人材委員会 研究開発イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材に係るワーキング・グループ(第11回)議事録

1.日時

令和7年2月7日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省15F科学技術・学術政策局1会議室 及び Web 会議(ZOOM)

3.議題

  1. 技術職員の配置や育成に関する事例のヒアリング
  2. 研究開発マネジメント人材の人事制度等に関するガイドライン(素案)について
  3. 研究開発マネジメント人材に関する体制整備事業について
  4. その他

4.出席者

委員

 小泉委員、稲垣委員、網塚委員、江端委員、桑田委員、重田委員、杉原委員、高木委員、中村委員、野口委員、正城委員

 

文部科学省

髙見人材政策推進室長 他

5.議事録

科学技術・学術審議会 人材委員会 研究開発イノベーションの創出に関わる
マネジメント業務・人材に係るワーキング・グループ(第11回)


令和7年2月7日

 
 
【小泉主査】  では定刻となりましたので、ただいまから、科学技術・学術審議会人材委員会研究開発イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材に係るワーキング・グループの第11回を開催いたします。もう11回目にもなり、長いタイトルも流れるように話せるようになりました。
 本日の会議は、冒頭より傍聴者に公開していますので、よろしくお願いいたします。
 本日は、11名の委員に御出席いただいており、定足数を満たしています。オンラインの先生方もどうぞよろしくお願いいたします。
 今回は、12期における最後のワーキング・グループ開催となりますが、ぜひ忌憚なく御意見いただければと思っております。皆さん、本当にこれまでもありがとうございます。今日もよろしくお願いいたします。
 では、議事に入る前に、まず本日のワーキング・グループ開催に当たり、事務局から注意事項と資料確認をお願いいたします。
【大場人材政策推進室長補佐】  事務局でございます。本日の会議は対面とオンラインのハイブリッドでの開催となりますので、対面で御出席の委員は、御発言の際には挙手または名立てなどで合図ください。オンライン御出席の委員は、挙手機能によりボタンを押していただき、主査から指名を受けましたら、お名前を述べた上で御発言ください。
 機材の不具合等がございましたら、対面で御出席の委員は会場の事務局にお声がけいただき、オンラインで御出席の委員は、マニュアルに記載の事務連絡先に御連絡ください。
 資料につきましては、Zoom上での共有も行いますが、会場はお配りしておりますので、各自お手元で資料を御覧いただけたらと思います。
 それでは、資料を確認させていただきます。事前に送付させていただいた資料としまして、議事次第、資料1から資料4、参考資料が1から3-2までございます。議事進行の過程で不備等がございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。
 以上でございます。
【小泉主査】  大場補佐、どうもありがとうございます。よろしいでしょうか。途中何かありましたら、御連絡いただければと思います。
 それでは、議題1に入りたいと思います。技術職員の配置や育成に関しまして、まず北海道大学の事例を網塚委員より御説明いただきたいと思います。網塚先生、どうぞよろしくお願いいたします。
【網塚委員】  御紹介いただきありがとうございます。皆様、おはようございます。本日はこのような貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。北大ITech構想と題しまして、この7月に予定されております、技術職員組織の再編計画について御紹介させていただきます。よろしくお願いいたします。
 次お願いいたします。このITechといいますのは、技術連携統括本部、Office for Integrated Technical Core Hubの略称です。
 まず、この組織の創設に至る背景として、今年度までの5年間にわたって推進してきました先端研究基盤共用促進事業、コアファシリティ構築支援事業の取組について、技術人材育成の活動を中心に報告、御紹介いたしまして、その後、ITechの組織の具体的な概要について御説明したいと思います。
 次お願いいたします。このコアファシリティ事業の目的は、設備共用体制の強化と、技術職員の人材育成、この2つを大学執行部が主導して、統括・運営する組織を整備するということにありました。北大では、スライド左側のほうに「これまでの取組」と書いていますけれども、設備共用はグローバルファシリティセンターが担っていて、GFCと呼んでいますが、技術職員の人材育成は主に各部局に委ねられていました。
 一応、技術支援本部という組織は存在していましたが、職員の本籍は各部局にあって、この本部については兼務するという形でした。全学的な技術支援の役割はありましたが、その依頼数は限られていて、また予算もほとんどついておらず、実質的には形だけの統括組織にとどまっていました。
 北大には約240人、正規の技術職員がいますが、その職務は非常に多岐にわたっていて、設備共用や測定・分析に携わる職員というのはごく一部にすぎません。ですので、このコアファシリティ事業のお題をいただいたときに、最初からGFCと技術支援本部を統括する組織をつくって走らせることは現実的ではありませんでした。
 そこで、このコアファシリティ事業の担い手としましては、スライド左真ん中辺の下ぐらいに歯車の絵がありますが、GFCと一部の技術職員が協働するコアステーションという組織をつくりました。発足時は技術職員が15名参加する程度でしたが、事業終了時には40名以上に拡大しました。この技術職員のメンバーが5年間にわたって設備共用体制の充実と、技術職員の人材育成に取り組みまして、その結果、最終的には全技術職員を巻き込むような形で、ボトムアップでITechという構想が生まれることになりました。
 次のスライドをお願いします。設備共用の拡充については、時間の都合上詳しくは触れませんけれども、一例としては、共用設備に関するもろもろのデータを集約して、それにBIツールを導入することで、個々の設備の状況も分かりますけれども、設備全体の分析を可視化できる仕組みをつくりました。これを研究基盤IRと呼んでいます。
 次のスライドをお願いします。例えばこのように共用機器の保有比率と価格帯の分布を可視化して、それと、その下側の図は取得経過年数のデータになりますが、これらを組み合わせると、老朽化対応の時期ですとか、どのぐらい予算が要るかという予算規模を見積もるマスタープランの策定に必要な分析が可能になったりします。
 次お願いします。こちらの例は質量分析装置の利用分布を可視化したものです。北大キャンパスは南北に広いですが、各エリアに設置された装置がどのエリアの利用者にどの程度使われているかというのを絵で示したものになります。データから例えば、この質量分析装置の一定期間の利用を見ると、北キャンパスに装置はたくさんありますが、実はユーザーは中央や南キャンパスに多いということが一目で分かるというわけです。
 わざわざこんな絵を書かなくても当たり前ですけれども、汎用的な装置は大学のキャンパスの中央に集約したほうが効果的であるというようなことを、例えば施設の建設を執行部に要求するときなどに有効となる根拠として使うことができます。
 次お願いいたします。こういった装置情報を基にしまして、共用設備をどう高度化していくかという戦略を立てる組織として、この事業をきっかけに研究基盤高度化委員会を組織しました。これは共用設備の連携体組織でありますオープンファシリティプラットフォームに属している15の部局から選ばれた11名の教職員からなるボトムアップ組織でありまして、この5年間の事業期間中に、この委員会が母体となって、コアファシリティ事業費に加えて独自に概算要求事業費も獲得しまして、それらを活用して学内で公募する形で戦略的に共用設備の高度化や更新を進めてきました。この方式が今、大学として装置の導入に対してどのように投資するかを執行部が検討する際のスタンダードとなっています。
 次お願いします。それから共用設備、多彩な分析・測定装置に加えて、それから特に機械工作関係の装置にも良いものが大学にはありますが、それらと技術職員の技術力の活用の場を広げる取組として、「ものづくりスタートアッププロジェクト」という企画を試行いたしました。これは東京大学の指導の下で、アントレプレナーシップの教育の一環として行ったもので、北大テックガレージと名づけています。
 春・夏休みに、起業家志向を持っている学生が集まって、プロダクトの開発を行い、それを技術職員が支援するというようなプログラムになっています。活動資金は民間の寄附で賄っています。やり始めていろいろと成果が見えてくるにつれ、支援の輪が広がっており、学生自身が外部資金を獲得するといった成果も出てきている状況です。
 次お願いいたします。それから研究者と技術職員の共同研究を促進する、学内約240名の技術職員の方々と色々な部局の研究者の間に新たな出会いの場を提供する目的で、「Researcher&Technicianコラボプロジェクト」という企画を試行いたしました。1件当たり100万円程度の支援ですが、募集してみると、予想以上にたくさんのユニークな企画が集まりまして、中には論文成果やプロダクト、プロトタイプの作成といった成果も生まれております。このような取組が、研究・教育開発シーズの開拓の新たな手法として有効であることも分かりました。また、この企画を始めたときに教員から、「自分はこういうことをやりたいけれど、それをサポートしてくれる技術職員はどこにいるのか」という問合せが来るなど、当初期待しておりました技術職員と教員との新しい協力関係も生まれるといった成果が得られております。
 次お願いいたします。以上は主に研究基盤に関するお話でしたが、続きまして、設備共用機能強化と並行して進めました研究支援人材育成プログラムの、5つのプロジェクトについて御紹介します。
 1つ目は、技術職員組織の自立化に必要なマネジメント力を要請するプロジェクトでありまして、民間で豊富な人事部署での経験を持っていらっしゃる篭橋雄二氏を講師に招いて、系統的な研修カリキュラムを行いました。特に技術職員の方々がそれぞれの持ち場の業務課題をしっかり認識するために、課題の棚卸という作業を行いました。その上で、こんなにも課題があったのかということになり、それらを系統的に整理した上で、解決するための現場業務や組織の改革案を検討していくという流れで研修が進み、ボトムアップによる新組織を構想するその立案に大きく貢献しました。
 次お願いいたします。2つ目は、将来的には1人の技術職員が幾つかの職場で働けるようなマルチスキルを持つべきであるという理念から、「マルチスキル人材育成プロジェクト」というものを試行しました。技術職員が、学内外の交流企画を自ら企画、運営するという取組で、学内では部局・分野を横断する技術交流会を実施いたしました。また、学外連携としては、少ないですけれども、JAXAへの長期出向、また、東京科学大学の江端先生らが進めておりますTCカレッジへの派遣、さらに、道内高専との相互研修や体験型英語研修などを実施しました。一定の成果はありましたが、引き続き新組織で、よりしっかりしたカリキュラムの体系化や、内容の実質化を図っていく必要があると考えています。
 また、今回の経験から、他機関に技術職員が出向することがいかに難しいかが分かりました。事務的な手続も結構大変ですけれども、同時に出向している期間、元の部署に対するバックアップ体制が組めないといけません。ほかの技術職員をそこに、正規の技術職員を回す必要がありますが、その余力が大学にないということがよく分かりました。半年から1年間、短期で非常勤の方を雇用できるかというと、なかなか募集しても応募がない、そういう困難があるということを改めて認識しまして、技術職員組織に余力をつくる必要があると痛感しました。今後に向けた重要な課題です。
