遺伝子組換え技術等専門委員会(第156回)議事録

1.日時

令和6年11月19日(火曜日) 14時00分~16時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 遺伝子組換え研究の規制の見直しについて
  2. 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第 13 条第 1 項の規定に基づく第二種使用等拡散防止措置の確認申請について
  3. その他

4.配付資料

5.出席者

委員

三浦主査、大岡委員、金井委員、小坂田委員、片山委員、川岸委員、木村委員、西藤委員、高屋委員、竹内委員、竹田委員、栁澤委員

文部科学省

木村安全対策官、他

6.議事録

議題1について

生命倫理・安全部会からの付託に基づいて、遺伝子組換え研究を実施する際の拡散防止措置にかかる大臣確認制度の見直しについて検討が行われた。

【三浦主査】  それでは、議題(1)、遺伝子組換え研究の規制の見直しについてに入ります。事務局より御説明お願いします。
【木村安全対策官】  文部科学省生命倫理・安全対策室安全対策官の木村でございます。
 まずは、資料1-1、資料1-2に基づきまして、新たに制定いたします告示の案について9月24日から10月23日までの間に実施いたしましたパブコメの結果を御報告いたしたいと思います。
 このパブコメでは合計13件の御意見をいただいております。お手元に資料1-2があればそちらも御覧いただきたいと思いますが、この新たに定めます告示につきましては、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づきまして、新型インフルエンザ等対策本部が政府のほうに設置されている、そういった期間におきまして要件を満たす場合に、大臣確認をなしに拡散防止措置を執っていただきながら、機関のほうで関係する遺伝子組換え生物等を扱っていただくといったような改正内容になっております。
 要件は今年の夏の委員会でも御説明をいたしましたが、政府の対策本部が設置されている期間に限りまして、安全委員会、これは法律のほうでは努力義務でございますけれども、今回そういったものを設置している者に限って認めますと。
 次の要件が、新型インフル特措法に基づく政府対策本部が設置されている根拠となっている病原体の診断ですとか治療ですとか、または予防を目的とした研究開発を推進する内容であること。
 また、最後の要件が、その病原体を核酸供与体または宿主とする遺伝子組換え生物等を対象とするものであって、ただし、供与核酸が哺乳動物等に対する病原性または伝達性に関係し、かつ、その特性により宿主の哺乳動物等に対する病原性を著しく高めることが科学的知見に照らして推定される場合は除くといったような要件でございます。
 先生方にも夏に御確認いただいたものにつきまして、パブコメを実施した結果が、資料1-1のほうに記載をしてございます。計13件の意見をいただいておりますが、類型化した形で表の形で整理をしていますので、概要について御説明いたします。
 まず、1つ目をくくりにしたときに、一番上の箱になりますけれども、この告示の必要性に係る御意見を幾つかいただいております。また、2020年のパンデミックの際にこういった告示はなかったのか、そういった意見、あるいは機能獲得実験に反対する、反対する、そういった御意見がございました。
 文科省の考え方は右にございますけれども、この告示につきましては、今し方御説明しましたように、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律の施行から20年たちましたので、その間の科学的知見の集積を踏まえつつ、ワクチンや医薬品等の開発を不必要に抑制しないように、この委員会のほうで御議論いただきまして、法律の施行規則第16条第1号、こちらは、人の生命の保護等のために緊急に遺伝子組換え生物等の使用等をする場合といったようなことがございますが、そういった場合には、大臣確認を不要にできるといったようなルールがございます。その下で今回制定するのがこちらの告示という形になっております。
 また、この告示は、パンデミック時にワクチンや医薬品の研究開発の迅速化を図るために、要件を満たす場合に限って大臣確認の手続を省略するものでございますので、そもそも拡散防止措置の実施の責務を免除するものではございませんし、あくまでも研究開発段階のものでございますので、例えば産業利用に係る手続ですとか、あるいは他法令に基づくワクチンや医薬品の承認、そういった手続に何ら影響するものではございませんというふうに考えております。
