令和7年6月30日(月曜日) 13時00分~15時00分
文部科学省(オンライン開催)
八代主査、尾畑主査代理、片野委員、小板橋委員、後藤委員、小林委員、長嶋委員、中村委員、藤田委員、山田委員
阿久津参考人(国立成育医療センター研究所再生医療センター長)
柳田参考人(東京大学大学院農学生命科学研究科助教)
木村安全対策官、橋本室長補佐、宮島専門職、中村係員
厚生労働省医政局研究開発政策課再生医療等研究推進室 伯井専門官
厚生労働省医薬局医療機器審査管理課 渋井係長
【八代主査】 定刻となりましたので、ただいまから、第127回特定胚等研究専門委員会を開催いたします。
委員の先生方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りまして、ありがとうございます。
議事に先立ちまして、事務局から、委員の出欠状況と配付資料の確認をお願いいたします。
【橋本室長補佐】 事務局でございます。初めに、本日の会議の構成員の出欠状況を御報告いたします。本日は、10名の委員の皆様に御出席いただいており、定足数を満たしております。秋元委員におかれましては御欠席、尾畑委員におかれましては、14時半頃、途中退出予定となってございます。
また、本日ですけれども、国立成育医療研究センター研究所の阿久津先生と、東京大学大学院農学生命科学研究科の柳田先生にも、参考人として御出席いただいております。
なお、本日の会議はオンラインを併用して開催しており、会議の模様をYouTubeによるライブ配信で公開させていただいておりますことを御承知おきください。
次に、配付資料の確認をさせていただきます。オンラインにて御出席の委員の皆様は、事前にお送りしたPDFファイルにて資料を御確認ください。配付資料は、議事次第に記載しておりますとおり、資料として5点、参考資料として5点でございます。御不明な点等ございましたら、事務局までお知らせください。
また、会議の進行に当たってのお願いとなりますけれども、オンラインにて御出席の委員の皆様におかれましては、御発言時以外はマイクをオフにしていただき、御発言の際は、挙手ボタンを押していただき、主査の指名の後に御発言をお願いいたします。
事務局からは、以上でございます。
【八代主査】 ありがとうございました。
それでは、議事に入りたいと思います。議題(1)の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)生命倫理専門調査会報告を踏まえた関係指針の見直しについてでございます。
前回の委員会では、本日参考人として出席いただきました阿久津先生及び本委員会の委員であります藤田先生より、ヒト胚モデルを取り巻く研究や規制の状況について御発表いただきましたけれども、本日は、生命倫理専門調査会におけるヒト胚モデルに関する議論にも参加されておりまして、実際にヒト胚モデルの研究に携わっておられます、東京大学大学院農学生命科学研究科の柳田先生より、ヒト胚モデル研究について、研究の現場からの視点ということで御発表いただきたいと思います。
それでは、柳田先生、御発表、よろしくお願いいたします。
【柳田参考人】 よろしくお願いいたします。東京大学の柳田です。本日は、実際に研究を行っている立場から、ヒト胚モデル研究について、皆様と情報共有させていただければと思います。
ヒト胚モデル研究は、2018年に報告された、幹細胞を用いたマウス胚モデル技術を基盤とし、2021年に、アメリカ、オーストラリア、イギリスの三つのグループから報告されました。私は、イギリス研究チームの一員としてヒト胚モデルを報告し、これまでに内閣府生命倫理専門調査会の作業部会メンバーとして、委員の皆様に胚モデル研究について御紹介してきました。
本日は、研究現場の視点から、ヒト胚モデルのニーズ、そして、胚モデルの作成について、今後の研究の鍵となるポイントについて、お話しさせていただきます。
まず初めに、ヒト胚モデルがどのような社会的課題の解決に貢献し得るかについてです。現在、不妊症、不育症、先天性疾患等による妊娠や妊娠継続の難しさが、大きな社会的課題になっています。これらの難しさは、複数の要因が複合的に組み合わさっており、メカニズムの解明や治療法の開発が困難な状況です。
