人材委員会(第85回) 議事録

1.日時

令和元年5月14日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 第6期科学技術基本計画に向けた人材育成政策の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

宮浦主査、宮田主査代理、勝委員、狩野委員、小林委員、柴原委員、隅田委員、高橋(修)委員、高橋(真)委員、藤垣委員、八木委員、横山委員

文部科学省

生川官房長、瀧本総括審議官、松尾科学技術・学術政策局長、渡辺大臣官房審議官、角田科学技術・学術総括官、坂本人材政策課長、楠目人材政策推進室長

オブザーバー

坪井科学技術・学術政策研究所長、伊神科学技術・学術基盤調査研究室長、持山静岡県教育委員会人事監、小原静岡県教育委員会教育主査、小野横浜市立大学准教授

5.議事録

科学技術・学術審議会人材委員会(第85回)

令和元年5月14日


【宮浦主査】  ただいまから科学技術・学術審議会人材委員会第85回を開催いたします。本日の会議は冒頭より公開となっております。
 本日は、長我部委員、川端委員、竹山委員、塚本委員、柳沢委員の5名の委員が御欠席ですが、12名の委員が御出席で、定足数を満たしているため、開催いたします。
 なお、高橋(修)委員、高橋(真)委員、八木委員は、今回が第10期の人材委員会初回となります。
 議事に入る前に、事務局より本日の資料の確認をお願いいたします。
【久保基礎人材企画係長】  本日の会議は、ペーパーレスによる運営とさせていただいております。お手元のタブレットのデスクトップにあるフォルダに、議事次第、資料1-1、1-2、1-3、資料2、資料3、資料4が保存されています。議事進行の過程で不備等ございましたら、事務局までお知らせください。資料は、前方のスクリーンに投影いたします。
 なお、委員の皆様のお手元には、机上には、科学技術・学術政策研究所と静岡県教育委員会から、ヒアリングの補足資料が配付されております。
 以上です。
【宮浦主査】  それでは、議題1に入ります。
本日は第6期の科学技術基本計画に盛り込むべき事項の検討のために、有識者からヒアリングを行うとともに、これまで人材委員会での検討を踏まえ、人材育成に関する重要な論点について議論いたします。
 まず初めに、本年4月に科学技術・学術政策研究所より、科学技術やイノベーションの状況に関する研究者等の意識調査について調査結果が公表されていますので、科学技術・学術政策研究所より御紹介いただきます。
 御説明者は、坪井裕科学技術・学術政策研究所長並びに伊神正貫科学技術・学術基盤調査研究室長です。それでは、坪井所長、15分程度で御説明をお願いいたします。
【坪井科学技術・学術政策研究所長】  それでは、資料1-1に基づき、科学技術の状況に関する総合的意識調査(NISTEP定点調査2018)について御説明いたします。
 まず、資料2ページをご覧ください。当研究所では、科学技術指標や論文データベースを用いた定量的データの分析、政府統計でもある民間企業の研究活動に関する調査なども行っています。昨年の当委員会でも定点調査2017を御説明させていただいたこともありますが、この調査は、産学官の第一級の研究者や有識者への継続的な意識調査を通じて、科学技術の関係の状況変化を定性的に把握する調査です。
 論文等のデータなどよりも、よりタイムリーな調査結果が得られるといった特徴があり、毎年1回、同じ方々に同じ質問のアンケート調査を継続的に実施することで最新の状況変化を把握するものです。今回は第5期科学技術基本計画中に実施するものとしては3回目の、いわば基本計画5年間の中間地点の調査に当たります。
 6つの質問のパートのうち、1つ目の①が人材関係で、全体63問のうちの14問が関係の質問になっています。質問の相手先は、大学・公的研究機関のグループの2,100名と産業界を中心としたイノベーション俯瞰グループの約700名の計2,800名で、この回答者グループに対して、それぞれの関連する質問をしています。
 3ページには、回答者グループの詳細を載せております。
 4ページですが、毎年の同じ質問項目に加えて、深掘りする調査も行っており、今年度は研究室・研究グループにおける研究教育活動の状況などについて、深掘り調査を行いました。調査の実施時期は昨年の9月から12月で、回答率は91.1%と非常に高くなっています。
 また、個別の質問の回答には自由記述や評価の変更理由の自由な記述もあり、これら9,400件、文字数にすると59万字になります。この資料も別冊としてウェブ上でも公開しており、データベース化もしているので、ウェブサイト上からキーワード検索で、政策立案の検討に必要な特定の自由記述を抽出することも可能です。
 5ページですが、これは第5期科学技術基本計画の開始時点である2016年の調査時点と比較して状況が悪化している回答者の割合が大きいもの、すなわち、評価を下げた回答者割合から評価を上げた回答者割合を引いた差の値が大きいものの10項目を載せています。基礎研究や研究費マネジメントの状況が悪化したとの認識が見てとれます。ここには人材関係のものはリストアップされていません。
 6ページですが、ここでは逆に、顕著に評価が上昇しているわけではないものの、一部の属性で好転の兆しが見られるものの8項目を載せています。一番上がベンチャー企業設立関係ですが、それ以外は大学の学部教育、女性研究者、外国人研究者に関するような人材関係の事項が挙がっており、右に示した属性で、初年度と比べて評価の上昇が見られている状況です。
 続きまして、7ページです。ここでは、評価を下げた回答者と上げた回答者の絶対値の和が大きい、すなわち意識の変化割合が大きい10項目を載せております。第5期科学技術基本計画中に取組が進められていると考えられるもので、人材関係では若手研究者に自立と活躍の機会を与える環境整備、また、望ましい能力を持つ人材が博士課程を目指しているかなどの事項が挙がっております。
 8ページは、若手研究者の状況に関するものです。3つありますが、下の2つのQ102とQ103に関しては、指数が不十分との強い認識というところに位置付けられています。
 また、9ページから11ページは、この3問に関する回答者の属性別、評価を上げた理由や下げた理由をピックアップしています。
 12ページ、13ページですが、ここは研究者を目指す若手人材の育成に関する問いです。特にQ104は指数の低下が大きく見られるところです。ここの問いについても、14ページから18ページには、やはり回答者の属性や評価を上げた理由や下げた理由をピックアップさせていただいているところです。
 19ページは、女性研究者や外国人研究者の状況に関するものです。ここについては、2年間で指数に大きな変化は見られません。この問いについても、20ページから23ページには、回答者の属性や評価を上げた理由、下げた理由をピックアップしていますが、特に女性研究者に関する質問に関しては、赤で示していますけれども、男性回答者と女性回答者で差が見られる傾向が出ています。
 また、24ページでございますが、ここは大学や公的研究機関の研究環境に関する状況です。基盤的経費、研究時間、研究支援人材に関する危機感が継続しているとともに、やはり評価の低下が見てとれます。
 25ページからは深掘り調査の関係です。過去のNISTEP定点調査において、基盤的経費の減少が学生の教育にも影響を及ぼしているという指摘が見られたので、研究を通じた教育・指導の状況について質問を行っています。
 25ページは、大学等の研究室・研究グループの人員構成です。NISTEP定点調査の回答者は、部局長から推薦された第一線級の研究者のため、ここの人数は皆さんの印象より多いと感じられるかもしれませんが、ここで注目いただきたいのは、やはり国公私立大学でバランスの違いはあるものの、研究室・研究グループでは学生が多くを占めている点です。言い方を変えますと、研究室・研究グループの活動は人材育成にも深く関わっているとも言えます。
 また、26ページですが、ここは基盤的経費の減少や研究活動の低下が、研究を通じた教育・指導に与える影響について質問した結果です。一番左に注目しますと、現状の基盤的経費のみでは、学生が学位論文を書くための研究の実施が困難であるとの認識が、国立大学において顕著です。
 また、一番右に注目しますと、大学等の研究室・研究グループの研究活動の低下は学生の教育・指導にも影響を与えるという認識が示されており、こちらも、その認識は国立大学等で顕著です。
 27ページも深掘り調査です。ここは、学生の就職活動が研究活動に与える影響に注目しました。修士課程の学生の就職活動が、研究室・研究グループの研究活動へ影響を与えるのは大きいという傾向が見てとれます。
 28ページは、改めてポイントをまとめています。
 29ページは、これは意識調査ですが、実際の状況判断には、これに加えて定量的データも含めた総合的な分析が必要であるという認識を書いています。
 また、定点調査の自由記述には、科学技術・イノベーションの現状に関する切実な意見が次々と繰り出される施策や事業に振り回されている様子も見てとれ、研究を通じた教育に携わっているのは現場研究者であるということですので、第5期基本計画中の各種取組の成果を現場研究者が感じ取り、研究や教育に集中できる環境の構築が急務という意識に言及しています。
 特に今、研究活動の低下、将来を担う学生の育成にも大きく与えるという点が第6期科学技術基本計画を検討する際にも考慮すべき点ではないかと思います。博士課程進学者が中長期的に減少傾向にある点については、キャリアパスや経済的支援の課題の面に加えて、大学自身が魅力的な研究活動を学生に提示できていない面が仮にあるとすると、それは大きな問題と考えられます。
 人材育成にも大きく関連する基盤的経費の確保については、運営費交付金に加えて、企業との組織的な連携、寄附金、資産運用、出資事業、外部から獲得する資金の間接経費等といった手段で確保していくことが重要と考えられます。
 以降のページは資料になりますが、31ページから33ページは人材に関するその他の個別質問の関係を示したもの、35ページには、第5期科学技術基本計画の目次と定点調査の63の質問との対応関係を示したもの、また、36ページから43ページは63問の全体の指数や指数の変化をまとめたのを載せています。
 また、机上配布資料は、回答者グループをより詳細に分類して指数をまとめたものです。このような資料ですが、これは、表はそれぞれ、最初のページは2018の指数の絶対値、2ページ目は2016から2018にかけての指数の変化ということで、上の方に回答者の属性を分けて書いており、それぞれ、やはり回答者のグループの属性によって、いろいろ評価も違う点が見てとれるところかと思います。
 あと、タブレットの資料の57ページは、この調査に当たって、調査委員会の方からも助言を頂いたということでございまして、この委員会には宮田先生、川端先生にも入っていただいているものです。
 この調査は毎年実施するもので、今年は第5期の科学技術基本計画期間の第4回目の調査を秋以降に実施する予定です。
 以上が、NISTEP定点調査2018に関する説明ですが、当研究所では、冒頭に申し上げたとおり、このような意識調査のみならず、定量的データの分析、さらに、博士人材の活躍状況を幅広く把握するための、博士課程修了者の継続的なキャリアを追跡する情報基盤としての博士人材データベースの構築も進めております。
