令和7年5月22日(木曜日) 14時02分~15時55分
Web会議
経済産業省別館2階会議室
森座長、阿部委員(代理:土屋氏)、有江委員、石井委員、神里委員、楠岡委員、佐々委員、佐原委員、田代委員、玉腰委員、徳永委員、長神委員、花井委員、日置委員、別所委員、前田委員、三浦委員、武藤委員、山内委員、山本委員、横野委員、吉田委員
木村安全対策官、佐藤専門職、工藤専門職
江田推進官、西田専門官、舩冨補佐
飯村室長、新井専門官、八百野技術参与
小野企画官、室補佐、沼澤係長
個人情報保護委員会 山田企画官、古川補佐、新津補佐、藤田補佐
厚生労働省 西川企画官、山崎補佐、青木補佐、岡補佐、吉原補佐、糸谷補佐
内閣府 日野参事官、網野企画官、中村補佐、宮田補佐、阿部主査、増田係員
【森座長】 それでは、ただいまから第3回生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議を開催させていただきます。本日は大変お忙しい中、御出席を賜りまして厚く御礼申し上げます。
最初に、事務局から本日の出席状況並びに配付資料につきまして説明をお願いいたします。
【室ヘルスケア産業課長補佐】 経済産業省ヘルスケア産業課の室と申します。本日はよろしくお願いいたします。
本日は、森座長をはじめ22名の委員の方が出席されていらっしゃいます。磯部委員、戸田委員、三成委員が御欠席、石井委員は15時頃までの御出席、また、阿部委員におかれては御都合により土屋様が代理出席されております。
事務局につきましては、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省より関係課室が参加するとともに、オブザーバーとして個人情報保護委員会事務局と内閣府健康・医療戦略推進事務局、厚生労働省医政局参事官医療情報担当付が参加しております。なお、事務局等のメンバーについては、参考資料1―2を御覧いただければと思います。
続いて、資料の確認をいたします。本日はウェブ会議としており、委員の皆様には、直前になりましたが、事前にお送りした資料を御参照いただければと思います。議事次第のほかに資料1、これまでの主な意見と今後の検討方針について(案)と参考資料1―1から5をお配りしております。参考資料2は、第2回合同会議後の委員の追加意見をまとめておりますので、適宜、御参照願います。
ここで、ウェブ会議を行うに当たって御留意いただきたい点について御説明いたします。今回はTeamsを使用しております。通常はマイクをミュート、カメラはオフに設定していただき、発言時にはカメラオンとミュートの解除をお願いいたします。発言を希望される方は画面上の挙手ボタンにて意思表示をお願いいたします。その他、何か不都合等がございましたら、チャット欄のほうでコメントいただければと思います。
以上です。
【森座長】 御説明どうもありがとうございました。
それでは、議題1、倫理指針の見直しの方向性(案)に入らせていただきます。資料1のこれまでの主な意見と今後の検討方針について(案)につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 厚生労働省より説明させていただきます。資料1、これまでの主な意見と今後の対応方針について(案)を御覧ください。
表紙をめくっていただきまして、1ページ目になります。前回4月の合同会議でもお示しさせていただきました資料でございまして、一部表現を若干変更させていただいておりますが、大きく4つのテーマに意見を整理しております。主な意見1、個人情報保護法等との関係、主な意見2、倫理審査委員会に係る意見、主な意見3、インフォームド・コンセント等の手続に係る意見、主な意見4、用語の定義、ヘルシンキ宣言、被験者保護等としております。
次のページから、主な意見に沿いました検討方針案を示させていただきます。2ページ目を御覧ください。1、個人情報保護法等との関係、3、インフォームド・コンセント等の手続に係る意見についての今後の検討の方向性を示しております。
下段の見直しの方向性(案)を御覧ください。主な意見1と3に関して、個人情報保護法も踏まえつつ、倫理指針でのIC(インフォームド・コンセント)手続等の見直しについて検討していく必要がある。また、個人情報保護法と倫理指針の適用関係等についても整理をする必要があり、次ページに主な相違点を示しております。
2つ目の○ですが、IC手続等に関する規定、現行指針の第8の1関係については、まず研究の分類に応じて検討を進め、方向性が決まった段階で条文修正の作業を実施してはどうかと考えております。
3つ目、一番下の○ですが、各委員や前回会議での米村参考人からの御意見については、倫理指針見直しに必要な内容を精査した上で条文への反映を検討してはどうかと考えております。
続いて、3ページ目を御覧ください。個人情報保護法と倫理指針の主な差分をまとめた参考資料となります。同意手続では、個人データの第三者提供時の学術研究例外と公衆衛生例外が適用される場合には、個人情報保護法では同意不要となっておりますが、倫理指針では拒否する機会を確保いただくということで、オプトアウトの実施を求めているのが上乗せでの要求事項となっております。
3段目の国内、EU、英国にある第三者に対する個人データの提供で過去に一定の包括性のある同意を取得している場合、個人情報保護法では再度の同意取得が不要となっておりますが、倫理指針ではオプトアウトの実施を求めております。
4段目、EU、英国を除いた外国にある第三者に対する個人データの提供で過去に一定の包括性のある同意を取得している場合、個人情報保護法では再度の同意取得は不要ですが、倫理指針では再度の適切な同意取得となりまして、学術研究例外等の場合にはオプトアウトでということになっております。
4ページ目を御覧ください。2ページ目にお示しした見直しの方向性(案)に記載した研究の分類に応じたIC手続の見直しイメージ(案)を示させていただいております。こちらは事務局で整理したものでございます。各委員に事前送付していた内容から大幅な変更がございまして、大変恐縮でございます。資料案の調整の段階で、より簡素化をするべきという意見がございまして、より簡素化を図った結果、本日の資料となっております。
見直しイメージ(案)を記載しておりまして、まず指針の対象となる生命科学・医学系研究を1、侵襲・介入を伴う研究、2、試料を用いる研究、3、情報のみを用いる研究に大別し、この分類に応じた記述を検討してはどうかという案としております。
まず、侵襲・介入を伴う研究では、文書によるICを原則とし、軽微侵襲のみの場合や食品の研究等での介入のみの場合には口頭ICとする案でございます。この場合に記載している求められる手続内容は現行指針と同じです。
次に、試料を用いる研究では、新規取得の場合は口頭IC、既存試料の場合はオプトアウトが通常との記載にしております。これは、試料を用いる研究の多くの場合が、試料は個人情報保護法の対象ではないので、個人情報保護法に準じた適用はおかしいとの御指摘をいただいている部分ではございますけれども、学術研究機関による学術研究目的の場合、特段の理由、すなわち個人情報であれば個人情報保護法における公衆衛生例外に該当する研究であり、研究者向けには分かりやすく、基本的には多くの場合がオプトアウトであることを示しております。
括弧書きでは、学術研究等に該当せず、包括的な同意もない場合には適切な同意と記載しております。
試料を用いる研究のIC手続につきましては、前回の米村参考人からの意見に基づき、次回以降さらなる検討が必要なため、ペンディングを意味するPをつけさせていただいております。
続いて、3つ目の情報のみを用いる研究では、新規取得時は、要配慮個人情報は適切な同意、要配慮個人情報ではない個人情報ではオプトアウト、既存情報を用いる研究の場合には、学術研究例外、公衆衛生例外時はオプトアウトとしております。
括弧書きでは、個人情報保護法の例外規定が適用されず、包括的な同意もない場合には適切な同意と記載しております。
個人情報保護法の同意との差分につきましては、次回以降、改めて審議をお願いすることになりますが、仮にこの記載の案としますと、EU、英国以外の外国への提供を行う場合で包括的な同意がある場合に、現行指針では再度の同意を先ほどの資料のように求めておりますけれども、オプトアウトで可とする案となります。
また、下の欄外に注釈を記載しておりますが、ここで言うオプトアウトは、研究機関のホームページに情報を掲載し、問合せ先を明示することで個人情報保護委員会への届出は不要との記載。右側には、仮名加工情報、個人関連情報の取扱いは個情法の規定にのっとることにしております。この方針の場合には、ガイダンスにおきましては、仮名加工情報や個人関連情報の場合に、個人情報保護法上の要求事項や留意事項を記載することを考えております。
また、先ほどの包括的な同意がある場合の外国への提供と同じく、個情法の現行指針と同意手続の差分は、次回以降に改めて御審議をいただくことになりますが、仮名加工情報は個情法にのっとるという記載のみとしますと、現行指針では新たに仮名加工情報を作成して使用する場合にオプトアウトを求めておりますが、オプトアウトも個情法と同様に不要となるという見直し案となります。
また、こちらの資料の右側にはそれぞれのリスクに応じた倫理審査の分類を記載しており、手術・手技に関するような研究など、侵襲・介入を伴う研究では本審査、軽微侵襲のみの場合や試料、情報のみの場合には迅速審査としております。このほかにも簡略化を認める場合ですとか匿名加工情報の場合など、細かな事例の場合には反映しておりませんので、この資料は、あくまでも見直しの方向性について大きな方向性のイメージを示しているということで御理解いただければと思います。
続いて、5ページ目を御覧ください。主な意見2、倫理審査委員会に係る意見に関してでございます。委員からいただいております意見としまして、一括審査についての実態を把握した上で運用を検討し、また、審査の種別ごとの対象や変更申請の範囲を改めて整理すべきといただいております。規制改革実行計画でも一括審査の必須要件化と変更申請での研究実施機関の追加時の審査の要否を整理するとされています。
下段の見直しの方向性(案)ですが、昨年度末に実施しました倫理審査委員会に対する調査結果を参考に一部の研究、例えば侵襲・介入の有無といったものに関して一括審査を必須とすることも含め、審査等の在り方を見直してはどうか。
2つ目の○では、一括審査の際に留意すべき点等についても検討してはどうか。
3つ目の○では、審査が適用される研究を判断しやすいような記載とする。審査免除等の範囲についても議論してはどうかということ。
最後の○ですが、審査の種別について、本審査、迅速審査、報告事項の対象や、変更申請の範囲の見直しを行ってはどうかとしております。
次のページを御覧ください。倫理審査委員会の運営状況の調査を実施しております。6ページ目です。概要を紹介させていただきます。調査対象・方法は、倫理審査委員会報告システムに登録されている倫理指針に規定されている倫理審査委員会を無作為抽出し、ウェブ上の調査フォームへの回答を求めました。
調査実施期間は、下にございますように本年3月6日から21日までで実施しております。
次の7ページ目を御覧ください。調査の回答者の分布を示しております。711の委員会に依頼し、回答率は54.4%、387の回答をいただいております。設置主体別の分布は、こちらに示しているとおりでございます。
