人材委員会 研究開発イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材に係るワーキング・グループ(第8回)議事録

1.日時

令和6年6月5日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省15F局1会議室及び Web 会議(ZOOM)

3.議題

  1. 研究開発イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材に関する課題の整理と今後の在り方(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

 小泉委員、稲垣委員、桑田委員、重田委員、杉原委員、野口委員、正城委員

 

文部科学省

 生田人材政策課長、髙見人材政策推進室長

5.議事録

科学技術・学術審議会 人材委員会 研究開発イノベーションの創出に関わる
マネジメント業務・人材に係るワーキング・グループ(第8回)

 

令和6年6月5日

 

 
【小泉主査】  では、定刻となりましたので、只今から科学技術・学術審議会人材委員会研究開発イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材に係るワーキング・グループの第8回を開催いたします。本日の会議は冒頭より傍聴者に公開しておりますので、よろしくお願いいたします。
 本日は、7名の委員に御出席いただいております。定足数を満たしておりますので、ワーキング・グループを開催したいと思います。
 また本日は、ヒアリングにも御参加いただきましたお二人の方をお呼びしております。科学技術・学術審議会人材委員会研究開発イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材に係るワーキング・グループの設置について4ポツ(3)に基づきまして、国立大学法人東京工業大学総括理事・副学長特別補佐、企画本部戦略的経営室教授の江端新吾様、及び大学共同利用機関法人自然科学研究機構分子科学研究所特任部長(研究戦略担当)、中村敏和先生のお二人に御同席いただいております。江端先生、中村先生、どうぞよろしくお願いいたします。
 お二人には、特に技術人材に関しまして、ヒアリングのときにもお世話になりました。その流れで、今日は特に技術人材も含めた取りまとめの議論をしますので、ぜひ忌憚なき御意見をいただければと思っております。委員の先生方におかれましては御承知おきいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入る前に、まず、本日の委員会の開催に当たり、事務局から注意事項と資料確認をお願いいたします。
【大場人材政策推進室長補佐】  本日の会議は、対面とオンラインのハイブリッドの開催となります。対面での御出席の委員は、御発言の際には挙手をお願いします。オンライン御出席の稲垣先生、野口先生におかれましては、挙手機能により挙手ボタンを押していただき、主査より指名を受けましたら、お名前をおっしゃっていただいた上で御発言いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 機器の不具合等がございましたら、対面で御出席の委員は、会場の事務局にお声がけください。オンラインで御出席の委員は、マニュアルに記載の事務局連絡先へ御連絡ください。
 資料につきましては、ZOOM上での共有も行いますが、会場にはお配りしておりますので、各自お手元で資料を御覧いただければと思います。
 それでは、資料を確認させていただきます。事前に送付しました資料としまして、議事次第、資料1-1、1-2、資料2、参考資料としまして1から4までございます。議事進行の過程で不備等がございましたら、事務局までお知らせ願います。
 以上でございます。
【小泉主査】  どうもありがとうございました。では、資料等不備がありましたら、途中でも御発言いただければと思います。
 それでは早速ですが、今日は論点整理の2回目というところでお話をできればと思っています。まず、議題1としまして、研究開発イノベーションの創出に関わるマネジメント業務・人材に関する課題の整理と今後の在り方について、論点整理とされていたものを課題の整理と今後の在り方というタイトルに変更しております。まずは、前半の技術職員の部分を中心にディスカッションしたいと思います。事務局より、まず御説明をお願いいたします。
【高見人材政策推進室長】  ありがとうございます。人材政策推進室長の高見です。よろしくお願いいたします。
 では、お手元の資料1-1の23ページを御覧ください。6ポツといたしまして、技術職員の現状と課題としてございます。(1)番、背景でございます。技術職員は、従前より、大学等での汎用機器の管理、それから、学生実験の支援など多様な支援業務を行ってきたということ、教員を支援する立場と認識されてきたということを書いております。最近では、研究設備の高度専門化、機器の共用促進が発生してきておりますので、技術職員の重要性が認識されてきておりますが、機関内での位置づけやミッションの明確化、それに応じた人材育成は不十分なまま、業務の高度化だけが進んできているというような経緯を書いております。
 以下は研究設備・機器の共用に関する経緯について書いております。平成6年に遡りますが、「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律」が成立いたしまして先端大型施設の共用が始まったということ、その後、平成19年以降の先端研究基盤共用イノベーション創出事業、それから、先端研究施設共用促進事業、を通じて共用が全国に広まってきたということ、そして定着がされてきたという経過があるということについて述べております。
 第6期科学技術・イノベーション基本計画が令和3年3月26日に策定されておりますが、その中でも技術職員を高度な専門職人材というように位置づけがなされており、こうしたところが一体となったチーム型研究体制を構築すべく、これらが魅力的な職となるよう、専門職としての質の担保と処遇の改善に関する取組を2021年度中に実施すると書かれております。
 この記述を受け、「研究設備・機器の共用推進に向けたガイドライン」が令和4年3月に作られております。ガイドラインの中では、技術職員につきまして、研究者と共に課題解決を担うパートナーとして重要な人材だと触れられており、研究設備・機器とそれを支える人材に関する経営戦略の策定にも参加するなど活躍の場を広げていくことが望まれるといったこと、また、活躍に応じた技術職員の処遇改善に関する取組や育成体系の確立、技術職員の貢献について可視化する取組も重要だと述べられております。
 最後の行ですが、広く研究・教育活動に携わる技術職員について、各機関における配置の状況、業務やミッション、経営力・研究力に対しての貢献、キャリアパスの多様性、このようなことを把握して、好事例の横展開を図っていくべきだということも述べられております。さらに、一般社団法人研究基盤協議会のほうから令和6年1月に出された政策提言におきましても、技術職員の定義・役割を明確にすることほか3点についての具体的な指摘があったという状況でございます。
 (2)番、技術職員とは、というところで、定義に当たる部分でございます。こちらは一般的な意味で確立がされているかというと、なかなか現段階においては確立というところまでは行っていないところと認識をしておりますが、内閣府が研究基盤協議会の協力を得て、2023年に教育研究系技術職員について定義をしております。そこで、本ワーキングにおきましてもこの整理を踏襲して、教育研究系技術職員のことを技術職員と単に表して、主に議論の対象としたいと考えております。
 (3)番、技術職員の現状でございます。以前御紹介を申し上げましたが、文部科学省におきまして、令和5年12月時点の状況として技術職員の雇用等に関する実態調査を行いました。こちらにつきましては、一旦御報告をさせていただいておりますので詳細な説明は割愛したいと思っておりますが技術職員の内訳や育成の現状について把握をした内容になります。技術職員実態調査におきまして、技術職員の実像を十分に捉えられているわけではないとした上で、文部科学省においては、技術職員の実態について事例ベースの深掘り調査を行っていくことが求められるとしております。例えば回収率が56.8%であり、技術職員の人材像としてこういう方々なのだというところが明らかになったかというとまだ不十分であると考えておりますので、こうした事例ベースの深掘り調査を行っていくことが求められるとしております。
 その上で、(4)番、技術職員を取り巻く課題と書いておりますが、大きく4点を挙げております。①といたしまして、機関内の状況把握の不十分さということです。機関によるところと認識しておりますが、これまで必ずしも機関として組織的に技術職員の配置や働きぶりについて把握をしているわけではないとの指摘もあり、一般的に組織的な把握ができているわけではないと思っております。これが課題の1点目です。
 2点目といたしましては、機関内での適切な評価あるいはキャリアパス確立の困難さというところがございます。実態調査の中でも、業績や評価をめぐる面談の機会を設けているという回答が77%はあったものの、残り23%がやれていないという状況があります。また、技術職員に求められる高度な技術支援と技術職員の持つ専門性が高度にマッチングしている状況であって、異動が困難で、ジョブローテーションが難しいということもヒアリングの中でお聞きしたところでありますので、適切な評価やキャリアパス確立の困難さを2つ目の課題と位置づけております。
 3つ目としては、人材育成の困難さです。機関独自に研修プログラムを設けているというところは28.9%でございます。やはりこのワーキングの中でもヒアリングをしてまいりました外部の研修機会を一層活用していくというのが求められていると認識しております。
 4つ目といたしまして、他機関と情報共有する仕組みの構築の必要性としております。全国的に技術職員の配置状況や業務、評価や処遇の仕組み等に関する情報を共有する機会が存在しないと書いておりますが、機関間の好事例を共有する仕組みを構築することが必要だとしております。
 7ポツとして、技術職員確保の意義と書いております。(1)番、人材確保の意義といたしまして、技術職員が研究設備・機器を適切に取り扱い、的確なデータを算出することで、優れた研究成果の創出に貢献することが期待される一方で、担い手が足りないという指摘もございますので、技術職員の裾野を拡大すべく、外部研修の活用等により対応していく必要があると書いております。
 求められる人材像を(2)で書いております。人材像の一例といたしまして、国内の先進的な研究機関や海外の大学等において、研究者と対等な立場で切磋琢磨する環境にある例もあるということが紹介されております。技術職員のキャリアパスの一つとして、研究企画や研究開発マネジメントに携わる道を示していき、そして、研究を企画する力やコミュニケーション力等を育んで、人材育成にも携わっていくというようなことも求められるということを書いております。
 次、27ページでございます。技術職員の確保方策というところで、大きく、人材育成と人事制度の構築という2本柱で構成をしております。人材育成といたしましては、①の研修で、こちらはワーキングの中でヒアリングを行いました、大学共同利用機関における技術職員の人材育成の状況について分子科学研究所からいただいた内容を書いております。下のほうでございますが、分子科学研究所等においてだけでも多様な人材育成の機会が提供されており、全国の同分野に関わる技術職員が参加しているという状況が明らかになりました。ですので、各機関、技術職員には、大学共同利用機関による研修等の機会を積極的に活用していくことが期待されるとしております。