 次お願いいたします。3つ目は、定年予定の技術職員がいらっしゃる部署に、今までは1年ぐらい前に若手職員を配置していましたが、それを3年前倒しで行う「先行雇用プロジェクト」という企画を実施しました。採用者は、もちろん退職される方からスキルを継承するのですけれども、同時に、3年の研修期間中、大学内の様々な職場を回って業務経験や交流を行い、見聞や人脈を広げてもらいます。将来的には大学全体を眺めて物事を考えられる人になってほしいという期待から、そのような教育を実践いたしました。その結果、先行雇用職員の方々の意欲向上と視野も拡大されましたが、副産物として、メンターを務めた技術職員の方の人脈形成やマネジメント能力の向上につながる成果がありました。
 今後は内容をさらに充実していく必要があると思いますし、同時に、研修先の部署から、中堅の技術職員にもこのような研修を行ってほしい、教員にはサバティカル制度があるじゃないかというような意見も上がっていたので、今後は中堅職員向けの類似の研修についても検討していきたいと考えています。
 次お願いいたします。4つ目は、将来の技術職員を目指す若者を増やすことを目的に、若年層にアプローチする「インターンシッププロジェクト」を実施しました。技術職員が本事業の協力校であります札幌開成中等教育学校に出向いて、SSHの課題研究スタートアップセミナーを定期的に実施するといった活動を行いました。技術職員の方々のプレゼンスキルは上がったと思いますが、実際どのぐらい高校生に響いたかという効果測定はなかなか難しいところがあります。
 一方で、高専生向けのインターンシップの募集、つまり、高専生が大学に来て技術職員の仕事を体験してもらう形のインターンシップの募集も行いましたが、残念ながら、これには応募がなかったです。広報が足りなかったこともあるかもしれないですが、大学の技術職員への高専生の関心が低いということが浮き彫りになり、今後の対策が必要だと考えております。
 次お願いいたします。最後5つ目ですけれども、研究支援人材とスキルに関する情報を集約して可視化する、また、技術職員自らが自分たちの活動を社会発信することを目的に「広報強化プロジェクト」を実施しました。
 まず、左上のほうにあります広報誌「Specialist」というのを創刊しまして、このコアファシリティ事業の活動内容を網羅するとともに、機器共用や技術職員改革を取り巻く動向について、主に学内向けに発信いたしました。
 また、北大の技術と人を可視化して、その魅力を伝える「ほくだい技術者図鑑」というウェブサイトを開設しました。また、スライド左下ですけれども、科学コミュニケーター組織が北大にありますが、そこと連携して「いいね!Hokudai」の企画に参画しまして、技術職員が自らほかの技術職員の活躍をレポートしながら、スキルを持ったコミュニケーターの指導の下で、OJT的に広報スキルを向上させる取組を行いました。
 この事業以前に、技術支援本部には広報機能はほとんどないに等しかったので、ゼロからこれだけのものが生まれたという意味では大きな進展と考えています。もちろん、今後さらに内容を充実させていく必要があるものと認識しております。
 次お願いいたします。以上のコアファシリティ事業を総括しまして、自己評価の点数をつけるとこんな感じになっておりまして、特に3つ目の研究支援人材育成プログラムは、新組織設置につながる効果的な研修が行われたこと、先行雇用制度や技術広報なども順調に進み、また課題もしっかり見えたということから、高く自己評価しているところです。
 また、最後の持続性、将来展望についても、準備に5年を要しましたけれども、全技術職員の意識を高めつつ、実質的なコアファシリティの構築に至ったという点は、大きな成果じゃないかと考えております。
 次お願いいたします。それでは、コアファシリティ事業の出口戦略とも言えるITechの概要を御紹介いたします。
 次お願いいたします。その前に現状の課題をいま一度整理しますと、右上の図のように、これまでは技術職員が各部局に本籍を置いていて、人事権も部局に属していました。正規の技術職員がいない部局ももちろんあります。矢印で書いていますけど、対外的には技術支援本部があり、一元化されているように見えましても、実際には各職員が技術支援本部を兼務しているだけなので、大学全体を見据えて人材育成を行うことや、大学全体に効果的な支援を行うことには限界がありました。
 スライド左側にまとめているのは、先ほど御説明いたしましたマネジメント研修で、技術職員自らが課題を整理した内容になっています。主な課題としては、学内外のニーズに柔軟に対応できないとか、計画的な人材育成や評価、キャリアパス形成が困難であるとか、異動の機会がほぼない、同じ部署に二、三十年いることなどです。キャリアアップの見通しもよく分からない。管理職がない。だから自立した組織になっていない。言い方は悪いかもしれませんけど、教員に従属的な組織になっている。さらに、ミッションが不明確なためにモチベーション向上が難しいとか、部局や分野ごとに役割や働き方にかなり差があって、でも給与は同じ、といったことで、やりがいにも差があるといった点が挙げられました。
 それで、右下にありますように、このような課題を解決するためには、まずは本部を兼務から本務に入れ替えて実質的な一元管理を実施することが重要であり、同時にマネジメント体制をしっかりつくって、管理職も配置すべきである、また、適切な評価制度を整備して、キャリアパスも明確化する、さらに、技術職員が高いモチベーションを持てる職場環境を整えるといった制度、組織改革を進めることが必要であるという結論に至りました。
 次お願いいたします。そのような背景をもとに構想した新組織(ITech)の全体像がこちらとなります。本部長は理事・副学長が務めまして、その下に副本部長2名を配置します。最初は教員2名が務める予定です。また、コアファシリティ事業で設置したコアステーションという協働組織に対応する機能を持つ「事業統括室(PM室)」を設けます。全ての技術職員は、この左下にあります5つの技術部門に本籍を置きまして、そこから各部局へ派遣される形を取ります。といいましても、例えば、工学系の技術部門は工学研究院と同等であるように、混乱を避けるために現在と組織形態を大きく変えることを避けています。
 それで、管理職として、各部門に部門長を配置します。これは事務でいうと課長クラスに相当します。さらに技術職員全体を統括する役職として、技術統括と技術副統括を設けます。ここが部長クラスになるのかと思います。技術統括は、副本部長の1名の教員が担当しますが、技術副統括は技術職員が務めます。部長クラスです。将来的には副本部長も技術職員が担うようになることを想定しております。
 それから、これまで技術支援本部の外にあったグローバルファシリティセンター(GFC)は、今回の改組でITechの中に組み込まれ、研究基盤総合センターとして再編します。もちろんこのセンターも、左側の技術部門から技術職員が派遣されて兼務する形で動かすことになりますが、ITechの中に置いたということで、より柔軟に技術職員が関与しやすい環境が整います。センター長は副本部長のもう一人の教員が務めて、副センター長は技術職員が担当します。将来的にはセンター長も技術職員が務める可能性を見据えております。
 また、スライド右側にポイントを幾つか書いていますけど、最後のところにあげておりますように、新しい職として「テクニカルサイエンティスト」というポストを設けます。技術職員にとっては、管理職、技術職、そしてテクニカルサイエンティストという複線的なキャリアパスが実現したことになります。これによって、技術職員が自分の専門性を生かしながら、これまでより広いキャリアパスを展望できる仕組みに一応はなりました。
 次お願いいたします。コアファシリティ構築に時間を要した最大の要因は、総合大学なので、技術職員の業務、スキル、職場環境が非常に多彩、多様であることにあります。特に北大はフィールド施設が多く、スライド一番右のフィールド系技術部門に73名いらっしゃいますが、業務も、地理的にも分散していて運営形態も多様ですので、こういった各現場の実情をしっかり踏まえながら、全学的に実効性のある一元化を図ることは非常に難しい課題でした。
 管理や評価の体制については、現行のやり方を急激に変えると大きな混乱を招いてしまう可能性があります。しかし、その一方で、スキルが分散していて、同じようなスキルを持った方が色々な部署に属しており、それぞれのスキルを効果的に集約する必要もありました。そこで、今回の改組では、まずは地理的、分野的に近い構成で部門を編成しまして、部門ごとの人事管理を縦軸において行います。一方で、共通スキルを持つ技術者の連携グループを横軸に置きまして、二次元的な運営体制を採用しました。これも技術職員の方々が自ら考えた仕組みです。
 既にお話ししましたように、各部門には管理職を、つまり縦軸には管理職を、部門長を置いて、同時に横断的なグループを横軸として構成し、まとめ役の技術コーディネーターを置くという形態で、人事評価とスキルの両面から、うまく機能するかどうかはこれから次第ですけど、最適な運営を目指していきたいと考えています。将来的には、何年先か分かりませんが、そんなに長くはかけずに、横軸のグループが縦軸に移行していく運営形態、スキルを軸にまとまった、より強固な組織体制に発展できたらいいなと考えております。
 次お願いいたします。技術職員の職階と職務のイメージです。基本となるのは中央にある職階です。これまでは黒字で書かれた3職階しかありませんでした。これを5段階に拡充しまして、最上位に上席技術専門員を設けます。左側には、新たに管理職を設置して、技術職員の中から管理職としての役割を担う道を明確にいたしまして、組織運営を強化していこうと考えています。
 そして、スライド右側に示すのが、新設する特定上席専門職、事務的な名前はそうなりますが、呼称としては「テクニカルサイエンティスト」としたいと思っています。このポストは、高い科学的素養と知見を持った方が、卓越した技術力を生かして研究・教育活動の支援や技術開発、これを担う高度専門人材という形で位置づけております。給与ですけれども、テクニカルサイエンティストは准教授相当額を想定しておりますが、俸給表としては一般職の俸給表を適用します。
 このように、技術で勝負して上席技術専門員を目指す道、管理職として部門長、同補佐、技術副統括、統括など組織を支えていく道、そして、研究者と強く連携して、研究の現場でバリバリやりたいという、研究・教育に貢献するテクニカルサイエンティストの道と、複数のキャリアパスを一応示すことで技術職員のモチベーション向上につなげたいと考えています。
 次、お願いいたします。先ほどグローバルファシリティセンターがITechの内部組織として再編されるとお伝えしましたけど、この図はその研究基盤総合センターを強調して書いたものになります。テクニカルサイエンティストは、もちろん学外からも公募するつもりですけれども、学内の方も引き立てて、このTSに採用していきたいと思っています。その場合には、引き続き、自分の持ち場である部局を支援する業務を行いますが、同時にこのセンターも兼務していただいて、ほかのテクニカルサイエンティストと一緒に戦略的技術連携チームを構成して、本学の研究・教育力の強化に向けて、効果的な技術支援のあり方や研究力強化に資する技術開発などを先導する役割を担っていただきます。令和7年度には3名の配置が決定しておりまして、今後さらに拡充していく予定です。
 このようにしてテクニカルサイエンティスト職をつくっていくことで、内部から採用した場合には技術職員のポストが空いて余力ができますので、先ほどご紹介した様々な事業を回していくことを考えております。
