させていただきたいのは、研究大学の雇用の教員の任期と年齢別職員構成というところで、これ、16/43のところにあるのですけれども、518人、18大学で総教員数が増えたということですが、これはもちろん任期つきも含まれていると思うのですけれども、これは任期つきと、それから、任期なしでどういう割合だったのか。逆に言えば、やはり国立大学、これは指定国立大学等が出来て、かなり規制緩和的な中で学費を上げたり等自由度が増しているので、やはり国立大学等の責務としては、任期なしのポジションをどのように構築していくかということが非常に重要になるのではないかなと思います。この辺の政策、これは大学といいますか教育の部署との連携ということにもなると思うのですが、その辺はやはり考えていく必要があるのではないかなと思います。
 先ほども御指摘がありましたけれども、企業の研究者が確かにかなり諸外国に比べて低いというのがあって少しびっくりしたのですが、ただおっしゃるように、前どこかで見たデータですと、やはり大学、アカデミアへの志向が非常に強いということを考えますと、企業での博士人材の数を増やしていくということになると、リーディング大学院とか、あるいは卓越大学院とか、今プログラム自体が企業との連携もしていますし、あるいは先ほど国際化の話も出ましたけれども、国際的な人の流動というものを考えた場合にもそういったプログラムが非常に重要になると思うので、その辺は研究、それから、教育、一体となって今後考えていくべきかなと思いました。
 以上でございます。
【宮浦主査】  勝委員、ありがとうございます。いろいろ問題提起をいただきました。教員の任期の問題は常に議論しておりますが、以前に比べて任期つき教員の年齢層が上がってきているという問題がございますし、若手教員が5年、8年たつと若手ではなくなるという部分とか、あるいは大学の財政が厳しい中で、任期のない教員のポストをどれぐらい増やせるかという問題もあると思いますので、その辺りの課題を総合的に議論していきたいと思っているところでございます。
 また、企業でドクターが少ないと言われ続けているのですけれども、それは先ほど御指摘ございましたように、リーディング大学院や卓越大学院のようなプログラムで力を入れている学生は非常に企業に入っているのですけれども、マスでいうとまだまだ少ないと。そういう学生をもっと育成していく必要性ということがあろうかと思います。
 よろしいですかね。
【勝委員】  あと、518人というのは、これはどれぐらいの割合なのでしょう、任期なしと任期つきでは。
【根津人材政策課長補佐】  申し上げます。518人全体で増加しておりますけれども、うち、任期なしの教員はむしろ減っておりまして、897人減となっております。任期つきの教員が624人プラステニュアトラックの教員が791人増えておりまして、それで全体で518人増えているという状況でございます。
【勝委員】  分かりました。減っているということですね、任期なしのほうは。
【根津人材政策課長補佐】  任期なしは減っておりますが、テニュアトラックの教員が非常に増えてきている状況です。
【勝委員】  そうですね、トレンドとして。分かりました。ありがとうございます。
【宮浦主査】  テニュアトラックの教員が評価を経てテニュアになっていきますので、トラックという意味ではいいかな、活用できているかなと思っております。よろしいですかね。
 それでは、手が挙がっております、髙橋修一郎委員、お願いします。
【髙橋委員】  よろしくお願いいたします。博士人材の産業界へ行くのが3割というのを7ページ目の部分で見たのですけれども、先ほど迫田委員もおっしゃっていたとおり、産業界が優秀な博士を求めているという気運は高まっているなというのを実感しております。一点追加でコメントさせていただくと、テック系のベンチャー、スタートアップも非常に、研究人材、博士人材を求めています。ただ、そういう人材を見つけるために、ベンチャーが自主的に動けるようなお金や時間が少なく、人材不足が起きているというのを感じています。
 リーディング大学院や卓越大学院等の取組というものはすばらしい取組であると感じる一方で、例えば卓越研究員制度の応募者を見ますと、産業界側を見ている人材が少ないのは現状でして、大学院教育の体質改善には至っていないと感じております。産業界側から提示されるポストにも課題があるのかもしれませんけれども、やはりスタートアップも含めて産業界側が、もっと大学院教育の、場合によっては学部教育といった上流のところにまで入っていって、産業界で活躍する研究人材のキャリアパスを見せるとか、ロールモデルを見せるとか、そういう取組を具体化していくことが非常に重要だと考えています。
 あと別の観点からもう一点。リアルテックのスタートアップの多くは、地域の大学から出てきております。起業を含め積極的に活動する研究者は、中高生の教育活動にも熱心な方々が実に多いと実感していまして、そういう方々はアントレプレナーシップ教育の実践者としての可能性を期待できると考えています。産学連携とかアントレプレナーというキーワードと、いわゆるアウトリーチというキーワードが、今、非常に重なって来ていると感じております。