 そして、(ⅱ)といたしまして、東京工業大学のTCカレッジによる人材育成ということで御紹介をしております。28ページを御覧いただければと思います。「具体的には」という段落でございますが、研究者と共に研究を進めるだけでなく、技術職員の指導や研究力向上、組織の円滑な運営に貢献することなどが求められると位置づけております。その下の段落ですが、TCカレッジの取組は、自然科学研究機構が協力機関、それから、岡山大学、山口大学、長岡技術科学大学の3大学がサテライト校となって運営がなされており、全国17機関から受講生を受け入れており、東工大に閉じない、組織を超えた技術職員の人材育成の取組となっているということで今後さらに国内の多様な大学との連携が図られ、技術職員が在籍するより一層多くの機関が参画した全国規模の取組に成長していくことが期待されるとしております。
 人材育成の②ですが、技術職員同士のネットワーク形成について書いております。研究基盤協議会において、文部科学省と共催で年に一度、1週間程度、研究基盤のEXPOが開催されております。2024年に開催されたものにつきましては、7つのシンポジウムが開催され、延べ2,800人程度が参加・交流する場となっているということです。技術職員同士のネットワーク形成はもちろんですが、技術職員に関わる産学官のステークホルダーによるフラットな議論の場としても重要な役割を果たしているということで、今後も継続・発展していくことが望まれるとしております。文部科学省においては、技術職員の人材育成、キャリアアップにつながるような好事例の共有の具体化について検討する必要があるということも記載しております。
 29ページ、③番ですが、表彰制度の効果的運用を書いております。こちらにつきましては、科学技術分野の文部科学大臣表彰の中に技術職員等を表彰する研究支援賞がございます。こちらは令和2年度に創設されておりますが、近年、推薦機関数や推薦の件数が減少してきているというところが課題となっており、機関からの推薦件数を増加させるための工夫について検討することが必要だとしております。また、受賞者の普段の仕事に対するモチベーションの向上という観点からは、受賞者の属する機関において別途表彰を行うことや、賞与や給与に反映することも有用だとした上で、文部科学省から各受賞者の所属機関に対して機関内での表彰を奨励することが考えられるとしております。
 そして、大きな2つ目の柱といたしまして、大学や研究機関における人事制度の構築としております。こちらも研究開発マネジメント人材と同様ですが、技術職員の人事制度が明確になっていないケースがあると書いております。ヒアリングを行った分子科学研究所とか東京工業大学の状況を記載させていただいており、それぞれ人事制度は明確にされていると思っております。こうした取組を参考にしながら、国内の大学・研究機関において技術職員に係る人事制度が整備されている機関が一般的ではない現状に鑑み、文科省においては、特に研究に力を入れていく意思のある大学・研究機関を念頭に置いて、機関における技術職員の評価、処遇、雇用等に関する人事制度のガイドラインを策定すべきであるということを書き込んでおります。
 技術職員のパートにつきましては、説明は以上になります。御審議をよろしくお願いいたします。
【小泉主査】  ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明を踏まえまして、質疑応答を行っていきたいと思っております。今日は、途中にも出てきました、ヒアリングで出てきました分子科学研究所、それから、東京工業大学TCカレッジはじめ御活躍の江端先生のお話をお聞きできればと思っているところですが、江端先生、中村先生のほうから何かあればご発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。
【自然科学研究機構(中村様)】  では、私から発言させていただきます。御説明とまとめをありがとうございました。本当に技術職員の環境は今、多岐にわたっています。いわゆる共用法が出来て、JASRIとかNanoTerasu、QSTのように形態もいろいろ増えてきて、異動が全くないかというと、うちではUVSORという放射光施設がありまして、放射光施設間での異動があります。そのときに、大学のほうの特にお給金のほうがしっかりしてないといけないです。向こうのほうは教員と同じシステムになっているので整合しないので、向こうは技術職員と教員との垣根が少なくて同じ給与体系になっていると聞きますので、大学の技術職員のほうもやっぱりしっかりそういう、最後にまとめて書かれていますけれども、ちゃんとつくっていかないといけないなと改めて思った次第でございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。そういう処遇のところは重要ということですね。
 江端先生、ご発言ありますでしょうか。
【東京工業大学(江端様)】  ありがとうございます。まずは、こういった形でこれまでヒアリングをしていただいたものも含めてまとめていただきました、髙見室長はじめ関係者の皆様に感謝を申し上げたいと思います。
 技術職員に関しては今まで議論もあまりなされてなかったところもあり、実際にこういう形でまとまっていく過程を多くの方に見ていただくこともなかったと思います。一部で議論はされていたものの、それが表に出てこなかった、取り上げられてこなかったというところも、今までの技術職員の存在、位置付けを物語っていたかと思いますので、まずはこういう形で多くの方の目に触れるようなものになったということが非常に大きな成果であると認識しております。そういった点も踏まえて、2点ほど記載についてお話しさせていただければと思います。
 1点目が、先ほど中村先生がおっしゃっていた人事制度に関する点です。人事制度改革については、これまで様々な議論がなされ多くの大学が認識しているものの、推進していく上では非常に大きな労力がかかりますし、それを専門としてマネジメントできる人材がいないという点も非常に大きな課題です。その解決策として、今回、国としてガイドラインを策定するというアクションが入ったというのは非常に重要なポイントだと思っております。ぜひこの報告書に書いていただいたとおり、人事制度のガイドラインをしっかりと作成していただく流れにつながっていけばいいと思います。
 2点目は、29ページで表彰制度の効果的運用というところがあります。これはURAの話の中でも出てきた研究支援賞の話になりますが、こちらにも書かれているとおり、実際に推薦の件数が減ってきていて、ある一定程度の技術職員の表彰は進んだかと思います。そのような一定層の技術職員の方々の見える化、表彰、そしてモチベーションの向上にはつながったものの、実際にその後に続いていく、次の層を発掘するような流れには至ってないというところは、課題として指摘いただいているとおりかと思います。
 そういった意味で、非常に重要な賞を多くの方に取っていただくという広がりをどのように構築すべきかは、こちらに書かれているとおり、機関内での表彰はもちろんのこと、多くの場で受賞者の方々が講演等を通じた彼らの活躍が見えるような場をつくっていくことが必要かと思っております。ぜひこれを展開していくためのオールジャパンのネットワークづくりまでつながる文言を加えていただけると、さらにこの点が補強されるかなと思いましたので、コメントさせていただきました。
 私からは以上です。ありがとうございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。何か髙見室長の方からありますか。
【髙見人材政策推進室長】  ありがとうございます。まず、人事制度のところは、何ができるのかというところが難しく、しかしながらすぐやらなければいけないのは、考え方を示すことと言いますか、ガイドラインの形でお示しをするというのは、事務局としても非常に重要な点であると思っております。それをいかに早い段階で実現していけるのかというのは、ぜひ取組を進めていきたいと思っております。
 また、江端先生から御指摘のありました表彰につきましても、何が原因なのかということで、周知の仕方を工夫するといった取組は順次進めていきますが、おっしゃっていただいたような、実際表彰された方が皆さんの前に出ていくような場をもう少し設けるというのは、ぜひポイントとして加えていけたら思っております。ありがとうございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。江端先生、中村先生、引き続き御意見いただければと思いますが、委員の先生からも何か御指摘等いただければと思います。
【自然科学研究機構(中村様)】  すみません、1点だけ。
【小泉主査】  では、中村先生お願いします。
【自然科学研究機構(中村様)】  表彰の取組に関して、前回言い損なったのですが、我々が受けておりますマテリアル先端リサーチインフラ事業(ARIM)、昔のナノテクノロジープラットフォーム事業のほうで表彰の取組をやっております。それは技術職員の方のもちろん技術もそうですし、それから、技術支援も含めて年に1回表彰しています。グレードが幾つかあり、本当に若手のフレッシュな方と本当に成熟した方を各機関がエンカレッジして出して、技術職員の方はやっぱり非常に喜んでおられます。今日の資料にあります研究支援賞もすばらしいと思いますが、敷居がちょっと高いのかなという気もします。もうちょっと何かエンカレッジする形でかつ気軽に出せるものを、文部科学省じゃなくてもいいと思いますが、プロジェクトやプラットフォームで出していければ、技術職員の方々のエンカレッジにとてもなるんだと肌で感じております。以上でございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。そういう意味では、この文部科学省の表彰だけでなく、プロジェクトごと、または機関での表彰として今のARIMの例を記してもいいのかなと思いました。中村先生、ありがとうございます。
 では、正城先生、野口先生の順で行きます。正城先生、お願いします。
【正城委員】  まとめの御報告、ありがとうございました。定義としまして、いわゆる施設系技術職員ではなくて教育研究支援系技術職員と途中で書かれていたと思いますが、今回の趣旨からするとそうなのかなと思います。一方で、教育研究支援系の技術職員というと、私の印象では、国公立の、例えば国立大学法人や高専のイメージがあります。私学・学校法人でこういった業務をされる方はどういう名称にされているのかというのが私自身は分からないですが、今回は国公立系だけでなく私学も対象にしているので、その点がどうなのかなと気になっておりました。
 もう1つの点としましては、本ワーキング全体として、研究開発イノベーション創出に関わるマネジメント人材、マネジメント業務を行う人材と書かれています。前回分のURA等は研究開発マネジメント人材と書いてあり、今回御説明いただいたところは技術職員と、並行して書いてあるので、技術職員は研究開発イノベーション創出に関わるマネジメント人材の中に入っていないような印象を受けました。
