令和6年6月14日(金曜日)10時00分~12時00分
文部科学省 東館 15F 科学技術・学術政策局1会議室 及び Web 会議(ZOOM)
小泉委員、稲垣委員、桑田委員、杉原委員、高木委員、野口委員、正城委員
生田人材政策課長、髙見人材政策推進室長
科学技術・学術審議会 人材委員会 研究開発イノベーションの創出に関わる
マネジメント業務・人材に係るワーキング・グループ(第9回)
令和6年6月14日
【小泉主査】 定刻となりましたので、科学技術・学術審議会人材委員会研究開発イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材に係るワーキング・グループの第9回を開催いたします。本日の会議は冒頭より傍聴者に公開していますので、よろしくお願いいたします。
本日は、7名の委員に御出席いただいておりまして、定足数を満たしておりますので、このまま開催したいと思います。
また本日は、「科学技術・学術審議会人材委員会研究開発イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材に係るワーキング・グループの設置について」4ポツ(3)に基づきまして、国立大学法人東京工業大学総括理事・副学長特別補佐、企画本部戦略的経営室教授、江端新吾先生、及び大学共同利用機関法人自然科学研究機構分子科学研究所特任部長(研究戦略担当)、中村敏和先生にお越しいただいております。前回に引き続き、両先生にはどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入る前に本日の委員会の開催に当たりまして、事務局から注意事項と資料確認をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
【大場人材政策推進室長補佐】 本日の会議は、対面とオンラインのハイブリッドでの開催となります。対面での御出席の委員は、御発言の際には挙手をお願いいたします。オンライン御出席の委員は、挙手機能により挙手ボタンを押していただき、主査より御指名を受けましたら、お名前をおっしゃった上で御発言くださいますようお願いいたします。
機材の不具合等がございましたら、対面で御出席の委員は、会場の事務局にお声がけいただき、オンラインで御出席の委員は、マニュアルに記載の事務局連絡先に御連絡ください。
資料につきましては、ZOOM上での共有も行いますが、会場ではお配りしておりますので、各自お手元で資料を御覧いただければと思います。
それでは、資料を確認させていただきます。事前に送付した資料としまして、議事次第、資料1から資料3、参考資料として、参考資料1から参考資料3までございます。
こちら、報告書をこの委員会でまとめることとなっておりまして、資料2-1、2-2が、その報告書の本体となります。前回指摘を受けて修正したものが資料2-1で、見え消しとなっております。それを反映したものが資料2-2。また、前回一枚紙でポイントが分かるようにというご提案いただきましたので、それを資料1として御用意しております。
資料3は、キャリアパスについてまとめたもので、前回から少し修正しておりますけれども、こちらは見え消し反映等をしてはおりません。
参考資料でございます。参考資料1が委員の名簿、それ以下につきましても、前回出したものと同じものとなっておりますので、説明のほうは割愛させていただきます。
以上でございます。
【小泉主査】 どうもありがとうございました。
それでは、本日が最後の会議になると思っておりますので、ぜひ皆様には闊達な御議論をいただければと思います。
議題1に入りたいと思います。研究開発イノベーション創出に関わるマネジメント業務・人材に関する課題の整理と今後の在り方(案)についてというところで、引き続き議論したいと思います。
前回のワーキング・グループにて御議論いただいた論点整理素案の修正等を事務局のほうでしていただきました。修正点について、まずは事務局、髙見室長のほうから御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
【髙見人材政策推進室長】 ありがとうございます。人材政策推進室の髙見です。
本日私のほうからは、資料2-1と1を御覧いただきながら御説明を申し上げたいと思います。まず資料2-1を御覧ください。先生方からいただいた御指摘を踏まえて直した部分を赤字の見え消しにしております。
まず、タイトルでございます。前回、こちらワーキング・グループの名称に合わせますと、確かに「関する」が「係る」になるというところを直させていただいております。
「はじめに」でございますが、冒頭、「資源が限られ、少子高齢化が進む」と課題感から入るよりは、我が国においては、これまで研究開発イノベーションの創出により社会的・経済的価値を創造し、持続的な成長に向けて尽力をしてきたと入る方がいいと思いました。大学、研究機関の研究力を強化し、イノベーションを促進することは、未来を切り開く上で不可欠ですという前提があった上で、「しかし」と、少子高齢化の進展などの状況もあって、科学技術立国として世界をリードした日本の世界的な地位が、近年相対的に低下しているということで、少し立論の仕方を変えさせていただいております。
また、前回の御指摘の中で、このワーキング・グループにおいては研究力強化というところが、研究開発イノベーションの創出という構えをしておりますので、文脈に応じて、「研究力強化」よりも「研究開発イノベーションの創出」としたほうが相応しいところに関しましては、文章全体を通じて修正をしております。
その後の修正は、表現の適正化の観点からの修正になってございます。
3ページを御覧ください。前回の議論の中で、背景に入る前に、研究開発マネジメントの重要性や、それを担う専門人材の重要性といったところを冒頭にしっかりと書いたほうがよいのではないかという御指摘があったと思います。そのことを踏まえまして、この1ポツということで、この部分を追加しております。
1段落目、2段落目の辺りですが、大学等に求められる役割が非常に増加して多様化してきているということを1段落目に書いておりまして、その一方で、従来、研究開発は研究者の役割とされてきたというところが、社会課題が複雑化していく中で、研究開発マネジメント人材や技術職員と研究者がセットになって初めて競争力のある研究成果を生み出せるというように考えられるとしております。そのためには、大学が組織としてマネジメント体制を整え、研究開発マネジメント人材、技術職員を尊重していくことが重要であるとしております。
大学におきましては、研究開発マネジメントと一口に言いましても、それを通じて何を実現したいのかということを明確にする必要があるということ、また、自らの強みや特色に応じたマネジメント体制を構築することが求められるということを書いております。
その2つ下の「さらに」というところの段落ですが、大学における研究開発マネジメントをサステナブルなものにするためにも、研究開発マネジメントを担う人材の育成と処遇の改善、そして、産業界などとの垣根を超えた人材交流・知識の流動を促進する研究開発マネジメントのエコシステムの構築が必要であろうということで、本報告書においては、マネジメント業務を整理し、業務を担う専門人材として、研究開発マネジメント人材と技術職員に焦点を当て、本ワーキング・グループにおいて検討した結果について報告をするということで、最初に位置づけを書いております。
ここの中では、URAをはじめとした研究開発マネジメント人材、そこと技術職員というのを並列で位置づけをしておりまして、2ポツ以降が、タイトルにも書きましたとおり、研究開発マネジメント人材に係る背景ということで、しばらく研究開発マネジメント人材のことを書きまして、その後、25ページの7ポツからが技術職員ということで、分けて書いているということも明記しております。
脚注に本報告6ポツとなっておりますのは、7ポツでございます。7ポツ以降に記載するということで、頭のほうで整理について書いたという状況でございます。
4ページ、5ページの辺りでございますが、4ページの脚注は、こちらも前回の御指摘をいただきまして、URAと産学連携コーディネーターの関係性について、前回推計値で出していたところ、調査の具体的な調査結果の数字をもとに、令和4年度のそれぞれの人数状況について書き直しをしております。
5ページは、(2)として、先ほどの1ポツに吸収させる元となった文章がございますが、こちらを1ポツのほうに移動したという位置づけでございます。
それから、しばらく文言の適正化、表現の適正化というところが続きますが、9ページを御覧いただけますでしょうか。9ページの上のほうで、こちらは研究開発マネジメント人材全体に関する課題ということで、マル1からマル6まで整理をしたところですが、URA以外に教員・研究者や事務職員、その他の専門職など、多様な方々が携わっているということが分かったので、時間がもっとあれば、それぞれごとの課題というのを掘り下げる手もあるわけですが、今回に関しては、まず人材全体の課題を整理し、今後の在り方を検討するということをここで明記しております。
13ページを御覧ください。こちらは、URAスキルR認定機構による認定の関係です。
13ページの真ん中の辺りで、7団体から構成されるURAスキル認定機構が認定を行うこととなったという元の案がありますが、スキル認定機構が認定を行うこととなったというのが少し時系列的に後でして、令和3年度から5年度までの補助事業期間中だという御指摘をいただきまして、ここにおいては削除をして、平成30年の論点整理では複合方式という考え方が示されたというところに書きぶりをとどめたという修正です。
また、その下ですけれども、その補助事業期間中ですが、この補助事業を行う中で、7団体の総意によりこのURAスキル認定機構の設立が行われて、補助事業により当該機構の運営支援が行われたということで、これも経緯を正確に表現する観点からの修正になっております。
14ページを御覧ください。真ん中の辺りですが、東北大学と信州大学等においてはということで、「認定URAであることを昇進・昇給の要件としているが」というように書いておりましたところ、東北大学におきましては、URAの公募時の資格として認定URAを博士の学位と同等とみなすという運用をしているということでございますので、ここも正確な表記の観点からの修正になっております。
16ページを御覧ください。こちらですが、研修の見直しの方向性について記述している部分になります。本ワーキング・グループにおけるヒアリングにおいて、全体を俯瞰する力の育成が必要であるという意見が、複数のヒアリングをさせていただいた先生方からありまして、このことを踏まえた研修にしていくことが必要だということを改めて強調して書いております。
それから、一番下のところ、「こうした」というところですけれども、より現場のニーズや社会の要請に応える研修等を受講した研究開発マネジメント人材により、大学や研究機関において創出された研究成果を社会に還元していく機能が強化されることが期待されるということも改めて記載をしております。
17ページを御覧ください。こちらのワーキング・グループの中でヒアリングを行いました日本ファンドレイジング協会による研修や認定の制度がございました。こちらはなかなか前回の中では事例としても御紹介ができていなかったところでありましたが、中身としては非常に有用な寄附金などの獲得ということに取り組んでいますので、この研修について書いたここの文脈で、名古屋大学のURAの教育システムの次に、このファンドレイジング協会による研修・認定制度ということを紹介させていただいております。
