人材委員会 研究開発イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材に係るワーキング・グループ(第10回)議事録

1.日時

令和6年11月13日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 東館 12F 大臣官房総務課会議室 及び Web 会議(ZOOM)

3.議題

  1. 研究開発マネジメント人材及び技術職員の人事制度に関するガイドラインの検討について
  2. その他

4.出席者

委員

 小泉委員、稲垣委員、網塚委員、江端委員、桑田委員、杉原委員、高木委員、中村委員、野口委員、正城委員

 

文部科学省

奥人材政策課長、髙見人材政策推進室長

5.議事録

科学技術・学術審議会 人材委員会 研究開発イノベーションの創出に関わる
マネジメント業務・人材に係るワーキング・グループ(第10回)

 

令和6年11月13日

 

【小泉主査】  定刻となりましたので、只今から、科学技術・学術審議会人材委員会研究開発イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材に係るワーキング・グループの第10回を開催いたします。9回から何か月か離れてしまいましたが、我々取りまとめも行いまして、それを踏まえての議論になると思います。

 本日の会議は、冒頭より傍聴者に公開していますので、よろしくお願いいたします。
 また、本ワーキング・グループですが、本日のワーキング・グループより新たに3名の委員を加え、合計11名の委員により構成することとなりました。これだけ日本の英知、この分野に関する日本の有識者を集めて議論できることを、とてもうれしく思っております。ありがとうございます。
 本日は、そのうち10名の委員に御出席いただいておりますので、定足数を満たしているということで、会議を始めさせていただければと思います。
 では、まず、新たに加わっていただきました3名の委員の先生方を御紹介したいと思います。御紹介いたしますので、一言ずつ御発言いただければと思っております。
 最初に、北海道大学大学院理学研究院教授、網塚浩様です。網塚様、どうぞ一言よろしくお願いいたします。
【網塚委員】  北海道大学の網塚です。本日より参加させていただきまして、ありがとうございます。理学研究院物理学が専門ですけれども、設備共用等を担っているグローバルファシリティセンターのセンター長も兼務しております。いま、コアファシリティ事業の活動の一環で大学全体の技術職員の実質的な一元化等の改組に向けた活動もしております。どうぞよろしくお願いいたします。
【小泉主査】  網塚先生、どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、東京科学大学戦略本部理事特別補佐(総合戦略担当)教授、リサーチインフラ・マネジメント機構長補佐でいらっしゃいます江端新吾様です。江端先生、どうぞ一言よろしくお願いします。
【江端委員】  よろしくお願いします。改めまして、東京科学大学、「Science Tokyo」の江端です。今御紹介いただきましたとおり、理事長直下の本部で大学の経営戦略をはじめとした各種戦略の企画立案をする部署で、総合戦略担当理事の補佐として様々な業務に携わっております。
 その中で現在は特に研究基盤戦略や本日議論をされております研究開発イノベーションに関わるマネジメント人材の活用、そして、キャリアパス等の制度改革などを担当しております。本検討会にはゲストとして参加をさせていただいておりましたが、今回より委員として参加をさせていただくこととなりました。これまでの大学現場あるいは経営の視点等で本検討会での議論に貢献できればと思っております。よろしくお願いいたします。
【小泉主査】  よろしくお願いいたします。
 最後、3人目ですが、自然科学研究機構分子科学研究所特任部長(研究戦略担当)、中村敏和様です。中村先生、一言よろしくお願いいたします。
【中村委員】  自然科学研究機構分子科学研究所、中村敏和です。私もゲストの続きで、引き続きよろしくお願いいたします。私のほうは岡崎の現場ということで、大学共同利用機関の立場から何か御助言等ができるといいと思って参加させていただきます。よろしくお願いいたします。
【小泉主査】  よろしくお願いいたします。
 では、12期において、このメンバーで、ワーキング・グループの開催も残り回数少ないところですが、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入る前に、まず本日のワーキング・グループ開催に当たり、事務局から注意事項と資料確認をお願いいたします。
【大場人材政策推進室長補佐】  事務局でございます。本日の会議は対面とオンラインのハイブリッドでの開催となります。対面で御出席の委員は、御発言の際には挙手ください。オンラインの御出席の委員は、挙手機能により挙手ボタンを押していただき、主査から指名を受けましたら、お名前を述べた上で御発言いただき、終わりましたら再度挙手ボタンを押して挙手の解除を行ってください。
 機材の不具合等がございましたら、対面で御出席の委員は会場の事務局にお声かけください。オンラインで御出席の委員は、マニュアルに記載の事務局連絡先に御連絡ください。
 資料につきましては、Zoom上での共有も行いますが、会場ではお配りしておりますので、各自お手元で資料を御覧いただけたらと思います。
 それでは、資料確認をさせていただきます。事前に送付させていただいた資料としまして、議事次第、資料1から資料2-2まで、そして参考資料としまして、財務省への概算要求資料の「研究開発マネジメント人材に関する体制整備事業」のパワーポイントの一枚紙がございます。
 資料の説明につきましては、以上でございます。議事進行の過程で不具合等がございましたら、事務局までお知らせくださいますようよろしくお願いいたします。
【小泉主査】  大場さん、ありがとうございました。
 何かございましたら、議論の途中でもお声がけいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議題1に早速入っていきたいと思います。今日は比較的時間を広く取って、自由に様々な観点でお話をいただければと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 研究開発マネジメント人材及び技術職員の人事制度に関するガイドラインの検討についてということで、事務局より、まず御説明をいただければと思います。髙見室長、よろしくお願いします。
【髙見人材政策推進室長】  ありがとうございます。本日第10回ということでございまして、まず、第9回までの御協力をいただきましてありがとうございました。先生方から御議論いただいた内容を踏まえまして、参考資料2-1と2-2といたしまして、6月にこのワーキング・グループでまとめていただきました課題の整理と今後の在り方についてポイントと本体をおつけしております。
 ポイントのほうを御覧いただければと思いますが、こちらのワーキング・グループからのメッセージ、報告書の内容といたしまして、それぞれ研究開発マネジメント人材と技術職員の二本立てで、現状と期待、そして課題を踏まえて関係者に今後求められる取組を整理させていただきました。
 今回御議論いただきたいところが、この関係者に求められる取組の文部科学省というところの最初に書いております、研究開発マネジメント人材及び技術職員の評価、処遇、雇用等に関して、優良事例を盛り込んだ人事制度のガイドラインを策定という部分になっております。
 併せて、お配りしております参考資料3ですが、こちらが、関係者に求められる取組の文部科学省の、研究開発マネジメント人材のOJT研修を創設していこうということでまとめていただいた内容を踏まえまして、令和7年度の研究開発マネジメント人材に関する体制整備事業といたしまして、中身としては右下のような図でありますが、体制強化機関のほうで新たに研究開発マネジメント人材を雇用いたしまして、研修提供機関に派遣をして、OJT研修を受けていただいて、また体制強化機関に戻って活躍をしてもらうというような立てつけの事業となっておりまして、こちらも概算要求につなげたというところでございます。
 この事業を運営していく過程においても、今日から御議論いただきますこの人事制度のガイドラインを活用していきたいと思っておりますので、併せて御紹介をさせていただきます。
 それでは、資料1を御覧いただければと思います。
 まず、この「研究開発マネジメント人材」「技術職員」の人事制度等に関するガイドラインの策定に向けた基本的な考え方ということで、資料1にはお示しをしております。
 まず(1)番、ガイドライン作成の経緯というところで、1つ目の段落は報告書について書いております。
 報告書の中身をさらいますと、研究開発マネジメント人材につきましては、人材の不足、機関内での人材育成の困難さ、適切な評価、キャリアパスの困難さが課題として触れられております。技術職員につきましても、機関内の状況把握の不十分さ、適切な評価と処遇、キャリアパスの困難さ、人材育成の困難さといった点が課題に挙げられております。
 これを踏まえまして、研究開発マネジメント人材・技術職員の評価、処遇、雇用に関して優良事例を盛り込んだ、人事制度のガイドライン策定が求められたということであります。
 技術職員につきましては、本日から3名の委員の先生に新たに御就任いただいておりますが、現時点では文部科学省としての実態把握が十分ではないというところがございます。
 よって、ガイドラインは「研究開発マネジメント人材」と「技術職員」とで区分して作成いたしまして、研究開発マネジメント人材編から着手をし、同時に技術職員編の作成のためのヒアリング等による調査を行っていきたいと考えております。
 その次の、ガイドラインの位置づけというところを御覧いただければと思います。このガイドラインを活用いただきたい機関というのをある程度想定をしていく必要があろうということで、我々としては、研究大学、大学共同利用機関、この2つを想定しております。
 2段落目を御覧いただければと思います。文部科学省としては、このガイドラインが対象といたします研究開発マネジメント人材や技術職員が高度専門人材であるということ、研究開発マネジメントや高度技術支援をベースとしながら、機関の組織運営にも携わる人材となる、具体的なキャリアパスの整備を期待しており、そのための優良事例を提供していきたいというところであります。
 ですので、機関において、このガイドラインを参考にして、人事制度設計を行う際には、機関の長のリーダーシップの下、人事・財務・研究担当部門それぞれを連携させて、機関全体として組織体制や人事制度を構築することが求められるというように書いております。
 その次の段落で書きましたのは、機関はガイドラインを参考として、自らの強みや特色を踏まえて、機関に合った形で適切・柔軟な人事制度を構築することが期待されているというように考え方をまとめております。
 次に、資料2-1といたしまして、研究開発マネジメント人材の人事制度に関するガイドラインの構成、2-2といたしまして、技術職員のガイドラインの構成案をお示ししております。