 本来は技術職員も研究開発イノベーション創出に関わるマネジメント人材に入った形とは思っていましたが、先ほどの両先生方のお話では、技術職員を取り上げてガイドラインの必要性などに言及することの重要性の御指摘がありましたので、含めるのがいいのか、現状の方がいいのか確認が必要と思います。
一旦、私学、学校法人でどういうふうになっているのかということと、この報告書全体で技術職員をどう位置づけるのかというところが気になった点でございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。野口先生からの話があるのと、髙見室長からお答えいただく部分もあると思いますが、まず、私からいいですか。正城先生の2つ目に関しては、もう少し研究開発マネジメントにおける技術人材が必要であるということを23ページ辺りにはっきりと書いたほうがいいのかと思いました。大学マネジメントの中で、研究開発マネジメントの中で技術職員をしっかりマネジメントしていくというのが必要なのかなと思っていたところですので、そこは「研究開発マネジメントに必要な人材である技術職員が」とはっきりそこからスタートするのがいいような気はしたところです。
 その上で、髙見室長、何かありますか。
【髙見人材政策推進室長】  ありがとうございます。まず、事務局の整理としては、研究開発マネジメント人材と技術職員というのが、中に含めてしまうことにより、やっている業務はやや違う方々であるのが、混然一体となって訳が分からなくなってしまうかなと思い、実態調査を取るときにも別にしていたということがございます。一方でなぜ研究開発マネジメント人材という枠組みをつくったかというと、URAに閉じない教員、研究者や事務職員やその他の専門職といった方々も含めて、プレアワード、ポストアワード、研究戦略支援業務をやっている人たちを示すために研究開発マネジメント人材という言葉で表現しております。ただ一方で御指摘いただいたように、そこに技術職員が入っていったほうがいいのかどうかというのは、御相談が必要な点だと思っておりました。
 ガイドラインについては、いずれにしてもその両者は多分ポイントも違ってきたりするのかなというところもあります。同じように考えられる場合もあるのでしょうが、恐らくこれまで発展してきた経緯が違うので、よって立つ考え方も違ってくるのではじゃないかとも思っておりますので、そこは分けて記述をしていった方が、これからを考えると明確になるのかなとも思っております。研究開発マネジメント人材とくくった上で、技術職員も一部に入るような整理にして、それ以外の人たちを何と表現したらいいか、リサーチ・アドミニストレーターという言葉で十分なのかどうかというのも、何とも言えないところがあります。
【小泉主査】  お悩みはよく分かりました。私の意見としては、研究開発マネジメントというのは大学がやらなければいけないという中に、URAを含む研究開発マネジメント人材という人と、研究開発マネジメントを大学執行部が行っていく上で技術職員もちゃんとしましょうよというのがあります。なので、ガイドラインはおっしゃるように、技術職員のガイドラインと研究開発マネジメント人材のガイドラインは分けるということだと思いますが、ただ、狭い意味での研究開発マネジメント人材と、研究開発マネジメントをしなければいけないという意味では、広い意味での研究開発マネジメントをしなければいけないという中には、技術職員もちゃんとしなければいけないよというところだと思います。
【正城委員】  小泉主査のおっしゃるところはすごく分かります。おそらく大きな傘に入っているのだろうと思います。髙見室長がおっしゃったように、歴史的経緯から見ると、本ワーキングでもそこまでしっかりと技術職員と言われている方とそれ以外の方を系統立てて全体像で議論できているわけではないので、今回の報告書の段階で混ぜるということは難しいと思いますが、主査がおっしゃっていただいたように、位置づけはその中に入っていることはほぼ確実だと思いますので、それは記載いただいたらいいかと思いました。
 もしまたさらに今後時間をかけて検討することがあったとしたときに、技術職員の方とそれ以外という分け方が最初の分岐点なのか、支援側といわゆるプロジェクトマネジメント的な視点という形で、ステージごとに分けるのがいいか、分け方はいろいろあると思います。ですが、本ワーキングはあと1回2回で、そこまで議論はできないと思うので、一旦主査がおっしゃったような形でいいのかなと思い伺っておりました。
【小泉主査】  ありがとうございます。
【髙見人材政策推進室長】  ありがとうございます。もう1点よろしいですか。私学がどのように教育研究系技術職員について認識をしているかという点は、100%の回答はないんですけれども、お手元の参考資料2-3で技術職員の雇用等に関する実態調査の結果をおつけしています。その中で、今回の調査に回答した学校法人、私学の中で、83大学うち13.3%の大学が「技術職員がいる」と回答してきており、私学だと全く教育研究系技術職員という言葉が通じないというわけでもないとは思いますが、どうしても幅のある解釈を私学の中ではされているのかなという実態はあると思います。
【小泉主査】  なるほど。
【東京工業大学(江端様)】  小泉先生、よろしいですか。
【小泉主査】  江端先生、お願いします。
【東京工業大学(江端様)】  ありがとうございます。非常に重要な視点を、正城先生に御指摘いただいたと思っています。皆さんの御意見を伺って本当にそのとおりだなと思っているところですが、まず今の私学の話でいきますと、最新の研究基盤EXPO2024の一連のイベントの中で、早稲田大学が主催した私学系のシンポジウムで改めて明確になりましたが、大学における技術職員の位置づけが、国立大学あるいは公立大学と全く違っていて、教育研究系技術職員であるとはいえ、教育がメインであるとのことでした。やはりウエートがかなり違うということです。こういった状況で、技術職員が研究力強化に資する取組をやっていると言われると、研究力にはなかなか直接的にはつながらないことも勘案する必要があり、大学として一括りにして議論するには注意が必要だというところは指摘がありました。そこは細分化して考えていく上では必要な論点かなと思っています。
 また、研究開発マネジメント人材の中に技術職員を位置づけるかどうかというお話ですが、私としては、小泉主査と正城先生がおっしゃっていたとおり、まず位置づけとしては、大学として研究開発を推進していくために必要な人材という認識を多くの方に持っていただきたいという意味も込めて、その一員だという表現は必要かなと思っています。
 一方で髙見室長のおっしゃるとおり、成り立ちやいろいろな経緯が大きく違うので、そこについては、ほかの職種と同じような形で、例えばガイドラインの議論は、一緒にするのはなかなか難しいのではないかと思うところがあります。技術職員の方々の立ち位置を十分に理解した上での議論がさらに必要ですので、そういった意味でも小泉主査のお話の整理ができると、多くの大学の方々に刺さる文書になると思いました。ありがとうございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。では続いて、野口先生、お待たせしました。私学の話もありましたので、よろしくお願いします。
【野口委員】  先ほどの13.3%の中にも私どもの大学は入っておりまして、回答もさせていただきました。今お話がありました早稲田大学のいわゆる教育系にやや依拠した技術職員というのは、立命館大学でも非常に重要視をしています。例えば工作センターや、工作ラボでは、博士課程や修士課程の方、また理工系の学部学生の方がいろいろな実験実習をします。そのときに一緒にサポートをしたりするというようなケースも踏まえて早稲田大学もおっしゃっていると思います。私どももそういう技術職員を雇用していました。
 一方で、SRセンターという放射光施設を立命館大学は持っています。そこについては、あくまでこれは研究や産学官連携での活用エフォートが高く、そこについては直雇用と業務委託の両方でやっています。私どもの大学で今どういう構造になっているかといいますと、いわゆる確保と育成という割合でいくと、大体8対2ぐらいの割合です。技術人材を丁寧に育成していくことは非常に重要であると認識はしつつも、育成をしてすぐ即戦力という時間軸があまりないものですから、どちらかというと育成された人材を確保するという形をとっています。おそらく私立大学の多くがそういう形を取っているのではないのかなと思います。そうすると、今も安全保障輸出管理のエキスパートの方がなかなか採用できないので、企業のところにも人材確保のためのヒアリングはしています。いわゆる企業でそういう経験をされた方々を教員もしくは技術職員で任用するケースと、もう一つは、業務委託や派遣でそれを請け負っているケースがあります。ですから、どちらかというと、育成というよりも、育成された人材を確保しているケースが多いのが私立大学の現状ではないのかと感じています。
 私の指摘のもう一つは、技術職員というと、シニア人材というイメージが非常に強いです。データの分析を見ましても、50から59歳までのところが約3割となっています。しかしながら、40歳以下のところを見るとそこでも3割を占めています。この技術職員の項目の文脈で「若い」という文字が出てくるのは1か所だけで、29ページの表彰制度の箇所だけなんです。これでは良くないと思っています。
 これは「若い」=「若手」は大事なメッセージだと思っているので、若手に技術伝承しているところや、若手確保や育成のモデルケースがあるとか、若手のキャリアパスやキャリア形成も取り組んでいるという、「若手」というキーワードをもっと技術職員の23ページ以降に書き込むべきだと思います。そういうところを少し工夫し、若手が読んだときにも、こういうふうな形態でこの大学は取り組んでいるだとか、こういうことでやっぱりロールモデルになり得るケースもあるんだなということを少し文章の中に入れる必要があるのではないのかなと思いましたので、指摘させていただきました。「若い」=「若手」というメッセージが少な過ぎるのではないかと思います。
 以上です。
【小泉主査】  ありがとうございました。重要な、私学のところのライトパーソン、ライトプレースにいたなというところでお答えいただいてありがとうございます。若手の技術職員を育成する、技術そのものを継承していくという視点もとても重要だと思いました。ありがとうございます。
 中村先生、お願いします。
【自然科学研究機構(中村様)】  分子科学研究所は結構若い人を入れており、技術継承もうまくいっていると思うので、うまくやればできるのかなと思います。
【小泉主査】  ありがとうございます。
【東京工業大学(江端様)】  じゃあ、よろしいですか。
【小泉主査】  江端先生、お願いします。
【東京工業大学(江端様)】  若手の技術職員の確保というのは、各大学で大変大きな課題となっています。実際に本学でも公募を出しても、なかなか候補者が出てきてくれない状況です。我々だけではなく全国の大学、特に地方の国立大学だと人が来てくれないというところも含めて、人材の新陳代謝が進まず、高齢化が進んでしまっている大きな要因になっていると思います。野口先生が御指摘されたところは非常に重要で、前回、私や中村先生のプレゼンにどこまで入っていたか失念してしまいましたが、若手の視点というのは入れていくべきであると改めて思いました。
 ただ、それを改善するためには、間違いなく人事制度を時代にあった形に変える必要があり、民間企業等に就職されるような技術者に対する待遇と大学における待遇が、同じか、違った意味で価値が同等かそれ以上になるぐらいのレベルに引き上げていかないと、今後大学の教育研究環境をより良くする優秀な方たちは来てくれないのではないかと思います。ぜひそのような課題も含めて少し文章に盛り込んでいただければと思います。