 次お願いします。最後になりますけれども、この新センターの役割ですが、ここで重要なのは、共用の概念を拡張するということです。従来の測定分析機器を中心としたファシリティというものから、北大の持つ広大なフィールドに加えて、情報システム技術、特にAI活用やデータ活用等々まで共用ファシリティの対象を広げて戦略的な利活用の可能性を探っていくということを構想しています。
 先ほども申し上げましたとおり、ITech内に統合することで、部局の枠を超えて技術職員がこの新センターの業務を兼務して、全学的な活動に参画しやすい体制を整えます。青いところは、今、活動している業務を新ユニットという名前に変えたものですが、近い将来はフィールドソリューションユニットですとか、ICTソリューションユニットといった新機能を増やしていくことを考えています。
 ITechが中心となり、フィールドを含む多彩なファシリティとスキルを広く学内外に開放し、社会との接点を強化するという、技術職員の方々にとって、社会に開いた窓のような役割を果たすことを目指しています。
 本日の御説明は以上となりますけれども、現在、7月1日の設置日に向けて、個々人の強みを伸ばすような評価方法や、各職場のミッション、ジョブディスクリプションの整備などを、技術職員自らがワークショップを開催するなどして精査し、具体化を進めているところです。御助言をいただければ幸いに存じます。
 御清聴どうもありがとうございました。以上となります。
【小泉主査】  網塚先生、どうもありがとうございました。では、10分ぐらいですか、質問等あればぜひお願いします。中村先生、いかがでしょうか。
【中村委員】  テクニカルなところですが、TSは面白い制度だと思いますが、TSとユニットの関係がよく分からないですけど、上位でしょうか。
【網塚委員】  TSとユニットですか。上位といいますか、ユニットというのは主に固定的な事業を行う組織という位置づけになっておりまして、それとは別に、チームを幾つかつくろうと思っています。テクニカルサイエンティストの方たちに限らないのですけれど、関連する教職員で戦略的技術連携チームという柔軟な組織を構成しまして、そこで全学的な観点でファシリティと技術活用に関するいろいろなアイデアを出して、組織を横断する形でそれを実現していく役割を担うので、ユニットとは比べるものではなく、性格が異なるものです。このほかに、例えば産学連携により装置を高度化していくとか、イノベーション創出を目指すチームもつくることを考えています。
【中村委員】  ありがとうございます。
【小泉主査】  では、野口先生、江端先生の順にいきます。野口先生、お願いします。
【野口委員】  説明ありがとうございました。とても充実した構想だと思います。
 その上で2点あります。一つは、登録先端機器というのが222台ということで、多分同様の台数をマネジメントされていると思うのですけれども、この登録先端機器というのは、例えばある資金でもって法人が用意したものなのか、それとも、例えば個々の教員が外部資金等で買ったものも含めて登録しているのかという、その登録する基準とかがあれば教えていただきたいというのが1点です。
 もう一つは、研究支援人材の育成プログラムはとてもすばらしいと思います。しかも前倒し人事を3年前にするということですけれども、ここでお伺いしたいのが、一つは、退職者が3年前ということで技術分野を問わず、すべからくこの制度を前倒し人事として導入するかということ。あと、例えば私どもの場合でしたら、なかなかこういう専門人材がいないので、安易に予算化して専門業者に業務委託をしてしまうことがあります。また例えばハウスカンパニーとかをつくるケースもあると思います。あえて前倒し人事で継承制を図ったにもかかわらず、なかなか応募者が来ない場合は、リファラル採用とか知人を通じて採用するとか、何か効果的な仕組みを講じられているのではないかと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。以上です。
【網塚委員】  ありがとうございます。まず装置についてですけれども、220台ぐらいになっていましたが、情報が古くて、現在300台を超えております。そのほとんどは研究者が自助努力で購入してきた設備になります。もちろん概算要求等で大学の支援の下で獲得してきた予算で購入した装置や、最近ですとJ-PEAKSとか、そういった国プロの様々な予算で購入した装置もございますが、基本的にベースとなるのは各研究者が自分の努力で獲得してきた装置であり、それらが登録されています。
 最近は、大型であったり汎用性の高い装置は、原則として共用機器に登録することということになっていますので、自動的に入るようになります。昔は500万円以上の装置で、オープンファシリティに登録したい方は登録してくださいというやり方です。四、五十台から始めて、今300台ぐらいになっていますけれども、おっしゃるとおり、それらの装置が老朽化して壊れたときに、今まで共用化して、様々な利用者の研究に貢献してきたのに、更新するときには大学はお金を出してくれないのかという話になります。そこも自助努力で購入しなければならないということになるとそれでは持続しないので、持続できるような体制に移していかなければいけないということで、コアファシリティ事業が構想されました。
 それで北大の場合ですと、研究基盤のマネジメントサイクルというものをつくり、学内の設備で本当に共用事業に貢献している装置、大学として整備しなければならない装
置を見極めて、そこに可能な範囲で投資するという体制をつくりました。でも、もちろん財源に限りはありますので、全ての装置を希望に沿って更新していけるというわけではありません。そこは難しいところです。
 それから、退職技術職員の方の3年前倒しで先行雇用できるかどうかということですが、もちろん何年先に何名退職されるかということは全てデータとしてわかっているのですが、そこに全て先行雇用の若手を配置できるかどうかというのも、大学の経営方針次第だと思います。財源がどれだけあるかということになりますので。今回はたまたま事業期間に2名の退職者がいたので、2名雇用するという形でうまく回ったのですけど、この先これが順当に運営できるかどうかというのは分からない。大学執行部がどう評価して、どのぐらいそこに投資する価値があるかという判断によると思います。
 また、外部委託業務はもちろん行っておりまして、もろもろの化学薬品の管理とか、安全衛生関係の業務とか、昔は技術職員がやっていたようなことで外部に委託したほうが効率的であるというものは委託しておりますけれども、大学が継承しなければならない技術、スキルというのはありますので、そこを維持していくためには、この先行雇用制度を活用していくということになろうかと思います。特にフィールドの職員が持つテクニックは、なかなか民間では得られないものだと思いますので、しっかりと引き継いでいかないといけないということがあります。よろしいでしょうか。
【野口委員】  研究者個人が提供した機器も法人で運用する際に、そのメンテナンス費用など、どうするのかなと思ったのですけれども、可能な限り法人で負担するということをお聞きしまして、すばらしいなと思いました。ありがとうございました。
【網塚委員】  ありがとうございます。通常のメンテナンスフィーですとか、技術補助員、補佐員を雇用するぐらいの利用料収入はうまくやれば入っています。非常に汎用性が高く、共用率の高い装置をオープンファシリティに登録し、それを数台集約すると全体で結構な収入になりますので、通常のメンテナンスについてはそこそこまかなえる場合があります。それが装置管理者側のインセンティブの一つになっています。ただ、もちろん300台全てそうなることはあり得ないので、そこが将来の課題ではあります。
【小泉主査】  ありがとうございます。江端先生、お願いします。
【江端委員】  ありがとうございます。北海道大学は新たな概念を導入しようとチャレンジをされていますし、組織の形としては大変理想的な形ではないかと拝見しておりました。また、弊学のTCカレッジにつきましても、御活用いただき感謝しております。
 私の知る限り、前向きに改革を進める多くの大学が理想的な形を示されていますが、現場がどこまでそれについていけるのかが非常に大きな課題だと思っており、現場への情報の伝達や、一体感を生み出すような活動の在り方等に大きな課題を抱えていると認識しております。
 ご照会いただきました北海道大学の場合は、時間をかけて議論を進めてきたところも含めて、大変すばらしい形だと思いますし、現場の技術職員の方々が積極的に動かれている様子もよく分かりました。
 多くの大学が課題を持っている中で今回この組織を立ち上げる上で最も大きな課題は何であるかという点と、もう一点、先ほど人事制度で専門職として、サイエンステクニシャンといった、新たな名称を付与するといった御提案もあったかと思いますが、他大学にも人事制度改革が進むようにするための参考として、新たなキャリアパスを作る上での課題ありましたら教えていただきたいと思います。
 本学の場合は、総合大学に比べて比較的技術分野が限定されていたので、人事制度改革を行う上で容易な部分もあったかと思います。一方で、北海道大学のような総合大学での技術職員の方々が抱える課題は、本学とは違った視点もあるかと思いますので、あわせていただければと思います。以上、よろしくお願いします。
【網塚委員】  ありがとうございます。この組織改革での大きな課題の一つは、技術職員の方々が従来から部局に所属していて、人事権も部局にあるという状況の中で、全体を本質的に一元化しようとしますと、過去の定員削減の影響が大きく響く点です。法人化後の定員削減により事務職員や技術職員の数が大きく減りましたので、その経緯が今も影響しており、組織の柔軟な運営が難しい状況にあります。各部局にしてみると、一元化するとなりますと、合理化が目的かもしれないという疑念を抱くことになります。結局、大学執行部の判断で自分の部署の技術職員が減らされるのではないだろうかという考えが浮かぶと思います。自分の部署の技術職員は特殊技術を持っていて、この職員がいなければ回らない。何もスキルがないところから雇用して、大事に育ててきたにも拘らず、引き抜かれてしまってはかなわないという気持ちになることはよく分かります。ですので、そうではないということ丁寧に説明することが重要でした。
 技術職員の方々には、技術職員全体での会合などでこの構想を何度も説明し、また、ご説明しましたようにワークショップも開催するなどして、比較的よく我々の考えが浸透しました。一方で、関係する教員側には容易に納得できない部分もありました。そのため、理事が自ら積極的に動き、コアとなる技術職員とともに各部局を訪問し、丁寧に説明を重ねることで理解を深めていただくよう努めました。
 また、フィールド施設が各地にありますので、その全ての施設を技術職員のコアメンバーが回り、現場の意見を聞きながら進めてまいりました。その中で重要だったのは、既にうまく機能している施設についてもさらに活性化を促すことが、この改組の目的であることを理解していただくことでした。
 しかし、現場としては、現在の執行部の方針は理解できるが、10年後の執行部が同じ方針でいるかは分からないという、部局と大学執行部との間の二項対立的な構図というのが払拭しきれず、この点の解消はなかなか難しいものがあるなと感じました。私自身、現在は理学部長を務めておりますが、過去には大学執行部の方針で始めた取組が、途中ではしごが外されたように感じる場面もありましたので、そのような現場の考え方があることはよく分かります。
 現時点でもまだそういった考えはくすぶっているところはあると思うのですけれども、これからの活動を通じて一つ一つ成果を見せていくことで、良い取組であることを理解していただくしかないかと思っております。
