令和7年4月11日(金曜日) 17時00分~18時00分
WEB会議
大須賀部会長、秋元委員、大岡委員、尾畑委員、片野委員、小板橋委員、佐原委員、竹田委員、戸田委員、西村委員、深見委員、藤田委員、八代委員、吉田委員、米村委員
塩見研究振興局長、倉田ライフサイエンス課長、木村安全対策官、市原室長補佐、橋本室長補佐
【市原室長補佐】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会、第58回を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜り、ありがとうございます。
私、文部科学省研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室の市原と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。本日は第13期として最初の開催となりますので、部会長が選任されるまでの間、進行役を務めさせていただきます。
本日は、Webを併用して開催させていただきます。部会長の選任などの人事案件が終了するまでの間は非公開、その後の会議の模様につきましてはYouTubeにて配信する形で公開させていただきたく、御承知おきください。
議事に先立ちまして、本部会の委員の先生方の御紹介をさせていただきます。本日は、久慈委員より御欠席の連絡をいただいております。また、小板橋委員におかれましては、10分ほどの遅れというふうに伺っております。よって、16名の本部会委員の皆様のうち15名に御出席いただくこととなりまして、定足数を満たしております。なお、戸田委員におかれましては、17時50分頃に御退席との連絡をいただいております。
委員名簿ですが、資料58-1にございますので、その順にて委員の御紹介をさせていただきます。各委員におかれましては、簡単な自己紹介を一言ずつお願いできればと存じます。
それでは、委員名簿の順にて御紹介させていただきます。
立教大学法学部国際ビジネス法学科准教授、秋元奈穂子委員。
【秋元委員】 立教大学の秋元と申します。五十音順で一番先になり、恐縮です。英米法を専門にしておりますが、医事法分野についての日米の比較の研究を行っております。どうぞよろしくお願いします。
【市原室長補佐】 ありがとうございます。
続きまして、東京都医学総合研究所依存性物質プロジェクト主席研究員、大岡静衣委員です。
【大岡委員】 大岡静衣と申します。よろしくお願いいたします。私は、現在は疼痛関係の仕事をしておりますが、以前はウイルス関連の仕事をしておりました。よろしくお願いいたします。
【市原室長補佐】 ありがとうございます。
続きまして、帝京大学臨床研究センター、センター長・教授、医学部産婦人科学講座特任教授、大須賀穣委員です。
【大須賀委員】 大須賀でございます。私は産婦人科の医師でございます。また、研究者、教育者としてもこれまで活動しておりまして、産婦人科全般、特に生殖医療について、仕事をしてまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。
【市原室長補佐】 続きまして、東京農業大学生命科学部バイオサイエンス学科教授、尾畑やよい委員です。
【尾畑委員】 東京農業大学の尾畑と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私は、生殖生物学を専門としておりまして、主にはマウスを使って卵母細胞の培養などを行っています。そういった立場から関わっていければと思っております。どうぞよろしくお願いします。
【市原室長補佐】 ありがとうございます。
続きまして、東京科学大学統合研究院再生医療研究センター准教授、片野尚子委員です。
【片野委員】 東京科学大学の片野と申します。私は、もともと歯科医師で、研究者に転向した後は、遺伝子治療、そして、再生医療を主に、30年ぐらいやってまいりました。生命倫理の問題をしっかり学ばせていただき、尽力したいと思います。よろしくお願いします。
【市原室長補佐】 続きまして、東京医科大学客員教授、久慈直昭委員ですが、本日は御欠席です。
続きまして、日経BP総合研究所主任研究員、小板橋律子委員ですが、遅れての御出席ということで、まだ到着してございません。
続きまして、公益社団法人日本医師会常任理事、佐原博之委員です。
【佐原委員】 日本医師会常任理事の佐原でございます。私は、元々は消化器外科医で、現在は石川県の七尾市でクリニックや特養などの運営をしております。日本医師会では先端医療等の担当をしております。よろしくお願いします。
【市原室長補佐】 続きまして、東京大学大学院医学研究科教授、竹田誠委員です。
【竹田委員】 竹田です。私は、東大の医学部のほうで微生物学を担当しております。専門は、呼吸器ウイルスを専門にしております。どうぞよろしくお願いいたします。
