生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議(令和7年2月~)(5回) 議事録

1.日時

令和7年9月11日(木曜日) 15時00分~17時01分

2.場所

Web会議
厚生労働省専用第14会議室

3.議題

  1. 倫理指針の見直しについて
  2. その他

4.出席者

委員

森座長、有江委員、石井委員、神里委員、佐々委員、佐原委員、田代委員、土屋委員、徳永委員、戸田委員、長神委員、花井委員、深見委員、前田委員、三浦委員、武藤委員、山内委員、山本委員、横野委員、吉田委員

文部科学省

木村安全対策官、佐藤専門職、工藤専門職

厚生労働省

江田推進官、谷口専門官、舩冨補佐
長谷川課長、荒木室長、新井専門官、八百野技術参与

経済産業省

小野企画官、沼澤係長

オブザーバー

個人情報保護委員会事務局
厚生労働省医政局参事官(医療情報担当)付医療情報基盤推進室
内閣府 健康・医療戦略推進事務局

5.議事録

【森座長】 では、定刻となりましたので、ただいまから第5回「生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議」を開催させていただきます。
 本日は、大変お忙しい中、御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
 最初に、事務局より本日の出席状況と配付資料につきまして説明をお願いいたします。
【舩冨課長補佐】 よろしくお願いいたします。厚生労働省大臣官房厚生科学課事務局でございます。
 委員の皆様には、御多用の折、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、森座長をはじめ、現時点で18名の委員が御出席されています。磯部委員、玉腰委員、別所委員、三成委員は御欠席、佐原委員、日置委員は途中から御出席の御予定です。また、横野委員は御出席予定と承っておりますが、まだお見えになっておりません。
 なお、楠岡英雄委員の御退任に伴い、深見真紀委員が今回から御出席されます。
 事務局につきましては、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省より関係課室が参加するとともに、オブザーバーとして個人情報保護委員会事務局と内閣府健康・医療戦略推進事務局、厚生労働省医政局参事官(医療情報担当)付が参加しております。厚生労働省医政局研究開発政策課、長谷川課長は用務のため、遅れて参加させていただきます。
 また、今般、事務局に人事異動があり、厚生労働省医政局研究開発政策課治験推進室長として荒木康弘が着任いたしました。また、本日用務のため欠席させていただいておりますが、厚生労働省大臣官房厚生科学課長として荒木裕人が着任しております。その他の事務局等のメンバーは参考資料1-2を御覧ください。
 本日の合同会議はウェブ形式で実施しておりますが、森座長と田代委員のみ厚生労働省会議室にて御参加いただいております。
 議事の開始前に注意事項を御説明いたします。
 委員の皆様は、発言の際は挙手ボタンを押していただき、座長に指名された後にミュートを解除して御発言ください。発言されないときはマイクをミュートにしておいてください。また、ライブ配信を行っておりますので、御発言の際はできるだけゆっくり、はっきり御発言いただくようお願いいたします。
 続いて、資料の確認をいたします。
 委員の皆様は、事前にお送りした資料を御参照ください。
 議事次第のほか、資料1「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針 見直しの方向性におけるこれまでの議論の整理」、資料2「倫理指針の見直しについて」と参考資料1-1から6までお配りしております。参考資料2-1に第4回合同会議後に委員の方々から御提出いただいた意見をまとめております。参考資料2-2は、参考資料2-1の中で田代委員からの御意見に関連しております日本脳卒中学会から本合同会議への要望書です。参考資料3として、第4回合同会議において事務局より次回お示しすると回答いたしました倫理審査委員会の運営状況に関する調査の調査票をお示ししております。
 なお、資料は随時投影させていただきますが、通信環境が悪くなった場合は、通信負荷軽減の観点から資料の投影を中断し、音声配信を優先する等の対応を取ることがありますので、御了承願います。
 以上でございます。
【森座長】 ありがとうございました。
 横野委員は、お入りになっていらっしゃいますね。確認できました。
 それでは、議題1「倫理指針の見直しについて」に入らせていただきます。
 まず、事務局から説明をお願いいたします。
【荒木治験推進室長】 それでは、資料1「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針 見直しの方向性におけるこれまでの議論の整理」の資料から御説明させていただきます。
 まず、ページをめくっていただきまして、1ページ目でございます。「各検討項目について」の「(1)用語の定義、患者・市民参画、被験者保護等について」ということで、こちらの検討項目について御説明いたします。
 これまで寄せられた主な意見としましては、倫理指針における用語の定義や理解として、用語を分かりやすくするべきであるといったことや、ヘルシンキ宣言が2024年10月に改訂されたことを受けまして、国際基準と調和を図り、この倫理指針においても本文中に被験者保護の観点について触れられるべき、あるいはバイオバンクにおける指針運用などに関することを御意見として頂戴してきたところでございます。
 それにつきまして、見直しの方向性(案)をページの中段以降に示しております。順番に用語の定義から御説明させていただきます。倫理指針における「新規または既存」という用語の解説についてでございますが、考え方にこれまでと変更はございませんけれども、ガイダンスの記載では、やや分かりにくいところもございますので、その辺り整理をして、解説について誤認を与えないように分かりやすく明確化することを考えているところでございます。
 2つ目の米印、用語の定義のうち「適切な同意」についてでございますが、こちらは削除する方向で考えているものでございます。後ほどインフォームド・コンセントの手続等に関する項目でも出てまいりますが、今回のインフォームド・コンセントの手続等の見直しによってインフォームド・コンセント、オプトアウトの二本立てとすることについて、これまでの合同会議において合意が得られてきたところかと考えております。こちらにつきましては、別の資料においても改めて言及があろうかと思います。
 3つ目「介入」に関してでございます。介入の定義においては、資料にお示ししております見直しイメージのところを御覧いただければと思います。「現行」と書いてあるところで御確認いただけますように、括弧書きに記載されているような、少しでも通常の診療を超えるような医療行為が発生する、例えば健常人に採血を実施するといったものでございますけれども、これらが全て介入にも該当するような記載に読めているということでございますが、今回の改正においては、こういった軽微な侵襲を伴うようなものに関しましては、介入の定義から外れるように明確化できればと、そのように考えております。こちらが用語の定義に関することでございます。
 2ページ目、患者・市民参画、被験者保護の観点についてでございます。指針の基本方針のところで現行8つの事項が挙げられていますけれども、そのうちの1つとして、見直しイメージのマル1のところで「社会的及び学術的意義を有する研究を実施すること」という記載がございます。倫理指針第1章総則に関する規定でございますけれども、冒頭のところに「患者・市民の視点を尊重し、社会的及び学術的意義を有した研究を実施すること」という記載を追記して、その事項のガイダンスにおいて必要な解説を追記することを現在考えております。
 最後に「いわゆるバイオバンクについて」ということでございますけれども、バイオバンクにつきましては、現行の指針においても、既に試料・情報の収集・提供を行う機関として定義を置いてきたところでございますが、その対象として、いわゆるバンクやアーカイブをこの中で指しているものというふうに考えております。このようなバンク等が試料・情報を提供する際の倫理審査の在り方について、提供元となるバンク等側あるいは提供先となる研究機関側のどちらかの倫理審査委員会において提供する際のオプトアウト文書等の内容について意見を聴くことでよい旨の内容を改めてガイダンスで明確化することを考えております。
 ページを進んでいただきまして、3ページ目からでございます。こちらは「個人情報保護法と倫理指針の関係について」ということでございます。併せまして「(3)インフォームド・コンセント等の手続きについて」の検討項目を御紹介したいと思います。
 まず、これまで頂いてきた主な意見についてでございますけれども、一般法である個人情報保護法に加えて倫理指針にのっとって研究をする場合には、上乗せで規定が設けられている場合があります。また、ある程度の規律が法律で担保されているようなところでは上乗せで規定する意味がなくなっているのではないかという御指摘も頂きました。
 続いて、インフォームド・コンセントの手続に係る意見でございますけれども、インフォームド・コンセントの手続が現状、複雑化しているため、簡素化すべきではないかという御意見、また、救命救急に関する同意取得の例外規定においては急性期の臨床試験がやりにくいといったような御意見もございました。また、適切な同意について、実際にはインフォームド・コンセントと適切な同意を分けて行うことはないのではないかという御意見などを頂いているところでございました。
 こちらにつきまして、見直しの方向性、4ページ目でございますが、まず用語の定義に関するところを御説明させていただきますけれども、5ページ目の参考を御覧いただければと思います。インフォームド・コンセントに関連した用語の見直しでございますが、これまでの合同会議での御議論を踏まえまして、以下、4つのポイントを挙げたいと思います。これは資料2で改めて検討いただく内容でもございますが、1つ目、研究を「侵襲あるいは介入を伴う研究」「試料を用いる研究」「情報のみを用いる研究」の3つに大別して、そのリスクに応じてインフォームド・コンセント等の手続を見直すというものでございます。
 2つ目でございますが、同意手続等について「文書インフォームド・コンセント」「口頭インフォームド・コンセント」と「適切な同意」といった用語が複数ございましたが、これを「インフォームド・コンセント」のみに整理し、「インフォームド・コンセント」と「オプトアウト」の二本柱へと見直したいと考えております。
 3つ目でございますが、匿名加工情報、仮名加工情報及び個人関連情報の取扱いにつきましては、個人情報保護法の規定にのっとるものとし、指針にはその旨のみを記載することとしたいと考えております。