続いて、8ページ目を御覧ください。上段1は一括審査に対応しているかでございまして、「対応している」との回答が72%でした。
2は実際に一括審査を受け入れているかでございまして、「自機関の研究者が参画している研究のみを受け付けている」が24%、「自機関の研究者が参画していない研究でも受け付けている」が36%、「受け付けていない」が40%でございました。
3は事務局体制の有無でございまして、88%が「体制あり」ということでございました。
右下に参考で記載しておりますのが事務局員の数でございまして、平均が3.3人、中央値が3人でございました。
続いて、9ページ目を御覧ください。左上の見出し部分にその他意見4となっておりますが、こちらは主な意見4でございます。失礼いたしました。
用語の定義、ヘルシンキ宣言、被験者保護等については、見直しの方向性(案)として、用語の定義では新規と既存の考え方について、こちらは事務局への問合せや相談も多く、改めて明確化してはどうかと考えております。
続いて、介入の定義に関しまして、こちらは事務局からの提案となりますが、臨床研究法との関係も考慮して、軽微な侵襲を伴う行為の扱いについて検討してはどうかと考えております。現行の介入の定義をこちらに記載しておりますけれども、検査の有無または程度を制御する行為があれば介入となっておりまして、通常の採血の回数が増えるような場合でも介入に合致するかのような定義となっております。軽微な侵襲を伴う検査を行うような研究についての取扱いを検討してはどうかと考えております。
続きまして、ヘルシンキ宣言、被験者保護等につきましては、今回の見直しの議論においては、被験者保護などの基本方針についての認識を共有しつつ、全体で議論を進めてはどうか。
2つ目の○は、ヘルシンキ宣言の改定を受けて、委員や参考人の見解を伺った上で、倫理指針への反映を検討してはどうか。
3つ目の○は、バイオバンクにおける課題について意見をいただいておりますので、関係する委員として長神委員や徳永委員などから課題等の見解を伺った上で、倫理指針の見直しの必要性について検討していってはどうかと考えております。
続いて、10ページ目を御覧ください。こちらは参考資料となりますが、先ほどの介入の定義の検討に関連しまして、臨床研究法の改正が昨年6月になされておりまして、今月末から改正法が施行となります。こちら、著しい負担を与える検査等を行う場合には、臨床研究法の対象となることを明確化した法改正となっております。
臨床研究法では、1、研究目的で医薬品等を使用する場合、すなわち医薬品等を用いる介入研究の場合が主に対象となっております。
2、通常の医療の提供として医薬品等を使用する場合、いわゆる観察研究の手法を取る場合でございますけれども、この場合には、基本的には臨床研究法ではなく、倫理指針に従って実施いただくこととなります。
水色の背景部分でございますが、医薬品等の使用は研究目的ではない場合であっても、研究目的で研究対象者に著しい負担を与える検査等を通常の医療に追加して行う場合には検査での介入がありまして、こちらは臨床研究法の対象になるものだということを明確にした法改正を行っております。
続いて、11ページ目を御覧ください。こちらも参考資料でございまして、バイオバンクに関連する現行の倫理指針とガイダンスでの記載を掲載しております。バイオバンクは、指針上、試料・情報を収集・提供する機関と定義されまして、第7で、研究計画書に試料・情報の収集・提供を実施する場合の記載事項、第8では、説明時にバイオバンクの利用目的と取扱いを研究の方法として説明することを求めております。
そのほかのIC手続等に関しましては、通常の研究機関と同様でございまして、こちらに課題があるとの御意見もいただいておりますので、関係委員等からの見解を伺いまして、見直しの必要性を検討していってはどうかと考えております。
資料1の説明は以上となります。
【森座長】 御説明どうもありがとうございました。
それでは、これから質疑の時間とさせていただきます。御意見、御質問のある先生方におかれましては、チャットにて意思表示をいただきまして、こちらから指名させていただきます。お願いいたします。では、田代委員からお願いいたします。
【田代委員】 御説明ありがとうございました。具体的な話はこれからというところがあるのですけれども、私の理解では、ある程度、現場の負担減を意識しながら案をまとめていただいたのかなと思っておりますが、1点質問と意見があります。
質問に関しては、今回の資料3枚目の個人情報保護法と倫理指針の主な差分という表ですけれども、もちろんこれは主要なものを示したということになるのですが、少し違和感があるので、その辺りについて現状認識を確認したいのです。
これだと倫理指針は、要はオプトアウトを上乗せしていて、あとは倫理審査を上乗せしているだけに見えるのですが、もしそれであれば、多分現場の研究者から何の不満も出てこないと思うのです。結局一番大きいのは、こういったデータの研究利用に関して基本的には全て同意取得を求めていて、同意取得困難だったらオプトアウトということになっている点です。
特にそれが個人情報保護法との関係で言うと、学術研究例外と公衆衛生例外の違いを無視しないで一律にそれを課しているところが一番の上乗せになっていて、実際、いろいろな病院や大学で同意取得困難の判断が変わってくるので、共同研究をやるといろいろばらばらになってしまう。それに尽きるところがあるので、最終的にこの形にいく、つまり、基本的に指針としてはオプトアウトと倫理審査を求めるというのは問題ないと思うのですが、現状では、やはりここに大きな差分があると思いますので、その点が1点確認したい点です。
もう一点は意見なのですけれども、4ページ目の今後の見直しの方向性についてです。私の理解ですと、先ほど言ったようにある程度、現場の負担減ということで、少し要件を緩和していくということで考えていただいたのかなと理解しているのですが、この複雑さを解決するときに、緩和していくという方向だけではなくて、整理という方向があると思うのです。
それは具体的に何かというと、例えばこれもずっと議論になっている「適切な同意」という概念が分かりにくいという話が委員からも出ています。これなども結局、例えばインフォームド・コンセントという概念に一本化した上で、今の「適切な同意」に該当するものに関しては、今二十数項目ある説明項目を全て満たさなくてもよい、と定義してしまえば、選択肢としては1つになります。
あと今回、口頭インフォームド・コンセントを少し使えるようにしようという意図なのかなと思ったのですが、現実的には口頭インフォームド・コンセントは使えない選択肢になっていて、二十何項目あるのを口頭で説明して記録を取るというのはほとんど現実味がないので、まず使われないのです。
もしそれを使える選択肢にするのだったら、繰り返しになりますが、今の適切な同意で認めているようなことをする必要があります。もともとこの指針の説明項目はディオバン事件の際に臨床試験を意識してつくったものなのですが、それがアンケート調査に降りかかってしまうことが運用では起きています。本当にちょっとしたアンケート調査で、例えば説明文書にサインさせるといった過剰な反応が起きているのも、それと関係しているのです。ですので、2つ目の意見としては、要件を緩和していくだけではなくて概念を整理して、複雑になっていたものを1つないし2つの選択肢に縮めていく、シンプルにしていく方向での検討も同時に考えたらいいかなと思います。
以上です。
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 御指摘ありがとうございます。
まず3枚目の差分に関しては、田代委員の御指摘のとおりでございまして、確かに現行の指針では、学術研究例外等であっても同意取得が容易である場合には同意を取ってくださいという形になっていて、そこが容易なのか困難なのかが難しくなっているという御指摘をいただいているのは我々も承知しております。
また、4ページ目の今後の分類の見直しのところにおいても、こういった記載だけではなくて、適切な同意の在り方とかその辺の分類も整理していく、この御意見もまさにおっしゃるとおりでございますので、次回以降、この辺も先生方にしっかり御議論いただきたいと思っています。ありがとうございました。
【田代委員】 ありがとうございました。
【森座長】 では、長神委員、お願いします。
【長神委員】 ありがとうございます。1点目は会議の非常に細かいところですけれども、第2回の議事要録は今回の資料にも添付されていなかったのですが、最終的にどうなったのでしょうかというのが1つ目の質問でございます。
他に幾つかお話しします。田代先生も御指摘いただいていた倫理指針の件ですが、上乗せで最終的にこうなるのかなというのは、私もおおむね同意ですが、このときオプトアウトという表現をしたときになかなか難しいのが、法律上のオプトアウトの問題です。例えばバイオバンクに試料や情報が研究者から移されて、バイオバンクから外に出ていく場合に、バイオバンクに移動する時点でオプトアウトが使われている場合に、二重のオプトアウトになって個情法の規定に引っかかるのではなかろうかという考え方をされる方々が保守的になられるケースがあり得ます。何らかその辺は用語を分けるなどのことを考えていただけるといいのかなと思っています。
本日の資料のIC等の見直しイメージのところは、こうやって分けていくというところは分からないでもないのですが、特に新規取得に関しては情報のみでも要配慮個人情報になると適切な同意が必須となっていますが、バイオバンクの試料を用いる場合、試料を用いて解析をした結果、そこで要配慮個人情報が生まれたり、要配慮個人情報だったものが要配慮性がなくなったりなどということは、しばしば起こることです。新規取得の要配慮だけ異常に厳しくなっていないかなというのが、この整理の中で思うところです。試料から情報が生まれて、その情報の種類が変わり、また、得られた情報を例えば公開情報と突合することによって個人識別性が生まれるなどというケースも当然ございます。今日の資料はまずはこの3類型を基にしてということだとは理解しますが、必ずしもここに当てはまらないものがかなりあると申し上げるとともに、新規の要配慮個人情報については、この中だと少し厳しいとと思った次第です。
【森座長】 続きまして……
【長神委員】 議事録がどうなったのかという話を伺ってもよろしいですか。
【木村ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室安全対策官】 文科省でございます。
前回の会議の議事録につきましては、現在、事務方のほうで整理中でございますので、でき次第、森座長にも御確認をいただいた上で公表してまいります。時間を要しており大変失礼いたします。
【長神委員】 次回の、この前に頂けると助かります。ありがとうございます。
【森座長】 では、続きまして、有江委員、お願いいたします。
【有江委員】 よろしくお願いします。
先ほどの田代委員の質問に含まれるものかもしれませんけれども、ちょっと念のため確認をさせてください。スライド4の今後の見直しについて(案)ですけれども、情報のみを用いる研究で、既存情報について、学術研究例外と公衆衛生例外時はオプトアウトと書いてあるのですが、個情法の例外規定で特段の理由がある場合、いわゆる公衆衛生例外の場合はオプトアウトでいいということでしょうか。もう一度、確認させてください。
