令和7年5月13日(火曜日)11時00分~13時00分
文部科学省15F局1会議室及び Web 会議(Zoomウェビナー)
小泉委員、稲垣委員、網塚委員、江端委員、桑田委員、近藤委員、重田委員、杉原委員、高木委員、中村委員、野口委員、正城委員
井上科学技術・学術政策局長、福井大臣官房審議官、先﨑科学技術・学術総括官、奥人材政策課長、髙見人材政策推進室長、髙橋人材政策課長補佐、滝沢人材政策課長補佐、大場人材政策推進室長補佐
科学技術・学術審議会 人材委員会
科学技術人材多様化ワーキング・グループ(第1回)
令和7年5月13日
【小泉主査】 よろしいでしょうか。
【大場人材政策推進室室長補佐】 完了いたしました。
【小泉主査】 ありがとうございます。
それでは、皆さん、こんにちは。これより会議を公開といたします。
改めまして、私は科学技術・学術審議会人材委員会の主査から、科学技術人材多様化ワーキング・グループの主査の御指名を受けました、小泉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
3月までも別のワーキング・グループで皆様にはお世話になりました。新たな形で多様化ワーキングということで始めました。新しい先生方もいらっしゃいます。どうぞよろしくお願いいたします。また、私自身、北陸先端科学技術大学院大学副学長に異動いたしました。今も実は日本海が見える部屋から行っており、皆様にはすみません、本来なら対面で参加したかったのですけれども、どうしても急遽こちらにいなければいけなくて、こういう形で、また、音声も聞き取りづらいかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
引き続き、ただいま私より指名させていただいた稲垣主査代理からも一言御挨拶をお願いできればと思います。稲垣先生、お願いします。
【稲垣主査代理】 稲垣でございます。皆様、よろしくお願いいたします。
このワーキングは前回の研究開発マネジメント人材に、さらに技術職員とか技術エンジニアの人たちを含めた形で議論するということになっております。ワーキングで多分議論されることは専門的な知識やスキルを持っている人たちが、よりよい環境で活躍できるようになっていくための、今まで以上に道筋をつくるワーキングだと思いますので、皆様の御協力の下、いい議論ができればなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【小泉主査】 ありがとうございます。
それでは、続いて事務局を代表しまして、先﨑総括官より御挨拶をお願いいたします。
【先﨑科学技術・学術総括官】 失礼いたします。第1回の科学技術人材多様化ワーキング・グループ、御参加いただきまして誠にありがとうございます。
今、お話ございましたように、科学技術イノベーション政策の中核的基盤というのは、申し上げるまでもなく人材でございます。その人材、もちろん研究者もそうですけれども、技術職員、エンジニア、それからURAといったような方々、総意で研究の質と量というものをより研さん、向上させていかなければいけないという段階でございます。特に、研究者については、世界屈指の数が我が国にいるわけでございますけれども、それを支える方々というところに目を転じますと、国際的に見ると、かなり出遅れているというようなデータもあるわけでございます。
ここを反転して、どうやって力を強化していくかということが、まさにこのワーキング・グループでお話をいただきたいところだと思っております。ぜひとも、私どもにお力をお貸しいただいて、忌憚のない御意見、御議論をお願いしたいと思います。
以上でございます。
【小泉主査】 先﨑総括官、ありがとうございました。
それでは、早速ですが、議題2に入りたいと思います。よろしいでしょうか。技術者、研究開発マネジメント人材に関する現状と課題等について、事務局より、まず、御説明をお願いいたします。
【髙見人材政策推進室長】 事務局の髙見と申します。
それでは、私のほうから、主に資料2-1と3-1に基づきまして御説明を申し上げたいのですが、それに先立ちまして、参考資料1の今後の科学技術人材政策の基本的方向性というところを御覧いただければと思います。これの2ページをお願いいたします。
こちら、今期の人材委員会におきましても、検討体制についてお示しをしております。科学技術学術審議会の下に審査委員会がございますが、その下に本科学技術人材多様化ワーキングと、次世代人材育成ワーキングという2つのワーキングを設けまして、それぞれ議論する内容を分担いたしまして、御議論をお願いしたいと考えております。
次のページお願いいたします。検討のアウトプットというところです。こちらの2ポツを御覧いただきますと、1から5まで、課題が挙げられていると思います。こちら、科学技術政策を俯瞰的に見たときに、その中で人材政策を議論するといったときに、5つの論点について、分担して御議論をお願いしたいと考えておりまして、一つは研究者の育成・確保、2つ目、技術者の養成、3つ目専門人材の育成・登用推進、これが研究開発マネジメント人材等になります。そして4番目が、博士人材の活躍促進、5番目は次世代人材の育成ということになっております。先ほど申し上げました、本科学技術人材多様化ワーキングにおきましては、このうちの技術者の養成、そして専門人材の育成・登用推進を御議論いただきたいと考えているところでございます。全体を俯瞰して議論するというところが一つのポイントとして今回とらえているところでございます。
それでは、技術者の育成に関する論点について行きたいわけなのですが、その前に、資料2-2を御覧いただければと思います。技術者の育成に関する参考資料としてお作りしているものですが、それの1ページ目でございます。本ワーキングの前身である研究開発マネジメント人材ワーキングというのを、前期まで皆様にお願いをしていたところでございますけれども、その中では取り上げてこなかった論点といたしまして、技術者の育成というところがございます。
技術者というのが一体どのような人たちなのかというのは、多様な定義があるところでございますが、こちらの1ページにありますように、科学技術イノベーション基本法の中に研究者と並んで技術者というところが規定をされているということ、それから国勢調査にも技術者に関する規定がございます。そして、国際社会の技術者の3分類というところがありますけれども、我々といたしましては、3分類の中の特にエンジニアとして技術者というものを捉えまして、主には企業の中で、新規の製品開発ですとか研究開発に携わっていくような方々を指して技術者というように捉えたいと考えているところでございます。
その前提の上で、資料2-1を御覧いただければと思います。2-1ですが、技術者の育成に関する現状・課題・今後の方向性、端的に御説明を申し上げたいと思います。
基本的な考え方の1つ目の丸です。技術者でございますけれども、これまでも技術的専門知識を背景に、日本の研究力向上や経済成長に貢献をしてきたということ。2つ目の丸では、技術者は複合的な問題解決に対して実践的な観点から対応することができる重要な人材であるということを書いてございます。
2の現状・課題のところを御覧いただければと思います。これ以降、主に3つの柱で内容を整理しております。1つ目が、大学、大学院、それから高等専門学校における工学系教育の充実強化の観点からの現状・課題になります。これまでの取組と現状ということで、2つ目の丸の下のほうですが、一部の高等教育機関におきましては、産学が連携して長期インターンシップ等の実践教育を強化した取組を実施しているということを書いております。そして3つ目の丸、国際的には国際エンジニアリング連合におきまして、技術者に対する認定基準というものを設けていて、日本では、日本技術者教育認定機構、JABEEと言いますが、こちらがIEAに参加をいたしまして、国内の高等教育機関に対する認定を実施しているということを書いております。
課題・指摘事項の1つ目の丸ですが、産学の連携による実践教育の場の拡大を図る必要があるということが指摘をされております。2つ目の丸ですが、JABEE認定を受けていない大学、高等専門学校が見られることから、高等教育機関における当該認定の促進を図る必要があるということに触れています。
次のページです。2つ目の柱といたしまして、産学で活躍する優れた技術者の確保・活躍促進ということで、この中の丸1が技術者の育成確保、丸2が技術職員の育成確保としております。技術者のこれまでの取組と現状ですけれども、技術者の育成につきましては、企業が第一義的責任を有するといいますか、社会に出た後の育成を担ってきているというところがございます。国といたしましては、2つ目の丸ですが、産学の連携による研究開発のプログラム、多様に設けておりますが、この中で技術者の育成・確保にも貢献をしてきているということを触れております。そして、3つ目の丸ですが、産学の連携による我が国独自の技術機器の研究開発というものも推進されてきたということを述べています。
課題・指摘事項の1つ目でございますが、今後、共同研究等による産学の人材交流を推進していくことが重要であるということ。2つ目の丸ですけれども、少し真ん中のあたりですが、最先端の研究、ものづくり現場でのニーズに応えるための先端計測分析技術機器、その周辺システムの研究開発の推進というのを速やかに汎用化していくような仕組みを導入することが必要であるということを述べております。
丸2番、技術職員の育成の確保でございますけれども、こちらは1つ目の丸は、技術職員は特に最近、共用促進の重要性ということが指摘をされてきておりまして、従前からの高度に専門的な知識、技能に加えて、マネジメント機能まで含めた育成の必要性ということが言われています。
課題・指摘事項のところでございますけれども、国立大学の法人化前の定数削減ですとか、あるいは運営費交付金が減少してきたということを受けまして、国立大学の対応方針によって、技術職員の人数ですとか活動経費が減少しているというところが起きてきておりまして、これが研究力や技術力の低下の懸念につながっているところであります。そうしたことから、次のページですが、人事制度の在り方の見直しというところを考える必要があるということを挙げております。そして、次の丸ですけれども、これも同様でございますけれど、処遇改善ですとか職階制度のキャリアパス構築などによりまして、継続的な育成、活躍の促進のための仕組みの構築というのが重要であるという指摘をしております。そして、その次の丸では、研究開発の基盤である研究設備、機器の開発確保に当たりまして、先端機器開発の推進によりまして、産学の技術者の技能を高めていく必要があるという点に触れております。
そして、3つ目の柱ですが、技術士制度でございます。こちらは国による資格認定制度でありまして、科学技術・学術審議会の中で言いますと、技術士分科会で継続的に制度につきまして議論をしてきているところでございます。これまでの状況といたしましては、その下の丸ですけれども、技術士の資格の取得後も自己研さんを積めるようなCPDという継続研さん活動を支援するシステムの構築、改善を進めてきているということに加えまして、若手技術者に対して、初期専門能力の育成のためのシステムの構築に向けた検討を進めてきているという状況でございます。
