人材委員会 次世代人材育成ワーキング・グループ(第4回)議事録

1.日時

令和7年6月26日(木曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省15F局1会議室及び Web 会議(Zoomウェビナー)

3.議題

  1. 博士後期課程学生支援等に関する現状・課題・今後の具体的な取組(案)について
  2. 今後の科学技術人材政策の方向性(中間まとめ概要)(案)について
  3. その他

4.出席者

委員

尾上委員、狩野委員、川越委員、重松委員、永井委員、登本委員、桝委員、水口委員

 

文部科学省

井上科学技術・学術政策局長、福井大臣官房審議官、奥人材政策課長、髙見人材政策推進室長、髙橋人材政策課課長補佐、滝沢人材政策課課長補佐、白川人材政策課課長補佐、井上人材政策課科学技術社会連携係長

5.議事録

科学技術・学術審議会 人材委員会
次世代人材育成ワーキング・グループ(第4回)

令和7年6月26日

 
 
【白川人材政策課課長補佐】  事務局でございます。会議の開催に先立ちまして、委員の皆様におかれましてはZoomのビデオをオンにしていただきますようお願いいたします。
【狩野主査】  では、定刻となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会人材委員会の次世代人材育成ワーキング・グループの第4回を開催したいと思います。
 本日は、8名の委員の方に御出席いただいておりまして、定足数が満たされております。
 では、議事に入ります前に、まず、本日のワーキング・グループの開催にあたりまして、事務局から資料の確認、そして13日に行われました109回人材委員会における本ワーキング・グループ関係の主な意見や、初等中等教育段階における学術人材育成と科学コミュニケーションについての現状・課題・今後の具体的な取組などについて説明をお願いしたいと思います。
【白川人材政策課課長補佐】  まず、資料確認をさせていただきます。事前に送付させていただいた資料といたしまして、議事次第、そして資料1-1から資料3、参考資料1から参考資料の3でございます。不備等がございましたら、事務局までお知らせ願います。
 続けまして、6月13日に行われた109回人材委員会における本ワーキング・グループ関係の主な意見について御説明をさせていただきます。資料1-1でございます。
 令和7年6月13日開催の第109回人材委員会におきまして、博士課程の学生支援関係では各研究室において、博士人材を育てる観点からラボを運営していくために何が必要なのかということも考えていくべきであり、博士人材の育成の重要さや、そのための取組の選択肢を現場に伝えていくことも考えるべきではないかという御意見や、2つ下、社会人学生は授業料が個人の負担になる場合が多いと聞くことから、授業料の負担軽減ができると社会人がより博士後期課程に来やすくなるのではないかという御意見、また、SPRINGによる支援を受ける学生同士の横のつながりがつくられることが望ましいのではないかといった御意見をいただいたところでございます。
 また、初等中等教育段階に関しましては、スーパーサイエンスハイスクールについて、現場で取り組んでくださっている教員の方々に対するインセンティブの観点を入れられるとよいのではないかという御意見や、女子中高生の理系選択支援について拠点を増やし、広げていくことが非常に重要という御意見、また、理系科目は苦手だが興味はあるという子をいかに伸ばすかという点や、理系に優れた才能を持つ子に科学技術と社会のつながりをいかに意識させるかという点などについても、今後の展開が見えるとよいという御意見をいただきました。
 また、科学コミュニケーション活動関係でございますが、自然科学とセットで法的なこと、倫理的なことなど、人文社会科学系の科学コミュニケーションを推進していくことが重要ではないかという御意見や、STEAM教育や科学コミュニケーションは産学連携のもとで実践するのが非常に効果的であることから、そのような実践のための枠組みや支援があると産学連携で次世代育成を進めていくための一つの足がかりになるのではないかという御意見。そして最後に、科学技術関係者と市民・産業界・自治体等との対話促進などの表現を用いたほうが、科学コミュニケーションは科学者と市民の間だけのものという従来の考え方からアップデートしたことが伝わるのではないかといった御意見をいただいてきたところでございます。
 また、前回の本ワーキングにおける委員の皆様方からいただいた御意見につきましては、6ページ目に記載があるところでございます。
 続きまして、資料1-2を用いまして、初等中等教育段階での科学技術人材の育成に関する現状・課題・今後の具体的な取組に関します資料について、これまでの御議論を踏まえまして少し修正をさせていただいた点を御説明させていただきます。
 まず、資料の6ページを御覧いただければと思います。資料の6ページ目の一番下の部分でございます。前回、桝委員から、スーパーサイエンスハイスクールのような高校段階の取組については、そのノウハウが担当の先生に多く蓄積されていることから、横展開も重要であるという御意見をいただきました。このことから、この6ページ目の一番下のところに「各指定校のこれまでの研究開発成果や」というところに続けて、「指定校の教員等の有するノウハウを他の高校に波及させ」と追記をさせていただいたところでございます。
 また、8ページ目でございますけれども、ここのところは産学官連携による科学技術人材の裾野の拡大に係る取組の記述でございますが、箇条書になっているところの一番下でございます。「スーパーサイエンスハイスクール指定校に対し、高校生による出前授業や研究発表など、地域の小中学校と連携した科学技術人材育成の取組の実施を推奨すること」を書かせていただきました。こちら、前回の川越主査代理の御意見を踏まえ、記載をさせていただいたところでございます。
 また、スーパーサイエンスハイスクールにつきましては、こちらは縦長の資料には記載がないのですけれども、スーパーサイエンスハイスクールの今後の見直しの制度設計の中で類型を設けるというお話がありましたが、その類型の2に「産学で活躍」という記載を入れさせていただいております。当該資料はこの後、また出てまいります資料3にも記載がございます。こちら、前回のワーキングでの狩野主査の御意見を入れさせていただいたものでございます。
 最後に、資料の1-2でございますけれども、5ページ目に注釈を一つ入れさせていただきました。資料の中で理数系教育という言葉を何度か使わせていただいておりますが、ここでいう理数教育という言葉の指すものとして、「単に理数系の教科・科目に関する知識・技能の習得のみならず、いわゆる文系の教科・科目に関する知識・技能等とも組合せながら、自分なりの問いを立て、立証し、発信していくという探究力・表現力を育成することも含まれる」とさせていただいております。こちら前回、登本先生からいただいた御意見を踏まえて追記をさせていただきました。今回は注釈と言う形で考え方を記載しておりますが、今後の発信においても狭い意味とならないように留意をして発信をしていきたいと思っております。
 私からは以上でございます。
【狩野主査】  ありがとうございました。大変いろんな意見をうまくまとめていただいたのかなと思いました。
 では、続きまして、科学コミュニケーションの現状・課題・今後の具体的な取組について、資料1-3に基づいて井上さんから御説明いただきたいと思います。
【井上科学技術社会連携係長】  先ほど資料1-1で御説明のありました前回の人材委員会における意見等、前回のワーキング・グループ以降にいただいた意見を中心に、この1-3の現状・課題・今後の具体的な取組の紙に反映をさせていただきましたので、簡単に御説明させていただきます。
 まず、この7ページになりますけれども、こちら、科学技術コミュニケーションの推進、特に対話・協働の場の構築と推進というところの中で、市民だけではなくて産学の科学技術人材ですとか政府関係者という形で、多様な経営ステークホルダーが参加する対話であることを強調させていただきました。
 また、同じページのマル2の多層的な科学技術コミュニケーションの推進、2つ目の丸になりますけれども、ここでは特に社会課題、ELSIを起点にした文系理系を問わないコミュニケーションという形で、文系の人材が重要である御指摘を何度もいただいておりますので、その点を反映させていただきました。
 最後に9ページに飛びますが、前回の委員会に限らず、科学コミュニケーターのキャリアパスといいますか、卒業してどのように活躍しているのかといったことをしっかり把握することも重要であるという指摘をいただいておりますので、その点につきまして、科学技術コミュニケーションに関する人材の育成のところで追記をさせていただきました。
 以上でございますが、そのほか文章につきましては全体、文章の適正化の観点でかなり見直している箇所もございますが、そこにつきましては割愛させていただきます。
【狩野主査】  御説明ありがとうございました。
 このワーキング・グループが、開催が中間取りまとめの前としてはこれで最後のつもりだということなので、中間取りまとめに加えたほうがいいと思われる内容で、こちらにまだ含んでいただいていない内容などございましたら、御発言をここでお願いできればと思います。あるいは御質問をお願いできればと思います。いかがでしょうか。かなり聞き取っていただいてあるので、あまりもう残りはないのかなという感じもいたしますけれども、よろしいですか。
 重松先生、お願いいたします。
【重松委員】  もう個別の議題にはまだ入らないんですね。今の、報告に関してですね?
【狩野主査】  取りあえず、今の御説明いただいた資料1-1から3についてで、まず、お願いできればと。
【重松委員】  そうですね。そうしたら、それは後ほどで結構です。どうも申し訳ございません。
【狩野主査】  ありがとうございます。
 では、本日御説明を事務局からいただきました内容を今後の人材委員会における中間取りまとめの審議に反映させていただくということでお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 では、議題の1番。博士後期課程学生支援等に関する現状・課題、そして今後の具体的な取組の案についてということになります。ぜひ、こちらについては現状の課題のみならず、お褒めもいただければと思っているところですけれども、では髙橋さんから、まず御説明をお願いできたらと思います。
【髙橋人材政策課課長補佐】  ありがとうございます。博士につきましては、資料2-1と2-2、2つございます。本日、取りまとめの会ということで、これまでの説明と重複するところありますけれども、まずは資料2-1から、前半から簡単に御説明させていただければと思います。
 まず、1ページ目の1番、基本的な考え方については、ここも釈迦に説法になりますが、博士人材の育成や活躍の促進を図っていくことが大変重要である認識のもと、一番最後の下の丸になりますが、文部科学省として令和6年3月に取りまとめました博士人材活躍プランにおいて、2040年における人口100万人当たりの博士号取得者数を世界トップレベルに引き上げるという大目標を掲げたところであり、今後、政府を挙げて優秀な博士人材育成に向けた取組を重点的に推進していくことが重要であることを基本的な考え方としております。
 その上で2つ目の現状と課題になりますが、現状と課題については博士課程進学への不安を解消する経済的支援というくくりと、あと、博士人材の社会の多様な場での活躍促進という、大きく時間軸、フェーズ2つに分けて記載しています。
 まず、(1)の進学に向けた支援ですが、これまでの取組と現状、2つ目の丸としまして、経済的に不安を感じることなく研究に専念し、研究者としての能力向上ができるよう、日本学術振興会、JSPSにおいて特別研究員DCという事業を行っており、1人当たり年額240万円の研究奨励金の支援に加えて科研費として平均約80万円を支援してきたところです。
 また、次の丸ですが、令和3年度から次世代研究者挑戦的研究プログラム、SPRINGを開催し、経済的支援と多様なキャリアパス整備を合わせて1人当たり年額290万円を支援する事業を行っています。この290万円のうち、研究奨励費として平均約220万円、また2ページ目に行っていただきまして研究費として約40万円を支援しているところです。SPRINGについては現在90大学を支援して多くの学生を支援しているところで、令和6年度においては合計約1万人を支援していまして、採用者に占める外国籍の割合というのは約4割となっています。
 その2つ下の丸のところで、こういった取組もありまして、ここ数年、博士後期課程の入学者数は微増傾向となっています。令和4年度1万4,382人のところ、一番直近の数字として令和6年度の1万5,744人と増えておりまして、この数字自体は平成23年度と同規模まで回復しております。
