人材委員会(第82回) 議事録

1.日時

平成30年11月13日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 3F2特別会議室

3.議題

  1. 最近の科学技術関係人材をめぐる動向について
  2. 2019 年度概算要求について
  3. 第6 期科学技術基本計画に向けた科学技術・学術分野における人材の育成・確保について
  4. 第9 期人材委員会の審議経過報告について
  5. その他

4.出席者

委員

宮浦主査、宮田主査代理、狩野委員、川端委員、隅田委員、髙橋(修)委員、高橋(真)委員、豊田委員、萩谷委員、林委員、原田委員

文部科学省

松尾科学技術・学術政策局長、角田政策課長、坂本人材政策課長、楠目人材政策推進室長、平野大学改革推進室長

5.議事録

科学技術・学術審議会人材委員会(第82回)


平成30年11月13日


【宮浦主査】  ただいまから科学技術・学術審議会人材委員会第82回を開催いたします。本日の会議は冒頭より公開となっておりますので、よろしくお願いいたします。
 本日は、飯澤委員、長我部委員、勝委員、鈴木委員、竹山委員、塚本委員、柳沢委員の7名が御欠席で、宮田委員がちょっと遅れるという御連絡を頂いておりますが、11名の委員が御出席ですので、定足数を満たしております。
 まず、事務局に人事異動がございましたので、紹介をお願いいたします。
【佐々木基礎人材企画係長】  失礼いたします。本年10月16日付けで科学技術・学術政策局人材政策課人材政策推進室長に楠目が就任しております。
【楠目人材政策推進室長】  楠目でございます。どうかよろしくお願いいたします。
【宮浦主査】  続きまして、事務局より本日の資料の確認をお願いいたします。
【佐々木基礎人材企画係長】  本日の会議は、ペーパーレスによる運営とさせていただいております。
 お手元のタブレットのデスクトップにあるフォルダを開いていただきますと、議事次第、資料1-1、1-2、資料2、資料3、資料4、参考資料が保存してございます。
 また、委員の先生方のお手元に、資料1-1、1-2の製本された冊子を配布させていただいております。
 具体的な内容は議事次第に記載のとおりでございますが、議事進行の過程で不備等ございましたら、事務局までお知らせ願います。
 以上でございます。
【宮浦主査】  それでは、議題1に入らせていただきます。議題1では、最近の科学技術人材をめぐる動向ということで、「我が国の研究力強化に向けた研究人材の育成・確保に関する論点整理」と「スーパーサイエンスハイスクール支援事業の今後の方向性等に関する有識者会議」の報告書について御報告をお願いしたいと思います。
 まず、事務局より、「我が国の研究力強化に向けた研究人材の育成・確保に関する論点整理」につきまして、御説明をお願いします。

○事務局より資料1-1に基づき説明

【宮浦主査】  御説明、ありがとうございます。
 議論につきましては、次に、スーパーサイエンスハイスクールの御説明を頂いた後に一緒に議論したいと思いますので、続きまして、事務局より、スーパーサイエンスハイスクール支援事業の今後の方向性等に関する有識者会議報告書について御説明をお願いいたします。

