遺伝子組換え技術等専門委員会(第150回)議事録

1.日時

令和6年3月21日(木曜日) 14時00分~17時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 遺伝子組換え研究の規制の見直しについて
  2. 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第 13 条第 1 項の規定に基づく第二種使用等拡散防止措置の確認申請について
  3. その他

4.配付資料

5.出席者

委員

三浦主査、大岡委員、金井委員、川岸委員、木村委員、西藤委員、清水委員、高屋委員、竹内委員、竹田委員、芳賀委員

文部科学省

畑山安全対策官、市原室長補佐、他

6.議事録

議題1について

生命倫理・安全部会からの付託に基づいて、遺伝子組換え研究の規制の見直しの検討の進め方やパンデミック時の大臣確認の適用除外規定の検討に係る論点について検討が行われた。

【三浦主査】  それでは、議題1「遺伝子組換え研究の規制の見直しについて」に入ります。事務局より御説明をお願いします。
【畑山安全対策官】  文部科学省生命倫理・安全対策室安全対策官の畑山でございます。よろしくお願いします。私のほうから資料の説明をさせていただきます。資料を共有いたします。
 先日3月14日に開催いたしました生命倫理・安全部会において、遺伝子組換え研究の拡散防止措置に係る大臣確認制度の見直しについて、検討が了承されました。こちらは本専門委員会において具体的な検討をすることと付託されましたので、紹介させていただきます。簡単に説明させていただきます。
 まず、背景と目的でございます。遺伝子組換え生物等を扱う研究につきましては、カルタヘナ法におきまして国が定める基準にのっとって、当該生物が一般環境へ漏出するのを防止するための措置、いわゆる拡散防止措置を執ることが義務づけられております。特に、病原性や感染力が高く、環境流出した際のリスクが高いウイルス、リスク評価が定まっていないウイルス、これらを扱う場合には、研究機関が検討した拡散防止措置を設定した研究計画について、主務大臣の確認を受けることが義務づけられています。研究開発分野におきましては文部科学大臣が確認をするということで、当委員会において審査をしていただいているところでございます。
 また、新型コロナウイルスによるパンデミックの経験とここには書かせていただいていますけれども、当委員会の委員の方々も、当時新型コロナウイルスに係る研究計画が殺到したことによって混乱したということ、まだ御記憶にあろうかと思います。今般、また再度パンデミックが発生した際には、より迅速にワクチンや医薬品の開発を行うためには、大臣確認制度を見直す必要があるのではないかといったことが研究者の方々からも指摘されているところでございます。また、この法律自体が施行されて、この4月1日でちょうど20年経過することになります。この間、実際に遺伝子組換え技術を応用した製品も一般に活用されているということもあり、社会情勢が変化していると言えるかと思います。
 一方、研究が数多く行われてきたということで、科学的知見の集積も進んできたと考えています。特に我々が行っております閉鎖系での研究開発、いわゆる第二種使用において、確認した実績では、研究を行う際に取られている拡散防止措置そのものは、研究機関で適切に判断をし、実行されているというふうに考えることができるかと思います。
 これらの背景を踏まえまして、大臣確認制度が、法の目的・趣旨を踏まえたリスク管理を継続する、これを大前提にいたしまして、より適正かつ合理的な範囲で行われるように、また、パンデミック対策として、ワクチン、医薬品の開発を必要以上に抑制するものとならないように、海外の状況も踏まえまして、大臣確認を必要とする研究の範囲の検討、それからパンデミックに対応する規定の整備などの必要な制度改正を検討することとしております。
 続けて、この検討においては、先ほど御説明したとおり、本専門委員会において検討することと承認いただきました。実際検討いただく事項としては2点考えております。
 1点目は、パンデミックを引き起こしたウイルス、これのワクチンですとか医薬品の開発を目的とする場合に、研究開発を加速化するために、政府がパンデミックの対応を開始した際に、この研究につきまして、遺伝子組換えにより病原性を増す、こういったことがなく、相当の拡散防止措置を取っている場合には、研究計画の大臣の確認を省略する、こういったことを考えております。具体的には、後ほど説明いたしますけれども、法の施行規則におきまして主務大臣の確認の適用除外が定められておりますが、16条の1号「人の生命若しくは身体の保護のための措置又は非常災害に対する応急の措置として、緊急に遺伝子組換え生物等の第二種使用等をする必要がある場合として主務大臣が別に定める場合」という規定がございます。これまで実際に、この規定を使用したことはないんですけれども、今回、この規定に基づく告示を、文部科学大臣、それから環境大臣の両名で策定いたしまして、この規定をパンデミック時に発動するということにしたいと考えております。実際には、その告示のための検討を行うということになろうかと思います。