 一つ下の段に行きまして、運用面に関する御意見も幾つかいただいております。一番上の3つでございますけれども、今回の告示は、政府対策本部が設置されている期間に限って大臣確認の手続を免除するものでございますので、政府対策本部が廃止された後しばらくの間、要は大臣確認の手続が必要になりますので、いわゆる猶予期間といいますか、政府対策本部が廃止された後に直ちに大臣確認に基づく実験を行ってくださいということではなくて、その手続を行うための猶予期間が必要ではないかといったような御意見を幾つか頂戴をしております。
 文科省の考え方といたしましては、政府対策本部の廃止については事前に十分な猶予期間、周知期間を設けることは困難かなと思っております。先般の新型コロナ感染症が発生した際の政府対策本部の廃止につきましても、廃止のアナウンスがあってから実際に廃止するまで一、二週間であったというふうに記憶しています。ですので、あらかじめ、いつ廃止されるということがなかなか予見できませんので、基本的には大臣確認の手続は、研究に着手した後でいいんですけれども、なるべく早く実施していただきたいというふうに考えております。このことにつきましては、研究機関に対して周知をしてまいりたいと思っております。
 政府対策本部が廃止された後に猶予期間を設ける形にしますと、廃止後にかなり多数の申請が殺到するということも想定されまして、そうなってしまいますと、コロナの感染症のときと同様に、多くの申請が寄せられて事務手続がスタックしてしまうというリスクもありますので、ここは猶予期間を設けずに、研究を開始したら速やかに出していただくといったような形を想定しておりますし、そういった考え方につきまして、文科省としてもしっかり周知をしてまいりたいというふうに考えております。
 下から2段目の段ですけれども、病原体がBSL3以上の場合、P3以上の拡散防止措置となりますので、基本的にはP3施設での研究開発を想定されるという理解でよろしいかといったような御質問が来ております。
 基本的には、BSL3のものはP3以上ということになるかと思いますけれども、例えば、ごくごく一部の遺伝子を核酸供与体として、例えばクローニングするような場合とか、必ずしもP3じゃなくてもいい場合があるのかなというふうに考えております。
 右側の文科省の考え方でございますが、この告示の下で第二種使用等をする際の拡散防止措置につきましては、要件にもありますとおり、安全委員会を設置している期間において、その安全委員会で御判断をいただくという形が適切かと考えております。
 一番下の段でございますが、新型インフルエンザ等に対する感受性を高める動物作成実験及び当該動物を用いた感染症研究はこの告示では読めないという理解でよろしいかという御質問がありましたが、そちらは御理解のとおりという形になっております。
 おめくりをいただきまして、一番上の段でございますが、研究が進む中で特定の塩基配列が病原性または伝達性に関係することが判明した場合には、当該塩基配列を核酸供与体として用いる場合の暫定的な対応としてポジションペーパー等で速やかに情報が公開されないかといったような御意見をいただいております。
 御意見として御参考にさせていただいて、今後の制度運用の際に参考としてまいりたいと思っております。
 上から2段目でございますが、この告示により大臣確認を不要とした場合、一義的には各研究機関の安全委員会の責任において実験の承認が行われることになるが、委員会での判断が困難な場合には、セカンドオピニオンが得られるような行政側の体制構築も必要との御意見がございます。
 文科省の考え方といたしましては、この告示の下で要件になっておりますとおり、この告示の下で組換え実験を行う場合には安全委員会を設置している機関においてその安全委員会で御判断をいただくという形になります。ただ、当然ながら、委員会が設置されていない場合など、この告示に基づく対応が困難な場合には、文科省のほうに手続をしていただくという形を考えております。
 一番最後の箱でございます。その他ということで様々な意見をいただいております。長文になっていますので、お読みいただければと思いますが、例えば感染症対策やワクチン開発に対する政府の対応ですとか、あるいは遺伝子組換えやゲノム食品の必要性は感じない、遺伝子治療の規制が外されると失敗が生じるのではないかといったような御意見をいただいております。
 感染症対策全般につきましては、カルタヘナ法に限らず関係省庁の担当部局が連携して対応しているところでございます。また、こちらの告示につきましては、冒頭御説明しましたとおり、あくまで研究開発段階の大臣確認手続に関するルールを決めていくということですので、例えば遺伝子組換え技術の農業ですとか医療分野における産業利用、そういったものを対象とする告示ではございません。
 説明は以上となります。
【三浦主査】  それでは、ただいま御説明いただきました告示案のパブリックコメントの結果について、御質問や御意見等ございましたらお願いします。
 よろしいでしょうか。これ自体は施行規則の中でこうした対応をするということがあったんですけども、それに対応する告示がその時点、新型コロナのときにはなくて、どのようなやり方をすればよいかということがそれまで決まっていなかった。今回この告示を出すことによってどのような手続をするか、どのような状況、条件、要件の場合にはそれを行うかというふうなことがこれで整理されたかと思います。皆さんよろしいでしょうか。