 資料2-1は「はじめに」から始まりまして、第1章、2章、3章、「おわりに」という構成でどうかと思っております。
 「はじめに」の中には、先ほど申し上げました研究大学等を対象としているということ、研究開発マネジメント人材の定義をしていくことが必要であろうと考えております。
 第1章といたしましては、研究大学への期待や、研究開発マネジメント人材に期待される業務と役割、そして人材の確保といったところを盛り込んではいかがかと思っております。
 特に(2)番の「期待される業務」ですが、先日おまとめいただいた報告書の中にも、「将来的には」という言い方ではありましたが、組織運営に関与していくという方向性は出していただいているところですけれども、期待される業務として、組織運営への関与とマネジメント業務というところをこの中で位置づけてはどうかということを考えております。
 そして、第9回までの議論の中でも上がっておりましたが、平成25年度作成のURAのスキル標準を、このマネジメントの観点も踏まえて、研究開発マネジメント人材のスキル標準として、最新の状況を踏まえてアップデートしていくことを考えてはいかがかということで書いております。
 次に第2章ですが、「人事制度の構築」というところで、ここがボリュームのある章になるかと思っておりますが、運営体制と指揮命令系統の在り方というところをきちんと位置づけていく。(2)としては、「評価・処遇」としまして、評価に基づく処遇を行うことの重要性や、各大学とお話をする中でも非常に難しいと言われております業績の評価の在り方、こういったあたりも少し踏み込んで、優良事例をお示しできたらと考えております。そして、各大学の中でこういった人材を表彰していく制度についても取り上げていきたいと考えております。
 (3)番として、「職階」であります。研究開発マネジメント人材の機関における位置づけということで、教員職に揃えている例や、第3の職として教員や事務職とは独立した形で職を位置づけている例など、高度専門人材という位置づけが明確になるような職階の例をお示ししていくことが必要ではないかと考えております。
 そして(4)番、「機関内のキャリアパスの構築」ということで、非常にテニュアポストを確保することが難しいというのは各大学から言われているところでありますが、テニュアトラック制をぜひ使っていくということの推奨や、あるいは、事務職員から研究開発マネジメント人材のトラックに移行していくようなこと、博士人材を雇用して、研究開発マネジメント人材になっていただくようなキャリアパスを示していくというようなことを、この中でお示ししていきたいと考えております。
 第3章、「安定的な組織運営」で、雇用の在り方、可能であれば財源というところにも触れて、適切な雇用の在り方というのがお示しできたらというのが(1)でありまして、(2)番は、これまで令和3年から5年までの3年間かけて、文科省の補助事業として行ってまいりましたURAの研修ですとか認定の仕組みがございます。こういったものを効果的に活用していくというようなことも、この中で触れていきたいと考えております。
 次に、資料2-2であります。技術職員のほうですが、研究開発マネジメント人材ほど解像度を高く、まだ状況が把握できていないというところではあるのですが、構成案といたしまして、おおむね踏襲するような形、研究開発マネジメント人材とパラレルになるような形というのを目指しながら書いております。「はじめに」の中で、技術職員も研究大学等を対象とすること、そして技術職員の定義について、「教育研究系技術職員」ということで報告書の中では定義しているところでありますが、そこを改めて、ここで位置づけたいということです。
 第1章の中では、技術職員に期待される業務といたしまして、共用化も含むこととした研究基盤整備や、高度技術支援、技術支援体制を構築していくということなどにも触れたいということです。
 それから、技術職員を組織化している例がございます。一元的に組織化していく例ですとか、組織内での現状把握が不十分だというところの課題もあるところですが、業務内容をしっかりと見える化していくということも考えていきたいというように記述しております。
 第2章といたしまして「人事制度の構築」、これも今後、実態を把握していきたいところですが、業務内容に応じた柔軟性ある初任給の決定や、研究開発マネジメント人材同様に、評価に基づく処遇を行っていくことの重要性、業績評価の在り方、機関内のキャリアパスの構築について、取り上げていきたいと考えております。
 第3章のところでも、「雇用の在り方」「研修の効果的な活用」ということで構成していきたいというのが今の案でございます。
 資料3-1と3-2といたしまして、これまでヒアリングをしてきた中で見られた事例を、資料3-1のほうでは研究開発マネジメント人材、3-2のほうでは技術職員について、目次的に書いております。
 資料3-3を御覧いただけますでしょうか。
 これまで、ヒアリングで見られた事例の内訳といたしまして、このワーキングの中で、色々な大学や研究機関に御発表いただいたというところから取ってきております部分と、その後に、事務局が大学訪問をする中で把握をしてきた事例というのがございます。資料3-3は、ワーキングにおけるヒアリングによって提供された事例、資料3-4が、事務局による大学訪問時に提供された人事制度に関する事例というのをまとめているところです。
 まず資料3-3ですが、研究開発マネジメント人材の事例といたしまして、信州大学、名古屋大学、それから京都大学、東京工業大学(当時)の例ということで、東京工業大学(当時)の例は、技術職員のほうの例も兼ねているという位置づけにしております。技術職員の例としては、岡山大学の例と自然科学研究機構の例ということで入れ込みをさせていただいております。
 信州大学の例ですが、3ページを御覧ください。学術研究・産学官連携推進機構というところで100名超の方が勤務されております。全学教員数1,042人に対する割合としては非常に高いものとなっております。
 共同研究等の間接経費を40%確保されており、間接経費を原資とした機構の予算規模が1年当たり約2億円あるというようなところです。
 4ページをご覧ください。学術研究・産学官連携推進機構、URA室の構成というところをお示しいただいたものですが、URA室のほうには、特任教員ですとか産学連携コーディネーター等も含めますと全部で34人が勤務されていて、狭義のURAに限定しますと、本部担当が8名、部局担当が7名という構成で勤務されているという図となっております。
 5ページをご覧ください。間接経費を原資としたURAキャリアパス制度の設置ということで、テニュアトラック制を導入されて、テニュアトラック期間の評価で、テニュアの教授、准教授、助教になっていくというようなパスを構築されているということをお示しいただいているものになります。
 6ページ、URAキャリアパスに対する昇給制度ということで、昇給に当たっては、年次評価の結果、経験年数、業務実績等を考慮して昇給させていくような制度を構築されているという例になります。
 次は、名古屋大学の例であります。人事制度や人材育成に係る部分をピックアップして御紹介をしている内容になります。
 学術研究・産学官連携推進本部というところの組織率となっておりますが、各部門のURAを足し上げますと54名の方が勤務をされているということです。外部資金の獲得や、共同研究の組成、社会連携活動等の業務に専念をされているということです。
 9ページをご覧ください。研究支援人材(URA)のポジションの確立というのを、2016年にURA制度改革を実施して、人事制度をつくったということをお示しいただいたもので、右側の「改正後」のところを見ていただければと思いますが、職種として「リサーチ・アドミニストレーター」という職を確立し定着をさせているということ。職階としては、役職のないURAから、主任、主幹、首席という4階層で、評価に連動した昇格制度をつくられているというところ。評価制度のところは、年度評価で自己目標達成型、執行部による期首・中間・期末の面談を実施して評価をされているということです。
 雇用期間のところですが、採用の際には5年間の有期雇用ということですが、有期雇用者を対象に無期雇用ポストを用意して、半数を目途に4年目で公募無期審査を行っているということで、この当時、20名を無期雇用されていたということです。
 次のページです。今申し上げたようなことを図式化いただいているものですが、年度評価をやった上で、業績の判定、年度の昇給やその後の昇格につなげていき、最後は無期化の審査にもつなげていくというような、体系的な人事制度、評価に基づく人事を行っておられるという例になります。
 11ページは人材育成のシステムですが、学内で全体研修、OJT研修、外部研修の受講、この3つのタイプの教育システムを設けられているという例になります。
 次が、京都大学であります。13ページの、KURAの組織体制というところですが、下の説明のところですが、全学横断的に大学の研究戦略を支える部門、左側の「全学支援組織」という2つの部門ですが、研究者の研究活動を直接支えるような部門というのが協働しているということで、それによって京都大学の研究力強化に貢献をしているという体制になっております。
 次のページは、全学支援組織のハブ機能を担うプランの構築ということで、KURAの中に学内の各組織の窓口となるURAを配置しているということを示しています。
 次、15ページですが、京大におきましても、URAのキャリアパス、スキルアップというところを明示的に、意識的につくられておりまして、URAの職階の整備、評価制度の制定、職位に応じた目標管理と評定要素で評価、昇給・昇格に反映をしていくということです。
 雇用期間の延長ということで、最大10年任期を適用していますが、評価に連動して無期雇用化が可能になるようなシステムを取られているということです。
 東工大(当時)ですが、17ページ右側の2列を御覧ください。技術職員に5階層を設け、URAに4階層、それぞれが経営専門人材につながっていくようなパスを築いておられるというような例になっております。
 18ページからは、御紹介をいただきましたTCカレッジの例になっております。19ページを御覧ください。マネジメント能力の認定制度を設けて、認定を受けた技術職員が、研究基盤の戦略や設備整備の計画の策定に関与していくという図を示していただいております。
 20ページにありますとおり、TM(テクニカルマスター)の課程とTC(テクニカルコンダクター)の課程ということで、最初の2年でTMの課程ということで、大学等における技術者として必要な知識・技術・経験を持っている人材の育成のための課程。その後にTC課程1年ということで、原則3年でこのTCカレッジを終了できるような仕組みを構築されている例になります。
 岡山大学からが技術職員に特化した内容ですが、22ページの下の真ん中の辺りを御覧ください。全系統の技術職員の集約組織と教育研究系技術職員の組織化ということで、一元化して、かつ教育研究系技術職員の組織化も行っておられる例になります。
 右側ですが、技術職員の新たなキャリアパスの構築ということで、23ページに拡大の図があるのですが、マイスタートラックとマネジメントトラックというダブルトラック制というものを敷いておられまして、最後の部長になられると、技監として大学の技術マネジメントの強化に携わっていくというようなパスを構築されている例になります。