 もう1点でございますが、現在の科学的知見、それからこれまでの大臣確認の運用実績に照らしまして、研究機関の判断で研究を開始しても問題がない研究というものを整理していただきまして、最終的には研究二種省令に定める別表になりますけれども、大臣確認の範囲を狭めるような検討をしていただきたいというふうに考えております。文部科学省におきましては、当専門委員会において検討を行うこととしておりますけれども、環境省において別途、中央環境審議会の自然環境部会野生生物小委員会において検討いただくこととしております。
 次に、研究の制度等の説明を部会ではしたんですけれども、本委員会におきましては、制度面につきましては委員重々御承知だと思いますので、説明を省略させていただきます。ただ、このプレゼン資料におきまして、これまでの大臣確認の実績についても併せて説明しておりますが、これは専門委員会におきましてもほとんどお示ししたことがない情報だと思いますので、こちらについて説明させていただきたいと思います。
 まず、大臣確認制度の実績でございます。こちらは各年の実際の件数を上げさせていただいております。法律施行以降、申請件数は増加傾向にあるということが言えるかと思います。令和2年度におきましては、新型コロナの発生により、特に増加しております。一方、大臣確認の実績が集まってくることによって、いわゆるFT案件の割合も増えてきているかと思います。当初は10%台だったんですけれども、3年後から大体50、60といった具合で、最近ですと8割、9割がFT案件になっております。この間、記録が残っている限りでございますが、大臣確認を行う過程で研究機関が設定した拡散防止措置の変更を求めたケースというのは、ほぼないというふうに考えております。
 次に、どういった要件によって大臣確認の対象になったかということです。一のヘと三のイが割合としては多うございまして、自立増殖可能なウイルスですとか、大臣確認申請が必要な微生物を動物に接種する実験、いわゆる感染実験が多うございました。ただ、令和2年度ですけれども、この年は一のイ、いわゆるクラス未分類の組換え微生物に当たる件数が非常に多うございました。これは新型コロナウイルスにつきまして、当初はクラス未分類として扱ったということで、結果的に一のイが令和2年度は多かったということになります。
 次に、実際に新型コロナの関係の研究計画でどういったことが多かったかということでございます。まず、大腸菌を使ったクローニングですとか組換えたんぱく質の作製、これが多うございました。また、ウイルスベクターワクチンを作るという研究もありました。少数ではありますけれども、ウイルスそのものを組換えすると、こういった研究も行われていたということでございます。
 ここまでが大臣確認制度の運用でございますが、次に、不適切な使用等の事例につきまして紹介させていただきます。全般的に、手続上の不備ですとか管理上の不手際、こういったものが多かったということではございます。具体的に説明させていただきますと、大臣確認の対象になっているはずの研究が、それを行わないでやってしまっていたということですとか、また、不活化が適切に行われていなかった。具体的には、土と混ざった状態で組み換えた植物の種が入っているようなものをオートクレーブしたんですけれども、中心温度が上がっていなかったか、不活化まで至らず域外に出してしまったといった事例ですとか、あと、実際に組換えの実験を行った液そのものについてはちゃんと不活化したんだけれども、容器について不活化せずに洗ってしまったですとか、そういったことが報告されております。また、組換えマウスの管理が適切に行われておらず、ごみ袋の中から発見された、床敷きと一緒に捨ててしまったのかもしれないですけども、そういったケースもございました。
 こういった、ケアレスミスと申していいのかどうかはちょっとあれですけれども、そういったことが多うございまして、実際拡散防止措置の設定に問題があって、何か不適切な事案が発生した、こういった記録は残っておりませんでした。