19ページを御覧ください。こちらも、前回の御指摘の中で、Institutional Researchの関係に携わる専門人材についても触れておいたほうがよいという御指摘を踏まえまして、大学や研究機関の経営層の理解増進という段落に、研究開発マネジメント体制整備や機関内での人材育成は、経営層による経営戦略をもとに、目標を立て、その実現に向け行っていく必要があるという後に、そのためにはIRにより、大学・機関内の状況を把握するとともに他大学・機関との優位性を見極めるための情報収集・データ分析が不可欠であり、その機能を担うIRerを経営戦略や研究計画の企画立案機能として位置づけるということが、経営層にとって今後ますます重要になってくると考えられる、と加筆をしております。
22ページを御覧ください。こちらも、前回の御指摘の中で、医療系のmedU-netの取組についてヒアリングをしたことがございましたが、その中で、もう少しこの医療イノベーションプロセスという特殊性について丁寧に話をしていただいたということがありました。その点を加筆いたしまして、他分野にはない特殊性があるため、このような高度な人材を確保・育成していくために、医療分野におけるインセンティブ設計などをしていくことが必要である、ということでつなげております。
それから、その下の「なお」というところの加筆部分ですけれども、こちらは23ページの見え消しで消している部分、研究開発マネジメント人材を雇用する会社についてというのを最後に米書きで1段落使っておりましたところ、こちらも前回の御指摘の中で、少し文量的に多いというのと、やはり注視していくことが必要だというのを端的に述べるほうがいいのではないかという御指摘をいただきましたので、そのような形で、少し文量も削減しながら、大学とは別組織としつつ双方連動させ、メリットを生かした運営を行っていくことが可能なのか、今後も注視していくことが必要であると述べるにとどめております。
以上が、研究開発マネジメント人材部分でございます。続いて、25ページを御覧ください。技術職員の関係でございます。
背景のところで、技術職員は、改めて言うまでもなく、大学等において研究開発を行っていく上で不可欠な人材であるということを冒頭に加筆をしております。
その次の段落、「国立大学における」というところは、こちらは本務者の数というのを学校基本調査の中で把握をしておりまして、1970年との比較ということで加筆しております。そこでは、教員の本務者数が1.7倍、事務職員は1.4倍に伸びているという一方で、技術・技能職員は0.55倍ということで、およそ半減しているというふうに書いております。
大学においてはそういう状況でありますが、他方、大学共同利用機関においては、技術職員のポストを教員に転換するといったことはこれまでしてきていないという指摘がありまして、両者は対照的だということで加筆をしております。
その2つ下ですけれども、「しかし」というところでございます。こちら、人材育成が不十分なまま、業務の高度化が進んできた経緯があるとした上で、技術職員は、大学や研究機関において技術の継承を行い、機器のメンテナンスを的確に行うことに加えて、高度な計測等の技術力を発揮する、研究開発において非常に重要な存在であり、技術職員の人材育成に重点的に取り組んでいくことは、大学・研究機関の研究力を向上させる上で欠かせないことであるということで加筆をしております。
それから、1ページめくっていただきまして、26ページを御覧ください。こちらの脚注でございますが、こちらも前回御指摘をいただきまして、教育研究系の技術職員が、国公立大学における研究力強化に貢献する取組を行う位置づけということと、私立大学においてはむしろ教育に重点を置いたような支援が中心である位置づけで、かなり異なるという御指摘をいただいたので、そういった指摘があることに注意が必要だということを脚注で述べております。
27ページの研究開発マネジメント人材の箇所にはもともと実態調査をしたときの機関別の数を書いていましたが、技術職員の箇所には書いていなかったので、改めて内訳を加筆したという状況でございます。
加えまして、真ん中の辺りですが、技術職員がいる機関253機関のうち、該当職員の全てが属する専属組織が本部にあるのが84機関、該当職員の一部が属する専属組織が本部にあるが35機関、該当職員の専属組織は本部にないというのが134機関という結果となったということで、前回私のほうから、実態調査の中でこちらは把握していなかったと思いますと申し上げましたが、そちらを撤回させていただきまして、把握しておりましたので、その点もここの中に加筆をしたという状況でございます。
それから、28ページを御覧ください。こちらは技術職員を取り巻く課題の2つ目といたしまして、機関内での適切な評価と処遇、キャリアパス確立の困難さについて書いている部分でございますが、業績がきちんと評価をされて、評価に基づく処遇がなされるようにしていくことが必要であるとした上で、このことにより、民間企業と競合できる雇用環境を整備し、大学等において若手の技術職員の確保が困難となっている状況を打破していくことが求められると記載しています。先日、若手を確保していくというのが必要だけれども、なかなか現状、各大学・研究機関で困難を抱えているというお話がございましたので、この点加筆をしております。
それから、しばらく文言の修正が続きまして、32ページを御覧ください。こちらは技術職員の表彰制度といたしまして研究支援賞があるということを述べていたところでございますが、前回の研究支援賞はややその敷居が高く、そうではないいろんな団体がやっている独自の表彰というものもあるというご指摘の中で、そういうところも御紹介をする観点から、マテリアル先端リサーチインフラ事業の中で行っている表彰について御紹介をさせていただき、こういった事業内での表彰を行うことも、同様に技術職員のモチベーションを向上させる有意義な機会であり、今後も継続することが期待されるということを加筆いたしました。加えてこちらも前回の御議論でありました、表彰の受賞者が、例えば講演を通じて自らの仕事について他機関の技術職員や研究者等の関係者に対して説明する機会を設けるなど、優れた技術職員の活躍ぶりが関係者に伝わるよう、文部科学省や各機関においては、周知やPRの機会を積極的に設けることが求められるということも加筆をしております。
その下にある、大学や研究機関における人事制度の構築の部分ですが、こちらも分子研におきまして、年齢層として比較的若手も雇用し、技術継承が円滑にできるような工夫がなされているといった点を加筆しております。
また、東工大におきまして、部局に着任した技術職員を、法人化後すぐに技術部を創設し、各部局に配置されていた職員を一元化して、現在90名弱の方が所属し、一つの部局のように機能しているという点も加筆をさせていただいております。
「こうした取組も参考にしながら」というところですが、まず、大学・研究機関においては、技術職員がキャリアアップをしていけるようなポストを整備し、教員・研究者と対等に並べるような処遇改善につなげていくということが求められるとした上で、技術職員の中には企業から多くの共同研究費を得ながら活動している者や、産学官連携に貢献している者もあって、そうした技術の対価を換算すれば職員の人件費として機関内で予算化できるのではないかという指摘もあるということで加筆をしております。
そして、最後の「なお」の部分ですが、技術職員を一元化した組織を作るという話と人事制度の改革というのは、区別して議論していくことが必要だということを加筆してございます。
最後、33ページでございますが、こちらは「おわりに」の中でガイドラインの策定ということが目立つようにしたほうがよいという御指摘を前回いただいた関係と、研究開発マネジメント人材のガイドラインと技術職員のガイドラインをつくるということが若干元文だと分かりにくいかなと思いまして、その観点からの表現上の修正を加えております。
ここまでが資料2-1でございます。こちらが前回の御指摘の反映ですけれども、前回いただいた御意見の中で、この33ページを皆さんが全部つぶさに読むのはなかなか難しく、これだけ見れば大体ポイントが分かるという一枚をつくったほうがいいのではないかという御指摘をいただきまして、つくりましたのが資料1になってございます。課題の整理と今後の在り方のポイントということで作成いたしております。
ぜひ御意見をいただきたいのは、ワーキング・グループからのメッセージということで上に書きましたけれども、大学等には、国際的に競争力のあるアカデミアの基盤の確立ですとか、質が高く多様な研究を推進すること、次世代を担う人材育成を行い、イノベーションの源泉となる産学官連携やスタートアップ創出支援、地域連携などを通じて生み出した研究成果を社会に還元していくことなどが求められている。
社会課題が複雑化し、研究により解決する方策も多様化する中、URA等の研究開発マネジメント人材や技術職員と研究者が共に連携して研究開発に挑戦することで、初めて国際的な競争力のある研究成果を生み出すことができる。
このため、大学や研究機関は、組織として戦略的に研究開発マネジメント体制を整え、URA等の研究開発マネジメント人材や技術職員を適正に評価・処遇し、キャリアパスを拓いていくことが重要であるという、この特に3段落目をメッセージとして位置づけをしておりますが、こういうことでいいのかどうかというところも、ぜひ御意見をいただきたいと思っております。
報告書の内容は、大部にわたるものを全ては書けないわけですけれども、研究開発マネジメント人材と技術職員というブロックを分けまして、現状と期待というところでは、実態調査の中で把握ができました他機関との共同・受託研究が増加したことや、外部研究資金の獲得が増加したこと、機関内での交流・情報共有が進展したことで大学・研究機関の研究開発力の強化に貢献しているという現状と、今後は、外部研究資金の獲得、研究プロジェクトの企画・牽引に加え、大学全体の組織運営に携わっていくことが期待されているという、実態調査ベースの内容で端的に記載をしております。
課題は、報告書に盛り込んだ項目で記載をしております。
技術職員についても同様ですけれども、研究設備・機器の維持管理、高度な技術支援を担う専門職であり、研究者とともに課題解決を担うパートナーということで、こちらは現状として位置づけておりますが、ガイドラインからの表記も活用しております。
今後は、研究企画力等を身につけることや、研究設備・機器とそれを支える人材に関する経営戦略の策定に参加するなど活躍の場を広げていくことを期待するというように書いております。
課題は、同様に項目を並べております。
一番下の関係者に求められる取組ということで、こちらが今後のアクションプランないしはやっていくこと、というのを主体別に整理しているところでございますが、まず文部科学省は、ほかにも幾つかあると思いますが、4点主立ったところを書いております。1点目は、まず各機関、大学や研究機関における人事制度のガイドラインを策定するということ、2点目は、JSTや外部団体による研修、認定の機会について、一元的にホームページで情報提供するということ、3点目は、研究開発マネジメント人材のOJT研修を創設するということ、4点目は、科学技術分野の文部科学大臣表彰に、新たに研究開発マネジメント部門を創設すること、この4点について記載しております。
大学・研究機関に求められることといたしましては、研究開発マネジメント人材のほうは、まず経営層の理解増進、機関内での連携の強化でありますし、また、2つ目は、評価、適切な雇用・処遇、人事制度の構築、3点目といたしましては、JSTや外部団体による研修、認定等の積極的活用等としております。
技術職員に関しましても、おおむね同様ですが、組織的なマネジメントの実施であるとか、評価、適切な雇用・処遇、キャリアアップしていけるポストの整備、それから、学内表彰や賞与・給与への反映等としております。
最後が、研究開発マネジメント人材や技術職員、それぞれ個人に記載されること、求められる取組というように書いてあります。こちらは両者に共通することといたしまして、研究者との協働による優れた研究成果の創出ということ、マネジメント人材のほうは、研修、OJT認定等によりスキルアップ、技術職員は、外部研修の活用等によりスキルアップとしております。
