令和7年8月6日(水曜日) 15時00分~17時00分
WEB会議
大須賀部会長、深見部会長代理、秋元委員、大岡委員、尾畑委員、片野委員、久慈委員、小板橋委員、佐原委員、竹田委員、戸田委員、西村委員、藤田委員、八代委員、吉田委員、米村委員
木村安全対策官、橋本室長補佐
【大須賀部会長】 定刻となりましたので、ただいまから、科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会、第59回を開催させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜り、ありがとうございます。
まず、事務局より、本日の委員の出席等の連絡事項の確認をお願いいたします。
【橋本室長補佐】 事務局でございます。文部科学省研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室の橋本でございます。
本日は、WEBを併用して会議を開催しております。会議の内容はYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきください。
本日は、16名の委員の皆様方に御出席をいただいており、定足数を満たしております。佐原委員と戸田委員におかれましては、途中退席との連絡をいただいております。
続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。オンラインにて御出席の委員の皆様におかれましては、事前にお送りさせていただきましたPDFファイルにて資料を御覧ください。配付資料といたしましては、資料の59-1-1から1-5、資料59-2と資料59-3の7点、また、参考資料が1から3の3点となってございます。御不明な点等ございましたら、事務局までお知らせください。
また、オンラインで御出席の委員の皆様方におかれましては、御発言時以外はマイクをミュート設定にしていただくとともに、御発言がある場合には、挙手ボタンでその旨をお示しいただき、部会長の指名の後に御発言をお願いいたします。なお、会議の中で御発言をいただく際は、お名前をお伝えいただき、その後に御発言をお願いできればと思います。また、システム障害などがあった場合は、チャットなどで事務局へ御連絡ください。
事務局からは、以上でございます。
【大須賀部会長】 それでは、議題(1)、総合科学技術・イノベーション会議生命倫理専門調査会報告を踏まえた関係指針の見直しについてに入ります。
総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)生命倫理専門調査会報告を踏まえた関係指針の見直しとして、本日御審議いただく案件は2件ございます。
1件目は、昨年11月にCSTI生命倫理専門調査会で取りまとめられたヒト胚モデルの取扱いに関する報告書を踏まえ、特定胚等研究専門委員会において、本年2月から関係指針の見直しの検討を行ってきました。本日は、その検討結果として、関係指針の改正案について、事務局から御説明いただきます。
2件目は、本年7月24日に開催されたCSTI生命倫理専門調査会において、ヒト幹細胞から作成される生殖細胞の受精を認めることについて、報告書が大筋取りまとめられました。その報告書では、関係省庁において関係指針の見直し等の検討を行うことが求められております。本日は、その検討に当たって、まずは報告書の内容について事務局から説明を受けたいと思います。
ということで、まずは1件目について、事務局より説明をお願いいたします。
【木村安全対策官】 事務局でございます。ヒト胚モデルの取扱いに関する報告書を踏まえました関係指針の改正案について、御説明をいたします。
資料59-1-1を御覧いただければと思います。1枚めくりまして、まず、これまでの経緯につきまして、改めて御報告をさせていただきます。近年、ヒト生殖細胞を用いることなく、ヒトES細胞やiPS細胞等からヒト胚に類似した構造物であるヒト胚モデルを作成する研究が行われております。その取扱いに関しまして、昨年の11月に、CSTI生命倫理専門調査会におきまして、「ヒト胚モデルの取扱いについて」との報告書が取りまとめられております。その報告書の中では、この点線の囲みの中の五つのルールを関係指針の中に盛り込むようにということで、関係省庁に対して求める内容となっております。まず、一つ目といたしまして、倫理審査委員会による審査や国への届出。二つ目といたしまして、ヒト胚モデルをヒト胎内や動物胎内に移植しないこと、ヒト胚モデルから個体産生をしないこと。三つ目といたしまして、個々の研究において研究計画書に科学的目的を達成するために必要な範囲で最小限の培養期間を設定し、倫理審査委員会で審査すること。四つ目といたしまして、研究機関は研究成果の公開を行うこと、研究実施者は、あらゆる機会を利用して、研究に関する情報提供を行うとともに、国民の理解を深めるための普及啓発に努めること。五つ目といたしまして、iPS細胞等を由来とするヒト胚モデルにつきましては、いわゆる生命・医学系指針にのっとったIC(インフォームド・コンセント)を取得する、またはオプトアウトの手続を行うこと、といったことでございます。