 また、参考までに海外の制度ということで、アメリカとEUの制度を紹介させていただいております。皆さん御存じのとおり、アメリカに関しましては、そもそも条約自体、批准していないということもあって、組換え技術に特化した規制はございません。ただ、NIHがファンディングしている研究につきましてはNIHのガイドラインを守るようにということで、実質上それで手当てしているということでございます。ほとんどはいわゆる機関内審査で終了ですけれども、一部、薬剤耐性を付与する研究ですとか、あとは毒性たんぱくを作らせるような研究、これについてはNIHの承認を必要とするということになっているようでございます。
 続いてEUですけれども、EUは共通の措置ということで、EU指令を出しておりますけれども、具体的な細かいことについては各加盟国に任されているようでございます。ただ、大まかな考えは当然一緒でございまして、EUの特色としては施設認定、施設登録というものをしているようでございます。使用開始前に当該施設に係る情報を当局に登録するということです。
 研究の実施に当たりましては、レベルに応じて取るべき行動というのが異なっておりまして、封じ込めレベルが1の場合ですと、研究機関でできると。2の場合においてもほぼできるんですけれども、リスク評価結果について届出が必要、3、4になると事前に許可が必要ということでございますが、このレベルの考え方は日本と違いまして、日本ですと、ほぼ省令に細かく、レベルの設定の仕方、クラスも告示で指定していますし、自動的にできるような形になっているんですけれども、EUの場合は、そこまで細かい詳細なことは決められていないようでございます。ただ、EUでも、いわゆる大腸菌を使用して行うクローニングですとか、たんぱく質の増幅、そういったことについては低いレベルに設定されていて、機関独自にできると、こういった形になっているようでございます。
 資料1と2を説明させていただきました。まずここまでで御質問等ありましたら、よろしくお願いいたします。
【三浦主査】  皆様から、ただいまの御説明に関して御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、ないようですので、資料1-1に基づきまして、本委員会において検討を進めてまいりたいと思います。続きまして資料1-3についても御説明をお願いして、その後に検討するというふうになるかと思います。
 それでは、1-3のほうをお願いします。
【畑山安全対策官】  資料1-3では、検討の進め方について提案させていただきたいと思います。
 まず、当専門委員会ですけれども、これまで2か月に1回程度開催させていただいておりますが、大臣確認申請の案件の審査をやっていただいております。この制度改正の検討につきましては、今回のように公開して行うということもございますし、また内容に応じて、ボリュームが結構膨らむ場合もあろうかと思います。ですので、いわゆる定例の審査といいますか、その日と同じ日に行うかどうかというのは、今後中身をどういうふうに詰めるかということを別途こちらのほうで整理させていただいて、またその時々に応じて御案内させていただくということにさせていただきたいと思います。
 ただ、議論の進め方について、ここで提案させていただいておりますけれども、まず今回が、制度改正の点で第1回ということになりますが、今御説明させていただいたとおり、制度の概要と実績を共有するということと、あと、これから説明させていただきますけれども、パンデミック告示の策定に必要な事項、こちらについて検討いただきたいと考えております。
 先ほどちょっと説明しそびれましたけれども、このパンデミック告示につきましては、どちらかというと、サイエンスの視点云々というよりは、政府の中での制度論の話がメインになろうかと考えています。ですので、この場、委員会では、サイエンスもしくは現場の視点から御検討いただきまして、そのコメントを受けまして、あと我々のほうで政府部内、感染症対策を行っている部局、それからカルタヘナ法のほかの所管省庁と調整、検討させていただきたいと考えております。ですので、第2回以降に、主に大臣確認の範囲、こちらをどうするかということについて御議論いただくことにしておりますけれども、パンデミック告示につきましては、この第1回でコメントいただくという形にさせていただきたいと考えております。
 続いて第2回、次回ですけれども、こちらはまず初めに、議論の前提となる情報につきまして、改めて学会ですとか業界ですとか、そういった関係者の方々からヒアリングを行うということを考えております。具体的な人選等は今後していくということになろうかと思いますけれども、こういう人たちに話を聞いたほうがいいということがございましたら、この場でコメントいただけると大変助かります。よろしくお願いします。