このような妊娠や妊娠継続の難しさに対し、これまで多くの研究者が取り組み、その成果として、体外受精や顕微授精といった生殖補助医療技術が確立されてきました。また、多能性幹細胞の発見を契機に、試験管内で器官の構造や機能を再現する、オルガノイド研究、生殖細胞研究が進展し、器官形成や先天性疾患の理解にもつながってきています。しかし、受精後、妊娠成立に重要な着床や初期の器官形成については、依然として理解が進んでおらず、この時期の研究が必要とされています。
ヒト胚における着床や初期の器官形成に対する理解が遅れてきた理由に、ヒト胚を用いた研究の難しさがあります。具体的には、子宮内で起こる胚発生を直接観察することが困難という、倫理的制約。ヒトは、妊娠期間が長く、排卵数も少ないため、研究に使用できる胚の入手が困難という、入手性の制約。そして、動物ごとに発生様式は異なるため、ヒトの代わりとなる実験動物モデルが得にくいという、代替性の制約です。
こうした背景の下で、幹細胞から作成可能で、倫理的・入手的制約が比較的少ないヒト胚モデルが、現在、注目を浴びています。このヒト胚モデルは、着床前から器官形成期にかけての研究を大きく進展させる可能性があり、疾患の理解や治療法の開発へ貢献することが期待されています。
以上の背景を踏まえまして、次に、ヒト胚モデルの作成に関して、現場の研究者がどのような視点で取り組んでいるかについて、御紹介いたします。
先ほども述べましたように、ヒト胚モデルとは、幹細胞から作成されるヒト胚に類似した構造体を指します。しかし、実際には様々なヒト胚モデルが存在します。また、モデル作成に用いる細胞の種類も多様です。そのため、ヒト胚モデルを用いた研究を計画する際、研究者はまず、研究目的、材料である使用する細胞、また、どのように作成するかといった方法の3点を決めることになります。中でも、最も重要となってくるのが研究目的です。研究目的として、自身の研究で胚発生のどの時期を明らかにしたいのかをまず決めることになります。この目的の設定により、ヒト胚モデルの研究における開始時点と終了時点の目安が定まることになります。冒頭で触れましたように、ヒト胚モデルは、特に着床から初期の器官形成期に強みを持つ研究ツールです。したがって、どの時期の発生過程に焦点を当てるかといった研究目的を決定することで、実際に必要となる培養期間もおのずと見えてくることになります。また、研究の目的が着床から器官形成の発生の理解であるために、個体作成といったものは、そもそも研究の実施には含まれません。
それでは、もう少し具体的な話になりますが、現在、どのようなヒト胚モデル研究が進められているか、御紹介いたします。まず、代表的な例として、着床前から着床後の発生を対象とした、ブラストイドなどの着床前胚モデル。そして、着床後の胚発生に注目した、着床後胚モデルがあります。さらに、器官形成や初期の造血の場である卵黄嚢の発生メカニズムに迫る研究として、胎盤系列の細胞を欠くモデル、いわゆるバイラミノイドやペリガストロイド、ガストロイドなどといったモデルが現在開発されています。今後は、研究目的に合わせて、既存の胚モデルの改良や、新たな胚モデルの開発が進むと予想されます。
やや専門的な話が続きましたが、ここで少し話を戻しまして、研究目的の次に研究者が検討する、材料と方法について御紹介いたします。ヒト胚モデルの作成方法は、大きく二つに分類されます。一つは単一の細胞種から作成する方法、もう一つは複数の細胞を組み合わせる方法です。どちらの方法も幹細胞の使用が中心となりますが、主に、ES細胞、iPS細胞の2種類の細胞が用いられています。ES細胞は、胚から樹立されるため、遺伝子操作が不要で、胚本来の性質を反映しやすいといった利点があります。一方、iPS細胞は、体細胞に初期化因子を導入することで作成されますが、患者由来の細胞から樹立可能なため、疾患の性質を捉えやすいという利点があります。また、複数の細胞を組み合わせる方法には、幾つかのバリエーションがあります。例えば、先ほど御紹介したES細胞やiPS細胞、それぞれの特性を生かし、幹細胞を組み合わせる場合。幹細胞と、幹細胞から分化誘導した細胞を混合する場合。また、分化誘導方法が未確立な細胞系統については、動物細胞を代替として用いるケースも想定されます。今後、ヒト胚モデル研究がさらに進む中で、ES細胞とiPS細胞の両方を活用できる、柔軟な運用体制の構築が不可欠です。