【小泉主査】  ありがとうございます。ほかに。重田先生、お願いします。
【重田委員】  こういった大学あるいは大学共同利用機関で、分子科学研究所のように技術推進部のような形で1つ大きな組織をつくって一体化されている大学あるいは研究機関がどのぐらいあって、あるいは部局でそういった管理をされている機関というのはどのぐらいあるのか整理はされているのでしょうか。
【髙見人材政策推進室長】  実態調査の中で、部局付きかどうかというようなことはお聞きしていなかったと思います。ですので、データとして、今どれだけの大学・研究機関で組織的に把握ができているかという全体像をお示しできるものはないです。例として聞いたことはあったと思いますので、大学であっても、そうやって1か所で技術職員を集めて把握している大学もあるにはあると思いますけれども、非常に少数だと思っております。
【重田委員】  今、江端先生がおっしゃったとおり、結局、人事制度にまで絡ませてやっていくというのが重要だということになると、一つ一つの細かい組織で管理するようなやり方ではなかなか制度をいじりにくいと思います。我々の大学でも、どうにかして一つの大きな組織に向かってということを検討し始めてはいますが、やはりこれまでの経緯や、もともとこういった技術職員が、部局の人事のいわゆる承継枠とかそういったところも絡んでいるのでなかなか手をつけられないというので、これまでも我々の大学で何度も検討してははね返されというか、検討を進めつつ、やっぱり難しいという形で足踏みしているというのが現状です。
 いわゆる開発研究開発イノベーションのマネジメントという観点をどう位置づけて、技術職員というのはどういう在り方で組織をつくったらどういう成長モデルになるかというようなところも、何か成功例というのを示していただくといいのかなと思いました。
 ちなみに、江端先生の東京工業大学は、技術職員は一元化されているのか、それとも、各部局に分かれているのかというのはお伺いしてもよろしいでしょうか。
【東京工業大学(江端様)】  ありがとうございます。東京工業大学はご質問いただいた点が特徴的で、国立大学法人化後すぐに、他大学に比べかなり早い段階で、技術部として各部局に配置されていた技術職員をバーチャルではなく、実質的に一元化した組織を作りました。大学にいる技術職員は全てそこの組織に集約されており、90名弱がそこに所属して、大きな一部局として教育研究支援を行なっています。
 重田先生におかれましても、コアファシリティ事業等を通して技術職員の組織化を推進されていると思いますが、同じようにそういった事業に採択された大学は、技術職員の組織をいかに一元化してつくるかというところで、私が知る限り、事実上きちんとした一元化ができた大学というのは本当に数が限られていると思います。
 大きな大学になればなるほど、やはり部局間の様々な調整が必要となり、議論は始まっているけれども進まないという話が多々ありますので、人事制度の話をすると、一元化した組織をつくるのが先か、それとも現状の状態で進めていくか、というのは議論が分かれるところです。今その途上にあるので、どのタイミングが適切で、どこに働きかけるのがいいのかというのは、かなり混沌としている状況かなとは思います。
 そういった意味で人事制度自体は、各大学が国立大学法人化した後、基本的には公務員の制度をベースにそれぞれの規定としてつくられているものがあり、そこをどう改定していくべきか、一般的な議論ができると思いますので、組織の改革の話と人事制度の改革の話は、別に考えて進めていくのがいいと思っています。
【重田委員】  ありがとうございました。
【小泉主査】  杉原先生、お願いします。
【杉原委員】  私は国立大学所属なので、国立大学の中の仕組みしか細かく存じ上げないのですが、技術職員には、有期の方も結構います。技術を身につけた方は無期雇用化して長期間技術を高めていき、さらに若い方に伝承していくということが必要だと思います。しかし、今の国立大学ですと、旧来の承継枠という考え方があり、技術職員の雇用人数が限定され、枠が空かないと若い方を採用できないというところが、実は各大学の一番の悩みかと思っています。
 一方で機器の高度化等が進む中では、どんどん若い方を入れて次の世代を育成しながら無期雇用化をしていくような仕組みが必要だと思っています。URAのように全く新規のポジションを技術職員でも考えるべきなのか、あるいは承継ポストという考え方を大きく拡大するのかといったところに何か手をつけていかないと、恐らく技術職員の本当の拡大にはつながらないというところがかなり隠れた本質じゃないのかなと思っており、何か江端先生のほうでお考え等があればご見解をいただきたいです。
【東京工業大学(江端様)】  杉原先生ありがとうございます。
もちろん今御指摘いただいたところは最重要課題で、様々な視点で検討はさせていただいています。複合的な要素がありますので、同時並行でそれをクリアしていくという作業は大変難しいと思っています。まず第1に、技術者がキャリアアップできるような承継ポストをきちんと確保していく。そして、それが教員と同じような、対等に協働できるような処遇改善につなげていける意識が人事制度として明確に存在しているということが大きなメッセージになると思っております。
 杉原先生の御指摘どおり、新しい職として位置づけるというのはやはり多くの大学に対するメッセージにはなるので、URAが派生したような形で検討されることもあるかと思います。一方で、URAと同じように技術職員の新しい職について多くの大学が対応できるかどうかは、議論するには少し難しい状況になっているかなという気はしています。
 そのため処遇改善といったときに、人事制度を正面から変えていくというのが王道のやり方ですが、一つのやり方としては、技術職員という言い方とは違う形での新しい役割として位置づけ、それが教授ポスト等と対等の立場であるとするやり方はあると思いつつ、多くの大学の関係者の皆様と議論していると、各大学でそれを位置づけるのはなかなか難しいという感触です。教員との格差もあり、現状では、教員の先生にも技術職員が担うべき高度な研究支援というミッションも持って業務を行なっている方もいらっしゃいますし、大変複雑で整理がなかなかできない部分なので、大きな課題だと思っています。
【杉原委員】  ありがとうございます。コアファシリティ事業で我々も技術職員の体系整備を考えていますが、URA的に新しいポストを増やそうとした場合に、やはり財源というところに行き着きます。技術職員の方でもかなり産学連携の現場に立って、例えば企業から依頼された相当難しい分析等にも取り組んだりしていまして、かなり産学連携に貢献している部分があると思っています。その技術の対価をきちんと換算すれば、職員の人件費として大学の中である程度予算化できるのではないのかとも考えていまして、こういった手法がこれからの一つの考え方になっていけばいいかなと思っているところです。
【東京工業大学(江端様)】  そうですね。財源の確保という意味では、おっしゃるとおり、産学連携・地域連携をうまく活用しながら、技術の価値を対価として換算して、そこで得られた財源をうまく活用していくやり方は次世代の技術のあり方につながっていくと思っています。技術の価値の見える化という意味で、今回ご紹介したTC制度がその一つの事例だと思っています。民間企業から多くの共同研究費を得ながら活動している技術職員も実際にいまして、ご本人の給与には跳ね返ってこないのですが、それぞれの技術職員の活動経費や自己研鑽用の予算として活用できるような事例はあり、さらにそれをうまく給与に反映できるような仕組みが確立できると、財源の問題もクリアできるきっかけになるかと思います。
【杉原委員】  ありがとうございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。何となく全体的に、そろそろ技術職員の話は終わりして次に行こうかなとは思いますが、まず、今までの話をまとめると、29ページの人事制度の構築のところは、体制の整備と、それから、雇用とかの在り方といったところを少し充実させた方がいいのかなと思いました。
 東京工業大学や分子科学研究所の例、それと自然科学研究機構だと、やはり国立天文台がかなり進んでいるので、体制整備や、技術職員の体制の好事例をここで幾つか紹介していく。または、体制と雇用の問題を少し29ページの(2)のところはいろいろな好事例を書いていくのがいいのかなと思ったところです。
 それから、重田先生はじめお話があった23ページからの技術職員の背景のところが、機器の共用からきれいに書いてありますが、おそらく技術職員は重田先生や杉原先生が言われたように、法人化以降の承継ポジションの在り方みたいなところでどろどろしたところからスタートしていると思います。技術職員の承継ポジションを教員に持っていって、結局、技術職員の承継ポジションが減らされています。それはもちろん大学がどう研究開発マネジメントを考えているか、技術職員を要らないと思ったから承継ポジションを剥がしているというところがあると思うので、それってそういうどろどろしたことを背景として書かないと、確かに23ページの背景は共用云々ときれいなところから書いているのでどろどろしたところから書いていったほうがいいかもしれません。
 そこで大学が、やっぱり技術職員は研究開発マネジメントを担う重要なポジションとして認識し直してほしいことをメッセージとして伝えていくといいのではないでしょうか。
 重田先生、何かありますか。
【重田委員】  おっしゃるとおりでして、結局、昔は結構な数の技術職員がいたのに今の部局から減っている理由は、教員への転換、特に助教への転換ということがあります。例えば技術職員を一元化して本部が管理しようというアイデアを部局に投げたときに、じゃあ、今からこの人たちは教員にしたいですと言われたときに、こちらは断りにくいというか、今までやってきてもいるし、でも、今いる人はどうするのかという問題もあります。そうなると、そこでどうしても一元化が止まってしまうというのがこれまでの経緯でした。
 やはり技術職員が、大学や研究機関においてある種の技術の継承と、あるいは高度な計測技術を持ち、あるいはメンテナンスをするという意味で非常に重要であるということをこの背景のところに明確に書いておいたほうが、やはりもう一度再認識して、ここを重点化することが大学の研究力、研究機関の研究力を向上するという、メッセージを伝えるということが非常に重要かなと思いました。
【小泉主査】  ありがとうございます。では中村先生、お願いします。
【自然科学研究機構(中村様)】  23ページの共用ガイドラインにいいことが書いてあります。「研究者とともに課題解決を担うパートナーとして重要な人材」という、この文言はとても大事なところです。給料もそうですが、やりがいがやはり大事なので、例えば装置なり何なりの魅力的なミッションがあり、そこに来るから働きがいがあるということもあります。本当に大学の技術職員の方が魅力ある仕事ができるのかって、やはり環境も大事なので、大学全体の力を上げて、技術職員の方に一緒にやると。手前味噌な話ばっかりですけれども、本当に分子科学研究所は技術職員の方が非常に頼りになり、いないと困ります。我々は学術的なことを提案して、技術職員の方はしっかりと先端の装置をカバーしている。だから技術職員の人が生き生きとやっていると思うので、魅力ある研究機関、教育機関をつくっていくというバックグラウンドも大事かなと思っています。