 それでは、パブリックコメントへの回答案及び告示案について御了承いただきましたので、この案にて手続を進めていただきたいというふうに思います。
【木村安全対策官】  こちらの、今御説明しました告示の今後の予定は、資料4にございますとおり、年内をめどに告示、施行予定となっております。
【三浦主査】  それでは、続きまして、研究二種省令・告示の見直しについて、御説明をお願いします。
【木村安全対策官】  大臣の確認を必要とする研究範囲の見直しの方向性の議論を踏まえた研究二種省令・告示の見直しについて、資料2-1に基づきまして御説明をいたしたいと思います。
 研究二種省令のほうでは、大臣確認が必要な研究の範囲を定めております。今年の夏に先生方にその見直しの方向性について、関係団体のヒアリングを踏まえて御議論いただきましたが、今回お示しします資料につきましては、その方向性を踏まえまして、実際に研究二種省令の改正案という形で事務局で整理したものを御説明するものでございます。
 資料の形といたしまして、オレンジ色のところ、橙色のところが、今の現行の省令の条文に見え消しの形で二重線で消しているところを削除して、下線つきのところが新たに文言として入れ込んでいく、そういった形で改正前と改正後の形が分かるような形で条文の案をお示ししております。
 まず、研究二種省令の別表第一第一号の関係、御説明してまいりたいと思います。いわゆる微生物使用実験関係の規定の改正の案になります。
 まず、別表第一第一号のイとロの改正案でございます。このイのほうは、いわゆる実験分類が未分類のもの、ロのほうは、実験分類がクラス4のものにつきまして、大臣確認が必要ですというふうに書かれている規定でございます。
 これらにつきましては、下の黒字で書いているところでございますが、6月に関係者のヒアリングを実施した際に、核酸供与体の実験分類が未分類またはクラス4であっても、リスクが低い場合には大臣確認を不要とできないかといったような御意見がございました。それを踏まえまして、今年の夏、先生方に御議論いただいた結果、(1)、(2)、(3)の3つの要件全てを満たすものは大臣確認を不要とできるのではないかというような御議論がございました。
 具体的には、認定宿主ベクター系またはタンパク発現系を用いたもの、タンパク発現系と申しますのは、主にはバキュロウイルスのようなもの、そこで一部のタンパクを増やしていく、そういった実験系を念頭に置いております。(2)が、供与核酸が同定済核酸であること、(3)が、供与核酸が病原性・伝達性を宿主に付与しないことが推定される、これら3つの要件を満たす場合、宿主の実験分類が未分類またはクラス4であっても大臣確認を不要とできるのではないかといった御意見がございました。
 一号のイとロのところ、上のところでございますが、現行の規定ぶりがやや違いますので、直し方がちょっと異なっておりますが、基本的にはこちらの3つの要件を満たす場合には大臣確認が不要となるような形で、見直しをしております。
 具体的な例でいきますと、下の絵でございますが、クラス未分類やクラス4のウイルスについて、左側が大臣確認が不要となるというもので、例えば、当該ウイルスの遺伝子を認定宿主ベクター系を用いてクローニングする場合ですとか、当該ウイルスに由来するタンパク質を認定宿主ベクター系などで産生する場合、そういった実験は大臣確認が不要となる。他方で右側でございますが、ウイルス自体を組み換えるような場合ですとか、あるいは、ウイルスの一部の遺伝子によって大腸菌等に病原性を付与する、仮にそういったことができるのであれば、そういったものは大臣確認を引き続き必要という形になっております。
 次のページに参りたいと思います。今回の微生物使用実験の関係の条文、今ある条文全部並べておりますけれども、一号のハ、ニ、ホの3つの条文につきましては、関係団体から御意見もなく、引き続き規制を維持する形としております。
 一番上の一号ハは宿主の実験分類がクラス3のものということで、例えば高病原性インフルエンザウイルスを組み換えるような場合は、規制が残る形となります。真ん中の一号ニにつきましては、認定宿主ベクター系を使っていない場合で、核酸供与体の実験分類がクラス3のもので、供与核酸が同定済みでないものや、同定済みであっても病原性等に関係しまして宿主の病原性が著しく高まるような場合は規制が残る形となっております。また、最後のホのところにつきましては、宿主がクラス2であっても、治療困難とするような薬剤耐性を付与する場合は現行と同じく規制が残る形となっております。
 おめくりください。次の一号ヘの改正案でございます。こちら、いわゆる自立増殖するウイルスまたはウイロイドに関してでございます。夏のヒアリングでは、すべからく大臣確認を求めるのではなくて、リスクの低いものについては大臣確認を不要とできないかといった御意見がございました。
