人材委員会 次世代人材育成ワーキング・グループ(第3回)議事録

1.日時

令和7年6月5日(木曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省15F局1会議室及び Web 会議(Zoomウェビナー)

3.議題

  1. 各教育段階における科学技術人材の育成に関する今後の取組等について
  2. その他

4.出席者

委員

尾上委員、梶原委員、狩野委員、川越委員、重松委員、永井委員、登本委員、桝委員、水口委員

 

文部科学省

井上科学技術・学術政策局長、福井大臣官房審議官、先﨑科学技術・学術総括官、奥人材政策課長、髙見人材政策推進室長、髙橋人材政策課課長補佐、滝沢人材政策課課長補佐、白川人材政策課課長補佐、井上人材政策課科学技術社会連携係長

5.議事録

科学技術・学術審議会 人材委員会
次世代人材育成ワーキング・グループ(第3回)

令和7年6月5日

 
 
【狩野主査】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから科学技術学術審議会人材委員会の次世代人材育成ワーキング・グループの第3回目を開催いたします。
 本日は9名の皆様に御参加、御出席いただいていまして、定足数が満たされております。
 それでは、議事に入ります前に、事務局より、今日の資料の確認と、それからまた、先月19日に行われました108回の人材委員会におけるこのワーキング・グループ関係の主な意見について説明をお願いしたいと思います。では、お願いします。
【白川人材政策課課長補佐】  かしこまりました。事前に送付させていただいた資料といたしまして、議事次第、資料1から資料4、参考資料1から参考資料6でございます。不備等がございましたら、事務局までお知らせ願います。
 続きまして、資料1を御覧ください。前回のワーキング以降に開催されました5月19日の第108回人材委員会における本ワーキング関係の主な意見につきまして、私のほうから御報告をさせていただきます。
 まず、博士課程の学生支援関係について、学生の目に博士課程に進学するメリットが見えるように、民間企業や大学等がアピールをする必要があるという御意見。また、SPRINGにつきましては、優秀な学生をどのように選抜していくのかということを検討する大学における支援体制を考える必要があるのではないかという御意見や、社会人大学院生への支援について、裾野を拡大するとともに、トップ層を伸ばすことの両方を行うことが大切ではないかという御意見。
 また、初等中等教育段階における科学技術人材育成の関係といたしましては、トップ層の伸長と裾野の拡大の両方の視点で取り組むことが必要であり、その点において、STELLAやSSHの取組について非常に有意義なものと考えるという御意見や、大学の教員が積極的に初等中等教育段階における科学技術人材育成に取り組むことができるようなインセンティブの設計が求められるという御意見をいただいているところでございます。
 次のページに参りまして、科学コミュニケーション関係といたしましては、今後、根本的に科学情報に全く接しないという層が増えてくると考えられることから、これらの層をどのようにカバーしていくかという点も重要であるという御意見や、情報を届けていく上で、特に若い層を念頭に、どの媒体を選択するかということが重要だという御意見を頂戴いたしました。また、科学館、博物館との連携に関しまして、科学館や博物館と大学との連携について今後強化していくべきではないかという御意見や、地方の科学館、博物館などが必要な人材を確保できるような仕組みも今後求められるという御意見をいただいたところでございます。
 簡単ではございますが、私からは以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。
 それでは、今日は、議題は1つという設定でありますけれども、各教育段階における科学技術人材の育成に関する今後の取組等についてということになります。ただ、中が3つに分かれています。1つ目が、博士後期課程学生の皆さんへの支援、2つ目は初等中等教育段階での科学技術人材の育成について、そして3つ目が科学コミュニケーションについてとなっております。初めの博士後期課程学生の支援についてというところから入りたいと思います。
 では、資料の2-1、2-2に基づいた説明を髙橋さんからお願いできますでしょうか。
【髙橋人材政策課課長補佐】  ありがとうございます。博士後期課程学生の支援についてですけれども、資料2-1と2-2に加えまして、参考資料の2番と3番を準備しております。
 まずは、参考資料の2番から説明したいと思います。参考資料2の9ページを御覧いただければと思います。これまでも参考資料を入れておりましたけれども、追加したものについての御説明になります。
 SPRINGの採択大学における取組例としまして幾つか御紹介させていただきます。SPRINGについては、学生に対して研究奨励費や研究費を支援しているところですけれども、大学によっては様々な取組があるところです。例えば研究奨励費であれば、北陸先端科学技術大学院大学は、永井先生がいらっしゃるところですけれども、標準15万円のところを年次評価で優秀と判断された場合、18万円あるいは20万に増額をされているといったこういう取組とか、研究費であれば、東海国立大学機構の名古屋大学、岐阜大学ともに、標準25万円のところ、既存の枠組みにとらわれない自由で挑戦的・融合的な研究に選ばれた場合、50万円に増額すると、こういった取組がなされています。
 また、支援ではないですけれども、予約採用といった形で、例えば京都大学であれば、最終年次を対象に進学前採用枠を設定していたり、信州大学であれば、修士課程1年次のうちに支援対象者を内定する予約採用枠を設定するといった取組がなされています。
 また、留学生関係であれば、金沢大学においては、課程終了後、日本の企業、大学、研究所など、または外資系企業の日本国内の事業所に就職することを誓約することを申請資格及び採用者の義務に規定していたり、また、信州大学であれば、多様な文化的背景に基づいた価値観を学び、理解し合う環境創出のために、選抜の際にはそういった観点を踏まえて審査をしているといった取組がございます。
 ここで挙げたものは大学の募集要項などホームページに上がっているものを記載しておりまして、ほかにも様々な取組がなされていると聞いております。例えば最後の留学生のところであれば、大学がもともと学術交流協定などを締結している海外の大学に対して広報をしたり、あるいはそのための採用枠を設けるなどといった取組を行っているという大学もあると聞いております。
 続きまして、同じ参考資料2の23ページを御覧ください。これまでも博士課程進学に向けた支援、あるいは課程に入られた後、社会に出て行くまでの支援といったことを時系列で少し議論いただいていましたけれども、このページに関しては進学を検討する条件に関するデータになっています。
 課程学生、外国人学生に対してどういったことを考えられるかというところで、右のグラフの字は小さいので、左の枠囲みの中を御覧いただければと思います。課程学生については、回答が多いものとして、経済的支援の拡充、2番目、3番目はどちらも企業における雇用条件、雇用といったことで、最終的なキャリアパスを気にされているということが分かるかと思います。
 対しまして外国人学生については、経済的支援の拡充は相変わらず一番ではございますけれども、2番、3番については、研究環境の充実とか、国際的な経験の機会、こういったところが回答として多く上がってきています。また、一番の経済的支援の拡充につきましても、回答している割合が社会人学生と同程度というところで、この課程学生、外国人学生、また、社会人学生はそれぞれやっぱり対象に応じて、気にされている条件とかその条件に対するニーズの度合いというのは異なるということが言えるのではないかなと思っております。
 また、次のページ、24ページを御覧ください。24ページは、博士課程学生支援制度の国際比較としまして、アメリカとドイツとイギリスを調べてまとめたものになります。釈迦に説法かもしれませんが、アメリカ、ドイツ、イギリス、欧米は基本的には、学生とはいえ、TAやRAといった形で雇用されて給与を受けていると。その財源が教授の研究費であったり、あるいは大学からのお金であったりと、そういった色はありますけれども、全体としてはそういった形がまずベースとなっていまして、当然そこには国籍要件はありません。
 それに加えて国からの支援があり、例えば左のアメリカの左下を御覧いただければと思います。NSFのFellowshipと、NSFのResearch Traineeship Programがあると。Fellowshipのほうは、イメージとしては日本のDCをイメージいただければと思いますけれども、奨学金年間3万7,000ドルと、学費とか研究にも使える教育手当が1万6,000ドル支給されていると。下のResearch Traineeship Programは、日本で言うSPRINGのようなイメージで、機関を通じて学生に対してこういった奨学金などを与えるプログラムとなっています。どちらにつきましても、主な要件のところに書いてあるとおり、米国市民、米国国籍者、永住者が対象となっているというところです。
 中央のドイツにつきましても、真ん中の下、BMBF Doctoral Scholarshipというものがあると。こちらについても奨学金または研究に関する手当を支援していまして、アメリカ同様に、主な要件としてドイツ及びEUの学生、ドイツに永住権を持つEU外の学生が対象となっています。
 右側のイギリスにつきましても同様の奨学金制度がありまして、右下のUKRI studentship、こちらも奨学金や学費あるいは研究費といったことを支援していると。こちらについては、イギリスはブレグジットした関係で、EUの学生も留学生になるというところで、2021年頃から留学生も対象になっています。一方で、原則全体の30%上限というキャップがかかっているというところになります。参考資料2番の御説明としては、以上になります。
 続きまして、参考資料の3番についても、簡単におさらいとして御説明できればと思っています。尾上委員からは、1番のポツとして、学振特別研究員、DCの支援を世界基準レベルに引き上げる。また、その1つ下、対象カテゴリー(日本人、留学生、社会人)ごとの戦略的な支援を行う。特に留学生や社会人も主体的な研究実施経費の支援は有効。留学生の定着を主眼に置いた施策を支援。また、最後、社会人の入学を増やすための施策を支援。こういった御意見をいただいたところをおさらいまでに触れさせていただきました。
 戻りまして、資料2-1と2の2になります。2-1がワードの文章で、そのうち一部を2-2、ポンチ絵という形で示しています。
 2-1の3ページを御覧いただければと思います。先ほど白川からも説明がありましたが、これまでの人材委員会や次世代ワーキングの御意見などを踏まえて、先生方からいただいた御意見を追記しております。
 簡単に紹介しますと、一番上の赤字になっているところ、日本人の優秀な学生がなかなか博士課程に進学してくれない状況があるため、優秀な人材が博士課程に進学するような仕組みを考えることが必要である。その1つ下、博士課程に進学するメリットが見えるようにアピールすることが必要。もう1つ下で、特別研究員制度-DCについては、ブランドだけでなく、支援を国内トップレベルに引き上げることが必要である。また、その真ん中、一番下ぐらいのところに、対象に応じた戦略的な支援として、留学生や社会人学生の研究費支援や、留学生の日本での定着・就業の支援など、めり張りをつけながら支援することが必要。こういった先生方からいただいた御意見を追記しております。
 3ページ目の下以降から4ページ目、5ページ目にかけて、今後の方向性というところも赤字で修正をしておりますけれども、そのうち特にSPRINGについては2-2のポンチ絵に落とし込んでいますので、2-2のほうで御説明させていただきます。
 2-2の1枚目につきましては、博士支援の施策体系として全体像になります。DCに加えてSPRINGあるいは創発事業といった形で、RAといった給与という形でこれまで支援をしております。これまでは博士課程全体について御議論いただきましたけれども、本日は特にSPRINGについて御議論いただければと思っております。
 2枚目をお願いいたします。今後のSPRINGにおける支援の在り方(案)としまして、まずは上の点線枠囲みの事業趣旨になります。1番、主として優秀な日本人学生の博士後期課程の進学を支援する。2番、在学中、学生が安心して自由な発想の下に主体的に研究課題などを選びながら研究活動に専念できるようにする。3番、博士号取得者がアカデミア・産業界など社会の多様な場で活躍できるよう、大学がキャリア支援や環境整備を行う。こういった形で事業趣旨を明確化してはどうかと。
 この事業趣旨を踏まえた上で、下の表になりますけれども、下の表は対象ごとに今の支援内容を書いたものになります。左の対象は日本人学生、留学生、社会人学生、最後、ほかの支援を受けている方という形で整理しています。現状、日本人学生と留学生がSPRINGの支援となっております。ここの対象について、対象に応じた戦略的な支援が必要ではないか、また、特に留学生については、国・地域の多様化に向けた取組のさらなる促進が必要ではないか。