このように、研究目的、材料、方法の3点を基にヒト胚モデル研究が計画・実施されることがお分かりいただけたのではないかと思います。今後、ヒト胚発生の理解や治療法の開発に向けて、胚モデルの改良や開発がさらに進んでいくと予想されますが、特に、正常の胚発生過程の模倣、疾患の再現と原因解明、治療法の開発といった観点からの研究の進展が期待されています。また、こうした研究の展開においては、母体との相互作用に関する理解も、今後、重要性を増す分野の一つと考えられます。着床以降の発生は、通常、子宮内で進行するため、胚と母体との関係性を解明することは、胚発生をより正確に捉える上で欠かせません。この理解を深めるためには、既にES細胞やiPS細胞の分化能の評価やオルガノイド研究などで活用されているような手法、例えば、子宮以外の血流豊富な体内環境への移植実験、体外で培養された組織や器官への移植、生体材料などを用いて作成された子宮様構造体への移植といったアプローチの活用が、今後、一層重要になってくると考えられます。こうした周辺技術の発展により、子宮外や体外環境と子宮内環境の機能的ギャップが縮まっていく可能性も考えられます。そのため、移植場所は、胎内、いわゆる子宮内であるかどうかという物理的な基準だけで一律に制限を設けることは将来的に整合性を取ることが難しくなる可能性も考えられます。そこで、将来の研究展開を見据え、研究目的に即した柔軟な制度設計が重要かと思います。
ここまで、ヒト胚モデルの作成とその応用の可能性について、駆け足でしたが、御紹介してきました。
最後に、第3の項目として、この分野の今後の進展の鍵について、お話しいたします。
研究進展に向けた鍵は、大きく3点にまとめることができます。まず、1点目は、社会と研究者の相互理解を支える環境づくりです。研究が社会に受け入れられるためには、社会が許容できる研究の枠組みを見える化することが重要です。これは、研究の透明性を高めるだけではなく、研究者自身を守ることにもつながります。また、専門性が高く、技術革新のスピードが速いこの分野においては、研究目的に基づいた柔軟な制度設計と枠組みが重要となってきます。
2点目は、研究の裾野を広げることです。近年、日本では、若手研究室主宰者の増加や研究室の小規模化が進み、共同研究の重要性がこれまで以上に高まっています。加えて、研究者の流動性が高まり、異動の頻度が増えていること。また、研究資金が2~3年の短期スパンであることも多く、人的・時間的リソースが限られる中で、持続可能な研究支援体制が不可欠です。そのためには、こうした現在の研究現場の実情に即した制度設計が必要で、具体的には、若手PIや小規模ラボへの対応、共同研究や機関異動に迅速に対応できること、また、短期間の研究費を持った研究者も参入できるといった、研究の参入障壁を軽減できる制度が重要となってきます。
3点目は、質と省力化を両立する審査体制の構築です。ヒト胚モデルにおける申請や審査には極めて高い専門性が求められる一方で、申請準備や審査に多大な労力がかかることが研究参入のハードルにもなっています。この課題を解決するためには、ES細胞とiPS細胞にまたがる整合性のある運用の確立、また、知識の不確かさや申請・審査にかかる時間的コストから来る萎縮を防ぐための具体的なガイドラインや事例の提示、そして、審査機関の一部集約化によるノウハウの蓄積などが効果的だと考えます。柔軟で信頼性の高い制度運用は、研究者の挑戦を支え、ヒト胚モデル研究の今後の発展を導く鍵になると考えます。
発表は、以上です。
【八代主査】 柳田先生、御発表、ありがとうございました。
それでは、これより質疑のほうに入りたいと思いますけども、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等ありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。
