ヒト受精胚等を用いる研究に関する専門委員会(第14回)議事録

ゲノム編集技術等を用いたヒト受精胚等の取扱い等に関する合同会議(第3回)
※下記の専門委員会との合同開催
・こども家庭庁 こども家庭審議会 科学技術部会 ヒト受精胚を用いる生殖補助医療研究等に関する専門委員会(第14回)
・厚生労働省 厚生科学審議会 科学技術部会 ゲノム編集技術等を用いたヒト受精胚等の臨床利用のあり方に関する専門委員会(第11回)
・厚生労働省 厚生科学審議会 科学技術部会 ヒト受精胚を用いる遺伝性・先天性疾患研究に関する専門委員会(第24回)

1.日時

令和8年8月5日(水曜日)14時00分~15時55分

2.場所

こども家庭庁支援局第1会議室、オンライン(ハイブリッド開催)

3.議題

  1. ヒトゲノム編集胚等の取扱いの規制に関する法律について
  2. ゲノム編集技術等を用いたヒト受精胚等の規制の在り方について 1)ゲノム編集技術等の範囲について 2)動物胎内移植禁止の例外規定について
  3. その他

4.出席者

委員

・ヒト受精胚を用いる生殖補助医療研究等に関する専門委員会
石原座長、阿久津委員、苛原委員、内田委員、神里委員、髙山委員、長嶋委員、西山委員、藤岡委員、村山委員
・ヒト受精胚等を用いる研究に関する専門委員会
久慈主査、井上委員、内田委員、大須賀委員、寺田委員、長嶋委員、藤田委員
・ゲノム編集技術等を用いたヒト受精胚等の臨床利用のあり方に関する専門委員会
五十嵐座長、上野委員、内田委員、大黒委員、加藤(和)委員、加藤(豊)委員、神里委員、杉浦委員、三浦委員、山口委員
・ヒト受精胚を用いる遺伝性・先天性疾患研究に関する専門委員会
岡座長、苛原委員、梅澤委員、大黒委員、神里委員、小崎委員、高山委員

参考人

  京都大学 斎藤通紀先生

事務局

  こども家庭庁成育局母子保健課 松浦推進官、植田課長補佐
  文部科学省研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室 永川安全対策官
  厚生労働省大臣官房厚生科学課 荒木課長、江田推進官、田中専門官
  厚生労働省健康・生活衛生局難病対策課 西垣課長補佐、古藤課長補佐

 