 4つ目でございますが、現行指針において既存試料を用いて研究を実施する場合の例外要件としている「当該既存試料を用いなければ研究の実施が困難である場合」という要件は、厳格な運用がなされてしまっていて、既存試料を用いた研究がやりにくくなったとの指摘もあることから、当該要件については見直した上で、同様の要件を既存情報を用いた研究にも課すこととし、既存試料・情報を利用、提供する研究においてはオプトアウト手続を基本としたいと考えております。この点について別途資料2の論点としても挙げさせていただいているのは先ほど御紹介させていただいたとおりでございます。後ほど御意見を頂ければと思っております。
 また、これらの用語の定義以外の検討といたしましては、緊急かつ明白な生命の危機が生じている状況における研究の取扱いについてでございますが、参考資料の中で御提示いただいております日本脳卒中学会からの御提言もございますけれども、現在のガイダンスでは明確に例示していないような緊急処置を要するような心疾患または脳疾患等も新たに例示したいと考えております。
 6ページ目でございます。最後に倫理審査委員会に関する検討項目について御説明させていただければと思います。主な意見といたしましては、一括審査を推進するに当たり、倫理審査委員会の事務局体制について把握した上で検討するべきであるといったような御意見、また、審査の免除についても検討すべきといった御意見や、倫理審査の必要な研究の範囲について明確化すべきといった御意見を頂戴しておりました。
 これらに関する見直しの方向性としましては、研究ごとのリスクなどに応じて同意手続等の妥当性を適切に判断する必要があるため、審査の種別を6ページの下に書いてあるような種別に分けるということを提示させていただいております。新規研究のうち、侵襲・介入研究については、通常審査かつ一括審査を必須とすることを考えています。また、軽微な侵襲のみの研究、観察研究、既存試料のみの研究等につきましては、引き続き迅速審査で差し支えないことといたしまして、原則一括審査のままとしたいと考えております。
 なお、研究内容の変更に係る審査については、その方法を通常審査、迅速審査、報告事項の3つに分けることとし、ガイダンスにおいてここに記載しているような具体的な場合分けについて解説したいと考えております。
 7ページの部分も含めまして、以上、御説明させていただきました。
【森座長】 御説明どうもありがとうございました。
 それでは、資料1に沿って前回までの議論についての整理を頂いたところでございます。御意見、御質問のある方につきましては、挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
 有江委員、どうぞお願いします。
【有江委員】 よろしくお願いします。
 事務局の皆様には見直しの方向性をまとめていただいて、ありがとうございました。
 資料1の介入の定義について確認させていただきたいのですが、「通常の診療を超える医療行為」に「(軽微な侵襲を除く)」という追記案が示されたのですけれども、研究目的で、人の健康に関する様々な事象に影響を与える要因の有無や程度を制御する介入研究でも、軽微な侵襲であれば介入研究に該当しない、つまり観察研究になってしまうというように誤解されるのではないかと危惧しました。ここで追加された「軽微な侵襲を除く」というのは、通常の診療を超える医療行為というもの、この文章にかかるものであって、介入の基本的な概念を侵襲の軽重で考えていくことではないということを念のため確認させてください。そもそも介入と侵襲は全く異なるものだと思いますので、ここを確認させてください。
 あと一点ありますけれども、まず、この介入の定義を確認させていただければと思います。
【八百野臨床研究等技術参与】 事務局でございます。
 今、有江委員がおっしゃっておりますように、軽微な侵襲を除くことによって医療行為全体という話ではなく、除きたい医療行為の内容については、修文を含めガイダンスでもきちんと解説できればと思っております。理解としては有江委員が御意見いただいているとおりかと思います。
【有江委員】 ありがとうございます。
 追加でもう一点。資料1の、いわゆるバイオバンクについての説明ですが、倫理指針における、試料・情報の収集・提供を行う機関、いわゆるバイオバンク等が既存の試料・情報を提供する場合の倫理審査については、提供元か提供先のどちらで審査してもいいですよみたいな、そういう案を示されているのですが、この文章だけを見ると、依然として、提供するバイオバンク側で何らかの倫理審査が必要なのだけれども、それを提供先で行ってもよいというような意味にも取れてしまいます。それではこれまでと全く変わらないのです。これまでも提供先のほうで審査してもらってもよいというような、ガイダンスにそう書かれているので、そうすると、この案ではこれまでと同じではないかと思いました。
 そもそもバイオバンク側では試料・情報を提供のみであれば倫理審査が不要ではないかと私はこれまで意見を言わせてもらっていたのですが、それは提供先の研究機関で審査をしていれば、バイオバンク側で倫理審査が不要ではないのですかという意見なので、この書きぶりだと、提供する場合の倫理審査については、倫理審査があたかも必要であるように見えるので、これは不要という意味なのか、書きぶりがちょっと適切ではないのではと思いますので確認させていただきたいです。
 仮に審査が不要であるという場合には、例えば利活用審査委員会等で対応しているのであれば審査を不要とするとか、バイオバンクに適したような規定を新設されるとかで対応されるということなどを今後考えていかれるのかもしれませんが、この案のどちらかの倫理審査委員会で審査をすればよいという趣旨は一体どういう意味なのでしょうか。そもそも倫理審査は不要なのか、あるいはこれまでとあまり変わらないというのか、その辺を確認させてください。
【木村生命倫理・安全対策室安全対策官】 事務局でございます。
 こちらの論点につきましては、前回、東北の長神先生から御発表がありまして、バンクから他の機関に物を移す場合の審査体制みたいなところ、利活用審査という言われ方もしておりましたが、そういうこともやった上で、さらに提供先でも倫理審査している、この重複感みたい点を解消できないかとお話があったかと思います。
 先生のおっしゃられている「提供する場合の」は、試料を収集する時点では倫理審査をやっているかと思いますので、その部分との書き分けの意味で書いているだけでして、提供する時点では当然、提供元あるいは提供先のどちらの倫理審査委員会において倫理審査を行うのだろうと、提供先で審査してもいいですし、逆に提供先で審査する体制が整っていないということで外部にお願いしたいときには、外部に依頼する先がバンクの場合もあるかと思いますので、そこを網羅的に見たときにどちらでもできるという御趣旨で書いている次第でございます。ですので、やらなくていいという形で書き切ってしまうと、かえって提供先の御事情に応じた柔軟な審査体制がうまく組めないのかなということで、選択の余地を残しているという趣旨で書いていると御理解いただければと思います。
【有江委員】 提供先は、もちろん提供を受けて研究するわけですから、研究機関になりますので審査は絶対するものだと思っています。
【木村生命倫理・安全対策室安全対策官】 倫理審査はするのですけれども、審査主体が外部に委託できる場合もあると思いますので、倫理審査をやらないということではなくて、研究の実施に関して倫理審査を行うのだけれども、審査体制がないので外部に委託するときには外部委託先がバイオバンクの場合はあり得るということで、こちらはルールとして書いているというより解説文書として書いているものですので、現場の皆さんが理解しやすいようにという御趣旨でこういった表現となっております。仮に、誤解を生じるということであれば、今後、実際にガイダンスを記載していくのはまだまだ先になりますので、その段階で有江先生、長神先生の御意見も賜りながら記載していければと思います。
【有江委員】 分かりました。ありがとうございます。
【森座長】 続きまして、長神委員から御発言いただきます。
【長神委員】 いろいろ御検討いただいて、ありがとうございます。
 いわゆるバイオバンクについて、今、有江先生が御指摘いただいたところとも関係しますが、ガイダンスで明確化する方針そのものは、それはそれでいいと思います。しかし、そもそもそこに至る手前の試料・情報の収集・提供を行う機関という記載がバイオバンクを指していてということは、確かにガイダンスで書いてあるのですが、ほかに既存試料・情報の提供のみを行う者等の手続とか、似たような言葉があって混乱します。これらの語の定義から、もう少し分かりやすいように見直していただけないかという趣旨の発言を繰り返してきたつもりです。ガイダンスだけでの明確化ではなくて、そもそもきちんと本文の中で記載して、はっきり書かれたほうがベターなのではなかろうかと思っております。そこが1点目です。
 先ほど、有江先生が最初におっしゃっていたところで、提供側、いわゆるバイオバンク側での倫理審査等は必要ではないということは明確化していただいた上で、提供先の研究機関がその倫理審査をどこに委託するのかといったところは別の話です。先ほど、混乱を生むといった議論もありましたが、それは別の話で、むしろ提供に当たっての新たな倫理審査が不要であるという形にしていただいたほうがベターなのではなかろうかと思います。
 さらに踏み込んで申し上げると、バイオバンクで既に提供実績等が積み重ねられて、かつ利活用審査を行われるのであるならば、そもそも研究先、提供先においての倫理審査がなくてもよいのではなかろうかという論点を前回お示し申し上げたつもりです。そこについてもどのような御検討いただいたのかということを教えていただければと思います。
 ほかにもあるのですが、取りあえずそこまでです。以上です。
【木村生命倫理・安全対策室安全対策官】 御意見ありがとうございます。事務局でございます。
 1点目の論点を先に御説明させていただきます。先ほど有江先生からも同趣旨の御発言があったかと思います。御説明したとおりでございまして、指針自体は国がつくる告示という性質を持っていますので、法令上どう書いていくのが一番書きやすいのか、あと、ガイダンスも含めまして、現場にどういう形で御理解いただくかというのは、ベストな方法を我々としても考えていきたいと思います。頂いた御意見も踏まえまして、行政が出す文書として最も適切な形を検討してまいりたいと思います。
 また、試料・情報の収集・提供を行う機関の定義の仕方につきましても、現場の分かりやすさもありつつ、やはり国が出す指針という性質がございますので、指針としてベストな、日本語の書き方はどうしてもお作法がございますので、そういったものも考慮しながらベストな点を考えてまいりたいと思っております。
 また、2点目の御質問でございます。提供する際にそもそも審査が要るのか要らないのかという点でございますけれども、バイオバンクだからということで一律に規定を置くというのはかなり難しいのかと思います。といいますのも、組織の在り方によって、最初に試料・情報を収集する時点でどこまで審査しているのか、どこまで同意を得ているのか、その内容はどうなのか、あと、提供先が共同研究なのか、そうではないのか、そういった様々な要素を含めて考えていかなければいけないことかと思っています。そういった規定をあまり置き過ぎてしまうと、かえって、せっかく指針を簡易にしようという流れがある中で逆に複雑化させてしまうという懸念もありますので、現状の運用でどこまで実現可能なのか、逆にできないのか、そういったものも考えた上で現状の案とさせていただいている次第でございます。