 24ページですが、こういった総合技術部の技術職員の組織化と多様なキャリアパスの実現といったことと、岡山大学もTCカレッジに貢献しているという関係性もございまして、この2つによって、技術プロジェクトマネージャーが学外でも活躍するような在り方というものを提示している例になります。
 最後が、自然科学研究機構の例ということでお示しいただいた内容ですが、分子研の中で技術推進部というものをつくられており、技術職員37名が配置をされているということです。
 27ページは生理学研究所の例になりますが、体制として、課長、課長補佐、班長、係長、主任、係員という職階を築かれているということ。人事に関する取組の2つ目のポツですが、職階制の見直しということで、技師ですとか主任技術員のポストを新設しているというようなことも御紹介をいただきました。
 28ページは国立天文台の例になりますが、技術職員と技術系研究教育職員を行き来するようなキャリアパスというものをつくられているという事例になります。
 29ページですが、技術系職員のスキルアップを実現するための人材育成方針と、それを実現する体制構築ということで、右側の図ですが、専門技術専任系というところからプロジェクトマネジメント系というところまで、様々なパスを意識的に構築されている例になります。
 30ページ以降は人材育成の内容になりますが、30ページはユニットごとに研修を実施されているという例になります。
 31ページ、32ページは、大学連携研究設備ネットワークとの連携によって、色々な大学と連携をしながら、研修会を幅広く、多様に実施されているという例になります。
 33ページにあるように、他の設備共用事業との連携を図られているということもお示しをいただきました。
 以上が、これまでのワーキング・グループの中で御紹介いただいた事例になりまして、事務局による大学訪問時に提供された人事制度というのを資料3-4でお示しをしております。
 研究開発マネジメント人材の例といたしまして、大阪大学、金沢大学、新潟大学、千葉大学、そして技術職員の例としては東北大学の例をお示ししております。
 大阪大学の例、3ページを御覧ください。予算を活用した組織整備、研究開発マネジメントに関する組織を戦略的に整備しているという内容になりまして、左上の表を御覧ください。経営企画オフィス、コアファシリティ機構、研究リスク統括室といったものを、2023年から順次整備をしてきていて、URA、IRer、テクニカルリサーチャー、技術職員、そして研究リスクIRer、リスク分析コーディネーターといった人たちを配置していくという構想を順次進めてこられているという内容になります。
 4ページを御覧いただきますと、URA×IR業務を担う事務職員の育成プログラムということで、初の試みとして、学内公募を実施して、経営企画オフィスに事務職員6名を配置し、配置期間中はURAの称号を付与して、大型研究プロジェクトの形成や資金獲得、運営に関する業務等のスキル向上を図るということで、事務職員をURAとして育成していくというプログラムになっております。
 5ページ目は、研究マネジメント組織が若手研究者を支援する取組を助成するようなプログラムということですが、上から3つ目のポツ、事務職員の研究開発マネジメント能力の育成のため、学内副業型ということで、10%エフォートで、このプログラムに参画する若手事務職員を学内公募しているというようなことが御紹介されています。
 次に、金沢大学の例です。7ページを御覧ください。
 学術研究を推進するグループと社会共創を推進するグループをまとめて、先端科学・社会共創推進機構として設置されているところの組織図になっております。
 この配置をした成果を8ページにお示しいただいておりまして、科研費を含む競争的研究費の獲得件数や獲得額の増加や、WPIをはじめとする拠点形成事業の採択、それから組織対組織の大型産学連携といったところの実績を上げてこられているということです。
 評価制度につきましても、比較的最近ですが2023年度から、書類と面談に基づく評価制度というのを、目標達成度評価型として導入されているということ。JSTが実施するURA研修や、スキル認定機構が実施する認定制度の利用を推奨しているということで、御紹介をいただいております。
 9ページですが、自大学の博士学生に対して、ジョブ型研究インターンシップでURAの業務をやってもらうというようなことを、金沢大学ではやっております。なかなか、こういう使い方を、ジョブ型研究インターンシップの制度を使ってやる例というのは珍しいものですから、御紹介をさせていただいております。
 次に、新潟大学でございます。これは、URAの「R」を取り、UA、ユニバーシティ・アドミニストレーターとして育成をしていくというようなことで、最近非常に頑張っておられる例になっております。
 左側の図ですが、総合型と特化型というようにありますが、特化型には、知財や広報といった、専門特化したような部門で活躍する方を育成していくタイプ。対してジェネラリスト型でのアドミニストレーターを育成していく総合型というのが並走するような形で、育成プログラムをつくっておられるということです。
 次の12ページが、UA職活躍のための人事制度ということで、上位の役職になるほど専門性の習熟と全学的なマネジメント力を評価するということで、本人のKPIと、期待役割に対する達成度を反映して処遇をしていくということで、年度内にこのUA制度、規定改正を完了予定だと聞いております。
 13ページは、大学独自のUA強化・育成プログラム、これも検討中と伺っておりますが、研修プログラムも併せて準備をしている状況と聞いております。
 次に千葉大学ですが、15ページです。第3の職ということで「高度特定専門員」を新設するとともに、URA職階を4段階で整備するということ、そして職階に対応した業績評価制度の整備というのも行っておられるというような事例になっております。学内のキャリアアップを図れるような仕組みを構築しましたということです。
 最後に、東北大学の事例になります。17ページです。
 2009年に総合技術部の発足ということで、部局に混在配置されている技術職員のリソースを大学全体の資源として活用するということと、技術職員のキャリアパスの構築を目指して、一元的な組織を発足させたということです。
 その5年後に、職群制度ということで、技術支援の内容ごとに大きく6種類に分類をして、高度な技術支援のための研修の充実、人材流動性の促進のために、このような形で導入したということを御紹介いただいております。
 18ページ、上のほうのグレーの四角囲みの3行目ですが、「とりわけ」というところで、高度な技術支援スキルによって、研究者と対等に協働できる「スーパープレイヤー」という技術職員を新たに採用して、育成を強化するということに取りかかっておられます。
 博士号取得者であったり、民間での卓越した技術経験者であったり、こういう方で新たな研究手法を研究者に提案できるとか、研究者と対等に協働できる高度な技術支援スキルを有する者を想定して、スーパープレイヤーとして育成していくというようなことにも取りかかられているという事例になっております。
 以上が、資料3-4までの御説明になります。把握できている事例をうまく組み合わせながら、ここで紹介されているエッセンスを、ガイドラインの中できちんと文字にしてお示ししていくということで、このガイドラインができた暁には、冒頭に御紹介しました来年度からの事業で、体制強化機関で人事制度の構築をしていただくというのを、今の計画上、要件にしておりますので、人事制度を各大学でつくっていただくに当たっての参考にしていただくというような位置づけで、お示しをしていきたいと考えているところでございます。
 今後の本ワーキング・グループの進め方も今御説明してしまっていいですか。
【小泉主査】  はい。よろしくお願いします。
【髙見人材政策推進室長】  最後の資料4の一枚ですが、今後のワーキング・グループの進め方ということで、冒頭に主査よりお話がございましたが、今の期が、科学技術・学術審議会の第12期というところで、令和7年2月までとなっておりまして、現ワーキングとしましてはあと1回になります。
 第11回は2月ぐらいに予定しておりまして、ガイドラインの素案という形でお示しをして御議論をいただくということと、ここから技術職員に関するヒアリングは始めていくという計画ですので、新しい13期のほうでも引き続き御議論をいただくことを想定しております。第13期は発足してすぐ、3月頃には第1回を開催して、その後順次、第2回、第3回と開催し、まずはマネジメント人材のガイドラインを仕上げていただいた上で、並行して技術職員に関するヒアリングを行い、マネジメント人材のガイドラインができましたら、次に技術職員のガイドラインに取りかかっていくというようなことで、考えているところでございます。こちらにつきましても、ぜひ御議論をお願いいたします。
 御説明が長くなりましたが、以上です。
【小泉主査】  髙見室長、どうもありがとうございました。
 というわけで、今日はこの後、比較的自由に皆さんに御議論いただければと思っているところです。
 繰り返しになりますが、参考資料2-2にありますように、我々6月に、「科学技術・イノベーションの創出に向けた研究開発マネジメント業務・人材に係る課題の整理と今後の在り方」の中で、この研究開発マネジメント人材といったものを定義し、こういった人が必要だということを言ったわけです。それから、技術職員についても触れたところです。
 今日からの議論は、まず先行して、研究開発マネジメント人材というところを中心にお話をできればと思っております。
 研究開発マネジメント人材がURAに限った話ではないというところは、皆さんコンセンサスを得ているところかと思います。URAだけではなく様々な職種の人たちが関わって、大学における研究開発のマネジメントをしっかりやっていく、そのための人たちであるということだと思います。
 その課題と在り方の議論の中で、ガイドラインが必要だという話を、最後に我々は言ったところでした。なぜガイドラインが必要か。それは各大学が勝手にやればいいというわけではないというところがあるからだと思っています。
 日本全体で、大学における研究開発マネジメント力を強化し、そして日本全体の科学技術・イノベーション力を強化するためには、URAをはじめとする研究開発マネジメント人材のキャリアパスを核とし、各大学だけではなく、キャリアパスをつくったり、人事交流を図ったり、育成をしたりといったところは日本全体として行っていく必要がある。だからガイドラインをつくろうということだと思っているところです。
 ガイドラインそのものも、単に好事例を示すだけではなく、比較的共通の理解の下、こういう共通の理解で、日本全体でやっていきましょうというのがガイドラインですから、ある程度共通の理解の下、大学ごとのミッションのフレキシビリティーは持たせつつ、共通項は共通項として見いだしていくという理解でしょうか。
 そういうところが、非常に難しいところだとは思っています。
 なので、URAに限るわけではなく、また、1つの大学がうまくいけばいいというわけでもないと。そういったところを広い視点で、技術職員に関しては一旦置いておきますけれども、研究開発マネジメント人材といっても少し広めの視点で御議論いただいて、ガイドラインに持っていくと。
