令和7年6月9日(月曜日)15時00分~17時00分
科学技術・学術政策局局 1会議室及びWeb会議(Zoomウェビナー)
小泉委員、稲垣委員、網塚委員、江端委員、桑田委員、近藤委員、杉原委員、高木委員、中村委員、野口委員
先﨑科学技術・学術総括官、奥人材政策課長、髙見人材政策推進室長、髙橋人材政策課長補佐、滝沢人材政策課長補佐、大場人材政策推進室長補佐
科学技術・学術審議会 人材委員会
科学技術人材多様化ワーキング・グループ(第3回)
令和7年6月9日
【小泉主査】 定刻となりましたので、ただいまから、科学技術・学術審議会人材委員会 科学技術人材多様化ワーキング・グループの第3回を開催いたします。
本日の会議は冒頭より傍聴者に公開していますので、よろしくお願いいたします。
本日は10名の委員にご出席いただくことになっております。定足数を満たしているものとさせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入る前に、事務局より注意事項と本日の資料確認をお願いいたします。
【大場人材政策推進室室長補佐】 事務局でございます。
本日の会議は対面とオンラインのハイブリッドでの開催となります。対面でご出席の委員は、ご発言の際には挙手または名立てなどにより合図してください。オンラインで出席の委員は、挙手機能により挙手ボタンを押していただき、主査よりご指名を受けましたら、お名前をおっしゃっていただいた上でご発言ください。機材の不具合等がございましたら、対面でご出席の委員は会場の事務局にお声がけいただき、オンラインでご出席の委員は、マニュアルに記載の事務局連絡先にご連絡ください。
資料につきましては、Zoom上での共有もございますが、会場でお配りしておりますので、皆様、手元で資料を御覧ください。
それでは、資料確認をさせていただきます。事前に送付させていただきました資料としまして、議事次第、資料1から資料4-4、参考資料1、参考資料2でございます。議事進行の過程で不備等がございましたら、事務局までお知らせ願います。
以上でございます。
【小泉主査】 よろしいでしょうか。今日もどうぞよろしくお願いします。
今日も技術者・技術職員に関すること、ヒアリングも含めてありますし、その後、研究開発マネジメント人材についても引き続き議論と思います。盛りだくさんとなっておりますが、よろしくお願いいたします。
では、議題1に入りたいと思います。まず、技術者・技術職員の在り方の検討をするため、まず、本日は1件のヒアリングを予定しております。信州大学基盤研究支援センター准教授の中田勉先生からお願いしたいと思います。「信州大学における技術職員組織改革の現状」と題しましてご発表いただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【信州大学(中田様)】 よろしくお願いします。信州大学の中田と申します。本日は「信州大学における技術職員組織改革の現状」ということで簡単にご説明させていただきたいと思います。
次のスライドお願いします。今回、私ども技術職員組織のことを主にご説明したいと思うのですけれども、こちらのきっかけになりましたのが、コアファシリティ構築支援プログラムという文科省の事業に採択されたことに始まりましたので、簡単にまずコアファシリティ事業の取組についてご説明させていただきたいと思います。
コアファシリティ事業なのですけれども、信州大学では主に3つのことを柱にしておりまして、1つは、大学内の機器を共用化してみんなで使いましょうというものになります。こちらの資料の左上のほうにありますとおり、信州大学は理系のキャンパスが主に4つに分かれておりまして、それぞれが機器の予約システムや技術職員の連携等がそれぞれの部局で別個行われているという形でこれまでは行われておりました。これを効率化してより良い体制にするために、コアファシリティ事業をきっかけに、大学全体の機器の予約システムの一元化や、統合技術院、技術職員組織の一元化等を行いました。さらに、共用機器の登録数を増やしていくということで、それぞれの研究室が機器を持たずに研究を進められるというような体制づくりを進めております。
さらに、2つ目の柱ですけれども、信州共用機器ネットワークというものを立ち上げました。こちらは長野県内の各参画機関、左側に記載されてある、信州大学を含めて全部で16機関ですけれども、これらの機関の持っている機器を共用化して、1つの先ほどと同様の機器予約システムに登録することで、これをそれぞれの参画機関やあるいは民間の企業の方も使えるようにということで取組をしております。
この中で、長野県内の各大学やあるいは公設試とのネットワークを形成しまして、これらの中で機器の共用化とともに、例えば、公設試の技術職員の方との情報交換や、そういったことを進めているということになります。
さらに、こういった地方の機器の教育ネットワークというのが各部位に、日本で言うと例えば、群馬、宮崎、北陸、沖縄、鳥取と、各大学が中心となりましてこういったネットワークが複数ありますので、こういったネットワーク間で連携をするということにも取り組んでおります。
この2つの柱に加えて、3つ目の柱が技術職員の高度化ということになります。
次のスライドお願いします。こちらが信州大学の技術職員の方がどのようなことで業務を行っているかということを記載してあるのですけれども、非常に多岐にわたる業務を行っておりまして、機器の分析でありますとか、設計・製造のものづくり、あるいは生物系の研究、あるいはフィールド――これは農学部や繊維学部が中心になりまして、特に動物や植物を外で飼育したりするというようなことをしている技術職員ですけれども。さらに情報系。この中に含まれないようなものもたくさんあるのですけれども、こういったところで教育研究系の技術職員というのが活躍しているという状態になります。
ここの周りにいろいろと具体的な取組を記載してありますけれども、例えば、オリンピックのメダリストのスケートのブレードの加工でありますとか、あるいは、工学部の技術部では親子体験教室なども開いておりまして、こういったことで地元の子供の教育にも貢献するというようなことをしております。さらに、車椅子ラグビーの道具を新素材に加工するとか、あるいは、農学部のほうでは果実の加工というようなことも様々なことが行われておりまして、こういった多岐にわたる業務をこれまで行ってまいりました。
次のスライドお願いします。こういった技術職員なのですけれども、これまで様々な課題を抱えていました。ここの上に6個挙げておりますが、まず、技術職員が高度の専門職としてキャリアパスが不明瞭であること、部局間の交流が少なく連携が取りにくいこと、非常に人数が少ないことからライフイベント等への対応が困難であること、あるいは、技術検査にかける時間と費用が不足している、あとは、基盤整備に関わる、これは機器やマンパワーも含めてですけれども、そういった職への評価があまりはっきりしていないということ、あるいは、職業としての認知度が低くて新規採用が困難であるというようなことがありました。
これらを改革するために、教育技術系技術職員の組織を一元化して、統合技術院というものを新たに信州大学ではつくりました。下の図が統合技術院の成り立ち方ですけれども、一番上に統合技術委員長と統合技術副委員長。これが総務担当理事、研究担当理事が担当しておりますけれども、この下に統合技術院の運営会議がありまして、その下に様々な部会があり、こちらで統合技術院の運営をしております。
この下に統括技術系長、副統括技術系長というものが存在しておりまして、こちらは管理職ポストとして新設しました。この図の緑の四角の部分は技術職員が当たるポジションになります。ですので、これまで統括技術系長や副統括技術系長、管理職ポストは存在していなかったのですけれども、今回新たにつくりました。
さらに、これまで各学部で分類されていた技術職員を専門分野で5つに分類分けしまして、各系に系長を配置しております。これは各学部を超えた形で専門分野によって分類をしているという形になります。このように各専門分野によって分かれることで、研修や教育をより効率的に行うということを目指してこういった形にしております。
さらに、統合技術院の取組としては、部局間インターンシップやイニシアチブファンドというものを今現在行っております。
部局間インターンシップというのは、各学部に閉じ籠もらないように、各ポジションの技術職員がほかのところに行って、1週間なり2週間なりというのを一緒に作業をして、どういった業務をしているかというのを体験するというようなことをしております。
さらに、イニシアチブファンドと申しますのは、これは技術職員が自由な発想で、例えば、何かの測定計を作りたいとか、どういった研修をしたいとか、あるいは、こういったみんなで集まって勉強会をしたいとか、様々な提案を自由に出していただいて、それを年間3件選びまして、コアファシリティ事業から予算を充てるということをしております。これによって自発的な行動というのを促すということを目的にしております。
次のスライドお願いします。先ほど申し上げましたとおり管理職ポストをつくったのですけれども、この中でどういった形に変わったかといいますと、具体的に、令和6年度までは左側のとおり、この青いところ、技術職員、技術専門職員、技術専門員という職階しか技術職員にはありませんでした。これを大幅に改革しまして、まず、技術職員の上に技術主任というのをつくりました。さらに、その上、技術専門職員、技術専門員の上に、主幹技術専門員、副技術幹、技術幹という3つの職をつくりました。
主幹技術専門員というのはいわゆる専門職ポストでして、これは技術を極めるというような方向で業務を行う者になります。さらに、これまでなかった管理職ポストとして、副技術幹、技術幹というポストをつくりました。この主幹技術専門員、副技術幹というのは、事務的には、大学の事務で言いますと課長級に当たります。技術幹については部長級に当たります。この副技術幹と技術幹が副統括技術系長・統括技術系長を担うことで、統合技術院のマネジメントを行っていくというような形になっております。
こういった組織に変えた理由としましては、社会の変化とともに進化し続ける信州大学を支える技術職員として、幅広い知識やスキルを積極的に身につけ、それらを駆使して活動する意欲のある人材の育成を目指すということを考えております。
次のスライドお願いします。固有名を出してしまってよかったのか、少し問題かもしれないですけれども。活躍する職員の例として1人、石川えりさんという名前を出してしまったのですが、こちらに挙げております。この方は2011年に入職された方でして、左側の現場の仕事を見ていただくと分かるのですけれども、共用機器の管理しておりまして、30機器以上1人で管理しておりまして、その中で研究者の機器の利用説明や技能補佐員の指導・監督ということを行っておりました。
その上で、右側の上のほうにSHARE事業というものがあったのですけれども、これは文科省の事業ですが、こちらを採択されたことをきっかけに国のプロジェクトに関与するようになってきました。その中で、例えば、左下の全学機器の予約システムの管理でありますとか、他機関との連携、さらにコアファシリティ事業の担当、先ほどイニシアチブファンドの発案も、この専門職員の方の発案になります。
さらに、信州共用機器ネットワーク、SHINEという名前を先ほど言い忘れたのですけれども、こちらのロゴまで彼女が作ったということで、非常に多彩で能力の高い技術職員の方が現在活躍されていたのですけれども、令和7年4月より内閣府のほうに出向しておりまして、更に新たな経験を積んでくるということを期待しているところです。
彼女が大学復帰後に期待されるというのは、出向経験を生かしてプロジェクト推進や大学運営への更なる貢献でありますとか、統合技術院でのマネジメント能力の発揮、後進育成ということで、技術職員が技術の専門のみ、だけではなくて様々な領域で活躍の場を広げていくということが、こういったことが今後増えていくのではないかなと考えております。
また、ここで細かく説明は省かせていただきますが、その他、企画交渉段階から技術職員が参画した共同研究が令和6年に11件、共同研究に関わった技術職員の数というのは延べ70名になっておりまして、多くの技術職員が大学の特に共同研究、産学連携に重要な役割を果たしているということは現在疑いようのないところになっております。