マネジメント人材の3点目は、外部資金の獲得、研究の企画・牽引、組織運営への関わりとしておりまして、技術職員は、研究設備・機器の高度専門人材として、研究企画や人材育成等への貢献というふうにまとめてございます。
一枚ですとこれぐらいの情報量になりますが、入れている要素としてこれでいいかどうかという点につきましても、ぜひ御意見をいただければと思います。
私からの御説明は以上です。
【小泉主査】 髙見室長、ありがとうございました。かなり大量のポイントを本当にこの一週間でおまとめいただいて、本当にありがとうございます。
では、議論を早速進めたいと思いますが、全体を通じて初めから見ていきたいと思うので、まず前半、24ページ辺り、研究開発マネジメント人材の辺り、そして、後半、技術職員の辺りと思って、そういう分け方でいいでしょうか。
初め、24ページ辺りまでのところ、もちろん江端先生、中村先生、URAについてもとてもよく御存じのお二人ですので、そちらのほうもぜひ御発言もいただければと思います。
では最初に、前回あまりお声をいただかなかった稲垣先生からお願いします。稲垣先生、ぜひ、初めの24ページ辺りまでで気になるところ等をお願いします。
【稲垣主査代理】 13ページの経緯のところですけど、やっぱり過去の事実は事実として、こういう文書に残しておくのが大事だと思います。まず論点整理があったということを記載したうえで、やはり山本先生が座長をされていた別の会議体で、認定については、公的な機関が担うべきだといった内容で取りまとめがなされているので、それについても、「そして」の前に一言入れていただくといいと思います。事実として、こういう文書に残しておいたほうがいいと思うので、可能であれば入れていただきたいというのが一つです。
IRのことについては、URAの業務を5ページ目で整理されていたと思うので、そこにIRも含むとよいと思います。「研究開発マネジメント人材とは」のところにも、IRという言葉を出したほうが、後ろのほうに出てくるIRの説明と整合しやすくなるかなと思いました。
【小泉主査】 稲垣先生、ありがとうございます。
稲垣先生のご指摘にあった13ページの歴史についてはちゃんと認識したいと思っています。
IRのところは、杉原先生からこの前御発言がありましたけど、何か追加でありますか。
【杉原委員】 文脈からすれば、確かに稲垣先生がおっしゃるように、全体の流れから最初のURAの機能の一部として読み込むことも可能だと思いますので、前半部分に入れたほうがよろしいと思います。
【小泉主査】 ありがとうございます。
髙見室長、稲垣先生と杉原先生のご意見に対して何かコメントはございますか。
【髙見人材政策推進室長】 承知しました。5ページの研究開発マネジメントの業務の内容について書いている部分で、IRについて含めるということでよろしいですかね。
【杉原委員】 そうですね。
【小泉主査】 スキル標準に書いてある研究力強化、IR、研究IRといった言葉も使いながら記載することにしましょうか。
【杉原委員】 可能であれば、今は研究だけではなく、教育IRや経営的なIRもあるので、広い意味でのIRとして入れたほうがいいかと思います。
【小泉主査】 なるほど。研究IRに特化しないということですね。
【杉原委員】 はい。
【小泉主査】 こちらについて髙見室長よろしくお願いします。
【髙見人材政策推進室長】 もちろんです。
【小泉主査】 ありがとうございます。
そのほかご意見があればお願いします。
【杉原委員】 よろしいですか。
【小泉主査】 杉原先生、お願いします。
【杉原委員】 16ページの上のほうに、URAの新しい研修を令和8年度からスタートできるようにと書いてありますが、私もこの中に出ている7団体で構成する研修委員会の副座長をやっています。そちらの立場から申し上げますと、既存のファンダメンタルやコアが各15科目ずつあり、それらを全部見直して、内容を組み直して、さらにその中身の保証までを令和8年度から全て開始するというのは、かなり難しいところです。
殆ど、実際に研修プログラムをつくっている方は、現場で活躍されているURAたちです。自分たちの業務をしながらその研修プログラムを作ることになりますので、どちらを優先するかといったところもありますが、令和8年度からスタートというのを確約するのは難しいのではないかと思います。事務局をやっている稲垣先生から何かありますか。
【稲垣主査代理】 これまでの経緯も踏まえると、令和8年度から開始するということは本当に難しいということを実感としています。このように明記するのではなくて、もう少し、できるだけ早く開始する程度の説明にしていただくのがいいと思います。また、研修のためにJSTから単年度で外に出るという話について、JSTとして長期的なビジョンに基づいて外に出すというきちんとした意思がないと、あれもこれも入れるとなってしまい、結局、体系立っていない研修になってしまうことが懸念されます。新しいスタートアップとかファンドレイズを入れるのは大いに結構だと思いますが、どういう形でJSTとして研修を実施したいのか、それをきちんとJSTの中で整理をした上で、実施に向けた、講師の方に依頼するとか、そういうことをできるようにしてほしいということまで書いたほうがいいのかと思いました。
【小泉主査】 小長谷さん、何かございますか。
【小長谷オブザーバー】 小長谷でございます。
御指摘の点につきましてですけれど、私どもも今年から実施しているというところでございまして、中身の見直しというのは、私たちも今すぐにこれがというような整理はまだできておりません。その辺りは実際に今私どもがRA協議会様のほうに委託をさせていただいているので、その中で議論などさせていただきながら、検討は進められればと思っているところです。
JSTでこれまでのこと全てを踏まえながら決めていくというところは、すぐには難しいかなというところもありますので、その辺、ぜひ御協力をいただきながらと思っております。
【小泉主査】 ありがとうございます。
確かに、いろいろと業務が多様化している中で、どういう方向性でやるのかというのは、皆さんの議論のもとに進めていければいいです。
野口先生、お待たせしました、お願いします。
【野口委員】 オンラインからで失礼します。小泉主査、ここでの発言は、全体についてということでもよろしかったでしょうか。
【小泉主査】 24ページまでと申し上げましたが、全体についてもご指摘があればお願いします。
【野口委員】 1つは24ページ以降ですので、後ほどにします。技術職員のところも踏まえて説明します。
【小泉主査】 そうですね。技術職員に特化した部分は、後ほどまたお聞きします。
【野口委員】 わかりました。
パワーポイント上の、この「ポイント」について、私はこの研究開発マネジメント人材と技術職員を検討することというのは、とても大事だと思っているので、ここのパワーポイントのところは、あまり複雑になってもよくないと思います。なぜ今回検討する意義があるかというのを、少し本文から抜粋したものを入れても良いのではないのかと思いました。
メッセージがあって、内容があって、アクションプランがあって、ただ、その前段に、なぜこれを検討する意義があるのかというのを少し加えたらいいのではないのかと思いました。
以上です。
【小泉主査】 ありがとうございます。技術人材のところはまたお聞きしますので、どうぞよろしくお願いします。
【野口委員】 分かりました。
【小泉主査】 ありがとうございます。
今御指摘のあった資料1のところ、こちらについても、皆さん、御意見いただければと思います。今、野口先生におっしゃっていただいたのは、恐らく本文の3ページ目、今回新たに加わった1ポツのところ辺りの文言というのを、なぜこういった議論が必要なのかという意義みたいなところも入れたらどうかというお話だったと思います。
ほかに何かございますか。高木先生いかがでしょうか。
【高木委員】 どうもありがとうございます。
大変よくまとめていただいておりますので、少し細かいところも含めて述べさせていただきます。24ページまでということですので、タイトルも含めて「研究開発イノベーション」という言葉が気になりました。
言葉尻の話にもなりますので、最終的には文部科学省の御判断にお任せしたいと思いますが、例えば本文を見ますと、最初のページの2段落目に、「研究開発イノベーションの創出」という言葉があります。研究開発というのは、アクション、行為を表す言葉だと思います。政策文書を見ますと、普通「科学技術イノベーション」という言葉がよく使用されています。この文脈から言うと、やはり「科学技術イノベーションの創出」のほうが好ましいと思います。
このワーキング・グループの名称が「研究開発イノベーション」から始まっていますが、主旨としては「研究開発マネジメント」がキーワードになると思います。「研究開発マネジメント」というのは、研究、開発、マネジメントというアクション、行為になります。タイトル、あるいは、この2段落目で、「研究開発イノベーションの創出」よりは、「科学技術イノベーションの創出」のほうが、自然であると思うのが1点です。
それから、細かい点ですが、3ページ目、1ポツのタイトルが、「大学における研究開発マネジメントの重要性とそれを担う専門人材」となっていますが、本文が大学等になっていますので、これは「大学等」がよいと思います。
それから、その2段落目、「このように、大学等に求められる云々」で、最後に、「研究開発マネジメント人材・技術職員を尊重していくことが重要である」との記載があります。これはそのとおりだと思います。この表現でもいいと思いますが、研究者・教員に、このような人材をリスペクトしていただきたい、対等な立場で見ていただきたいというニュアンスを、この文章で強調できるとよいのではないかと思います。
米国の大学では、部局に属する教授職と、研究所に属するリサーチャーといった研究開発マネジメント人材は、お互いにリスペクトしています。このようなマインドセットを日本にも取り入れていくことが重要ではないかと、この文章を見ながら考えておりました。
以上でございます。
【小泉主査】 高木先生、ありがとうございます。
一番初めの御指摘は1ページ目のところが、「研究開発イノベーションの創出」というのを、「科学技術イノベーションの創出」、でいいのではということですね。3ページ目以降は研究開発マネジメントの議論をずっとしています。1ページ目のところで、「科学技術イノベーション」という言葉を出したほうがいいのではないかという御指摘と理解しました。
3ページ目の1ポツのところに関して、「大学等」にすべきというところと、あと、相互リスペクトのニュアンスが文面にもう少し強く出ていればというご指摘でした。ありがとうございます。
髙見室長、何かございますか。
【髙見人材政策推進室長】 皆様が、この科学技術イノベーションの創出ということで違和感がもしなければ、そのようにさせていただくのがいいかなと思うんですけれども、よろしいですか。
【小泉主査】 確かに、1ページ目のところは、「科学技術イノベーションの創出」でいいのかなと思ったところです。3ページ以降は、ばっと見た限り……。
【髙見人材政策推進室長】 それなりにいろいろ書いてはありますね。
【小泉主査】 それなりにいろいろありますね。
【髙見人材政策推進室長】 全体的に用語を統一するという観点なんですけれども。
【小泉主査】 そうですね。用語を統一するということです。
【稲垣主査代理】 応用研究だけではなくて、基礎研究もきちんとサポートする人材ですよということが伝わることが大事だと思うので、今の研究開発イノベーションだけだと、出口寄りの研究しか対象にしていないというように伝わる可能性があるので、科学技術のほうがいいと思います。
【小泉主査】 確かにそうですね。
【小泉主査】 むしろ科学技術イノベーションのほうがいいということですね。
【稲垣主査代理】 そのほうがいいと思います。
【小泉主査】 マネジメントとしては、研究開発マネジメントにすると。