 右側の支援内容及び見直しの方向性につきましては、先ほど申し上げたとおり、SPRINGは研究奨励費と研究費を主として支援しているところです。対象、日本人学生について、研究奨励費は、先ほど申し上げた事業趣旨の観点から見直しを検討してはどうか。また、研究費についても優秀な学生に対する研究支援の重点化など、支援の階層化を検討してはどうか。留学生についても同じですけれども、研究奨励費について、先ほど申し上げた事業趣旨の観点から見直しを検討してはどうか。研究費につきましても同様です。社会人学生につきましてはこれまでは支援をしていないところですけれども、優秀な学生に対する研究支援の重点化など支援の階層化を検討してはどうかというところで見直しの方向性案を書いているところです。
 すみません、説明がちょっと長くなってしまいましたが、先ほど御説明した参考資料2とか、あるいは先生方からこれまでいただいた御意見なども踏まえまして、特にSPRINGの支援の在り方について本日は御意見いただければと思います。よろしくお願いします。
【狩野主査】  御説明ありがとうございました。では、今の御説明を踏まえまして、特に資料2-1の中の今後の具体的取組あるいは資料2-2にポンチ絵で示していただいた内容を中心に御意見をいただければと思います。9人ぐらいおられて、あと30分ぐらいの予定ですので、お一人3分ぐらいのつもりでお願いできたらということですが、どなたからでもお願いします。
 重松先生、お願いいたします。
【重松委員】  よろしくお願いします。簡単なところで質問をさせていただきたいんですが、基本的にはSPRINGの戦略的な支援について異議はございません。ついては、今は給付が中心に議論されているわけですが、貸与に関しては何も記述はしなくてもいいのか、あるいはそういう制度は特段問題にしなくてもいいのか。というのは、貸与によって定着と流動に対する支援の仕方も工夫ができるのではないかなということを思いましたので、お聞きしたいと思います。いかがでしょうか。
【狩野主査】  ありがとうございます。先に今手を挙げてくださっている皆様方をお伺いしてから、その後にお答えをお願いしましょうか。今は給付と貸与の関係でございました。
 では、永井先生、次、お願いいたします。
【永井委員】  質問といいますか、意見になります。まず、留学生と日本人学生に対する支援の方向性を区別するということは非常にいい方向だと思っております。加えて、社会人博士学位希望者に対しても研究費等の支援が行われることは効果があると思われます。これらに関して日本の各教育現場の現状を踏まえて適切なタイミングでの支援が行われる、要するに、現場においてタイミングよく支援が行われるように、実効性のほうまでモニタリングしていただきたいと思いました。
 加えまして、指導教員に対する支援がこれからより必要になってくるのではないかなと思いましたので、もしそうしたことをお考えであれば質問したいと思います。その理由は、修士から博士を通すと5年間トータルで指導する方、あるいは修士から博士課程のときには指導教員が交代する可能性もありますが、事業の継続性を考えると、できるだけ若い年代の指導教員が博士人材の育成に関わっていくべきではないかと思います。そうした場合、指導教員自らがこうしたプログラムに適合できるだけの経験を持っているかどうか。なければ、そこを加えていくような仕組みが必要である。また、若手の教員たちは非常に時間的に厳しい状況がありますので、そうしたマネジメント、研究時間を確保するようなサポートを行うための、例えばですけれども、補助的な人材を配置するなどの支援が必要になってくると思います。そうしたことでのお考えがあるのでしたらお願いしたいと思います。
 ちょっと補足しますと、博士後期課程はRAとして雇用されている件が多いのですが、そのRAを指導するための教員の時間の補助がまたRAという形になると構造が入れ込み過ぎますので、そこら辺を何かうまい仕組みがあるなら御検討いただきたいなと。
 以上でございます。
【狩野主査】  ありがとうございました。タイミングよくチェック、それから指導教員への支援はどうでしょうかということでした。
 尾上先生、お願いいたします。
【尾上委員】  ありがとうございます。おおむね皆様が議論いただいていたところを書いていただいていると思います。資料2-1の一番最後の部分が、活躍の場というところの本当に最後の一文なんですけれども、にもかかわらず、ちょっと取ってつけたようについているところが気になりました。一番最後の本当に最後のポツです。
 ここなんですけれども、SPRINGが趣旨として、やはり多様なキャリアパス、これが活躍の場だと思うんですけれども、そこで必要となるコアコンピタンスを具備する、備えるためにいろいろなプログラムをやっているので、こういうところは、目的が何か書いてあるとか、あるいはひょっとするとこれも、日本人でストレートで上がってきたドクターと留学生や社会人の学生でちょっとした階層別にある程度やっていく必要も出てくるのかもしれないなと思いました。単なるコメントでございます。
【狩野主査】  ありがとうございました。活躍の場に関してもう少し踏み込んでもよいかもということですね。ありがとうございます。
 ほか、今の時点でいかがでしょうか。もしすぐではなければ……、ございますか。では、お願いします。梶原先生、お願いします。
【梶原委員】  すみません、ありがとうございます。優秀な学生、支援の階層化は方向的にはいいと思いますが、具体的に優秀とか階層化というのをどのように決めていくのかが一番重要というか課題というか、そこが明らかにならないといいも悪いもというような気がします。今の原則290万、対象1万1,100人ですということに対してどう変わるのかが難しい要素だなと思って聞いておりました。
 あとは、重点的な分野も、それはBOOSTでやるからそこは違うと一瞬思いながら、それぞれ1万1,000人の人たちが、どういう分野の人たちがどのように階層化されるかをもう少し設計していただかないと、と思って見ておりました。
 そもそもの予算が大きくなるのか小さくなるのかによってその辺の地図というかイメージが湧かないという部分と、これが出来てくるといつからの実行になるのか、現場への伝え方も含めて、その辺具体的に見えてきた段階でまた議論するほうがいいと思って。方向性としてはアグリーです。
【狩野主査】  ありがとうございました。全体としてはよいけれども、優秀性、階層性をどうするか、重点分野の設定はどうするか、それからいつスタートするかというところですね。
 桝先生、お願いいたします。
【桝委員】  ありがとうございます。もう大まかな方向性に関してはすごく全て賛成といいますか同意しているんですけれども、ちょっと抽象的なイメージ論になってしまうかもしれませんが、まず、博士前期から後期課程の学生の流入の少なさについてですと、やっぱり「進学」という言葉はどうしても、これ、言葉を使ってしまっていると思うんですけれども、やっぱり以前から議論しているとおり、博士号という社会的信用を取得するためのファーストキャリアであるというような印象というのは、これはメッセージで伝えたほうがいいんじゃないかなと思っています。
 学生が長くなっちゃうねという印象の方が多いと思うんですけれども、もう既にドクターからは社会人であるというようなメッセージを強く打ち出したほうが、学生側も教員側の意識も変わるんじゃないかなというところがあります。ですので、これは言葉の問題かもしれませんけれども、支援に関しても、同じ額であっても、奨学金とか研究奨励費といったニュアンスではなく、ある意味雇用であり、給与であるというようなメッセージ性を持った支援名にしてしまうような選択肢もこれから考えてもいいのかなというふうにドイツの例を見て思いました。
 社会人博士のほうに関しては、支援をこれから検討するというのはすごくいいことだなと思っております。これも企業側として、やっぱりいまだに自分たちの社員を学費を払って学校に通わせるような感じの受け止め方が多いかと思うんですけれども、それより専門性と社会的信用を身につけるべく一時的に別会社にキャリア出向させる、在籍型出向させるような捉えられ方をしてもらったほうがいいと思いますので、本当にこれは言葉のイメージになってしまいますけれども、そういった部分で、先の長い話になるかもしれませんが、奨学金とかシステムの名前で、博士後期課程というのが一つのキャリアであるということをプッシュできるような言葉遣いを検討できればなと思っております。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございます。重要な論点を思い出させていただきました。
 どうぞ、登本先生。
【登本委員】  手短に3点申し上げます。複雑なこれからの社会において、博士を取得している人材はますます重要だと思いますが、形態に関わらず数を確保するためには、早い段階から博士課程への進学を視野に入れてもらうことが重要だと思っております。このような素晴らしい仕組みを、大学生がちょうど就職を考えるときに一つの選択肢として、こういった道もあるということを分かるように周知することです。そのときに、先ほど桝先生がおっしゃっていたように、一つの職業として捉えられることができれば、修士課程から例えば年金の支払い制度など通常の就職と同じように、博士課程を目指すということを条件にするなどして、進学の道を選択しても大丈夫という安心感をなるべく早い段階から保証していくことも大切かと思います。
 そのように考えますと、今回どのように支援していくかということを3つの柱で体系的に表していただきましたが、大学を通じた支援ということになりますと、前回も話に挙がっていましたが、先生や大学によって対応に差があることが懸念されます。そのため、所属大学に関わらず大学生のときから周知・助言できる機関があれば、もっと多くの学生がこうした手段を知り、選択できると思いました。
 また、今後、博士号の取得者を日本で急速に増やしていくためには、これから進学する人だけではなくて、社会人学生を増やしていくということも重要です。優秀な学生をどう定義するかという先ほどの議論にも重なりますが、社会人学生に博士号を取ってもらうということももっと強く支援していったほうがよいと考えます。【狩野主査】  ありがとうございました。いろいろと、早めに知ることとか、いろいろいただきました。
【川越主査代理】  よろしいですか。
【狩野主査】  はい、川越先生。
【川越主査代理】  ありがとうございます。今御紹介いただいた枠組みにつきましては、先生方からもあるように、私も大枠としては非常に賛同するものだなと思ってお話を伺っておりました。
 その中で、特にSPRINGの部分になるんですけれども、先ほども出ました研究奨励費と研究費というのが2つ枠として書かれていますが、研究奨励費はどちらかというと、博士課程に進んだ方の、ある意味職業として、もしくは給与というようなイメージになるかなと思いますし、研究費は、言葉どおり研究費となると、研究を進める上での研究者のトレーニングの一環であり、きちんと自分でお金を持って研究を進めるというところになるかなと思います。
 そういった中で、博士課程に進む学生もしくは人を増やすという観点でいうと、皆さんが最初に心配しているのが経済的、生活をきちんとできるかというところになるのかなと思うと、研究奨励費といったものが、いろいろな人にチャンスがあって、多くの人が受け取ることができ、その上で研究を進めることができるという支援も必要だと思います。階層的な支援になるかと思うんですが、その辺りのバランスをめり張りを持たせるといいのかなと感じました。
 私から以上です。
【狩野主査】  ありがとうございます。生活のための費用はどのように立てつけるかですよね。給与とするのかどうかとか、その場合は誰が雇用するのかとかいろいろな問題がありますね。ありがとうございます。
 水口先生、どうぞ。
【水口委員】  よろしいですか。この生活費相当額プラス研究費というところがありますが、もちろん研究を奨励していくところは重要ですが、多様なキャリアパスを整理していく上で、例えば起業家等、ベンチャーを設立していくための前段階として捉えることもできるかなと思います。なので、こういった起業準備に当たるような費用の補助もあると、キャリアパスをより広く整備していきますよというメッセージにもつながりますし、これから起業していきたいと考えている博士後期課程の学生についても非常にメリットが出てくるかなと思います。その費用補助があると、例えばプロトタイプを作って、そこで新たなものを社会に広めていく活動にもつながっていくことに繋がりますので、そういった支援があるとよりいいかなと思いました。
【狩野主査】  ありがとうございます。それが論文化をしそびれる内容かどうかというところが何か分かれ目になりそうか、という感じもいたしましたが、ありがとうございます。起業の準備費用にも充てられるようなものが作れるかということでした。
 皆様の御協力で早速に一巡してしまったので、もし文科省の皆様からお答えが今のところでできることがあればお願いできますでしょうか。