 また、令和6年度と令和5年度との比較においては社会人が30人と少し増加しており、また、留学生は118人減少というところから、全体の増分から差引きしますと修士課程から博士後期課程の進学者数が増えていることが推定されます。
 こういった状況がある中で、課題・指摘事項としましては、この博士人材活躍プランの達成に向けて引き続き、さらなる支援の充実、強化の取組が必要であること。特に日本人学生が博士課程に進学しない状況が続いており、優秀な方が博士課程に進学するような仕組みを考えることが必要である。
 また、その次の丸のところで入学者数の推移を見てみますと、例えば10年前の平成26年度と比較すると社会人は約7%増加、留学生は約35%増加、修士課程からの進学者数は約12%減少というところから、こういった傾向も踏まえて支援の在り方を検討することが必要と。
 一番下の丸まで飛んでいただきまして、先ほど御説明したとおり、文部科学省としてはJSTやJSPS等の関係機関とも連携しながら、博士後期課程学生に対する様々な支援事業を推進しているところですけれども、逆にこうした事業が複数存在するというところで、それぞれの位置づけや目指すべき方向性、支援対象や内容などについて、より一層の明確化、差別化などの取組が必要であると書いています。
 次、3ページ目に行っていただきまして、先ほど御説明した、このうち特別研究員制度DCについては、ブランドだけではなく実際に中身を伴うものとして、支援を国内トップレベルに引き上げることが必要であるという御意見をいただいております。
 次の丸の一方でSPRINGにつきましては、優秀な学生に対して経済的支援の金額などを上乗せする大学などもいる一方で、日本人学生や留学生、このうち極めて優秀な学生などの対象に区別なく一律的な支援となっている大学も多いところです。また、現行制度では社会人学生に対する支援は原則対象外となっているところですが、留学生や社会人学生に対する研究費の支援、あるいは留学生に対する日本での定着、就業の支援など、より対象に応じた戦略的な支援の在り方を検討していくことが必要であるという御指摘をいただいています。
 続きまして、(2)の博士人材の社会の多様な場での活躍促進に関する取組、現状や課題・指摘事項になります。まず、取組と現状としまして一番最初の丸ですが、特別研究員DCについては、先ほど御説明したとおり科研費も併せて措置することによって研究活動が独立して行えるように支援を行っています。一方で、それを支援するに当たって研究専念義務というものを制度として課しておりまして、起業などに対して一定の制限をかけている状況にあります。
 2つ下の丸に行っていただきまして、SPRINGについては大学においてSPRING学生を対象にキャリアパス整備を実施する事業になっています。その結果として、SPRING学生の修了後のキャリアパスとしては民間企業への就職が約3割と高く、また、就職率全体としても全大学における博士後期課程学生の就職率より約10%高い状況にあります。
 また、最後の丸の一番最後のところで、こういった事業に加えまして令和7年3月、今年3月に経済産業省と共同して、民間企業への就職を後押しするための手引きやロールモデル事例集を作成し、周知を行っているところです。
 続いて、課題・指摘事項になります。4ページ目に行っていただきまして上から2つ目の丸のところですが、学部学生については例えば授業や課外活動などで学生同士で交流する機会があるものの、博士学生については専ら研究活動に専念するというところで、研究室以外における交流機会が少なく、人的な交流、特に企業も含めた社会的なネットワークの形成に困っている学生が多いという指摘もいただいています。
 こういった現状と指摘を踏まえまして、4ページ目の下半分3番の今後の具体的な取組を記載しています。まず、総論になりますけれども、第7期科学技術・イノベーション基本計画における目標設定や博士人材活躍促進に向けた具体的な取組、方向性、内容などについて検討していくと。
 2つ目のところで、国は博士後期課程学生を対象とする複数の支援事業について、それぞれの事業の位置づけや目指すべき方向性の明確化を図っていくと。特に、この科学技術人材政策として行っている博士人材支援は、優秀な学生に対する支援であることを改めて強調すると。
 こういった総論を踏まえまして、具体的にはSPRINGやDCについて事業、制度の見直しを行うと。その際に日本人学生、留学生、社会人学生といった対象に適した支援内容となるよう改善、見直しを行う。
 まず、特別研究員制度DCについては、主にアカデミアで活躍する優秀な研究者を育成する事業として、引き続き学生に対する支援を充実、強化する。
 また、SPRINGについては大学における優秀な学生の確保、育成に戦略的に取り組む事業となるよう、見直しを行うと。事業趣旨については、以下のとおり明確化を図るとして、5ページ目の一番上に書いております。
 まず1つ目、主として日本人学生の博士後期課程への進学を支援すること。
 2番目、在学中、学生が安心して研究活動に専念できるようにすること。
 3番目、社会の多様な場で活躍できるよう、大学がキャリア支援や環境整備を行うことといたしています。
 以下、(1)(2)という形で、先ほどと同じように進学への不安を解消する支援と、社会の多様な場での活躍を促進する支援という形で書き分けています。
 まず、5ページ目の(1)進学への不安を解消する支援。必要と考えられる取組案としましてマル1、特別研究員DC、1つ目のポツですけど、優秀な修士課程学生をアカデミアに引きつけるための取組として、生活費に充てることができる研究奨励金の単価の増額などを検討・実施する。
 また、事業趣旨を踏まえまして、博士課程からアカデミアにおけるキャリアの見通しを高めるため、DC採用者について特別研究員のPDとの接続を高める取組を検討すると。
 マル2のSPRINGですけど、先ほど述べました事業趣旨を踏まえまして、生活費に充てられる研究奨励費については日本人学生のみへの支援とし、留学生に対しては支援をしないと。なお、現制度においても支給対象となっている生活費相当額として十分な水準の給与、役員報酬などの安定的な収入を得ていない社会人学生については、引き続き支援の対象とする。
 2つ目、研究費については、日本人学生、留学生に加えて現制度で支援対象となっていない安定的な収入を得ている社会人学生も支援対象に含める。また、その際、優秀な学生に対しては研究費の追加支援による重点化を図るなど、支援を階層化・差異化する。
 次のところで、優秀な留学生の確保に向けて、国・地域の多様化に関する取組を一層推進していくため、大学における特徴的な取組を他大学に共有・展開を図っていく。
 マル3、その他のところでは、1つ目のところで競争的研究費によるRA雇用について適正な対価が支払われるような取組を推進していくことであるとか、あるいは企業における博士人材の雇用に関する税制優遇措置の活用促進に向けて、さらなる周知などを図っていくと。また、大学において博士後期課程学生を雇用する独自の取組というのが出てきているところから、そういった取組を推奨するとともに、ほか大学への横展開に向けた取組を推進していくと書いています。
 また、5ページ目の下から6ページ目にかけまして、(2)の社会の多様な場での活躍促進になります。
 最後6ページ目、お願いします。こちらも、まずマル1ですけれども、DCについて、優秀な研究者として活躍できるような環境を整備するため、異分野や海外の研究者との交流機会の充実・拡大、また、大学において実施されているSPRING学生に対するキャリア支援プログラムについて、DC学生の参加を促すための取組も推進する。
 2つ目のところで、先ほども申し上げましたが現状、DCについては制度として起業は認められていませんけれども、研究計画に基づく活動が着実に進んでいることを確認するなど、一定の条件のもとで研究成果をもとにした起業を認めるよう制度的な見直しを行う。
 続いて、マル2のSPRINGです。こちら、先ほどと重なりますけれども、研究費については日本人学生、留学生に加えて社会人学生も支援をしていくと。その際には、優秀な学生に対しては追加支援するなど重点化を図っていくと。
 2つ目のところで、大学によるキャリア支援については日本人学生、留学生に対してより一層の支援の充実・強化を図っていく。
 最後、マル3、その他のところで、先ほども述べましたけれども手引き、ガイドラインやロールモデル、事例集の周知などをさらに一層推進していきたいということを書いています。
 続いて、資料2-2については、先ほど御説明した資料2-1の3番の今後の具体的な取組をもう少し分かりやすく書いたものになります。
 1ページ目、次のページお願いします。こちらが全体像を図示したものになります。上の枠囲みにありますとおり、博士人材活躍プランの目標達成に向けて進学への不安を解消するための支援と、あと社会の多様な場での活躍促進に向けた支援という2つの切り口と。また、日本人学生、留学生、社会人学生の対象ごとに整理するというところで下の絵を書いています。
 内容としては先ほど御説明したとおりですけれども、下半分が進学への不安を解消するための支援、上半分が社会の多様な場での活躍促進に向けた支援となっていまして、それぞれ対象ごとに色分けして事項を簡潔に書いております。
 2ページ目、3ページ目については、特に大きな事業であるSPRINGとDCについて、先ほど述べたことをまた改めて書いているところになります。重複しますけれども、2ページ目の、まず、SPRINGについては上の枠囲みで事業趣旨を書いています。この事業趣旨を踏まえまして、下の具体的な制度設計の考え方として日本人学生、留学生、社会人学生それぞれに対して見直しの方向性を書いています。
 日本人学生については、研究奨励費、生活相当額を支援する。また、個人の研究活動に係る研究費を支援すると。その際、研究費については支給額を階層化、差異化するということを書いています。
 2つ目の矢羽根の留学生については、この事業趣旨を踏まえ、留学生は日本の大学の博士後期課程進学を目的に来日していることや私費留学も多いこと、こういったことなども踏まえまして留学生に対する研究奨励費の支援は行わないと。他方、研究活動に関する研究費については日本人学生同様に支援をするとともに、支給額の階層化、差異化なども行っていくと。
 社会人学生については、これまでは安定的な収入のある方については支援対象外でしたけれども、個人の研究活動に係る研究費については支援をしていくことを書いています。また、その際には日本人学生、留学生同様に支給額を階層化、差異化する。
 最後3ページ目、DCになります。こちらも重複してしまいますが、事業趣旨についてはアカデミアで活躍する優秀な研究者を育成する事業として実施する。
 下の具体的な取組としては、優秀な修士課程学生をアカデミアに引きつける取組と、あと、優秀な研究者に育つ環境の充実として、先ほど御説明した研究奨励金の単価増であるとか、あと、起業を認めていく制度的な見直し、あるいはネットワーク、学生のキャリア支援プログラムの参加を促す取組などを書いています。
 資料の説明としては以上になります。よろしくお願いします。
【狩野主査】  ありがとうございました。
 それでは今の内容、あるいは、これまでのSPRING事業、あるいはその他についての支援的意見、その他、ぜひお願いできたらと思います。
 重松先生、まず、お願いいたします。
【重松委員】  どうも御報告ありがとうございます。基本的には非常に賛成させていただきたいと思っております。
 ただ、その中でSPRINGに関して、どうしても地方にいますと都市部と地方の格差というものに非常に関心が強くありまして、大学に職責があるときでも出張旅費等々も地方の大学には手厚く、少しでも厚く配分されてきたこともありますので、ぜひ、その意味においても都市部と地方の格差において、今は物価が都市部のほうが高いだけじゃなくて地方も高くなっておりますので、ぜひそういったことに配慮いただきたいなというのが1点です。
 それから、SSHとの後ほどの話の関係もしていくんですが、今、SSHでは卒業生の追跡ということをやって、最終的に博士の人材になって、あるいはアカデミアだけじゃなくて起業にも貢献いただくプロセスが非常に大事なわけですが、それを追跡という形で卒業生追跡調査をやっております。可能ならば、それをリサーチマップ等々でフォローアップしていただけないか。なかなか高校生全員って難しいですが、どういう形か、今すぐには御提案できませんけれども、追跡を広く継続できないかなという要望です。そのことが、学部生からプッシュするんだということにも関わっていくんじゃないかなと思います。
 と同時に、学部生への大学生調査等々やっていると思うんですが、そういうところに博士への進学という意識調査も加えられたらどうか、現在もやっておられるかもしれませんけども、そういったことを思いました。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。地方も十分お金が要るということと、それからフォローアップのための幾つかの御提案をいただきました。