個情法では、もし公衆衛生例外を使う場合は同意困難というのが前提にあると思うのですけれども、そのような同意困難前提は指針では求めないということなのかということでしょうか。もしそうであれば、これに関して個情委側も許容されているというのでしょうか、法律とはちょっと異なるのかなと思いましたので、そこは指針に寄せて配慮していただいているということなのでしょうかということを確認させてください。
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 ありがとうございます。
学術研究例外に関しましては、今この案ですと、現行指針では、同意が容易なときには同意を取ってくださいということになっていますけれども、学術研究例外に関しては、それをなくしてはどうかという提案です。一方で、公衆衛生例外に関しましては、今、現行では個人情報保護法上で同意困難という要件がございます。これは、指針上では特段求めていないのですけれども、法律上、同意が困難なときしか公衆衛生例外が適用されませんので、そこが残ってしまうということになります。
一方で今、個人情報保護委員会でもそこの見直しについては検討いただいているものと理解していますが、現状はそうなっておりますということでございます。
【有江委員】 分かりました。その下のほうに括弧書きで書いてある個情法の例外規定が適用されず云々のところには、適切な同意と書いてありましたので、これは学術例外規定も公衆衛生例外規定も一律オプトアウトということに見直しされるのかなと、この書きぶりだけ見て少し勘違いしました。よく分かりました。ありがとうございます。
【森座長】 吉田委員、どうぞお願いします。
【吉田委員】 ありがとうございます。御説明ありがとうございました。
今後の見直しについては、簡素化するというイメージが出ているので、方向性としてはよいと思います。ただ、先ほど田代委員も言われていたように、ICの種類として、文書IC、口頭IC、適切な同意の区別が分かりにくいので、これを整理できると、より研究者にとっては理解しやすくなると思いました。
一方で、その1つ前の個人情報保護法と倫理指針の差分についてですが、個人情報保護法に加えて、倫理指針の規制を上乗せする必要があるかどうか、上乗せしなくてもいいところがあるとすればどのよう場合か、その場合には被験者リスクを増やさないということを大前提として検討していけばよいと思います。
【森座長】 ありがとうございました。続きまして、佐々委員、お願いいたします。
【佐々委員】 ありがとうございます。今、吉田委員も言われていたのですけれども、今後の見直しのところで大幅に分かりやすく直していただいて、こういう流れにしていただくと、サインをするとか同意を示す被験者の方や家族も分かりやすいので、大変感謝しています。それと、被験者保護についてもこれからちゃんと考えていただけるということで、御礼申し上げます。
ただ、前の米村先生のお話にありましたように、やはり理念として掲げていただくことで今は被験者でない人、今は健常でもいつかこの指針にお世話になる人にとって分かりやすく信頼されるようになることが大事だと思います。被験者保護の考え方が被験者でない人にも伝わるような理念として示す方向で今後考えていただけたらと思います。よろしくお願いします。
【森座長】 では、続きまして、横野委員、御発言ください。
【横野委員】 ありがとうございます。1つ質問がございます。
先ほど来、議論となっております4ページ目の今後の見直しについてのイメージ案なのですけれども、ここで示されている例えばオプトアウト等の手続というのは、現在の指針では、先ほど3ページに関連する御質問が田代委員からもありましたが、同意困難な場合、原則同意だとか、あるいは必ずしもインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、という前提で、オプトアウトの選択肢もあるという形の規定になっているのですけれども、ここで書かれているものは、第1選択として選択すべき手続というイメージなのか、あるいは最低限必要な手続というイメージなのかということをまずお伺いしたいです。
もう一つは、個人情報保護法との関係で、先日、2日ぐらい前ですか、個人情報保護法改正法律案の提出は今の国会では難しいという報道を目にしました。そちらとの兼ね合いもあるかと思うのですけれども、現状の4ページの案については、個情法とはひとまず別のものとして、指針の中で完結したものとして進めることができると考えてよいのでしょうかということが一点。
あともう一点、この中で包括的な同意について言及していただいているところに関連して、現状では包括的な同意をある程度詳しく説明して受けている場合であっても、例えば3ページ目のところにある、外国にある第三者への提供に関しては、結局、再度の同意が必要になるとか、あるいは頻繁に個人情報保護法ですとか倫理指針の改正がある中で、数年前に得た同意の範囲ではなかなか現在の法律上の要件あるいは倫理指針上の要件を満たすことができないのではないかといった懸念があるがゆえに、包括同意を取るとき、同意文書にどのように説明を記載するかに関する検討に極めて時間がかかってしまうということと、そのように時間をかけて作った文書に基づいて同意を得ていたとしても、結局のところその同意の範囲でカバーされるのかどうか明確ではないということが、特にデータベースからの提供に関してはしばしばあって、結局、例外規定に基づいて学術研究例外か公衆衛生例外等で研究できる範囲に限定しての提供という形に対応せざるを得ない場合が現実的にはあると思っています。
それは包括的な同意という形で同意をいただいていることの意味を希薄にしてしまっているようにも思うところがありますので、できれば、包括同意がある場合には、提供時の審査ですとか、その後のガバナンスを適切にするということを前提とした上で、なるべく包括同意が生きるような形を御検討いただけるとありがたいと思っています。最後はコメントです。
以上です。
【森座長】 ありがとうございました。
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 今、横野先生からの御質問の件ですが、1点目が、今ここの4番のところがオプトアウトは最低実施基準なのか原則なのかに関しましては、もちろん今後、次回以降また委員の先生方に御議論いただくべきところでございますけれども、事務局案といたしましては、原則で示しております。もちろん一文で、例えば同意を取るほうが丁寧ですよみたいなことは書こうかと思っておりますけれども、原則オプトアウトということにしてはどうかという形で記載しております。
【横野委員】 ありがとうございます。承知しました。
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 もう一点、個情法との関係は、今ここに示してある案に関しましては特段影響はなくて、また個情法が改正されたら、影響が出てきたときにもう一回検討しなければいけないという理解でございます。
【横野委員】 承知しました。
【森座長】 3はよろしいですかね。
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 3は御意見として承ります。現状は、先生方も苦労されているかと思うのですけれども、やはり個別の倫理審査委員会の中で最初に取ってきた同意のところが有効かどうか、包括の範囲なのかということを判断いただきたいと思いますが、そこは柔軟な運用、本当に難しいですけれども、もし考え方とかを整理できるのだったら、していくものかと考えております。御意見ありがとうございました。
【横野委員】 ありがとうございます。
【森座長】 玉腰委員、どうぞお願いします。
【玉腰委員】 どうもありがとうございます。今出ておりました4ページにつきましては、これまでの委員の意見にもありましたように、整理、簡素化していただくということに対して非常に期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
別の件で、9ページにあります介入の定義のところなのですけれども、これは本当におかしな定義が使われていると改めて思います。人を対象とする研究がこの指針の中で当然対象になってくるわけですけれども、私どもが使います介入研究という言葉は、あくまでも介入をしたことがその後の健康に影響を与えるのかどうかを見る、その目的のものを介入と言っているのであって、単純にどんなきついものであろうと検査を行うなどというのは、介入ではなくて侵襲であると思いますので、ぜひ整理をしていただければありがたいです。
もう一点、倫理審査についてなのですが、5ページで一括審査について記載があります。一括審査というのは非常に有効な手段ではあると思いますけれども、倫理審査委員会が非常に多く立ち上がっていて、その質がまだまだ十分に一定の水準に達していないというのは、研究者は皆認識しているところだと思います。
その点で、その中で一括審査を必須としてしまうことについては、かなり慎重な議論が必要ではないかと思いますので、そこの確認をお願いしたく思います。下手をすると、本当に社会からの信頼を失うことになりかねないと思いますので、よい研究はきちんと審査をされて、そして安心して皆さんに受けていただけるという体制をぜひつくっていただきたいと思います。
以上です。
【森座長】 ありがとうございました。続きまして、花井委員、どうぞお願いします。
【花井委員】 ありがとうございます。
先ほど先生方から御意見があったとおり、スライド4で方向性としては非常に分かりやすくなったのかなと思いますけれども、スライド3にあるような、先ほど議論があったことなのですが、包括的な同意の効力というのは、現場では非常に論点になるところでありまして、特にレジストリの場合の同意があって、レジストリの場合は、もちろんデータがアップデートしていくわけです。そのアップデートしたデータが新たな同意が必要なデータになるかどうか。それから、システム上、テーブルを階層することができて、別項目とかとなったとき、その別項目をオプトアウトする必要があるのか。あと、レジストリに関して言えば、最近は政府もIT化を進めておりまして、PHR的な機能が実装されたり、いろいろな方向性があります。
しかしながら、後のシステムがいろいろ変わったときに、これは再同意が必要だから最初に取った同意が使えなくなるとか、そういうことが起こりかねないので、改めてレジストリ、あるいはePROなどが実装しているものもありますし、そういったいろいろな今あるシステムの現実を踏まえて、使いやすい形で整理をしていただきたいと思います。今急速にシステムに関して技術とか環境が変わっていますので、後からどうしようもなくなるということがないように御検討いただけたらと思いました。
以上です。
【森座長】 ありがとうございました。続きまして、楠岡委員、御発言お願いします。
【楠岡委員】 楠岡です。
今出ているスライドに関係するところです。口頭ICに関しては、口頭で説明して口頭で同意を取るということになると思うのですが、同意を取ったことの記録をどうするかということを明確にしておかないと、同意したしないという水かけ論になりかねないところがあるという点。
