生命倫理・安全部会(第62回) 議事録

1.日時

令和8年7月27日(月曜日) 13時00分~14時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の一部改正について
  2. ヒトゲノム編集胚等の取扱いの規制に関する法律について
  3. その他

4.出席者

委員

大須賀部会長、秋元委員、大岡委員、尾畑委員、片野委員、久慈委員、小板橋委員、佐原委員、戸田委員、藤田委員、八代委員、吉田委員、米村委員

文部科学省

永川安全対策官、葛谷室長補佐、工藤専門職

5.議事録

【大須賀部会長】  定刻となりましたので、ただいまから、科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会、第62回を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜り、ありがとうございます。
 まず、事務局より、本日の委員の出席等の連絡事項の確認をお願いいたします。
【葛谷室長補佐】  文部科学省研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室の葛谷です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日は、Webを併用して開催させていただいております。会議の模様はYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきいただければと思います。
 本年4月に事務局に人事異動がございましたので、紹介させていただきます。文部科学省ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室の安全対策官として、永川が着任しております。よろしくお願いします。
【永川安全対策官】  永川でございます。よろしくお願いいたします。
【葛谷室長補佐】  まず、本日の会議の出席状況について、御報告いたします。現在、16名中、10名の委員の方が御出席しておりまして、定足数を満たしております。後ほど、3名の委員の方が参加される見込みでございます。また、竹田委員、西村委員、深見委員におかれましては、御欠席の御連絡をいただいております。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。オンラインにて御出席の委員の皆様は、事前にお送りさせていただきましたPDFにて資料を御覧いただければと思います。御不明な点等ございましたら、事務局までお知らせください。
 また、オンラインでの出席の委員におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートに設定していただくとともに、発言がある場合には、挙手ボタンでその旨をお示しいただき、部会長の指名の後に御発言をお願いします。なお、会議の中で御発言をいただく際は、画面及び音声をオンにしていただいた上で、お名前をお伝えいただき、その後に御発言をお願いできればと思います。また、システム障害などがあった場合には、チャットにて事務局へ御連絡いただければと思います。
【大須賀部会長】  それでは、議題(1)、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の一部改正についてに入ります。
 前回部会でも改正に向けた審議の途中経過を御説明させていただきましたが、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省の合同会議において了承されましたので、その内容について御説明いただきます。
 事務局より、よろしくお願いいたします。
【永川安全対策官】  事務局でございます。資料62-1-1を御覧ください。昨年4月と7月、本年1月に経過報告させていただいておりました「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」につきまして、合同会議での議論の結果、一部改正の案を作成しておりますので、そちらについて御説明いたします。
 2ページを御覧ください。まず、改正の趣旨でございますけれども、こちらの倫理指針は、人間の尊厳及び人権が守られ、研究の適正な推進が図られるようにすることを目的として、人を対象とする生命科学・医学系研究に携わる全ての関係者が遵守すべき事項を定めているところでございます。こちらにつきまして、個人情報の取扱いについて所要の規定を設けております個人情報保護法の改正のたびに部分的な改正を行ってきておりましたところ、指針の内容が複雑かつ難解となり、研究を停滞させる一因となっている可能性について指摘がございましたほか、規制改革会議の実施計画で、多機関共同研究において一括した倫理審査が十分に普及していないことや、審査の質に関する御指摘がありまして、所要の措置を講じることとされましたところです。こうした状況から、昨年2月より3省の合同会議で検討を行ってまいりました。