 次世代育成という点では、学校現場で博士人材が臨時職員のような形で雇われているみたいな事例はあると聞いたことがございますが、それだけでは博士のキャリアというものも結びついていかない。大学の外で活躍する一歩目として次世代教育にかかわることで、結果として博士人材のキャリアにつながるような取組はこれから重要になってくると考えていまして、1点指摘させていただきました。
 以上になります。
【宮浦主査】  ありがとうございます。御指摘のとおりの部分、特にキャリアパスを若い研究者あるいは博士の学生が一番気にしている部分でありますので、またその点は後ほども御議論いただきたいのですけれども、もう一歩進んで、次世代育成の部分ですね。髙橋委員は産業界として次世代育成に関わられてきておられますので、その辺りの重要性というのを、どうしても目が博士そのものに行ってしまうのですが、学部、また、その前というところにもっと着目していくべきかなと思っているところでございます。
 その辺り、宮田委員も関連した内容ですかね。どうぞ、宮田委員。
【宮田主査代理】  私ももちろん似たような話なのですけれども、もっと根本的にやりたいなと思っています。何期かこの委員会を務めさせていただいて、前の濵口先生の座長の時代から務めさせていただいて、議論がやっぱり堂々巡りして、制度の小手先の改革に終わっているという強い感想を持っているのです。今期、初期ですから、もっと皆さん頭を柔らかくしていただければと思います。
 今までの文科省が提示しているモデルというのは、1つはアカデミアに残るのが幸せだ、もう一つは大企業に就職すれば安泰だという、この2つの価値観で出来ているのですけれども、前々からこの委員会でも議論させてもらいましたけれども、世の中相当変わっているのです。しかも、この委員会に日立の方がいるので失礼で申し訳ありませんが、今の東芝の惨状などを見ますと、日本の大企業モデルというのはあんまりワークしてこなくなったなというように実は思っています。
 むしろアメリカの、さっきテックベンチャーと言いましたけれども、前世代のベンチャーですが、アップルとかいろいろな人たちを見ても、大体大学中退ですよね。大学の博士号を持っていれば成功するかというと必ずしもそうではないので、一番重要なのは、私たちこれから議論するときに、今までの古いモデル、大企業に行けば幸せ、アカデミアに残れば幸せ、これを少し変えなければいけない。そのために調査として、大学の研究者というのは本当に幸せなのか、それから、企業に行った博士号の研究者が幸せなのかという尺度でぜひ何らかの調査をしてほしい。そのために、大学院の博士学生のフォローアップ調査というのは非常に重要だと思います。
 私の、筑波大学の柳沢先生と一緒に定点観察という調査をやっているのですけれども、これはそれぞれの基本政策、科学技術基本政策の定性的な分析になると思うのですけれども、あれを見ると、全部悲観的なのです。全部の教員とかステークスホルダーが悲観的なのですね、科学技術基本計画が新しくどんどん打ち出しても、何か幸せにならないみたいな、効率も悪くなっているというような感想をアンケートでは得るのですけれども、一番重要なのは、それなのに、なぜみんな辞めないのかと。つまり、その調査の中から漏れているような楽しいことを実は文科省も含めて大学が隠しているのではないかと。そうでないと、こんなに大勢の知的なレベルの高い人たちが大学でもごもごしているわけがないと思っているので、さっき狩野先生がおっしゃったことにも通用すると思うのですけれども、大学で学ぶということの意味をもう一度皆さんから、意味とか楽しみというのを議論したいと思っています。
 それから、もう二つあります。1つは、日米の共同声明を読むと、やはりこれから米中の対立というのは激しくなってくるのですね。皆さん大学院生の進学の中のさっき国籍の内訳を出せと言ったのですが、これは非常に重要で、私が知っている中部地方の大きな大学の半導体を製造する、研究するような学科は、中国人の博士課程の人たちがいなくなるとワークできなくなってしまうというような状態になっています。
 ですから、そういうことを考えると、私たちこれから考えなければいけないのは、絶対ポスドクとか博士課程の学生というのは多様性が必要ですから海外からやっぱり招かなくてはいけないと思うのですけれども、今までみたいな安直な中国への依存というのを少し構造的に変えなければいけないということがすごく重要になるだろうと思っています。
 少なくとも皆さんとこれからゼロベースで議論できることを本当に楽しみにしています。以上です。
【宮浦主査】  宮田委員、ありがとうございます。ゼロベースで議論したいとおっしゃっていることも、本当にそう思います。これを機会に新たなマインドで議論したいと。特におっしゃっていただいた中で、小手先でない改革に向けて、アカデミアに行っている研究者と大企業に行かれた研究者で、通常の調査ではなく、幸せ度調査みたいな、よかった点と反省した点で、学生時代を振り返ってこうすればよかったみたいなことも含めた、ちょっとこれまでにないような調査をやってみるのも面白いかなと。
【宮田主査代理】  そのとおりだと思います。実は某新聞の理系白書というのが、ある程度理系大学院の進学に影響しているのですけれども、彼らの価値観って収入だったのですよね。収入で幸せは買えるかというとそんなことは全然なくて、大学で研究できるというぜいたくなことができることが、ただ、教授の指示でやるのは全然ぜいたくな研究ではありませんけれども、自分がやりたい発想で自由な発想で研究できるというのは、貨幣価値では測れないような価値があると実は思っているのですね。