それに対して文書の場合は、当然のことながら文書で同意を取っています。今の指針の中でも口頭ICに関しては、同意を取ったことをカルテ等に記載するという書きぶりになっているかと思いますので、そこを少し明示しておかなければいけないと思います。
それから、上のほうの1侵襲・介入を伴う研究で、例として手術・手技に関する研究とありますが、どちらかと言うとあまり多い研究ではなくて、むしろ日常診療において、例えば同種同効薬の2種類を比較するのに対して検査はそのままする。それの割りつけを行う場合、すなわち介入のみで侵襲は全くないという場合が臨床では多いわけです。そのようなもう少しありふれた事例を挙げていただいたほうがいいのではないか。
確かに臨床研究法からすると、手術・手技というのが全く含まれなくて指針にいくので、そのようなことが頭にあって書かれたのかもしれないですけれども、もうちょっとありふれた例を出されたほうがいいのではないかと思います。
以上です。
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 楠岡先生、ありがとうございます。
現状、医薬品を投与する介入研究は臨床研究法になっておりまして、承認の範囲内であっても非特定の臨床研究になって、臨床研究法の努力義務となりますので、今の倫理指針に残っているのは、手術・手技ですとか食事ですとか運動といったところの介入研究が残っているところでございます。
【森座長】 御説明どうもありがとうございました。では、続きまして神里委員、お願いします。
【神里委員】 ありがとうございます。私も4ページ目についてのコメント、質問でございます。
今回、3つに分類していただきまして、侵襲・介入を伴う研究については、上のほうで手術・手技に関する研究等を想定しているということで理解しました。
一方で、試料を用いる研究においても、試料を採取するときに侵襲を伴うものが多くあると思います。もしかしたら御説明あったのかもしれないのですが、Teamsに入るのに手間取ったため、そこを聞けていないのかもしれないのですが、例えば皮膚生検をして、その後に何針か縫うという、それも新規取得の観察研究になるわけなのですが、今回それも口頭ICでよいという御提案なのかという点について、まず1点聞かせてください。
そして、また先ほど来、口頭ICは口頭で説明して口頭で同意を取るということでお話がありますが、それが原則ですけれども、ガイダンスでは文書で御説明をして、口頭で同意を得て、それをカルテに記載するというのも口頭同意に該当するものとして扱う記載がありますので、そこのところをもう少し運用できるような形にすると、今は全然使われていない状態ですけれども、口頭ICももう少し使いやすく、すなわち文書では25項目などをきちんと御説明して、それを持って帰っていただけるようにした上で、ただ、同意について書面を頂くのは手間がかかったり管理するのが大変ということであれば、口頭で同意を取るということもありかなと思います。
ただ、一方で、同意を取るときも今や紙ではなくて、タッチパネルみたいなものでやる方法もありますので、その辺もどこまで必要なのかというのは、一昔前とはちょっと違うのかなと思っています。
あとはコメントなのですけれども、ここで今使っている新規、既存という点に関しては、現場でもかなり混乱を来している部分がありますので、やはりそこの定義の確認、見直しをするということ。また、適切な同意についてもしかりで、やはり定義を確認しておくことが必要かと思っております。
以上です。
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 ありがとうございます。
まず、1点目の御質問でございます。試料を用いる研究の際、侵襲を伴うような場合に関しては、侵襲・介入を伴う研究に分類されます。侵襲を伴わないで新規取得するということで、例えば尿ですとか唾液ですとか、そういったものを新規取得するときには、試料を用いる研究に分類されるという整理でございます。
【神里委員】 承知しました。そうすると、この1の上のほうの書き方とか、イメージとしての手術・手技に関するということなのですけれども、そこをもう少し足していただくなり、あるいはここの表にもう一つ、試料を用いるけれども侵襲を伴うというところで分類を分けていただくなり、誤解のないようにしていただければと思います。
以上です。
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 御指摘ありがとうございます。
【森座長】 続きまして、日置委員、お願いいたします。
【日置委員】 ありがとうございます。
事務局の皆様におかれましては、簡素化の方向性であるとか迅速化の方向性を出していただき、大分簡素になりそうなイメージはつきました。他方で、委員の先生方から御指摘があるように、実現場に当てはめたときには、まだまだかなり検討の余地があるのだろうと思っております。
やはり私も御相談を受けることが多いのですが、これを対応すれば個人情報保護法の規定に本当に対処できているのかというのがやや疑問に思われるところと、あと、やはり用語です。適切な同意とかオプトアウトとか、そういった用語の使い方も混乱を来すこともありますし、結局、既存、新規、どこに該当するのだみたいな話もかなりあるので、その辺りも本当にこの形で対応していってよいのかというところは、実際のケースに当てはめながらルールメイクと分かりやすい説明は必要なのかなと思っております。
個人情報保護法にどこまで引っ張られなければいけないのだろうというのは、やはり疑問に思うところもあるのですが、他方で、今スライドに映していただていている仮名加工情報と個人関連情報の取扱いについては個情法の規定にのっとることとあるのですが、個情法上は、仮名加工情報は個人データであるものとそうでないものに分かれていて、では、個人情報であるとなったときに、どこまでの規制をかけるのか。プライバシー上の配慮というものなのか、それとも研究で被験者となることについての自由意志を倫理的に見るものなのかと考えたときに、個情法にのっとることがそのまま適切なのかなどの議論もしていただくほうがよいと思っています。
いずれにせよ次回以降の詳細化のところのお話なのかなと思いますので、引き続きコメントさせていただこうと思います。
以上でございます。
【森座長】 ありがとうございました。15時退室予定の石井委員、もし御発言ございましたら、今御発言いかがでございますか。
【石井委員】 ありがとうございます。日置先生に御指摘いただいたとおりの印象を持っているところですし、あと、具体的にもう少し詰めた内容の情報が上がってきてからまた議論させていただければと思います。
すみません、そろそろ失礼させていただきます。ありがとうございました。
【森座長】 分かりました。ありがとうございました。では、続きまして別所委員、お願いします。
【別所委員】 いろいろな整理ありがとうございます。大分分かりやすくなったかなと思っています。
3ページ目の参考資料で学術研究例外と公衆衛生例外のところを整理していただいていますけれども、先ほど御指摘ありましたように、公衆衛生例外の場合には、同意取得の困難性という要件がプラスアルファになってしまっているので、この資料からその部分は読み取りにくいのですけれども、実はその部分については、ここでの議論ではまだないですけれども、次の今見直しをしようとしている3年ごと改正の中の論点の1つに出てきているので、ここの整理はむしろ、皆さんもし御意見があれば、個人情報保護委員会のほうにお寄せいただいて、学術研究例外と同じような整理をお願いするというのは、方法としてはあるのではないかと思っています。個情法に依存しているところは、個情法改正の中での働きかけも一方では必要なので、そちらのほうを皆さんに御提案させていただければと思っています。
それから、倫理指針の上乗せのところなのですけれども、個人情報保護法で同意不要なものを倫理指針で上乗せするとここではすごく簡単に整理いただいているのですが、先ほどほかの委員も御指摘のように、本当にここにオプトアウトという上乗せ規定が必要なのかどうか。倫理的な観点から、どういうものであればオプトアウトを上乗せすべきなのかというところをもう一段、本当は場合分けが必要なのではないかと思っていまして、その辺りのところを今後議論していただければと考えています。
以上でございます。
【森座長】 ありがとうございました。続きまして、山本委員、御発言ください。
【山本委員】 ありがとうございます。
私も途中、Teamsにうまく入れなかったところがあったので、もう既にあった議論かもしれないのですけれども、同じくこのスライドで1点だけ、リスクに応じた倫理審査のイメージ案ということで、次のスライドでもありますように、これからの議論であると理解しているのですが、リスクに応じたというところ、結構難しいのかなと思いました。
今この図では非常にシンプルに、試料を用いる研究と情報のみを用いる研究は、現在のところ迅速審査と矢印が引かれていますけれども、試料についても情報についても様々なものがあって、機微性についても、それから人によって考え方がいろいろ違うのではないかと思います。
また、情報とか試料自体にそんなに機微性がないと思っていても、利用の方法によってはリスクが生じるようなこともあると思うので、一概にリスクに応じてこうというように結論づけることが、おのおのの倫理審査委員会あるいは事務局、計画をつくる研究者、それから研究参加者の方の考え方として、ちょっと難しい点があるのではないかと思います。
ですので、これからの議論の中で、例えばもう少し具体的なところを出していって、この指針としてはこういう試料あるいはこういう情報については、道徳的なレベルといいますか、倫理的なレベルといいますか、どういったレベルのものと考えている、それから、手法によってそれが将来どういうリスクが生じそうかといったところを少し当たりをつけて審査を考えていったらいいのではないかと思います。
恐らく、従来のリスクに応じたとなると、影響評価ですとかプライバシー影響評価もありますし、そういったことを行うようなイメージを持ってしまうのですが、恐らくそこまで求めるということは、この指針では考えていないと思いますので、どちらかと言うと、最初の審査のところで必要な部分を今後検討していければいいのではないかと思います。
以上です。
【森座長】 ありがとうございました。続きまして、武藤委員から御発言ください。
【武藤委員】 武藤です。思い切ったいろいろな見直しを進めていただいていること、私も御礼申し上げます。
私は、4に関連してなのですけれども、この4をこれから練り上げていかれる過程の中で、ぜひ子供を対象にした研究での対応について、特に大学とアセントで進めてきた研究が、本人が成長して同意を与えられるようになるというプロセスについても整理していただけないかと思っております。
現行の指針ガイダンスですと、16歳以上の未成年というカテゴリーが残っていまして、ただ、この間、成人の年齢が18歳になり、16歳、17歳だけに対する特別な対応みたいなものをどうするのかというのが結構あちこちで悩ましく聞こえている声であることや、実際には大学で進めている場合に、子供さん本人に移行するところで本人に同意を求めようとしても、観察研究で本人への侵襲があまりないような研究の場合、連絡は取れるのだけれども、すごく無反応だったり、アプリとかダウンロードしてくれなかったり、同意書は提出しないけれどもアンケートは返ってきたり、やはりみんな自由なので、いろいろなことが起きていて、倫理審査委員会からは、同意が取得されていないデータは一切使ってはならないとか、調査票を送ってはならないみたいな厳密な結論を出しているところもあるようなのですけれども、そういうことだとコホート研究とか一切成り立ちませんので、併せて整理整頓していただけたらと思っております。それが1点目です。