それでは、まず、私のほうから質問させていただきたいんですけれども、先ほど御説明いただきましたように、発生の各段階においていろいろな方法で研究をしていく必要性があるということを御説明いただいたわけですが、例えば、発生後期というか、着床前後の状況のことを考えた場合に、当然、ヒト由来のiPSとかESから細胞を作って子宮内に移植することは現在のルールでもできないわけですけれども、例えば、動物由来のトロフォブラストなどとの共培養によって動物の子宮に戻すとか、そういうことによって内部細胞塊の成長・成熟というのを見ていくとか、そういうような研究というのは考え得るんでしょうか。
【柳田参考人】 御質問、ありがとうございます。そういう研究も今後は十分考え得ると思います。といいますのも、ヒトよりも前にマウスの幹細胞研究が始まっており、まだヒトでは十分なクオリティーや種類の細胞に分化できないという可能性もあって、先に樹立されて研究が進んでいるマウス材料を使うことで、より詳細な研究ができるといった可能性も十分考えられると思います。
【八代主査】 ありがとうございます。
そのほか、皆様、いかがでしょうか。御質問ですとか、確認されたい事項等、ございましたら。
小板橋委員、お願いいたします。
【小板橋委員】 御発表、ありがとうございました。まず、すごく大枠でお伺いしたいんですけれども、疾患の原因を解明して治療法開発を目指していらっしゃるということだったのでお伺いしたいんですが、着床から器官形成の間のところを治療対象とするということになってきた場合、その時期は非常にナイーブですよね。ただ、研究開発段階のものには必ずリスクが伴うかと思います。この期間で治療が可能なレベルになる、こういう介入が可能だというふうに言える段階のリスクって、どれくらいのリスクだったら許容できるとお考えか、ちょっと教えていただければと思います。
【柳田参考人】 リスクの受け取り方は患者さん個人によって異なってくるかと思いますが、胚モデルはまだ始まったばかりでして、現在の分化誘導効率を改善し、正常な胚を模倣したように分化を進めるというのが前提条件ですけれども、非常に効率が悪いので、まず、それの改良にすごく時間がかかり、その後、それを用いて疾患モデルを模倣するという過程にさらに時間がかかり、それを用いて標的となる治療薬を見つけるということで時間がかかるので、実際に治療に利用できるというレベルで考えると、1年や2年ではなくて、5年や10年、さらにはもうちょっと長いスパンが考えられるという点を、まず1点、最初に申し上げたいと思います。
許容できるかについてですが、仮の話ですけれども、発生がうまくいかない原因が明確な、例えば特定の遺伝子などである場合は、標的が絞れるのでリスクは比較的少ないかもしれませんが、明確な標的が分からないものに関してはリスクも高くなってきますので、許容できるかどうかというのは、先ほども申しましたが、患者さん次第ということになってくるかと思います。
お答えになっているでしょうか。
【小板橋委員】 ありがとうございます。いろんな治療において、患者さん次第だと、私も思います。ただ、こういう形で必ず国が介入する領域であって、患者さんが選べるところに持っていく段階までのところを国なり何なりが絡むわけでして、そのレベル感に関してお伺いしたかったんですけれども、ありがとうございます。
【八代主査】 それでは、続いて、藤田委員のほうから、御質問のほうをどうぞよろしくお願いします。
【藤田委員】 ありがとうございます。
まず、非常に分かりやすいお話をいただきまして、ありがとうございました。私から、ぜひこの機会に教えていただきたいのは、オルガノイドとヒト胚モデルの区別に関してです。例えば、ソミトイドですとかアクシオロイドのような、体軸とか体節みたいなものを発生させていって模倣するというものについては、これまでオルガノイドなのかなというふうに考えていたんですが、国際幹細胞学会の今度のガイドラインの改訂においてヒト胚モデルとして専門的な審査をしてくださいということが公表されております。そうなったときに、ヒト胚モデルと一言で言っても非常に内容が多様で、オルガノイドとヒト胚モデルの区別といったときに、研究者自身がこれから研究計画を申請しようというときですとか、その申請書を受け取った倫理委員会の事務局とかが、このプロトコルはどの指針が適用されているのかとか、どの委員会で審査するのかということを判断するのが非常に難しくなってくるんじゃないかしらというのを少し気にしております。こういった判断の混乱とかを防いだりするために、指針上とかガイダンス上で気をつけたほうがいいことですとか、必要な対応ですとか、何かお考えがあったら、ぜひ教えていただきたいと思っております。