課題としては、JABEE認定、先ほどの技術者教育の認定でございますけれども、こちらとの連携も図りながら、技術士制度の周知、活用に向けた取組を一層進める必要がある。その際には、初期専門能力の育成から資格取得、取得後の継続研さん、こういったところまでの一貫した支援の構築が期待をされているという点について触れています。
こうした現状・課題を踏まえまして、今後の方向性といたしまして、4ページをお願いいたします。必要と考えられる取組も3つの柱にまとめておりますけれども、まず、1つ目、工学系教育の充実・強化というところでは、大学等はカリキュラム内容の向上や見直しを検討するといったこと、それから国としても工学を含む成長分野への学部転換等の改革を行う大学等への支援を行うといったこと。そして、JABEE日本技術者教育認定機構でございますが、こちらは、JABEE認定が、手続が非常に複雑であるというようなところの指摘もあることから、認知度の向上とともに、認定校の事務負担軽減のための手続の簡素化を図るための検討を行うといったことを書いてございます。
そして、2番目ですけれども、大学・企業等における技術者の育成・確保の部分では、こちら産学連携を進める中で技術者の育成を図っていくということですが、2つ目のポツにありますとおり、その際には特にクロスアポイントメント制度等の活用の一層の促進を検討するといったこと。そして、様々なプログラムがございますけれども、3つ目のポツですが、技術者、技術職員の育成・確保の観点から、先端研究設備、機器等の整備、共用開発支援を進めていくといったようなことを今後進めていく必要があるのではないかということで書いております。
技術職員につきましては、今申し上げた先端研究設備機器の整備、促進といったことのほか、技術職員に関する人事制度のガイドライン、こちらは今、こちらのワーキング・グループでもこれまでも検討を進めていただいてきているところですけれども、これの策定といったこと。それから、4つ目のポツ、国は産学が連携して進める研究開発事業につきまして、技術職員の参画を促進する仕組みをつくるといったようなことを書いてございます。
最後に、技術士制度の活用促進といったところです。こちらにつきましては、技術士制度の周知・活用に向けて、官公庁における入札ですとか補助金の要件化等を進めるといったこと。そして、先ほど来、申しておりますが、IPDシステム、若手の技術者のためのIPDシステムの活用から技術士資格の取得、資格取得後のCPD活動までの一貫した整合性あるシステムの構築、改善に向けて検討するといったことで、ただ、これの制度の中身につきましては、技術士分科会における検討を加速するということでまとめております。こちらが技術者になります。
次に、資料3-1を御覧いただけますでしょうか。こちらが研究開発マネジメント人材のほうでございます。こちらにつきましては、前身の本ワーキング・グループといいますか、研究開発マネジメント人材ワーキングのほうでも議論を重ねてきているところに沿いながら、こちらの論点を作成しております。
1ポツの基本的な考え方の2つ目の丸でございます。研究開発マネジメント人材ですけれども、3行目のあたり、大学・組織マネジメント、それからプロジェクトマネジメント、産学連携・知財マネジメント、研究基盤マネジメントこういったところに携わる高度専門人材であるということで、先日お示しをしておりますコア業務構造にのっとった説明としてこのようにしております。
研究開発マネジメント人材は、以前は研究者の研究支援をする人という認識でございましたが、近年、特に一部の研究大学におきましては、組織運営業務に関与する役割も担っているというところがございます。そして、多くの大学におきまして、これはURA、研究開発マネジメント人材の主要な部分を占めると言ってもいい、URAの平均数が多い大学のほうが外部資金の獲得額の伸び率がより大きいといったような傾向も見られるところです。なので、研究大学におきましては、研究開発マネジメント人材を大学のビジョンを実現させるための研究戦略を企画立案する人、そして組織運営にも関わる人材としての役割を担わせることで、組織としての研究力強化に向けた取組の推進が可能となることが期待されるということで述べております。
2ポツの現状・課題の部分でございますが、1つ目の丸は、平成25年度にURAスキル標準を策定したということ、2つ目の丸は平成30年度のリサーチ・アドミニストレーター活動の強化に関する検討会において、質保証に資する認定制度の導入に向けた論点整理がまとめられた点について述べております。これに基づきまして、令和元年度以降、URAの認定スキームですとか、研修カリキュラムの作成が進められてまいりました。令和3年度以降は、URAスキル認定機構が研修認定制度の運用を進めてきている状況があり、令和6年からは研修につきましては、JSTに移管がされたということを書いております。
課題・指摘事項といたしましては、URAの役割が拡大しているということ、研究セキュリティー、インテグリティーやスタートアップ支援をはじめ、新たな役割を踏まえた研修の見直しが求められているといったこと。こうした背景もございまして、この3月には、研究開発マネジメント人材の人事制度等に関するガイドラインの素案をまとめていただいたということがございます。その中に、この下のほうにも示しておりますが、コア業務構造というものを提示しております。
URAの研修及び認定の対象者というのを今、参考資料のほうにも書いてあるのですが、直近の令和5年度で1,800人ぐらいのURAがいるという調査結果がございますけれども、この研修や認定の裾野を拡大していく、潜在的には大学の事務職員ですとかにも対象が広がるということを念頭に置いておりまして、この裾野を拡大していく必要があるというようなことを述べております。
3ページをお願いいたします。研究開発マネジメント人材の育成確保という点に関するこれまでの取組と現状になります。1つ目の丸は今申し上げた令和5年度に1,800人超まで増加をしているということ。一方で、令和5年に行いました実態調査では、研究開発マネジメント人材の運用の課題といたしまして、新規雇用時の人材確保の難しさですとか、人材の量的不足というのが上位を占めているということに触れております。一つ飛ばして、4つ目の丸ですけれども、近年の研究大学におきましては、特に大学経営、研究戦略策定に関わる人材をはじめ、より高度な専門性が求められているという点に触れております。
課題・指摘事項といたしましては、大学等によっては研究開発マネジメント人材の処遇・キャリアパスが必ずしも明確に整備されていないといった点を挙げており、その次の丸では、このような人材が任期つきで雇用されている場合が多いので、安定的なポスト、雇用の確保が必要であるということを述べています。そして、その次の3つ目では、大学等において競争的研究費ですとか、企業との共同研究費の直接経費、間接経費を活用して、マネジメント人材の人件費を支出することは可能になっていますけれども、いまだそうした取組は一部にとどまっているということを書いております。
それから、大学のマネジメントの部分の課題といたしまして、学部に配置しているURA、プロジェクトのために雇用しているURAというのを全学として把握できていないようなケースもございます。大学等が組織的にこうした人材の育成・確保・活躍促進を図っていくということが求められています。また、こうしたマネジメント人材に関する認知度が必ずしも、世間一般も含めて高くないということ。なので、大学運営等に関わる高度専門人材として必ずしも十分認識されていない状況ということも書いております。そして、近年求められている組織運営ですとか研究戦略の策定、こういった点に関しては非常に高度な知識・技能ということで、学内のOJTのみで身につけることは困難というような状況にも触れています。
こうした現状、課題を踏まえた上での今後の方向性といたしましては、2つ目の丸です。今後、国として、こうした研究開発マネジメント人材の位置づけや役割をより一層明確化して、マネジメント人材の質・量ともに強化していくための取組を強力に推進していくことが重要だとしています。
取組方針の1つ目といたしまして、位置づけ、役割の明確化の中では、マネジメント人材の人事制度等に関するガイドラインの策定ということ。その中でコア業務構想を示し、評価、給与をはじめとした処遇の在り方ですとか職階整備等の人事制度の構築を促進すると述べています。
2つ目の柱、研究開発マネジメント人材の育成確保活躍促進というところですが、今年度から新規に行います、研究開発マネジメント人材に関する体制整備事業でございますが、その体制強化期間を対象に人材の育成・確保、処遇キャリアパス等の整備を支援すると。また、研修提供機関のほうですけれども、そちらに対しては、人材育成拠点としての幅広いネットワークの形成、それから研究大学等における機能強化を支援する取組の推進ということを挙げております。
これらに加えまして、その下の丸1番、JSTに移管されました基礎力育成研修ですとか、URAスキル認定機構が行う認定制度を着実に推進するといったこと、必要に応じた見直しということも検討していくということ。そして、これも来年度の表彰からということになりますが、科学技術分野の文部科学大臣表彰の研究支援賞におきまして、研究開発マネジメント部門というものを設けて表彰を推進していくという点について触れております。
以上が、本件に関わる技術者及び研究開発マネジメント人材の育成に関する論点でありまして、ここに足りていない視点ですとか今後の方向性につきまして、皆様から御意見を賜れれば幸いでございます。
私からの説明は以上です。
【小泉主査】 髙見室長、どうもありがとうございました。
ここからはディスカッションと思って、また初回ですので、皆さんいろいろと多少議論が発散してもいいかなと思っております。僕のほうで1回まとめますと、研究開発マネジメント人材のほうは前のワーキング・グループで議論していたところを踏襲しておりまして、単なるURA、研究支援というだけではなくて、研究開発プロジェクト全体をマネジメントしていくような人材ということで、既存のURAの概念を、もちろんそれもベースにありながら超えていくような、そういったところでいろいろな課題意識といったものは、前のワーキングから参加されている方々にとっては、そこまで違和感のないというか、これまで議論したところの積み上げの話かなと思っているところです。
一方、前半の御説明いただいた技術者のところは、ここは少し広がって議論をしたいと思っています。この辺はまだまだ議論が足りないところも多いと思いますので、今日この後、有識者の先生方からヒアリングもさせていただきますけれども、特に大学の技術人材というだけでは、技術職員というだけにとどまらず、日本全体として研究開発を進めていく、特に重要な技術者という概念、エンジニアとかという言い換えもできるかもしれません。そういった大きな概念、それから技術士制度、そういったところも含めて、1大学内限らず、技術者全体の議論といったものができればと今回思っているところです。
そういった観点で、特に技術者、技術職員等に関しましては、まだまだ先生方、御意見があろうかと思いますので、どちらからでもいいのですが、まずは技術者、技術人材のところから、技術職員のところからでもどなたか、御発言ある場合は、私に目配せしていただくか、リアクションボタンで挙手をしていただければ、ありがたいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