5.議事録

【上田補佐】 定刻となりましたので、ただいまから、「ゲノム編集技術等を用いたヒト受精胚等の取扱い等に関する合同会議を開催いたします。
 本日は、お忙しい中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。こども家庭庁の植田と申します。
 本合同会議は、こども家庭庁こども家庭審議会科学技術部会ヒト受精胚を用いる生殖補助医療研究等に関する専門委員会、文部科学省科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会ヒト受精胚等を用いる研究に関する専門委員会、厚生労働省厚生科学審議会科学技術部会ゲノム編集技術等を用いたヒト受精胚等の臨床利用のあり方に関する専門委員会、厚生労働省厚生科学審議会科学技術部会ヒト受精胚を用いる遺伝性・先天性疾患研究に関する専門委員会の3省庁4委員会の合同で開催いたします。
 本日の会議は、一部の委員を除き、オンラインでの開催としております。オンライン参加の方は、御発言される前には、あらかじめ「手を挙げる」ボタンを押していただき、座長からの指名の後に御発言いただければと思います。御発言が終わりましたら、再びミュートにしていただくよう、お願いいたします。
 また、会議の模様はYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきください。
資料は随時投映いたしますが、通信環境が悪くなった場合は投映を中止する場合があります。その場合は、委員の皆様は事前にお送りしている資料を、傍聴の方は各省ホームページに掲載されている資料を御覧ください。
 続いて、委員の先生方の御出欠について御報告いたします。秋元委員、片桐委員、金田委員、武田委員、松本委員、山田委員から御欠席の御連絡をいただいております。なお、大須賀委員、長嶋委員、村山委員より遅れて御参加の旨、加藤豊委員からは途中退席の旨、あらかじめ御連絡をいただいております。
 また、本日は参考人として、京都大学の斎藤通紀先生に15時30分頃から御参加いただく予定としております。
 続いて、本日の会議資料を確認させていただきます。
 事前に、議事次第のほか、資料1から4、参考資料1から6がございます。
 資料の不足等ございましたら、お知らせください。
 これより先は議事に入ります。会議冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上になります。
 以降の議事進行につきましては、五十嵐座長にお願いしたいと思います。座長、よろしくお願いいたします。
【五十嵐座長】 ありがとうございます。皆さん、こんにちは。今日もどうぞよろしくお願いいたします。
 では、早速ですが、議題に入りたいと思います。
 まず、議題1)につきましては「ヒトゲノム編集胚等の取扱いの規制に関する法律について」、事務局から御説明をお願いいたします。
【江田推進官】 事務局より御説明いたします。資料1を御覧ください。
 昨年12月のこの合同会議でお取りまとめいただきました議論の整理を基に、先の特別国会に法案を提出し、ヒトゲノム編集胚等の取扱いの規制に関する法律が7月17日に成立し、7月24日に公布されました。委員の皆様方の御尽力に改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
 参考資料5に法律の条文をおつけしていますので、適宜、御参照ください。
 では、資料1の2ページで法律の概要を説明させていただきます。
 法律の趣旨は、こちらに記載しておりますとおり、ヒト胚またはヒト生殖細胞に対してゲノム編集技術等を用いることが予測し得ない遺伝子改変をもたらす可能性があり、ヒト胚及び人の発育に重大な影響を及ぼすおそれがあること等に鑑み、ヒトゲノム編集胚等を人または動物の胎内に移植することを原則として禁止するとともに、ヒトゲノム編集胚等の作成、譲受け及び輸入並びに使用を規制する等の措置を講ずるものとなっています。
 1つ箱を飛ばしまして、施行期日は、公布日から起算して1年を経過した日となりますので、令和9年7月24日からこの法律が施行されることになります。
 真ん中の箱でお示ししていますとおり、大きく2つの内容を規制しております。1つ目が、ヒトゲノム編集胚等の人等への胎内移植禁止。2つ目が、ヒトゲノム編集胚等の適正な取扱いの確保です。
 3ページ目を御覧ください。1つ目の、ヒトゲノム編集胚等の人等への胎内移植禁止についてです。ゲノム編集技術等を用いて加工されたヒト胚・ヒト生殖細胞の人・動物への胎内移植。こちらに示しています「胎内」というものは胎児の「胎」を使っておりますが、子宮や卵巣といった雌の内生殖器を指します。こちらへの移植を禁止するというものになります。
 ただし、動物への胎内移植であって、個体産生につながらない場合はこの限りではないとしています。個体産生につながるおそれがないことを担保するために、胎盤の形成を開始する可能性がないかどうかを判断軸として、動物胎内移植が認められる具体的な要件は、施行までに政令で定めることとしています。この要件については、本日の合同会議で後ほど御議論いただきます。
 点線の下に行きまして、ヒトゲノム編集胚等の適正な取扱いの確保についてです。吹き出しが3つありますが、まずは取扱計画書の作成・届出等の義務です。ヒトゲノム編集胚等を取り扱う研究者等は、取扱計画書をあらかじめ国に届け出ていただきます。届出後60日間は研究が開始できません。その間に、国が指針への適合性を確認することになります。
 次に、指針の策定です。具体的なヒトゲノム編集胚等の取扱いを定めた指針を国、この合同会議を主催しています厚労省、文科省、こども家庭庁の3省庁で策定します。指針の策定・変更に当たっては、あらかじめ総合科学技術・イノベーション会議の意見を聴くことが法第4条において定められています。指針に関しては、次回以降の合同会議において御議論いただく予定です。
 最後に、報告徴収・立入検査・改善措置命令です。国は、届出提出時や取扱開始後に指針適合性を確認し、取扱いの中止や方法改善等の必要な措置を命ずることができるという規定が設けられています。仮に法に違反して胎内移植を行った場合や、届出を行わずに研究を始めた場合には罰則がかかります。特に、胎内移植禁止規定に違反した場合には10年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金またはその併科という重い罰則がかかることになります。
 4枚目を御覧ください。4枚目には、国会審議での附帯決議をお示ししています。附帯決議のうち、施行までに定める必要がある政令や指針に関する部分を太字にしております。
 次に、5枚目を御覧ください。経過措置に関する考え方をお示ししております。
 法律の対象となる研究の中には、法律に基づかない既存の指針、新規胚研究指針などに基づいて国への届出がなされ、現在も研究が行われているものがあります。こういう研究を行う方々にも令和9年7月24日の法施行以降は法律のルールに従っていただく必要があります。
 また、法律に基づく指針に従って研究をしていただく必要がありますが、現在進行形の研究であることを考慮して、法律の附則第3条において6か月の猶予期間が設けられています。こちらについては、施行までに研究者への周知等に努めてまいりたいと考えております。6枚目に、経過措置に関する条文をお示ししております。こちらも、届出をいただく内容について太字にしています。
 7枚目以降で、今後御議論いただきたい点やスケジュールについて御説明していきます。
 まず、7枚目ですが、今後、施行までの間に整備しなければいけない事項として、法律上、どのレベルで規定するかに応じて4点に仕分けをしています。
 1つ目が、政令事項です。こちらにお示ししていますとおり、法第2条で定めるゲノム編集技術等の範囲、法第3条ただし書の動物胎内移植の例外規定、法第6条の研究類型の定義、そのほかとして、地方厚生局への権限の委譲に関する事項がありますが、技術的な論点として本合同会議ではゲノム編集技術等の範囲と禁止行為の例外規定について御議論いただく予定です。
 マル2、省令事項として、法の第6条、9条、10条、11条に規定する届出の様式を定める必要があります。また、取扱計画書の変更について、重大な変更、軽微な変更、どちらにも当たらない変更の3種類がありますが、どういった変更がどの種類の変更に当たるかも省令で定める必要があります。そのほかとして、権限の委譲等に関する事項もありますが、これらは行政内の運用に関することですので、関係省庁で適切に対応してまいります。
 3点目に、指針があります。法令上の形としては、3省庁連名の告示という形になります。こちらも総合科学技術・イノベーション会議の意見を聴くことが法第4条で定められていますが、まずは本合同会議で御議論をいただく予定です。
 マル4、その他として、届出が出された際の審査体制や、国会の審議でも御指摘がありました、違法な研究が行われている端緒を察知した場合の通報体制が挙げられています。運用に関わる技術的な事項として本合同会議で御議論いただく予定です。
 8枚目に、スケジュール(案)をお示ししています。
 本日、第3回合同会議において、ゲノム編集技術等の範囲については合同会議としての御意見を取りまとめていただきたいと考えております。また、本日は動物胎内移植禁止の例外規定についても御議論いただきます。こちらは、本日は事務局から考え方をお示しすることになりますが、次回には意見の集約を図りたいと考えております。
 9月の第4回合同会議では、取扱計画書の様式や指針に関する御議論をいただきます。
 10月の第5回合同会議では、取扱計画書の審査体制といった運用についても御議論いただく予定です。
 できましたら、10月の第5回までに施行に向けた取組について合同会議の意見を集約し、11月以降、パブリックコメントや指針についての総合科学技術・イノベーション会議への意見伺いを実施し、令和8年度末、つまり、令和9年3月末までに政省令告示を公布したいと考えております。