 このような当研究所における科学技術イノベーション人材に関する多様な情報を集約したものとして、昨年7月に取りまとめたブックレットがありますので、これも机上配布しています。しかし、これは、昨年7月のものですので、もう既に、より新しいデータがでているものもありますし、また、例えば、前回の人材委員会で事務局から御説明された「現状と課題」という資料にも、当研究所の出典データが幾つかありましたが、例えば、米国における日本人大学院生、科学・工学分野の状況として、日本人学生数が10年前と比較して約61%減少し、国別順位でも6位から19位に下がり、トップの中国の約80分の1の学生数になっているというようなデータもあったわけですが、このような資料も、このブックレットより後に公表された科学技術指標2018が出典となっているデータです。
 当研究所は今後も、いわゆるEBPM、エビデンス・ベースト・ポリシー・メーキングに基づく政策形成のためのエビデンスの整備に貢献していきたいと考えていますので、本日の議題でもあります第6期科学技術基本計画に向けた人材育成の政策の在り方の検討に有用な新しいデータが取りまとまりましたら、今後とも引き続き、随時公表していきたいと思っています。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございました。非常に詳細なデータを御説明いただきました。この調査に関しまして意見交換を行います。15分程度お時間を頂戴したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。御質問、御意見など、いかがでしょうか。
 狩野委員。
【狩野委員】  大変貴重なデータを、ありがとうございます。
 一つ目の質問です。特に女性研究者や大学院生に関する調査についてです。調査の対象になっている方の属性を見ると現場研究者までのようです。調査されている内容を実際に現在経験している当事者というのは、どのぐらい調査対象に入っているのでしょうか。おそらく、当事者はまた違った見方をすることもあろうかという意味合いです。
【坪井科学技術・学術政策研究所長】  例えば、資料の49ページをごらんいただきますと、この質問の対象は現場の研究者までであって、学生は対象になっていません。また、グループ別では、いわゆる学長クラス、部局長クラス、現場研究者で分かれています。
 また、男性と女性の割合ですが、それぞれのグループに応じた形で、その差の細かい意識の違いは見てとれると思っています。
【狩野委員】  ありがとうございます。承知しました。もう一つ御質問です。
 結局のところ、ある種、現在、こういう現象、すなわち症状であるということになりますね。元医者なのでそういう言い方をしてみますが、現在、こういう症状であると。ついては、こういう診断を下して、何か治療に至りたいという気持ちがあって、こういう委員会を開催していると思うのですけれども、その際には、原因と結果の関係に幾分か仮説が存在しないと、改善方策を指摘しづらいと思います。もちろん因果関係の証明は難しいのはよく承知しています。しかし、少なくとも、可能性のある因果関係の仮説として、こういう状況に至った原因を幅広く仮説を集めたり、あるいは、その中で、さすがに全部は証明されきれなくても、この仮説はそれなりに確からしいというような解析もされておられたりするでしょうか。ありましたら、是非教えてください。
【坪井科学技術・学術政策研究所長】  現在のところ、この定点調査は意識調査ということで、最新の状況をなるべくタイムリーに出すため、このタイミングで発表していますが、このデータを使いながら、どうしてこういう認識に至ったかという原因分析は本当に必要だと思いますので、文部科学省とも相談しながら深めていければと思っています。
 また、この点は第6期の基本計画の検討の論点にもなっていくかと思いますし、途中でも申し上げましたが、これは意識調査だけではなく、具体的なファクトの数量的なデータと組み合わせながらの現状の把握が大事だろうと思っております。
【狩野委員】  ありがとうございます。
【宮浦主査】  ありがとうございました。そのほか、御質問あるいは御意見、いかがでしょうか。
 勝委員。
【勝委員】  先ほどの御質問とも関わりますが、資料49ページの表の企業について、こちらは大企業あるいは中小企業、橋渡し等々と分かれていますけれども、これはどういう基準で、どういう企業を選んだのか教えてください。
【伊神科学技術・学術基盤調査研究室長】  大企業に関しては研究開発を担当している役員クラスに聞いています。中小企業に関しては、会社の代表、社長、例えば、中小企業庁で表彰されているような会社の方を選んでいます。橋渡しに関しては、大学だと産学連携本部長やベンチャーキャピタルの方等を回答者として選定しています。
【勝委員】  大企業について、どういう企業か、分かれば教えてください。
【伊神科学技術・学術基盤調査研究室長】  本日、データはありませんが、大企業に関しては、日本の産業分類のバランスに合うような形で選定しています。
【坪井科学技術・学術政策研究所長】  ちなみに、回答者の氏名と肩書は、回答集という、別冊資料で公開しています。
【宮浦主査】  調査対象の属性の問題等の御意見も出たところですが、ほかに御意見、御質問いかがでしょうか。
【狩野委員】  もう1点伺います。この委員会の機能として、このような記述的なデータがあったときに、それに対する仮説を立てるということでよろしいでしょうか。
【宮浦主査】  これだけ膨大で貴重なデータを、まとめていて今後どうしていこうかという話題になってくるという御意見かと思います。これを基に、属性の議論もありましたが、その問題点をある程度整理をして、その原因を究明し、どうしていくかという取組につなげるという部分を、データを基に、この委員会がどのようにアプローチをするべきかという御意見だと思います。
【宮田主査代理】  実は、この調査に委員として参加しています。これは定点観測というところに非常に意味があり、膨大なデータベースから様々な仮説に基づいて結論を導き出すのも一つの方法ですが、新たに当事者に調査した方が、しかも当事者に、そういうものとして使った方がよいと思います。国が科学技術基本計画等様々な施策を打っています。それに対しても、研究者側はどんな悲鳴を上げているのか、あるいは、どのような喜びの声を上げているのかという調査です。
 見ると、今回の調査は悲しくなるような結果でもありますが、そういう状況は幾分誇張された形でデータとして表れているので、こういう人たちの声をどうやってすくい上げていき、良い人材政策にするかだと思うので、ここのデータを全部頂いてどうのこうのというよりも、むしろ経時的な変化のところで、どういう変化が起こったことを示していると考えた方がいいと思います。
【宮浦主査】  どうぞ。
【八木委員】  少し違う観点ですが、資料を見ていて感じるところがありまして、資料の45ページ、46ページの若手研究者の状況を見ると、若手人材は十分かという問いに対しては、当然不十分だという回答で、それに加えて、任期を付さないポストは十分あるのかというとない。これは当然のことで、大学自体、承継ポストが増えていくわけではないし、使えるポストが減少傾向なので、いわゆるテニュアポストは増えない現状をそのまま表していると思って見ていましたが、その下の資料を見たときに、年齢が上がるに従って、研究機関で働いていきたいという意欲が消失していっているのか、実は、これ、意欲じゃなくて、労基法の5年、10年ということによって異動せざるを得ないということが生み出している結果を表しているのではないかと私は解釈しました。 やはり、法律改正があり、昔なら任期法で、職制が上がればリセットされるというようなものもありましたが、現在は同一機関における雇用だと10年を超えられません。そうすると、異動しないといけない。極端に言うと、東京から沖縄まで日本中どこでも異動せざるを得ないという状況が生まれてきます。そういったことは、調査の中で何か意見として出てきてないかと興味がありますし、自分の周りには結構そういう方々が多いので、それがやはり大学のポジションをより魅力的にするかという上では大きいのかなという気がいたします。
今御指摘いただいたブックレットの46ページ、これは実は定点調査の結果ではなくて、博士課程修了者へのアンケートで収集したもので、したがって、これはまさに若手の方の意識ということです。しかも、現時点の年齢分布はこのようになっていますが、ある方が、年齢が上がっていったときに変化したデータではなくて……。
【八木委員】  世代ですね。
【坪井科学技術・学術政策研究所長】  世代ですね。このデータは、博士課程修了後3.5年後時点の結果ですが、社会人も多いので、実は年齢に結構ばらつきがあり、もう既にこれだけばらついている中で、その幅の方にお聞きしている割合のデータと御理解いただければと思います。
 一方、定点調査の中で、いわゆる研究者側でそういうところに関連する意識があったかどうかについては、少し補足をさせていただきます。
【伊神科学技術・学術基盤調査研究室長】  冒頭の議論にも関係しますが、本日の資料の9ページ、10ページ、11ページのあたり、特に11ページをご覧いただけますでしょうか。実績を積んだ若手研究者への任期なしポスト拡充に向けたというところで、この定点調査、同じ方に継続して意見を聞きますので、意見を下げた方々の理由が出てきます。今回下げた理由としては、研究職の定年制ポストがなくなる傾向にあるためとか、教授を含めて全員が任期付きのような場合です。現状の雇用期限の話に関係するかどうか分かりませんけれども、下から3番目に、「教員への道が残るかのようにポストドクターとして雇用しながら、一人も教員として採用しなかった」という意見があります。このあたりは、恐らく基盤的経費等の課題とも関連しますが、こういう意見が十分度を下げた理由としては出てきています。
 他方で、上げた理由としては、新規採用制度が改革されつつあるとか、シニア研究者に年俸制は導入しているということで、この質問に関しては、どうもできているところとできてないところが二極化しているという印象を持っています。
 以上のような記述が、9ページ、10ページを見ると、9ページは若手研究者の自立と活躍の機会を与える環境整備についての記述、10ページは自立的に研究開発を実施している若手研究者の数についての記述ということで、これによると、先ほどコメントを頂いた、今後、仮に調査をするのであれば、どういうような視点を見ていく必要があるのか、議論をしていくときにはどういうポイントなのかという仮説を作る際には、役に立つのではないかと思います。ただ、この多くの議論は、もう既に人材委員会等で指摘されているところなのかなという印象を個人的には持っています。
 以上です。
【宮浦主査】  若手研究者の問題は何回か議論してきましたが、承継ポストの不足という点と、流動性そのものは問題ないのではないかという御意見、あとは、任期が余りにも短いのが問題であると。1年、2年という任期が問題であって、5年任期で再任可の10年スパンで若手を育てる考え方であれば、いわゆる任期付きという考え方もいいのではないかという議論をしてきました。そういう段階で、2016ですが、定点調査ですので、その差がマイナスな項目を重点的に議論していくのが理論的にはいいと思います。若手の問題も問題意識は高まっているものの、質的なものも考える必要があるのではないかと思います。任期や再任、あるいはプロジェクト連動で切られるという問題点の具体化というのは。
【八木委員】  任期が5年か10年かというのは、余り本質ではないと思っていて、それよりも、若手視点から見たときには、若手にとってみてのキャリアパスがどう作られるのかが論点のような気がします。そうすると、流動性で移っていくのも1つですし、同じ場所にいても、キャリアパスとして上がっていくという観点で、任期の問題を考えるべきではないかと思います。
 その意味で、本当に優秀な人が、例えば、7年目にアシスタント・プロフェッサーからアソシエート・プロフェッサーになるのなら、それは任期がリセットされて、またできるというのは非常に喜ばしいことだし、大学のポジションを魅力的にするという気がして、お聞きしました。
