人材委員会(第81回) 議事録

1.日時

平成30年7月5日(木曜日)13時30分~15時30分

2.場所

AP新橋虎ノ門 11階B会議室

3.議題

  1. 卓越研究員事業の改善について
  2. 科学技術・学術審議会人材委員会・中央教育審議会大学分科会大学院部会 合同部会の審議状況について
  3. その他

4.出席者

委員

宮浦主査、飯澤委員、狩野委員、川端委員、隅田委員、高橋(真)委員、竹山委員、塚本委員、萩谷委員、林委員、原田委員、柳沢委員

文部科学省

中川大臣官房審議官、藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官、松尾大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、勝野科学技術・学術総括官、坂本人材政策課長、石丸人材政策推進室長

5.議事録

科学技術・学術審議会人材委員会(第81回)


平成30年7月5日


【宮浦主査】  それでは、ただいまから科学技術・学術審議会人材委員会第81回を開催いたします。本日の会議は冒頭より公開となっておりますので、よろしくお願いいたします。
 本日は、長我部委員、鈴木委員、髙橋修一郎委員、豊田委員、宮田委員の5名の委員が御欠席ですが、現時点で13名の委員が出席されていますので、定足数を満たしております。
 まず、議事に入ります前に、文部科学省より御発言がございます。
【松尾大臣官房審議官】  文部科学省の松尾でございます。
 冒頭、会議に入ります前に、おわびから入らせていただくこと、まことに恐縮でございます。昨日、テレビ報道でも御案内のとおり、当省の佐野太大臣官房付、前科学技術・学術政策局長が受託収賄の容疑で逮捕されましたこと、そして、佐野前局長は、昨日付けで大臣官房付になってございます。こういった件に関しまして、本当に社会をお騒がせしたこと、それから、先生各位にも本当に御心配を掛けておりますこと、心からおわび申し上げたいと思います。
 一方で、私ども、しっかりと業務をこなして、皆様方に、国民に信頼回復していただくようにやっていく必要がございますので、特に科学技術系の人材の問題については、本当に社会が必要としていることでございますので、一つ一つ丁寧に仕事をこなすことによって、しっかりと信頼を回復していきたいと思っておりますので、本日もお足元の悪い中、お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
 2時間ということでございますが、卓越研究員事業、そして、今、宮浦先生にやっていただいています合同部会での審議状況について、御審議いただければありがたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 それでは、続きまして、事務局より本日の資料の確認をお願いします。
【広瀬基礎人材企画係長】  事務局でございます。本日の会議は、ペーパーレスによる運営とさせていただいております。
 お手元のタブレットのデスクトップにあるフォルダを開いていただきますと、議事次第、資料1、資料2-1、2-2、参考資料が保存してございます。
 また、委員の先生方のお手元にファイリングいたしまして、研究人材政策に関する参考資料集につきましても配付させていただいております。
 具体的な内容につきましては、議事次第に記載のとおりでございますが、議事進行の過程で不備等ございましたら、事務局までお知らせ願えましたらと思います。
 以上でございます。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 それでは、議事1に入らせていただきます。本日、議事1では、卓越研究員事業の今後の改善に向けました御議論を頂きたいと思っております。
 まず、事務局より、資料1「卓越研究員事業の運営状況及び今後の改善に向けた検討事項について」の御説明をお願いいたします。