 ガイドラインの実効性という意味では、先ほど、室長からも御案内のとおり、今、概算要求中の研究開発マネジメント人材に関する体制整備事業の中でも、このガイドラインを生かしていくというわけで、1年かけてつくっていくのではなく、ある種の、短期決戦であるとは思っているところです。
 少し幅広に、研究開発マネジメント人材といったものを議論したいと。1つの大学だけでよければいいというものではないと。人事交流だったり人材育成だったり、1つの大学だけで完結するものではないので、ガイドラインが必要であるというのが僕の認識です。
 ただ、だからといってガイドラインを完全に強制的にすると、各大学のミッションとの整合性が取れなくなったりするので、ある程度のフレキシビリティーは当然必要ですし、その辺のバランス感覚というのは非常にガイドラインとしては難しいと思っています。
 ただ一方で、そのガイドラインといったものは実装していくことが目的ですので、概算要求中の研究開発マネジメント人材に関する体制整備事業等でも実装していくことをある種念頭に置いておくと。となると本当に、1年かけてゆっくりつくりましょうというものではないということであるというところをお話ししたところでした。
 では、せっかくなので正城先生、よろしくお願いします。
【正城委員】  では、御指名いただきましたので、3点ほどお話をさせていただきたいなと思います。
 1点目は、資料1のガイドラインの位置づけです。(2)でガイドラインの位置づけというのを整理いただいていたかと思います。研究大学等ということで、強みを分析して研究力を発展し、産業界と連携して社会課題を解決するということが書かれてありますけれども、皆さま、御認識だと思いますが、そのためには、幅広い分野の基礎研究の蓄積が欠かせないと思います。
 この文章のみの通りであれば、いいタイミングでいい研究者をお金で集めてくる組織であれば、まさにそのとおりになりますが、特に大学においては、人材を育てるという側面もありますので、記載の部分も含めた上で、基礎研究の重要性もしっかり記載する必要があると思います。何かのタイミングだったり、何かの社会情勢の変化によって、それらの基礎研究の中の幾つかが非常に大きなプロジェクトの研究になったり、社会課題を解決するのであって、最初から強みだけをやるものではないというものなので、その位置づけは認識した上で、この議論を進めたいというのが1点目です。
 2つ目ですが、これも皆さまもう認識されていると思いますが、改めて申し上げると、国側がガイドラインを作成するということなので、国の科学技術・イノベーション政策との整合といいますか、連携といいますか、一体性といいますか、という点は欠かせないのではないかと思っております。
 当然、大学等自身は、小泉主査がおっしゃったように個別に自分たちの戦略でやっていくものですけども、やはりこれだけの規模の大学というのは、社会から期待されている役割というのもあり、その認識は各大学等が持っておりますけれども、科学技術・イノベーション施策というのを国が掲げている以上、その施策がどういった方向を向いている、その中で大学等にこうあってもらいたいから、こういうガイドラインになるというような位置づけは必要と思います。章構成でいうと「研究大学への期待」のところに書かれるのかなとは思いますが、そこがあることで、このガイドラインの位置づけが国全体政策の中にきちんと組み込まれると思っております。それが2点目でございます。
 最後ですけども、これも小泉先生がおっしゃったことの別の言い方になりますが、ガイドラインからチェックシートがつくられて、チェック項目を満たしていますかというようなことが、国の様々な施策の審査等に使われることは容易に想定されます。
 ここまで、今日、髙見室長に御説明いただいたように、これまでのワーキング・グループで御説明いただいたところとか追加でヒアリングいただいたところで、事例的には多く蓄積されてきていて、そういったことも、このまとめていく資料の中には入れたほうがいいと思いますが、多くは選択肢の1つだと思うので、ガイドラインとして多分チェックシート的に使われるだろう部分と、ガイドラインの各項目を満たそうと思ったらこんなやり方もありますという位置づけの部分と、それをうまく認識すれば、小泉主査がおっしゃったような、各大学がそれぞれやるものだけども共通認識があるよねというようなところの形になっていくのではないかなと思います。
 長々としゃべりましたけれども、3点、御説明いただいた資料を見た感想です。
【小泉主査】  正城先生、ありがとうございます。まず、そもそも論としての我々の考え方の共有というところですね。ありがとうございます。
 髙見室長、何かありますか。
【髙見人材政策推進室長】  ガイドラインと言ったときに、全てが強制力を持つと言うと変ですが、先ほど小泉先生がおっしゃっていただいたような、共通的に認識してもらいたいという我々の思いを込める部分と、色々な例があるから、どれがいいかどうかを各機関の参考にしてもらって選んでもらう部分というのは、どうしてもミックスされてくるかと思いますので、明示的におっしゃっていただいてありがとうございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。
 オンラインの方は、挙手ボタン等を押していただいてもいいですし、マイクを外してどんどん話をしていただいても構いません。
 野口先生、お願いします。
【野口委員】  説明ありがとうございました。内容的にボリュームもありましたが、端的に説明していただいて、よく理解できました。
 何点かあるのですが、1点目は、ガイドラインという話が出ましたが、文部科学省が策定するガイドラインというのは、公的資金や倫理関係もそうですけれども、指針として方向性を示すものなので、多くの大学がそれを一つのよりどころにして考えていくものであると認識し、非常に重要であると思っています。
 その上で、このガイドラインの読み手なんですが、記載から研究大学と大学共同利用機関法人向けのようで、自然科学研究機構や高エネルギー加速器研究機構等が読み手対象となると思うのですが、この対象で良いのかと思うところがあります。もちろん「研究大学」の定義もあると思うのですが、そこに収斂すると読み手範囲が非常に狭まるのではないかと懸念します。
 例えば高専ですと現在58ありますし、国立が86、公立が101、私立が624あると思われるので、その読み手範囲をどう置くかということは、このガイドラインにとって非常に重要と考えています。繰り返しますが、ガイドラインは指針・方向性を示すものであるので、一般公開されると、皆さんその内容を参考にしながら様々な施策を展開していきます。
 そういった重みもあるので、非常に読み手範囲は大事だと思うので、研究大学、大学共同利用機関法人だけではなくて、もう少しその読み手範囲を広げた方が良いのではないのかと考えた次第です。
 また、概算要求されている研究開発マネジメント人材に関する体制整備事業の申請範囲は、決して研究大学だけではないとは思います。よって、公募事業が実施されるのであれば、このガイドラインはかなり影響力を持つと思われるので、その様な観点からも読み手範囲は意識する必要があるのではないかと思いました。
 2点目ですが、キャリアパスのページに記載があった、機関内のキャリアパス、このことは一定理解はできます。地位とか役割をキャリアパスで上げていくというのはよく分かりますが、まだまだ、これらの職種の方々は有期雇用の方が多い。雇用機関5年というのが非常に多いので、例えば機関外も含めたキャリアパスが重要です。場合によっては他大学や企業に行くケースもありますし、私は研究開発マネジメント人材のクロスアポイントメントなどは、機関外キャリアパスにとって非常に有用かなと考えます。つまり、他研究機関や産業界などと連携をするようなキャリアパスも少し書き込んだ方が良いのではと思いました。
 最後に、読み手としての技術職員、これはとても大事だと思います。技術職員配置は圧倒的に研究設備が多い国立大学が主になっていると思うのですが、私立大学でも、理工系があるのは多分624大学中の50大学から70大学ぐらいあるとは思います。ガイドラインができますと、多くの技術職員も見ると思いますので、その点含めての読み手範囲の考慮も必要と思いました。
 私のほうからは以上です。
【小泉主査】  野口先生、ありがとうございます。読み手範囲のところに関して、野口委員なりのお考えみたいのはありますか。そういう意味では研究大学に限らないというと、例えば私立大学、今600以上あるという話もありましたし、また、大学共同利用機関はいいとして、理研はじめ国研、研発法人みたいなところは当然URA的な方もいらっしゃるわけなんですが、どの辺までを読み手範囲として、野口委員としてはお考えだというのはあるでしょうか。
【野口委員】  まず優先して、このガイドラインをどの読み手に提供したいかが重要であると思います。
 例えば、研究大学に固執せずに大学全般として考えて、「研究」の二文字を取るということも一つかもしれないですが、優先順位から、今次はまず研究大学から始めるということもあります。そうすると研究大学の定義というのが必要になってくると思います。当初は読み手範囲を制限しつつ、先ほど委員長が言われたように、日本の教育研究機関のボトムアップを図っていくのであれば、先行的事例をガイドラインの浸透とともに積み上げ、影響度などを検証の上、読み手範囲を広げていくということも考えられるので、そこは議論を深めていく必要があるのではないかと思います。
 個人的には、大学全般も見て参考にできるような指針・方向性に持っていくのが良いのではないかというのは思いにあります。
【小泉主査】  ありがとうございます。
 室長、何かありますか。
【髙見人材政策推進室長】  ありがとうございます。御指摘を踏まえて、改めて「研究大学」で指すところの中身といいますか幅については、もう少し明確に書けたほうが良いと思ったところです。
 野口先生が今おっしゃった、先行的ガイドラインとしてまず作成し、そこからさらに広めていくというステップのほうがうまくいくという気は少ししておりまして、というのは、やはり全ての大学を対象にしたガイドラインとして作成しようとすると、あまりにも環境が違い過ぎる大学を集約して、何らか指針を示すというのは非常に難しいことのようにも感じております。その意味で、意欲として研究をきちんととやっていきたいというのは大前提としてあるわけですが、その上で、研究大学としてきちんと位置づけがされるような環境が一定程度あるところでは、こういう人事制度をつくってもらいたいという示し方を、まずはするのかなというのがこれまでの考え方ではあります。
 しかし、そこの「研究大学」の層というのをどこまでにするのかというのは、もう少し分かりやすくお示しをしたほうが良いのではと感じました。ありがとうございます。
【野口委員】  ありがとうございます。ここを目指して欲しいという内容にするのか、今現在ある状況改善に向けてのメッセージとして発信するのかで、内容が少し異なると思います。もし、ここを目指して欲しいという内容であれば、書き方も少し変わってくると思います。
【小泉主査】  ありがとうございます。確かに、「研究大学」というものの定義というか範囲というか、問題かもしれないですね。