 3ページを御覧ください。こちらの検討におきましては、第2回合同会議におきまして、米村委員より、こちらの倫理指針に関する法的課題と改正の方向性について、ヒアリングを行っております。また、第4回合同会議におきましては、武藤委員から患者・市民参画の推進方策についてヒアリングを行い、長神委員からバイオバンクと倫理指針上の位置づけに係るヒアリングを行った後に、議論を整理し、検討を行い、指針見直しの方向性というものを昨年12月に取りまとめまして、パブリック・コメントを実施しました。
 ここまでは、本年1月までの本部会にて御報告させていただいておりましたところです。
 4ページを御覧ください。その後でございますが、パブリック・コメントの結果を踏まえて、3月に合同会議を開催しまして、介入の定義について新たに設置するタスク・フォースにおいて議論すること、見直しの方向性に沿って研究ごとにICの手続を求めること、「試料・情報」に係る記載について整理すること、一括審査に係る留意点に関することなどについて検討し、引き続き検討が必要な事項、例えば、介入の定義などは、今後、タスク・フォースでの議論となることとなりました。こうした議論を経まして、6月の合同会議にて座長一任の形で了承を得ましたところです。まだ、法技術的な細かい修正が入る可能性はございますが、6月の合同会議の後に、座長に了承いただきました具体的な改正告示案が、資料62-1-2となっております。
 資料62-1-1の5ページを御覧ください。こちらの案における主な改正事項について、スライドにて御説明させていただきます。まず、IC等の手続につきまして、分かりやすくなりますよう構成を変更しておりまして、真ん中のIC等手続の見直しイメージという部分になりますけれども、三つの柱立てをしております。侵襲・介入を伴う研究、試料を用いる研究、試料を用いない研究、そうした柱立てとして、より分かりやすくなるようにしましたところです。
 また、同意手続等については、これまで「文書IC」「口頭IC」「適切な同意」という用語を使っておりましたが、そちらは無くして、「IC」のみに整理することとしております。また、ICであっても、研究内容によっては、倫理審査委員会の審査の上、研究機関の長が許可した場合には、引き続き、説明事項等の簡素化を認めるものとしております。また、匿名加工情報、仮名加工情報及び個人関連情報の取扱いにつきましては、個人情報保護法にのっとることとしましたところです。このほか、既存試料や既存情報を利用・提供する研究においては、オプトアウトを基本とする形としております。その際、現行の既存試料を用いて研究を実施する場合の「当該既存試料を用いなければ研究の実施が困難である場合」という要件につきましては、「適切な手続を経て取得された試料や情報である場合」という要件に変更し、既存試料だけでなく、既存情報を用いた研究に対しても同様に当該要件を課す形としております。
 6ページを御覧ください。主な改正事項の二つ目となりますけれども、倫理審査委員会について、同意手続等の見直しに伴い、研究ごとの同意手続等の妥当性を適切に判断する必要があるため、審査の種別をこのような整理としておりまして、特に、今回変更になっている点としましては、新規申請の審査については、軽微な侵襲を除く侵襲・介入研究については、一括審査を原則から必須に変更したほか、変更申請の審査については、真ん中、迅速審査と報告事項になりますが、利益相反の該当の有無に応じて、迅速審査、報告事項と、区別して行うものとしたところです。
 また、指針本体ではなく、その補足資料であるガイダンスに関する検討内容として御参考となりますけれども、倫理審査委員会における審査の質のばらつきなどの指摘への対応として、倫理審査委員会の質の向上に向けて、特に軽微な侵襲を除く侵襲・介入研究における多機関共同研究の一括審査をするような倫理審査委員会においては、臨床研究中核病院が開催する研修を参考としていただく旨の内容を追加する方向で進めておりますところです。併せて御紹介いたします。
 7ページを御覧ください。主な改正事項の三つ目としましては、患者・市民参画に関する内容がございます。ヘルシンキ宣言を含む国際的な基準との調和などの観点で、研究対象者・被験者保護の観点を重視し、「患者・市民の視点を尊重し、」といった記載を追記しております。
 また、その他になりますけれども、合同会議での御指摘を踏まえ、「既存試料・情報等の提供のみを行う者」について、定義の追加を行い、より分かりやすいものとしました。「試料・情報」については、改正前の指針において「試料及び情報」と定義されておりましたところ、合同会議にて、改正指針(案)について、試料及び情報なのか、試料または情報なのか、その両方なのか、指針全体で整合性を取るべきとの御指摘がございましたことから、関連の記載の整理を行ってございます。