○事務局より資料1に基づいて説明

【宮浦主査】  御説明いただきまして、ありがとうございます。
 卓越研究員の事業の改善に向けて、きょうは是非活発な御議論を頂きたいと思っております。
 今、資料1で説明ございましたように、28年度からのポスト、応募者数、卓越の候補者数及び決定者数が過去2年間及び、応募者数は本年度の数字がもう出ている状況でございますので、それを踏まえて、まず現状把握をどのように考えるか、また、今後に向けて改善点、民間のポストの問題、あるいは、ポストはあってもなかなか民間に決まっていなかった現状を含めまして、アカデミア及び民間で若手がこの卓越研究員事業を介して活躍いただくという趣旨でございますので、より改善に向けた動きを具体化していきたいと思っているところでございます。
 まずは、自由に御議論、御意見を頂戴できればと思いますが、いかがでしょう。
 竹山委員。
【竹山委員】  御説明ありがとうございました。
 今の結果論としての数字が出ているというところは、どんどん減っているということです。ただ、減っているといっても、これはもうマイナスの意味なのか、今、世の中景気がいいので、ここを頼らなくても、企業の方に行く人は自前で行っている可能性もあって、企業側もそれで十分いい人が採れているという状態であれば、国がサポートはしてくれるけれども、わざわざよく分からないこの制度に頼る必要はないということなのか。企業の話はですね。
 96は30まで減っているのですが、それは、いわゆる大きな会社とか、中堅どころとか、それこそベンチャーとか、多分、多種な状態があると思います。そこで、どういうところが減っているのかだったら、もう数字だけだと全然中身は分からないですよね。それによっては、別にそんなに気にすることはないのかもしれないというのが実はあると思います。さっきみたいに、ちゃんとみんな就職していて、リクルートする必要性がないのかもしれません。それは企業側の事情もあるし、社会的な、今の就職がいい時代の状況から考えると、この研究員制度自身を使う人のマジョリティがどっちに傾いているのかということもあると思います。
 だから、これは憂えることなのか、そうではないのか、社会が勝手に動き始めているのかというのは、私はこの数字だけでは分からない。もう少し中身の実際をブレークダウンしていっていただかないといけないということと、やはり卓越と言っている、もう3年目になっていて、応募者も減っていますよね。それは、全体のパイがどのぐらいあって、こうやって決まっていくといっても、せいぜい100名ちょっとなので、どうかと思いますけれども、ドクターの数から考えると、応募が減っている理由をどういうふうに考えるかということだと思います。これが今、就職難の時代だったら、多分上がってくると思うのですが、企業の方が博士人材を採り始めている時期と重なってきているので、それを無視して、とにかく上げなければいけないとなると、無駄なお金を使うことにもなりかねないので、そこのところをどう考えていらっしゃるか、是非教えていただきたいと思います。
【宮浦主査】  今の御指摘いただいた数字の変化をどう捉えるか、あるいは、採った企業からヒアリング等、御意見は伺ったことがあるかというあたり、いかがでしょう。
【石丸人材政策推進室長】  ありがとうございます。
 先生がおっしゃいますとおり、企業の数の内訳について、本来であれば資料を御用意すればよかったと今考えているところでございます。全体といたしまして、企業に関して申し上げますと、本来であれば、やはりここで人材を採りたいという御要望はあるようでございます。ただ、ポストを提示しておきますと、当然、社内で意思決定をしているわけでございますけれども、その実績が2年度続けて採用がなかったということでございますと、社内におけるいろいろ意思決定における関係者のお立場というものもございまして、なかなか経営としてはそのまま同じような状況は続けられないという声を頂いてございまして、ここの現象というものは、細かな業種とか規模感というのは今お示しできなくて恐縮でございますが、減った要因というのは、それぞれの提示を頂けなくなってしまった期間と、今頂いているけれども、それぞれに提示をすることは厳しいですというような御意見を頂いているところから考えますと、やはり企業として卓越研究員と言われる人材は欲しいけれども、来ていただけないので、ポストをいつまでも提示しておくことは難しいという、こういった事情が減少の背景になっているということが、まず企業側の状況であろうと思ってございます。
 応募者につきましては、初年度だけ突出して850名ほどいらっしゃったわけでございますが、恐らく初年度は、卓越研究員に選ばれるセレクションの質や厳しいさが分からずにいろいろ応募いただいたというような状況がまずあったと考えられます。そして、実際に受かった方々のことを見た後で、現実的な判断をされて変わってきため、2年度目、3年度目につきましては、ほぼ同数できています。これらから考えますと、初年度が突出して高かったのは、そういった事情があるのかなと考えているところです。研究者については、特段今のところ大きな問題とか御不満というのはないわけでございますが、ポストにつきましては、とりわけ企業側からの提示ポストが、100近くあったものが、今30まで減ってきており、制度の運用をはじめ、様々な問題があるのだろうと考えているところでございます。
【宮浦主査】  今の御指摘いただいた点と御意見いただいた点は非常に重要なところで、応募者の方、卓越研究者、若手研究者は、いわゆるドクターコースを修了してすぐではなく、ポスドクあるいは助教クラス、テニュアトラック等を取るようなクオリティの高いところで要求しておりますので、そこまで行きつつある若手研究者の多くはアカデミアを見ているという現状ももしかしたらあるかもしれないという背景もあろうかと思います。
 そのあたりで、800が500になった応募者の減少は、当初のクオリティコントロールの現状が分かった部分で、さほど問題視する必要はないかもしれないということ。企業の提示ポストが90ぐらいから30に減ったことは、やはり企業の事情としては、なかなかポストを提示しにくくなっている現状があろうかと思います。
 今の点を含めまして、御意見いかがでしょうか。
【隅田委員】  今の質問に少し関わって、やはり企業のところで、規模もそうですが、領域とか、あと地理的なところとかですね。残っている30が一極集中してしまうと、やっぱりそこの近くの子とかになる可能性があるので、もう少し分析をしていただいて、より分散するような仕組みがあるといいのではないかなということと、それに関連して、審査の観点についての意見ですが、これだけ多様な、例えば、96の企業とそれ以外のところがあって、全部が同じ観点で審査をしたら、やはり同じような人、あるいは、得意分野が似た人になってしまう可能性があって、そうであれば、それぞれの企業の特色に合った観点を入れて、自由度を入れるとか、あるいは、余りにも細かくなりすぎるようでしたら、幾つか分類を作って、枠を作ってみるとか、全てが同じ観点というのは、やっぱりちょっと無理があるのではないかなと思いました。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 審査の観点についてですが、比較的画一的な審査をして、個々の企業にとって欲しい人材が効率よくといいますか、適切に抽出できているか。実は、欲しかったけれど採れない方に入ってしまったという御意見もなくはないと思いますね。審査の観点は非常に重要なところがございますが、そのあたりの御意見、それに限らず、御意見いかがでしょうか。
【林委員】  制度の目的自体、ちょうど3ページに参考としていろいろ書いてありますが、ざっと見ると、安定的ポストに就きながら、産学官の機関や分野の枠を超えて独創的な研究に専念する環境を整備すると。最後の方で、特にアカデミアのところでちゃんと機能しているかという話は、まさに言われたように、まず安定的なポストに就くことがちゃんと制度化されているか、あるいは、分野の枠を超えてというのが、採用される際に例えば、大学直下の組織に置くとか、そういう分野の枠を超えた研究ができるようになっているかとか、どううまく機能しているかをしっかりと見ればいいと思います。
 結局、論点がいろいろ入っていますが、問題は、産学官の人材の移動のところです。逆に言えば、アカデミックなところは、もしかしたら非常にうまくいっているのかもしれない。それは、今申し上げたような効果を把握すればよい。
 産業界のところですけれども、結局、やってみてうまくいかなかったことが分かったということだと私は思います。基本的に、博士課程に進んでポスドクとかになっているような人を、産業界に宗旨替えできるかと言ったら、結局、やってみたところ、それほどうまくいかないと。いろいろ小手先のやり方はできると思います。例えば、採用されることを希望する機関に、上から3つ大学しか書かない人がいるかもしれないので、それとは別に、企業の欄を別枠にしておいて、どうしても大学からの採用がなければ、そうしたら企業と話をしてみるとか、そういうような促進策はとれると思うのですが、それでうまくいかないのだったら、もう卓越研究員制度にいろんなものを盛り込むのではなくて、企業から産学共同研究を通じて人を見たいという話があるように、もう少し、例えば、博士課程レベルで、よくフランスが例として取り上げられますけれども、企業で博士人材が企業の人と大学と共同指導されて、それで博士号を取って、その後また企業でちゃんと研究活動を続けていくみたいな、そういうポスドクになる前の段階も組み込んだものを――そうすると、恐らく卓越研究員事業ではない気がするのですが、そういう違う形でないとうまくいかないというふうにシフトした方がいいのではないかなと思います。
 せっかくやってみてもうまくいかないということが分かってきたのだから、余り固執して何とかうまくいかせようとするよりは、うまくいかないから違う策をとった方がいいという。少し変えた方がいいのではないでしょうか。結局、卓越研究員制度もいろんな目的が入り込みすぎなので、どこに焦点を置くかを今少し絞ってもいいと思います。
 以上です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。どうぞ。
【柳沢委員】  今の林さんの御意見の続きですが、今、私、これを見ているのですが、JSTのサイトに若手生命科学研究者のキャリアパスについて考えると、これ、約1年前の随筆集みたいですけどね。ここに、これは東大の分生研の助教の三嶋さんという方が寄稿していらっしゃって、すごくいいことを書いています。是非お読みください。
 彼の立場は、この時点、約1年前の時点で、初年度に卓越研究員に応募して、彼はもうアカデミアでPhD後9年ぐらい既に経験があって、自分でやりたいこともはっきり見つかったと。ついては、もう半独立のポジションでどんどん追究していきたいという強い希望がある。もうはっきりアカデミアですね。それで、1年目で応募したけれども、マッチングの段階で、今のところまだ見つかっていないと。2年目も自動的に繰り越しになるのでしょうか。未だに候補者の段階で自分はいますという文章ですけど。