 また、テクニカルサイエンティストの創設については、既に類似の職をつくられている大学も幾つかあると思いますが、重要な点は、先ほどの定員削減の話とも関連しますが、技術職員の拡充に必要な財源を確保するのが難しいという現状です。そのため、大学の経営を着実に発展する中で、この新組織の中でのテクニカルサイエンティストの有効性をエビデンスとして示し、財務的な価値を明確にすることが重要だと考えています。これによって、ITechに係る財務状況の改善につながる、つまり必要な予算を確保できる可能性が高まるのではないかと考える次第です。
 特に強調したいのは、現在既に在籍している二百数十名の技術職員の方々の業務内容や専門性が非常に幅が広く、それで、既に研究者に近いことをされている方々がいる点です。例えば、取れたデータの中のどこに科学的、学術的な価値があるかを見極めて、それを研究者や学生にフィードバックし、さらには教員に対してデータの意味を解釈、説明できる方が多数いらっしゃいます。こうした方々は、海外の視点から見ると、もはや技術職員ではなくリサーチアシスタントとして認識されるようです。実際に海外の方からそのように指摘されたことが、この職を設けた大きなきっかけとなりました。
 つまり、技術職員の中には既にそういう業務をされている方がいます。ただし自分で研究を進めて論文を執筆するレベルになるとそれはもう研究者の領域になります。もちろん技術的な開発を通じて論文は書くことはあり得ます。重要なのはそういった方々をしっかり可視化して、彼らの貢献を外部にも示すことでモチベーションを高めることです。このような研究と技術の橋渡しをできる素養を持った技術職員の方々のキャリアパスを明確にする必要があります。こうした背景から、今回テクニカルサイエンティストという新たな職をつくりました。ただ、今後この制度を拡充していくには、やはり財源の確保が大きな課題となります。
【江端委員】  ありがとうございます。大変よく分かりました。とにかく執行部の方々の御理解は必要だということについて、以前より本ワーキングにおいても重要な課題であると議論されていたと思います。そういった点も含めて部局の皆さん、あるいは現場の皆さんとの丁寧な意見交換をしながら対応されているということで理解いたしました。ありがとうございました。
【小泉主査】  ありがとうございます。時間がないから僕も質問したいなと思っているところがあって。
 スライドの16枚目、今の江端先生の質問と絡むのですけれど。あと僕が今、気持ちがアイロニックになっているので、別に網塚先生のこの取組はすばらしいと思っているし、応援したい気持ちはすごくあるのですが、アイロニカルに見てみると、16枚目のスライドのところ、あと、それから我々のこのワーキング・グループで、今後、技術職員の皆さんのガイドラインもつくっていくということを考えたときに、今、江端先生の御質問にあったような執行部の考え方、大学としての組織としての考え方と、現場の技術職員の皆さんの考え方のずれがあるとそれはよくないなとすごく思っているところです。
 そういう意味で、この16枚目のスライドに違和感が正直あって。例えば現状、技術職員の中には高い能力と実績が認められる人材が多数いる。それでもういいじゃないかと、ここで終わりじゃないかと。適材適所がもうできているじゃないかと。高い能力と実績が認められているのだったら、それぞれのフィールドで活躍している技術人材をわざわざ変える必要はないかとも思います。
 むしろ、マッチングができていない、高い能力が認められていないけど、現場で腐っている、もうこんなのやってられないと思っている、モチベーションもない、ミッションも不明確で何かよく分かっていない、モチベーションもないような方がたくさんいて、そういった人たちを何とかしてあげなきゃいけないということであるというなら、適材適所も分かるのですけれど。
 実は北大さんの場合は、それぞれのフィールドで御活躍されていて、高い能力、実績も持っている、それぞれの部局の中でかなり活躍されている技術人材がいるのであれば、わざわざそこを変える必要はないじゃないかという議論はなかったのかということ。
 それから、それぞれのフィールドの中でモチベーションを持って幸せに、僕の知っている技術人材の方々の中でも、現場の中で本当にそこで研究者と寄り添ってずっとやっていますよというのが幸せだという、それを楽しいと思って、そこにモチベーションを持っている技術人材の方もたくさんいらっしゃって。わざわざそこを引っ剥がしてほかのところまで連れていく必要はないじゃないかという考えもあると思いますが。
 この目線が何か執行部目線で、それぞれの現場のフィールドと乖離があるとすると、我々がガイドラインをつくるときに、そのギャップがよくないと思うんですけど、その辺の、すごくアイロニックに言っているので、網塚先生を責めているわけではないですが、その辺の議論というのはなかったんでしょうか。
【網塚委員】  ありがとうございます。多分、私の発表の中で現状のところの表現があまりよろしくないと思います。おっしゃるとおりです。つまり、技術職員の中には、高い能力と実績を持っている人がいます。そういった方たちの多くは、自身の在籍する部局だけではなく、全学的にもっと色々な場で支援業務をしたいと思っている。そのようなモチベーションの高い方たちが、十分に活躍できない状況にあるという趣旨です。
 実際に技術職員の方たちが集まって、先ほど述べたコアステーションの活動に参加された四十何名の方たちは、いずれもモチベーションが高い方たちです。しかし、その中には現状に対する不満を率直に口にする方もいれば、なかなか言葉にできないケースもあります。それでも、多くの方が同じ課題を感じているのは確かであり、だからこそ改革が必要だと考えています。
 技術職員全員が改革の必要性を感じているかというと、決してそうではなく、中にはここで平穏に定年を迎えたい、変化には関わりたくないという方もいるはずです。そういう方たちに対して、あれをやれ、これをやれと上から指示を出すつもりはないです。重要なのは、モチベーションの高い方たちが、自分の能力を発揮できる場をしっかり整えて、それが組織として機能することです。それで世代が変わっていく中で、新たに雇用する人材については、先ほど先行雇用で御説明したように、大学全体を見渡せる意識で仕事が出来る人材を増やしていくことが重要です。数年で大きく変わるものではありません。5年、10年、あるいは20年という長いスパンを見据えて、着実に進めていく必要があると思っています。
【小泉主査】  ありがとうございます。そういう意味では、新しい魅力的な職場にすることで新しい人材も入ってくる、そういったところをつくっていくというところも重要、そこが一つの目的でもあるということですね。
【網塚委員】  はい。
【小泉主査】  了解しました。アイロニックに申し上げて申し訳なかったです。よく理解できました。ありがとうございます。
【網塚委員】  いえ、とんでもないです。むしろ厳しい御指摘をいただいたほうが助かりますので。
【小泉主査】  ありがとうございます。なかなか技術職員はいろんな方がいらっしゃるので難しいなと。こちらが、これがいいと思って、よかれといったことでも、いや、それは違うよという方もたくさんいらっしゃるなというイメージを僕自身持っていたので、非常によく分かりました。ありがとうございます。
【網塚委員】  教員も同じといえば同じかなと思っていますけれども。
【小泉主査】  そうですね。分かりました。ありがとうございます。
【網塚委員】  ありがとうございました。
【小泉主査】  ありがとうございました。では、議題1はこの辺で終わりにしたいと思います。
 では、議題2に移りたいと思います。研究開発マネジメント人材の人事制度等に関するガイドライン(素案)ということで、事務局よりまず御説明お願いします。
【大場人材政策推進室長補佐】  事務局から説明させていただきます。まずこちら、素案作成に当たっては、6月に課題の整理と今後の在り方というところをまとめました。そして11月、前回のワーキングでございます。そこで位置づけや、どういったことを書くのかというところを確認し、勉強会を得て今回の素案を事務局でまとめたというのがこれまでの流れです。
 資料の構成を簡単に説明させていただきますと、第1章が研究大学への期待、第2章が研究開発マネジメント人材に期待される業務と役割で、業務内容についてここでまとめたものとなります。第3章が人事制度の構築で、制度の紹介や人材の確保、そしてキャリアパス等について、優良事業を基に御説明した内容となっておりまして、第4章が安定的な組織運営というところになっています。この4つの章、「はじめに」と4つの章で出来上がっております。
 次に、こちらの素案について説明をさせていただきます。「はじめに」のところで、背景で、これはこれまでの課題の整理と今後の在り方のところでまとめたところから引用とさせていただいております。最初のところで、大学等で求められていることは大きいと。研究から人材育成、さらにイノベーションの源泉として生み出した研究成果を社会に還元していくということが求められていると。しかし一方で、実際にはそうではないというところがございます。ただし、一部の先進的な取組を進めている大学がございます。
 研究開発マネジメント人材が外部資金の獲得や研究力向上に大きく寄与している例があり、こうした大学において、彼らが活躍できるような雇用環境の整備が図られているということが多いというところで、先行事例が挙げられるところとなります。本ガイドラインの対象としましては、研究大学、大学共同利用機関でございます。こちらも前回、位置づけのところで確認したところのものになります。
 次、章に入っていきます。第1章、研究大学への期待、組織づくりです。こちらはまず、1が研究大学への期待というところで、学術研究の「知」の蓄積はそれ自体に価値があるというものでございますけれども、同時にイノベーションの創出につながると。こちらは大学等の経営層には、日本の底力である「知」をいかに高めるか、さらには「知」をアカデミアに閉じずに、様々なステークホルダーと共に、社会課題の解決や新たな価値創造に果敢に挑戦していく際に活かすことを期待するとしています。
 大学等の実態として、研究に付随する業務や組織経営に関わる業務は研究者が担う「文化」がいまだに根づいているように見受けられるが、研究者は研究活動に専念できるようにすべきであるということを明確にしています。
 大学等の経営層は、研究開発マネジメント人材を研究開発の一翼を担う重要な人材と捉え、確保・育成することが求められるというところから、次に(2)のところで、経営というのは必ずビジョンを持っています。そういったものを実現させるための組織づくりというところで、研究開発マネジメント人材をどのように活用するのかというところを示すものとしてこちらの項を立てています。
 一つが、丸1で人材担当部門、財務担当部門、研究担当部門の連携の重要性というところにしています。多くの大学等において現状を鑑みますと、研究担当理事が機構長を兼ねる機構等、これは研究推進機構や産学連携機構でございますけれども、そちらに研究開発マネジメント人材を集約し、研究系部門が事務局を担当するという体制で、機関の強みに基づいた活動を行っているというのが現状かと思います。
 大学等における研究推進活動は、研究戦略に基づき行われているということにかかわらず、現状を鑑みますと、必ずしも執行部にフィードバックする仕組みがないというところがあると感じています。そのことにより機構等が企画し、実施する研究推進策の成果や課題を経営戦略に活かすことができない、例えば人材の確保、それから外部資金をどのように活用していくのか、使っていくのかという仕組みをつくれないというところが組織構造上困難となっているケースがあります。
 そこで、大学等の事務局機能を有効に活用するには、人事部門等が有効に連携する仕組みと、それらの部門の能力を活かして企画する機能が不可欠です。実効性のある体制が不可欠となります。その解決として、研究開発マネジメント人材の活用ということが十分考えられるかと思います。