 8ページを御覧ください。こうした指針改正について御了承いただけましたら、こちらの案で一部改正を行いました上で、指針を公布し、施行していく予定です。
 その先の検討の進め方となりますけれども、まず、今回の改正について、指針を補足するガイダンス等で、その趣旨を明確化してまいります。具体的には、今回追記となりました「患者・市民の視点を尊重」の考え方や、既存試料や既存情報でのオプトアウトの条件である「適切な手続」の考え方、特に、多機関共同研究での侵襲・介入研究については一括審査が必須となることも踏まえ、各研究機関での一括審査に係る留意点、また、倫理審査委員会の委員の教育・研修の強化に係る内容、「既存試料・情報の提供のみを行う者」や「試料・情報の収集・提供を行う機関」での倫理審査の在り方(両者の明確化を含む)、こういった点などをガイダンスで明確化していきたいと考えております。
 また、今回の改正において引き続き検討が必要な事項とされました部分、「新規/既存」や「介入」の考え方のほか、オプトアウトに関する用語の定義の必要性などについては、タスク・フォースを設置して検討していく予定です。
 その他、個人情報保護法、「いわゆる3年ごと見直し」の状況を踏まえた見直しにつきましては、今般、7月17日に改正法が公布されておりますが、2年以内の政令で定める施行日より前にガイドラインなどの関連文書が出てくるといった、具体的な議論が可能になった時点で検討を進めてまいる予定です。
 また、中長期的な課題として、こちらに記載の事項の検討も順次進めてまいります。
 「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の一部改正に係る事務局からの説明としては、以上でございます。
【大須賀部会長】  ありがとうございます。
 続いて、本部会の下に設置された、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する専門委員会の主査として、合同会議の議論に参画された吉田委員からも御発言いただきます。
 吉田委員、お願いします。
【吉田委員】  ありがとうございます。東京科学大学の吉田でございます。
 今、大須賀部会長から御説明ありましたように、昨年2月から1年半にわたりまして、専門委員会の主査として、合同会議に参加してまいりました。8回、合同会議が開催され、活発な議論が行われました。今回の改正についても、以前から指摘されていた倫理指針を読みやすくするという目的はある程度達成されたと認識しています。
 一方で課題も幾つか残っていると考えています。一つは、法と指針の二重構造についてです。先ほど改正個情法が成立したという話がありましたが、この個情法という法に対して指針が課すべき上乗せ規定の在り方を最適化するのかについては、まだ議論整理が必要だと考えます。
 二つ目としては、この倫理指針が所轄する「研究」の範囲は非常に多様で、生命科学系から臨床研究系まで、かなり幅広であります。例えば、バイオバンクや、ゲノムデータベースの取り扱いについてのような研究機関の特徴について一般的な研究機関と同じ取り扱いでよいのか、もう少し踏み込んだ議論が今後必要だと思います。
 最後に、多機関共同研究では一括審査が必須とされましたが、そのために倫理委員会の負担もさらに増してくることが予想されるため、その負担の軽減とか手続の簡素化についても検討する必要があると思います。恐らく、先ほど事務局から指摘のありました、今後設置されるタスク・フォースにおいて積み残し課題や個情法との関係性について議論ができると考えます。
 以上、主査として報告をさせていただきました。
 以上でございます。
【大須賀部会長】  ありがとうございます。
 ただいまの事務局、そして、吉田委員からの説明に関して、御意見等がございましたら、お願いいたします。
 米村先生、お願いいたします。
【米村委員】  東京大学の米村でございます。先ほどの事務局からの御紹介にもありましたとおり、私のほうでは、合同会議の場におきまして、従来の指針の規定内容に複数の問題があり、早急な見直しを要するということを申し上げ、それを踏まえて改正の検討をいただいたと理解しております。今回の改正案そのものも一通り拝見させていただきまして、直前で吉田先生から御指摘があったとおり、まだ課題は残っていると私も思いますけども、しかし、かなりの程度、規定の複雑さ難解さなどの問題は改善されたと思われますので、私としては、こちらでお認めしてよろしいのではないかと考えている次第です。
 以上です。
【大須賀部会長】  ほかにいかがでございましょうか。
 片野委員、お願いします。