【森座長】 吉田委員、どうぞお願いします。
【吉田委員】 ありがとうございます。御説明いただきまして、簡素化の方向にかじを切られていることが分かり、今後に期待がもてると思いました。それを踏まえて確認させていただきたいのですが、今回、第5回の合同会議なのですが、いつ頃に改正指針の素案を作成し、パブコメを行うというような改正に向けたロードマップが示されていません。初回の合同委員会では内容についてじっくりと議論を行うのかと思ったのですが、ここ数回の議事進行では指針改正について急ピッチで進んでいるように見受けられました。ですので、今回の指針改正のロードマップを示していただけるとありがたいです。
 2点目は、やはり倫理指針は個情法との関連性は非常に大きいということで、具体的に個情委がどのような個情法の改正案を進めているかについて是非、個情委からも報告をいただきたいと思います。実際に次の個情法がどのようになるのかは倫理指針にとっても非常に重要だと考えます。
 現在入手可能な個情法の改正資料を拝見すると、同意取得についても柔軟性を確保する方向の議論が進んでいます。したがって、次のICのところにもつながりますけれども、倫理指針としてもICについてどのようにかじを切っていくかが非常に重要です。これまで、常に個情法と指針のギャップに研究者は悩まされ続けています。このギャップの最小化を図ってほしいと考えます。そのために個情委からも報告をいただきたいです。
 3点目になりますが、今回のICの見直しのところで、資料1の4ページの見直しの方向性(案)の中ほどに「実施が困難である場合」の要件を除き、「適正な手続を経て取得された試料・情報である場合」という要件に変更するという案が提案されています。これ自体は納得できる一方で、この「適正な手続」の内容が、今後ガイダンスで書かれるとなっていますが、その書かれ方によっては現状以上に窮屈になってしまう可能性を危惧します。既存試料・情報であれば、個別同意ではなくオプトアウトでもよいはずなので、この場合の「適正な手続」は必ずしも「個別同意の取得」を意味しないということを示していただきたいです。例えば、同意取得ができない場合の適正な代替措置が行われた場合も「適正な手続き」に含まれることをガイダンス等で書いていただきたいです。
 以上です。
【木村生命倫理・安全対策室安全対策官】 事務局でございます。
 大きく2点御意見があったかと存じますが、まず1点目のスケジュールにつきましては、先生御指摘のとおり、個人情報保護法は非常に関連の高い分野でございますし、研究の現場の皆さんもかなり意識されているのは当然のことかと思います。個人情報保護法ですが、我々承知している範囲ですと、確かに有識者会議等での検討は進んでいるものの、こちらの会議とは異なりまして、国会承認等のプロセスが異なっておりますので、時間軸をどうやって合わせていくのかというのは、今、我々この時点でも具体の案がお示しできない、そういった状況であるということは御理解いただければと思います。今後のこちらの合同会議の議論の進捗状況、また個人情報保護法の見直しに向けた進捗状況、うまくシンクロすれば一緒にやるということもあるかもしれませんが、あまり時間が離れてしまうということであれば、二段階でやるというイメージもあるのかと思います。その辺は事務方でしっかりと精査をして今後御提案してまいりたいと思っております。
【八百野臨床研究等技術参与】 もう一点のほうですが、ICの手続における要件として「適正な手続を経て取得された試料・情報である場合」という案を提案しておりますが、御指摘いただいたように、この考え方としては例えば、医療機関において取得の際に医療上の必要性がないにも関わらず取得されたものではないということが明確であれば良いと考えております。ただ、それをガイダンスに一般的な形でわかりやすくお示しできるように、今後、文言等については調整させていただければと思っております。
【吉田委員】 ありがとうございました。
【森座長】 続きまして、神里委員から御発言ください。
【神里委員】 ありがとうございます。
 「いわゆるバイオバンクについて」の項目について3点ほどコメントさせてください。バンクのみならずデータベースも念頭にコメントさせていただきたいと思います。
 まず、1点目です。研究計画書の記載事項については、バイオバンク等についての特化した規定が設けられておりますけれども、現在、説明の内容についてはそのような規定は設けられておりません。2024年のヘルシンキ宣言の改訂によって、台北宣言に定められた要件を遵守しなさいということがヘルシンキ宣言に盛り込まれましたので、台北宣言の12の説明内容のところについてもガイダンス等で含む形にしていただくのがよろしいかと思います。
 2点目ですが、先ほども御指摘が何人からもありましたけれども、既存の試料・情報の提供の中でバンクやデータベースについても現在は読み込んでいるということであり、かつ、それが分かりづらいということなのですが、現行のいわゆるバンクだとか、そういったものを想定していない規定の中で、そのままバンクの話というものを読み込んでいいのかというのは、いま一度検討してもいいのかと思っております。というのも、同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用いられる可能性があるという、あのフレーズの中で、ICを取ったり研究計画書をつくったりするわけですが、その場合には、研究が特定された場合には特定された研究について情報公開してオプトアウトを保障するという手続になります。ただ、とりわけバイオバンクというよりもデータベースに関する研究において、これだけ二次利用を国が推進しようとしている中で、各個別の研究についてのオプトアウトをどこまで保障していくべきなのかということについては検討してもいいのではないかと思いますし、もしオプトアウトを個別研究について保障するのであれば、結局のところ、ひもづいている対照表を持っているのは医療機関だとか最初に収集したところになりますので、そちらにおいて永続的に情報を保管していただく、そういったことが必要になってきます。したがいまして、それを勘案したバイオバンクやデータベースにおいての必要な事項を、せっかくの機会なので、洗い出して整理して、それを指針あるいはガイダンスに盛り込んでいくという作業を今回してはどうかという御提案です。
 3つ目、研究計画書の記載事項については、バンク、データベースについての特化した規定がありますけれども、その中に一つ必要ない記載があると思っています。というのは、先ほど言った、同意を受ける時点で特定されないというあのフレーズのところの、項目としてはマル14になるのですが、そもそもそういうものがデータベースでありバイオバンクでありますので、わざわざこのような可能性がある場合にはその旨を研究計画書に書きなさいというのは論理的に矛盾しているような気がします。恐らくその場合は、最後の、提供先となる研究機関に関する情報を確認する方法のみが残れば十分なのではないかと思います。そちらも併せて整理をしていただければと考えております。
 以上です。ありがとうございます。
【八百野臨床研究等技術参与】 御意見ありがとうございます。
 オプトアウトの保障をどこまで求めるかという点におきましては、バンク、データベースだけに限らず、医療機関や研究機関等から提供のみを行う場合等にオプトアウトを行う場合も同様の話ではありますので、そこについては今回の見直しの時点で取り入れられるかどうかはお約束できませんが、今後の課題としては重要な点だと思います。
 また、もう一点御意見を頂いておりますバンク等における研究計画のところ、第7(2)マル14の記載ですが、特定されない将来の研究のために提供するという可能性につきましては、御指摘のとおり、提供するために収集しているというようなことも想定されますので、ここの記載についても検討させていただければと思っております。ありがとうございます。
【神里委員】 ありがとうございます。
【森座長】 土屋委員、お願いします。
【土屋委員】 意見を整理頂き、方針を詳細にお話しいただきまして、感謝申し上げます。
 バイオバンクについてコメントさせてください。バイオバンク試料・情報の利活用において、提供元及び提供先での二重審査が解消されることは迅速な研究の推進のために大きな前進と考えています。先ほど長神委員からもコメントがありましたように、指針の本体に記載するなど実効性のある対応をしていただければと期待しています。
 また、欧米諸外国においては広範な同意、すなわち包括的な同意が取得されている既存試料・情報に関して、審査不要あるいは審査の簡略化が認められています。研究の国際競争力を維持するためにも欧米並みの審査体制に近づくよう今後の議論を期待しています。
 コメントは以上です。
【森座長】 ありがとうございました。事務局からいかがでしょうか。
【小野ヘルスケア産業課企画官】 事務局、経産省でございます。
 土屋委員、ありがとうございました。バイオバンクの用語のところにつきましては、先ほど事務局からも御説明がありましたとおり、法令としての適正な書き方という観点も踏まえまして、今後検討させていただきたいと思います。
 後段の意見もありがとうございました。
 以上でございます。
【土屋委員】 よろしくお願いいたします。
【森座長】 ありがとうございました。
 続きまして、佐々委員、お願いいたします。
【佐々委員】 ありがとうございます。
 お礼も含めて、2つ意見を申し上げたいと思います。
 1つ目は、ずっとお願いしていたのですけれども、試料を提供する方や提供いただく方だけではなくて、市民の視点、立場も配慮しましょうということを前面に出していただけたことに大変感謝いたします。医薬品や医療はみんなで支えていくという考え方を広げるものだと思います。
 2つ目ですが、既存試料について適正なインフォームド・コンセントとかありますけれども、「試料を使わないでください」という拒否の機会を与えることも大事なのですが、既存試料の場合はそういう理解を頂く機会を得ることが難しいケースもあると思います。そもそも試料を御提供いただいているということは、提供してくださった方が将来の医療に貢献したいというお気持ちがあるということで、長神委員も以前、言っていらっしゃったのですけれども、使わない理由を考える減点法ではなくて、そういう御意思を継ぐのだという、加点法で前向きに有効に使わせていただくという姿勢で考えていただけたらと思います。
 以上です。ありがとうございました。
【森座長】 引き続きまして、武藤委員、お願いいたします。
【武藤委員】 ありがとうございます。事務局の皆様、御準備いただき、ありがとうございます。
 何点かあるのですけれども、まず、今、佐々委員も言及してくださった資料1の1ページ目の原則に加えていただいた、「患者・市民の視点を尊重し」という表現について、前回こちらで厚労科研での報告をさせていただいたときにお示しした案を採用していただけそうで、大変ありがたく思っております。一方で「患者・市民参画」という用語そのものは、本文にはこれ以降全く出てこないということでしょうか。ガイダンスで何か書いていただけるのかもしれませんが、前回御説明しましたように、厚生労働省の疾病やモダリティごとの施策で、既に「患者・市民参画」という用語を用いた書き込みが進んでいる中で、倫理指針が一番うっすらしているという点を残念に思います。これはこの後、花井委員の御意見もぜひお伺いしたいと思っております。