 ここで事例紹介がございます。参考事例集のページ2に、北海道大学のポンチ絵が一枚紙としてございます。ここで総長と総括理事の緊密な連携、戦略的な企画・調整のために整備された経営企画本部に主任URAが参画し、客観・共通指標等の各種データの分析等を通じて、人事課、主計課等の各事務組織等と連携し、必要な施策を提案する形をとっています。こちらが参考事例として入れているものでございます。
 次に丸2です。経営戦略企画業務を本務とする人材の有効性です。そういった企画業務についても研究者が行う文化が大学にあります。大学等の経営層にとって重要なのは、経営戦略や研究推進のための企画立案等に当たって現場で活躍する研究者の意見等をしっかり聞いて、それを反映することになるかと思います。企画業務や事務局等の調整といった実務を研究者が行わない理由は、そういった意味では全くなく、また、大学等にとっては研究者がいかに研究活動に注力するかということが重要でありますので、多くの大学等において経営企画業務に研究者が携わっている状況、文化なのかもしれませんが、そういったところをいま一度考え直してみるべきというところで、文章をまとめさております。
 こちらについての事例紹介としましては、3つの大学を入れています。一つは事例集の3、4の信州大学です。執行部に副理事、副学長をおき、それが研究開発マネジメント人材です。経営戦略に参画しています。大学経営層と研究開発マネジメント人材部門が多面的に直結することで、一気通貫での迅速な課題解決方針等の企画立案、伴走型でぶれない課題解決方策の実行を実現しているところもございます。
 立命館大学では、令和4年4月に二つの事務職員出身の副学長が誕生、これまでの副学長は教員が務めていたけれども教職協働の理念を大切にしてきており、この判断に至ったと。職員の新たなキャリアパスとして、学長に次ぐ教育研究の責任者である副学長という道を開いたというようなことができております。
 岡山大学は、何でも教員、取りあえず教員を廃止し、事務職員・技術職員の高度化を強化促進するということで、令和6年度から全学センターや機構に教員を新規で配置せず、教育研究を担う学術研究員や研究所に重点配置しているところがございます。こちらの例を紹介させていただいております。
 次のページとなります。第2章、研究開発マネジメント人材に期待される業務と役割で、(1)期待される業務です。こちら、平成25年にURAのスキル標準が作成されました。こちら、プレアワード、ポストアワード等の業務として22業務と業務遂行能力指標、業績評価が示されました。近年、求められる業務が多様化している状況や研究支援を行う人材として約10年間にわたり育成を進めた結果、組織の経営に入り込むURAが現れている状況も鑑み、研究開発マネジメント人材のコア業務構造として以下のとおり改めて示すというところで、こちら、ポンチ絵として案を示しております。
 ここでいう人材とは、スキル標準における業務内容にとどまらず、研究者の研究活動活性化のための環境整備や大学等の研究開発マネジメント強化等に向けて、研究内容に関する深い理解、洞察を有し、大学等の組織運営に係る研究開発マネジメント全般を言います。そういった高度専門人材です。組織運営に係る大学・組織マネジメントをコア業務の中心に配置し、真ん中に置いています。多くのエフォートを割く研究推進に関わるプロジェクトマネジメント、環境整備に関わる研究基盤マネジメント、社会連携に関わる産学連携・知的財産マネジメントと、それぞれ有機的に連携しながら推進する構造としています。
 従来のURAスキル標準に示した業務との違いとしましては、大学・組織マネジメントを盛り込んだことが挙げられます。研究IRにより自らの研究教育上の強み、弱み等の分析・評価を行い、研究インテリジェンスにより将来性のある研究課題の探索や研究者の確保のための情報収集分析を行った上で研究戦略を提案したり、経営設計の戦略的配分を行ったりすることが念頭にある大学・組織マネジメントに業務として関わっている研究開発マネジメント人材というのは、現在では多くありませんが、今後は大学等において当該業務に関わることで同人材が俯瞰的視点を持って研究開発マネジメントを行い、より発展的な活躍をし、大学等の研究力向上に貢献していくことが望まれると書いております。
 事例紹介として、研究IRの研究戦略への活用として大阪大学と横浜国立大学を載せております。
 7ページ、次のページをお願いします。第3章が人事制度の構築となります。こちら、まず(1)で職階の設定、研究開発マネジメント人材の機関における位置づけというところです。研究開発人材はその専門性を生かし、研究現場において研究者のサポートを行ったり、多様なステークホルダーで共創するプロジェクトのマネジメントをしたり、さらには経営戦略策定に関与します。その経験や能力に応じて求められる役割・ミッションというのがどんどん高度化するところがございます。
 そのミッションを果たすには権限が不可欠です。研究開発マネジメント人材の権限や責任の度合いを可視化し、対外的に示すことで他機関・企業等とのコミュニケーションがより円滑になることがありますので、研究開発マネジメント人材の人事制度として職階を設けることが重要であると、ここには書かせていただきました。
 具体的には教員の身分、それから第三の職というのが先行事例としてございます。そちらを紹介するというところで、金沢大学が教員職として、新潟大学がUA職として、京都大学がURAとしてというところで、それぞれポンチ絵とともに紹介をしているところです。
 (2)が人材の確保になります。弊省が行った実態調査結果において、大学においての課題としましては人材確保の難しさと量的不足が1位、2位を占めました。大学等において同人材の確保が大きな問題となっています。要因の一つとしては、待遇やキャリアパスが不透明であることから魅力的な職に今のところ、なっていないところが考えられるかと思います。研究開発マネジメント人材に研究シーズの価値判断や機関内外への研究者と高いレベルでコミュニケーションが求められることを考えますと、ここは博士人材にとって魅力的なキャリアパスの一つの位置づけになるべき職かと考えます。採用に際し、高度人材を獲得できるような処遇・インセンティブを設定することが重要であります。
 また、職の決定に当たっては安全雇用が重要な要因となりますことから、テニュアトラック制などによる一定期間後の無期雇用ポストや経営人材としてのキャリアパスを示すことが重要かと考えます。また、民間企業等で活躍する人材を採用したいという確保の話もあるかと思います。その場合、転職により給料が下がる場合には調整が難しくなるところがございますので、大学等については業務内容や責任に応じた給与設定が可能となるよう制度を構築し、有為な人材を確保できるようにすることが重要であると考えます。
 こちら、研究開発マネジメント人材は高い専門性を有する研究者のパートナーであり、経営のコミットをしていくことを担っておりますので、大学等による同人材の活躍は一層進展し、重要性が増す職種であると考えます。ただ一方で、社会一般では研究者の書類作成支援を行う人材として認識が根強くあり、大学等が募集するに当たっては同人材に期待するスキルや業務を明確に発信し、こういった仕事で、高度専門人材であるということを明確に発信することが重要であるとここには書かせていただきました。
 また、具体的な確保に関しては、大学等に在籍する博士課程学生に対してのジョブ型研究インターンシップや、あとは中長期的になりますけれども、学生が学部の段階からそういった職があることを知ってもらうことは、将来的な人材確保の観点から有効であると考えます。さらに研究者や技術職員、事務職員からのキャリアチェンジを希望する者を募り、研究開発マネジメント人材として登用するアプローチも考えられるということで、こちら、書かせていただきました。
 例としては3つございまして、1つ目が金沢大学でジョブ型研究インターンシップ、2つ目が大阪大学で、事務職員から研究開発マネジメント人材へのキャリアパスを制度化、3つ目が東京科学大学で、こちら、経営専門人材としての職種間のキャリアパス制度を構築していることを書かせていただきました。
 (3)が機関内のキャリアパスの構築です。こちらは機関として研究開発マネジメント人材に求める役割・業務の明確化、同人材による自らの目標の設定と自己評価、上司による業績評価と、その結果に基づく処遇の実施といった一連の流れをつくることが有効だということを書かせていただいております。
 事例の紹介としては、名古屋大学です。4階層からのキャリアパスがあり、自己目標達成型の評価制度により業績評価、年度評価を行って、3.5年度から4年度目の申請に基づく無期審査により無期雇用を可能としておりますと。信州大学では、テニュアトラック期間の評価によってテニュア教授、准教授、助教に登用すると、年次評価の結果、経験年数、業績実績等に基づき昇給及び昇進する仕組みになっているところが書かれています。また、財源としましても科研費等によりできることも書かれております。
 (4)が業績評価の在り方になります。研究開発マネジメント人材については、どのような評価方法が適切であるか、教員の場合にはもう長く時間もかかりますし、論文等によって決定するようなのが定着しているかと思いますが、研究開発マネジメント人材にはそういったものが今のところ、明確なものがないところでございます。
 彼らにはプロジェクトマネジメントや大学・組織運営マネジメントといった実務を担う側面と、研究者と協働して研究成果を生み出すことに寄与する研究補助的側面がございます。このことから実務の業績を評価する方法として、機関として研究開発マネジメント人材に求める役割・業務を明確した上で、そのことを踏まえた同人材による自らの目標設定と自己評価を行い、当該評価を踏まえた上司による業績評価を行うことが考えられるとここで書かせていただいております。
 (5)で、プロジェクト実施における研究開発マネジメント人材の位置づけと役割です。他機関や研究者を巻き込んで行うプロジェクトにおいては、当該プロジェクトの進捗管理や内外との連絡調整等を研究開発マネジメント人材で行うというところで、研究者は研究自体に集中する環境を確保でき、より高い研究成果を目指すことができるかと考えます。
 様々な競争的研究費の申請の際のプロジェクトの実施責任者としては、研究者の名前だけが掲載されることが大半でありますけれども、進捗管理等を責任持って行う研究開発マネジメント人材がいる場合には、当該人材の名前を申請書等に掲載することによって大学等における有効なチームビルディングが意識的に行われることや、彼らの実績を可視化することが可能になると考えます。このため競争的研究費等のプロジェクトについては、プロジェクト管理責任者に研究開発マネジメント人材を配置し、責務を明確にすることが望ましいと考えます。
 事例紹介の信州大学はこちらの書く内容ではありませんので、付記したのは、ここは削除させていただきます。
 (6)では、学内表彰制度というのを書かせていただいております。こちらは彼らの尊厳や誇りを熟成する仕組みが重要であるというところで、意欲を持って働き続けるためのインセンティブ設計の観点から、優れた業績を上げた研究開発マネジメント人材に関する表彰制度を創設することが望まれますと書かせていただいております。それは彼ら自身を当人のみならず、開発マネジメント人材全体をエンカレッジすることにもつながるものと考えております。
 文部科学大臣表彰の研究支援賞や、あと、山本進一記念賞等ございますけれども、全国レベルの表彰を受賞した研究開発マネジメント人材について、学内で改めて表彰する方法が具体として考えられます。加えて、そのような方々については、給与にインセンティブで手当を付与することが処遇面での工夫を行うことが望ましいともここでは書かせていただきました。