技術職員の組織の今後の課題なのですけれども、こちらは技術職員の方に私が直接何名かの方にお伺いして、こういった形のことをもう少し進めていくべきではないかということをお伺いしたことになります。
1つは、共同研究での活躍の場を更に広げるということで、現在本学では、共同研究の代表となれる者は教員ということになっておりまして、その辺の制度というのをしっかり整備していって、技術職員の方も代表となれるようにするべきではないかというような話をしております。また、企業との関係が当然増えてきますので、企業の折衝能力を養う研修の充実でありますとか、あるいは、それによって得た研究費を統合技術院のほうにしっかり配分していくという形のことを目指すべきではないかというふうな提案がありました。
さらに、他機関への出向制度の整備ということで、先ほど申し上げましたとおり、内閣府に出向している者が現在1名おりますけれども、こういったもの、希望はたくさんありまして、民間企業でありますとかほかの大学、あるいは公設試、省庁に出向を希望していて、更に技術を磨きたい、あるいは新たな情報を得たいという希望はたくさんありますので、そういった制度をしっかり整備していくことで、より充実した経験をできるような制度にできるのではないかというふうに考えております。
さらに、現在、企業を定年退職した技術者の方を再雇用しているというものが各キャンパスに何名かいらっしゃるのですけれども、そういった方は非常に技術継承や若手技術者への刺激となっているのですが、なかなか雇用条件が大学ではよくするのが難しいということで、こういったこともよくしていくということが検討事項としてあるんじゃないかというふうに考えております。これはもちろん技術職員の現場の意見なので、どこまで実行できるかというのはまだ分からないですけれども、こういった希望があるというふうに考えております。
こういったことを含めて、持続可能な技術の伝承とともに、情報の共有を含めて人的ネットワークを構築していくということを今後進めていくべきではないかと考えております。これまで、技術職員というのは大学の研究基盤を支えるということをメインで考えておられたのですけれども、むしろこれからは、支える上に更に牽引していくというような形で高度な技術職員というのを育成していくことを目指していきたいというふうに考えております。
以上になります。
【小泉主査】 中田先生、どうもありがとうございます。非常に信州大学の先駆的な取組をご紹介いただきました。
皆さん、ご質問等あれば。近藤先生、お願いします。
【近藤委員】 参考になるご発表ありがとうございます。
石川さんは私も技術研究会等で何度もお話ししていますので知っているのですけれども、出向されたところが内閣府というところで、その選定された理由と、また、石川さんが不在の間の代替職員がどうなっているか、あと、何年ぐらい出向されているかというこの3点をお聞かせいただければと思います。
【信州大学(中田様)】 出向先を選ばれたのはむしろ、公募があったものに応募したことがきっかけというのが内閣府を選んだ形になるかと思います。ただ、公募された形とは少し違う形で結局向こうに、内閣府のほうに出向することになったのですけれども。
【近藤委員】 公募で。
【信州大学(中田様)】 その辺の事務的な正しい用語がはっきり分からないのですけれども。基本的には、募集があったところに応募したことがきっかけになって、その後でいろいろ打合せがあったという形で聞いております。
【杉原委員】 補足していいですか。信州大の杉原でございます。
石川さんとはもう10年以上学内で接点を持っておりまして、コアファシリティの打合せも月2回、私も同席させていただいて、ずっとお話ししていく中で、国の政策や大局的な科学技術の方向をお話しすると、石川さんがかなり関心を持って自発的に審議会を調べたりとか、あるいは傍聴したりするような状態になりまして、なまじ普通のURAよりもはるかに国の政策あるいは科学技術の今後の方針などに知識や自分の意見も持っている状況になりました。
ちょうどCSTIから公募があったときに、あえて私が石川えりさんを推薦しまして、学内で石川えりさんを出すというところまで調整した上で、出向させることになりました。
結果として、信州大学としては、技術職員の新しいキャリアパスを形成するとともに、技術職員自らがしっかりマネジメント能力を持って、大学の大きな1つの人材の柱として動かしていくための一番手として彼女に活躍してもらおうと思っています。教員や事務職員にも引けを取らないどころか、むしろ教員や事務員にも意見をきちんと申して、大学内だけではなくて政策もしっかり把握した上で大きな方向性を位置付けられる人材として育成しようと思っているところです。
【小泉主査】 杉山先生、ありがとうございました。よろしいですか。
【近藤委員】 重要な石川さんが抜けると、30機器以上を管理されているので、そのいない間、どなたが代わりをやられているのか。
【信州大学(中田様)】 実は石川さんは私と同じ部署で働いていて、まさに一緒のチームなのですけれども、補充というのは実際にはできていなくて、ただ、統合技術院ということで全学の組織になったことで、ほかのキャンパスの技術職員の方等の協力を非常に仰ぎやすくなった形になっておりまして、そういったことで、彼女の担当していた機械の作業がある程度理解している技術職員の方に助けていただくというような形で、補充はないですけれども、みんなで手分けして何とか補い合うというような形で進めているところです。
出向期間は一応、今のところ2年を予定しているということです。
【近藤委員】 ありがとうございます。今後の人材流動というところの重要なポイントになるかと思いました。ありがとうございます。
【小泉主査】 ありがとうございます。
稲垣先生、野口先生の順で行きます。稲垣先生、お願いします。
【稲垣主査代理】 ご説明ありがとうございます。
私がお聞きしたいのは2つあるのですけれども、絡まっている感じもするのですが。まず、信州大学の技術職員の方というのは、ポストがあって、それに対して公募する採用なのか、この前の江端先生とか網塚先生がおっしゃっていたように、地区ごとにまとめて事務職員のルートのように採用されるパスなのか、両方併用なのか、それをお聞きしたいのと。
統合技術委員長が総務担当理事というのが何かすごいなと思って聞いていたのですけれども、総務担当理事だからこういう新しい管理職ポストを量産することができたのか、それを狙って総務担当にお願いしたのか、その辺のいきさつを差し支えない範囲でお聞かせいただければと思います。
【信州大学(中田様)】 1点目なのですけれども、信州大学の技術職員の採用に関しては、先生もおっしゃられたように2通りありまして、地域のものと公募のもの両方あります。これに関しては毎年並行して行われているという状況になります。
2つ目なのですけれども、おっしゃられましたとおり、確かに、今回このように人事制度を非常に大きく動かせたことは、総務担当理事が長であったことは非常に大きいと思います。当初我々としては、基本的にはそれはある程度予想して、そのように組織ができればいいなと思っていたというところは正直申し上げてあります。
【稲垣主査代理】 総務担当理事をアサインしたのも学長が決められた?
【信州大学(中田様)】 そうですね。はい。
【稲垣主査代理】 ありがとうございます。
【小泉主査】 ありがとうございます。
野口先生、お願いします。
【野口委員】 説明どうもありがとうございました。
私は、6ページの石川さんのところの下の赤字の箇所です。企画交渉段階から技術職員が参画した共同研究、そういうやり方はすばらしいと思っています。1点目は、技術職員が参画することによって、共同研究がほかにあった、いわゆる入ったからこそ、こういう連携に結びついたという事例があれば教えていただきたいのが1点と。
この交渉段階から技術職員が入られるケースというのは、どちらかから要請があって入るのか、それとも、客観的に見て、これは入るべきものなのだということで主体的に入っていっているのか、ケースはどのようなケースがあるのかということを知りたいと思いました。お願いします。
【信州大学(中田様)】 ありがとうございます。特に技術職員の方が企画交渉段階からというものに関しては、一番多いのは、我々大学として目指しているのですけれども、繊維学部というものがございまして、いろいろなファイバー、繊維について研究等を行っている部局なのですが、そちらでは技術職員の方が非常に特別な技術というのを有していまして、あるファイバーを作るのには、これはこの技術職員でないと日本では作れないみたいなことが幾つかありまして、そういったところはむしろ、企業のほうが名指しでその技術職員の方を指名してくるというようなこともままあるというふうに聞いております。
なので、むしろ、あくまでも教員は間に入りますけれども、その技術職員でないと、その技術職員が信州大学の機械を使ってやらないといけないということが前提にある共同研究というのが幾つかあるというふうに聞いております。
【小泉主査】 野口先生、よろしいでしょうか。
【野口委員】 分かりました。すばらしいですね。内発的ではなくて外部から要請があって、共同研究をまとめていく交渉段階から指名があって入るというのは1つの事例かなと思いました。ありがとうございました。
【小泉主査】 ありがとうございます。
ほかにございますか。
僕から1つ。組織整備をすることによって、新しい人材、例えば、博士を取っているような人材や、学部から出てきた人材など、そういった新しい人材が入りたいというようなところが増えていたり、そういった新しい人材の確保というところはどうお考えになっているのでしょうか。
【信州大学(中田様)】 ありがとうございます。令和7年度からこのシステムになりましたので、まだほとんど実際には周知されていないという状態でして、それほど、もちろん今年度中に影響が見えるという形ではないと思うのですけれども、我々としては、新規採用をするに当たり、非常に技術職員の採用というのは今、全国的に困難になっている状況の中で、ある程度信州大学としては差別化していって、大学としてこれだけのちゃんとしたポジションを用意していますということはアピールしていって、優秀な人材を集めていきたいなというふうに考えております。
【小泉主査】 分かりました。ありがとうございます。
ほかはどうでしょうか。中村先生、お願いします。
【中村委員】 どうもありがとうございます。
すごく画期的な取組で感動しています。技術職員の人が自発的にやっている共同研究で、教員とかほかに気兼ねするということはあまりないのでしょうか。遠慮される方が技術職員の方は多いのかなと思って。ポテンシャルは持っているけれども。
【信州大学(中田様)】 もちろんキャラクターにもよると思うのですけれども、決して教員に対して一歩引いて見るというような方ばかりではないので、普通に技術職員と教員というのが信州大学としてはサイエンスとテクノロジーという形で2つの車輪になって動いているというような認識を持っている方がたくさんいらっしゃると思います。
【中村委員】 それを進めるような、エンカレッジするような取組とか、あるいは、もっと自主的にやっていいよということは言っているのでしょうか。
【信州大学(中田様)】 統合技術院という組織に1つしたということ自体が、これまで大学の教員も学術研究院というような形で1つの院にしているのですけれども、ある意味ではそれに並ぶような形で技術職員の組織をつくったということが、1つ、大学の中で技術職員の重要性というのを執行部からも考えているのだというようなアピールにはなっているかなと思います。
【中村委員】 ありがとうございます。
【小泉主査】 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。ありがとうございました。本日のヒアリングも含めまして、また、技術者・技術職員に関して今後も議論を深めていきたいと思います。信州大学のすばらしい事例をありがとうございました。
それでは、議題2に移っていきたいと思います。技術者に関する現状・課題・今後の具体的な取組等について、これまでの科学技術人材多様化ワーキング、我々のグループと、先月19日に行われました第108回人材委員会における本委員会関係の主な意見も踏まえまして、事務局よりご説明をお願いしたいと思います。髙見室長、お願いします。