 先生方に御議論いただいた結果、真ん中の黒のところでございますが、宿主の実験分類がクラス1や2の場合に、かつ、下の(1)と(2)の要件を満たす場合には大臣確認を不要とできないかということで、その要件といいますのは、宿主の病原性を著しく高めるものではないこと。下の例に書いてございますが、例えばですが、低病原性のインフルエンザ、これはクラス2でございますが、そのHAタンパクを高病原性のもの、高病原性はクラス3になっておりますけど、そういったようなものに置換することで、著しく病原性を高めるようなものは、引き続き大臣確認申請を出していただく。
 あと、(2)でございますが、感染症の予防もしくは治療を困難とする性質を付与しないことが科学的知見に照らして推定される。先ほどの規制を残すところ、1枚前のページで、クラス2であっても、薬剤耐性を付与するような場合には大臣確認が必要となるという規定が今もございますが、そちらと並びを取る形で、クラス1やクラス2のウイルスであっても、仮にそういった性質を付与するのであれば大臣確認を出していただくといったことを考えております。
 そういった一部例外を設けつつも、基本的にはクラス1、クラス2のウイルスにつきましては、大臣確認が不要となる方向で、一号ヘの改正案のほうを記載しております。
 最後、下の米印でございますが、クラス3のものにつきましては、こちらの規定によらず、一号ハの規定に基づきまして、引き続き大臣確認が必要になるものというふうに考えております。
 おめくりください。一号トでございます。今回ここは、関係団体からも御意見がありませんでしたので、規制を維持する形になっております。具体的には、細菌等に毒素を産生させるような実験系、こちら御意見もございませんでしたので、引き続き大臣確認を求めていくことにしたいと思っております。
 おめくりいただきまして、次のページからが省令別表第一第二号に係る改正案でございます。大量培養実験関係でございます。
 まず、二号イでございますが、二号イの規定はもともとの条文は、第一号イからトに掲げる遺伝子組換え生物等という書かれ方をしていまして、要は微生物使用実験で大臣確認を求めるものにつきましては大量培養実験においても大臣確認を求めるといったような規定になっております。
 今回、微生物使用実験とは、基本的には同じ方向で見直しをしているのですが、要件が異なってまいりますため、微生物使用実験の条文をそのまま引用するのではなくて、個々に書き直すような形でつくり直しております。その関係で、イからトではなくてハからホ及びトは文言を引用しつつ、引用していないところについては新たに条文をこちらのほうに設けるといったような工夫をしております。
 新たに設けます二号のロと二号のハにつきましては、今日の一番最初に御説明をいたしました、実験分類が未分類のもの、クラス4のものを核酸供与体として使う場合の一部について大臣確認を不要とするというものですけれども、要件が異なるのは(1)のところでございます。微生物使用実験の場合には、認定宿主ベクター系あるいはタンパク発現系という書き方をしておりましたが、大量培養実験の場合は、特定認定宿主ベクター系に限って大臣確認を不要とするという形にしております。これは、6月に関係団体からヒアリングを行った際にも、大量培養実験についてはかなり狭めた形での御要望がございましたので、それに合わせて、規制緩和のちょっと範囲を狭める形で規定をしているものでございます。
 次のページ、御確認ください。別表第一第二号ニ、こちらは自立増殖するウイルスのところでございます。自立増殖するウイルスについて大臣確認を求めるものにつきましては、微生物実験については規制緩和の要望がございましたが、大量培養実験につきましては御要望がございませんでしたので、従来の規制を維持するといったような形であったかと思います。ですので、もともと一号ヘにありました条文を二号ニのほうに新たに持ってくるという形を取っております。
 この後、二号のホ、あと、おめくりいただきまして、二号のヘ、ト、チとありますのは、もともとあったものにつきまして、規制があったものにつきまして、条ずれを起こしておりますけれども、文言の内容につきましては触らない形となっております。
 おめくりいただきまして、別表第一の三号ということで、動物使用実験の箇所になってまいります。まず、動物使用実験でございますけれども、クラス4あるいは実験分類が未分類のものにつきまして、病原性に関係しないようなタンパクであれば、そういったものを発現させるという実験が例えばあり得るのかなというところで、そういったところは並びを取って、今回規制緩和をする形としております。