こういった内容につきまして、米印のところに小さく書かれておりますが、文科省などが所管いたします、関連する指針にこうしたルールを設定していく、ルールの見直しをするということが妥当とされているものでございます。こういった報告書を受けまして、文部科学省の特定胚等研究専門委員会におきまして、指針の具体的な改正案について検討をしてきたものでございます。
1枚おめくりください。関係する指針の一つ目といたしまして、「ヒトES細胞の使用に関する指針」がございます。ヒトES細胞に由来するヒト胚モデルの取扱いについて、規定を明確化していくための改正を行いたいと思っております。まず、第2条でございますが、ヒト胚モデルの定義を定めております。括弧の中でございますが、読み上げさせていただきますと、「ヒト幹細胞を分化させた細胞から作成する細胞群のうち、ヒト胚又はヒト胚に類する発生初期の細胞群の特性を示すものであって、ヒト胚ではないもの」と、定義をいたしております。読点で三つに区切られておりますが、最初の文節は、「ヒト幹細胞を分化させた細胞」とありますとおり、ES細胞やiPS細胞といったものを分化させて構成した細胞群ですよと。二つ目の文節では、ヒト胚又はヒト胚に類するという特性を示すといったことが記載されておりますとおり、ヒト胚ではないんだけれども、iPS細胞等を使って、それに類するような構造物を作るといったことが書かれております、最後に「ヒト胚でないもの」というのを明記していますのは、これあくまでモデルであってヒト胚ではないよねということがCSTIの報告書でも示されておりますし、また、この最後の文節がない場合、iPS細胞由来の生殖細胞を受精させてヒト胚そのものを作る、そういったものが読めてしまう形になってしまいますので、現状、他の指針において認められないものをここで認めることにならないように、ここでしっかりとヒト胚は認められないということを明記していくという形を取っております。いずれにしましても、こういった法律的な用語で定義をしておりますので、研究者の方々に新しい指針を周知していく際には、CSTIの報告書で示されていますような技術的な観点での参考情報も含めまして、周知に努めてまいりたいと考えております。
続きまして、第5条、禁止行為でございます。もともとこちらの規定にはES細胞由来の生殖細胞を受精させないことといった禁止事項がございますけれども、そこの禁止事項に一つ付け加まして、ES細胞由来のヒト胚モデルの胎内移植及び個体産生の禁止を規定していまして、これによりまして、先ほどお示ししたCSTIが求めるルールの2番に対応していけるものと考えております。
続いて、11条でございます。使用機関の長の了承ということで、研究者がヒト胚モデルを使って研究をしたいというときには、使用計画書を作成いたしまして、その内容について使用機関の長の了承を求める。その際には、機関内の倫理審査委員会で審査をするといったことになりますけれども、その使用計画書の中に、ヒト胚モデルの培養期間と、その培養期間が研究目的を達成するために必要最小限であることの説明を追加しております。こうしますことで、他の条文を直さなくても倫理審査委員会での審査が進むとか、あるいは国への届出があるといったところは担保できる形となっております。
続きまして、18条、19条の2でございます。こちらの指針はもともと、ES細胞を他の機関に分配する場合、あるいはES細胞から分化して作成した細胞を他の機関に譲渡等する場合の手続について規定している条文がございます。その中で、分配先においても、ヒト胚モデルを作った場合には胎内移植をしないでくださいね、個体産生をしないでくださいねというのをしっかり相手に求めてくださいといった規定がございます。こちらのほうも改正が必要であろうということで処置をしております。
そして、第20条でございますが、研究成果の公開としまして、研究者等が研究の情報提供を行うとともに、普及啓発に努めることを規定しております。