 彼も今林さんが言われたこととほぼ同じことを言っておられて、要は、卓越研究員制度の目的のメジャーなものの一つが、もちろん安定的なアカデミアでのポジション、それから、もう一つは、企業への人材の流動性の確保ということですけれども、これを――彼の意見ですよ。私の意見というよりは、三嶋さんという方の意見ですが――そもそも1つのそういう制度で賄うことがよくないのではないかというふうに彼ははっきり言っています。だから、企業への人材の流動性に関しては、それはそれなりの何かを作ると。アカデミアの方に関しては、彼の意見では、むしろ以前のテニュアトラック制度ですか、文科省がやれていた、それの方が良かったというニュアンスの文章です。だから、今、同じです。盛り込みすぎ。いろんな異なる目的を盛り込みすぎで、ちょっと行き詰まっているのではないかなという御意見です。
 ありがとうございます。是非お読みください。短い文章です。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 目的の異なることを混ぜているために、うまく回らない側面があると。アカデミアを主として考えている方が、実は応募者の中には非常に多い、多かったのではないかという御意見です。
 若手研究者をセクター間で動くように、アカデミアと民間の間で非常に動かないという現状を踏まえて、動く施策の一つとして行ってきたわけですけれども、アカデミア側は恐らくうまくいっているのではないかと。民間とのセクター間の移動がこれで余り動いていないというか、結果としてごく数名しか決まっていないという状況です。目的の違うことを一緒にやる……。川端先生、御意見ありますか。お願いします。
【川端委員】  私もそう思います。
 ただ、これの出発点のいいところというのがあって、要するに、これ、企業から言うと、中途採用ポストですよね。新卒ではなくて中途採用ポストであって、中途採用ポストがこんな数出てくるということ自体が、やっぱりすごいことですよね。
 もう一つは、アカデミア側から言うと、内々でやられているのではなくて、やっぱりある程度公にいろんなセレクションがやられるということ自体が、ちょっと前の単語で言えば、タコツボではない人事みたいなのがやられていることという、この制度自体は悪くなくて。だから、ここはしっかりとやっていくところかなという気がします。
 そうやって見ると、この最初のポスト数と応募者数と候補者数とこう並んでいたときに、2つぐらい気になることがあって、何かというと、さっきも言われたように、提示ポストが平成28年300だったのが、200に落ちて、150に落ちてという。これもただのうわさですけれども、本当はどうか分からないけど、みんな、きゃあと言ってポストを並べた。本当はいい人がいれば採るけど、みたいな。ともかく数をばっと並べるというような時代が平成28年ぐらいにあって、それがだんだんリアルな世界になってきて、もうちょっと、これは採りましょうみたいな話にだんだんなってきて落ち着いてきたのかなと、こういうような気がしています。
 もう一方は、候補者数の176とは予算マックスで決まったのでしょうか。この人数がやたらと同じような人数に出ているというのは、絶対値ではなくて、予算はマックスで決まっていますか。
【石丸人材政策推進室長】  予算の約2倍の人数としています。
【川端委員】  予算関係で決まっているのですね。 もう1点は、気になるのは、提示されたポストが埋まっていない状態が一番もったいない気がします。特に民間ですよね。民間がこれだけ中途採用のポストを出そうと言っていて、埋まらない状態。ここに応募できる人間は、間違いなく新卒ではなくて、ある程度のポスドクの経験をした上で、テニュアトラックに乗ろうかというぐらいのレベルの人間。ということは、35ぐらいから、もうちょっと上ぐらいの人ですよね。この人間が企業に入ろうとしたら、普通はもう中途採用のかなりなゾーンでしか入れない。そこにポストがあるとは大半思っていなかったのに、これだけの人数が出てきた。ということは、これはやっぱりマッチングして進めていくべきものであって、それはそれなりに、こういう事業を使ってやっておもしろいものだろうというふうな気がします。
 だから、最後の、ちょっと言われたように、どこかのエージェントを使ってでも、このマッチングをもっと進めるなり何なりというやり方だって、なりふり構わずやってもいいような気がします。民業圧迫かもしれないですけど、それはそれでやってもいいぐらいのものではないかなという気が私はちょっとしております。
【宮浦主査】  ありがとうございます。塚本委員。
【塚本委員】  ありがとうございます。
 川端先生と似たような意見ですが、おっしゃっておられたように、このスキームは、中途のエグゼクティブハイヤリングに近い、部長クラスを雇うような感じなのではないかと思います。したがって、企業で考えるとすると、事業計画を考えた中で、ここに何人と要員を要望しているので、おっしゃるように、人が採れないとなると、ほかを探さなければいけないという御説明いただいたようになるのだろうと思います。
 4とか3とか採用が決まっている会社があるということは、会社名を出せないとしても、ある程度抽象化して、こういった条件の会社は決まっていますよというのを企業側にも提示し、それらをリファレンスケースとして、企業側も条件を変えるなど、選ばれるようにする努力をどのようにすればよいかを知らせるという機会も重要だと考えます。また、企業側でそういう条件が出せないのであれば、このスキームにはなじまないということを早めに知らせて、ほかの道を考えたほうがいいというふうにして、期待値をコントロールしてはいかがでしょうか。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 企業の視点からの御意見も頂きまして、今の議論は、96とか56とか、企業がいわゆる中途採用のプレ部長クラスのポストがまとまって出てくること自体が非常に画期的なことなので、そこをうまくシステムを回して、適切な若手が入るような工夫をしたらいいのではないかと。個々の中途採用よりは……。狩野委員。
【狩野委員】  ありがとうございます。前回までに申し上げたことと少し重なるような内容になりそうだったので、まずは皆様の御意見を伺ってからと思っていたのですが。
 2つありまして、1つ目は、企業とアカデミアで大事にしていることが違うのではないかということをもう一回見直してもよいと思っていて、あるいは、違うところもあるけど、同じところもあって、それがどことどこなのかをしっかり見ないと、審査項目も決まらないであろうということを言いたくなりました。
 どういうことかというと、科学をやっていると、毎回言っていますように、まず対象をその人が考えた上で、自分の勝手な問いを立てて、仮説を考えて、証明して、最後にそれを人に向かって発信したときに分かってもらえるかという5段階ぐらいにしたときに、一番初めの課題の設定のところが、企業で要求される課題の設定と、アカデミアが必要としている課題の設定がきっと違うのではないかということが1つあります。課題、あるいは対象の設定ですね。
 例えば、アカデミアで卓越というのは、その人が所属している専門分野で今はやっている領域を対象としたときに、どれだけ独創的なものが出るかというようなことで卓越が決まることが多いように思われ、他方で、企業では、きっと今市場として重要なところの中で、どんなことをやってくれますかという意味の卓越性のような気がしており、しかも、後者については、市場があるところが時代によって違いますので、次々柔軟にその対象を変えてくださいよという、それができる人が企業にとっては卓越なんじゃないですかということではないかと邪推しておりまして、これは企業の方から確認を頂きたい。
 それから、もう一つ、最後の共有のステップもまた違っているような気がいたしまして、共有のステップで、アカデミアは、論文を書いて、同業者が分かって、「いいね」ボタンを押してくれることが大事ですね。「いいね」ボタンを押して引用してくれると、それで引用数が増えて、それが卓越の内容であると。他方で、企業が必要としている「いいね」は何かというと、最後はきっと買ってもらえることでありまして、その辺の問題があるかなということは1つ思います。
 2つ目の内容です。2つ目は、こういう制度に応募していくことをキャリアパスに考える人の人数が一体何人欲しいのかということです。どういうことかというと、アカデミアを目指した場合に、最後にアカデミアに残れなくて企業に行く可能性という、そういう捉え方が多分今のところ多いような気がしますけど、その道が一体何人分あるから安心しておいでという言い方になるのか、あるいは、今の状態だと、アカデミアにそのまま残ろうと思っても、昨今の予算状況も含めると、ポストの数は全く減っておりますので、最後に教授まで到達できる人数が非常に少なくなっているという中で、そこでアカデミアをわざわざ選ぼうという動機付けの足しにこれを使いたいのかどうかということも含めて、人数の設定があるべきなのかもしれません。
 何が言いたいか伝わりましたか。つまり、人数の問題ですね。これをもう一つ別の側面から言うと、今はやっている選択と集中というパラダイムと、それから、多少のクオリフィケーション、質の保証はしても、なるべく広い範囲の人に頑張ってもらいたいという発想のバランスがどこで取れるかという質問にも関係するような気がしています。
 以上2つでした。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 御指摘いただいた1点目は、これが非常にこの事業で重要なところですけれども、卓越と企業が考える面とアカデミアが考える卓越はそもそも違うのではないか。それが審査の観点にも関わるのですが、企業目線の卓越に向かった審査が行われていないと、その判断基準からずれるのではないかという御意見だと思います。
 2番目は、規模感も含めて、人数的なものをどのように考えるかということですが、1点目は、審査のプロセスに民間の方に入っていただくですとか、あるいは、170人に絞る観点を具体的に少し変えていくですとか、あるいは、グループ分けをしてAタイプ、Bタイプ、あるいは、A、Bはよくないですので、タイプ1、タイプ2とか、何か色の違う二方向があってもいいのではないかというような御意見かと思うんですけれども、事務局から何か御意見ありますか。
【石丸人材政策推進室長】  ありがとうございます。
 たくさん御意見いただいたわけでございますが、今、直接2点、特に狩野先生からのお話について、まずお答えをさせていただきますと、まさに先生おっしゃられましたとおり、前回も実は御意見いただいたところでございまして、お手元の資料1の5ページ目に、前回の主な御意見をお付けしております。上から2つ目が狩野先生の御意見、それに対しまして、長我部先生が3番目ということで御意見をおっしゃってございまして、共通する部分といたしましては、やはり博士人材としての思考のアプローチの仕方ということをしっかり見つけて、課題を抽出し、仮説を立てて取り組むというようなことについては、産学ともに共通しているというようなお話があったところでございまして、そういったところについては十分押さえた上でございますが、宮浦先生からも御提言いただきましたとおり、事務局としても、この卓越性をどのように定義付けして捉えていくべきなのかについては、迷っているところでございます。