 2点目は、資料1の4ページ目のインフォームド・コンセント手続に関するところです。先ほど吉田委員からも御指摘があった「適正な手続を経て取得された試料・情報である場合」という、新しい基準めいたものが加わることについて明確に反対します。倫理指針を簡易にしようという流れにも反していると思います。
 今回、全体的にガイダンスの中でいろいろと明確化していただくというような、事務局で引き取られるという御提案が何か所かありました。しかし、前回の指針改正での経験から、議事録の残る合同会議の場を離れ、議事録の残らない場で様々な書き込みが進むことについては強い懸念を持っております。この例でいえば、適正な手続かどうかという基準めいたものが議事録の残らないところで書き込まれるわけです。前回の指針改正での経験というのは、例えば、令和4年に加わった既存試料と情報あるいはそれ以外の内容についての例示、これはガイダンスの14ページにありますが、新たに取得する試料・情報の(例)の一つは「通常の診療において取得する試料・情報であって、取得する時点において、研究に用いることも目的として患者(研究対象者)から取得するもの」という表現になっています。この例示自体が、これまでの倫理指針の歴史で共有されてきた既存試料・情報の考え方と異なっている点で論議を呼んでいます。たとえ例示だとしても、これが「適正な手続き」なのだと解釈されると、例えば臨床系の学会が取り組まれているデータベース活動は不適切ということになってしまいかねず、「適正でない手続を経て取得された試料・情報」が世の中に結構あふれ返ってしまうことになるという事態を強く危惧しています。
また、今後、一定の目的の活動については、個人情報そのものをより積極的に活用するという政策の議論が、別途、進められているなかで、倫理指針では既存試料・情報が何かという考え方を突き詰めていくやり方自体が古いのではないでしょうか。むしろ、どのように二次利用していくことが許容されるのか、その体制をどう考えるかという方向で考えていただきたいです。まとめますと、「適正な手続を経て取得された試料・情報」について新しくガイダンスに書くということについては、やめていただいたほうがいいのではないかということです。
 一旦やめます。以上です。
【八百野臨床研究等技術参与】 御意見ありがとうございます。
 適正な手続の具体内容について、ガイダンスで記載するという提案としており、資料1では一旦このような記載としておりますが、要件の内容そのものについては次の資料2のほうで論点として挙げさせていただいておりますので、考え方や表現も含めて御意見を頂ければと思っております。
【武藤委員】 追加で質問があります。今、示していただいている画面の中の下から2番目のポツのところにある「研究目的による試料・情報の外国提供については、事前に包括的な同意を取得している場合においては、オプトアウトを行うことで提供を可能とする」ということについてです。従前のガイダンスの103ページには、EUや英国以外の国に提供する場合に、イのマル1からマル3以外にも情報提供を「望ましい」とする項目が記載してあったり、104ページには「適切な同意」を得る時点で提供先の国を特定できない場合に、事後的にこれらを特定できた後、研究対象者にあらためて情報を提供して「適切な同意」を得る必要があると記載されていたりして、いずれも個人情報保護法の上乗せだと思います。これがどういうふうに整理されるのか、整った段階で結構ですので、一度御説明いただきたいと思っております。
 以上です。
【八百野臨床研究等技術参与】 承知しました。
【森座長】 続きまして、石井委員から御発言をお願いします。
【石井委員】 ありがとうございます。
 私からは質問のようなことになりますが、取得の概念についてお聞きしておきたいと思います。指針やガイダンスでは試料・情報の取得という言葉が数多く出てくるわけですが、試料の場合は形のあるものを受け取るということがはっきりしている場合もあるでしょうけれども、情報になると、この辺りは個人情報が絡んできますので、解釈がもう少し明確になっているほうがいい場合があるのではないかと思いました。
 例えば個人情報保護法のガイドラインやQ&Aなどを拝見する限りですと、閲覧するにとどまる場合は取得しているとは解されない、提供を受ける行為がない場合には個人情報の取得にはならないといった辺りの記載があったかと思います。いつのタイミングで取得したと見るのかという点でいろいろ議論のあるところかと思います。既存なのか新規なのかというタイミングの問題ですが、その辺りの経緯に関わってくるのではないかと思いましたので、その点をお聞きできればと思いました。質問になります。よろしくお願いします。
【八百野臨床研究等技術参与】 御意見ありがとうございます。
 事務局といたしましては、先ほどの適正な手続というものと、新規か既存かという点は関係するものと考えますが、研究の目的を持った取得におきましては、基本的には新規取得という形で考えております。特に診療情報になると、要配慮個人情報が含まれることもありますので、取得の段階で目的が明示されていない上で取得することになりますと、個人情報保護法上にも引っかかってくるのではないかと懸念しております。ガイダンスで記載している新規と既存の考え方に関して、事務局としては考え方は特に変える必要がないのではないかと考えているところではございます。
【石井委員】 すみません。新規なのか既存なのかというよりは、いつのタイミングで取得したことになるのか、その定義が、実際、現場も含めて明確と言えるのかというところが気になっていて、お聞きしたかったということです。個人情報保護法の解釈ではある程度ヒントになるような情報はあるかなということです。
【八百野臨床研究等技術参与】 ありがとうございます。
 既存の考え方というところは、研究計画書が作成されるまでに存在するものという時点の考え方と、取得の時点で目的がどう含まれているかというところで定義をおいているというところにはなっております。
【石井委員】 提供を受けるということが外形上明らかな場合なので、その辺はあまり気にしなくていいということでしょうか。
【八百野臨床研究等技術参与】 すみません。提供を受けるというのは。
【石井委員】 取得という概念自体が必ずしも明確に示されているわけではないような気がしましたので、お聞きしています。変なことを聞いているようだったら、これ以上は質問するのはやめますけれども。
【八百野臨床研究等技術参与】 改めて本件に関してはまた意見交換させていただければと思います。
【森座長】 続きまして、横野委員、お願いいたします。
【横野委員】 取りまとめ、ありがとうございます。
 まず、1点目ですけれども、先ほど武藤先生からも御意見がありましたが、ガイダンスの位置づけ、意義に関してです。今回、資料1の4ページに、脳卒中学会からの意見などもある状況を踏まえて、現在のガイダンスでは明確には読み取れないような例示を加えるというふうな御提案がなされています。私はこれ自体は別に反対するものではありませんが、ガイダンスが公開の場で議論されて作成されたものではないという性格上、ガイダンス自体は先ほど事務局からもお話がありましたけれども、ルールではなくて解説というふうな位置づけであると思います。ただ一方で、現場ではガイダンスの記載というのはかなり重要なものと考えられておりまして、そのことは脳卒中学会からの御意見の中にも表れていると思われます。個人的には別に例示に入っていなくても解釈として脳卒中等を含めてよいものと考えますが、具体的な例として挙がっていないと、そのような解釈をすることが困難であるという受け止めがかなり一般的にあるように思われます。
 ただ、そのような受け止めがある中で、公の場で議論がなされていないガイダンスのレベルでの具体的な手続に関わるような変更があった場合に、その意味ですとか、どのような課題があってそのような変更が導入されたのかが分からないところで、それを守らなければならないというふうな、非常にアンビバレントな状況が生じていると考えております。あくまでもこのガイダンスというのはルールではなく解説であるということを改めて確認させていただきたいと思いますし、今回はあくまでも脳卒中等に関しては例示であって、例示に含まれていないものについて排除するものではないということを確認したいと思います。それが第1点目です。
 続けてよろしいでしょうか。
【森座長】 どうぞ。
【横野委員】 先ほど武藤先生の御意見の中にもありましたけれども、新規と既存の区別の考え方についてです。第2回の合同会議の追加意見、参考資料2で出されていた神里先生からの御意見においても、この新規・既存の考え方について、時間軸ではなくてどういった目的でそれが取得されたのかというところを軸にしてはどうかというような御意見がありました。私もそういう考え方が基本になる方向が望ましいのではないかと思っております。
 もう一つ、先ほど武藤先生からも特に言及がありましたように、今回の資料1の中でも、3ページの枠の中ですけれども、「デジタル行財政改革会議等における検討事項等について本会議においてもフォローを行い、必要に応じ対応方針についても検討した」という記載がございます。デジタル行財政改革会議をはじめとして、現在、様々な形で医療データの二次利用を推進する議論がなされていますけれども、そこでの一次利用、二次利用の定義に関しましては、2023年の規制改革実施計画の中で、やはり目的を軸とする考え方の整理が提示されていて、それがベースとなって検討が進められているところです。したがって、一次利用、二次利用という、既存や新規という概念が初めて指針の中で出てきた当時にはあまり一般的ではなかった考え方というものが、今、非常に一般的になってきて、それと個人情報保護法との関係が議論されている中で、指針の中でそことあまり整合性のない既存・新規という考え方をいつまで維持するのかというのはやはり再検討する必要があると考えております。既存・新規という用語や概念自体を見直す必要性も含めて検討することが望ましいと考えます。
 以上です。
【八百野臨床研究等技術参与】 御意見ありがとうございます。
 1点目の緊急かつ明白な生命の危機については、脳卒中学会から頂いている要望書を受けまして、今回、ガイダンスにも新たに例示を示すということとしておりますが、そこに限らずというところも分かるように記載させていただければと思っております。
 新規、既存に関しましては、先ほどからも議論させていただいている話ではありますが、次の適正な手続のところでも別途議論になると思いますので、ここでは割愛させていただきます。
【森座長】 続きまして、花井委員、どうぞ御発言ください。
【花井委員】 ありがとうございます。
 まず、さっき武藤委員からも御指摘されていて、患者・市民参画の点ですけれども、今回このような形で「視点を尊重し」と書かれて、いいかなと思ったのですが、よくよく考えますと、こういったPPI(患者・市民参画)という文脈を知っている者からすれば、これが盛り込まれたのだなということなのですが、普通に日本語で読むと、いまいち意味が分からない。つまり、社会的意義の中にそもそも患者・市民の視点の尊重は入っていて当たり前の話なので、一体これによって何を加えて書いているかというのは、これだけ見たら日本語としてはいかがなものかという点もあります。