 (7)です。運営体制と指揮命令系統の在り方です。こちら、大学等に所属する研究開発マネジメント人材を一元化し、管理することが重要だということをここで書かせていただきました。実際にそうなっていますよということも書かせていただいています。課題としては、学部等にいらっしゃるURAは、研究開発マネジメント人材はどうするのかという話ですけれども、情報収集や研究戦略の策定する仕組みを構築することが不可欠かと考えます。彼ら人材の専門性を大学等全体で把握し、併せて経営層の目的意識を共有することも、それによって課題になるところを書かせていただきました。
 もう一つ運営体制ですけれども、大学等の規模によっては学術研究推進と産学連携推進の機能を別々に設ける例というところもございます。研究現場においては例えば学術研究の早い段階でシーズを知財化し、スタートアップに備えるなど、一体的な支援・戦略をとる、必要となるケースが多々あります。そのため、大学等では大学等で学術研究推進と産学連携の機能を別々に設けられる場合でも、研究開発マネジメント人材間で情報交換する仕組みを設けることが重要であると書かせていただきました。
 事例として3つあります。名古屋大学で、こちらは大規模大学ではございますけれども学術研究と産学連携を一括、一元化しているものです。京都大学は、KURAが学術研究を担って、それとは別に成長戦略本部というものがございますが、ここもコミュニケーションとして月1回開催する定例会等を通じて連携し、研究力を学術研究部門、産学連携部門で共有している例でございます。金沢大学は、こちらは戦略をもって形を変えていったものというところで、もともとは基礎と産学連携がそれぞれ独立していたのですが、こちらも一体化し、さらには官、地域連携組織も統合するということになりました。そこも紹介させていただいております。
 第4章でございます。安定的な組織運営として雇用の在り方です。再三触れておりますけれども、研究開発マネジメント人材は高度専門人材です。大学等の経営層は同人材の安定的な雇用を確保すべく、国立大学と名指しておりますけれども、運営費交付金による承継ポストのほか、例えば競争的研究費や企業との共同研究に伴う間接経費を財源とした無期雇用ポストの創出など、大学の実情に応じた形で安定的な雇用を実現する方策を実行することが求められると書きました。
 第2の(2)の研修、認定の効果的な活用は期待される業務で示したとおり、研究開発マネジメント人材の業務というのは幅が広くて、あと、社会からの要請によって新たな業務が関わることも業務内容が変わることもあると。したがって、業務遂行のために自身の知識やスキルを常にアップデートすることが求められます。
 一方で、大学単体でそういったところの制度化をするのは困難でございます。このことからJSTの基礎力育成研修や、そのほかとしましては実践的な知識・能力の獲得のためにとしてPM研修、UNITTのライセンスアソシエイト研修等を活用した専門に応じた研修を効果的に活用していくことが期待されます。
 これらに加えて、令和7年度の文科省、弊省の新規事業として研究開発マネジメント人材に関する体制整備事業がございます。当該事業においては、研究開発マネジメント人材に上記JSTの基礎力育成研修等の座学研修を受講させることに加えて、優れた研究開発マネジメント体制を有する大学等が提供するOJT研修を受講させることにより育成することを目的としています。こうした機能、機会を活用し、彼ら人材の育成を図ることが望ましいと書かせていただいております。
 また、研修以外としまして、ファンドレイズに関しては日本ファンドレイズ協会の認定・准認定ファンドレイザー資格というのがございます。専門ファンドレイザー認証を受けることが考えられます。研究開発マネジメント人材能力全般を証明する方法としましては、スキル認定機構が行っている認定制度を活用していくことが考えられると、ここでまとめさせていただいております。
 こちらの資料の説明が以上となりまして、最後にスケジュールについて説明させていただきます。今後のスケジュールを見てもらっていいでしょうか。第12期が今日のワーキングで終了となっております。こちら、ワーキングとして今日いろいろ御意見頂くのですけれども、そちらをまた事務局でまとめて先生方にも共有して、こちら、ワーキングとして一旦素案としてまとめます。それを第13期に引き継ぐ方法をとらせていただきたいと思っております。
 第13期の新規ワーキングにつきましては第1回が4月に開催されまして、年度内、5月でまとめるというところで動きます。予備で6月まで取っております。技術職員につきましては、来年度中にガイドラインを策定することで予定しております。
 長くなりましたが、私からの説明は以上でございます。
【小泉主査】  大場補佐、どうもありがとうございました。この間、大場補佐、もちろん高見室長はじめ、文科省の皆様がここまでの素案をつくっていただいて本当にありがとうございます。
 先ほど最後のスケジュール感のところにありましたけど、今日これで素案決定というわけではないので、まずは皆さんから御意見頂ければと思いますが、そもそもガイドラインとして重要だと思っているのは研究開発マネジメント人材を、8ページ目のところにもありますけれども、高い専門性を有する研究者のパートナーであり、研究者と協働して新たな価値を生み出す人材であると。大学経営にも組織経営にもコミットするのだと。かなりそういった人たちであることをここまで明確に書いた文章はこれまでもなかったと思うので、それは本当に非常に画期的かつ重要なことなのだろうと思っております。
 それからガイドライン全体も、もちろん大学ごとにミッションが異なったり、いろいろありますので手取り足取りというか、もう箸の上げ下げまで全部を規定するものではなく、チェックボックス的にこれらについて考えましょう、これを考えましょうということを示しているようなものだという認識を持っているところですが、考え方というのはこういうふうに考えるべきだということは、このガイドラインで全部カバーできていると思っているところです。そういうことを踏まえて皆さん、いろいろと言いたいこと、たくさんあると思いますがよろしくお願いします。
 桑田先生。
【桑田委員】  すいません。瑣末なことも含めて。
【小泉主査】  大丈夫です。
【桑田委員】  大丈夫ですね。コメントをさせていただきますので、もし間違っているようなことがありましたら、後で精査していただければと思います。
 まず、5ページ目の図ですけれども、図に関わるところで、マネジメント人材のコア業務構造ということで、スキル標準という表現がなくなったこと自身に私は、大変賛同しています。こういう形で、機能の塊が存在することがクリアになっていて大変良いと思っております。
 その中で産学連携・知財マネジメントのブロックですが、社会との連携に関わるようなファンクションについて様々な御意見があるので、結局、産学連携のワークと知財戦略のワークと、スタートアップの育成という話をまとめて入れておいて、各大学で考えなければいけないこととして書かれていることに、最終的に賛成しています。
 ただ、文章中の記載に、スタートアップが入っていますが、従来からあまり深い議論がされていないのと、以前、東大でスキル標準をつくったときには登場していなかったファンクションです。
 その為、文章中のスタートアップの記載については、大変最近注目されており、大学運営としては必須の機能であると位置づけられているので、ここに新しい視点として入ったのだということを書いておくことは、今回は必要じゃないかと思いましたので、コメントとして申し上げたいと思います。
 それから、8ページ目ですけれども人材の確保のところで、現場の経験として御理解いただければと思うのですが、URAの人材が流動性を増して、多くの人が必要なときに集められることは大学としてはうれしいと思っています。しかし、例えば、まさに今は地域中核とか国際卓越で、URAの市場は流動性が高まっていて、そうすると、むしろ流動性の波にのまれてURAが去っていってしまうような現象があり、人が足らないので必死になって集めようともしています。
 すると、スキルの質の保証がきちんとされていれば流動性はいいけれども、保証がされていない場合には、また一から教育、育成をし直すことが起こり、組織力がデグレードしてしまうことがあります。現場の声としては、何らかの形で、人材のスキルの認定が欲しくなるわけです。
 どういうスキルをお持ちになっている方かというのが全国共通で分かるようにしてほしく、それが今も行っているURAの研修や、それと抱き合わせで動いている認定機構の認定だと従来から理解していたのですけれども、まだその認知と周知が低く、あるいは共通の仕組みとしての実力として、みんなで仕組みを使ってやっていこうというところまで至ってないのだとすると、スキルの質保証と認定の精度を活用して有益な人材を確保することについて、大切じゃないかと国からも投げかけてもらえると、現場の機運も高まっていく気がしております。
 それから、第3章の人事制度の構築というところで、ガイドラインの構成と本文の間に差が出ていると思います。(4)の次に(5)で10ページ目に、プロジェクト実施における研究開発マネジメント人材の位置づけの役割が挿入されているのですけれども、この位置でいいのでしょうか。そもそも(1)で位置づけを言っていて、全体の位置づけを言っているとすると、これに附帯してプロジェクトを推進するときの位置づけもこうあるべきではないかというのをまず言って、立ち位置をクリアにした後に人の確保や、キャリアパスの構築とかという話、業績評価の在り方といったほうが頭の中にすっと入ってくるのではないかと私は思いました。その辺りは少し読んでいる方の観点を見ていただいて、必要な入れ替えをしていただければと思います。
 最後です。13ページ目ですけれど、4章の(1)の雇用の在り方は、実態が記述されています。雇用費の確保がとても難しくて、運営費などで確保が難しくて、各大学では非常に苦労しながらプロジェクトのお金を獲得して雇用費を捻出しているのですけれども、その実態が書いてあるだけで解決策についてのガイドラインになっていないような気がしてならないですが、それはいかがでしょうか。
 もし踏み込むのであれば、雇用費の多様化という記述は存在するので、それをもって大学の中の運営として、どのようにお金を集めてURAの安定雇用に充てる費用にプールする方法があるとか。踏み込んだ仕組みづくりの推奨例を示すぐらいまで、国のガイドラインなので言ったほうが機動力になるかと思います。学内で、小さな声で一生懸命そんなこと言っても、結局、施策にならず終わることが多いです。私の希望としては、もしそこまで踏み込めるのでしたら、大学での施策の後押しの意味でも、ぜひ書いていただけるとうれしいと思った次第です。
【小泉主査】  先生、ありがとうございます。かなりプラクティカルなところの御意見頂きました。高見室長、大場補佐、何かありますか。
【高見人材政策推進室長】  ありがとうございます。特に、いろいろ御意見頂いて御指摘踏まえて考えたいと思っておりまして、最後の点に関しましてなんですけれども、実態として間接経費を財源に無期雇用ポストを創出するところは、意外とこれはなかなか難しいというか、大学としての覚悟とか判断が要るところかとは思っております。
 ただ、それもやっていらっしゃる大学もあるという事例的なところでは承知をしておりますので、そういった方法を取り入れるとか、いろんな実情があると思うので、桑田先生が最後におっしゃってくださったのは、仕組みづくりを推奨するところまで、書き込めるようにしたいとは思います。
 いろんな方法があると思いまして、とある研究開発法人ですけれども、では雇用する方を原則無期雇用で雇用して、それの財源は全て運営費交付金で賄っているような例もあるやに聞いておりますし、そういうやり方ももしかしたらできるのかもしれません。そこはでも大学それぞれの実情があると思いますので、そこを踏まえて御判断いただきたいことではあるのですが、もっと踏み込んだ形にはしたいと思います。
【小泉主査】  ありがとうございます。ほかに。桑田先生、よろしいですか。
【桑田委員】  はい。以上です。本当にありがとうございます。