○事務局より資料1-2に基づき説明

【宮浦主査】  ありがとうございます。
 それでは、意見交換をさせていただきたいのですけれども、資料1-1の研究人材の育成・確保の論点整理、今、御紹介がありましたSSHについて、2点についてでございます。どちらからでも結構ですので、自由討論させていただきたいのですが、いかがでしょうか。狩野委員。
【狩野委員】  取りまとめ、ありがとうございました。JSTの自己評価委員会にもいるので、この行政レビューの関連のこともたくさん伺いました。
 結局、SSHをどうしたいのですかという話になります。この方針を考えるうえでの大きな質問として、科学的な手法や考え方をどのぐらい国民に広げたいのですかという質問が横たわっている気がします。科学的な手法や考え方が広く土台にあったうえに、伸びる人はたくさん伸びてきて、科学において優秀な人が増えるというスキームを目指す、ということであるとして、そのためにどうしたらいいのでしょうかという質問になる気がします。
 最近、日本でどうやって科学的思考が取り込まれてきたのかなと思って歴史を振り返ってみました。蘭学の興隆以降、西洋と張り合うという意味で当然、明治時代に一回、科学が流行りました。次に大きくはやるのが、第1次世界大戦のときに科学で強いところが勝ったという話があった時だったようです。ちょうど今、100年目ということになりますけれど、このころに理研も設立されています。その次がおおよそ第2次世界大戦のときに同時に科学の振興が出てきています。次に終戦を迎えて、科学技術を使って国を立て直しましょうという背景でもてはやされたようです。この流れに湯川博士のノーベル賞受賞が来ました。その次のピークは、バブル破綻を受けて、何で国が継続できるかという感覚から科学技術基本計画が制定されて、今に至る、という具合に振り返ることができそうです。
 では今は、一体どういう時代なのか。SDGsもそうですが、世界的にも第2次世界大戦の実体験の上に反省と変革をしてこられた世代から、次の世代へ徐々に交代しつつある中で次の変革のありようが求められている時期かと思っています。そうした社会の中で一体どうやって科学の才能というものを伸ばしたらいいのだろうかという話だと思っております。
 科学とは、「直感」で思いついた新しい考えに、「理由」を付けて説明して人に納得してもらうという働きだと私は思っています。「理由」をつける側面は、特に実験自然科学は日本も弱くはないという印象があるので、私の提案として、「直感」による新しい考えの創出の面をどうやって高めたらいいかという側面の補強ができればという気がしております。
 これがSSHでどうやってできるのだろうかということです。既存の「理由」の上にどんどん関連した「理由」を積んできた専門家の世界だけではなくて、例えば、SSH校に企業の方に来ていただいて「世の中でこんなにもっと解決したいものがあるのだけど、どうしたらいいですか」と高校生に持っていって何かやる、それから、SDGsもそういう一つであって、企業活動に関係しないかもしれないけど、こうやって社会に困っていることがあるから、どうやってやったらいいと思うという話をしたりできるといいなと思うのです。まず理想論から入ってしまいましたが、こうしたことをもし本気でやるとしたら、一体どうやって動いていけばいいだろうか、それがJSTだけでできるだろうか、それから、今、中教審と御一緒してくださっていますけど、そういうところだけでいくだろうかというようなことを今後に考えたらいいのかなという気がしています。
 すみません、せっかく取りまとめて立派なものにしていただいたところで、またひっくり返すようなことを言って申し訳ないのですけど、そういうような大枠を考えなくてはいけない時代になっているのではないかなという気持ちがして発言をいたしました。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 今の話題が、SSHでとんがった人材を将来育成するにはなるべく早く、裾野を広げながら、さらに、将来の研究人材も見据えて育てるということが各所で議論されてきたところが、今回、報告書という形でしっかりまとまったことは非常に意義があると思うのですけれども、シームレスにずっと、小学校、中学校ぐらいから大学を見据えた人材育成という面で、今の時代、どこに一番重点を置いてどうやっていくべきかという根本の議論にもなろうかと思います。
 人材の問題はいつもその辺りが、お立場、お立場で何とかしなくてはいけないという議論が出るところですけれども、その辺りいかがでしょうか。これの何ページをこう直してくださいという段階ではないですけれども、是非この機会に御意見を頂戴できればと思いますが。
【隅田委員】  まず、このSSHのことも自分の感想を少し述べてからお話します。先ほどの御意見にということで、SSH、今回改めて16年を調べてみますと、理系進学者で特に女子生徒の理系進学者はSSH以外の学校と比べて確実に高くなっていまして、それがきちんと高く保てているというか、常に安定してもう出せる状況になっているということとか、各種コンテスト等の研究発表の質、量ともにもう明らかに指定前後で伸びているとか、あるいは、評価の方法なども随分開発されて良くなっているとかございました。
 ただ、高大接続の新しい重点枠が出てきたというように、高校としてこれは非常に大きな新しい取組だったのですが、高校だけで考えていくのに、やはりある程度限界があることが分かってきていることと、Society 5.0のようないわゆる社会の動向や海外の動向を踏まえて、組み直したと。
 特に優秀な子がいるというだけではなくて、やはりそういうレベルの子の数を増やさなくてはいけないということで、これぐらいの規模を担保しながら進化させていく必要があるということはよく分かりました。
 特に高大接続に関していくと、私は今、附属高校に関わっているのですが、大学、特に拠点大学は大学院を中心に改革されているので、学部のところが空白になっていまして、高校との接続の他、入試の問題も関わっているのではないかと思います。
 そういう意味でも、高校の改革と連動して大学の学部教育も考えて、それが大学院とつながると非常にいいのではないかということと、さきほどの広域のようなのはまさにSSHを通した地方創生に非常に大きな貢献があると思います。生徒が減ったりとか、町自体の元気がなかったりというところにSSH校が指定されるだけで随分変わるようなこととか、地球規模のような課題にまさに企業の方が入って、あるいは、起業するような生徒が出てくるような取組も、近年、もう枠を作ってやり始めているということで、今後が期待できると思います。
 それに加えて、学習指導要領、新しい高校の学習指導要領に「理数探究」というものができました。これはもうSSHの成果がまさに全国的な高校教育の質的向上に大きく貢献した、ボトムアップ的な教育改革の貢献だったのではないかなと思っているところです。
 それをどこまで下げていくかというところで、コンテストはもともと高校だったのですが、中学生も参加していいというような条件を付してきているのが増えていますし、JSTがやっているグローバルサイエンスキャンパス事業という大学中心の高校生を、優秀な高校生を大学でというのも、ジュニアドクターという中学生を中心で小学校の上位学年の子供も能力が高ければ参加していいというプログラムが出始めました。
 また、科学の甲子園も科学の甲子園ジュニアが出てきまして、やっと中高、中学校と小学校高学年ぐらいまでは取組が下がってきつつありまして、接続ができるような、やっと準備が整いつつある段階ではないかと思います。
【宮浦主査】  ありがとうございます。裾野拡大の問題と、大学は大学院に目が行っていて、学部と高大接続の側面を強化しなくてはいけないというお話でございます。
 そのあたりが、研究人材の論点整理とSSHは本来かなり関連が深いのですけれども、フェーズが比較的分かれて見えてしまっているので、その辺りを連携させていく視点というのが重要ではないかと思っているところですが、とかく大学院の話題が出ると、本来、高校、中高と学部教育の接続が非常に重要ですね。その辺り。どうぞ。
【萩谷委員】  こちらの別紙の2のところで、高大接続、大学入学後の段階ということで、高校の単位で修めた科目について単位認定という方向性が出ているのですけど、これはなかなか難しいと思います。実際にアメリカのAPのような制度を今後導入していくということを検討されているのでしょうか。
【小田人材政策課課長補佐】  制度を導入するというよりは、こうした高大接続の取組を全国的に広げていき、高校と大学が接続された人材育成プロセスが開発できればいいと考えています。そのため、APのような取組が全国的に広がることを期待して、それが科学技術人材の育成に繋がればいいと考えています。
【萩谷委員】  APというのは日本でも部分的には存在しているようなのですが、その辺が私、よく知らなくて。