 それから、先ほど武藤委員の指摘どおり、患者・市民参画という言葉自体が大事だという点も考えますと、ここは回りくどくせずに、書き方は難しいのですけれども、患者・市民の参画の重要性みたいなところはずばり書いたほうがいいかと思います。指針なので、参画させなければいけないというふうに読まれるような話は難しいと思いますが、やはりそれが重要だというところはずばり書いたほうが、そういう文章のほうが望ましいのではないか。このままいくと、そういう知識のない人が初めてこれを読めば、社会的意義の中にこれは当然入って当たり前の話なので、加えて書いている意味があまりないかなというのが1点目です。
 もう一点は要望になります。ICの取得の中で、私どもも取り組んでいますし、幾つかやっているのですけれども、希少疾患の疾病レジストリはそもそも疾病レジストリなので、要配慮個人情報という前提なわけですが、疾病レジストリは、特に難病のレジストリはそうですが、軽症の方は一回来てどこかに行ったとか、いろいろあって、データの集約性がないがゆえに、アンメットメディカルニーズの開発が難しいという状況が生じています。できればこういう疾病レジストリというのは推進したいという考え方、総論はそうなのですけれども、そのときに、ICの取得は必要なのですが、オプトアウトの例外は、倫理指針で、これは困難だから、取得困難で、これができなければといろいろあるのですが、やはり疾病レジストリを意識した分かりやすいガイダンスというか、書き方をどこかでしてほしいと思います。指針本体はちょっとどうかというのはあるかもしれませんが、ガイダンスの中で、疾病レジストリホルダーが理解しやすいようなオプトアウトが可能な場合とか、そういったことを明示していただければ助かります。
 以上でございます。
【八百野臨床研究等技術参与】 御意見ありがとうございます。
 1点目の「患者・市民の視点を尊重し」という部分につきまして、社会的意義の中に含まれるのではないかということでしたが、本文の中で明示的にするべきなのではないかというところもありまして、今回加えさせていただいております。逆に、「患者・市民参画を取り入れた上で研究を実施すること」としてしまうと、患者・市民参画の部分が必須化されてしまうような書きぶりになってしまいますので、一旦「視点を尊重し」という形で今はお示しさせていただいております。こちらの部分に関しても、患者・市民参画についての重要性というところについてはガイダンスで触れさせていただければと思っております。
【花井委員】 ガイダンスで。まあ、参画という言葉はどこかで使ったほうがいいとは思いますが、一応説明の理由は分かりました。
【森座長】 続きまして、戸田委員、お願いします。
【戸田委員】 私は簡単に述べます。
 まず、資料1の4ページ、先ほど出てきた脳卒中学会の、一番下のほうに「緊急かつ明白な生命の危機が生じている状況における研究の取扱いについて、現在のガイダンスでは明確に読み取れないような、緊急処置を要するような心疾患又は脳疾患等も」と書いています。実際、医学的なところにおいて心疾患という言葉は使うのですけれども、脳疾患という言葉はふだんあまり使わないのです。これは一般人が分かりやすいように脳疾患と書いてあるのでしょうかということで、もし入れるのなら、脳卒中も神経疾患ですので、神経疾患のほうがまだいいかなと思いました。
 以上です。
【八百野臨床研究等技術参与】 御意見ありがとうございます。参考にさせていただきます。
【森座長】 続きまして、佐原委員から御発言いただきます。
【佐原委員】 日本医師会の佐原でございます。
 6ページの新規研究の審査の部分でございます。侵襲・介入研究について一括審査を必須とするのは、これまで原則一括審査とされていても、現実的には一括審査が行われていなかったので、1つ段階を上げるということで、それは一括審査を推進するための手段の一つだと理解しています。だとすれば、その他の研究は従来どおり原則一括審査と据え置くことでよろしいのでしょうか。今回、一括審査を進めるという方向で見直すのであれば、原則というのは一般に守る決まりであるということをより周知することとか、例えばこの場合は例外ですよ、それ以外は原則に従ってくださいということを例示するような取組が必要なのではないかと思います。そういったところも検討していただければと思います。この部分は前回時間がなくて議論できなかったところですので、確認のために発言させていただきました。
 以上でございます。
【森座長】 御意見どうもありがとうございます。
 一括審査の運用につきまして、委員の先生方、御発言ございましたら、いかがでしょうか。追加の御意見ございませんでしょうか。
 今、佐原委員からお話を伺いましたけれども、「そのほかの研究」に関する原則一括審査という運用について御意見はございますでしょうか。
 合理的な理由があることが前提と考えています。一括審査しない場合には合理的な説明が求められ、そういうものがなければ一括審査で運用すると私は理解しています。御意見ございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
 続きまして、徳永委員から御発言いただきます。
【徳永委員】 たしか前回の合同会議のときにお願いして、今回それが抜けているので、そのことについて御質問したいのですけれども、倫理審査委員会の一括審査に関してです。代表機関で一括審査するということはもちろん了解しているわけですけれども、その後、分担機関あるいは共同の機関において実施許可を受けるための一連の手続が考えられているわけです。そこについて、本来、一括審査というのは、非常に多くの共同機関、分担機関がある場合もそれぞれ従来のように倫理審査を受けて承認を受けているという、時間、労力の多大なロスといいますか、そういうのがないようになるべくスムーズにスタートする、多機関共同研究を開始できる、あるいは遂行できる、それが一つの大きな役割でもあったと思います。それを考えますと、実施許可を得るための様々な手続、審査というものをなるべく簡素化する必要があるという考えは委員の先生方も多分共有されていると思います。実施許可を得るための手続に関してはガイダンスに書かれているのですが、そこの書きぶりは、機関によってはかなり大変な手続と審査をして、通常の倫理審査とほとんど変わらないぐらいの時間や手順を経ていることがあるということで、ここの辺りの書きぶりといいますか、指針あるいはガイダンスの書き方もなるべく簡素化する、読んだ方がそういうことが分かるような工夫をしていただきたいということをお願いしたのですが、そこについてはいかがでしょうか。
【八百野臨床研究等技術参与】 御意見ありがとうございます。
 現在もガイダンスの中で第6の2の規定による倫理審査委員会の付議や、研究機関の長による許可の取り方の手順のようなものに関しては、各々の研究機関における規程の中で定めていれば良く、特に許可の取り方に関しては言及していないような状況になっております。そのため、本件については各研究機関で御検討いただければとは思いますが、ガイダンスのほうでも、必ずしも決裁が必要と記載しているわけではございません。もう少し記載に工夫ができないかということに関しては検討させていただければと思います。
【徳永委員】 ありがとうございます。
 まさにそのところで、機関によってはすごく保守的に捉えて、文書、書類を用意して審査委員会で審査してみたいなことをやっているところも現実にあるので、なるべくそこまで要求しているわけではないのだということが伝わるような書きぶりを検討いただければありがたいと思います。ありがとうございます。
【森座長】 続きまして、山内委員、お願いいたします。
【山内委員】 よろしくお願いします。
 3ページ目最後の行の「同意説明」という言葉も私は若干引っかかるのですが、「研究者である医師以外の身近な者も手伝っている印象があるが、当該者も含め適切な説明ができているのか」、は前回発言させていただいたことに関することなので、申し上げたいと思います。多くの研究の協力者は、ふだん診てくださっている先生や関係している先生方に感謝の気持ちもあって、とにかく協力したいという方だと認識しています。研究の説明をする人がどの資格があるというよりは、きちんとインフォームド・コンセントを実施するに当たっての説明の意味や内容が教育されているということが重要だと思っています。今回のところで入りました患者・市民の視点を尊重するというところに一緒に入るのだと思ったのですが、今日お話を聞いていて、この意味が私の理解と若干違っている気がしています。何しろ被験者を保護するためにきちんとした説明ができる体制をつくるというところの意味合いをどうか伝えていただきたいと願っています。医師だとか看護師だからということではなく、その研究に対してきちんと説明できる人が説明するということが重要だと思っておりますので、お力を頂ければと思います。
 以上です。
【森座長】 ありがとうございます。
 これは研修や教育という観点でしょうか。
【山内委員】 そのとおりでございます。きちんと研修を受けた人、研究者自身がやる分だったら別問題ですけれども、説明担当者がちゃんと対応するということが重要なのではないかと思います。説明書の厚い紙だけ渡して「これを見ておいてくださいね。同意してくださいね」ということがあるようにも思われるだけに、とにかく協力しようという被検者が研究の中身とその意味を理解できるような支援が重要だと思っております。
 以上です。
【森座長】 事務局からよろしいですか。
【木村生命倫理・安全対策室安全対策官】 ありがとうございます。事務局でございます。
 被験者保護の重要性という観点と、どういった方から説明していただけるのかというお話と承りました。今回、指針自体を簡素化して現場に分かりやすいものにしていこうという流れもある中で、新たに資格制度みたいなものをつくっていくというのはあまりなじまないのかなと思いますけれども、恐らく現場への周知に際して、あまり蔑ろなことをすると、当然、被験者保護に懸念が生じるということかと思いますので、先ほどお話がありました前文にどういった記載をして研究者に浸透させていくのか、あと、説明の同意の取り方について研究者に周知していく際に我々からどういうふうにして伝えられるのか、そういったところも含めて御意見を承りながら考えてまいりたいと思います。御意見ありがとうございます。
【山内委員】 ありがとうございます。
 資格が問題なのではないです。担当者が説明できる準備ができているということです。よろしくお願いいたします。
【森座長】 そのほか、先生方から御意見、御発言はございますでしょうか。
 田代委員、お願いします。
【田代委員】 取りまとめ、ありがとうございました。
 前回、大きな議論になっていたインフォームド・コンセントの考え方、ICとオプトアウトの二本柱に見直すということと、あと、今日いろいろ議論が出たところですけれども、既存試料の実施困難というのはかなりきつい要件なので、これを見直していただくということには賛成いたしますし、前回、発言した急性期の臨床試験についても御配慮いただいたということで、その点については感謝申し上げます。