 では、続いて尾上先生、お願いいたします。
【尾上委員】  ありがとうございます。資料2-1、2-2ともに非常にいろいろな意見をまとめていただいて、資料自体への意見というわけではなくてコメントとして説明させていただきます。
 1点は、まずSPRINGを設けていただいて裾野も広がって、さらにDCはトップ層を支援するというところで、特にトップ層のところが金銭的なもの、経済的なものの充実というの、2-1も2-2にも書いていただいたのはすごく重要かなと思っています。これは平成6年ぐらいから、もうずっと30年間、DCの金額ってほぼ変わってなくって、もちろん、何ですかね、給与水準という日本国全体のというのはあるんですけれども、その間に戦うのは世界なんで、世界の中でDCというのの位置づけという競争力が落ちていっているのも、これ事実だと思うんで、ぜひそういうことを考えていくべきだと思います。
 また、SPRINGとかも、もちろんSPRINGもDCもなんですけれども、非常に多様なほかにも大学から追加で支援ができるとか、研究費からできるとか、そういう制度をより着実に実施していただくことが、これ、何か金額がこれぐらいだったらいいかというんじゃなくって、能力高い人がちゃんと扱っていただけるような、そういうようなところが進められればいいと思うんで、また、いろいろ議論できればと思います。ありがとうございました。
【狩野主査】  簡潔にありがとうございました。幾つか御指摘いただきました。
 では、続いては永井先生、お願いいたします。
【永井委員】  永井です。ありがとうございます。
 最初のデータのところで資料を説明していただいて、全体として10年前と比べて現在の日本の博士進学の状況とか、他の国と比べて少なくなっていることは非常に重要な問題だと多くの方が認識していると思います。
 基本的に国際的にはもう博士後期課程の支援というのがすごく強化されていて、アジアにおいても、それぞれの国がもう競って重点化している状況にあって、日本は、もともと教育指導体制などは早期に整備していたので、そういった基盤をうまく活用しながら効果を上げていく必要があるなと思ってデータを見ております。
 まず、博士後期課程への進学といいますか、進路を決めるときにDCという制度とSPRINGという制度が2つあります。これは基本的には両方がキャリアパス支援だと考えていますが、特に日本でSPRINGに見られるような、産業界等で幅広い活躍を目指すような博士後期課程に進学するイメージが、ここ数年の支援で急速に強く社会的にも認められてきていると思います。
 現場を見ている私の立場からしますと、私が関わっている大学ではすでに日本人学生がSPRING事業というものを意識して進学をしているという、そういう結果になっています。
 また、DCの制度の中に起業を認めていくというようなことは非常に重要だと思っていまして、スタートアップもこれから日本にとって大事になっていくと。こうした各支援によりトップアカデミアや、それから起業していく者、ベンチャーに進む者、あるいはSPRING事業などで博士後期課程に進学した後、高度職業人材として様々なイノベーションの場面に将来活躍することを志す人たちが、別れるのではなく、結局は社会の中で連携し合って全体を高めていくのが日本の将来像じゃないかなと思っていまして。これらは個別な支援ではあるけれども、連携し合った成果が見られるのではないかと思っています。
 そうした将来像を大学や、そのメディアもアピールしていく必要があるんじゃないかなと思っているんですね。個人個人への経済的支援だけに目を向けることも重要だとは思うんですが、それだけではなくて全体的な効果が、例えば5年後、10年後にはそれぞれのパスキャリアパスを歩んできた人たちがこんな連携をしていくんだとか、お互いが理解し合える形になって、パートナーシップがより一層進むようなイメージを全体としてつくっていくといいかなと思っています。
 あとは、そうしたことをイメージしていくと、博士後期課程学生たちが学部生たちに対する働きかけもしていまして、私ども、SIP事業「ポスコロ」で大学院リーグって作っているんですけれども、プレゼンバトルみたいなものを企画しますと博士後期課程の方たちが社会人や学部生を巻き込んで、5分間プレゼンテーション大会や座談会などのイベントをいろんなところで開催したり、今のネットワーク環境を利用して日本中のいろんなところで結びついて実施していますので、そうした風土づくりがSPRING事業でさらに進んだのかなと思っております。
 まとめて言いますと、DCは個々の研究者のアカデミックキャリアを中心にした支援であるのに対し、SPRINGは層としての支援の形が見えているので、大学にとっても大学全体の、何というんですかね、教育改善に対する影響力はかなりあるなと思っております。
 あとは、留学生に対しては現地の日本企業の協力を得ながら協働体制のもとで、例えば複数の大学が共同で留学生の募集活動をするなど、長期的な視点も必要なのかなと思っているところです。
 以上です。
【狩野主査】  各方面の視点、ありがとうございました。投資効果がいろいろとあり得ることについても御説明をいただきました。ありがとうございます。
 では、桝先生、お願いします。
【桝委員】  ありがとうございます。博士人材のこの活躍の方向性について、すごく本当に分かりやすく、また、委員の意見も反映させてくださってありがとうございます。
 特に個人的にDCとSPRINGの、この四角い図であらわした図というのは本当にすごい分かりやすいなと思っていて、これを見ることによって、そもそもドクターに行く学生たちが、もう民間という抜けの道が最初から見えるようになるなと思うので、すごくこれなんか、自分が学生のときにこういうのがあればよかったのになと思うぐらいに、とてもビジュアル的にも分かりやすいだと思っております。
 その上で、特にSPRINGの進路支援、キャリアパス支援のところなんですけれども、先ほど永井さんからもお話あったと思うんですけど、これ、別に個別の学生への支援という意味というよりは本当に大学全体もそうですし、そもそもでいうと産業界からのニーズにも応える支援だと思いますので、もう少しこの言い方は学生への進路支援、キャリアパス支援というよりは、産業界と学生をつなぐ道を開通させる支援というような受け止め方ができるような表現に少し修正してもいいのかなと思っております。
 この進路支援というのは学生に就職をあっせんする支援という意味ではなくて、産業界にもメリットをもたらすような、お互いのかけ橋をする支援だというところは、特にこのSPRINGに関して言うと非常にその意味が大きいですし、実際これまで開通していなかった道をこのプランで開通させようという新しい試みになってくると思いますので、そこの意義というのは本当に強く私自身は推したいですし、これから継続的に推していくべき支援になってくるかなと、特にSPRINGに関しては思っております。
 以上です。
【狩野主査】  大変ありがとうございました。重要ですね。お二方とも、これは個人への支援に見えるんだけれども、めぐりめぐって組織的な支援であることについて強調していただきましたし、あと、学術界だけのインプットなのではなくて、それを通じて社会へのインプットであることをより強調してはどうかという御意見をいただいたと思いました。大変すてきな御意見だと思います。
 ほかはいかがでしょうか。せっかくですから、皆さん、発言していただきたいと思いますが、どうぞ。川越先生。
【川越主査代理】  ありがとうございます。御説明どうもありがとうございました。このような形に博士課程の学生が今後どういうふうに活躍していくのかというところや、それに向けての支援というところ、非常に分かりやすく取りまとめていただいたと思います。
 私からは1点で、DCについて、先ほどの資料で行くと2-2の3ページのところで、ほかの資料にも書いてあるんですが、このDCの中でキャリアの見通しを高めるような取り組みは、今、議論にあったところとも関係するんですけれども、大事なところかなと思っております。
 DCの学生にも多様なキャリアパスがあるところを示していく点でいうと、SPRINGとの連携でSPRINGでやっているキャリア支援プログラムへの参加を促すとありましたが、学生同士の連携、つながりであったりとか、キャリア支援のプログラムにも積極的に参加いただくように制度化するとか、といった形で示していけるといいのかなと感じました。
 キャリアパスを示すことによって、次にDCとPDの接続があると思うんですけれども、この接続を高めてしまうと、逆にDCからPDという一本の線しかないように見えてしまうかなと思うので、そういった線も一つあるけれども、それ以外のパスもあり、いろんなパスのうちの一つがDCとPDの接続だという捉え方を学生もしてもらえるといいのかなと思います。
 そういった意味で、SPRINGとDCのいいところ、連携できるところをより連携しながら、効率的なと言ってしまうと語弊があるんですけれども、支援になるといいのかなと思いました。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。つながりですね。
 続いて、いかがでしょうか。登本先生、ございますか。
【登本委員】  まず、この短期間でここまでお取りまとめてくださった人材政策課の皆様にお礼申し上げたいです。ありがとうございます。日本の科学技術人材の育成、特に博士後期課程の学生支援に関する仕組みとして良い方向性が示されたと思います。
 今回の整理を拝読して、改めてキャリアパスの支援が大切だと思っております。修士課程、博士課程といった、一つのキャリアパスとして支援していくことの重要性、さらに、初等中等教育段階からの育成が大切ということを整理できたこともよかったと思います。
 初等中等教育におきましては探究的な学習も進んできておりまして、こういった取組も、博士課程や修士課程に行くことを早い段階からキャリアパスとして描くことにつながる一つではないかなと思います。また、「理数」という表現だけではなく「科学技術人材」として育成していくことも記録に残してくださり、ありがとうございます。
 また、今回の整理におきまして、博士は研究者という考えが根強いとありますが、でもやはり研究者としての道に進むということも引き続き大きな選択肢であることには変わりありません。研究者の道が非常に険しくて、博士課程に行ってしまったばっかりに生活が困窮する可能性が高いということになりますと、広がるものも広がらなくなってしまいますので、研究者という王道も目指すに値するものとして保ちながら、両論として充実していったらよいなと思います。
 これほどに全ての分野が科学技術に関わり、ますますそれが加速化していく社会において、博士人材といったときに理系だけでなく、人文社会系の活躍の場も今後拡充されていくことも望みます。
 今後、経済産業省と文部科学省が、民間企業の就職をさらに後押ししていくということで、永井先生もおっしゃっていましたようにこの制度が周知され、具体的な施策として社会に定着をし、日本の科学技術・イノベーションの未来を切り開く推進力の一つとなったらよいなということを実に期待するところです。
【狩野主査】  大変支援的なお言葉でありがとうございました。ぜひ、この方向で進んでいけたらなということですね。よろしくお願いいたします。
 水口先生、どうぞ。
【水口委員】  テックベンチャーの領域で考えると、ベンチャーエコシステムの活性化が今後より重要になってくるかなと考えております。エコシステムにおいてはスタートアップのみならず、大学内外の全てのスタートアップを支援する組織においても博士人材の活躍が求められます。
 そのため、そういったキャリアパスに向かうようにも支援が必要だと感じます。このような考え方が恐らく現状あまり持てていないと感じておりますので、スタートアップのみならず、スタートアップを支援する組織にも博士人材がより活躍できるように、博士人材のキャリアパス支援ができるとよいと感じます。これがより活性化していくと、博士人材がスタートアップエコシステムにおける様々なところで活躍し、産業発展が加速化していくような絵が描けるかなと思っておりますので、そういう意味でも、博士人材のキャリアパス支援は重要であると考えております。
 また、博士学生の起業や起業家を支援・伴走する人材に特化したフェローシップもあっていいのかなと思っております。スタートアップのみならず、起業家と伴走して支え推進していく博士人材も活躍が期待されますので、そういった形での特化したフェローシップがあると、SPRINGのメッセージ性にもよりますが、そういったものもあるといいかなと考えております。
【狩野主査】  ありがとうございます。皆さん、何か原則3分以内をよく守ってくださいまして、とても早く済んでしまいました。