まずは、野口先生、よろしくお願いします。野口委員、お願いします。
【野口委員】 ご説明ありがとうございます。両方の今後の方向性の文面につきまして、先ほど小泉先生からありましたように、研究開発マネジメント人材のほうについては、これまでも議論をずっとしてきた経過もありますので、方向感はよく分かります。前者の技術者の育成についても、非常に方向感も内容的にもよく分かり、合意する点も多々あります。
私は、方向感はこれでいいと思うのですけれども、そのうち2点ありまして、1点目は、資料2-1の今後の方向性のところの4ページの大学、企業等における技術者の育成・確保のところです。私どもの大学もJ-PEAKSに採択されました。企業や自治体との連携も非常に進めておりまして、新しくできる建物には自治体の職員もクロスアポイントメント制度などの活用で常駐してもらうということも今考えています。
そこでいろいろ議論した中で、自治体には工業技術センターとか公設試験場がありまして、そこで非常に技術的に卓越した技能を持った職員や、大学や企業で保有してない機器、分析装置も新規に導入したりしています。また既存施設や機器でも十分に活用できるところもあるので、地域中核研究大学のミッションとしても自治体の卓越した技能を持つ技術者や活用用途も幅広い施設や機器を保有する工業技術センターとか公設試験場と連携することは、地域活性化も踏まえて考えると非常に大事で、総体的に我が国の研究基盤の強化にもつながるのではないのかなと思ったのが1点です。
2点目は、技術士のところなのですが、技術士の資格試験というのは税理士試験とか弁理士と並ぶぐらい難易度が高いと思われます。育成と資格取得という2つの両立を考えますと、バランスの問題は大事だと思います。技量向上していく上に、さらに実務啓発を重ねて、資格を取るともちろんキャリア形成やキャリアパスにもつながっていくのですけれども、一方で技術向上を図り、一方で資格取得にも力点を置くことによって、育成と取得の両立立てに若干厳しい部分が出てくるのではないのかなという懸念です。非常にいい方向感とは思いながらも少し危惧したので、質問させていただきました。
以上です。
【小泉主査】 野口先生、ありがとうございます。髙見室長、そもそもの地方自治体、国もそうかもしれませんが、そういった技術者というのも含めての議論ということで、そこはよろしいですか。
【髙見人材政策推進室長】 御指摘ありがとうございました。公設試に、非常に技術的に卓越した機能を持っていらっしゃる人材がいるというのもおっしゃるとおりかと思いますので、ここの等に読み込むのか、明示的に自治体と書くかというところは、また御相談させていただきたいと思いますが、我々の念頭に置いてまいりたいと思います。ありがとうございます。
【小泉主査】 ありがとうございます。高木先生、お願いします。
【高木委員】 高木でございます。ご説明どうもありがとうございました。広範囲な人材に関する取組ということで、非常に大事な取組だと思っております。
今後、技術者をどの範囲で捉えるのか、どのように議論していくかについて、1点確認をお願いしたいと思います。大学等の場合、研究者を支える2種類の人材として、研究開発マネジメント人材、そして技術職員の2職種について、先期から議論してきました。一方、企業においては、一般に研究者と技術者という2職種があり、ここで技術者という言葉が出てきます。企業規模によっても異なりますが、一般に研究者は研究所に所属し、一方、技術者は、事業部の技術部に所属して製品開発を行いますが、研究者の支援は行いません。研究者というのは論文を書いて博士号を目指すことも多いと思いますが、技術者は、開発テーマにもよりますが、査読論文に載るのとはまた異なるアクティビティーになるので、博士号よりは例えば技術士を目指すというように、別の職種になります。
そう考えると、企業における技術者と大学等における技術職員はかなり違う職種で、コンピテンシーも異なると思います。この点から言うと、資料の1-5について、(1)で技術者の育成について、という標題があって、その下に下位概念として、②(ⅱ)で大学等における技術職員の育成・確保という標題があり、技術職員が技術者の育成の中に含まれていますが、これは別の職種だと思います。技術者の定義を、この場で議論する場合にどうするかということを確認したいと思います。もちろん科学技術・イノベーション基本法では、研究者等という言葉を広く捉えるという意味で、技術者の後に括弧づきで書いてあるのは分かるのですが、この場では技術職員と技術者は、コンピテンシーが異なるという認識で良いかという確認をお願いしたいと思います。
以上です。
【小泉主査】 高木先生、重要なポイントありがとうございます。これはどうしましょう。髙見室長にお聞きしていいですか。
【髙見人材政策推進室長】 御指摘ありがとうございます。その点、確かに同じ技術者という言葉で、ある意味、広義の技術者と狭義の技術者というのが入り交じってしまったなというのが、今お聞きしていて思ったところですが、御指摘いただきましたとおり、企業で活躍するような技術者、エンジニアと、大学の中で研究者とともに研究成果を出していく技術職員、これはテクニシャンというほうだと思いますが、これを我々としても一応分けて育成について考えたいとは思っておりまして、その意味で、広義のほうに今、技術職員が分類されているというところが気持ち悪くはあるのですが、そこは定義というか、コンピテンシーは違うものというように我々は捉えております。
【高木委員】 ありがとうございます。よく分かりました。
そうしますと、関連してこの一連の文章の中で、産学で活躍する技術者、という表記がありますが、狭義の技術者の場合、大学では事業を行いませんし、製品開発するわけではないので、そもそも技術者がいるのかということで、産学で活躍する、という表記ではなく、産業界で活躍する技術者、という表現が適切だと思いますので、御検討いただければと思います。
【髙見人材政策推進室長】 かしこまりました。
【小泉主査】 高木先生、ありがとうございます。この辺がまさにそうですね。技術者とは何か、また、例えば、もしかしたら社会で活躍する技術者とはどういう人物像だということを皆さんで共有をしたほうが、まずはそこからスタートかもしれません。今の高木先生、例えば社会で活用する技術者はこういう人、それから、大学が必要とする技術職員はこういう人、例えば国立天文台の例とか、中村先生がもしかしたら御存じかもしれませんが、国立天文台とかだと本当に国立天文台の中で開発に関わる、むしろ技術者に近い人がいて、今の高木先生の質問だと、開発をしている技術者がいる、天文台的な国立天文台的な人もいれば、多分もしかしたら、いろいろな、こういう人という像があるかもしれないなと思いながら、それをまず、整理したほうがいいのかなと思って聞きました。
高木先生、何か追加でありますか。
【高木委員】 ありがとうございます。御指摘のとおりだと思います。技術者像をどうするかというのは、これはまさしく技術士制度ともつながる話だと思います。おそらく、旧科学技術庁時代はかなり議論されたと思いますが、文部科学省になってからは、どちらかというとアカデミア人材の議論が中心になった印象を私、持っておりますので、ここで改めて、産業界での技術者について、議論をしていただくことは非常に重要だと思います。
以上です。
【小泉主査】 ありがとうございます。正城委員と目が合っているような気がするので、正城先生、ありますか。
【正城委員】 ありがとうございます。私も高木委員御指摘のように、技術者の定義はいろいろあると思うのですけども、本ワーキングでどの部分を議論するかという点は、今後も理解していきたいなと思っております。
関連しているところでいきますと、大学に所属していると主に理工系ですとか、薬学も含めてなんですが、その学生、大学院生というのは、卒業して企業に就職したときに、いわゆる、ここで言われている広義の技術者となる人も多いと思うのですけれども、そういう候補生といいますか、というところもワーキングの対象になるのかどうかというのは、今日どうこうということではないかもしれませんけれども、理解していきたいなと思っております。
【小泉主査】 ありがとうございます。髙見室長、何かありますか。
【髙見人材政策推進室長】 今御指摘いただいた、理工系の学生で企業に就職したら技術者になるというのは、まさに本ワーキングで議論するというところで書き込めている工学系教育というところだと思いますが、薬学系も含めてというところは、育て方も違うかもしれないので、その辺りは一旦御指摘いただいたことを受け止めさせていただいて、検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
【小泉主査】 ありがとうございます。できるだけ自己紹介も含めていろいろな方にお話しいただければと思っているのですけれども、今回のワーキング・グループ、第1回ですけども、御参加されている近藤先生、ごめんなさい、勝手に御指名しますが、近藤先生、何か御意見とか感想でもいいのですが、ありますでしょうか。
【近藤委員】 今回私、初めて参加させております技術職員ですけれども、私は大学の技術職員として、教育研究支援と共用装置の担当などの業務に携わっておりますので、社会で活躍する技術者、企業の技術者と大学の技術職員というのは、研究の開発に携わる方もいれば、一方で、教育支援のみを担当する技術職員もいます。このように、大学の技術職員は働く場所や業務内容が非常に幅広く、例えばフィールドワークを主とする者もいれば、教育支援に特化する者もいます。そのため、企業の技術職員とは職種が異なる点が多いと感じています。
【小泉主査】 ありがとうございます。そういった、どういった人材像というのを少し整理していく必要があるかもしれないというのを思ったところでございます。ありがとうございます。
オンラインの方はリアクションで手を挙げていただければと思っているところですが、いかがでしょうか。例えば網塚先生何か、ごめんなさい、急に御指名しますが、この辺りお詳しいと思うので、ぜひお願いします。
【網塚委員】 ありがとうございます。北海道大学の網塚です。現在、技術職員組織の改革を進めておりまして、前身のワーキング・グループで事例紹介をさせていただきましたけれども、今お話にありましたように、大学の技術職員の育成と、それから企業の技術者の育成については共通する部分もありますが、混同しないほうが良いと思いました。
大学の技術職員の職務状況や育成体制はさまざまな課題があり、現在、改組するに当たってそれらに直面しています。一つ例を挙げますと、研究者と技術者の役割の混在といいますか、混濁があげられます。かつては、小講座制で、教授の下に助手がいて、技術的支援や、教育支援も含めて補佐的な役割を担っていました。しかし、今では、それが准教授や助教といったポストに移行し、彼らも任期がついていて、若手研究者として限られた期間の中で成果を上げて、次のキャリアを目指す立場、すなわち独立した研究者の立場になっています。そのため、教授、准教授、助教を補佐する、かつての助手のような人材が不足している状況にあります。その結果、ポスドクやRAといった方々にそういった補佐的な役割が回ってくるケースが見受けられます。また、融合研究の進展や研究者が求める技術支援の高度化・スピード化に対し、現在の大学の技術職員体制で十分対応しきれていないという実情があります。そのため、研究者の一部がそのような業務を担っていたり、逆に技術職員がむしろ研究者にかなり近い立場で業務に従事しているケースもあり、両者の役割の境界が曖昧になっています。こうした中で、今後どのように職務をカテゴライズして育成体制を構築していくかが、大きな課題だと感じています。