2点目は、倫理審査委員会のほうの整理なのですけれども、幾つか調査をしていただいた上でということで安心はしているのですが、どういうカテゴリーで審査あるいは報告をするか、かなり厳密に日本的なオリジナルなものをつくってしまうと、海外と共同研究するときにすごくやりにくくなってしまうことがあるので、あまりガラパゴス的な整理をしないように御留意いただけたらと思っております。
以上です。
【森座長】 御指摘どうもありがとうございました。有江委員、どうぞお願いします。
【有江委員】 よろしくお願いします。本日の議論ではなく、恐らくこれからの議論になるのかもしれませんけれども、スライド5の倫理審査委員会に係る意見というところの見直しの方向性について、審査の免除等についても議論してはどうかというところで止まってはいるのですが、すごく個別の意見になるかもしれませんけれども、既存試料、情報の提供のみ行う者が個人情報を提供する場合、要配慮個人情報も含めて個人が識別できるような情報を提供する場合、インフォームド・コンセントは当然行っているわけなのですが、ここに倫理審査まで義務が課されています。
そのことについて、研究者ではない、研究機関ではなくて、本当に提供するだけという場合、個人情報保護法にのっとって同意は必ず必須だと。しかしながら、倫理審査まで本当に必要なのかどうかというところをもう一度、その要否について検討していただければありがたいと思ってございます。
以上でございます。
【森座長】 すみません、今の御発言は、試料も含んでいるのですか。情報のみの場合ですか。
【有江委員】 もちろんヒト試料になりますと個情法とは関係ないのですが、試料を含む場合と含まない場合、その辺も両方含めて倫理審査が必要かどうかというところを検討していただきたいと思います。
【森座長】 よく分かりました。御発言ありがとうございます。今、チャットで横野委員から4ページ目の……
【横野委員】 ちょっと誤字があったのかなと思ったので、そのことだけです。
【森座長】 記載整備に関する御指摘を今チャットでいただきました。これは事務局のほうで確認させていただきますので、後ほど御回答いたします。ありがとうございました。吉田委員、どうぞ御発言ください。
【吉田委員】 追加でのコメントです。倫理審査の一括審査に関するところで、委員会の質が担保されていないという懸念があります。臨床研究法におけるCRB(認定臨床研究審査委員会)のように委員会の管理についても、指針の倫理委員会についても質を担保していくことを目指すべきだと考えます。
あと、今、一括審査後に各機関で起こっている事案として、機関長の実施許可を経ずに研究開始に至る案件が多いと聞いています。一括倫理審査が普及するなかで、分担研究機関にあっては、機関の長の研究実施許可については是非周知徹底が必要だと思います。
以上でございます。
【森座長】 吉田委員、どうもありがとうございます。各施設長の実施許可が十分取れていないケースは、そういった医療機関や研究機関で、各施設での審議がうまくいくかどうかということもあり、そういった機関での倫理審査そのものも十分機能していない場合に起こりやすいといったことがあるかと思います。実施許可を徹底するということについては、一括審査の普及と併せて進めていくべき課題かと思っております。どうもありがとうございました。
そのほか先生方、御指摘、御発言いかがでございますでしょうか。佐々委員、今挙手されていらっしゃいますけれども、御発言ございますか。先ほど伺っておりますけれども、追加でございますか。
【佐々委員】 下げ忘れました。申し訳ありません。
【森座長】 失礼しました。では、一旦お下げください。ありがとうございます。
今回、4ページの今後の見直し案につきましては、ここまでの議論を踏まえて手続の簡素化や分かりやすさということについて大変前向きに取り組んだ案であるという御評価を複数の委員からいただいております。今回、IC手続の見直しイメージとして侵襲・介入を伴う研究、試料を用いる研究、情報のみを用いる研究という3つのカテゴリーに研究を分けていただき、リスクに応じた倫理審査のイメージ(案)という形で本審査、迅速審査とお示ししていただいております。
これは事務局の方に1点確認ですけれども、やはりこの3つのカテゴリーのうち、侵襲・介入を伴う研究が被験者に対するリスクが最も生じやすいという観点と考えてよろしいでしょうか。
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 おっしゃるとおりでございます。
【森座長】 分かりました。また、先ほど山本委員からも御発言ございましたように、そのほかのカテゴリーの試料を用いる研究や情報のみを用いる研究によっても研究に用いる試料の種類や情報の種類、また研究の特性などによっても被験者にリスクが追加で生じるケースがあり得るといったことで、丁寧な対応を求めるという御意見もいただいておりました。
今回は特にゲノム研究に関する御発言はございませんでしたけれども、ゲノム研究におかれましても、被験者にどういったリスクが生じ得るか、それをどう保護するかという対応も従来の指針においても反映されておりました。今回の指針改定におきましても、その点について一度はチェックをして、十分な配慮がされているかということについて考えてまいりたいと思っています。長神委員、どうぞ御発言ください。お願いします。
【長神委員】 前回の会議で、特に前文に当たるようなものが必要なのではなかろうかという意見が結構ありましたが、今後の見直しの資料の中にあまり書いていないと感じました。その辺の御意見に対しては多くの方々が賛同されていらっしゃったので、基本方針についての認識を共有するというなどで、もしよろしければぜひ入れていただければというのが1点目です。
2点目は、座長からもゲノムデータの話があり、追加意見の中で阿部委員からも御意見があり、我々もバイオバンクの中でゲノムを想定して御意見を申し上げています。
バイオバンクについては、資料11ページの試料・情報の収集・提供をする機関、要するにバイオバンクとしてどのような倫理審査を受けるかという話だけがフォーカスされていますが、バイオバンクの試料を使うということに関してのインフォームド・コンセントの在り方とIC等の手続の見直しの中で、ぜひ取り上げていただければと思っています。
【森座長】 長神委員、御発言どうもありがとうございました。ゲノム研究に関しましては、ゲノム解析によって得られた結果を被験者の方に御説明――これは返却という用語が使われてございますけれども――するということについては、各研究に応じた対応が今取られていまして、現行の指針でもその部分を十分に配慮した記載になっていると私は理解しておりますが、この分野は恐らく長神委員が大変お詳しいと思っております。この分野は今、国内外の状況はいかがでございましょうか。もしよろしければ、教えていただけますでしょうか。
【長神委員】 私だけではなくて、吉田委員や武藤委員も専門です。ゲノムの情報をどのように御本人にお返しするかに関しては、例えば、知らないでいる権利云々ということも含めて非常に慎重な対応が必要であると共に、きちんとやろうとすると研究機関側に大きな負担もかかったりするということがあります。それから、返却する場合に、どんな方々に何を返すのかというところで、英語で言うといわゆるアクショナビリティとなりますが、治療法が確立しているとされていても、例えば日本国内において保険等の適用になっているのか、メディカルにアクショナビリティがあっても、経済・社会的にアクショナブルかどうかといったところは必ずしも明確ではない、ということもあります。そこは非常に慎重な扱いが必要なところです。
研究結果に関する説明ということで、指針の中ではそれなりにきちんと書いてあると思います。今、状況としてはできるだけ返す方向となり、国外は保険の状況などが日本とは違う中で進んでいます。また、国内においては、必ずしもモノジェニックのゲノム情報だけではなくて、ポリジェニックのリスク情報を返すことも検討され始め、その場合には、必ずしも確定的でないものをどのようにお返しするかという新しい課題も出てきています。今の指針でそうしたことが十分な書き方をされているのかということに関しては、機会があれば改めて検討できればと思っています。雑駁なことで恐縮でございます。武藤先生、吉田先生にも、ぜひご発言いただければと思います。
【森座長】 どうもありがとうございました。では、武藤委員、御発言ください。
【武藤委員】 座長から御配慮いただき、ありがとうございます。今の長神委員の御指摘に加えまして、最近思うことを2点述べさせていただきます。
1点目は、ゲノム研究に普及とゲノム医療に近づいている研究が増えている関係で、必ずしもゲノム研究にお詳しくない医療機関の方々もたくさん研究に参入されるようになってきました。その結果起きていることとして、やはり一般的に医療従事者の方々は、研究で分かったことを何か伝えないと、自分たちが患者さんから訴えられるのではないかという気持ちであるとか、できる限りお返ししたいという気持ちが職業規範上おありになって、返すということを比較的安請け合いしやすい傾向にあったり、説明文書でちょっと大げさに書いてあったりすることがままあると感じます。
今の指針の中では、結果の説明については幾つかの観点を基に、研究責任者のほうでちゃんと方針を決めなさいという書き方になっていて、それは非常にフェアで、ゲノム研究に詳しい方にとっては非常に分かりやすいことなのですけれども、もしかするとあまりなじみのない医療機関の方々が協力する場合には、こういう形で返却することはむしろ有害であるということをはっきり示したりとか、必ずしも返す必要はない場面もあるということを、今長神先生がおっしゃったような、より不確実な解析結果がこれからいっぱい出てくると思うので、その取扱いについて、もうちょっと明確な態度を示しておかないと、倫理審査委員会で結構もめているのを見聞きしております。それをまずお伝えしたいと思っております。
もう一個あったけれども、忘れてしまったので以上です。
【森座長】 ありがとうございました。では、吉田委員、どうぞ御発言ください。
【吉田委員】 ありがとうございます。私自身、臨床遺伝専門医という立場でゲノム医療に携わっていますが、今お2人の委員の先生あるいは座長の先生が御指摘のように、ゲノム情報についての取扱いは、今後かなり変わってくる可能性があるということを踏まえた指針の書きぶりも必要かなと思います。
ゲノム情報の返却とか、個別具体的すぎるのは適切ではないですが、現状の記述は曖昧であり、被験者リスクが十分にカバーできていないため改善が必要だと考えます。今後、GA4GHやCIOMSなど国際的な基準と整合性を持った、より明確なゲノム情報の取扱いに関する記載が望まれます。
以上でございます。
【森座長】 どうもありがとうございました。引き続き、横野委員から、どうぞ御発言ください。お願いします。