こうした表の中の改正によりまして、CSTIから求められております、2、3、4のルールには対応しております。残りのルールにつきましては、もともとのES細胞使用指針を改正しなくても対応できているものと考えております。一つは、第12条、第13条でございますが、倫理審査委員会における意見聴取や文部科学大臣への届出、もう一つは、最後の行でございますが、IC手続に関する規定はもともとございますということでございます。
1枚おめくりいただきまして、次は「ヒトiPS細胞又はヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針」についてでございます。iPS細胞等からヒト胚モデルを作成する場合につきましては、こちらの指針が適用されることとなります。ほとんどがES細胞の場合と同じ改正内容になりますが、やや相違点がございますので、その点について御説明をさせていただきます。
まず、先ほどのES細胞使用指針につきましてはES細胞から作成するあらゆる分化細胞が指針の対象になっておりますが、こちらの指針につきましては生殖細胞を作成する場合に限って適用される指針になりますので、指針のタイトル自体が「生殖細胞の作成を行う研究」という文言になっております。このままですとヒト胚モデルに適用されるということが分かりづらくなってしまいますので、指針の名称自体を変更しようということで、具体的には、「ヒトiPS細胞等から生殖細胞又はヒト胚モデルの作成を行う研究に関する指針」と、名称の変更を考えております。また、第1条の目的規定も、生殖細胞作成に限った目的規定になっておりますので、ヒト胚モデル作成研究も読めるようにということで、修正をいたしております。その他、第2条の定義、第6条の禁止行為、第7条2の他の機関に譲渡する場合の手続、第11条の研究計画書の記載事項、さらに第20条の研究成果の公表につきましては、先ほどのES細胞の場合と同じ改正内容となっております。また、米印のルール事項のところも、同じ内容になっております。
最後でございます。表の下の「その他に」のところを御覧いただければと思いますが、こちらの指針につきましては、先ほど御説明したヒトES細胞使用指針との整合性を確保するための改正を実施しております。この後、御説明いたしますけれども、研究の内容によっては、iPS細胞とES細胞に由来するものを同時に使う場合もあるかと思いますので、そういった場合の機関内の手続等につきまして、指針と指針の間で文言が違っておりますと混乱を来すであろうということで、これらの指針、もともと由来が違いますので一部表現は異なっておりますけれども、事実上求めていることは同じですので、今回の改正を機に表現を改めてまいりたいと思っております。具体的には、第10条、11条、15条、16条の改正を考えております。また、こちらの指針、IC取得に際して電磁的な方法によるIC取得が認められていない形になっておりましたので、第17条を改正いたしまして、電磁的方法によるIC取得を可能とするという形を取っております。
おめくりいただければと思います。ここまで御説明したとおり、今回、二つの指針を改正してございます。こちらのペーパーの(1)(2)にございますとおり、ES細胞からヒト胚モデルを作成する場合にはヒトES細胞使用指針、iPS細胞等を用いてヒト胚モデルを作成する場合には生殖細胞作成指針が適用されますが、実際は、赤枠の中でございますけれども、両方の細胞を同時に使ってヒト胚モデルを作るような場合、あるいは一つの研究計画の中でそれぞれ作る場合といったようなことがあるかと思っています。そうした場合に、法制上は二つの指針が適用されることになりますが、例えば、機関内の研究計画書の作成ですとか、機関内における倫理審査委員会ですとか、あるいは国への届出、そういったものにつきまして、それぞれ二重でやっていただくというのはあまり合理的ではございませんので、そういったものを同時にできるようにということで、兼ねることができる規定というのを第22条のほうに設けております。これによりまして、法制上はあくまで二つの指針が適用されますが、実際に研究現場での手続等は一本化できるというふうに考えております。
おめくりください。続きまして、いわゆる経過措置の御説明でございます。今回、二つの指針を改正していくことになりますが、改正前から研究を実施している方々はどうすればいいかというところを経過措置として明記してまいりたいと思っております。