【髙見人材政策推進室長】 ありがとうございます。人材政策推進室の髙見です。私からは資料2と3-1と3-2に基づきましてご説明を申し上げます。
資料2でございますが、前回のこちらの多様化ワーキングにおけるご意見につきまして、おさらいのようなことで恐縮ですけれども、端的に申し上げたいと思います。
1ページ目、2ページ目が前回のこちらのワーキングでのご意見を集約したものでございますけれども、主に「技術者」と「研究者」の定義といいますか、すみ分けみたいなところのご意見をたくさんいただいた状況でございまして、分けて議論することが必要だというご意見もあった一方で、なかなかそこは切り分けが難しいといったところで多くのご意見をいただいたというふうに認識をしております。
それに加えまして、技術者の活躍促進という文脈では、組織の内外における流動性の向上によって、技術者が活躍できる場をもっと充実していく必要があるといったご意見。
技術職員に関しましては、3-1のほうのペーパーにも前回も書いたところですけれども、プロジェクトマネジメント業務を担っている技術職員もいらっしゃるので、ミッションとしてそういったマネジメント業務を担えるような体制が必要だといったご意見。
2ページ目ですけれども、あとは、技術職員のキャリアパスとして、博士人材にこのパスが見えていないのではないかということから、学生段階から技術職員との交流の機会を図ることが重要だといったご意見。学生に対してこの職を周知する仕組みづくりが必要だといったご意見。こういったところをいただいたところでございます。
ですので、資料3-1のほうを映していただければと思いますけれども、こちらは主に2ポツです。今のご意見を踏まえまして、2ポツのところで、「技術者」の説明の中に、2つ目のポツですが、「具体的には」というところ、「産業界において事業部や研究所等に籍を置きながら」というふうに書いていたところですが、主にこの技術者がいらっしゃるところは事業部であるということから、この「研究所」を削除したというところと、その2行下でございますけれども、「大学等の教員」というところも、想定はできるところなのですが、主にどこにいらっしゃるのかとか、主にどういう人材を想定するのかといった観点からは、「教員」というところは「人材」に置き換えたほうがよかろうということで、書き直しをしております。
それから、丸2の技術職員、それから、2ページ目の現状と課題の技術職員のところは、技術職員の担う業務といたしまして、「研究の設備・機器」という書き方をしておりましたけれども、より正確に「施設・設備・機器の管理・運営や活用等」ということで、「施設」を全て追加したという修正を図っております。
3-2のほうをお願いいたします。こちらは1の基本的な考え方に大きく修正を入れておりますけれども、それは今ご説明申し上げました3-1の1ポツの技術者育成の目的と意義、それから、2ポツの議論の対象とする技術者の部分の記述を踏まえまして、そちらの記述ぶりに合わせた修正になっております。似て非なるものをたくさん書くというよりは同じ言い方でそろえたほうがよかろうという判断で、そのように直しております。
2ページ目お願いいたします。こちら産学で活躍する優れた技術者の確保・活躍促進というところですけれども、それのこれまでの取組と現状の部分でございますが、少し企業における実態を加筆いたしまして、2つ目の丸です。企業における中央研究所の減少等で、企業が事業化を決める前段階の研究開発として大学等との共同研究を行うニーズが高まってきているということ、そして、科学技術とビジネスが近接をしてきているので、最先端の科学的知見を企業が大学等と共有し、事業化に結びつけるということが重要になっているということ、その次の丸ですけれども、企業の社会的責任の観点からも、企業における技術者が、倫理的・法的・社会的課題への対応も含めて、大学等の有する最先端の研究開発動向や社会ニーズを把握することが重要だということを述べた上で、もう一方、産学連携をすることで、企業側の人材のみならず、大学等における人材にとっても、企業における業務ですとか組織経営・管理の手法を学ぶことは、大学の研究力や経営力の強化の観点からも重要だということについても加筆をしております。
その3つ下の丸ですけれども、産学の人材流動・人材交流を進めていくことが望ましいという前提ですが、この観点から、クロスアポイントメント制度の活用ですとか、大学における寄附講座、それから産学のコンソーシアム形成等の取組が進められてきているということも加筆しています。
一方の課題・指摘事項のところですけれども、こちらは2つ目の丸ですが、前回もご紹介したところですが、先端研究機器の多くを海外企業からの輸入に依存しているという状況が、産学の専門人材の育成力の低下や離散を招く悪循環に陥っているということ、それに伴って、そうした先端研究施設等の部材調達を支える産業界において、関連する技術が失われている場合もあるということも懸念されているということを書いてございます。
次も同様ですけれども、大学等における先端計測・分析等に関する研究開発の先細りが産業界の製品開発力に影響を及ぼしているのではないかという懸念もあるということです。
その2つ下です。2つ下の丸で、こちら前回のご意見を踏まえまして、組織内外の流動性を、これは技術者ですけれども、組織内外の流動性を高めて、我が国全体として技術者の活躍の場を構築していくことが求められるということ、そして、技術者の人材交流の促進強化も必要だということも加筆をしております。
その2つ下の丸です。先端計測・分析等の研究開発分野ですとか、例えば、半導体等の研究開発における設計ツール開発等、こういったところを踏まえますと、科学技術イノベーションの強化に向けては、研究と技術を両輪として推進していく意識が必要だということを加筆しております。
次、4ページをお願いします。こちらは大学等における技術職員の育成・確保の取組と現状というところに大きく加筆をしておりますけれども、これはこれまでの事例です。こちらのワーキングで行ったヒアリングにおける事例の中から、主なものを追記しているという修正になります。
3つ目の丸でございますけれども、学内の技術職員の業務を1つの指揮命令系統の下に置くことによる高度な技術力・企画力の実現といったことですとか、現場固有の技術的な観点も含めた評価制度の構築、あるいは、専門性や技術力を適切に処遇に結びつける職階の構築といった御発表がありました。その点を加筆しています。
その次の丸は、技術職員の職位の形成ですとか、研究開発マネジメント業務を含めた経営層にまでつながる人事制度を構築する大学の例、それから、教員や事務職員も含めた柔軟な職種間異動を伴うキャリアパスの構築を検討する大学の例というところも加筆をいたしました。
こうした人事制度に加えて、人材育成の仕組みの構築も重要であるということ、また、学内にとどまらずに、地域や技術分野ごとに技術職員の人材育成のためのネットワーク形成が推進されているといった事例についても加筆をしております。
その下の課題・指摘事項のところは、2つ目の丸に、もともともう少し後ろに青字で消してある部分で書いていた内容なのですけれども、こちらは非常に重要な技術職員を捉えていく上での課題ですので、1つ目の丸の後ろに持ってまいりまして強調しているというところでございます。技術職員の人数とかポストが著しく不足していて、抜本的な育成・配置が必要であるということ、優秀な技術職員の確保育成のためには、活躍を促進するための組織体制の構築や処遇改善、職階制度や人事評価等のキャリアパスを構築、人材育成プログラムの実施などによる継続的な育成、活躍を促進するための仕組みの構築が重要であると、この点を強調した形にしております。
また、その2つ下ですけれども、こちらは技術職員に求められる知見といいますか、力といたしまして、単に施設・設備・機器の維持管理にとどまらず、企業との技術的観点からの調整ですとか、あるいは経済的・法規的観点からの調整といった様々な専門的知見が期待される職種であるということを押さえております。
その2つ下ですけれども、こちらは前回のご議論を踏まえまして、学生ですとか博士人材と技術職員との密な交流の促進が求められるということで書いてございます。
お聞きいただいたとおりでございまして、ほとんどが、現状・課題に関することについてはかなりご議論いただいてきているということがあるのですが、本日、できましたらというか、この後ろの全然加筆が今なされていない「今後の方向性」というところにつきまして、今後どのようにしていけば、技術者の育成、そして技術職員のガイドラインに載せていくようなことというのが達成できるのか、検討していけるのかというところに関して、ご議論をいただきたいというふうに考えているところでございます。
私からのご説明は以上となります。
【小泉主査】 髙見室長、ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局からご説明を踏まえまして議論していきたいと思うのですが、その前に、前回のワーキング・グループにて江端委員よりご発表いただきまして、補足のご説明があるということですので、まずは、江端先生、ご説明を2分程度でお願いできますでしょうか。よろしくお願いいたします。
【江端委員】 ありがとうございます。前回、我々の事例についてご紹介させていただきましたが、今回の議論に直接的につながるという意味で、今示していただいた資料を追加させていただきました。こちらにつきまして改めて御説明させていただき、ぜひご議論の参考にしていただければと思っております。
前回ご説明させていただきましたTCカレッジでは、TM(テクニカルマスター)課程と、TC(テクニカルコンダクター)課程があり、前回文科省の皆さんからご説明いただいたエンジニア、テクニシャン、テクノロジストといったような国際的な技術者の分類との比較において、TC、TMはどこに位置付けられるのかを示した図になっています。本学のTCカレッジにおいては、TMがテクノロジスト相当、TCがエンジニア相当ということで制度設計をしております。
技術者の技術をいかに標準化していくかという点については、これまでの議論にもあったかと思いますが、国際標準という意味では技術士の制度もあり、本ワーキング・グループの議論の中でも、技術士の方々との接続・接点をどう持つべきか大きな課題でしたので、我々としても、そのつなぎとして、本認定制度をうまく活用していくことも考えられるのではないかと思い、こちらの資料を作りました。
技術者の認定制度は必ずしもTC制度の話だけではなく、より良い設計もあるかと思いますので、ご参考までにご紹介させていただきました。
私からの説明は以上になります。
【小泉主査】 江端先生、どうもありがとうございました。よろしいですかね。
それでは、髙見室長からのご説明、それから、今、江端先生が、今日ご発表がありました信州大学の事例もありましたけれども、特に資料3-2の、これまでの議論で、技術者、技術職員についての現状・課題、それから技術者とは何かというところも含めて、かなり具体的な議論ができてきたと思います。皆さんの認識は一致してきたと思っているところで、まさに3-2の6ページ目の「今後の方向性」のところについて、「必要と考えられる取組」、ここのところの議論を深められたらと思っております。そういったところで、ぜひ皆さんの活発なご意見をいただければと思います。
高木先生、何かしゃべりたそうですね。お願いします。
【高木委員】 どうもありがとうございます。
今後の取組に関する前に、事実認識としてコメントをさせていただければと思います。まず、文章を修正いただいて、いろいろ的確な文章表現が増えたと思います。大変御苦労さまでございました。
まず、資料の3-1の文章のタイトルですが、「技術者」と「技術職員」は、これは分けるのではなかったかと思います。タイトルが「(技術者の育成について)」となっていますので、ここは「(技術者と技術職員・・・)」が正確なのではないのかと思いました。
それから、この1ページの真ん中辺の「具体的には、産業界において事業部や研究所等・・・」の文書で「研究所」は消していただき良かったです。次に確認になるのですが、この後の文書で「アカデミアにおいて技術の実用化に向けて課題解決に貢献する人材を想定する」とありますが、このような専門職があるのかというのが、疑問点で、アカデミアには、ここで言う定義の「技術者」はいらっしゃらないのではないのかというのが確認です。