【片野委員】  東京科学大学の片野でございます。8ページの『今後の検討の進め方』のスライドにある、「今回の指針改正においてガイダンス等で明確化する事項」の四つ目に、「倫理審査委員会の委員の教育と研修の強化」というのが挙げられています。この点は倫理審査の質を確保する上で重要なことだと考えているのですが、倫理審査委員会の運営は、委員だけでなくて、委員会の事務に従事する職員によって支えられている点が非常に大きいです。現行の指針の第17の(6)においても、委員や、その事務に従事する者が審査の業務に関する教育や研修を受けられることを確保するのに必要な措置を講じるということが設置者に求められております。今回のガイダンスにおいても、委員だけではなく、事務に従事する者も明確に含めていただきたいと考えます。そしてまた、せっかく研修を受けた人が業務を続けることができないと倫理審査委員会としての審査の質も担保できないので、機会を確保するだけではなく、倫理審査委員会の適切かつ継続的な運営が担保できるように、人事的な配置や、業務時間の確保等、事務局の体制を整備することも重要と思います。必要な人数や人員配置を国が一概に決めることではないのですが、倫理審査委員会の設置者が必要な事務局体制を整備するという考え方についても、今回のガイダンスで一歩踏み込んで示すことができたらよいと思います。そのような点を検討していただきたいと考えています。
 以上です。
【大須賀部会長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 藤田委員、お願いします。
【藤田委員】  ありがとうございました。いろいろ御説明いただいて、よく理解できました。患者・市民の視点を尊重するという点、これは全く重要な点でして、私もこれを否定するものではもちろんありませんし、iPS細胞研究所というところで、一般市民・患者さんに向けた様々な活動にも、組織的に取り組んでいるところであります。ただ、その上で、先ほど、こうした指針は非常に広い範囲の研究をカバーしているということだったんですが、例えば、臨床研究ですとか、地域の市民の方の組織をいただいてバンクにするとか、そういう場合に、患者・市民の視点を尊重しというのは、誰を対象に、何を目的にして、何をするのかということが非常に明確ではあるのですが、iPS細胞研究所のような、例えば、極めて基礎的な研究を行って生命のメカニズムを解明していくとか、そういった基礎研究を行っているような研究機関・研究者にとっては、何を目的に、誰を対象にして、どういったことを取り組めば、患者・市民の視点を尊重したことになるのかというのは、考えるのは非常に困難で、苦労しているところでもあります。なので、そういった研究も含まれているということを想定した上で、8枚目のスライドをお見せください。
 ガイダンス等で明確化する事項というところに、基本方針マル1に追記した「患者・市民の視点を尊重」の考え方について明記されるということですので、そういった多様な研究があるということを想定して、ここを明確化していただけると非常にありがたいなというふうに思いました。
 以上です。
【大須賀部会長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 じゃ、ここまでのところを事務局からお願いします。
【永川安全対策官】  事務局でございます。
 片野先生のほうから、事務方といいますか、倫理指針、大学の事務方についても、様々な点、ガイダンスでできる限り、位置づけというか、補足したほうがいいというようなお話だったかと存じます。そちらにつきましても、実際にタスク・フォースで議論をしていく中で、お話がありました点は伝えさせていただいて、具体的にどう書くかについては、タスク・フォースの中で議論をしていけたらと思っています。
 もう1点、藤田先生からお話がありました患者・市民の視点という点で、基礎的研究の対象は誰を対象としたものかというところは、御参考までに伝えさせていただきますと、6月の会議のときにガイダンスでどう明確化するかという話をしました際に、例えば、AMEDのほうで既に研究への患者・市民参画というようなウェブサイトを作っておりまして、そういったものを参考にするというような話をガイダンスには入れていって、より具体的なところが分かるようにというふうに進めるような話が出ておりました。患者・市民というのは、患者家族、元患者(サバイバー)、未来の患者、研究参加経験のある者、その他、研究によって影響を受ける幅広いコミュニティなどが考えられるというような話もそのときにはされておりまして、そういった点も、基礎的研究の部分、臨床の部分、この指針は幅広く含むところとなっていますので、できる限り、実際に使われる方が分かりづらいなとならないように、エッセンスをガイダンスのほうには入れていけたらというふうに考えております。
 以上でございます。
【大須賀部会長】  ありがとうございます。
 以上について、よろしいでしょうか。