【横野委員】 今のゲノム情報の取扱いに関してですけれども、ゲノム医療推進法の中でも、ゲノム医療の研究開発及び提供の推進に当たって、医師及び研究者等が遵守すべき事項に関する指針の策定その他必要な施策を講ずるものとするという規定が15条に置かれております。これに関わる基本計画については、現在検討中ではありますけれども、今検討中の倫理指針がその一部を担うということを、前提として議論が進められているところです。そのことを踏まえて今お話しのあったような具体的な論点についての検討は、やはり必要になってくるかと思います。
もう一つは、先ほど4ページの中で、侵襲・介入を伴う、試料を用いる、情報のみを用いるという分類がありましたけれども、ゲノム研究において、ゲノム解析の結果が個人の診療においてその後使われる可能性がある場合に、研究としては情報のみを用いる研究とか試料を用いる研究というカテゴリーになる場合がほとんどだと思うのですが、単にそれにとどまらない影響を考慮する必要がある場合もあるかと思いますので、そこについては今後、ひとつ検討課題としていただければと思っております。
以上です。
【森座長】 ありがとうございます。田代委員、どうぞお願いします。
【田代委員】 今出ていた論点に関して、もちろん議論は非常に重要だと思って聞いていたのですけれども、吉田先生はかなり慎重な言われ方をされていたので、それでいいのかなと思ったのですが、今回の指針改正に関しては、簡素化、簡便化を最優先の課題として取り組むべきだと考えています。ですので、個々の論点に関してどのくらいこの指針に反映させていくのかということは考える必要があると思います。
もちろん大きな方針で、先ほどのゲノム研究の結果返却に関して現状で行われていることとあるべき方向とに大きな齟齬があれば修正していく必要があると思うのですけれども、具体的にどうすべきかということについて、本当にこの指針で吸収するのが一番いい形なのかということは、考える必要があると思います。
現状でも、既に例えば研究班のようなところでガイドラインを出していただいて、それとひもづけるような形で指針を運用していくということも行われている部分もあると思います。実際には、この指針の本文やガイダンスに全てを盛り込むことは難しいし、これまでそれをしようとするがあまり、膨大になってきたという反省を踏まえる必要があると思うのです。ですから、個々の論点に関して、本当にこの指針で全て書くべきかということについては、慎重に判断したほうがいいと考えております。中身の議論の重要性に関しては全く異論ございません。
以上です。
【森座長】 御発言どうもありがとうございました。
ゲノム研究に限りませんけれども、臨床研究によって得られる様々なデータが被験者の方のみならず、被験者の血縁者や周りの方に与える影響も当然ございますので、現行の指針では様々な状況が包括的に対応できるように、そういったリスクを個別に判断して倫理審査委員会に諮り、その対応を共有するという現状のスタンスは非常に妥当ではないかと考えています。吉田委員がおっしゃったような、新たな国際的な取組にもキャッチアップできるような取組をどう加えていくかについては、また御意見を伺えればと思っております。吉田委員、どうぞ御発言ください。
【吉田委員】 私も田代先生の御意見に賛成です。全てをここで書く必要はないですし、今回、簡素化という方向性が非常に重要だと思います。
以上です。
【森座長】 吉田委員、どうもありがとうございました。今回、指針の改定に当たりましては、複雑な指針を極力分かりやすいもの、それは研究者にとっても、参画する方にとっても分かりやすいものにする、社会の一般の方にも分かりやすいものにするというミッションを我々は負っております。もう一つは、研究によってもたらされる被験者へのリスクをつまびらかにし、リスクの高い研究については十分な説明を行った上で実施する。リスクの重い軽いということを十分研究の中で評価し、それを倫理審査委員会に課すことも重要かと思っています。
患者さんや被験者の方は、リスクは御自身ではなかなか分かりにくいので、研究を企画する者や研究を審査する者がそのリスクを十分評価できるようにするということで、そのリスクの処理も多々ございます。指針においては、リスクにどういったものが考えられるのか、今現在でどういったものが考えられて、将来にもどういったリスクがおおよそ予想されるのかということを書けるものは書いておき、リスクに対応できるものは、その対応方法も書いておくといったことを原則としてまとめていくことが、あらゆる臨床研究に有用な方法ではないかと思っております。
そのリスクに応じて審査手続の段階を変えていくということは、恐らく社会一般の方々の理解を得られやすいと私は考えておりますので、簡素化と併せてリスクの評価を考えながら、段階的に、しっかりICを取る研究と簡素化していく研究を分けていくことが望ましいと考えております。そういった意味で、今回の見直し案は大変評価されるものではないかと考えています。武藤先生、どうぞお願いします。
【武藤委員】 先ほど田代先生がおっしゃったことは、私もそのように思っているのですが、さっき言いそびれたのは、これはゲノムに限らずですけれども、結果を説明するということを直接的利益であるかのような表現にすることは倫理的に問題だと思いますので、そういった点には新たに触れてもいいのかなと今も思っております。
もう一点、資料の一番最後にあるバイオバンク関係のところで、これも指針に入れるというよりは、ひもづけた関係性にできると思っている案件の1つで、データ利用審査とか試料等配布審査とか、バイオバンクの中でデータの利活用について審査している組織について、この指針では全く言及がありません。実際には、吉田委員が務めていらっしゃる研究班の中でバイオバンク利活用ハンドブックというのがあり、それのバージョンを変えてきていて、その中でデータ利用審査委員会の在り方ということも言及していただいているので、倫理審査とデータ利用審査、あるいは試料配布審査の区別がつかない研究者も結構いることから、そういったものとは別ですよとか、それを知りたければこっちを見てくださいというガイドは、今回ぜひ入れていただきたいと思っております。指針本文でなくてもいいと思っています。
以上です。
【森座長】 ありがとうございます。バイオバンクの方は、研究本体に積極的に関与するということはあるのでしょうか。その場合は、指針ではどういう位置づけになるのでしょう。バイオバンクはバイオバンクとして提供のみを行うのが基本的なスタンスだと理解していましたので。
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 仮にバイオバンクの研究者も一緒になって共同研究するというときは、それは共同研究として自らその試料を用いた研究を行うということになります。
【森座長】 そういう位置づけになるわけですね。恐らくそこが一番問題になっているのだと思います。バイオバンクそのものの立ち位置は既に明確になっていますし、試料や情報の扱いも明確なルールの下で行われていますので、バイオバンクを活用した研究を実施する場合の注意点を指針に織り込むということでよろしいのではないかと思います。楠岡委員、どうぞお願いします。
【楠岡委員】 補足ですが、ちょっとテーマが変わって、倫理審査委員会についてなのですが、もし後ほど機会があればお願いしたいと思います。
【森座長】 先生、どうぞ御発言ください。
【楠岡委員】 これから倫理審査委員会の質をどう担保するかというのは、やはり大きな課題になってくるかと思います。臨床研究法ではCRBがあって、あまり活動しないCRBは退場していただく。それから、その条件を何とかクリアするために無理やりいろいろな手だてを取ることが可能だったのですけれども、そういうこともできないような規制にして、本当にきっちり活動している審査委員会だけが残るような形にしています。
一方、人指針の場合は、今登録されているだけでも1,000以上の倫理審査委員会があって、その中での活動状況も極めてばらばらだと思われます。もちろん質の問題もあるかと思います。
今ここで議論されているのは、例えば多施設共同研究の一括審査というような、かなり大きな研究を取り扱う倫理審査委員会のことが中心になっているかと思いますが、実際、数として結構多いのは、1つの病院で自施設の後ろ向き研究等を審査するのがほとんどのような倫理審査委員会で、それほど大きな研究を扱うわけではないけれども、倫理審査は必ず必要というような研究を取り扱っている状況があります。そういうところも大きな病院であれば、年間に何十件という審査をするわけですけれども、小さい病院であれば、あまりそういうこともない可能性がございます。
今後、倫理審査委員会の質の担保のためにいろいろな条件を加えていったときに、現存のそういう小さな倫理審査委員会が存続できなくなる可能性があるわけですけれども、そのときは当然、他の施設にある倫理審査委員会に審査の依頼をしなければならないということになります。今回の調査でも、他施設の研究を受けるかという質問に対しては、一括審査についてだけであって、そうでないちっぽけな研究までちゃんと受けてくれるのかということがあまりはっきりしていない状況なので、もしそのような倫理審査委員会の質を高めるためにいろいろな方策を取る場合には、極めて小さな倫理審査委員会で今まで審査をやっていた研究もきっちり審査できるような体制も考えて体制をつくっていただきたいということがあります。
そうでないと、やはり若手の医師にとって病院内での後ろ向き研究は、今後の臨床研究のスタートになるところで、それを積み重ねることによって大きなRCTとかに進んでいくことが多いわけですので、ぜひそういうところの芽を摘まないような体制を考えていただきたいという要望であります。
以上です。
【森座長】 先生、御発言どうもありがとうございました。この件、先生方から御発言、御意見ございますでしょうか。
被験者へのリスクが想定される、特に中等度以上のリスクが想定される研究の審査は、よりしっかり行わなければならないということです。また、多施設共同研究の場合には、倫理審査が不十分であれば、それが多施設にも及ぶという懸念があるわけでございますので、一括審査を行い得る倫理委員会の施設要件などについても、何らかの形で検討していくことが求められるかもしれません。
また、一方で、先ほどの一括審査を行う場合に、各参加施設で実施許可がございますけれども、実施許可を機関長が行う場合、サポートする事務局も必要でございます。これが多くの場合、小さな病院の倫理審査委員会のメンバーがサポートをしている実態かと思います。各参加施設の委員会が一括審査に基づく実施許可手続きを行う体制に応じても、その施設施設で必要な事務的作業のサポートをすることが望ましいと思います。
倫理審査委員会は、完全に集約していく方向ではなくて、分散はしているけれども、リスクの高い研究については、より高度な審査委員会で行っていく。CRBの理念もそうだと思うのです。CRBが最も組織だった形で構成されていまして、それに続くものが、一括審査を行い得るような倫理審査委員会、それ以外のものは比較的リスクの低い研究を審査する委員会というように位置づけると考えています。いかがでございましょう。
【楠岡委員】 まさにおっしゃるとおりで、ある一定レベルの中でその辺の切り分けをしていかざるを得ないと思います。研究の内容というのは、小さな病院だから簡単な研究というわけでもないので、それに関しては今おっしゃったような形でいいかと思います。