それで、北大では現在、研究者と技術者の中間に位置するような職種を新設しようとしています。多くの大学でも高度専門職という枠組みがあると思いますが、そうした仕組みをうまく活用して、実際にそういった業務を担っている方々を可視化しながら、科学的スキルを備えつつ技術支援ができる人材を一つのカテゴリーとして育てていこうとくということを考えております。ただし、それが本当に適切な方向性かどうかについては、まだ判断しきれておらず、今後ワーキング・グループでも御議論いただければと思っています。
私からは以上です。
【小泉主査】 網塚先生、ありがとうございます。そうですね。確かに大学現場の中で、また、逆に技術者と研究者が一緒に共同して何かやるというときに、その境目というかが、グレーゾーンというのは悪い言い方かもしれませんけど、見えないというか、技術者だけど研究者であり、研究者だけど技術者でありという方が、いろいろと研究開発に一緒に関わっているという例もたくさんあるかなと思いますので、なかなかこの人たちがディスティンクトに分けられないというところがあるかなと今お話を聞いて思ったところです。
【網塚委員】 そうですね。実際にはポジションが助教であったり、講師であったりという方もいらっしゃいますし、技術職員なのですけれども、学生の教育まで行っていると見受けられる方もいます。例えば、分析を通じて学生を指導していると感じられるようなケースもあります。また、技術職員の中には修士やドクターを持っていて高いモチベーションを持って業務にあたっている方もいらっしゃいます。非常に幅が広く、、旧来の体制のままでは、そうした人材を効果的に登用したり、育てていくことが難しいと感じながら、構造的な改革を試行しているところです。
【小泉主査】 ありがとうございます。現場ならではの御意見かなと思います。多分、江端先生、言いたいことたくさんあると思うのですけれど、江端先生に振る前に、まずは中村先生、そういう意味で中村先生の御意見を、発言も……。
【中村委員】 後でフォローアップしますけど、最初に一般論ですけども、皆さんおっしゃっているように、我々も装置開発をやっているのですけれど、基本的に大学の、あるいは共同利用機関の技術職員の人って理学部出身者が圧倒的に多くて、装置開発が好きだけど、もともとは科学を目指すという方が多いし、いわゆる技術士の方のほうは工学系の方が多くて、JABEEの認定のやつを見ても、特定の分野が太いなと思って、これはワイドレンジになったかなというのが、まず、全体の意見ですけれど、逆にフォローアップするところだと、ほかの資料にも書いてありましたけれど、日本の国力、今ほかの分析機器にしても何しても外国の製品が多いということがあって技術者を育てないといけないというところ、それから、ドイツのマイスター制度なんかあると思いますけれど、いわゆる大学ではないけれども、特定の産業に関して特定のスキルを目指すという考え方も当然そうなので、文科省としては、そういうところの底を上げていくという意図もあって、今回こうしたのではないかなと思っていますので、状況は違うとは思いつつも、こういうのをエンカレッジしていくということ自体は賛成でやっていきたいなと思っています。
それでお答えになったか分かりませんけど、以上になります。
【小泉主査】 ありがとうございます。よく考えてみると、確かに自然科学研究機構の技術者を広い意味でというと、必ずしも工学部出身じゃないですね。理学部出身で、理学をやっている人が技術をやっているという人がかなり多い。そうですね、必ずしも工学部出身じゃないですね。そういった視点も確かにと思ってお聞きしました。
ここまで来たら全員話してもらおうという気がしていますので、皆さん待っていてください。杉原先生、お願いします。
【杉原委員】 信州大の杉原です。信州大は大学の機器を共用化するのに合わせて、地域の公設試験場等の共用機器と検索予約データベースを一体化して、大学の機器も地域の公設試の機器も一元的に検索できるようなシステムを組んでいます。その中で、技術職員がかなり活躍しているのが公設試験場なのです。どの都道府県にもありますし、大きな市でも設置されていますけれど、実際には、地域の企業とかなり密なやり取りをしていて、様々なイノベーション活動にも貢献されている、まさに産と学、産と公をつないでいるような非常に重要な立場だと思っていますが、今回の御説明を聞く中で、公設試の技術職員について全く触れられていないです。ただ、日本の今の様々な構造を考えますと、地域の企業が駆け込み寺的に使うのが、まずは自治体の公設試験場ですので、そこの窓口となる技術職員の方の高度化が重要です。さらに長野県地域ですと、大学と地元の公設試とが連携し、大学で対応できない部分は公設試に回す、公設試で対応できない部分は大学に回すといった横連携も始めていますので、やはり一定程度の共通スキルみたいなものを持っていただくと、今後、セクターを超えた技術職員の横連携みたいなものもかなり進むのではないかと思いますので、ぜひ公設試験場の技術職員についてもスポットを当てていただければと思います。また、大学の修士、博士の卒業生の就職先としても公設試験場は、かなり大きなウエートを占めているところもありますので、ぜひそこにスポットを当てていただければと思います。
以上です。
【小泉主査】 ありがとうございます。全員に話してもらおうと思ったのですけれどなかなか難しそうなので、最後、お一人だけ、やはり江端先生ですか。江端先生、お願いします。勝手に振っていますが。
【江端委員】 小泉先生、御指名いただきありがとうございます。今まで皆さんから御指摘いただいた点、私もアグリーで、ぜひその論点を踏まえて整理をしていきたいと思っているのですが、その中でも気になる点が2点あります。1点目は、技術士と技術職員の件です。技術士と技術職員はコンピテンシーも違いますし、それぞれ分けて考えていきましょうというお話が皆さんからあったと思うのですが、大学、あるいは公設試、共同利用機関法人、それぞれの場を考えたときに、そこに技術者がどのような形で交わっていくかが重要だと思っています。交わるにあたり、急激ではなく漸進的に進めるべきと思っていまして、そこのつなぎに関しましては、本ワーキングで引き続き深く議論させていただきたいと改めて思ったところです。
例えば、産学連携の拠点を、アンダーワンルーフという形で大学に作っていますが、そこに関わる技術者・技術職員は、どのようなスキルがあって、どのような形で活躍されるべき方々なのかについて実はあまり明確になっておりませんので、共同研究等に関わる技術職員や技術者が、どのような立場で、どのようなスキルがあって、どこまで高度なレベルが必要なのかという点については、皆さんの御意見を伺いながら整理をいただきたいと思っています。
もう1点は、技術士と技術職員の件についてですが先ほど近藤委員から、技術職員の関わる技術領域が多岐にわたるようなお話もいただいたかと思いますが、北海道大学の例にもあったように、多くの技術職員の方々のスキルが異なるので、どのようにそれを接続していくのかについて考えなければいけないと思っています。技術士に関しては、それぞれの専門性によって、多岐にわたる高度なエンジニアとして資格をお持ちだと思いますが、その領域と大学の技術職員が各々持っている専門性の領域は、全く違うということではなく、うまくつなげられるように領域を整理できると、両者のキャリアのつながりが具体的に見えるような形になってくるのではないかと思っています。
そういった意味で、国研、共同利用機関法人、大学、民間企業に所属する技術者が一気通貫につながっていくイメージを絵として見せられると、本ワーキングでの議論として次の一手につながる非常に良い議論になると思いますし、ひいては、技術職員のガイドラインや、あるいは民間企業とのクロアポの議論もありましたが、それらの制度設計につながってくるのではないかと思って、お話を伺っていました。
以上になります。ありがとうございます。
【小泉主査】 江端先生、ありがとうございます。そういう意味では、研究開発マネジメント人材の議論をするとき、一番初めに皆さんで一緒に何か理想とする研究開発マネジメント人材はどんな人よ? という理想像みたいなものを皆さんで語って、我々の委員の中でも共有する何かをまずつくりましたね。そこから議論を始めたことを何となく思い出しました。そういう意味では、こういう人というのを皆さんと一緒にきちんと頭を共通化していかないと議論がずれていってしまうのかなというところを思いながら、今、聞いたところです。
十分なディスカッションの時間が取れず申し訳なかったのですが、この後、有識者の先生方から、特にこの技術者、技術職員の在り方について、今日はヒアリングさせていただければと思いますので、またその後、ディスカッションを深めていけたらと思います。
議題3ということで、「技術者、技術職員に関する事例のヒアリング」ということに移らせていただきます。
まずは千葉大学大学院工学研究院教授の佐藤之彦先生から、「高等教育段階等における技術者養成『技術者の質の維持・確保』に関する現状と課題」ということでお話しいただければと思っております。
佐藤先生、どうぞよろしくお願いいたします。
【千葉大学(佐藤様)】 御紹介ありがとうございます。千葉大学の佐藤でございます。
最初に、今日、私がここで話題提供しているのはどうしてかということを説明したほうがいいかなと思います。最近、ここ数年というか、もうちょっと長いですけども、文科省で技術士の関係の議論のまとめ役をさせていただいていることが一つ。それからあと、この中にも出てきますけども、JABEEには設立前から関わっていまして、今、副会長をやっているという立場があることと、それから、今、千葉大学の教員をやっていますし、2年前までは、6年間、学部長をやっていたこともあって、結構いろいろなマネジメントにも関わっていますので、大体、技術者教育に関わるいろいろな側面というか、観点から、一通り見てきた人間であるということを最初に申し述べて、お話をしたいと思います。
資料のカバーのところをめくっていただいて、3ページのところに「技術者教育認定と技術士の関係」と、これはJABEEのホームページに載っている図をそのまま転載したものなのですけれども、今、今日の話題に出ている技術者教育認定ということの話と、それから、技術士がどんなふうに接続されているのかということが端的に示されていますので、これをまずお示しするのですが、日本で技術士になるためには、一次試験と二次試験を受けると。その間に、修習技術者として指導を受ける、ここは技術者としてのスキルを磨いていくという、そういう段階を経るということになっています。
そこに加えて、JABEEの認定プログラムの学士課程を修了すると、技術士の一次試験を合格したということに相当するとみなしているということで、これは技術士の制度から見ると横道のように見えますけども、国際的に見ると、むしろこちらのほうが普通で、認定された教育課程を出ずに登録された技術者になるということについては、国際的には結構説明が必要な状況に日本はあるということでございます。
