令和7年5月30日(金曜日)10時00分~12時00分
文部科学省15F局1会議室及び Web 会議(Zoomウェビナー)
小泉委員、稲垣委員、網塚委員、江端委員、桑田委員、近藤委員、重田委員、杉原委員、高木委員、中村委員、野口委員、正城委員
井上科学技術・学術政策局長、福井大臣官房審議官、先﨑科学技術・学術総括官、奥人材政策課長、髙見人材政策推進室長、髙橋人材政策課長補佐、滝沢人材政策課長補佐、大場人材政策推進室長補佐
科学技術・学術審議会 人材委員会
科学技術人材多様化ワーキング・グループ(第2回)
令和7年5月30日
【小泉主査】 定刻となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会人材委員会科学技術人材多様化ワーキング・グループの第2回を開催いたします。
本日の会議は、冒頭より傍聴者に公開しておりますので、よろしくお願いいたします。
本日は、12名の委員に御出席いただいております。定足数を満たしていることを確認しております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議題に入る前に、事務局より注意事項と本日の資料確認をお願いいたします。
【大場人材政策推進室室長補佐】 事務局でございます。
本日の会議は、対面とオンラインのハイブリッドでの開催となります。対面で御出席の委員は、御発言の際には挙手または名立てなどで合図をください。オンライン御出席の委員は、挙手機能により挙手ボタンを押していただき、主査より指名を受けましたら、お名前をおっしゃっていただいた上で御発言ください。機材の不具合等がございましたら、対面で御出席の委員は会場の事務局にお声がけいただき、オンラインで御出席の委員はマニュアルに記載の事務局連絡先に御連絡ください。
資料につきましては、Zoom上での共有も行いますが、会場ではお配りしておりますので、皆様、お手元の資料を御確認いただければと思います。
それでは、資料確認をさせていただきます。事前に送付させていただいた資料としまして、議事次第、資料1-1から資料4-2、参考資料1から参考資料2までございます。議事進行の過程で不備等がございましたら、事務局までお知らせ願います。
以上でございます。
【小泉主査】 大場補佐、ありがとうございました。
では、早速始めたいと思います。議題1に入ります。
前回もかなり多くの時間を使って、技術者、技術職員の在り方について御議論いただきました。今回は、さらにその議論を深めていきたいと思っておりますので、ぜひ活発な御議論をお願いいたします。
本日は技術者、技術職員の在り方の検討を進めるに当たって、2件のヒアリングを予定しております。
まず初めに、江端委員から「Science Tokyoにおける研究力を向上させる高度専門人材に関する次世代型人事制度改革-キャリアパスを多様化し全構成員が活躍するフリーでフラットな戦略的な人事を実現-」と題しまして、御発表いただきたいと思います。
江端先生、よろしくお願いいたします。
【江端委員】 よろしくお願いします。
東京科学大学/Science Tokyoの江端です。よろしくお願いいたします。
小泉先生、御紹介いただきありがとうございました。これまで東工大の次世代型人事制度改革として技術職員やURA、マネジメント専門人材のキャリアパス等の改革に挑戦してまいりましたが、本日はお時間をいただき、Science Tokyoとしてそれをさらに発展させた点も含めて、本日御紹介できればと思っております。
本日は、Science Tokyoの全構成員が活躍できる環境づくりと、そのための人事制度をいかに構築していくかというところが大きな論点になっております。
本日の話題として、最初にScience Tokyoが目指す研究開発マネジメント体制について、2番目にVisionary Initiativesという新しい研究体制の構築について、3番目に研究力を向上させる高度専門人材に関する次世代型人事制度改革について、それぞれお話をさせていただきたいと思います。
こちらは、科学技術・学術審議会の学術分科会で私から御紹介させていただきました資料を基に作成しています。東工大のマネジメントに関する特筆すべき実績をまとめておりますが、平成27年に学長による部局長指名、学長直下の人事委員会の設置がなされておりまして、このような経営改革を基に、国立大学法人としては先進的な人事制度を構築してきました。
2019年当日の経営課題として、若手研究者が活躍できるような場の形成や、技術職員を含めた研究環境形成人材は、大変大きな課題として捉えており、特筆すべき実績の9番目に記載のある集約化した技術部への改組は、平成19年に既に技術職員の方々が活躍できる場や文化の構築ができていたという点において、旧東工大としても非常に大きなアドバンテージでした。
これらの特徴や課題を踏まえて考えたのが、こちらの人事制度改革です。当時経営改革においてここまではっきり人事制度を改革すると明言していた大学はなかったと記憶しています。数年後に縦軸方向のキャリアパスに関して、先進的な取り組みをしているいくつかの大学においてはしっかりとしたものをつくられていますし、マネジメントの専任職員のあり方につきましても、様々な議論が進められました。本ワーキングでも、研究開発マネジメント人材に焦点を当て、こういった方々が活躍できる制度設計等についても議論されているかと思いますが、本学が考えたのは、このバックグラウンドにあります薄青色の両矢印、本学では職種間移動と言っていますが、多くのキャリアの中で、適材適所に戦略的人事配置ができるような制度設計を目指し、こちらが実現できる人事制度改革を実施するというのが非常に困難かつ挑戦的な点になります。
東京科学大学の経営改革構想においては、全体で知的資産経営基盤に基づいた好循環システムをつくっていくことが我々のポイントとなっています。この好循環システムを回していくために必要な人材として、本ワーキングで議論されている研究開発マネジメント人材、あるいは技術職員の方々が、活躍する場が多数あるのではないかと位置づけております。
我々は、善き未来をビジョンとして掲げ、その実現に向けた新たな研究体制を作るべく、Visionary Initiativesを2025年4月に全学に導入しました。VIと我々は言っていますが、現行の医学や歯学、理学、工学、情報学、リベラルアーツなどの分野の縦割りの研究体制を、分野横断型へと大きく変革するような仕組みとなっています。
我々が実現するような社会変革の姿を、ここの中心にある善き生活、善き社会、善き地球をビジョンに定め、これをベースに研究体制をつくっていくという新しい改革を行いました。
1つ目のビジョンは、科学はすべての人の健康と福祉のためにということで、Total Health Designでは、無理なく健康維持ができる、病気の不安なく過ごせる暮らしの実現、AI駆動した迅速で最適な医療の創出と提供、口腔科学から守る全身の健やかさというところのものをベースに、研究を進めていく体制をつくっています。
2つ目のVIでは、サイバー・フィジカル空間で共創社会を開拓するInnovative-Life Societyが掲げるビジョンということで、AI・ロボットと共創する未来産業・医療・福祉、食料の安定供給と健康で豊かな食文化の創出、健康・安全・快適な未来都市の実現、次世代ヘルスケアが支える未来社会、このような研究テーマをベースに体制をつくっています。
3つ目は、GX Frontierが掲げるビジョンということで、気候変動の課題克服、地球モニタリングによる最適解の探求、新たなエネルギー・資源の開拓、ネイチャーポジティブの実現ということで、これらのビジョンを基に、その研究体制を構築する上で、研究開発マネジメント人材、あるいは、本日のテーマであります技術職員の活躍の場をいかに広げていくかというところを視点に研究環境改革を進めていくことを、Science Tokyoは考えております。
こちらは東工大時代の話になりますが、2019年に、研究機関の共用化と技術人材の関係性を表した図になります。
2019年当時までの研究基盤共用政策というのは、コアファシリティの一世代前の共用政策になりますが、横軸方向の設備・機器に関する話が非常に多く、みんなで協力して設備共用文化をつくっていきましょうというお話がメインでした。図に示しましたとおりそこだけを強化しても、大学全体が共用体制をつくる文化の醸成、あるいは、大学が求められるイノベーションの創出というところまでは、なかなかたどり着くことができず、そこには必ず縦軸となる人財が必要と考えました。この縦軸方向をしっかりと意識した一つの取組として、高度な技術専門人材の養成というものが非常に大きなポイントになるということでこれを東工大の次世代研究基盤戦略としました。
本ワーキングでも度々話題に上げていただいておりますが、これを基に、TCカレッジ構想を掲げ、2020年にTCカレッジを設立することができました。TCカレッジ自体は設立当初よりオールジャパンの人財育成システムの構築を目指しているものであり、人財像として、4つの特徴を持ったテクニカルコンダクター、TCという称号制度を確立しております。
TCは、高い技術力と幅広い知識、高い研究企画力、高いコミュニケーション力・交渉力、次世代後継者の育成力を持つ高度技術専門人財ということで、これらの能力、資質、経験を持った方々を認定し、その方々を先ほどのVIと連携させ、研究環境のマネジメントを実施していきます。
こちらの右上の図にありますとおり、TCカレッジでは、入学してから、カリキュラムを受講し、単位認定を行った後に、TM(テクニカルマスター)に認定します。その後、TC論文を作成いただき、TC論文審査会を行い、審査をクリアした方がTCを取得するという流れになっています。大学内でも多くの方にご理解いただけるように博士論文、博士論文審査会を模した設計としております。
TC論文の重要性は、技術職員の技術をいかに次に伝えていくかというところで、一対一の人と人のつながりで伝えていくような技術的スキルやノウハウ等も多くの方に目に見える形で共有し、その技術の展開を目的として作成いただいています。したがって、TC論文をTCカレッジのホームページ上で公開し、多くの方に見ていただけるようにしました。
TCカレッジは産学協働の事業でもあり、研究機器メーカーが主ではありますが、研究機器メーカーとの連携の中で、新たなプログラムの開発等も行っております。
また、今後は海外研究機関との積極的な交流も考えており、本学の連携校でもあるアーヘン工科大学等との連携を通じた技術者の海外の交流、そして、グローバルネットワークを構築していくことも念頭に置いております。
次に先ほどの人事制度改革とTCの位置づけについてご説明します。左の技術職員、技術専門員、主任技術専門員という青枠で囲われたところが、従来の国立大学法人の人事制度の中での技術職員の職階になります。本学において、今までのトップの技術者は主任技術専門員が最終的な職階になっており、他の職と比較して給与等が対等な職種とはなっていなかったという点が大きな課題でした。これは多くの国立大学法人で抱える課題でした。
そこで、本学は教員でいうところの准教授、教授相当の上位職として、上席技術専門員、主幹技術専門員をつくり、一つの指標として、TCを既に取得した方が上席の技術専門員に昇格し、キャリアアップをすることができる仕組みづくりを作りました。
TCカレッジでは現在まで、多くの大学、企業の方々に受講していただき、これまで22機関99名が入学されており、TC取得者が13名、TM取得者が15名というような状況です。今年度は18機関から66名が在籍しておりまして、今年度は例年の入学者の倍以上の28名が入学しております。