 施行が令和9年7月24日ですので、周知の期間も考慮して、このようなスケジュールとしております。
 当面は1か月に一度のペースでの開催となり、委員の皆様には御負担をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 資料1について、事務局からの説明は以上です。
【五十嵐座長】 どうも、御説明ありがとうございました。それから、今後の方向性につきましても、スケジュールにつきましても御説明をいただきました。
 何か確認事項や御質問ありましたら、挙手をお願いします。
【石原委員】 1点よろしいですか。
【五十嵐座長】 どうぞ。
【石原委員】 石原です。
 1つ確認させていただきたいのは、附帯決議の中で「国民の意見を十分聴取すること」というものがありましたが、今後のスケジュールの中でこれに該当すると思われるのはパブリックコメントということが書いてあるだけなのですが、ほかに予定とか計画というものはないということなのでしょうか。
【江田推進官】 はい。今のところ、パブリックコメント以外に決まった予定はありませんが、昨日、五十嵐先生や加藤和人先生などにも御出席いただきまして、この法案を含むゲノム関係についてのシンポジウムというものを行いました。そういった場も活用しながら、国民への周知というものは行っていきたいと思っています。
【石原委員】 その辺りのところが今後のことを考えますと極めて重要な部分だと思いますので、もしそれを相談する会議体がほかにないのだとしたら、この会議体で相談する機会をどこかで設定されたらいかがでしょうか。
 以上です。
【江田推進官】 分かりました。ありがとうございます。どこかのタイミングでそういったことも議題とできないか、検討させていただきます。
【五十嵐座長】 貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。国民の皆さんにどのようにこうした技術について御理解いただけるか、そのためにどういうことが必要になるかということも含めて、もし時間がありましたら、こちらで皆さんの御意見をいただいて方向性を考えたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 加藤先生、どうぞ。
【加藤(和)委員】 昨日登壇しておりました加藤でございます。非常によい、いろいろな意見が交わせた会合だったと思います。
 ただ、やや一般の方よりも専門的な方のほうがたくさんおられたという印象はあったと思いますので、年明けぐらいでもいいかもしれませんが、そうした公開のイベントを開催しているということ自体を広く広報することも目指しつつ、さまざまな方と意見交換を行う機会をさらに設けていただければと思っております。
 以上です。
【五十嵐座長】 どうもありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、どなたか。
 久慈先生ですね。どうぞ。
【久慈委員】 今、ここで聞いていただくことではないのかもしれませんけれども、お話が出たので、そのシンポジウムの際に、やはりこの研究とか、あるいは臨床利用というものは、一般の方の御意見ももちろんそうですけれども、その前に、実際に研究を行っていらっしゃる方、あるいは臨床に携わっている方の意見というものは結構大事だと思うのですが、昨日のシンポジウムで何か、この指針を作成するに当たって考慮しなければいけない点というものはあったのでしょうか。もし差し支えない程度であれば教えていただきたいと思います。
【五十嵐座長】 どうぞ。お願いします。
【田中専門官】 ありがとうございます。
 昨日のシンポジウムの中では特段、そういったような形で、実際の運用というところでの御意見はなかったとは理解しておるところです。
【久慈委員】 ありがとうございました。
【五十嵐座長】 ほかはよろしいですか。ないですね。
 では、ありがとうございました。
 それでは、議題の2)に入りたいと思います。「ゲノム編集技術等を用いたヒト受精胚等の規制の在り方について」、お諮りしたいと思います。
 第2回の会議で、議論の整理におきまして引き続き検討するということになっております。規制の対象範囲について、そのときに御議論をいただきました。今日はまず、そちらを踏まえまして、2-1)に「ゲノム編集技術等の範囲について」、議題として挙げられておりますので、まず、事務局から説明をお願いしたいと思います。
【江田推進官】 事務局より御説明します。資料2を御覧ください。
 1ページおめくりいただきまして、2枚目です。2ページ目は、前回、7月15日の合同会議でいただいた意見をまとめたものです。
 なお、参考資料6として、前回の合同会議で特別研究班の山口先生や学会から発表いただいた資料をおつけしておりますので、適宜、御参照ください。
 この2ページにおつけしています各委員からいただいた御意見について、簡単に事務局の考え方を御紹介していきます。
 まず「低分子化合物について、培地に用いられるものが数多あるが、リスト化するようなことは可能なのか」ということですが、低分子化合物については非常に多くの種類が存在しておりまして、あらかじめ網羅的なリストを作成することは容易ではないと考えております。他方で今回、低分子化合物を使用した場合を広く規制するものではなく、例えばHDAC阻害剤やDNMT阻害剤といったものを個別に列挙して規制対象とする方針を考えております。
 2点目、3点目はまとめてになります。「新しく生殖補助医療に用いられる技術がでてきたときにどのように安全性評価を行うのか」「規制すべき理由の中に今後の科学的知見の進展というようなことがあるが、どういったタイミングで見直されるのか」。こちらにつきましては、現時点でこういったかちっとした評価の在り方というものはありませんが、こちらは本会議での議論を通じて今後検討していくものになると考えております。その技術の作用機序、安全性・有効性、後世代への影響等の可能性について、また、倫理的な面も必要に応じて考慮していくものと考えております。
 4点目「幹細胞から生殖細胞を作成する技術には多様な技術があるが、遺伝子改変を伴わないようなものも規制の対象になるのか。リスクの観点は、改変した遺伝子が含まれているおそれがあることなのか。その上で、規制の要否の温度感はどのようになっているか」といった御指摘をいただいています。幹細胞から生殖細胞を作成する際に使用する技術について、本日、京都大学の斎藤先生のほうからも少しプレゼンをいただくことになりますが、幹細胞から生殖細胞を分化誘導する際には遺伝子の発現を調節することが行われていると考えております。そのため、幹細胞から生殖細胞を作成する過程において使用される技術を規制対象とすることについては、これまでの議論を踏まえますと妥当なものと考えております。
 なお、分化誘導因子としてGM-CSFのような成長因子が用いられることもあると、前回、学会のほうからお聞きしていますが、こちらは一般に生体内にも存在する因子でして、安全性の観点からも問題なく、生殖補助医療の分野においても一定の使用実績があるものと承知しております。そのため、こういった成長因子については規制の対象外と考えております。
 5点目の「CRISPR/Cas9については各国対象となると理解しているが、諸外国における規制の対象範囲はどのようになっているのか」という御指摘です。御指摘のとおり、諸外国においても、CRISPR/Cas9をはじめとするゲノム編集技術については広く規制対象とされております。一方で、規制の方法や手法は各国異なっておりまして、例えば遺伝子配列の改変に注目して規制している国もあれば、臨床利用そのものを禁止する形で規制している国もあります。
 なお、CSTIや研究班、関連学会からは、後世代に影響を及ぼす遺伝子改変だけではなく、細胞の発生に影響を及ぼす技術も規制対象とすべきと御意見をいただいていますので、これらも踏まえて、今回の規制の範囲をお示ししています。
 次に「技術については幅広に禁止するのか、危ないことが既知のものだけを規制するのか。例えばヒト胚研究では、他国では国会レベルまで動かないと開始できないこともある」という御意見をいただきました。今回、法律ができまして、ゲノム編集技術等の範囲を定めることになります。その際、既に危険性が実証されている技術のみを対象とするわけではなく、合同会議の議論の整理においても、現時点で十分な科学的知見が蓄積されていないこと自体が重要な課題であると整理されております。したがって、科学的知見が十分ではなく、望ましくない遺伝子発現や後世代への影響が否定できない技術についても規制の対象となるものと考えております。
 一方で、理論上の可能性のみを理由として一律に規制するものではなく、科学的知見や国際的動向も踏まえながら判断することが適切であると考えております。
 関連学会からのプレゼンテーションのところにあります「GM-CSFのような成長因子は世代は超えないと思われるものの、細胞の中の遺伝子発現を改変していると思われるが、どのように考えるか」。こちらについては、先ほども御説明しましたが、このような成長因子は一般に生体内にも存在する因子であり、さらに生殖補助医療の分野においても一定の使用実績があるものですので、一般的な使用においては安全性の観点からも問題ないものと承知しております。
 事務局からの説明の欄にあります1点目「エクソソームについて、どのように考えるか。miRNAが含まれることをもって規制対象とするのか、別途エクソソームとして個別指定が必要なのか」という点です。エクソソームについては、考え方が2つあると承知しております。天然の分泌物であるエクソソームそれ自体を使用する場合や、ドラッグデリバリーシステムのキャリアとして使用する2パターンあると考えております。事務局案では、miRNAを導入操作を用いて細胞内に導入する場合は規制対象になると考えております。