【柳田参考人】 藤田先生、御指摘、ありがとうございました。まさに私もなかなか判断が難しいなと思っている点でして、胚モデルは、今後、どんどん新しいものができてくると思いますし、オルガノイド研究もますます進んできて、境界が曖昧になってくるということは確かだと思います。先ほどのプレゼンテーションでもガストロイドというものが胚モデルに入ると申しましたので、そこを起点とするソミトイドだったりは胚モデルに含まれてくるという考えなんですけれども、実際に明確な判断は難しいので、これは私からの提言になってしまうのですが、先ほどの研究目的ベースで運用するのがいいのかなと考えていて、個体産生につながらない、あるいは培養期間が明確になっていれば、そんなに危険な研究に発展することは少ないと思われるので、例えば、培養期間が1週間だとか、1か月以内、1か月ということはなかなかないと思うんですが、ある程度、培養期間ごとに審査の簡易化をするというのも手かと思います。
お答えになっていますかね。
【藤田委員】 ありがとうございました。
あと、最後のスライドで、審査体制のところで具体的な事例の提示をするといったことを書いていただいていたんですけど、そういった事例の提示とかで、何か研究者や事務局にとって有益な判断の基準みたいなのを示したりすることは可能そうでしょうか。
【柳田参考人】 そうですね。例えば、チェック項目に、ブラストイドに当たるのか、バイラミノイドに当たるのか、ガストロイドに当たるのかなどの選択項目があると、申請する側としても、どれに該当するのか、また、審査する側も、どれに該当するから、どこまで培養が進むだろうという予想がつくため、審査がしやすいのではないかと思います。
【藤田委員】 ありがとうございました。
【八代主査】 それでは、片野委員、よろしくお願いいたします。
【片野委員】 ありがとうございます。
柳田先生、御講演、ありがとうございます。非常に分かりやすかったです。
私も藤田先生に引き続きの質問になるんですが、確認のために、まず、研究目的というところを先生は強調されていましたが、それは、ほかの何よりもという言い方をされるでしょうか。例えば、研究目的を第一に考えるといいんだけれども、それは、使う細胞ではなくてとか、使う方法ではなくてというような理解でよろしいのでしょうか。
【柳田参考人】 御質問、ありがとうございます。恐らく私の説明の仕方にも問題があったかと思いますが、スライドで、目的、方法、材料が三角形で結んであったと思います。三つとも、どれも重要なんですけれども、材料だけあっても、一体、それを使ってどのように研究するのかというのは決まらないので、研究を開始する最初の段階で研究目的を決めることが重要という意味で述べさせていただきました。
【片野委員】 ありがとうございます。もう1点は、私も研究者で、倫理委員会のほうの運営などに携わっているので、その観点から、先生がスライドでおっしゃった、研究者が萎縮しないようにというところは非常に強く共感いたしまして、どのようなものを出していいのか分からないと、厳しい基準を研究者が自ら出してしまって、その分、研究が控え目になってしまうというのは、研究の発展についてはもったいないことだなあと思います。そのためには、例えば、どの委員会に出しても質のそろっている委員がいれば同じ結果が得られるのだというふうに分かっていれば、逆に、大学などを異動したときも倫理審査を移動しやすいのだろうなあというふうに思いましたので、研究者が、先生おっしゃったように、小さい規模になったり、共同研究になったり、いろいろやりやすいためには、今回、関連して、質の担保といいますか、委員会はきちんと審査できる力が必要であって、そのためには、頼りというか、よりどころになるような基準というものをはっきりさせたら、より研究者の方々にとっていいのではないかなあというふうに感じましたが、こちらについては、先生、御意見いただけましたら、お願いいたします。