【勝委員】  今の観点から言うと、プロジェクトベースでかなり任期付きの研究者を採っていると思うので、その人たちのその後の異動情報があるとよい制度だと思います。テニュアを取ったのか、あるいは、どういう形で異動していったのか情報としてあると、キャリアパスがつながっているということにもなると思うので、その辺のデータがもしあれば非常に重要だと思います。
【狩野委員】  よろしいですか。
【宮浦主査】  どうぞ。
【狩野委員】  この話も含めて、国債を発行しないと今の予算規模を保てなくなっている国家予算の現状があり、また国債の残高が増え続けている状況にあるわけです。その中で、現在、科学分野は主に国家予算からの補助金で動いています。もし科学分野への総額が増やせないとすると、結局、限られた額の中で使い方をどう変えるかということしかあり得ないということと理解します。また、使い方を変えるときの優先順位については、現在のところは、まだ我々の間で統一見解はないと思っています。
 そのときに、優先順位を決める1つの例について、1つ目が研究の方向性として、真理を探求して興味の対象を掘り下げるというタイプのもの、2つ目が社会課題へ対応するもの、そして、3つ目に産業振興のためのもの、とおおよそ分類されると思います。3つ目が一番お金につながる可能性が見えやすいため、昨今比重が高くなっており、1つ目が重要だという人たちがいろいろ言っている状況です。他方で、社会には課題が満ちあふれているため、2つ目の要素も本当は必要ではありますが、余りやっている人は少ない状況だと思います。
 もう一つの軸として、人材については、そういう目的が先にあってそれを担当する人材が次に幸せになればいいのか、最初に人々の幸せがあってその後で成果など何かあるべきなのか、というところもきっとあるでしょう。世代間では、どの世代の人たちを、もっと幸せにしたいかという、うまくバランスが取れないかという問題もあります。若手研究者をどうするかということを違う表現をしたものです。このあたりの優先順位をどう付けていくか。しかも、それが、高度経済成長期あるいは明治時代のように日本がこれから国として出張っていこうということではなくなってきている局面にある現在の状況において、どれが優先されるか。こういうあたりを多分一緒に話をしないと、今までの理想をそのままやれる、やりたい、とはいかないし、難しいと思っています。
【宮浦主査】  どうぞ、高橋委員。
【高橋(真)委員】  ありがとうございます。先ほどの御意見の続きですが、おっしゃるとおりで、それを少し俯瞰するときに、期間が短かすぎると思っていまして、例えば、今の課題の若手のいろんな意見なんかに関しても、2016、17、18年ぐらいだと誤差範囲かもしれません。第1期からの調査項目があるのだとすると、毎年ではなくても、いわゆる基本計画のポイントで、1期、2期、3期、4期とやっぱり目玉があったと思うのですね。それが多分、時差が二、三年はあるかもしれませんけれども、キーとなるクエスチョナーに関してどういう影響を及ぼしているのか、それとも独立に動いているのかを、調査データが20年分あるのであれば、ざっくり見るとことはいいことだと思います。まず、事実確認として、そういうデータを見ることは可能でしょうか。
【坪井科学技術・学術政策研究所長】  資料の2ページに記載していますが、この定点調査は、第3期科学技術基本計画から開始しており、13年分のデータがあります。ただし、質問内容は5年間ごとに変えていますので、必ずしも全てが同じ質問ではないということ、そして、回答者も替わっていますので、これはあくまでも意識調査での指数を絶対化しているので、人が替わると評価は変わるため、期をまたいだ評価は難しいところがあるかもしれません。ただ、対象者は5年間同じ方なので、同じ期の中では、質問ごとに分析することはできるという状況ではあります。
【高橋(真)委員】  ありがとうございます。もちろんアカデミックな厳密性からすると、それをざっくりまとめることは乱暴だと思いますが、クオリティーに関して言うと、いずれの期においても、それなりの見識を持った現場の方たちを母集団としていると思うので、ざっくりしたトレンドを見るのは、何らか我々にサジェスチョンがあるのではと思いました。
 以上です。
【宮浦主査】  今、ざっくりまとめる難しさ、ざっくりまとめて議論すべきかというあたりで、宮田先生は御意見ありますか。
【宮田主査代理】  確かに僕も、回答者の集団を変えてきているので、その解釈は、前より悪くなっているからどうこうという単純なものではありませんが、ざっくりとした比較は意味があると思います。しかし、さっきも言ったように、ここから結論を出すようなものではありません。仮説を立てて、新たな調査を実施し、確信を得るための貴重な材料です。
【高橋(真)委員】  前々回の人材委員会で申し上げましたが、人材育成系の政策の効果測定が余りにも難しく、効果を刈り取るための時間が掛かりますよね。とはいえ、3期、4期では、若手や女性、外国籍等の施策を打っていますし、それがもし3期で期間を、3期と4期で、大学の属性も分けてあるので、理工学部あたりで、それをターゲットにした施策が及ぼしている影響については、逆に、それとのパッケージで見ると、何か見えるものがあるのではと思った次第です。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございました。様々な御意見が出たところですけれども、今後の調査の基盤的データとして用いるべきだという部分と、あとは、やはり人材であるがゆえに、ある程度結果が出るのに時間が掛かるため、1年、2年の上がり下がりで議論できない部分があるという点を踏まえた上で、今後の基盤調査に使っていくという、なかなか難しい議論です。
【宮田主査代理】  この調査には、膨大な予算を使っているので、何とか活用することは重要だと思います。1つ質問ですが、確か、博士課程卒業後のトラッキングをやっている調査があり、それは委員の意見に対する重要な指標を与えるものだと思いますが、その概略を、教えていただけますか。
【坪井科学技術・学術政策研究所長】   2種類あります。一つは博士人材追跡調査で、2012年度修了者の1.5年後と3.5年後の調査と、2015年度修了者の0.5年後の調査があります。
 基本的には修了者全員にアンケートをお願いしおり、回収しています。その報告書は現在、2冊あります。ただ、回収率は30数%程度です。
【宮田主査代理】  これはそれで終わりなのですか。ずっと10年ぐらいやって……。
【坪井科学技術・学術政策研究所長】  今、2012年修了者の、その後の3年後の状態をまた今年度調査する予定です。
【宮田主査代理】  それでは、かなりトラッキングすることにはなると思います。
【坪井科学技術・学術政策研究所長】  はい。あと、もう一つに言及すると、データベースで、これは2014年度からの修了生を基本的に対象としたデータベースですが、こちらは全員ではなくて、参加いただけた大学の方から始めているので、多い年でも、大体その年の2割程度しかまだカバーできておらず、47大学に参加いただいています。ただ、これは、その方をずっと連続的に追える形のデータベースになっているので、そこでのキャリアを連続的に見ていくことはできるとは思います。
【宮田主査代理】  それを使って、新たな調査ができる可能性があるわけですね。
【坪井科学技術・学術政策研究所長】  はい。去年の秋に登録した方の、アンケート調査はやったものがありまして、現在、速報版は出ています。間もなく結果も公開できると思います。
【狩野委員】 短い質問をお許しください。
【宮浦主査】 お願いします。
【狩野委員】 第5期の基本計画開始時点から状況が悪化している質問があります。これらは今回の人材委員会のミッションである、第6期に何を打ち込むべきかということと非常に相性がいい質問だと思っています。このような変化を遂げた理由に対する調査はありますか。
【坪井科学技術・学術政策研究所長】  まだありませんが、どれができるかを検討していこうとしています。
【狩野委員】  よろしくお願いします。
【宮浦主査】  ありがとうございました。トラッキングの面も含め、トラッキング自体も非常に大変だと思います。
【宮田主査代理】  そうですね。
【宮浦主査】  でも、そこから分かることも非常に大きいので、今後改めて議論の時間を頂けたらと思います。本日、ほかの議題もありますので、一旦ここで、この話題については終了とさせていただいてよろしいでしょうか。
 それでは、次のヒアリングに進みます。前回の人材委員会で御意見を頂いたところで、今も話題に上っておりましたが、次世代を担う人材の育成という面では、初等中等教育の段階から科学的な課題研究等、非常に重要であり、優れた指導者の育成・確保も求められています。
 本日は、博士号取得者等に特別免許状を授与することにより、高等学校の理科教育の充実を図る取組をされている静岡県教育委員会から、高等学校における博士人材の活用に関する取組について御紹介いただきます。
 御説明は、持山育央様、静岡県教育委員会高校教育課人事監及び小原快章様、高校教育課の教育主査でます。それでは、持山様から15分程度で御説明をお願いいたします。
【小原静岡県教育委員会教育主査】  御紹介いただきました、静岡県教育委員会高校教育課小原でございます。15分程度でございますが、資料を使って説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 本日は、このような発表の場を頂きまして、まことにありがとうございます。本県では、理科の教員採用において、博士号取得者の特別選考を実施して、ちょうど10年になります。本日は、そのことについて紹介させていただきます。
 資料2ページ目ですが、本県では、静岡県総合計画の基本理念として、「富国有徳の理想郷 ふじのくにづくり」を掲げており、「住んでよし訪れてよし」「生んでよし育ててよし」「学んでよし働いてよし」、の3つの理想郷の実現を目指しています。
 3ページ目です。静岡県の紹介となりますが、静岡県の県の形を我々は、金魚の形に似ていると思っております。大変特徴的な形で、ぴったりと金魚の形に一致しています。このイラストを見つけてきたときの感動たるや、我々は大変大きなものがございました。
 人口については全国で10番目です。富士山が日本一高い山であることは大変有名ですが、駿河湾が国内では一番深い湾であることも、自慢の1つにしています。東京、首都圏から近く、ひかり号に乗れば静岡まで約1時間ですので、非常に便のいい土地であると思っています。
 では、4ページです。本県の目指す教育ですが、「有徳の人づくり」を掲げています。有徳の人とは、みずからの資質・能力を伸長し、個人として自立した人、多様な生き方や価値観を認め、人との関わり合いを大切にする人、社会の一員として、よりよい社会作りに参画し、行動する人を「有徳の人」と称し、いかに育成していくかということを目指しています。
 5ページ目です。では、「有徳の人」を育成するに当たり、本県が求める教師像は、まず、教員自身が学び続ける、学び続ける教員像です。児童・生徒への教育的愛情、教科等に関する専門的知識、教育者としての使命感、人間の成長・発達についての深い理解、広く豊かな教養、これらに基づいた実践力を有している人間、こうした教師像を求めています。
 学び続ける教員であり、こうした求める教師像は、当然、博士号を取得した教員を選考するに当たっても、基本的な部分として大変大切にしています。また、このスライドは本県にとっては大変重要な位置付けになっています。