 ただ、髙見室長がおっしゃったとおり、研究に軸足がない大学まで含めるのは、僕は反対です。研究に軸足がない大学まで研究開発マネジメント人材云々というのは、さすがに議論がかみ合わないかと思うので、研究に軸足がある、または研究に軸足を置きたいと思っている大学であれば、このガイドラインを参照してくれということなのだろうと思っています。
 当然、立命館は研究に大いに軸足がある大学だと思っているところです。
 そのほか、どういった観点でも構いません。高木先生、何かおっしゃりたいそうですが。
【高木委員】  ありがとうございます。何点かございます。
 まず1点は、今御指摘のあったとおり、ガイドラインの位置づけについてです。この対象と、そして目的です。対象については、私も最初からあまり広げ過ぎないほうがいいのではないかと思います。
 それから、目的ですが、資料1の「(2)ガイドラインの位置づけ」の、最初の段落の3行目から、「研究力の更なる発展」、「産業界と連携社会課題の解決への挑戦」とありますが、これは基本的には教育基本法による大学の機能である、教育・研究・社会実装のうち、教育を除いた研究と社会実装ということだと思います。表現はいろいろあると思いますが、ここは明確に押さえておいたほうがよいと思います。
 それから2点目は、財源の問題です。今日の資料の参考資料2-1、これは確定版だと思いますが、「研究開発マネジメント人材(URAほか)」の項目で、課題として人材の不足という記載がありますが、これは現実的には財源の問題が非常に大きいと思います。その下にある「関係者に求められる取組」で、外部資金の獲得という記載がありますが、これは大学全体の話にもとれるので、やはりマネジメント人材の人件費、財源の明記が必要だろうと思っておりました。そうしましたら、先ほど髙見室長の御説明で資料2-1「ガイドラインの構成案」の中で、「第3章 安定的な組織運営」の項目の「(1)雇用の在り方」で、口頭で財源についておっしゃっていただきましたので、よかったと思いました。
 この点はもう少し明示的にするべきではないかと思います。今、文部科学省の取り組みの中でも、民間からの外部資金に対して、この種の人件費を直接経費の中に算入することや、あるいは戦略的産学連携経費で乗せるなど、いろいろ議論が進んでおります。既に一部では行われていて、産業界の理解も進んできていますので、ここは明確に明文化していただいてもいいと思います。
 3点目は、先ほども議論がありました、各大学のフレキシビリティーの問題です。実はこれがガイドラインとして一番難しいポイントだと思っており、ガイドラインをどのように使うかということにも関わります。2016年に「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン」が策定されました。4回ほどワーキング・グループが非公開で開催されましたが、議事要旨は公開されています。大学評価にも使うということで、特に事例について議論がありました。今回のガイドラインは、恐らく直接的に評価を使うことは難しいと思います。
 ではどうするかというと、今回議論しているのは、方法論です。それならば、目的をどうするか。例えば、研究力強化を目的にして、そのために、各大学が一律ではなく、フレキシビリティーを持った取組をしてくださいということであれば、現実的に可能ではないかと思います。今までのヒアリングの中でも、取組の御説明に加え、トップ10%の論文数の増加、あるいは国際共著論文数の増加などを、何%増やすという数値目標を設定されていた大学もあります。このような形で何らかの目標となるKPIの項目を示せればいいのではないかと思いました。
 評価については、決してネガティブなことではなく、むしろ大学に対するインセンティブにもなると思いますので、評価指標、あるいはKPIについて、今までの視点に加えて議論をするとよいと思います。
 最後になりますが、資料2-1「ガイドラインの構成」で、「URAスキル標準」をアップデートするというお話がありました。これは非常に大事だと思いました。人材育成をするときとには、必ずスキル標準といいますか、資質・能力、コンピテンシーの定義が必要だと思います。例えば、技術士制度の場合は、IEA(国際エンジニアリング連合)という国際機関で13項目のエンジニアのコンピテンシーが定義されており、それを日本の技術士制度に取り込んで、8項目のコンピテンシーを定義しています。それにより国家資格である技術士の判断にしていますが、このスキル標準を、もう一度再考することは重要だと思います。
 このときに個々のスキルは、恐らく目的、例えば研究力強化とか財務基盤強化などとマトリックスになるのではないかと思いますので、2次元的あるいは3次元的な視点も交えて議論すればよいと思います。
 長くなりましたが、以上でございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。非常に重要な視点をありがとうございます。資料2-1にあったような第3章の財源のところの話、それから手段を示すのでなく、目的を示すのだろうと。KPIに関してというところもありがとうございます。変なKPIをつくると、逆にそっちに誘導してしまうので、KPIはかなり慎重に議論していく必要があります。ただ、おっしゃるとおり、手段を示すのではなくて、目的が重要だというところは、共通認識だろうと思っているところです。
【高木委員】  現実に、大学は運営費交付金や大学改革支援・学位授与機構などで評価を受けているわけです。新たに評価を増やすのではなく、既存の評価システムと連携する形が自然に取られれば非常によいと思います。
【小泉主査】  ありがとうございます。
 そして最後、おっしゃっているコンピテンシーの定義です。我々、研究開発マネジメント人材というのを新たに定義したところなので、やはりコンピテンシーとしての研究開発マネジメント人材スキル標準、そういったところのアップデートというか、見直しというか、振り返りは必要だという、大変プラクティカルかつ貴重な御意見ありがとうございます。
 室長、何かありますか。
【髙見人材政策推進室長】  大丈夫です。
【小泉主査】  大丈夫ですか。
【髙見人材政策推進室長】  ありがとうございます。御指摘いただいた点は、本当にそのとおりだと思います。確かに今の構成の中で、KPIですとか、目的に対してどれだけ貢献できたかというところの指標ですとかというのが入っていなかったと思いまして、その点はぜひ加えていきたいと思いますし、また、最後におっしゃっていただいた大学の評価に取り込んでいくというところも、関係部署と調整をした上で、どこまでできるかというところはありますが、ぜひ検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
【高木委員】  ありがとうございます。
【小泉主査】  室長、ありがとうございます。
 色々な議論が出てきました。財源の話、あと先ほど機関内のキャリアパスだけでないキャリアパスの在り方もあるのではないか、クロアポ等も含めて、そういった議論もあった。機関内に限らないキャリアパスとか、財源の話もありましたし、KPIの話もありました。コンピテンシーの話も出てきたところです。
 ほかに何か、こういう議論を。今日は本当にもう皆さん、こういう観点で話すべきだというのをざっと出してみようという回です。今日は発散させる回だと思っているので、どんどん、何でもいいです。
 では、中村先生、江端先生の順でいきましょうか。中村先生。
【中村委員】  もうかなりいろいろ出ているんですが、今までのこの話というか、各大学の好事例がいっぱい載っていますが、研究と違って、URAをどうするかは、必ずしも全ての大学できちんと準備できているとは思えないところです。一方で、ガイドラインをある意味待っているところもあるのではと思うので、こういう好事例があるとか、あるいはこういうことを入れましょうということがあったほうが良いと思っています。
 それで、もう一つですが、特に待遇面です。髙見室長が人件費の話をされていましたが、これから予算が厳しくなり、URAの人数は稼ぎたいけど予算が絞られると何が起こるかというと、待遇が悪くなるしかないので、待遇を、こういうような好事例がありますということを明示するのはとても良いことだと思いますし、人件費に関しても説明されるというのはとても大事なことかと思っています。
 スキル標準の話も出ましたが、そこで概算要求にも博士人材がうたわれています。我々共同利用研だと、スキル標準が今あるのは分かっているんですが、共同研究とか、あるいは大型プロジェクトのコンサル的な業務がとても今、増えています。ですからポテンシャルとして、やはりサイエンスを理解する、あるいは理解する能力を持っている博士人材は今特に要望されていると思いますので、何かをつくるというスキルと同時に、2次元、3次元という話もありましたが、知識というもの、それから経験、それも大事だと思うので、そういう新たなスキル標準、拡張版を、考えていければと思っています。
 以上になります。
【小泉主査】  ありがとうございます。1次元的なスキル標準ではなく、2次元的、3次元的なスキル標準であるべきだと、軸が幾つもあるというのは、まさにそうだと思いました。
 では、江端先生。
【江端委員】  江端です。ありがとうございます。
 資料1の2ページ目で、ここまでの議論で先生方にお話しいただいた点については、基本的に賛同するところで、非常に重要なポイントをお話しいただいたと思いますし、スコープをどうするのか、誰に対してやるのかという議論は非常にクリティカルだと思っております。
 そういった意味で、研究大学等を対象と記載のあるところで、さらに重要な点は、研究大学の誰に対してこれを見せてもらうのかというところだと思っています。非常に重要な文言が先ほどの2ページ目に記載されており、人事制度の設計を行う際には、機関の長のリーダーシップの下で、人事担当部門、財務担当部門、研究担当部門等を連携させ、と書いてあり、これは非常に重要で、人事の方だけでは絶対無理なんですよね、どうしてもお金の話が絡んできますし評価の話もありますし。研究担当等も含めた関係者で共有をしてないと、本ガイドラインを実装する上で重要な関係者には届かないということが実際起こるのではと思っています。
 したがって、明示的に、誰を対象、誰に届けたいのかという点を意識してガイドラインをつくっていただきたいと思っておりますので、大学の研究者や経営陣が見るというのは当然ですが、それを実際に請け負う事務方がどう理解して、どのような対応をするのか、彼らがしっかりと前向きに対応していただけるようなものにしていただけると、大学側としては非常に活用しやすくなるのではないかと思います。その点をぜひ意識をしていただければと思っています。それが1点目です。
 次に、好事例の件です。本資料では様々な好事例を今回御紹介いただき、別途ヒアリングをしていただいた大学の好事例もまとめていただき、私も様々な大学の状況を見てきておりますが、ここに記載されていない好事例やここに記載されている大学と同じようなことをさらに発展されて実施している大学もあると思います。
 言い方とか書き方とかは変わりますが、大体は、基本的な発想自体はあまり変わらないと思いますので、共通項をある程度見える形にしていただけると、それがガイドラインのベース、基礎になるのかと思っております。今回多くの委員の先生方に御参加いただいていますので、ぜひここには記載されていない大学の事例も含めて、こういったところが共通項としてあるのではという点について共有いただければ、それもまたガイドラインとして多くの大学に活用いただけるフォーマットとしてコンセンサスが得られる形になるかと思いますので、ぜひそういったことも意識していただければと思います。