【髙橋人材政策課課長補佐】  先生方、どうもありがとうございます。幾つかいただいた御質問についてですけれども、まず、重松先生から御質問いただきました貸与につきましてです。これまでSPRINGあるいはDCに関しては、基本的には経済的困窮をしている学生に対する支援ではなくて、あくまで優秀な学生に対する支援ということで整理していました。どちらかというと貸与というのは、むしろ年収をちゃんとチェックをした上で経済的に困窮している方かどうかということかなと思っていますので、そういった点で大きく入り口として整理を分けて議論してきたところです。引き続き貸与も併せて議論すべきということであれば御議論いただければと思いますし、一応これは整理としては分けているというところになります。
 あと、永井先生から御質問いただいた指導教員への支援というところは、SPRINGにおいては現状としてはそういった仕組みは明示的には入っておらず、大学によってはもしかしたらやられているかもしれないなというところです。一方で親の人材委員会のほうで研究者の方々がいかに活躍できるか、研究をよりできるかという議論も別途していまして、まさに研究時間の話とか、研究を一緒に活動するマネジメント人材の話とか、そういったところとも関連するところかなと思っておりますので、そちらの議論も踏まえながら、SPRINGでももし必要であればやっていくということかなと思いました。
 あと、御質問としていただいたところでいきますと、梶原先生からの優秀な学生の決め方。こちらについては今何か明示的にあるわけでありませんけれども、むしろ先ほどお示しした大学の中で、優秀性によって研究費であったり奨励費を上乗せしている例があるというところなので、むしろ大学がどういうふうに決めているかというところを共有いただけると幸いです。
 あと、分野指定については、まさにおっしゃっていただいたとおり、BOOSTという別の事業で分野にトップダウンでの指定をしているので、一応SPRINGの中ではそこまで分野は国としては設けていないです。
 あと、予算については、増えたらいいなとは思いますけれども、そこは今後の議論なのかなと思います。
 あと、タイミングについては、こちらも大きな方向性を決めていただいた後、やはり予見可能性を高めて大学及び学生がちゃんと自らの道を決められるようにというところで、方向性を定めた上で現場とのコミュニケーションをしながら動かしていくということかなと思って、今、明示的にスケジュール感を示せませんけれども、そういったことで進められればと思っています。
【狩野主査】  ありがとうございます。こちらも何か簡潔に済んでしまいまして、2巡目、もしどなたかございましたら、今のお答えを伺ってということでもいかがでしょうか。質問された皆様方は何か、答えを聞いてさらに聞きたくなったと……。
【重松委員】  いいですか。
【狩野主査】  どうぞ、お願いします。
【重松委員】  通常、貸与は貸与で検討されていると思うんです。要するに、よりめり張りをつけるという意味において、留学生が、定着するのか、流動性が強いのかということです。定着なら免除も考慮、流動した場合はやっぱり返却等々を考える、という意味で発言させていただきました。どうも失礼しました。
【狩野主査】  ありがとうございます。確かに国際頭脳循環という言い方がまた昨日から醸し出されたりする中で、地域によっては、やはりお金が難しい方向の人が多くおられる地域もあろうかなということは思います。その辺りをそうした制度と組み合わせていけるといいのかなと思うときはあります。
 ほかはいかがでしょうか。
【梶原委員】  狩野先生、時間があるならいいですか。すみません。
【狩野主査】  どうぞ。
【梶原委員】  このSPRINGは、所属大学を通じたという形になっているので、払い方は大学に払って、その大学が個人に払う。そうしたときに、誰に払うというところは事前に分かるのですか。それとも、全部、何人という格好にして、大学に任せているのですか。どっちですか。
【髙見人材政策推進室長】  後者です。
【梶原委員】  大学に任せているということなんですか。
【髙見人材政策推進室長】  大学が学生を選定しています。
【梶原委員】  先ほどの優秀の定義とか、階層化をするという話をすると、優秀の定義は各大学がもう既にやっているので、階層化も幾つに分けるのか分かりませんけれども、全部そういうのを委ねて、大学でハンドリングするということになるということですね。
【髙見人材政策推進室長】  基本的にはそうだと考えております。
【狩野主査】  今の設計ではそうですね。
【梶原委員】  そうすると、毎年もらえるのか、単年度なのかというのも、大学で判断して、何人分とかというふうにやるんですか。
【髙見人材政策推進室長】  ただ、そこは現行制度上は、一度採択をされますと、D1で採択されれば3年間は保証するという仕組みにはなっているので、そこはキープするかなと思っております。
【梶原委員】  分かりました。階層化も大学で判断するということになるかもしれないということなんですね。
【髙見人材政策推進室長】  そうですね。
【梶原委員】  今のレベルがあって、それを下と上に分けるのか、ベースがあるから上に分けるのか、トータルの金額を見ながら大学が判断する?
【髙見人材政策推進室長】  はい。
【奥人材政策課長】  そこは多分制度設計上の話だと思うんですけれども、一律的な目安みたいなものはある程度決めるとしても……。
【梶原委員】  ガイドラインみたいに。
【奥人材政策課長】  かちっと国のほうで全て決めるというのが適当かという議論はあると思います。かつ結局、優秀かどうか、どういう基準で優秀かどうかというのを我々国として一律的に基準を決めるというのは甚だ不適切だと思うので、そこはある程度大学の裁量に委ねる部分というのが多いんじゃないかと。
【梶原委員】  そうすると、今もそれを動かしている大学があるということですか。それはプラスアルファをつけているのは、この費用以外でつけているというよりもその中でやりくりしているんですよね、恐らく。
【奥人材政策課長】  裁量の中でやっていると。
【梶原委員】  そうすると、今回の見直しはどちらかというと、一部でやっている取組をもっと広く全ての大学に使ったらどうですかみたいなガイドラインを出してやる仕組みだというように聞こえましたが。
【髙見人材政策推進室長】  これまでの在り方に加えて、資料2-2の2ページ目がこの支援の在り方ですけれども、優秀な学生に対する研究費支援の重点化という言い方をさせていただいていますが、研究費を上乗せするとか、国からの支援が上乗せするというようなことも含めて考えられるんじゃないかという趣旨です。
【梶原委員】  大学にとってより多くのお金が来て、自分の裁量でいろいろな決め方ができるというほうに動いているということが本来の制度の変化点ですということであれば、分かりました。
大学からお金が払われるということであれば、ある意味で給与みたいなものですよね。機関からお金が払われるという意味では、社会人から見るとそう思うんですけど。税の控除の仕方が違うとかがあるんですよね、きっとね、どういう扱いにするかということで。
【奥人材政策課長】  結局、給与云々となると職員として雇用するかどうかという問題が出てきて、税もあります、社会保障もありますといろいろな要件が現れてくるので、そこを雇用とするのか、あるいは給付にするのかというのは一つ議論のポイントだと思っています。
【狩野主査】  そのようです。
【梶原委員】  そういう言葉の使い方とその裏にあるものと、そういう話ですね。
【狩野主査】  制度上の問題も幾つかあるので。なので、桝先生の意見がそのまま通るかどうかはそこも判断の基準があるということですね。
【梶原委員】  だそうです、桝先生。
【狩野主査】  と理解しております。伺って理解しております。
 永井先生、どうぞ。
【永井委員】  今のお話にも多少関係するかもしれませんし、いろいろな意見の中で、早くから博士進学を動機づけることが重要だということがありました。それは支持しますけれども、例えば日本の若手の育成に関しまして、人材循環というか流動性が少ないという指摘も以前からありまして、やはり主体的な開拓意欲といいますか、主体的にこれから成長していける力をつけるためには、自分で探して自分に最も合う研究室を選ぶとか、研究分野も場合によっては変えていくとか、そうした主体性を育成するためには、支援するお金で縛られることはむしろ逆効果ではないかと思います。そうした自由度あるいは大学側が人材流動を妨げることが起きないような工夫も必要じゃないかなと思います。昔から日本の博士学生というのは、どちらかというと籠って狭い人間関係の中で育っていくと。それは専門性だけではなくて生き方、ライフスタイルにも影響してきますので、人材循環をできるだけ促すような支援の在り方も意識しておくべきではないかと思いました。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございます。今のことに関係して個人的意見を申し上げると、子供から職業人になる過程のアカデミアの選び方が、今までそういう機関別にいろいろな価値の差、価値軸の差があるということは考えないで大体、今、人生を歩んでいるわけですけれども、今回大学に優秀性の定義も任せるということだとすると、そこも踏まえた上でどこに所属するかを考えてくださいねという社会に変えていくというような感覚を少し持つところもあります。もちろんそれがたった3年ずつで変わってしまうので、入ったときからずっと同じかも分からないのですが。
 その辺りは、実際にいろいろな、というか私自身は2つの機関しかまだ行っていないんですけれども、移ってみてちょっと感じるところもあるところで、機関別という考え方がこの間だんだん増えてきた結果としてそういう面が出てきているのは、あんまり現場の人は対応できていないかもしれないときがあるなということは思ったりしています。そこは世の流れだと言えばそうだということですね。だとすると、さっきの早めから宣伝が必要なところも、そういう情報も含めて宣伝しないといけない可能性が出てくるなということは思ったりします。逆に言うと、偏差値じゃない選び方ができるという言い方もできると思います。すみません、しゃべり過ぎました。
 ほかどうでしょうか。ぜひ2巡目の方々。
 尾上先生、だんだんおられる時間が短くなってきたようですけれども、いかがでしょう。何かおっしゃりたいことやありますか。
【尾上委員】  いや、皆さんの意見を勉強しながら聞いておりまして、なるほどなと思っていたところです。僕自身からは特にはないんですけれども、今おっしゃっていただいたような、研究者としてどういうふうに扱っていくかというのは、本当に大事だなと思いました。すみません。
【狩野主査】  ありがとうございます。あと、活躍の場を多様にするところが、留学生の方々にどういうふうに日本社会に貢献してもらうかというところもまた関係してくるところであろうと思います。この意味で、そういう設計、どこまでを文部科学省としてある程度たがをはめることにして、どの程度は各機関にお任せするのがよいのかということも、もしかすると我々も意見を少し申し上げてもよいかもしれません。
【梶原委員】  そうですね。何となく大学に裁量権がありますという話になったときに、日本人と留学生とをどうするかというのも各大学に裁量がありますよというようにするということですよね。
【狩野主査】  そうですね。我々から見るとどれも、文部科学省が決められたら、そうですねということでそれに沿ってやる感覚が多いわけですけれども、それが一体どこまではそれの範疇であって、どこまではそうじゃないかということは実は現場からはそんなによく知らなかったりするわけですね。文部科学省の方と話をすると、それのうちのどこまでは省としてやれるけれども、どこから先はしにくいんだということがどうも線がおありなんだけれども、我々から見るとそこの線はそんなにリジッドなのかどうかよく分からないときがあったりします。したがって、この辺りを、現場を踏まえて、どの辺が、「必須」なものとするし、どこから先は各機関がそれぞれ独自にやってくれるのがよいのかというのも実は考えてもよい気が個人的にはいたします。
 あと5分ぐらいまだございますけれども、いかがでしょうか。何かこの機会に。
 登本先生、どうぞ。
【登本委員】  やはり主体的に選んでもらえるようにすることも本当だと思います。大学院への進学を決めるときに、勉強しながら生活できるだけのお金が保証されるのかということは、大きな心配事です。大学院に合格できるかどうかも不安なときに、どこからどこまでが保証されて、それはいつの段階で分かるのか、どの段階で自分がどの程度頑張っていればいくら獲得できるのかを知りたいです。欲を言えば、博士課程に進むことが、羨望のまなざしで見てもらえたり、格好いいなと思ってもらえるような支援がなされ、主体的に選ばれるようになるといいなと併せて思いました。
【狩野主査】  そうですね。そうなるために、一体当該の世代の方々からすると、何が「光って」見えるのかという調査は本当はしたほうがよくて、我々のような年代になった人がそうだろうと予測するものと違う可能性も十分ありますよね。なかなかそこは……。
【登本委員】  こういうふうに欲しいと言っていますよね。
【狩野主査】  はい。そこはまた、別途調査が要るようなことかなと思います。
 桝先生、どうぞ。