本ワーキング等でも再三申し上げておりますが、このような技術職員の見える化は非常に重要ですので、TCカレッジでは、TC論文と紐づけながら、すばらしい技術や実績について多くの方に共有できるようにしております。まずTCの方々は、顔写真付きでTC論文とセットにし、こちらをクリックしていただくと実績などの詳細な情報が閲覧できるようにしました。
昨年度は、初めての本学以外所属のTCが誕生し、本ワーキングの委員でもあります近藤委員もTCを取られたということで、オールジャパンの人財養成の場として学外のTCの方々にも御活躍いただけるような環境を引き続き提供していきたいと考えています。
こちらが、ここまで御説明したVI・研究インフラ・人財の、全体をつなげた形で整理したスライドになります。
昨年10月からScience Tokyoという新しい大学となり、研究基盤の共用や各種技術支援をマネージする新たな組織としてリサーチインフラ・マネジメント機構を立ち上げ、全ての技術職員がこちらの機構に所属することになりました。新たな研究マネジメント体制であるVIに必要なコアファシリティとVIに必要な高度な技術を持つスーパーエンジニアとをセットにし、それぞれのVisionary Initiativesをサポートする体制を構築していき、高度な技術者はScience TokyoのTCカレッジで育成していくというシステムを考えています。
右側にありますファシリティステーションは、そのVIのコアファシリティの一つで、こちらには材料科学系の設備を一つの建物に設備を集約し、TCがしっかりとサポートする体制としています。こちらはすずかけ台キャンパスにありますので、すずかけ台キャンパスへお越しの際は、ぜひお立ち寄りいただければと思います。
最後のスライドは、もともと東工大で考えていた人事制度改革を実際に動かしていくために、マネジメント人材の重要性を改めて考えていかなければならないということを踏まえて改めて整理した図になります。
こちらの図では、右側の図の下から上に上がっていく青色の矢印が従来のキャリアパス、一方でピンク色の矢印は、そういった方々の中からマネジメント人材にキャリアチェンジしていくことを示しており、どのような職種からもマネジメント専門にキャリアチェンジできるということを明確に示した図になっています。
研究系には、研究開発マネジメント人材と書いてありますが、教学系、IR系、技術系、事務系、さらにはシンクタンクやディープテックスタートアップ等のマネジメント人材も、こういった方々に含まれると整理しました。
Science Tokyoにおける次世代型のマネジメント専門人材についてはこちらに整理しております。
1つ目が、経営戦略等の企画業務に関わるプロフェッショナル人材の、ストラテジックプランナー、2つ目がプロジェクトマネジメント業務に関わるプロフェッショナル人材となります。こちら、人材委員会でも再三波多野理事からも、エコシステムビルダーやスーパーURAとしてご紹介いただいた人材はこちらの専門人材として活躍していただくことになります。
事務系の方々をどのような形でマネジメント人材としてキャリアチェンジしていくのかというのは、我々の中でも重要な課題になっていまして、その点は、現在議論中です。
全構成員のウェルビーイングというのが、大竹理事長が掲げている一つの大きなビジョンにもなりますので、本学の構成員の方々が活躍できる場をいかにつくるか、そのための人事制度改革はどのように進めていくのかということを中心に取組を御紹介させていただきました。
以上です。
ありがとうございました。
【小泉主査】 江端先生、どうもありがとうございました。
この後、もう1件ヒアリングを予定しておりますが、この発表についてということで、もし御質問あればお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
私のほうから、まず1点よろしいですか。
【江端委員】 はい。
【小泉主査】 最後の絵のところなのですけれども、技術職員と言っても、多分いろんなコンピテンシーも含めてあると思っています。開発をする人、それから、技術を磨いて本当に卓越した技術を持っている人、それからもう一つは、今おっしゃったようなマネジメントをする人という、そういったいろんな要素があると思うのですけれども、やはり技術職員の中でも、今、最後の絵に挙げていただいているようなマネジメントに関わっていく、そういった人材も出てくることを東京科学大学としては期待しているというところでしょうか。
【江端委員】 おっしゃるとおりです。
先ほどVIの話でもありましたが、そのようなプロジェクトマネジメントに関わる技術職員出身の方は実際におりますので、そのような方々が正しいミッションとして取り組めるような体制というのは必要です。マネジメントは片手間でやっていますというのが今、大学の中で起こっていることですから、マネジメントに関する皆さんのミッションを改めて再定義をしながら、マネジメント職事自体も技術職員の新たなキャリアパスであるということを示すために、マネジメント教員というようなパスをつくり、そこに職種間移動していただくということを想定しておりました。
【小泉主査】 行ったり来たりできるというわけですね。
【江端委員】 はい。行き来できるようなものを想定しています。本日、発表には入れていないのですが、職種間移動するための仕組みづくりも別途行っています。その取組と組み合わせることによって、行き来がより容易にできるようになる仕組みとしています。
【小泉主査】 ありがとうございます。よく分かりました。
【小泉主査】 高木先生、お願いします。
【高木委員】 御説明どうもありがとうございました。
【江端委員】 ありがとうございます。
【高木委員】 いろいろ新しい取組をされていまして、大変敬意を表したいと思います。
3ページの図で、まず、今の御質問と関係するのですが、技術職員についてお伺いしたいのですが、これは前回、企業の技術者との差ということは議論があったと思うのですが、今日のお話で、TC論文というお話がありました。この論文というのは、例えば、Ph.D.を取るような論文とは違うものなのでしょうか。その審査基準等は違うのか、共通の部分があるのかというのが1点です。
それから、もう1点は、この3ページで、今お話がありましたマネジメント専門職員とURAというのがあります。このワーキング・グループで研究開発マネジメント人材というのをある意味再定義したのですが、そのワーキング・グループの定義とこの2つの職種の関係をお伺いできればと思います。
【江端委員】 分かりました。ありがとうございます。
まず1点目の御質問ですが、審査基準は異なっています。特に、我々の中で大きな論点として十分に議論したのですが、博士を持ちながらTCを持つという重要性という点も考慮し、その違いは何なのかと整理し、博士は研究をリードしていく方々、TCはそれを支援する方々というような明確な違いがあると改めて定義しました。
そのため、そのような視点で、TC論文の中身を研究開発の最先端の話ではなくサポートしている立場としての新しい気づき、あるいは失敗や課題なども積極的に共有することにしていますので、そのようなノウハウを含めた論文ということになっています。
【高木委員】 そうすると、査読はあるのですか。
【江端委員】 査読自体はTC論文審査会の中で行いますので、審査会の審査委員の主査と副査でチェックをしています。主査と副主査は教員となっています。
2点目のマネジメント人材とURAというのは、事務職員も含めた一体的なものであるというところが、研究開発マネジメント人材の議論でもあったかと思います。我々はそのように考えていますので、先ほどの最後の資料に、技術職ラインとURAラインとありましたが、これは将来的にどうなっていくかというと、スーパー事務職員とスーパー技術職員とスーパー教員だけで集約されるのではないかといった議論もあります。
つまり、人事制度をいろいろ考えていくと、それをより複雑にする方向でルールをつくっていくと、職種間移動は容易ではなくなります。いかにしてその人事制度をシンプルにしていくかというところを、模索しながら準備をしていますので、10年後、20年後に、全構成員がスーパー教職員になれば、大学の研究力・教育力はかなりアップするのではないでしょうか。ただ、現状は、それぞれの職種の役割で、事務職員ができないことをURAが行っていますので、アドミニストレーターのキャリアパスの定義を整理することも含めて今後検討していく予定です。
【高木委員】 どうもありがとうございました。
【小泉主査】 どうもありがとうございます。
ヒアリングももう1件あるので、あと2つの質問で、まずは一旦閉じまして、後にまたディスカッションをしていただければと思います。
オンラインから、網塚先生、野口先生、手が挙がっていますので、網塚先生、野口先生の順で行きます。
網塚先生、お願いします。
【網塚委員】 ありがとうございます。
御発表ありがとうございました。大変勉強になりました。
2つ質問があるのですが、この自由でフラットな人事というのは非常にモチベーションの上がる魅力的な制度だと思うのですけれども、1つは、定年年齢の措置というのは、Science Tokyoさんの場合にはどうなっているのか。やはり教員と教員以外の一般職では定年年齢に差があって、マネジメント教授、准教授という職種は教員待遇であり、そこに移ると定年も教員と同様に延びるのか、そのような定年延長の側面もあってつくられた制度なのかと想像しながら伺っていたのですが、そのような定年制に関するところはこの制度ではどのように配慮されているのかをお伺いしたいと思いました。二つ目は、技術職員の組織について、上席や、主幹技術専門員の方たちは管理職に該当するのでしょうか。また、人事管理、評価は技術職員同士が行っているのか、それとも教員が管理しているのか、管理体制についてお伺いしたいと思いました。
以上です。
【江端委員】 網塚先生、御質問いただきましてありがとうございます。
1点目の御質問ですが、定年に関しましては、教員と職員では現時点では差があるという状況です。マネジメント教員に関しましては、その差をなくしていこうというような議論はありますが、現在、東工大で設置しましたマネジメント教員は高度専門職群の中に含まれていますので、通常の職員と同じ形です。一方で、Science Tokyoにおける次世代型は、企画型裁量労働制や年俸制など、人事制度を変えていこうとしているところなので、その点は今後の議論で変わってくるところかと思っています。
2点目の評価に関しましては、上席も主幹もイコール管理職であるとはなっていません。先ほど小泉先生がおっしゃったように、技術を極めていく方々のキャリアパスという位置づけでもありますので、その方々にマネジメント能力があれば、部門長や、センター長、管理職という位置づけを別に依頼するというような仕組みになっています。
御質問の回答になっていますでしょうか。
【網塚委員】 分かりました。ありがとうございました。
【小泉主査】 ありがとうございます。
では、最後、野口先生、お願いします。
【野口委員】 江端先生、非常に分かりやすい説明ありがとうございました。
私も3ページの図なのですけれども、非常に分かりやすい図だと思います。先生が言われた戦略的人事配置の内容は、本当に適切だと思います。
その上で、この矢印の関係なのですが、戦略的人事配置のポリシーがあればお聞きしたいです。例えば、流動性の話をなされましたが、年次の浅い方はやはりスキル形成に力を入れなければならないので、流動性はあまり良くなく、上に行く、つまり役職が高くなっていくと俯瞰的に組織を見なければならないので、流動性を高めているような考え方なのかが1点です。もう1点は、赤括弧されているところがあります。いわゆるマネジメントの職員層の上位職2職種と、一番上の経営専門人材のところですが、赤括弧については、例えば、主幹技術専門員であれば、その赤括弧内で流動的に動き、経営専門人材になっていくということでしょうか。