【小田人材政策課課長補佐】  はい。部分的には存在してございます。
【萩谷委員】  それは付属高校や大学の間ですか。
【坂本人材政策課長】  今、萩谷委員、あるいは狩野委員、それから宮浦主査から非常に重要な御指摘を頂いて、2点、私の方から申し上げたいと思います。
 まず1点は、萩谷委員から御指摘ありました、このAPとスーパーサイエンスハイスクールの取組を接続するというところの難しさは、スーパーサイエンスハイスクール企画評価会議でも、相当議論になりました。
 これは何かというと、大学が組織的に高校に協力できるかどうかというところですね。これはAPだけではなくて、ここに書いてあるような、例えば学年に依存しないようなカリキュラムの編成、要はどんどん単位を取っていくと、こういったことというのは、今、一部の部局が取り組み始めているのですけれども、多分、全学的にやっているところというのはないかと思います。一部局でやり始めているところは、規程が整備されたと我々も承知しているのですけれども、これから多分そういう流れになっていくと思います。
 ポイントは、先ほど狩野委員、あるいは、宮浦主査からもお話がありましたけれども、いかに若い段階から芽を出し始めている才能を育てていくか、その芽を出している方々に最適なコースを作っていく。これは高校もそうですし、それから大学の学部もそうですし、もっと行けば、高校よりも更に下もできるならやると。ただ、これは教育をする側の方に大変大きな負荷が掛かります。システムが必要になりますので。
 そういったシステムをどうやって作っていくかというところを、我々は今チャレンジし始めています。これはスーパーサイエンスハイスクールの有識者会議でさんざん議論になりまして、ここに一つ、先ほど宮浦主査からお話のあったスーパーサイエンスハイスクールと研究者の育成の間に、ある意味ギャップがあるように見えるところを接続しなければならないというところも我々は考えて始めています。
 といいますのは、この高大接続を検討しているときに、我々は仮説を立てているということを明確に申し上げています。隅田先生はじめ、皆様に議論していただきましたけれども、その仮説というのは先ほど狩野委員からお話のあったその科学的な思考、あるいは、直感というところですね。
 これは何を意味しているのかというと、私もなだ教育学の素人ですけれども、教育学の世界でいうところの認知領域と非認知領域という能力の領域がありますけれども、この認知領域ですね。
 これもある学者の言い方だと、これは二つのカテゴリーに分かれていて、メタ認知領域と自律システムという領域に分かれていて、メタ認知領域というのはいわゆる計画をしたり、モニタリングしたりといういわゆる自己調整能力と言われているものですけれども、その上に更に自律システムというものがあって、これはそもそも自分が取り組もうとする課題の重要性であるとか、あるいは、自己効力感ですね、そういったものが自律システムと言われているわけです。
 スーパーサイエンスハイスクールで特に本格的な課題研究、もう答えがないところにどんどん踏み込んでいる。これは非常に苦しい活動も含まれるわけですけれども、そういったところを先生方と一緒に、あるいは、大学の教員を巻き込んでやって、踏み込んで、成果が出るとコンテストとかに行くわけですけれども、成果が出なくても、まとめるところまで行かなくても、本当の意味での探究というものに踏み込んだ生徒さんは、その後、ものすごく伸びることはスーパーサイエンスハイスクールで出てきています。
 これは多分、非認知領域を刺激して、それが認知領域のいわゆる知識の取り出し、理解、分析、活用と、そういったところをどんどん刺激して、自分で学ぶプロセスというものを築き始めているという、その両方の領域を刺激しているところから、伸びが出てきていることを示しているのではないかと。
 それが、この非認知領域を刺激するところ、教育学の世界でいうと汎用的スキルというふうなことが言われているらしいですけど、これは、先ほど事務局から御説明しました論点整理の方のトランスファラブルスキルの概念に非常に近いです。言葉は当然、研究者レベルと高校生レベルで違いますけれども、ターゲットにしている能力が非常に近いと、これも我々の仮説ですけれども思っております。
 したがって、いわゆる知的洞察力であるとか、あるいは、創造性であるとか、情報分析力であるとか、研究者にも必要な能力というもの以外のところを、具体的にこの論点整理で言うと、非常に細かい字ですけれども19ページの右上にあります。
 この英国Vitaeのフレームワークでいうと、左上のところです。意外と典型的だと思うのですけれども、影響とインパクトですね。他者とともに働くとか、コミュニケーションの普及であるとか、一般社会との関わり、インパクトという、これは我々が分析しているところ、この他者とともに働く、リーダーシップであるとか、あるいは、チームワーク、それから、コミュニケーションと普及、いかにバックグラウンドの違う者に対して、自分の概念であるとか、あるいは、持っている課題を伝達するであるとか、あるいは、社会、一般社会との関わりとインパクトと。これは社会的、文化的な影響力というものを、個、あるいは、ビジネスに対する影響力というものを考えながら、いかに課題を設定するかというところで非常に重要な能力になると思います。
 こういったものも、その右上にあるような知的基盤であるとか、あるいは、認知的能力であるとか、創造性とか批判的思考力とか、こういったものと併せて育てることが重要であるということが、研究者の世界、世界トップレベルの研究者の世界でも言われていますし、スーパーサイエンスハイスクールもそれは見えているのではないかと。
 そうすると、多分、学部教育もこれからは変わっていくのであろうと。そうすると、先ほど話があったAPであるとか、あるいは、学年によらないカリキュラムという話はこれから多分主流になってくるであろうということが今、議論され始めています。このスーパーサイエンスハイスクール、高大接続だけでも議論されているということですので、ここを我々はどう政策的に取り組んでいくかというか、もっと深めていきいたいというふうに考えております。
【宮浦主査】  ありがとうございました。
 それでは、すみません、手挙がっていますか。原田委員。
【原田委員】  すみません、私はこういうことに、余り詳しくないので見当違いかもしれませんが、スーパーサイエンスハイスクールに応募して採択されるような高校というのは、意識が高く、すごくやる気がある理科の教員がいらっしゃるところだと思います。
 それで、そのような教員にすごく負担が掛かっているのではないかという懸念をしていています。レベルを上げるためには、高校の理科教員の質の向上や人の配置などをしていかないと、本当の底上げにはならないのではないかと心配していますが、いかがでしょうか。
【小田人材政策課課長補佐】  おっしゃるとおりでございます。教育には教える先生が大事でございますので、そういった体制はしっかり構築していきたいと考えています。
 御指摘のとおり、人の配置については、これは例えば公立でございますと、教育委員会の支援も頂きながらやっているところでございまして、教育委員会によっては、経験の豊富な先生を配置するようにしたり、あるいは、多めに教員を配置したりといったことも取り組まれているところでございます。
 さらに、広域的にSSHではない学校も含めた指導のノウハウの普及ということもやってございますので、そういった取組を通じて、SSHのみならず、地域全体の理数系教育の質の向上に取り組めるよう、私どももいろいろ促させていただいているところでございます。
【隅田委員】  ありがとうございます。先ほどの視点に加えまして、マネジメント、管理運営に加えまして、大学の教員養成の方でも、こういうSSHとかの高校で指導ができる教員をどう育てるかと。普通の理科の教員とはまた違って、SSHとかで活躍できる教員を養成するという点も大事であるというふうにどこかに書いてもらおうと思っております。
【宮浦主査】  川端委員。
【川端委員】  すみません、今言われたように、負担の話はど真ん中のように思っていて、言われるみたいに、SSHだとか、こういう新しい取組、特に大学院はまだいいですけど、下に行けば行くほど、今までの取組をやめられないですよね。だから、増える一方ですね、こういうプログラムにしても。新しいものが出れば出るほど増えて、人数は変わらないという。このスタイルがもうずっと続いているはずです。
 だから、こういう、例えば事業で誘導する場合に、教育委員会で更にここはケアされてってやると、積み上げ型ですよね。新たに何かを足して何かをやるという。
 だから、こういう事業の公募だとかいろいろなもののときに、何をやめたかというのを評価の基軸のどこかに入らないのかなとずっと思っていて、下に結構行くほど、誰かが言ってあげないとやめられないですよ、中の人間から。ということをどこかにうまく発信していただければと。