【宮浦主査】  ありがとうございます。そういう新しい取組も今回11期に入れていければと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 ちょっと時間が押してきて恐縮でございます。岩崎委員、お願いいたします。
【岩崎委員】  よろしいでしょうか。東京大学の岩崎でございます。先ほども御紹介しましたけれども、日本学術会議若手アカデミーの代表を務めております。今期からどうぞよろしくお願いいたします。
 丁寧な御説明をいただいて、全貌を把握することができ、ありがとうございました。女性研究者の問題、URAの問題等も非常に重要ですけれども、若手アカデミーということもあり、博士課程の学生の支援、それから、若手研究者の問題について一言述べさせていただきたいと思います。
 博士支援については現在拡充されているということで、大変心強く改めて思いますとともに、御尽力された関係の皆様の御尽力に感謝したいと思います。国際的に見ても、特に柳沢先生なんかもよく御存じだと思いますけれども、博士課程の学生をちゃんとサポートするというのはもう基本になっておりますので、日本もそういった方向に行くといいと思っております。
 いろいろな若手研究者の声を集めるということも、我々やっているのですけれども、やはり任期が短くて先が見通せないということが多くの若手研究者にとって不安材料になっているという生の声をよく聞きます。任期が短いということは、もちろんキャリアプラン上の問題ということもありますけれども、例えば今回の感染症のような、何か緊急の技術開発や研究開発が必要というときにも、任期が限られているとその間に今進めていることできちんと成果を出さないと次に行けない。仮に自分が持っている技術がそういう新しい課題に適用可能でも、すぐにはできない。とにかく論文を書かないとその後の職がなくなってしまう。
 それから、研究資金で雇用されている人は、そのプロジェクトにやはり取り組まないといけないので、仮に自分の技術がいろいろなことに応用可能でも、臨機応変に対応するというわけにはいかない。そのように、若手研究者の雇用が不安定ということは、日本全体の危機に対応するときの技術開発・研究開発という意味でも足かせになっていると、そういうふうにも感じております。
 さて、若手研究者の任期が短くなってきているのは、やはり運営費交付金が減額されてきたことにより、それ自身はもちろん若手にしわ寄せをしようとして始まったことではありませんけれども、結果的にはそういう方向に進んできたということがあります。このことによって、意図せず若手研究者が不安定な立場に置かれるようになったということは先生方もよく御存じのことだと思います。
 運営費交付金が減額されているということについては、根本的な問題で難しいというふうに諦めているような向きもあったかと思うのですけれども、私、先日衆議院の予算委員会で2月10日の質疑を拝聴しておりましたところ、本多平直衆議院議員の質問に対して萩生田文部科学大臣が、国立大学の運営費交付金については増額ができるようにしっかり資金確保もできるように引き続き努力をしてまいりたいと思っております、という答弁をされておりました。私もちょっとはっとしまして、やはりこういう増額について、文部科学大臣もそのように答弁されていることですし、きちんと実現していかなくてはいけないのではないかと改めて思ったところです。
 それを踏まえてお伺いしたいことというのは、資料の18ページにもございましたけれども、テニュアトラックの数値目標、そういったものを挙げたときに、それではこれをどうやって実現していくのかということになります。数値目標を挙げたときに、それを実際に実現していかなくてはいけないわけですけれども、これをどうやって実現していくのかというところについて、今決まっていることがあれば伺えればというのが質問になります。
 以上です。ありがとうございます。
【宮浦主査】  ありがとうございます。テニュアトラック関係、まず先にコメントいただきます。
【根津人材政策課長補佐】  テニュアトラックを増やしていこうという議論につきましては、今まで我々として、過去にテニュアトラックを普及させるための事業も実際にやってきて、それである程度成果は出ているというところも把握しておりますし、あと、高等局のほうと、まさに今お話しいただきましたけれども、運営費交付金の配分にいろいろなルールがありますが、そういった中でテニュアトラックをどう扱っていくかとか、あとは、総額の議論もそうですけれども、若手教員を増やしていく取組をしている大学をその中で応援していけるのではないかとか、そういった議論をまさに内閣府、この目標を立てたのは内閣府なのですが、内閣府等を含めこれから議論をしていく予定ですので、今回の御指摘を踏まえながら、そういったところを取り組んでいきたいと思っております。
【宮浦主査】  あと、運営費交付金の問題ございますけれども、ここのところ、内閣府の大型の基金も含めて流れが変わってきたなと思っているところもございますので期待をしているのですが、次の博士人材のところでもこれまでになかったような案が出てきておりますので、後ほどもう一回その点は御議論いただきたいと思います。
 桝委員、お願いいたします。