 以上です。
【小泉主査】  ありがとうございます。江端先生、今のコメントに関して質問ですが、確かに今集めている好事例のみならず、恐らく色々な大学で色々な取組をやっていて、色々な好事例をもっと幅広くというのもそうですし、あともう少し、バックキャスティング的に考える必要もあるのかと思っております。未来に関して考えると、今ではない未来の研究開発マネジメントはどうあるべきか、というところからバックキャスティング的に、今の課題を少し見るという、そういった観点で、江端先生、何かあるでしょうか。
【江端委員】  いえいえ、ありがとうございます。あくまでも個人的な考えですが、今回のガイドラインの構成の中で期待される業務という点では、これまでの本ワーキングでの議論を踏まえて、組織運営への関与等が入ってきています。これまでのURAあるいは研究開発マネジメント人材とされる方々の活動の中では、そういったところを明示的に業務、役割として、これを絶対やってくれというような話ではなかったかと認識しています。
 そういった意味で、このような新しい観点は、現状の社会情勢あるいは大学を取り巻く環境、また共同利用機関法人の役割とか、そちらに期待される業務等も踏まえて大分変わってきているかと思っております。前回のワーキングでもお話ししたかなと思いますが、小泉先生がおっしゃるバックキャスティングとなる理想像というか、こうあるべきというイメージは、やはりつくっておく必要があるかと思います。おそらく本ワーキング・グループでないとこのようなイメージはつくれないのではないかというお話だと思いますので、ぜひそういったところから考えていきつつ、そこに好事例で当てはまる部分は当てはめていくというような形でつくれると、やり方としては非常に良いと思っています。
【小泉主査】  ありがとうございます。今のベストではなくて、未来のベストを求めていくというのは一つあるかと思うところです。
 いつかどこかのタイミングで杉原先生には振ろうと思っていますが、少しそれは置いておいて、稲垣先生、コンピテンシーの話とかですかね。よろしくお願いします。
【稲垣主査代理】  ありがとうございます。このガイドラインは、先ほど中村先生とか江端先生の御発言にもありましたとおり、やはり執行部の人たちにいかにアピールできるかというのがすごく大事かなというふうに思っています。やっぱり転職するたびに処遇が悪くなるという話も依然としてよく聞きますし、執行部が替わった途端に、一生懸命な理事がいたときはいいんだけども、そうでなくなったときの温度差がもの凄くあって、あまりURAのような人材に関心がない人が理事になってしまうと、途端に議論がストップするとか、のらりくらりになっちゃうとか、そういう話も聞きますので、こういったことをきちんと明文化することで、継続的、持続的な研究開発マネジメント人材のパスをきちんとアピールできるようになるのかなと思いますので、非常に重要なことかなというふうに思っています。
 あとは、これは大学側にお願いばっかりではなくて、外部資金を出す国側も、きちんと責任を、この案件に関する研究開発マネジメントはこの人が責任を持ちますみたいなことを求めることによって、きちんとしたポジションであるということを対外的にアピールすることができると思いますので、今は機関代表者、事業実施責任者、担当事務という名前しかないんですけれども、例えば、この件に関するマネジメントの責任者はこの人です、技術的な部分に関しての責任者はこの人ですというようなことが書けるようになってくると、もちろんそのことが履歴書にも明確に示すことができるようになってくると思いますので、その人の評価にもつながってくるかなと思うので、国側というか、お金を出す側も、こういうことも併せて一体的に考えていくのがいいのかなというふうに思います。
 以上です。
【小泉主査】  稲垣先生、ありがとうございます。今の点に関して言うと、資料2-1の構成案のところの第1章の(3)人材の確保に向けた方策の下に、米印で、プロジェクト実施におけるURAの位置づけと役割、これの明確化というか、ちゃんとこういったものを表示していくと。URAのみならず、研究開発マネジメント人材全体ですが、今までURAは縁の下の力持ちで、見えないところにいるのでは駄目だと、それはきちんと位置づけをしましょうというところは重要なのではないかと思っているところです。
 室長、何かありそうですね。
【髙見人材政策推進室長】  ありがとうございます。少し分かりづらかったかもしれません。プロジェクト実施におけるURAの位置づけと役割ということで、今おっしゃったことを盛り込めたらという思いがございまして、稲垣先生に御確認的な話ですが、国からもマネジメントに関する責任者あるいは技術支援、技術的な責任者が誰なのかというところの記載を求めていくというのは、具体的には、競争的研究費の申請書ですとか、あるいは報告書といったところに欄を作っていくというようなイメージでよろしいでしょうか。
【稲垣主査代理】  はい。現時点ではそういうイメージです。ちょっと幾つか話を聞いたところ、やっぱりURAの人って、責任取らないけど言いたい放題言うよねみたいな、そういうのもあって、逆に仕事やりにくいとか、何か偉そうに言っているけど、結局責任取らないよねみたいな、そういうふうに見られている節もどうもあるみたいなんですよね。
【小泉主査】  逆にね。なるほど。
【稲垣主査代理】  そうそう。だからきちんと責任を取る立場なんですよということを示すことが、そのポジションの重要性を伝えることにもつながってくるので、外部資金がいいのかどうなのかちょっとよく分からないんですけど、何かしらの形できちんと、こういう人材を配置していますとか、この件に関してはこの人がきちんと窓口として対応しますとかというのが見える化できるといいかなと思います。そのときに一番多分やりやすいと思いつくのは、申請書とか報告書に、この件に関する担当URAとか研究開発マネジメント人材はこの人ですというのを書けるんだったら書いてくださいからだと思うんですけど、そういうところから始めると徐々に、嫌でも広がってくるのかなというふうに思います。
【小泉主査】  嫌でも。
【稲垣主査代理】  この辺はちょっと先生方の御意見もお聞きされるといいかなと思うんですけども、イメージはそんな感じです。
【髙見人材政策推進室長】  分かりました。ありがとうございます。
【小泉主査】  自然科学研究機構の中でもURAの会議みたいなのがあって、中村先生や僕も出て話をしたときに、一部のURAから、まさにその辺の話が出ていました。やはり研究開発プロジェクトを回していくときに、URAとして責任を持って行いたいと、であれば名前がちゃんとプロジェクトの中に、URAとしての業務、マネジメント業務という形で参画しているというのを明記してほしいと、明記できるような仕組みをそれこそ国のほうでもつくってほしいという声がありました。というところは御紹介でということになります。
【江端委員】  今の件でよろしいでしょうか。今、稲垣先生がおっしゃっていたことはすごく重要で、例えばですが、ほかの大学のURAを自大学で採用するといったときに、面接の資料を見ていると、私はこんなプロジェクトに関わっていました、あんなことをやっていました、ここまでやりましたと、たくさん書いてあります。でも、実際にその人がそれをまとめたのか、どこまで関わりがあったのかというのは、やはり強弱がないと判断がなかなか難しいというところは正直あります。
 これは事務職の方々にも言えることだと思いますが、その人がどこまでの責任を持ってやり切った仕事なのかについて人にプレゼンできないと、その人の実績として評価をすることは難しいということになりますよね。
 ですから、それが明示的に見えるような形にする、先ほどの国の申請書の話の場合、どこかに必ず、こういう点で関わったという記載があれば、論文の共著者のように、研究開発マネジメント人材もきちんと名を連ねているというようなところが見える化できると、評価も容易になるし、その人の得意なところは何なのか等についても、よく分かるようになるかと思いますので、今の稲垣先生や小泉先生のお話は非常に重要だと思います。
【小泉主査】  貢献の明示化というか明確化というか、見える化というか、ですよね。
【江端委員】  そうですね。
【小泉主査】  ありがとうございます。
 では杉原先生、満を持して。
【杉原委員】  全く違う視点ですけれども、研究大学の強化に必要な研究開発マネジメント人材を、このガイドラインでしっかり国内に整備していく中で、今まで大学執行部に訴求する話や、大学の現状の事務組織等に訴求していく話はあったのですが、そもそもこの研究開発マネジメント人材の候補者に対してどう訴求するかというのが実は非常に重要です。今、人材不足の話が全国の多くの大学である中で、そもそも学生さんたちや、大学院生さんたちが各大学にいる中で、URAになろうという人たちが何人いるかというと、そもそもURAの存在を知らないし、こういう職種・業務があることすら知らない。仮にスキルや待遇がよくなっても、そもそもの職種・業務を知らない人に訴求できないですよね。
 ですから、2-1の第1章の人材の確保に向けた方策といったところの根底に、これからを支えていく若い世代等に向けて、まず、こういった研究開発マネジメント人材がこれからの日本の科学技術を支える非常に重要な人材であることをいかに訴求していくのかといった点と、各大学なり組織が、やはり自分の大学にいる学生さんたちにどのように研究開発マネジメント職種・業務を見せていくのかというのは非常に重要な視点だと思っています。
 ちなみに金沢大学さんの、先程のジョブ型研究インターンシップでは、ある程度URAの業務を自大学の学生さんたちに見せるといったところは非常に先駆的な取組だと思いますし、我々も大学院の授業でURAが講義をして、我々の業務内容等を見せるようなことはし始めているんですけども、まだまだ十分認識されないようなところがあります。ですので、やはり博士や修士等を目指される学生が、そもそも大学院に行く段階からURAになりたい、みたいな意思を持って自分のキャリアパスを描いて進学するとか、それぐらいまで各大学でも自大学内で認知度を上げるようなアクションを考えて、このガイドラインの中の一つの取組として、しっかり明示していく必要があるのだと思います。
 もう一つは、社会人から転籍してこられるような方に向けても同様のアプローチが必要だと思っていまして、起業支援やコンサルに従事されているような方は、かなりURAとしての資質があるかなと思っていますので、そういった方に向けての訴求もかなり重要な要素になると思っています。
 以上です。
【小泉主査】  ありがとうございます。だからキャリアパスもURAなり研究開発マネジメント人材の中だけで考えるのではなくて、学生、博士人材というのは第2章の(4)、資料2-1に書いてありますけど、もっとヤンガーな、アーリーな時点からのアプローチというか。