以上です。
【江端委員】 ありがとうございます。
ポリシーに関しましては、明文化されたものは作成中です。新大学になり、その辺の制度設計も、着手している段階です。
御存じのとおり、流動性自体は各職種によって大分差があります。事務職でしたら、ルーティンのローテーションがありますし、技術職員はほぼ動かないというような状況にありますので、それぞれの職種の中でどのポストが空いていて、どのように動いていくのかというところを、全体を俯瞰して見られるような形で戦略的に人事が行える仕組みとして考えており、経営陣にどのタイミングで伝えるのかも含めて、検討を行っているところです。
最後の御質問で、例えば主幹技術専門員は、人数、ポストの数がかなり限定的です。本学では、現在100名程の技術職員の方々がいて、その中で、事務職員の職種の分布と技術職員の職種の分布が下方向にずれているので、まずは事務職員の職員分布をできるだけ重ね合わせるように上位職を多くしていこうという動きをしている段階です。
ここで示している横軸方向の、全体の部長、教授、総括マネジメント、総括URAは、このラインであれば同じような給与や待遇の条件の中で動けるような仕組みにしたいということがこの図に表されています。どちらかというと、横軸方向の動きというものをいかに構築していくかというところは、かなりチャレンジングです。恐らくほかの大学でも、人事制度に関わっている方々はこれを見た瞬間に無理だと思うぐらいの難しい話ではありますが、本学としては、そこをチャレンジし、多くの大学の方々に、その課題や解決方法をお教えできたら良いと考えています。
【小泉主査】 江端先生、ありがとうございます。
まだまだディスカッションはあると思いますけれども、後ほどまた皆さんでディスカッションする機会もありますので、まずは、ここで一旦、江端先生の御発表は終わりにしたいと思います。
どうもありがとうございました。
【江端委員】 ありがとうございました。
【小泉主査】 続きまして、もう1件ヒアリングを行いたいと思います。
山口大学理事・副学長(学術研究担当)、上西研様にお越しいただいております。ありがとうございます。「山口大学総合技術部 未来を拓く私たちの挑戦!!」と題しまして御発表いただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
【山口大学(上西様)】 おはようございます。山口大学の上西です。今日は総合技術部の紹介をさせていただくチャンスをいただきまして、ありがとうございます。
我々の取組に「未来を拓く私たちの挑戦!!」と副題を入れさせていただきましたが、これは総合技術部本部長の私の思いであり、技術職員の方々一人一人に挑戦してほしいし、組織としても挑戦を続けていくために、挑戦しやすい仕組みづくり、組織づくりを行っているということについて紹介をさせていただきます。
右下にあります研究推進機構というところには、研究基盤として、共用機器を管理運営している8つの実験施設があります。それから、リサーチファシリティマネジメントセンターというのは、機器共用を推進するための中央司令塔です。また、それらを支援するための技術者集団としての総合技術部、それぞれの長を私一人で全部兼ねているので、いろんな改革がほかの大学よりはスピードが相当速く進んでいると思っています。
しかし、私が判断を間違って暴走すると変なほうに行くという危険性もあるので、こういう場で、外部の方の意見もしっかり聞きながらやっていくということが大事だと思っております。ぜひ忌憚のない御意見をいただけると大変ありがたいと思っております。
2ページ目を開けていただきたいと思うのですけれども、これが我々の研究基盤整備・充実に向けた取組の歴史です。左下にありますように、1971年から分野ごとに共同の研究施設というのがつくられていって、それが学部ごとになって、キャンパスごとになって、令和2年からコアファシリティ構築支援プログラムにも採択いただいて、全学としての機器共用というのが推進できる体制となってきているということです。
右下にあるのが、その令和2年のときの現状なのですけれども、特に3つ目、保守等に関わる教員・技術職員の負担がものすごく増えていって、疲弊していっているという状況があったので、これを何とかしたいというところで、戦略の②のところ、技術職員が高度専門技術者集団として大学の研究力向上に大きく貢献しているという姿を描いて、そことのギャップを埋めるための戦略として「総合技術部」を新設して、全学組織化すると同時に、理事が本部長をして、トップダウン的に制度改革、それから、マインド改革を実行しました。教員も技術職員お互いがパートナーであるというマインドになっていないために、技術職員は教員の下請的な位置づけになっているというマインドを変えていきたいというところで取り組んだということです。
3ページ、これが我々のコアファシリティ全学協働体制ですけれども、左上に、先ほど言いましたように、共用機器を置いている総合科学実験センターがある研究推進機構、真ん中に、令和3年1月に設置しました、機器共用のための中央司令塔になるリサーチファシリティマネジメントセンター、それから、総合技術部を、3か月遅れ、令和3年4月に設置したということです。
右上にある各部局、左下にある事務局と連携しながら、コアファシリティ全学協働体制を構築しているのですけれども、左上から右下にかけての3つの組織の長を私が務めており、まずその3組織を強力にグリップしながら共用化を進めていっているという状況でございます。この体制が、ほかの大学と異なる特徴かなと思っております。
4ページ、これが総合技術部の組織体制ということです。ここをつくるときにまず考えたのが、しっかりとした指揮命令系統をつくらないと動かないだろうということで、その指揮命令系統をしっかりつくるために、マネジメントトラックというのがどうしても必要だというところで、マネジメントトラックをまずしっかりつくるというのが頭にありました。左下にありますけれども。それとは別に、技術職員ですので、高度専門職を目指すマイスタートラックというのも当然必要で、この2つのトラックを並行で走らせていくダブルトラック制度というのを考えたということです。
人材育成のほうも、教員のほうでは成果が上がっていたので、それを技術職員のところにも適用していくということで、テニュアトラック制、これも含めるとトリプルトラック制と言ってもいいかもしれませんけれども、マネジメントトラック、マイスタートラック、それと、人材育成を目的としたテニュアトラック制というのを敷いているということが大きな特徴かと思います。
5ページ、ここが先ほど最初に申し上げたとおり、総合技術部をつくっても、本当に機能するかどうかというのは、ここの指揮命令系統にかかっているということで、相当ここは考えました。当然、所属は総合技術部ですけれども、仕事の場は配属先の現場になります。だから、そこの業務との調整というのが当然必要になります。これまでやっていた仕事を急にしませんという話はできないし、今までの仕事をしながら、大学としてやってほしい、やるべき仕事というのはまた別にあるわけで、そこをどういうふうに調整していくかというのが、総合技術部をつくるときの一番のポイントになりました。
このブルーのところにありますように、本部長または部長が、基本的な方向性については配置先の長とまず調整をしっかりしていく。大枠はぶれないようにしっかり調整する。その上で、課長が現場の責任者と細かな具体的な業務内容について調整していく。だから、この下の図にありますように、指揮命令系統は、本部長から、部長、課長、グループ長、技術職員という、こういうレポートラインをしっかりつくった上で、配置先との間でしっかり調整をし、優先順位をつけながら、全て今までやっていたことができるというわけではないですけれども、現場で必要なものはしっかりやっていくし、大学としてやるべきことというのもしっかりやっていく。すなわち両方をバランス良くできる仕組みとして機能させることが出来ました。
特に共用機器、研究基盤に関しては、配置先の長も私ですし、技術部の本部長も私なので、自分の中でうまく調整できればいいというところがまた特徴かと思います。
6ページ、では、具体的にどういうふうにマネジメントトラックをつくったかというところでですけれども、総合技術部を設置したと同時に、マネジメントトラックというのを導入しました。これまで、3階層で、技術専門職が最高職で、事務でいうと副課長相当というのが一番上のポジションだったのですけれども、課長職、部長職というのを新たにつくりました。それと同時にグループ長新設して、この3つをつくることによって、レポートラインもしっかりしながら、大学としてやってほしいこと、それから、研究者が望むこと、それから、研究者等のパートナーとして大学の研究力向上に資するような取組ができるようなマネジメントを行う体制をしっかりつくったということです。
それから8か月ぐらい遅れましたかね。1年ちょっと、令和4年だったかな。マイスタートラックを、マネジメントトラックから遅れましたけれども新設しました。当時は技術の見える化というのが十分できていなかった部分があって、そこをまず見える化した上で昇任基準等を明確にするということがあったので、技術の見える化ができてからマイスタートラックを導入しました。技術主任と技術主幹を新設するということもありますけれども、役割と責任を明確にして、基準をしっかりつくったことがポイントになります。
ダブルトラック制度を新設することで、技術職員の処遇改善とモチベーションアップをしっかり行いました。キャリアパスを明確化するということは、技術職員にとって非常にモチベーションが上がりますので、これを狙った制度の構築ということにもなります。
7ページ、その当時の問題としては、技術職員の若返りというのも非常に重要でしたので、とにかく若い技術職員を積極的に雇用することにしました。当時は、即戦力が欲しいということで、割と年齢が高い方を雇用する場合もあったので、テニュアトラック制度を導入しました。期間は3年ですね。教員の場合は5年ですけれども、技術職員では3年。採用後、2年6か月後にテニュア審査をするという制度です。1年半経過したところで中間の評価もするというものを導入して、若い技術職員を雇用して、しっかり教育していくということを考えました。
特徴は、例えば、入試業務等々、技術職員は駆り出されることがあるのですけれども、テニュア期間はそういうことは一切させない、技術を身につけるのに専念してもらう。そういう制度の改革も行って、短期間に能力が向上できるように、メンターもつけてしっかり教育をするというような制度をつくったということです。
それから、8ページ、それと同時に、もう一つ問題だったのが技術伝承ですけれども、これも今までの制度だと、定年しないと次の人を入れられないということだったので、そうすると技術伝承ができなくなります。そういうのは、せっかく大学が持っていた能力、ポテンシャルを失うことになるので、分野によっては2年、長いところは3年重複しても、前倒し雇用を認めました。最低でも1年、技術伝承が必要な分野と判断した分野に関しては、必ず重複して前倒し雇用して維持技術伝承を行うということです。実際は、これとテニュアトラック制度の両方を併用することで、若返りと技術伝承の双方を推進できる仕組みとしていったというところです。