 6ページ目です。本県の今年度の教員採用選考試験の一般選考ですが、7月6日、7日に1次試験、8月19日から21日に掛けて2次試験を実施しますが、1次試験では、筆記試験、この筆記試験では一般教養と、それぞれの教科の専門と面接試験を実施します。1次試験の合格者に対する2次試験は、小論文と個人面接、集団面接、適性検査を行います。
 では、7ページですが、これは昨年の夏に行われた平成31年度教員採用選考試験の実施状況です。小、中、高、特別支援、養護教員、全体の倍率としては3.8倍でしたが、高等学校をごらんいただきますと、受験者数が876人に対し合格者数143人ということで、高等学校の教員については倍率6.1倍です。前年の倍率が6.7倍でしたので、若干下がりましたが、本県の高等学校については、一定数の倍率は維持できている状況と言えます。
 8ページをご覧ください。では、本日の本題ですが、特別選考に関わる部分を説明させていただきます。特定の資格や経験を持つ者、これについては教員免許状が必要ですが、教職の経験のある方、障害者の方、国際貢献活動の経験のある方、こういった方を特定の資格や経験を持つ者として特別選考の中に位置付けています。
 それから、2番として、教員免許状を不要とする特定の資格や経験を持つ者ということで、高校については、まず、英語のネイティブスピーカーです。それから、民間企業等の経験者、医療機関等の勤務経験者、3級海技士資格のある乗船経験者を、教員免許状を不要とする特別選考の中に位置付けており、この中の1つに、本日の中心的な話題になる博士号取得者を、教員採用枠の中に設けています。
 では、9ページ目をご覧ください。この博士号を取得した者を対象とした選考では、これまで10年にわたり8名を採用してきました。理科の中で、科目としては、物理、化学、生物、3つの科目にわたっています。対象者は、博士号の学位を取得済みの者で、取得見込みでは受験資格がなく、取得済みである方が受験資格を持つことになります。そして、科学の発展に寄与できる人材を育てる意欲を持つ者と位置付けていますが、教員免許状は必ずしも求めていませんので、教員免許状を所有していない者が合格した場合には、本県から特別免許状を発行します。
 この表によると、教諭AからHまで8名がおりますが、人数内訳は、生物が4名、物理が1名、化学が3名となっています。取得学位については、理学、農学、環境科学、工学と多岐にわたります。
 それから、学位授与日から本県での採用年も参考になる情報かと思いますので掲載しましたが、学位を取得後、本県に採用されるまでの年数を見れば、採用時の年齢を大体推測できると思います。
 表の一番右側には、教員免許状あり、なしを記載しました。教員免許状が必須ではない特別選考ですが、実際には4名が教員免許状を既に所有している状態で特別選考を受けています。なしの方は、合格後に特別免許状を授与しました。
 では、次の10ページ目のスライドをごらんください。この10年にわたる受験者数と合格者数を表とグラフに示しました。表の上方には、全体の高等学校の受験者数と、高等学校全体の合格者数を掲載しました。簡単に説明すると、900名、1,000名といった数字が全体の受験者数、それに対して合格者数は140名、150名であり、このような人数が毎年の受験者数、合格者数になっているのが本県の高等学校です。
 それに対して博士号取得者については、受験者数が、初年度の平成22年度が5名、そこから5名、6名、4名、6名、12名、13名、13名、7名、6名、6名と推移しています。科目ごとの内訳では、生物が多くなっています。
 実際の合格者、採用者は、初年度の平成22年度に化学と生物、そして、0名の年もありますし、平成27年が物理、化学、化学となっています。今年度の平成31年度の採用1年目が生物です。
 こうして見ると、受験者数に対して合格者数は必ずしも多くないと感じるのではないでしょうか。その理由は、博士号の取得者は、それぞれの分野でのスペシャリストですが、本県の高等学校の教育において、必ずしもスペシャリストであることだけを求めているわけではないということが、この受験者数、合格者数からも御理解いただけるかと思います。
 次のページ、スライドをご覧ください。先ほどもご覧いただきましたが、本県が求める教師像が、「児童・生徒への教育的愛情」、「教科等に関する専門的知識」、「教育者としての使命感」、「人間の成長・発達についての深い理解」、「広く豊かな教養」、ですので、博士号取得のスペシャリストであるというだけでは、我々は採用できると位置付けることはできず、我々が求める教師像に合致する方を選考していきたいと思っています。
 次のスライドをごらんください。次のスライドは、これも先ほど一部お見せした、1次試験、2次試験の試験内容に関わる部分ですが、この博士号取得者を対象とした特別選考については、一般選考と異なり、1次試験の一般教養を免除し、課題作文を課しています。この課題作文と面接試験において、先ほどの我々が求める教師像に合致する方を選考しようとしています。
 このスライドの一番下に、昨年の夏に行われた教員採用試験における課題作文のテーマを参考までに掲載しました。「あなたの科学観に基づくと、生徒に最も身に付けさせたい力はどのような力か、第1段落で述べなさい。また、第2段落以降に、これまでの研究の体験を踏まえてその力を育てるために授業の中でどのような指導をするか、具体的に述べなさい。」ということで課題作文を課しております。
 次のスライドになります。博士号取得者選考、特別選考合格者の中から2名を紹介します。これは所属の校長先生から、人柄等を聞き取った内容に基づくものです。
 まずは、13ページの教諭Aは生物の教員です。この方は、博士論文のタイトルが、「ヤエヤマサソリにおける単為生殖の研究」で、筑波大学で博士号の学位を取得しています。平成22年に本県がこの特別選考を始めた初年度の採用者です。榛原高校で昨年度まで9年勤務し、本年度から掛川西高校へ異動しています。どちらの学校も県内有数の伝統校で、理数科を設置する進学校です。
 人柄については、「親しみやすく穏やかで誰とでも気さくに話ができる謙虚な人柄」「新規採用教員の悩みを聞いたり、冗談を言い合ったりしながら成長を見守ってくれた」。クラス経営では、「同僚教員も親しみやすいが、生徒からもとても慕われていた」「理系クラスの担任として生徒の話を丁寧に聴き、適切な進路指導ぶりだった」ということです。
 スライド14ページです。授業力としては、「理科好きになってもらいたいという思いが伝わってくる分かりやすく丁寧な授業展開」、「生徒が書く『授業振り返りプリント』を見ると、回を追うごとに記述がより深い思考になっていくのが見てとれた」「理数科課題研究では、研究者の視点で生徒に助言をしてくれたのでレベルの高い研究につながり、榛原高校の代表として県で発表した」ことがあげられます。
 分掌業務では、「自分より若い教務主任を支え、業務が停滞しないよう細やかな気づかいをしていた」。部活動では、「本来は科学部の顧問として活躍の場を広げるべきだったが、学校事情により男子バレーボール部の顧問をお願いした。その指導に毎日、熱心にあたってくれた」。ことがあげられます。
 このようなお話を、榛原高校の校長先生がお話をしてくださいました。我々が掲げた「学び続ける教員」という本県が求める教師像に合致するようなお人柄等が、この部分から見えてくるのではないかと思います。
 15ページです。2人目を紹介いたします。教諭Gは物理の方です。この方の博士論文は、「衝突エネルギー200ギガエレクトロンボルトの陽子・陽子衝突における中性パイ中間子の生成」です。ヨーロッパでの研究経験があり、京都大学で博士号を取得され教員免許状を所有していなかったため、本県から特別免許状を発行しています。
 平成27年に浜松西高校で勤務を始め、本年度が5年目になります。浜松西高校も県内有数の伝統校であり進学校ですが、ノーベル物理学賞を2014年に受賞された天野浩先生がこの浜松西高校の卒業生になります。
 校長先生からのコメントです。「難関大学の入学試験への対応のみならず、大学入学後の学びを意識して、教科書の記述から最先端の研究へのつながりを分かりやすく示すなど、学問の世界への知的好奇心を育てるものとなっている」、「デジタル教材を自作し、効果的にICT機器を活用するなどして、生徒の主体的な思考を促し、現象の背後にある法則性に気付かせるような深い学びとなる授業を展開している」。
 次のスライドです。生徒のコメントです。「学習している単元で出てくる物理現象を映像や自作の図で説明し、イメージをつかむことを大切にしている印象が強い」。それから、物理現象を英語で説明している映像も見せてくれているということです。それから、次の内容が印象的だなと思いますが、「ノーベル賞をとった人たちを紹介しているときに、急に涙をこぼしていた。涙の理由は言わなかったが、研究の苦しみや悔しさのようなものを感じた。私も先生のように研究に熱い気持ちをもって大学での勉強をしていこうと決心した」、というコメントも生徒からもらうことができました。
 次のスライドです。「今後の展望、課題」ですが、本県としては、この特別選考を今後も継続又は発展させていきたいと考えています。マッチングと活用ということですけれども、理数科設置校への配置も含めて、それから、SSHの学校が本県には公立で3校あるため、そういった学校への配置も積極的に検討していきます。
 一方で、博士号取得者を活用していくという観点と同時に、教員としてのキャリア形成について、本県では採用から10年の間に3校、多様な学校を経験してもらおうと、10年3校ということも掲げていますし、ライフステージに応じたキャリア形成も検討事項だと思っています。それから、教員としての基礎的な資質を持った教員が学校で活躍しているということが、2者の紹介からも見てとれるのではないでしょうか。
 以上、本県の博士号取得者に対する特別選考に対する紹介をさせていただきました。御清聴ありがとうございました。
【宮浦主査】  ありがとうございました。非常に興味ある取組で、これまでに博士人材の高等学校における教育への貢献を期待したいという議論がありましたので、その実例として、非常に興味深く拝聴いたしました。
 委員の皆様から質問、意見はいかがでしょうか。
【柴原委員】  茨城県教育委員会の柴原です。
 委員の皆様には、初めて聞く話もあったと思います。以前は、理学部卒の博士取得者が教員になった例もありますが、現在は民間企業の調子がよくなり、博士がほとんど教員にならないのが現実です。
 私は、大学の教員もしていましたので、教育学部、理学部、農学部等も教えていましたが、教員になるときの動機付けが、教育学部の学生は、子供の成長を支援したいという理由が圧倒的に多いんです。しかし、特に理学部の学生は、教科のおもしろさを教えたいという理由が圧倒的に多いのです。ですから、物理、数学に多いのですが、進学校で教えていた方が、定期人事異動により、必ずしも自分が望むような教え方ができない場合に辞めてしまうという例があります。そういうこともあって、私たちは博士を採用したかったのですが、しばらく控えておりました。
 しかし、ここ4年の間に、博士取得者を採用したいということで、採用試験で加点制度を導入しました。一般の採用試験を受けていただくのですが、得点に20点加点して優先的に採ろうと思うのですが、制度を始めて4年間の受験者は3名のみでした。これは全教科で実施しておりますが、国語が1名、生物が2名で、その方々は残念ながら不合格でした。その理由は、自分の専門分野はできますが、採用試験ですから、例えば、生物なら生物全般にわたって試験をします。そうすると、なかなか解答できないのです。私たちが博士を採用したいという理由と、選考方法がマッチングしていないことが原因です。そのため本県では今年から秋募集も取り入れることになりましたが、その中に、例えば、博士取得者を、従来の試験方法ではなくて、別の選考方法で採用できないか、現在検討しています。普通の教員と同じように学級担任もしてほしい、校務分掌もしてほしいという思いもありますが、博士取得者の研究能力はすばらしいものがありますので、その人に合った活動の仕方を私たち自身が考えていく必要があると、現在、模索中です。