【桝委員】  すみません、今の話を聞いてすごく、本当にばかな質問で申し訳ないけれども、保育園と復職にすごい似ているなと思って。よくうちの会社とかで、「復職をいつしますか」と言われて、「それ、保育園が決まらないと決められないんですけど」みたいな感じの、順番が逆になっていて困るパターンがあったんですけれども、これはちなみに、博士に行く、後期課程に行くことを決めるタイミングと、お金が保証されるタイミングの前後というのは、これはもううまく出来ているものなんでしょうかという、本当にすみません、くだらない質問で申し訳ないけれども。ただ、意外とそこは実は学生にとって物すごいネックだなというふうに今お話を聞いて思いました。
【狩野主査】  おっしゃるとおりで、自分の身近ではネックだなと思うときはたくさんありますね。ただ、それをネックにしないようにすると、本人たちが行く気がありますという宣言を信じるしかないときがあったりして、その結果、やめましたみたいな話が起きると、さて、どうしようかということが起きるときもあって、なかなか難しいなと思っています。
【桝委員】  ありがとうございます。よく分かりました。
【狩野主査】  どうぞ、川越先生。
【川越主査代理】  今のところ、博士課程に進むかどうかという修士2年に入るタイミングで、SPRINGや学振とかにも出すことになると思うんですけれども、学振が通るかどうか、その結果が見えるまで何とも言えないから就活も並行してやっていて、DC1が通るんだったら博士課程に行くけれども、そうでなければ就職、企業とかに行くという2つの選択肢を残したまま進んでいるという修士課程の学生もいます。そういう中で、博士に行こうと考えてくれている学生さんをいかに残すか、博士課程に進むモチベーションを持ってもらうかというのは、その辺りは各大学に対しても、もう少し保証できるようなタイミングといいますか、何か統一的なものがあってもいいのかなと感じます。
【狩野主査】  可能性はありますね。あと、そこに3年ごとの機関の改選みたいな話が入ったときには、一体その事業がその所属大学はいつ取れるのかが分からないという要素も加わるんですよね。なので、現場から見るとどうしたらいいかなと思うんですけれども、他方で行政側から見ると、そんなこと言われてもという気持ちも分からないでもないので、どういうふうにしたらいいかはちょっとまだ私も難しいなと思っているところです。
 どうぞ、水口先生。
【水口委員】  今のことに関連してですが、私は当時SPRINGの前身のリーディング大学院に所属しており、そのプログラムでは修士と博士の一貫の5か年のコースでした。なので、私自身は修士1年のときにはすでに博士に行くことを決めておりました。なので、その後の博士の3年間の生活費については、修士のときに支援いただけることが決まっておりましたので全く気にしておりませんでした。そのため、今の論点については解決できていたのかなと感じました。
【狩野主査】  そうですね。そこも、だから、プラス5年学部のほかにするかどうかという人生選択がもうちょっと前倒しであったわけですね。そこに例えば家の家計あるいは保護者の理解的にはなかなか行きにくい状況なんだけれども、お金が支援してもらえて自活できるのであれば行けますという人もやっぱり見たことは当然あって、そういう人たちにどういうふうに優秀性による傾斜みたいな話と合わせたときというのは、考えるところはあるというところですね。
 特にアカデミアに将来就職はしないかもしれないけれども、産業界に行くんだけれども、スキルとしての博士課程を考えた場合にどうなるかというところがどういうふうに設定できるかというのは、いろいろちょっと考えるところがあるなということは思った次第です。と言いながら、制度は一律にしかつくれないので、どの辺で設定できるかというのは、やってみて結果で見るしかないかなと思うときもないわけでありません。
 どうぞ。
【髙見人材政策推進室長】  すみません、補足をさせていただくと、先ほど髙橋補佐のほうから御紹介をした、採択大学における取組例の中に予約採用というやり方が載っていて、修士課程の1年であったり、あるいは2年次、最終年次、そこは大学のやり方によりますけれども、その段階で博士課程に進学をしますということを確約したりとか、あるいは博士の入試にちゃんと合格するとかいうのは……、すみません、資料は参考資料2の9ページです。ということは必要になりますけれども、そういう学生に対して、あなたが博士に進学した際にはSPRINGによる支援を行いますということを修士の段階で伝えてあげるというやり方をしている大学はあるんですね。もちろん当該年次に何人支援できるかというのは変動があり得ますし、予算の状態もあるでしょうけれども、ある程度見込んでやっていらっしゃるということだと思うので、こういうものは本当にグッドプラクティスとして我々は広めていけたらいいかなと考えております。
【狩野主査】  よい深まりをしたかなと思います。ありがとうございました。予定した時間にだんだんなってまいりましたので、また次回もこの内容で審議の時間を確保する予定ということで、今日はこの辺りにこの話題はさせていただきます。また今日の内容を踏まえて、いろいろお考えをためておいてくださったら、次回御協議いただければと思います。あるいは、近場でいろいろ見聞きされて、どんなふうにするとよりよいかということが分かりましたらぜひ教えていただければと思います。あるいは、次回のワーキング・グループまでにもし御追加がありましたら、メールでいただければというふうに事務局の皆様がおっしゃっております。
 では続きまして、初等中等教育段階での話題に参りたいと思います。続いては、白川さんから資料3-1、3-2に基づいての御説明をいただきます。お願いします。
【白川人材政策課課長補佐】  それでは、私のほうから、まず資料3-1から順番に御説明をさせていただければと思います。
 初等中等教育段階での科学技術人材の育成に関する現状・課題・今後の具体的な取組ということで、4月18日の第1回のワーキングでお示ししたペーパーを更新する形で御用意しておりますので、その内容について御説明をさせていただきます。
 1ページ目から4ページ目まで、つまり、現状と、それから課題の記述が続いておりますけれども、これまでのワーキング、そして人材委員会、親委員会ということですが、その中でいただいてまいりました先生方の御意見を踏まえた加筆をさせていただきました。
 2ページ目から参ります。先進的な理数系教育の充実・強化に関する課題・指摘事項等のところにつきまして、優れた研究者の育成は初等教育の段階から始めるべきものという御意見をいただいたり、また、学協会との連携も重要なのではないかという御意見をいただいておりました。また、児童生徒の移動可能距離ということで、例えば小中学生についてはなかなか一人での移動に限界があり、引率の保護者の方に対する負担が大きくなる場合もあるということや、また、下のほうになりますけれども、SSH、スーパーサイエンスハイスクールの認定枠について、優れた指定校に対する支援の仕組みの検討の必要性があるのではないかというような御指摘もいただいておりました。
 3ページ目に参ります。高校における課題研究の指導について、これはスーパーサイエンスハイスクールの指定校に限らない課題でございますが、学校教員の学びの機会、それからアップデートが必要であるということであったり、SSH指定校などからのノウハウの横展開の必要性があるという御議論もいただいてまいりました。
 4ページ目に参ります。4ページ目のほうは、小・中・高等学校段階における理数系教育の充実についての課題・指摘事項等でございます。女子中高生の理系選択支援に関しまして、その取組を日本全体に面的に広めていくことが期待されるという御議論であったり、その際、理工系の進学の出口となる企業の協力を得ながら、理工系進学の魅力発信に取り組んでいくことも有効ではないかという御議論。また、地方における取組が特に重要ではないかという御議論や、優秀な女子生徒が周囲の反対にあって理工系進学を断念するケースが存在することから、保護者の方や進路指導の先生方、そしてひいては社会全体へのアプローチも重要ではないかという御指摘をいただいてまいりました。
 その上で、具体的には5ページ目以降ということになりますけれども、今後の必要と考えられる取組というところについて今回記載を充実させていただきました。その内容を御説明させていただきます。
 まず、(1)先進的な理数系教育の充実・強化ということで、丸1番、次世代科学技術チャレンジプログラム、STELLAと私どもは呼んでおりますけれども、この事業について、児童生徒の移動可能距離等も考慮し、実施拠点の数の拡充を図っていきたいということを書かせていただきました。また、国の取組として、STELLAに参加する才能ある児童生徒が、研究成果を発表し合い、交流して切磋琢磨できる機会であったり、また、実施機関同士がノウハウを共有し合う機会の確保というところに取り組んでまいりたいと考えております。
 加えて、STELLAの実施機関に対する期待といたしまして、プログラムの開発・実施を通じて児童生徒の出る杭をさらに伸ばしていくとともに、プログラムの他機関への普及や学校の先生方、そして教員志望者のプログラムへの参画等を通じて、事業の波及効果の最大化に努めていただきたい。また、全学的な取組体制の構築や企業・教育委員会とのネットワークの構築、自走化に向けた取組の推進等を図っていただきたいということを記載してございます。
 丸2番ですが、スーパーサイエンスハイスクール事業の発展・強化ということです。スーパーサイエンスハイスクールに関しては、全国の高等学校の約5%に相当する250校という指定の目標を立ててございますので、その達成に向けて指定校の拡充を図っていきたいということ。そして、2つ目の丸ですけれども、各指定校の取組の一層の高度化、深化を促すための事業設計の見直しを行い、全体を通じて、将来の科学技術人材育成に意欲的に取り組む指定校がその取組を一層強化、発展させることに対しての支援を強化していくということを書かせていただきました。このことについては、後ほど資料3-2でも御説明をさせていただきます。
 その下の記述は少し3-2に委ねさせていただき、下に参りまして、そのほか、SSHに関しまして、国は、SSH事業の成果の把握・発信に積極的に取り組むこと、また、各指定校及びその管理機関への期待として、管理機関の主導の下、各指定校のこれまでの研究開発結果を他の高校に波及させ、地域全体の理数系教育の取組水準の底上げを図っていくための取組を推進していただきたいと、こういったことを記載してございます。
 7ページ目に移りまして、科学技術コンテストの支援でございます。国内外の他の生徒と切磋琢磨する機会の充実を図る観点から、国際科学技術コンテストへの派遣を引き続き支援するということ。そして、JSTにおいて主催をしております科学の甲子園、科学の甲子園ジュニアについて、参加者の増加を図るとともに、近年重要性の増す情報科学に関する高度な出題要素を追加するなど、競技の高度化を促進することを考えていきたいと思っております。
 (2)小・中・高等学校段階における理数系教育の充実でございます。学校における理数系教育の充実、これを進めていくとともに、丸2番でございますけれども、女子中高生等の理系進路選択支援、これについて、地方における取組を推進するとともに、日本全体で取り組むことができるよう、拠点数の拡充を検討していきたいと考えております。その際、保護者、教員等へのアプローチも重視するとともに、進路未決定層であったり、その時点では理工系分野への関心が低い層にしっかりアプローチをしていくことができるよう、教育委員会等と連携をしたアウトリーチ活動の推進を図っていきたいと考えているところです。また、小学校の段階で既に科学技術に対する関心の男女差がついていることや、小学校時点の科学技術に関する関心が大人になるまでその結果が続いているというようなデータもございましたので、そうしたことを踏まえて、小学生を対象として行われる取組も含めて支援を行うことを検討していきたいと考えております。
 この資料の最後になりますが、丸3番、産学官連携による科学技術人材の裾野拡大ということです。各研究機関、高等教育機関におかれましては、これまでと同様、学校への出前授業の実施や科学技術に対する興味・関心、理解を増進させるための教育プログラムの提供などについて、引き続き取り組んでいただきたいと考えております。国といたしましても、STELLAにおいて、これまでよりも広く理数系に興味・関心を持つ児童生徒を対象とした育成プログラムを追加的に実施する機関への支援であったり、女子中高生の理系進路選択プログラムにおいて、学校への出前授業などのアウトリーチ活動を推進していく中で、その学校の中に在籍をする男子生徒も含めて、理工系分野に対する興味や関心を喚起していくことにより、次世代を担う科学技術人材の裾野拡大を図っていきたいと、こうしたことを今回書かせていただきました。
 続きまして、資料の3-2に移らせていただきます。先ほど、資料の3-1でSSHの今後の発展の在り方について言及をさせていただきました。その具体的な案をこの資料3-2でお示ししてございます。
 先にこの1ページ目の下の図で御説明をさせていただきますと、現行制度の部分ですけれども、現在の仕組みといたしましては、創成期1期・2期、発展期3期・4期、ここまでが各5年ということで合わせて20年、先導1期・2期それぞれが各3年ということで、最大で26年の継続的な財政支援の期間がございまして、それとともに、財政支援機関を伴わない認定枠というものがございます。