9ページ、技術職員の持つ「技術」の見える化ということで、これも徹底的に見える化をしていきました。まだ完全な意味でのスキルマップまではできていませんけれども、スキルマップ、その技術職員がどの技術をどのレベルで持っているというところまでしっかり見える化をしていきたいと思っていますし、先ほど江端先生からもありましたように、顔写真も含めて、もっとうまく工夫して、技術職員の方一人一人が見えるようにしていくというのも非常にいいなと思いました。そういう形で、さらに技術職員の技術だけではなくて、人となりも含めて見える化をしていきたいと思っております。
10ページ、幸い山口大学、いろいろな意味で総合技術部というのを見てみたいと言われる大学さんも多くて、たくさん大学に来ていただいたりして、大学間の連携が進んでいます。いろいろな大学のいいところも学ばせてもらいながら、連携をさせていただいているというところです。
11ページ、先ほど江端先生の話にもありましたけど、TCカレッジも積極的に活用させていただいておりまして、現在、テクニカルマスター取得者4名ということです。我々も参加させていただくだけではなくて、教材等もつくって、サテライト校としての活動もしておりまして、右側にありますように、情報系のTCコースを担当させていただいております。
ただ、我々として、情報系が特に強いというわけでもない部分もあったので、我々が本当に強みとしているのは、知財教育であり、全国の教育拠点にもなって、全学必修で進めています。我々にとっては特徴のある教育、強みのある分野と思っておりますので、全国の技術職員の方、TCカレッジを通してで良いと思いますけれども、知財教育をしっかりやっていくということが、山口大学としても貢献度が高いのではないかなと思って、知財系のTCコースというのをつくっていってはどうでしょうかというのを提案させていただいております。
技術職員の人たちは、特許につながるようなことがあっても、あまりその知識がなくて、せっかくのチャンスを逃がしているようなことも多々あるかと思いますので、これからは特許についてもある程度の知識は持って、これはと思ったら知財センターなり特許の専門家と相談して、きちんと知財化していくことが重要だと思います。せっかくいいアイデアをお持ちで、それで新しい課題解決、新しい発明もされておられるのが埋もれている場合も多いので、しっかり知財教育というのを技術職員の方々にもしていくというのは意味があると思っております。
それから、技術職員だけでは十分に賄い切れないほどニーズが増えてきているので、学生さんに積極的に活躍してもらおうということで、研究機器のインストラクター制度というのを導入しました。12ページ下にありますように、3段階に分けていますけれども、しっかり教育をして、実技もして、認定試験に合格した人をまずは2級で認定して、それで技術職員として総合技術部に配置して、給与をお支払いして、しっかり研究機器の保守、メンテナンス、それから、分析等々で活躍していただく制度です。さらに、現場でしっかり経験を積んだ人には、1級として認定して、また時給を高くして、技術に応じてしっかり報酬も支払えるような仕組みをつくっているということです。
13ページ、承認基準の明確化ということです。最初は技術職員も事務職員の方々と同じ俸給表を使っていますし、評価基準も同じだったのですけれども、やっぱり技術職員の方には、別個、事務職員の業績評価とは別に技術の評価もする必要があるので、その技術の評価というのを入れるための仕組みを今、つくっている途中でございます。我々としては、できるだけシンプルな形で、しっかり頑張っている技術職員の方々が評価できるような仕組みにしていきたいと思っているところです。
14ページ、縦割り的な今までのやり方もしつつ、柔軟にプロジェクトをどんどんつくっていきながら、ほかの課、複数の課を融合したようなチームで付加価値をつけていくような取組を進めていこうということで、プロジェクトチームをつくりながら、多様なニーズにしっかり応えていくということをしているということです。
最後になりますが、15ページ、これが総合技術部をつくった成果ということです。4つほど挙げさせていただいていますけれども、まず、一つ目は研究環境が向上についてです。技術職員の最適配置ができるようになりましたので、ニーズの高い分野への再配置、ニーズの低いところから高いところに再配置するということで、例えば、機器の利用料も、令和2年が3,800万ぐらいであったのが約2倍近くの7,000万ぐらいに増加しました。ニーズの高い分野に人をそれだけ手厚く配置できるようになったことで利用料金を大幅に増やすことが出来ました。また、研究機器の見える化を推進したために、どの機器をどうメンテナンスするのか、メンテナンスの優先順位等が明確になり、若手技術職員の方が何をすべきかというのも、機器の見える化によってはっきり分かって、業務の最適化というのも行えるようになったということです。
それから、人材育成も効率化しています。技術を見える化することによって、習得すべき技術の領域とかレベルが設定できるようになったし、キャリアパスも明確化されたので、研修プログラムもしっかりとターゲットを絞った形で設計できるので、その設計コストという意味で、費用もそうですが、時間も短期間でプログラムをつくれるようになったということです。
それから、キャリアパスを明確化することによって、意欲ある職員がどんどん出てきて、若手の女性職員を管理職に登用するということもできましたし、この4月からは学内共同利用施設の施設長にも技術職員、若手の女性がなりました。そういうことで、しっかりやる気のある技術職員がどんどん適した職に上がっていけるようになって、モチベーションアップに非常につながっているということです。
最後に、技術職員の交流も進んで、異分野協働の実績というのも上がってきております。さらに異分野協議を進めていきたいと思っております。
以上でございます。
【小泉主査】 上西先生、どうもありがとうございました。
非常に精緻で繊細な制度設計の下、総合技術部ということがしっかりと動いており、そしてまた、研究環境向上、まさに最後の絵ですが、人材育成、そして、マネジメント人材としても技術職員が育っているということがよく分かりました。ありがとうございます。
時間も限られている中ですけれども、今の上西先生の御発表に対して幾つか御質問あれば受けたいと思いますが、いかがでしょうか。
よろしくお願いします。
【中村委員】 どうもありがとうございました。
11ページ、そこに山口大学の特徴で、知財系が非常に優れているということで、江端先生のTCカレッジでもありましたけど、TCコースのところでも、プレアワードを専門にされた方には与えられたことがあったような気がするのですが、URA業務的なことにもエンカレッジしているということで、山口大学のほうでURAと技術職員と業務的にかぶるとか、すみ分けているとか、そこら辺は大丈夫というか、融合してうまくやっているのでしょうか。
【山口大学(上西様)】 そうですね。URAを統括しているのも研究推進機構というところの産学連携のセンターで、そこも私が所掌しているので、当然、URAと技術職員のすみ分けはできています。
江端先生の話にもありましたけれども、これからは技術職員のマネジメントのところをURAが担うということも当然あるだろうと思っていますし、それから、事務職員からの登用というのも考えております。そういう意味で、キャリアパスはかなり多様になってくるようなことを今想定はしていますし、実際に技術職員からURAになられた方もおられるし、それからまた教員になられた人もいるし、技術職員から教員になるというキャリアパスもあります。
【中村委員】 むしろ窓口が一つなので融合しやすい環境にあるという。
【山口大学(上西様)】 そうですね。しやすい状況にあると思います。
【中村委員】 ありがとうございます。
【小泉主査】 中村先生、上西先生、ありがとうございます。
それから、では、オンラインから、野口先生、網塚先生の順で行きたいと思います。
野口先生、お願いします。
【野口委員】 非常に精緻な説明、ありがとうございます。
パワーポイントの5ページ目ですが、先ほど先生が御指摘されましたように、多分この指揮命令系統が非常に重要で、そのことによりがマネジメント機能を発揮されて、円滑に回っていると考えております。例えば、総合技術部の方が現場の学部や大学院に配属をされるという、こういう方式だと思っています。
その上で、2点質問ですが、そうなると、やはり現場の長と総合技術部の長とのダブル上司になると思います。その際に行かれた技術職員の方の評価については、業務比重ももちろんあると思うのですが、配属先の現場の長が一番身近なところで見ているので、そちらの評価のエフォートが高いのではないのかと思うのですが、その評価エフォートはどのようになっているかということが、1点目です。
もう1点が、非常にスキルが高くなってくると、その現場から異動させたくないと考えるのが配属先の長であり、逆にいろいろと経験させたいと思うのが総合技術部の課長であるかと思うのですが、その異動の在り方というのはどのようにお考えになられているかということをお伺いしたいです。
以上です。
【山口大学(上西様)】 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、評価がポイントだということで、どういうような評価をしたらいいかというのは、我々で相当議論はしました。おっしゃるように、一番分かっているのは現場の長ではあるのですけれども、ただ、総合技術部というのは、全学の研究力を向上するためにつくった組織なので、左側に書いてある総合技術部のレポートラインをしっかり機能させるというのが大事だと思っております。評価はあくまでも左側の総合技術部のラインである課長がやります。ただ、その際に、現場の責任者とはしっかり意見を交わし合うようにし、それから、エビデンスをしっかり共有して、エビデンスベースに基づいて、総合技術部の課長が評価をするという仕組みを取っております。それで今のところ問題はないようですので、そういう形がいいのかなと思っております。
2番目の異動の話もそうなのです。今までは優秀な人はそのまま抱え込みたいというのは現場サイドで、それはおっしゃるとおりですけれども、総合技術部をつくったのも、そういう局所最適をするのではなくて、全体最適を目指すので、我々が総合技術部をつくった目的も含めて、しっかり現場の人たちにも理解してもらって、あと、その技術職員個人にとってのキャリアを考えて、ほかの部署でほかの経験をしたほうがもっと技術の幅が広がっていいとか、そういうことを理解してもらった上で、総合的に判断して、必ずしも現場の意見を通すのではなくて、全体最適とその技術職員個人の将来を考えた上で、異動を考えているということでございます。
【野口委員】 ありがとうございます。
後半は、私も強く賛同します。こういうスキームは全体最適を長がどのようにナビゲートしていくかということが重要だと思います。大変よく分かりました。ありがとうございました。
【山口大学(上西様)】 ありがとうございます。
【小泉主査】 ありがとうございます。
続いて、最後、網塚先生、お願いします。
【網塚委員】 ありがとうございます。
大変詳しく教えていただきまして、ありがとうございました。同じようなことを進めてきた者として、非常に勉強になりました。
それで、質問が2つあるのですけれども、まず、前倒し雇用、テニュア雇用についてなんですが、北大でもそれを行ってきたのですけれども、採用のときに選考採用よりも試験採用を優先するという縛りが強くて、やりにくかったということがあります。その点について、山口大学さんの場合はあまり制約はなかったのでしょうかということがひとつ。2つ目は、大学院生を取り込む仕組みづくり非常に効果的と思ったのですが、そこから技術職員に将来なりたいという学生が出てくることを期待したいところなのですけれども、何か学生の反応はあったのかどうかを教えていただきたいと思います。
【山口大学(上西様)】 テニュアトラックの件、選考採用ですか?