この「実用化に向けて課題解決に貢献する人材」というのは、役割として非常に重要ですけれども、実際には、共同研究するときの研究者あるいは研究開発マネジメント人材が担っているのではないのかと思いましたので、あえてここだけ「技術者」として別出しする必要はないのではないのかと思いました。
本日はまだご説明いただいていないと思いますが、資料3-3の20ページで大学における、技術職員の定義・位置づけの説明があります。この中に「技術者」は出てこないです。つまり、大学、アカデミアにおける技術者については少し違和感を持ちました。
それから、「研究者」と「技術者」は、私は分けて考えるべきだと思います。文章中で例えば「共同研究」という言葉があります。技術者との産学連携がありますが、どちらかというと、企業で共同研究するのは、研究所の研究者が大学と共同研究することが一般的だと思います。もちろん事業部の技術者も共同研究をしますが、「研究者」としたほうが、座りがいいとに思います。これが1点目の理由。
それから、2つ目の理由は、今、政策課題にもなっています博士人材の活用という視点からで、修士で入社して3年たった社員より博士人材の処遇を上げようという議論がありますね。その場合に、処遇を上げるのですから、より高度な仕事をお願いするべきだということで、それはやはり、技術者より高度な仕事ということで研究者・研究職というのを別出ししたほうが良いと思います。
ということで、タイトルとして、産業界における研究者、技術者とアカデミアにおける技術職員という分け方で考えたほうが良いというのがコメントです。
それから、資料の3-2ですけれども、これもやはり「技術者」の中に「技術職員」を含めたような章立てになっていると思いました。タイトルが「技術者の育成に関する現状・課題・今後の方向性」となっており、1ポツの「基本的な考え方」は技術者のことが書かれていて良いと思うのですが、4ページの小項目丸2で「技術職員」が出てきます。ということは、「技術者」の中に「技術職員」が含まれるような章立てになっているのですが、これで良いのかということです。
それから、2点目は、繰り返しになりますけれども、「研究者」は別出しにしたほうがよろしいのではないかということです。
それから、2ページ目にJABEEの話が出てくるのですが、これ自体はそのとおりだと思いますが、JABEEというのは、IEAのGraduate Attributeを基にしてプログラムを認証しているのですが、これはあくまでも学部卒業生に対してです。大学院は対象ではないです。ということで、学部を対象にしているJABEEだけが出てくるということに少し違和感があります。大学院のプログラムまで含めて見られるような形ならば良いなと思います。
もしこの辺を文部科学省が議論されるのであれば、学校法人法の規定により、大学は定期的に認証評価機関で評価を受けなければなりませんが、これは5機関認定されています。例えば、そこにJABEEを関係させるような、制度改革までご検討いただくのがいいのかなと。ただし、これは高等教育局になるかもしれません。
それから、少し今後のことに関係するのですが、7ページ目に技術士制度の活用促進があります。書いてあること自体は間違いではないのですが、私も技術士分科会にも参加させていただいており、今期で4期目になります。活用促進については、技術士分科会で、現行制度を基にして技術士制度の活用を、今まで6年間議論してきましたが、必ずしも進展していません。このWGは親委員会も含め、人材政策や人材育成を議論する場ですので、技術士分科会とは異なった視座での議論もあっても良いのではないかと思います。
つまり、技術者の能力向上を目指すような仕組み、認証制度も含めて、技術士制度を前提とした視点で考えなくても、本来あるべき姿、どういう姿がよろしいのかということを一から議論してもよろしいのではないかと思いました。
最後のところだけ今後の方向性になるのかもしれませんけれども、意見を述べさせていただきました。
【小泉主査】 高木先生、どうもありがとうございます。
1つ1つお答えいただくというよりも、これを踏まえて修正すべきところは、まず、「技術者」と「技術職員」を分けていくところが幾つか、1個1個お答えいただくというよりは、今のご意見を踏まえて、修正すべきところは修正していくのかなと思ったのですけれども。
髙見室長、何かありますか。
【髙見人材政策推進室長】 ありがとうございます。
どうしても「技術者」と「研究者」の話は、切り分けられないところがどうしても大きいように考えていました。3-1の2ポツ丸1、米書きに書いてあるとおりなのですけれども、結局のところ、最先端の科学的知見を生かした科学技術・イノベーションの創出の際に、アカデミアと産業界における活動とが密接に関係するというところはどうしてもあって、結局、そこの行き来が発生したときに、企業にいるときは「技術者」、でも、大学に行ったら「研究者」というのを、本人もそこまで認識するのかということと、我々がそこを厳密に議論したほうがいいかどうかということを考えたときに、どちらの要素もあるというか、技術者の側面からそういう人たちの育成について考えたほうが今後の議論につながるのかなという趣旨で、ある意味、そこまでの厳密さを、厳密に区別をして、大学にいる間は技術者じゃないという考え方をしていないということなのですよね。
そこは今申し上げたとおりで、行き来がありますし、相互が密接に関係しながら進めていくというのがこの部分の大事なことかと思いますので、そこはそういう整理で事務局としては考えているところなのですが、ご理解いただけたらありがたいなと思うのですけれども。
その上で、「技術者」と「技術職員」のところ、タイトルのところですとかをどうするのかというのを、改めて全体を見て考えさせていただきたいというふうに思います。
JABEE認定のところは、おっしゃるとおりで、我々の所管というよりは高等教育局のほうになりますので、ご指摘の趣旨というのは踏まえた上で、高等局とも今後どういう対策を取れるのかというところの相談をしていきたいというふうに考えております。
技術士制度も、技術士分科会と視座が違っていいのではないかというのもおっしゃるとおりだとは思うのですが、実際に制度改正について議論するとかいうのは技術士分科会のほうでやっていただいているということを踏まえた上で、我々のほうで議論できる範囲というのを考えていきたいと思います。
【高木委員】 よろしいですか。
【小泉主査】 はい、お願いします。
【高木委員】 「技術者」と「研究者」を一体で考えるというのは、おそらく産業界から見ると違和感がありまして、所属する組織の性格が違います。技術者が所属する事業部はいわゆるプロフィットセンター、つまり収益を上げる組織です。一方、研究所はコストセンターで、収益が求められない組織です。
どういうことかと申し上げますと、事業部・技術部では、例えば1年なら1年という決められた期間で開発できるという計画が立案できる、やればできるという目途が立つ種類の仕事です。製品開発の人件費はこれだけかかるということを計画して、事業部採算を計画します。一方、研究所では、うまくいくかいかないか分からない、チャレンジブルなものです。初めから企業としてコストセンターにはお金がかかるものだということで、例えば、それが当初1年計画であったものが2年かかっても、高度な研究ならばしようがないということになります。ということで、両者は、かなり性格が違います。
資料2の3ページに、第108回人材委員会における主な意見がありますが、上から5つ目の「○」で、「研究者であっても、ビジネスに関与せずに研究のみであると、企業の求める人材としては少し足りないため、ローテーションをかけている」というご意見があります。つまり、研究者が研究所にだけ長く所属しますと、論文を書いてドクターを狙うかもしれませんが、事業部ではすぐに使えない技術になる場合があります。研究所から事業部への技術の移転というのは、企業の中でも難しいことがあります。チャンピオンデータしたら事業部は受け取れませんし、事業部から見れば、その研究成果は使えないということもあります。
そういう意味で、ローテーションをして、研究者であっても、しっかり事業部で使えるような完成度の高い技術を研究するということは、企業経営としてかなり大事な課題です。この発言をされた人材委員会の委員は、おそらく企業経営層の方ではないかと思います。
ということで、研究所と事業部・技術部というのは、基本的には仕事の内容は異なります。ただし、もちろん両組織間で異動することはあります。私の場合も、研究所で開発したコア技術が事業部で使うのが難しいということで、研究所に在籍のまま事業部で製品開発したこともあります。ただし、基本的には、研究者と技術者は、異なる資質、
能力の部分もあるという認識です。
したがって、大学との産学連携は、企業の研究所の研究者の整合性が高いです。もちろん事業部の技術者も共同研究をすることがありますが。ということで、やはり「技術者」と「研究者」は分けるのが自然だということをコメントさせていただきます。
以上です。
【小泉主査】 ありがとうございます。
今のご指摘も踏まえながら、そういった意味で技術者をどう育てるかというところが重要なポイントになってくるのかなと今思ったところです。ありがとうございます。
【奥人材政策課長】 いわゆる職種としての技術職員であるとか研究職という職としての扱いと、仕事の中身、技術的なことをやるのか、研究的なことをやるのかというその2つの側面があると思っていまして。技術者が民間企業の人ですということであれば、では、具体的な方策として国は何をやるのですかとなります。
民間企業の技術者だったら、国は何も育成しないでいいのかというところがあるので、むしろ、技術者、仕事の中身というのをもう少し広く捉えて、企業にいても、アカデミアにいても、技術を担当している人たちというふうに広く捉えた上で、技術者の育成策というのを具体的に考えたらどうかというのがこちらの趣旨です。
そういう意味では、仕事の中身として広く技術を扱っている人ですで、そこの中に「技術職員」というのも当然入ってくるのではないかということで、「技術者」の中に「技術職員」がいます。広く広義の意味で「技術者」を捉えていきましょうというのが根本的な発想だというふうに思っていただければと思います。
【高木委員】 そのときに必要なプロフェッショナル・コンピテンシーが定義できれば良いと思います。
【奥人材政策課長】 具体的な方策を念頭に置いた上で、どこを技術者として捉えるかということを考えたほうがいいのではないかという問題意識です。
【小泉主査】 ありがとうございます。
アカデミアにおいても、例えば、大きな研究所になると、研究者もいて、技術者もいて、技術職員もいるというところもありますので、今、奥課長がおっしゃっていただいたみたいに、高木先生がおっしゃるとおりなのですけれども、その上で技術者を広く捉えながら、どう育てていくかというところ、大きなところから議論したほうがいいかもしれないですね。
ただ、おっしゃるとおり、では、研究者と同じじゃないというところの観点も持ちながら、どういうふうに技術者を育てていくかというのを少しスペシフィックに考えていく必要があるというのは、高木先生がおっしゃるとおりだなと思いました。
【高木委員】 学部卒業生と博士課程修了者でどう違うのかという点は押さえておくべきだと思います。例えば、学部卒業生は事業部・技術部で活躍する、博士課程修了者は研究所で、修士であればどちらかというように、必ずしも1かゼロではないですけれど、その差は明確にしたほうが博士課程人材活用の政策とはフィットすると思いましたので、気になったところです。
以上です。
【小泉主査】 ありがとうございます。いろいろなバックグラウンドはあり得るということですよね。ありがとうございます。
ぜひ、今のご議論も踏まえて、今後の具体的な取組というところ、まさに高木先生がおっしゃるとおりのいろいろな考え方、いろいろな多様なバックグラウンド等もある人材をどう捉えて育てていくのかというところ、具体的な取組で何かございますでしょうか。
ごめんなさい。野口先生、お願いします。
【野口委員】 ありがとうございます。私は相談提起のあった今後の方向性のところで1つお話ししたいと思います。