【桝委員】  すみません、押している中、日本テレビ、桝太一です。資料の御説明と各委員の皆様のお話を聞いていて、9割うなずいて共感する一方で、1割置いていかれてしまっているなという感覚がありました。それはなぜかと考えたのですけれども、多分私が唯一この中で、理工系ではなくて農学系、生物学系の出身の人間だからではないかなと思っています。ドクター卒の方が企業に引っ張りだこという話があったのがすごく意外だったのですけれども、恐らく農学系、生物学系の人間にとっては、ドクター以降の企業への就職というのはほぼ絶望的な感覚があったというのが正直なところです。ですので、この資料に全てまとめて理系という形でありますけれども、ぜひもしあるのであれば、学部・専攻によってどういう差があるのかというところはちょっと見てみたいなという気がしました。
 一方でメディア系にいますと、アウトリーチしやすい若い世代、次世代にリーチするのというのは、意外とそういう生物系、農学系のほうがリーチしやすいという特徴もあると感じております。先ほど宮田委員からもありましたけれども、研究者の幸せ度という尺度でいうと、もしかすると生物学系の研究者というのは幸せ度が意外と高いかも分かりませんし、ぜひそういった専攻による違いというものも含めて議論させていただければいいかなと思っております。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。おっしゃるとおり、専攻によってかなり状況が異なるという今までの流れもございますので、その辺りを調査結果も見ながら今後議論していきたいと思います。おっしゃるとおり、高校生が生物系で夢を持って博士を目指した場合に出口の就職が常に気になるとか、おっしゃるとおりの部分もございますので、情報系、工学系、生物系、医歯薬系等、人社系、少し分野で分けた議論も必要かと思います。ありがとうございます。
 山本委員、お願いします。
【山本委員】  日刊工業新聞の山本です。私は博士人材のキャリアを考える上で、アカデミック志向があまりにも強いということを何人かの委員がおっしゃっていましたけれども、私もこれがあまりに一般社会といいますか、科学技術の世界ではない人から見ると、信じられないぐらい偏っていると思うのです。
 これはやっぱり女性の場合、特に任期制の中での結婚・子育ての大変さが驚くほど大変で、企業であれば、育休・産休を取って、1年間お休みすれば何とか頑張れるという人がたくさんいるのに、アカデミックを志望したために、そういった頑張りができなくて、結局、研究者を辞めてしまうという人が結構いるのではないかなということを心配しています。
 今年長のアカデミックの女性研究者の方は、優秀さにしてもある意味特殊なといいますか少数派で、ばりばりやれてきた人たちでしたので、アカデミックで頑張ってほしいという気持ちがあるのはすごく分かります。でも、昔と違って今は進学率が上がって、女性の博士人材も以前よりはずっと多くなってきて、ある意味、もっと普通の能力と言ったら変ですけれども、もっと広くいろいろなところで社会で活躍してもらいたいというのが国としての思いだと思うのですね。
 そうすると、アカデミック、そこまで無理しなくても、企業でこんなにやりがいがもちろんあるし、育休・産休についてもやりやすいのだということを、何か情報が隠されていると言ったら変な言い方ですけれども、もっといいところを伝えてあげることで、アカデミックでもう心折れてしまうというぐらいの人でも、企業であればリーダーになって活躍してくれるのではないかということを、これは女性の活躍の推進が進んできたからこその問題ではないかなということを以前から気にしています。
 どうしたらいいのかというのは、卓越大学院の方法だとかいろいろしながらも、アカデミック志向が強いのが壊せないという問題をどうしたらいいのかということは、この委員会を通じて私も一緒にといいますか、いろいろ皆様の意見を聞きながら探っていきたいなというようなことを思っています。
 以上です。
【宮浦主査】  山本委員、ありがとうございます。ダイバーシティ、女性研究者問題は、本当に長い間議論して、施策としても全国で動いているところではありますけれども、なかなか意思決定機関への女性研究者の参画という部分の数字はまだまだのところがありますので、特にライフイベントをアカデミアで乗り越えられるかという部分については大変大きな問題で、引き続き議論させていただきたいと思っております。山本委員のお立場から是非いろいろ御意見をいただいて、この委員会の議論が社会とちょっとずれた方向に行かないようにいろいろ御意見いただけるとありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 一応一通り御意見いただいたところで、博士人材の支援関係につきまして、引き続き議論をしていきたいと思っております。議題3に進ませていただきます。議題3は、博士後期課程の学生への支援策でございます。先ほど来かなりもう議論が始まっておりますので、資料3をごく簡単に事務局から説明いただいた後、意見交換をしたいと思います。
【三輪人材政策推進室長】  それでは、人材政策推進室長の三輪から、資料3に基づきましてごく簡単に御説明の上、先生方からの御意見をいただきたいと思います。テーマは、既に出ておりますいわゆる博士後期課程学生への支援に関しまして、非常にこれまでの政策が大きく拡充・転換する局面を迎えておりまして、その状況と今後の方向性についての御説明でございます。