 ただし一点、これまでも既に何度かやり取りが出てきている新規と既存の点に関しては、今までの事務局の説明には納得できないところがありますので、改めて議論していただければと思います。新規と既存の考え方について、今、提案では「ガイダンスを整理し、誤認を与えないように明確化する」と書かれているのですけれども、これはもともと疫学指針をつくったときにつくられて、それがQ&Aで明確化されて、臨床指針に取り入れられて統合されて今に至っているという流れがあります。その中で、令和4年の改正のときに突然ガイダンスで少し違うような書き方がされるようになり、現場でも非常に困っているというのは、最初に神里先生がご指摘されたとおりかと思います。横野先生からもお話があったのですが、そもそも新規とか既存という言い方自体が妥当なのかということを含めて見直す必要が出てきていると思います。
 もともと既存というと、過去のものと日本語でイメージしてしまうわけですね。過去のものしか使えないのかということが疫学指針をつくるときに問題になり、今のマル2に該当する研究計画書が作成された以降に出てくる既存試料というものも含めましょうと定義の拡大をして、そこで一応急場をしのいだわけです。何のために使うのかというと、さっき花井委員からもお話がありましたが、今で言うところのいわゆる疾患レジストリとか症例登録研究をどうしていくかという、つまりフォローアップを定期的にしていく、前向きの観察研究をどうしていくかというところでこの議論が出てきたわけです。
 さきほど武藤先生もおっしゃっていたのですけれども、まず、現実的な話からすると、私自身数年前に厚労省のリアルワールドデータの事業でいろいろなレジストリの調査をしましたけれども、がんとか難病の一部のレジストリを除くと、基本的にはほとんどの疾患レジストリ、今、日本で動いているものは既存試料の提供という枠組みを使ってオプトアウトでされています。もしこれを新規だということになると、インフォームド・コンセントを基本的に取ってくださいという話で非常に大きな転換になりますし、もっとややこしいのは、新規扱いをしてしまうと何が起こるかというと、全てのレジストリに関わっている機関を共同研究機関にするしかなくなるわけです。
そのときに全部共同研究機関にすると、数百とか関わっているときは現実的に難しいので、今、新規でも研究協力機関という枠がありますけれども、そうすると今度は何が起きるかというと、同意が取れないという問題が出てきます。なかには、今、レジストリの中にオプトアウトではなくて口頭同意でやっているところもありますけれども、それもこの指針からすると違反しているという話になってきて、現実に動いている疾患レジストリとか症例登録研究と全くルールが合っていないということになってくるのが大きな問題だと思います。もともとこれは時間軸ではなくて、つまり前向きとか後ろ向きということではなくて、まさに二次利用に該当するかどうかということでルールをつくったわけです。ただ、それが「既存」という、日本語で言うとどうしても過去のことを想像するものの中に、これから生じる診療情報、メディカルレコードについても「既存」の枠に入れましょうということでずっとやってきていて、それが制度疲労というか、限界に来ているのだと思います。
 もう一点、現実との兼ね合いということで、今回、国際的な状況との関連ということも話題になっていると思います。普通に考えれば分かるのですが、問題になっているのはメディカルレコードの二次利用です。このメディカルレコードの二次利用を規制する諸外国の規制の中で時間軸を持ち込んでいるものは一つも私は知りません。昨日までの診療情報と明日からの診療情報が違うということはなくて、日本の中でも、どちらもそれは既に取得している要配慮個人情報の二次利用であり同じ扱いのはずです。
 例えば吉田先生が意見書で少し書かれていましたけれども、米国のコモンルールにおいても、結局、過去のものも未来のものも含めてというふうにはっきりガイダンスで書かれるわけですが、日常的な医療に伴って出てくる医療の情報、カルテの情報だったり、あるいは残余検体の二次利用というものについて、現在のコモンルールだと、それをまとめて倫理審査不要というカテゴリーに入れているわけです。
 日本は、もちろん倫理審査は必要という立てつけになっていて、それをいきなり動かすということはできませんけれども、基本的にどの国を見ても、これは二次利用かどうかということですし、さきほど横野先生もおっしゃっていましたけれども、ほかの厚労省や内閣府でやっている医療データの利用に関する議論でも、基本的にやはり一次利用か二次利用かということで区別をしているわけです。
 それと考え方を合わせていくという意味であれば、旧来、誤解を招きやすい形で最初に意味を拡大させて使ってきて、だんだん時代に合わせてガイダンスもここの部分は今、すごく膨れ上がっていますし、直感的に分かりにくい状況になっているわけです。ですので、これはガイダンスで整理しますという話ではなく、しっかり合同会議の場で、これから20年、30年のヘルスデータを研究に利用していくということを考えた場合に一体どういう定義の仕方をするのがいいのかということを議論しないと、これは早々に行き詰まります。
 新規と既存に関して言うと、時間軸で読めるような読み方というのは、繰り返しになりますけれども、現実に合わないし、諸外国のルールとも全く合わないし、日本の指針の過去の議論とも全く合わないので、それはやはりやめていただきたい。新たに言葉とか概念を含めて、これは本当にいい機会だと思いますので、長い間やってきて、かなり分からなくなってきている現状があるので、ガイダンスで引き取って整理をしますというよりも、しっかりとこの合同会議の場でこの利用についてどう考えるのかということを議論していただきたいと思います。具体的な提案としては、さきほど横野先生も触れられていましたけれども、神里先生が最初の段階でかなりはっきりとガイダンスのどこに手を入れるべきだというような話だったり、あるいは既存情報という言い方は分かりにくいので、言い方を変えたらどうですかという提案をされているので、それも含めて再度ここは検討していただきたいと考えます。
 以上です。
【八百野臨床研究等技術参与】 御意見ありがとうございます。適宜検討させていただければと思います。
【森座長】 これまでの三省合同会議の進め方で、極めて重要な課題を密に詰めて議論する場合はどんな形が取られているのでしょうか。ここの会議でもちろん皆さんの意見を聴くのですけれども、特に議論の基になるような新しいアイデアをつくる場合はどういった形の取組をされていらっしゃるのでしょうか。
【木村生命倫理・安全対策室安全対策官】 決まった形はないと思っていまして、特定の分野に特化したような場合であればチームを組むこともありますし、広範に影響するようなお話であれば全員でご議論いただくものと存じます。
【森座長】 そこに集中して議論することもあり得る。
【木村生命倫理・安全対策室安全対策官】 ケース・バイ・ケースかと思います。
【森座長】 どういった取組がよろしいでしょうか。
【田代委員】 どういった取組でも、例えば今までだとワーキングみたいなものをつくって、たたき台を出してくるという方法もあったと思いますし、もちろんこの場で事務局からまた提案があるというような形でもいいと思います。私自身も含めて、いろいろと委員の中から知恵を出したり、これまでのことも含めて整理をするということは大事かなと思いますので、そういう形でも構わないと思います。いろいろなやり方があって、委員から提案するということも過去にはありましたし、事務局から提案するということもありますし、ワーキングみたいなものをつくって、そこでやるというやり方もあったかと思います。
【森座長】 ありがとうございます。
 吉田委員、どうぞ御発言ください。
【吉田委員】 今の点は非常に重要だと思います。最後に田代先生が言われたように、この委員会は25名と多くの委員がおられるので、できればタスクフォースとかワーキンググループという形で事務局と委員数名でたたき台の案をつくるほうがよいと思います。そういうような形で数回の議論を重ねるというのも一つの案かなと思います。
 以上でございます。
【森座長】 横野委員、御発言をお願いいたします。
【横野委員】 私も吉田先生と同様で、第1回の合同会議のときに、今後の予定として適宜タスクフォース開催予定とありました。そういった形は当初から予定されておりますので、実際にそういった形で重要なポイントについては検討を行っていただくというのが今後の進め方としてよいかと思います。
【森座長】 ありがとうございます。
 では、事務局のほうで検討していただいて、また御連絡させていただきます。
 次の議題もございますので、資料2に移りたいと思います。事務局より御説明をお願いしてよろしいでしょうか。
【荒木治験推進室長】 事務局でございます。
 資料2について御説明いたします。まず、スライドを開いていただきまして、1枚目、「第2 用語の定義」と記されているものからお願いします。
 現行の指針において「オプトアウト」という用語について御説明しております。オプトアウトという言葉は指針においては定義されておらず、オプトアウトを求める際には、必要な事項を通知または研究対象者等が容易に知り得る状態に置き、研究が実施または継続されることについて研究対象者等が拒否できる機会を保障しなければならないと規定しています。また、破線囲みに書かれておりますけれども、ガイダンスではオプトアウトの定義を置いた上でこの用語を用いている状態になっています。
 それを踏まえまして、論点及び改正案といたしましては、これまでの議論にもあったように、今回の改正ではインフォームド・コンセントとオプトアウトの二本立てと同意取得の考え方がまとめられることになりますので、改正案にお示ししておりますように、オプトアウトを指針のほうで定義するようにしてはどうかということがこちらには記されております。
 続いて、スライドの2ページ目、インフォームド・コンセント手続等についてということでございます。こちらは、現行の指針の第8の1(3)、(4)に関することでございます。このうち(4)が既存試料・情報の提供のみを行う者等の手続です。提供のみを行う者については第8の1(3)に加えて(4)の手続を行う必要があります。
 下の破線囲みでお示ししておりますように、(4)のウにおける規定において、下線部以外の規定においてはオプトアウトを行うことが示されておりまして、当該オプトアウト文書等の内容の妥当性について倫理審査委員会に意見を聴いた上で機関の長の許可を得るように規定しています。一方で、下線をつけております規定においては、個人関連情報を提供した先で個人情報を取得する場合の規定になっておりまして、提供元では、個人関連情報であるため、同意等の手続は行えず、倫理審査委員会に意見を聴くことは難しいと思われるため、この規定は不要と思われまして、当該部分を削除させていただくことを考えております。
 なお、資料1でも御説明いたしましたとおり、個人関連情報も匿名加工情報や仮名加工情報と同様に個人情報保護法の規定にのっとることとするため、インフォームド・コンセント手続等の規定では登場いたしませんが、本件については倫理審査委員会に意見を聴くことの規定としているため、論点として挙げさせていただいております。