それからあともう一つ、JABEEの認定ということは、これは国内だけではなくて、ワシントン協定というのがありまして、国際的な共通認識の下に相互認証されている枠組みにのっとっているということがあります。
それからあと、技術士そのものではないのですけれども、APEC エンジニアとかIPEAの国際エンジニアという、今度は国際的なエンジニアの登録制度の相互認証の枠組みもあります。これらに日本は今、参画できている状況にあるのですが、その有効性というのが十分に生かし切れていないということは先ほどからお話のあるとおりでございます。
これ以降、JABEEの話と技術士のことについて、簡単に幾つか御紹介したいと思います。時間が15分ぐらいということですので、あと10分弱になってしまいましたが。
5ページに、JABEEの技術者教育認定というのがございまして、これは将来、技術者として活躍する学生を育てているプログラム、これを技術者教育プログラムと言っていますが、多くは工学部にあるプログラムですけども、先ほどもお話が出ていましたように、理学部にも将来、企業の技術者になる学生がたくさんいますので、理学部の中にも認定プログラムはありますし、それから、農学関係のところでも農業技術者として将来活躍をする学生もいますので、農学関係のプログラムも認定をしております。
ということで、将来、技術者として活躍する人を対象にしている教育プログラムは、全部認定の対象であるということ。それから、機関別認証評価などと違いまして、大学全体とか学部全体というのではなくて、多くは学科とか、それから、コースという、かなり専門分野と対応づけたようなスケールで、しっかりと教育の質保証をしようという、そういう仕組みになっているというところもポイントかと思っております。
6枚目は、JABEEの認定基準をざっと項目だけ並べたものですけども、教育についてどういう技術者、どういう学生を育てたいのかということで、基準1というのはそういった教育の目標、達成目標を掲げるということを求めています。基準2は、それを達成するための教育手段としてどういうカリキュラムを用意して、どういう教育をするのかということが書かれていて、基準3は、それをきちんと達成しているということをいかに保証しているかということ。基準4は、内部質保証に対応していますが、全体を社会のニーズの変化とかいろいろな状況の変化などに対応しながら、常日頃から改善に心がけているということ、全体がPDCAのサイクルに対応している、こんなような基準で認定をしているということであります。
具体的に何をどのぐらい教育したらいいかということは、これは各教育プログラムがしかるべき根拠に基づいて説明責任を果たせるようにちゃんとやってくださいということなので、決して画一化を強要しているようなものではありませんということも強調していきたいと思います。
それから、その次ですけれども、技術者教育認定の国際的な同等性をお互いに認め合う仕組みとしてワシントン協定というのがありまして、JABEEは2001年に暫定加盟をして、2005年から正式加盟をしております。今、この世界地図に書かれているようないろいろな国が参加しておりまして、特に新興国を中心に非常に熱心に技術者教育を高めていこうという雰囲気を感じています。この会議が今年も6月にございますけども、そういった場では日本とは大分違う熱気を感じながら議論にいつも参加しているところでございます。
それからあと、その次、8枚目のスライドですけども、これはIEA(国際エンジニアリング連合)というところでまとめている「IEA Graduate Attributes and Professional Competencies」という文書で、これは技術者教育を経た学生にはどんな知識、能力を身につけさせるかということが書かれていることと、それから、登録される技術者にはどういうようなコンピテンシーが必要かということをまとめたもので、これはIEAの関係している国の共通認識がまとまっているものなので、技術者に関する世界の知恵が集約されているような文章だと言っても言い過ぎではないかと思っています。
ここにこの文書の位置付けを3項目挙げていますけれども、技術者教育と技術者に期待されるコンピテンシーの相互の関係性をきちんと整理したものです。ですから、技術者とは何かということを最初に確認しなくてはいけないという話を先ほどからしていただいているところですけども、ここに一つの参考事例がありますので、これを一つの足場にして議論することはあり得るのかなと思っております。
それから、これは世界的な共通の枠組みになっておりますので、各国で技術者教育認定の制度とか技術者の登録制度などをつくるときに、これを参考にしながら、これを丸飲みするというわけではなくて、これを意識しながら、これに対して自分たちの国の独自性なども生かしながら、それぞれのシステムをつくるということが求められています。
それから、この文書は、技術者教育と、それから、技術者の登録制度ということを一気通貫でまとめているという、これも非常に重要なところでございまして、とにかく高等教育による学生の育成というところから、登録、それから、登録された後の継続研さんということまで一気通貫で示されていますので、この点でも大変参考になる文章ではないかと思っております。9番目は、JABEEの認定基準であげられている項目と、このGraduate Attributesがどのように対応しているかということですが、今まで工学教育というのは、反省も含めて言いますと、科学技術的な理論とかそういったところを中心に教えていて、何となく安心していたところはあるのですが、やはりこれを社会のニーズに応えながら実践していこうとすると、実に幅広いものが要求されていて、これは非常に汎用性の高いものになっているということにお気づきになるかと思います。こういったことに関して、どういった状況でどういったことができるのが技術者なのかということを、議論を深めていくのが非常に重要かと思っております。
10番目は、ワシントン協定にJABEEが加盟することによって日本にもたらされた効果というのを私なりに分析したものですけれども、まず、高等教育機関の中の技術者教育の体系的実施。これは今まで各先生方の思いに従って、教えるべきことというか、教えたいことと言っても良いかもしれませんが、そういうことを教えてきたことを集積して、それで単位を取って卒業させていたようなところがあったのですけれども、これをやはり人材像をまず掲げて、それに向かっていくにはどういう教育をどんなふうにやるのかということをきちんと戦略を立てていくということ。これは、今は3つの方針ということで大分定着してきていますけども、学位授与の方針、教育課程編成実施の方針、それから、入学者選抜の方針ということは、こういうようなことが裏打ちされて、今、広く行われていることであるということであります。
それから技術者教育として不足している点ですね。最初に話題になったのは技術者倫理だったのですけれども、それから、エンジニアリング・デザインという、これは実際、社会の問題を解決していくための枠組みをきちんと工学的に実行する能力ということ。それからあと、今、いろいろな問題が複雑化していますので、異なる分野の方々といろいろなコミュニケーションを取りながら、技術者は活躍していくことになりますので、コミュニケーション能力とは言いますけども、特に分野横断的なコミュニケーション能力、これらを重視するということは、こういった活動を通して世界的な流れから、その重要性を再認識したというところがございます。
それから3番目は、教育プログラム単位できちんと質保証をしましょうということを強調しているところも大きなポイントで、これはワシントン協定から学んだというか、こういうところの議論に参加することを通して、国内の教育を改善していった例の代表的なものというふうに考えております。
それから、12枚目のところに行きまして、今のIEAという国際エンジニアリング連合を通して、技術者教育認定と、それから、技術者の登録制度の国際的同等性ということで、こういったことに日本は関わっております。JABEEは、技術者教育認定の相互認証の枠組みのメンバーに入っておりますし、日本技術士会は、APEC エンジニアと、IPEAの国際エンジニアの協定に関わる実施団体としてここに関わっております。これが今、世界の技術者教育の議論の場における日本の、ゲートウェイになっているということであります。なので、この2つがきちんと機能しないと、このゲートウェイがなくなってしまうので、国際的な技術者に関する議論の場から日本というものの存在がなくなると言っても過言ではないかな、そんな状況にあります。
あと、APECエンジニアの登録要件、これはIPEAの国際エンジニアも大体同じようなことですけども、これも先ほどのGraduate AttributesとProfessional Competencies、Professional Competenciesのところに掲げられている要件に従っているのですけれども、学歴要件と、それから、エンジニアとしての資質能力。これが先ほどの文章に書かれていますけれども、こういったことをきちんと満たしているということ。それからあと、実践的なエンジニアとして、実務経験を日頃行っていること、さらに、継続研さんを実施しているということなどが掲げられていて、こういうことを満たした人を技術士の中から申請により選んで登録をしているというのが、今、日本のやり方になっております。
現状と課題ということですけども、先ほど申し上げましたように、日本は、JABEEと技術士会を通して、こういった国際的な議論の場、それから、相互認証の場に参画することができてはいるのですけれども、国内的にはこの認識というのは非常に薄くて、大学にいる人間としても非常にもどかしい限りなのですけれども、そういった状況でございます。
具体的には、JABEEの認定を受けているプログラムが減少しています。これは新規で手を挙げるところはゼロではありませんけど、かなりゼロに近い状態になっている。それから、今まで認定を取っていたところも、継続しなくて良いということを言い始めているところがたくさん出てきていて、今、実質的なプログラムの数は減少傾向にあります。
それから、技術士の制度というのも、これは技術者を育成していく枠組みとして非常によくできている枠組みのはずですけども、これもあまり生かされていないというところも非常に問題だと思っています。それから、技術士そのものが国際的な相互認証という形にはなっていなくて、APECエンジニアとかIPEA国際エンジニアというものには、技術士にさらに付加的な要件を加えて登録をするという立てつけになっているのですけれども、これを利用している方も技術士全体の中で非常に少ないということがあって、非常にこれももったいないなということを感じています。
ですので、こういった全体像を捉えながら、どういったことをやっていくと良いのかということと、それから、この中に技術者教育認定の在り方とか技術者というのはどういうものであるかということは、かなりいろいろなことが国際的な共通認識として書き込まれていますので、議論の土台にしてはどうでしょうかという、そういう御紹介でございました。
以上、御清聴ありがとうございました。