【市原室長補佐】 続きまして、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター病院病院長、戸田達史委員です。
【戸田委員】 神経センター病院長、戸田でございます。私の専門は神経内科学または分子・ゲノム医学ということで、医師と臨床医であるとともに、ヒトゲノム等々の研究をしてまいりました。よろしくお願いします。
【市原室長補佐】 続きまして、大阪大学大学院人文学研究科准教授、西村高宏委員です。
【西村委員】 大阪大学の西村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。専門は、哲学、倫理学、臨床哲学になります。哲学的な観点から、命の取扱いの是非について考えてまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。
【市原室長補佐】 続きまして、国立研究開発法人国立成育医療研究センター研究所副所長、深見真紀委員です。
【深見委員】 成育医療センターの深見と申します。私は、小児科の分野から、先天性疾患・難治疾患の遺伝子解析、ゲノム解析、エピゲノム解析を行っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【市原室長補佐】 続きまして、京都大学iPS細胞研究所上廣倫理研究部門、部門長・特定教授、藤田みさお委員です。
【藤田委員】 京都大学の藤田みさおと申します。生命倫理学の研究をしております。もともと心理学を専攻しておりましたので、社会科学的な手法を使って、幹細胞研究ですとか、再生医療の問題について研究をしております。よろしくお願いいたします。
【市原室長補佐】 続きまして、藤田医科大学橋渡し研究支援人材統合教育・育成センター教授、八代嘉美委員です。
【八代委員】 八代でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私は、バックグラウンドといたしましては、造血幹細胞の研究ということをやってまいりまして、そうした幹細胞研究のバックグラウンドと同時に、科学技術社会論、いわゆるSTSと呼ばれている領域でございますけれども、そちらのほうで、再生医療、そして、幹細胞研究に関する社会的な課題等についても研究いたしております。どうぞよろしくお願いいたします。
【市原室長補佐】 続きまして、東京科学大学大学院医歯学総合研究科先進倫理医科学分野教授、吉田雅幸委員です。
【吉田委員】 東京科学大学の吉田でございます。私は、内科と、遺伝診療科での診療と、研究を主にやっております。ここ十数年ほどは、研究倫理・生命倫理の支援ということで倫理審査委員会周りにも関わっております。何とぞよろしくお願いいたします。
【市原室長補佐】 続きまして、東京大学大学院法学政治学研究科教授、米村滋人委員です。
【米村委員】 東京大学法学政治学研究科の米村と申します。私は、元は循環器内科を専門とする内科医でございますが、現在は、民法及び医事法を専門としております。医療関係の法律全般を研究テーマにしておりますけども、学者になって間もない時期から研究規制の問題を扱っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【市原室長補佐】 先ほど、遅れていらっしゃると申し上げた小板橋委員が御出席されましたので、小板橋先生からも、一言、お願いできればと思います。
【小板橋委員】 よろしくお願いいたします。日経BP総合研究所の小板橋と申します。専門は特にございません。素人として参加させていただければと思っております。ただ、医療系だったりの取材をずっと続けてきておりまして、メディアの人間でございますが、できるだけ一般の視点を大事にした委員として、意見を言わせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【市原室長補佐】 ありがとうございました。
次に、事務局の紹介をさせていただきます。
文部科学省研究振興局長、塩見でございます。
【塩見研究振興局長】 塩見です。よろしくお願いいたします。
【市原室長補佐】 研究振興局ライフサイエンス課長、倉田でございます。
【倉田ライフサイエンス課長】 倉田でございます。よろしくお願いいたします。
【市原室長補佐】 ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室長、木村でございます。
【木村安全対策官】 木村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【市原室長補佐】 そして、私、生命倫理・安全対策室室長補佐の市原でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
事務局を代表いたしまして、塩見局長より、一言、御挨拶を申し上げます。