 また、もともと大臣確認が必要な微生物を動物に接種する場合には大臣確認が必要という形になっておりました。微生物実験の要件が変わりましたので、大臣確認が不要となるような組換えウイルス、例えばですけれども、アデノウイルスにレポーター遺伝子を導入するようなもの、それをマウスに接種するようなものにつきましては、大臣確認は今後不要となってまいります。
 次のページを御覧ください。夏に先生方に御議論いただいたところとして、いわゆる感染受容体を付与した遺伝子組換え動物の扱いについても御議論があったかと思います。6月のヒアリングを踏まえまして御議論いただきましたが、夏に御議論いただいた際には感染受容体が付与された遺伝子組換え生物について、(1)と(2)の要件を満たす場合には大臣確認を不要とできるのではないかというところで、要件の1が、宿主が哺乳動物等である場合、もう一つの要件が、受容体に関係する病原性微生物、これは遺伝子組換え生物でないものを含む形になりますが、そういったものを接種しないこと、そういった要件を満たす場合には、大臣確認を不要とする規定ぶりとしております。
 主な事例としまして、大臣確認が不要になりますのは、感染性を付与した組換えマウスの作出・飼育、例えばですけれども、そういったものに投薬実験するとかそういったものにつきましては、大臣確認が不要となります。他方で右側、引き続き大臣確認が必要なものといたしましては、感染性を付与した組換えマウスに関係する病原性微生物を接種したりですとか、あと、哺乳動物等に限りまして今回規制緩和していますので、感染性を付与した寄生虫、哺乳動物等以外の動物を作る場合には、大臣確認が必要となるという流れになっております。
 おめくりください。最後、別表第一の四号、植物等使用実験関係でございます。こちらも、動物と並びを取りまして、実験分類がクラス4あるいは未分類の核酸供与体の一部を使って、植物にタンパク産生させるような実験、これまであまり申請も出てきておりませんが、そういったものについては大臣確認を不要とする形としております。
 こちらまでが省令の見直し方針でございますが、ここから、二種告示の見直しの方針につきまして、御説明をいたしたいと思います。
 まず、別表第二、様々な微生物等の実験分類をクラス1から4まで決めている表でございますけれども、直近の大臣確認実績等を基に、一部微生物の実験分類を見直してまいりたいと思っております。詳細はお手元の資料2-2のほう御覧いただければと思いますが、こちらにありますとおり、未分類であったもの、実験分類が未分類であったものを大臣確認の実績を基にクラスを定めていくといったようなもの。あと、ここに例がありますが、SARS coronavirusとSARS coronavirus2、同じクラス3ですので、統合して分かりやすくするといったようなこと。あと、Monkeypox virusでございますが、こちらにつきましては、昨今、厚労省さんのほうの感染症法のほうで扱いが変わっておりますので、そういった状況を踏まえて逆にクラスを上げているようなものもございます。また、Salmonella等につきましては、逆に直近の科学的な知見を踏まえまして、クラス2に落とすといった対応もしております。
 米印がございますが、今般の省令の見直しで、自立増殖するクラス2のウイルスにつきましては大臣確認不要となりますが、エムポックスを宿主としたものにつきましてはクラス3に上がりますので、一号ハの要件に該当して引き続き大臣確認が必要になるという流れを取っております。
 次のページを御確認ください。こちらが、告示の第四条というものを新たに改めることにしております。今日の冒頭の微生物実験の見直しのところで、実験分類が未分類のもの、クラス4のものにつきまして、タンパク発現系の実験については大臣確認を不要とするとしましたけれども、そのタンパク発現系を具体に定めるための条文がこちらの、新たに設けます第四条でございます。省令別表第一号のイ及びロの文部科学大臣が定める遺伝子組換え生物等は、Baculovirusが宿主である場合とするということで、将来的に増えることももしかするとあるかもしれませんが、現段階ではこれまでの委員会での実績等も踏まえまして、バキュロウイルスに限定した形としております。
 次のページを御確認ください。告示の第五条の改正案でございます。これは、微生物実験の一号ヘ、いわゆる自立増殖のウイルスに係る規定でございますが、そちらのほうは見直しをしつつ、大量培養実験のほうで規制を維持する必要があるものですから、いわゆる条ずれのような形を起こしております。大量培養実験におきまして自立増殖するウイルスを扱う場合には引き続き規制が残る。ただし、バキュロウイルスですとか植物ウイルス、ここは従前どおり大臣確認が不要だということで、そういった現行の状況を維持するために条文を見直しするものでございます。
 以上につきまして、御説明をさせていただきました。
【三浦主査】  ありがとうございます。それでは、ただいまの説明に関しまして、御質問や御意見等ございましたらお願いいたします。