 私などの発言の時間が少しあるとすると、1つ目はこの資料2-2の図が分かりやすいと、さっき桝先生からお話がありましたが、若干もし加えるとすると、この青色と緑色のところの、特に緑の意味が、文字がなくて通じにくいのではないかという捉え方があるとすると、こっちは社会とのつながりとか、あるいは広がりとか、産業への広がりとか、そういうような言葉を入れておくと、学問分野との対比が文字で分かりやすいんじゃないかなということは思ったところです。多分、そういうのを入れておかないと、どっちが上でどっちが下ですかとかいう話が起きちゃう可能性もあるかなというのは心配をしました。
 それから右側に共通的な取組のところ、博士を雇用する大学独自の取組の推奨というところが、雇用する大学なのか、何かちょっと意味がもう一声、分かりにくいかなと思ったので、ここは表現を整理していただければと思いました。
 それからあと、DCのところの内容がSPRINGに比べて寂しいのではないかという印象があり得るとすると、ここについては、例えばさっきの幾つか出てきた内容ですけど、優秀な研究者は1人で優秀なわけではなくて、集団を形成するとより力強いということがあるとすれば、ネットワーク化をできるとか、あるいは、こういうお金をもらうと、より裁量の余地が増えて自分のテーマを追えるとか、そういうようなことを加えていただくのも一つかなと思ったりはしたところです。
 全体を通じると、先ほどお話があった、SPRING事業があったことによって大学院に行っても大丈夫だという気持ちを持っている人の数が増えたという印象があるので、もしそれがデータに裏づけられるともっといいなとは思います。そういう情報が今、回しておられる各大学から、少なくとも口頭の情報でもいいので聞こえてくるとよいのではないかなということは思いました。また、先ほどあったように、地方と都会であまり格差ないということが、いろんな意味で意義があることもあってもいいかなということも思いました。
 あと、今日いただいた意見を踏まえて思うのは、今回非常に総花的にいろんなことを全部取り扱っている結果として、何やりたかったか、よく分からないという印象もあり得ると思うんですけど、そこについて一つ言うとすれば、「社会との接続性」について、かなり今回気を遣った内容になっているのではないかと思います。
 今までのやり方は、科技というピュアなところについての施策が多かったと思うんですけど、今回そういうことを通じて産業にも役に立てるとか、あるいは自分の進む道が多様であり得るとか、この辺というのはかなり気を遣って一生懸命、皆様から意見があって入れていただいたところだと思います。その気持ちを強く持って今までの政策を見直して、さらに強化するというような言い方をしていただけると、科技部局なんだけれどもちゃんと社会とつながって税金の果たす役割、例えば後で収入がしっかりあって納税もしっかりしていただけるので、ちゃんと戻ってきますということにつながっていくんだということを、言っていただける内容になっているんじゃないかなということを思って拝見をしておりました。ふだんだと時間に押されて言えないことを言ってみました。
 ほか、追加、まだ二巡目ができる時間がございますが、いかがでしょうか。何か事務局から、今のあった意見に対してプラスアルファ、求めたいものなどありましたら刺激をいただいても結構ですが、いかがでしょうか。
【髙橋人材政策課課長補佐】  先生方、いろいろとありがとうございます。
 そうですね。博士については今回、一応中間取りまとめという形でまとめるんですけど、まだまだ割と皆さんの関心も高いですし、議論は続くのかなと思っていますので、先ほど狩野先生からもDCのところ、ちょっと寂しいというところもありましたけど、引き続き議論いただけるとありがたいです。
【狩野主査】  ありがとうございました。皆様そろそろよろしいでしょうか。
 それでは今の内容を幾つかいただきましたので、さっき申し上げたようにこのワーキング・グループとしては中間取りまとめは今日開催後ということを考えると、主査の役割をさせていただいています私にお任せいただいて、内容を事務局の皆様と取りまとめさせていただくということにさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。では、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。
 では、スピーディーに議題2にまいりたいと思います。それでは、先ほども呼び水のようなことを申し上げてしまいましたけれども、中間取りまとめの今の概要について事務局より説明をしていただくということで、奥課長より御説明をいただきたいと思います。お願いいたします。
【奥人材政策課長】  ありがとうございます。先ほどのこのワーキング・グループで御議論いただきました、博士、小中教育、それとあと科学コミュニケーションに加えて他のワーキング・グループ、それとあと人材委員会の本体で様々御議論いただいていますので、それを踏まえて中間まとめの概要という形で前回の委員会でお示しをさせていただいています。これについて、このワーキング・グループの範囲にとどまらず、広くいろいろ御意見等いただければありがたいなと思っています。最終的には7月30日の親の委員会のところで中間まとめとしてまとめさせていただきたいと思っています。なので、いろいろ御意見等いただければありがたいと思います。
 結構大部になりますので、ポイントのみ、かいつまんで御説明をさせていただきたいと思います。2ページ目おめくりいただいて、2ページ目、3ページ目、4ページ目で科学技術・イノベーションをめぐる国内外の情勢、それと科学技術人材に関する動向、変化というのを、まず表ごとにまとめさせていただいています。こちら、今まで参考資料等々でお配りさせていただいているものと同じですので、ここは飛ばさせていただきます。
 5ページ目をおめくりください。今後の科学技術人材政策の方向性として、この5ページ目、6ページ目、7ページ目で全体の概要を取りまとめています。
 まず、5ページ目になりますけれども、方向性として、まず基本的な考え方として科学技術・イノベーション政策はもう人材政策そのものだということで、科学技術人材政策こそ国のイノベーション政策の中核に位置づけるべきだということを基本的な考え方として書かせていただいています。
 その上で、基本方針として左側3つ挙げています。
 1つ目は、人材に対する投資というのを抜本的に拡充していこうということで、研究者、技術者あるいはURAはじめとする科学技術人材そのものに対する人的資本投資を拡大していくことを1つ目の柱として挙げています。
 また2つ目、この場でも議論いただきましたが、科学技術人材と一言で言ってもいろんな多様な人材があります。こうした人材が社会のあらゆる場で活躍、機会の場というのを拡大していくことが必要だろうということで、そのための環境整備が必要だということを2番目で挙げています。
 また、3つ目として、こうした人材、人材自体は単一、単独で育つわけではありませんので組織であるとか機関の役割が非常に大事だということで、この3つを基本的な方針として挙げています。
 その上で今回、この人材委員会として全体的な政策を3つの柱で整理をしています。右側になります。
 1つ目が多様な人材の育成・確保ということで、研究者、技術者、技術職員、それと研究開発マネジメント人材といった職種別での人材育成になります。こちら、研究者は親の委員会、それと専門人材のところは多様化のワーキング・グループのところで別途御議論をいただいていました。
 2つ目が教育段階別での人材育成ということで、初等中等教育から高等教育まで学校教育段階に応じた人材育成を体系的に行うということで、まさにこれがこのワーキング・グループでのミッションで御議論いただいてきました。
 さらに、3つ目の柱として、この科学技術人材を取り巻く制度・システム改革の推進ということで、この3つの柱で全体的な今後の方向性を整理しています。
 6ページ目に移っていただいて、6ページ目が1つ目の柱、多様な人材の育成・確保、職種別の人材育成になります。後ほど詳細を説明しますので、ここは柱だけを見ていただければと思いますが、1つ目が研究者の育成・確保、2つ目が技術者の育成・確保、3つ目として高度専門人材の育成・確保という形で整理をしています。
 まず、研究者については研究者の育成に当たって研究費の確保、それと安定したポストの確保、それと国内外も含めた活躍の場の機会の拡大、それとあと組織における研究環境整備、この4つぐらいが必要だろうということで、それに向けた具体的な方策を書かせていただいています。これについて、また後ほど御説明します。
 2ポツ目は技術者の育成・確保ということで、大学・大学院における、これは高等専門学校も含めた工学系教育の充実、(2)のところで産業界、アカデミア双方で活躍できるような技術者の育成・確保と、あと、大学における技術職員の育成・確保というのを挙げています。また、技術制度については別の分科会で議論していますが、そのエッセンスをここでは入れています。
 3つ目の柱として高度専門人材の育成・確保というのを挙げていますが、専門人材といっても多様な人材がいますけれども、ここでは特にURAをはじめとする研究開発マネジメント人材について取り上げて、ガイドラインであるとか支援事業の創設というのを書かせていただいています。
 次、7ページ目が、まさにここの教育段階別での人材育成になります。先ほど御議論いただいた博士を含めた大学・大学院における教育研究活動の充実。
 2ポツ目のところで初等中等教育段階における人材育成ということで、トップ層を伸ばすというのと裾野の拡大と、双方を車の両輪として進めていくことを書いています。
 また、科学コミュニケーションについてもここで御議論いただきました。STEAM教育の連携であるとか、科学コミュニケーターをはじめとする多様な人材の育成・確保というのもここで挙げています。
 6とあるのが、3つ目の柱が制度・システム改革でして、女性であるとか外国人研究者など、ダイバーシティの確保であるとか産業界との間の人材流動の促進ということ、クロスアポイントメント制度など制度面での取組というのを書かせていただいています。
 また、2ポツ目として研究者等が遵守すべき規範の整備ということで、研究員インテグリティであるとか研究セキュリティ、最近は大学でもいろいろ取組を進めていただいています。これについて人材育成も含めた取組であるとか、あとELSI、ここ、科学コミュニケーションの一環として御議論いただきましたが、ここで別途、ELSIに関する体制強化という形で章を別建てして書かせていただいているところです。
 8ページ目以降が、これまでの検討経緯と、あとその体制を書かせていただいていますが、ここを省略させていただいて11ページ目に飛んでいただけますでしょうか。今回、政府全体として骨太の方針というのと新資本の実行計画というのを閣議決定していますが、この中でも11ページ目の左側の真ん中あたり、科学技術人材の育成強化というのを、政策文章としては実に初めてだと思いますが書かせていただいています。
 また、12ページ目のところの新資本実行計画でも、次のページ、12ページ目ですね。新資本の実行計画の中でも、右側の真ん中から下あたり、総理の指示として産業人材育成プランをつくるという話がありましたが、ここの中でも科学技術人材についてパッケージとして推進するという辺りを文章として書かせていただいています。このパッケージが、まさにこの今回の取りまとめに当たるものだと思っていただければと思います。
 13ページ目以降で、先ほど申し上げた柱に沿った形で具体的な取組を書かせていただいています。
 まず、14ページ目が研究者の育成・確保、活躍促進です。問題意識だけ共有させていただくと、真ん中の下に国立大学法人の経常収益の推移という図があります。これは分かりにくいですが黄緑色が運営費交付金でして、平成19年度以降、右肩下がりに下がっている一方で、右側の濃い緑が競争的資金でして、病院収入と合わせて大学全体としての総収入が増えていると。
 一方で、右側の本務教員数の推移がありますが、特にこの水色ですね。右側へ行っていただいて。水色のところが任期なしの若手研究者のポストになりますが、ほぼ半減している状況にあります。
 こうした問題意識のもとで次のページ、15ページ目になりますけれども、今後の具体的な取組・方向性として、まず1つ目、研究費の充実・確保のところで、研究費自体、基盤経費、それと競争的資金を含めて質的・量的な充実と確保を図ると、これは大前提ですけれども。その上で先ほどの産業人材プランのお話がありましたが、重要な科学技術分野あるいは産業分野について、研究開発と人材育成を一体的に推進するような新しい資金的な枠組みをつくってはどうかということを提案させていただいています。
 また、併せてマル2の競争的支援制度改革のところで、直接経費、間接経費双方について人件費に対する支出をより高めていく取組を進めていってはどうかと。例えばということで、直接経費の中のPI人件費の適用拡大であるとか、PI以外に研究分担者に支出できるようにするであるとか、間接経費を安定ポストの確保にいかにして使っていくかという辺りを書かせていただいています。こうした使途の柔軟化というのを図っていくということを書いています。