まず、表の上側、ES細胞について御覧いただければと思いますけれども、先ほど御説明しましたとおり、現状におきましても、ES細胞からヒト胚モデルの作成といいますのは、指針の中で明記はされていないものの、指針が適用されているという形になっておりまして、実際に、ヒト胚モデルの作成について、既に国への届出も頂いているところでございます。そうした方々につきましては、今回の指針の改正をもって改めて届出をしていただくというのはあまり合理的ではございませんので、従前の届出をもって新しい指針の下でも届出をしていただいたものとみなすといった規定を設けてございます。ただ、この場合ですけれども、いわゆる培養期間の検討というのが行われない形になっております。この場合、これまでの研究計画の下で研究をしていただいていますので、直ちに研究を止めて機関内審査をしていただくというのはあまり合理的ではございませんので、研究計画を変更する場合、黄色の丸で表現しておりますけれども、それまでの間はこれまでの計画にのっとって研究を進めていただき、研究計画変更の際に、機関内の審査、あるいは国への届出をしていただく、そういった規定を設けております。
続いて、表の下側、iPS細胞についてでございます。こちらにつきましても、今し方御説明したES細胞の場合と同じやり方でと考えておりますけれども、1点違いますのは、先ほども御説明しましたとおり、iPS細胞の場合は、現状、ヒト胚モデルを作る場合の届出は求めていませんので、ES細胞と違いまして国のほうで実態把握ができていない状況にございます。このため、機関内の審査を直ちにやり直していただく必要はございませんが、黒ダイヤで表現をしておりますけれども、国への届出を改正後直ちに行っていただく。その上で、研究計画を変更する場合には国への届出をいただくといった仕掛けを今回設けております。
最後、7ページを御説明いたします。ここまでヒト胚モデルの作成をする研究機関に適用される二つの指針の改正内容について御説明いたしましたが、このうち、ES細胞につきましては、他に関連する指針がございます。具体的には、一番上に書いております「ES細胞の樹立に関する指針」「ES細胞の分配機関に関する指針」の二つでございます。これらの指針は、ヒト胚モデルを作成する研究機関には適用されませんが、ES細胞を樹立する機関、あるいは樹立されたES細胞を他の機関に分配する機関に適用される指針でございます。今回、ES細胞の使用指針の改正内容をこれら二つの指針にも、いわゆるハネ改正ということで、反映させるための改正が必要になります。具体的には、先ほど御説明いたしました、ヒト胚モデルの定義、あるいはES細胞を海外機関等に分配する際の要件などにつきまして、これらの指針にも反映をさせたいと考えております。
また、今回の改正を機に、他のヒト胚関連の指針と内容を合わせるということで、マル1からマル3に書いた内容を指針の中に反映させていきたいというふうに考えております。
説明は、以上でございます。
【大須賀部会長】 ありがとうございます。
ただいまの説明に関して、御意見等がございましたら、お願いいたします。
米村先生、お願いします。
【米村委員】 御説明をありがとうございました。基本的には適切な形で指針の改正を御提案いただいているものと思います。1点だけ、やや技術的な点で恐縮ですが、指針間の整合性を図るということで記載の整備が行われている箇所についてお尋ねしたく思います。iPS細胞等からの生殖細胞作成指針の中で、「必要性」という言葉を「意義」という言葉に変えておられる箇所が何か所かあると思います。これはほかの指針で「意義」という言葉になっているということなのだろうと思いますが、「必要性」と「意義」では若干ニュアンスが違うような気もします。「必要性」と言うと、単に科学的な必要性ということではなく、社会的ないし倫理的な側面も考慮される可能性があるのではないでしょうか。倫理的側面が含まれるかどうかは定かではありませんが、しかし、少なくとも社会的な必要性としては、例えば、ある難病で苦しむ方がかなり大勢いらっしゃって、そういう方々が早期の治療法の開発を希望しておられるというようなことが含まれ得るのではないでしょうか。ところが、「意義」だとそのような社会的な要請の側面が含まれないかもしれない、というように思います。要するに、「意義」という表現では科学的な意義のみで完結してしまいそうな気がするので、そのような解釈の違いが起こり得ないのかというところをお尋ねしたいと思います。
以上です。