 それを踏まえて第3回以降、何回で終わるかというのは進み方次第ですけれども、論点を整理して、実際に内容の検討をいただくということ。それからその後、取りまとめに向けた検討を行うという段取りで考えております。
 資料の説明は以上でございます。
【三浦主査】  ありがとうございます。それでは、ただいまの説明に関して御質問や御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 カルタヘナ法が制定されてから約20年経過するわけですけども、研究者にとっては比較的大きい改正というふうになるかと思います。この場で次の議題としてあるのがパンデミック告示です。その方法については後で御説明ありますけども、2つ目の大臣確認に関わる検討、それについては今後、ここでありますように第2回目で関係者のヒアリングを予定しておりますので、そうした関係者、ヒアリングの候補者がございましたら、この場でもよろしいですし、あるいは後で持ち帰って、我々のほうから、こういう方いませんかというふうなことをお願いする可能性もありますので、そのときに候補者の方を推薦していただければと思います。
 ここまでの全体の説明に関して、何か御意見、コメントございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは続きまして、パンデミック告示の策定に必要な事項についての検討を行います。資料1-4について御説明をお願いします。
【畑山安全対策官】  では、資料1-4になりますけれども、こちらの説明をさせていただきます。
 先ほど説明させていただきましたとおり、主務大臣の確認の適用除外といたしまして、施行規則第16条第1号に「人の生命若しくは身体の保護のための措置又は非常災害に対する応急の措置として、緊急に遺伝子組換え生物等の第二種使用等をする必要がある場合として主務大臣が別に定める場合」と規定されております。こちら文部科学大臣と環境大臣の告示で手当てすることができるということで、次回パンデミックが起きた際に大臣確認の適用除外ができるように、告示を考えていきたいと思います。
 我々のほうで、特に検討いただきたい事項について、こちらに列記させていただいております。これ以外にもコメントあるかと思いますけれども、よろしくお願いします。
 どういうことかといいますと、要は、パンデミックが起きた際に大臣確認をしなくてもいいようにということは、そのままの考え方ではあるんですけれども、この際に一定の要件をはめないと、後で問題になるような事案が発生しても困るということで、そういうことがないようにということを担保するには、どういう規定、要件づけをしたほうがいいかということでございます。
 1つ目、原則の考え方でございますけれども、この規定が発動するといいますか、大臣確認を必要としない場合という状態は、政府がパンデミック状態になったということを示したということをトリガーにしたいと考えております。つまり、改めて文部科学大臣が告示をするですとか、そういった行為をしようとしている間に、どんどん物事が進んでしまうといいますか、パンデミックが悪化するということが想定されますので、そういったことを国としてアクション取らずとも、自動的に、パンデミックになったというアクションを取った場合に有効になるような規定にしたいと考えています。そういう考えでよろしいかどうかということでございます。
 2つ目ですけれども、どういった研究を行うか。何でもかんでも大臣確認をなくすというわけではなくて、対象を、より毒性、感染性が増すような研究に対しては適用しないというようなことが適当ではないかと考えています。それは研究者もしくは研究機関において判断できることだと思いますので、制度上、そういった一定の歯止めが必要なのではないかと考えているということでございます。
 3つ目ですけれども、機関内審査、機関内安全委員会、名前はいろいろかと思いますけれども、そういった機関内承認といった手続を要件化してはいかがかということでございます。今現在の法の運用で申し上げますと、安全委員会による承認というのは、実は法律上は義務にはなっていない。基本的事項において推奨しているということでございますが、大臣確認を行う場合にあっては、機関内安全委員会による承認を行ってくださいということは、手続の手引上は明記をしている、こういった状況ですけれども、パンデミックの際の大臣確認を除外する際には、そういった機関内安全委員会による承認ですとか、研究機関の長による承認、ゴーサインが必要であると。つまり、研究機関で背負うんだということにさせていただきたいというふうに考えております。