 これを少し見直してまいりまして、指定のスペックについて、創成期5年、発展1期・2期各5年、新先導期5年の合計の20年に再編をするとともに、右上のピンクのところでございますが、認定枠に対する新たな支援の枠組み、「加速支援」という名称を仮称でつけておりますが、そして、2つ目として、類型による重点配分、発展1期・2期のところにピンクで書かせていただいております。そして、3つ目として、新先導期に対する支援額の増。こういったことを考えていけないかというのが今回の見直しの案でございます。
 考え方といたしましては、上の点線の枠囲みに書かせていただいております。現在、指定校が230校に到達しておりまして、多様化が進んでいるということを踏まえ、全ての指定校を指定の期に応じて一律の支援額により一律に取り扱っている現行制度を見直し、SSHの指定校の中にSSH事業の中で目指す人材育成戦略などに応じた類型を設けるとともに、その類型に応じて、申請時に求める到達度や特に期待する取組等を設定すること、そして、支援金額についても差を設けていくことを検討してはどうかと考えてございます。
 その上で、課題研究の一層の深化・高度化やチャレンジングな取組に挑戦しようとする学校さんへの支援をより手厚くし、各指定校の取組の高度化、先導期のレベルに至るまでの期間の加速を促すとともに、類型の設定を通じて、指定校ではない学校等が理数教育の充実に取り組もうとする際に、自らのモデル・目標となるSSH指定校を分かりやすくすることで、成果の横展開の加速も図っていきたいという考えでございます。
 全体といたしまして、創成期から先導期までの継続的な財政支援の期間は最大で26年から20年ということになりますが、その一方で、認定枠に移行した後の指定校に対する加速支援の制度の創設を行い、また、先導期や発展期の一部類型への支援金額の増を図ることで、めり張りのある支援を実施していき、頑張ろうという学校さんを応援していくような仕組みにしていきたいというふうに考えて、この案をお示ししているところでございます。
 2ページ目は、今、御説明してきたことの詳細になりますので、割愛をさせていただきまして、3ページ目に類型のイメージというものと今後の検討のスケジュールというものを書かせていただいておりますので、そこを御説明させていただきます。
 類型のイメージですけれども、今考えているあくまでイメージということになりますが、類型の1から3として書かせていただいております。左から類型の1が、地域や学校の特色を生かしながら、科学的な探究活動に全学的に取り組むことを通じて、社会で活躍する高度科学技術人材の育成を目指す指定校。
 類型の2は、そこから更にステップアップして、将来研究職として活躍する人材をはじめ、科学的な探究活動を高度に遂行できる人材の育成に特に重点を置く指定校ということで、高等教育機関などとの連携によって課題研究の高度化などを積極的に図っていただきたいというイメージで書かせていただいております。
 さらに、類型の3ですけれども、国際感覚に優れた高度科学技術人材の育成に、例えば、国際共同研究の積極な実施などを通じて積極的に取り組むとともに、同時に、SSHとしてのリーディングな取組、例えば、アドバンスプレスメントなどに積極的に挑戦していただく指定校として案をつくらせていただいております。
 今後の検討のスケジュールでございますけれども、本ワーキング・グループを中心に科学技術・学術審議会人材委員会における御審議を経て、全体的な見直しの方針について、この夏に取りまとめます中間まとめにおいてお示しをした後、より詳細な制度設計については、文部科学省において別に設置をしておりますスーパーサイエンスハイスクール企画評価会議において検討を行っていければというふうに考えております。
 また、見直しの本格的な実施は令和9年度を想定しつつ、令和8年度においても一部先行的な実施が可能となるよう調整を進めていけないかというふうに考えているところでございます。
 最後に、資料の3-3というものを御説明させていただきます。今御説明をいたしました資料3-2につきましては、先ほど申し上げたスーパーサイエンスハイスクール企画評価会議においても御審議をいただきまして、構成員の皆様に御意見をいただいているところでございます。
 例えば、1つ目でございますが、類型を設けることによって学校ごとにSSHに取り組む目的の明確化がなされるであろう点でよい案と考えるという御意見であったり、類型1の学校には、指定校以外の学校や教員の取組を後押しし、教員たちをつなぐ役割を果たしてもらいたいという御意見、また、公立の指定校については、これまで以上に設置者役割や取組度合いが鍵を握るのではないか、SSHに関する設置者の取組の方針と各指定校の取組方針を今まで以上にすり合わせて、チームとして取り組んでいくことが重要になってくるのではないかというような御意見をいただいているところでございまして、今お示しした3-2の方向性については御了承をいただいているところでございます。
 私からの説明は以上でございます。
【狩野主査】  大変ありがとうございました。豊富な内容で、よくぞこの時間でと思いました。お疲れさまでした。
 いつものことですけれども、特に御議論いただきたいのは、今おっしゃった中で今後の具体的な取組、あるいは、資料の3-2でお出しいただいたポンチ絵にあるような今後の在り方、ここについての御意見をいただきたいということなんですけれども。まず、既に手を挙げていただいておりますが、重松先生がいろいろ深く関わってこられていますので、ぜひ追加等々お願いいたします。
【重松委員】  ありがとうございます。短い時間で大きな改革をお示しさせていただいていますので、なかなかすぐには御理解いただけないかもしれません。御存じのように、SSHは23年目を迎えておりまして、中には専門高校も含めて多様な高等学校が現在存在するというところで、より国民の皆様に、もともとの趣旨であります、例えば科学技術人材育成についてのちゃんと役割を果たしているのかといったことも大きな反省の下に、こういった改革の方向をお示ししているところでございます。
 現在、230校でありますが、最終的には、有識者会議では250校の方向を目指して検討を進めているところであります。
 それを基に、さらに、それが本当により実践できますように1つお願いをするものです。このSSHが地域にちゃんと支援されるようになり、また、先ほどから理数系教育が非常に若い世代から充実されるようにということで、例えば、それぞれの学校で公開講座等々の営みをして、より多くの地域の方にこういった科学技術に関わる興味・関心を持って参画いただけるような機会を設けるとか、あるいは、それを含めてSTELLAをより地域に御理解いただけるために、先生方自身がそういう若手の人材を意識できるということで、特に長けた子供たちへの理解、あるいは探究的な活動というものに対する理解を深められるように、できれば教員の研修機会、現在、教職大学院に進学の機会はあるわけですけれども、なかなかそういった専門性の下に進学をするということが行われているとは必ずしも言えませんので、こういった点についても何らかの支援をいただければなと思って発言させていただきました。ありがとうございます。
【狩野主査】  ありがとうございます。
 前半の話題に比べますと、サポーターの側に対する配慮が大変利いている内容だなと、改めて両方聞くと思った次第です。こちらは、今、重松先生がおっしゃったように、地域社会、それから教員、そして保護者への関与などということが言及されているわけですけれども。
 私として、これも個人的なつぶやきとしては、そういえば小中学校にも何か影響を及ぼすような方向も考えないと、もしかして、以前にお話をいただいた三菱総研様からの資料によると、子供がいつ諦めるかを考えるともっと手前じゃないかという話もありましたので、今後の課題かなと今急に思い立ったところですが。個人的なつぶやきでした。
 どうぞ御意見いただければと思います。登本先生、専門家、もう一人お願いします。
【登本委員】  SSHの取組が日本における理数系教育を牽引してきたことは間違いなく、それをまた更にブラッシュアップする方向で今回整理していただき、全て賛成で、ありがとうございます。
 今後の進め方につきましても、地域で展開していくことに私も賛成です。一方で、トップクラスで優秀な生徒のことを考えると、地方や学校だけでは限界があります。予算の問題がありますが、交通費を支給し、どこかに集中的に集めて育成していくということも必要になってくるのではないでしょうか。そのときに私がイメージするのが、IPAが実施しているセキュリティーキャンプです。情報セキュリティー人材の強化のために、毎年夏に、セキュリティー産業界・教育界のトップ人材を講師にして、全国から生徒・学生を募集して、実施されています。地域の学習会もあります。育てる側の大人も参加する生徒・学生も、そこに参加することで一定のステータスが得られる側面もあります。この理数系版があったらよいと思うわけですが、こうした取組が報道されたりすることで地域や業界もまた盛り上がり、あのイベントに参加したい、理数系人材としてこうなりたい、ということが広がっていくことを期待します。
 また、今回取りまとめていただいた、今後の具体的な取組に「理数系教育の充実」と書かれていますが、これだけ科学がベースになり、デジタル化も相当進んでいる生活や社会の中で、理数系という表現が気になります。私は人文分野も同時に大切にしていく必要があると思います。この間も話に挙がりましたが、問いを立てて、仮説を立てて、論証的に話すことができるかですとか、情報を集めて読み取ったりするですとか、それも理数系教育の一つといえばもちろん一つなのですが、「理数系」という表現から、教員や生徒をはじめ一般にはもっと小さなところで理数と捉えてしまわないか懸念します。教科で言えば、国語や英語でそうした言語能力をしっかり高めていく必要もあるでしょう。
 「理数系教育」という表現から、私たちは違いますと思われてしまうことは避けたいです。これだけ生活や社会が科学やデジタル技術がベースになっている中では全分野にわたって関係することで、「理数系教育」という言葉も考え直さなければならないと思いました。
 このことは、先日、SSHの発表を聞かせていただいた際にも思いました。そこで、女性でとても理数的な考えをする生徒なのに、「私は理数系じゃないんです。物理の点数が取れないんです」という発言を聞いて残念に思いました。性別問わず、こうした矮小化された理数系のイメージを脱却したいです。
【狩野主査】  ありがとうございました。
 ほかに手が挙がっていないので、コメントしてみると、トップ人材を集めて育てる方向の話は、地方でも今仕事をしている者からすると、そういうところに行ったきりになるとまた悲しむ人が出てくるような気はしております。他の地域に出てみた後に、どうやって元の地域に戻る気持ちも保ったまま進めて行けるか、うまく設定できるといいなというのは1つ思った次第です。
【登本委員】  夏休みの1週間などの一定期間です。
【狩野主査】  ですね。なので、行ったきり帰ってこなくなってしまうという可能性を心配するならば、地域側も魅力をちゃんと高めておかないと、ということがありますね。
【登本委員】  はい。連動して高まったらよいなと思います。
【狩野主査】  それからもう一つ、言語能力の観点ですけれども、これも実は事務方の皆様に、「理数系」という言葉じゃなくて、違う言葉がどうですか、と申し上げたら、「科学技術人材」というふうになるべく書くようにしますという雰囲気のお返事をいただいたことがあったかとは思います。
 もう一つ思っていますのは、数量的な指標を取り扱えるというところだけをもしかして境目にするという考えもあるかなというのは、ちょっとそういうことを踏まえて思ったりしております。
 永井先生、お待たせしました。どうぞお願いします。
【永井委員】  新しく見直されていく制度の考え方というのは、これまでに大学とかにも適用されていた類型をつくってということが、それぞれの高校にとってはむしろ選択しやすくなる指標になっていくんだなと思います。
 そうしたことの意思決定というのがどのくらいの期間で行われるのかというのは、高校独自なのか、あるいは県や自治体などとの協議の中で決まっていくのかというところが少し外部には見えづらいんですけれども、もし御存じだったら伺いたいなと。類型の決定というのをどういうプロセス、どのくらいの期間で学校が行うのかということを知りたいと思いました。
 それは、国立大学が類型に分かれたときに結構いろいろあったんです。どの類型だとどうなのか。それで、類型の中で今度順位付けが行われたりした経験がありますので、どういうふうになるのかな。ただ、あの仕組みそのものは大変有効だと思っております。
 今回、私、資料3-2にもありましたけれども、前回の川越委員のお話があったとおり、産官学連携でスーパーサイエンスハイスクールを支援していくというか成長させていくという取組が広まっていくといいなと思ったので、ああしたことがどこかの類型のモデルになるといいのではないかと思いました。類型の2と3がかなり、方向性は同じなんだけれどもレベルが違うみたいな感じで受け止められるのかなとも思ったんですが、SSHに積極的に産が関わっていくというようなところが出てくるならば、非常に画期的なことなんじゃないかと思いました。