【網塚委員】 事務系職員も技術系職員も、北海道の場合は、4月雇用の場合には、前年度に試験を受けていただくという縛りがあるので、あらかじめ将来技術職員になっていただくかどうか分からない方を、3年前ぐらいに前倒しで仮採用するということが許されず、必ずどこかで共通試験を受けてもらう形になります。そのルールを変えるのがなかなか難しいのです。まず試験を受けていただいた上で、定年の何年か前に前倒しで雇用することはできたのですけど、その方たちはもう試験を受けて採用されておりますので、テニュアトラックという形ではなく、すでに本採用ということになります。そのような訳で、お試し採用、教員で行っているような真のテニュアトラック制度というのはつくれなかったという経緯が、北大の場合、ありました。
【山口大学(上西様)】 山口大学の場合は、そういう縛りがなくて、もう最初から公募して、いい人を採るという形ができる仕組みです。最初からそういう仕組みだったので、何かお答えにならないような気もするのですけれども。
【網塚委員】 いえ、分かりました。ありがとうございます。
【山口大学(上西様)】 2番目、インストラクターの件は、おっしゃるとおり、狙いは修士とかドクターから技術職員になってもらう方の適性を前もって見ながら囲い込んでいきたいというのは、当然、戦略的にはあります。
今でも、現職で活躍されている技術職員で、本学の修士を出た方とか、結構おられたりする、そういうロールモデルもあったりして、それを示しながら、技術職員の魅力をアピールして、インストラクターの中で優秀な方はぜひ残ってもらうようにしたいと思っています。インストラクターの方とは、来週、学長も含めて懇談会を開く予定もありますので、そこでインストラクターの方々の生の声も聞きながら、その方々がしっかり大学に残ってもらえるような仕組み、そういうのも考えていきたいと思います。
【網塚委員】 ありがとうございました。
【小泉主査】 ありがとうございます。
江端先生、付け加えることはありますか。
【江端委員】 先ほどの網塚先生の御質問の件ですが、国立大学の法人等職員採用試験というのがありまして、その中に事務系の職と技術系の職がそれぞれあります。恐らくそれのことをおっしゃっていて、北大さんの場合は、そちらを優先してくださいというお話だったという理解ですが、我々であれば関東甲信越地域の地区ごとの採用試験もありますので、山口大さんは、中途採用するよりも地区の採用を優先するというような形でポストを使われているのかなと理解しました。
本学の場合は、そちら側の採用試験もありますが、一方で中途もそれなりにあります。中途採用の問題は、採用したときに、最初の職階が、大学の中での経験に基づいているので、企業経験で技術がどれだけあってもゼロベースで評価されてしまうというところです。そこを変えていかなければ、民間企業のすばらしい技術者の方々が、大学に来てくれないということがありましたので、現在、中途採用の基準をそれなりに評価できるような仕組みづくりも必要だと思っています。その点は恐らく山口大学さんは上西先生の下でご検討されていると思いますから、それも大変参考になると思いますので、ぜひまた御教授いただければと思います。
以上です。ありがとうございます。
【小泉主査】 ありがとうございます。付け加えていただいて、ありがとうございます。
では、本日のヒアリングも含めまして、今後も技術者、技術職員に関しまして議論を深めていきたいと思っております。お二人の先生、どうもありがとうございました。
続きまして、議題2として、技術者・技術職員、研究開発マネジメント人材に関する前回も踏まえた整理と、ディスカッションを深めていきたいと思います。
前回、技術者・技術職員、研究開発マネジメントの育成に関しまして、現状の整理と今後の方向性に関してディスカッションをさせていただきましたが、これは個人的な感想ですけれども、特に技術者、技術職員、それから技術士、JABEE、いろいろな言葉が出てきましたが、同音異義語というか、皆さんが思っている定義を少し整理してからがいいのかなと思って、その辺は文科省にも整理をお願いしたところもありましたので、そういったことも踏まえまして、さらに、第108回人材委員会において、本委員会関係の主な意見というのもいただいております。そういったことも踏まえまして、事務局より整理した内容を御説明いただければと思います。
髙見室長、お願いいたします。
【髙見人材政策推進室長】 人材政策推進室の髙見です。お手元資料2に基づきまして、第108回、5月19日に行いました人材委員会でこちらの多様化ワーキングの検討状況をお伝えしたときの御意見につきまして、簡単に御紹介申し上げます。
3ページをお願いいたします。技術者関係とマネジメント人材関係と分けておりますが、まず技術者関係です。総論といたしまして、技術者に関する議論は、社会や人に関するリテラシーが非常に必要とされる職であるが、その観点からの記載がもう少し必要があるといった御意見。
それから、その2つ下ですけれども、研究支援人材の「支援」という言葉は、意識の点からも見直したほうが良いのではないかといった御意見をいただきました。
流動性、キャリアパスに関しまして、技術職員の中には、教員のキャリアに進む者もいる一方で、大学において魅力的なキャリアパスを整備できていないといった御意見。
企業においては、研究者と技術者を明確に分けていない。研究所から事業所に移って業務を行うことも当たり前にあって、行ったり来たりしているのだといった実態を教えていただきました。
それから、キャリアパスに関しまして、大学から企業への転身、その逆など、双方向であったほうが良いといった御意見もいただきました。
下の研究者と技術者の協働・専門性というところです。企業における技術者のうち、高度な技術者に対しては、どのように支援をしていくべきかを検討することが必要であるといった御意見。
その2つ下の丸です。アカデミアと産業界で技術者についての定義もしくはイメージするものが違うという御意見もいただきました。
技術職員・技術士といったまとめになっていますが、2つ目の丸の部分です。技術職員の活躍事例がより周知されるようになるとよい。姿が見えづらいといった御意見もいただいております。
技術士についても、活躍の様子であるとか、スキルについて、見える化を図っていく必要があるといった御意見もいただきました。
JABEE認定ですけれども、こちら、大学側に経費の負担があり、工夫が必要といった御意見もいただきました。
次に、研究開発マネジメント人材関係でございますが、こちらもアカデミアと産業界において「マネジメント」という言葉が指すものが異なる印象を受けたということで、使い方に留意が必要であるといった御意見をいただいております。
キャリアパスの構築の部分ですけれども、研究者ですとか大学と関係のない方がURAの認定資格を取得できるような、双方向性のあるキャリアパスが構築され、見える化がされると良いといった御意見もいただきました。
人材の確保に関しましては、研究者と支援する人材をセットと考え、人材や人件費を確保することが大切であるといった御意見。
裾野の拡大ですが、博士課程学生のURAのインターンシップでは、多様性の確保とともに育成にもつながるので、双方(学生と大学)に対して非常に有用であるといった御意見。
その2つ下ですが、研究開発マネジメント人材の育成に当たり、博士の研究の専門性にプラスして、研究開発マネジメントにつながるような教育も並行して行ってもよいのではないかといった御意見をいただきました。
次に、3-1を御覧ください。3-1は、まさに今、小泉主査がおっしゃったように、本ワーキング・グループにおけます技術者の育成について、この技術者や技術職員に関する定義といった辺りを中心にまとめてみた内容になっております。
1ポツの中ですけれども、技術者ですが、複合的な問題の解決に対して実践的な観点から対応することができる人材、そういう意味では、いわゆるテクニシャン、技術職員ですとか、科学的真理を探求する研究者、こういった方々に期待される役割とは違いがあるということを認識する必要があるのではないかということ。
次のポツですけれども、技術者に対する期待の高まりということも踏まえつつ、質の高い技術者の育成・確保を戦略的に推進していくことが重要であるというふうに書いてございます。
2ポツにおきまして、議論の対象とする「技術者」「技術職員」というところを規定しておりまして、①技術者ですが、本ワーキング・グループにおいては、最先端の科学的知見の活用や革新的な科学技術・イノベーションとなる製品・サービス等の創出、これらの研究基盤を担う高度専門人材を技術者とし、議論の対象とするとしてはどうかということで書いてあります。
米書きにありますけれども、主に産業界で活躍する方というのを想定したいと思っておりますが、実際のところは、こういった人材は、アカデミアと産業界における活動とが密接に関係しているために、これらの人材について、技術者であるのか、そうでないのかということを明確に区別するというのは困難であるといった実情もあるということには留意が必要かなということで米に書いております。
②大学における技術職員、こちら、人材委員会のほうで、企業においては技術職員と言われてもぴんとこない、そういう方はいないというお話もありましたので、あえて「大学における」というふうに書いております。
大学等において研究設備・装置の整備・共用・高度化を担う技術職員を本ワーキングにおける議論の対象とするということで整理しております。
米に書きましたのは、先ほど御意見がありますように、技術職員の中には、研究開発マネジメントに関わるようなケースというのも多くありますので、技術職員が研究開発マネジメント人材を兼ねることもあるということで整理をしております。
3ポツは、それぞれ技術者・技術職員に関する現状と課題といたしまして、様々な専門性の融合・相互理解ということが必要であるといったことを書いておりまして、2つ目のポツですが、具体的には、産学官による共同研究、人材交流を促進し、科学技術に関係する人材が相互理解を深め、互いの専門性を補完し、人材を育成する仕組みを新たに構築する必要があるということで、こちら、新たに技術者ですとかを育成するための施策について、文部科学省のほうで検討したいと考えているところでございます。
②技術者の能力の維持・向上といたしましては、高等教育、JABEE認定ですとか技術士等の認定制度の活用、そして、こういった人たちが継続的な研鑚をしていくといったことについて踏まえておく必要があるといったことを書いてあります。
③技術職員の活躍促進ということで、技術職員が活躍することで、研究基盤の確保、底上げをしていく必要があるということをまとめてございます。
次に、資料3-2を御覧ください。資料3-2は、技術者の育成に関する現状・課題・今後の方向性ということで書いてございます。
1の基本的な考え方は、今御説明いたしました3-1におけます整理を踏まえまして、議論する対象の範囲について、改めてこの中でお示しをしております。
現状・課題の(1)、大学等の高等教育の充実・強化というところですが、2ページを御覧ください。課題・指摘事項のところに追記をいたしておりまして、高等教育における技術者養成では、技術者倫理、エンジニアリング・デザイン教育、分野横断的なコミュニケーション能力の育成といった点の強化が必要であるということ。
そして、博士人材の活躍の場を技術者へ拡大する観点からは、学生を産学官の共同研究や事業化、研究基盤の確保といった取組に参画させることが有効であるといったことを加筆しております。
次の(2)①大学・企業等における技術者の育成・確保というところの3ページ目でございますけれども、複雑な課題解決に当たりましては、技術者の専門性を組み合わせて対応していく必要があるということで、技術者間の連携を推進することが必要であるといったことを書いてあります。
また、大学等における研究成果を社会実装していくために、技術者の参画が重要であるといったことについても加筆しています。
次の②大学等における技術職員の育成・確保ですが、課題・指摘事項の最後でございます。技術職員の業務・キャリアについての認知度が低いということが、技術職員を目指す学生が少ない要因となっているという点について抜書しています。
技術士制度ですが、4ページをお願いします。課題・指摘事項のところです。技術士制度の活用を促進するためには、技術士をリスペクトする文化の醸成ですとか、インセンティブの見える化が必要であるということで加筆をしております。
今後の方向性でありますけれども、まず高等教育、(1)の部分ですが、5ページ目をお願いします。大学等は、博士課程学生が修了後のキャリアパスとして技術者・技術職員を認知するように、産学官の共同研究や事業化といった取組に参画させるということを書いております。国としては優良事例を探して広く展開するといった点を書いております。