 4つ目でございます。大臣確認をいただく際には、どちらでどのような研究を行っているのかということ、大臣確認の行為でこちらお知らせいただくというふうになっておりますけれども、こういった手続自体はなくしても、事前でも事後でもいいんですけれども、国のほうに何も情報を渡さずに自由にさせていていいかどうかということを考えますと、簡単な内容で構わないかとは思うんですが、何かしら報告いただく必要があるのではないかと考えております。
 最後、任意の大臣確認は必要ないかというふうに書かせていただいております。こちらはどういった趣旨かといいますと、安全委員会等での審査がきちんと行われないといいますか、そういった機関自体の体制が不十分なところもあろうかと思いますが、そういう場合は任意の大臣確認という制度があってもよろしいのではないかと考えた次第でございます。ただ一方、法制度上のことを考えますと、もともと大臣確認を適用除外する規定に任意の大臣確認ということを書いてもいいのかどうかということが、法制度上ちょっと難しい面もございますので、こういった規定を置く必要がないかということを、より現場の視点で皆さんの御意見をお伺いしたいと考えております。
 資料の説明は以上でございます。
【三浦主査】  それでは、ただいまの説明に関して御質問、御意見等ございますでしょうか。ここで5つ論点を示していただいているんですけども、これについて、1番から5番ありますけども、御意見等はございますでしょうか。
 竹田先生。
【竹田委員】  ありがとうございます。これから議論を進めていくことになると思いますが、1つ目のパンデミック状態になったときに発動というのは、恐らくWHOがパンデミックになったかどうか判断することになると思うので、それを受けてということになると思うのですが、実際パンデミックにまで至らないケースは結構たくさんあると思っていて、SARSの1型というか、2003年のSARSもパンデミックということにはなっていなかったと思うし、韓国で大流行の起こったMERSもパンデミックということにはなっていないので、それでもじわじわと世界に、一部の地域で広がった感染症に対しては、今回の新型コロナウイルス、SARS2の経験を踏まえると、どこかの段階で一斉に研究開発が進められると思うので、そうすると結局、パンデミックになったらということになっていると、混乱はちっとも解消されないのかなと思っているので、今後、パンデミックになったらということでいいのか、もうちょっと前倒しにできるような何か対応ができるのかということを、ぜひ考えられたらと思っています。
 以上です。
【三浦主査】  ありがとうございます。これに関連して御意見、御質問はございますでしょうか。
 竹田先生おっしゃるとおりで、パンデミックって結構、臨床現場というか、患者さんが出てきてパンデミック宣言されるというふうな印象があるんですけども、多分その前の段階で研究者は研究に着手して、それでそれを何とかしようというふうな行動が出るわけです。なので、先生がおっしゃるとおり、出た後にやるのではなくて、その前から研究を開始するような、そういうトリガーがあってもいいのかなというふうには確かに感じました。
 西藤先生。
【西藤委員】  西藤です。ありがとうございます。私も今の竹田先生あるいは三浦先生の御意見に同感です。特に今回新型コロナウイルスのときには、WHOは、いつになったらパンデミック宣言するんだという状態が、長引いて、実際の宣言が3月になってしまったというような経緯もあったというふうに記憶しているので、実際にもうかなり広がり始めたという時点と、WHOがパンデミック宣言をするのと、またさらにそれを受けて国内がパンデミックに対応するという状況になるのにはタイムラグが存在して、世界レベルで病気としてのパンデミックを決めるのと、対策としてもう動き始めなければいけないというタイミングには、タイムラグが存在すると思います。
 現実には、では誰が研究として始めて良いというゴーサインを出すか、誰がそのタイミングを検討するかという難しい問題はあると思うんですが、パンデミックになってからというか、宣言が出たからこれからいいですよとすると、ちょっと時期を逸してしまうようなことになるのは懸念される事項かなと思いますので、その辺議論していく必要があるのではないかなと思っています。
【三浦主査】  ありがとうございます。ほかの先生方で、この1番のパンデミック状態になったときに自動的に発動するというふうなことについて、御意見、御質問、コメントございますでしょうか。
【畑山安全対策官】  では、私のほうから。