 それから、先ほどの御意見があったんですけれども、文系の話ですが、高専はSTEAM教育というのを強烈に打ち出しているじゃないですか。あれはグループワークやプロジェクト学習というのを実体験させていくという仕組みだと思うんですけれども、取り上げているのが地域課題や社会課題に対する敏感さというんですか、環境であるとか文化のことなんかも取り上げていますので、SSHとそうしたSTEAM教育というのも関連付けていってもいいのではないかなと思いました。
 以前伺った話では、STEAM教育というのは、工学系の大学においては女子学生や文化の違う学生たちが一緒に学ぶチームをつくって成長する上で非常に有効であった。ですので、次の入学者の女子志願者が増えたというような報告も聞いたことがあります。SSHにおいてもそうしたことがもし強みになるようでしたら、取り入れるといいのではないかと思いました。
 その上で、SSHも一般の高校も、現在の情報環境は若干弱いんじゃないかなと私は見ておりまして、そうした情報環境の整備というのは別途強烈に進めていく必要があるんじゃないか……。
【狩野主査】  ミュートになってしまいました。永井先生。
【永井委員】  すいません。
【狩野主査】  情報環境まで分かりました。どうぞ次を。
【永井委員】  すいません。情報環境のときに予算の問題も言われるんですけれども、よく聞くのは、人がいないと言われるんですよね。情報環境を整備したり。そういう意味でも、産業界の協力というのがあるとすごく有効なんじゃないかなと。希望を持った発言でございます。
 以上です。
【狩野主査】  たくさんの論点ありがとうございました。まず、お答えいただけるところあれば。
【白川人材政策課課長補佐】  永井先生、ありがとうございます。
 指定校さんがどの類型に申請されるかというところですけれども、今でも、指定校さんとそれから設置者、公立であれば教育委員会さんということになりますが、共に申請について御議論いただきながら教育委員会さんと指定校さんで申請をいただいておりますので、類型の選択というところにつきましても、学校さんと設置者さんで協議をしながら決めていかれることになるかなというふうに思っております。
 今の指定校さんのお話を伺っておりますと、大体前々年度ぐらいから申請の内容について御検討は深めていかれているかなという印象を持っておりまして、そういうところも踏まえて、スケジュールに関しては令和9年度以降の本格実施というふうに書かせていただいたところです。
 端的にはまずは以上でございます。
【狩野主査】  ありがとうございました。
 川越先生。
【川越主査代理】  ありがとうございます。
 私から3点あるんですが、1点目がSSHについてで、今回御提案のこのような形でめり張りを持たせるというのは非常によいかなと感じております。特に類型によって、実際の教育の現場も、時間配分や取組の仕方が変わるかなと思いますので、各学校がどこにフォーカスしてやっていきたいのか、どこを強みにしてやっていきたいのかというのを学校ごとに検討していただいて、そこを基盤にしながら、それぞれそこを強みにしながら、将来の科学技術人材をいろいろな形で育成していくということが必要になるかなと思います。まずは、各学校がどういう強みを持ってやっていくかというのを、学校ごとに目標を設定するというのは非常に大事かなと思います。
 認定校については、いろいろないい取組をしていただいていることが多いんですが、認定枠が外れてしまって縮小してしまうのは非常にもったいないと思いますので、こういった加速支援というのは非常に大切じゃないかなと思います。そうした認定校も含めて、各地域の拠点、科学技術人材の人材育成の拠点校になって、各地方でも広がっていくといいかなと思います。
 特に小中学生の話も少しありましたけれども、保護者の方と一緒でないとそんなに長距離移動できないということを考えると、各地域にあるSSHの認定校だったり、それを経験した学校が引き続き、地域の小中学生も含めて教育、人材育成に関わっていくというのは、地方の拠点をつくっていくという意味でも、ファーストステップとして非常に有効かなと感じます。
 2点目が女子中高生の理系進路選択支援のところで、こちらも、地方における拠点という話もありましたが、今のSSHの学校みたいな学校がたくさんありますし、認定枠の学校とかも同じように取り組んでもらえるとどんどん拠点が増えるかなと感じております。
 また、男子生徒も含めて理工系分野に関する興味・関心を高めるというのは非常に重要だと思っております。私が学生のとき、もう何十年も前ですけれども、そのときにも、物理の実験をやるとなったら、男子が「女子は触るな」みたいなことを言っていたりとか、私は「えー」と思いながらも、こういう性格なので奪い返していたんですが。それは男子の認識みたいなところもありますので、男子も含めて、理系の分野にも男女がいて当たり前というような認識を持つというのは、今の生徒さんはそうじゃないかもしれないですが、両方合わせて育成するのは大事かなと思います。
 3点目がSTELLAについてです。今STELLAをやっていて、高校生は非常に優秀で、いろいろと論文を書いたり国際会議に出たりしているんですけれども、実は、高校3年生ぐらいまで研究をしていると、実際発表できるのが大学生になってからということが多くて、でも、大学に入ってしまうと、研究室に入っていない学生さんは研究費や旅費がない、また、どこから支援をもらったらいいかが分からないというところがあると思います。
 国際会議に行こうと思うと、今だと旅費は100万円とか、論文投稿でも何十万円とかかるというところで、せっかくいい成果をあげていて、非常に優秀な生徒さんが大学に入ったときにどう取り組むか、そこを継続的にできないと、その先の修士・博士と行くところのモチベーションの低下にもつながるのかなと思います。
 どこがどういうふうにお金を出すのかは難しいところですが、各大学で研究室に所属していない大学生、学部生に何か支援する枠組みだったり、STELLAの中では、大学1・2年生だったら多少支援できるんですが、大学生になって突然100万円ぽんと出そうというとなかなか難しいので、少し後から申請できるような、STELLAに認定されている大学が後からお金を取りに行ける枠のような、非常に発展的にやっている生徒さんもしくは大学生の支援として、予算の枠組みにゆとりといいますか、柔軟性を持たせた形があるといいのかなと思います。
 今まさにSTELLAをやっていて、そういった事例で、国際会議100万円どうしようかなというところもあったりするので。特に、国際会議は申請してから採択されるされないの結果が出てくるまでに時間がかかるので、それが決定するまで100万円を使うか使わないか分からないというのは、STELLAの予算枠の中だと大きい額となりますので、少し流動的な使い方ができる枠があるといいなと感じました。
 ちょっと長くなりましたが、以上です。
【狩野主査】  いえいえ。現場を踏まえた大事な御意見を3点いただきました。
 お返事があるかもしれませんけれども、桝先生が手を挙げておられるので、先にどうぞ。
【桝委員】  ありがとうございます。スーパーサイエンスハイスクールに関して、以前から申し上げているとおり、本当にすばらしいシステムでこれまで積み上げられてきて、これから更に発展するといいなと思っているんですけれども。
 自身もSSHの現場に取材に行ったりするときにいつも思うのは、どうしても構造上、3年間で学生は全部入れ替わってしまうんだなというところがあって、SSHの継続性は、結局ところ高校と考えると、教員・教師によるところが多いんだなというのは改めて感じております。ですので、既にもう案の中に入っていますけれども、これからより発展していくために、教員・教師を評価して支援する、その培われたものを水平展開していくようなシステムというのはぜひ加えていってほしいなと思っています。
 特に一定以上の期間結果を出し続けた学校というのは、認定枠というお話がありましたけれども、その一定期間結果を出し続けた、イコール、恐らく一定期間支え続けた教員の方がいらっしゃるんだろうなと。学校にひもづいているというよりは、正直、高校の場合、教員にひもづいている、個人にひもづいている感覚がありますので、そこに恐らく経験スキルが蓄積されているんだろうなと思うんです。
 なので、すいません、思いつきですけれども、例えば、ある一定以上の結果を出し続けた、それを支えた教員を「スーパーサイエンスティーチャー」と呼べばいいか分かりませんが、そういったような評価につながるような枠組みづくりというのもあるともしかしたらいいのかなというふうに思いました。そのスーパーサイエンスティーチャーはほかの学校にも関わっていく義務を背負うじゃないですけれども、そういうのもありかなと思いました。
 女性の理数系進学の件とも絡んでくるんですけれども、スーパーサイエンスティーチャー(仮)は、女性もどんどん増えていってほしいなというふうに思いますし、それをプッシュしてほしいなと思います。小中高生にとっての身近なロールモデルは、家族の次に先生かなというふうに思っていますので、そういった部分でこのSSHの今後は、教師・教員に光がもっと当たるような、さらに、そこに男女、女性比率が上がるというような施策が期待できるかなというふうに思っております。
 以上です。
【狩野主査】  ありがとうございました。社会への感度が高い内容をいただきまして、ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。梶原先生はこういう科学技術教育にも関わっておられますよね。
【梶原委員】  今の桝先生のお話を聞いていて、先生に焦点を当てるというのはとてもすばらしいと思いながらも、当てられるんでしょうか。SSHの指定校で運営している学校の先生たちは、全部のクラスがSSHとして動いているのではないと思います。
 私が知っているところは、学校としては指定校だけれども、自分はクラスがそこじゃないと言っている子を知っています。そうすると、学校の中で先生は固定的にSSHをやっている先生は存在するのか、分かれているのかだとか、私立と公立で言うと、私立は比較的学校の先生は固定になっているから、SSH、すばらしいティーチャーというのは存在しやすいかもしれませんけれども、公立は恐らく、ある一定の期間で替わっていくとすると、異動先が指定校じゃなかったら、その先生のキャリアってどうなるのと思ったりもします。
私が知っているのは、STEAM教育という、この間言った一般社団法人が絡んでいて、あそこで参加している学校というのは比較的SSHの指定校が多いですけれども、そこでサマーキャンプとかやったりすると、やっぱりそこで差が出るのは、必ずしもSSH指定校じゃない学校の先生とかもいて、STEAM教育という枠組みで言うと、SSHは必ずSTEAM教育をやっています。だけれども、そうじゃない学校の先生は学び方の中での教え方が難しいというか、そもそもそういうレベルじゃない人たちにどうSTEAM教育を教えたらいいか分からない、と。
 SSHに採択されて動いている学校は比較的STEAM教育をやっているので、自立的にどんどん回っていくだとか、そういう学校は積極的に産学連携も既にやっているので、産業界からお金を持ってきているような学校もあります。
 先日、SSHの卒業生がどうなっているのかがトレースができていないという話を聞いたので、この類型のトップ層に行くような、2とか3かそういうところに行く学校には、卒業生をフォローアップできるように、国が個人情報のことを意識する必要はなく、学校で卒業生のフォローアップをして、OB・OG、5年後たったらあなたはどんなことをしていますかみたいな感じで送ると返ってくるとか、そんな仕組みも少しマンデタリーで入れると容易にフォローアップできるかもしれないと思ったりして聞いていました。
 以上です。
【狩野主査】  大事な内容がたくさん入っていたと思います。基幹支援をやったときに、基幹の枠にとどまらないような動き方をしている方々をどうやってうまく支援するかが本当に大きな問題だと、私も現場を見ていると思います。
 特に、先生たちの中でそういうのに向いた人たちというのが、組織内で上の役割をしている方々とうまく相性が合わないときにどうしたらいいか困るというような事態も見かけます。そういう教員の方々に文部科学省が何かの表彰をし、なので活躍させてあげてねという言い方になるのかどうかよく分かりませんけれども、その辺りどうしていくかということと成果はいろいろ連動する気がいたしました。
 さっきの卒業生の活躍については、今回、参考資料4の12ページに3人分載せてくださっておりまして、拝見すると京阪神の方が多い印象ですが、ともあれ、こういう方々が出てきているということは分かっているんだけれども、今まで23年やったんだから、もっといるよねということはあるでしょうし、いろいろと出しようがあるかもしれません。ありがとうございます。
 ほか、まだ御発言今回されていないのは水口先生。お願いします。
【水口委員】  高校生のバイオサミットというのが毎年鶴岡で行われておりまして、そこに参加させてもらったことがありますが、高校生が先端的な研究をされており、非常に驚いた経験があります。