【柳田参考人】 片野先生、ありがとうございます。全く同意見でして、また、研究者も時には審査員になることもあるので、審査員になった場合には、ヒト胚モデルではなく、ほかの様々な審査もこなすことになり、本当に各分野で高度な知識が必要となってくることが、また負担になってくると思います。なので、標準化もそうですし、そもそも審査委員会がなかなか立ち上がらないという大学も恐らくあると思いますので、既にこういった研究が行われている機関においては、あるいは文科省でもいいんですけれども、幾つかの機関においては代理審査の場となっていただき、審査した先生方あるいは機関にも何らかのインセンティブがあるような、持続的なシステム構築が長期的には重要なのではないかと思っています。
【片野委員】 先生、ありがとうございます。倫理委員会が研究者を、パートナーというか、ある種、一緒になって研究を推し進めていくということは非常に大事だと思っています。
ありがとうございます。
【八代主査】 ありがとうございました。
そのほか、御質問、御意見等はございませんでしょうか。
よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、ただいまの御発表、それから、質疑等も踏まえまして、関係指針の見直しの検討に入ってまいりたいと思います。
それでは、事務局から、資料127-2-1に基づいた説明をよろしくお願いいたします。
【木村安全対策官】 文部科学省ライフサイエンス課の木村でございます。資料127-2-1に沿いまして、御説明をしていきたいと思います。
前回の会議では、CSTIの報告書を踏まえて、どういった形で既存の指針を見直していくかという論点についてパワーポイントの形でお示しいたしましたが、まず、この資料では、前回御説明し切れなかった部分、特に指針に落とし込みをしたときに、事務的にこういうところも考えたほうがいいのではないかという点について、幾つか御説明をさせていただきます。一枚、めくってください。
まずは、ヒト胚モデルの作成パターンと適用される指針の整備についてということで記載してございます。今回、改正する、見直しをする指針は二つございまして、一つはES細胞使用指針、もう一つは生殖細胞作成指針ということで、(1)と(2)のところでございますが、ES細胞のみを用いてヒト胚モデルを作成する場合はES細胞使用指針、ヒトiPS細胞等を用いてヒト胚モデルを作成する場合は生殖細胞作成指針を適用することになると考えております。ただ、実際の研究現場に下りていきますと、例えば、ES細胞とiPS細胞、両方使いながらヒト胚モデルを作る、あるいは、それぞれES細胞とiPS細胞から作るんだけれども、同じ研究計画の中で両方入っているもの、そういった事例があるのかなというふうに思います。あくまでも、法律面、法律ではございませんが、法制面での考え方でいくと、ES細胞、iPS細胞、由来となるものが違いますので両方の指針が適用されてくるということにはなりますが、それをもって、例えば、届出を二つ出してくださいですとか、対応がちょっとずれてくるということは、研究現場に非常に御負担をおかけすることになると思います。ですので、前回の会議でも御説明しましたが、まず、ES細胞の指針と生殖細胞の指針の規定そのものを、とにかく横並びをそろえるということをやっておりますし、あと、両方使う場合には、右下の紫の中に書いてございますけれども、ES細胞使用指針の届出をもって生殖細胞作成指針の届出もいただいたと。要は、ES細胞側の指針で届出をいただければ、もう片方の指針でも出したことにできますよという、みなし規定を設けようかなと思っていますし、また、対国との関係では届出しかございませんが、例えば、IRBですとか、研究計画の作成ですとか、そういった機関の中での取組に関しましても、一つの計画書を作っていただければ、両方の指針を守っていただける形になると。IRBも、わざわざ2回開催するのではなくて、1回で足りますよと、そういった規定を設けてまいりたいというふうに思っております。