 一方で、天然の分泌物であるエクソソームを使用する場合、その成分がmiRNAを含有するとしても、主体的に導入技術を使用するのではなく、単に分泌物であるエクソソームを培地に添加するのみであること、また、内容物も明確ではないため、現時点ではmiRNAの導入には該当しないと考えております。
 反対に、もう一つの使い方であるエクソソームをドラッグデリバリーシステムのキャリアとして使用する場合であれば、それを用いて何か外来の核酸を入れることになりますので、個別のmiRNAの規制対象になると考えております。
 最後に「新たなゲノム編集技術等について、どこがその情報を管理しているのか」についてですが、特定の機関が新たな技術を一元的に管理しているということは承知しておりません。実際には、学術論文や学会、各国規制当局の公表資料などを通じて新たな技術が報告されており、それらの情報を収集しながら科学的な評価が行われていくものと承知しております。この法施行後も、そうした国内外の技術動向を必要に応じて、この専門会議の場において専門家の御意見を伺いながら検討していくことを想定しております。
 前回いただきました御意見については以上になります。
 続きまして、3ページ目、4ページ目は、昨年12月の合同会議での資料を再掲したものになりますので、説明は割愛させていただきます。
 5ページ目を御覧ください。前回7月の合同会議でプレゼンいただきました有識者や学会の見解をまとめた資料を事務局から提示していましたが、前回の議論を踏まえてアップデートしたものがこちらになります。
 グレーの枠囲みに記載しておりますが、今回、規制の対象として、マル1ゲノム編集技術、マル2エピゲノム編集/修飾、マル3トランスクリプトーム編集/修飾、マル4エピトランスクリプトーム編集/修飾、マル5その他を基本的な骨格とし、さらにゲノム編集に含まれないマル6従来からの遺伝子組換え技術を規制対象とするという基本的な考え方は変わっておりません。
 前回から変更しました点として、表の「マル5その他上記以外」のところの一番右の欄の並び順をアップデートしております。ここに挙げていますアからケまでの技術は前回から変わっていません。順番が変わっているのみになります。また、前回はアからケまで一律列挙していたのですけれども、今回、導入操作を用いる技術としてアからエまで、細胞培養時に添加する技術としてオからキまで、照射操作を用いる技術としてクとケという3種類に分類して、それに応じた順番の入替えをしています。
 6枚目は、前回の資料におつけしていた図と同じものになりますが、各技術をマッピングしたものになります。
 7枚目は、こちらも前回お示ししていたスライドです。変更はありませんが、ゲノム編集技術等に含まれない技術についてお示ししたものになります。
 前回の有識者のプレゼンでも、生殖補助医療として現在広く用いられている技術は規制対象としないことが妥当との御見解をいただきました。規制対象外の技術として周知する技術として、当面はこのスライドに示す技術を考えています。
 以降は参考資料になりますので、説明を割愛させていただきます。
 御説明は以上になりますが、5枚目の「ゲノム編集技術等に含まれる技術(案)」及び7枚目の「ゲノム編集技術等に含まれない技術の周知」について、この考え方でよいか、御審議いただけますと幸いです。
 よろしくお願いいたします。
【五十嵐座長】 御説明、どうもありがとうございました。
 それでは、委員の先生方、何か御質問あるいは確認したいことがありましたら、お願いします。
 髙山委員ですか。
【髙山委員】 はい。
【五十嵐座長】 どうぞ。お願いします。
【髙山委員】 すみません。私は法律が専門ですので、非常に初歩的なところの確認の質問になってしまいます。恐れ入ります。
 その他のところに挙がっているものの中で、昔、できたクローン技術規制法で2000年に想定されていたところのクローン胚もその後、ミトコンドリアなどの関係でここに当てはまってくるものが生じ得るという理解でよろしいでしょうか。
【江田推進官】 事務局よりお答えします。
 こちらの5ページの表のその他のウにあります「導入操作を用いて人の未受精卵の核を他の人の細胞の核で置換する技術(ミトコンドリア病に対する核置換術)」と記載しているものがいわゆるミトコンドリア核置換になります。今回の法律の対象となるものは未受精卵での核置換のみになります。
 この資料の参考資料としておつけしています13ページ目を御覧いただけますでしょうか。先ほど髙山先生から御指摘いただきました、クローン法に該当する核置換というものは受精胚の段階で核置換をしたものになります。13ページ目の図にちょうど受精卵での核置換をお示ししています。こちらについては引き続き、クローン法での規制対象となります。
 以上です。
【髙山委員】 どうもありがとうございました。分かりました。
【五十嵐座長】 続きまして、藤田委員、お願いします。
【藤田委員】 ありがとうございます。7枚目のスライドをお願いできますでしょうか。
 前回、最後まで出席できなかったので、後から議事録を拝読しまして、このスライドというものは従来から診療として行われているもの、広く既に行われているものは範囲から除外するというものであると理解しております。その場合に、診療といったときに、保険診療と先進医療と自由診療で行われているもの、3種類ぐらい含まれるのではないかと思うのですけれども、保険診療ですとか先進医療で行われているものについては、研究によって安全性と効果を検証しました、それによって診療として提供していいですというプロセスが1枚挟まれているので、これは安全性についてもきちんと検証されているであろうと考えられるのですけれども、これはもし、ここに書かれた技術が従来と違うような形で自由診療で用いられるということになった場合、安全性・有効性の検証といいますか、きちんと確認されているのかということは問題になる可能性はないかと若干懸念しております。
 自由診療で行われるものを全て否定する意図は毛頭なく、もちろん、真面目になさっておられる先生方、たくさんおられることは前提で、ただ昨今、ビジネス目的で行われる自由診療で問題あるケースなどもニュース・報道等で大きく取り上げられたりしておりますので、新しくこれまでと違う形でこういった技術が使われることになって、それが先進医療ですとか保険診療以外の場で使われるようになるときに、どこかがきちんと把握しているとか、データを集めているとか、一応、審査しているとか、少なくとも届出を学会なりがきちんと把握するとか、そういった仕組みが安全弁としてあるといいなと思っております。それが政令・省令・指針、どのレベルで行うのがよいかはアイデアがあるわけではないですけれども、何らかの形でそういった安全弁を設定することが望ましいのではないかと思いました。
 以上です。
【五十嵐座長】 御意見ありがとうございます。
 事務局、お答えできますか。
【江田推進官】 御指摘ありがとうございます。
 こちらは、7枚目のスライドにお示ししています技術は、前回、日本産科婦人科学会からプレゼンいただきました中にも記載がされていますが、ほとんどのものが保険適用、先進医療となっています。一部、GM-CSFのような、生体内にあるような因子を添加するものについては自費診療と伺っていますが、それも生体内にもともとあるものですので、日本産科婦人科学会のほうでお調べいただいた知見によりますと、これまでの論文などで特段、安全性への懸念はないと伺っているところです。
【藤田委員】 ありがとうございます。
 なので、今後、ここには含まれるけれども、また新たな使い方がされるとか、そういった新たな技術なり利用の方法が出てきた場合に何らか学会なり、どこかがきちんと把握して検証できるような仕組みがあるとよろしいのではないか。技術が進めば進むほど、自由診療でのビジネスなども大きくなっていく可能性もありますので、その点、どこかで御配慮いただければと思います。
 以上です。
【五十嵐座長】 ありがとうございます。
 誰がどこでチェックするかという御要望だと思います。事務局、何かお答えできますか。
【江田推進官】 新たな技術が出てきた場合ですが、その技術の作用機序や安全性・有効性、後世代への影響などについて総合的に評価することが重要になると考えております。また、場合によっては倫理的な課題の検討も必要になる場合も想定されます。これらの評価の在り方については現時点ではありませんけれども、出てきた技術に応じて、この会議での議論を通じて検討していくことと考えております。
【五十嵐座長】 検討する場所としては、この会議を想定しているということですね。
【江田推進官】 はい。ある技術を規制するのか認めるのかといった御議論は、こちらの合同会議でと考えております。
【五十嵐座長】 関連する学会と相談はすることが必要ですね。
【江田推進官】 前回も日本産科婦人科学会や日本卵子学会からプレゼンをいただきましたが、そういった形で、また、個別の研究者の先生からヒアリングなどもしつつ検討していくものと考えております。
【五十嵐座長】 石原先生、それでよろしいですか。
【石原委員】 現時点で存在する会議体とか組織の中から選ばなければならないのだとすると、ほかに適切な場所があるかと言われるとないのかもしれないので、これは今後の検討課題として残しておいていただく必要があるかと思います。
【五十嵐座長】 ありがとうございます。
 この会議だけで検討するのではなくて、専門の学会の先生方の御意見が貴重ですので、連携しながら対応すべきと思います。どうもありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 久慈先生、どうぞ。
【久慈委員】 内田先生が先に手を挙げられていたような。
【五十嵐座長】 内田先生、失礼しました。それでは、内田先生、お願いします。
【内田委員】 久慈先生が先ほどの話に続けてかと思って下ろしたのですけれど、よろしいですか。