【小田人材政策課課長補佐】  SSHの審査などを行う中で、体制がきちんと構築できているかというところも観点に含めております。現場になるべく負担軽減を促すように事業をきちんと実施していければというふうに考えています。
【坂本人材政策課長】  川端委員がお話になっていることは理数教育という限られたことですけれども、まさに高校も大学もマネジメントのど真ん中のところの課題でございまして、今、小田の方からお話をしたように、まず一つは、スーパーサイエンスハイスクールは高校の側のマネジメントの支援になります。特に重点枠の高大接続でしたら、広域連携や海外連携については、それを本当にこなせるだけのマネジメント体制ができるかどうか、作れるかどうかというところがポイントになります。そこは多分、ある程度取捨選択をしないと、これぐらいの規模になりますと高校もやりきれないというところが出てきます。
 もう一つは、賛否両論あるのですけど、やはりどうしても上乗せになるというところもあるので、特にマネジメントですから一番大事なのは人です。人を、特にそれは教員の方と並んで、マネジメントをする人材というものが高校にも多分必要になってきています。産学連携もそうですが、これは我々も本当にそう思います。
 実はスーパーサイエンスハイスクールの高大接続については、10大学程度、こういったことに積極的な大学の先生方と意見交換をしましたけれども、実は大学にもそういう人が要るのだと。でも、特に学部教育、あるいはその前の教育でこういったものを取り入れようとすると、大学の中でなかなか評価されないと。時間ですとか、もうどんどん自分のリソースが削られていくだけだと。ここが何とかならないかと思っています。
 だから、スーパーサイエンスハイスクールで、大学を支援してくれないかと言われたのですけど、これはさすがにスーパーサイエンスハイスクールの事業としては少し難しいですという話をしているのですが、それぐらい、やはり大学側も学部教育、あるいは、高大接続のところを踏み込むというのは相当負荷が掛かるのですね。ここをどうしていくかというのは非常に大きな課題です。
 スーパーサイエンスハイスクールはやはりマネジメント体制を作る、それは上乗せでやる部分と取捨選択する部分をきちっと組み合わせてやっていただくということがあるのですけど、これは高大接続になると、今度は大学側も同じようなことをしていただかないといけないため、そこでさきほどのお話が、部局がどれだけ本気になるかという話が出てくるのです。
【萩谷委員】  関連してですけれども、SSHに加えて、例えば科学オリンピックというものが盛んに行われているのですけど、そういうところに私の同僚の先生が貢献していまして、見ていると、やはり大学の仕事としてというよりは、学会関連の、特に教育という観点での貢献というふうに思ってされている、かなりボランティアベースでされていることが多いと思います。
 ただ、ですから、大学の中では余りそういう活動は評価されないようです。一部のそういう学会等で教育への貢献ということで評価があるのですけど、そこがやっぱり障害になっていて、そういうSSHとか科学オリンピックに貢献する人を探すのがとても大変で、一旦そういう中に入ってしまうと、ずっとやり続けなければいけないというような状況がございます。
 ですから、さきほど予算を付けるのは難しいと言われたのですけど、少ない予算であっても、大学に何かそういう予算を付けて、大学の中で認知できるような、そういう制度を設けていただけると有り難いというふうに思います。
【宮浦主査】  運営の問題。髙橋委員。
【髙橋(修)委員】  やはり高校の現場の先生がどういう力を付けられるかは結構大事だと思いまして、今ふと思ったのですが、高大連携の話も含めて、これまでの事例で、高校と大学の間のクロスアポイントメントみたいな、要は両方の立場を持ってされている、要は高校の先生でありながら大学の先生でもあるというのは、いわゆる附属みたいなものとは違う中でできてきたりはしないですか。何かそういうのって自然の流れかなとは思うのですけれども、それって何が難しいのでしょうか。
【狩野委員】  岡山大学では、1人、高校を退職した先生をお願いして、その辺の調整をしていただいています。
【坂本人材政策課長】  おっしゃるとおり、高校を退官されて大学に入られている方は増えていますね、今。
 ただ、問題は、髙橋委員は多分本質的なところを突かれていると思うのですけれども、そもそも高大接続って何のためにやるのかというところが、もっと大学の経営上明らかになってくればそういった流動性は出てくるかと思います。
 それはどういうことかというと、我々から見て、これは理数だけです。ほかの分野はいろいろ議論があると思います。ただ、理数に限って言うと、AO・推薦入試のアドミッションポリシーを見ても、やはり明らかにリーダー層、理工系の学部のリーダー層の人材が欲しいと書いてあります。
リーダー層といっても、1%とかそういうのではなくて、やはり我々は本当の世界で活躍するのだと、その層の下には国内でアカデミアなりサイエンスなりイノベーションなりを牽引する人材層が必要であって、私は今、本当にこれはもう個人的な考えですけれども、そこは1割ぐらい欲しいと。今、スーパーサイエンスハイスクールは大体一、二学年が主力ですけれども、五、六万人いるんですね。1学年当たり、高校生は100万人いますから、一、二学年で200万人います。五、六万人ですから、大体3%ぐらいなんですよ。
 それを、その人たちが全部リーダー層になると仮定して3%ですから、我が国の場合はそれが1割ぐらいいていいのではないかと。その中から本当に更に1桁少ない人ができると。その1割ぐらいの人数を育てようと思ったら、各大学で一般入試では測れない能力というものを測りながら、どんどん育成していくというふうなシステムができてこないと、このマスというのは多分増えないのではないかと個人的には思っていて、それが大学の教育研究のレベルにも多分影響してくるだろうというふうに見ている大学は今、出てきています。
 そういうふうな形で高大接続を見始めると、では、いかに若い頃から芽を出し始める人たちを発掘するか、あるいは、芽を出させるような機会を与えるかを、高校や大学が考えると。その場は当然、高校ですから、というようなことをやり出すと、要は理数だと課題研究ということになるわけですけど、その課題研究を通じてその高大が本当に連携し始めると。今も研究室ベースではある程度行われているのですが、そういったことを大学の経営レベルに持って上げられるかどうか、多分そこが一つのポイントではないかと。
【髙橋(修)委員】  そうですね。私はもっとシンプルに、今、高校のSSHを担当されている先生の中にも若手の先生とかで博士号をお持ちの先生が結構いらっしゃるので、適当なことを言いますが、逆にその大学の方が、SSHをしている間は、特任助教のような立場で大学の中でも、何か動きやすいための立場があったら、制度上どうこう以前に、両方に普通に入っていけるというだけでも、現場感としては何か提案しやすくなるのではないでしょうか。それで、大学にもSSHの予算をくださいと言っているぐらいだから、そちらの給料を要は高校のSSH側からのあれやこれやでもできるなら、特に仕組みも関係なくできたりしないのかなと思っただけです。
【宮浦主査】  恐らく論点は、質の高い運営人材をやはり大学側、高校側両方にきっちり用意しないと、そういう人材育成ですので、運営をする人材が用意することが重要で、それがなかなか評価されにくい仕事としてかぶってきて、やればやるほど苦しいというような現場感を何とかしなくてはいけないと同時に、クロアポまでいかなくても、人材交流が高校と大学でうまくあるような、博士の若手が研究をしながら、一時は高校に行って、高校1年生に向かって一緒に人材養成するようなシステムがあってもいいのではないかという話題が出たということでよろしいでしょうか。
【萩谷委員】  すみません。確か博士号を持っていると、何らかの特別な免許で高校で教えられると思うんですが、そういう制度をSSHに限って活用を促進するとか、そういうことは可能ですか、可能でないですか。
【宮浦主査】  以前から、教員免許がハードルになっていて、理科を教えられないと。
【坂本人材政策課長】  詳細に理解してなくて恐縮ですけれども、そういう特別な制度を活用するということは当然選択肢であると思うのですけれども、多分そこは教育委員会なり、学校法人の人事ポリシーになってしまうと思うんですね。要は、スーパーサイエンスハイスクール、特別の教員人事体制というのを作るのは、なかなか難しいと思います。
【萩谷委員】  ただ、やはり国としてやっている活動なので、そこを何とかうまく指導なり、できればいいのではないかと思うのですけど。