 SSHの指定校が230校もあるということで、教員はどういう方がされているのかなと気になりました。例えば、博士人材であるかという視点で。類型2・3ですと、研究者としての研究の進め方等の能力が求められてくるかなと思っておりまして、博士人材がSSHの教員をやられているかどうか、その割合等が気になったポイントであります。
 高専ですと、基本的に一般科目以外は博士人材が実際に研究の進め方を教ますので、SSHだとどういう形で指導されているのかが気になりました。博士人材のキャリアパスの1つとして、SSHでの教員もあるのかなとは思います。高専だと、博士人材のキャリアパスの一つとして高専の教員もありますので、SSHにつながることもあるのかなと思います。
 もう一点、SSHから我々に講演の依頼をいただくこともありまして、最先端のサイエンスを伝えたり楽しさであったり、あるいは、我々社員のキャリアパスの話等も、どういったキャリアを歩んできたか、どういう考えでこういう道を歩んでいたかという話もさせていただく機会もあります。
 これは高校生にとっては、サイエンスを生かしてこういう道があるんだというところを伝える場になっておりまして、こういった機会は、高校生にとっても貴重な機会になると思いますので、我々だけではなくて、より全国的にも、こういった活動が推進していけるといいのかなと感じました。
【狩野主査】  これも産業側から見た御視点をありがとうございました。
 私、ちょっとだけ、あと1分ぐらいあるので、3つぐらい。
 1つは、類型2番の研究職と書いてあるところに産学、産も入れて明示されたらどうかなというのは1つ思いました。というのも、それがあると丸3との違いもはっきりすると思いますし。丸3はどっちかというとアカデミアですよね。
【白川人材政策課課長補佐】  それも含めて。はい。
【狩野主査】  ということで、産学両方の研究職と言っておかないと、大学の関係者がみんな自分のところに来るかなと思いそうな気がしました。
 2つ目が、教員のサポートということなんですけれども、どっちかというと、今までの教員のありようは、正解をちゃんと全部知っていて、それを全部分からせる人という設定だった気がするんですが、この類いのことは、正解がないことを伴走できるかの類いですよね。なので、教員としての正しい方向、よりよい方向が違うんだと私は思っておりまして、それができる人たちがあんまり日本社会はたくさんまだ見かけない気がしますので、それをどうやって増やすかということがきっと内容としてあるのかなというのは思いました。
 それから、もう一点が、女子の皆様に関すること。別にこれはジェンダーで分ける必要もそこまでないのかもしれないんだけれども、でも、地方で人が抜けていっている率を見ると、若い女子が一番心配であるという話はよく聞くところで。
 この理由として、某所で出てきた記事だけうのみにすると、御自身のやりたいことをしようと思うと、性役割がきつ過ぎてできなくなると。あるいは、「何か変じゃない?」と言われたりすることがあって居づらいから都会に行きますという人がそれなりにいるという話をうのみにすれば、こういう科学技術的人材というのは、それじゃない生き方をできる人を育てようとしている気がしていて、その意味でも拠点になっていくといいのかなと思ったりはいたしましたが。
 ちょっと踏み込み過ぎたかもしれません。失礼しました。
 ということで、ほかによろしいですかね。今日で大体この話は終わりなんですか。
【白川人材政策課課長補佐】  本日いただいたところも踏まえながら、また26日に最終的に御報告をさせていただければと思います。
【狩野主査】  すいません。ほかにもしかしておっしゃる方がいたかもしれないのに、私が最後の時間を使い果たしてしまいました。ほかにご意見、よろしいでしょうか。
 では、この初中段階の話題はこれぐらいにさせていただきまして、残りの時間で科学技術コミュニケーションに関するところを参りたいと思います。
 では、こちらは井上さんからまず御説明をいただきます。その後、10分弱の意見交換を予定しております。お願いします。
【井上係長】  承知いたしました。それでは、資料4に基づきまして、科学技術コミュニケーションに関する今後の具体的な取組等につきましての事務局案を御説明させていただきます。
 前回のワーキング・グループとその後の人材委員会の議論を踏まえまして、内容面で追記・修正している箇所、そのほか事務局で文言の適正化ですとか具体例の追記等を行っている箇所がございます。御議論を踏まえた追記・修正内容を中心に御説明させていただきまして、意味が大きく変わらない文言の適正化等に関する箇所は割愛させていただきます。
 まず、2ページですが、2番のところ、多層的な科学技術コミュニケーションの部分につきまして、「多層的なコミュニケーション」について、多様な手段によるものという意味合いを追記させていただいております。
 その最後の丸ですが、御指摘を踏まえまして、国民の多くの方が科学技術に関する情報を各種メディアから得ている状況であるという点について、御指摘を踏まえて追記をしております。
 3ページに参りまして、対話・協働の場の構築・推進の最後のところでございますけれども、国が取り組む科学技術コミュニケーションにつきましては、政策目的に照らしまして、対話を行う、あるいは情報発信を行うといった様々な手法がある中で、そういったものを適切に選択していく必要があるという御指摘を踏まえて追記をしてございます。
 また、2番の多層的な科学コミュニケーションの推進につきましてですけれども、マスメディアの活用がなかなかできておらず、特に非関心層ですとか潜在的な関心層といったところへのアプローチができていないという点を追記してございます。
 5ページに参りまして、ELSIなどの課題への対応に関する課題・指摘事項でございますけれども、こちらELSIにつきましては、科学技術に関わる全ての人が身につけるべき素養であるという点を御議論を踏まえて追記してございます。
 6ページに参りまして、(3)の科学技術コミュニケーションに関する人材育成における課題・指摘事項につきましてですが、まず、科学技術コミュニケーションを学んだ人材のキャリアパスですとかニーズの現状を把握すべきであるという御指摘がございまして、こちらを踏まえて追記をしてございます。
 また、3つ目の丸につきまして、能力の育成の在り方といたしまして、科学技術をつくる、使うといった目的を意識する必要があるといったこと、また、コミュニケーションの在り方といたしましても、市民へのコミュニケーションだけではない、本来そういうそういうものではないかという点につきまして、御指摘を踏まえて追記をしてございます。
 続いて、3ポツの具体的な取組内容といったところに移りまして、まず、丸1の対話・協働の場のところにつきましては、政策目的に照らして最適なコミュニケーション手段を検討するということを追記してございます。
 また、7ページの上の部分にございますけれども、丸2の多層的な科学技術コミュニケーションにつきまして、目的や対象を踏まえた科学技術コミュニケーション、特に低関心層を対象として、マスメディアですとかSNS、あるいはVRとかゲームとかいった御指摘もございましたけれども、新たな手法の活用、さらに、「科学技術」という言葉を前面に押し出すわけではないコミュニケーションといったことが重要であるということを追記してございます。
 また、丸3のSTEAM教育の部分でございますけれども、まず、初めの丸のところで取組例として追記をしてございます。JSTが行っているサイエンスティームといったウェブサイトに掲載する情報の充実ですとか、施策の認知度を様々な機会を使って向上していくといった取組を挙げさせていただいております。
 また、次の丸につきまして、そこに産業界ですとか非営利法人などとの連携を強化するといったことを追記しております。
 また、最後の丸につきまして、研究者が行うアウトリーチ活動、こちらを適切に評価することが必要であるということを追記しております。
 そして、丸4の実態把握とエビデンスに基づいた政策推進の部分ですけれども、一言ですが、適切な指標が重要であるということ、御指摘がございましたので、こちらを追記してございます。
 8ページに参りまして、(2)の研究開発、ELSI等の部分につきましてですけれども、丸1において、これはあくまで事例としてでございますが、大学においてELSIに関係するような科目を学部における必修にするといったことが御指摘がございましたので、追記してございます。
 また、3つ目の丸につきましては、記載を具体化しておりまして、例えば、競争的研究費の公募要領につきましては、いわゆる基礎研究なのか応用研究なのかといった研究開発段階に応じた検討という点、または、JSTにおける取組としては、JSTの中で事業横断的に検討するという点を追記してございます。
 続いて、丸2の研究者と社会との協働につきましては、記載の具体化を図っておりまして、特にCRDSとRISTEXという形で具体的に連携を拡大という形で追記をしてございます。
 最後、(3)の人材育成の部分でございますけれども、最後の丸で、専門的な内容を相手のレベルに合わせてコミュニケーションする能力ですとか、企業との連携に必要な能力など、様々な能力が適切に評価をされる仕組みを検討する旨、追記をしております。
 駆け足になりましたけれども、事務局からは以上でございます。
【狩野主査】  ありがとうございました。
 それでは、この件に関する意見交換の時間にしたいと思います。御意見いかがでしょうか。桝先生、何か加えることありますか?
【桝委員】  いえ、非常に意見が全てきれいに反映していただいていて、もう加えることはないなと。本当に非常によくまとめていただいて、すごくいい方向性なんじゃないかなと思いながら。後で文言とかは、「博物館が」とかあの辺りは、もう少し丸い文言にしたほうがいいんだろうなと思いながらという感じです。
【狩野主査】  ありがとうございました。お褒めいただけました。
 ほかはいかがでしょうか。どうぞ、登本先生。
【登本委員】  先日、東北大学のナノテラスを見学させていただきました。小学生、中学生の見学も多いことは喜ばしいことです。一方、これほどに科学が高度化してきたときに、「何かすごそうだな」とは思うけれど、それを見て終わってしまうといいますか、手が届かな過ぎて、そこに科学技術コミュニケーターが果たす役割が大切になってくると思います。見学しただけで終わらず、それが何なのか、自分にどう関わってくるのか、とてもすばらしい方針だと思います。
 一方で、こうした人材を育成したときに、高度な技術を説明できる、理解があるということがすばらしいということが認知され、社会的にもこの方々の立場が保障されて初めて生きてくると思いましたので、コメントさせていただきました。【狩野主査】  ありがとうございます。
 確かに、この世界は結局、一般というか、ナレッジがそこまででないところの人たちにどうやって近い言葉とか感覚がそのままでこの世界に飛んでもらえるかというか、関わってもらえるかという世界ですよね。
【登本委員】  なかなか高度なことだと思います。
【狩野主査】  なので、一種の翻訳だなということは思います。おっしゃるとおりです。そういう「翻訳」ができる人が尊敬されるようになるといいですよね。
 重松先生、お願いします。
【重松委員】  先日、関西万博へ参りました。基本的に、関西万博では月の石と火星の石が実際手で触れるという場所があるわけですけれども、実際に触れるというのは大きいなと思いましたね。SSH校においても、結局、研究者にじかに触れるというのがすごく有効であって、身近に、先ほど主査も言われましたように、いかに身近に感じるかということが大事かなと思いました。
 展示だけではなくて、実際に関西万博では、隕石なんかをたたいてその感覚を感じることができるというようなことがあったわけですけれども。そういう機会をどうやって、アウトリーチだけでいいのか、設けるかということも大事なことかなということを感じました。
 どうも失礼します。
【狩野主査】  ありがとうございます。触れて壊れても修理できるお金の余裕という問題もきっとあるような気がしますので、ここはぜひ、国税しかできないかもしれませんので、御検討いただければと思ったりして聞いていました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 私、1つ見ていて思ったのは、「科学技術顧問」という言葉があって、以前その役割をいただいたことがあるので何となくピンと来てしまったんですけれども、外務省の在外公館アタシェを活用する方法が1つあるなと思っています。こういう一般の人たちにどうやって関わるかという情報は、あんまり各国で本当は変わらないような気もするのですが、社会の在り方によって工夫の仕方が大分みんな違うような気がするんです。そういう情報も集めてきてもらって、参考にさせてもらったらどうかというのは1つ思いました。
 さっきのSSH、あるいはその手前の話を考えたときに、この内容に関わる基幹支援をするとしたら、一体相手は誰なんだろうということをちょっと思いながら見ていました。今のある名前はRISTEXとCRDSかもしれないけれども、両方ともさっきの一般市民直接接触型ではないので、そういう直接接触型で相手としたら一体誰なのかなとか、文化庁と一緒にするのかなとか、よく分かりませんけれども、その辺りもこういう話題の出方になると気になってしまったところです。