 特にないようでございましたら、本日のところは資料案のとおり了承ということとさせていただきますが、特に御反対の方はございませんでしょうか。
 異議なしということで進めさせていただきます。ありがとうございます。
 事務局においては、指針改正の手続を進めていただければと思います。
 また、吉田委員、ほかの委員の先生方からの意見は貴重でございますので、事務局においては、本日の部会の意見を関係省庁やタスク・フォースにしっかりとお伝えいただきますよう、お願いします。
 それから、吉田先生にお願いしたいんですが、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する専門委員会の主査として、今後開催予定のタスク・フォースにもメンバーとして御参加いただき、本日の部会での意見も踏まえて議論が進むようにしていただければと思います。
 よろしいでしょうか。先生、どうもありがとうございます。
 それでは、次に、議題(2)、ヒトゲノム編集胚等の取扱いの規制に関する法律についてです。
 事務局より御説明をお願いします。
【永川安全対策官】  事務局でございます。資料62-2を御覧ください。本年1月に本部会に御報告させていただきました、ゲノム編集技術等を用いたヒト受精胚等の取扱い等に関する合同会議での「議論の整理」を基に、厚生労働省、こども家庭庁及び文部科学省では、ヒトゲノム編集胚等の取扱いの規制に関する法律(案)を第221回特別国会に提出しておりまして、今般、国会での審議を経て、7月17日に成立、24日に公布に至りましたところです。こちらの法律の概要を御報告いたします。
 本法律の趣旨でございますが、ヒト胚またはヒト生殖細胞に対してゲノム編集技術等を用いることが予測し得ない遺伝子改変をもたらす可能性があり、ヒト胚及び人の発育に重大な影響を及ぼすおそれがあることなどに鑑み、ヒトゲノム編集胚等を人または動物の体内に移植することを原則として禁止するとともに、ヒトゲノム編集胚等の作成、譲受け及び輸入並びに使用を規制するなどの措置を講ずることを目的としたものでございます。
 柱としては主に二つでして、ヒトゲノム編集胚等の人等への胎内移植禁止、二つ目としてヒトゲノム編集胚等の適正な取扱いの確保でございます。こちらのヒトゲノム編集胚等の定義としましては、※1になりますけども、ゲノム編集技術等が用いられたヒト胚・ヒト生殖細胞(クローン技術規制法で規定する特定胚を除く)というものでございまして、ゲノム編集技術等については、※3になりますが、記載のとおり、政令で定めるということとされております。
 本法律の施行期日は、公布から1年後ということで、令和9年7月24日ということになります。
 2ページ目を御覧ください。国による規制の全体像について補足をしますと、胎内移植の禁止とは、ゲノム編集技術等を用いて加工されたヒト胚・ヒト生殖細胞については、人・動物の胎内への移植を禁止するというものでございます。なお、こちらには例外規定がございまして、「動物の胎内への移植であって、胎盤の形成を開始する可能性がないものとして政令で定める要件に該当する場合はこの限りではない」とされております。
 一方で、このように胎内移植は原則禁止となりますが、適正な取扱いの確保がされておりましたら、本法律に基づき、基礎的研究を行うことは可能となるものでございます。具体的には、取扱計画書を作成し、研究者等はあらかじめ国に届け出ていただくこととなります。取扱計画書の届出受理日から60日が経過した後でなければ、ヒトゲノム編集胚等の作成、譲受け、もしくは輸入または使用をしてはならないこととされています。なお、こちらについて、届出に係る事項の内容が相当であると主務大臣が認めるときは、この60日間を短縮することができるとされているところです。このほか、個々の研究における取扱記録の作成・保存等の規定もございます。具体的なヒトゲノム編集胚等の取扱いについては、国が指針を策定し、その指針に従って行わなければならないこととされております。こちらは本法律に基づく告示として定められるものでございます。この指針の策定・変更に当たっては、CSTIの意見を聞くこととなっております。また、国は、報告徴収、立入検査、改善措置命令を行うことができることとなっております。
 胎内移植の禁止や、取扱計画書の届出義務、報告徴収等への対応義務などに違反した場合には罰則の対象となり、最も厳しいものとして、胎内移植禁止の規定に違反した場合、違反者は10年以下の拘禁刑や1,000万円以下の罰金に処されることとなります。
 こちらが本法律の概要となりますが、政令や告示で定められるもの、そして、届出様式などの省令で定められるものにつきましては、今後、厚生労働省、こども家庭庁及び文部科学省の専門委員会で構成されます、ゲノム編集技術等を用いたヒト受精胚等の取扱い等に関する合同会議にて、施行が1年後となっておりますことから、周知期間も含めて、それまでに議論し、公布するという予定となっております。