【稲垣主査代理】 そうですね。どうですかね。
【小泉主査】 稲垣先生の言葉で腑に落ちました。
髙見室長、そのように御検討いただければと思います。
【髙見人材政策推進室長】 承知しました。
【小泉主査】 ありがとうございます。
ワーキング・グループの名前は変えないという形で。
【髙見人材政策推進室長】 そこは、すみません、 形で。
【小泉主査】 よろしくお願いします。
正城先生も何か御発言ございますか。
【正城委員】 ちょっと悩んでいるので、後からにします。
【小泉主査】 分かりました。ありがとうございます。
ほかにございますか。
【正城委員】 他になければちょっといいでしょうか。
【小泉主査】 正城先生、お願いします。
【正城委員】 稲垣委員がおっしゃった、研修について統合的にというか、全体的な考えが必要だという指摘は、まさにおっしゃるとおりかなと思いました。ではどうするのかなとさっきからずっと悩んでいます。
最初に、3ページ、「その際」のところですけれども、「大学等の規模や特色、地域性、国際性などにより、研究開発マネジメントの目的と在り方は異なるため、自らの強みや特色に応じた体制を構築することが求められる」というふうに書いてあって、前回のときもそのような意味の文章があったと思うので、それはそうだろう、と思っていましたが、各機関によって完全にばらばらではなくて、何らかのイノベーション創出に係るマネジメント人材の役割等については、統一的な考え方の整理はおそらくありうると思います。今回までのワーキング・グループでは、様々な課題等を各回のスピーカーの方々のお話を聞きながら出してきたというところまではいけていると思いますが、そのような統一的な考え方の整理までは、まだ切り込めていないと思います。
先ほどの16ページの研修にかかる箇所では、令和8年度からJSTが始めるというところで、まずは一義的にJSTというのは、それはそのとおりだと思いますが、その次の段落で、「一方で、JSTの研修は基礎的な知識に係る研修であり云々」とあって、ほかの団体の活用により、ということも書かれていることからすると、それはそのとおりだと思います。そうすると、マネジメント人材の研修は、「基礎的な知識に係る研修」だけではないので、JSTだけでここで挙げてきたマネジメント人材の研修全部の方針を検討するというのも難しいと思います。
今回ワーキング・グループではいろんな課題や業務の検討素材のところまでは行き、また、次の宿題として人事制度のガイドラインは明確に書かれていますが、人事制度等の「等」の中に、基礎的な部分だけではないマネジメント人材全体について内容のガイドラインも入っているのかと勝手に思っていました。このワーキング・グループで議論してきたこと全体を考えたときに、各機関がこういうような考え方で、各機関の体制だったり人事制度だったり業務だったりをやっていけばいい、といった中身のほうのガイドラインといったものが要ると思います。そうすると、JSTだけというよりは、この研究開発イノベーション創出に係るマネジメント業務、人材自体のガイドラインというのを、こういうワーキング・グループ形式であるかどうかはともかく、少なくとも国が関与する形でやっていく必要があると思っています。
まだ考えがまとまっていませんが、先ほどの稲垣委員の御発言から誘発されて感じた点として、この大きな宿題というのが実はあるのではと思った次第です。
【小泉主査】 ありがとうございます。
先ほどの議論とつながる部分ですけど、稲垣先生、何かありますか。
【稲垣主査代理】 きりがなく、すごく難しい問題だと思いますが、やはりある程度、義務教育でいう学習指導要領的な、少なくとも知っていてほしい知識というのはJSTの研修でカバーして、それぞれの特性に応じた要素は、各団体が実施するだろう個別研修やOJTで、うちの大学はここに力を入れたいから、そこの研修に行かせるといった対応ができるといいと思います。
そうしたときに、その学習指導要領的なものをどういう方針でつくっていくのかということは、JSTがきちんと考えて、それに基づいて基礎的な研修を設計するという形にできるといいのではないかと個人的には思っています。
【小泉主査】 結局、この議論をするときって、必ず、10年前になる東大とRU11が委託事業でつくったスキル標準が基になるじゃないですか。ただ、今回の議論をずっと通じて、スキル標準が必ずしも現在とマッチしていない部分もあるというのは明確で、学習指導要領がどんどん変わっていくように、スキル標準もある程度アップデートしていくべきという気はすごくします。
じゃ、そこをどこがやるのかというところで、文部科学省でやるのか、RU11なり委託事業でやるのか、また、JSTが研修をやるのであれば、JSTがやるのかというところ、誰が主体となってやるのかということは考える必要があると思います。ただ、いつまでも「東大のスキル標準が」という言葉が枕詞のようについているのは、せっかくこれだけ議論したのに、結局東大のスキル標準に戻って議論を始めるということになってしまい、時代に合っていないということが今、正城先生や稲垣先生が言った部分という気はしました。
でも、そういった全体像を見据えていかないと、アドホックで、あれこれも、となってしまい、それをまたJSTに全部やってと、いうのも無理な話ですので、この部分は知っておいてほしいという、本当に今の時代のスキル標準とは何だという議論は、どこかでしないといけないかもしれないですね。
【髙見人材政策推進室長】 いえいえ。どうしても一定のものをつくると、必ず古くなるという状況は起きるんですよね。東大のスキル標準というのが最初にURAの仕事について明確に示したものだから、10年経った今でもそこをベースとしながら、でも、こういう要素が加わってきたということでずっと議論してきているわけですけれども。じゃ、それが加わったものを今の時点で改めて策定したほうがいいかどうか。そこは、でも、ぜひ先生方の御意見次第なんだろうなと思いつつ、実質はやっぱりJSTの基礎的な研修という部分で担保していく、それをどんどん時代に合わせてアップデートしていくということで実を取れると思うので、そこをちゃんとやっていくことが大事かなというふうには考えるんですけれども。
【小泉主査】 ありがとうございます。研修の現場がJSTに移行するので、JSTでの議論というのは重要であるというのは、確かに今おっしゃるとおりだと思いました。
江端先生、どうぞ。
【東京工業大学 江端様】 ありがとうございます。
私はURAという立場で研究担当理事補佐として研究戦略および経営戦略の企画立案業務に従事していたので、スキル標準の件に関して、これが基準の全てだと言われてしまうと、新しい仕事に取り組もうとした際、周囲の反応がネガティブになる可能性があるかもしれないと感じる場面が多くありました。
特に、今回のワーキング・グループで議論されているように、URAの方々の認知度の話や、そのキャリアアップということを念頭に置いたときに、例えば、19ページにあるように、経営層に理解を深めていただくためには、経営に近いところで仕事をしていただくというのも必要かと思います。できる限り経営層の人たちにURAの活躍を認識してもらうことで、キャリアが定着していくということを考えると、見直しまではいかないまでも、スキル標準だけでなく、時代のニーズに合わせて新たな視点を盛り込んだものも必要になって来ているのではないかと考えております。
そういった意味で、今回のワーキング・グループでの議論は、研究開発マネジメントという位置づけでURAが捉えられるのであれば、今回の議論も参照していただきながら、より理解を深めていただけるようなストーリーができるといいと思いました。
【小泉主査】 鋭い御指摘をありがとうございます。
稲垣先生、何かありますか。
【稲垣主査代理】 そうですね。やはりスキル標準はとても大事で、あれがあったからここまで来たというのは事実だと思うので、それは大事にしつつ、やはり時代に応じて常にアップデートしていくことが今後は必要で、その体制構築は課題だと思います。
【小泉主査】 小長谷さん、JSTで実施するみたいな話があると。
【小長谷オブザーバー】 ごもっともだと思いまして、それぞれ伺ったのですが、JSTができることというのは、ここに書いていただいているように、やっぱり限定的なところもあるので、我々が必要なものというのを御提供していくというのはあると思いますが、それが現場のニーズとかそういうのと乖離しないようにしたいということは思いました。その観点で、おっしゃるように、足かせになるようなことがないようにすべきです。
そういう意味では、そのような固まったものをつくるのがいいのかどうかというところも含めて、どういう形でメニューというか、カリキュラムというか、そういうものを組み上げていくのがいいのかなという議論も併せて必要かもしれないということを感じたところです。
【小泉主査】 そうですね。ありがとうございます。
何かJSTが作って押しつけると言うと、現場との乖離が起こってしまうし、そういうものではなくということでしょうか。
【小長谷オブザーバー】 そうですね。我々も実際に研修をやらせていただいていますけれども、決して大学ではないので、その現場感が、離れてしまうのはよくないというところで、その辺がうまく連携できるような仕組みなどがあるとありがたいと思った次第です。
【小泉主査】 ぜひ、そういう議論を皆さんでまたできる機会があればいいと思っています。今回はそこまで至っていませんが、今皆さんおっしゃっていただいたように、東大のスキル標準を超えて、今、時代に即した部分で、こういう業務が必要だというのも出てきましたし、先ほど江端先生おっしゃったように、恐らく東大のスキル標準をつくったときは、あくまでも研究支援者という立場で書いてあったと思いますが、今はむしろマネジメント人材としての立場であるので、そういった観点でのスキル標準・必要なスキルというところも議論できればよいと思っています。そういったニュアンスをどこかに入れられれば良いと思います。
ほかにございますか。資料1に関する議論でもいいです。
桑田先生、お願いします。
【桑田委員】 桑田です。本当におまとめありがとうございます。文章のほうは本当にすばらしいまとめだと思います。
資料1のほうで、この図の関係者に求められる取組というところを見ていくと、文科省と大学・研究機関とマネジメント人材と技術職員それぞれが、これは矢羽根になって置いてあります。それぞれの人たちが主語になってやるように、おまとめいただいたと思います。
文科省のアクティビティとして、きちんと主語として宣言してくれていますが、例えば、大学等に、このまま課題になりますよと言って指摘をしたとしても、現状サスペンディドな状態にあるので誰かが背中を押したり、何かある種の方向づけをしたりしないと、意識の高い大学は変わっていくかもしれないけれど、日本全国で変わっていくかというと、そうはならない気がします。
例えば、先ほどすごくうれしかったのは、リスペクトという言葉も入れたほうがいいというご指摘があった、経営層の理解促進についても、URAみたいな人材は、研究者のパートナーであって、一緒にセットになってイノベーションを起こしていくものである、技術開発には、セットになっていくものであるというような話を入れていただいたとしても、果たして大学の経営層が理解をするまでに至るかというところが気にかかります。これは何か特別なメッセージや、特別なイベントや、特別な方向づけや、研修会といった何かがないと、多分、人の考えは変わらないと思っていて、ましてや、こういう課題がありますよと言われただけでは、ピンとこない経営層もいるかもしれない。また、例えば、JSTや外部団体の研修を使うように伝えたとしても、予算の関係で今年は見合わせです、というようなことが出てきてしまうのではないかとも思います。
このような停滞の恐れを一掃するために、支援するような考え方をどこかに何か書いておくとよいのではないかと思います。この図の矢羽根が、順次関連しているので、次の矢羽根の後押し支援の形になっていないと、変わりましょうというメッセージを出しているにもかかわらず、ずっとこのまま同じようなことが続くのではないかという気がしてならないです。