 資料3の1ページ目、これは既に先ほど御説明した資料と若干重複しておりますが、シンプルに、いわゆるストレートドクター、修士課程から博士課程に進学する人間の数と進学率は減少傾向にございます。御案内のように博士課程は社会人学生もおりますので、それを足し合わせるとまた少し景色が変わってくるのですが、ストレートドクターに関していえば、明確に減少傾向にあるということでございます。その大きな理由としては、博士課程に進学した場合の後のキャリアパスが不安であるということと、在学中の経済的見通しが立たないというのが非常に大きな理由として挙げられているところでございます。
 2ページを御覧ください。これも先ほど既に出てきたものですが、簡単に申し上げて、我が国の博士後期課程、いわゆるD1、D2、D3は7万5,000人在籍しております。そのうち約3万人がいわゆるストレートドクターで、残りの約4万5,000人が社会人学生や留学生等という大まかな推計となっております。このうち、既に180万円以上の支援を受けている人が、これも推計になりますが、大体7,500人。そのうちの大半はいわゆるJSPSのDCとなっておりまして、7万5,000人の中の7,500人しか180万以上の支援を受けていないという現状に長くあったところ、今般、それとは別に7,800人の支援に相当する予算を措置することができまして、今その執行とか制度設計に取り組んでいるところでございます。
 簡単に少しだけ説明しますと、2ページの右下に800と6,000と1,000という数字が書いてあると思うのですが、この800と6,000と1,000の合計が7,800で、これまでの7,500に相当する同規模、合計すると1万5,000という流れになっております。
 800人というのは少しマニアックでして、いわゆるシニアの研究者にリサーチアシスタントとしてついている博士後期課程学生のリサーチアシスタントの人件費を積むという間接的な形で支援するのが800人でございます。
 それとは別に、ダイレクトに博士後期課程学生への支援を行うスキームを2つ走らせることになっておりまして、それが一番下にあります大学フェローシップ創設事業という1,000人のスキームと、今日のメインテーマであります、全然別の、6,000人規模の新たな博士課程支援のメニューを今走らせようとしているというところでございます。
 1,000人のほうの大学フェローシップ創設事業は、先生方の御協力もいただきまして、まさにこの令和3年4月1日から令和3年4月1日時点のD1、1,000名に対しまして支援を開始したところでございまして、今走っております。少しややこしいのですが、順調にいけば、来年にはD1、D2の2,000人になって、再来年にはD1、D2、D3の3,000人になるのですが、一応、令和3年度は1,000人というスキームでスタートしております。
 一方、まだ制度設計の途中にありますのが、上の赤字の6,000人というものでございます。基本的には大学フェローシップ創設事業を参考にしつつ、どういうルールでどういう基準で6,000人の博士後期課程学生に支援をしていくかというスキームを今、文科省が関係省庁と協議しながら議論を固めているところでございます。
 3ページを御覧ください。基本的なコンセプトとしましては、これまでの問題意識を踏まえておりますが、大きく3つです。とにかく現状、博士後期課程学生は、進学した後の不安とか困窮状況で大きく引っかかっております。とにかくここを打開するに足る十分な経済的支援を行うということです。
 それから、やはりキャリアパスについて確保していくということです。これは既に何度も出ておりますが、先生方からも、やっぱり企業をそもそも志向していなかったり、企業側との橋渡しが大学側もできていないというところがありますので、端的に言えば、そういうところをしっかり取り組む大学を選んでいくといった、要は、仕掛けを組み込む必要があります。例えばインターンシップを義務づけるとかいろいろ考え方はありますが、そういったところのルール化をどうするかというところを今詰めております。
 そして、いわゆるJSPSのDCと違いますのは、JSPSのDCは個人補助ですので、要するに、優秀な学生が独力で取ってきます。大学としてはそういう学生がいればラッキーというのが大まかなスタンスですが、そうではなくて、優秀な学生を支援するということに大学を巻き込んでいくというのがポイントでございまして、優秀な学生を支援する優秀なスキームを提示できた大学に優秀な若手研究者が集まってくるという形をこの6,000人スキームの構築を通じて実現したいと思っておりまして、そこのところの詰めを急いでいるところでございます。
 最後のページとなりますが、まだ本当に決まっていないことが多くて恐縮なのですが、1つだけあるのは、先ほど申し上げた1,000人のほうの大学フェローシップ事業は、普通に考えると、3年度に3,000人スキームになるのですが、今回のこの6,000人というのは、同じように考えると1万8,000人スキームになってしまって、これは予算が破綻しますので、基本的には令和3年度からスタートするとして、D1、D2、D3、2,000人ずつというのが基本的なイメージですが、大学側との組合せになりますので、そこも含めてどういう人数規模で令和3年度スタートするのかというところも検討中でございます。