【宮浦主査】  恐らくその教員免許の問題は、画一的に中学、高校の理科教員免許がないと参画できないのではなく、博士号の取得をもって、英語教育の一部があると思うのですけれども、そういう形で参画できるようなシステムが一部でもあれば、SSHをモデルとして、人材確保にもつながるのではないかという御意見です。すぐにはできないかもしれませんが、検討の余地があるように思います。
 制度上、すぐやるのは難しいですよね。御意見は非常によく分かりますし、恐らく多くの大学側も高校側もそういう意見はあると思います。博士号をもって何か参画できるようなシステムができれば、先ほど特任助教、博士を持っている若手が参画できるということに繋がりますので、今後の課題になってしまうと思うのですけれども、是非、御検討をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
 高橋委員、どうぞ。
【高橋(真)委員】  ありがとうございます。2点ほど。
 1点目は、坂本課長がおっしゃった産学連携と一緒の課題という意味でも、SSH関係で主査がおっしゃった運営人材の件です。新しい課題としては、プロポーザルを書くことがうまい人がいると、やっぱり採択しやすいというのは現実だと思います。
 そういうノウハウを超えて、本当にいいものを拾い出すことによって裾を広げていくという意味では、やはり大切な知見が溜まるのは、事務局である文科省だったり、JSTだったり、あと、審査委員の方達に期待したいところです。
 SSHもかなり歴史がある事業だと思いますし、事業の全体枠を理解している方達が面白いと思われるようなところを裁量で発掘できるような、そういう枠があってもいいと思います。とりわけ高校、中学、小学校になるほど現場が忙しく、プロポーザルを書く経験の差が大きいだろうという前提で申し上げる次第です。これ、1点目です。
 2点目は、大きな話ですけれども、狩野委員が最初におっしゃったサイエンスというのがどういう意味があったという歴史の俯瞰というのがやはり今後すごく重要になると思います。10年後のことがますます予見可能性が低いという前提があるからです。
 そうすると、今我々が言っている若手研究者人材が、10年後にどういう能力を持っているとより優れたものになるのかというのを、今までの経験値の延長線上で考えても、限界があるということを感じています。
 ポイントになるのは、10年後の社会がこういうふうに大きく変わるのではないかという、そういう長いレンジの話を、具体的な課題や政策にどういうふうにしみ込ませて一緒に議論していくかというところがすごく重要だろうと思っています。
 将来構想委員会などで将来のことについて理想的なあるべき姿を話すのは、ある種簡単で、むしろ、その理想像をどのような局面で、動いている施策に、短期的・中期的な時間軸をふまえ繰り込んでいくかというところが、重要だと考えています。
 10年後に持つべき能力の大変化の一例としては、5年後に論文の書き方が大きく変わる、と感じている若手研究者はかなりいると思います。先行研究のかなりの部分は、自分で考えなくてもかなりのものが出てきてしまうし、データもある程度予想が付きます。なので、実験計画はある程度のところは何かうまいソフトがあると多分できてくる。なので、実験の意味が確認に変わってくる。そうすると、ディスカッションの部分だけが著者の個性を出すポイントになるのではないか。
 つまり今、小説とか音楽もそうですけれども、論文がある種、AIのようなものでかなりプロトコルのいいものができてしまうよねという話があります。なので、研究者の、論文はどんどん出るけれども、雇用される枠はやはりどんどん減っていくのではないかという悲観論でした。
 そういうのが、多分、生物系だったり、物理系だったり、理論だったり、実験だったりで、少し差があると思うのですけれども、科学研究、実験活動のリアルというのは明らかに変わってくる。こんな変化を若手層は実感をもっていると思うのです。10年後に持つべき能力などを考えるときは、そのような変化を踏まえた話ができればと思います。
 以上です。
【宮浦主査】  今、お話がありましたチャレンジ型というような視点も今後考えていただければということと、5年後、10年後、特に中学、高校の人材育成においては少し長期スパンの議論も非常に重要だということだと思います。
 狩野委員、お待たせしました。
【狩野委員】  とんでもないです。
 3点、坂本課長と高橋委員が拾ってくださったので、1点目はそれに関係してです。
さきほど「直感」の話を申し上げましたが、誰か「偉い人」がそういうことを言ってないかなと思って調べましたところ、アインシュタインが、「直感は人間にとって素晴らしい贈り物で、理性はそれに対するサーバントだ」「でも、我々の社会は、贈り物よりもサーバントを大事にする社会にしてしまいましたね」という言葉がありました。「直感」の方も大事にすると何かいいことがあるかというと、今、多様性が大事だと言っていますけど、多様性の実現のための一歩である可能性です。例えば女性でないと思い付かないようなこととか、都会でなくどこかの地方に住んでいないと思い付かないようなこととかは、直感によるところと思います。その内容に科学的、つまり「理由」付けもできると、「直感」から出た内容も、さらに一般化されて、より広く通用できる内容になるかもしれません、ということだと思っております。「理性」の方については、「理性」の延長、つまり、基本「理詰め」によるシステムを基盤に動いているのがAIとかロボットです。つまり「理性」側はAIなどが、人間よりも優位に立ちうるのです。けれど、誰もまだ言っていない内容を感じ取る「直感」と、特にその内容に人間として意味づけを見出すところは、人間しか持てない能力だと思います。ですから、今からの世の中で、ここを教育において重要視するというのは大事かなと思います。
 2点目は、では、「直感」と「理性」による科学の活動に、どういう若い人が入ってきてくれるかという、その裾野を広げるところを考えたときに、魅力をどうやって伝えるかということが非常に大事だということです。今の時点では、「研究とか科学とか、自分と関係ないよね」と思っている人をいっぱい見かけるのですが、この人たちが「自分も関係する」と思ってもらうには、何かしら彼らの世代にうまく受け止められるような魅力の伝え方をしなくてはいけないのではないか、という意見が最近、学生から聞かれます。例えば、企業に行くと科学の研究をしていたのが何か役に立つのですかというような質問には余り明確な答えが見えてないような気がします。あるいは、インターネットからの情報に慣れた人たちにどういうアピールができるのか。これらがうまく発信できるようにするというのは、政府の仕事のみではなくて我々自身の仕事でもあると思いますけれども、この点も考えないといけないなと思います。これは今まで出てなかった論点だと思いましたので。
 3点目が、学習指導要領の内容を振り返って見る機会もあったという内容です。学習指導要領は、昭和22年に案が作られました。このときの「理科」の項に、科学的な考え方は、理科だけでなく、社会をはじめとするいろいろな教科、それから、教師の行動、学校の経営にさえも通底すべきものであって、そこが科学的な考え方に逆行する教育が行われていた部分があったので、ここまで進み方を間違えてしまったのだ、という表現が見られます。
 それが、昭和35年に確定した指導要領を見ますと、理科の教育の指導方針は、自然を愛すること、そこから多少疑問を見出してもいいけれど、といった表現になっています。やはり社会で科学の考え方をうまく受けられなかったんだということが分かった気がしました。現在、その当時よりも科学の考え方がより広まる中で育ってきた方々がまた増えている時代だということを期待すれば、今だからできることが何かというのは是非考えてみたいところでもあります。先日、「政府に対する科学助言」の国際会合(INGSA)がありました。そのときにEUの人たちから出てきたのが、「啓蒙主義」に基づいて科学を今までEU、ヨーロッパも進めてきたのだけれども、今度、ホライズンヨーロッパというホライズン2020の次の科学技術政策を作るときには、その次を考えなければいけない気がしているぐらいに行き詰まりを感じているとのことで、そこに是非アジアからのインプットが欲しいという話でした。我々は、科学は輸入した側ではあるけれども、明治以来150年も育ててきましたので、是非ここで何か我々からのインプットができるといいなと思っております。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 このまま議論を続けたいところですけれども、すみません、本日は案件が多々ほかにもございまして、司会の不手際で申し訳ないですけれども、次に移らせていただいてよろしいでしょうか。
 それでは、議題2の2019年度の概算要求についてでございます。議題2でございますけれども、次年度の概算要求について御議論いただきたいと思います。事務局より御説明をお願いいたします。