【塩見研究振興局長】 それでは、失礼いたします。文部科学省研究振興局長の塩見でございます。本日は第13期の生命倫理・安全部会として最初の開催ということになりますので、一言、御挨拶を申し上げます。
委員の皆様におかれましては、御多用中にもかかわらず、本部会への御参画を賜りまして、誠にありがとうございます。本部会が扱うライフサイエンス分野におきましては、再生医療やゲノム医療などの実現に向けた期待も高まる中、様々な研究が実施され、技術が目覚ましいスピードで進展しております。同時に、このような研究を行うに当たりましては、人の生命に関わる研究をするという性格上、人間の尊厳でありますとか、生命倫理への配慮、また、安全性などにつきまして、国民や社会の理解と協力を得つつ進めることが求められております。
本部会は、ライフサイエンス分野における研究が生命倫理や安全の面で国民や社会の信頼を得ながら進められるよう、日々進歩する技術や知見を踏まえて必要なルールを検討いただくものでありまして、我が国におけるライフサイエンス研究の推進にとりまして極めて重要な役割を担っていただいていると考えております。
本日、この後、本部会で扱う主要事項について御審議をいただきますが、13期におきましては、昨今の科学技術・学術を取り巻く状況も踏まえながら、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)におきまして議論が行われております、ヒト胚の取扱いに関しての関係指針の見直しでありますとか、生命科学・医学系研究の倫理指針の見直しなどにつきまして、御審議をいただきたいと考えているところでございます。生命倫理・安全対策に関わる各種法令等の適切かつ円滑な運営を図るために、関係府省とも適宜連携をしながら進めていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
委員の皆様におかれましては、これらを含めた諸課題につきまして、幅広い観点から忌憚のない御意見を賜ればと考えております。お忙しい中とは存じますが、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
【市原室長補佐】 それでは、続きましては、配付資料の確認をさせていただきます。オンラインにて御出席の委員の皆様は、事前にお送りさせていただきましたPDFファイルにて資料を御覧ください。
資料58-1は、先ほど御案内しました委員名簿でございます。資料58-2-1から枝番で2-3までございますが、それぞれ、部会の関係規則、部会の運営規則(案)、公開の手続きについてでございます。資料58-3は、委員会の設置についての案でございます。資料58-4、58-5と、それぞれ議題に対する資料のほうを用意してございます。何か不明な点がございましたら、事務局までお知らせください。
また、進行上のお願いです。オンラインでの御出席の委員におかれましては、御発言時以外はミュート設定に、御発言の際には、挙手ボタンでお示しいただき、部会長の指名後に御発言をお願いします。なお、会議の中で御発言いただく際は、お名前をお伝えいただき、その後に御発言をお願いできればと思います。また、システム障害などありました場合には、事務局へ御連絡ください。
議題(1)について
部会長及び副部会長の選任について以下のように議事が進められた。
1.事務局から、部会長は科学技術・学術審議会令第六条第3項の規定により、科学技術・学術審議会の委員の互選により選任するものとされている旨の説明がされた。
2.部会長に大須賀委員が推薦され、決定した。
3.部会長から、部会長の補佐役である部会長代理として深見委員が指名された。
議題(2)について
生命倫理・安全部会の議事運営について、案のとおり決定した。
議題(3)、生命倫理・安全部会における委員会等の設置についてに入ります。
初めに、事務局から御説明をお願いいたします。
【市原室長補佐】 事務局でございます。資料58-3につきまして、説明させていただきます。こちら、第13期の生命倫理・安全部会における委員会の設置についての案でございます。こちらにつきましては、運営規則第3条第1項に基づき、部会の下に委員会を置くことができると規定してございます。それに基づきまして、今回、四つの委員会の設置を案としてまとめてございますが、基本的には、こちらは第12期と同じ委員会の構成でございます。
一つ目は、遺伝子組換え技術専門委員会。こちらにおきましては、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」に基づきます確認申請、その他、遺伝子組換え技術に関する専門的事項を調査検討事項としてございます。