 続きまして、スライドの3ページ目、インフォームド・コンセント手続等についてでございますが、こちらは既存情報の扱いについてということでございます。今回いろいろと御議論いただきましたけれども、その中で、別途、資料にて検討とさせていただいた部分、資料3ページにおける説明ということで見ていただければと思います。
 スライドの4枚目にも再掲しておりますけれども、前回の会議でも議論となりました既存試料・情報を用いる際のインフォームド・コンセントについて、オプトアウトを基本とした場合、現行指針において、既存試料をオプトアウトで利用あるいは提供しようとする際の要件としている「当該既存試料を用いなければ研究の実施が困難」という内容が厳格に捉えられているという御意見もありました。そのため、このまま同じ要件を既存情報にも課すことは難しいと考えておりますので、要件の内容を「適正な手続を経て取得された試料・情報である場合」とし、既存情報にも同様の要件を課した上で、オプトアウトを基本とすることを提案しております。
 なお、適正な手続の具体的な内容につきましては、研究機関において取得の際に必要性がないにもかかわらず取得されたものではないなどというものを考えているということを先ほども御説明させていただきました。各委員にも必要に応じて御相談させていただきながら、考え方をガイダンスに記載することを予定しておりましたが、資料1の議論も踏まえまして、引き続き、やり方は検討させていただきたいと考えております。
 以上でございます。
【森座長】 御説明ありがとうございました。
 資料1で御説明いただいた内容と一部重複しているということでございましたが、新しい内容につきましても御意見ございましたらお願いいたします。
 田代委員、どうぞ。
【田代委員】 御説明ありがとうございました。
 一点、最初の用語の定義で「オプトアウト」を用語の定義に置くということ自体は大賛成というか、早くやるべきだったと思っていますので、置いていただければと思います。ただ、今の改正案ですと、何を通知するのかということが全く書かれていないので、それをちゃんと書く必要があるかなと思います。
 その場合に、私自身が今のオプトアウトの運用で気になっているのは、研究利用に関して、一部の病院では個別の研究課題に関するオプトアウトではなくて、ほとんど黙示の同意に近いような、当院では全部色々な研究に使わせていただいていますというのを一つ出して、それで研究利用するというようなことが、つまり包括的なオプトアウトみたいなものがされていて、それは不適切だと思うのです。
 個別の研究目的や個別の研究に関する情報公開がされていて、それに対して拒否権があるという発想を適切に広めるためにも、オプトアウトの中で個別の研究に関する研究目的とか方法に関する情報公開が重要ということを定義の中に入れていかないと、いい方向に流していけないと思います。ですので、定義自体はこういう方向で考えていただければと思うのですが、今、私が言ったような個別の研究目的に関する情報公開ということがはっきりと見てとれるような形でブラッシュアップしていただければと思っております。
 以上です。
【森座長】 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。よろしいですか。
【八百野臨床研究等技術参与】 適宜ご相談させていただきます。
【森座長】 長神委員、どうぞ御発言ください。
【長神委員】 今のオプトアウトの件は、私も田代委員の御意見に賛同します。それが1点目で、次の点は、そもそもオプトアウトという言葉の定義ですが、今回の案では、オプトアウトの機会を保障することをオプトアウトというふうに呼んでいるのか、オプトアウトして同意しない選択をすることそのものなのか、どちらを呼んでいるのかというところが少し不明瞭になっています。そもそもの英語のほうに戻れば、研究対象者等が拒否することがオプトアウトですので、現状の資料ではオプトアウトの機会を提示することそのものをオプトアウトと呼んでいるような定義になっています。いわゆる英語の片仮名表記なので混乱を生じるので、むしろオプトアウト機会という形で記載したほうがいいのではないかと思いました。
 次の点が、これも繰り返し何度も同じようなことを申し上げていますが、「既存試料・情報の提供のみを行う者等の手続」で、現状で「既存試料・情報の提供のみを行う者」になっています。「等」がつくのかどうなのかということがポイントで、これまでも不明瞭で、この記載が何を指すのか、既存試料・情報の提供のみを行う者等とは誰なのか、ここに当たるのか、当たらないのかで読み方が分からないことが今まで議論になっていました。ここの書き方を変えるだけではなくて、できれば(4)のウだけでなくて、(3)のア(イ)の記載があった上で(3)のイに該当する人で、むしろ(4)のウには該当しない、そういったところが分かりやすいように併せて書いていただけないかと思った次第でございます。
 こうしたバイオバンクに関する意見は、私、バイオバンクの仲間と議論して提言書としてまとめて公開もしておりますので、御参照いただければと思います。
 以上です。
【森座長】 ありがとうございました。
 続きまして、山本委員、どうぞお願いします。
【山本委員】 ありがとうございます。
 4枚目のスライドのところです。前も言ったかと思うのですが、「リスクに応じた倫理審査」というふうに「リスク」という言葉を使っているのですが、これの検討があまり進んでいないように思われます。ですので、こちらももう少し時間を取って検討しておく必要があるのではないかと思います。
 特に一番下で言っている「情報のみを用いる研究」が矢印で迅速審査というふうに単純に見えてしまっているのですが、ここで言う情報のみを用いる研究というのは非常に幅広いものを含んでいるということになりますし、恐らく個人情報保護など情報利用に関するリスクということを考えることになるのですけれども、通常、倫理審査委員とか事務局は、そういった情報利用のリスクというものについて、侵襲・介入のような人体に関するリスクよりも、考えるのに慣れていない人とか、あまり詳しくない人が多いのではないかという印象を持っています。
 例えば、先ほど新規と既存というところの議論もございましたけれども、情報の場合は、新規と既存を一次利用、二次利用というふうに言い直しますと、一次利用よりも二次利用のほうがリスクが高くなるというようなケースも間々考えられます。したがって、この部分はもう少し検討を続けていただいて、どういったリスクがあって、どういうときには迅速審査ではなくて本審査に変えたほうがいいのではないかというような考え方が必要ではないかと思います。
 また、倫理審査、こういう迅速審査、本審査に仕分けるのが分からなかったのが、研究者がどっちしてくださいというふうに決めて申請できるのかどうか分からなかったのですけれども、現状では事務局、あるいは事務局がない大学などでは研究推進課などの事務担当者の方がこっちかなというふうに割り振っていることもあると思いますので、そういった委員以外の事務局とか、事務局でもない担当の方も分かりやすいような考え方を示していくことが、迅速審査や本審査の、今、こういうふうに何とか簡素化、簡易化しようとしている、そこに貢献するのではないかと思います。
 以上です。
【八百野臨床研究等技術参与】 御意見ありがとうございます。
 1点目につきまして、情報利用のリスクに関しましても確かに御指摘のとおりでございます。ただ、迅速審査の規定に関しましては、「迅速審査をすることができる」という「できる」規定にしておりますので、必ずしも迅速審査でなければいけないというわけではないと考えております。そのため、情報のリスクという観点で、通常審査が必要だと御判断されましたら、通常審査でも結構かと思われます。
 その次に頂いている御指摘が、本審査なのか迅速審査なのかという点について誰が決めるのかという点ですけれども、こちらについても、考え方については指針の本文のほうでマル1からマル4として迅速審査が可能であろうと考えられる、想定される例示をお示ししています。基本的に倫理審査委員会のほうで運営に関する規程を定めていただくこととなっておりまして、その中で迅速審査の対象とするような研究の内容については規定するということをお示ししておりますので、その内容を見た上で研究者あるいは倫理審査委員会の事務局が御判断いただくという形になるかと思います。
【山本委員】 ありがとうございます。
【森座長】 ありがとうございました。
 実際の研究計画書の内容を確認しますと、侵襲や介入の内容は詳記があり分かりやすいのですけれども、試料や情報がどう共有されるか、どう利用される可能性があるかは記載が不十分で分かりにくいのです。事務局や審査委員会では、研究計画書にその点が詳しく書かれていないので判断が難しく、それが審査を難しくしています。研究の予定で決まっている試料や情報の共有や利用について詳らかに記載を促すことは重要です。山本委員の御発言のように、その記載を基にリスクを読み取って対応することになりますので、計画書の記載の手引には、情報や試料の流れも詳しく書き、その流れが潜在的に被験者リスクにどうつながるかが分かるよう書くことが大変重要です。ガイダンスも含めて今後対応を考え、「リスクに応じた」の中身をしっかり詰めていくこともこの委員会で進めていこうと思います。ありがとうございました。
 続きまして、三浦委員、いかがでしょうか。お願いいたします。
【三浦委員】 先ほども少し議論になっていました3ページの「適正な手続」の部分です。非常に分かりやすく適切な同意や口頭ICとかをICとオプトアウトにまとめて、オプトアウトの定義をしていただいて、すごくすっきりしたと思ったのですが、ここで適正な手続を要件とするというところが非常に引っかかりました。適正な手続をガイダンスで示すとあるのですが、それを要件とするというのが果たしてどうなのか、せっかく「適切な同意」を外したのに「適正な」という曖昧な言葉を要件にするというのが引っかかりました。
 以上です。
【森座長】 事務局からはいかがでしょうか。
【八百野臨床研究等技術参与】 ありがとうございます。
 こちらについては先ほどからも御議論いただいておりますが、時間をかけて検討する必要があると思っておりますので、既存の部分等を含めて検討の時間を設けさせていただければと思っております。
【三浦委員】 ありがとうございました。
【森座長】 神里委員、お願いいたします。
【神里委員】 「既存試料・情報の提供のみを行う者」のところです。それに関してですが、この定義はガイダンスの「研究者等」の項目に示されているのみなのですね。指針では16か所「既存試料・情報の提供のみを行う者」という言葉が出てきますので、やはりこちらについても、先ほどの用語の定義でオプトアウトを指針上明記するというお話がありましたけれども、併せて指針において定義していただくことを検討したほうがいいのではないかと思っております。
 また、先ほど既存・新規について田代委員のほうから、私が最初の頃に意見書として出させていただいた意見について引用いただきましたけれども、ぜひとも新規・既存については見直しをお願いしたいと思います。こちらも申し添えておきます。
 以上です。ありがとうございます。
【森座長】 ありがとうございました。
 横野委員、どうぞ御発言ください。