【木村安全対策官】 ありがとうございます。この「意義を有すること」という言葉を持ってまいりましたのは、まさに、今回、御議論いただいているES細胞使用指針のほうでも「意義」という言葉を使っておりましたので、同じヒト胚モデルに適用されるということで、今回、こちらの指針と合わせる形を取らせていただきました。恐らく、今の先生の御指摘というのは、「意義」と言ったときに科学的な意義だけが強調されてしまって、いわゆる社会的な必要性といったようなところがおろそかにならないのかということかなと思いますけれども、そこは、そういったことがないように十分周知が必要かなというふうに思っております。事務方としては、「必要性」から「意義」に直しても、当然、そういった社会的な必要性があるから研究する意義があるんだというような理解でおりましたけれども、誤解が生じるということであれば、そこは、誤解が生じないように、しっかりと運用に努めてまいりたいというふうに考えております。
【米村委員】 ありがとうございます。ぜひ、そのような形で周知に努めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【大須賀部会長】 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
いらっしゃらないようですか。
それでは、資料(案)のとおり了承することとさせていただきたいと思いますが、御異議がある方は御発言もしくは挙手をお願いいたします。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、最終的には、私のほうで事務局の検討結果を確認して、パブリックコメント等に向けた手続を進めていただくようにお願いしたいと思います。
続きまして、事務局より、2件目について、御説明をお願いいたします。
【木村安全対策官】 事務局でございます。「ヒト幹細胞由来生殖細胞受精胚報告書」について御説明をいたします。資料59-2を御覧ください。
7月24日でございますが、総合科学技術・イノベーション会議生命倫理専門調査会におきまして、ヒト幹細胞由来生殖細胞の受精を認めることについて、大筋、取りまとめがございました。まだ細部の文言調整があるということで正式な形でセットはされておりませんが、近い将来に報告書が公表される予定と、お聞きをしております。
この報告書の中では、ヒト幹細胞由来生殖細胞を受精させたヒト幹細胞由来生殖細胞受精胚は、ヒト受精胚の基本原則に従った取扱いを行うことが妥当とされ、以下の取扱いが必要とされております。具体的には、研究目的を生殖補助医療研究や遺伝性・先天性疾患研究などに限定すること。研究計画について、研究機関の倫理審査委員会による審査と、国による指針適合性の確認を受けること。ヒト幹細胞由来の生殖細胞や受精胚の作成は研究に必要な最小限の数とし、培養期間を14日までとすること。作成をしたヒト胚をヒトや動物の胎内に移植することは禁止すること。また、ヒト胚に関連する研究の倫理審査につきまして、国の審査体制の見直しや関係学会との協力についても求められているところでございます。これらの内容を踏まえまして、今後、特定胚等研究専門委員会におきまして、これは正式にCSTI生命倫理専門調査会の報告書が取りまとめられた後でございますけれども、関係指針の見直しの検討を進めてまいりたいと思っております。
まだ正式に報告書が出ておりませんので見直しのイメージということで図示をしておりますけれども、左側を御覧いただきますと、現状、ES細胞の樹立指針や使用指針、また、生殖細胞作成指針におきまして、ES細胞やiPS細胞等から生殖細胞を作成する研究というのは認められておりますけれども、それらを受精させるということは禁止をされておりますので、CSTI生命倫理専門調査会の報告書が正式に出された後には、こういった禁止の規定について見直していくための指針の改正が必要になってくるというふうに考えております。
また、受精の禁止に係る規定を取り除いた後、受精させた後のヒト胚の取扱いはどうなのかというところにつきましても関連する指針の見直しが必要になってまいるというふうに考えておりますし、そういった指針の見直しに際しましては、審査体制等の見直しも必要になってくると考えております。
こうした関連する指針につきましては、文部科学省だけではなくて、他省庁との共管になっておりますので、具体的な改正内容や改正スケジュールといったところにつきましては、CSTI生命倫理専門調査会の正式な報告書が出た後、事務的に調整をした後に、先生方にも御相談をしながら進めてまいりたいと思っております。
御説明は、以上でございます。
【大須賀部会長】 ありがとうございます。
ただいまの説明に関して、御質問等ございましたら、お願いいたします。
よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、本報告書が正式に取りまとまりましたら、今後、関係する委員会において、本報告書を踏まえた関係指針の見直し等について具体的な検討を進めていくこととさせていただきたいと存じます。