 (2)の安定ポストで、基盤経費で安定ポストをつくるというのはもとよりなのですが、16ページ目のところです。競争的研究費であるとか、産業界からの外部資金等を活用して、間接経費を特に活用することによって、安定した研究者のポスト、特に若手研究者のポスト確保であるとか処遇改善を図っていくような取組を進めていくということを明示的に書かせていただいています。
 (3)で、研究者の活躍の場・機会の拡大ということでは、今回のアメリカの話がありますが、研究者の海外派遣に加えて、海外から優秀な研究者を招聘する、獲得するという取組であるとか、産業界において活躍の場を広げていくと。その意味で、共同研究であるとかクロスアポイントメント制度の活用というのを一層促進するという辺りを書かせていただいています。
 また、(4)で、組織・機関の環境整備のところでは、研究開発マネジメント人材、URAをはじめとする、技術職員をはじめとする組織体制の整備であるとか、ダイバーシティの取組なども書かせていただいているところです。
 17ページ目は、こうした安定ポストを確保するといった取組について、先行的な事例を書かせていただいているのと、18ページ目で、何度も申し上げて恐縮ですが、総理の指示を受けた産業人材のプランということで、1つ産業界との間で、産学官で最先端の分野を設定し、国と大学、産業界とのマッチングファンドによって、クロアポ等も使いながら、人給マネジメント改革を進めながら、下にあるように、研究者、技術者、それと教育プログラムの開発について、アカデミアを支援するような新しい資金的な枠組みをつくってはどうかということを提案させていただいています。問題意識として、大学と企業との間の人材流動が非常に少ないということを何とか払拭したいということを考えています。
 19ページ目は、競争的資金制度の改革で、先ほど申し上げたとおりですが、特に直接経費の中でのPI人件費の対象を広げていくということで、20ページ目、次のページの、特にJSTの戦略的創造事業につきましては、来年度からできる限り早めにこうした制度改革を実行に移すということを考えていきたいと思っています。
 21ページ目からが、2つ目の柱の技術者の育成・確保になります。
 22ページ目に飛んでいただいて、今後の具体的な取組・方向性になります。まず1つ目として、大学・大学院、それと高専における工学系教育の充実ということで、特にJABEE認定を行っている大学が減少しているという状況にあります。下の(3)にある技術士制度とうまく絡めながら、このJABEE認定の学校を拡大していくということを今後考えていきたいと思っています。
 また、(2)のほうで、産学で活躍する技術者の育成・確保ということで、産業界とアカデミア双方で活躍できるような技術者の育成・確保に向けて、産業界との共同研究であるとか、あるいはその先端的な研究施設・設備の整備・高度化、開発等を通じて、こうした技術者の育成・確保を図っていくということを進めていってはどうかというのを入れています。
 また、マル2のところで、大学における技術職員ですけれども、技術職員について、今回初めてガイドラインを整備しようと思っています。これに基づいて、技術職員の配置、処遇であるとかキャリアパスについて、大学の取組の好事例などを横展開するということを考えてまいりたいと思っています。
 23、24、25、26ページ辺りは、参考資料ですので省略をさせていただきます。
 続いて28ページ目で、高度専門人材の育成・確保になります。先ほど申し上げたように、高度専門人材のうち、特に今回は研究開発マネジメント人材、URAをはじめとする研究開発ネジメント人材というところに焦点を当てて議論をしていただきました。
 29ページ目になります。研究開発マネジメント人材の育成・活躍促進ということで、まずは、URAをはじめとする研究開発マネジメント人材というのは、どういう位置づけで、どういう役割を担うのかということを明示的にするために、今回ガイドラインを初めて整備をしました。これに続いて、こうしたガイドラインに基づく人事制度の取組を各大学に促していくために、今回、我々のほうで体制整備事業、支援事業を創設しています。これに基づいて先行事例を多々つくっていくとともに、研修制度であるとか認定制度も活用しながら、こうした人材がよりその裾野が拡大していくような取組を展開してまいりたいというところと、マル3にあるように、他の大学にいかにして横展開していくかということで、ガイドラインを通じた人事制度の構築の要件化であるとか、あるいは競争的資金制度の採択、評価時に加点対象とすること、さらには、国立大学の中期計画においてこうした体制整備を求めるということを要件化するということも考えたいと思っています。
 30ページ目が、今回、親の委員会のほうで御提示させていただいているガイドラインの概要になります。さらに本文もありますので、後ほど御参照いただければと思います。
 続いて、32ページ目からが、2つ目の柱の教育段階別での人材育成ですが、これはまさにここの委員会の、ここのワーキング・グループの主題ですので、説明は簡単にさせていただきます。
 33ページ目、34ページ目が、先ほど御議論いただいた博士の人材育成に関する取組でして、こちらは先ほどのものをそのまま書かせていただいているところです。
 34ページ目、35ページ目辺りで、先ほど頂いた御意見について、一部修正して反映をさせていただきたいと思っています。
 特に今回は、36ページ目にありますように、SPRINGについて事業趣旨をきちんと徹底をする、明確化するということと、これに応じて、日本人、留学生、社会人、それぞれの対象に応じた支援の在り方を見直すということに主眼を置いてまとめさせていただいています。
 また、次、37ページ目から初等中等教育段階における人材育成になります。こちらは先ほど説明を省略していますので、改めてになりますが、38ページ目です。今後の具体的な取組・方向性のところで、特に優秀な児童生徒に対して、大学において高度な研究活動に早期から参画させるという意味でSTELLAの事業を推進していますが、こちらについて、来年度以降の実施拠点を拡大していくということを考えたいというところと、スーパーサイエンスハイスクールについては、指定校の拡充はもとより、事業設計について大きく見直すということを今回掲げさせていただいています。
 また、(2)の理数系教育の充実のところでは、特に女子中高生の進路選択プログラムというのを進めていますけれども、ここも拠点数を拡大するというのと、保護者へのアプローチ、さらに小学校まで対象を広げていくという辺りも書かせていただいています。
 39ページ目、前回、スーパーサイエンスハイスクールについて見直し(案)というのを御議論いただきました。そこを改めて書かせていただいていますが、見直しの大きいポイントは3つです。全体、これまでの現行制度だと、創成期、発展期、先導期、併せて26年の支援だったものを、全体として先導期に早めに進めるように、全体で20年に短縮をするということ。その一方で、認定枠に移行した学校、卒業した学校についても加速支援という形で追加的な支援ができるようにするということ。それと、発展の位置に、真ん中の10年間について、3つの類型に分けて支援の差をつけるということを書かせていただいています。
 41ページ目がその類型になりますけれども、繰り返しになりますが、左側の類型マル1がいわゆるSSHとして全学的な理数系教育を行うような学校に対する支援。マル2が研究職であるとか高度専門人材を特に育成するような学校。類型マル3として、より国際感覚に優れたグローバルで活躍できるような人材育成をする授業。こうした類型3つをそれぞれの学校に選んでいただいて、支援について金額的な差をつけるということを考えさせていただきたいと思っています。スケジュールとしては、令和9年度以降を想定しながら、できるだけ早い段階、来年度には先行的に一部事例をつくっていくということも考えたいと思っています。
 42ページがSTELLAの事業で、43ページ目で女子中高生の進路選択。ここは特に保護者のアンコンシャス・バイアスの解消といった取組も併せて進めていきたいと思っております。
 44ページ目からが、科学技術コミュニケーションの展開になります。
 45ページ目のところで、今後の具体的取組・方向性として書かせていただいていますが、(1)で、科学技術コミュニケーションの推進ということで、これは親の委員会のほうで桝先生のほうから御提案いただきましたが、最初の丸のところで、特に科学技術に関わる政策に関する市民、産学の科学技術人材、それと政府関係者等の対話を推進するということで、対象者をもう少し明示的に書かせていただいているところです。
 また、目的や対象等を踏まえたような科学技術コミュニケーションの在り方であるとか、STEAM教育と科学技術コミュニケーションの連携、それとアウトリーチ活動をしているような研究者についてきちんと評価をするといった取組を進めていくということ。
 それと、科学技術と社会に関わるような研究開発の推進ということで、総合知であるとかシチズンサイエンスといった新しい潮流を踏まえたような研究の支援というのもやっていくというところ。
 あと科学技術コミュニケーションに関する人材として、46ページ目に幾つか例示を示させていただいていますが、大学においてサイエンスコミュニケーターの育成をするような講座を設けているところも出てきていますので、これをより横展開していくということも考えてまいりたいと思っています。
 続いて、47ページ目からは、最後、3つ目の柱になります。制度・システム改革の推進ということで、48ページ目、女性研究者のさらなる拡大であるとか、特に上位職に進むような女性研究者を増やしていくということ。それと、海外からの優れた研究者の招聘、それに関わるような大学研究機関における体制整備の支援。それと、あと産業界とアカデミアの間の人材流動がなかなか進まないということがありますので、これも重ねてで恐縮ですが、共同研究であるとかクロアポを通じたような取組を推進するという辺りを入れています。
 最後、50ページ目になります。制度・規範等の整備ということで、これまで各大学のほうで研究公正、研究インテグリティ・研究セキュリティに関する取組の徹底というのをお願いしてきましたが、こちらは人材育成も含めてさらにその展開をしていくことと、特にELSIの対応、倫理的・法的・社会的課題について、全ての研究者が本来的には身につけるべき基本的な素養だと思っていますので、こうした取組をより一層徹底するという辺りをここでは書かせていただいています。
 全体として、こうした形でまず概要として取りまとめていますけれども、親の委員会のほうで報告書の形にして、来月末に最終的な取りまとめをしたいと思っております。ということで、ここでもいろいろ御意見等を頂ければありがたいと思います。
 以上です。
【狩野主査】  大量の内容をよくこの時間でお進めくださったと思います。ありがとうございました。
 尾上先生、先にいかがでしょうか。
【尾上委員】  ありがとうございます。他のところも含めて、包括的にまとめていただいているのは、すごくいいなと思ってお聞きしておりました。
 この、さっきどこであったかな。すみません、場所が見つからない。場所を見つけられないので、また後ほど申し上げますけれども、多様な人材というところを、うまく研究開発マネジメントも含めて、ガイドライン等で置いて、それと合わせる形でというので、日本全体としてレベルが上がるというようなところが重要かなと思うので、そういうところをうまくコントロールしていただければなと思いました。
【狩野主査】  ありがとうございます。
 そのほか、人材委員会のほうの親委員会と呼ばれるほうには入っておられない方々の御意見を先にお伺いできればと思うのですが、いかがでしょうか、重松先生、永井先生、登本先生ですね。では、重松先生、お願いします。
【重松委員】  よろしくお願いします。
 スーパーサイエンスハイスクールの方向性というのも含めて、国民の皆さんに広く御理解いただければいいなと思うんですけれども、特に最近SSHでは、小中の子供たちに対するアウトリーチ的な講習会等々を高校生がするというだけではなくて、既に御存じのように、三菱総研の指摘にもありますように、実は幼児教育等々のほうの少しでも早い段階というんでしょうか、環境的な整備も含めて、そういう段階での子供たちへの科学に対する問題意識というのでしょうか、興味・関心というのをどう育成するかということは、非常に大事にSSHでも考えております。そういった意味で、この報告案を読ませていただいて、初等中等から始まっているからやむを得ないところがあるのですが、どこかで幼児教育というか、幼児の段階において、何か言葉上、少し触れていただいてもいいのではないかなと思うのが1点です。