○事務局より資料2に基づき説明

【宮浦主査】  ありがとうございました。来年度予算、概算要求の新規事業、継続事業について御説明いただきました。
 御質問、あるいは、御意見等、いかがでしょうか。林委員。
【林委員】  御説明ありがとうございます。新しい世界で活躍できる研究者戦略育成事業であるとか、あるいは、国際競争力強化研究員事業とか、若手の活動、特に国際化等の活動を組織的に支援するというのは、私、非常に重要だと思っていて、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムって、日本、科技庁と経産がずっとやっている話ですけれども、それの評価に携わっていて、若手グラントという、若手が国際的な共同研究をするものにファンドをするであるとか、若手フェローシップとかあるのですが、日本からの出願が非常に少ないという状況があり、評価の場面で調べると、やはり若手が自分で国際的な共同研究者を見付け出して、そして、それを運営していくということに非常に難しさやハードルを感じていると。そういうものを、こういう形でメンターを付けて支援していくというのは非常に重要なことだと思います。
 ただ、一方で御質問ですが、世界で活躍できる研究者育成事業で4機関公募するという形ですけれども、この4機関がどうなるかと。例えば、旧帝大みたいな大規模な大学が4機関という形を取るのか、それとも、この右にプログラム開発普及委員会という形でモデルを普及させていくという仕組みを入れているのは非常に重要なことだと思うのですけれども、中小規模のモデルとか、幾つか想定されるモデルがもう既にある。今だってコンソーシアム事業もあり、これまで様々な事業をやってきて、ある程度想定できる気もするのですけれども。
 そうすると、例えば大規模な4機関を選んで、キャパがそれだけあるところには使えるモデルかもしれないけれども、ほかの大学には使えないというのが出てきてしまっても困るので、もしかしたら既に御検討いただいているのかもしれませんけれども、幾つかのタイプの中で優れたものを選んで普及させていく仕組みがあったほうがいいのではないかと思うのですけれども、いかがでございましょう。
【浅井人材政策課課長補佐】  概算要求に当たって内部で検討している状況ですけれども、基本的には大学におけるシステムをどう変えていくかという事業なのですが、全ての大学においてこの世界で活躍できる研究者育成の仕組みが必要なのかというところは我々もかなり議論しました。
イギリスは全国で8ブロックに分けて研究者育成をしていて、拠点の大学が周りの大学を巻き込んだ形でシステムを作っています。かなり大人数が参加するプログラムもあり、また、ある大学から少人数だけが参加するプログラムもあるようです。
今、我々が想定しているイメージとしては、中心となるような大学を採択して、その大学が周りも巻き込んで、だからこそコンソーシアム形式も可というふうにしているのですけれども、周りを巻き込んだ一つの研究者の育成システムとして確立していただくという形を考えております。
 そのため、大規模のところは一つの機関が行うという形もありますし、周囲の機関が協力して一つの大きなシステムを作っていただくということもあり得るかというふうに考えております。
【林委員】  ありがとうございます。地域であったり、あるいは、その規模であったりと、それぞれの創意工夫でコンソーシアムを組んで出してくるという、そういうイメージということですね。分かりました。ありがとうございます。
【宮浦主査】  ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
【萩谷委員】  一つの意見ですけど、同様の意見を学振の委員会で申し上げたことがあるのですが、国際協力に関してはこういう個別の事業とか、それから、少数の拠点で推進していくという方法もあると思うのですけど、一方、例えば小規模の科研費であっても、必ず研究組織の中には外国人を入れなければいけないというような、そういう条件を付けると、どんな科研費であっても、とにかく何か共同研究しなければいけない、国際共同研究が必要だというような状況になると、多分、反発はあると思うのですけれども、そういう裾野で広く国際協力を推進するという方が多分、何年か経って効果が出てくるのではないか、という意見を申し上げました。
【宮浦主査】  波及効果の重要性というのが非常に重要な点かと思いますが。
 ほかに御意見ございますか。狩野委員。
【狩野委員】  SSHの関係で追加です。SSHを取れた学校に所属している生徒さんは、「運が良かった」となりますけれども、取れていない学校にいるけれど科学が好きな人たちはどうしようかという問題が多分あります。SSHが取れるかどうかはその生徒の問題ではなくて教員の方の問題なので、何か上手に、所属は変えなくてもいいと思いますけど、そうした生徒さんたちがSSHあるいは科学の活動にアクセスできるようなことも考えていただけるといいのかもしれません。
【宮浦主査】  宮田委員。
【宮田主査代理】  幅広いいろんな支援の手を用意したというのは非常に重要だと思います。大学や大学院になったら実はもう遅いと思っていまして、このスーパーサイエンスハイスクールとか、小中高向けのプログラムに大いに期待しています。
 実は昔、千代田区が毎週土曜日にこういう少しIQの高い小学生を集めて物理の実験を徹底的にするという実験的なことをしていたのですけど、たまたま私がそれに選ばれて、実験で物を落として放物線を観測しました。でも、大気中なのでYイコールXの二乗にはならないんですね。その微妙な違いを生意気な小学生が言うと、おまえらの方が間違っていて式が正しいと言われて私は物理に疑問を持って、生物学に走ってしまったのですけれども。
 要するに、どれだけそういうインスパイアすることができる教員を供給できるかというのはとても重要で、それが今の既存の小中の理科の先生の一部にはいると思いますけど、全部ではないと思うので、そこを例えば大学院の学生さんを利用するとか、いろんな人材を多様化した方がいいのではないかな。多分、間違っている例も大いにあると思いますけど、それでも、今の既存の教育の延長線上のスタッフでするのは非常に無駄だというふうに思っていますので、そこを是非御配慮いただきたい。
 それからもう一つは、あくまでも、どうやらこういう小中高に対してすると、お勉強になってしまうのですけど、今、鶴岡でちょうど8社目のベンチャーができて、20ヘクタール、イノベーションのそのエコシステムができたのですけど、慶應の学生と話してみると、中小企業の経営者の御子弟が多くて、もう小中高の頃から、おまえは後を継ぐんだとか、新しい事業を起こすんだとか、そういう志を持って大学へ入ってきています。だから、スタートが早いのです。
 そのスタートの早さというのが、実は全世界的な起業を見ると、若い子たちがどんどんしていますので、小中高、スーパーサイエンスハイスクールも含めて、是非、お勉強だけではなくて、イノベーションというようなところも必須科目として入れていただきたいというふうに思っております。
【宮浦主査】  川端委員、どうぞ。
【川端委員】  すみません、世界で活躍できる経営者戦略育成事業ですが、さきほどからじっとこればかり見ているのですけど、さきほど林委員が言われたように、大きい大学、中規模、地域、中央、首都圏、いろんな方法があって、そこに個性化するから、初めていろんなものが出てくるという一方の本来の形がある。
 他方、今、大学を統合化するだとか、一律にとかいう話があって、一律というよりも大規模化するという話があって、この事業が一体どこに向かおうとしているかというグランドデザインが重要だと思っています。
 そういう意味で、ぱっと見たら、確かに大手の大学でもコンソーシアムを作り、そこにツールみたいなものがあって、どこかから、例えばイギリスから持ってきたようなシステムではない世界がきっとあるだろうと思っていまして、だから、大きいところだとかそういうところの方法と、中規模とか、もっと小さいところの方法がきっとある。その効率はと言われると、そこはまた違う意味の効率という軸があるのだろうと思っています。
 先ほどのお答えを聞いていたら、何となくコンソーシアムみたいなものがイメージされている世界があるので、それが本当にゴールかどうかというのは少し違う形があっていいのではないかなという、そんな気がしています。ましてや、これの左下にある地域マネジメントとか、いろんなものが絡んでいて、それこそ、各大学で地域マネジメントだとか、活性化の仕方は違ってくるはず。
 そういうものにも関係するとすると、余りコンソーシアムみたいな大きなシステムだけ作って、最後に良かったねと言ってそのうち消えていくということになりかねないので、作り込まれるときに御検討いただければと思います。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
【浅井人材政策課課長補佐】  御指摘はありがとうございます。一律のプログラムを想定しているわけではなく、実際はメニュー化というようなイメージで、必要な人に必要なものをというのが選択できるようなプログラムを作っていただきたいなというふうに考えております。例えばコンソーシアム形式である一つの大学がプログラムAとBを作り、中心となる研究者にはAを、その他の研究者にはBだけ行いますというような形もあり得るかと思いますし、研究者によっては、先ほどのインパクトに係るスキルだけが足りないので、そこの部分だけを重点化するという形とか、いろんな方法があるというふうに思っています。