当該箇所にも書いていますように、技術職員・技術者というのは、URAや研究開発マネジメント人材と見る観点が違うと思うのです。スキル向上の観点から、注視する観点が違うと思うのです。ですから、今後の方向性の記述の際には、やはりより求められる関与、貢献の在り方など、より求められる能力は、今後の方向性の1つとして加えられる方が良いと思います。
前者のより求められる関与、貢献というのは、先ほど信州大学さんからの報告にもありましたけれども、例えば組成段階からプロジェクト推進に関わるであるとか、場合によっては先ほど言ったURAなどの職種と見る観点が違うので、そういった意味では大学運営により違った観点から関与、貢献していくという必要性もあるでしょうし、より求められる能力としては、やはりマネジメント能力の発揮は、重要と思っていて、例えばURAとか研究開発マネジメント人材と違った、例えばファシリティマネジメントからの観点からマネジメント能力を発揮する点もあると思いますし、さらには後進育成力です。これもやはり今後の方向性では求められる能力であるのではないのかなと思いますので、やはり見る観点が違うところが、イコール質の高さにも通じるところがあるので、やはり今後の方向性に入れる必要があるのではないかと思いました。
それから、今後の方向性のところの2つ目の丸のところで、「実践的な能力を保証する仕組みの活用を加速し」という、この「保証する」というのは、裏を返せば、今、されてないのではないのかなと取られかねないので、この「保証」というところは、積極展開とか推進とかに少し言葉を置き換えたほうが誤解されないのではないかと思いました。
以上です。
【小泉主査】 ありがとうございます。
野口先生、前半おっしゃられていたのは、技術者、技術職員、どちらかというと技術職員の話ですか。
【野口委員】 それ、どう考えるかですけれども、両者でくくってもこの2つの観点は重要かなと思います。
【小泉主査】 ありがとうございます。
ほかにございますか。
僕から。今日の信州大学のお話を聞いて、具体的な人材の名前も出てきて、多分、技術者も同じように出てくると思うのです。技術職員の具体的な人材の名前。やはり今まで技術者とか技術職員とか、全部アノニマスな名前みたいな感じで出てくるじゃないですか。ところが、今日の信州大学様からのご発言のように、この人、すごいなみたいのが、やっぱり技術者、技術職員って、多分、それぞれの立場でいると思うのですよね。もっとすごい人というのをもうちょっと包括して育てていく方向、今後の取組としてあったほうがいいのではないかなと少し思いました。
例えばJABEEにしても質保証という観点じゃないですか。質保証ってミニマムリクワイアメントだったりするじゃないですか。では皆さんのたたき台になるような発言が良いと思うので僕から発言すると、例えば技術者とかで企業とかに勤めて、例えば5年勤めてすごい技術を上げていく技術者がいたら、そこからフリーエージェント宣言できるみたいな。例えばどこかの企業に勤めていてすごい技術を持っている人が、もうすごい、この人、もうロケット開発でこの人いないと、技術、今後、やっていけないみたいな人が出てきたとしたら、5年勤めたらもうフリーエージェント宣言してもいいよと。そうすると、ほかの企業がその人が欲しいとなり、そうすると、プロ野球選手みたいになっていく。そういう技術が高い人をちゃんとアプリシエーションしてあげるようなことをしていかないといけないのではないかなと、そういうふうな気がします。
だから、JABEEにしても、ミニマムリクワイアメントで、これを持っていれば、はいはい、どうぞみたいな感じですけれども、もう少しこの人、すごいみたいなところをきちんと出して、その人がきちんと皆さん、世間でも、社会でも、企業でも認知されて、その人がきちんと活躍できていくような、こういったキャリアパス的なもの。
だから、信州大学から、今日、ご発表の石川さんでしたか。フリーエージェント宣言してもらって、そうすると、ほかの大学が採りにいくみたいなことができれば、もう給料がボンと上がって、そうしたら、杉原さんがそれを抑えにかかってまた給与を高く上げるとか、そういうことができると、伸ばしていくという方向もあってもいいのではないかなと思ったところで、技術者にしても、技術職にしても、と思ったところです。
皆さん、どうぞ。杉原先生。
【杉原委員】 先ほど高木先生が、企業の研究所の方が大学の研究者とうまくマッチングする、とおっしゃったところで、企業の事業部の方が、大学のどういった人材とマッチングするのだといったところがちょっと曖昧だったかなと思うのですけれども、まさにある例としてはそれが大学の技術職員だと思っています。
先ほど信州大の繊維学部の技術職員たちが企業との共同研究をかなり請けているといった紹介がありましたが、実は生産工学の部分を結構担っていまして、生産工学というのは、例えばスケールアップとか量産みたいなところで、大学研究者が論文にならないので結構嫌がる分野なのですよね。ただ、研究開発したコアとなる成果を本当に実用化しようと思ったら、量産やスケールアップというのは避けて通れないところでして、それを担っているのが実は繊維学部の特定の技術職員たちなのですね。
それがないと、やはり企業の方が、先ほどのチャンピオンデータは要らないとおっしゃったのはまさにそのとおりで、この研究成果は、本当に量産できるのか、あるいはスケールアップして、本当にこれは実用化できるのかという死の谷とか魔の川を越えるところを担うような役目が実は技術職員には結構重要視されているのではないのかと思います。そういったところは、今後、少し注目していただくと、大学の中でも研究者とすみ分けて、研究者が避けているという言い方は変なのですけれど、担わない部分を担うことで企業との大きな橋渡しのポジションを担えるのではないのかなと思って聞いていました。
【小泉主査】 ありがとうございます。
高木先生、江端先生の順に行きます。高木先生。
【高木委員】 杉原先生、どうもありがとうございました。今の生産に関わる活動については、技術者だと思いました。大学の中にこのような方もいらっしゃるということを認識しました。どうもありがとうございました。
【小泉主査】 そうですね。僕の認識もそういう技術者に近い存在が大学、アカデミアの中にもいるし、研究開発を行う場合は必要だなと思っています。
江端先生、お願いします。
【江端委員】 ありがとうございます。
今、まさに小泉先生からのお話が、我々が取り組んでいるTC制度につながると思っていまして、近藤先生もTCを取得された技術者の1人ということで、そういった高度な技術や成果を持っている方の見える化が非常に重要だと考えています。
TCは一つの例だとしても、例えば北大は技術者図鑑というようなものを作っていて、技術者の見える化を進められていますし、研究者に信頼されるような技術者はどこにどれだけいらっしゃるのか多くの方がわかりやすく表現できたほうが良いと思っています。これはURAや研究者も同じですが、技術者についてはほとんどできていない状況だと認識しております。
そういった高度な技術を持った方々の見える化が、資料を見直してもそこまで強調されていないため、強調していただいた方が、技術職員、技術者の方々の活躍促進につながるのではないかなと思います。
先ほど質保証についても小泉先生からお話がありましたが、ベーシックなところではなく、ハイレベルな方々がどこにどれだけいるのかという、そういった方々の流動性が加速されれば、技術の専門職に就きたいと思う方も自然と増えてくるのではないかと思いますので、このワーキングの中で議論すべき研究開発マネジメント人材と同じような課題でもあると思いますので、ぜひまとめて発信していただければと思っています。
私からは以上です。
【小泉主査】 江端先生、ありがとうございます。僕が言ったことをうまくまとめてくれてありがとうございます。
まさにそういった優れた人、また優れた技術というのをちゃんと可視化して評価できるような仕組みというのができてくればいいのかな。ミニマムリクワイアメントじゃないところでできればなというところは思ったところです。
ほかにございませんか。中村先生、お願いします。
【中村委員】 研究者と技術者って何が違うかって、研究者って、多分、所属機関の意識がないというか、もう個人プレーが基本だと思うのですね。技術職員の方、あるいはURAもそうですけど、やはり基本的には所属機関でやって、それが評価される。だから、これまでずっと議論した「個々が見える」というのが大事だと思いますし、評価者が、例えば研究者も基本的に個人個人が評価されるのですけれども、技術者の方々も、あるいはURAの方々も個人個人が評価されると。評価者が、多分、総合技術課だったら総合技術課の中で評価されないと、例えば教員が評価していたら少し変だなって気がしているので、評価されるシステムもきちんとして、やはり個々が評価されるということを技術職、URAにやって、そうするとフリーエージェントもしやすいと思うので、どこかに束縛されない形で個々の成果を評価される、そういう形、見える化というのが進めばいいかなと、現在、思っています。
以上になります。
【小泉主査】 技術を持った人の流動性を高める仕組みという、そのための評価の在り方というのを考えなきゃいけない。
【中村委員】 それも技術職員、流動性が少ないのもそこに起因しているのかなと思っています。
【小泉主査】 組織の中のある種ドメスティックというか、内部だけの評価になってしまうと、そこの中に閉じ込められてしまうというところがあるってことですね。
近藤先生、何か言いたそうで。
【近藤委員】 技術職員の立場として、やはりまだ技術職員の組織が独立していない大学等も多くて、そうなると予算とか人事権とかが技術職員では持てないというので、やはりそれを立てるためにも技術職員のマネジメント職の設置が必要であります。また、この後の資料に、多分、4の資料にも出てくると思うのですけれども、教育職が教員で、あと一般行政職が事務職というのが、ここの先ほどの資料の3-3の20ページにも書かれています学校教育法の規定にもありまして、なので、技術職員はもともと、教員職と事務職員は置かなければならないというのが第92条の第1項にあるのですけれども、技術職員は置くことができるというので、そこで必ずしも置かなければならない職種でないということで、やはりそこの中にも技術職員の役割の明確化とか職務の定義をしないとキャリアパスの整備が進まないのではないかなとは思っています。
また、キャリアパスの制度の中で、技術職員の中でマネジメントをできる人を配置して、そうするとまた人材の流動性もそこからつながるのではないかなと、現場の立場としては思っています。
【小泉主査】 ありがとうございます。
そういう意味では、技術職員をちゃんと評価するような、そもそも組織化して。
【近藤委員】 そうですね、組織化がまずは大事かと思います。
【小泉主査】 評価がしっかりしていかないとということですね。ありがとうございます。技術者に関してはどうですかね。
ごめんなさい、江端先生、お願いします。
【江端委員】 技術者の話ではないのですが、少し付け加えさせていただきたいことがあります。
話が複雑になってしまうのですが、技術職員として雇用された方々は、大半の方はその土地に根差してお仕事されることを前提に就職されているのではないかと思います。一方で、今、議論されている高度な技術者の方々は、FA宣言という話もありましたが、その土地に縛られずにいろいろな場所で活躍できるような人材といったイメージですので、技術職員からそこに発展して上り詰めていく方もいらっしゃると思います。この場でもう一つの論点としてお話ししたいのは、例えば博士人材や研究者からキャリアチェンジする方のことを想定すると、そういう方々は流動的に動くことに対してあまり障壁がない方々だと思うのでで、そういったキャリアを歩む方々というのも、今回の技術職員や技術者に当たるかもしれないですが、そういったところに動けるような仕組みとも含めてまとめられると良いと思っています。
最初に考えるべき点は技術職員、あるいは技術者の話だと思いますが、人材の流動性を活性化するためのパスとして併せて考えていただけると、人が足りない部分をいかに補完する動きにつながると思いますので、そのようなイメージも含めてご検討いただければと思っています。
ありがとうございます。
【小泉主査】 ありがとうございます。人材の流動性というところですね。
高木先生、技術者に関してどのような人材の流動性とか、そういったところで先生、お考えがありますか。