 それから、SSHの進路の関係で言いますと、以前にも御指摘があった、あるいは指摘したかもしれませんけれども、進路担当の先生が結局どういう進路の指導をするか、あるいは支援をするかということが非常に大きな問題になっております。そういうときに、理学部とか工学部のイメージがあんまりはっきりしないんですよね。医学部とか薬学部というのははっきりするのですが、そういったところの社会的なアピールがしっかりできるような、きちっとした在り方というのを国民に分かりやすく、理学部・工学部のPRも非常に大事ではないかなと。そういうことを通して、高校の先生、進路担当の先生にもそういうことを御理解いただくことが大事ではないかなと思っております。これが初等中等教育関係の方向性の問題であります。
 それから、科学的コミュニケーションの方向性でありまして、これは特に大学で、これもSSHに関係するのですが、以前指摘しましたように、大学が高等学校と協力いただくのはいいんですが、なかなか個人的な協力にとどまりまして、組織的な協力関係というのはなかなかできていません。一応協定は結ぶのですが、結果的には、高校の特定の先生が大学の特定の先生と結びついてお願いをする、あるいは協力を高校生から頼むというふうになりまして、それは何が問題かというと、以前指摘しましたように、大学における地域貢献の評価が低いのではないかなという気がするのです。あるいは、そういったことに対する支援の予算的な措置も含めて、なかなか難しいところがあるのではないかなと。そういった点において、大学における、せっかく頑張って地域貢献をしようという大学に対するサポートにも何か一言触れていただければありがたいなと思うのがもう1点です。
 最後にお願いをしたいのですが、この基本的な報告になったときに、言葉をいろいろ読んでみたのですが、高校生は正直言って読めません。あるいは、もっと国民に広く読んでもらうために、今、SSHの高等学校の提言でも、報告書でもお願いをしているのですが、用語集を作っています。その高校独特の用語もありますから。外部に漏れないように、この報告書を高校生でも分かるようにするための用語集の作成をAIに依頼しました。そういったように、少しでも国民に触れて、国民が分かりやすくなるような配慮もいただければなと最後にお願いをしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
【狩野主査】  大変大事な御意見で、ありがとうございました。内容によっては、科政局に閉じないので、幹部の皆様に把握していっていただいて、ほかの局にも伝えていただけたらなと思いながら伺いました。ありがとうございます。
 では続いて、永井先生、お願いいたします。
【永井委員】  ありがとうございます。私は、やっぱり一番関心を持てたのが、科学技術人材の育成・強化ということが明言されて、それと産業人材、いわゆるその産業の在り方であるとか、在り方というのは成長の仕方ですね。日本という国の経済産業界というものがどういう構造で発展していくのかということと、その人材育成の将来像というのは、一致していかないといけないという気持ちがあります。日本は非常に情報科学分野では先行していたはずなのに、今は例えばAI時代になって、AIを活用した産業でどのくらいの世界的な人材の活躍が展開できているのかなど、調査を踏まえる必要があります。中間のまとめのほうにはAI for Scienceというような形で明記していただいていますし、私どもは、先端科学技術というすごくその展開のスピードが速い分野なので、次世代人材といっても、もう本当に5年先、10年先を見据えながら、世界的な動向を見通した教育・研究というのを進めていく必要がある立場からすると、一番重要であり欠けているのが人材流動だと思っているのです。産業界と大学がパートナーシップをもって連携するということは、形では語れるんだけれども、具体的な人材流動になってくるといろいろな課題がありますので、そこを強化するような仕組みというものが進んでいくといいなと思って、大変そこは期待しているところです。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。やはり人の行き来がないと、なかなか一緒の活動は増えていかないということを伺ったように思います。ありがとうございます。
 では、登本先生、お願いいたします。
【登本委員】  私も初等中等教育段階において、ここまで理数系教育の充実を牽引してきたSSHの貢献を、もしSSHの制度がなかったらと振り返ってみましても、SSHがここまでの科学技術人材の育成を大きく牽引してきたものと思います。それが今回さらに取り組みやすいように整理された意義は、とても大きです。
 また、今後の科学技術人材育成を考えたときに、初等中等教育に1人1台端末が整備されたことがとても大きいと思っております。もちろん直接の体験が一番望ましくはありますが、今後の制度や支援のあり方を検討していくに際し、教室で児童生徒がデジタル情報に直接アクセスができるようになっているということ、子供たちがデジタル端末を持っている、それを活用しながら教室で学習することができるようになっているということを踏まえて進められるとよいと思います。実際に体験できることが一番よいわけですが、今まで紙でしか教室の中で扱うことができなかったところ、デジタルコンテンツを通じて可能になることが格段に増えました。それによって体験の機会が損なわれることがあってはなりませんが、紙かデジタルか、体験かデジタルかということではなくて、学習の手段が増えたということは望ましいことです。デジタル技術を活用することによって、SSHや探究的な学習、教科の学習、STEAM教育などの質の向上も確実に可能になるでしょう。先ほどの今までだったらなかなかできなかった地域的な課題、時間的な課題にアプローチすることもできます。永井先生もおっしゃっていましたように、早く新しいことを届けていくということにも貢献できます。今後の取組や、科学技術のコミュニケートとしていろいろなことを発信していくに当たっても、デジタル端末が整備されたということも踏まえて、今後取り組んでいく必要があると思いましたので発言させていただきました。【狩野主査】  ありがとうございました。デジタルの活用とかAIという言葉を入れると昨今は流行りやすいところもあるので、より多くの項目に入るといいのかなと思いながら伺いました。できれば、最終的には、多分この中間まとめのところに何本か柱が、もちろん幾つかもう埋め込まれてはいるんですけれども、これは新しいねという柱が見えやすくするといいのかなと思ったりしていて、それの1つにデジタルが使えるかと今思って考えていました。ただ、既存の柱のどれにも活用できるほどには、まだ用意が進んでないなとも思いました。ありがとうございます。
 それでは、続いて、今ので人材委員会の委員ではない方からは御意見が頂けたようですけれども、ほかの皆様、どうぞオープンです。お願いします。
 川越先生、お願いします。
【川越主査代理】  ありがとうございます。また、御説明をどうもありがとうございました。
 人材育成について、初等中等教育段階から博士人材、また社会において活躍する人材というところで、今後の方向性が、資料としては多いですけれども、すごく分かりやすくまとめられているなと感じました。
 私からは、まず初等中等教育の人材育成のところですけれども、SSHも今後発展的に改善させていくというところや、STELLAとか、女子中高生支援の拠点を拡充するというところは、ぜひ推進して実現できるといいなと思います。
 そういった中で、特に女子中高生のほうかもしれないんですけれども、キャリアパスの多様性を伝えていくというところが、将来的には博士の人材にもつながっていって、女性研究者にもつながるかなというところなので、ぜひ拠点を増やして拡充していただければと思います。このキャリアパスの多様性を伝えるに当たって、重松先生からもありましたが、理学部、工学部というのが、まず高校生にとって分かりにくかったりとか、経済学部というと文系というイメージがあったりですとか、学校科目と社会での分類が異なるということがあると思います。特に工学は、学校科目で初等中等教育になくて、技術家庭科の流れかなと思う生徒さんもいますし、小学校で皆さんは工場見学をすると思うんですけれども、工場見学は社会科見学なので社会科になってしまうとか、科学技術や理系分野というのと、社会にある工場だったり産業みたいなものが結びついてない可能性があるのかなと思います。そういったところは、STELLAを通してとか、女子中高生育成を通してかもしれないんですが、高校の先生方、それから保護者の皆様にもそういった社会における分類や、学校科目とのつながりみたいなものが見える形の支援になるとすごくいいなと感じました。
 それから、もう1点、高度専門人材の、研究開発マネジメント人材の育成というところで、これもこれから大事になるところと思うので、拡大していただけるといいなと思っています。そういう中で、どうしてもこういった方々はパーマネントではないといいますか、安定的なポストではないことが多く、だからこそ能力のある方はいろんなところに寄与できるということもあるんですが、一方で不安定ということで、なかなか多くの人材を育成しづらいというところがあると思います。こういった人材も、PIだけではないんですけれども、人件費だったり、安定的なポストとしてできるような枠組みもあると、流動的にしながらも安定もするというところで、このような人材の育成につながり、そこを目指そうという人の裾野の広がりにもつながるのかなと思います。そういった、幅広く支援するのは難しいところなんですが、流動性と安定性みたいなもののバランスが取れるといいのかなと感じました。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございます。今回の内容というのは、支援する類型が今までよりもより多様に示されているということは、大きな特徴ではないかと思います。その結果、総花的に見えてしまうかもしれない、でもそれによって、より自分の生きる道が支えられて感じられる人が増える、その点は非常に大事なことなのではないかなと思っております。ありがとうございます。
 続いていかがでしょうか。水口先生、いかがですか。
【水口委員】  そうですね、非常にリッチにまとめていただいており、内容については、特に異議はございませんが、全体像を一枚絵とかで、こういう形で人材の育成、政策を進めていきますよという大きな絵に落とし込まれているといいなと思いました。初等中等教育から博士人材の活躍まで各過程において、最初のページに、こういうビジョンで政策を進めていきますよというようなものがあると、より分かりやすいなと思いました。
 また、人材の流動性や、キャリアパスというワードだけではふわっとしており、イメージがつきにくい部分があると思います。そこをもう少し具体化して、例えばキャリアパスと言っても、単純に就職するだけというようなイメージを持っている人も多くいるかなと思います。しかし実際にはさらに幅広く、例えば、スタートアップのエコシステムにおいて、博士人材が活躍できる場というのが多くあり、TLOであったり、研究開発マネジメント人材であったり、様々なキャリアパスがあるので、具体的にこういうところで博士が活躍できますよという具体例があると、より分かりやすくなるかなと思いましたので、そういうポイントが入っていると、よりよいかなと思いました。
【狩野主査】  なるほど、ありがとうございます。今の後半の点は、就職しようと思うと、普通の学生には、いわゆる「業界地図」とかそこで載っている会社情報みたいなものしか今は多分よりどころがないところに、場合によったら、科学技術的な素養が生きるようなそういうカタログみたいなものがあってもよさそうですね。言うのは簡単で作るのは大変そうですけれども、でも何かあってもそうだなという気が今して伺っていました。
 桝先生、きっと「一枚紙」を作ってくださるかもしれないけれども、そんな期待はしないで、どうぞ幾らでもおっしゃってください。
【桝委員】  期待に応えられないで申し訳ないですが、科学技術コミュニケーションの展開の部分に関して、本当に様々な意見を取りまとめてくださって、しかも分かりやすく書いてくださったので、もう内容に関しては何も特に言うことがないんですけれども、今、水口さんのお話を聞いて確かにと思ったのが、結構一枚絵ってあるとすごく分かりやすいなと思っていて、今回のこの科学技術コミュニケーションの推進の1個新しいところというのは、これまでアカデミアと市民というこの丸2つだったのが、市民、産業界、アカデミア、政府という、何かこの4つをつないでいくという感じをしっかり描けているのは、今回新しいのかなと思っているのです。