【小泉主査】  ありがとうございます。そういう意味で、23ページの辺りのところで、実はさっきの大学での課題のような、重田先生におっしゃっていただいたとおりですが、実は大学共同利用機関は、昔ながらの技術職員の、三、四十年前の技術職員の承継ポジションをしっかり守ってやっているという形があり、教員への転換とかしていない。
 大学共同利用機関法人は、そういう意味では、昔ながらの体制をいい意味で継承しているので、そういう歴史もどこかに背景で書いていただけるといいのかなと思いました。
 一旦、技術職員に関してはここまでとします。この後、URAのところの話も出てくるので、そこでもまた戻っていただいてもいいですし、江端先生、中村先生には引き続き議論に加わっていただければと思います。ありがとうございます。
 技術職員のところも引き続きで結構です。前回のワーキング・グループで御議論いただいた点も、修正点等もありますので、そちらをまず髙見室長のほうから御説明いただいて、また引き続き、ディスカッションに戻りたいと思います。では、室長、お願いします。
【髙見人材政策推進室長】  では、よろしくお願いいたします。
 資料1-1の1ページから説明します。前回の御議論の中で、まず、論点整理というよりも、課題をしっかり整理して、今後の在り方についても幾つか提言をしているというところもありますので、それを踏まえたタイトルとさせていただいたというのがまず1点目でございます。
 その下で、委員のほうから、最初と最後に、メッセージが端的に表せるような部分というのを設けていただいたほうがいいという御指摘をいただきましたので、「はじめに」と「おわりに」というものを作っております。事前に先生方にお送りした段階ではついていなかったものですから、今回、少し丁寧に御説明を申し上げたいと思います。
 まず「はじめに」の部分ですが、「資源が限られ、少子高齢化が進む我が国」というのを最初に書いてありまして、そこで、研究力を強化しイノベーションを促進するというのが未来を切り開く上で不可欠だということ、しかし、日本の世界的な地位というのが近年相対的に低下をしているということを書いております。
 研究力強化に向けては、これまで文部科学省において、こちらに書いたとおりの多様なファンディングを設けてきたというところがあり、それとともに、研究開発マネジメント人材や技術職員の育成の重要性に着目をしてきていますが、人材育成の実施に当たっては、各大学・研究機関と一層連携して取り組んでいく必要があるとしております。
 大学や研究機関における研究開発は、言うまでもなく、研究者だけでなく、リサーチ・アドミニストレーター、事務職員、技術職員など多様な人材によって支えられているということ、しかし、この認識がまだ十分に広がっていないというのを3段落目に書いております。
 本ワーキング・グループですが、令和5年の12月に発足して以来9回の会議を通じてということで、本日が8回目ですが、会議を通じて実態調査やヒアリングを行って議論を重ねてきました。その結果を研究開発力向上に貢献する人材の育成と確保、研究開発マネジメント体制の整備に焦点を当てて、報告書にまとめました。
 この報告書は、研究開発マネジメントの実態と課題を深掘りし、大学等における好事例を共有するとともに、その在り方について示すことを目的としており、こちらも課題が複雑に絡み合っているので、それぞれ、URAであればURA、技術職員であれば技術職員の中だけで考えてもうまくいかないので、そうした意味で、研究開発マネジメントそのものにもイノベーションが必要だということで、本ワーキングとしては、それを認識することから始めたいというふうにしております。
 本報告書が大学や研究機関における研究開発マネジメントに携わる関係者の皆様にも同じ認識が共有され、同じ方向を目指しながら、それぞれの立場から取組を進める上での道しるべとなることを願っていますとして、「はじめに」としております。
 ちょっと格調高いかどうかというところはございますので、ぜひとも忌憚のない御指摘をいただけたらと思っております。
 その後でございますが、1ポツ「背景」から、修正点につきまして朱書きで、見え消し機能で入れております。
 まず、(1)の経緯のところですが、「一方」、「そして」と書いております。この段落につきましては、前回の御議論の中で、URA、リサーチ・アドミニストレーターに係る経緯に重点を置いて書いていたところがございますが、途中で御紹介しますとおり、この中に産学連携コーディネーターや知的財産マネジャー、こういった方々も含めるような整理に近年なってきているというところも踏まえまして、平成15年度に始まった大学知的財産本部整備事業や、平成20年度に始まりました産学官連携戦略展開事業というもの、こういった事業を行っていく中で、産学連携コーディネーターや知的財産マネジャーと呼ばれる人材の育成・配置がなされていったという点も経緯に加筆をしております。
 3ページを御覧ください。上から4行目の「1,671人」のところに脚注を入れておりまして、前回御指摘をいただいた、平成23年に323人だったURAが令和4年には1,671人というふうに、脚注に書きましたとおりで、平成29年度の調査から、それまで別々に計上していたURAと産学官連携コーディネーターを一本化して計上することになったということがありましたので、人数の単純比較は適当でないことに注意が必要としております。
 その上で、直近の平成30年度時点の調査におきましては、元URAが何人、元産学官連携コーディネーターが何人という取り方をしておりまして、それぞれが64.8%、35.2%という状況がございましたので、これを1,671人に掛け合わせますと、完全な推計でございますが、令和4年時点のURAの人数としては1,083人程度ということも脚注には記載をしております。
 その下の(2)番でございます。日本の大学等が直面している状況のところですが、これも前回の御指摘の中で、我々が、研究開発マネジメント人材が必要だと思うからそれについて議論するということではなく、社会から求められているということが先にあるのではないかという御指摘をいただきました。また、大学等においていっていることといたしまして、これは人材育成を行うというものも重要な機能ということがございましたので、その点を加筆しております。
 大学等が多様な研究を推進するとともに人材育成を行い、イノベーションの源泉となることが求められているとした上で、産学連携等の研究成果を社会に還元していくということも求められており、大学等に求められることが増加し、多様化してきている一方で、研究者のポスト、数は増えない現状があります。そのような状況下で研究力強化を図っていくために、研究開発マネジメントを効果的に行っていくことが重要なのだということで加筆をしております。
 次、4ページを御覧ください。上の方でございますが、研究開発マネジメント人材とは高度専門人材ですと書いた最後の4行がございますが、そこに前回御指摘いただいた、この人材は今後博士人材のキャリアパスの重要な一つとして広く認知をされることが期待されるということを、御意見を踏まえ加筆しております。
 次に、5ページを御覧ください。こちらは研究開発マネジメント人材の現状ということで、実態調査について御紹介をしているところになりますけれども、864機関から回答があったというところだけですと、それで回収率がこれだけだったというところだけですと内訳が分かりづらいという御指摘を踏まえまして、大学、高専、大学共同利用機関法人それぞれの内訳の数というものを書かせていただいております。
 その次の「なお」というところでございますが、「研究開発マネジメント」という用語がなかなか現場に定着していないということと、定義の理解に機関ごとに幅があったと思われて、また、この人材が必ずしも1つの部署において組織的な把握がなされていないこと、調査の期間も十分とは言えない状況だったことから、機関全体の状況を正確に把握する上で限界があったということを留意点として加筆しております。
 その下は先ほどと同様ですが、内訳を加筆したということでございます。
 7ページを御覧ください。こちらも先ほどのURAの数の部分ですが、「全国的に5倍程度に伸びており」としておりましたけれども、それも増えてきていることは事実ですが、5倍と言うとややミスリード感がありますので、そこは削除をいたしました。
 8ページを御覧ください。こちらは、⑥番といたしまして、研究開発マネジメント人材全体に関する課題を追加いたしました。機関における研究開発マネジメント人材に係る認識不足としておりますが、実態調査の結果の中で、雇用に係る今後の方針として「当面は現状維持とするが、補助金があれば拡充する」という回答が56.4%などの結果を紹介して、これだけですとそのままでいいようにも受け取られるということで、機関においてはこの研究開発マネジメント人材の有用性を認識しながら、その雇用に十分な資金を充てづらい現状が伺えるとしております。
 研究開発マネジメント人材は言わばアセット人材、価値を生み出す人材であるという認識の下で、特に研究に力を入れていく意思のある大学・研究機関においては、雇用経費の確保の仕方に関する工夫が求められるというふうに加筆をしております。
 その下の(2)番は、2行に分けて書いていたのを1行にした程度の修正ですが、「URAの質保証制度の課題」というようにタイトルを変更しております。
 9ページを御覧ください。前回、URAスキル認定機構の認定制度に係る課題の書き方といたしまして、独自に認定を継続できるだけの規模がないというようなやや断定的な表現をしておりましたが、実態調査の結果を御紹介しましたとおりで、教員・研究者や事務職員に主としてこの研究開発マネジメントに携わる者が相当程度いるということも明らかになっておりますので、こうした層には認定に関する十分な周知ができていない状況にあるというところの課題の書き方を修正しております。
 10ページを御覧ください。こちらはタイトルでございますが、前回御指摘いただきまして、確保方策の中に人材育成についても書いておりましたので、「育成・確保方策」というふうにタイトルを修正しております。
 11ページを御覧ください。こちらはURAスキル認定制度ができるまでの経緯というところで、少し経緯の詳細を書き起こしているところですが、認定機関について、「複数の関係団体から推薦された者により構成される団体」という考え方が平成30年度にまとめられた論点整理という中に示されており、それを踏まえて、脚注にございます7団体から構成されるURAスキル認定機構というところが認定を行うこととなったということで、なぜこういうものをつくるに至ったのかというところの経緯を補足させていただいております。
 12ページですが、こちらはリサーチ・アドミニストレーター等のマネジメント人材に係る質保証制度の実施というのが、文部科学省の補助事業として令和3年から5年度までの3年間行ってきたということでございますので、それを明確にするための補足をしております。
 12ページの下の部分の修正につきましては、取組の成果と課題というところは、先ほどと同様に、教員・研究者や事務職員に対して十分な周知ができていない状況にあるという書き方に修正をした内容になっております。
 13ページを御覧ください。URAの認定に関する今後の方向性というところでございますが、ここも少し丁寧に記述をするという観点で、当面、URAの認定については、7団体の総意の下でURAスキル認定機構において継続をされると書いております。ただし、本認定制度を中長期的に継続していくためには、認定対象者数に一定の規模が求められるということは書いた上で、今後、教員・研究者や事務職員にも対象を広げて安定的に継続することが期待されるが、研究開発マネジメントに係る基本的スキルを身につける認定に加えて、より実践的、専門的なスキルを身につける機会として、外部の団体による研修等の機会も積極的に活用していくことが求められるという文章に修正をしております。