 この5ページ目を御覧いただきますと、下の方に、本日御欠席でございますが、鈴木先生、あるいは宮田先生からも、尺度というものを一つで捉えていいのか、あるいは、多様性というものを捉えていいのか、竹山先生からも御発言いただいたかと思いますけれども。卓越性の設定の仕方については、様々な御意見を頂いたところでございます。それを受けまして、本日、是非お知恵を頂きたいなと思ってございますのは、資料1の4番目の今後の改善に向けた検討事項、とりわけその2番目でございますが、「審査の観点」というものが、基本的なこの卓越研究員事業の審査基準の根幹をなしているところでございます。これにつきましては、2ページ目の下の項目に四角くくりで4項目挙げてございます。これにつきまして、アカデミアと企業と、この審査基準、マル1からマル4という観点でよろしいのか、あるいは、別に何かここを改善して考えていく必要があるのかについても是非御示唆を頂きまして、それを踏まえて、是非、事務局としても、今後よく検討させていただければと思っているところが1点目でございます。
 2点目の人数、量の観点につきましては、先ほど川端先生からも、候補者はどのように決まっているのかというところがございました。1つには、予算との兼ね合いというのはもちろんございます。研究費や環境整備費を支援することによって、研究機関からはポストを御提示いただき、それに応募された優れた研究者については、その能力が開花されるように支援をさせていただくという趣旨でございますので、研究費の一定程度の配分というのはございます。これにつきましては、政府目標が閣議決定されてございまして、一億総活躍プランという中のロードマップに、年間150名という目標値を掲げているところでございまして、そういう目標を達成するというのが、1つの方向性としてはあるわけでございます。
 さはさりながら、実績ベースで言いますと、先ほどの提示ポストに対して十分卓越研究員のマッチングが行われていないという実態も踏まえますと、やはり無駄に予算は計上できませんので、実数を踏まえた上での予算値ということで言いますと、80名程度は予算措置がされているという状況にございます。そこが今後どのような形に進めていけばいいのかということを考えてございます。
 それと同時に、この事業を通じまして、研究機関からポストをたくさん頂いているわけでございます。1ページ目の2ポツでございますが、採用決定者の関連研究者という欄がございます。これにつきましては、ポストだけは研究機関、大学や企業から提示いただいたわけでございますが、研究費の支援を文科省からさせていただかなくても、そのポストを御覧になられて、若手研究者の方が御自信でアプライをされて、それによってマッチングが成功している事例というのが、ここで言いますと、初年度34人、そして、2年度21人ということで、自立的に回っている部分がございます。こういったところについても、財政には一定程度の限界がございますので、こういった自立的に回っていくメカニズムというところもどう発展させていくことができるのかについても、是非、お知恵があれば頂ければありがたいなと思っているところでございます。よろしくお願いいたします。
【宮浦主査】  川端委員。
【川端委員】  今言っていただいた審査の観点、これは極めて大上段ですよね。だから、問題は、これをどのように、例えば、一次審査で書類審査を行い、次に面接でという話をされていて、これを具体的に落とすところが全て。これ、誰も否定はしないですよね。どれも。足しても余りにでかすぎて。だから、問題は、具体的にこれをどうやるかのところで全てが決まっているような気がするという、そんな気はしますけどね。
 ごめんなさい、一応そんなコメントでした。
【宮浦主査】  竹山委員。
【竹山委員】  いろんな考えを皆さん持っているかと思うのですが、プロセス的に考えるならば、前の会議のときに、企業の方は落ちた人のメモを見せてくれというお話がありましたよね。そうなると、例えば、企業に行きたい、企業でもいいという、そういうチェック欄はあるのでしょうか。だったら、まず審査の段階で、アカデミアでずっと生きてきて、アカデミアしか知らない人は、その審査は無理ですよね。だから、基本は審査を分けるべきでないかなと思います。
 アカデミア志向のところは、もうそこでばりばり卓越はすごいとか、Nature、Scienceみたいなところを見る審査ばかりしている人たちが集まればいいし、企業側の場合は、やっぱり企業のそれなりのリタイアした人も入れて、ニュートラルに見ることができる人たちが入って、企業の視点から、企業オンリー、企業でもいいという人たちを――両方にかぶる人たちもいますけれども、そこはここでまたやればいいじゃないですかね。その方がもう全然問題ないと思います。
【宮浦主査】  ありがとうございます。高橋委員、お願いします。
【高橋(真)委員】  コメントさせていただきます。今のお二人の御意見に賛成です。
 審査の観点に関して言うと、1個だけ、私、大上段ながらも、変えてもいいかなと思うのは、マル1の研究リーダーの研究を、企業に関して言うと、取ってもいいのかなと、文脈は一緒ですけど、思っています。
 実例を申し上げますと、残念ながら日本企業ではないのですが、欧米の世界的な材料物質系のメーカーでは、数学者だけの十何人の、もちろんPhDを持っている数学者を技術マーケティングで世界中に回らせていて、とても成功しているという事例を伺っています。その数学者が、本当にいわゆる原理原則のところまで理解した上で、この物性に関して、この企業内のニーズがどうマッチングするか、本当にマーケティングですね。もしかしたら、それは、今回拾っている企業のポストと対象外かもしれないですね。
 ですので、お二人のtoアカデミアとtoインダストリーに関しての候補者のセレクションは、明らかに変えた方がいいし、企業に関して言うと、何も研究開発ポジションだけではないところでPhDというのが、多分、理論上、皆さんこれはオーケーだと思うのですが、あるはずなので、それをもう少し積極的に拾うような、そういうところをやっていただけるといいのかなと思います。
 以上です。
【宮浦主査】  課長から御発言ございますか。
【坂本人材政策課長】  貴重な御意見いただきまして、ありがとうございます。
 私、今年の3月末まで産学連携をずっとやっていましたので、その経緯からも、先生方がおっしゃっていることは、我々、しっかりといかにこの制度に落とし込んでいくかということをやる必要があるなと思っております。
 そもそもこの卓越研究員制度というものがいろいろ目的を盛り込みすぎでというところは、確かにそうかなと思いまして。予算項目として一つにするのか分けるのかというのは、これはテクニカルな問題として置いておくとして、マネジメントは多分分けていかないといけないだろうなと。今の御指摘から、審査のこともそうですし、あるいは、そもそもアカデミア向け、あるいは、産業界向け、先ほど塚本委員がおっしゃいましたが、期待値のコントロールと。これ、企業の期待値と応募者の期待値と両方あります。アカデミア向けと産業界、明らかに違うはずで、さらに、そこに流れる情報も、違うものを情報流通させなければいけないということがございます。
 したがって、我々、今回提案させていただいたのは、仲介業者を入れるというのは、単にマッチングを仲介業者の方が専門的ノウハウを持っているからという、ノウハウはノウハウですけれども、それはマッチングのノウハウというよりも、いかにその期待値というものを合わせるか、あるいは、その期待に関する、あるいは、もしかしたら競争力とか、持っている優位性とか、そういったものに関する情報をいかにうまく期待に合わせるように流通させるかというところまで含めて、仲介業者の方に活躍していただくと。そうすると、マネジメントが根本的に変わります。
 アカデミアは、論文とか、学会の情報の流通の中で、期待もコンペティティブネスもある程度見えていますよね。産業界とアカデミアとの間は明らかに非対称性があるというところをどうやってつなぐかということを我々はやっていきたいというところが、新しい御提案ということでございます。
 したがって、審査の観点にしても、先ほど川端委員の方から大上段と。この表現のレイヤーであれば、多分、本当にこれは共通だと言っていいと思うのですが、ここから1レイヤー、具体的なところに下りてくると、例えば、ある経営学者さんは、イノベーションというのは、知の探索と知の深化と、この両方が必要だと。知の深化というのは、知の実践とも言われますけれども、アカデミア志向の方って、多分、知の探索だけひたすらやりたいですね。でも、知の実践、要は、それがどういう価値を生み出すかと……。
【高橋(真)委員】  時間もないです。
【坂本人材政策課長】  そうですか、すみません。私、産学連携のときに、ひたすらそういう方々をいっぱい入ってきたものですから。
 知の深化をやるということも、それは当然企業では必要なわけで、そこをいかにうまくタイミングに応じて、あるいは、企業の事業戦略に応じて、うまく自分で方向修正、必要なアウトプットを出していくかというところのマネジメントは、多分、企業側の方でしっかり求めないといけないと。
 そういった審査の観点というのを具体的に落とし込んでいくということは多分必要になるかと思います。そういう審査体制にするということですね。そこを是非工夫したいと思います。
【宮浦主査】  ありがとうございます。狩野委員。
【狩野委員】  同じ担当の範疇だと思いますので、SSHのことも少し挙げてみたいのですが。
 ここの人材になる人たちが、子供の頃から何を目指してそこまでたどってきたのを考えたときに、例えば、理科が好きでたどってきた場合に、企業に向けて心が動くかという話とかいうところも関係する気がしておりまして。何を言おうとしているかというと、企業活動をするときに科学的な思考性が要りますということを、小さいときから余り知らないのではないかということをちょっと思った次第です。
 もしそういう仮説が本当であるとすると、例えば、SSHの活動の中に、理科実験するだけではなくて、企業の活動的なテーマ設定があって、それに対して科学の思考力を用いるにはこうしたらいいですみたいなものがあると、もしかするとこういうところにマッチする人が増えるとか、あるいは、数学をやっていても市場の動向に興味がある人ができるとかいうような世間ができるかもしれません。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 今、審査の観点についてかなり御意見いただいたのですけれども、審査の観点と審査のプロセスを連動させていかなくては、審査の観点の中に企業姿勢のマル5、マル6を入れたとしても、審査のプロセスを変えないと、やはり混じったまま動いて、思うように採れないですとかが発生すると思います。
 川端委員。
【川端委員】  1点だけお聞きしたいのですが、応募者の中で、企業を希望しますとか、何とかを希望しますという、企業を第一希望にする人で何%ぐらいいるのかというのが、その推移がもしあれば、ちょっと教えていただければ。