 よろしいでしょうか。我々、議論してきたところは未分類クラス4の微生物の取扱いと自立増殖あるいは感染受容体を持った動物というふうなところだったんですけども、その変更に伴いまして、様々な条文にも影響を与えるということで、網羅的に改正がされているというふうになります。
 御意見、御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、資料2-2につきまして、御説明をお願いいたします。
【木村安全対策官】  資料2-2に基づきまして、先ほどと説明が一部重複しますが、御説明をさせていただきます。こちらのペーパーは、先ほどのスライドの資料の後半で御説明しました告示の見直しに関連した御説明でございます。
 1の(1)でございますが、こちら、先ほど御説明しました告示における実験分類の見直しに係る説明ですので、割愛をさせていただきます。
 次、1の(2)、認定宿主ベクター系の見直しについて一部委員から御意見がございました。今回、省令の見直しに合わせまして、認定宿主ベクター系だけではなくていわゆるタンパク発現系を大臣確認不要にできないかといったような御議論がございました。私ども、条文整理している過程で先生方からいただいた御意見として、この機に認定宿主ベクター系につきましても付け加えていくようなことができないかといったようなお話がございました。ちょっと今回、それをやろうとした場合に、現段階でまだ何もヒアリング等もしておらず、情報がございませんので、こちらにつきましては、次回以降の改正に向けまして、組換え委員会等を通じて情報収集等を行ってまいりたいと思っております。
 次に、2番でございます。HIVの取扱いでございます。今回の省令見直しに向けまして、6月に関係団体からヒアリングを行った際に、HIVの実験分類の見直しができないかといったような御意見がございました。現状、HIVは、HIV-1の増殖力等欠損株に限りましてクラス2、それ以外はクラス3として位置づけられております。今回、そういった実験分類の見直しができないかというお話をいただきましたので、そういった御意見のあった日本製薬工業協会様に、何でそういった御意見をいただいたんですかということでちょっと深掘りして事務方のほうでお聞きしたところ、問題意識として、上から3番目のポツでございますが、いわゆるベクターとして利用されているHIV-1について、上にあります①、②、③の増殖力等欠損株の要件が、最新の科学的知見ですとか利用実態を踏まえたものなのかというところに関しまして少し疑問を感じられているということでございました。
 このため、文科省といたしましては、HIV-1の増殖力欠損株に限りクラス2という位置づけにするというところは残しつつ、この要件のところが実態に即した形なのかというのを、少し検討の作業を進めてまいりたいと思っております。
 この要件の見直しの検討につきましては、本件に係る専門的な知見をお持ちの一部委員、金井先生、竹内先生、竹田先生、野間口先生、三浦先生、また、外部の方からも意見を聞きながら検討を進めてまいりまして、その検討結果を次の委員会において報告する、そういったことを考えております。
 いかがでございましょうか、御審議のほどよろしくお願いいたします。
【三浦主査】  ただいまの御説明に対して、御質問、御意見等ございますでしょうか。まだ進行中で、今後、こうした議論があって、その議論の結果が次の委員会で報告されるというふうな段取りになっております。よろしいでしょうか。
 それでは、次の議題をお願いいたします。
【木村安全対策官】  では今後の予定につきまして、資料4に基づきまして御説明いたします。
 今し方御説明してまいりました二種省令、二種告示につきましては、資料4にございますとおり、この後、パブリックコメントを年内に開始をしたいと思っております。その結果につきましては、本委員会、1月に開催予定のもので御報告するなど、施行に向けまして所要の手続を行ってまいりたいというふうに考えております。
【三浦主査】  このことについて何か御質問、御意見等ございますでしょうか。進め方というふうなことですけれども、よろしいでしょうか。
【山本専門職】  本日、議題(1)につきましては、YouTubeライブ配信にて公開させていただきましたが、後日、公開する議事録が公式の記録となります。本日の議事録につきましては、事務局にて案を作成後、委員の皆様にお諮りした後に当省のホームページで公開させていただきます。
【三浦主査】  それでは、議題の(1)はこれにて終了し、次に、通常の議題(2)になります。研究計画の審議を行うこととなりますので、非公開といたします。

議題2について

遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第13条第1項の規定に基づいて、あらかじめ主務大臣の確認を受けるべき拡散防止措置の内容等について検討が行われた。

お問合せ先

研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室