二つ目は、特定胚等研究専門委員会。こちらですが、「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」に基づきます届出につきまして、該当する指針に対する適合性の確認に関すること、その他、特定胚の研究に関すること、また、ヒトES細胞に関すること、ヒトiPS細胞、ヒト組織幹細胞等の研究に関する専門的事項等につきまして、調査検討事項とさせていただいております。
三つ目でございますが、ヒト受精胚等を用いる研究に関する専門委員会。こちらですけれども、二つの指針、「ヒト受精胚を作成して行う研究に関する倫理指針」及び「ヒト受精胚の提供を受けて行う遺伝情報改変技術等を用いる研究に関する倫理指針」に基づきます研究計画等の指針への適合性の確認に関すること、その他、生殖補助医療及びヒト受精胚に遺伝情報改変技術等を用いる研究に関する専門的事項、こちらについて調査検討事項とさせていただいております。
最後の委員会になりますが、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する専門委員会でございます。こちらは、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に関します専門的事項、その他、医学系研究の生命倫理に関します専門的事項につきまして、調査検討事項として規定してございます。
なお、委員会の設置期間は、この部会と同様に、令和9年2月14日まで。さらに、この部会及び委員会の下に、特定の専門的事項を機動的に調査するために作業部会を置くことができるということを規定してございます。
事務局からの説明は、以上でございます。
【大須賀部会長】 ただいまの説明に関して、御意見等ございましたら、お願いいたします。
よろしいでしょうか。
それでは、資料58-3の案のとおりとさせていただきます。
事務局より、補足説明をお願いします。
【市原室長補佐】 事務局でございます。本日設置されます四つの委員会の構成員及び主査につきましては、運営規則に基づき部会長が指名することとされていますので、部会長の確認を得た後に、各委員会にて御報告させていただきます。よろしくお願いいたします。
【大須賀部会長】 それでは、続きまして、議題(4)、第13期科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会における主な検討事項についてに入ります。
初めに、事務局から関係資料の説明をお願いします。
【木村安全対策官】 事務局でございます。第13期科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会における主な検討事項について、御説明をいたします。資料58-4を御覧ください。
まず、1番といたしまして、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の生命倫理専門調査会の報告書を踏まえた関係指針の見直しについてでございます。
一つ目といたしまして、昨年11月に生命倫理専門調査会で取りまとめられました「ヒト胚モデルの取扱いについて(中間まとめ)」において示された見解を踏まえまして、ヒト幹細胞から作成されるヒト胚に類似した構造物である「ヒト胚モデル」の取扱いについて、見直しの検討を引き続き実施してまいります。こちらは、第12期の期間中でございますが、2月10日に、CSTIの報告を踏まえまして、1回目の会議を開催してございます。そちらの会議では、 生命倫理専門調査会の報告書の内容を御説明した上で、今後、事務局のほうで必要な改正の内容について整理をしていくという形になっておりまして、こちらは第13期の中で本格的な見直しの検討を進めてまいるものでございます。
二つ目といたしまして、現在、CSTI生命倫理専門調査会において、ヒトの幹細胞から作成されるヒト生殖細胞を用いるヒト胚の作成について、検討が進められております。今後、 生命倫理専門調査会で報告書が取りまとめられた際には、その報告書の内容を踏まえて、関連する指針の見直しについて検討を行ってまいる所存でございます。
2番といたしまして、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の見直しについてでございます。こちらの指針につきましては、生命科学・医学系の研究を実施するに当たりまして、例えば、インフォームド・コンセントを取ることですとか、あるいは、研究の計画につきまして機関内のIRBで審査をすることですとか、そういったことが決められている指針でございますが、今年の2月に文部科学省、厚生労働省及び経済産業省による生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議を設置いたしておりまして、この指針の見直しの検討をスタートしてございます。こちらも2月12日に開催したものでございますが、今後、この第13期の下で合同会議を開催いたしまして、本格的な見直しに向けた検討を進めてまいる所存でございます。