 傍聴者の方もいらっしゃるのであまりナーバスな話はできませんけれども、今回の第7期といいますか、次の一歩というのは、このコロナ明けの初めての一歩になると思っていて、アカデミアでもこの政府と科学者との対話という部分で、物すごく課題感を感じた方が多かったと思うんですよね。なので、そこの部分も含めて、そこもちゃんと意識したこの科学技術人材を育成しようとしているんだなというのは、1つ何か大きな柱として、もう既に内容には入っていますので、そこが伝わると、確かにより何か新しい一歩だなというふうに感じられるかなと思ったので、すみません、これはどこまでイラストを入れていいのかどうか、僕は全然分からずに言っているんですけれども、本当に単純な、市民、産業、アカデミア、政府・自治体とか、4つの丸を矢印でつないで、それぞれのところの人材を育成するみたいなことを何かぬるっと書くだけでも、多分アゴラとか未来館って、結構その科学と市民という、ここの部分の矢印が向いてると思うんですけれども、図が1枚あるだけで、ほかの部分の人材も育成しようという気持ちがあるんだなというところが伝わるかなと思ったので、奥さんにとんでもない無茶ぶりをしているような気もするんですけれども、もしそういう一枚絵みたいなものが、先ほど高校生とか中高生に直感的に分かる話というもありましたけれども、もしそういう何か余地があるのであれば、スコーンとそれを入れてもいいかなというのは、今、先ほど水口さんの話を聞いて思った次第です。内容は、本当に文章をしっかり読むとすばらしい内容だなと思いますので、あとはその表現の部分で、もしよりよいものができればと考えました。
【狩野主査】  ありがとうございます。全くおっしゃるとおりです。
 今日は少し時間に余裕がある様子なので、自分の個人的見解をもう少し述べてみます。今回、多分、奥課長らが考えて始められた、例えばSSHのことももっとちゃんと扱おうとか、あるいは技術者のこともちゃんと扱おうという、あるいは科学コミュニケーションも一緒に扱おうというお気持ちの結果出てきたことは、一般社会とか市民との接合というところに関して、人材政策課なんだけれどもしっかり扱えるようになったということは大きな一歩ではないかとは思っています。それゆえ、そこをより大事にした表現をしてもいいかなということを、やっぱり今日、読みながらとても思っていました。
 例えば、最初の「基本的な考え方」のところの文面について私が提案してみたいのは、例えばこの「一層激化」はそうなんだけど、その次の「我が国としても」の先が、日本社会の多様な場で科学技術の創造的な考え方を活用できる人材が、より増えて、より活躍できることが、目指したいことなんだと思います。多分、今まではより科学技術そのものに対する投資だけを考えてこられたところがあるかもしれない中で、しかし今回そのような社会との接合性をよりよく考えた結果として、幾つか新しい風が各政策に入っていると感じられます。類型化のこともそうだし、あるいはキャリアパスの決め方もそうだし、SPRING事業は民間志向の人に対しても頑張って出しますという言い方になっている。多分、だからそういうようなことを少し頭出ししてから始めれば、それのためのパッケージですという言い方にすると、極めて骨太の方針的な意味にもつながるのではないかということを期待しました。
 例えば、骨太の方針を見ると、地方創生の文脈ですが「今日より明日がよりよくなることが感じられる」と書いてあります。これを実現しようとするとどうなるかというと、自分の進むべき道がよく見えるというのは、それに資しますよね。それから、あと、今はできていないことを何か明日は実現できるかもしれない気持ちに、科学技術はとても関わるわけですので、そういう能力を持った人がより増えて、その中の、よりよくできる人は公費を、より支援をちゃんとしますというような発想で書いてあれば、極めてよくつながる内容なのかなということを思いながら、今、見ておりました。
 その意味では、やっぱり市民社会とか、あるいは一般社会とより広く行き来する、パイプが太くなる、そこの工夫も、いろいろこのパッケージに入っていますと。例えば、SPRING事業の結果として産業界で活躍できる人に対する支援が入っていますとか、あるいはSSH、さっきから御発言いただいている中であれば、教科学習は義務教育だからどの市民もしているんだけど、でも、その先にどのように今の世の中の最先端がつながっているのかというところがそんなに見えていないところがあるとすれば、そこをしっかりつないだようなことを後押しする政策の必要があります、とか、あるいは、DCに関してだったら、スタートアップに対することもぜひやってくださいと入っているということがそれを後押ししていますとか、そういうようなことで、いろんな特徴が、今みたいな頭の機関車をつけておくと、よく走るんじゃないかなということを思って見ておりました。
 あと、もし、この資料に今までの振り返りが少ないという印象がある人がいるとすれば、そこにはさっき登本先生がおっしゃった、もしなかったらどうなっていたかという声を集めてちょっと書いておいたりすると、非常にポジティブな面がまず浮き彫りになり、その中で何が足りなかったかというと、ちょっと科学技術しか見ていなかったかもしれませんという振り返りになるので、今回、より一般社会とのつながりがよくなりますというような表現にするのはどうかという仮説を持ちました。
 二巡目、どうぞ皆様、どうぞ。
 重松先生、お願いします。
【重松委員】  よろしくお願いします。
 基本的に、SSHが23年前に始まったときによく言われたんですが、科学を一生懸命やったり、そういったことを議論するのはちょっとおかしな人材だと思われた時代があったんですよね。そういった人材も非常に大事な人材であるし、そして、科学技術的な成果というものは、ブラックボックスじゃなくて、ホワイトボックスまではなかなかいかないかもしれないけれども、やっぱり国民に対して非常に大事なことだということを思うようになっていただいたのは、このSSH事業の一つの成果かなと思ってはおります。
 そういった意味で、それを少しでも多くの人に普遍的に御理解いただきたいんですが、ちょっとやっぱり課題もあります。というのは、理数科の生徒さんはいいんですが、普通科の生徒さんの中には、なかなか探究的なものへの取組にそう積極的じゃないところがあります。やっぱり何か探究することよりも、はっきり言って、覚えて問題を早く解いたほうが成果が上がるというような印象が強いんですよね。そういうふうな社会的な、よく正解主義と言うんですけども、というような時代というものが、今後、決してそう長くは続かないと考えます。もっと大事なことを言えば、今後の社会の進展、特に科学技術的な側面での進展というものにあなた自身が参画する価値というのか、あるいは必要性があるし、その意味であなたが求められていますよ、ということを意識を少しでも多くの生徒さんに、あるいは国民の皆さんにアピールできればいいなと思います。そういう点において、この基本的な提言というものを生かしていただければいいなというふうに思っております。
 その点において、狩野主査が御心配しておられたように、では、科学技術の人材と言いながら、どんな能力が大事かというようなことで、前にSSHの委員会でお話がありましたように、基礎要件みたいなものを明確にしたらどうかというので、やっぱりそういった議論もあると思うんですが、高度な研究をできるというだけじゃなくて、前の博士人材のガイドブックなんかを読ませていただくと、ほかの分野で突破する力というんですかね、視野の広さとか、そういったことに関わって、どんなふうに人材として育てていくのかということの方向性を、もう少し明確に高校のSSHの段階においても意識していきたいなと思います。あるいは意識できるような提示の仕方もしていきたいと思いました。そういうつなぎというものをしっかりと今回は提示していただいたと理解しました。
 そういった意味で、ぜひ広く、これを高校に配っていただくことはなかなか難しいかもしれませんが、高校の先生も含めて御理解いただければなと思っております。
 以上です。
【狩野主査】  大変ありがとうございます。人材政策課は「一家に1枚」シリーズもやっておられますが、これも「一家に1枚」に入れてしまう手もあるかもしれませんねというようなことも思いました。
 あと、重松先生のおっしゃった中で、やっぱり科学技術という言葉が、何か雲の上の存在ですというイメージともしつながっているとすれば、もう少し開いた言い方をする必要が、もしかしてあるかもしれなくて、その中で。私の仮説としては、「あなた自身を生かして誰かのために役に立ちます」ということが、本来、多分、もともと全部に通じていると思うのです。それの方法として、「証拠を集めてきて他者に納得してもらった上でそれが実現します」というのが科学技術じゃないかなと思っているんです。だとすると、そういうことをどこかに定義を書いて、もし文書がワーキング・グループやら委員会の共同名義なのであれば、そういうことを言っている委員がいて、みんなそれで納得していたので、いきますということで出していただく手もあるかもしれません。いろいろやり方があるかなということは思ったりして伺いました。
 すみません、今日、コメントが長めになっているのはまだ時間があるからなんですけど、ほかはいかがでしょうか。
【川越主査代理】  じゃ、なければ。
【狩野主査】  どうぞ。
【川越主査代理】  ありがとうございます。
【狩野主査】  永井先生、その後で。
【川越主査代理】  私から2点ほど。先ほど出た、1枚の絵にするのは難しくても、2枚くらいでもいいので、ぜひ図解されたものがあるといいなというのは、お話を伺っていて感じました。多分、1枚にするとすごくビジーな感じになるので、例えば、小、中、高、大、社会みたいな、学年といったもので表されているのと、あとは市民とか産業界、大学みたいなステークホルダーごとみたいなところで、何かキービジュアルみたいな感じになっていると、それがぱっと出たら、あ、この政策ねというふうに、この関係者だけではなくて、市民の皆様にとっても伝わりやすいものになるのかなと感じました。
 あと、もう一点、非常に様々な支援がパッケージ化されているなと感じたんですけれども、この中で若干手薄かなと思うのが、学部生の支援なのかなと感じました。学部で卒業して社会に、企業に就職するという方がボリュームゾーンになるかなと思います。そこの学生さんへの具体的な支援というところは、既にされているところもありますし、難しい部分かと思うんですけれども、将来的にまた社会人学生として、博士課程に戻ってくるような人も多いというか、そういう人が増えるといいなと思うと、小中高の支援はすごく盛り込まれているので、学部生に対してもそれを伝えるような、何かアクションが少し入っていると、より手厚い支援、制度になるんじゃないかなと感じました。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございます。そうですね、何歳ぐらいからやればいいかというところは、多分、研究結果がきっとあって、多分結構早い年頃だろうと思います。大学生だと遅いんですよね。
【川越主査代理】  そうですね。
【狩野主査】  そういうことを考えると、やりにくいかもしれませんけど、初中局の関係のところ、あるいは高等教育局の関係のところの方を呼んでいただいて、科学技術という観点から見ると人材育成はこうだというふうに委員がここで言っていますと、文教系ではそれはルールとしてどういうふうに対応できますかとかいうような議論をこの場でやっても良いのではと、省外の人として言っておきます。
 永井先生、どうぞ、お願いいたします。
【永井委員】  さっき私、科学技術人材の育成とか、経済、割と5年先、10年先のことをかなり強めに言ったんですけれども、実際のところは科学技術志向の高い学生さんに対して、座長がおっしゃるような今日よりもよいあしたというのは、そういう単純なものでもなくて、やっぱり自分のためのあしたよりも誰かのためのあしたというのを考えるマインドというのは大分育ってきているというか、みんな結構共通にそれを持っていて、やはり私たち、ELSIという言葉以上にRRIという言い方、科学技術というのは責任あるあしたをつくるものなんだって説明しているんですよね。それは日本の中では結構重要なことで、子供から大人まで共通して持っているのは、例えば石川県に私は住んでいますけれども、能登半島の震災が起きたときのあの、何というんですかね、恐怖ですよね。ああいうことであるとか、食糧のことにしても何にしても、単に夢見るだけの科学技術じゃなくて、いざというとき頼れる大人としてこの社会の構成員になるんだというモチベーションは、1人の人間が学んでいって成長する上でのすごく重要な心の目標になると思うんです。
 日本は、やっぱりそうした公共心を持ちつつ、責任感を持って人が育つ、かつ研究インテグリティの面などに対しても、要するに、正しい知識を持って国際社会の1メンバーとなるんだという自覚、そういう成長ストーリーというものもしっかり強調した上で、育てる側も社会の一員という意識で科学技術が語れたらいいなと思っていて、今回、すごく専門化された科学技術に特化した話じゃなくて、社会とつながるんだという話がせっかくできたので、私たちは責任を持ってそうやって社会と関わっていく人を育てるんだというメッセージが伝わるといいなと思った次第です。
 以上です。
【狩野主査】  誠に。今のまとめですとELSIのことがちょっと最後に付け足し感があるんですけど、何でELSIが必要かが、まさに今のことですよねというふうにつながっていくと、とても内容が分かりやすくなるなと思いました。ありがとうございます。