ただ、ちょっと話が飛躍してしまいますけれども、指針等に関しているところは、あくまでも倫理審査と被験者保護の話であって、臨床研究の支援体制は、実際、研究がちゃんと正しく進めばいいですが、この辺りは大きなところではちゃんと支援組織があるのですが、小さな病院では、倫理審査委員会の事務局お1人だけで、それ以上の支援とかがなかなかできないという現実があるので、支援体制をどうしていくかということに関しても並行して考えていかなければならないと思います。
ただ、それを条件づけると研究ができなくなってしまうという問題もありますので、それとは別個に、小規模なところで臨床研究を実施する医師、その他の方々を支援する体制、これは倫理審査委員会と直接関係するわけではありませんけれども、ぜひ考えていっていただきたいと思います。
以上です。
【森座長】 事務局の方に1つ質問させてください。今回の6ページ以降の倫理審査委員会の運営状況に関する調査は、どこが主体で行われたものですか。
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 研究開発政策課でございます。
【森座長】 分かりました。そうしますと、倫理審査委員会の質や運用状況については、指針とはまた別に引き続き支援していただくプラットフォームがあると理解してよろしいのでしょうか。
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 そうですね。調査事業の予算は取っておりますので、また引き続き必要な調査項目などがあれば、対応することは可能です。
【森座長】 それは、指針は指針として今回策定をして……
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 実際は、臨床研究法のほうで予算を持っておりまして、そこに併せて、倫理指針に基づく倫理審査委員会に関しても調査したということにしております。
【森座長】 分かりました。今お話伺いましたように、被験者に対するリスクに応じた形でCRBや倫理審査委員会の様々な形があり得るので、その運用については引き続きサポートいただくということで伺いました。どうぞ。
【田代委員】 今の楠岡先生の御発言に関連して、これは別にそうすべきだという意見ではなくて、1つの考え方としてコメントしたいと思うのですけれども、私も楠岡先生がおっしゃるように、自施設のカルテを調べて、観察研究として学会で報告するというのは、恐らく症例報告と並んで臨床研究の最初の一歩だと理解しています。
もともとこの指針では、自施設の診療データのみを使った研究は、最初は付議不要だったわけですよね。つまり、倫理審査不要な研究として明確に位置づけていて、そういう時代もあった中で、いろいろな事情があって今、かなり広い範囲に倫理審査を必須化し、それに呼応するような形で医学系の学会も全て倫理審査を求めるという形になっています。それが実際には、諸外国にあるような審査の免除という仕組みと全く合わないことになっている。全て審査という形になっていて、そのために倫理審査委員会がいるという、何だかおかしな方向にずっと話が流れているところもあるのです。
実際問題として、多施設共同研究ではなく、自分が見ている診療科のデータを統計的な処理をして、それを発表するだけの研究に本当にリスクがあるのかという問題は、改めて考えてもいいのかなと思っております。
以上です。
【森座長】 田代委員、どうもありがとうございました。リスクが低いために簡素化し得る研究については、リスクに応じた審査の在り方ということ、特に今、件数も膨大にあり、事務局の負担になっていることは御指摘のとおりですから、在り方を考えていく。一方で、自施設の診療データのみを使った研究は指針に触れていただく最初の一歩にもなっているということも実はあります。徳永委員、どうぞ御発言をお願いします。
【徳永委員】 徳永です。
先ほど楠岡先生からの御指摘の点、あるいは田代先生の見解、倫理審査委員会の現状に対する懸念というのは、本当に私も同意するところなのですが、これは多分、指針の書きぶりで本質的な対応ができる問題ではなくて、これまでもよく類似した意見がたくさん出てきています。可能であれば研究班を設けていただいて、かなり詳細かつ広範な実態調査をしていただいて、こうあったほうがいいのではないか、あるいはこうすれば改善するのではないか、レベルが均質にはならないにしても、レベルが似通ったものになるのではないかという提言を出せるような、そういうことを考えていただけないかなと。
これまで大規模な、例えばゲノム研究の中の一部の何%かについては、倫理や社会課題を検討するようにという仕組み、ルールがありましたけれども、そういうことではなくて、日本全体の中の様々な医療機関における倫理審査の実態が今どのようになっているのか調査する。すなわち小規模な研究、大規模な研究、多施設共同研究、そういったものをどのくらい扱っているのか調査をして、その状況を改善するための対策について研究する、そういったところをぜひ。指針の改定ということから外れてしまって、発言するのをかなりちゅうちょしていたのですけれども、そこを並行して進めていただかないと、この問題はずっと続くのではないかと感じています。
以上です。
【森座長】 御発言どうもありがとうございました。事務局から何かございますか。
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 実は、今回のアンケートでも審査の件数は調査していますので、次回お示しするか検討したいと思いますが、やはりすごくばらつきが大きくて、どう出すかというのはまた検討したいと思います。
あと、質に関しましては、私どもの研修事業の中で、CRBとかだけではなくて、倫理指針における倫理審査委員会の委員や事務局スタッフ向けの研修事業を行っておりますので、そちらのほうでは当然、研修のプログラムとかを作成しておりますので、その辺も周知して、しっかり研修を受けていただくことを徹底していくことにしたいと思っております。
【森座長】 続きまして、横野委員から御発言いただけますか。
【横野委員】 今回論点になっているわけではないのですが、先ほど田代委員から自施設の既存データのみを使った研究に関連する御発言がありました。この点に関連して、第1回合同会議のときに個人情報保護委員会から、「個人情報保護法の制度的課題に対する考え方について」の御紹介がありました。その中で、主に公衆衛生例外と学術例外について御紹介、御議論いただいたと思うのですけれども、その後、これに関してさらに議論も進んでおりまして、今後、個人の権利利益の影響という観点を考慮した上で、「統計作成等、特定の個人との対応関係が排斥された一般的・汎用的な分析結果の獲得と利用のみを目的とした取扱い」について、1つの例外として位置づけることも議論されていると承知しております。
個人情報保護法が改正されなければ、これに基づく法律上の取扱いは実現しないものではあるのですけれども、その議論の中では、「統計情報等の作成や利用はこれによって特定の個人の権利利益を侵害するおそれが少ないものである」というお考えが個人情報保護委員会から示されていますので、医学研究の分野においても、そうした考え方を参考にしながら手続等について検討していくことが可能になってきたかと思います。今後、御検討いただけますと幸いです。
【森座長】 横野先生、御発言ありがとうございました。やはりリスクに合わせた対応を個情法もお考えいただいているということで理解いたしました。武藤委員、どうぞ御発言ください。
【武藤委員】 ちょっとまた倫理審査委員会に戻ってしまうのですけれども、倫理審査委員会の質の問題の議論のときに1ついろいろな調査でよく抜けているのが、小規模な施設、医療機関になればなるほど、倫理審査委員会に研究の倫理審査以外の活動もさせていることがあるかと思います。例えば、個人情報の他機関への提供のときに、本来であれば研究機関長で判断するところが、それはできないので、全て倫理審査委員会が判断しますという形にしたり、あるいは研究を新たに受け入れるという判断も倫理審査委員会でしたりということで、この指針で倫理審査委員会の役割だと規定しているもの以外の活動を認めてしまうと、当然負担は減らないし、審査の質も下がるだろうというところがあって、何でもお墨つきする委員会みたいな活動を何とか止められないものかと長年思っているところです。
この指針は研究の指針なので、すごく書きにくいですし、言いにくいのですけれども、実態としてもうちょっと業務負担を減らすというところでいうと、そういう活動をどうにかしてもらったほうがいいというところも視点として持っていただければと思っております。
以上です。
【森座長】 ありがとうございます。しかし今、各病院は財政も非常に厳しいので、臨床研究のサポート部門に増員をする余裕のある病院はほとんどないのではないかと思います。これは研究とはまた別個の問題でございますが、各医療機関が抱えている問題ではございますけれども。
【武藤委員】 すみません、増員をしてほしいということを申し上げているのではなくて、倫理審査委員会がやるべき仕事をもっと減らすというか、余計な仕事をさせないようにできないかという観点で申し上げました。
【森座長】 ありがとうございます。ただ、その業務をどこかがしなければいけないということになりまして、各病院の範疇で……楠岡委員、どうぞお願いします。
【楠岡委員】 楠岡です。
武藤先生がおっしゃるのもよく分かるのですけれども、実際、病院の中にそういうことができる人材がいないので、結局1人の人にそういうのが集中しています。ですから、もし委員会を設けたら委員会の数だけ増えて、その方が全部その委員会に関与するみたいな、実態としてあまりよくないことも出てくるのではないかと思って、ここは全然別次元でいろいろと考えなければいけないところかと思います。コメントです。
【森座長】 実際は審査をするというわけではありませんけれども、支援をするという形で関与することになるかと思います。そういった補助的な業務は、確かに実際存在するかと思います。武藤委員の御発言の趣旨もよく理解いたしました。ありがとうございます。
そのほか、先生方から御発言ございますか。神里委員、どうぞ御発言ください。
【神里委員】 ありがとうございます。
倫理審査のところなのですけれども、今回、一括審査についての実態把握ということで、スライドを3枚お示しいただいたのですが、このほか、内容として一括審査について調査していただいている項目はございますでしょうか。
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 年間の審査件数と1年当たりの委員会の開催件数は聞いております。
【神里委員】 そうなのですね。知りたいこととしては、代表機関の委員会で審査された後、分担機関でどういう手続で機関長の実施許可を得ているのか。例えば、それが事務局で実施許可を出していいのか迷うからということで、倫理審査委員会の委員長にそこの判断をお願いしていたり、いろいろなパターンがあると思うのです。そういったところも知りたいと思います。
また、代表機関に申請する前に分担機関のほうではきちんと確認をして、その内容で承認を得ても自施設できちんと回していくことができるのかということ。例えば、それができないから事後的に事務局のほうで、これでは実施許可ができないから変えてくださいというような注文を出している機関もあるようなのです。ということで、どういう流れで運用されていて、どこが問題になっているのかということ。