 3ページを御覧ください。こちらは、国会での本法案の可決の際に、法律案に対して付された附帯決議でございます。附帯決議のうち、合同会議で議論いただくものと関連する部分を太字としております。今後、合同会議において検討を進めてまいりますが、それらの状況につきましては、またこうした形で御報告してまいりたいと考えております。
 事務局からの御報告は、以上となります。
【大須賀部会長】  ただいまの説明に関して、御質問等がございましたら、お願いします。
 米村委員、お願いします。
【米村委員】  東京大学の米村です。2点ほどお伺いいたします。従来、生命倫理・安全部会で承認して施行されているヒトゲノム編集胚を作成・利用する研究に関する指針がありますが、この法律が施行された後には、そちらの指針ではなく、この法律に基づいて全て取扱いがなされるという整理になったということなのでしょうか。それが、まず1点目のお尋ねです。
 その上で、2点目ですが、現在、指針に基づいて行われている研究について、この法律に基づく研究に切り替わるということになると、それに当たっての特別の手続のようなものが新たに必要となるのかどうか、その辺りも併せてお尋ねしたいと思います。
 以上です。
【大須賀部会長】  事務局、お願いします。
【永川安全対策官】  一つ目の現行の指針のものはこの法律施行後にどうなるかということでございますけれども、この法律については、これから、ゲノム編集技術等の範囲を政令で定めて、法律の対象となる範囲を決めていくところでございます。現行の指針が対象としているものでも、法律において対象となりましたら、そちらについては、もう指針の対象ではなくて、施行後は法律でやっていくということになります。何が対象になって、何の指針が残るのかという部分については、これから政令の範囲が決まる中で決まっていくというところでございまして、ですので、法律が決まった段階で指針の対象から外れる部分が出てきたら、当然、指針の改正というところも、こちらと併せて行っていくというような予定でございます。こちらが一つ目です。
 二つ目の切り替わるタイミングでということで、おっしゃるとおりでございまして、こちらの法律が実際に施行されるタイミングで、これから範囲が決まるゲノム編集技術等を用いて加工されたヒト胚・ヒト生殖細胞で実際に研究されている方々がいるというのは存じております。こちらの方々については、法律上、移行措置といいますか、そういったところも附則なんかに規定しておりまして、また、これから合同会議の中で、どういったものが移行措置として現行取り扱われている方に課されるのか、60日という扱いはどうなるのかとか、そういったところも資料を示してまいる予定でございますので、特に、研究者の方々への周知といいますか、きちんと知っていただくというところも含めて、これからきちんと、我々3省庁、連携してやっていきたいというふうに考えているところでございます。
【大須賀部会長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
【米村委員】  今の点に関して、よろしいでしょうか。
【大須賀部会長】  お願いします。
【米村委員】  私個人の意見ですけれども、従来、生命倫理・安全部会を中心として指針を整備して、ヒトゲノム編集胚研究のルール化を図ってきた背景には、ある程度、基礎研究の必要性と、ヒトゲノム編集の倫理的な問題性の双方を考慮して、適切な水準を見いだそうという考えがあったものと思います。今回の厚労省を所管庁とする立法というのは、基本的には臨床利用を規制することを中心的な課題として行っているものですので、臨床利用を規制する法律で基礎研究も併せて全部規制する形になるのは、私としては、やや納得しにくいところがあります。文部科学省はこの会議の事務局はお務めですけれども、今回の新たな立法については所管庁ではないという形になりますので、先ほど、事務局からは「連携して」というご発言がありましたが、しかし、所管庁でない立場で法律の施行に当たって具体的にどれぐらい影響を及ぼすことができるのかについては、やや疑問に思うところがございます。私としては、基礎研究の必要性が大きく害されることがないように、くれぐれもお願いしたいと考えております。今、法律施行に当たっての切替え手続のことを具体的な問題としてお尋ねしましたが、切替え手続のみならず、そもそも、この法律が施行されることによってクローン法と同じように非常に厳格な取扱い規制がされるということですと、基礎研究も満足にできなくなる状況が起こることもあり得なくはないわけでして、そういうことが起こらないように、きちんと政省令等におけるルールを適正化することをお願いしたいと思います。
 以上です。
【大須賀部会長】  事務局、お答えください。