 ありがとうございます。おっしゃるとおり、パンデミックということの前に実際研究をスタートするということは、私も承知しております。ここでちょっと難しいのが、やはり法律上の手続を排するといいますか、除外するということでございますので、告示として出す場合に、何かしらの法令的なイベントと申しますか、そういったものが適切ではないかというふうに考えていまして、そういう意味では、本来ですと、日本の中の感染症対策において、どういうタイミングを捉えてこれを発動させるかということになろうかと考えております。具体的なそのトリガーをどうするかということについては、感染症対策を行っております厚生労働省ですとか感染症危機管理統括庁、こちらのほうとも連携してここは詰めていくということにしておりますので、研究を進めるに当たって何が一番いいかということについては政府の中でも詰めていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
【三浦主査】  竹田先生、どうぞ。
【竹田委員】  ありがとうございます。そこがすごく難しいというのは、私もよく理解できます。パンデミック、流行の初期に審査に回っている案件は、恐らく組換えウイルスを作るということよりも、研究者の視点からすると著しく安全な研究、例えばウイルスのたんぱく質を発現させる、ワクチン開発にとってかなり重要ですけど、科学的にはもう非常に安全と思われるものも、未分類の病原体であるということで全部大臣確認になってしまうので、そこだけでも解消されるような方策が取れたら、かなり状況はよくなるのかなと思います。
【三浦主査】  ありがとうございます。
【畑山安全対策官】  ありがとうございます。今、竹田先生おっしゃっていただいたことが非常に重要だと思っていまして、2番の大臣確認の範囲をどうするか、その議論によっては、今、先生がおっしゃられた大腸菌でクローニングするですとか、そういったことをそもそも大臣確認の対象から外すということになれば、そこについてはクリアできるというふうに考えています。
【三浦主査】  2番のところとも関係してくるんですけども、やはり検査目的でたんぱく質作らせるとか、重要なものができないというところもかなり大きなネックだったとは思いますので、本来の規則改正等でそこはクリアするという手もありますし、あとはこの中でそうしたこともちゃんと明記するとか、そうした検討をしていただくというのもあるかというふうには思います。
 ほかの先生方、何か御意見、コメントございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 今、1番の項目について御意見いただきましたので、では次、2番のことで、何かコメント、御意見ある先生、挙手をお願いいたします。
【金井委員】  ありがとうございます。金井でございます。
 まず、先ほどの竹田先生のお話、私も非常に重要な点だと思いますし、賛同させていただきます。その点が1点です。
 あと今回、実際の申請で大臣承認の対象となる理由の内訳で一番多かったのが、一のヘの自立増殖可能な組換えウイルス・ウイロイドであったというところがございます。ですので、やはり内容を精査する必要があるということが1点と、通常このような申請を出される研究機関というのは、BSLレベル3の施設をお持ちの、十分な経験と知識をお持ちの施設であるということは承知しておりますし、想定していますけれども、一方、初見でありますというか、そのような知識であるとか実験の経歴があまりないような施設も全て一律にするというところも問題になるのかなと思いますので、4番にも関連いたしますが、やはりある程度のフォローアップが必要ではないかなというふうに考える次第です。
 以上です。
【三浦主査】  2番について、ほかに何か御意見等ございますでしょうか。危険性の少ない、これまでであれば大臣確認を要するような、そうした研究については、大臣確認を要しないで研究ができるという環境が整えば、それはまさしくうれしいわけなんですけども、そうしたことも検討していくし、あるいはリスクが高いというふうになっています自己増殖性を持ったウイルスを作るというふうなところをどうするか、そこを重点的に行うかとか、そうした検討もしていただければと思います。
 ほかよろしいでしょうか。
 それでは、3番のところです。執るべき拡散防止措置の機関内安全委員会による承認を要件化するべきかという点ですけども、これについて何か御質問、御意見等ございますでしょうか。
 これについては、大学であろうが民間企業であろうが、必ず我々、遺伝子組換え生物を作り出す、使用するといった場合には機関内の安全委員会の承認を必要としているわけですけども、そうした手続というのをすっ飛ばして、例えば機関の長の許可だけで行うことでよいかというふうな、そうした選択肢もつくるかということになるかと思いますけども、それはなくして、やはり安全委員会で承認を必要とすることは要件化しておいてよろしいんじゃないかというふうには思いますけども、これについて何か、反対する意見の方とかいらっしゃいますでしょうか。