その2つ下のポツですが、大学等は、技術職員等の職種について、学生に対する周知活動を推進するといったことを書いてございます。
次の(2)①②でありますけれども、①のほうは、2つ目のポツです。大学・企業等は、技術者の技能に応じた処遇改善、キャリアの変更等の人事配置・組織体制を構築し、技術者の活躍の場の拡大、人材育成の推進を図るといった点について加筆をしております。
細かく文言修正をしておりますところが幾つかございますけれども、前回、大学・企業のみならず、公設試験研究機関ですとかの技術職員に関しても、技術者・技術職員というところの連携も必要であるといった御指摘をいただきましたので、産学官連携を図りまして、機器の共用であったり人材育成を進める方向性について、こちら技術者及び技術職員の双方に加筆をしているところでございます。
②の3つ目のポツです。こちらは技術職員ですけれども、大学等は、産学官の人的交流を促進するため、企業等と連携した人材育成、人材のネットワークの構築等を一層促進するということについて加筆しています。
最後、6ページですが、技術士制度の活用促進というところ、難しいですけれども、国は、技術士資格の取得を促進するため、インセンティブを高める仕掛けを検討するということを加筆しております。
次に、資料4-1を御覧ください。それぞれ資料3-3と4-2で参考資料もおつけしておりますが、こちらも充実を図っておりますので、またお時間のあるときに御覧いただければと思います。
資料4-1の研究開発マネジメント人材の関係ですが、こちらは具体的な取組方針のところに加筆をしております。
4ページをお願いします。まず、マネジメント人材の位置付け・役割の明確化というところですけれども、今後、具体的にどのようなことを推進していくのかという具体策を加筆しているというのが修正点でございますが、(1)、2つ目の丸です。競争的研究費等のプロジェクトで、研究開発マネジメント人材が重要な役割を果たすという場合には、申請書ですとか報告書に同人材の氏名とか役職を記載して、成果が分かる、このマネジメント人材が活躍したのだということが分かるようにしていくということが必要であろうということで、これを関係省庁間で認識の共有を図るといった点を加筆しています。
これのほか、マネジメント人材の業績を可視化する方策を検討するということも書いてございます。
1つ空けまして、その下の4つの丸に関しましては、URAスキル認定機構の行っております認定制度の関係であります。
1つ目は、スキル認定機構は、認定制度を着実に推進するといったこと。
2つ目は、大学等において、スキル認定制度を効果的に活用するということ。
3つ目は、国とJST、URA認定機構と関係団体が連携をいたしまして、Advanced研修及び「認定専門URA」の開始に向けて準備を進めるといったこと。
最後が、国とURAスキル認定機構が、研究開発マネジメント人材ということで、URAから名称が変わったりしておりますので、期待される役割もアップデートしておりますので、その位置づけ・役割を踏まえて、スキル認定制度の改修の在り方について検討を行うといった点について加筆しています。
5ページ目と6ページ目は、こちら人事制度のガイドラインのほうで載せております参考資料にも載っておりますけれども、各大学における研究開発マネジメント人材の位置付け・役割の明確化に資するグッドプラクティスを並べております。5ページ目、6ページ目のほうは、主に待遇ですとかキャリアパスに着目をして、事例の整理を行っております。
6ページ目からは、研究開発マネジメント人材の育成・確保・活躍促進というところでございますけれども、7ページ目をお願いします。こちら構成を①②というふうに番号振っておりましたのを、丸で書き下した上で、また新たな要素を付け加えているという修正ですけれども、上から4つ目の丸です。国とJST、URAスキル認定機構と関係団体が連携いたしまして、今、JSTのほうに移管いたしました基礎力育成研修の上の「Advancedレベル研修」の開始に向けて準備を進めるといったことについて書いてございます。
それから、その2つ下の丸ですけれども、国は、博士後期課程学生が研究開発マネジメントのインターンシップを行う大学の取組を促進するといったこと。
そして、そのもう一つ下は、これも国は、職員から研究開発マネジメント人材に移行するキャリアパスを構築するための取組を促進するといった点について加筆しています。
この後の優良事例は、主に活躍促進ですとか人材育成に係る優良事例を並べております。
最後、(3)ですけれども、取組の普及展開ということで、予算事業ですとか人事制度のガイドラインを順次つくってきているわけですけれども、それを他大学にも広めていく、なるべく裾野を広く広めていくという観点で、考えられる取組を記載しております。
1つ目の丸は、J-PEAKSですとか国際卓越、RU11、RUC(研究大学コンソーシアム)といったところの参画大学において、ガイドラインや体制整備事業を踏まえた取組が拡大するための方策を、これは国が主語ですけれども、検討・支援するということ。
2つ目は、体制強化機関、研修提供機関、これは新しい予算事業の中の名称ですが、こちらに採択された大学において、ガイドラインを踏まえた人事制度の構築を確実に推進するといったこと。
3つ目は、今後起きてくる事業におきまして、ガイドラインを踏まえた人事制度の構築を要件化していくことですとか、あるいは、採択や評価時の加点対象とするといったことについても検討していくということ。
最後ですけれども、国立大学法人の次期の中期目標・中期計画において、研究開発マネジメント人材等の体制構築を盛り込むということを検討するといった点について書いてございます。
すみません。少し長くなりましたけれども、御説明は以上でございます。
主査からもございましたが、特に3-1にまとめました技術者と技術職員、それから研究開発マネジメント人材との関係、こういった辺りについて御意見をいただけましたら幸いです。
【小泉主査】 髙見室長、ありがとうございました。非常に丁寧に御説明いただき、また、丁寧に資料をまとめていただき、本当にありがとうございます。
今、室長からもお話がありましたとおり、前のワーキング・グループから研究開発マネジメント人材のほうはしっかりとした議論が、細かいところでまだまだ議論しなければいけないところもあるかもしれませんが、何となく皆さんの共通認識はできてきて、資料4-1にあるようなところは共通認識ができているところかと思います。一方で、技術者、技術職員、そして技術士とかJABEEとか、そういったところも含めて、ここのところはもう少し我々のほうでも議論しなければいけないところなのかなと思います。
特に今回、資料3-1を出していただきました。共通認識というところで整理をしていただきました。私としては、この共通認識の整理はしっくりくるところではあるのですけれども、先生方から見て、いやいや、これは違うよとか、こういったところは大学の事情または社会の事情からは違うのではないかとか、そういった御議論をいただければと思います。その上で、資料3-1の共通認識を踏まえて資料3-2というのが書かれているところですので、資料3-2のところも含めて御議論いただければと思います。
資料3-1のところで言いますと、研究者と技術者というのが相並び立つものかなというふうに思っているところです。研究者がアカデミア等で、アカデミアのみとは言いません、アカデミア等で真理の探究とか研究を推進していくのが研究者であれば、技術者というのは、社会といったところで、技術を用いて様々な複雑な課題を解決していこうとする、そういった人たち、専門性を持った人たちが技術者である。研究者と技術者の両方が備わっていることで、国としては、科学技術イノベーションを推進する大きな力になると。
一方で、研究開発マネジメント人材、それから大学における技術職員は、もちろん大学において研究者や技術者と一体となりながら、そういった全体として科学技術イノベーションを推進していく人材として、研究開発マネジメント人材、それから技術職員もいるというところだというふうな、僕自身は何となく頭の整理はできているところですが、何か御意見があれば、ぜひ資料3-1、3-2あたりを中心に御意見いただければと思います。いかがでしょうか。
高木先生、お願いします。
【高木委員】 どうもありがとうございます。
基本的に、今主査のおっしゃったことは賛成でございます。特に、企業においては、技術者と研究者というのは一応分けたほうがいいというのが私のスタンスです。
この資料2の中で、3ページ、人材委員会で、流動性、キャリアパスというところの②研究者と技術者を明確に分けておらず、グラデーションになっているというのがありますね。これはマネジメント上、かなり高度なことをやられている規模の大きな企業だと思います。
この意味は、「分けておらず」というのは、個人として固定していないというふうに思います。これを読んでいくと、やはりこの組織には研究所と事業所があるのですね。なので、研究所には研究者が所属している、それから、事業所、私は前回事業部と言いましたが、そこには技術者がいるということで、これは分けたほうがいいと思います。
ただ、グラデーションというのもそのとおりで、例えば、白から赤まであったというときに、真ん中はピンクですよね。当然、個人としてピンクの人もいれば、また白に戻る人、赤の人もいれば、ピンクの人もいる。だけれども、全体をピンクとして捉えるのはあまり正確ではなくて、あくまでも白と赤として捉えて、その上でグラデーションがあるという捉え方をするのが非常にいいのかなと思っています。
その意味で、資料3-3、これは前回もお示しいただいたと思うのですが、技術者とはというのがありまして、国勢調査(日本標準職業分類)における「技術者」、ここは非常に正確だろうなと思います。科学的・専門的知識と手段を生産に応用し、だから、これ、企業のことを言っていますね。生産における企画云々に従事する者(ただし、試験所・研究所などの試験・研究施設で、製品開発に関する基礎的な研究の仕事に従事するものは研究者に分類する)。これはかなり正確な表現だと思っています。これは大賛成です。
それから、資料2に戻りまして、3ページで、総論で、技術者に関する議論はということで、技術者のリテラシー等の議論があるのですが、少し不安だったのは、この人材委員会で、いわゆる技術士制度の知見のある方が少し心配だったのです。
というのは、文部科学省は技術士制度を所管されておられて、技術士に必要な資質・能力、コンピテンシー、これを定義されています。これはIEA国際エンジニアリング連合が13項目を規定して、ある意味の国際標準ですけど、それを8項目にブレークダウンしたものになります。でありますので、少なくともこの場で議論するのは、特段の理由がない限り、その技術士制度のプロフェッショナルコンピテンシー8項目、これを前提にすべきだと思います。
ちなみに、ここでその話をしてもしようがないのですが、専門的学識、問題解決、マネジメント、マネジメントが入っています。それから、評価、コミュニケーション、リーダーシップ、技術者倫理、継続研鑚、この8項目が技術者として必要な能力ということが定義されていますので、これは活用すべきだと思います。ですから、技術士制度等で、ここの委員会で関わるのは、この8つのコンピテンシーだと思っています。
技術士制度そのものは、技術士分科会で議論いただくということで、実は、資料2の2ページの技術士についての②技術士資格を取得することのメリットが薄れてきているため、インセンティブの確立や資格取得の入り口を下げる等の工夫が必要ではないか。これは前回、私が発言したのですが、今週の火曜日、5月27日に技術士分科会もございまして、具体的な制度については、一次試験の少し変更ということで提案をさせていただいていますので、制度そのものは技術士分科会でやるべきだと思います。
ただ、技術士の資質・能力はもう既に定義されていますので、それを使えば良いと思いますので、次の3ページの技術者関係の総論については、その定義に従うのがよろしいなと思います。
それから、技術者と研究者の区分けということについて、今度、資料3-1なのですが、2ポツ、議論の対象とする「技術者」「技術職員」で、①技術者の中に、事業部や研究所等に籍を置きながらと書いているのですね。そうすると、技術者と研究者を両方引っくるめているような印象を受けるのですが、やはりここは分けたほうがいいと思います。
その下に、アカデミアにおいて技術の実用化に向けて課題解決に貢献する大学等の教員と書いています。例えば、これ、教授が技術者と言われると、少し抵抗があるのではないかと思います。教授職はやはり研究職ということになっていると思うので、軸足はですね。もちろん実用化を進められる方もいますが、軸足としては、少しこの表現は気になっています。