 すいません。止めてしまいました。川越先生、何かおっしゃいます?
【川越主査代理】  いえ、そんな。じゃあ、1点だけ。あまり大したところじゃないんですけれども。
 今回、科学技術コミュニケーションについては、「科学コミュニケーション」とかいろいろ言われ方がある中で、「科学技術コミュニケーション」ときちんと言っているというところが、社会とのつながり、産業も含めた意味での「科学技術コミュニケーション」になっているので、言葉としてすごく重要かなと思ったというところです。
 あとは、低関心層を対象にする場合に、科学技術を前面に押し出さないというところもすごく大事だなと思っています。そういう中で、「科学技術」というのが、「科学・技術」と書くこともあったりとか、その中でも、科学アンド技術なのか、「科学技術」という1つの単語なのか、科学or技術なのかみたいなところが、高校生ぐらいでも一言で「科学技術」と言っても分からないというケースもあります。何かうまく言葉を選ぶといいますか、アプローチするときには、言葉を換えていくというのは大事なのかなと思います。
 一方で、科学技術コミュニケーターでいくと、そういう名前のほうが、もしかしたら格好いいとか憧れの存在みたいになってくるのであれば、そういう名前は残したほうがいいかなと思います。
 言葉のところ、ぜひ「科学技術」という形で、「科学技術コミュニケーション」で統一していただけるとすごくいいなと思いました。
 すいません。ちょっとそれた形になるんですが。
【狩野主査】  いえいえ。ありがとうございます。
 今の内容はきっと桝先生が言葉で社会と照合されているので、後でいいキーワードを考えついていただけたらと思いながら聞いていましたけれども。
 「技術者」とそれから「科学者」の話をずっとこの委員会で最近やっているので、それぞれ分かれるのかとか、何が共通なのかとかいろいろ私も思ってきました。1つ仮説として思いついている言い方は、新しいことはとにかく両方やっていますよね。つまり、今ないものを新しく生み出すことは両方とも共通する。新しいことが主に「理由」「理論」を目指す場合は「科学者」と言っている気がします。新しいことが主に具体的に使える「方法」であるとか「道具」の場合は「技術者」と言っているかなという気はしています。
 「道具」「方法」は理由が分からなくても使えるので、特許になりやすい。「理由」「理論」のほうはそのままでは使えないが論文として公表みたいな、そういうところがあるのかなと思っていたところです。
 ほか御意見いかがでしょうか。大体よろしいでしょうか。せっかくですから、どうぞ。梶原先生、お願いします。
【梶原委員】  いいですか。すみません。
 科学館、先ほどの本物に触れて実感、実体験ができるというのは本当にすばらしいことだと思います。一方で、地域にいる人たちがその本物に触れる機会は、近くにいる人と大分違う環境にあることに対して、未来館というのは行かないと良さが分からないものですかと思うと、実はバーチャルで、最初の導入は、こんなのがある、行ってみたいというときにリアルで行くと、もっと良さを感じる。
 行ける人はいいけれども、そうそう容易に行けない人に対してもリーチができるようにするということをやっているのかどうか。今、バーチャルの世界でいろいろなことができる状況になると、そこにアクセスしてみて誰かと会話してみようとか、本物の研究者とかお話しできる人と接続して質問してみようとか、先生がそういうコーディネートをするとそんなことができるとか。
 近くにいる人がいいねと思う一方で、地方にいるとそういう環境はなかなかないというのは、何かしてあげられるような仕組みがあるといいなと思っていました。
【狩野主査】  誠に、両方経験すると同感でございます。
【井上係長】  すいません。御質問に対してお答えします。
 参考資料5の12ページのところを御覧いただければと思うんですけれども、今、未来館に関して、行かなければ見られないのかという御指摘がございました。そこはおっしゃるとおり、ずっと課題として、国の科学館が1つしかないということでございまして。
 未来館としても、そこの課題を対応するために、ここに事例としていまして「オンライン展示体験『MIRAI-Bit』による巡回展示」というふうに記載をしてございますが、こういう取組を始めておりまして。これはウェブサイトで未来館の展示の一部を体験できるというものでございまして、これをオンラインでつなげるのと、地方の科学館とかにも貸し出して、そこからつなげるといった取組を始めておりまして、ここについては引き続き推進をしていただきたいというふうに思っております。
【狩野主査】  ありがとうございます。
 こういうバーチャルを接したときに、それだけが全てだと思ってしまう人も見ていると結構いるような気がしているので、その結果として本物を見に行きたいねという気持ちがなるようなバーチャルの工夫ができていくときっとよりいいのかなと今聞きながら思ったりしていました。
 例としてはあんまり適切じゃないかもしれませんけれども、医者での経験です。亡くなった理由を実際に確かめさせていただく病理解剖というのがあります。それを近年わざわざしないということが増えてきていて、理由は、CTとか撮れば全部分かるじゃないか、とみんな思っている様子です。確かに写真に写るものはそうです。けれども、でも、実際に顕微鏡で病巣そのものを拝見したりすると、例えば細胞や組織の変化の仕方とか、CTではわからない、違うことが分かるところもあるんですよね。
 この例はともかく申し上げたかったのは、大体はバーチャルで見えるものと凡そ同じなんだけれども、実物に触れないと分からないことがあるよという経験を本当はしていただきたい気持ちがするときはありますね。余計な話題でした。
 ほかはよろしいでしょうか。だんだん時間が迫ってまいりましたが、もしよろしければ大体この辺にして、局幹部の皆様に一言をいただく時間が設定されております。まず井上局長。ありがとうございます。よろしければお願いします。
【井上科学技術・学術政策局長】  今日も様々な観点から御意見、御議論いただきまして、ありがとうございました。いろいろありましたけれども、実際の事業の話で、SPRINGの件は難しいなと思って御議論を拝見していました。
 今、日本人留学生、社会人学生はまたこれから新たにですけれども、全く同じようにやっていますが、今日御意見いただきましたけれども、事業の趣旨というのをきちんと踏まえるというのが大事であって、役所でどこまで決めるのか、国のほうでどこまで決めるのか、あと大学にどこまで裁量をあげるのかというところで、我々は政策目的の達成というのがすごく国としては大事ですから、主として優秀な日本人学生の進学を支援という部分、そこのところで一定国で決めなきゃいけないというところは、今日の御議論を聞きながら、そこは我々として与えられたすごく大きな宿題といいましょうか、課題だなというのを認識いたしました。
 また御相談させていただきたいと思っております。
【狩野主査】  ありがとうございました。
 では、続きまして、福井審議官、お願いいたします。
【福井大臣官房審議官】  今日、様々な具体的な取組に対する議論や御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 聞いていて感じたのは、ニーズにしっかり対応するということと、現場の困り事にしっかり、どこまでできるかですけれども、なるべく対応していくことが制度がよかったという評価に関わるのかなと思いますので、そういったところになるべく対応していきたいと思いますので、引き続き、御意見よろしくお願いいたします。
【狩野主査】  ありがとうございました。おっしゃりにくいことがいっぱいありそうで、申し訳ございません。ありがとうございました。
 この順番だといつもお困りになると思います。先﨑さん、次お願いいたします。
【先﨑科学技術・学術総括官】  ありがとうございます。
 確かに、高校生が「科学技術」という言葉はあまり使わないですよね。小中ももちろん。「科学技術」という言葉、もっといい言葉があればいいんですけれども、「科学技術」という言葉にもっと具体的なイメージを持ってもらえるような、そういう社会っていいなと思いました。これだけで終わるわけにいかない。
 今、局長も申したように、博士人材になる人が非常に少ない。日本人が。日本は外国籍を持っている人は3%ぐらいだそうですから、日本の博士課程学生を増やし、博士の学位を取っている人を、よく我々、100万人単位で見て何人いるかみたいな、この資料の中にもあるんですけれども、そういう人数のことを考えていくと、今、日本で活躍されている方、多くは日本人ということになりますが、その人たちがどうやって博士を取ってもらえるかということを考えなきゃいけなくて。
 SPRINGが難しいのは、人材投資政策というのは、まず、量を増やすという政策と頂点を引き上げる政策、その実は両方のミッションを資金投資という面においては担っているということで、実は結構難しい仕組みなんですよね。
 博士に上がっていただくという意味で、ある程度、一定のボリュームと一定の基準単価みたいなものが必要である一方で、引き上げるという意味においては、創発という事業もあるんですけれども、優秀な博士学生とかアカデミアをいかにしてその大学に引きとどめておくか、そのためにどうやって大学が変わって、資金を拠出して、その人を引きとどめておくかということを各大学で競い合う中で、大学も変わっていき、研究者の環境も整備されていくというような仕組みが頂点の仕組みとしてはあると思うんですけれども、その両方になっているんですよね。
 ただ、忘れてはいけないのは、さっき局長も申したように、日本人の学生さんなり、日本人をどうやって支援するかということが最も重要な仕組みであるわけです。そう考えると、それに向けた仕組みというのを今後どう考えていったらいいのか。
 その1つ提示として今回あったのが、社会人に対してお金を出していないんですけれども、社会人に対してお金を出すというふうなことが盛り込まれているということで、さあ、その次じゃあどうするかということを考えると、博士課程に進学するかどうかまだ迷っている人って、これ日本人なんですよね。海外から来る人は、ここに博士になるんだと思って来ている。社会人はもう既にサラリーという基盤があって、そこから俺、リスキリングと言うのかどうか分かりませんが、博士も取るよという覚悟がある。
 覚悟がない日本人のマスターの人にどうやって後期博士課程に進んでもらって、そこで頑張ってもらうか。これは民間への就職も含めてですけれども考えていくという、大きなインターセクションで向いてやるというのがこのSPRINGという事業ですので、その中でどういうふうに日本人の在り方というのを考えていったらいいのかというのを、国民に理解が得られるような形でやっていかないといけないというのもある。
 これ実はSSHも同じというか、加速させていく。新しいところにもお金が出ているわけですね、今度は。認定枠に対しても加速支援というのが出るようになっているのは今までないわけです。期間を短くする代わりに類型化を設けて、その類型化も、高校にSSH頑張ってねという。次は、サイエンスを活用して、それをなりわいとして生きていける人材を育てる。さらに、そこに国際性というのが加わると、更にスライドがかかるという形になって、国際頭脳循環というところに飛躍していいのか分かりませんが、そことの人材と結びつけていくという形でよりSSHというものを高めていくということで。
 これもやはり人材政策の一環としていろいろな機能を実は担っている。横展開とかいうのもあって、じゃあ人材どうするんだみたいな。教える。というようないろいろな難しいミッションを抱えているという意味においては、SSHもSPRINGも両方あるわけですけれども、日本にとっていい制度になるように、ぜひとも御支援いただければと思います。
【狩野主査】  大変大きなところのお話をいただきまして、ありがとうございました。
 国税、つまり納税者の方々、日本国に対して納税をしている方々の原資を使ってやっているからには、というところが非常にあると思っております。それに応えられるようなものにしていくというお気持ちを先﨑さんから強めに表現していただいたのかなということを思った次第です。
 社会保障費には皆さんある程度理解されるけれども、教育にも同様以上の理解をしていただけるように、この委員会としても頑張っていきたいということを勝手に代表者として申し上げて、本日はお開きにと思いますが。
 その前に、次回に関する御連絡を白川さんからお願いするということですね。お願いします。
【白川人材政策課課長補佐】  ありがとうございます。
 次回のワーキング・グループは6月26日木曜日を予定しております。
 本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にお目通しいただき、主査に御確認の上、文部科学省のホームページを通じて公表させていただきます。
 以上でございます。
【狩野主査】  今日も大量の準備をいただきました事務局の皆様に御礼を申し上げまして、閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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