【杉原委員】  そうですね。だから大学院の、例えば修士に進学するときに、将来研究者になりたいとか、そういう志望者の中に、こういう研究開発マネジメント人材という職種を目指して大学院に進学する子が当然いてもいいんだろうと思いますし、むしろそういう子たちが自分のスキルをその方面で伸ばしながら大学院を出ていただくと、本当に即戦力になると思います。ですので、このような活動はむしろ各大学で取り組める、実は最短の方法だと思っていまして、この点はぜひこのガイドラインの中に盛り込めたらいいなと思っています。
【小泉主査】  すばらしい。ありがとうございます。
 最近時々、博士から直接URAになる方が出てきて、信州大もそうですよね。
【杉原委員】  そうですね。若い連中が、本当に僅かですけれども、来ています。ただ、まだまだ大多数は、やっぱり研究職を目指しており、そもそも研究開発マネジメント人材を知らないという連中たちなので、しっかりそこは早い段階から認識させていく必要があると思います。
【小泉主査】  ありがとうございます。ジョブ型研究インターンシップ、稲垣さん、何かコメントありますか。
【稲垣主査代理】  うちは今年から始めたんですけれども、URAの採用を念頭に置いた業務説明会を学内で開催しても学生はあまり来ないという話だったんですが、このインターンシップには3人応募があって、一応面接もして、2人、今やっています。やっぱり最初はどこまで情報を触らせるかとか、いろいろそういう懸念事項があったようですけども、何かうまくローテーションで、いろんな業務を取りあえず体験させるみたいなことはやっているようです。私はちょっと関わっていないので、よく分かっていないんですけど、そのくらいしかないです。すみません。
【小泉主査】  ありがとうございます。そういった取組も先駆的に金沢大は行われているということなんだと思います。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 網塚先生、お願いします。
【網塚委員】  すみません、色々と勉強させていただきありがとうございます。まだあまり頭が整理できていないところはありますが、先ほどから執行部に投げかける、訴えかける、ガイドラインとして有効だというお話がありましたが、研究開発マネジメント業務の業務内容が整理されて、また資料の中で各大学がそれをどう捉えているかが情報共有されております。そのような点が各大学の経営層に伝わるだけでも非常に効果的であるように思いました。各大学では様々な職員がそういった業務に携わっていますけど、それを整理して、どのように大学の経営の中で位置づけて人事体制を整備していくかといったことを構想する上で非常に役に立つのではないかと思いました。
 それで、参考資料2-2の5ページぐらいだったと思いますが、過去の分析から、実際研究開発マネジメント業務にどのような方々が携わっているかという統計が出ていたように思います。それを拝見しますと、URAの方の割合はむしろ少なくて、教員や、事務職員が研究開発マネジメント人材の職務を担っている様子がわかります。5ページ目あたりと思いますが、URA業務に教員・研究者が3,000人、事務職員が4,200人となっています。研究開発マネジメント業務を担っているポジションは、大学によって実にまちまちであると思われます。
 北大の例を見ても、産学連携を担っている職員の方々、これも研究開発マネジメント業務ですが、URAとは全然カラーが違います。また、事務職の中でも課長補佐クラスの方々は、様々なマネジメント業務をされていて、学内の重要なプロジェクトや補助金事業などをハンドルしているのは、むしろ事務の方がメインだったりするわけです。
 そのように研究開発マネジメント業務は、この資料にまとめられているように、ざーっと書き下すことはできるんですけれども、現場の人事体制はかなり縦割りになっているように思われます。この点について各大学で業務内容とそれを担う人員を整理していくために、このガイドラインをどう読み解き活用していくかがポイントになると、ガイドラインを読む立場から見ると、きっとそういう考えになるのではないかと思いました。
 研究開発マネジメント業務の認識が深まって、大学の中の縦割り業務が改善され、横の風通しもよくなり、研究力の強化につながることを期待しています。そのような意図が見えるガイドラインの書きぶりになると良いと思いました。
 以上です。
【小泉主査】  非常に重要な視点をありがとうございます。ちょっと違う言葉で言うと、さっき江端先生からも指摘ありましたけれども、怖いなと思っているのが、この研究開発マネジメント人材云々のガイドラインといったときに、ああ、研究開発なら研究担当理事が読めばいいんでしょうといって、結局、研究担当理事だけの問題にされてしまうと。でも、実は関わっているのは研究担当理事が所掌する範囲だけではない。人事から財務から、全部を含めて研究開発マネジメントと言っているわけで、でも、えてしてこういうガイドラインが出ると、はいはい、研究担当理事のところでやってと、研究担当理事だけに行ってしまう、ほかのところは俺たち関係ないからとなってしまうと。そういうものではないということをもうちょっと分かりやすくしないと、確かに縦割りの文化の中で、あるところだけに行ってしまうという危険性はあると思ったところです。
 そういったことですよね、網塚先生。
【網塚委員】  そういった点もあるのですけれども、どちらかというと、もう少し積極的、ポジティブな認識を持っています。つまり、我々長年大学にいると、事務は事務、教員は教員、技術職員は技術職員の職務を枠にはめてしまいがちです。その間を埋める新たなニーズが生じてURAのポジションができてきたわけです。けれども、そのURA職も入れて依然として固定観念にとらわれているように思うので、このガイドラインを起爆剤にして、研究開発マネジメント業務を担う新たな組織作り、より大きな人事制度の改革に踏み込む大学が出てきても面白いんじゃないかと思った次第です。
 先ほどの新潟大学の事例では、URAの「R」を取って、UAと一くくりにするような、先進的な取組を拝見いたしましたが、事務組織も含めて、研究開発マネジメント業務を大学の中でくくり出して、そこに多様な人材を投入していくようなことを考えてもいいんじゃないかと、長年の大学の組織構成を大きく変えるような契機になると良いと思いました。
【小泉主査】  ありがとうございます。そういう意味では、届ける先というのもすごい重要ですよね。ありがとうございます。
 それらを受けて、執行部サイドとして桑田先生、もし何かあれば。
【桑田委員】  ありがとうございます。執行部サイドといっても、そんな大層なものではないんですけど、ありがとうございます。今日は頭の体操を一生懸命やっていて、でも今回我々ワーキングに求められているのは、人事制度などに関するガイドラインの作成だなというのを肝に銘じて考えていました。やはり先ほどから多くの先生方がおっしゃっているとおり、このガイドラインについて、きちんとスキル標準との突合わせをして整理がされていくことが必要なんじゃないかなと、思っていた次第です。
 何でこう思ったかというと、結局、いろんな人材が研究開発マネジメント人材にいるんですけれども、各大学いろんな特色を出しながら成果を求めていて、どういうお題に対してこういう働き方、こういうスキルを持って働いてくれるとどれだけパフォーマンスが上がっていくのかという分析、整理がきちんとできていると、ガイドラインを見る側、つまり自分たちが業務として適用しようとする人たちにとってはすごく役に立つと思った次第です。
 例えば、地域性とか国際性とかという言葉も出てきていたんですけれども、国際的なところに貢献しようとすると、実は研究開発マネジメント人材のスキルが、こういうスキルを持って、こういうプロシージャーで働いてくれるとすごく効果があったという好事例として整理されていること、そして各アウトプットがどういうスキルセットによって効果的だったのかというのが整理されていると、大学全体をマネジメントする人たちにとって大変参考になると思いました。
 そして、最初にたしか正城先生がおっしゃっていた、この業務が時々、我々はつい外部資金の話で評価基準みたいなものを決めていきがちなんですけれども、研究は、外部資金を取ってくるだけの研究だけではなくて、研究の種あるいは新しい学理の種を見つけるような動きもたくさん大学の中ではあり、そういうものと社会実装に近いものと、どうポートフォリオ・マネジメントしていくのかというのも大切になってきます。アウトプット指標を外部資金だけで見ていくと、やっぱり基礎の基礎の掘り起こしみたいなマネジメントが抜けていっちゃう、大学が知の集積である本当の意味が何となく薄れていってしまう気がしてならなくて、その辺りも含めて、このスキル標準とともにうまくマッチングさせて整理がしてあり、説明がついていると、非常に分かりやすくなるんじゃないかなという気がしました。
 更に、人事制度に資するので、いろんな側面で難しさがあります。スキルフルであることが求められているのか、それとも入り口の部分の知識があり、あとは専門家に橋渡しをすることが大切である等、スキル到達にグラデーションがあると思うので、その辺りをうまく整理ができるともっといいんじゃないかと思いました。この辺りも、あと1回しか議論の機会がないとしても、少し議論させていただけるといいんじゃないかなと感じた次第です。
 以上です。
【小泉主査】  ありがとうございます。そうですね、大学執行部が見て、自分の大学のためには、こういう研究開発マネジメントのこういうスキルが必要だというのがイメージできればいいかもしれないですね。そういったものが何か見えてくると、こういう人材をこういうふうにつなぐとか、そういったものが見えてくる。
 それから、日本は比較的アウトプットだけで物を見ようとしているというところがあって、それじゃないよと、研究開発マネジメントというと、本当に基礎から、探索的なところから始まって、当然アウトプットもあるんですけど、アウトプットだけで見ようとすると間違えるというのは、これまで何十年も経験してきたことだと思うので。
【桑田委員】  そうですね、それは先生方皆さん思われていることかなと思ったので、今日はぜひ申し上げたかったところです。
【小泉主査】  ありがとうございます。
 あと10分、15分ぐらいまだ、ほかの観点でもいいですし、こういったところというのがあれば、ぜひよろしくお願いします。
 室長、お願いします。
【髙見人材政策推進室長】  先ほど杉原先生からの御指摘で、研究開発マネジメント人材の候補者にどう訴求するかというか、届けるかというところで、事務局として思いつくのは、今我々、年に一度未来の博士フェスというのをやっていまして、全国のSPRING事業を受けている大学の学生を中心に、博士後期課程学生が主役のイベントですということでやっているわけですが、その中で、URAとして活躍する博士という姿、研究開発マネジメント人材として活躍する博士という姿を見せていくというのは一つ大事なことかと思いました。また、新規事業の中でも、新しい事業をやった結果、こういう研究開発マネジメント人材が育っていますというような、事業の成果を発信するような機会を設けたいというのは今計画しております。これまで国で、研究開発マネジメント人材あるいは技術職員に関するシンポジウム、フェスというものをあまりやったことがないと思いまして、そういう形でまずは発信していく、それで十分であるとも思いませんが、一つ開始できることとしてはそういうことがあるかなというのは思ったところです。