【久慈委員】 大丈夫です。お先にどうぞ。
【内田委員】 また前のページに戻るのですが、よろしいでしょうか。
 「マル5その他上記以外」のところで、ミトコンドリアの移植に関してですが、ここでは導入操作を用いて移植、置換をする場合については挙げられていますが、ミトコンドリアを精製して培地に添加するだけでも細胞に取り込まれるという報告があると思うのですけれども、それは入れておかなくてよろしいでしょうか。いかがでしょうか。
【五十嵐座長】 どうぞ。お願いします。
【田中専門官】 内田先生、ありがとうございます。
 今、先生からいただいた、入らないのではないかというところで話があったと思うのですけれども、細胞に培養時に添加するみたいなことでの可能性というところは引き続き、他家細胞を添加する技術とかぶる部分もあろうかとは思いますけれども、どういったような書き方、まさに上の四角の中の※で「政令等の法令上の規定は」というところはありますので、いただいたような御趣旨も踏まえて、導入操作に限定する必要があるのか、細胞培養時に添加するというところも日本語上、読み込めるように記載するかというところは改めて整理させていただくことになるかと思います。
【内田委員】 よろしくお願いします。
【五十嵐座長】 内田先生、どうもありがとうございます。
 では、久慈先生、お願いします。
【久慈委員】 今、問題になっているのは7ページの表ですね。こちらのほうについて意見を述べさせていただきたいと思うのです。
 あくまでこれは、現在、臨床で行われている技術を網羅的に羅列していただいたのですけれども、藤田先生がおっしゃったように、これの派生技術というものが出てくる可能性はあるし、用いられ方もいろいろだと思います。確かに、野放しにしておいて何をやってもいいという形にするのはよろしくないと思いますが、その一方で、この表にないものが例えば商品としてどこかで開発されるとかということも出てくると思うのです。やはり検討する会議体というものはどうしても必要だと思いますし、それを臨床で使っていて、ある程度、中立、それから、公正の立場で見られるということを考えると、先日御意見を聴いた日本産科婦人科学会か、もしくは日本生殖医学会か、どちらかではないかと個人的には思います。
 あと、新しい技術が出てきたときに、今までですと大体、アメリカとか、豪州とか、あるいはヨーロッパとか、それぞれに医薬品を扱う認可機関みたいなものがあるのですけれども、例えばアメリカだとFDAみたいなものですが、それを通っていればあまり問題なく日本には輸入できたのですけれども、そういうことも踏まえて、今までの実情を考えながら、また、それに認められているけれども、日本の実情には合わないというようなことが出てきたときにそれを検討する機関としては、この会議体でそれをいちいちやっているのは結構大変だと思いますし、あと毎回、参考人とかを呼ばなければいけない可能性がありますので、最終的にはこの会議体が責任を持つにしても、やはり第1段階の審査、あるいはその検討というものは学会にある程度の権限をお任せしたほうがいいのではないかと思いました。
 以上です。
【五十嵐座長】 貴重な御意見ありがとうございます。
 いかがですか。
【江田推進官】 御意見ありがとうございました。技術の進歩はなかなか早いところかと思いますので、どういった形で検討するのがよいか、学会のお力を借りるのがよいかも含めて、今後検討させていただきたいと思います。
【五十嵐座長】 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
 そうしますと、幾つか重要な御指摘をいただいていますので、それを踏まえて、これはなかなかすぐに今日御対応するということはできないものもあると思いますので、事務局に検討していただくということにいたしたいと思います。
 基本的には、しかしながら、事務局から今日示されたゲノム編集技術等の範囲についての内容については、本会議としてはおおむね了承したものとしてよろしいでしょうか。
 よろしいですか。
 久慈先生、御意見ありますか。
【久慈委員】 おおむねよろしいとは思うのですが、一応、意見として聴いておいていただきたいと思います。先ほど13ページ目でしたか、ミトコンドリア移植の資料の中で、2025年7月の時点で英国と、あと、豪州で臨床研究をやっていると記されていたと思います。臨床治験が行われていて、かつ生児も産まれているという技術に関して、これを一旦禁止するのは構わないと思うのですけれども、わが国でやはり臨床研究をする必要性が出てきたとき、あるいは患者さんから依頼があったときにどう門戸を開いていくのか、その道筋も考えておかなければいけないのではないかと思います。
 これをゲノム編集のCRISPR/Casと同じように、一から倫理のことから考えるというのはかなり労力もかかりますし、あとゲノム編集とは本質的に違う技術で倫理的問題点も少し違い、違う議論をしなければいけなくなってくる気がします。こういう、他国で臨床研究をやられていて、日本でも考える、というようなことはほかの分野でも出てくると思うのですけれども、どうしたらいいのかということについても御考慮いただければと思いました。
 以上です。
【江田推進官】 ありがとうございました。ある技術の臨床利用を容認するかどうかを検討する際には、技術的な課題と倫理的な課題、社会的な受容性も含めて、両方検討しなければいけないというのがこの法律での大前提と考えておりますが、技術的な面についても技術によって考慮すべき点が異なってきますし、倫理的な面も、先ほどおっしゃいましたとおり、CRISPR/Cas9とミトコンドリア核置換では異なってくるものと思います。
 また、現時点では日本でミトコンドリア核置換を認めるという社会的な議論もなされていませんので、今回、この法施行の時点では一旦禁止とさせていただければと思っておりますが、国会審議の附帯決議でも「諸外国における臨床利用の中にヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律により禁じられる行為があることを踏まえ、同法の在り方や適切な所管の設定も含め、必要な事項を一体的に検討すること」と定められておりますので、このミトコンドリア核置換に関しまして、卵子での置換も受精胚での置換も検討することになりましたら一体的に検討してまいりたいと考えております。
 以上です。
【五十嵐座長】 久慈先生、よろしいですか。
【久慈委員】 分かりました。それであればよろしいと思うのですけれども、これは多分今後、CRISPR/Casも含めるかどうか分かりませんけれども、こういう技術の範囲を政令で広げていくときの手続きのプロトタイプのようなものになる可能性がありますので、できればこのミトコンドリア関連技術については、確かに現在は臨床応用として申請している機関はないと思うのですけれども、研究している機関、あるいは研究している研究者の方は何人かいらっしゃると思いますので、ぜひ今回の議論の間に参考人としてそういう方の意見も聴いてはと思いました。
 以上です。
【江田推進官】 御指摘ありがとうございました。その御指摘を踏まえて、今後も検討してまいりたいと思います。
【石原委員】 1つ確認ですけれども、今回通った法律の中で、明示的にミトコンドリアの核置換はいけないというものは書いていないですね。
【江田推進官】 はい。書いていません。ゲノム編集技術等の範囲として入っています。
【石原委員】 そういう意味ですね。
【江田推進官】 はい。
【石原委員】 ですから、それはこれからの議論という、この政令とか省令をどうつくるかという議論の中で議論されるべきであると思ってよろしいですか。
【江田推進官】 はい。
【石原委員】 ありがとうございます。
【五十嵐座長】 ありがとうございます。
 どなたか、手を挙げていますか。
 髙山委員ですか。お願いします。
【髙山委員】 お時間を取って申し訳ありません。
 今の点に関してなのですけれども、恐らく法律の考え方、発想の部分で申しますと、既に配偶子の提供によってお子さんを授かるということ自体は行われるようになっていて、このミトコンドリアの話というものはそれとの中間のような部分に位置しているものではないかと思います。体細胞とか臓器のところで生体臓器提供のような形に近くて、配偶子そのものの全部提供ではなくて一部を提供しているような感じに近いものができるというエリアなのではないかと理解していますので、それらが規制されるときの根拠となる発想というものを組み合わせて進んでいくべき検討事項なのかなと思いました。
 以上です。
【五十嵐座長】 ありがとうございます。
 よろしいですね。
【江田推進官】 はい。ありがとうございました。
【五十嵐座長】 ほかはどなたか、手を挙げていらっしゃる方はいますか。いらっしゃらないですね。
 幾つか重要な御指摘をいただきました。それらを十分に反映したいと思います。その上で、ゲノム編集技術等の範囲については、この会議として了承したいと思います。よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
【五十嵐座長】 ありがとうございます。では、反対がないようですので、そのようにしたいと思います。
 それでは、続きまして、2-2)の「動物胎内移植禁止の例外規定について」をお諮りしたいと思います。資料3を使っていただいて、事務局から説明をお願いいたします。
【江田推進官】 事務局より御説明します。
 2ページ目を御覧ください。2ページ目は、12月の合同会議の資料になります。
 ここで、赤枠のとおり、御意見をいただきまして、議論の整理にも反映させております。
 それを基に法律を提出しまして、3ページ目にお示ししておりますとおり、法律の条文となっております。