 新型コロナのときには、人を対象とした研究のときには、こうした安全委員会の審査なくして、機関の長の許可で行うというふうな要件がついていましたけども、組換え実験については必ず機関内の安全委員会の承認を要する、要件化するというふうなことでよいかと思いますけども、皆さんよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 次、4番の当該研究の実施を報告させるかどうかです。事前あるいは事後に、大臣確認に該当するような研究なんだけども、これをやっていますとか、どういう形になるか分かりませんが、大臣確認と同様に、それを文科省に報告させると。届出となるのか、報告というふうになるのか分かりませんけども、そうするというふうになるかと思いますけども、これについて何か御意見、御質問ございますでしょうか。
 西藤先生、お願いします。
【西藤委員】  先ほど御説明の中で、事前に、簡単でもいいんですがとあったんですが、ただ現実問題として、やはり何らかの報告を書くとなると、実験担当者が文科省に直接報告するわけではなくて、その機関から外部に対する書類を出す手続等が出てきますので、始める前にやるとなると、その事務手続の期間がどうしても、タイムラグを生じさせる原因になってしまうのではないのかと懸念します。どんなに簡単な書類でも、外部に出すとなると、いわゆる機関内手続、学内手続になってしまうので、全くフリーパスでやらせてしまうことに対する抵抗があるというのは重々理解できるんですが、やはりあまりそういうものを、せっかくそういうことが何らかのきっかけがあればできるというふうにするときに、事前に報告をというのは、しっくりこないのかなという気がします。
 一方、事後となると、いつをもって事後とするのかなというのもまた難しいので、そういった事務手続としてどれぐらいの報告とするのか、、もう始めるよという段階で書類を作れば、それが実際に文科省の手に届く前に実験を始めていてもいいのかというところも含めて考えていかないと、やっぱり事前に報告するとなると、結局は書類作らなければいけないんじゃないのというような現場の意見が聞こえてくるような気がしています。
【三浦主査】  ありがとうございます。ほかよろしいでしょうか。
 清水先生、お願いします。
【清水委員】  清水でございます。ちょっと分野が異なってしまうんですけれども、私ども植物検疫に関係する微生物を扱うことがありまして、そのときにつきましては、やっぱり実験が終了した後に、どのように菌株を処分したかとか、そういうところまで報告するようなことをさせていただいております。今回の件に関しましては、なかなか難しいところもあると思うんですけれども、こういうところも御検討されたらよろしいのではないかと思いました。
 以上でございます。
【三浦主査】  ありがとうございます。
 竹内先生、お願いします。
【竹内委員】  竹内ですけれども、少し4番と1番と関係するような形なんですけれども、今回のパンデミック告示もあくまで一時的なものなので、発動された後で、どこかで解消になるとは思うんです。報告に関しては、例えばパンデミック告示が解消される、取り下げられた後でまとめて出してもらうとか、そういうような形でもありなのかなとは思いました。
 以上です。
【三浦主査】  ありがとうございます。ほかは御意見等ございますでしょうか。
 佐藤先生、お願いします。
【佐藤学術調査官】  学術調査官をしております佐藤です。ありがとうございます。
 竹内先生の意見とも重なるんですけれども、やっぱり終わった後の移行手続などを踏まえると、どこかで報告していただいて、正規のルートにまた戻すという処置が必要なのかなというふうには感じました。報告はあったほうがいいと思います。
 以上です。
【三浦主査】  ありがとうございます。ほかコメント、よろしいでしょうか。
 今の先生方の御意見をまとめますと、まずは機関内委員会で審査するというのは必須であると。その後に、スタートしてから、どのタイミングか、そこは今後の検討かと思いますけども、何かしらの報告をして、従来の方法に戻していくというふうな、そうした意見かと思います、集約しますと。
 これについて何かほかに御意見、コメントございますでしょうか。
 川岸先生、お願いします。
【川岸委員】  川岸です。機関内の安全委員会で承認を受けることとなっておりますので、その書類をもって機関で承認されたということを報告すればよいのではないかと思います。わざわざ別に書類を作って、承認されるまで待たないといけないというと、また時間がかかりますが、所内承認を受けたということを報告すれば、研究開始のタイムラグが生じるということについては、ちょっと心配が解消されるであろうと思います。事後の報告についてはまた、先ほど来先生方がおっしゃっているように、ある程度のタイミングで報告すればよいのかなというふうに思っております。