【横野委員】 スライドの4枚目をお願いいたします。まず、確認ですが、ここの3つの区分けに関してです。「侵襲・介入を伴う研究」と「試料を用いる研究」「情報のみを用いる研究」に関しては、侵襲・介入を伴わないという前提でこの区分けになっていると考えてよいのでしょうか。侵襲・介入を伴うか、伴わないかで一回区切られて、伴わない、かつ試料を用いる、情報のみを用いるというふうに考えてよいのでしょうかというのが1つ質問です。
 あと、この図や表では、倫理審査に関してはリスクに応じた倫理審査という書き方になっているのですけれども、IC手続についても、資料1のほうではリスクに応じたというふうな記載があり、いずれもリスクに応じた区分というふうに考えてよいのでしょうかということが質問の2つ目です。
 もう一つ、質問があります。申し訳ありません。先ほどの区分に関してなのですけれども、ここの3つの区分「侵襲・介入を伴う」「試料を用いる」「情報のみを用いる」という区分と、資料1の6ページに倫理審査に関して「侵襲・介入研究」と「その他の研究」という区分の表現があります。先ほどのスライドで言う「侵襲・介入を伴う研究」というのが「侵襲・介入研究」に対応し、「その他の研究」は、ここで言う「試料を用いる研究」「情報のみを用いる研究」と同じものと考えてよいのでしょうか。まず、今の点を確認させていただければと思います。
【八百野臨床研究等技術参与】 まず、1点目と3点目ですが、スライド4ページ目の侵襲・介入を伴うものなのか、試料を用いるものなのか、情報のみを用いるものなのかについては、「侵襲あるいは介入が伴うような研究なのか」で1つ、侵襲や介入を伴わない「試料を用いる研究」や「情報のみを用いる研究」というところの3つのカテゴリーという形で考えております。これについての審査の在り方は、資料1の6ページ目の新規研究の「侵襲・介入研究」と「その他の研究」のところに関しましても同様で、「その他の研究」の中に「試料を用いる研究」「情報のみを用いる研究」という形で考えております。
【横野委員】 分かりました。ありがとうございます。
 そうしましたら、確認なのですけれども、情報のみを用いる研究であっても侵襲・介入を伴う場合には一番上のカテゴリーになる。
【八百野臨床研究等技術参与】 御指摘のとおりです。
【横野委員】 分かりました。ありがとうございます。
 リスクの件に関しては。
【八百野臨床研究等技術参与】 すみません。リスクの件は、もう一度お願いできますでしょうか。
【横野委員】 このスライドでいうと、IC手続の見直しイメージのところには「リスクに応じた」という表現はなく、倫理審査のところには「リスクに応じた」という表現があるのですけれども、これはどちらもリスクに応じたという区分であると。
【八百野臨床研究等技術参与】 御指摘のとおりです。
【横野委員】 分かりました。その辺り、混乱するところがありますので、この表現を今後調整していただけますと大変理解がしやすくなると思います。
 その上で、リスクに応じた区分というところに関し、山本先生からも関連する御質問がありましたけれども、特にIC手続に関しては個情法の同意規制とも関わりがある中で、今、個情法の3年ごと見直しとの関係で、個人の権利利益への影響という観点も考慮した同意規制の在り方という議論がなされていることは御紹介があったところかと思います。ここの「リスクに応じた」という中身は、個人の権利利益への影響という個情法改正で今、議論をされているところと基本的に方向性としては整合すると考えてよいのでしょうか。今後、個情法自体が改正されたときに、ここのIC手続と個情法との関係がうまく整理できるのかという観点でお伺いしているところです。
【八百野臨床研究等技術参与】 ありがとうございます。
 リスクの考え方については、御指摘のとおり、個人情報保護法との考え方と相違なくというふうに考えておりますが、倫理審査の在り方については、個人情報保護法で求めているものではありません。そのため、迅速審査か通常審査かという点については、また別の議論かなと思っております。先ほども御説明させていただきましたように、迅速審査は「することができる」規定となっておりますので、内容に応じて通常審査に上げていただくことも可能かと思っております。
【横野委員】 分かりました。ICに関しては、できるだけ今後の個情法改正との整合性が担保できるような形で御検討いただくのがよいかと思います。
【八百野臨床研究等技術参与】 そこは個人情報保護法の改正に合わせて指針のほうも検討していくつもりでございます。
【横野委員】 以上です。
【森座長】 指針だと、ゲノム情報の場合ですと、個人のみならず血縁のある方の影響も考慮ということですね。
【八百野臨床研究等技術参与】 はい。
【森座長】 ありがとうございました。
 武藤委員、どうぞお願いします。
【武藤委員】 資料2の1ページ目のオプトアウトの定義のほうに戻っていただきたいのですが、先ほど田代委員から研究対象者に何を通知するのかという部分の御指摘がありました。私はそれに加えて、何を拒否できるのかについてもう少しブラッシュアップをお願いしたいと思います。現状では「研究が実施又は継続されることについて」とあります。これだと研究計画そのものの実施を拒否できるように読めますが、そうではなくて、試料や情報を利用されることを拒否できるということだと思います。そのような記述に変えて、拒否できる内容の範囲について原則的な記述を補足したほうがよいのではと思いました。御検討いただきたいと思います。
 それから、2ページ目です。先ほど神里委員から「既存試料・情報の提供のみを行う者」について言及がありましたが、現在、ガイダンスの19ページに、研究者等についての解説として「既存試料・情報の提供のみを行う者」とマル1の「新たに試料・情報を取得し、研究機関に提供のみを行う者」、この2つが研究者等から外れるという整理になっています。神里委員の御意見に賛同するとともに、この「新たに試料・情報を取得し、研究機関に提供のみを行う者」についても本文で説明していただいて、この役割にある者は研究に関与しないということも明記してはどうかと思っています。
 あと、さっき言えばよかったのですけれども、オプトアウトの定義のところ、戻ってしまってごめんなさい。オプトアウトという言葉は、個人情報保護法上は第三者提供に限定された話になっていますが、倫理指針で言おうとしているオプトアウトは第三者提供に限らず、自機関にある試料や情報を二次利用することも含まれていると理解しています。そのため、倫理指針において片仮名でオプトアウトと表記すると混乱しないかについて危惧しています。過去に疫学指針や臨床研究指針では、拒否の機会の保障という日本語をつくっていますので、日本語で示したほうがいいのではないでしょうか。また、オプトアウト文書というのも何だかよく分かりません。オプトアウト手続というのも分かるようで分からないので、研究概要について記載されて公開されている文書であるとか、拒否の機会を保障するための手続あるいは拒否の申出があったときの手続というふうに、誰が読んでも理解できるように書いたほうがよいです。略称は必要なので、拒否機会保障とか略してもいいと思いますが、なるべく片仮名とかやめたほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
【八百野臨床研究等技術参与】 御意見ありがとうございます。
 オプトアウトの定義につきましては、御指摘のとおり、研究そのものの実施や継続ということではありません。研究対象者の試料や情報の利用や提供についての拒否機会という形で考えておりますので、定義を示す際にも参考にさせていただければと思っております。
 また、神里委員からも御指摘ありますように、既存試料・情報の提供のみを行う者の定義につきましても、定義づけをすることも含めて検討させていただければと思っております。
【森座長】 オプトアウトという用語は医療ではほぼ使われていません。研究領域では広く活用されているのですけれども、医療関係者が疎い用語であるので、拒否の機会の提供というふうに明示することがよいと思いました。武藤委員の御意見のとおりだと思います。ありがとうございました。
 田代委員、どうぞ。
【田代委員】 山本委員から御提案のあった情報の二次利用に伴うリスクを倫理審査委員会がどう判断するかという論点は、これから重要になってくると思います。迅速審査か通常審査かというのは、事務局からも説明があったように、迅速審査になったら、そのままいくというよりも、これは通常審査で見たほうがいいというのは上げていくというのは普通にやられていることなので、この区分け自体はこれでいいと思います。ただし、例えば情報の二次利用に伴うリスク、こういうものは結構リスクが高いとか気をつけなければいけないというのは、指針の中に書くとかガイダンスで書くというよりも、何か研究班みたいなものをつくっていただいて、そこから情報リスクが高い研究をどういうふうにスクリーニングしていくのか、倫理審査委員会が判断するときにどういうものを参照していくと現実的な判断ができるのか、そういうある種のツールみたいなものを別途用意して倫理審査委員会に使っていただくというほうがよいのかなと思います。この領域は大変発展が速い領域で、この後も医療AIの開発だとか、いろいろな領域で関係してくるので、やはりしっかり見直していきながら、倫理審査委員会が都度都度リファーできるようなものをつくっていったほうが本来的にはいいのかなと思います。ですので、必ずしもガイダンスとか倫理指針の本体に書くという以外にもいろんなやり方があるのかなと思いながら伺っておりました。
 以上です。
【森座長】 ありがとうございます。
 この合同会議もその役割が期待されているという理解でいいのでしょうか。そういった情報に関する、リスクに関する意見集約ですとか有識者の意見を集めるということはこの会議のミッションではないということで、また別のミッションということでしょうか。
【八百野臨床研究等技術参与】 田代委員のご指摘のように、研究班等で具体的に御検討いただいたものをこの会議の中でお示しするということは可能かと思いますので、そういったことも含めて進め方について検討させていただければと思います。
【森座長】 分かりました。どうもありがとうございました。
 それでは、貴重な意見を頂きまして、本日、議論を進めさせていただきました。予定時間を超過して申し訳ございませんでしたけれども、本日の議題は以上です。
 事務局、いかがでしょうか。
【舩冨課長補佐】 本日も貴重な御意見を多く頂きまして、どうもありがとうございました。新規・既存等の論点につきまして、多く御意見を頂きましたので、進め方を含めて改めて御相談させていただければと思います。
 次回の開催につきましては、改めて開催方法を含めて御連絡を差し上げます。
 なお、本日の合同会議はライブ配信にて公開させていただきましたが、後日公開する議事録が公式な記録となります。本日の議事録につきましては、委員の皆様にお諮りして座長の確認を得た後にホームページにて公開させていただきます。
 以上でございます。
【森座長】 それでは、本日の第5回合同会議はこれで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

――了――

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