 考え方としては、先ほど申し上げたように、とにかく今、閉塞環境にある博士課程学生が自由で挑戦的な研究に専念できる環境を大学に確保してもらうということ、大学も含めてキャリアパスの確保に向けたものを、もう義務のマストの要件として組み込んでいくことです。そして、実は先ほど分野というお話がございましたが、これもまだ完全に固まり切ったわけではありませんが、今のところ、国がこういう分野を指定してというよりは、やはり大学が、自分たちは今後どういう博士課程人材を育成していくか、どういう分野でというビジョンをまず提示できなければ話が始まらないと思っておりまして、今のところ、何か国が決め打ちで行うというよりは、大学がそこも含めて考えてアプライするというような仕組みが妥当ではないかと考えておりますが、そこも含めて今、最終的な検討中でございます。
 参考までに、1,000人のフェローシップ事業に関しましては、自由に大学が申し込めるカテゴリーとは別に、AI、量子、マテリアルという個別分野の設定を行いましたが、一方ではそういうことをやったということも踏まえながら、今各大学にもヒアリングを行っておりまして、どういう分野設定を行うべきか、あるいは行うべきでないかということも含めて詰めているところでございます。
 まだ漠とした内容で大変恐縮でございますが、いずれにせよ、これまでの規模をはるかに超える博士課程学生支援に向けて動き始めていて、恐らくは令和3年度中に全貌を明らかにすることができるという中で、絶対にこの要件を外すべきではないとか、こういったところをぜひ留意してほしいという制度全般に関する御意見を率直にいただければと思っております。
 以上でございます。よろしくお願いします。
【宮浦主査】  ありがとうございます。残り時間少なくて恐縮なのですけれども、これ重要ですので、ぜひ活発な御意見をいただきたいところです。博士の支援強化6,000人につきましてどういう形で行っていくか。フェローシップ事業に比べてかなり規模感も大きくなってきて、非常に期待できるところであります。御意見をいただきたいと思います。ショートで、なるべく全員からいただきたいので、短めでお願いいたします。まず川端委員。
【川端委員】  ありがとうございます。幾つかこれに似たような話もいろいろやっている関係で少しお話を。
 1つは、最初に話されている、先ほど出ましたけれども、博士課程に進学ではなく就職を選んだ理由とかいうこと、先ほどでいえば、障害になっていることは何かという、こういうような考え方、これはある意味時代遅れで、本来ドクターに行くのが当たり前だけど、こういう障害があるという考え方なのです。でも、実態は、アカデミアが魅力的でなくなっているのです。そこがまず大前提。
 では、アカデミアを魅力的にするためにどうしなければならないかというデザインが必要で、そうすると、その中に大きいところに奨学金とか生活費の話がある。特に生活費が、こんなに大規模なお金が動くというのは本当にもう驚くような話で、これは学生に対してもすごいインパクトがある。だからこそ伝えなければならないメッセージをはっきりさせるべき。あんたたち、お金を用意したからさあ来なさいよではない世界がここにはあるはず。
 そういう意味で、当然キャリアパスの話があったり、それから、カリキュラムの話があったり、もっと言えば、本来学生さんにとっては、彼らの意思決定でいうと、半径3メートルの情報で意思決定を彼らはするので、それを考えると、半径3メートルにあるのは先生なのですね。もしくは先輩なのです。それが魅力的に見えていないというのが今のアカデミアの最も根本的な状況。これを一体どういうふうに解決していこうということを一緒にしてこの奨学金と一緒にメッセージで伝えるという、このプロセスをやらないと前に進まないし、ぜひそういうふうな話に展開していただければというのが1点です。
 それから、もう一点は、あまり大きい話をしてもまた今度なのですけれども、いろいろな意味で学生さんたちに、不安ですよね、将来設計はとか何とかかんとかって延々聞くのですけれども、自分が学生の頃にこんなこと言われて答えられたかというとそのような考えはなく、生涯賃金知っていますかって、それは今だってよく分からない世界があって、そのような話を問題にして不安がらせて何がしたいのかって、このような感じ。そういう意味では、駄目な話をするのではなくて、魅力的な話をどうつくり上げるかということを大前提に進めていくというのをぜひ一緒に考えていただきたいという話。
 あと、キャリアパスの話で民間採らないって、迫田委員がそのようなもの冗談ではないと言いたくなる、そういう話の企業と、そうでない企業の二極化が進んでいるということを前提に。採らない企業がなぜ採らないか、それはいろいろな理由があるというのは、それは経産省でもいろいろなことをやっていますけれども、一方で、先ほどちょっと言われたように、ドクターの中には文系がいるのです。それから、フィールドサイエンスもベーシックサイエンスもあって、キャリアパスに一番よくマッチングする化学とかデバイスとか創薬とか、これはもう当然のように動いているのです。それ以外がたくさんいてこそドクターだし、アカデミアなのです。そこをどうするという話もぜひ議論のまな板の上にのせていただければ、せっかくのこのお金が無駄にならないように、学生さんにうまく伝えて、魅力的なものになっていただければと思います。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。川端委員に取りまとめていただきましたので、次に行かせていただきます。すみません、時間を短くでお願いします。狩野委員。