上記1番と2番のほかにも、ライフサイエンスにおける生命倫理及び安全の確保に関する動向等を踏まえまして、必要に応じて調査・検討を随時実施してまいる所存でございます。
説明は、以上でございます。
【大須賀部会長】 御説明、ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明を受けまして、ここで、本部会における審議事項への御意見や、今期の部会開催に当たり期待されることなど、委員の皆様からコメントをいただきたいと思います。
いかがでしょうか。何か、御意見ございますでしょうか。挙手いただくか、直接御発言なさってもいいですけれども、よろしいですか。
ありがとうございます。それでは、第13期における主な検討事項については、資料58-4の案のとおりとさせていただきます。
ということで、今期の議論をそれで進めていきたいと思います。今後、各専門委員会において審議等を進めていただき、適時、本部会に御報告・お諮りいただく形で進めてまいりたいと存じます。
続きまして、議題(5)に移ります。「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の見直しの状況についてに入ります。
事務局より、説明をお願いいたします。
【木村安全対策官】 事務局でございます。「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の見直しの状況について、御報告いたします。先ほどの資料58-4でいきますと2番のところに相当するものでございますが、具体的には、資料58-5のほう、中身を御覧いただければと思います。
先ほど申しましたとおり、生命・医学系指針の見直しにつきましては、2月12日に3省庁合同の会議をキックオフし、検討をスタートしているところでございます。こちらの資料58-5は、2月12日の会議におきまして本当に様々な御意見をいただいているところでございまして、一旦、そういった様々な御意見を類型化したといいますか、事務方のほうで整理をしたものでございます。
まず、一つ目の御意見といたしまして、個人情報保護法との関係に関する意見を多数いただいております。主なところでいきますと、一つとしては、一般法である個人情報保護法に加えまして、倫理指針にのっとって研究する場合には実質的に上乗せの規定が設けられていることから、個人情報保護法と倫理指針での差分や関係性を分かりやすく整理してほしいと。その上で議論をしていくべきではないかといったような御意見をいただいております。また、これまでの指針改正では個人情報保護法に合わせることを中心に議論されていたところを、倫理指針は、医療情報の取扱いだけでなく、研究の視点で納得のできる指針を目指すべきではないかといったような御意見。また、ある程度、法律で規律が担保されているところについては、上乗せでの規制する意味はないのではないか。指針の在り方も含めて、その是非も検討する必要があるのではないか。そういった御意見をいただいております。
また、二つ目といたしまして、倫理審査委員会に関する意見をいただいております。一つとしては、一括審査を推進するに当たり、倫理審査委員会の事務局の体制やその充実について、実態の調査を踏まえた上で検討が必要ではないかといった御意見。また、倫理審査において配慮、注意すべき点など、チェックポイント(審査の視点)について整理すると現場での運用がしやすいのではないかといったような御意見。また、審査の免除について、日本では医療系の学会報告や論文投稿の際に倫理指針を必須としている状況も踏まえて、調整していく必要があるのではないか。指針が適用される研究か否かについて、関係者が判断しやすい記載にしたほうがよい。倫理審査の必要な研究の範囲について明確化することで、本当に倫理審査が必要な研究にリソースが集中するようにすべきといった御意見。また、事務負担や一括審査を引き受ける機関の負担が増えているといったような御意見もいただいております。
三つ目といたしまして、インフォームド・コンセント(IC)等の手続に関する御意見をいただいております。ICの手続が複雑化しているため、簡素化すべき。また、個人情報保護法上の用語は現場での理解が難しいこと。外国提供の際のICの手続きを明確化すべき。また、個人情報保護法に引きずられない倫理の側面からも対応できる形にしていくべき。同意説明は、研究者である医師以外の身近な者も手伝っている印象があるが、当該者も含め適切な説明ができているのかといった御意見。また、現場での運用面に係る御意見になってまいりますが、救命救急に関する同意取得の例外規定では、急性期の臨床試験がやりにくい。また、少し分かりにくく、実情を確認した上で対応すべきといった御意見。研究対象者に緊急かつ明白な生命の危機が生じている状況における研究の取扱いについて、研究の必要性や周知等の要件を追加してはどうかといった御意見。適切な同意について、実際はインフォームド・コンセントと適切な同意を分けて行うことがないところ、概念上のこととして定義されたと思うが、分かりづらく関係者が理解しやすい記載に見直すべきではないかといった御意見。ICは、基本的には研究対象者と研究者の信頼関係をつくるためのプロセスであり、個人情報保護法の同意の取得などとは性質が異なるため、原点に立ち返って、その規律については、ある程度、学会のガイドラインに委ねる部分があってよいのではないかといった御意見がございました。