【小泉主査】 佐藤先生、ありがとうございました。今後の議論の土台になるような、また、課題がはっきりと分かるようなお話をいただき、ありがとうございます。
続きまして、もう一方、有識者の方からの御意見をいただければと思います。金沢大学理工研究域物質科学系教授の長谷川浩先生より、「金沢大学総合技術部における組織体制・人事制度等の取り組み」ということでお話をいただければと思います。
長谷川先生、よろしくお願いいたします。
【金沢大学(長谷川様)】 御紹介ありがとうございます。では、画面共有して、説明させていただきます。少々お待ちください。
【小泉主査】 よろしくお願いします。
【金沢大学(長谷川様)】 金沢大学の長谷川でございます。よろしくお願いします。
まず自己紹介させていただきますと、現在、金沢大学の総合技術部長を拝命させていただいております。このページは、本学の総合技術部のホームページでございますが、5年前に拝命しまして、コアファシリティ事業を中心に金沢大学の総合技術部の運営をしたいということで書かせていただきました。本日はこの内容で、これまで行ってきたことについて御紹介させていただきます。
まず、本学で総合技術部の体制を整えるに当たって、その原動力となったのは、文科省で公募されて採択していただきました、新たな共用システム導入支援プログラム、それと、コアファシリティ構築支援プログラムでございました。これらが始まるまでは旧来の体制でありました。これは金沢大学だけというものではないと考えております。1987年の国大協での資料をここで掲げさせていただきますと、1987年は、今から40年ほど前で、私が今、57歳なのですけれども、大学生のとき、大学に入ったときに議論されていたようです。技術職員は待遇面で将来の展望が明確でないこと、職務内容が本来の責務と必ずしも合致しないこと、さらに、人事管理や配置形態も不適切であるということで、その当時は、教官と技官(技術職員)が同じ研究室にいることがよくないということで、教員と技術職員を分けると改革されたのですが、現実として、問題点として、助教の前職的な扱いとして技術職員が扱われていたり、あるいは小間使い的な扱いということも続いたようです。教授の裁量が大きかったのですが、これには意味があったとは思うのですけれども弊害もあったのだと考えております。
さらにこの当時も組織化が必要とあったのですが、なかなか総合技術職員自体の組織化というのは進んでおりませんでした。本学ではそれが動いたというのが、先ほど申し上げました新たな共用システム導入支援プログラムからでございます。ここで動いた際に一番大事だったのは何かと考えておりますと、トップのビジョンメッセージだったのではないかと考えております。
前学長でございますが、山崎学長がこのプログラム採択直後に行ったのが、技術職員の所属というのを各部局から総合技術部に移行すること、業務は技術支援に特化するということを全学の決定事項として決定していただきました。現学長の和田学長にも引き続いてビジョンメッセージを示していただきまして、学長プランの志の中で、研究支援機能に強化するということをしっかりと明記していただいています。
この流れの中で、金沢大学では、平成29年度に総合技術部を開設して、さらに、技術支援評価制度であるとかネットワークなどをつくるということをしております。ただ、それほどすぐにできたわけではないということが実情です。といいますのは、構成員の意識を変えるということが大事だと考えておりますが、平成29年にできた後、令和4年度3月までは移行期間とし、この間、旧来の形から新しい体制に移るということにして徐々に変えていきました。実際に、技術職員の意識調査をしたのがこれになるわけなのですが、令和2年度において、実情であなたはどのように働いていますかというエフォート調査をしますと、ある技術職員は、ほぼ学類とか教室で100%使っている、別の技術職員は全学で100%です、それぞれ何%かに分けている技術職員もいました。これでは総合技術部として意識がばらばらであるということで、令和4年度から令和5年度まで部局とエフォートの申合せをしました。今、全ての部局との申合せの中で行っているのは、技術職員は5割から7割は総合技術職、学類・教室は2割から4割、そして、10%を自己研さんの時間にして新しい技術の獲得に努めてくださいということで統一しています。
その結果、これは今の本学の総合技術部のホームページでございますが、技術職員が自ら作ったホームページの中で、技術職員というのは全学的な技術支援を行う。それが組織の目指す姿であるというふうに意思を統一するということができるようになっております。
次に、本学の総合技術の組織構成について御説明したいと思います。
まず平成29年度にできたときの技術部の仕組みというのはこちらのものになるわけですが、本学では60名の無期雇用の技術職員が所属しております。そのトップが統括部門長であり、5つの部門に分かれています。環境安全、機器分析、情報、機器開発と生命部門に分かれておりまして、部門長がいわゆる管理職に相当します。私は総合技術部長を務めております。こういう仕組みができたのですけれども、実質的な運営機能を持たせる必要があります。そこで、その外に総合技術部管理委員会であるとか、総合技術部連絡調整会議、その中には小委員会もございます。このような会議を設けました。管理委員会では、主に人事に対して、技術部長だけではなく各部局長も参加をする中で、しっかりと年1回、人事が適正であるかを管理することとし、さらに専門的なものに関しては、小委員会の中で人事、業務、運営に関してサポートするということになっております。
先ほど少し申し上げました人事採用に関しては、人事小委員会でしっかりと見ておりまして、配置先の教室の教員も入りますが、そこに外の教員も入って、その人事採用が適切であるかどうか、不適切であればそういったことはしてはいけないということをしっかりと管理する体制を整えております。そうした中で、技術職員による運営体制の実質化というものを人事、予算、業務の観点から、現在構築しつつあります。
次に、本学で構築した総合技術部に係わる研究基盤エコシステム、自立的なシステムについて御説明したいと思います。先ほどの総合技術部の実質化と組織運営に関して、チーム共用で、教員・事務組織と対等な位置づけで総合技術部を設置したこと、それについて運営体制を整えたということでございますが、様々な裁量ができたことから、自立的な運営もしっかりとつくらなければいけないということを課題としております。
そこで、まずは財政的な観点の位置づけでエコシステムをつくろうということで、ここに技術支援人材育成の仕組みとして、研修制度とか助成制度、人事制度といったものを作りまして、さらに総合技術部での技術支援を全学開放するということをしています。それらと連動しまして、全職員を対象として業務に関して課金を行うこと、そんなに高くはないのですけれども、そういった仕組みを整えました。これを整えることによって、総合技術部で運営している業務に関して、予算的な、自分たちで独自で獲得した予算で行う仕組みをつくることができましたし、また、技術職員それぞれに個人のインセンティブを配分することもできるようになっております。
次に、制度について御説明したいと思います。
まず、技術人材評価制度となります。コアファシリティが採択された後に金沢大学独自のモデルをつくりたいということで、フラッグシップとなるようなものを作りたいとして作ったのがこれでございます。これは新しい評価認定制度として導入しました。技術職員の技術を認定する仕組みでございます。ここに、3・2・1級とあるのは、高度技術専門職員として技術の程度によって、3級、2級、1級と認定する制度であって、さらに、優れた者をエバンジェリスト、マイスターとして認定をするものです。この仕組みなのですけれども、育成プログラムの中で技術を認定するというもので、1級がよくて、2級、3級と低くなるということです。従来の俸給制度の中でそれを行うと、これは各大学で同じだと思うのですけれども、なかなか改定することが難しいことが分かりました。人事課ととても詳しく相談したのですが、技術職員だけではなく、事務職員あるいは病院の職員であるとか教員などとのバランスをもって考えなければならないので、簡単にいじれるものではございません。そこで、従来の年功序列型の昇任制度はそのままとして、手当として認定する高度技術職というのをつくったということでございます。さらに、1級を超えたものも作りたいということで、世界トップレベルの技術はエバンジェリスト、熟練工に関してはマイスターという、研究者でいえば卓越教員とか、そういったものに相当する卓越技術者を表彰する制度を作りました。
この認定制度をするに当たって工夫したのは、まず大前提として、技術職員は、技術支援、研究支援が主な業務で、研究業績はほぼ考慮しないということを担保した上で、各部門の様々な技術分野に関して専門性を評価するために、分野ごとに技術職員を評価することを全体の制度設計といたしました。さらに、分野が様々に違うということに対して、分野の特性に応じて重点項目を設定することにしました。各技術職員は、それぞれの技術職員がどういった技術を支援したのかという業績書を出します。それは一般的な業務評価書です。その中でも、高度技術職で技術を認定するために、各部門の特徴に関して部門の中で話し合って、ここを重点的に評価することを決めました。そうすることによって、専門性の違いを超えて、平等に、公正に、いわゆる技術を認定する制度、仕組みを整えました。あとは技術の陳腐化にも対処するために、最近3年間の業績について評価するということもしております。
こういった技術認定制度をつくってよかったのは、旧制度だと、こういった技術職員がいても講座単位で評価されてしまって、その中で、研究代表者の下に技術職員がいるとなりなかなか技術職員の活躍は見えなかったと考えておりますが、この高度技術認定制度を導入することによって、現在は技術職員の上に部門長がいて、それを直接、学長、理事に届けることができることで、風通しをよくすることができています。さらに、この認定制度なのですが、どういった技術が認められたのかということを、必ずホームページでも公開することとしております。そうすることによって、横とつながり、どういった働きをしたら組織全体がうれしいのかということを明確にする、そういった効果も見えてきております。
そのほか、本学でつくっている表彰、評価制度をまとめますと、このページのようになります。ここでも技術職員に関しては、研究業績はほぼ考慮しないという原則で行っております。まず大学全体で実施しているのは、人事評価制度で、勤勉手当や昇給などがございます。昇任制度もございますし、あと、学長からの表彰制度として、功労表彰、善行表彰、特別表彰があります。ただ、これは技術職員に限らず、教員も事務職員の方々も同じように表彰されます。それとは別に、総合技術部で独自に実施しているのが、先ほど手当でやっていると申し上げた高度技術専門認定制度です。さらにこれでもなかなか均一化してしまって、この人は称えたいけれども、なかなかできないということがございましたので、今年4月から総合技術部長賞として、その時々でここは重点的に皆さんにメッセージを出したいという視点の賞を設けました。現在は、科研費獲得とか課金制度貢献賞です。特別賞というものもつくって、各技術職員の中でも頑張った技術職員を表彰する、評価するという制度をつくっております。