それでは、続きまして、議事(2)「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の見直しの状況についてということであります。事務局から、御説明をお願いいたします。
【木村安全対策官】 事務局でございます。「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の見直しの状況について、御報告をいたします。資料59-3を御覧ください。
この「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の見直しにつきましては、文部科学省、厚生労働省、経済産業省において、本年2月から生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議を立ち上げまして、検討をしてきたものでございます。今年2月の合同会議の立ち上げの前に、こちらの部会のほうでも、今後、検討していきますという御報告をしていたところですけれども、その後の検討状況につきまして、御報告をさせていただきます。
1ページ目の青枠の中でございますが、まず、2月12日に第1回合同会議を立ち上げておりまして、そこの中で、指針の見直しに着手をし、課題について意見交換を実施しております。また、個人情報保護委員会事務局より、個人情報保護法のいわゆる3年見直しに係る検討の状況について、説明を受けております。この個人情報保護法のいわゆる3年見直しに関連いたしましては、報道ですとか、あるいは個人情報保護委員会のホームページにも掲載されておりますけれども、現時点で具体的な法案の見直しが国会でなされるとは聞いておりませんが、様々なステークホルダーとの間で意見交換を進めている状況とお聞きをしております。
続いて、第2回の合同会議を4月に開催いたしております。第1回の意見を踏まえまして、今後の議論について、こちらにある四つの論点を中心に検討を進めることとしております。一つ目といたしまして個人情報保護法等との関係、二つ目といたしまして倫理審査委員会に係る意見、三つ目といたしましてIC等の手続に係る意見、その他の四つでございます。また、この第2回の会議では、こちらの部会にも御参画いただいています米村先生より、研究倫理指針に関する法的課題と改正の方向性について、ヒアリングを実施しております。
5月の第3回、6月の第4回と、引き続き検討を実施しているところでございまして、第4回の会議では、東京大学の武藤先生より、生命科学・医学系研究における患者・市民参画の推進方策について、また、東北大学の長神先生より、我が国のバイオバンクとその倫理指針上の位置づけについて、ヒアリングを実施しております。
現段階でも検討を進めている途中でございまして、今後も合同会議において検討を進めてまいりますが、それらの状況につきましては、またこうした形で御報告してまいりたいと思います。
2ページ目以降に、第4回の会議で使った資料がございますので、その一部について簡単に御説明をいたしたいと思います。
1枚めくりまして、先ほど四つの意見を中心に議論を進めていくとございましたけど、そのうちの二つ、個人情報保護法等との関係と、IC等の手続に関する意見でございます。これまでの合同会議の中では、特に赤字のところでございますが、例えば、個人情報保護法との関係では特にIC手続の複雑さが指摘されていますので、個人情報保護法の規定と読み合わせをしながら、ICの手続の在り方を中心に議論してはどうかといったような意見がございました。また、そのICの手続に関しましては、複雑なこともありますので、フローチャートを参照しながら検討を進めまして、概要が決まった段階で条文の修正作業を実施してはどうかといった意見もございました。
おめくりください。こちらは、米村先生のプレゼンテーション資料を頂いておりますけれども、こちらの指針、倫理原則と異なりまして、法律上の義務は絶対的な遵守が求められている。異質なルールが倫理指針の中に書き込まれている結果、複雑な場合分けが発生しているのではないか。個人情報保護法の規定をそのまま書き込んだ結果、個人情報保護法の改正のたびに指針改正が余儀なくされていて、頻繁な改正により現場に混乱が生じていないか。また、本当は倫理的な問題もしっかりと倫理審査委員会で議論すべきなのですけれども、個人情報保護法だけが重要、個人情報保護法さえ守っていればいいと、個人情報保護法ばかりが重視されているのではないか。そういった誤解が生じていないかといったような御指摘もございました。