【小泉主査】 鋭い指摘をまたありがとうございます。
文科省、大学・研究機関、研究開発マネジメント人材、技術職員、それぞれの主語で書いてあると、結局、文科省がここのワーキング・グループで言える範囲って、実は主語として本当に言える範囲は、文科省の部分だけであって、ほかのところはある種他人任せになってしまいます。もう勝手にやって、となってしまう。そうすると、できないという言い訳もできてしまうというか、できないよということで終わってしまう。
できない、終わらせないためにも、どこかで何か仕掛けがということですよね。
【桑田委員】 それは欲しいですよね。ここまでメッセージとして強く思ったことを言っているので、みんなで取り組んでいきましょうよというのはとってもいいことです。しかし、気持ち的にはそういう気持ちだけど、実際には体が動かないと言われるようなことがすごく多い世界ですよね。
これの解決を、せっかくここまで議論された中で、何か片鱗でも入れておく、あるいは、継続して課題認識についての吸い上げの機構を文科省のほうで持つ、また、各研究機関と一緒に議論するとして、改善を目指していくとか、そういうようなアクティビティをどこかに用意しないと、多分もらった側は、「はい、そうですか」ってなってしまう。とってもいい人たちは、「はい、そうですね。頑張ります」と言うけど、パンパンに仕事している大学なんかだと、「ああ、そうですか」、と言って終わってしまうような気がしてなりません。
何かそういう仕組みが用意されるというところまでもし踏み込めるのであれば、あるいは、仕組みもこれから考えていきますみたいなことがメッセージの中に入れられれば、少し救われる気がしましたけれども、どうでしょうか。
【小泉主査】 ありがとうございます。
となく思ったのは、例えば、ガイドラインをつくるというのは、ある種飛び道具的なものとして、文科省から発信できるガイドラインをつくるというのは一つあるし、表彰制度も、その一つの手だと思います。
【桑田委員】 もちろん、そうです。
【小泉主査】 桑田先生がそういう飛び道具的なというか、文科省が言いっぱなしにしないというか、ガイドラインをつくったり、表彰したりということで、そういったものを大学・研究機関やそれぞれの人材が、自分事として取り組めるような仕掛けを作っていければということですよね。
【桑田委員】 そうですね。ただ、それだけではなくて、行き詰まり感をどれだけ吸い上げられるかということもあります。表彰制度もあって本当にありがたいとか、そういうことになってしまいますが、こんなスポットでやられても、結局、「でも上手くいかない」となってしまうところが多いような気がしてならないです。それは大学の努力が足りないと言われたらそれまでですが、ぜひ足並みそろえてみんなでやっていこうじゃないかって。ここまで機運をつくったなら、もう一声何かないかという議論ができればとは思いますが。
【小泉主査】 なるほど。そこも検討するということでもいいかもしれないということですね。
【桑田委員】 はい。まずは我々、研究機関と政策側との対話があって、さらに改善点をピックアップしていきながら策を立てていきますというような姿勢について、もう少し言っていくといったことも一つの手でしょうか。
【小泉主査】 おっしゃりたいことはすごくよく分かるとともに。
【桑田委員】 すみません、難しいですね。
【小泉主査】 いやいや。
何かありますか。
【髙見人材政策推進室長】 そんなに100%の回答は全然ないんですけれども。おっしゃっていただいたとおり、ガイドラインを策定していって、そこを、これもやったりつくったりというだけでは駄目と思うんですね。実際参照していただいて、なお、OJT研修とかも新しい仕組みとして何らかつくっていって、実際、大学に、ガイドラインに基づいたというか、ガイドラインでいろんなグッドプラクティスを紹介していくことになると思うので、そういうものも参照していただきながら、各大学独自の人事制度というものを構築していただくというようなことを、それこそ一緒になってというか、現場と一緒になって、我々も進めていきたいという思いがありますので、ガイドラインを使ってもらうための仕組みというものは、今後もう一押しというか、検討していく必要があるというのは思っておりますし、まだガイドラインもできていない段階から言うことでもないんですけれども、つくって終わりにはしないと。それを実際現場の人たちに使ってもらいやすいような仕組みが何かないかということは、併せて検討していきたいということですね。
だから、それをどこかに書けるようにしたいと思います。
【桑田委員】 ありがとうございます。すみません。
【髙見人材政策推進室長】 伴走で十分なのかという、結局、厳しいのは財政状況じゃないですか。大学・研究機関。
【桑田委員】 厳しいのは財政ですけど、この経営層の理解というのは、全く違った質のような気がしています。今日もリスペクトの話が出ていますが、この職に対する尊厳みたいなものに対する理解が全く足りないです。
何となく助けてくれる人とか、いわゆる支援者だという認識を持っていると思います。本文のほうに書いていただきましたが、研究というのが、最もコンペティターと闘うためのコアであって、それができていればまずはいいという考え方とちょっと違うという、時代はそういう時代ではなくなってきているということです。要するに、例えば商品は、商品のコア技術があればいいという話ではないですよね。包装だって、流通ルートだって、全部見ていかなければいけない。附帯機能というのが充実して初めて競争力を持つので、その附帯機能を担うようなものというのは何なのか。研究においてそれをやっているのは、研究開発マネジメント人材ですので、そこはペアじゃないと競争力持てませんよという考え方にシフトしてもらわないと多分いけないと思う。研究者がとても偉いという考え方になっていたら一歩も進めないということですね。そこの理解をもっと、考え方を変えてもらうということは一つ必要なのではないかと思います。
うまい言い回しがあればということを皆さんと共有したかったというところです。
【小泉主査】 やはり経営層に、研究開発マネジメント体制を整え、そして、そこに人材を配置するということの重要性というのを、大学の経営層そのものが理解しないとこの話ができないというか、回らないということですよね。
【桑田委員】 回らないですよね。まずそこですよね。
【小泉主査】 そこからスタートですよね。
【桑田委員】 そこからスタートです。
それから、研究者自身も、「私を助けてくれる人」ではなくて、「私と伴走してくれる人、パートナー」と思わないと、多分尊厳は保たれないです。いわゆるしもべであるから、やっといてというような、心のないような発想でのジョブオーダーになってしまうということで、価値を生み出すというアクティビティと全く違う作業をしているというアクティビティに陥ってしまいます。何でこの仕事に人が集まらないか、いろいろ高めようとしても、なかなか集まってこない、意識が上がっていかないというのは、その辺りが根源じゃないかと思っているわけです。
そこを今回あまり深く議論できていなかったような気がするので、今回せっかく入れていただいた頭のほうのところにやんわりと入れていただくのが、最初の一歩かなと思います。
【小泉主査】 いや、ありがとうございます。とても重要なポイントで、また相談します。
【桑田委員】 すみません、私も、そうさせてください。
【正城委員】 資料1で、最初1点だけ個別になってしまいますが、右の人材・技術職員の研究開発マネジメント人材の1ポツ目が、またやはり研究成果の創出になっているので、例えば、研究開発イノベーションか、科学技術イノベーションかいずれかの創出に向けた機関や研究者との協働という言い方のほうがいいと思っていました。
先ほどの関連するところに戻ると、一番下のこの部分に、文科省があって、大学・研究機関があって、最後、人材のところに矢印が向かっていて、何か後ろにどんどん投げられているようなイメージになるので、まず大学・研究機関と人材のところが二つお互い両方携え合えるような形で書いておいて、文科省が、その上か下か分かりませんけれども、その位置に記載し、大学やそれぞれの人材がやることをサポートするなり、制度化のように若干強制力が働く形の関与なり、2者とは別の位置に記載する構成にしたら印象が大分違うと思いました。内容としては、ここに書かれていることに加えて、先ほどの桑田委員の指摘を踏まえ、例えば啓発だったり、制度化だったりということを加えることを検討していただいたらと思います。
【小泉主査】 確かに、こう矢印だと、下に回していくみたいなイメージですものね。
【正城委員】 回されていく。
【小泉主査】 そこまで意識してつくられていないと思います。
ありがとうございます。
じゃ、ちょっと時間もあれなので、技術職員まで含めて議論を深めていきたいと思います。
最初に、野口先生、先ほど止めてしまった技術職員のところで何かございますか。
【野口委員】 構成上の観点だけですが、先ほど言いましたように、検討する意義というのは、私は、背景の次に押さえるぐらい重要な部分でもあると思っています。研究開発のマネジメント人材のところは、流れ的にそれが入っていますけれども、例えば、技術職員の29ページにあります確保の意義のところの1、2について、これはまさに検討する意義だと思っているので、先ほど言いました構成上の問題で、26ページの(2)の「技術職員とは」の前ぐらいに、この検討する意義というのを入れたほうが、流れ的には読みやすいし、把握しながら次へどのような展開を考えていくかということにつながるので、表現とともに、そちらのほうに入れたほうが良いと思いました。
また、全体の構成も私は非常にいいと思います。
以上です。
【小泉主査】 ありがとうございます。
29ページの8ポツ、確保の意義のところを、26ページの(2)より前のところにあったほうがいいのではないかという。今お聞きした流れでは、腑に落ちたところです。ありがとうございます。
せっかくですので、江端先生、中村先生も含めて、ぜひ御意見等いただければと思いますが、いかがでしょうか。
【東京工業大学 江端様】 先ほどのURA関係の研究開発マネジメント人材の話と全く一緒だと思いましたが、技術職員の方々にフォーカスをし、その方々の活躍の場を広げるという意味では、先ほどもお話しさせていただきましたが、経営層の理解増進というのは、同じく必要だと思っています。
桑田委員からも指摘があったように、そこをメッセージとして、最初の一枚物の資料1にしっかりと明記し、ワーキング・グループからのメッセージとして発信していただけると非常にありがたいと思います。
今までの議論を踏まえて、技術職員の全体像のストーリーについても、我々のコメント内容をしっかりと反映していただいていますし、先ほどの野口委員の御指摘もそのとおりだと思いますので、ぜひ、意義を明確にしていただくというのはお願いしたいと思います。
一方で、今回の資料では技術職員のみなさんの役割として、研究設備・機器の維持管理というのがかなり強く出ています。今回の議論では、技術職員というと、教育研究系の技術職員を取り扱うと定義をされているので、もう少し教育研究環境整備に従事するような表現にしていただけるといいと思います。
例えば、幾つかの大学の技術職員の定義を見ていると、教育研究支援業務における技術開発及び技術提供並びに学生の技術指導に係る業務といった形で規程に記載されています。
私は、今回の整理として、研究開発イノベーション創出に関わる人材のような位置づけであればこの話の流れとしてよかったと思いますが、技術職員の方々の仕事というのは、多岐にわたっているので、一枚物にまとめたものを技術職員のみなさんが見ると、一部の人たちのことしか言ってないというように捉えられる書きぶりになっているので、そこは教育研究支援業務など、幾つか書き方があると思うので、そのようにしていただけるとありがたいと思います。