 以上です。
【三浦主査】  ありがとうございます。ほかに先生方から何か御意見、コメントございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは最後の、任意の大臣確認は必要ないかというところです。希望すれば大臣確認、従来どおりのことをすると、時間かかってもいいのでやりますというふうな、そうしたことかと思いますけども、これについて何か御意見、御質問ございますでしょうか。
【金井委員】  先生、よろしいでしょうか。
【三浦主査】  金井先生、どうぞ。
【金井委員】  ありがとうございます。先ほどの川岸先生の御意見、非常にもっともで、私も賛同するところでございます。機関内安全委員会による承認が報告されているということと、先ほどお話あったように、しかるべき時期にはパンデミック状態というのは解消されますので、その後、継続して研究される方々もやはりいらっしゃると思いますので、継続する場合にのみ任意の大臣確認等々については検討いただくというのはいかがでしょうか。
【三浦主査】  ありがとうございます。任意の大臣確認、これは行政負担が増えると、御承知のとおり、かなりしっちゃかめっちゃかになった状態で様々なことが進んでいったということがありますので、そうした中で行政負担が増えるというのは、かなり重荷になってくる、研究を遂行する上でも重荷になってくるというふうなことがあります。ですので、ここはちょっと、任意の大臣確認が必要かということについては、僕は個人的には必要ないと思いますけども、後で従来の方法に戻すというふうなことでよいかと。
 また、従来の大臣確認に戻したとしても、新型コロナのときのように、未分類であったものが分類が決定すると、組換え大腸菌使ったものでも、大臣確認ではなくて、機関承認でオーケーになると、そうしたケースもいろいろ出てくるかと思いますので、そうした推移も想定しながら、こうしたパンデミック告示を検討してもらえればと思います。
 ほかに先生方から全体的に、1から5までの中で、追加で何かコメント、御意見ございますでしょうか。
 竹田先生、お願いします。
【竹田委員】  任意の大臣確認についてですけど、私もこれは、少なくとも安易に任意のものをお願いできない状態か、もしくはそもそもないということのほうがいいと思います。というのは、実際に何か起こったときに、大学や研究機関も大変になると、もう専門委員会に任せてしまおうというような動きになってしまうと、結局そういう動きに、要するに任意の大臣確認にお願いしようというような動きばかりが出てきてしまうと、何の解決にもならないので、基本的にはそういうものがないか、かなりそこはハードルを高く置いておく必要があると思います。何らかの理由で、機関内の安全委員会が、それに相応するものがないとか、何かそういう特別な事情だけの場合は任意のものが使えるということのほうがいいと思います。
【三浦主査】  ありがとうございます。何かハードルを高くすると、そのとおりかと思います。
 ほか皆さん、1から5で全体的に御意見、コメントございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、制度的なところなので、我々は今、コメント、意見を聴取して、できるものを反映させていただく。文科省だけで決められることではなくて、多分全体として決まっていくことかと思いますので、その中で、今回ここであった意見、論点に対する意見を踏まえて検討していただければと思います。よろしくお願いします。
 それでは、事務局にお戻しします。
【市原室長補佐】  御審議いただきありがとうございます。本日の議題1につきましては、YouTubeによるライブ配信にて公開させていただきましたが、後日公開いたします議事録が公式な記録となります。本日の議事録につきましては、事務局にて案を作成後、委員の皆様にお諮りした後に、当省のホームページにて公開させていただきます。
 事務局からは以上です。
【三浦主査】  それでは、議題1はこれにて終了となります。議題2以降については、研究計画の審議に伴うものですので、非公開といたします。

議題2について

遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第13条第1項の規定に基づいて、あらかじめ主務大臣の確認を受けるべき拡散防止措置の内容等について検討が行われた。

お問合せ先

研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室