【石丸人材政策推進室長】  先ほど川端先生はじめ何人かの先生方から、応募に当たって、企業を希望しますかというチェックリストを入れていますかという事実関係の御照会ありましたので、まず事実関係だけ申し上げますと、企業のみではないですけれども、企業も希望しますかというチェックリストはございます。これについては、今年で言いますと、もし間違っていたら、正しい数字をおっしゃっていただければと思うのですが、494名中、大体300何十人だったかと。それが企業でもいいと、実は付けています。
 そこに対しまして、関連情報として申し上げておきますと、2月に様々な御意見を頂いて、本日の前振りになりますような御意見をたくさん頂きました。その中で、やはりプロセスがおかしいのではないかという御意見をたくさん頂いたので、早速、実は、ポストを提示いただいている企業の関係者に選考に入っていただく改善をして、そのチェックリストで、企業にも希望しているという300人に対しては、ポストを提示いただいた企業の関係者にも、実はその応募書類を見ていただいて、人物を見ていただいて、候補者の選定に加わっていただいたというのが今年度まででございます。
 更に踏み込んで改善すべきことがあれば、是非おっしゃっていただければ、また改善を図っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【宮浦主査】  今、結構驚くべき数字で、400人のうち300人が企業でもいいとチェックをしていると。企業がいいというチェックリストはないわけですよね。「だけ」はないですよね。
【石丸人材政策推進室長】  企業だけではない。「も」です。
【宮浦主査】  「も」ですね。「でもいい」ですよね。
【荒田基礎人材推進係長】  数字としましては、494人応募のうち、企業にも興味のある機関としてチェックを付けているものとしては、334人がいるところでございます。
【宮浦主査】  隅田委員。
【隅田委員】  私、ちょっと不勉強なところがあって、聞きたいのですが。さっきの企業か大学等というのですが、普通、ポストでいくと、そこで何をするかで応募するのではないかと思うんですよね。ポストの場所とか機関で選ぶよりは、本当は自分の専門領域とかやりたいことに合って応募するかと思うのですが、ポストの提示で、内容とか、条件面とか、そういうのは一緒には提示していないのかというのが1点目。
【石丸人材政策推進室長】  先生、もちろんでございまして、チェックボックスとしては、そういった項目も御用意させていただいてございますけれども、もちろん、選ぶに当たっての主要な情報といたしましては、どの分野の何をやりたいかということで選んでいらっしゃる、それに対して、申請に当たっての応募書類についても、自分がどんな研究をやってきたかということはもちろん書かれているという、そういう状況になってございます。
【隅田委員】  それが前提ということですか。分かりました。ちょっと安心しました。
【石丸人材政策推進室長】  それが前提の上で、民間か企業かだけで選んでいるわけではなくて、そういったのも改善を図って付けましたという。すみません、ちょっと基礎的な……。
【隅田委員】  どうもそれが先行している感じがして。
 それで、観点でいくと、1、2、3、4、このまま使ったとしても、重み付けを変えるだけでも随分違うと思います。例えば、これが全部同じような、100点満点だったら、25点・25点・25点・25点なのか、どこかを30・30の20・20にしてもいいのかとか、重み付けを変えるだけも、随分採りたい人材像が変わるのではないかなと思います。
【宮浦主査】  重み付けという御意見もありました。例えば、マル4で、産学官のところの重みを企業側で付けるという。産学官と言った時点で、やっぱり視線がアカデミアに偏っていませんかというニュアンスもありますが。どうぞ。
【萩谷委員】  300名企業でもいいという方がいて、それが何で最後は3人とかになってしまうのか。その数が少なくなる状況は、どのように把握されているのでしょうか。
【坂本人材政策課長】  これ、詳細に一件一件をたどっているかどうか、石丸室長は多分知っているかもしれないですけど。
 基本的に、まず企業で「も」いいというのは、希望はアカデミアにあるけれども、条件によっては企業でもいいというふうな方が多分大半であろうと思っています。
 先ほどからのお話で、審査の観点やプロセスを分けなければいけないかという、この本質的なところには、アカデミアが第一優先の方というのは、やはりアカデミアがいいのです。当たり前ですけど。研究の自由度であるとか、そのほかのいろんなファクターもあるかもしれません。でも、企業は企業で関心があると。それは、研究の内容としては通底しているものがあるかもしれないけれども、企業では企業でやりたいことは別にあって、企業の事業戦略や研究環境といったものを見れば、もしかしたら、そっちに引かれるかもしれないと。
 我々が今お話しを伺っている民間の職業紹介事業業者の方によれば、企業には企業の良さがあるというところをある程度イメージができている人は、アカデミアを第一優先にしていても、企業とのマッチングの割合は高くなるし、それは企業にとっても、本人にとっても、よりハッピーになる可能性は高いと。ただ、研究者が企業に求めているものと、企業側が研究者に何を求めているかというのは、研究の内容や処遇といったところをお互い引き出し合わないと、うまくマッチングできないと。したがって、そこをうまくやるには、やっぱり特別な仕掛けが要るとのことですので、それを取り組んでいきたい。マッチングのプロセスというのは相当違ってくるものになるだろうなと想像しております。
【宮浦主査】  ありがとうございます。竹山委員、御意見ありますか。
【竹山委員】  まるで新卒のときの学生が就活をするときと全く同じような雰囲気になってきましたよね。何故かというと、今、どこかの会社が入ってやるというプロセスは、例えば、4年生なり、M2なり、いいですけれども、いっぱい企業があって、そこのブースを学生が回ったり、企業のプレゼンを聞いたりして、表面から見ては分からないけど、実際聞いてみたら全然興味がなかったところが結構おもしろいという、そういう新しい出会いがあります。今の話で聞くと、それは新卒だろうが変わらなくて、多分それをプロでしている人たちというのは、そういうことをずっとしてきているので、それを年齢のいった人のためにするという。
 新しいマッチングは、受ける側が、要するに、採ってもらおうと思っている、そういうPh.D.の人たちが見ても分からないので、はじめから話さないですよね。もうこれだと思う人しか話さない。で、うまくいかないわけで。となると、新卒のやり方と何も変わりがない感じがしてきました。
 だから、企業が入って間を取り持つというところはもう決まっているなら、もう私たちが何を言っても、してみなければ分からないという落し口でしょうけど。
【坂本人材政策課長】  人ですから、そういう変わらない面もあるとは思うのですが。ただ、例えば、私は産学連携をずっとしていて、産業界側でPh.D.のニーズは、これは明らかに高まっています。これは大企業でもそうですし、あるいは、ベンチャーでもそうですけど、新しい産業なり事業を生み出すときに、新しい知識あるいは技術が要るのは当たり前で。ただ、企業の名前とか企業の概要的なものを見ても、企業がその人と一緒に何をやろうとしているのか、そういったところの情報ってなかなか出てきません。それは新卒の方とやはり違っていて、要は、PhDの学生には、典型的にはベンチャーです。ベンチャー企業というのは、概要だけ見ていても、それは概要でも分かりますけど、この人とこういう技術なり、こういうプロダクトを作りたいのだというようなところの、そのベンチャー企業の経営者の方の思いとか、あるいは、そのために今、どういう投資なり何なりをやろうとしているかというところの戦略まで踏み込んで、自分が生かせるというようなところまで踏み込んで考えられるかどうかというところが、多分、PhDの方の活躍の場を開拓していくというのは問われているのだろうなというふうに我々は考えております。
【宮浦主査】  今御指摘いただいたのは、先ほど隅田委員がおっしゃった、ポストだけあっても中身が分からないということにも通じていると思います。中身が分かるようなプロセスを経ないと、マッチングがなかなか決まらない。そのマッチングのシステムを変えた方がいいのではないかという方向は、恐らく共通意見ではないかと、川端委員は。
【原田委員】  すみません。
【宮浦主査】  お手が挙がっていますか。はい。
【原田委員】  原田でございます。教えていただきたいのですけれども。例えば、卓越研究員の候補になった方がいらっしゃいます。それで、ポストを提示したところではなくて、全然違う人がその卓越研究員候補の方を見て、この人とうちはマッチングがあるからと言って、後でこの人を採りたいみたいなことというのは可能でしょうか。
【石丸人材政策推進室長】  お答え申し上げます。それについては、基本的には可能になっております。
 ただ、実態といたしましては、このポストを提示していただいたところが、例えば、29年度でございますと、204あって、170名が候補者で、そのうち72名がということで、98名がまだ残っていらっしゃるわけでございますので、この方については、誰がアプローチしても原則としては大丈夫ですが、残っている残数だけ見ますと、結局、研究者の方々も、やはり相当自分の次のポジションについては慎重に選ばれる傾向もありますので、98というのが残っている場合には、実態としては、そういう働きかけがあってもお断りしている事例も多分あるのだろうと考えます。
【原田委員】  逆に、卓越研究員候補になった方が、本当はここに行きたいところに自分からアプローチすることはあるのでしょうか。
【宮浦主査】  それは見える化できているかということですね。
【原田委員】  そうです。
【石丸人材政策推進室長】  これはもう純粋に定義だけの問題になってございます。そこには実際に若手研究者の先生がいらっしゃって、あらゆる企業が、このシステムにポストを出すか出さないかにかかわらず、常にこの外でマッチングが行われているわけでございますが、先生の御質問、おっしゃるとおりで、ここのところの可視化ということで言いますと、この卓越研究員という定義だけでございますが、これはいわゆる国費の研究費の支援と研究環境整備費を得られて、この制度を通じてポストの提示があった機関に対して、お決まりになった方だけをカウントしているというテクニカルな問題でございまして、ポストについては、提示されたポストについて、この卓越研究員の候補者以外の方、そして、研究費をもらっていない方でもアプライできますし、あるいは、ここの候補者に選ばれた方であっても、ここの卓越研究員で御提示いただいているポスト以外に、例えば、海外の研究機関も含めてアプライすることもできるという、そういう……。
【原田委員】  すみません、私が言っているのは、そうではなくて、卓越研究員の候補になった人が、この提示されたポストではなくても卓越研究員として、要するに、お金をもらった状態で行けるのかということです。