また、ここまで御説明したマル1からマル3にはまらない御意見としても、多様な御意見をいただいております。現場における用語の理解、ヘルシンキ宣言等の国際的な基準との調和、被験者保護の観点、複雑化した指針のスリム化は被験者の信頼にもつながること、国民の理解の必要性、研究社会への研究成果の還元、各学会における審査体制の充実などについて、御意見がございました。
こちらの資料、前回の合同会議でいただいた意見を事務方のほうで整理をしたものでございますが、今後、第2回の合同会議の開催が予定をされております。今回、事務方で整理した内容は、そちらの合同会議で御説明をした上で、過不足がないかといったような御意見を確認した上で、今後、どういった議論をしていくのかという論点整理を進めてまいりたいと思います。また、こちらの生命・医学系指針の見直しに向けた議論の状況につきましては要所要所でこちらの部会でも報告をしてまいりたいと思っておりますが、今回、こういった御意見を御確認いただいた上で、先生方の視点で、ちょっと足りてないポイントがあるんじゃないかといったことがあれば、ぜひ、今回、この場でお聞かせいただければと思っております。
(通信調整)
【木村安全対策官】 大変失礼いたしました。こちらのほうのオンラインが一旦落ちておりましたが、説明を再開させていただきます。先ほど、マル4、その他まで説明をさせていただきました。こちらの内容、第2回の合同会議が今後開催されてまいりますので、そちらのほうでも、こういった事務方として整理したものを委員に御紹介の上、過不足がないか確認をした上で、その後、各議論の内容について御審議を深めていっていただいて、どういった指針に直していくのかというところを具体化してまいりたいと思っております。
今回、こちらの会議のほうで主だった意見について御紹介させていただきましたが、この場でもし何か御意見があればぜひお聞かせいただいて、生命・医学系指針の合同会議のほうにもその内容を御紹介していくという形を取ってまいりたいと思いますので、ぜひ、忌憚なく御意見を賜れればと思います。
【大須賀部会長】 いかがでしょうか。この資料で太字になっている部分は、割と意見が多かったところをたしか太字にしていただいたかと。
じゃ、米村先生、お願いします。
【米村委員】 私は、次回の合同会議に出席させていただき意見を申し上げる予定になっておりますが、この場でも、1点だけ、重要と思われる点について申し上げたいと思います。
かなり以前から、私の方では今から申し上げることを文科省の生命倫理・安全対策室の方々には申し上げておりましたが、現在、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」は規定が極めて複雑化していて、我々法律家にとってもこんなに分かりにくい指針はないと言ってもよいような状況になっております。そして、そのことの大きな原因は、個人情報保護法に基づくルールと研究倫理に基づくルールが両方混在している点にあるのではないかと私自身は考えておりまして、その両者をどのように整理するのかということを検討していただきたいということを、以前から申し上げていたところです。現在、指針のほうに個人情報保護法のルールがそのままの形で書き込まれているのは、もともと、2003年に個人情報保護法がつくられた際に、民間法人に関しては民間個人情報保護法、行政機関に関しては行政機関個人情報保護法、独立行政法人等に関しては独立行政法人等個人情報保護法という形で根拠法令が分かれており、また、民間法人においては適用除外規定があって学術研究機関は個別義務規定が適用除外になっていたということがありまして、統一的なルールを適用除外機関にも適用できるようにするためには、指針にルールを書き込まなければならないという考え方がありましたために、指針の中に個人情報保護法のルールをそのまま書き込むという取り扱いになっていたわけです。
それが、令和3年改正において個人情報保護の根拠法令が分かれるという状況が解消され、さらに学術研究機関の適用除外というものもなくなりまして、現状は全ての研究機関に対して個人情報保護法という法律が1本だけ適用されているという形になっているわけです。この状況では、指針に全ての個人情報保護法のルールを書き込む必然性がなくなっているのではないかというように思います。実は、令和3年改正の際に、そういった趣旨の法改正がされるということであるならば、指針に個情法の内容をそのまま書き込むという方針自体を再検討していただきたいということを、生命倫理・安全対策室には申し上げたんですが、残念ながら今日に至るまでその点の検討がされていないという状況です。合同会議でももちろんそういった検討をしていただきたいと思いますけれども、生命倫理・安全対策室のほうでぜひその方針の下に指針の見直しをしていただきたいというふうに、強く要望するものです。