 そこは、大学が研究者を世界トップレベルに育てるにはどうしたらいいかということを考えて、メニュー化をしたり、階層分けしたりして、どのようにやるのが一番いいのかというのを考えられるような仕組みというのを考えていきたいと思っています。
【坂本人材政策課長】  補足させていただきたいと思うのですけれども、今の川端委員の御指摘はまさにど真ん中の点を御指摘いただいたと思うのですけれども、ある意味、陥ってはいけないところを先に指摘していただいたなというふうに思います。
 これは先ほど高橋真木子委員と、それから狩野委員がおっしゃった大きな科学技術政策の流れとか、あるいは、その歴史にどう学ぶかというところにつながってくると我々は考えているのですけれども、要は、研究者を育てるというのが、これは産学連携もそうですけど、個別分散的に活動している場合が非常に今、大きい。
 我が国にとって資産というのは、もう資産というか資源は限りがあるので、いかに規模の経済を活用する部分と、個性を伸ばす部分の両方をシステムにするかというところがポイントだと思います。
 当然、エフォート管理だとか、あるいは、人事給与マネジメントは個々の大学の経営方針がもろに利いてくるので、ここはもうそれぞれの特徴に応じて作るべき部分だと思うのですけれども、例えば異分野交流であるとか海外研鑽であるとか、あるいは、Vitaeにあるような能力開発というのは、これは少数でやるよりも、マスがあった方が絶対いいです。
 イギリスだけじゃなくていいのですが、こういう能力開発のシステムを国土全体に対して張りめぐらせるとか、そこから学ぶべきだと思うのですけれども、研究者の方はこれ全部、さっき4象限のお話を少ししましたけれども、これを全部学ぶ必要は当然ないわけです、先ほど浅井も申し上げたように。自分は当然、持っている能力もあるし、そこは学ばなくていいと。でも、ここは足りないというところをいかにそのときにその必要な分だけその能力を取りに行くかという、そのシステムを作るというのが、各大学では多分無理です。
 あるところに集約して、そこに近隣の大学が取りに行くと。また持ち帰って、そこで能力を、自分の研究姿勢の能力を高めていくということをどんどん繰り返すというふうな、そういうシステムというのをこれから我々は必要とされているのではないかと。
 だから、個別の大学なり研究所でやれることには限界があるということに我々は直面しているので、そこをどうやって突破するかということは一つのポイント、そこはコンソーシアムということで申し上げましたけれども、もう少しきちんと洗練された構造が必要になるのかなというふうに思っています。そこをどう作るかというところを外国から学ぶということが必要かなというふうに考えています。
【宮浦主査】  いずれにしましても、波及効果といいますか、大型大学とか体力のあるところが個別に4箇所でやって修了というのではなく、是非、波及効果を及ぼすということをマイルストーンに近いような形で運営していただくと、効果的かなと思うのですが、その辺り、今後御検討いただければと思いますけど、いかがでしょうか。
【豊田委員】  最近よくエビデンス・ベースト・ポリシー・メーキングのようなことがよく議論されているかと思います。この文科省の一連の行政の中でも、よくデリバーはするけど、どうだということを議論することはまさにあると思います。
 このテーブルにおける議論は比較的、そういう中で言うと、例えばあえて博士人材という部分に限って言うならば、そういうトレースと言えばいいんですか、そういうことが恐らく本当はやりやすい領域なのではないかと。
 ベタに言えば、卒業生調査的なことをいろんな大学はやっていますけど、なかなかうまくいってない中で、博士人材というところ自体をもう少し追い掛けていく、各事業の多分成果ということの検証も併せてなのでしょうけど。既にいろんな実績が生まれてきている中で、これは多分、予算一個一個のことではなくて、多分それをどういうふうに検証していくかということだと思います。
 もうこれだけ9期も来ていますので、何かそういうふうにもう少し数字を見ながら検証していくというステージに来ているんだろうなと。幾つかのものは多分数字でも幾つか検証されていると思いますけど、もっと個人がどうなったかと、まさに投資した部分がどういう形で成果を生んでいるかということに関しては割ともう少し細かいところでの検証みたいなことをされてもいいのではないかなということを概論として感じました。
【宮浦主査】  その辺りも是非、今後検討いただければと思います。
【髙橋(修)委員】  科学技術イノベーション人材の育成という意味では産業界もやはり無視できないと思うのですが、そのときに今年、大枠で言ったときに、次年度に何が大きく変わるのかというところで、例えば卓越研究員は変わりそうなのかなというのが見えたのですけれども。
 産業界に対して期待すると言うと、産業界側から見ると何も変わってないなと、既定路線にも見える可能性があるのですけど、もしアピールポイントや、産業界に期待することがあれば、全体像でも結構ですので、コメントを頂きたいです。EDGE-NEXTや卓越研究員、場合によってはSSHも、そういうところも含めてできることがあるのではないかなと思うのですけど、その発信という意味では少し見えにくい部分があったので、補足を頂ければ、私が学びたいなと思います。
【浅井人材政策課課長補佐】  先ほどもまさに御指摘いただいた卓越研究員事業は、ブリッジプロモーターによるマッチングをどのようにやっていくかについて、企業の方に伺ってみますと、博士課程人材の方で特定の分野をやりたいという人も多く、採用しにくいという意見と、優秀な人は大学の方でもポストが提示されてしまってそちらに流れてしまうという現実があるという意見とがございます。
 一方で、研究者の側に話を聞きますと、企業の方は、企業に入った後のキャリアパスが見えてこないと。アカデミアの方は何となく周りでどういうふうにしているのか分かるのですけれども、企業に入った瞬間に、消息が途絶えてしまって、どのように研究を進めて、どのように人生設計をしているのかが分からないという話がありました。
 そこの部分は、我々としては、企業にポストの提示をお願いに行くたびに、情報発信をお願いしておりまして、企業の中での研究者のモデルケース、結局は身近にそういうロールモデルがあるかどうかというところで人というのは動いていきますので、そういうところを是非、企業側にはお願いしていきたいと思っております。
 共同研究や受託研究というのは、大学で実際に企業の研究をやっていただくという形ですので、それが外に見える形で研究ができるのでないかなというふうに考え、仕組みを入れさせていただいています。
 それに加えて、ブリッジプロモーターによって、企業がどういう人材を欲しているのか、また、若手研究者も書類上はこういうことがやりたいと書いてあるけど、実際はどこまで広がりがあるのかというところをうまくつなぐ仕組みにしていきたいというふうに思っております。
 なお、本日の資料にはないですが、JREC-IN Portalの方で、よりマッチングがしやすくするような改修をしようとしておりますし、また、企業に入った場合にどうなるかがより身近になるよう、企業でのキャリアの事例みたいなものもコンテンツとしてアップしていきたいと思っております。
 こちらからも働き掛けたいと思いますけれども、卓越研究員の説明会においても、企業に入った方のキャリアパスがなかなか伝わらないことがあります。そのため、もし機会があれば、企業に対しては、企業の中でどのように研究者が活躍しているのかというところを併せてPRしていただけるよう、是非、皆さんもお声掛けいただければと考えております。
 それが、キャリアに不安を持つ博士課程の人に、企業でもこういうキャリアパスがあるという事例にもつながっていくのではないかと考えております。
【宮浦主査】  新たにブリッジするシステムを入れたということと、産業界に進んだ方の見える化なども進めていくという改善策でございます。
 隅田委員。
【隅田委員】  国際競争力強化研究員事業のところで、支援人数が90人になっているので、個別支援かなというイメージを受けました。こういう若手の支援は個別が多くて、でも、こういうネットワークを作るのであれば、グループでやりたいとか、あるいは、サポートシステムがあるのでいいですけど、受入れ先が同じであれば、マッチングをして同じようにしてみるとか、個人ではないようなパターンも作ったら面白いのではないかなと思いました。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 これ、基本的に個人ですよね。
【浅井人材政策課課長補佐】  基本的には個人です。海外に行く前に、行く方々の関係を作った上で行っていただこうと考えおり、また、メンターの部分の設計が大事だと思っておりますので、御指摘を踏まえて対応したいと思います。
【宮浦主査】  まだ御意見あるかと思うんですけれども、本日の残り時間で、第6期の科学技術基本計画について多少お時間を頂戴したいと思いますので、次に進ませていただきます。
 議題3でございます。第6期の科学技術基本計画に向けた人材養成の論点整理でございます。先ほどの議題1でも御議論いただいたところでありますけれども、第6期を見据えまして、内容を検討していく段階になっていると考えております。資料3について、御説明をお願いします。