これらの表彰制度と併せて行っているのが、人材育成の仕組みです。本学では研修制度と活動助成を行っています。先ほどの職階の横にございますが、研修制度に関しては、技術人材育成プログラムとしてまず技術を認定する様々な仕組みをつくったということと、あと、総合技術部を自走化するためには部門長に経営的な戦略センスも育成しなければならないということで、経営戦略型人材プログラムもつくりました。それぞれの報酬に関しては、分析機器基礎セミナーであるとか、運営に関してはファシリテーション研修などを実施して、技術職員が講習を受けてそれぞれ成長していただくという育成の仕組みを整えています。また、自立的な活動を醸成するために、プロジェクト支援、科研費採択支援などのように、プロジェクト型の、技術職員が応募してそれを審査して助成金を出すといった部内の助成制度を設けております。
次はリカレント教育による技術人材育成でございます。先程までとは別の試みなのですけれども、なかなか技術職員になる成り手が少ないこと、公募しても出てこないということがございます。現在、大学では、リカレント教育がいろいろとつくられていましたけれども、技術職員の養成というのも考えてはどうかということで、こういったプログラムをつくっています。オンラインで受講して、実際に金沢大学のライフサイエンスや機器分析の技術職員が伴走していろいろな講習を受けていただくというものです。こういったことに入っていただく中で、卒業の出口として技術職員になるというところまでつなげられたらどうかという取組も進めております。
ここからあとは、技術職員の活動をサポートする仕組みです。機器や設備などの仕組みを整備することについて御説明させていただきます。
これは設備共同利用推進総合システム、本学でつくったものでございますが、オンラインで、学内だけではなく学外の方もいろいろと金沢大学の設備や受託サービスを受けることができる、そういった仕組みとしてつくったものとなっております。
3つのコンテンツから成っておりまして、設備利用ユニット、受託サービス、そして、北陸ファシリティ・技術人材ネットワークとなっております。
まず設備利用ユニットですが、これは金沢大学で共用しても良いとされた共用機器に関して公開して、学内外の方が使うことができるという仕組みです。各機器のお世話を技術職員が行っていて、技術職員がここで予約、管理したものについてサポートすることによっていろいろと活躍して研究支援、技術支援するというものとなっております。このサポートの中に課金などの制度と組み合わせることによって、より頑張っていただくと。さらに、研究支援をする中で、いい成果が出るということに喜びを感じるとともに得た課金制度によって新しい技術に関しても学ぶことができる、そんな仕組みとしております。
それをさらに進めたのが受託サービスのほうです。これは学内外の発注者が機器を使うことをサポートするのではなく、例えば質量分析を技術職員が行うであるとか、NMRを測定する、あるいはライフサイエンスのマウス作製であるとか組織標本を作製する、こういったものを請け負うサービスとなっております。こういったことを技術職員が受託サービスとして行うというサービスをつくっております。これはいろいろと使い勝手がいいシステムでございまして、単に受託して行うだけではなくて、技術職員が行う講習会に関しても応用できるので、結構使い勝手がいいサービスとなっています。
そういったものを後から背後で支えるような仕組みとして、機器利用や講習に関して得た利用料の収入を多年度で運用する仕組みもつくりました。ここの利用料収入の一部を年度を越えて積み立てることによって、いろいろな事業というのがやりやすくなっております。こういった制度に関しては、機器担当者、技術職員が責任を持って立案するということもございますが、研究基盤統括本部が実際の計画を管理するという体制で実現しております。
あと、最後に、ここからはネットワーク、学内外を超えたネットワークについて御説明させていただきます。
これは北陸ファシリティ・技術人材ネットワークでまとめているものなのですけれども、本学では、北陸3県の15の大学、研究機関が参画するといったネットワークをつくりました。これが現在の構成となっております。ファシリティデータベースとして機器を公開するということが主ではございましたが、それとともに、技術人材のデータベースをつくっています。技術人材の見える化をする中で、研修会、イベント、活動など大学の枠を超えて、ネットワークで共有するというものとなっております。
全体のポンチ絵はこのようになります。国公立大学だけではなくて、私立大学や公設試も参加しています。その中で、物や機器などを共有するだけではなく、技術人材も公開する中で、機関を超えたスキルアップチーム、技術人材の共有と技能伝承をしていきたいと思っております。地方だと、一大学だと一つの専門に関しては技術者が1人いるかいないかということがございますが、地域を超えたネットワークをつくることによって仲間を増やして横の連携を取っていくという、そういった仕組みとなっております。
あと最後に、北陸以外にもネットワークがつくられましたが、連携しております。コアファシリティ事業を通しまして、11の機関と連携させていただきました。また、本日は、江端先生もいらっしゃいますが、一般社団法人の研究基盤協議会にも参画しておりまして、研究基盤EXPOのイベントとか、政策提言等で連携を進めております。
以上となります。御清聴ありがとうございました。
【小泉主査】 長谷川先生、どうもありがとうございました。
2人の有識者の先生からお話をお聞きしました。時間は限られておりますけれども、もし御質問等あれば、また、先ほど来、御意見等はまたいただければと思いますが、委員の先生方、いかがでしょうか。
野口先生、お願いします。
【野口委員】 ご説明をどうもありがとうございました。理解増進も大変図れました。佐藤先生と長谷川先生、それぞれ一つずつ御質問させていただきます。佐藤先生の最後の15ページ目のスライドの課題のところですけれども、2つ目の課題で、技術者育成において、技術士制度が十分機能していないというのは、これは働く環境の問題なのか、例えばインセンティブなのか、育成する側の問題なのか、様々あると思うのですけれども、それは何なのかというのが質問です。
長谷川先生におかれましては、11ページのところの「表彰および評価制度」のところで、確かにマネジメント力量というよりも、いわゆるそういった支援技量のところにやはりフォーカスが当たる部分が技術職員のところはあろうかと思い、評価は非常に難しい部分もあると思います。先ほど、この11ページのスライドで、1級、2級、3級ということで、これはやはりマネジメント力量が、つまり級が上がるほど、マネジメントの責任がやはり高くなると解釈しました。モチベーションのあり方も幾つかあると思われます。例えば、総合技術部長賞というのは、個人の技術力量に依拠したところで、こういう賞を設けた。つまり、マネジメント責任が高くなることよりも、モチベーションを組織的に高めるためにはこういったアワードも設けないことには全体のモチベーションが高まらないという、こういう背景があったのかなと思ったりもしたのですが、その辺のところをお伺いできればと思いました。
以上です。
【小泉主査】 ありがとうございます。では、佐藤先生、長谷川先生の順でお願いします。佐藤先生、お願いします。
【千葉大学(佐藤様)】 御質問ありがとうございます。技術士の制度が十分機能していないということの原因ですけども、これが分かれば話は早いのですけども。結局のところ、やはりインセンティブが見えにくいというところがあって、先ほど公共事業などの入札要件にという話もありましたけれども、特に日本の場合だと、企業で製品などを開発しても、その製品そのものを規格として縛ることはあっても、それを作った人というところまではなかなか光が当たらなくて、そういったところが、自立した技術者をみんなでリスペクトしていくという状況をつくるのに必要だと思いますので、これは非常に本質的な問題だと思います。ですから、そういう雰囲気を醸成していくということが、長い目で見たときの解決につながっていくのかなと思っています。
お答えに十分なっているかどうか分かりませんけども、以上、今のところ、私が考えているところでございます。
【野口委員】 ありがとうございました。
【小泉主査】 長谷川先生、いかがでしょうか。
【金沢大学(長谷川様)】 では、続きまして、長谷川のほうから回答させていただきます。
高度技術職員認定制度に関しては、マネジメントをあまり考慮せず、ほとんど考慮しないで、技術があるかないかという技術の獲得やそれにチャレンジする力というのをつけていただきたいということでつくったものです。なので、ここではマネジメントは関係なく、どういった新しい技術で研究支援しているのかということを中心にして、それをきっかけにしてもらいたいと思っています。教員だと、良い論文を書いたり、科研費を獲得するなど、いろいろなそういったものがあるのですが、なかなか技術職員ではそういったものがないので、それに対する手当として表彰制度をつくったのがこれになります。
あとマネジメントに関しては、それはもう従来の俸給制の昇給制度のほうで管理職手当が出ますので、そちらのほうに関してはまた別扱いで手当が出ると考えております。
以上です。
【野口委員】 ありがとうございました。8ページのスライドのところで、3級、2級、1級の説明箇所に、それぞれ牽引するということがありましたので、そういうマネジメント力量のところも踏まえて評価されたのかなと思ったので、質問させていただきました。よく分かりました。
【金沢大学(長谷川様)】 技術で牽引するという気持ちで書いておりました。
【野口委員】 分かりました。
【小泉主査】 ありがとうございます。
では、重田先生、高木先生の順で行きます。重田先生、お願いします。
【重田委員】 ありがとうございます。両先生に一つずつ質問させていただければと思います。
まず佐藤先生にお伺いしたいのは、私は筑波大学に所属しておりまして、本学も一つ、工学システム学類というところがJABEEの認定を受けさせていただいているのですけれども、先ほどの問題点として、JABEEが増えていかない、あるいは減っていくというものの、やはり根本的な原因というのはどういうところにあって、それを克服するためには、例えばこの委員会とかでどういうような議論をしていけばいいかについて聞かせていただきたいのが佐藤先生への御質問で、もう一つ、長谷川先生への御質問は、今の野口先生とも関連するのですけれども、やはり技術職員というのが非常に多岐にわたるような職種があって、それぞれを評価するというのは非常に難しいということで、例えばお金を稼ぎやすいようなところであれば、かなりそういった表彰はされやすいということはあるかと思うのですけども、一方で、大学における技術職員の中では、例えば実験を補助していくとか、実験を準備するようなところが主になっている方々というのは、こういったような1級、2級、3級であるようなそういったところでもなかなか上に上がっていけないような懸念もあることもあるかと思うのですけども、その辺についてどういうふうにして制度設計されているかという部分について、それぞれ伺わせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【小泉主査】 では、佐藤先生、お願いします。