【狩野委員】  では、短く行きます。今のお話に関する具体的な御提案として、大学院に行ってする経験は、その後もし企業に行った場合にどういうふうに、産業界に行った場合にどういうふうに役に立ったかという、何か経験談シリーズを文部科学省として作ってしまう。そうすると、どうでしょうか。例えばこの中でもたくさん産業界におられる方々がおられますけれども、そういう方々から、自分が院に行ったときの経験はこのようにして思いもよらず役に立ちましたという話を書いて出していただくと、取りあえずチャレンジしてみようかなという人が増えるのではないかという御提案をしてみます。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。プログラム、リーディングとか卓越ではいろいろな、各大学でやられている情報をもっと公開したほうがいいということもありますね。
 髙橋修一郎委員、お願いします。
【髙橋委員】  ありがとうございます。私自身は農学の人間で、社内にも様々な分野の博士がいるところですので、今回のこういう取組はすごく大事だなと思っております。
 私が考えているのは、ここ、2つ目のところに、産業界も含めたキャリアパスを整備すると書いてあるので、受給される方を選抜する審査員の中に、博士採用実績を持った産業界をしっかり入れ込むというのも大事だと思うのですね。要は、審査する側が博士を出て産業界で活躍するという申請に対してポジティブに捉えるような目で見るというのはとても大事なのではないかなと。
 あと一方で、申請のフォーマットについても、キャリアパスを考えさせるような項目を入れるといった採択までのプロセス自体に工夫をするというのも一案だと思います。やはりキャリアをできるだけ早い段階で考えるというような、そういうプロセスをうまく設計してこの中に織り込むということが大事なのではないかなと思いました。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。小林委員、お願いいたします。
【小林委員】  あえて厳しいことを言いたいと思うのですけれども、私はたまたま国立研究開発法人審議会にも出ています。それで、今回の博士支援の6,000人支援に関しても、JSTの法律の改正を含めて議論したわけですけれども、その際に、この財源は、多分いわゆる10兆円ファンドが基になっていると思われますが、実際には10兆円と言いながら4兆円しか予定されていないままにスタートしました。しかも、運用益の確保に関しては、GPIFの例を出すのですけれども、10兆円ファンドはそれとは全く違う資金運用の仕方をすることになるはずで、これで本当にできるのか、非常に危ういのではないかと思います。
 審議会でもその点について僕は事務局に対して指摘したのですけれども、あまりまともな回答は返ってこないままでした。国会審議の際にも、自民党の議員すら、それを心配してかなり詳しく質疑していたのですけれども、その際もまともに答えていなかったという状況だと思います。しかもCSTIのほうでは、10兆円ファンドは限られた優秀な大学だけに出したいというようなことも議論しているわけです。
 そういう中で本当にこの6,000人、毎年2,000人だと思うのですけれども、可能なのか。過剰な期待を学生に抱かせてしまうのではないか。実際に始めたら、お金が足りなくなりました、ショートしましたという話になると、意味がないですよね。その辺りは、やはり厳密にきちんとやっていかないといけない。今度は逆に学生から見放されるという可能性もあります。今後の議論の中で厳しく見ていったほうがいいのではないかという気がします。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。今後継続的に動くようにぜひウオッチしていきたいと思います。
 高橋真木子委員。
【高橋委員】  コンパクトに申し上げます。川端委員、狩野委員の意見に同意です。ロールモデルを見せていくことは非常に重要だと思います。少し具体的なイメージを入れさせていただくと、例えば今、バイオ系だったら、アカデミックをやるなら一度ボストンに行かないととか、情報系は、ドクターを取った学生が普通にベンチャーに行くというのがあると思います。なので、やはり少しここは分野のことを考えるというのは非常に重要な前提条件かと思います。
 もう一つ、分野のことを考えるとともに、私も1つ厳しいことを申し上げたいのですが、伸びそうなところを応援するという発想が必要なのではないかと思います。ここまで来て、ドクターまで来て人生をかけている人たちに、それでもある程度の刺激がない中で振り向かない人たちは、もうここは救う必要がないのではないかというか、それはそれでもう進んでいただき、やはりこのような新しい刺激があったときに、興味をもってくださった人たちにアクセスできるかというのが、人口減少を迎える日本において今後は重要なのではないかと思っています。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。村上委員、お願いいたします。