 博士の活動で私たちが一番期待していることは、SSHや、これからの授業でメインになる探求活動での指導力です。修士と博士は、私たちから見て、その研究手法、ノウハウが決定的に違うと感じます。博士課程を出た方の能力、研究に対する考え方、分析の仕方を高校生が早いうちから学べば、高校生ももっと伸びると思います。
 博士課程に在籍している方が高校、あるいは小・中学校に行くことは、見方を変えればキャリアパスがずれるわけです。自分が将来想定していたパスとずれるため、ずれてもやってみようという魅力が私たちになければ、おそらく来てくれません。けれども、私たちは博士人材が欲しい。そこで、大学にいながら非常勤講師の委嘱をして、遠隔で授業ができればいいのではないかということも考えています。
 今、私たちの県では、例えば、英語のトップとかプログラムのトップを養成するときに、実際に大学の先生とか博士に来てもらうのではなくて、全部ネットを使用して、遠隔で実施しており、効果が出ています。そのようなことを普通の高校の授業でもできないか模索をしていて、それがうまくいけば、採用はできないけれども、博士の知見を高校に生かせるのではないかと考えています。現実に教員の研修にも遠隔法を使っていて、ある大学の先生をプログラミングの講師として、ネットでの指導をお願いしていることもあるし、子供たちが課題研究に取り組む中で、複数の大学の博士の方に、ネットを使いながら手伝ってもらうということも行っています。私たちはこれから様々な手法を考えていく必要があると思っています。ですから、教員に必要な資質を持った方は当然採用したいですが、それとは別に博士が持つ能力はすばらしいものがあるので、教員にならない方でも、その力を活用できる方法がないかと検討しているのが現状です。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 今の議論は、特殊能力や採用方法、何を見て採用するかという部分で、通常の教科専門試験というやり方と、博士の人材の特殊性で、生かし方が複数あるのではないかという御意見だったかと思います。
 取組としては非常に先進的ですので、実施方法や採用方法等で様々な可能性が考えられると思います。
【柴原委員】  もし博士の方を採用できた場合には、従来のように特定の高校に配置するだけではなく、センター等に配置し、必要に応じて学校を回って指導してもらうとか、そういう形も活用できないか検討をしています。
【宮浦主査】  センターを置いて、そこに博士人材をプールすると言うと、ちょっと言い方悪いかもしれません。それぞれの専門性で求められるところに派遣していくような仕組みがあれば、一般の採用試験を受けて、教諭になるのとはまた別のルートがあってもいいのではないかという意見について、そのあたりはいかがですか。
【持山静岡県教育委員会人事監】  本日は資料として、「オーバードクター等活用事業」を机上に配付しましたが、この特別選考と並行して、本件では平成24、25、26と3年間だけでしたが、オーバードクターを活用するためにこの事業を実施しました。最終的には事業仕分けで廃止になりましたが。
 ただ、この事業のときに、先ほど意見として出た、拠点校に置いておいて、周辺の学校の要望に応じて、そこをフォローするという取組を同時に行いました。学校からも非常に好評だったと思います。本当に良い事業でしたが、雇用状況の回復の展開の中で終了してしまいました。
【宮田主査代理】  1つ質問していいですか。
【宮浦主査】  はい。
【宮田主査代理】  博士の採用というのはすばらしいことだと思いますが、受験者数、合格者数を見ると、別に特殊能力はプラスの評価で、人品骨柄正しく、教師としての性質がいい者を採用していますよね。20名ほど応募して、0名というところもありました。
 そこでお伺いしたいのは、現在の初等・中等・高等教育と大学の関係で一番の問題は入試の在り方ですが、スペシャリストを採用した結果、例えば、アドミッションオフィスの形で、入学者数が増えるといった傾向はあるのでしょうか。
【持山静岡県教育委員会人事監】  データを持ち合わせておらず、先ほどご紹介した生徒のコメントなどから、想像の範疇に過ぎませんが、意欲をかき立てたり、AO入試に対しての適切なアドバイスはできているのではないかと思います。
【宮田主査代理】  実は山形県で、慶應大学の先端生命科学研究所が放課後の高校生をバイトとして雇い、実験を教えて、論文執筆や学会発表を経験させています。そのときの条件は、一般入試ではなく、AO入試で受験することです。高校でどんなに自由闊達な授業をしても、大学受験は創造性をそぐような仕組みになっているわけです。最初は非常に抵抗がありましたが、現在来ている高校生は、AO入試で大学へ入学する新しいキャリアパスを作ろうとしています。この辺まで大胆に教育改革をしていただかないと、おそらく今までのしがらみは切り離せないと思います。
【宮浦主査】  入試改革などですね。
 隅田委員、どうぞ。
【隅田委員】  給与体系や特別免許の更新は、どうなるのですか。
【持山静岡県教育委員会人事監】  まず、免許の更新は10年になります。
 給与について、大卒の初任給は、ストレートに行った場合約23万円ですけれども、27歳で博士といった場合に、大体約30万円となります。修士で25万5,000円ということで、そういう人たちが並行して、同じ年齢、27歳になったときを比較すると、学士卒が28万、修士卒が29万で、博士が30万です。
【隅田委員】  勤務年数プラスアルファぐらいに評価をしてくれているということですね。
【持山静岡県教育委員会人事監】  そうです。
【隅田委員】  2つ目は、動機で、博士号を取ってからしばらくしてから教員になる人が多いと思いますが、どういう動機で教員を目指した人が多いのか、特徴があったら教えてください。
【持山静岡県教育委員会人事監】  先ほど紹介したオーバードクター活用事業で、臨時と非常勤で任用しましたが、その人たちが、その延長上で受験するケースがあったので、何らかの形で教育に関わっていて、それで興味を持ったという方がいると考えています。
【隅田委員】  そういうのが連動しているという印象です。
 3つ目は、先ほどご紹介頂いたものは理科限定ですが、イメージとして、数学や工学とか農学も担当できそうですし、工業学校や農業学校へ赴任することも考えられるし、中学校や、小学校でも専科制が検討されていますから、あっていいと思いましたが、そのあたりは何かありますか。
【持山静岡県教育委員会人事監】  本県の特別免許状の活用は、ここのところ、様々な分野で拡大しています。オーバードクター等活用事業では、理数をはじめ、芸術や体育等の分野にも博士号取得者に入っていただいていたため、可能性としてはあると考えております。
【隅田委員】  男女比はどれぐらいでしょうか。
【持山静岡県教育委員会人事監】  8名のうち、女性1名のみで、7名が男性です。
【隅田委員】  まだ開拓の余地はあるということですね。
【持山静岡県教育委員会人事監】  そうですね。
【隅田委員】  最後1点は、現職の教員が大学院に行く制度があります。私は教育学部なのですが、管理職養成の方が増えていて、教科の専門性を高めたい方は減っています。博士3年間面倒見てくれる現職派遣というのは、現実としていかがでしょうか。
【持山静岡県教育委員会人事監】  大学院派遣でドクターコースということですか。
【隅田委員】  そうです。
【持山静岡県教育委員会人事監】  それは今のところ、ないと思います。
【隅田委員】  現職の先生を、現在修士課程へ派遣しているのを博士課程へ派遣すると増えやすいのではないかと。
【持山静岡県教育委員会人事監】  そうですね。
【宮浦主査】  現職の先生に博士を取得したうえで教育現場に、戻っていただくという方法もあるという意見と、あと給与の部分も、以前から企業に対しても、博士人材が、年齢給だけでなく、特殊・専門領域付加した給与体系が欲しいと言っているところですので、ある程度付加価値をもって、優秀な人をモデルのように採っていただくというようなことも思います。これだけであと1時間ぐらいいきそうなので、お時間限られているところ、ありがとうございました。
  次の話題は、前回の委員会でも御議論いただきましたが、社会において、女性が広く能力発揮する環境作りということが求められる中で、日本の女性研究者の割合は、諸外国に比べて、低い水準にあります。女性研究者の更なる活躍推進を図るということが重要な案件となっていますが、一方で、情報分野への女性の進学を支援する施策の必要性、女性研究者が情報分野で活躍するというところも非常に重要な点です。
 本日は、御自身もデータサイエンス分野の第一線で御活躍されている横浜市立大学小野陽子准教授にデータサイエンス分野における女性研究者の活躍推進について、御紹介をいただきたいと思います。
 先生の御略歴を簡単に御紹介させていただきます。小野先生は、数理統計学や計算統計学御専門、東京理科大学工学研究科経営工学専攻、博士課程修了後、島根県立大学総合政策学部講師、新潟国際情報大学准教授を経て、2011年より現職、横浜市立大学准教授をお務めです。また、スタンフォード大学を中心として世界的に展開されているジェンダー、性別に関係なくデータサイエンス分野で活躍する人材養成をするという目的の活動、Women in Data Scienceの日本人初のアンバサダーとしても御活躍されています。
 それでは、小野先生、15分程度で御説明をよろしくお願いいたします。
【小野横浜市立大学准教授】  横浜市立大学の小野と申します。よろしくお願いいたします。
 本日は横浜市立大学データサイエンス学部の教員としてよりも、むしろ3月末に開催されたWomen in Data Science、(ウィズ)WiDS Tokyo @ Yokohama City University、から見る女性研究者についてお話しさせていただきます。
 資料をご覧ください。
 Women in Data Science、WiDSとは、スタンフォード大学のICME、いわゆるデータサイエンスを研究する組織を中心に2015年に始まりました。Women inとありますが、性別を問わずに、データサイエンスへ人材を誘うために、データサイエンティストを「インスパイアする」、「教育する」、「サポートする」、この3つの柱を中心に行われています。
 2015年以来、全国各地で行われていますが、次のページのマップを見ていただいても分かるように、WiDS2019ということで、日本でもようやく開催されました。WiDSではアンバサダー制度を導入しており、女性が推奨されています。理由としては、ジェンダー的な問題というだけではなく、データサイエンス分野に不足している女性をアンバサダーとすることで裾野を広げる目的から始まっています。そして、アンバサダーを中心として活動し、このような会が行われ、ネットで議論をします。
WiDS Tokyoという言い方を横浜市大がすることに対して非常に違和感がおありかと思いますが、スタンフォードからすれば、東京も横浜も、距離は変わりません。第1回ということで、WiDSに日本の都市が参加するのは今年度が初めてということもあり、東京開催としてはどうかと強く言われました。このような経緯もあり、WiDS Tokyo、アットマーク以降は、その主催団体の名称が付きます。そういった意味で、京都でもいいし、那覇でもいいし、札幌でもいいし、どこでもいいわけです。スタンフォード大学側からは、とにかく裾野を広げてほしいと言われております。世界各国、イベント数もかなり多い状態です。