【高木委員】 産業界での例になりますが、今までの雇用慣例としては終身雇用が多かったわけです。技術者が流動化するということは大賛成ですが、採用側からしますと、30代、40代の人をキャリア採用するときに、その人の評価が難しいです。応募者の方からは、今まで携わってこられた仕事の内容、業績をお聞きしますがそのエビデンスが難しいです。研究者の場合は論文を書きますから、それを評価できます。ところが、技術者の場合は、査読論文になるような活動をしていない方も多いです。
工学系の学会でも、査読論文以外にも口頭発表など、業績発表の場はありますが、現実には発表する人は必ずしも多くありません。多くの工学系の学会で、今問題になっているのは会員数の減少です。アカデミアの方は論文を発表しますから会員数は比較的安定していますが、産業界の方は、自然減もあるのですが、全体として減少しています。これは日本だけではなくて、以前、IEEEの会長が来日されたときに経済団体で話されていましたが、論文を書く人は学会を辞めないが、いわゆる技術者、プラクティショナーという表現をされていましたが、その人たちが減っているそうです。
これは技術者の意識の問題も大きいと思います。自ら自分の業績を発表していけば良いわけです。本人が流動性により、自分のポジションを上げていくことにチャレンジすることが大切です。その時に既存の学会等をうまく活用すれば良いと思います。
今、ジョブ型雇用が進んでいます。人事制度は安定するのに時間かかるので、将来、どうなるか分かりませんが、さらなる流動性の向上につながれば良いと思います。今、過渡期だと思います。
【小泉主査】 ありがとうございます。この評価、なかなかやはり難しいのですね。それこそIEEEは論文を出すような雑誌も持っていれば、それこそプラクティショナーとおっしゃいましたけど、そういった人たちをちゃんと評価するような、論文とは違う形で評価する、IEEEの、多分、取組っていろいろ多様ですものね。
【高木委員】 ただ、お話を聞いた時点では、IEEEもその点が弱く、プラクティショナーが辞めていくとのことでした。
【小泉主査】 そうか。なるほど。
【高木委員】 ですので、IEEEは、すごく問題意識を持っていました。
【小泉主査】 分かりました。ありがとうございます。そこをどう評価して、可視化していくかってところが課題ってことですね。
【高木委員】 そうですね。まずは本人の意識が大事だと思います。
【小泉主査】 なるほど。
桑田先生。
【桑田委員】 よろしいですか。ありがとうございます。
【小泉主査】 すみません。例えば技術者でも、この人、論文出してないけど、この人、すごい技術を持った技術者だというのは、企業だったり、組織の枠を越えて有名人だったりする人はいるわけですよね。
【桑田委員】 います。今、そういう観点で、実は技術者と研究者のすみ分けの議論に、とても違和感があって、なかなか先に頭が進められなかったのですけども、線引き自身があまり意味がないだろうと思いました。仕事の内容が技術的な出口に近いような、社会実装に近いようなところをやっているのを技術者だと呼ぶのであれば、実は大学自身が今や出口を見据えて研究しましょうというような大旗振りをしている大学も、あるわけです。我々の大学もその一つです。そんな大学があると、我々の大学の先生たちはみんな技術者ですかということになってしまいます。
私の認識が間違っていなければ、例えば情報処理とか、ネットワークとか、あるいはORをやっているとか、それから、例えばツールをやっているとか、江端先生もこの間おっしゃっていたような装置を作っている等、相当な技術を使っているにもかかわらず、その領域の人を技術者と呼ぶと言った瞬間に、そこの研究をやっている研究者は研究者と呼ばれないのかということになってしまいおかしい。しかも研究成果がトップカンファレンスで発表するような内容ではない論文であるというような扱いをすると、科学で社会を進歩させるために必要な基盤である技術、ベースになる技術をやっている方たちの研究が、先進的な科学技術ではないという扱いになり、研究者自身が、今度、集まらなくなって、科学技術の進歩を遅らせるという悪影響もあるのです。半導体のツール関係の研究者が少なく、脚光を浴びづらいのは、少なからず、そういう事実があるのですね。技術者と研究者の区分の違和感は、まずは申し上げたいと思います。
そして、結局、そういうくくりの話ではなくて、ここでの議論は、社会を進化させていくための技術をやっていく人で、原理研究ではないところの技術をやる人たちは、大学に所属しようと産業界にいようと技術者と呼びましょうと定義し、大切なことは、その人たちをどう目立たせて、そして、研究組織の中ではその人たちはどうやってどんどん大きな人になっていってもらうのかということであるということに、ようやくたどり着いたところなのです。そうすると、研究者の集いとしての学会だけでは支えきれないものがあるので、ここでの書きぶりとしてはJABEEとか、その他、勉強会とかを活用していくことの大切さが生きてくると思いました。更に、もう少しエッジが効いたような仕組みとかがあると良い気がしました。
例えば、産業界だと、技術を担当する人達が最先端の動向を見ている場としては、世界中の展示会や、業界の集まり等に行って、新しい技術ネタを仕入れてきて、自分の技術の研さんをしているので、そういう環境の整備というのも、アカデミア、企業の技術者には大切な施策となり得るという考えにたどり着いたところです。技術者に関してはそういうことです。
技術職員については、まさに皆様、ご議論いただいているとおり、スキル向上の施策によりスキルを上げていくということも必要と思っています。加えて、TCカレッジでもそうですけれども、高い専門性に対し、やはりバイネームで呼ばれていくことの重要さはあると思います。技術職員も例えば大きな展示会とかそういうところで発表しながらバイネームで呼ばれていくというようなことが必要になってくるのだろうなという気がしておりました。
ですので、仕組みとしては、技術者、技術職員それぞれバイネームで呼ばれるような人になりなさいとよく言うのですけれども、そういうような仕組みを整備していくということが我々にとってはミッションなのかなと思っております。
【小泉主査】 いや、ありがとうございます。
つまり、例えば研究者だったら論文出すとか、いろいろ道があるし、パテント取るという話もありましたけど、そうじゃなくて、技術者が技術、高い技術をちゃんとバイネームでちゃんとリコグナイズされるという仕組みであったり、そういった、研究者で言えば学会なのですけど、そういったさっきのIEEEもできてないかもしれないような、ちゃんと技術者が、技術を持っている技術者がちゃんと認知されて皆さんに分かってもらえるような、そういった仕組みというのが出てくると、それこそ人材の流動化にもなるかもしれないし、そういったところが重要かなという、そういった基盤をつくるというところが重要なのかもしれないってことですね。
【桑田委員】 なかなか難しいと思うのですけど。だから、その一つの役割は、多分、学会にもそういうファンクションを、ぜひ設けてほしいというお願いだと思いますし、世界のトップカンファレンスは、それなりの高いレベルの研究者を受け入れる体制はできているとしても、例えば応用技術をやりましたというのを論文で書いて発表することへの対応枠も欲しいところです。あそこであんなことをやっているのか、すごいなっていって、すぐこれを応用に持ち込めるなというようなことも発表ができている場が欲しいところです。そこで、バイネームで話していくことで認知されていくのが良いと思います。それから、大きなヨーロッパの辺りの展示会、アメリカの展示会等でお話しされている人たちがいると、ああ、あそこの技術者、すごいねという話で目立っていく。そういうような形なのかなと、思っております。
【小泉主査】 ありがとうございます。技術をちゃんと可視化していく。それで、しかもそれがちゃんと発表するときバイネームで出ていく、この人なのだということが見えていくというところが、今、きちんとできてないかもしれないというところなのですね。
【桑田委員】 できていないような気がしております。
【小泉主査】 ありがとうございます。
非常に……。
【桑田委員】 ただ冒頭の技術者の整理がまだうまくできておらず、すみません。
【小泉主査】 ここまでのことで、髙見室長、何かありますか、いきなり振ってしまって。
【髙見人材政策推進室長】 ここに書いてある範囲にとどまらないご意見をいただきまして、ありがとうございます。まさに技術者にしても、技術職員にしても、こういう方々がいるという、その見える化をしていくというところは非常に重要なのだろうというふうにお話を聞きながら思いましたので、そういった点も今後の必要と考えられる取組というふうに加筆していけたらと考えております。
ありがとうございます。
【小泉主査】 ありがとうございます。
すみません。では、まだまだ議論をできると思いますけれども、今日はここまでにしたいと思います。
続きまして、議題3に入りたいと思います。今度は、またこちらも大きなトピックですけれども、研究開発マネジメント人材の部分です。研究開発マネジメント人材に関する現状・課題・今後の具体的な取組等及び研究開発マネジメント人材の人事制度に関するガイドラインについて、案になっておりますが、事務局よりご説明をお願いします。
大場室長、どうぞお願いします。
【大場人材政策推進室室長補佐】 こちら、まず資料の4-1から4-4までございます。資料4-1が現状・課題・今後の具体的な取組の案でございます。こちら、5月30日から変更はありません。5月30日のワーキングで特段の意見はいただかなかったというところがこちらに関してあるかと思います。
4-2が参考資料です。前回提出したものにマイナーチェンジがあります。ガイドライン修正に伴って修正した内容がありますけれども、こちら、ガイドラインの資料の説明の際にご説明、触れさせていただきたいと思います。
4-3が所見となります。ガイドライン案の概要を作成しました。目的と対象、それから、それぞれの章、第1章から第5章までございますけれども、この一枚紙を読めばどういったガイドラインになっているのかということが分かるように作成したものです。こちら、事前に送付した内容から変更は特段ございません。
資料の4-4になります。こちら、本文のみですけれども、見え消しの版が(1)として用意しております。本文と、あとは参考事例集等のセット版のところを4-2として入れております。ガイドラインの説明につきましては、この案の見え消しのバージョンで説明させていただきたいと思います。
今回、このガイドライン案を提出するに当たりまして、ワーキングの委員の先生方からご意見を頂戴したところです。また、文言の正確性等の確認のため、省内の関係課のほうに照会をかけて加筆修正等も施しておりまして、(1)のほうが見え消し版の資料です。
まず、このページですけれども、簡単に説明いたします。「はじめに」というところを入れさせていただきました。あと、この修正については、基本的には体裁の修正が多いです。このページでございましたら、「リサーチ・アドミニストレーター」というのは1ページ目で言っておりますので、ここで、「以下、「URA」という。」というふうな文言をつけております。
次のページをめくっていただければと思います。簡単なところ、ここだけ説明しますが、「URA」というところが途中ありますけれども、このような修正の仕方。
ページの5ページをお願いします。ポイントだけ説明します。こちら、コア業務構造案です。最初は「大学・組織マネジメント」としておりましたけれども、この狙いは、もともととしては大学とそれ以外の機関も併せてこの図の中に当てはまるものだという話で入れていたのですが、「組織マネジメント」で通じるので、より分かりやすいと。誤解のない表現として「組織マネジメント」に修正させていただきました。このポンチ絵というのが、先ほどの参考資料の中にももともと入れておりましたので、併せて差し替えのほうをしております。