技術職員の右上の緑の囲いもそうです。2ポツ目ですが、「研究企画力等を身につけることや」の次に、「研究設備・機器」というふうに書いてあるので、それを「教育研究環境」というように文言を変えていただくと、様々な業務で教育環境整備をしている技術職員の人たちまで含めた議論ということになり、今回の定義に当てはまる指摘になると思いました。
右下の青い囲いも同様にご検討をお願い致します。
最後になりますが、32ページ一番下の「なお」というところで、技術職員を一元化した組織をつくる組織改革と人事制度改革は、区別して議論していくことが必要であると書いてあって、これの意図をお伺いしたいと思います。
これで整理としてはいいと思いますが、一方で、これを一体として考えないと人事制度改革は机上の空論になってしまう懸念もあるので、どのように整理したら良いか、お考えをお聞かせいただければと思います。
【小泉主査】 髙見室長、お願いします。
【髙見人材政策推進室長】 すみません。前回の御議論の中で、一元化していくという業務といいますか、その仕事と、人事のほうは、むしろ規定をどのように書いていくのかみたいなことで、そこは、連動していくことは大事なんだけれども、一応別のものだから、区別して議論という言い方をされていたか、あれだったんですけれども、違うものだと認識して、それぞれ進めていくということでしょうか。というつもりで書いたんですが、ちょっと言葉足らずだったかもしれません。
【東京工業大学 江端様】 ありがとうございます。
恐らくこれも技術職員の方は非常に興味を持って見ると思いますので、見たときに、全然違う認識をワーキング・グループの皆さんや文科省の方々は持っているのかと思ったときに、技術職員に関する人事制度改革のガイドラインは作るけれども、組織のことについては誰が何をやってくれるのかという懸念は残ってしまうと思いました。
やはり組織改革の視点も、先ほどの議論と同様に、経営層がいかに意識するかという点とリンクするところだと思いますので、経営層に訴えていくというところで重要なのですが、本議論においては人事制度改革に集中して議論し、それを踏まえて別途組織改革について議論をするということで、ここに付け加えなくてもいいかもしれないと改めて今思いました。
ありがとうございます。
【小泉主査】 江端先生、ありがとうございます。
その辺ちょっと含めて御検討ください。お願いします。
中村先生、お願いします。
【自然科学研究機構 中村様】 まずお礼ですけれども、この資料2-1にすごく織り込んでいただいて、とても感謝いたします。それから、分子研の技術推進部長もこれを傍聴していまして、こういう機会をもらえたのは非常にありがたいです。それから、資料1の下に書いてありますけど、人事制度のガイドラインを策定というところですが、これだけでは駄目だという議論がありました。我々としては、これはとてもありがたいことで、ぜひ進めていただきたいということで、これは非常に感謝しております。ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
それで、このペーパー1の上のまとめ、メッセージですが、1番が多分大学の現状で、2番がURAと技術職員の今の立ち位置で、3番が改善していくとこういうことがいい、というステートメントになっていると思います。
この2番目の段落についてはもう少し強く言ってもいいかと思っています。本当にマネジメント業務に関わる人材が必要不可欠であるという、文言だけの話ですけど、本当に必要な人材で、これらの人たちを支援というか、本当にちゃんとしたところに置くということが研究開発にマストであるという感じに、少し強めていただいてもいいと思いました。
あとは、もう非常にきちんとまとめていただいているので、ありがたく思っています。
一つ、前のURAのところに少し戻っていいですか。
【小泉主査】 はい、もちろん。
【自然科学研究機構 中村様】 URAのところで、東北大学のほうで認定URAを博士の学位と同等にみなすというのは、サラリーというのはとても重要なことですので、これはとてもいい資格だなと思うのと同時に、URAの資格というのは私が取れるのかと見てみたら、さっきのスキルの話ですけど、とても難しいなとも同時に思いました。また一方で、今、うちに限らず、URAで学位持ちもいます。URAが学位を持ったときに、こういう制度をもっとやれと思いますが、このURA認定制度とは何だ、ということにもなると思うので、ちゃんとしたオーソライズは必要という気も同時にして、URAの立場を育てていくにも、ちゃんとした認定のオーソライズというのを長い目でやっていただけたほうがいいと思いました。
以上になります。
【小泉主査】 ありがとうございます。
まずは、資料1のところは、確かに先ほど来、桑田先生もおっしゃっていたように、経営層がちゃんと認識するというところも含めて、今、ちゃんと人材を配置しないと駄目だ、というところを少し強く言うというのは、そのとおりだと思いました。また、まずは経営層がちゃんと認識すべきであるというところは桑田先生の議論と一緒だと思ったところです。
認定制度の必要性というところは、今議論があったところで、今回もずっと議論してきたところですが、稲垣先生、何かありますか。
【稲垣主査代理】 まだ周知が不十分ということだろうと思って聞いていましたが、一応オーソライズに関しては、URAの関係団体と言われている団体が、きちんと検討の段階から協働して設計して、審査に関しても、その団体の中から審査委員を推薦していただくといった流れで、どこかの特定の大学とかに偏った審査が行われているわけではなく、全国統一の観点で審査されています。
【自然科学研究機構 中村様】 その点についてもある程度理解はしていますが、すごく失礼な言い方ですけど、どこから付与されるのかって気にしないのだろうかと思ったところです。
【稲垣主査代理】 さっきの話に戻りますが、そういうこともあるので、認定に関しては、公的なところがやるべきだという議論がありました。
【自然科学研究機構 中村様】 そこに戻る話ですか。
【稲垣主査代理】 そういうことです。
【小泉主査】 ありがとうございます。
僕、気づいたことがあり、実は先ほど江端先生から御指摘があったように、技術職員の職務というところに、研究設備・機器の維持管理、高度な技術的支援を伴う等、書かれています。先ほど江端先生からは、教育研究環境整備みたいなところを加えるべきだというお話をいただいたと思いますし、経営にも関わっていくという話もあると思います。しかし、ここに開発を書かなくてよいのでしょうか。技術職員が、積極的に自ら開発をしていくという要素というのが、確かに本文中も資料1にも開発という言葉が出てきていないということを、今気づきました。
江端先生、何かありますか。
【東京工業大学 江端様】 ありがとうございます。
それはまさにホットな話題で、技術職員の方々の高度化という部分に包含される議論かなと思っています。
どこかに書いていただきましたけど、民間企業との共同研究というような、分析機器メーカーと協働して技術開発を行っていく。それを技術職員が担うべきと考えられている理由は、研究者がそういった開発をやっていくと、論文の生産性が低下するという話があります。機器開発には非常に時間かかるため、論文一本書くのに1年、2年はかかりますし、アプリケーションも必要なのでインパクトのある論文にはすぐにはつながらず、論文の量や質の向上にも貢献できない研究者、といった位置づけになってしまうのが現状です。研究者としての成果がスピーディにあげられないテーマであることから、次のキャリアアップということも考えられないので、研究機器・設備の技術開発というのは、高度な技術・知識を持った技術職員の方がメーカーからも求められており、技術職員の新たなミッションとして位置付けやっていただくことで、我が国の研究開発・イノベーション力の向上を狙うというのも一つのやり方かと思います。
そういった意味で、今回ご紹介させていただきましたTC制度も含めて、研究力強化に資する高度な技術職員の方々の新しいミッション、業務として位置づけるという議論は、文部科学省の研究開発基盤部会でまさに今議論しているところです。今回のワーキング・グループの名称から、開発というワードも大変重要だと思いますので、新しい方向性として、ここでも言及していただけると、技術職員の方々もさらに前向きに業務を行うことができると思います。技術職員の新たな方向性が出てくると、本来の趣旨に沿った、研究者が研究時間をしっかり確保することができ、本来やるべき研究をしっかりとできるようになる、といった流れにもつながってくると思いますので、小泉先生御指摘の視点は、大変重要だと思います。
【小泉主査】 ありがとうございます。稲垣先生お願いします。
【稲垣主査代理】 今の話にも関連しますが、やっぱりこういう技術職員の人がいないと、国際競争力のある研究にも関与できなくなるみたいなニュアンスのことをどこかで触れたほうがいいと思います。単にサポートとか環境維持だけではなくて、国際的な競争力のある研究にタッチしていく上でも、こういう人たちがいないと駄目です、という要素もどこかに入れた方がいいと思います。
【小泉主査】 そうですね。最先端を張れないということですね。
【稲垣主査代理】 そうです。その時点で負けちゃいますからね。
【小泉主査】 研究開発も含めて、やっぱりそこが最先端を担うためにも、国際競争力のためにも必要な人材であるという書き方ということですね。
【稲垣主査代理】 どこに書くのがいいか、ちょっと分からないですけど。
【小泉主査】 そうですね。僕もどこに書くのがいいのかよく分からないから、そのまま髙見さんにお願いしようかと思います。
【稲垣主査代理】 3ページとかに併せて書くのがいいのか、技術職員のところにも、必要性みたいなのを設けて、そこに。
【小泉主査】 そうですね。だから、今8ポツを前に持ってくるという話があったじゃないですか。技術職員の意義みたいなところに、今の話を入れるのはいかがでしょうか。
【東京工業大学 江端様】 そうですね。そこだと思います。
【髙見人材政策推進室長】 研究設備・機器の開発ということでよろしいですか。
【小泉主査】 研究設備・機器のみならず、技術開発も入れていただければよいかと。
【髙見人材政策推進室長】 技術開発。なるほど。
【小泉主査】 設備開発もそうだし、新規設備及び技術の開発みたいな感じですかね。
【髙見人材政策推進室長】 なるほど。
【稲垣主査代理】 設備というのがいいですか。装置とか機器の開発というのがいいですか。
【自然科学研究機構 中村様】 装置だけでなくて、例えば、計算とかもあるし、ほかのサポートもあります。
【小泉主査】 アルゴリズム的なものもありますね。
【自然科学研究機構 中村様】 はい。設備以外にも、いろいろなサポートがあります。
【東京工業大学 江端様】 研究開発のままで良いのではないでしょうか。
【自然科学研究機構 中村様】 それでいいと思います。
【東京工業大学 江端様】 稲垣先生の御指摘も非常に重要で、大学における研究は、一部の研究者だけで頑張るのではなく、大学全体として、より世界トップクラスの研究開発を実施していくためにどのような環境を整えるべきかという視点で皆さん考えています。最初からミッションとして明記されていたわけではないと思いますが、日々の業務として技術職員の方々もそこに巻き込まれて研究者、事務職員等と一緒に業務をこなしていくうちに、高度なスキルだけでなく自然と国際的な環境に順応できる英語力等が身についています。海外に技術職員の方が自ら行き、技術研鑽や新たにミッションとなった研究開発をやってくる方々もいるので、そういう方々の活動をより後押ししていただくためにも、国際的な研究開発にも関わるという意義についても追記していただければ良いと思いました。
ありがとうございます。
【小泉主査】 ありがとうございます。
【杉原委員】 よろしいですか。
【小泉主査】 杉原先生、お願いします。