 次ページ、4ページ目をご覧ください。
 Women inというと、女の人だよねと言われますがが、今、世界的に流行しています。データサイエンス分野だけでも、本大会であるWomen in Data Science、WiDS @ STANFORD UNIVERSITY、こちら、いわゆる本大会なのですが、データサイエンス分野だけでも、これだけあります。AIや、数学、データ、あとは統計とデータサイエンス、それだけではなく、原子力分野であったり、コンピュータサイエンスであったり、多岐にわたります。
 5ページ目をおめくりください。
 では、なぜ今、Women inなのかといいますと、まず、先ほど少し触れましたが、女性限定、Women inと言うと、よく、「僕は男性だから行っちゃいけませんよね」と言われますが、当然、そのようなことではありません。限定のイベントではなくて、所属割合が少ない女性を、この分野へ、まず誘いたい、そのことでこの分野を発展させたい、継続させたいということをいろいろな学術団体で検討しております。その中で行っていることは何かといいますと、企業の中で、自分はどのようなキャリアを築いているか。であったりとか、その女性研究者に限らずですが、どのような研究をしているか。企業でも同じです。企業の主には研究所ということになるわけですが、そうすると、いわゆるGAFAの企業の女性の方々が出ていらっしゃいます。
 そのほか、各大学でどのような研究をしているかということで、チャットのようなこともありますし、いろいろなことがなされていますが、基本的には、この分野楽しいよというようなことだけではなくて、先端のことについても触れるというようなことであり、女性を管理職にするキャンペーンでは決してありません。無理やりに女性を増やすというものではなくて、純粋に、この分野をどうしたいか、我々女性ができることは何か、本当は女性という言葉が外れるのが最終的な目標だと皆さんおっしゃっております。
 「ユニコーン」と書きました。これは何かといいますと、WiDS本体、スタンフォードの教授たちによると、欧米では女性、女の子のよく出てくるアニメーションにユニコーンが出てきます。世の中に存在しないものだけれども、見つけたらうれしいと、そんなことを言いながら、我々は本当はユニコーンの存在であってはならない。けれども、ある意味で、ユニコーンのような女子学生、中学生、高校生を発見し、この分野に興味を持っているような、ユニコーンのような貴重な人材を大事に育てていきたいとおっしゃいます。
 6ページ目、おめくりください。
 では、WiDSとは何なのかという話です。これが先ほど、たくさんありますが、ほかのデータサイエンス関連の学会やシンポジウムとは一体何かといいますと、いわゆるデータサイエンティストを目指そうと言いますと、最近はアメリカ型の、どんどん行けと、高給取りですよ、キラキラしていますよという、オールラウンド型のデータサイエンティストを育成することを目指しているのではありません。もちろん、それを否定するわけではありません。それよりも、むしろ、研究に情熱を持っていて、WiDSという言い方でWomen inと言っているからには、やはり女性ならではの視点ということを入れていくならば、自分の身の回り、周囲の人が暮らしていく上で、よりよい環境を構築するために、私たちのデータサイエンスは何ができるかと、そういったことを考えたい、そのようなデータサイエンティストの育成を目指しているということを言っております。
 次ページ、7ページ目をおめくりください。
 私たちが開きましたWiDS Tokyo @ YCU、長いので略させていただきますが、3月22日、新宿ミライナタワーで、本学データサイエンス推進センター主催で行いました。
 こちら、当日の様子が、スタンフォードとの契約がありまして、動画に全て載っております。御興味のおありの方は、是非とも御確認ください。
 来場者数は、関係者を除き、約230名ほど、男性36%、女性64%でした。ここには記載していませんが、学生、いわゆる大学院生以下の割合は約1割程度でした。
 第1部は、いわゆるWomen inの催しと同じように、データサイエンス領域で活躍する女性たちによる発表や、パネルディスカッションを行いました。その中で、データサイエンスとは一体何でしょうかと。この分野に多くの人材を誘う際の課題は何か。
 今回開催しましたWiDS Tokyoは、SDGsということを非常に強く意識したものでしたので、SDGsとデータサイエンティストとの関係ということについての討論を行いました。いわゆるWiDS、Women in Data Scienceですね。
 第2部が、これが東京の、ほかのローカルイベントにない試みとしまして、アイデアチャレンジ、つまりデータからアイデアを語るコンペを行い、その発表と投票を行いました。
 8ページ目、おめくりください。
 こちら当日の様子なのですが、当日は渡邉大臣官房審議官にもお越しいただきて、未来社会に向けたデータサイエンス人材育成とジェンダーダイバーシティーについてお話しいただきました。そのほか産学の女性のパネリストに発表ということで、いろいろとご講演いただきました、そして最後、コンテストの投票も行いました。
 次ページ目、9ページをおめくりください。 その中で一番話になったのが、モード1、モード2の違いと言われるものです。これも古くから言われている、マイケル・ギボンズのモード論で、少し古い言い回しになるかもしれませんが、データサイエンスって何だろうねということを考えたら、社会に展開するモード2が大事なんだろう。つまりモード2だろうと。データサイエンスは、今までの統計ですか、情報ですか、いいえ、違いますというようなことを中心に話をしました。
 10ページ目、おめくりください。
 日本のといいますよりも、東京の試みとしまして、非常にこれは、本件、スタンフォード、WiDS本体から高く評価されましたが、アイデア・チャレンジとて、新しい働き方、これでデータを収集・分析して、新しいアイデアを社会に提示して、安寧で豊かな、そして持続可能な超スマート社会を築くことを目指すということをモットーとして、オープンデータを主体とする新しい働き方の提案をしてもらいました。これは、一般の部、学生の部、2グループ分けまして、学生の部は、横浜市大データサイエンス学部の1年生女子チームが新しい時代の働き方を、一般の部で、全日空商事株式会社チームが、トイレと頭の回転率を上げようということで、本社、自分たちの会社のビルの中のトイレの、どうやら汐留の方で非常に込むということで、待ち時間というものが掲示されるということなのですね。そういったデータを基にして、木曜日になると、急に夕方になると、みんなトイレにこもる疑問から、全日空グループさんらしい、快適な、ちょっとビジネスシート風な、ラグジュアリー空間での休み方なんていうものも提示いただきました。
 次ページ、11ページ目からは、学生の部のアイデアについて、御紹介をさせていただきます。
 彼女たちが一体何をしたかといいますと、お母さんがデータサイエンティストになるという提案をいたしました。
 12ページから、「データサイエンティストに向いているのは…?」ということで、このようなデータを使って、スキルアップしたい女性が多いことを拾ってきまして、13ページ目、データサイエンティストとお母さんを掛け合わせ、働くお母さんというのはどうかなという提案をしました。
 14ページ目、彼女たちが何を言ったかといいますと、「デーサイ」という省略の仕方を若者がしていますが、デーサイ主婦育成計画と、「育児で始めるデータサイエンス」というところから始めたらどうかということで、15ページ目、16ページ目にあるような主婦育成計画ということで、このような投稿をして、オンライン教育をしたり、あるいは、そのデータサイエンティストになった女性、お母さんたちを、派遣部というものを設立してはどうかというようなことを提案しました。これは、例えばということで、一例としてお示しするというだけのことでございます。このようにオープンデータを基にアイデアを語るということを行ったわけです。
 17ページ目、このようなWiDSの働きというものは、当分、日本の中で展開していきたいねと、皆で話し合っています。データサイエンスの基本は何かということを、先ほどモード論でお話をいたしましたが、ストーリーを語ることではないかということを考えるならば、今後そのデータサイエンスって何だろうというところをもう少し深く掘り下げ伝えていきたいと考えています。
 では、データサイエンスの研究って、そもそも統計なのか、情報なのか、もっと低いレベルで平たく言うならば、データを扱う研究なのか、きっとそうではないはずだ。データで語ると言っておりますけれども、ただ単に統計がデータサイエンスというわけではないのではないか。やはり社会に寄与する研究というのは何かというところ、について、今後、WiDS Tokyo @YCUのメンバーともども、考えていきたいと思っています。
 また、本日は触れませんでしたが、SDGsはやはりどうやっても避けられない、今後継続して考えなければならない問題だと思っていますので、この方向性は継続していきたいと思っています。
 18ページ、おめくりください。WiDS Tokyoのお話はここまででして、データサイエンスと女性についてということについて、少しお話をさせてください。
 シンポジウムの中でも、データサイエンスは女性に向いている、学生からも、在宅勤務に向いてるとか、あと企業の方々からも、やはり女性の勤務形態として、データサイエンティストというのは、うちでもできるという声が上がっています。
 さらには、企業から、女性をターゲットにしたマーケットをほぼ男性だけのデータサイエンティストで解析することに限界はあるため、女性にも、この分野に参入してほしいという声もあります。
 女性ならではの細やかさがデータサイエンティストに必要だという声も実はあります。これは本当に女性ならではなのかということは、昨今の状態からすると本当だと思っています。では、データサイエンスを研究する我々はどうなるのかということについて、少しこれからお話をさせていただければと思います。
 19ページ、おめくりください。
 先ほどの御報告にありました、女性の研究者に関してという項目が多々ありましたが、やはりこのWiDS Tokyoを通じて言われたことは、「女性だから優遇されるという状況が目立つようになってきた」。こちら、実は先ほどの報告の中では、よい点として、たしかあったと思うんですね。これを逆の意味で実は言われました。
 どういうことかと申しますと、20ページ目、データサイエンティスト主婦計画の実現性というところは、非常に実はまだ今の段階では低いと思っております。この学生のような、未来輝く、全ていろんなことがクリアされるというのは、なかなかないということはあるんですが、我々が少し検討しているのは、研究者って、そもそも何だろうねというと、今までのように大学や、研究所にいなければいけないのか、いや、そもそも研究者は研究ができればいいのであれば、論文を書ける環境が担保されればいいのかというような話が出てまいりました。
 2つめに、こちらが先ほどの調査とちょっと重なるんですが、実はWiDSはあちこちの企業の方に御協力をいただき、その際に説明書を持っていきますと、「なぜ、Women inなんですか」と特に女性から言われました。女性の管理職の方々から必ず言われたのは、
 「女性支援は逆支援」ということです。私たちがこれまで頑張って築き上げてきたものを、Women inというような、下駄を履かせるような表現をされてほしくないということで、きつく反応されてしまうこともありました。
 そのときに、そうではないと詳細に説明をしたところ、これが将来的にはジェンダーフリーになっていく活動だと理解してもらい、広く分野広げていくことなんだったらということで、御支援を頂いたということがあり。そういった意味で、女性研究者だからというようなことに対しての女性からの声、男性からの声、両方違う意味であるということを、是非ともお伝えしたいと思います。