【石丸人材政策推進室長】  それは端的に申し上げると、行けないということで、そういう人は卓越研究員ではないということでございます。
【宮浦主査】  マッチングが成立しない限りはもらえないわけですね。ただ、ここでいう関連研究者というのは、マッチングが成立していなくても実際決まっているということを意味していますので、それが結構多いということになります。お互いWin-Winの関係が34件、補助金関係なく成立したということを意味していますので。今の点、よろしいですか。
【原田委員】  私の言いたいことがちゃんと御理解いただけていないようですけれども。要するに、ポストを提示したところではなくても、卓越研究員の候補になったということは、もしその人を採用したら、例えば、2年間その人の分のお給料とプラス研究費が出るって、そこにとって、1,000万円以上お金が手に入るということですよね。要するに、その卓越研究員を採るということは、1,500万円ぐらいのお金が入ってくるということですよね。
 それを見て、提示はしていなかったけれども、マッチングがいいから、うちで採れそうだから採ってみようかなと思う人がいるのではないかと私は思ったので、そういうことがあるのかということと、それが可能かどうか。
 あらかじめポストを提示したところでなくて、全然違うところが、この人が卓越研究員としてうちに来てくれるなら採ってもいいかなと思うかもしれないと思いました。
【宮浦主査】  卓越研究員に選ばれたら、ポストを提示していないところも魅力を感じて、そこでお金を持った状態で行けるかということですよね。
【原田委員】  そうです。おっしゃるとおりです。
【宮浦主査】  ですので、それはノーです。
【石丸人材政策推進室長】  おっしゃるとおりで、この国費を投入しているのは、研究ポストを提示していただくことを誘発する効果も期待してございまして、ポストを提示いただいたところ以外に就職された場合には、これは国費を投入することは難しいという状況でございます。
【宮浦主査】  隅田委員。
【隅田委員】  2つありまして、1つは、このポストの条件ですよね。卓越研究員なので、卓越した条件のポストはあるのかという。本当に優秀であれば、もっと海外に出るポスドクはたくさんいると思います。条件的に。そういうのを引き留める魅力のあるような、まさに卓越したポストというか、条件が出ているのはあるのかというのを聞きたいのと、あと、重複応募はどれぐらいというか、重複して応募することはありますか。
【宮浦主査】  マッチングを複数やっていいかという。
【隅田委員】  はい。
【石丸人材政策推進室長】  お答え申し上げます。
 まず重複につきましては、マッチングは当事者間交渉に委ねられていますので、ポストを提示いただいた機関が、今年度ですと151ポストあるわけでございますが、これに対しては、選ばれました候補者については、どの機関と交渉されてもいいので、同時並行で複数交渉されても、そこは結構でございます。
 それと、もう一つのポストのクオリティにつきましては、研究に専念できなければいけないポストでございますので、提示いただくポストにおける雇用においては、エフォートを50%以上確保いただくというようなことを、条件として課している状況でございます。卓越した研究者が十分に研究業績を上げられる環境をどういうふうにチェックしていけばいいのかということは、今後の実態把握もそうでございますが、事務局でも考えております。提示いただくポストについて、もう少しこういった条件を付した方がいいということがあれば、お知恵を頂ければありがたいと思ってございます。
【宮浦主査】  それは企業目線ということで。まず川端委員で、次、塚本委員。
【川端委員】  今の話を聞いていて、その前の話からですけど、DCの新卒のキャリアパスのときもそうですが、ドクターの人間の意識と同時に、受け取る側の企業も変わらなくてはいけないというのがもともとにあって、それを変えていったのがDCキャリアパスですよね。それが今度は、中途採用に関する話でこれをやっているという。だから、問題は、これの企業側の受け取る側が中途採用に関してどう思っているのかという、ここも変わってもらわなければならないという、ここの部門を作らないといけないと思っていて。
 そう思えば思うほど、この事業はシステム改革のはずです。では、どこのシステム改革が変わろうとしているか。先ほどのマッチングのところをある業者さんにどうのこうのという話はあるけど、そうした場合に、どこにそのノウハウは蓄積されていくのか、この話。だから、その業者が倒れたら、その事業は何にもなくなってしまうという。DCキャリアパスのときもそうでしたが、どこに蓄積されることが一番いいものなのかを、もう一回考えなければならないような気がしていました。
 以上です。
【宮浦主査】  塚本委員、企業の目線から、いかがでしょう。
【塚本委員】  先ほど皆さんがおっしゃっておられるように、多分、SSHの時代からアカデミアを目指してきた卓越研究員の皆さまにとっては、地球から火星に行くような違う星に行くぐらいの感じで、「嫌だな、会社」と思っておられるかたもいらっしゃるのかなというような気もします
 従いまして、マッチングのエージェントにきちんとしたコミュニケーション能力のある人がいて、両者間の希望を取りながら、条件をまとめていくということで、先ほどの企業側の方も条件を柔軟に変更できますし、お互いのコミュニケーションが密になれば、ほかの条件があれば双方折り合えるという交渉もできるようになるので、よりよい制度になると思いました。
 また、川端先生がおっしゃるように、そのノウハウをどこに貯めておくかという点については、恐らく、最初は専門家でないとできないと思うのですが、JSTさんなどに一緒にやっていただいて、最終的に、政府関係機関ができるようにするとかいうような工夫はあるとよいのではないかと思いました。
【宮浦主査】  民間企業に3人とか4人とかしか決まらなかった現状が、人はいたけれども、要するに、アカデミアを向いていた研究者が行かなかったのか、あるいは、企業の方から見られて採りたい人間がいなかったのかということもあり得ると思います。狩野委員。
【狩野委員】  最近の公費は、だんだんその後自立化する呼び水にしましょうという考え方が強くなってきているかと存じます。その気持ちで、もしこの制度を見た場合に、どんな自立化を目指したいのかというところがまだ明確でないところもある気がしていまして、何を自立化したいと思っているかですよね。
 アカデミアで研究する有能な人のお金は企業が出すという、そういうことを自立化したいと思っているのだとすると、企業の側の皆様が、CSRとしてなのかどうか分かりませんけれども、そういうお金をアカデミアに払ってもよいですよというような気持ちを醸成するために、この呼び水を使おうとしているのでしょうか。もしそうだとすると、採るべき人の種類が変わらないといけないことになるかもしれませんし、あるいは、アカデミアの目線で進めることに対して、企業も一緒にやってください程度の話としてやっているとすれば、もちろん、そういう人を採ればいいと思いますけれども、この辺の目的設定が分からないと、多分、呼び水にならないのではないかということと、もう一つ、呼び水になるためには、私、前の東大にいたときに作ったプログラムで思ったのですが、東大の医学部でさえ、皆さん、研究していると思っておられると思いますけど、自発的にMD-PhDコースに行くという人が100分の1だったときには、ほとんど人が行きませんでした。つまり、だから、1%だと呼び水になりません。その後、私が担当したプログラムで、10~20名が100人中行くようになると、何かそうだねという気持ちがしてきて、じゃ考えようかという人が出てくるという、やっぱり1~2割いるのかなと思うのですが。そうしたときに、先ほどの規模感の御質問に戻るわけですけど、1億分の科学がしたい人の人数分の150人で足りるのかどうかということも含めて、すみません、そもそも論ばかりで恐縮でございますが、この政策を考えるに当たっては、要る質問かなと思いまして、伺ってみました。
【宮浦主査】  規模感の問題も非常に重要で、竹山委員。
【竹山委員】  企業が10人採って半分成功だったときに、こうだということが分かってくれば、それは呼び水になって、10が100になり、そうしたときに、わざわざこのような卓越研究員というふうに――それはお金をもらえるから、魅力かもしれませんけど、企業という、もっと先を考えていっているときに、場当たり的なお金が出たことを一生欲しいと言うわけはないと思います。それよりも、この人材を採って、20年、30年、もしかしたら、その次として、企業を育てるために必要な人材としてドクターがオーソライズされるようになることの方が重要なので、このプログラムは、とにかくある年限で成功させて、企業にドクター人材がいかに重要であって、いかに必要かということをさせれば、あとは独自で回っていきます。独自で回らないのは大学だけで、企業は回らなければいけないと私は思っています。なので、むしろそこのところを、卓越の企業版に関しては考えていただいた方がいいと思いました。
【宮浦主査】  今御指摘いただいた点は非常に重要で、企業側から御覧になると、恐らく研究費とか環境整備費なんて要らないのではないかと。優秀な人材さえ採れればよいとお考えのところが大きいと思います。どうぞ。
【萩谷委員】  関連する質問ですけれども、企業側が提供するポストというのは、どういうポストなのでしょうか。研究ポストで、年限が付いたポストというのが基本でしょうか。それとも、企業側としては、そういう高度な人材を採用して、将来的には、本当に企業の中で活躍していく、要するに、短期間ではなくて長期的なことまで考えているのか、その辺はどのような感じでしょうか。
【石丸人材政策推進室長】  お答え申し上げます。企業に今御提示いただいているポストのところについてヒアリングさせていただきますと、企業でございますので、基本的にはパーマネントの職として考えていらっしゃるということが前提でございます。
 職種といたしましては、やはり中央研究所とか、やはり開発部門というところが多いのかなというような傾向が見てとれるかと存じます。
 そのほかにもたくさん御意見いただきました。本件、どう自立化を図っていくのか、あるいは、どこにノウハウを蓄積していくのか、様々な御意見を頂きまして、また、企業については、自立化を図っていくべきだということ。そもそも、先ほど発言申し上げられませんでしたけれども、本事業については、安定的なポストを確保していくという側面と、流動化を促進していく側面というものが、いろんなものが入りすぎてしまっているのではないか。とりわけセクター間移動については、この事業ではうまくいかなかったので、違うスキームを作った方がいいのではないかというような御発言も頂いて、私たちも、実はそういった問題意識を持って、どういうやり方がいいのかを考えた上で、別のスキームを立てるということもやはり検討の俎上としては上がっているわけでございますが、先ほど課長からも申し上げました、いろいろテクニカルな問題もありますので、まずは同じスキームの中でどうように行っていくのか。