○事務局より資料3に基づき説明

【宮浦主査】  ありがとうございます。
 第6期を見据えますので、少し中長期的なことも視野に入れていく必要があろうかと思います。また、最後のところ、その他のところで分野横断型、あるいは、文理融合型などの視点を入れていく必要があろうかということで、話題としては繰り返しになりますので、是非、第6期に向けた視点で、この辺りは強化しておくべきというような御意見があれば、是非お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。狩野委員。
【狩野委員】  さきほどと同じような内容をこのスキームで申し上げるだけですけれども、教育内容として課題を共有しないと、マインドセットが従うだけになる気がしておりまして、今何に困っているのかを知らない人が多い気がしていますので、これを教育するという方向が一つ入ったらどうかと思います。
 それに対して、あなたはどういう疑問を持ちましたかというところと、さらに、さきほど宮田さんがおっしゃったように、それに対して、いい疑問だね、でも、今、解き方を知らないんだということが教えられるともっといいと。そのトライアウトが入るとよいのではないかと思います。
 そういう何かお題目みたいなものが政策に書いてあったからどうなるかはよく分かりませんけれども、ただ、それは大事なことかなと思っております。
【宮浦主査】  ありがとうございます。課題設定型を、やはり今後の第6期に向けて、非常に明確に打ち出しておく必要があろうかと。
 川端委員。
【川端委員】  今日の話にも出ていますけど、これから先行きは非常に不透明になっていて、予測するのもしんどい。一方で、こういう育成ものというのはついつい研究者が対象になったりするのですけど、やはりこれの母体になるのは大学という組織があって、この組織がもっとフォーカスされるときが次の期のシーズンの話かなと思っています。
 要する、さきほどお話したように、何かを始めようとしたときに、必ずそれがもうそのシステム、大学なら大学の中に埋め込むゆとりがないという状態に入っていて、これを埋め込むために何かを乗せて、お金を乗せて回すという時代はもう終わっている。
 では、それをどうやって中に入れていくかというのは大学の中の経営の問題であって、それはもう運交金の中で経営者が考えればいいのだ、で済まないから、今、困っているという。それが露骨に出てくるのが次の期ではないかなというふうに思っています。
 そういう意味で、いろんな将来的な人材に関する問題を考える上においては、それを解決するのはやはりどうしてもそこの大学であったり、機関であったり、そこの個性というものが必ず出てくるはずなので、そこがやはり、どこかであらわに書いていただくとか、表に出していただければというふうに思っています。
 さきほどの、人材システムのコンソーシアムを作ってという話もそうですけど、最後、結局どこにこのシステムが埋め込まれるのだろうと、そういうふうに思えてきて、要するに、システムはできるけれども、誰が責任を持って運用していくかというシステムの責任の問題の気がしていて、この次の期においては、研究者であると同時に、それを育成するシステムというものの主体を明らかにしていただければというふうに思います。
 以上です。
【宮浦主査】  高橋委員。
【高橋(真)委員】  恐れ入ります。今の川端先生の御意見に、少しだけコメントです。同じ問題意識を持っております。
 そうすると、一つの方法を評価できちんといいものと悪いものとで新陳代謝を促すんだと思います。さきほどどなたかがおっしゃっていましたが、人材育成の話題は皆評価が難しいと思っています。フローで動かす参加人数だとか参加校だとか、どのぐらいの人が次にどう行ったかまでは捕捉できるアウトプットだと思うのですけれども、アウトカムという、どんなにいかに優れた人が事業趣旨に沿って育成されたかというのは、トレースがなかなかできないですよね。かつ、時間が掛かるので。
 人材育成関係の事業に共通な事業の在り方と、インプルーブするための評価というのを、まさにシステムとして考える必要があるのではないかというふうに考えます。教育が大事、若い人、子供を育てることが国のためというさらっとしたお題目だけでコンペティティブな予算を獲得し続けるのは難しいのではと思っています。
 これに対し一つちょっとしたアイデアですけれども、やはり事業を実施している人が一番良い点がところは分かっているでしょうから、一般的な共通的な評価と、自己評価で一番いい点をアピールでき、それが横展開ができるというような運営の裁量を含めるのも検討に値すると考えます。
 以上です。
【宮浦主査】  運用管理の御意見でした。
 林委員、どうぞ。
【林委員】  別の観点、今までの先生方のコメントは全くそのとおりだと思いますので、別の観点ですけれども。
 ホライゾンヨーロッパとか、そういうところの議論を見ていて、やはり日本はギャップがあり過ぎるなと思っていて、我々が今議論しているのは、若い人の雇用をどう安定させるか、そして、いかに国際的に出していくかという話をしているのですけれども、EUだからということはありますけれども、ホライゾンの話では、いかに国際的にすぐれた人を我が国に引き寄せて維持し続けるかという議論をしている。
 6期だからもう5年後、あるいは、今からいうと終わるのが7年後ぐらいですか、そうすると、10年後ぐらいを見据えたときに、そういうふうに海外の非常に優れた研究者を日本に取り込むであるとか。あるいは今だったら、今も博士課程なんて、中韓とか、いろんなところの学生が来ていると思うのですけれども、それが日本から出ていって終わりではなくて、例えば、入ってきた人が出ていった後に、いかに連携を強化し続けて、それを日本の研究力の維持につなげるかとか。我々はどうしても、恐らく研究者人口、人口全体が減っていく中で研究力を維持しようと思ったときに、やはり欧州で今考えていることのレベルまで国際化を進めて、我が国の研究力を維持するということを、10年後を見据えてそのモデルを何とか考えて、そこに少しでも近付くような策を打っていくのはどうかと思います。
 以上。
【宮浦主査】  ありがとうございます。10年後を見据えて、抜本的な策を打つ必要があると。
 宮田委員。
【宮田主査代理】  今の観点に少し付け加えさせていただきますけれども、今のこの人材政策って、何か要するに小中高と上がっていって、大学へ入って、大学院へ入るというこういうワンフローしか考えていませんけれども、今の大学院の現状を見ると、やはり社会人材とか、あるいは、留学生とか、そういう人たちが主流になっているのではないか。
 今までみたいに、大学を卒業して一つの企業に入って、お勤めを終身雇用でやるというビジネスモデルはもう崩れたと思うので、それはなぜかというと、背景にはイノベーションのサイクルが物すごく早くなっているので、昔はコンドラチェフの波は60年周期でしたけれども、今はインターネットが出てきたので、多分10年から15年ぐらいでディストラクティブなイノベーションが起こるんですよ。
 だから、大学で1回学んで、それが一生もったのは私たちの世代だけであって、皆さんのここにいる世代は、申し訳ないけど、学び直ししないと人生をまっとうできない状況になったということを、是非、次の科学技術基本計画では盛り込まないと、人材を不幸にしてしまうと思います。
 ですから、そういう意味では、今日もさきほどの予算を見ると、全部何か一方通行のベクトルばかり考えていたのですけど、これからはやはり双方向のベクトルで、先ほど川端委員がおっしゃっていましたけど、大学はもう何か新しいことをすることになったらあっぷあっぷですよね。
 だから、社会とか、地域の自治体も考えてもいいし、企業のコンソーシアムでもいいですけど、皆で人材を作るという仕組み、それから、企業へ行った人たちももう一回戻ってくる仕組み、それから、大学の教員たちも企業に行く仕組み、そういったことを作らなくてはいけなくて。
 そうすると、根本的に今一番問題なのは賃金格差なので、大学の給与と、海外に派遣する人たちの国内費用を500万円ぐらいで設定しているというのは余りにも乏し過ぎます。ですから、そういう意味では、基本的に今までずっと我慢して大学がやってきた、これからももっと我慢しろという形の予算設定というのはもう成り立たないのではないかと思っていて、国際的な水準、あるいは、企業的な水準にまでどうやって高める、待遇のエントロピーをどういう風に改善して交流を促進するかということも考えなければいけない。
 そうなりますと、大学の待遇改善みたいなのも含めて、社会との連携をするための今までの我慢の分をどうやって埋めていくかということを背景ではきちんと手当しないと、いいシステムが出ても回らないと思います。
【宮浦主査】  視点が最も重要でありまして、人材がいかに動かないか、セクター間で人が動かないということはもう10年来言われてきているので、それを抜本的に解決するための策を打たないと、今後も非常に動きにくい状況が改善されない可能性がありますので、個別案件に含めて、その辺りを見据えた第6期に向けたことも盛り込んでいくというコメントでよろしいでしょうか。
【宮田主査代理】  ありがとうございました。
【宮浦主査】  それでは、最後になります。恐縮でございますが、この人材委員会、第9期のまとめ、報告に向けた作業が必要でございますので、そちらの話題に移らせていただきます。事務局からお願いいたします。

○事務局より資料4に基づき説明

【宮浦主査】  ありがとうございます。まとめということで、報告の段階になってまいります。
 これからまとめということで報告していく形になりますので、この方向性を本委員会としてお認めいただけましたら、この骨子案に沿って、第9期の人材委員会の経過報告の案を作成して、改めて委員の皆様に見ていただきたいと思っておりますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【宮浦主査】  ありがとうございます。それでは、その方向で作業を進めるということで御了解いただきました。
 最後、事務局より連絡事項等ございますか。
【佐々木基礎人材企画係長】  ありがとうございます。
 次回の委員会の開催日時につきましては、主査と御相談させていただき、委員の皆様の日程を調整の上、改めて御連絡させていただきたいと思います。
 また、本日の会議の議事録につきましては、作成し次第、委員の皆様にお目通しいただき、主査に御確認の上、文科省のホームページを通じて公表させていただきます。
 本日の資料につきましては、机上に残していただきましたら、追って事務局より郵送させていただきます。
 以上でございます。
【宮浦主査】  ありがとうございました。それでは、本日、これで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

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