 アカデミアにおける女性研究者の新しい働き方を、先ほどのWiDS Tokyoのアイデアチャレンジの中で、是非考えてほしいという話をしましたが、これは洋の東西を問わずか、全世界で、アンバサダー会議とが、このWiDS本体、スタンフォードでの会のところでありまして、そのところで話をしますと、皆さん、口々に時間、何はなくとも時間、予算ではないというような、予算も欲しいけれども、やはり時間が確保できるような予算の支援が一番欲しいと、そういうようなことをおっしゃいます。
 次ページ、21ページ、おめくりください。
 従来型の研究時間の確保というようなことになると、大学でのものというもの、時間を削るということもあったんですが、次、22ページ、少し早めます。このようなことに関して御提案ということで、やはり外のところといいますと、特にイギリスなどではあるということを聞いております。UEA、URAではございません。Education Administratorということで、授業支援をする。これは何かといいますと、本来の意味合いでいいますならば、授業の質を担保するための資料を作ったり、あるいはその提案をしたりということで、もっと積極的に介入するということらしいのですね。ですが、こういったような非常勤講師とは異なって、効果的な時間、授業の指南を行う、授業資料作成などを行うというようなことで、何かしら時間を確保するための、非常勤だと自分が授業に出られないということになってしまう。そうではなく、何かしら補助が欲しい、こういったような支援してくれるスタッフの雇用というものへの依頼というものが、世界では、今、なされているということです。
 また、ライフステージに応じて取得できる研究専念期間のようなもの、ある種、サバティカル制度のようなものでしょうか。こういったようなものを使うことで、今後、女性研究者に限らずに、介護や子育て、疾病からの回復期など、多くの人が利用できる仕組み、こういうものを、現在、データサイエンス分野における、海外においても、いろいろ検討をしているということです。
 一番が、まず女性どうしましょうかというところから、様々な部分で、様々な時期において、ライフステージにおいて、広い人が使えるような時間を確保するための、研究時間を確保するための資金の調達というようなことで御紹介をさせていただきました。
 少しはしょりましたが、以上となります。どうもありがとうございました。
【宮浦主査】  ありがとうございます。データサイエンスにおける女性研究者の活躍推進という話題を頂戴いたしました。
 御質問、御意見はございますか。
【横山委員】 ご講演に対して質問を1点とコメント1点、そして、本委員会に対してコメントが1点ございます。
まず最初に是非お伺いしたいのが、非常にニーズのある情報分野の女子入学者割合が全国的に低い状況にあり続けるのはなぜかという点です。本学のケースで大変恐縮なんですが、平成30年度の修士課程入学者数が、情報科学は223名中12名ということで、5%程度になっております。情報、数学、物理というのは全国的にも非常に女子割合が低く、その改善が、この20年、ほとんど変わらないという状況がございますが、そうした面はどのように御検討されていますでしょうか。
【小野横浜市立大学准教授】  本学に関する例ですが、横浜市大学データサイエンス学部の女子学生の割合は4割です。これは非常に高い割合であるとスタンフォードからも指摘がありました。
 理由について討論したところ、入試の2次試験で数学は課す一方、理科が課されないということがあげられました。
 そのようなときに、やはり女子学生、理科を受験すると、どうしても地方の方からの声としては、医学部の受験を考えるというようなことを、つい言われてしまいます。スタンフォードの方からも、女子学生の割合を伝えたところ、「何したの」と、言われ、自分たちでも、女子学生の少なさに困っているとのことでした。何かということを考えたら、我々、これだけこのようなデータがあるよ、このような、将来広がっているよという話をしても、女子学生はなかなか、例えば、スタンフォードですと、学内にショッピングセンターがあって、テスラとかがあるわけですよね、車の。そういったようなところから、じゃあ、これだけのデータがある、こんなデータを解析してみないかということを問い掛けても、車に興味はありませんと言われてしまうので、やはり低年齢層の教育まで立ち入らなければいけないのではないかと思いました。
 以上です。よろしいでしょうか。
【横山委員】  ありがとうございます。4割というのは本当にすばらしいですね。是非、本学も取り入れられる面があるといいなと拝聴いたしました。
 僭越ながらコメントとしては、ご講演の中にも出てきた「女性ならでは」、というお言葉は、一見女性を応援するのにポジティブに使っているようでいて、実は非常に性役割分担を助長する言葉であり注意が必要であると考えています。ご活動は素晴らしいと思います。
また最後に本委員会に対してのコメントです。経済産業省のデータにおいては、社会ニーズと供給人数のギャップを示したプロットがあり、もっとも需要の高い専門分野は、情報と機械でありました。反対に、生物系は市場でも供給過多の状況が続いています。現在大切な時期であり、次期の基本計画などにも、分野別にニーズの高いところへ配慮した人材供給、特に情報はすでに強化されつつあるので機械等の他のいくつかのニーズの高い分野についても、検討を入れていただくとよろしいのではと思いました。
【宮浦主査】  ありがとうございます。機械、情報、電気等は、歴史的に女子が少ない領域ですね。入学試験との関連も非常にあるのではないかという御意見も頂いたところでございます。
 はい、どうぞ。
【狩野委員】  大変ありがとうございます。
 3月にエジプトカイロであった、Women in Science (https://globalyoungacademy.net/world-forum-for-women-in-science-2019/)という催しに参加して、同じような問題を感じました。
 おそらく、3つの段階があると思います。まず、誰か人材を呼んだときに、その人が自分もできそうと思ってもらえるか。それから、その後で自分もやりたいと思い、なおかつ自分の持つ特徴が活かせると思えるか。さらに、その後、職になると思えるか。この3段階で人材を引き込めると思っています。それぞれの段階について質問があります。1つ目に、先ほどの横山先生の話と関係するんですけど、静岡県教育委員会の皆様がおっしゃったように、深い思考、主体的思考は、おそらく博士号取得者の1つの特徴のようですが、これらの能力を重要な能力であるととらえる一般市民及び女性がどのぐらいもらえるのかという印象があれば教えてください。
 次のステップとしては、自分の持つ特徴を生かすことは、ほかの人からすると、自分と違うことを許容する必要があると思いますが、そういう人たちとどのぐらいお会いになれたか、あるいはどのようにその人たちが増やせるか、もしお考えがあったらお聞かせください。
 3つ目は、職になるかですけど、どういうふうに職にできるか、お考えがあったら教えてください。よろしくお願いします。
【小野横浜市立大学准教授】  残念ながら、そういったデータが全くないという状態です。
【狩野委員】  印象だけでも教えてください。
【小野横浜市立大学准教授】  はい。学生の傾向しかお話できませんが、やはり女子学生を中心に、データサイエンス学部を選んだ理由を聞いてみたところ、「文系でも理系でもない自分」がキーワードで出てきます。そのときに、今まで先生に、「あなたは数学と理科はちょっと苦手だから理系はやめたら」と言われたが、自分はロジックに物を考えていきたいから、数学の点数は低くても、ロジカルな分野で何かできないかと考えたときに、先生から、「数学それだけできるんだから、経済学部に行け」と、指導が入った。それがいいのかなと思っていたときに、データサイエンスの話を聞いて、ここで勉強してみたいと思った。将来、職があるかないかは分からないと、周囲にとめられたたが、自分がやってみたいと思った。とのことです。やりたいという気持ちが非常に大切だと思いますし、研究はやってみたい、自分がどれだけやりたいかということだと思いますので、こういった気持を大切にしていきたいと思っています。
 その中で、理系でも文系でもない層が、どれだけいるのかを、できれば高校生以下から引っ張り出せればいいのではないかなと思っております。
 職についてということではありますが、女性だから就きづらいかというと、最近はそういうわけではないと思います。どういった場所で働くかというときに、企業に、データサイエンス学部では、いきなり大学院に上がるのではなく、まず企業にまず出て、そして問題はどこにあるのかということを分かった上で、大学院進学するように指導していますので、今までとは変わってくるのではないかというのが私見です。
【狩野委員】  柔軟な人や支持者を増やす方法、またどのぐらい出会えたかもありましたら教えてください。
【小野横浜市立大学准教授】  柔軟な人を増やすとは、どのようなことでしょうか。
【狩野委員】  例えば、働き方を変えるといったときに、性別を問わず、今までと違うから認めたくないという人も大勢いると思います。そうではなく、今までと違ってもよい、受け容れて支えよう、という人、これを柔軟な人と申し上げてみましたが、そういう人が支持者に来ないと、変わっていきませんよね。どのぐらいの割合で支持者がいるか。あるいは、支持者を増やせるとしたら、どのような教育をしたら増やせると思いますか。
【小野横浜市立大学准教授】  私自身は今までずっと工学部の数理統計の、分布論を専門としてきました。そして、現在は数学の自動証明を行っていますが、データサイエンス学部所属なので、データサイエンスの研究をしなければいけないと思い、現在は、主観、客観、人の満足度などを、学生や同僚と話しながら研究しています。そのときに、どうやったら人はそれを認めないかということを、研究論文を読んだり、WiDSのスタンフォードでも話がでましたが、真面目な人ほど寛容性は欠けると指摘されました。例えば、「アジアの人は、寛容なようでいて、真面目さと排他的な状態の関連性というものは、どこかありませんか」と問い掛けられました。そのことを打破するための1つとして、頑張れと言われても、何をどう頑張ったら頑張れるのかなとは思ってはいるのですが、真面目にやったら何か未来が開けるかということに対して、今の学生は非常に敏感です。そういったようなことを、楽しいから研究しようというだけではたしてそれはよいのかと思います。けれども、そこは根幹ですので大事だと。そのバランスを持ちながらやっていくということが昔からある大事な基礎の部分で非常に大切ですので、ないがしろにするというわけではなくバランスを保つような研究を、現在、本学では模索しているところです。
【狩野委員】  ありがとうございました。
【宮浦主査】  今回、先生には、データサイエンスの人材をいかに増やすかということ、女性研究者の活躍推進の場になるという視点、また働き方改革など、様々なお話を頂戴しましたので、今後の議論に活かしていきたいと思います。ありがとうございました。
 ヒアリングは終了です。ヒアリングに御協力いただいた皆様に、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。
 委員会としては、この後、第6期の基本計画に向けた論点整理の議論する予定でしたが、既に終了時間です。
 事務局で、論点整理の資料を作成しています。十分に議論する時間はありませんが、今後議論していくということで、説明をお願いします。