おめくりください。同意手続の在り方でございますけれども、現行、倫理指針におけるICにつきましては、文書ICのほかに口頭ICというICもあります。特に口頭ICにつきましては、20以上ある説明項目を全て口頭で説明し、口頭で同意を受けることは、通常の研究実施において現実的ではないのではないかと。また、同意の在り方としましては、これら二つのICのほかに「適切な同意」という項目もありまして、この「適切な同意」も含めますと三つの種類の同意取得の在り方がある。そういったところを一から勉強するのは、現場では負担が生じていないかといった御議論もございました。
おめくりください。ここまで御説明させていただいたような御意見も踏まえまして、今、合同会議の中では、研究を三つの類型に分けまして、その類型ごとにICの手続や倫理審査委員会の在り方を形づくっていけないかという議論が進んでおります。侵襲・介入を伴う研究につきましては、文書IC、倫理審査については通常審査。試料を用いる研究につきましては、試料を新規取得する場合はICを取るのですけれども、既存の場合はオプトアウト等で対応し、倫理審査は迅速審査ではどうか。情報のみを用いる研究につきましては、要配慮個人情報を新規取得する場合は文書ICですけれども、ほかの場合はオプトアウト等で、倫理審査についても迅速審査でどうか。こういった議論が進んでいるところでございます。
おめくりください。先ほど御説明しました同意取得の在り方につきましても、現行は、上の青の表にありますとおり、文書IC、口頭IC、適切な同意と、三つありますけれども、それを、下の赤枠にありますとおり、文書ICと。この場合はもはや文書ICの「文書」という文言も要らないのではないか、ただのICでいいのではないかといった御意見もございましたが、いずれにしましても、一本化できないか。その場合、特に文書ICと言った場合、紙でやるんだという誤解を受けがちかもしれないですけれども、当然、電子的方法も認められるし、例えば、ウェブサイトやタブレットを見せながら口頭で補足するといったようなやり方も認められるかと思いますので、そういったところは丁寧に現場に説明していくべきではないかといった意見が出ているところでございます。
おめくりください。次に、倫理審査委員会に係る意見についてでございます。上の青枠の中を御覧いただければと思いますけれども、特に一括審査につきましては、既にこちらの指針の中でも原則一括審査となっている状況ではございますが、なかなか導入も進んでいないということで、一括審査等の課題についての是非や、現場での運用を支援する策を検討していってはどうか。また、倫理審査委員会における倫理審査の種別、本審査、迅速審査といったような、対象ですとか、変更申請の範囲について、改めて整理をしてはどうかといったような御議論がございました。この2番目に関しましては、先ほどの表でお示しをしたとおりでございます。
また、一括審査の在り方でございますが、次のページを御覧いただければと思います。現状も一括審査が原則となっておりますけれども、特に侵襲・介入の研究につきましては必須という形で進められないかという方向性で議論が進んでいるところでございます。他方、こういった議論の中で、倫理審査委員会のいわゆる審査の質のばらつきといったようなものがあるので、機関によってやり方が違うようなとこもあるのではないかといった御議論もございまして、倫理審査委員会の委員に対する教育・研修について強化していく必要があるのではないかといった御意見もございました。一番下に記載してございますけれども、例えば、侵襲・介入研究を審査するような倫理審査におきましては、臨床研究中核病院が開催する委員向けの研修を受講した委員を倫理審査委員会のメンバーに含めていただくといったことをガイダンスの中で示していけないかと、こういった議論も進んでいるところでございます。
以上が前回の合同会議での議論の内容でございますが、冒頭御説明したとおり、生命・医学系指針の見直しにつきましては、まだまだ合同会議で議論をしていくところでございますので、今後、こちらの部会にも御報告をしながら進めてまいりたいと考えております。
御説明は、以上でございます。
【大須賀部会長】 ただいまの説明に関して、御質問等がございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。
吉田先生、お願いします。
【吉田委員】 吉田です。ありがとうございます。
私もこの合同委員会のメンバーで、この議論はずっと中で拝見してきたのですが、確かに、見直しの方向性についてこのようにまとまっているということで、今後の議論、しっかりやっていきたいと考えているところです。