【杉原委員】 せっかくなので、全く違う視点でお話しさせていただきます。
【小泉主査】 お願いします。
【杉原委員】 科学技術イノベーションを支えるこういった人材ですけれども、もちろん文科省さんの中でしっかり盛り立てていただくのは重要ですが、他省庁も含めて、やはりこういった人材をしっかり認識していただきたいと思います。
少し我々も困っている事例を申し上げますと、今、研究者は裁量労働制が敷かれていますけれども、現状の裁量労働制の基準を見ると、伴走支援する人材は、実際には裁量労働対象として読めないと解釈されるケースがあります。そうすると研究者は裁量労働で動いていますけれども、伴走者は固定時間制といった形で、勤務体系が全く合わないとか、いろんなところで伴走支援人材の在り方自体がまだ認識されていないため、実運用上、研究開発以外の大学の人事面、その他いろんなルールが実はかみ合っていないところがあります。こういう人材が今後活躍するためにも、例えば、研究者と伴走させるのであれば、まさに裁量労働、あるいは、それに近い仕組みを導入していただくとか、表立って見えない部分も、ぜひ多省庁で、いろんな連携がある中で、改善していただく必要があると思っています。
ここで記載すべきかどうか分かりませんけれども、もしこういった課題を少し広げて考えるのであれば、ぜひ、そういう視点も入れていただければと思います。
【小泉主査】 ありがとうございます。
昔URAでもありました。だから、裁量労働でURAを雇おうとしたら、労働基準監督署が、URAは専門人材じゃないから、そんな裁量労働制駄目だと言ってきたとか、そういう例もありました。裁量労働制で雇って働いてもらわないと、柔軟な研究環境に合わないと言っても、駄目だと、どこかの県のどこかの労働基準監督署が言ってきたという話がありました。こんな話、私、大っぴらに言っていいのかな。
【杉原委員】 今も厳密に解釈されたケースの多くは、そのとおりです。だから、研究者を伴走支援することが、実は全く論点が違う労基署の基準でできないというところがありますので、その辺りは、いろんな省庁との連携で、ぜひ調整いただければと思います。【小泉主査】 ありがとうございます。
委員の先生方、ほかにございますか。
正城先生。
【正城委員】 15ページの終わりから16ページにかけて、ワーキング・グループにおいてヒアリングしてきた研究セキュリティ/インテグリティ、ELSI、それから、オープンアクセス/オープンサイエンスというところに続きがあって、ここも入れていく必要があるだろうということが書かれています。ファンドレイズとかは報告書の中に一つ例として参考に出していただきましたが、それ以外の項目も、WGでおっしゃっていただいたエッセンスをちょっと入れたらどうかと思いました。
例えば、オープンアクセスであれば、研究情報の速やかな提供というようなお話もありましたし、ELSIでいくと、社会とか多様なステークホルダーに対してのいろんなコミュニケーションという視点もあると思いますし、研究インテグリティでいくと、研究に関する自律的な透明化がやはり社会に対して重要だというようなお話もあったかと思います。何か一言ずつでも、そういった指摘があり、検討が必要であるみたいな、項目だけではなくて、ワーキング・グループで得られた情報を入れていただいたらと思いました。
【小泉主査】 ありがとうございます。
ヒアリングしたところの一言を追記していくということですね。
【正城委員】 はい。
【小泉主査】 ありがとうございます。
文章的には。
【髙見人材政策推進室長】 はい。
【小泉主査】 よろしくお願いします。
ほかにいかがでしょうか。全体を通じてでもいいですし、さらに資料1のパワーポイント一枚物のほうでも構いません。また、今後のことということでも、あと残りの時間、今後どういったところが課題になるかというところも含めて、御指摘をいただければと思います。
髙見室長、お願いします。
【髙見人材政策推進室長】 恐縮です。少し前の議論に戻るんですけれども、技術職員の業務として、技術開発なのか、研究開発なのかというのを入れていくというところの話の関連なんですけれども。
資料1の一番右下のところ、研究開発マネジメント人材・技術職員というところで、こちら、いずれも研究者との協働による、優れた研究成果の創出、つまり、これは研究者だけに任せるのではなく、共に創出するのであるということで書いたつもりではあったんですけれど、ここのニュアンスと先ほどの開発というところは違うという理解になりますでしょうか。ちょっとそこを正確に理解したいというところなんですけれども。
【小泉主査】 まず江端先生。
【東京工業大学 江端様】 私としては、全く同じだと思っています。どういう研究なのかという話にもよりますし、研究という大きなカテゴリーの中で、技術開発や研究開発など幾つかのカテゴリーがあるという意味なので、研究成果の創出は全て含むというふうに理解しています。
【髙見人材政策推進室長】 なるほど。
【小泉主査】 中村先生、何かありますか。
【自然科学研究機構 中村様】 技術職員の待遇にも関わりますが、きちんと業務が実はあんまり定義されていないというのが問題で、昔の学校教育法で縛られているというか、それ以外にあまりないというのが問題ですけど、ペーパーの1のここに書いてあるのは、実態を表しているので、ここを書いていただくのは非常にありがたいと思いますし、少し長い話ですけど、文言でこういうことをやっているというのをちゃんと、法律でできればいいと思いますが、それはそう簡単にいかないので、まずはこういうところにおまとめいただけるのでありがたいと思っています。
【髙見人材政策推進室長】 分かりました。
【小泉主査】 髙見室長、よろしいですか。
【髙見人材政策推進室長】 そうしますと、資料1はこのままでよくて、先ほどの結論のように、本体のほうの技術職員を確保する意義のところに、少しその要素をしっかりと書くということで、そうさせていただきます。
【小泉主査】 あと、僕のほうから、25ページの技術職員のところで、2段落目で、大学共同利用機関法人に触れていただいたところ、もうちょっと考えてもいいですか。
【髙見人材政策推進室長】 もちろんです。お願いいたします。
【小泉主査】 大学共同利用機関法人の中村先生と相談します。
【髙見人材政策推進室長】 できれば、エビデンスベースのほうが。
【小泉主査】 そうですね。エビデンスベースで進めていければいいと思います。
【自然科学研究機構 中村様】 ちょっといいように書かれ過ぎている感はあるという気はします。
【小泉主査】 ここだけ、別段落にしていただいて、どこかへ入れ込めればと思います。
【自然科学研究機構 中村様】 ここですね。いや、大ざっぱには合っていますけれど。
【小泉主査】 中村先生、こちらについては相談させてください。
【自然科学研究機構 中村様】 はい。文言をソフトにすればいいと思います。
【小泉主査】 ぜひ。逆に言えば、大学共同利用機関法人って、国立天文台をはじめ、もう研究開発を積極的にやっているので、開発と言えば彼らというイメージがある。彼らがいないと、先ほど稲垣先生が言った最先端の研究はできない、最先端の研究機器は彼らがつくっている。
【自然科学研究機構 中村様】 おっしゃるとおりで、大学共同利用機関法人がないと絶対できないです。
【小泉主査】 そうですよね。知らないうちに民間企業よりも技術が高まっていることもあります。
【自然科学研究機構 中村様】 FIドライバーが自分でメカニックできるわけないのと同じぐらいの感じです。
【小泉主査】 確かに。
【自然科学研究機構 中村様】 走る人と整備する人は、完全にもうプロとプロじゃないと無理なので、まさに今そういう現状ですね。
【小泉主査】 大学共同利用機関法人は、その辺をうまく書き込めればいいと思ったところです。
【東京工業大学 江端様】 そうですよね。だから、大学共同利用機関法人と大学にいる技術職員の人の立ち位置は大分違うと思っています。最先端のことに常に携わっているという意味では、大学共同利用機関法人のほうが、そこにしかないような大型で最先端の設備・機器みたいなものも結構あるので、それに特化した専門の技術者が育ち、その人にあったキャリアを考える、という議論が先行して進んでいたというのもあります。
大学は、そういうものにひもづいていない部分が多々あったので、そこは少し大学共同利用機関法人の話と比べて異なった議論がされてきたという部分もあると思いますし、このポストの話というのも、どちらが必要かとなったときに、大学側が教員に振り替えるようなことが進んでしまったということは、歴史的にあったかと思います。
【小泉主査】 ありがとうございます。
【自然科学研究機構 中村様】 でも、大学も、世界トップを走るためには、同じような環境になる必要があります。
【東京工業大学 江端様】 おっしゃるとおりで、そこは明確になっていなかった部分もあります。国立大学等における技術職員の業務の多様性には注意が必要ですが、ここ数年で、経営改革云々の話と、国際卓越と地域中核研究大学等の大学改革がフォーカスされてきた部分もあり、やはりそういった意識改革は必要だろうというところです。
このように数字で具体的にしていただけると、大学が置かれている状況が非常によく分かる。この点について記載していただいたのはすごくよかったと思っています。ありがとうございます。
【小泉主査】 エビデンスベースで。
【東京工業大学 江端様】 はい。
【自然科学研究機構 中村様】 あと、すみません、ちょっと数字を覚えていませんが、よく出る指標で、海外と日本との教員と技術職員のレシオというのは全然違います。もちろんドイツとかはマイスター制度があったからというのもありますが、やっぱり数字は少ないので、先ほど提言で国際的という話もありましたので、国際競争力を保つというか、世界を超えていくというのであれば、その必要性も載せてもいいと思っています。数字がすぐ出てこないですけど。
【小泉主査】 もし何か資料、こういうのがあるというのがあれば教えてください。
【自然科学研究機構 中村様】 すぐは出ないけど、みんなが使っているデータです。
【東京工業大学 江端様】 内閣府や文科省の審議会等でよく使われているデータがあると思います。
【小泉主査】 ぜひ教えていただければ。
【東京工業大学 江端様】 それは共有します、もちろん。
【小泉主査】 ありがとうございます。
野口先生、よろしくお願いします。
【野口委員】 資料2-1の33ページの、最後の「おわりに」のところで、下から4行目、「文部科学省の取組は今後も継続されます」とあります。文科省の取組は今後も継続、これ、何の取組かというのは読めば分かりますが、最後の締めのところでもあるので、例えば、文部科学省の本報告書内容の実現に向けた取組とか、取組の前に少しやる気感を出したような表現を入れたほうが、最後は締まるのではないかと思いましたので、提案させてもらいました。実現に向けたというのは、私は非常にインパクトあるのではないのかなと思いました。
以上です。
【小泉主査】 ありがとうございます。
そのとおりにさせていただきます。
ほかに、全体を通じてでもいいですし、ワーキング・グループはこれで9回目となりましたので、このワーキング・グループ全体を通じてでも構いません、または、今後への期待というところで、何かございますか。
【稲垣主査代理】 先ほどの中村先生のF1の例えと、小長谷先生の商品開発の例えとか、すごく分かりやすかったと思います。やはり研究者に対して、こういう周辺人材の重要性とかを伝えて、執行部も含めてですけど、そういうときに、何かそういう具体的な例を示してアピールしていくことが、今後大事だと思います。
感想ですけれども。
【小泉主査】 資料1を出すときに、そういうさっきのポンチ絵的にF1の例とか、そういう絵を示していくということですね。
【稲垣主査代理】 F1がいいかは分かりませんけど。でも、確かにそうですよね。ドライバーが優れていても、メカニックが一流じゃなければ話にならないですよね。