次、ページ、8ページをお願いいたします。第3章の「(2)プロジェクト実施における研究開発マネジメント人材の位置づけと役割」ということになります。こちら、競争的研究費、産学連携、自治体を巻き込んだような事業、そういった様々なステークホルダーを巻き込んで行う、つまりマネジメントを担う人材がいることで、研究者がより研究に専念することができて、さらに高い成果が得られるだろうというものに関しましては、URA等の研究開発マネジメント人材が積極的に関わっていくものだということで、これまでの科研費の添削ではなく、こういったことこそ研究開発マネジメント人材の仕事だということで設けたところなのですけども、もともとの書き方だとかなり限定しておりまして、競争的研究費だったら全てが入ってしまうような書き方になっておりましたので、具体性を入れるということで、しっかり「機関を越えた様々なステークホルダーが参画するような」というふうな文言を入れさせていただいております。
次、12ページをお願いします。12ページが第4章(4)業績評価の在り方になります。下のほうです。1段落に研究者の評価方法を追記しました。もともと論文評価で決まるみたいな書き方していたのですが、そうではない、まだ決まった方法があるわけでもありませんので、「望まれる」というふうな進め方にもしております。ここを修正というかより正確にしたものでございます。
次、14ページでございます。第5章で、安定的な組織運営の運営につきまして、(1)雇用の在り方です。こちらは構成としては、競争的研究費のプロジェクトに責任を負う立場としてこの丸の最初のところですけれども、参画する場合は研究開発マネジメント人材の人件費に、当競争的研究費の直接経費をエフォートに応じて充てられること。
それから、2つ目の段落でございますけれども、いわゆるPI人件費で確保された財源の一部を、研究開発マネジメント人材の人件費に活動するための財源に充てられることが可能といったことを書いておりまして、その次のところで、新たに人件費に関する目的積立金の効果的活用というところを入れさせていただきました。ここに書いてある内容につきましては、ご一読いただければと思います。
間接経費というのは多くの大学において、今は運営費交付金と並んで安定財源というような認識はあるのですけれども、年度によっては必ず入ってくるかどうか、その金額と同じぐらいかということが分からないと言いますし、あと変動というのがどうしてもあると、そういった問題がございます。そのためにお金はあるのだけれども、必要な人材なのだけれども、任期付きで雇用せざるを得ないというふうな話を実証としていろいろな機関から聞くことがございます。
目的積立金は人件費として活用することができる、一時的に足りない年があった場合には充てることができる、そういったことを財源として活用することができるということは、知っていただくということがまず重要なのかなと。年度によって入ってくるお金の揺らぎというところを、目的積立金という財源でカバーすることができるということをここでご紹介させていただきました。そういった保証がないと毎年度間接経費が入ってきたとしても、無期雇用は難しいといった現状があるというところで、記載することといたしました。
こちらガイドラインの説明として、そしてここを参考事例集として、本旨の35ページに加えております。ここで書かれているのは国立大学法人の業務に関するFAQ、オープナーの資料Q5、Q6です。そこに関するものを紹介させていただきました。今回、現状課題、今後の具体的な取組等と併せてガイドラインをこの議題では提示させていただきました。これはガイドライン案について意見等をいただくということと併せて、このガイドラインをどうやって使っていくのか、普及展開していくのかということを本ワーキングで意見いただきたいというような目的を持ったものでございます。
なお、ガイドラインでございますが、6月13日の人材委員会に提出し、今月中に公表することを予定しております。
以上でございます。
【小泉主査】 ありがとうございます。ガイドラインに関しては今の最後にご説明いただいたように6月13日の親委員会でさらに決定に向かってフィックスされていけばいいなというふうに思っていますので、いよいよ佳境かと思います。議論は相当煮詰まってきていると思いますので、ガイドラインについてぜひ議論をして、今回が最後になりますけれども、ご議論いただければと思います。
また、この内容もそうなのですけれども、内容に関してはもうある程度煮詰まってきたところもありますが、このガイドラインをいかに実際の現場で展開していくか、それから研究開発マネジメント人材に係る今後の具体的な取組をどう展開していくかというところも併せて、皆さんからご議論頂ければと思っております。
私からごめんなさい、幾つかあるとすると、まずは取りまとめ、どうもありがとうございます。大分そうだよなと思うところで、かなり具体的なところも含めてお書きいただけたと思います。
4-4の(1)の8ページ目、(2)のところ、プロジェクト実施における研究開発マネジメント人材の位置づけと役割というところ、まさに例えば科研費で言えば学術変革Aとか、そういったところでしっかりとした研究開発マネジメント人材もちゃんと位置づけられていくというところは重要なのかなというふうに思っているところです。
それからすいません、感想じみたところです。同じく12ページ、業績評価の在り方のところ、一部少し気になっているのが、この内容というより気になっているのが、業績評価はURAというか、研究開発マネジメントの業績評価するときに、どうも定量にかなり偏った業績をしている大学等もあって、それは少し違うのかなと思っています。定量、ここにも書いている、いろんな観点が必要だと思っており、定量的なもの、定性的なもの、そういったものをうまく組み合わせながら、業績評価していただく必要があるのかなと思っています。あえて言うなら定量、定性、そういったものを組み合わせてというところを強調していただいてもいいのかなと少し思いました。
それから同じく14ページ目、第5章の(1)の人件費に対する目的積立金の効果的活用ということを、ここをしっかり書き込んで頂いたのはすごく画期的だなというふうに思っているところです。先ほど補佐からも御説明があったように間接経費といっても年度年度で凸凹あるわけで、凸凹ある中を人件費としてしっかり活用していくためには目的積立金という形でならすというか、バッファーという言葉がいいのかどうか分からないですけれども、そういった何かならしていく必要があって、そういった意味ではもちろんストック財源であることに留意しつつというのはそのとおりだと思うのですけれども、目的積立金をうまく活用することで、人件費としてしっかり活用できて、凸凹をできるだけならしていくことができるというのは、ここに入れていただいた内容はかなり画期的ですし、大学でもこういったことができるよと、国立大学でもできるよというところはしっかり示していただいたのは、ガイドラインとしての意味としてもすごく大きいのかなと思ったところです。ごめんなさい、何か感想じみたところを3点申し上げました。
では、ガイドラインそのものもそうですし、今後の普及展開、様々な御意見あると思いますが、いかがでしょうか。高木先生。
【高木委員】 大変すばらしいガイドラインに纏めていただき、ありがとうございました。2点あります。まず1点目は、活用の視点です。チェックリストはつくらないというような議論を、ガイドライン作成の最初にしたと思います。一方で、既存の大学評価システムがありますので、そこで参考にされるような取組、工夫をしていただければよろしいと思います。
それから2点目は、目的積立金と大学の財務的なルールに関わることも記載していただいています。このようなルールは時々改定になり、通知が文科省から出ます。改定があったときのガイドラインのメンテナンスについてもお願いしたいと思います。
以上でございます。
【小泉主査】 ありがとうございます。髙見室長、お願いします。
【髙見人材政策推進室長】 今のご指摘の既存の大学評価の中に組み込んでいくというところの、まだ定め切っているものではないのですが、資料の4-1なのですけれども、こちらに、ガイドラインを含めた普及展開というのが8ページに書いてありまして、最後の(3)番のところなのですけれども、国立大学法人のということにはなってしまうのですが、次期の中期計画において、研究開発マネジメント人材を含む研究推進体制の整備を求めることを検討すると。
中期目標、中期計画、これと絡めていくということを芽出しさせていただいております。具体化するのはもう少し後になりますけれども、そういうところにぜひここで出した要素というのが組み込んでいけたらと考えております。
【高木委員】 よろしくお願いいたします。
【小泉主査】 よろしくお願いします。ありがとうございます。こういった意味では研究担当理事だけが知っていればいいというものではなくて、大学として、組織運営として知っておくべきことということになりますよね。総務もそうですし、財務もそうですし、今までえてしてURAという文脈の中で、研究担当理事が何とかすればいいということでしたけど、もう少し中目、中計の話もありましたけども、もう少し大学運営として、どう位置づけるかというのがあった大学にとってはすごく重要になってくるのかなと思いました。
稲垣先生、お願いします。
【稲垣主査代理】 いいですか。立場上、認定のことについて言及させていただきたいのですけれども、認定制度については、かなり踏み込んだ形での技術になっているので最低ラインにあるかなと思うのですが、期待するとかではなくてやっぱりその研究大学であれば、認定URAを持っている人の積極的な採用を期待するとか、採ることを期待するだけではなくて、採った人をどう処遇に反映させていくのかみたいなことについてまで言及していただくのがよりいいのかなと。
これは国主導で始めた制度ということもありますので、認定を採ることのメリットをより国として積極的に文字化していただくと、関係者一同、大変ありがたいので、採るだけではなくて採った後のことについてもちゃんと国として見ますよというような文言を追加していただくと大変ありがたいというふうに思います。
【小泉主査】 杉原先生が何か言いたそうなのですが。
【杉原委員】 まさに質保証という点では、やはり認定という仕組みはかなり重要だと思っていますので、これからの研究開発マネジメント人材の普及の上でも、そしてこれから研究開発マネジメント人材を強化していく大学にとっても、認定URAを採用することで、やはり質が保証された、一定レベルのURAを大学におけるというメリットもありますので、ぜひそこは強調していただければと思います。
あとご参考までに、研究開発マネジメント人材が多く集まるRA協議会の今年度大会で、まさにこのガイドラインに関する特別セッションを組んで、参加するURAたちにもご紹介する予定です。また、本来は僕が言うのはおかしいのですが、今日は正城先生がいらっしゃらないので申しますと、UNITT(ユニット)でも、同じようにこの研究開発マネジメント人材のガイドラインの特別セッションをつくりまして、両方の団体の中で、きちんと団体員、会員に対して御案内するような場を9月、10月に設けさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【小泉主査】 RA協議会とユニットが9月、10月ということですね。
【杉原委員】 9月がUNITT、10月がRA協議会、各ホームページをご覧になっていただければと思います。
【小泉主査】 普及展開にそういった取組の中で、皆さんに知っていただくというのはすごく重要です。ありがとうございます。髙見室長、ありますか。野口先生、お願いします。
【野口委員】 私も今、両委員がおっしゃられた質保証です。先週も幾つかの大学や総務省系の外郭団体に行きましたけれども、URAのスキル認定は受けていらっしゃいます。URAという人材組織が、このガイドラインは研究大学向けだと思いますけれども、今後の広がりを考えると、以前にも申し上げましたが、URAがまだまだ確保や育成ができておらず、このURAの認定を受けることで人材育成していこうと試みている組織も実際あります。 そういった意味ではこのURAのスキル認定と、質保証と組織の整備というのは、三位一体で考えねばならないと思いますので、認定を受け、認定を得ることが目的ではなくて、あくまで手段なので、その後、このURAの質保証を維持していくことが非常に重要であり、そういった意味では今後の方向性でも、組織も個人もその後セルフイノベーションしていくというような観点が非常に重要かなと思いました。質保証とその質保証の維持です。このような観点としては重要であると思いました。