 登本先生、お願いします。
【登本委員】  先ほど重松先生がブラックボックスという言葉を使われていましたが、これだけ高度に科学技術が発達していくと、ブラックボックスの中がよりブラックボックスになってきていて、今までだったらまだ考えれば分かったところが、全く見当もつかないという状況になりつつあります。同時に、実際に生活に関わるところはどんどん増えてきていて、科学技術を学ぶことの重要性は増しています。永井先生が「ほかの人に大切だということが広まってきていることがいいですね」と言ってくださったことと同時に、科学技術は私たちの生活になくてはならない素養と言っても過言ではありません。狩野先生がどういった言い方がいいんだろうとおっしゃっていたように、「科学技術」と表現したときに、自分には関係がない、遠い雲の上の存在だと思われてしまうと、もったいないと思います。
 デジタルリテラシーや科学のリテラシー、ELSIのことを考えるにしましても、普段の生活において、情報に惑わされないですとか、科学的な根拠に根ざして説明をしたり受け取ったりする客観的な判断ですとか、ごく些細な判断をするに当たっても、科学技術を理解していることが大切であり、今後ますます大切なものになってくるということを伝えていきたいです。デジタルリテラシーや科学リテラシーを私たちがごく当たり前に持たなければ生活にも支障が出るということがもっと理解されていったらと改めて思う次第ですが、こうしたことを参考資料3-1にまとめてくださったものと思います。ありがとうございます。
 また、川越先生が先ほど学部生の支援について言及されておりました。例えば中学校、高等学校においてSSHやなどで探究的な学習などをとおして、一人一人が探究的に育つようにという支援が進んできている一方で、学部生は一番取り組める段階に育っているのにも関わらず、一人一人に合った教育がなされているのだろうかというところは、今一度考えるところがあるのではと私も併せて思いました。【狩野主査】  ありがとうございます。やはり義務教育の現場でAIの活用の仕方について迷いがたくさんあるとかいろいろなことを聞くと、でもそれは中身が科学技術なんですよね。ですから、あなたがふだん使っているスマホの中にどれだけの科学技術が含まれているかを知ってみましょうという「一家に1枚」があってもいいかもしれないし、何かいろいろそういうふうにして、極めて身近にあるから、よく知らないと危ないよというようなことがうまく伝わると良いのかなという面もありそうな気がしてきました。
 コミュニケーション専門家として、いかがでしょうか。桝先生。
【桝委員】  ちょっと、ものすごく大きなお題なので意見が言いづらいんですけれども、でも確かに、科学技術が発展すれば発展するほど遠くなるというのは、本当に科学コミュニケーションでいつも感じるところであって、でも、じゃあ……、ちょっとすみません、ここからは僕個人の意見になってしまうんですけれども、多分、あまり科学を科学として伝えないほうがいいというのは、今個人的にこっそり考えていて、本当に身近な中で科学というラベルをつけずに科学的な考え方や科学の知識が入っていくというのが、今、大事なんじゃないかなと個人的に思っています。
 ちょっとこれはまだ今回のお話ではなくて、もっと遠い話になるかもしれませんけれども、個人的に、こっそり、ステルスサイエンスコミュニケーションと呼んでいるんです。これは科学です、科学って面白いでしょうではないような、本当にごくごく普通に、それが科学だったんだと後から分かるようなコミュニケーションの方法、接続の方法というのがこれから広く検討していければいいなとは個人的に思っていますね。まだ名前はついておりませんが、はい。
【狩野主査】  はい。「ステルス」な話題も教えていただいて、ありがとうございました。
 なかなか省庁で難しいと思っているところは、類型化、カテゴリー化をして名前をつけておかないと支援対象にしにくい側面です。今回であれば研究者という名前の人、研究を目指す人という名前の人、技術者という名前の人に対して、どうしますか、という議論は立てやすいわけです。しかし、その中で、今日お話があったような個々人の強みから発するボトムアップの内容と、そうした類型やラベリングがどのようにつながってきて、もしかしてラベリングを改善しなければいけなくてみたいなところは、なかなか省内でお話しになっていると難しいときがあるのかもしれないということは思ったりしています。それを我々のような委員、外の人がいろんなことを言って、うまく改善していただければいいなといつも思ったりしています。
 いかがですか。
【水口委員】  科学のリテラシーについて、幼くても、身近なこと、例えば自分の健康等とサイエンスが密接に関係していますよというような話は身近に感じ、興味を持ってもらえることが多くあります。
 一般市民向けに講演をさせていただく際、健康とサイエンスの話をしますが、自分事として捉え、理解がぐっと深まっている様子が伺えます。単純に文字だけではなくて、その場でお話しすることで身近に感じてもらえます。なので、科学館などでコミュニケーターと話すことによって理解が深まるかなと思いますので、そういった場を増やすのは非常に重要であるとともに、小さい子供がそういう場を体験すると、じゃあ自分もなりたいと科学者を目指すことにもつながってくるんじゃないかなとは思っております。
 なので、身近なところから、サイエンスに関わる機会を増やし、より理解を深めていただくようなアプローチで広めていくのがいいのではないかなとは思っております。
【狩野主査】  ありがとうございます。
 午前中は国際戦略委員会だったのですが、そのときに言いそびれたことを今、時間がちょっと残っているから申し上げてみます。科学が始まった西洋の国と違う日本の点は何かと思うと、やっぱりキャッチアップで、最初は実学的だったという点を挙げてみたいと思います。実益と関係しそうなものからサイエンスが始まっていた。そしてそのような科学技術の開始は、西洋でない国からすると、みんな今も当然やっていることだったりすると思われるのです。日本の特徴は何ですかと聞かれたときに、それを一つ言ってもいいかなと思ったりするぐらいに思います。
 例えば、日本では早くから総合大学に工学部が含まれました。欧州では19世紀は実学が下に見られる傾向から、既存の総合大学とは別の工科大学という存在が多かったわけです。それが日本では科学技術は輸入型だった一側面として、そんなに基礎科学と実学の差別感なくスタートしているように思われるわけです。だから、もしそういう、実学と基礎科学の上下ない往還的な状況に「立ち戻れる」部分もあるすると、今のお話のような、一般市民が持っている日々感じていることの範疇と遠くない科学というものが発展できる可能性もあって、一例としては災害に関すること、資源に関すること、あるいは今だったら高齢化社会に関することに対して科学技術的な発想がもし当てはめられるのだったらば、当てはめて発展させていくと、実は日本の魅力にもつながるんじゃないか。ということを、ちょっと午前中に思ったんですけれども、言いそびれていて、ここでも関連すると思って申し上げてみました。
 多分、そういうことと今日やっている内容というのは近いところがあって、例えば、民間で活躍していこうというのは多分そういうことですよね。お客さんが買ってくれるようなものをつくらないと民間に行けませんので、そういう意味では、そういう気持ちが科学技術の中に入ってこられるかどうかということだし、それをやっているような人たちにも支援の対象が広げられるかということだし、そういうことを仲立にしてサイエンスコミュニケーションがうまくいくかなという面もあるような気がするし、そういうことが含まれているように思いながら聞いていました。ということで、すみません、委員会をまたいで発言してみました。
 ほかは、いかがでしょうか。そろそろいいお時間になってまいったわけですが、皆様、二巡されましたっけ。大丈夫ですよね、たしか二巡されたような気がするんですが、よろしいですか。
 さらに、このワーキング・グループは一段落なのですけど、言い残したことがあったら、ぜひおっしゃってください。
 よろしいでしょうか。
 はい、では、まず、たくさんの資料をまとめていただいた皆様方に御礼を申し上げまして、また、それを簡潔に説明していただきましたおかげさまで、今日は私が言いたいこともたくさん申し上げる時間もいただきました。ありがとうございました。ほかの方々も言えたのではないかと期待しております。
 では、いつもながら幹部の皆様に一言ずついただきたいということで、台本によりますと局長にはしんがりをお願いするということで、先に福井様からお願いしたいと思います。
【福井大臣官房審議官】  活発な御意見、ありがとうございました。
 中間取りまとめに向けての作業について、皆さん前向きな御意見をいただいたがゆえに、これをどう分かりやすく伝えるかとか、そういったところも一つ工夫していかなければいけないなというのが、今日は大きかったと思います。今後の人材委員会、その後も何かしら施策を予算なりに実現していかなければいけないと思いますので、そこを皆さんでしっかりやっていくということかと思います。
 個人的には一つ、科学のリテラシー、コミュニケーションもそうですけれども、基本的には、人は誰でも好奇心を持っていて、その好奇心を正しく刺激してあげる、知りたい知りたいを健全に刺激していくことで、科学技術が国民の皆さんに正しく広がっていくのかなというイメージで聞いておりました。
 以上でございます。
【狩野主査】  ありがとうございます。重松先生のお言葉につなぎますと、幼稚園児が「なぜ?」と聞きまくるのに、「変なことを聞くんじゃない」と答えるんじゃなくて、「それは誰も知らないから、一緒に調べようよ」と返事をするだけで全然違うかなという気がしているところです。
【福井大臣官房審議官】  そうですね。そういうことだと思います。
【狩野主査】  ありがとうございました。
 では、井上局長、お願いいたします。
【井上科学技術・学術政策局長】  今日もいろいろ、本当に勉強になりました。いろいろな御意見をいただきましてありがとうございました。
 今回は科学技術というものを軸に御検討いただきましたけれども、ここまで本当に包括的な検討だったと思います。だから本当に、今日御意見もいただきましたけれども、私もこの御意見、この取りまとめを見た国民の皆様方が、ああ何だと、我々には本当にもっといろいろな学びのチャンスがあるんだと、いろいろなキャリアの可能性があるんだとか、そういったことを本当に思ってもらえるものに……、これはこの1枚紙の成果にもよるかもしれませんけれども、そういった様々な学びのチャンス、キャリアの可能性みたいなものを感じていただいて、その先には、我々は世界とももっとつながれるし、さらにそれが日本の社会、幸せな世の中、そういったものをつくっていくんだよというか、科学技術の人材政策ではあるんだけれども、そのような明るいビジョンを皆さんに感じていただけるようなものになると、したいなと思って……、いや、そういう中身が今回できたと思うんです。できていると思うので、そういったものをきちんと国民の皆さんに伝えていけたらいいなと。
 そして、この中身を我々は政策に落とし込んでいって、様々な手を打っていくわけですけれども、本当に国民の皆様といいましょうか、いろんな方がいろんな活動をする中で、あっ、実はこれに文部科学省がこんなサポートをしてくれていたんだと、ステルス文科省じゃないですけれども、そんな感じで、文科省もいろんなところでいろんなサポートをしながら、本当に日本がどんどんよくなっていけたらいいなと、今日、皆様の御意見も伺いながら、そういうことを感じた次第でございます。
 ステルスじゃなくて表にもたまには出たりするかもしれませんけれども、文科省として本当に様々な手を打っていきたいと思っておりますので、そういう意味では引き続き先生方のお知恵を拝借したいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
【狩野主査】  ありがとうございました。よりよい明日を支える文科省ということで、ぜひお願いしたいと思います。
 それでは、これで内容は終了となりますが、最後に事務局から事務連絡をお願いいたします。
【白川人材政策課課長補佐】  ありがとうございました。
 今後は、本日までに本ワーキング・グループで御議論いただいた内容を踏まえ、親会議の人材委員会において中間まとめの審議を進めてまいります。
 本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にお目通しいただき、主査に御確認の上、文部科学省のホームページを通じて公表させていただきます。
 次回ワーキング・グループの日程については、また改めて御連絡をさせていただきます。
 以上でございます。
【狩野主査】  ありがとうございました。
 それでは、本日はこれにて閉会といたします。誠にありがとうございました。
 
―― 了 ――

お問合せ先

科学技術・学術政策局人材政策課