【千葉大学(佐藤様)】 御質問ありがとうございます。JABEEの認定がなぜ縮小傾向にあるのかということでございますが、先ほども何度かお話も出ていますように、認定を受けるための負担が大きいということと、それからあと、インセンティブが見えにくいというこの2つですけども、事務的な負担が大きいということに関しては、もう普通に教育の質保証を行っているときに、自然に出てくるようなエビデンスだけで受けられるように、大分JABEEの仕組み自体をスリム化しておりますので、これは一定程度、理解をいただいているのかなと思いますが、一方で、認定を取ったからといってすぐ見えるようなインセンティブがなかなか明確に提示できなくて、就職にすぐ役立つというわけでも必ずしも直接的ではありません。それから、認定を取っているからといって、何か特別なことが優遇されるということも今のところありませんので、こういったことを教育熱心に、きちんと取り組んでいて、国際的に見ても、きちんとしたことをやっているということを何かいろいろな形で認めていただくような仕掛けをつくっていただくことが必要と感じます。今回、こういう場にこの議論が向かっていること自体が非常にうれしいことですけれども、そこで、国際的な技術者教育をやっているということ自体の意義をみんなで盛り上げていくような、何かそういう仕組みがつくれればと思っております。よろしくお願いいたします。
【小泉主査】 長谷川先生、続いてお願いします。
【金沢大学(長谷川様)】 私からは、資料番号の9番を見せていただくといいかと。これで、確かにお金を稼ぎやすいような分野はあります。機器分析であるとか機械開発、ライフサイエンスがあるのですけれども、ここで分野を分けて評価をするというのは、実はそこで分野ごとに大事なところがあるので、そこをしっかりとフォローしたいということで挙げたものであります。
特にここで言いますと、一番下の安全環境などは、安全やメンテナンスするところなのでそれほど日の当たるところではないはずではございますが、そこはそこで、しかし、ちゃんと優れた技術というのを求めてもらうということができると考えています。具体的な例を挙げますと、金沢大学の総合技術部で、今年度、文部科学大臣支援賞を頂いたのは、能登の実習センターに所属する技術職員でした。そこでは海洋実習を担当するということで、その実習を行うというところで優れた支援していると。その先を見据えたことをしていると思っています。たとえ教育担当の教育支援を行うものであっても、その中で優れた支援はできるだろうと考えておりまして、単に教員が行った、あるいは20年、30年前行った教育というのを手伝うだけの技術職員ではいけないと。新しい技術支援、技術教育を行う、そういったことを技術職員には行ってもらいたいというメッセージを出しているつもりでございます。
以上でございます。
【重田委員】 ありがとうございます。やはりトップのビジョンの明確化というのはすごく効いているということが分かりました。どうもありがとうございます。
【小泉主査】 ありがとうございます。
では、高木先生、お願いします。稲垣先生、ちょっと難しいかもしれない。
【稲垣主査代理】 大丈夫です。
【小泉主査】 高木先生、お願いします。
【高木委員】 高木でございます。ありがとうございます。質問ではなくて、先ほど技術士制度が十分に機能していないことについての御質問があったと思います。産業界の立場として少しコメントをさせていただければと思います。技術士制度というのは名称独占資格で、ある意味で、能力認証でもあります。この制度ができたのが昭和30年代だと思いますが、当時の企業というのは年功序列で、極論すれば技術者が能力開発にあまり熱心でなくてもそれなりに昇進して、給料も上がっていく時代でした。これではいけないわけで、技術者に能力開発を積極的に行っていただこうという趣旨が当時あったと思います。これは今でも同じです。
その後、20年、早い企業だと30年くらい前から、企業に成果主義、能力主義が導入されて、年功ではなく、成果に応じて、給料が上がり、昇進するようになりました。特に、最近では若い人についても差をつけていくという方向が顕著になってきており、技術者が勉強して能力をつけて、成果を出して処遇を上げていくというのは、当たり前のことだと思います。ただここで問題なのは、技術士という能力認証の資格を取ることのメリットが何かということです。技術士の資格を持っていなくても、優秀な技術者は企業に多数いて、成果を上げて処遇されています。何らかの汎用的なインセンティブが重要だと思います。これに加えて、特に若い人を対象に、資格取得の少なくとも入り口のハードルを下げていくという工夫をしないと、技術士制度が十分機能していかないのではないかと思います。
第10期から技術士分科会の審議に参加させていただきますので、コメントさせていただきました。
以上です。
【小泉主査】 高木先生、ありがとうございます。すみません。僕の時間管理と、僕が悪くて十分時間が取れず、申し訳ありませんでした。実はこの後で議題4があります。どうもありがとうございました。
議題4として、「研究開発マネジメント人材の人事制度等に関するガイドライン(案)」についてということで、室長のほうから、すみません。時間が短いですけども、よろしくお願いします。
【髙見人材政策推進室長】 ありがとうございます。資料は資料5です。もう本当に簡単に申し上げますと、3月末に、こちらのガイドラインの素案といたしまして公表させていただいたところですけれども、そこからの変更点、最後の49、50、51ページに、参考資料ということで、このガイドラインにおきまして、研究開発マネジメント人材の雇用のための人件費をどう確保するのかという点は非常に重要な論点でありまして、それに関係する既存の資料ですね。既存の申合せですとか、中から関係する部分を抜粋して、参考資料としておつけしたものを本日は資料としてお出ししております。
今後ですけれども、こういったところを使いながら、どういうふうに本文に書き込めるのかというのは、また次回、御相談させていただきたいと思っております。
以上でございます。
【小泉主査】 髙見室長、手短にまとめていただいてありがとうございます。
大分我々のほうの議論がこの辺はできているところかと思いますので、でも、引き続き、委員の先生方、御意見等、お気づきの点、御意見等あれば、私、または人材政策課のほうに御意見等をメール等でお寄せいただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
では、最後になりますけれども、閉会の前に、本日の議論を踏まえまして、事務局から一言御発言をいただければと思っております。
まず、井上局長のほうからお願いいたします。
【井上科学技術・学術政策局長】 先生方、御議論ありがとうございました。今日も、技術者、技術士の件、技術職員についての様々な現場のお話や御意見をいただきましたけれども、ある意味、これはこれまでもう随分言われていたと思うですけれども、本当に解決できていない、非常に大きな課題と思っています。
長い目で見ますと、特に国立大学法人のデータなどを見ると、技術職員の数はずっと減りっ放しなのですよね。これはいろいろ現場の、各大学の人事マネジメントにも関わってくる、とても大きな問題で、であるからこそ、これまで長年にわたり課題が指摘されながら変えられなかったという面があると思うのです。私も、そろそろ変えていかないと、もう本当に日本は危ないと、物すごく大きな危機感を持っていまして、真剣に、こういった技術職員、エンジニアあるいは研究マネジメント人材、そういった方々がもっと活躍できるような環境にしていきたいと思っておりますので、どうぞ先生方、これからも御議論よろしくお願いいたします。
【小泉主査】 局長、力強いお言葉、ありがとうございます。
続きまして、福井審議官、お願いいたします。
【福井大臣官房審議官】 ありがとうございます。私は前々職にNIMSの理事をやっておりまして、NIMSは、研究職、事務職に並んで、エンジニア職という確固たる職種がございまして、そこのマネジメントもやっておりました。基本的には事務職員に準じた評価をしているということでありますが、本日の議論を聞かせていただきましても、NIMSだけでも様々な技術の職種がありまして、情報をやっている人と材料をつくり込んでいる人と、どういうふうに評価していったらいいのか。非常に、技術といっても、分野は細分化していますし、持っている技術も細分化しているので、それを一緒に扱っていくのは難しいなと思っていたのを思い出しました。
そのときの技術職員の高齢化しているという話と、あともう一つは、お願いしている技術を中でやってもらうのか、あるいはそれをアウトソーシングするのか、みたいな議論を思い出しました。そういう一つ一つの分野とか技術があって、それをどう扱うかというのを全体でどうマネジメントするかというのは非常に難しいなと思ったところですが、今後の議論でも、まず、そういった難しい点まで含めながら、どう進んでいくかというのは先生方のお話を伺わせていただければと思っております。
以上でございます。
【小泉主査】 審議官、ありがとうございます。
続きまして、先﨑総括官、お願いいたします。
【先﨑科学技術・学術総括官】 本当にありがとうございました。技術者と技術職員との関係性から始まって、私ども当然、内部でも検討するわけですけれども、そこで一つ一つ引っかかっていたことが先生方の今日の御議論で、かなり有機的につながってきた部分も、第1回でございますけれども、あったかなと思って、大変示唆に富んだ御議論、本当にありがとうございました。
研究者の質の問題、それから、研究の質、量の問題を考えていく上で、また、チラッとお話にも出ていましたけれども、コアファシリティ化を今後進めていく必要があるわけですけれども、そういった観点からも非常に重要なポイントでございます。今後とも引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【小泉主査】 どうもありがとうございます。今回、奥課長にもずっと御指摘いただいておりますし、あと、人材政策委員会の狩野委員長にもずっと、実は陰ながら、陰ながらというか、存在感が大きいですけども、狩野先生にずっと出ていただいておりまして、また、局長、審議官、総括官にもこのワーキング・グループに出ていただいているというのはとてもヘビーな会だなと思ったところです。
皆さんと一緒に議論できたこと、また、今後、議論を進められたかと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
では、最後に、事務局より事務連絡をお願いいたします。
【大場人材政策推進室室長補佐】 事務局でございます。次回のワーキング・グループは5月30日金曜日を予定しております。本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にお目通しいただき、主査に御確認の上、文部科学省のホームページを通じて公表させていただきます。
以上でございます。
【小泉主査】 すみません。議論を十分にできないところもありましたけれども、ぜひ引き続き議論を進められたらと思いますので、先生方、どうぞよろしくお願いいたします。
本日はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
科学技術・学術政策局人材政策課