【村上委員】  経済支援はもちろん大事だと思うのですけれども、それとあと、もう一つの軸として、やはり出口を見据えた教育、能力開発をやっぱりやっていくことが重要ではないかなと思います。大きく分ければ、アカデミアと産業界というのはあると思いますが、それぞれやっぱり求められる能力・スキルというのが、あるいはマインドセットとか、多少の違いがあると思いますので、そういうようなところを見据えることは重要かなと思っています。
 ただ、私は例えば産学連携とか、あるいは国際連携が進むと、学生にとって見える景色というのは随分変わってくるのではないかなと思っています。産学連携が進んでいけば、産業界のことをもっと学生も分かるようになってくるし、そことの垣根、それは大企業だけではなくて、ベンチャーとか中小、そういうものを含めたいろいろなところが学生の視野の中に入ってくる。そういうことはすごく重要だと思うのですね。
 そういう意味で今後のURAの役割の大きさというのをやっぱり感じていて、URAでも産学連携とか国際連携とかそういう結びつけられる力のある人材をやっぱり育てていくということもこのお話の中に深く関わってくるのではないかと思っています。ですから、そういうことを一体的に進めていくことが大事なのではないかなと感じています。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。手が挙がっている委員が3名いらっしゃいます。1分ずつお願いします。宮田委員。
【宮田主査代理】  まずはこの新しいこのプログラムに集中してお話をしますと、選考が非常に重要になります。また教授が仲間内選考で自分たちに都合の良い学生を選定するようなことだけは阻止しなければいけないという、外部の委員を入れるというのは非常に面白いアイデアだと思っていますし、外部の教官を、大学の教官を入れるということもぜひ考慮していただきたいと思っています。
 もう一つ重要なのは、これにブランドをつけることです。つまり、ジュリアード何とか何とか奨学金受賞者みたいなことになるとステータスが上がるように、この制度をどんどん活用していかなければいけないと思います。そのためには、フォローアップとトラッキング、それによる制度の再評価をどんどんやっていく仕組みをつくっていただきたいと思います。
 以上です。
【宮浦主査】  貴重な御意見ありがとうございました。評価にはぜひ外部、参考になります。
 塚本委員、お願いします。
【塚本委員】  どうもありがとうございます。今の宮田委員のコメントに関連した発言ですが、ブランドというか、一般社会からの博士人材の価値についての認知度向上のためのPRもきちんと取り組んだほうがいいと思います。子供が「社会の宝」なら、博士は「国の宝」とか「国の成長の礎」などのようなイメージが世の中に広がり、尊敬される憧れの存在になるとよいと思います。こちらの委員会にいらっしゃる方は博士が重要だということをよくご理解なさっておられますが、一般社会では博士は遠い存在であり、そのような考えが広がっていないと思います。こういった認識が変わると、子供たちの中で博士が将来のあこがれの選択肢の一つとなり、現在博士課程進学を悩んでいる人も希望と自信を持って進めるようになるのではないかと考えます。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。ブランド化です。
 隅田委員。
【隅田委員】  私はこの人材、こういう人こそぜひ高校に行く機会をつくってほしいと思いました。まさに生きたテキストというか、ロールモデルになります。もし高校に定期的に関わってくれれば、その期間は支援期間が延長できるとか、あるいは多少でも支援を上乗せできるでもいいかなと思います。ぜひこういう人が高校に来ることで、高大連携がさらに高度化する、多様化するようなきっかけになればいいなと思いました。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。次世代育成とのリンク、非常に面白いと思います。
 以上ですかね。手挙がっていますかね。柳沢委員。
【柳沢委員】  もう時間がないなら結構です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。それでは、ほぼ、司会の不手際により議論が中途半端な部分もございまして、おわび申し上げます。
 時間になりましたが、スケジュール等について、その他、事務局よりお願いいたします。
【根津人材政策課長補佐】  事務局でございます。資料4に今後のスケジュールをお配りしておりますけれども、夏頃までにもう一度開催するとともに、大体年に4回程度の開催を考えてございます。
 また、議事録につきましては、事務局のほうで案を作ってまた御確認をいただくお願いをする予定でございます。
 また、今後のスケジュールについてもメールで御連絡させていただきます。
 以上でございます。
【宮浦主査】  ありがとうございました。時間のないところ、最後、非常にショートでコメントいただく形になりまして、おわび申し上げます。いただいた意見、議事録等でもう一回見ていただいて、必要に応じて補足いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日はこれにて閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

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