それから、URA、いわゆる研究開発マネジメント人材も2011年のリサーチアドミニストレーションシステムの整備事業から始まったと思います。2011年から14年の時を経て、このように発展的に機能強化もしてきましたので、そういった歴史的積み上げや歴史的評価の中でこういったガイドラインを発出していくという、経過も踏まえた記述もあってもいいのではないかと思いました。
以上です。
【小泉主査】 ありがとうございます。ほかにご意見等ありますでしょうか。あと私としては4-4の1の13ページに書いてあるところで、これが(5)が学内表彰制度となっていますけど、学内に限りませんよね、表彰制度というところがしっかりとそのURAなり研究開発マネジメント人材の活躍が、先ほどの技術者の話ではないのですけれども、可視化できていくというのはすごく重要だなと思っているところです。ミニマムリクワイアメントは重要ですけれども、それだけじゃなくてしっかりといい人が良い仕事をしたらきちんと評価してあげる、それが可視化できていくというのはすごく重要だと思っているところです。髙見室長。
【髙見人材政策推進室長】 すみません、今の文脈は、研究大学等を対象としたガイドラインということで、学内表彰制度とありますのは、文科大臣表彰ですとか研究大学コンソーシアムの山本進一記念賞とか、こういうところを受賞された方が、学内での見える化も図る上での表彰制度を大学としてつくっていただくことが有用だという文脈でございます。
【小泉主査】 すみません、ありがとうございます。そういった点も、中村先生。
【中村委員】 感想ですみませんけれども、最後の安定な雇用のためにいろんな仕組みを設けられているというのは、これは組織によっては「もうこの使い方しかない」と思っている執行部の人も少なからずいると思うので、こういうことを使って弾力的に運営ができると書いてくださって非常にありがたいかなと思っていますので、各省庁、ほかのところも聞かないといけないかもしれませんけど、ぜひ進めていただければと思います。
以上です。
【小泉主査】 ありがとうございます。ほかにオンラインででも何かご意見等あればぜひ、また普及展開というところで、先ほどRA協議会の話がございました。こういうことをしたらいいよということは、もしアイデアがあればぜひいただければと思うのですけども、いかがですか、稲垣先生。
【稲垣主査代理】 ちなみに、これは大学向けの文章なのですけど、こういうものは、文科省からほかの省庁にURAってこういう人材なのですよみたいな、宣伝活動みたいなのはされているのですか。というのも、他の省庁でもURAに何か話をすると公募事業の申請件数が増えるとか、何かURA使うと便利かもみたいな、何となく浸透しつつあるみたいなのですけども、実際URAがどういう人なのかというのは、ほかの省庁とかファンディングエージェンシーの担当の人が知っているのかどうなのかなと思って、他の省庁の方の認知度も高まれば、より研究開発マネジメント人材としては大学でも重要だし、国にとっても重要みたいなふうに回っていくと思うので、文科省だけじゃなくて他の省庁の宣伝もしていただくといいのかなと少し思いました。
【小泉主査】 それこそ広報科研とかそういう、ほかの省庁のファンディングだったりしますよね。内閣府だとSIPとかいろいろムーンショットとか、余計なことを言う前にどなたか、ほかに。
あと、このガイドラインができた上で、やはり僕としては博士人材が幾つかの大学、博士人材がどんどん研究開発マネジメント人材として入ってきてくれる大学もあります。そういったところにつながっていけばいいですよね。何か既存の人たちをどう評価するかという、既存の人たちをどう質保証するかというのもあると思うのですけれども、やはり新たな人材が入ってこないと、いつまでも杉原先生とか、いつまでも稲垣先生というわけにはいかない。次の人材をどう新たな参入をスティミュレートしているようなところにつながれば、ガイドラインがつながればいいなというふうには思っています。ほかにございますか。
技術者に関しては皆さんご意見あって、もう研究開発マネジメント人材も何か、でももう完成形に近いですものね。これに関してはもう大分完成形に近いし、我々のほうの議論も大分、皆さんの認識は共有されたかと思います。江端先生、お願いします。
【江端委員】 ありがとうございます。中身の話ではなくコメントですが、これからどのように展開していくかについて、文科省としてのお考えも含めて確認をさせていただきたいと思っています。
先ほど杉原先生からRA協議会やUNITTでも発信をされるというお話がありましたが、文科省としてこちらのガイドラインをベースにした、イベント、あるいは何らかの媒体を使った発信などを、検討されているのでしょうか。URAの方と髙見室長がお話されている冊子を拝見したことがあるのですが、ああいったものも効果的だと思っていまして、ガイドラインを多くの方に知っていただき所属機関で活用していただくという意味では、大学に周知するだけでは効果が弱いところが正直ありますので、何かしらフォローアップするような仕組みもセットで考えていただければと思います。現状何かお考えがあればお願いします。
【小泉主査】 髙見室長、お願いします。
【髙見人材政策推進室長】 ありがとうございます。今考えられるところというのを先ほど資料4-1の8ページです。今後の普及展開というところに書かせていただいておりますが、具体的なイベントという形ではないのですけれども、J-PEAKSですとか国際卓越研究大学になるところですとかRU11、RUC、研究大学コンソーシアム、こういう参画大学が集まる機会にこのガイドラインのご紹介をして、これに基づく取組を促していく。これは促すだけになってしまうのですけれども、あとは今年度から始めます研究開発マネジメント人材の体制整備事業というものがございますが、そこで採択をいたします体制強化機関、それから、研修提供機関という2つの種類の機関があるのですけれども、この中では、ガイドラインを踏まえた人事制度の構築を要件化しておりますので、その中でしっかりとこれに基づく制度をつくっていただくというようなことです。
あとは今後、こういった何かしらその大学等に対して、組織とか機関整備の支援を目的とするような事業というのを新たにつくる場合に、このガイドラインを踏まえた人事制度の構築というのを要件化していくとか、評価の中で活用するとかということは検討していきたいというふうに考えております。
【江端委員】 ありがとうございます。どこまで踏み込むかというところもありますが、加点対象とするような話も含めて、例えば、運営費交付金の傾斜配分の話も最後に含まれているのかもしれませんが、先ほど技術者の議論の中にもったように、スーパー研究開発マネジメント人材の見える化について、本ガイドラインでフォーカスするようなフォローアップがあると良いと思います。さらにこれを参照して、多くの研究大学でスーパー研究開発マネジメント人材が増えていく流れを加速させるような動きに繋がればと思いますので、ぜひ、具体的な取組を進めていただければと思っています。ありがとうございます。
【小泉主査】 ありがとうございます。まさに体制整備事業が始まりますので、その中でガイドライン、先ほど例えば目的積立金の運用とか、ぜひ実装していくようなことができればいいですよね。具体的にガイドラインに書かれたことを体制整備事業の中でもやっていくということなのかなというふうに思います。ありがとうございます。
中村先生、お願いします。
【中村委員】 現状の方の評価とか出てきましたけど、博士人材としてキャリアパスとしてURAとか、あるいは技術職員とか育てるのも大事だと思うのです。それは学会や我々がやっていくことも大事ですし、文科省としても何かやっていくということをお考えだったりしますか。金沢大学でしたか、インターンがあるとか、あれはすごく面白いなと思っていて、それは個々の機関がやるべきことなのですけど、そういう働きかけは非常に面白いし、紹介する上でもいいと思ったので、各機関、やってみてもいいかなと思って拝聴していたのですけれども。
【髙見人材政策推進室長】 そうですね、すみません、今のガイドラインの11ページに今、中村委員のおっしゃった金沢大学の事例について載せていますけれども、まさにこういう取組は、新しく人手不足だと言われるこの業界の人材を確保していく上で非常に重要な、優秀な、優良事例だと思っていますので、我々も折に触れてこの事例がすばらしいということはいろんなところで申し上げているのですが、そういう形で促進していくというのが、まず大事かなと思っております。
【小泉主査】 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。
高木先生、お願いします。
【高木委員】 ご説明ありがとうございます。これは今、第7期の科学技術・イノベーション基本計画の議論が進んでいますが、その中に、例えば大学改革のところに反映されるという理解でよろしいでしょうか。
【髙見人材政策推進室長】 すみません、どこにというところは今申し上げられないと思うのですけれども、我々としては、この研究開発マネジメント人材をしっかりと活躍できる環境をつくっていく。それがひいては研究力強化につながっていくというところは盛り込んでいきたいと考えております。
【高木委員】 ありがとうございます。
【小泉主査】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
では、これに関しましては、先ほどご案内もあったように親委員会のほうでご議論いただいて、フィックスという形になると思っております。これまでかなり非常に長い時間をかけて、皆さん、先生方にもご議論いただきまして、ありがとうございました。
我々としては、これを次の段階として実装していく、周知していくというところに移っていきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
では、よろしいでしょうか。何か最後、全体を通じてご発言あればよろしいですか。ありがとうございました。
では、閉会の前に本日の議論を踏まえまして、事務局から改めて一言ご発言をいただきたいと思います。先﨑総括官、すいません、よろしくお願いいたします。
【先﨑科学技術・学術総括官】 今日も、大変活発な有意義な議論をしていただいたのだと思います。特に今URAの部分は、研究開発マネジメント人材について拝聴させていただいていたのですけれども、私は研究開発マネジメント自体、最初に知ったのが2011年、震災の年でした。RU11とも関わりのある仕事をしていたのですけれども、まだRU11でも十分定着していないような状況だったわけです。その後、スキル標準が出たり、いろいろ発展していったわけですけれども、ここまでつい来たのだなということで、もうURAを御存じない方はいないわけでして、さらにそれを我が事として捉えて、各大学においてどうやって戦略的に育成していくか、職階とかというような話も既に盛り込まれておりますけれども、我が事として捉えていただいているというのは大変感謝申し上げたいと思いますし、このガイドラインがこうやってようやく一つの形になったのもまさに皆様のおかげでございまして、私からも御礼を申し上げたいというふうに思います。
あとは技術者、技術職員についても活発な議論が行われたのだと思います。これもURAと並んで非常に重要な部分でございますし、また、その大学というのはこれから稼いでいくということについても重要になってくるわけで、そういう意味においても非常に重要な、これもURAと並んで重要なものでございますので、さらに今後も議論を深めていただいて、いいものをつくっていただければというふうに思います。
私から以上です。
【小泉主査】 先﨑総括官、ありがとうございます。それでは、最後に事務局より事務連絡をお願いします。
【大場人材政策推進室室長補佐】 事務局でございます。次回のワーキング・グループは6月30日月曜日を予定しております。本日の会議の議事録につきましては作成次第、委員の皆様にお目通し頂き、主査に御確認の上、文部科学省のホームページを通じて公表させていただきます。
以上でございます。
【小泉主査】 それでは、今日も長い時間どうもありがとうございました。活発な御議論ありがとうございました。本日はこれにて閉会としたいと思います。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
科学技術・学術政策局 人材政策課