 まず、3ページの下のほうに書いています第3条を御覧ください。「何人も、ヒトゲノム編集胚等を人又は動物の胎内に移植してはならない。ただし、ヒトゲノム編集胚等を動物の胎内に移植する場合で、その胎内において胎盤の形成を開始する可能性がないものとして政令で定める要件に該当するときは、この限りでない」という条文になっています。この「その胎内において胎盤の形成を開始する可能性がないものとして政令で定める要件」について、これから御議論いただきたいと思います。
 そのために共通認識を持っておきたいと思いますので、第2条の用語について少し御説明させてください。
 第2条の第2号にヒト生殖細胞の定義があります。ヒト生殖細胞には、精子、未受精卵だけではなく、精子に変化する過程にある細胞や、未受精卵に変化する過程にある細胞を含むとしています。すなわち、始原生殖細胞と呼ばれる細胞や精原細胞、卵母細胞といった細胞も含むことになります。
 第4号に、ヒトゲノム編集胚等の定義があります。ヒトゲノム編集胚等には、イ~ハに示しています3種類があります。イが、ゲノム編集技術等で加工したヒトの胚。ロが、ゲノム編集技術等で加工したヒトの生殖細胞。ハが、ゲノム編集技術等で加工したヒト生殖細胞と加工していないヒト生殖細胞を受精させてできる胚。この3種類がヒトゲノム編集胚等になります。
 第2条第5号、この法律で「動物」と言った場合に指すのは哺乳類のみとなります。
 第2条第6号、胎児の「胎」を使った「胎内」は女性または雌の内生殖器を指すということになります。
 下に※で注釈をつけていますが、卵巣・卵管・子宮・膣を指すことになります。
 これらを踏まえた上で、4ページを御覧ください。昨年12月の合同会議で2ページ目の考え方をお示ししましたときに御指摘をいただきました、ヒト胚の動物胎内移植は、既存の法律に基づかない指針でも認められていなかったのではないか。国際幹細胞学会のガイドラインでは、ヒト胚を動物の子宮に移植することは禁止事項となっているのではないかといった御指摘をいただきました。
 この御指摘に対しまして、法律では、個体産生の防止を目的としています。その目的が達成されるのであれば、その範囲内で基礎的研究を妨げないための規定としたものですので、法においては、移植するものがヒト胚であれ、ヒト生殖細胞であれ、動物の胎内に移植した際に胎盤の形成を開始しないことを求める規制として、その具体的な要件は政令に委任するという立てつけになっています。その上で、ヒトゲノム編集胚を何の手当てもなく動物の子宮に移植すれば、理論上は胎盤の形成を開始する可能性が否定できないと考えております。現時点の技術水準では、ヒトの胚を動物の胎内に移植しても確実に胎盤の形成を開始しない手当てというものが存在していないことから、政令の要件を検討する際には胚の移植は射程外として、生殖細胞を動物の胎内に移植する場合に許容される要件について検討することとしてはどうかと考えております。
 次に、5ページ目を御覧ください。5ページ目で、胎盤の形成について、まず御説明します。
 通常は受精から約5日後に胚盤胞期と呼ばれる状態まで成長した胚が着床し、着床を契機として胚の栄養外胚葉が栄養膜に分化し、絨毛形成などを経て、胎盤の形成が開始されます。
 一方で、受精した後に胎盤の形成を開始することを防ぐことは困難ですので、運用上の観点にも鑑みまして、生殖細胞を移植する際に胎内で未受精卵と精子が受精しないことを規制の要件として検討してはどうかと考えております。
 それを担保するための手段として、雌の動物に不妊手術を施すことが考えられます。不妊手術としては、マル1卵巣摘出術、マル2卵管結紮術・卵管切除術、マル3子宮摘出術。これは子宮と同時に卵巣や卵管を摘出する場合も含みますが、こういった3種類の方法が主に想定されます。
 次に、6ページを御覧ください。当面の間、実施が想定されるケース、動物の胎内にヒト生殖細胞を移植するケースとして想定されるケースは、ヒトゲノム編集未受精卵の成熟を確認するためにヒトゲノム編集未受精卵を胎内に戻す場合のみと考えます。
 順番が前後してしまいますが、最後のページを御覧ください。事務局で文献を探しましたところ、生殖細胞の元になる細胞(始原生殖細胞様細胞)を卵巣組織に移植して、その成熟を見るという研究がありました。
 これを踏まえますと、例えば幹細胞由来の始原生殖細胞様細胞を、動物の胎内に移植するという研究が想定されると考えております。始原生殖細胞様細胞も未受精卵に変化する過程にある細胞ということでヒト生殖細胞の定義に当てはまりますし、幹細胞から始原生殖細胞様細胞に分化させる際にはゲノム編集技術等の「等」の部分に該当する技術を利用することも想定されます。こういったこともありまして、今回の例外規定を検討していくことになります。
 また6ページにお戻りいただけますでしょうか。ヒトゲノム編集生殖細胞の動物胎内移植として当面想定される研究としては先ほど御紹介したようなものが挙げられますので、当面の間はヒトゲノム編集未受精卵を胎内に移植する場合についてのみ例外規定として認めることとしてはどうかと考えております。
 その上で、単にヒトゲノム編集未受精卵だけであれば動物の胎内に移植していいというわけにはいかず、5ページ、胎内において精子と未受精卵が受精しないようにする必要があると考えています。
 ここでは※で精子と未受精卵と記載しています。ヒトゲノム編集精子、未受精卵ではなく、単に精子、卵子と記載しています。こちらは枠囲みの下に※を書いていますが、ゲノム編集技術等による加工の有無を問わず、ヒトの精子・卵子なのか、動物の精子・卵子なのかを問わず、また、人為的に移植されたものなのか、交配によって雌の胎内に入った精子なのか、動物が排卵したことによる未受精卵なのかを問わず、一般的な精子・卵子として、ここは記載をしています。このヒトゲノム編集胚を生じることを防止すれば法の目的を達成することはできますが、ほかの方法により生じる胚、例えばヒトゲノム編集未受精卵と動物の精子の交雑胚や動物の胚といった胚とヒトゲノム編集胚とを外形的に区別することが困難となる可能性もあることから、あらゆる胚が胎内で発生しないような要件とすることが必要であると考えています。
 そのために、点線の枠囲み内に記載したとおり、未受精卵については、移植を行う雌の動物に不妊手術が講じられており、措置後から受精可能な期間が経過していること、すなわち、移植したい未受精卵以外にはどんな未受精卵も存在しないことが必要ではないか。
 精子については、マル1のとおり、移植を行う雌の動物とほかの動物の雄とが分離管理されていること、または同一の管理下にある動物の雄にあらかじめ不妊手術が講じられていることが必要ではないか。マル2として、ヒトゲノム編集未受精卵を移植した後、仮に同一の動物に精子も移植する場合には、未受精卵が存在し得ない空間にのみ移植することが必要ではないかと考えております。
 7ページ目を御覧ください。こうした観点を踏まえつつ、ヒトゲノム編集生殖細胞の移植についてどのような不妊手術等をした際にはどこであれば移植が許容されるのかや、ほかの生殖細胞を移植するならばどの程度の期間を経てどこであれば移植が許容されるのかなど、さらに精緻な要件の必要性について引き続き検討をしてまいりたいと考えております。
 なお、こうした要件の検討に当たっては理論上「受精可能な期間が経過した上であれば雄雌の同一の管理下におくことも可能」といった組合せもあり得ます。しかしながら、研究者をはじめとした個々の取扱者に可能な限り明瞭な規制内容とする観点や、違反時に刑罰につながる規制を可能な限り複雑化しないようにする観点等から、胚が発生しない全ての場合を移植可能なものとして許容するのではなく、胚が発生し得ない一部の場合であっても許容しないことにしてはどうかと考えております。
 この点線で囲んでいますものが例示になります。上の矢印ですが、雄に不妊手術を行って、精子の受精可能な期間の矢印と、雌雄同一管理の矢印が点線の中でかぶっています。万一、この間に受精してしまうといけないので、ここはかぶっていることは認められないのですが、この矢印が完全に分かれていれば理論上は認められるということになりますが、いろいろな措置の前後関係が複雑になりますし、きちんと管理していたかの証明もかなり難しくなってしまいますので、こういった複雑な管理ではなく、下にお示ししていますような、ゲノム編集未受精卵を移植するのであれば雌雄別管理をしましょうといったシンプルなものを許容できる手段としてお示しすることとしてはどうかと考えているところになります。
 本日は、この青字にしています部分を中心に、考え方として御意見をいただければと思っております。さらに精緻な要件の必要性について検討ということになっていますので、本日いただいた御意見も踏まえて、次回にもう少し詳細な案をお示しできればと考えております。
 御説明は以上になります。
【五十嵐座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、委員の先生方、何か確認事項あるいは質問等ございましたら、お願いしたいと思います。
 山口委員、お願いします。
【山口委員】 ありがとうございます。山口でございます。今回、胎内とは単に子宮だけではなくて、卵巣、卵管、膣も含まれるということで、そうすると、考えられる研究が結構幅広くなるのかなと思いました。
 今のところはまだ限定的なのかもしれないのですけれども、今、雌雄別にする、シンプルにというお話もあったのですけれども、結構、どの段階できちんと不妊手術をしているかとかが一見して分からないので、これはどういう研究をしているかをきちんと届出て、そして、記録して管理することにはなっているわけですけれども、その場合にやはりモニタリングをすることがとても大切ではないかと思うのですけれども、そういったモニタリングはしないといけないということがこの中で位置づけられているのかどうかを確認したいと思いました。
 以上です。
【五十嵐座長】 どうですか。
【田中専門官】 ありがとうございます。
 今回の議論というものは、まさに法律として、どういうところについて認めるかというところの話であって、今、山口先生からいただいたのは、まさに適正に研究をどのように実施していくのかといったような話かと思いますので、それはまさに法の下の指針のほうで適切な研究の在り方みたいなところは見ていくことになるのかなと考えております。