 その下に、ヒアリングの中で把握ができました海外の資格の部分ですが、PMIによるPMP(Project Management Professional)という資格の取得につなげていくことも考えられるという段がございましたが、こちら位置付けを若干後ろにしているということで、こちら14ページの上のほうに持ってきているという修正になります。
 その趣旨といたしましては、まずはJSTに移管をされたURAの研修や外部団体で行っている様々な実践的な研修の機会、国内の機会というのをしっかりとやっていくというのをお示しするために、前半にはその点についての記載をしています。その後ろに、ホームページで紹介をするということを前回御説明申し上げましたが、当然、スキル認定機構の認定もそのホームページの中で紹介するというところを、書いていなかったところを書き起こしているというのが1点修正と、あと、アドバンスドレベルの研修が今、一旦休止しているという表現が前にございますが、その中で、ホームページの中で、アドバンスドレベルの研修に相当するものも明示していくことが望ましいというふうに加筆をしております。
 従って、国内の研修や認定というのがまずあった上で、JSTにおいてもそれを紹介していくという話を書いた上で、このほかに国際的な認証資格として、このPMIによるPMPの取得につなげていくことも考えられるということで、やや位置付けを見直したというのがここの趣旨でございます。
 14ページの下の研修の見直しの方向性という部分ですが、前回の会議の後に委員の方からいただいた御意見に基づいて加筆をしているところです。研究開発マネジメント人材に求められることとして、研究力強化に貢献するような戦略を練る、関係者と協働して実現していく力が必要となると書いております。そうした力を座学の研修だけで養成することは困難であるため、文部科学省においては、OJTでマネジメント実績を有する研究開発マネジメント人材から指導を受けられるような仕組みの創設について検討することが必要だと加筆をしております。これは新しい取組になってくると認識をしておりますが、この点も加筆をいたしました。
 16ページを御覧ください。16ページは人事交流制度について上のほうで書いております。前回、大学のURA等の人材を他機関に長期短期で出向することをサポートするような制度という書き方をしておりましたが、そこをもう少し具体化しました。国立研究開発法人や省庁、省庁にも出向する人材であるということをしっかり書いたほうがいいという御指摘をいただきましたので、省庁、それから、先ほども申したような研究開発マネジメント体制が効果的に機能している大学への出向とかいうこともあるだろうということで、具体的に加筆をしております。
 そして、その下のⅴの研究開発マネジメントに携わる教員・研究者、事務職員の実態把握というところでございます。こちらも先ほどの技術職員と同様ですが、実態調査の中で、教員・研究者が約3,000人、事務職員が4,000人強という結果となりまして、かなりのボリュームゾーンにはなっているが、この人たちが一体どういう働き方をしていて、機関から具体的に何を期待されていて、いわゆるURAと位置付けは異なるのかというような詳細がよく分からない状況の中で今議論しているというところがありますので、こういう人たちを明確に認識した上で、対象として巻き込んでいくことが必要ですし、だからこそ、こういう方々の担う業務や働き方、どのような成果を上げているか、機関からどういうことを期待されているかというような人材像を把握するための深掘りの調査を実施するということが求められるとして、具体化を図っていくことを書いております。
 17ページを御覧ください。こちらが各機関における研究開発マネジメント体制の構築というほうの柱になっておりますが、ここに書きました民間企業経験者や多様な背景を有する人材が大学等における研究開発マネジメントに携わるキャリアパスを太くする観点から、確保に関する記述が薄いという御指摘を前回いただきましたので、民間企業からお越しいただく等、必ずしも大学の中だけじゃなく、多様な背景を有する方にお越しいただくというところを明示しながら、そのためには機関内の体制構築によって博士人材のキャリアパスの重要な一つとしてふさわしい職ともなるように、処遇の在り方を含めて魅力を高めていくことが期待されるということで書いております。
 19ページを御覧ください。こちら筑波大学における事例ということで、前回の後に重田委員に聞き取りをさせていただき加筆をした部分になります。機関における評価、適切な雇用・処遇の実施というところの具体的な事例といたしまして、筑波大学としては、人材確保の観点から、研究エフォートを最大30%まで認めるURAの職種を設置しているということ、それから、研究マネジメント室、研究デザイン室を学長が機構長を務める研究戦略イニシアチブ機構において執行部の戦略の下、URAの役割を定め、機構にて評価を行い、処遇に反映しているといったところを書かせていただいております。
 21ページを御覧ください。こちらキャリアパスです。魅力的なキャリアパスの形成というところで、信州大学と京都大学の事例というのを書いておりましたが、前回の議論の中でも、このマネジメント人材のキャリアパスについては、例えば、産学連携、知的財産に携わる人材であれば、学外のTLOで勤務する場合などもございますし、必ずしも機関内だけで閉じるものでもないということですので、機関内に閉じない形でキャリアパスを形成するようなケースというのも想定しておくことが望ましいというふうに加筆をしております。
 ⑤の民間資金の獲得のところで、ヒアリングの中や委員からいただいた御意見を少し羅列するような形で書いていたものを、1つの文章にまとめるということを行った形跡でございます。中身は変えておりません。
 最後に22ページでございますが、研究開発マネジメント人材を雇用する会社についても前回議論がございました。実態調査の中でも、こういった会社を設置していると答えた機関が2.2%、構想していると答えた機関が4.1%と少数ですがあったというところも踏まえまして、大学の外部に会社を設けることで、大学の人事制度の制約を受けずに運営できるよさがある一方で、企業の論理と大学の自治で考え方が異なる部分もあり、メリットを生かした運営を行っていくことが望ましいが、このような形態については今後も注視していくことが必要であるというようなまとめ方をしております。
 最後の「おわりに」のところでございます。30ページですが、こちらはポイントを申し上げますと、上から3行目で、文部科学省において、本報告書を踏まえて研究開発マネジメント人材及び技術職員の育成・確保に向けた具体的方策を実行し、各大学・研究機関において参照できる人事制度等に関するガイドラインを策定することが求められますというようにしております。
 それ以外にも示した方策というものを着実に実行していくことで、我が国の科学技術力が再び国際的に高く評価されるようになることを目指していきますとしております。
 一段落飛ばして、「そこで」というところですが、大学や研究機関の皆様には、本報告書を通じて研究開発マネジメントに関する認識を深めていただきたいと考えています。その上で文部科学省をはじめとした政府機関や大学、研究に携わる全ての関係者が一丸となって、我が国全体の研究開発マネジメント力の強化、そのための研究環境の整備、人材育成に一層取り組んでいくことが必要ですとしております。
 最後の段落では、文部科学省の取組は今後も継続されるといったことと、本ワーキング・グループメンバーとしても、関係者の皆様の理解と協力を得ながら、研究開発マネジメントの振興に向けて引き続き努力していきたいということでまとめております。こちらにつきましても、御意見よろしくお願いします。
 御説明は以上です。
【小泉主査】  髙見室長はじめ、ありがとうございました。前回のワーキング・グループで出た意見、その後メール等で各委員から様々いただいた意見も踏まえてアップデートをしております。
今日、残り30分ぐらいディスカッションできればと思います。御意見等いかがでしょうか。正城先生お願いします。
【正城委員】  ありがとうございます。この前の意見をいろいろ取り入れていただいて、いい方向になっていると思います。
 「はじめに」のところに、社会から期待されていることを書いていただいたり、3ページでも、日本の大学が直面している状況の中に書いていただいたり、体制の構築でも書いていただいていますが、まだ一部については研究力強化というところに閉じた記載が散見されると思います。
 研究力強化は、研究開発イノベーションの創出にまず必要条件だと思いますが、必ずしも十分条件ではないと思っております。例えば、4ページの研究開発マネジメント人材を検討する意義というところは、まだ研究力のところに閉じていたりするのかなとか、見直しの方向性のところでも、例えば、14ページに研修の見直しの方向性がありますが、社会に成果を生かしていくというところの記載が少し弱いと思いますので、「はじめに」で加えていただいたような視点を全体に入れていただければというのが1点です。
 2点目としましては、本ワーキングのヒアリングを通じて、いわゆる狭い定義のURAだったり、以前の定義のURAや、技術移転等の業務を統合的に考えて再組織化されたり、あるいは人事制度を構築されている例を、幾つかの大学から紹介いただいたと思います。
 そういった観点でいくと、先ほどの14ページのところの、全体にわたって社会から見たときに、研究と社会貢献を俯瞰的・包括的に見た視点での必要性というのがかなりヒアリングの中で各委員から出てきたので、そういったところがワーキングで分かったということをもう少し強調していただいたらいいと思いました。
 最後ですが、「おわりに」のところで、ガイドラインを策定することが求められるということで、これは大賛成です。今回報告書ではそこまで至っていないと思いますので、ガイドラインを作成すると書いていただいているのはいいと思います。
 この報告書の中で、10ページに、国際卓越研究大学研究等体制強化計画や地域中核・特色ある研究大学強化促進事業の中でも触れられているということが書かれておりますように、今回の本ワーキングやこの報告書を超えて国全体の科学技術イノベーション政策に関わってくる部分で、重要な役割を担うガイドラインだと思いますので、もっと「おわりに」のところで強調してガイドラインの必要性というのを述べていただいたらいいかなと思いました。
 その3点をまずお話させていただきます。
【小泉主査】  ありがとうございます。髙見室長ありますか。
【髙見人材政策推進室長】  ガイドラインの話は、例えば20ページに、「優良事例が多く共有されたが」と書いてあります。文部科学省においては、特に研究に力を入れていく意志のある大学・研究機関を念頭に置いて人事制度のガイドラインを策定し、考え方を示すべきだということで、本体の中には書いておりまして、改めて「おわりに」の中で、すぐやることというか、ということで記載をしているという位置付けでございます。
 もうちょっと強調した表現ができるかどうかは、工夫をできたらと思います。
【小泉主査】  ありがとうございます。また、その点も踏まえてアップデートをよろしくお願いします。
 他に委員の方からございますか。野口先生、お願いします。