以上です。
【大須賀部会長】 ありがとうございます。
多分、非常に多くの方々から御意見が寄せられて、このような太字になっているかと思います。先生の御意見をぜひ取り上げていただくように、お願いいたします。
吉田先生、お願いいたします。
【吉田委員】 よろしくお願いいたします。今、米村先生も述べられたところだと思うんですが、私、合同会議の委員として実際にこの現場におりましたけれども、こちらのまとめ、確かに意見は抽出されているんですが、今、米村先生もおっしゃったような、抜本的な改正が必要な時期ではないかというのが、多分、委員の大きな意見で、これまで、個情法、あるいは個情法の改正に合わせる形でパッチワーク的に修正を積み重ねた結果、非常に分かりにくいものに今なっているということを踏まえて、今回、かなり分かりやすい形にぜひ変えていただきたいというのが現場の委員の実感であり、次回、米村先生のほうからそういう意見も出していただけるのではないかと思いますので、これは、ライフサイエンス課の方々以外にも、厚労省、経産省と相談するということになると思いますけれども、その辺りはぜひ、主導権を取っていただいて、しっかり、分かりやすい、研究者が研究のできるような指針にしていただきたい。今は本当に複雑なので一部の支援者しか理解ができないということになっていますので、ぜひその点はよろしくお願いしたいということをお伝えしたいと思います。
以上でございます。
【大須賀部会長】 ありがとうございます。
ほかに、御意見いかがでしょうか。
お願いいたします。
【木村安全対策官】 米村先生、吉田先生、御意見のほう、ありがとうございました。吉田先生から御紹介ございましたとおり、今回、この場にお出しした資料はかなり端的にまとめた資料にはなりますが、本当に様々な御意見をいただいておりますし、抜本的な見直しが必要ではないかといった御意見も、様々な先生からいただいております。その辺、御意見を真摯に受け止めまして、しっかりと御議論いただいた上で、研究者にとって分かりやすい形になるように事務局としても頑張ってまいりたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
また、合同会議だけで議論するのではなく、合同会議での議論の模様というのは逐次こちらの部会でも御紹介いたしまして、様々な意見を取り入れた形で、いい指針をつくってまいりたいと思います。ぜひ、よろしくお願いいたします。
【大須賀部会長】 本当によろしくお願いいたします。私、東京大学という非常に大きい組織にこの3月までおりましたが、そういった組織ですら、こういった倫理指針等、特に個情法に関する話を各研究者に分かりやすく伝えるというのは非常に難しい。管理側において豊富な人的リソースがあるところでも、分かりやすく伝えて、法律を遵守させて、指針を遵守していただいてお仕事をしていただくというのは非常に困難であることは承知しております。ましてや、地方の小さい大学なんかでは、恐らく、ほぼ不可能に近い仕事を強いられているような状況で、研究に対してブレーキをかけているところが非常に大きいんじゃないかというのが実感でありますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ほか、よろしいでしょうか。
それでは、最後の議題、その他です。いかがでしょうか。
委員の皆様から、全体を通してでもいいですが、何かございますでしょうか。また、新たな議題などございましたら、ここでお出しいただきたいんですけれども、ございませんでしょうか。
よろしいですか。
それでは、最後に、事務局から連絡事項があれば、お願いいたします。
【市原室長補佐】 事務局でございます。本日はありがとうございました。
次回の開催につきましては、改めて御連絡させていただきます。
本日はYouTubeによるライブ配信にて公開させていただきましたが、後日公開します議事録が正式な記録となります。本日の議事録につきましては、事務局にて案の作成後、委員の皆様にお諮りし、部会長の確認を得た後に当省ホームページにて公開させていただきます。
以上でございます。
【大須賀部会長】 よろしいでしょうか。
それでは、本日の生命倫理・安全部会を閉会とさせていただきます。皆様、ありがとうございました。
電話番号:03-5253-4111(内線4108)
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