【山口委員】 ということは、次の段階で指針を考えるときにその辺りを検討していくという理解でよろしいでしょうか。
【田中専門官】 失礼いたしました。まさに資料1のほうで御案内をさせていただきましたとおり、今後、指針についても御議論いただくこととなっておりますので、その際に御意見等をいただくことになろうかと考えております。
【山口委員】 分かりました。ありがとうございます。
【五十嵐座長】 おっしゃるとおり、モニタリングはとても大事だと思います。指針のほうで検討したいと思います。
 久慈先生、お願いします。
【久慈委員】 もしかしたら理解が追いついていないかもしれないのですけれども、不妊手術をしなければいけない場合というのは原則、全ての場合にするということなのか。それとも、適切に体の中で偶発的に交雑胚みたいなものができないような措置が講じられていれば、それは必要ないということであらかじめ除くことができるのか。どちらの考え方に従って考えようとしているのでしょうか。
【江田推進官】 分かりにくい説明で申し訳ありません。
 不妊手術を必須としているわけではありません。雌雄別管理をきちんとすることで偶発的な胚の発生が生じないのであれば、それも措置として認めると考えております。
【久慈委員】 ありがとうございました。
 というのは、やはりこの不妊手術そのものも動物に侵襲を加えることになりますから、あまり厳密さを第一にして不必要な侵襲を加えるのは、国際的な見方からするとかえって変わった指針になってしまうおそれがあるのではないかと思って質問させていただきました。
【五十嵐座長】 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 特にないようですね。よろしいですか。
 寺田先生、どうぞ。お願いします。
【寺田委員】 すみません。私も久慈先生と同じ考えを持って聞いていたのですが、通常は卵巣あるいは卵子系の異種移植をする場合は、やはり基本的にはホストは雌なのですよ。だから、ほかの雄と同居させなければ交雑ができる可能性というものはないかと思うのですよ。
 それで、基本的に種が違うと受精自体が起こらないというのはかなりユニバーサルの真実ではないかと思いますし、その辺り、これからいろいろ考えながら、エッセンシャルなところでのルールづくりが必要であれば、エッセンシャルなところのみを整えるというような形が、先ほど久慈先生がお話しになったように、やはりホストアニマルのキャストレーション、卵巣摘出とかもネズミにとってはかなり侵襲になるし、かつ実験効率も下げてしまうことになるかとも思いますので、そのように考えております。
 以上です。
【江田推進官】 御指摘ありがとうございました。そもそも、種が違えば受精しないのではないかという御指摘もごもっともと思いますが、法律ですので、厳密に定めておく必要があるということで、こういったこととなっています。
 また、必ずしも不妊手術を求めるというものではありませんので、現実的には雌雄別管理で、雌の動物にヒトゲノム編集卵子を移植して観察するといった研究で、雌だけをケージで飼うといったものが想定されるのではないかとは考えているところです。ありがとうございました。
【五十嵐座長】 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 阿久津先生、どうぞ。お願いします。
【阿久津委員】 成育の阿久津です。基本的に、私は今の説明に同意いたします。法律の理念に基づいて、まずは懸念する一番の事項を禁止するというところになりますけれども、具体的に、それでどういうケースが考えられて、何が必要になってくるかというのは、本質的にはケース・バイ・ケースでの、指針ができた上での議論が一番、要するに指針の運用が重要になってくるかなと思います。
 あと、それでは、ヒトの受精胚を本当に胎内へ移植するかということを禁忌する。もちろん、いけないのですけれども、あまり想定はされないのだろう。より想定され得るのが、恐らくは例えば精子幹細胞などでの遺伝子操作での移植というものがもう一方、卵子よりもそちらのほうが現状の研究上は想定されるのではないかという印象はございます。
 では、移植した動物が交配するか。交配しないような環境という議論なのですけれども、これは一つ参考になるのが、例えば動物性集合胚の指針の策定のときにその点も相当議論して指針ができたという、私はちょうど当時、文部科学省の委員でしたけれども、それがございました。その上でどうやって、その辺の目的と意図しない交配というものを防ぎながら研究を行うかという議論になったと思いますけれども、そちらの指針の成立過程、あるいは指針の運用についても、今回、この辺の議論には相当役立つのではないかと思って聞いておりました。
 コメントになります。以上です。
【江田推進官】 大変有益な情報ありがとうございました。動物性集合胚の指針策定の際の議論も確認しながら進めてまいりたいと思います。
 先生の御指摘のとおり、意図しない交配を生じさせないということが一番の肝かと考えておりますので、十分に精査していきたいと思います。
【五十嵐座長】 御指摘、どうもありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。
 何かありますか。
【江田推進官】 先ほど阿久津先生から、精子系の細胞を胎内移植する場合が卵子を移植する場合よりも想定されるのではないかという御意見をいただきましたが、こちらは精子ということは、雄の動物に移植して発生を見ていくのかなと思ったのですけれども、今回の法律の対象となります胎内への移植というものも考えられるのでしょうか。
【阿久津委員】 現実的にはあまり、要するに胎内というものはあまり考えられないのではないかと思います。
 ただ、研究の観点から言うと、例えばもちろん、生殖器官ではなくて、その辺ですと、腎臓の被膜下の移植ですとか、本質的にはそちらのほうが考えられ得るのですけれども、もしかしたら精巣も当然考えられますので、その辺の研究者がどう考えているかというのと、もちろん、研究の進展にもよりますので、最初にお話ししたケース・バイ・ケースというものが一番、考え方としてあるのではないかと思います。
 大枠の大事なところを閉じて、あとはよく議論するというのが現実のところなのではないかという、それは個人的には思います。
 以上です。
【江田推進官】 ありがとうございました。
 この法律でゲノム編集胚やゲノム編集生殖細胞の移植を禁止しているのは胎内、雌の内生殖器の中だけですので、精子になる過程にある細胞を精巣に移植するといったものや腎皮膜に移植するといった研究については禁止されるものではありません。今後、胎内への移植といったものも考えられるようになりましたら、そのときはそのときの状況に応じて検討していくことになります。ありがとうございます。
【五十嵐座長】 ありがとうございました。
 ほかはよろしいですか。
 それでは、京都大学の斎藤先生の御準備は。
【事務局】 入られていないです。
【五十嵐座長】 では、この時点で方針について御了解をいただいてもいいですか。それとも、斎藤先生のお話を聞いてからのほうがよろしいですか。
【江田推進官】 一旦聞いていただいて、斎藤先生が入られて、聞かれて、さらに御意見を。
【五十嵐座長】 分かりました。
【事務局】 はい。
【五十嵐座長】 10分後にお入りの予定ですね。
 では、ここで10分間休憩しましょうか。
 久慈委員、どうぞ。
【久慈委員】 すみません。休憩時間を削ってしまったかもしれないですけれども、これも意見として聴いていただきたいのですが、先ほど資料2の7ページでしたか。現在、生殖医療で使われている技術ですね。あれを出していただいて、これは大変いいことだと思うのですけれども、この技術というものは、細かく見ていただければ分かると思うのですが、例えばタイムラプスとか、レーザー補助孵化とか、精子の選別とか、ゲノム編集とあまり関係がないような技術も入っているのです。
 懸念しているのは、今回、ゲノム編集等の胚移植を禁止するというところにあまり、これを強調して出すと、これから先、新しい受精の技術とか、ゲノム編集等には入らないのだけれども、今まではやっていなかった技術をやっていいのかどうかという議論になったときに、ここがいつも問題になるのではないかと思うのですけれども、それは本当に遺伝子発現を変えないのかという議論が出てきてしまうかもしれないという懸念があります。
 言いたいことは、新しい技術が出てきたときに、全てをまず疑ってかかって、それから議論を始めようとすると、とめどもなく、このゲノム編集技術等という胚が多くなってしまって、特に生殖医療の分野では、臨床もそうですし、研究もそうですけれども、萎縮させかねないということがあるので、この「ゲノム編集技術等に含まれない技術の周知」というところの書き方は少し工夫していただいて、これはもちろん、ゲノム編集には含まれないのだけれども、これについては現状で行われているからいいでしょうというような書き方にして、これ以外にもそういう技術はありますという含みを持たせたような書き方にしていただけないかと思いました。そのほうがかえって混乱が少なくなると思います。
【江田推進官】 御指摘ありがとうございました。
 今すぐうまい言葉が思い浮かばないのですけれども、ゲノム編集技術に含まれないという表現がかえって誤解を招きかねないということは承知しました。周知の際には気をつけていきたいと思います。
【久慈委員】 ありがとうございます。
【五十嵐座長】 どうもありがとうございます。
 ほかは何かありますか。
 斎藤先生はまだ入られていないですね。
 では、15時30分まで休憩にしましょうか。よろしいですか。
(首肯する委員あり)
【五十嵐座長】 15時30分から再開します。よろしくお願いします。
 