【野口委員】  説明ありがとうございました。大変俯瞰的にも書いていただいているので、よく分かります。
 その上でまず、冒頭の1ページのところの関わるマネジメントの下に「に関する」とあるので、その下の「関する」を「係る」にしたほうが文章上良いと思われるのが1つです。
 それから2点目は、「はじめに」と「おわりに」というのがありますが、大体「はじめに」というところは、出だしのところはプラス思考から入って、続いてこういうところが若干弱点であると持っていくのが1つ読み込ませるコツだと私は思っています。ですので、「資源が限られ」という表現はどちらかというとネガティブイメージで書かれているので、研究開発イノベーションの創出については、こういう形で右上がり傾向にあるが、一方でこういう弱点があるという書き方のほうが良いと思いました。出だしは重要です。また、本丸の文中は元気が出る内容にしたほうがいいと思いますし、そういう内容になってきていると思っています。
 3点目は、「産学官」と「産学」が混在していることです。ここは「産学官」に統一しておいたほうが良いと思います。なぜかというと、多くの大学は、「官」との連携は、官庁のみならず、地元アウトリーチとして自治体との連携とかも頻繁にやられているので、「産学官」という形に私は統一したほうが良いのではないのかなと思います。
 4点目は、30ページの「おわりに」の7行目のところで、「再び国際的に高く評価」の「再び」というのはあまりよくないです。「これまで以上に」とかそういうふうに書いたほうが良いと思います。
 最後5点目は、22ページに人材を雇用する会社について特出し記載していますが、私も内容表記については賛同します。一方で、30ページに人事制度に関するガイドラインを策定していくとメッセージも送っており、制約を受けずに運用できるよさもあるというようなことも含まれるので、ここの人材を雇用する会社の特出し記載のトーンは少し落として、研究開発マネジメント人材を雇用する会社についての指摘は文中のどこかにさらっと入れるぐらいのほうが良いと思いました。特出しするとあまりにも目立つと思ったので。
 私のほうからは以上です。
【小泉主査】  かなり具体的な御指摘をありがとうございます。「はじめに」のところは私が出だしを書きました。逆に、みんなに暗い気持ちにさせてからスタートするという私のスタイルです。野口先生、ちょっと考えさせてください。ありがとうございます。
 他に御指摘等ございますか。御自身が言われた部分はどう反映されたかというところをそれぞれの知見で見ていただければと思いますし、また、江端先生や中村先生は、技術人材に関わらずURAのところも含めて、少し客観的な視点で御意見いただければとも思います。
 全体的にはかなりバランスが取れた書きぶりになっているかなと思ってはいます。
 正城先生、お願いします。
【正城委員】  資料1で細かいところを4点ほどお話ししたいと思います。
 3ページで、前回、杉原委員から御指摘があったURAの定義が途中で変わっている点を脚注に書いていただいていますが、たしか、文部科学省の産学官連携等実施状況調査で、前職や、現在の職務従事状況という欄もあったと記憶しています。そこでプレアワード、アウトリーチ、国際連携、知財、産学というような欄があったと思うので、現状の最新の数字の内訳を書くほうが推計で掛け算するよりはいいと思いました。
 4ページの(4)の意義の3点目の記載のところで、「これに伴い、学生数や研究者数、公的研究費も減少することが予測される」とあり、今読み直すと、研究費が減少するかどうかは決まっているわけではなく、国の施策として、そこを強化することで更に国力を上げるという政策もあり得ると思いますし、日本の18歳人口は減りますが、海外や社会人ドクターといったところも戦略としては入ってくると思うので、必ずしも「減少することが予測される」の前の表現は正しくないのではないかと思いました。
 続いて、20ページですが、名古屋大学の記載の下に、医療系の研究開発マネジメントのところを記載されていると思います。医療分野において働きがいを確保するインセンティブ設計、キャリアアップのための仕組みが必要ということは、ヒアリングで御発表いただいた飯田先生からもあったと思いますが、むしろ医療分野特有のイノベーションのプロセスについてのこともかなり言及されていたので、その点も記載いただいたほうがいいと思いました。
 最後に、先ほど野口委員の指摘で大幅に変わる可能性はありますが、22ページの特出しのところです。学外あるいは子会社の組織も絡めた連携のところで、「果たしてそのような運営が可能なのか」というのは少し言い過ぎのような気がするので、もう少し中立的な文章がいいと思いますが、先ほどの野口委員の御指摘からすると、全体を検討し直されるのかと思いますので、念のため発言しておきます。
 次に、資料2の図ですが、初級レベルの基礎力育成研修、中級の実践力育成研修とあり、上級のところで現場実践とあるのですが、現場での実践は初級として入って数か月からずっとやっているので、上級のところは、もう少し何か修飾語がついた現場実践か何かなのかと思いました。
 研修自体は基礎でも中級のレベルでもしていくと思いますが、現場での実際の業務をする中でのスキルアップというのは初級の段階からされていると思いますので、この特に3つ目、現場実践の記載を工夫するなど、ほかのアプローチも必要かなと思いました。
 長くなりましたが、細かい点は以上です。
【小泉主査】  ありがとうございます。
 20ページの医療系のところは、東京医科歯科大学の事例としてもう少し書きますか。確かに、飯田先生はこれ以上のところも少しいろいろ触れられていたような気は確かにします。少し御検討いただければと思います。
 ほかにございますか。御自身の御指摘ポイントに関してというところだけでも結構です。
【東京工業大学(江端様)】  よろしいですか。
【小泉主査】  江端先生、よろしくお願いします。
【東京工業大学(江端様)】  私も全ての議論に参加できていないので、細かいところも含めて分からないところはありますが、「ガイドライン」という言葉が研究開発マネジメント人材のところと、冒頭議論させていただいた技術職員のところにも、「おわりに」に書いてあるガイドラインは2つありますが、その両方ともやりますという意味でいいでしょうか。
【髙見人材政策推進室長】  そうです。
【東京工業大学(江端様)】  そうすると、それぞれガイドラインを策定していきましょうというようなところが、この中に記載されているということですね。それは理解できました。ありがとうございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。
 桑田先生、お願いします。
【桑田委員】  ありがとうございました。まとめも本当にきちんと読むとよく理解ができるのですが、これを受け取ったときの初見の人の心になってずっと考えて、初めて赤が入っているのを見たときに、実は、冒頭の「はじめに」でこの文章の意義みたいなものも書いてあってって分かりやすいなと思いました。文書の要するに位置付けというのが、各機関で利用するということを願っていますと、ソフトに最後に書いてあって、道しるべになるべくという形になっています。これは読み手は、これを見てうなずけるところ、うなずけないところは、それぞれの事情があるので、その事情で峻別することをよしとしてしまうということになるのでしょうか。
 これを全部読んでくると、課題があり、これを全部不足の人はやるけれども、私どものところは、これはいいやと言ったところは、目をつぶってしまうというような扱いでこの文章は読まれてしまい、こちらでは、そういうスタンスで作っているのかどうかだけ確認をしたかったです。
 なぜそのような確認をさせていただきたいのかというと、例えば、非常に忙しい人だとすると、こういうのを読む前に、エグゼクティブサマリーがあって、私たちはこういう意味のためにこの文書を作った、そして、これとこれが産学官合同で意識を持ったところであって、そして、今後の学のほうでは意識を持つべきところはここで、あるいは、官のほうでは今後政策的にこことここを重点的に取り組むのだというような程度な言い方をして、頭の中に数分で入ってしまうという、そういうことをよく狙うのですが、それとはちょっと種類が違う気がしています。
 そうすると、今言ったような読み手の事情に合わせて、多面的なものなので、そうだそうだと読みながら、よし、こことここは私どもはやろうというような文書になるというふうに理解をすればいいのかどうかだけ皆様の方針を教えていただきたいです。
 今読んだ感じ、所感は、初見で見たときはそういうふうに取れると思ったので、もちろんここの議論の中では、大学ごとにいろいろな事情があるということと、雇用されている職は、同じURAでもいろいろな内容で雇用されているということなので、多面的であるからそれぞれの判断で読んでくれというような趣旨の読み物であれば本当にいいと思います。
 一方で、今後こういうことを政策的にぜひ取り組んでいくべきだということのいわゆる宣言のために使うとすると、これは少し読みづらい気がします。どちらのスタンスなのか、方針をクリアにすると本文書の扱いの理解が進みます。
 また細かいところですが、3ページ目の(2)に引っかかっています。(2)の途中に、「多様化している一方で、研究者のポスト、数は増えず」と言い切っていますが、これは政策のほうから出てくる文書として、我々が文科省の下に集まって議論した文書として、これは増えないというのは所与のものとして扱ってしまっていいのかどうかだけ教えてほしいです。
 これは増やすための話もしていかなきゃいけないかと思うので、これを言い切っていいかどうかは少し考えたほうがいいのかなという気はして、教えていただければと思います。お願いいたします。
【髙見人材政策推進室長】  かしこまりました。御指摘いただきまして、どうもありがとうございます。
 書き手の心情としては、今把握ができたことをなるべく網羅的に示そうとしています。おっしゃるとおり響く大学、響かない大学がパーツパーツであると思いまして、ですがなるべく全体をざっと見たときにこんな実態になっているとか、総括的に言える課題としてはこういうことであるとかいうようなメッセージや実態把握の結果をお示ししたかったというところがございます。
 ただ、桑田委員から御指摘いただいたように、時間のない方が大半であるこの今の時代において、当然、30ページ全部読んでくださいという前提でお示しするのも、読み手が減るかなというところもあります。読んでくださる方もたくさん確保したいところではあるので。そういう意味では、概要のように少しポイントを絞った、結局これで何するのかが分かりやすく伝わるような1枚の資料というのを作ったらいいのかなと思いました。
 通常、概要版も作ったりもするかと思います。ただし、それが本当にこれのサマリーになってしまうと、網羅的なサマリーになってしまうので、そこをある程度、今後やっていくことに焦点を当てたような形のサマリーにするのかどうかも含めて、考えさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【桑田委員】  ありがとうございます。
【小泉主査】  ありがとうございます。重田先生。
【重田委員】  多分これからの話だと思いますが、「はじめに」ところには技術職員も名前が出てきているのですが、背景の経緯とかそういったところにはちょっと抜け落ちています。別になっていることがここの中にもどこか明記されていて、例えば、技術職員に関しては6項で説明するみたいなところが先出しであると、研究開発マネジメント人材の中には含まれないけれども、この研究開発マネジメント全体を俯瞰する上で技術職員の立ち位置というのも重要であるので、それについては後段で説明するといったようなところを言っておくといいのかなというふうに感じました。