さらに、企業における技術者と研究者を分けなければいけない理由というのは、今の政策課題になっている博士人材の活用ということにもつながると思っています。つまり、非常に平たく言うと、学部卒業生は技術部配属、博士課程修了者は研究所配属というのは割と自然な流れだと思うのですよね。そのときに、技術者と研究者のスキル、コンピテンシーを混ぜてしまうと、では、博士課程と学部の学生のその違いは何だみたいなことになりかねないので、むしろ極端に明確に分けたほうがいいのかなと思います。
企業内でも、研究者と技術者の評価の仕方は違うと思います。それから、御本人のモチベーションも違うということは、前回申し上げました。研究者は恐らく論文を書いて博士を取ろうとするし、技術者は、一般には査読論文を立てるアクティビティというのはないので、もしかしたら技術者を狙うかもしれない。狙わないのかもしれないのですけど。ということで、そこは明確に分けたほうが良いと思います。この資料3-1の1ページ目、少しそこが曖昧かなと思いました。
あと、どこかガイドラインの活用というところがあったかな。それは当然、以前このガイドライン、先期スタートするとき議論があって、ガイドラインを例えばチェックリストみたいにして使うことはいかがなものかという意見があったと思うのですね。今回のガイドラインって割と例示もありますので、チェックリスト的には難しいと思うのですが。
それと、このガイドラインが目指しているものというのは、従来の大学の目指しているものとは方向性は一致しているわけですから、評価については、従来の評価制度を使えばそれで良いだろうということを申し上げました。
例えば、大学ですと、学校教育法ですか、7年ごとに評価があるわけですね。その評価機関5つありますけれども、だから、その評価機関に対しても、こういうガイドラインをつくりましたと。恐らく大学さんがこれを見ていろいろ改革をされるでしょうというようなアピールも一つ必要かなと思いました。
すみません。長くなりました。取りあえず以上でございます。
【小泉主査】 ありがとうございます。
やはり高木先生に口火を切っていただいてよかったなとすごく思っております。重要な御意見をありがとうございます。
僕も、何となく先生のお話を聞きながら、技術者・研究者をコンピテンシーベーストでとにかく整理していくというのが分かりやすくなるのかなというのはすごく思いました。やはりコンピテンシーという考え方で整理していかないと、何となくふわっとしてしまうので。もちろん個人個人はグラデーションを持っていていいのですけれども、技術者とは、研究者とはと言ったとき、コンピテンシーベーストの議論かなとちょっと思いました。
【高木委員】 一つの切り口だと思います。
今回、大学等の中の人材に関して、実は、研究者を除いているのですよね。研究開発マネジメントと技術職員ということを言っているのですよね。
【小泉主査】 そうですね。あえて研究者の議論はしていないです。
【高木委員】 していないのですよね。しかし、企業においては、やはり研究者の議論をしたほうが本当はいいと思いますね。おっしゃるとおりだと思います。
【小泉主査】 ありがとうございます。
オンラインで桑田先生、野口先生、重田先生には3人連続で行きます。
その前に、中村先生にお聞きしたいなと思っているのが、自然科学研究機構の場合だと、天文台とか、前に御発表もいただきましたけれども、研究者、技術職員、技術者というのが、ある種3つの職業があって、それが一体となって、例えば、天文の開発、研究を進めていたりすると思うのですが、そういったアカデミアにおける研究者と技術者というところで、多分、中村先生御自身の話も含めてあると思うのですけど、少しコメントいただけますか。
【中村委員】 先ほどの高木委員のほうから、研究者と技術職員は明確に分けるべきだと思うと。ほとんどの大学では多分そうだとは思うのですが、自然科学研究機構とかでは、先端計測をするという意味で、研究者が技術開発をしているというのは、特例のほうに位置するのかもしれませんが、いるのは事実です。特に天文台では、キャリアパスとして技術開発をする教員というのがいますので、そういう意味では、明確に分離できないケースは、特例かもしれませんが、あります。
【小泉主査】 すみません。ありがとうございます。
では、桑田先生、野口先生、重田先生の順で行きます。
桑田先生、お願いします。
【桑田委員】 ありがとうございます。
今日はいろいろと技術者のほうを勉強させていただきまして、ありがとうございます。
文章が充実してきていて、良いと思います。全体的に読んだ感じの印象として、組織内での職替えの仕組みの視点でキャリアパスを描いていくこと等、モチベーションを上げる配慮がされていてよいのですが技術者の人たちのマーケットの中、つまり、組織外に異動していくというときの議論がまだ薄いような気がしています。
研究開発マネジメント人材のほうでは、認定機構の仕組みまで強調しているのに対し、技術者のほうの組織外への流動性、日本全体がもっと技術者で豊かになっていきましょうというような話については、もうちょっと力強い検討が加わっていったほうがいいのではないかなと感じたので、まず一言申し上げたいと思います。
あともう一つは、これは先ほど来の議論にちょっと近いのかもしれないのですけれども、技術者が、研究者ではないのか、という定義に関し、違和感を持っています。
装置を戦略的にどういうふうに導入していって、本命の実験が戦略的にうまくできるようになるとか、効率が上がるとか、あるいは、よりよい実験のフレームワークをつくり上げるとか、あるいは、設計の、例えば、私なんか半導体が専門なのですけれども、デザインエイドといって、設計ツールを研究開発している人がいるのですけれども、そういう機能を果たす人たちを、設計のツールを作り、メンテする人たちだからといって、技術者です、研究者ではないですと割り切ってしまっていいのかと、少し違和感が残っています。
こういう実験の目的に向かってデザインエイドしていくようなものの技術革新性というのも、実験研究と両輪で走っていかないといけないので、そこを研究と呼ぶのか、どう呼ぶのか、ここでは少し整理があるとうれしい気がいたしました。
また、関連して、私が実態として、やっぱりまだ腹落ちしていない研究者に関してですが、今中村先生おっしゃったとおりなのですけど、私もスーパーカミオカンデに行って、若い先生たちのお仕事ぶりを教えていただいた時のことも思い出します。御専門は重粒子線物理の御専門を持たれていて、そこの研究をやられているのですけれども、役割分担としては、装置に水をくべて維持・メンテして、必ず装置がうまく回っていくように担当されていて、それが自分のお仕事ですと言っている。じゃ、本命の自分の研究とはちょっと違うのだけれども、それは成立しているのかと伺うと、季節性があるので、その中で空きを見て自分は研究をしているのですとおっしゃる若手の研究者でかつ、技術を担当している先生もいるということについて、どういうふうにここでは説明をするのかについて、もう少し考え、何か示唆を与えるような記述があるとうれしい気がしております。
そういう意味で、高木先生、小泉先生の議論の中であった通り、コアコンピテンシーで少し分けていくという整理も良いかと思っておりました。
ありがとうございます。以上です。
【小泉主査】 ありがとうございます。
桑田先生、ごめんなさい。大変失礼な聞き方になってしまうかもしれないのですが、桑田先生が東京工業大学に入る前に企業にいたときに、桑田先生は企業の中で自分を研究者だと思っていらっしゃいましたか、自分を技術者だと思っていらっしゃいましたか。
【桑田委員】 そうそう。そこのところが、今、高木先生の御意見のところで若干違和感があったのですけれども。大きな会社ですと、研究所に所属しているときは研究職、事業部に所属しているときは事業のエンジニアとか技術者になるのですね。職種としてなるので、それは異動に伴って、そういうふうに職種の呼び名が変わっていくだけの話であるだけなのです。
そして実態は、新ものをやっているときは研究者であり、論文を書いているときは研究者であると意識します。事業部に所属しても研究者であるし、研究所にいても事業に直接関わるようなところをサポートしているときは事業のエンジニアになっていくということなのですね。
そうすると、比較的大きな会社だと研究所と事業所があるからそれでも職名で区分がしやすいと思うのですけれども、これがもっとコンパクトな会社になっていくと、そこの峻別ってあんまりないような気がするのです。ですから、やっていることの中身によって、先ほどグラデーションがあるとおっしゃっていたのですけれども、そういう事態が起きてくることがあるのだというのは、少し御認識いただいたほうがよい気がいたしました。個人的な意見ですけれども。
【小泉主査】 ありがとうございます。貴重な御意見ありがとうございます。
続きまして、野口先生、お願いします。
【野口委員】 私のほうからは2点です。
2点とも資料2の親委員会の人材委員会の意見というのは非常に重要で、様々な指摘もあります。その中で、私、やはり言葉の定義づけというのは非常に重要と考えます。
まず技術者ですが、3ページの下のほうに下線があります。アカデミアと産業界では、今も議論になっている、技術者についての定義やイメージするものが違うという御指摘もあります。
その上で、先ほども御発言にもありました、事業部に所属する、つまり事業部における人材を技術者と呼んでいる。ただ、そのことに限ったことではないとも思います。1ページのところで、やはり大学等における技術者とは何なのかという人物像からまず議論をするべきだという指摘もありますので、大学ですので、学生や大学院生に触れ合う機会が多く、そのような学生がいない企業とも全く構成員が違うので、やはり大学等における技術者像というのを少し記載する必要があると思いました。2点目は、4ページのマネジメント人材の「マネジメント」の位置づけです。アカデミアと産業界において「マネジメント」という言葉が違う、この点は留意が必要と思います。留意が必要ということは、大学等におけるマネジメントとは何なのかという定義づけの説明が必要なのではないかと思います。
企業と大学の差というのは、企業は利潤追求、大学は自治です。しかしながら共通項でくくるとすれば、ある目標に対して経営資源を投入して、効率を上げて、様々な部分の底上げを図るということは、マネジメントの部分で共通していると思うのですけれども、大学は、一方で、社会共生価値であるとか、人材の育成に通じるようなマネジメントという概念がありますので、そのようなマネジメントの定義づけを、記載するのかやはり重要ではないかと思いました。
以上です。
【小泉主査】 ありがとうございます。
最後のマネジメントに関しては、確かにオペレーショナル的なマネジメントなのか、またはドラッカーとかが言っているようなマネージメント。マネージメントとマネジメントで変えてもいいのではないかと思っているのですが、難しい議論だなと確かに思ったところです。ありがとうございます。
髙見室長、何かありますか。
【髙見人材政策推進室長】 ありがとうございます。まず、先生方の御意見をいただいて。
【小泉主査】 そうですね。分かりました。
では、重田先生、お願いします。
【重田委員】 小泉先生、ありがとうございました。
今までの議論、すごく本学にとっても参考になりまして、こういったものを学びつつ、いろんな制度等もそろえていかなければいけないのだなというのを改めて思いました。
私からの意見なのですけれども、ぜひ資料3に加えていただきたいのが、学会とか、あるいは、こういった技術職員が関わるような組織についての何か期待になるような、そういった文章が付け加えていただけるとありがたいかなと思っております。
例えば、本学でも昨年度末に総合技術研究会を開きまして、大体600名弱の技術職員の方々が集まられて技術交流をされたということもありますし、次に御発言される江端委員、研究基盤協議会をなされていて、やっぱりそういったところでも、技術職員であるとか様々な研究開発人材の交流というのは進められていて、こういったいろんな大学、あるいは企業も含めた形の交流というものをもっと促進することが、やはり日本の技術力を上げるには必要と考えておりますので、そういったところ期待や、そういった学会、あるいはある種の法人みたいなものがどういった形でこの議論の中に入っていくか、あるいは、どのような形でそういったものを進める原動力になるかというのも少し触れられていただけると本当にありがたく思います。
特に、今の技術職員の問題の一つは、どうやってそういった新しい人材を確保するか。もともとは、人材政策委員会のこの議論というのも、どうやってドクターの人材を生かして、それでキャリアパスをつなぐかというところになるのですけれども、実際に技術職員というのがどうやって学生やドクターの方々と密な交流をするかというのは、これまであまり多くはなされてこなかったと思いますけれども。