(休  憩)
 
【五十嵐座長】 15時30分になりました。委員の先生方、お集まりですか。
 それでは、準備ができましたので、京都大学の斎藤先生から資料4を使って御説明をいただきます。
 斎藤先生、お忙しいところ、御出席いただきましてありがとうございます。御準備よろしいですか。
【斎藤参考人】 はい。
 共有してしゃべればよろしいですか。
【五十嵐座長】 はい。
 それでは、御説明を始めていただけますか。お願いします。
【斎藤参考人】 ありがとうございます。では、本日は「ヒト多能性幹細胞からの生殖細胞誘導研究」ということで、この辺りの点についてお話しいただきたいと言われたことを最後のスライドでお話しいたしますが、10分ほどで簡単に現状などをお話しさせていただければと思います。
 まず最初に、生殖細胞研究というものの社会へのインパクトということでありますが、生殖細胞というものは、精子や卵子に分化しまして、それらが融合することで新しい個体をつくり、新しい世代に遺伝情報を伝える細胞ということであります。
 哺乳類の生殖細胞研究というものは、前世紀の半ば頃にげっ歯類を用いた、マウスやハムスターやウサギなどですが、胚培養系でありますとか試験管内授精法の確立により発展しまして、その技術がヒトに応用されまして、50年近く前になってしまいますが、1978年にイギリスで初の試験管ベビーというものが誕生したということであります。驚くべきことに、昨年の日本では8.6人に1人が生殖補助医療により誕生というようなことが言われております。
 生殖細胞研究というものはもちろん、こうした生殖医学といいますか、医療に直接つながる研究もそうなのですけれども、バイオロジー、例えば培養した胚盤胞からのES細胞の培養や、卵母細胞に体細胞の核を移植しましてクローンをつくる体細胞クローンの作出。それに付随して、例えば父親由来のゲノムと母親由来のゲノムが異なる機能を果たすというゲノムインプリントの発見などにもつながっておりますし、最終的といいますか、最近ではこの転写因子によって体細胞をリプログラムするiPS細胞の樹立というものも大きくは生殖細胞研究の一つと言うことができるかと思います。
 したがいまして、生殖細胞研究というものは、医学、医療、さらには生命哲学に大きな影響を与えてきたという分野であります。
 この図はヒト生殖細胞の発生過程を示しているものでありますが、受精により発生が始まるのですけれども、胚盤胞を経て、着床、その後、ヒト胚の発生が進んでいきますが、そのうちの一部が始原生殖細胞、Primordial germ cell(PGC)としてリクルートされます。PGCはその後、生殖隆起、精巣や卵巣の原基に移動しまして、ここでPro-spermatogoniaという細胞になりまして、その後、精原細胞、精子、卵母細胞のほうは減数分裂を開始して原始卵胞、そしてさらに、それらが成熟して、最終的には卵子になるということです。この辺りで産まれます。
 このヒト生殖細胞の発生過程の中で起こるイベントというものは、最近の特にゲノム科学でありますとかエピジェネティクスの発展により非常によくディスクライブされるようになってきまして、マウスなどの哺乳類の代表的なモデル生物と共通するところや、ヒトにユニークなところなどがいろいろと記載されるに至っております。
 ただ、この過程をつかさどるメカニズムといいますか、分子機構というものに関しては、ヒト胚を使って実験するわけにいきませんので、適切な実験系などが欠如していることから、現在でも未解明な部分が非常に多いという分野であります。
 我々の研究室では、マウスを用いた研究や、ヒトのモデルとしてサルを用いた研究から、ヒト生殖細胞の発生過程の試験管内再構成と、それに基づくヒト生殖細胞発生機構の解明という研究を進めております。
 これも既に随分、前の仕事になりますが、ヒトのiPS細胞を初期の中胚葉様細胞というものに誘導いたしまして、それらを浮遊・凝集培養することで、このTFAP2CやBLIMP1といった、始原生殖細胞に特異的な遺伝子を効率よく発現する、誘導する系の作製に成功しました。これらのマーカーを発現する細胞はヒトの始原生殖細胞というものと非常によく似ていることから、ヒト始原生殖細胞様細胞と呼んでおります。
 さらに、最近になりますが、このヒト始原生殖細胞様細胞というものを集めて、FACSでとってきまして、BMPというサイトカインを中心に、非常にシンプルな平面培養で培養いたしますと、この始原生殖細胞様細胞がその過程で100億倍以上にも安定して増殖しまして、エピゲノムリプログラミングという現象を起こしまして、前精原細胞、さらには卵原細胞といったような、精原細胞や卵母細胞のもとになる細胞が試験管の中で非常に多数作製することができるようになったということであります。
 こうした試験管の中でヒトの精子でありますとか卵子を作ることを目指すような研究をヒト配偶子試験管内造成研究というのですが、こうした研究は非常にざっくばらんに、4つぐらいのステージに精子のほうも卵子のほうも分けることができる。先ほど示しましたような研究で、この始原生殖細胞の誘導とエピゲノムリプログラミングを誘導して、前精原細胞や卵原細胞を分化させるというようなところは試験管の中で極めて比較的簡単な方法論で100億倍も作れるようになりましたので、極めて効率よく再現できるようになってきたと言えると思います。現在、この精原細胞を分化させる、もしくは卵母細胞を分化させるという研究が世界的にも活発に進んでいるということです。
 これは別の書き方で同じことを書いたものなのですが、現在、この卵原細胞や前精原細胞というところまでは非常に再現性よく、かつ効率よくできる。恐らくですけれども、こうした細胞と、例えば男性側であれば精巣の体細胞と凝集培養することによって精原幹細胞を誘導する研究でありますとか、卵母細胞の場合は卵巣の体細胞と凝集培養することによって原始・一次・二次卵胞など培養する研究。これらが非常に世界的にも我々の研究室でも進んでおりまして、こうした成果が近く発表されてくる。さらには、次のステージに進んでいくだろうというようなことが予想されます。
 このヒト配偶子試験管内造成研究の方法論ということで、動物体内に移植する必要性であるとか、ざっくばらんな方法論、どんなことを使うのかということに関してお話しいただきたいということでありました。
 例えば、これはごく最近、日付はこうなっていますけれども、ウェブサイト上では出ておるのですが、これはアメリカの研究グループです。私どものところから独立した佐々木君という者が引っ張っている研究グループですが、これはヒトのiPS細胞から精原細胞様細胞と、前精原細胞を1個、さらに進ませた細胞ですが、それを作ったという研究なのですが、これは先ほどの始原生殖細胞様細胞というものを試験管内で作りまして、この研究の場合はマウスの精巣の体細胞、セルトリ細胞を中心とする細胞と凝集培養して1週間、再構成精巣というものを作りまして、それを免疫不全マウスの腎被膜下にこのように移植します。それで4か月、6か月、移植して置いておくと、例えば半年後にこのマウスの精巣を解剖してやると精原細胞に、この過程を正確にヒトの体内で起こるかといえば非常にこれは驚きですけれども、マウスのセルトリ細胞がサポートして精原細胞をまで分化することが、作ることができるようになるという仕事であります。
 さらに、このヒト多能性幹細胞を生殖細胞に分化させるときに使用する物質や技術ということでありますが、これは別に生殖細胞に限らず、現在、いわゆる再生医学の領域でヒトの多能性幹細胞などから様々な医学的に有用な細胞へ分化させるときに行っている方法論とほとんど同じ、使っているものが少し違うということでありまして、基礎的な培地に加え、いわゆるサイトカインで、様々なサイトカインが誘導するシグナル経路を刺激もしくは阻害するような、これはケミカル、化合物、ホルモンでありますとか、あと、生殖細胞を培養するときに敷くフィーダー細胞、さらには遺伝子発現を、外から遺伝子を加えて、その効果で分化させるという方法論も取られます。さらには、血清もしくは血清代替物、アミノ酸、糖、脂質、ビタミン、鉄分、亜鉛など、様々な栄養素など、いわゆる通常の細胞培養に使用される、あらゆる物質が使用されまして、多能性幹細胞から生殖細胞、それらをマチュアした精子や卵子というものの分化が進められているというのが研究の現状かと思います。
 非常に簡単でありますが、胎内に移植する研究の可能性と使用する方法論ということに関して発表させていただきました。
 以上であります。
【五十嵐座長】 斎藤先生、最新の生殖細胞の誘導研究の現状について説明をしていただきまして、どうもありがとうございました。
 それでは、構成員の先生方、斎藤先生に何か御質問等ありましたらお願いいたします。
 山口先生、お願いします。
【山口委員】 御説明、どうもありがとうございました。
 今、一番最後のヒト多能性幹細胞から生殖細胞を作製する研究が進められているというお話だったのですけれども、最終的なゴール、こういう治療と結びつけたいのだというようなことは、具体的にはどのようなことを想定して行われているのかを教えていただけますでしょうか。
【斎藤参考人】 これは、それぞれの研究目的はそれぞれの研究者によって違うと思うのですけれども、例えばダイレクトに本当に不妊を治療したいというように思っておられる研究者もいると思います。要するに試験管内で作ったもので、ただし、それは例えばスターティングに用いるiPS細胞に入っている様々な遺伝学的な傷や作製方法の未熟さによるエピジェネティックな異常などが懸念されるので、それはもし行われるとしてもはるか先のことで、あらゆる科学的検証が進んでからだと考える研究者も当然いますし、それがドミナントだと思いますけれども、試験管の中で生殖細胞の発生過程というものがきれいに再現されてくることで不妊のメカニズムを研究して、それによって、例えば薬剤なり、もしくは別の方法なりで不妊を治療する方法論。さらには、これは試験管内でできてくるものなのですけれども、例えば原始卵胞でありますとか、一次卵胞でありますとか、未熟な卵胞が試験管の中でいっぱいできてきて、それを成熟させる方法論というものがその方法に基づいてできてくると、今度は実際に女性の体内にある、生体内で未熟なところしかできていないにもかかわらず、それは生体内でできているものを出発点にして培養して産仔を得るというような生殖医療にも役に立つ可能性がありますし、研究の応用範囲というものは非常に多岐にわたるのではないかと思います。
【山口委員】 具体的な例をお示しいただいたので、よく分かりました。ありがとうございました。
【五十嵐座長】 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 梅澤先生、お願いします。
【梅澤委員】 すみません。梅澤と申します。
 無知な質問かもしれませんけれども、動物ではどのぐらいまで進んでいるのでしょうか。
【斎藤参考人】 動物は、最も進んでいるのはマウスでありまして、マウスにおきましては、卵母細胞の場合はいわゆる成熟した卵子まで、体外への移植などを経ずに、試験管の中で誘導することができております。
 ただし、一応、気をつけないといけないのは、できてきている卵母細胞も、品質ということであれば、子供になる率は生体内の卵母細胞の100分の1から500分の1なので、これはやはりジェネティカルにもエピジェネティックの異常があると考えざるを得なくて、そういうような状態ではありますが、少なくとも産仔になるものもいるということです。
【梅澤委員】 ありがとうございます。
【斎藤参考人】 それで、精子の場合は、精原幹細胞、精原細胞、精子の幹細胞まで試験管の中で誘導して、例えば移植すると精子になる。さらに精巣を取ってきて、精巣の中に入れて、試験管の中で培養すると精子になるというようなことまではできておりますので、マウスにおいては結構進んでいる。
 ただし、他の動物種、ヒトに限らず、マウス以外では、例えばラットでは始原生殖細胞様細胞を誘導して、それをラットに移植することで精子ができるというような報告、機能的な精子ができるという報告はありますが、ほかの動物種ではまだ、それらのような報告はなくて、マウスの次には意外とヒトが一番進んでいるということが言えるかもしれません。
【梅澤委員】 ありがとうございます。
 以上でございます。
【五十嵐座長】 それでは、久慈先生。
【久慈委員】 はい。
【五十嵐座長】 久慈先生、どうぞ。
【久慈委員】 斎藤先生、どうもありがとうございました。
 今、ゲノム編集胚の移植を法律で禁止するということで先生をお呼びしたことになるのですけれども、それは仕方がないことだとして、私がお聞きしたいのは、先生方が多分、世界の中でもリードして、この研究を進めていらっしゃって、もちろん、動物がメインだと思うのですけれども、ヒトの研究、例えばヒトのiPSから精子を作って、それを妊孕性のある精子にするような研究をつくったときに、どうしても受精させるというところは外せなくなると思うのですが、そのときに、法律でその研究も一応、届出をしなければいけないという規制がかかってきます。そうなったときに、例えば先生方が競争的資金を獲得するときに手続上、問題が起こるようなことというものはあまりないのでしょうか。
【斎藤参考人】 競争的資金は、私の個人的な場合に、それで問題となったことはないです。競争的資金を応募するときに、ヒトの遺伝子実験研究でありますとか倫理的なものに配慮する点に関して記載する項目があるのですけれども、そもそも、そういう実験をする前に、IRBといいますか、それぞれの医の倫理委員会などで承認を得て、さらには文科省などの承認が必要なときはそれの承認を得て、その範囲で進めておりますので、研究費を獲得する点において、それが大きな障壁となるということは、私の場合はこれまではありませんでした。
【久慈委員】 それはもし法律で受精以降のことが少し、届出が厳しくなったとしてもあまり問題にはならなそうだという、先生の個人的な見解で結構なのですけれども、そういう感じですか。
【斎藤参考人】 そうです。それで十分、前もって届出なり国の許可を得ておれば、それがあれば、それが理由で研究費が取れないというようなことはないかなと思いますといいますか、あるべきではないですね。
【久慈委員】 ありがとうございました。
【五十嵐座長】 ありがとうございました。
 それでは、三浦先生、お願いします。
【三浦委員】 貴重なお話ありがとうございました。
 研究の現在の進展状況がよく分かったのですが、やはり一番、気になるのは、ヒトにおいて精子・卵子を作製するという段階がかなり技術的にハードルが高いといいますか、まだ先というように認識していたのですが、実際、ヒトで精子・卵子ができるのはいつ頃といいますか、その見通しについてはどのように。
【斎藤参考人】 いや、これは予測はできないですが、5年以内にできてもおかしくは全くないですし、10年後にできていなくてもおかしくないですし、これはまさに今後の研究による。ただ、着実に進んでいるということだけは言えます。
 ただし、さっき言ったような遺伝学的にとか、エピジェネティックに非常に異常はあるのだけれども、例えば卵子に見えるものとか精子に見えるものは5年以内とかにできる可能性はあるのですけれども、遺伝学的に見てもエピジェネティックに見ても、これは生体内のものと全然変わらぬように見えるというものができるのは極めて難しい。それは随分、時間がかかると思います。
【三浦委員】 ありがとうございました。
【五十嵐座長】 ありがとうございます。
 ほかはよろしいですか。
 斎藤先生、本日はどうもありがとうございました。最新の成果を御披露いただきまして、我々は大変参考になりました。
【斎藤参考人】 ありがとうございました。失礼いたします。
(斎藤参考人退室)
【五十嵐座長】 それでは、動物胎内移植禁止の例外規定に関しまして、今日お示ししました方向性について、改めて御意見ございますか。
 よろしいですか。
 それでは、基本的にこれを了承してよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
【五十嵐座長】 特に反対はないようですので、では、基本的にこれを認めるということにしたいと思います。どうもありがとうございました。
 三浦先生、どうぞ。
【三浦委員】 ぎりぎりにすみません。
 先ほど久慈先生が指摘された、含まれない技術のリストを一つ一つ上げるのがいいのかどうかというのが引っかかっておりまして、具体的にこういった技術は含まれないというリストを上げるべきなのか、それとも、文書で説明するだけでいいのかというものが引っかかりましたが、いかがでしょうか。
【江田推進官】 資料2の7ページのことかと思います。
【三浦委員】 そうです。
【江田推進官】 本日、ここにお示ししていますものは少なくともゲノム編集技術等には含まれないということで御同意いただいたと認識しておりますが、それを出していくときにどのような出し方をするのかというところは、久慈先生からも御指摘いただきましたとおり、慎重にせねばならないところだと考えております。それの出し方、周知の仕方というところは今後とも考えさせていただきます。
【三浦委員】 ありがとうございました。
【五十嵐座長】 よろしいですか。
【三浦委員】 はい。
【五十嵐座長】 それでは、改めて、動物胎内移植禁止の例外規定に関しましては、この方針でよろしいですね。
(首肯する委員あり)
【五十嵐座長】 ありがとうございます。では、そのようにしたいと思います。
 今日は貴重な御意見をいろいろいただきました。それを整理した上で次回、改めてまとめて報告をしていただきたいと思います。
 それでは、本日、ここまでで全体を通して何かございますか。
 よろしいですか。
 それでは、議論はこれで終了したいと思いますので、司会を事務局にお返しいたします。よろしくお願いします。
【植田補佐】 五十嵐先生、ありがとうございます。
 本日の会議は以上となります。
 次回の日程についてですけれども、9月2日を予定しております。詳細が決まり次第、改めて御連絡をさせていただきます。
 本日は皆様、御多忙のところ、御出席いただき、誠にありがとうございました。

―― 了 ――

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