 その中で、1つには、流動性を高めるときに、幾つかの職業紹介事業者の方々に伺ってみますと、要は、先ほど双方向の期待値の調整というのが、労働市場の調整においては極めて重要だということでございまして、ヘッドハンティングはもうこの事業の外ではたくさん行われているわけでございまして、その場合には、研究者を本当に欲しい方の場合には、単なるサラリーだけと、あるいは、研究ポストではなくて、住環境、例えば、四国の中小企業であっても、博士人材をヘッドハンティングで何人も採られているところ、それは簡単に言うと、住環境がいいのだと思います。子育て、あなたは家族をお持ちでしょう、ここでやったら間違いなくいいですよとか、あらゆるもので働きかけをしていくと。
 と同時に、それをまた研究者の方々の御希望も聞いた上で、今度は企業側に、こういう条件であれば彼は来てくれるという、その双方向のかなり細かい手の込んだマッチングをされているというのが実態としてありまして、ただ単に当事者間交渉で、リストがあるからやってくださいとやっていては、なかなか労働市場というのはうまくいかないということを、私たちも実は勉強させていただいて、本当であれば別枠を作ろうということも考えたわけでございますが、まずは改善を図るところは改善を図っていこうということで今考えたというのが、まず産学の連携のところでございます。
 また、自立化の部分については、テニュアトラックの事業でございますとか、コンソーシアムの事業と、こういったところについては、当然、補助期間が切れた場合には内在化してくださいと。とりわけ人件費については、内在化は一番重いものでやってくださいということでございますが、これは、実は、人件費はもともと補助対象ではないですね。研究費だけでインセンティブを準備しているということで、政策の大きな効果は、先ほど川端先生もおっしゃっていただきましたけれども、今まで安定的な研究ポスト、特に若手用のポストというのが見えなかったのです。幾つ全国にあって、JREC-IN Portalにはもちろん登録は頂くのですが、そこだけではどうもマッチングはよく進んでいないところがある。ということで、今回は、アカデミア、企業、両方からポストを提示いただいて、可視化ができたというところで、透明な選考を行えるようになってきたということが非常に大きな成果だっただろうと。
 これを持続可能な形に持っていかなくてはいけない。自立化とちょっと言葉は違うかもしれませんが。今のポストの提示数と応募者の状況だけを見ていきますと、このまま本当に持続可能性が担保できるのかというと、事務局としては、極めて不安に思っているところでございまして、先生方のお知恵を頂きながら改善を図ってまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
【隅田委員】  1つだけいいですか。さっきのうまくいかないのでどうしようかという御発言をぱっと頂いて。悩ましいというところですけど、もともと今、数が少ないわけですよね。5とか。逆に、うまくいきそうな領域を、重点領域のようなのを作ってしまって、そこをモデルケースで作ってしまったら、こういう二桁ぐらいなんていうのはすぐいくのではないかと思います。大学の方が、むしろ今立ち遅れているけど、これから非常に重要な領域とかを、企業のニーズを考えながら、1つ、国としても支えるのなら、そこを重点領域のようなのを幾つか作っていけば、方向が非常に明確になりますよね。そして、こういう数だとすぐに出るのではないかなと思いました。
【宮浦主査】  ほか御意見、どうぞ。
【川端委員】  最後アイデアだけ言って終わろうと思って。
 さっきお話ししたように、これ、やっぱり中途採用の考え方というのが絡んでいて、だったら、お祭りした方がよくて、要するに、何かというと、企業もいいなと思っている人たちがばーっとプレゼンをやる。こちら側に、採ってもいいなという企業がばーっと並ぶ。要するに、ベンチャーのオーディション型ですよ。そんなようなお祭り型をやっていくという話で、こういう雰囲気を醸成していくだとか、企業間も話し合ってもらうだとか、そういうようなことをするのも1つの手かなと思いました。
【宮浦主査】  マッチング、大型イベントをやったらどうかという御意見で、一回やってみるとおもしろいかもしれないというのはあるかもしれませんね。
【川端委員】  中途採用だから、みんな情報がないのだと思います。
【宮浦主査】  うまくいかないのでやめようかというのも1つの御意見かと思うのですが、やめるのは簡単で、今、ポストが100近く企業から実際出てきたというのを、うまく制度設計をして、若手にチャンスを広げるというところで、まだまだ制度設計に努力の余地があると。先ほど御意見いただいたような、ポストの見える化ですとか、後で有効に使えるですとか、そういうところ。
 あとは、入り口のところで、企業でもいい、企業がいいとか、ちょっとカテゴリー分けを、企業型とアカデミア型、併用型ぐらいに分けるですとか、分けた上での審査観点や審査プロセスを思い切って見直してみると。企業側の入り口から入った審査プロセスには、是非、エージェントも含めて、企業型の――30ぐらいの方で、パブリケーションリストがまださほど多くなくても、すごく特色ある方は、もしかしたら企業は欲しいかもしれないですし、そういう方も応募できるような工夫も含めて、審査基準を見直すですとか、アカデミア型は、やはり国際的なリーダーとして、高いパブリケーションと引用率を要求するような形に持っていくですとか、一緒にやらなくてもいいというようなことは、恐らくきょうの御意見として出てきたのではないかと思います。そのあたりを工夫していくという方向が1つかと思うのですが。
【柳沢委員】  1つだけお聞きしたいのですが。企業でも、エスタブリッシュした大きな企業とベンチャーでは、必要な人材もマインドセットも全く違うと思うのですが、その辺は、数字はあるのでしょうか。どのぐらい、どんなサイズの企業が、どんな性質の企業が何件応募してきているとか。
【石丸人材政策推進室長】  企業の数ということでリストはあるわけでございますが、その規模感といいますか、従業員のサイズなのか、資本金なのか、そこのところについての正確な数字というのは総数でしか分析しておらず申し訳ありません。いわゆる一部上場企業が実は多く、8割程度は、いわゆる日経平均に入っているようなところでございまして、そうではないようなところが1~2割というような感じかと思います。
【柳沢委員】  今、ベンチャーが日本は恐らくどんどん増えています。遅ればせながら。だから、そういうベンチャーもこういうのにもっと応募していただくように催促できればいいのではないかと思いました。
【萩谷委員】  さっきの質問と関連するのですが、ベンチャーだと、もっと期限を切って、本当に短期間の研究ということで採用するという意欲があるのではないかと思います。
【宮浦主査】  ありがとうございます。
 初年度の記憶ですと、やはり名だたる企業さんが並んでいたと思いますので、そういうタイプの企業の方のニーズと、ベンチャー企業の一発勝負型の、短期間で報酬も高いというようなタイプは、欲しい人材も違うのではないかという。そのあたりのマッチングを、審査基準や入り口を変えることによって、多様な人材を採れる可能性があるということで、改善の余地があると。
 本日頂いた御意見により、そのあたりが共通項として抽出できてきておりますので、改善策を具体化して検討する方向でよろしいでしょうか。どうぞ、御発言。
【飯澤委員】  1つだけ。すみません、飯澤でございます。
 はじめのペーパーの2ページ目に、分野が人文・社会科学系の人は、お金が3分の2程度の額を支援予定ということで、これは企業も含めて、実際にマッチングがうまくいった中に、人文・社会系の方の割合って大体どれくらいでしょうか。
【石丸人材政策推進室長】  応募が、人文・社会合わせて16%でございましたけれども、決定した方はゼロでした。
【飯澤委員】  ありがとうございます。
 この話を伺っていて、私も高校教師なので、先ほどSSHの話もあって、いろいろ考えていたのですが、こういった取組の評価って難しいですよね。先ほど労働条件のマッチングが難しいとおっしゃっていたとおりで、これ、自分がもしも失職して、どこか探そうと思ったときに、何をどういう条件で探すかと思うと、場所であるとか、自治体の状況なども、考えますよね。
 というので考えると、もちろん、科学的な人材を育成するという観点での意見というのはすごく大事だと思いつつも、別の視点の、マッチングのプロの視点であるとか、あるいは、0%だった人文・社会系の方で、専門的な労働条件をどうやってマッチングするかというような研究をされている方がいらしたら、産学官の官のところで、この取組自体の評価とか、あるいは、進めていくために実力を発揮いただいてもいいのではないかなと思いました。すみません、しょうもないことでした。失礼しました。
【宮浦主査】  委員の皆様も我が事としてお考えいただいて、何をしてほしいか、どうあるべきかということを考えるいい機会かと思いますので。
 そろそろ集約しなくてはいけないのですが、ショートで、これは言っておきたいというのを是非。
【竹山委員】  くだらない質問をしていいですか。
 企業が、要するに、マッチングのプロが入るとおっしゃったじゃないですか。それを聞いていたときに、もう本当にヘッドハンティングのプロがいっぱいいるので、それを使うのかと。だから、さっきヘッドハンティングの言葉が出てきたのですが、そういう人たちを雇うというのは、成功報酬で雇うのですか。
【石丸人材政策推進室長】  ヘッドハンティングをやっていらっしゃる企業にもお話を伺ってみたところでございますが、今考えてございますのは、必ずしもヘッドハンティングの専門の企業ではないところです。また、成功報酬をお支払いするのではなくて、博士人材と中小・ベンチャーも含めた企業とのマッチングのプロモーションでございますとか、あるいはコンサルティングのような形でお力添えいただくような制度設計を考えているところでございます。
【宮浦主査】  そのほか、いかがでしょうか。御意見よろしいでしょうか。
 それでは、ありがとうございました。是非、改善に向けて、少し具体的なところが見えてきた時点で、もう一度また御議論いただくチャンスを頂きたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、卓越研究員の話題は以上でございまして、次に、議題2、残り時間の範囲で審議したいと思います。人材委員会と中教審大学院部会合同部会をやってきておりまして、その論点整理案について御議論いただきたいと思っております。
 合同部会でございますけれども、本年3月13日に人材委員会と中教審大学院部会の合同で設置されまして、今まで5回にわたって会議を開催してまいりました。このたび、合同部会として論点整理を取りまとめておりますので、人材委員会、親委員会といたしましても御議論いただきたいと思っているところでございます。
 その論点整理につきましては、大学院部会の方も開催されましたので、そちらでも話題に上げさせていただいたところではございますけれども、次に、7月末に、もう一度第6回の合同部会を予定しておりまして、そこで取りまとめをしたいと思っております。
 したがいまして、その論点整理、現段階におきまして、事務局より御説明をお願いいたします。