【永川安全対策官】  本法律につきましては、厚生労働省、こども家庭庁、文部科学省の3省共管というものになっているものでございまして、特に基礎研究の部分、こちらは届出をしていただいて大臣が確認をするというような手続になりますが、生殖補助医療であれば、こども家庭庁なんかも入ったりするんですけれども、基礎的研究については文部科学省が担当するということで、我々、共管省庁ではございますので、当然、現場に、今、基礎研究をされている方に影響が出ないようにという観点で私どもは3省庁の会議にも参加してまいろうと考えておりますので、先生の御懸念はごもっともでございまして、その思いといいますか、きちんと私どもも受けて、しっかりと対応してまいりたいと考えております。
【米村委員】  ありがとうございます。よろしくお願いします。
【大須賀部会長】  ありがとうございます。
 ほかにはよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、最後に、議題(3)、その他に入ります。
 事務局より御説明をお願いします。
【永川安全対策官】  事務局でございます。資料62-3を御覧ください。本年3月23日に開催されました特定胚等研究専門委員会におきまして、卵割期ヒト胚における単一細胞解析の取扱いに関する整理の方針を御確認・御了承いただきましたので、こちらの概要を御報告いたします。
 近年、単一細胞解析は細胞一つ一つの遺伝子発現やゲノム情報等を精緻に分析できる手法として国際的に広く活用されておりまして、卵割期のヒト胚についても単一細胞解析が各国で実施されているところでございます。
 一方、我が国では、クローン規制法で規定される特定胚の一つに「ヒト胚分割胚」がございます。この「ヒト胚分割胚」は、特定胚指針において作成することができる特定胚から除かれておりまして、作成が認められていないところです。卵割期ヒト胚における単一細胞解析について、クローン規制法の「ヒト胚分割胚」に該当するかどうかが明示的ではないというところから、その取扱いについて整理を行ったものでございます。
 整理の方針としましては、卵割期のヒト胚の単一細胞解析では、分割後の細胞の全てを直ちに失活させることが想定されるため、分割した細胞を直ちに解析に供するとともに失活させるなど、一つの個体に成長する可能性がないように所要の措置を講じているのであれば、卵割期のヒト胚から一つの細胞を分割して単一細胞解析のみを行う操作は、「ヒト胚分割胚」の作成には該当しないというものでございます。
 こちらの方針で特定胚等研究専門委員会において了承されまして、本部会への御報告後に周知を行っていく予定でございます。
 事務局からの御報告は、以上となります。
【大須賀部会長】  ありがとうございます。
 ただいまの説明に関して、御質問等がございましたら、お願いいたします。
 吉田先生、お願いします。
【吉田委員】  1点だけ、確認させてください。今回の方針の中で「所要の措置を講じているのであれば」というのは、どのような形で確認されるのか、その点は今後の検討事項なのかこれについてお教えいただけますか。
【大須賀部会長】  お願いします。
【永川安全対策官】  事務局でございます。こちらは卵割期のヒト胚の単一細胞解析では分割後の細胞の全てを直ちに失活されることが想定されるという前提で作成しました方針でございまして、基本的にはそういうふうにされるというふうに、私どもとしては考えているところではございます。こうしたことから、今のところ、特に追加の何かというのは考えてはいないという状況ではございます。
 以上でございます。
【大須賀部会長】  よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 特にないということでございましたら、本日予定していた議事は以上となりますが、本日予定していた議事等以外に、委員の皆様から何かございましたら、御発言等をお願いいたします。
 よろしいですか。
 そういたしますと、最後に、事務局から連絡事項があれば、お願いいたします。
【葛谷室長補佐】  本日は、ありがとうございました。次回の開催につきましては、改めて御連絡させていただきます。
 本日はYouTubeによるライブ配信にて公開させていただいておりましたが、後日公開する議事録が公式な記録となります。本日の議事録につきましては、事務局にて案を作成後、委員の皆様にお諮りし、部会長の確認を得た後に当省のホームページにて公開させていただきます。
 以上でございます。
【大須賀部会長】  そういたしますと、本日の生命倫理・安全部会はここまでとなりますので、閉会いたします。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

お問合せ先

研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室

電話番号:03-5253-4111(内線4108)
メールアドレス:lifseime@mext.go.jp