【小泉主査】  杉原先生。
【杉原委員】  色々なアプローチの仕方があると思っていまして、URAの業界でも、RA協議会では年次大会に、学生の参加枠も一応用意してあるんですけども、やっぱり全然認知されていないので、ほとんど学生参加者がいません。その中で、もし文科省さんの今の博士課程の支援のプログラムの中で、周知するようなルートだけでもできれば、興味を持っている子たちが、例えばオンラインで参加するようなきっかけづくりになるかと思いますし、隣に江端先生がいらっしゃるので、振りますが、技術職員の高度化や機器の共用化みたいな視点で、毎年1月の後半ぐらいに大きなイベントをやっていますよね。そこには、博士課程の学生さんとかは参加されているんですか。
【江端委員】  ありがとうございます。研究基盤協議会で主催しております研究基盤EXPOは、延べ人数で二、三千人ぐらいが参加するイベントにはなっておりますが、現在は特別に博士課程の学生をターゲットにはしておらず、技術職員の方や研究基盤共用に関係する方々、民間企業の方が主となります。技術職員もそうですし、URAの話もそうですが、博士人材につながるようなポイントは、なかなかないのではないかと思います。今の室長の御提案の流れで、研究開発マネジメント人材と技術職員の話も含めてイベントの中でどんどん表に出していっていただけると非常に良いかと思います。
【杉原委員】  そうですね。文科省さんの博士支援の中でも扱っていただくし、我々が開催するURAとか技術職員のイベントの中でも大学院生に向けたイベントとかアプローチを組み込んでいくような、相互での取組が必要じゃないかなと思いました。
【小泉主査】  ありがとうございます。その際、僕、ロールモデルがやはり必要だと思います。こういうURAになりました、研究開発マネジメント人材になりましたといったときに、ああいうふうになるんだというロールモデルが身近に見えてくると、ああいうふうになりたいと思う人がどんどん増えてくるのではという気がします。そういう意味でも各大学でも、ここにも書いてありますが、表彰制度というのはすごい重要で、こういうロールモデルを見える化していくというのも、博士人材のみならず、学生などに訴えかけるには非常に、ああなりたいという人が見えてくるといいのではと、すごく思っているところです。
 ほかにございますでしょうか。
 もしよろしければ、コンピテンシーというかスキル標準に関して、正城先生、何か御意見あれば、いただければありがたいですけれども。
【正城委員】  そうですね。スキル標準ですかね。
【小泉主査】  はい。
【正城委員】  大学技術移転協議会のアニュアルカンファレンスとかRA協議会の年次大会とかで、今、スキル認定制度がありますがどう思いますかとオープンクエスチョンを何人かにしたのですが、大学技術移転協議会側に重点を置いている人は、古いのではとか、ベンチャーも入ってないという意見がありました。ファンドレイズ入ってないじゃないかという人は、ファンドレイザーの会合ではないので、でませんでしたが。また、RA協議会側に参加していた、主に技術移転をやっている人たちが自虐的に、「我々は関連業務の人たちです」と自己紹介されていました。スキル標準では関連専門業務に産学連携と知財が入っているからですがこれは余談になります。やはり国がいろいろ支援していただいて、URAや技術移転の部隊を大学が整備してきましたが、信州大学さんや一部の大学を除いては、抜本的に考え直す機会をそれほどきちんとやっていない場合もあるのかなというふうに思いますので、今回項目に挙げていただいているように、全体像から見たときにどういう人材がやるような業務が必要なのかというのは大いに議論すべきところかなと思っています。
【小泉主査】  ありがとうございます。その辺の議論も踏まえて、ぜひガイドラインのところでは議論していきたいということで、室長、いいですよね、そういうことで。
【髙見人材政策推進室長】  大丈夫です。もちろんです。お願いいたします。
【小泉主査】  確かに今おっしゃっていただいたように、もう10年前にスキル標準できたときは、プレアワード、ポストアワード中心にして、お金を取ってくるというのを中心とした支援業務というのがメインのスキル標準だったと思いますが、今我々が議論しようとしているのは研究開発マネジメントですから、必ずしもお金を取ってくる支援というだけではないと。とすると、もう少し、我々が行ったアンケートの中でも、その他の業務の人がそれなりにたくさんいらっしゃって、その他の人たちが多いという状況を考えると、やはりURAに求められる、また研究開発マネジメント人材として求められる業務というのは必ずしも10年前と一緒ではないと考えれば、スキル標準を我々が考える研究開発マネジメント人材という形でアップデートするというか、上書きしていく感じですかね。今までの業務、プレアワード、ポストアワードがなくなるわけではないですが、さらにそれをバージョンアップしていくということが必要ではと思っているところです。
【正城委員】  今、最後におっしゃっていた関連で思うのは、今仮にアップデートをできたとしても、数年後にどうなっているかわからないということは認識しておかないといけないと思います。スナップショットはできたとしても、常に社会側が変わっていく中で、必要とされる業務の広さだったり深さだったりが変わっていくのは容易に推測できるので、そこは現時点で推測して書けない部分をどう組み込んでおくかということも一つの視点かなと思います。
【小泉主査】  ありがとうございます。まさにそこが難しいところですが、そうしないと、結局、つくった瞬間に陳腐化してしまいますので、そこが難しいところかと思います。ただいずれにしても、10年前と今も当然違うというところは皆さん御認識共有ということでよろしいですか。
 コンピテンシーに関して、高木先生、先ほどおっしゃっていましたが、何か付け加えることはありますか。
【高木委員】  やはり、目的が何かということをしっかり押さえるべきで、例えば研究力強化では、研究開発マネジメント人材は、当然博士人材と親和性が高いと思います。先程、主査がおっしゃったように、あるべき姿、理想形がどうなるか、をガイドラインに書くかどうかは別として、仮置きして、それからブレークダウンあるいはバックキャストしてみるということを1回、思考実験でやってみるのもいいのではないかと思います。
 さらに、研究職と、この人材との関係については、2つあって、組織上の関係に加え、メンタル、マインド上の関係もありますので、そこがどうなれば研究力が向上するのかということも含めて、少しそれを起点としてブレークダウンしていくのがよろしいのかなというふうにちょっと思いました。
【小泉主査】  ありがとうございます。非常に重要な御指摘だと思います。
 そろそろ時間も近づいてはきていますが、全然違う観点でもいいです。オンラインの皆さんでも何かございましたら、ぜひこれは一言言っておきたいというのはありますか。
 正城先生、お願いします。
【正城委員】  最初にまとめて説明いただいた中に、今後の進め方の御提案をいただきましたが、今日の皆さまの御意見を伺っていると、多くの方が、このガイドラインの位置づけだったり、どう使われるかだったり、現行の様々な枠組みとの関係とかという御指摘が多々あったと思うので、もちろんたたき台までつくっていただけるとありがたいのはありがたいんですけど、このガイドラインの位置づけを我々として俯瞰的に整理して、共通認識に近いところまで行くのがすごく重要かなと感じました。
 それをやっていくと、このガイドラインを出すときに、その資料やまとめたものがすごく役立つのではないか、いろいろ解釈をされるのではなくて、そういう位置づけの下にこれがなされたということも含めて認識していただくことは非常にいいことだと思ったので、仕事が増えて申し訳ないんですけど、そういうふうに感じました。
【小泉主査】  1回、2月にワーキング・グループをやることは決まっていますが、その前ぐらいに、ざっくばらんと意見交換する回をつくってもいいかなという気がしました。何となく、少なくともこのワーキング・グループのメンバーの皆さん、同じ方向は向いていると思いますが、少しずつ違うところがまだあるような気がするので。事務局が概算要求で忙しいと思うので、それが終わってからでもいいですし、どこかで、例えばコンピテンシーについてとか、大学における研究開発マネジメントの在り方についてとか、何か幾つかテーマを絞って少しディスカッションすると、2月のときにある程度、素案をまとめやすくなっていくのではという気がしました。
 システムデザイン的にブロック図を描いたりしながら、それこそ髙見室長にファシリテートしてもらいながら、システムデザイン的にやっていくのもいいのかなと思ったりとか、多分これをまとめていく前に1回、共通認識を。
 正城先生が言っていることと違いますか。
【正城委員】  同じで、まさに「作業」部会が1回要るのかなと思いました。
【小泉主査】  そうですね。ワーキング・グループの下の、さらに作業部会的な、ちょっとテーマを絞ってディスカッションする回があってもいいのかもしれないと思ったところです。
 よろしいでしょうか。ほかに進め方等も含めて御意見あれば、オンラインの方も含めていかがですか。
 稲垣先生、副主査として何か御意見あればお願いします。
【稲垣主査代理】  いや、特にありません。大丈夫です。
【小泉主査】  ありがとうございます。よろしいですか。
 髙見室長、大場補佐、どうですか。大丈夫ですか。
【髙見人材政策推進室長】  大丈夫です。
【小泉主査】  ありがとうございました。
 では、本日は様々な御意見いただきまして、本当にありがとうございます。本当に皆さんの思いが同じ方向を向いているということもすごくよく分かりましたし、ここの議論がさらに積み重なっていくことによって、日本の研究開発力が向上していくようなガイドラインができればいいというのを改めて強く感じたところです。ただ、我々の思いが本当に色々なところに訴求していかないと意味がないので、それをどうしていくかというところもガイドラインの一つの、それこそ人材の確保も含めてですが、そういったところが重要なのかと思ったところです。今後の進め方にありますとおり、今回いただいた皆様の御意見を基に、ガイドライン作成について検討していきたいと思っております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 では、最後に事務局より、事務連絡をお願いいたします。
【大場人材政策推進室長補佐】  事務局です。次回のワーキング・グループの開催日時等については、先日メールでも御連絡しておりますとおり、令和7年2月7日金曜日を予定しております。本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にお目通しいただき、主査に御確認の上、文部科学省のホームページを通じて公表させていただきます。
 以上でございます。
【小泉主査】  どうもありがとうございました。それでは、よろしいでしょうか。
 本日はこれにて閉会としたいと思います。どうもありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。
 

―― 了 ――

 
 

 

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