○事務局より資料2-1、2-2に基づいて説明

【宮浦主査】  ありがとうございます。
 中教審との合同部会では、過去5回にわたりましてかなり議論してまいりまして、特に若手研究者に焦点を当てて論点整理をさせていただいてきたところです。先ほど来の議論ともかなり重複する話題もございますので、本日、お時間が限られておりますので、委員の皆様におかれましては、是非、一度お目通しいただきまして、ここはちょっととか御意見を是非御指摘いただければ、反映させていただきたいと希望しております。
 あと合同部会は1回ありまして、そこでもう取りまとめになりますので、まことに恐縮でございます。今週中ぐらいを目途に御意見を頂戴できると大変ありがたいと思います。
 論点整理の過程で、もう少し年齢層を上げた議論もやっておりましたけれども、今回、特に若手に焦点を当てて作り込みをいたしましたので、そのあたり、様々な御意見あろうかと思いますが、若手に少し絞らせていただいたということで、通し読みを頂きまして、御意見を頂戴できるとありがたいと思っております。
 頂戴いたしました御議論の反映につきましては、必ず拝見いたしますので、宮浦の方に御一任いただければありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、最後になります。事務局より連絡事項等ございますか。
【広瀬基礎人材企画係長】  次回の委員会の開催日時につきましては、主査と御相談させていただきまして、委員の皆様の日程を調整の上、改めて御連絡させていただきたいと思います。
 また、本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にお目通しいただきまして、主査に御確認の上、文部科学省のホームページを通じて公表させていただきます。
 以上でございます。
【宮浦主査】  ありがとうございました。
 それでは、本日は、これで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

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