○事務局から資料2、資料3に基づき説明。
 
【宮浦主査】  ありがとうございました。 資料3の次期基本計画に向けたたたき台については、今後、この論点整理を改訂しながら仕上げていくことになります。本日は、時間がありませんので、まずは資料3を御覧になり、抜けている箇所や、本日のヒアリングの結果、盛り込むべきことを、メールで事務局宛てに御意見を頂きたいと思います。それをもって、論点整理に盛り込み、次回、議論を少し深めていくという方向性でよろしいでしょうか。
それでは、最後、スケジュール等について、事務局よりよろしくお願いいたします。
【久保基礎人材企画係長】  資料4の方を御覧ください。次回以降のスケジュールについて、御説明いたします。
 次回は、6月上旬から中旬の間の開催を予定しています。議題については、引き続き第6期科学技術基本計画に向けた人材育成政策の在り方について、今回のたたき台のブラッシュアップといたしまして、さらに御議論いただきます。また、ヒアリング等も行いたいと考えていますので、ヒアリングを受けて、さらに検討、充実させていく流れを考えています。
 また、9月、10月頃に、個別の事業について御意見を頂きたいと考えておりますので、また、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございました。本日のヒアリングでは、様々な貴重な御意見を頂戴し、今後の論点整理に活かせる形で進めていければと思います。ありがとうございました。
 本日は、これにて閉会いたします。ありがとうございました。


―― 了 ――


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