とりわけ、倫理審査の申請において、前は機関長から倫理審査委員会へ付議をしていたところ、研究者が直にできるということで、事務局が介入しなくなって見えづらくなっていますので、そこの実態を把握するような調査、先ほど徳永委員からも研究調査というお話がありましたけれども、一括審査については、そこの実態について調査をしていただければと思います。
以上です。
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 御要望は承りました。予算との関係と、あと、あまりアンケート調査を細かくしていくと回答率が下がったりするとか、いろいろありますので、ちょっと検討させていただきます。
【森座長】 そのほか、先生方から御質問、御意見いかがでございましょうか。本日は、主な意見1から4につきまして、先生方に御意見をいただいておりました。改めて先生方にお振り返りいただきまして、1ページ目におまとめいただいています主な意見1、主な意見2、主な意見3、主な意見4の4点につきまして先生方から御発言、御意見ございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
先ほど、長神委員からも基本方針の見直し、冒頭の指針の骨格、理念についての記載整備ということも前回までの委員会で意見が上がっておりましたので、そういったことも含めていくようにと御発言いただきました。これはその他の主な意見4と理解しておりましたけれども……
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 被験者保護等のところで御意見いただいたと思っていますので、そこを前文に書いていこうと我々は考えております。また次回以降、前文の見直し案等で提示させていただいて、御議論いただければと思います。
【森座長】 また具体化した上で御発言いただくことになります。では、佐々委員、どうぞお願いいたします。
【佐々委員】 ありがとうございます。今、前文で入れていただけるということで安心しました。
それと、先ほど簡素化というのですか、スリムにしましょうということがあったのですけれども、それは指針全体の構造を簡素化するという理解でおります。とにかく研究が早く進めばいいよねという方向になりますと、やはり被験者とか一般の人たちは不安になりますので、構造の簡素化ということで理解しました。よろしくお願いします。
【森座長】 ありがとうございました。三浦委員、どうぞ引き続き御発言ください。
【三浦委員】 指針の見直しで最初から一番気になっているのが用語の煩雑さでして、特に個人情報の中にもいろいろな、要配慮個人情報もあり、匿名加工情報があり、仮名加工情報があり、その用語だけで煩雑になっているというのがありまして、現在、個人情報保護法上の規定に合わせるためにそうなっているということなのですが、これを見直しの順番といいますか、個人情報保護法との関係の見直しの中で用語の整理もできるのか、それとも、最後の4用語の定義というところになるのか、ちょっと分からないのですが、その辺りを議論していければと思っております。
以上です。
【森座長】 ありがとうございます。
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 そちらは用語の定義のところで御議論いただくことになりますが、事務局といたしましては、個人情報保護法と同じ用語に違う定義を出すのは、またそれは分かりにくくなるのではないかと考えておりまして、前回、前々回の倫理指針改正の中でも、基本的に個人情報保護法に定義があるものに関しては個人情報保護法に合わせるという御判断をいただいて、そういった見直しを行ってきていますので、そういった経緯も踏まえて、改めて個人情報保護法と別の定義をつくるのかに関しましては、検討させていただきたいと思います。
特に今日もありました適切な同意のところが個人情報保護法との違いが分かりにくいという御指摘をいただいておりますので、この辺りも含めて今後また御議論いただきたいと思います。
【三浦委員】 そうすると、個人情報保護法との関係を見直す中で、必ず同じ定義を使わなくてもいいという選択肢もこれから出てき得るということですか。
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 選択肢としてはあり得ますけれども、事務局としては、そこはあまりよろしくないのかなと考えております。
【三浦委員】 なるほど。分かりました。
【森座長】 審査委員会の現場でも困ってしまう点かもしれないので、少し悩ましい部分ではございますが、個情法と同じ用語を使っていくほうが現場はやりやすい可能性もあるかと存じます。ありがとうございました。
【三浦委員】 ありがとうございます。
【森座長】 徳永委員、どうぞ御発言ください。
【徳永委員】 主な意見2、一括審査についてですが、先ほども御指摘がありましたけれども、一括審査と分担機関における実施許可というのが、ある意味、多施設共同研究ではセットになっているということで、実施許可も実はいろいろなやり方があって、施設によって随分ばらつきがあると把握しております。機関によっては、倫理審査委員会とほとんど同じ負荷がかけられて、時間もかけられて審査されているようですので、本来、一括審査を導入した意味がほとんどなくなってしまっている、そのようなことも聞いています。実態把握という意味では、一括審査とセットにして実施許可の在り方を把握した上で、このようにすべきだという検討をしていただくことがいいのではないかと思っています。
それから、細かいことですが、4、用語のところで、先ほどからも出ていますが、バイオバンクという言葉がよく出ています。それはもちろん重要なのですが、やはり情報データだけ扱っている公的なデータベースもありますので、情報に対応したらデータベース、試料と情報と両方を扱う場合はバンクという意味で、両方を検討するのだということを確認させていただきたいと思っています。
以上です。
【森座長】 重要な確認事項、どうもありがとうございました。
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 おっしゃるとおりだと思いますので、次回以降のところで検討させていただきたいと思います。
【森座長】 では、山本委員、御発言ください。お願いいたします。
【山本委員】 ありがとうございます。その他の意見4というところで、ここはヘルシンキ宣言、被験者保護等となっているので、理念的なものかなと思っているのですが、先ほどゲノムの議論のときに言えばよかったのかもしれないのですけれども、今あまり言及されないのですが、平成12年に設定されているヒトゲノム研究に関する基本原則というものがあるのですが、この内容は、ユネスコのヒトゲノム宣言と非常に似たものとなっていて、ゲノムに関してなのですが、今の指針では、このヒトゲノム原則にはあまり触れられていないと思います。
もう皆さんの頭の中に入っているからとも思えるのですけれども、こちらのヒトゲノム原則に関しては、ヒトゲノムの意義の第1のところに、ヒトゲノムは人類の遺産であるという、ユネスコで決まった遺産であるというところ、もともとゲノムというのは、宇宙空間とか深海底の資源などに例えて言えば、先進国とか、あるいは日本国内でも技術とか資金がある人だけが先に達することができるのですけれども、それをどのように使っていくかというところを、もう少し社会的な正義とか公正の観念に照らして考えましょうというところで、原則の中で一番にこれが入っている。
その後に多様性とか個人の尊厳とか人権という個人的なものが来るという順番になっているというところで、この指針も被験者保護ということで、先ほどリスクの議論でも研究参加者へのリスクを考え、保護を考えるというところが主体となっていると思いますけれども、ゲノムに関してそういった議論が従来から行われているところもあります。これを前文に入れるかどうかはちょっと分かりませんけれども、例えば用語の定義ですとか、指針本体でなくてもガイダンスとか、そういったところに理念として少し書き加えると、一般の方も、ゲノムに関してはこういう意味合いで世界中で利用しようとしているのだなということが分かっていただけるかと思いますので、そういった点も一度御検討いただければと思います。
以上です。
【森座長】 ありがとうございます。佐原委員、どうぞ御発言ください。
【佐原委員】 日本医師会の佐原でございます。
全体の整理と方向性については理解できましたので、これから議論を深めるということでよろしいかと思います。
2番目の倫理審査委員会に係る意見ですけれども、先ほど楠岡先生や徳永先生から御意見ありましたように、小規模病院における倫理審査委員会についても今後議論していくということでよろしいのでしょうか。
【飯村医政局研究開発政策課治験推進室長】 倫理審査の要件ももちろん議論することは構わないですけれども、あまり小規模病院が技術的に審査を受けられなくなるということに関しても、やり過ぎてはいけないみたいなことも配慮しながらの議論になってくるかと思います。今のところは、倫理審査委員会の構成要件に関しては直接議題として考えておりませんでしたけれども、検討すべきということであれば、当然、検討させていただきます。
【佐原委員】 分かりました。倫理審査委員会の質の標準化であるとかよりも、確かに小規模病院において研究をどのように実施していくかというのもすごく重要な論点だと思って伺っておりましたので、今後もよろしくお願いします。
【森座長】 ありがとうございました。小規模な医療機関に御勤務する先生方への学問の自由をどう担保するかという観点も重要かと思います。ありがとうございました。
本日まだ御発言されていない先生につきましては、御発言いかがでございますか。よろしいですか。――それでは、討議の時間はここで終了してよろしいでしょうか。貴重な御意見を賜りました。どうもありがとうございます。
本日いただきました御意見を含めまして、改めて事務局で整理をさせていただくということでございますかね。この後の御発言は事務局にお願いしてよろしいでしょうか。お願いいたします。
【室ヘルスケア産業課長補佐】 貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。今、座長からおっしゃっていただいたとおり、改めて事務局で整理させていただきまして、第4回合同会議での論点については、また相談をして提示させていただければと考えております。
次回は6月下旬の開催を予定しておりますけれども、開催方法を含めてまた改めて御連絡差し上げます。
また、本日の合同会議はライブ配信にて公開させていただきました。冒頭、音声のトラブルがありまして、音声が届いていない状況がありまして、大変失礼いたしました。後日、公開する議事録が公式な記録となりますので、そちらも御覧いただければと思います。また、本日の議事録につきましては、委員の皆様にお諮りし、座長の確認を得た後にホームページにて公開させていただきます。
以上です。
【森座長】 それでは、議事終了の時間となりましたので、これで閉会させていただきます。本日はどうもありがとうございました。
――了――
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