【小泉主査】 話にならないという、そのとおりですよね。
【稲垣主査代理】 一般の人たちにも分かりやすい。
【小泉主査】 分かりやすいですよね。
まさにそうですよね。得てして、ドライバーが優れていれば勝つだろうみたいなふうに思ってしまうけれど、そうではないということですよね。
【髙見人材政策推進室長】 説明の中で触れさせていただきます。
【稲垣主査代理】 いかにいいものをつくっても、パッケージングがいまいちだったら売れませんといった表現は、まさにそのとおりですよね。
【小泉主査】 まさにそうですよね。確かにそのとおりだと思います。
桑田先生。
【桑田委員】 全然違うことで、確認をさせていただきたいのですが、何回か前にここに呼ばれたときに、ベンチャーの伴走する人たちの話というのをした覚えがあります。
【髙見人材政策推進室長】 そうです。
【桑田委員】 ここの場ですよね。実は、具体的に入っていないと認識していますが、まずそれで合っていますか。
ベンチャーの話をさせていただいて、確かにURAのような人、名前はURAという言い方で雇用していますが、働きぶりの自由さというのは、この間も少し議論しましたが、ここには出てこない、マネジメント人材とは少し違う、イネーブラーのような特殊な動き方をします。あたかもURA人材のような言いぶりにしたのですが、ここの規程の中に押し込めると、彼らはかえって動きづらくなるというのを申し添えるのを忘れたと思っていました。もちろん、ファンドレイザーとか、そういう方たちの教育の場もあるので、育成の場に関する記述は、見て頂きたいですが。VCで働いて、ベンチャー育成していくような人、外の世界に売り出していくような人は、実は額も高額給与での雇用になりますし、全然違うスキルになるのと、活動のネットワークが全然違うような動き方をしています。お金のもうけ方や、起業するという視点は、研究開発とはまた全然違うセンスで見ているので、今回のマネジメント人材の枠には収まらないと実は思っていたことを、言い忘れたような気がしていました。今さらで申し訳ありません。
これを読んだときに、入っていないことを確認したのですが、もしベンチャー育成の人材も入れているつもりであると、はみ出たところをさらに追加していかなければならないと思っているのと、ガイドラインができたときに、対象の人材を枠内に収めようとした瞬間に、かえって対象の人材から窮屈になるということを言われそうな気がします。
今回、確認事項として、ベンチャー対応しているようなメンバーというのは、基本的にはURAの振る舞いとしてのベースがありますが、それ以外のベンチャー独特の動きについては、この規程の中には入れないという理解でいいですかということを、ここで整合を取っておきたいのですが、いかがでしょうか。
【髙見人材政策推進室長】 ありがとうございます。
桑田先生からの資料の中で、特に、こちらの図にある研究力強化とか、財務基盤強化、この2つの貢献する人材なんだというような整理ですとか、研究の価値化、研究戦略立案、知の収益、投資管理、こういった価値を生み出す人たちなんだというような文脈で書かせていただいていて、前半のベンチャー支援というところに関しては、機能の一つとして、スタートアップ支援ということで書いているんですけれども、そこを深掘りして、例えば、こんな業務やこんな業務みたいなところの書き下しは今していないところです。
【桑田委員】 ここでの合意として、そこのところは少し特殊性があるので、一回皆様とともに置いておいていただけると、私としてはありがたいです。もっと議論を深くやらないと、あの人たちのいわゆる働きぶりとは少し違うということです。
【髙見人材政策推進室長】 すみません、認識をしていなかったので、大変ありがとうございます。
【桑田委員】 いえ、私は、それでよかったです。
【髙見人材政策推進室長】 なるほど。決して現場で活躍している皆さんを苦しめる意図でガイドラインをつくる趣旨は毛頭ないので、助けになればというつもりではありますので、そこに含めないほうがいいということなんですね。スタートの支援としては。
【桑田委員】 そこのベンチャーのアクティビティについては、細かく標準になるとか、そういうことにはならないと思っているところがあるので、それを明言するまでも議論もしていなかったと思いますし、ここでの扱いとしては、いろんなことをやる人がいるというところの一つはあるのも事実だけれども、そこの働きぶりをガイドラインの中で扱うというのは、次の課題にさせていただけると、私の事情としては大変うれしいです。
ほかにもやっていらっしゃる大学はあるのですが、どうでしょうかというのが、ここで整合を取っておきたいなというところです。
【小泉主査】 ありがとうございます。
でも、確かに、これで縛るつもりでつくるわけではありません。だから、自由にやりやすいように、また、サポートするようなという意味でガイドラインのほうもつくっていくと思います。
同じような議論は、多分ベンチャー支援もそうですし、例えば、今後必要な人材として、データサイエンティストとかもあると思いますが、多分、ガチガチにガイドラインで縛るという考え方ではないということですよね。
【桑田委員】 そのように記録に残っていれば大丈夫だと思います。本当にありがとうございます。
【小泉主査】 ありがとうございます。
ほかにございますか。高木先生、お願いします。
【高木委員】 高木でございます。
今までこの文章について御議論いただいて、全体として非常によくまとまっていると思います。今後ガイドラインを策定されるということですが、ガイドラインの運用は、一般に難しい点もあるので工夫も必要だと思います。
先程、研究者による研究開発マネジメント人材、技術職員へのリスペクト、あるいは相互リスペクトという話を申し上げました。大学の経営者が重要性を認識して、このような人材を配置することは、いわば合理的な経営判断です。
その一方で、マインドセットの問題が、大学の経営者や現場の研究者に多少あると思います。マインドセットを変えるには、時間がかかります。その意味で、ガイドラインをいかに有効に働かせるかが重要だと思います。
一つは、今も議論がありましたが、あまり縛ることはよくないと思いますが、反対に、マインドセットを変えるという視点では、ある程度ガイドラインで大学の評価までつなげるという面もあっていいと思います。
産学官連携による共同研究強化のためのガイドラインの策定に参画させていただきましたが、これは大学の評価にもつなげるということにしています。今後策定されるガイドラインも、中途半端な形で評価に結びつけることは避けなければなりませんが、評価に結びつける部分と、逆に自主性を重視する部分を、なるべく明示的に分けて策定されるのがよろしいと思います。
少なくとも大学改革、マインドセットの変革には時間がかかりますので、今回の取組がその一助になれば大変すばらしいと思います。また、そうしていかなければいけないと思っております。
以上でございます。
【小泉主査】 ありがとうございます。
まさにガイドラインという形だけではなくて、意識変容を起こしていく、それをどう促していくかという部分で、とても重要な議論だと思います。ありがとうございます。
江端先生、どうぞ。
【東京工業大学 江端様】 ガイドラインのお話が出たので、それについて、文部科学省の皆さんにお願いです。
私も研究設備・機器の共用ガイドラインをまとめた検討会の主査を仰せつかっていたのですが、そのときに、担当部署であった研究環境課の皆さんや大学研究基盤整備課の皆さんに御配慮いただいて、国立大学法人支援課や私学部等を含め多くの関係者の皆様にご参加いただけたことで、局をまたぐような形でこのガイドラインが広がり、文科省全体に共有することができました。それによって時間はかかりましたが、結果として大学にも浸透してきているところです。現在はそのガイドラインをベースに研究基盤共用のあり方、それに関わる技術職員を含めたステークホルダーのあり方について各大学で検討いただいています。
今回2つのガイドラインを策定するという意味では、そこに関わる文科省の各部署の皆さんに、オブザーバーでもいいので、最初からご参加いただいて開催していただけると、より大学等にも浸透しやすく、意識していただけるような意義のあるガイドラインになると思います。ぜひ、そこは局をまたいで、関係する部署、特に大学のほうで言いますと、法人支援課をはじめとした高等教育局の皆さんに関わっていただくというところも含めて、ぜひ御調整いただけるとありがたいと思います。
よろしくお願いします。
【小泉主査】 重要ですね。いろんな人を巻き込んでいくというか、いろんなところを横断的に議論していくという必要性というのはすごく重要だと思います。
そういう意味で、一つ思いつきのように提案があります。せっかくこの課題の整理と今後の在り方ができた暁に、今まで議論してきた、もちろんかなり多数の方にワーキング・グループを傍聴していただいていますが、現場のURA等から御意見を聞く機会というのがなかったので、もう本当に多様な意見が出てくるとは思いますが、今後の在り方ができた暁には、例えばそういうシンポジウムみたいなものもやって、ディスカッションする機会もあってもいいと思いました。
【稲垣主査代理】 でも、ガイドラインを実効性のあるものにしていただくためにも、理解促進の観点でもいいと思います。
【小泉主査】 ですよね。
【髙見人材政策推進室長】 予定されているものも、もう既に幾つかあると思うので、そこの中に少し入れさせていただきます。
【小泉主査】 分かりました。ぜひ。
皆さんに知っていただくという機会を、いろんなチャンネルを通じてできればと思います。
【髙見人材政策推進室長】 ちなみに申しますと、研究担当理事の皆様に対して御説明をできる機会というのが、文科省のほうで年に1回か2回かありまして、そういう場でも、ぜひこれは説明をしていきたいなと思っております。まさに経営層に直接的に働きかけるというところで。
【小泉主査】 そうですね。
【髙見人材政策推進室長】 それは一例ですけれども、あらゆる機会で説明はしていきたいと思っております。
【小泉主査】 ぜひ、よろしくお願いします。呼んでいただければ、どこにでも行きます。よろしくお願いします。
ほかにございますか。もう最後になってしまうところもあるので。全体を通じてでもいいですし。
少し今日いただいた御意見をもとに、今お配りしているペーパーで終わりというわけではなくて、アップデートはしなければいけないというのを感じているところですが、最後まだここは一言言っておきたいみたいなのがあれば、いかがでしょうか。
よろしいですか。
本当に委員の先生方には、9回にわたりまして御意見等いただきまして、本当にありがとうございました。また、前回、今回と、江端先生、中村先生、御発表も含めると、3回来ていただいて、本当にありがとうございます。技術以外のところの議論が深まったと思っております。
基本的には、本日委員の皆様にいただいた御意見をもとに、事務局において報告書に反映する作業を行っていこうと考えておりますが、最終的には事務局と座長の私のほうで、稲垣先生とも御相談しながら決まると思います。私のほうで責任を持ってまとめさせていただきますので、ぜひ御理解いただければと思います。よろしいでしょうか。
すみません、ありがとうございます。
それでは、最後に、事務局より事務連絡をお願いいたします。
【大場人材政策推進室長補佐】 まとまった報告書でございますが、その後は、6月24日開催の人材委員会にて提出することとなっております。
また、本日の会議の議事録につきまして、作成次第、委員の皆様にお目通しいただき、主査に確認いただいた後、文部科学省のホームページを通じて公表させていただきます。
以上でございます。
【小泉主査】 ありがとうございます。
本当に9回にわたって、先生方、どうもありがとうございました。
それでは、本日はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
科学技術・学術政策局人材政策課 人材政策推進室