【小泉主査】  ほかにございますか。オンラインの方も含めていかがでしょうか。
 高木先生、お願いします。
【高木委員】  高木でございます。ありがとうございます。
 まず、スタートアップについては、非常に重要だと思います。文部科学省の他の部局、例えば産業連携・地域振興課でも大学発スタートアップについて、件数に加え、成長を支援して大型化していこうという取組をスタートされるということですので、スケジュールが間に合うようであれば、記載に少し工夫していただければよいと思います。
 それから、以前、研究職以外の方が副学長になられた事例、URAに教授職を与える、兼務される事例のご紹介がありました。素案の事例を見ますと、御発表いただいた大学の事例を記載されておられると思いますが、これに加えて御発表いただいていない大学の事例についても、可能であればリストなどを加えていただければよろしいと思いました。
 つぎに、この研究開発マネジメント人材に関するガイドラインと、技術職員に関するガイドラインは別冊になりますね。
全体的で気になりましたのは、このガイドラインの目的の1つが、研究者が研究活動に専念できるようにすることですが、大学の研究職、例えば教授の方ですと、研究だけでなくて教育もあります。ガイドライン2つあるのであれば、位置づけを示す文章もあると思いますので、その中で、このガイドラインは教育業務に関するものは除きます、などの位置づけを明確にしておくといいと思います。
 研究で負荷が重い場合、研究に専念していただくために例えばバイアウト制度を活用することもあると思います。今回は対象外だと理解しておりますので全体の位置づけの文章などを、少し工夫をしていただければよろしいのかと思います。
 最後に人件費の財源については、昨年の4月プレゼンでも述べさせていただきましたが、非常に重要な問題だと思っていますので、引き続き適切な場で御議論いただければありがたいと思っております。
 以上でございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。
 何かございますか、高見室長。
【高見人材政策推進室長】  引き続きスタートアップに関する御指摘頂きましたので、少しそこの役割というかを強調するような形というのは模索したいと思います。そうですね。
 ヒアリング以外の事例も、なるべく我々も探して入れたいなというところはあるのですけれど、なるべくこの後も、本日お示しした事例に限らず増やせるところは増やしていきたいとは考えております。ありがとうございます。
【高木委員】  お願いいたします。
【小泉主査】  ありがとうございます。ほかにございませんか。
 杉原先生、お願いします。
【杉原委員】  
 非常に業務が多様化、高度化する中で、先ほど桑田委員からのお話にもありましたように、きちんと質保証していく必要があると思います。現状もスキル認定機構では質保証をしていますが、正直、一段階のスキルの保証しかまだ出来ていない段階なので、より拡大・発展する中で業務の多様性と高度化にも合わせた質保証をきちんとしていくことが必要です。多くの研究大学の中で、こういった人材の流動性を高める上で、あるいは、これから目指す人材にとっても、どういうスキルを持っていれば新たなポジションにつけるのかという大きな目標、目印にもなるかと思いますので、ぜひ公的な質保証を、繰り返しですけど高度化、多様化に合わせてしっかりつくっていただければと思います。
 以上です。
【小泉主査】  ありがとうございます。
【高見人材政策推進室長】  最後、この13ページの最後に、研究開発マネジメント人材の能力全般を証明する方法として、スキル認定機構が行っている認定制度を活用していくことが考えられることは書いているんですけれど、恐らく今回提示をさせていただいているコア業務構造のような業務を担う人材となってきますと、認定の在り方について大学・組織マネジメントのあたりはどうやって能力証明といいますか、をしていくかといったところは今後議論が必要なところかと思っております。そういう意味で、総体としてのスキル認定機構が行っている認定制度というのはあると思っているのですが、そこもアップデートというかをしながらやっていくのがいいのかとは思っております。
 その上で、大学でこれをどう使っていくのかというのは、コア業務の構造にもこれが全て、これ以外の業務をやらないというものでもなく、かといって、プラスこれら全てをやらなければいけないものでもないことを書いてありますが、大学のビジョンごとに違うのであるという構造、書き方をしております。恐らく認定の使い方みたいなところも大学ごとの判断があるとは思うので、このガイドラインの中では、こういう能力証明をしていく方法として御紹介をして、大学が選んでいくような形がとれるのがいいと思っているところでございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。質保証の件に関してもそうですが、あと、ごめんなさい、僕から。中村先生、その次、行きます。話したいですよね。
【中村委員】  話したいです。
【小泉主査】  僕から1個だけ。今の流動性云々のところの質保証も大切ですが、9ページ目のところの(3)のところで、機関内キャリアパスの構築云々ところで、いや、このガイドライン、全体的にコンセプトを示しているガイドラインですけど、今のお話聞きながら(3)のところだけ、明確に4職階が原則であるって書いてもいいのかと思ったところです。基本的には各大学、もう多分4職階設けていると思うので、つまり職階を設けることによってキャリアパスが明確になると思います。研究者であれば助教、准教授、それから教授になると、准教授だから、この人は教授としてならなきゃいけないとか、そういう職階を設けることによって逆にキャリアパスが明確になるのであれば、4職階。
 前に研究大学コンソーシアムでURA出したときにもう4職階ですということを書いて、それはプライベートセクター、プライベートセクターというか、がつくったものとして研究大学コンソーシアムでは4職階って書いたのですけれど、公的な文章の中で4職階というのは。各大学、名古屋大学の例、ここに書いてありますが、4職階を設けるというのは何となく皆さん、そう思っていると思うので、4職階ってここで書いてしまってキャリアパス形成に、それぞれの職階に合った質保証というのも当然あると思いますが、質保証とは各職階に合わせて4職階って書いてもいいと思ったところです。
 4職階をどう設置するかは別として、それを原則とする。もちろんそれが全部、全員にそれが当てはまるかというと、そうではないかもしれないのですが、キャリアパスを明確にする上での4職階、ごめんなさい、いきなりボールを投げ込む感じだと思うのですけれど。
【高見人材政策推進室長】  そういう意味で言いますと、事例集にいろいろと職階を設けている例をお示ししていまして、そういう御紹介のページがあります。
【小泉主査】  東京科学大の例とか、信州大の例とか。
【高見人材政策推進室長】  そうですよね。
【小泉主査】  新潟大も4職階。
【高見人材政策推進室長】  新潟大は、そうですね。UAとして4職階で、おっしゃるとおり科学大は。
【小泉主査】  職務によりますけど4職階。URAは4職階ですね。
【高見人材政策推進室長】  そうですね。二種免許になると3職階、ほかは5職階。25ページの信州大学は、職階としては3つということでしょうかね、というので職階の中にさらに昇給ができるような仕組みがあるのをお示しいただいていますが、そこは委員の先生方の御意見を伺って。
【小泉主査】  そうですね、はい。
【高見人材政策推進室長】  4職階と決めるのが果たしていいのかというところは個性がいろいろあるかと思いまして、あえて書いてないところがあるのですけれど、研究大学コンソーシアムが4職階をお示ししたところは承知をしつつです。
【小泉主査】  僕は教員職が明確に助教、准教授、教授って分かりやすくなっている、ポスト化というのがあるので、そこは明確にしたほうがいいと思ったところです。
 中村先生、稲垣先生の順で行きます。中村先生、お願いします。
【中村委員】  すいません、しゃべりたそうで。単なる上書きですけれど、このガイドラインって多分5年前のURAが見たらびっくりするぐらいのすばらしい内容だと思うので、ぜひお願いします。
 そう言いつつ、第1から3の踏み込みに比べて第4章が現状しか書いてないので、さっき高見室長がおっしゃったように、この認定制度を各大学はどうやるかということだけでもいいと思うので、認定制度をしっかりさせてやることを書いて、それは将来の、何だろう、結局スキル認定機構が段階をつくるのかもしれないですけど、何かそういうことをエンカレッジするようなものが1行だけでもあればいいかなと思います。
 あと、さっきの職階の話ですけど、4職階はともかくとして、周りを見ていると職階ってすごくモチベーションが上がるので、それはそういう制度があるというか、推奨されるとかいうの、そこは難しいですけど、職階制度は間違いなくプラスに働きかけると思います。
 以上になります。
【小泉主査】  ありがとうございます。続いて稲垣先生、お願いします。
【稲垣主査代理】  ありがとうございます。壮大な事例集ありがとうございます。
 まず、さっき今の話に関連してなんですけど、ちょっと不正確なので確認してほしいのですけど、東北大学が何かURAを名乗るにはスキル認定機構の認定URAをとらないと駄目みたいな、そういう話をちょっと耳にしたので、東北大学に聞いていただくといいのかなと思いました。
 先ほどの質保証に関連してなんですけど、人材確保のところで、もちろん受入れが、雇う側の環境が不十分という声は当然あるのですけれども、最近よく聞くのは雇用した人のミスマッチ、どういう業務なのか、きちんと認識しないで入ってくるという声もよく聞くので、人材確保の部分でも研修や認定のことを言及して、詳細は後ろみたいな、そういうことを書いてもいいと思いました。
 そのミスマッチを解消するには、どういう業務があるのかというのを、研修を通じてきちんと勉強していただく。さらに研修を受けっ放しにするのではなく、きちんとテストも受けて理解しているかどうかを判定することが大事かと思いますので、きちんと質保証を前提とした研修の有効活用や、あとは業務経験を有する人に関しては最低限の経験スキルを持っているあかしの認定を活用して、ミスマッチを防ぐみたいなことも言及されるといいと思いました。これも今さらで済みません。
 以上です。
【小泉主査】  稲垣先生、ありがとうございます。野口先生。
【野口委員】  はじめにの表紙の細かいところから指摘しますけれども、2行目のところで地域連携とありますが、本部のコア業務の構造のところは社会連携となっているので「社会連携・地域連携」という表記の方がいいと思いました。4つ目のはじめにのパラグラフのところで、本ガイドラインはマネジメント人事制度等を構築する際の手引と思います。その観点から見ますと、手順が明確である、様々なサポート示唆がある、事例もある、このような構成や枠組みはとても良いと思います。
 その上で先ほども全体のボリューム感のバランスの話もありましたが、第1章は方向性で、第2章はミッションで、第3章は具体策の提案で、第4章が組織運営という、こういう枠組みになっていると思います。ボリューム的に第4章のところは、私は第3章の11ページの運営体制と指揮命令系統の在り方などの箇所を、場合によっては第4章の組織の上のところにはめ込むようにしたほうが全体のボリューム感のバランス的にはいいと思いました。