1点、これは確か、私も合同委員会の中で発言させていただいたかと思うんですが、最後のスライドのところの委員会の見直しの中で、一括審査を進めるという方向性は非常に進めていくべきだと思うのですけれども、同時に、委員会の質のばらつきと、あとは研究実施機関の実施許可に関する不適合が国内で今かなり頻発しているので、これが委員会の質の向上で何とかなるのか分からないのですが、この点についても多分考えていかなくちゃいけないかなというふうに、今ちょっと思い出した次第ですので、少しコメントをさせていただきました。よろしくお願いいたします。
【大須賀部会長】 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
私から事務局に1点お伺いしたいのですが、この会議というのは研究をするユーザーも結構入っているのですかね。実際の倫理審査委員を出す様々な研究者で、ユーザーの声をしっかりと聞いて見直しが行われているという理解でよろしいですね。
【木村安全対策官】 さようでございます。医学系、いわゆる医学界の先生方々、あと、製薬業界の方々、当然、大学の関係者等、幅広く御参画をいただいているところでございます。
【大須賀部会長】 ということです。いかがでしょうか。
米村先生、追加の御意見とかは、特にこの場ではなしということでよろしいですか。
【米村委員】 追加は特にございませんけれども、私の意見は、今、事務局からおまとめいただいたような内容でして、その点を今回はかなり重く受け止めていただき、改正の方向で検討が進んでいるものと思います。ぜひ、他の委員の先生方も御意見をお出しいただけましたら、反映される可能性もかなりあるのではないかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【大須賀部会長】 ありがとうございます。
小板橋先生、お願いします。
【小板橋委員】 ありがとうございます。これは釈迦に説法になってしまって大変恐縮なんですけど、インフォームド・コンセントとは、十分な説明の上での同意取得であり、メリット・デメリットを十分聞いた上で、同意しないという、断る権利もしっかりあるということを表明した上での自主的な同意を得るプロセスというコアの部分が、今までいろんな文言でICと略して記載することで本来の意味を忘れかけていたのかなというふうに思っていましたもので、見直しでこういう形でまとめられるというのはすごくいいことだなと思っております。基本は、先生方、既にその方向でまとめていらっしゃるとは思うんですけれど、同意を文書で取っておくのか、口頭でいいのかとか、そこの違いだけであって、十分な情報提供に基づくというところが引き続きしっかり守られていくように願っております。
以上です。
【大須賀部会長】 貴重な御意見をどうもありがとうございます。
他の委員の先生方はよろしいでしょうか。
一応、事務局に確認でございますが、この会議の議事録等々は省庁のホームページのほうに、既にまとまっているものに関してはアップされているという御理解でよろしいでしょうか。
【木村安全対策官】 合同会議の議事録等につきましては、関係省庁のホームページに順次アップしているところでございます。
【大須賀部会長】 詳しくお知りになりたい先生は、そちらのほうも御覧になっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
それでは、この御説明に関しましては、以上ということでございます。ありがとうございました。
それでは、議題(3)、その他です。本日予定していた議事は以上となりますが、委員の皆様から何かございますでしょうか。
よろしいですか。
それでは、最後に、事務局から連絡事項があれば、お願いいたします。
【橋本室長補佐】 事務局でございます。本日は、ありがとうございました。
次回の開催につきましては、改めて連絡させていただきます。
また、本日はYouTubeによるライブ配信にて公開させていただきましたが、後日公開する議事録が公式な記録となります。本日の議事録につきましては、事務局にて案を作成の後、委員の皆様にお諮りし、部会長の確認を得た後に、当省のホームページにて公開させていただきます。
事務局からは、以上でございます。
【大須賀部会長】 ありがとうございます。
本日は、どうもありがとうございました。猛暑が続いております。先生方におかれましては、どうぞ御自愛いただきますよう、お祈り、お願い申し上げます。
それでは、本日の生命倫理・安全部会を閉会いたします。
―― 了 ――
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