多分、江端先生、次にもしかしたら補足いただけると思うのですけれども、先生のやっておられるような研究基盤協議会では、若手のいわゆるコンソーシアムみたいなものをつくられていて、たまたまなのですけれども、筑波大の学生が、その一人、コーディネーターというか、そういった形で参加されていて、どうやって学生を含むかというのは、こういった学会であるとか法人というのが一つキーになるのではないかなと思っていますので、その辺の期待も込めて、学会等の役割のある種の期待というのを少し盛り込んでいただけると助かります。
江端先生が追加で引き継いでいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【小泉主査】 重田先生、重要な指摘ありがとうございます。
では、御指名でもありますので、江端先生、お願いします。
【江端委員】 御指名いただきありがとうございます。
学生さんをどう巻き込むのかについては、筑波の学生さんが非常に意欲的で、研究基盤に関する課題意識や、学生ならではの視点をお持ちでしたので、若手ネットワークで議論に加わっていただき、かなり鋭い御指摘もいただきました。研究基盤協議会として今後もそういった学生さんの巻き込み方というのは、考えていかなければならないと思っています。
技術職員へのキャリアパスを開くという意味でも、学生さんにできるだけ早い段階で、こういったキャリアもあるのだというところを周知する仕組みづくりが必要で、これまでの議論の中にもあったかもしれませんが、改めてその点を注目していただければと思っています。ありがとうございます。
コンピテンシーに関しては、これはもう高木先生や皆さんからお話しいただいたとおりで、明確に分けて見える化をしていただいたほうが間違いなく良いと思います。その中で、そこがどう重なっていくのかということを、キャリアイメージの中で説明できるようになれば良いと思っています。
例えば、研究基盤の共用化という視点で、よく論点になるのですが、産学連携の仕組みとして、装置開発をする人たちは技術者なのか研究者なのかという議論があります。現在は技術者で行ってほしいという話はありますが、やはり研究開発要素がありますので、その分野の専門の先生に関わっていただかなければ産学連携として大型な共同研究にはならないということで、その辺の研究者をいかに増やしていくのかが非常に大きな論点です。
先ほど高木先生が中間的なピンクという言い方をされていましたが、その領域の人たちを増やしていくためにどう表現するのかというのは、これから議論していただきたいと思っています。
私が少しお伝えしたかったのは、小泉先生が先ほどおっしゃっていたかもしれませんが、研究者と技術者が並び立つようにしていくことが必要で、中村先生の自然科学研究機構など研究機関ではできている部分はありますが、中間的な存在があるので、そういう認識になっているのかと私は理解しています。そのため大学ではいつまでたっても研究者と技術職員が並び立たないというところが大きな問題で、まずは国から大学へ示していくこのガイドラインはそういった観点からも非常に重要だと思っています。
一方で、ガイドラインができたからといって、意識が伴っていくかについては、上西先生のプレゼンにもありましたとおり、同時に学内の意識改革をどう行っていくのかが重要です。そのためガイドラインをつくっていく中で、共通認識という形で整理していただいているので、そのマインドセットを変えていくような動きを具体的にここに入れていくのか、例えば、国として何かしらの政策のフォローをしていただくなど、その辺のことも念頭に置いて、記載を追加していただければと思ったところです。
以上です。ありがとうございます。
【小泉主査】 ありがとうございます。
では、正城先生、網塚先生で行きますか。
正城先生、お願いします。
【正城委員】 では、短く。
今、議論いただいているところは非常に重要だと思うのですけれども、資料4-1と3-2を読み比べたときに、3-2の基本的な考え方のところが少し曖昧な位置づけではないか、ここのワーキングで議論すべき点として、もう少し絞るべきではないかという印象は受けています。それぞれの議論は重要なのだけれども、文部科学省で作成されている「今後の科学技術・人材政策の基本的方向性」に直結するようなところにこのワーキングの議論を絞るべきかと思っていますが、具体的にどうというところまでは行けていないので、そこまでにしたいと思います。
もう一つ、資料4-1で加えていただいたところですが、従来からの記載箇所は、国の場合は何々する、大学等には求められるみたいな形で書かれているのですけれども、今回加えられたところというのは、国でない部分も何々するというふうになっていたので、その文章の位置づけは、前のところと合わせて整理いただきたいなと思いました。
【小泉主査】 ありがとうございます。
では、網塚先生、よろしくお願いします。
【網塚委員】 では、短めに。
まず1つ、先ほど江端さんのお話にありました大学の技術職員と研究者の関係性について、親委員会のところに支援という言葉が適切かどうかという話がありましたが、今、私も気をつけて、支援という言葉はできるだけ使わずに、協働という言葉を使うようにしています。
2つ目は、資料3-1の技術者の定義文は、やはりなかなか文章にすると難しいところがあり、いろいろ混乱があるのは、技術者という概念と、様々な職種の使い方が混ざっているところにあると思います。①技術者の文章では、上のほうは高度専門人材と書かれていますが、下の具体例のところには大学等の教員と書かれています。そうすると、ここが教員に規定されてしまいます。実は、この技術者、この文章から見ると、大学の中で技術職員もかなりの方が技術者に該当するように個人的には思います。なので、ここに教員と書かれてしまうと混乱を招くかもしれないと思って見ておりました。ですので、大学の教員等とか、大学等の人材でよいのかなと思いました。
最後に、細かいことですが、大学における技術職員のところに、時々、研究設備・装置の整備・共用・高度化という言葉、あるいは、資料3-2では研究施設という言葉が出てくるのですけれども、北大などの場合には、この施設の中に、あるいは設備の中にフィールドは含まれるのかというのは常に議論になりますので、その辺の言葉の使い方を、表に出る文章のところでは気をつけていただけると、技術職員の方たちが混乱しないかなと思いました。
以上です。
【小泉主査】 網塚先生、ありがとうございます。
多分、御意見たくさんあると思うので、ぜひメール等でお寄せください。僕宛てではなくても、室長補佐宛てにお寄せいただければと思っておるところです。ありがとうございます。
今日、確かにお話を聞いていて、研究者と技術者というのが、やっぱりスペクトラム的にというか、グラデーションという言葉がありましたが、スペクトラム的になっているのか。高木先生が初め、それを白と赤、ピンク色もあるぞと。そこをあえて白と黒でグレーと言わないところが、ピンクと出されているところは、もうかわいらしいところだなと思って。でも、そういったグラデーション、スペクトラム的なところなのだなというのを、技術者と研究者はスペクトラムなのだというのをすごく認識したところです。ありがとうございました。
それでは、閉会の前に、本日の議論を踏まえまして、事務局から一言御発言をいただきたいと思います。
まず、井上局長、ぜひよろしくお願いいたします。
【井上科学技術・学術政策局長】 先生方、ありがとうございました。本日も大変勉強になりました。ありがとうございます。江端先生と、あと上西先生からも、本当に大学の取組を教えていただきまして、本当に頑張っていらっしゃるなと。やはり実際におやりになっている話というのは迫力がありますね。感銘いたしました。
もう手短にしますけれども、やはり今日も様々に議論ありましたけれども、非常に遅まきながらではありますが、この人材委員会で、技術者、技術職員、この問題を正面から今回御議論をしていただくということで進めておることは、やはり非常によかったなということを今日も改めて思いました。
今日の先生方の御意見もよく踏まえて、良いまとめに向かっていきたいと思っております。引き続き、よろしくお願いいたします。
【小泉主査】 井上局長、ありがとうございます。
続きまして、福井審議官、ぜひよろしくお願いいたします。
【福井大臣官房審議官】 本日はありがとうございました。私自身も非常に勉強になりました。
私、工学部出身なのですけれども、私のときを考えても、あまり研究者、技術者と意識しないで、毎日、1秒早くできないかとか、そういったことばかり考えていたような気がいたしますが。
本当に技術者と研究者の定義とか、そういったところは、今日の意見も参考にいたしまして、引き続き我が局のスタッフとともに議論を深めていきたいと思います。
ありがとうございました。
【小泉主査】 ありがとうございます。
続いて、先﨑総括官、よろしくお願いします。
【先﨑科学技術・学術総括官】
本当にありがとうございました。あっという間の2時間でございました。特に両方の御発表は、局長の言葉にもあったように、迫力があるといいますか、少なくとも大学は新しい時代に入っているというのを、またこの切り口でも確信させていただいたと思います。
特に大学のマネジメントを改革するというのは、結局のところ、それぞれの職員が最大のパフォーマンスを発揮できるようにするにはどうしたらいいのか。もともと大学がどうやってできたかの故事来歴は紐ときませんけれども、もう大分その仕組みとミッションが世の中も含めて変わっている中で、どう最適化するのか、その遅れをどう取り戻すのかというのが、今、最大のポイントなのだろうと思います。
教員と教員でない方、あるいは、教員でない方を仮に事務職員とするのであれば、その事務職員の中には系があるわけです。その系というものをどう壊すのか、あるいは生かすのか、両方だと思いますが、そういったところをどう組み立てていくのかということを考えると、それは職階とか、学生も含めた養成とか、それから、人事、評価、そういうものと非常に複雑に絡み合ってくる。やはりそれをマネージして牽引していけるのは、大学の場合はアカデミアの方。お二人のような方が、そういうものをまさに牽引されている。アカデミアが牽引されているというのは非常に大きな意味を持つ。そうした育ってきた方がマネジメント層や準マネジメント層に引き上がっていくというような、そういうダイナミックな動きを見せていただいた。非常に感謝申し上げたいと思います。
今、報告書をまとめているわけですけれども、技術職員、技術者、あるいはURA含めて、先生方のような取組が全国に広がるような、後押しになるような形になるように、整合を取れていければいいのかなと思って聞いておりました。
本日も本当にありがとうございました。
【小泉主査】 ありがとうございます。
それでは、最後になりますが、事務局より事務連絡をお願いいたします。
【大場人材政策推進室室長補佐】 事務局でございます。御案内がございますので、事務連絡の前に、そちらをお伝えさせていただければと思います。
大学の関係者及びワーキングの先生方にも御関心をいただいておりました研究開発マネジメント人材に関する体制整備事業につきまして、5月20日に公募を開始いたしました。
また、科学技術分野の文部科学大臣表彰の研究支援賞の応募を5月23日に開始いたしました。こちらは昨年度から変更点としまして、研究支援賞の下に2つの部門、研究開発マネジメント部門、高度技術支援部門を設けることとなりました。
経緯でございますが、研究支援賞は、これまでも技術職員に加えてURAをはじめとした研究開発マネジメント人材も対象としておりましたが、技術職員向けの顕彰を止められる向きがあり、実際に研究開発マネジメント人材の推薦が少なかったという背景もございまして、それぞれを対象とするのだということを明確化したものでございます。リーフレットは、本日の参考資料2として扱っております。
次に、事務連絡となります。
次回のワーキング・グループは6月9日月曜日を予定しております。本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にお目通しいただき、主査に御確認の上、文部科学省のホームページを通じて公表させていただきます。
以上でございます。
【小泉主査】 どうもありがとうございました。ここのメンバーの方でも振るって御応募いただければと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
それでは、本日はこれにて閉会といたします。ありがとうございました。
―― 了 ――
科学技術・学術政策局人材政策課