【髙見人材政策推進室長】  ありがとうございます。
【自然科学研究機構(中村様)】  いいですか。
【小泉主査】  中村先生お願いします。
【自然科学研究機構(中村様)】  URAのほうはコミットしていないので、議論する立場にないかもしれないですけれども。
 このようなペーパーをまとめていただいて、これは主に各機関へのメッセージと問題点だと思いますが、ここで議論されている技術職員もそうですが、URAの方々のエンカレッジになるような、大切にされているんだよというメッセージを含んだ文章になっていると思いますし、なってほしいなと思うので、そういう形の読み手のほうですね、URAが元気になれるような感じのペーパーになっていればありがたいなと思います。
 以上になります。
【小泉主査】  ありがとうございます。エンカレッジしていくというところの重要さというのは、多分そうだなと思います。ありがとうございます。
【杉原委員】  よろしいですか。
【小泉主査】  杉原先生お願いします。
【杉原委員】  今さら申し上げて、申し訳ないというところもあるのですが、この研究開発マネジメント人材の中で、IRerといった、分析専門人材について今まで何の議論もしていなかったのですが、恐らく、今後の展開を考えた場合に、分析屋、IRerと呼ばれる人たちもかなりのウエートを占めていくと思います。ですので、これから議論するのは難しいですが、整備していく中には、IRerたちの重要性についても触れていただいたほうが、これからこれを読む人たちにとっても抜け落ち感がないなと思います。全体を考える上でもかなり必要なポジションだと思いますので、ぜひその辺りは数行でもいいので加えていただけたらなと思います。
【小泉主査】  ありがとうございます。すごく重要な視点です。
 私からの提案としては、「はじめに」があって、この一番伝えたいメッセージは何かというのは、先ほどの桑田先生の御指摘から考えていましたが、一番伝えたいメッセージは、大学において、技術人材もそうですが、研究開発マネジメント人材がしっかり位置付けられて、大学がちゃんと研究開発マネジメントをやると。大学が研究開発マネジメントをしっかりマネジメントしていくということを認識してほしいというのが一番大きなメッセージで、そのために網羅的に今やられていること、課題が、好事例もあるよということを示していくことかと思います。
 その点は、桑田先生が言われるように、大学ごとに響く部分もあれば、ここはいいかなと思う部分はあるかもしれないですが、とにかくまずは、研究開発マネジメントを大学はちゃんと認識しなさいよというところを伝えることが一番大きなメッセージであると思いました。
 そうすると、「はじめに」の中にも書いてありますが、杉原先生がおっしゃった部分も含めて考えると、2ページの1ポツの「背景」に入るより前に、なぜ大学において研究開発マネジメントが必要かというところを書いたほうがいいかもしれません。もう少し俯瞰的に研究開発マネジメントをするということはどういう意義があるかということです。
 それこそIRerも含めて、研究のプロセスやロジックモデルに基づきインプットからプロセス、アウトプット、アウトカム、そういったもの全体をマネジメントしていくことが研究開発マネジメントであり、例えば、プロセスのところでこういう人材が必要だろう、技術人材もこういうところに必要だろう、研究企画を立てるときにはIRerも必要だろう、アウトプットのところでコーディネーターも必要だろう、広報も重要かもしれないという、全体像をインプットからアウトプットまでロジックモデルで示した上で、そういうことを、全体を見る研究開発マネジメントということを大学はする必要があるということを「はじめに」の後に書いて、全部を網羅するのは難しいかもしれないですが、そういうこと全体を考えるマネジメントが必要であるということをまず言って、現状のところから入っていくという感じです。
 ですので、2ページ目の初めとその次のところの間に、そういう研究開発マネジメントがなぜ大学にとって重要でありそういう人材が必要なのかというところを俯瞰的に書くというところがあってもいいのかなと、杉原先生の指摘も含めて思ったところです。
【髙見人材政策推進室長】  よろしいでしょうか。
【小泉主査】  お願いします。
【髙見人材政策推進室長】  恐らくそれに対応する部分が、今、2番目に出てきている「日本の大学等が直面している状況」というところなのかと思います。これが、大学でなぜ必要なのか、社会が大学に求めることが増加をしている状況下で、研究力強化を図っていくために研究開発マネジメントが必要なんだという記載です。恐らくこの立論は崩さないほうがよろしいですよね。
【小泉主査】  そうですね。
【髙見人材政策推進室長】  これを前に持ってくるということでよろしいでしょうか。
【小泉主査】  そうですね。(2)を前に持ってきて、少し補強しますかね。
【髙見人材政策推進室長】  今の御趣旨ですと、タイトルがもしかしたら、「日本の大学等が直面している状況」ということじゃないのかもしれませんけれども。
【小泉主査】  そうですね。途中の文書にも、研究開発マネジメントを効果的に行っていくことが重要であるというメッセージが伝わるような段落というか、文章というか、その中にいろいろな人材があり得るという、研究開発マネジメント人材も必要だし、技術人材も必要だし、広い意味でいろいろな人材、IRerも、さっきの御指摘も含めて、いろいろな人材が関わるというのがあり得るよ、必要だよという。
 ごめんなさい。杉原先生の意図とちょっと離れてしまうかもしれないですが。
【杉原委員】  広げていただいて、ありがとうございます。
【小泉主査】  広げました。重田先生、何かありますか。
【重田委員】  まだちょっと整理できていません。すいません。
【小泉主査】  分かりました。少し室長と相談させてください。すいません。
【髙見人材政策推進室長】  ぜひお願いします。
【小泉主査】  他にございますか。
 またじっくり読んでいただいて、次回議論できればと思います。今日、高木先生もいらっしゃらず、高木先生はおそらく、技術人材のところは御意見がたくさんあろうと思うので、次回、また高木先生にも加わっていただいてとは思うのですが。
 一旦、今日はこの辺までにしておきましょうか。江端先生、中村先生、最後、言い残したこととかがあれば、一言ずつでもいかがでしょうか。
【東京工業大学(江端様)】  少しだけよろしいですか。
 先ほど野口先生がおっしゃっていたように、ポジティブな面もしっかりと記載する必要があると思っていて、IRでもそのような議論がありましたので、技術職員の項目に関しても同様の視点がやはり必要かなと思います。
 我々の意識として、こういうのが駄目だよねという話から無意識に入ってしまうというのがあって、技術職員の方々が活躍されている状況や、彼らが本当に大学の環境を整えるために様々な研究機関で活躍されている状況について、冒頭にきちんと書いておいていただいたほうが良いと思いますので、ぜひその点御検討いただければと思います。
【小泉主査】  ありがとうございます。中村先生お願いします。
【自然科学研究機構(中村様)】  私も江端先生と全く一緒で、本当に今、URAもそうですし、技術職員も必要な時代になってしまったということなので、成功事例や、必要な人間だよということをもっと出せる形になっていればありがたいなと思っています。
【小泉主査】  ありがとうございます。
 では、皆さん、どうもありがとうございました。
 事務局より事務連絡をお願いいたします。
【大場人材政策推進室長補佐】  その他の案件として、事務連絡も含めて御説明させていただきたいと思います。
【小泉主査】  ごめんなさい。よろしくお願いします。
【大場人材政策推進室長補佐】  資料の4がございます。こちらはエンカレッジの話です。本日もございましたが、令和7年度の研究支援賞についてです。こちら5月24日に各機関・大学等に御案内しています。応募期間は5月24日から7月22日ということになっております。次のページは振興局長名で5月24日に発したものです。こちらのタイトルは、文部科学大臣表彰で部門のことがずらっと書かれており、御依頼するものでございます。
 次のページに表彰対象としまして、こちら1、2、3とありまして、かなり研究者の対象とする賞がたくさんあります。科学技術賞や若手科学賞といった研究者向けの賞は認知度が高いというところだと思いますが、一方で、研究支援賞というのができて新しいものですので、あまり知られていないです。5月25日に当課からそれで総務担当宛てに送った通知があります。
 次のページお願いします。事務連絡としまして、人材政策課名で出しております。こちらは技術職員を見ている者に届けたいというのがポイントでして、宛先としては「教育研究系技術職員所属部門の長殿」ということにしております。
 こちらの文章も少しだけ御紹介させていただきます。真ん中辺りになりますけれども、「科学技術の発展や研究開発の成果創出には、研究者の研究開発活動を身近で支援する役割を担う技術職員は不可欠な存在です」としています。「我が国の科学技術の発展を支える技術職員を研究支援賞によって顕彰することは、受賞者自身の功績をたたえるものとして重要であり、技術職員の活躍を一般の方々を含め広く知っていただく機会です」。「受賞は技術職員のステータスを高めるとともに、技術職員のモチベーションを高めることで人材育成にも寄与するものと考える」と。
 こちらはそういったことで、文科省としてのメッセージ、顕彰の意味合いだとか我々の期待、なぜこの賞があるのかということを結構強く訴える形で発出しました。
 最後のところで、こちらは総務課のほうが頂いて、研究系のところについては研究担当理事のほうに必ず送られるはずですけれども、これがそのままほったらかし、もしくは本部の技術職員が誰も見ないような掲示板に貼られる可能性があるので、技術職員を所掌とする部門等が別にあったら、当該部門へ展開いただくとありがたいですというような結びにしています。
 今日ここで出したのは、我々はこのように仕事に向かっているという姿勢を示すのと、今日の先生方もいろいろな場所で周知する機会があると思いますので、ぜひ周知いただいて、応募件数が少しでも増えて、文部科学省も応援しているんだよということが伝わればいいなと思いまして、こちら御紹介させていただきました。
 次は本当の事務連絡になります。
【小泉主査】  この辺は、それこそTCカレッジ、それから大学連携設備ネットワーク、それぞれ江端先生、中村先生が持っているネットワークがあるので、そこで御紹介いただけるとありがたいかもしれないです。ありがとうございます。
【大場人材政策推進室長補佐】  次は本当の連絡ですが、次回は6月14日金曜日を予定しております。
 本日の会議の議事録につきましては、作成し次第、委員の皆様にお目通しいただき、主査の御確認の上、文部科学省のホームページを通じて公表させていただきたいと思います。
 以上でございます。
【小泉主査】  それでは、本日もありがとうございました。次回もありますので、引き続きよろしくお願いします。
 本日はこれにて閉会といたします。ありがとうございました。
 

―― 了 ――

 
 

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科学技術・学術政策局人材政策課 人材政策推進室