 それから研究開発マネジメント人材、期待される業務と役割の第2章です。これがちょっと尻切れトンボになったような構成で、(1)の期待される業務で、(1)があれば(2)という構成がなければ、構成上の格好がつかないと思いました。この箇所、役割と業務と書いていますが、業務というのは例えば理想像を実現させるためのプロセスで、作業の内容などを指します。一般的に言われるのは。このコア業務構造の細かい内容のところは、具体的には作業の内容を示していると思います。一方で、君の役割は何かと言われると責任とか使命とか、そういうことが役割になると思います。役割とか使命を因数分解していくとマネジメントであるとか、旗振り役であるとか、リーダーサポートであるとか、人材育成であるとか、あと、チームをまとめたりして支えたりする内容です。なので、期待される役割や責任、ミッションは大体このようなものであるということで、(2)で期待される役割というのを入れてもいいと思いました。そうするとページの項目バランスも、ややとれていくのではないかと思いました。
 人事の参考事例のところはいろいろ調べていただければ、もっと報告があると思いました。
 以上です。
【小泉主査】  ありがとうございます。続いて正城先生、何かありそうですね。
【正城委員】  ありがとうございました。既にたくさん御意見が出たので補足的なところ、2点か3点ですけど。
 先ほどの5ページのところ、業務というのを今回新たに一から考えていただいて構造化もしていただいたと思います。何人かの委員の方から御意見がありました点も賛同するのですけど、その図の下の、研究開発マネジメント人材とは、と書いてあるところが、最初は研究力活性化のところからの文章になっています。はじめにですとか、第1章の研究大学への期待のところというのはイノベーションや社会に対しての知の還元みたいなところも書かれていたと思いますので、そういった視点から書いていただいた上で、もちろん研究力強化は必要なことは論をまたないので、上の図に合わせたような形に検討していただいたらと思いました。
 次、8ページの人材の確保のところで、私立大学さんは特に事務職員の方がこういった業務で活躍されていると思いますし、国立、国公立大学でもその活用が事例としても挙げられているので、最後の2行、「さらに、研究者や技術職員、事務職員からキャリアチェンジ」と、記載が2行分だけというのはバランスがどうか、少ないのではないかと思いました。なぜこうなっていったのかと思うと(2)が人材の確保になっているので、人材の活用という面も入れると当然、その組織にいる人たちを最大限活用しようというようなプロセスも生まれてくるかと思うので、「確保」だけでなく、「活用」があったら、より強化されるのかと思いました。
 最後は私、事例をきちんと見てないので、推測で物を申し上げるので違っていたら後で直していただきたいのですけど、一つの事例が複数の側面を持っている可能性があると思います。これを見ていると事例紹介で順番に言っているので多分、1個ずつしか引用されていないと思うのですが、複数のところにかかることがあれば再掲、再掲載という、どこどこ大学の前に出ていたこの事例もこの点で再掲という形で引用していただくと、そこを中心に読む方にとって関係するところを全部網羅的にできると思います。
 3点、以上でございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。この後、江端先生、重田先生の御意見を伺って、その後、髙橋補佐から御説明いただこうと思うので、江端先生、重田先生の順でいきます。
 江端先生、お願いします。
【江端委員】  小泉先生、ありがとうございます。中座をしておりましたので御説明の途中の部分を聞き逃してしまいましたが、これまでの本ワーキンググループでの意見をしっかりと反映していただいているかと思っております。
 1点、好事例についてですが九州工業大学の資格手当等の件について、こちらに記載がないように見えましたので、改めて御紹介させていただきたいと思います。URA等の高度専門職手当は4段階ありまして、3万円から7万円までの手当を上乗せする制度を確立しているとのことです。また、それに加えて資格調整手当として、博士等の資格を持っている方は2万円、あるいは3万円の手当をさらに上乗せするような仕組みがあると伺っております。こちらの制度は規定としてオープンにされておりますので、大変参考になるかと思っております。人事制度改革を推進していく上で人事給与の本体を改定していくことは非常に大変な作業となりますが、このように手当を上乗せしていくような形は、比較的容易な方法かと思いますので新たな視点として加えていただけると、各大学が人事制度改革を検討する上で、良い事例になるかと思いました。ぜひそちらを御検討いただければと思います。
 私からは以上です。ありがとうございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。ボーナスのようなものは杉原先生の信州大学でも行われていましたよね、たしか。そういう話じゃないか。余計なこと言いました。先に行きます。
 重田先生、お願いします。
【重田委員】  2点ありまして、1点は今の江端先生と同じで給与の問題だと思っております。こちらに機構内キャリアパスの構築ということで(3)、9ページとかに教員や職員、技術職員など、そういった職種を転換することを柔軟に行う一番の難しさは、給与システムがそれぞれの職階において違うので、それをどうやって整理していくかということだと思います。
 一つのやり方としては今の江幡先生がお話いただいた、例えば、URAという、あるいは高度専門職という人材に関して、ジョブ型のような形で給与や手当をアドオンする形で回避するのも可能ですし、もっと言うと違う職種の職員に関する給与システムを統一的に見直すのが、本来であれば大きな意味で、大学の中でこういった職を移る一番いい方法だと思うのですけど、これは個々の大学の負担がかかる事と思います。実装に際して、給与システム改革について何か言及をされると、もしかしたら色々な大学が考えていただけると思います。
 2点目が好事例というか、幾つか事例を紹介されているかと思うのですけれども、読み手の立場を考えると、例えば自分たちの大学がどの大学と同じぐらいのレベル感の大学なのかというのを多分、気にされると思います。今、このワーキングとかで知っている事例であるとか、あるいは参加されている大学の事例というのがかなり多くなっていて、それはそれで確かにいいと思うのですけれども、事例紹介のところをもう少し増やしていただいて小さな規模の大学、あるいは中規模の大学、あるいは旧帝大のような大きな研究大学のような、そういったカテゴリーを事例紹介の中で一つの項目に当てはめられるといいと思っています。
 もっと言うと例えば理系が中心の大学であるとか、あるいは総合大学とかであっても違うかなと思うのですけれども、細分化し過ぎると難しいと思いますので、少なくともそういったようなところをケアいただきたい。
 もう一つは、私立大学に関しては立命館大学の事例しかないですので、私立大学の方がこれを読まれたときに立命館大学さんのやつはまねできないなと思うと、躊躇されると思うので、そこについても目配りをいただければと思います。
 以上、コメントとなります。
【小泉主査】  重田先生、ありがとうございます。
 網塚先生、何か御意見等ありますでしょうか。
【網塚委員】  ありがとうございます。いや、特にないですかね。全て十分に網羅されているような感じがいたします。
 先ほどどなたかがおっしゃっていましたけれども、私も「研究開発マネジメント人材とは」という定義や説明を早めに記載していただけると、読んでいてしっくりくるように思いました。最初から読み進めるうちに、研究開発マネジメント人材に関する表現が少しずつ増えていき、その都度、頭の中で開発マネジメント人材がここではどういう人たちを指しているのかと、イメージを更新しながら理解を深める流れになっています。最初にある程度の定義やイメージを提示することで、より読みやすく強いインパクトを与えられるのではないかと思いました。
 そのほかは皆さん、おっしゃっていたことに異論ございません。以上です。
【小泉主査】  ありがとうございます。そうですね。その辺の流れは、また御検討いただければと思います。
 すいません、時間が長引いております。ありがとうございました。皆さんの御意見を踏まえて、また引き続き議論したいと思っております。
 続いて最後、議題3、研究開発マネジメント人材に関する体制整備事業についてということで、髙橋補佐から御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
【髙橋人材政策課長補佐】  ありがとうございます。時間も限られますので大事な点だけ申し上げさせていただければと思います。
 資料3の1枚目で、研究開発マネジメント人材に関する体制整備事業とポンチ絵を出しております。前回の会議でも参考資料として概算要求のものを出しましたけれども、政府予算案としましては右肩にあるように6億円となっております。内訳自体は左下にあるように体制強化を図る機関として9機関程度で、単価としては3,400万程度と、研修を提供する側は3機関程度で5,800万というような積算になっております。現在、公募に向けて事業設計、準備をしているところでして、いろんな大学と意見交換をさせていただきながら現場の方が使いやすい制度にしたいと思っていますので、御意見を伺いたいというのが今回の資料の趣旨でございます。
 2ページ目から後ろ数枚、今、検討中のものを出していますけれども、1個1個説明すると時間がないので、ここに記載したものは後日確認いただければと思いますが、まだまだ柔らかいものですので、たくさん御意見を頂ければと思いますというのが1点です。
 それに関連しまして、7ページ目の下に情報提供依頼というのをさせていただきたいと思っていまして、本日ぐらいからMicrosoft Formsを使って、ここに記載したようなことについて御意見を頂ければと思っていますので、ぜひ御回答いただけると事業設計に役立ちますのでよろしくお願いいたします。
 説明は以上です。
【小泉主査】  ありがとうございました。本当はここで質疑応答したいのですけれども、最後、情報提供依頼というところがありますので髙橋補佐、いいでしょうか。すいません。ぜひ各大学、どうぞアクセスしていただければと思います。このページのフォームからアクセスいただければと思いますので、ぜひよろしくお願いします。髙橋補佐もありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 では、最後に事務局より事務連絡ということで、大場補佐、よろしくお願いいたします。
【大場人材政策推進室長補佐】  本日の会議の議事録につきましては作成次第、委員の皆様にお目通しをいただき、主査に御確認の上、文部科学省のホームページを通じて公表させていただきます。
 また、今回で今期の本ワーキング・グループが終了となります。委員の皆様には多大な貢献をいただき、誠にありがとうございました。
 なお、次期の人材委員会やワーキング・グループの体制につきましては事務局において検討し、委員の皆様には改めて御連絡をさせていただきます。
 以上でございます。
【小泉主査】  ありがとうございました。12期ワーキング・グループということで、皆様には本当に様々な御意見頂きましたありがとうございました。
 ぜひ、この研究開発マネジメント人材という言葉をここでつくり、また、これが後から振り返ったときに、ここが起点になったと、ここがエポックになったと思えるようなものを今後もガイドライン、つくっていければと思いますし、逆にそうしなきゃいけない、ここがエポックにならなきゃいけないと思っています。高見室長はじめ、本当にこの件、かなり精力的に本当に文科省の皆様、ありがとうございます。そして委員の皆さん、どうもありがとうございました。ぜひ、これをエポックにしていければと思いますので、ぜひ引き続きよろしくお願いします。
 それでは、本日はこれにて閉会としたいと思います。ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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