ただいま御説明した内容を日本語化したものがこちらのページでございますので、こちらのページは割愛させていただきます。
続きまして、5ページを御覧いただきまして、既に着手されている研究の取扱いについてでございます。こちらの委員会で御議論いただいた後に、いずれ指針の見直しをして、今年の秋冬、場合によっては年を越えてしまうかもしれませんが、指針が施行されますと、現時点でもES細胞を使ったヒト胚モデルの研究、iPS細胞を使ったヒト胚モデルの研究が行われておりますけれども、そうした既に実施されている研究に対しても当然ながら胎内移植の禁止といったルールは適用されますが、届出関係などにつきまして、一応、考え方を整理しておいたほうがよろしいのかなというふうに思っております。
まず、ES細胞でございます。マル1のところでございますが、現時点においても、ES細胞を用いたヒト胚モデルの作成というのは、現行の指針に基づきまして届出をいただいている状況でございます。ですので、星印でございますが、新しい指針が適用された時点において既に届出をいただいているという形を取りたい。他方で、新たに始めるものについては新規の届出をいただくという形にしたいと思っています。この場合でございますが、胎内移植の禁止といった新たなルールは適用されていくことになるのですが、1点、こちらは先生方とも御相談でございますけれども、IRBを開催して、その中で培養期間を決めていくといったような規定がヒト胚モデル研究の中で新たに設けられることになります。仮に従前から実施している研究に対してもIRBを改めて開催して培養期間の検討をしてくださいというのを求めてしまいますと、研究を一旦止めていただいてIRBを開いていく形が必要になってまいります。そこは研究の自由との間でどこまで深追いするかということで、事務方の案といたしましては、新しい指針の施行時におきましてはIRBの開催を求めずに、研究計画の変更をする場合にIRBを開いていただいて、そこで培養期間も検討していただくといった形が一番、現場にも御負担をかけないのではないかという形での御提案でございます。もちろん、条文の書き方次第でございますので、研究を一旦止めてIRB審査をしっかりして培養期間を決めるべきだということであれば、星印のところで一旦研究を止めていただいてIRBを開催していただくいう形もありなのかなと思っております。
続きまして、iPSのほうでございます。下の、マル3、マル4のところでございます。先にマル4を御説明させていただくと、新しい指針が適用された後に開始される研究の場合は、新規の届出をいただくという形。他方で、従前から実施されている研究でございますが、iPS細胞等を用いた場合は、現行の指針では、特に国への届出は求めておりません。ですので、改正された指針が施行された際には、いわゆる使用状況報告のような形で、黒のダイヤでございますが、一旦、国あるいは機関内のIRBに対して、こういった研究をしていますよというのを御報告いただく形を取ろうと思っています。それによって、機関内IRBや国は、iPS細胞等を用いた研究の使用実態が分かるという形になります。他方で、IRBを開催して培養期間を決めるかどうかという点につきましては、ES細胞使用指針と足並みをそろえまして、後から研究計画を変更する場合には届出をいただくという形を考えております。こちらも、ES細胞のほうを厳しくということであれば、iPS細胞のほうも併せて厳しくするという形も条文としては可能でございますが、ポイントといたしましては、改正された指針が適用された際に、繰り返しになりますが、胎内移植禁止といったルールは適用されますが、IRBの開催をしていただくかというところがポイントになるのかなと思っております。
一枚おめくりください。こちらは、今し方御説明したものを日本語化したものですので、割愛させていただきます。
続きまして、ES細胞の樹立に関する指針と分配機関に関する指針について、御説明させていただきます。前回の会議と今回の会議で主に改正しようとしていますのはES細胞の使用に関する指針でございますが、先生方は御案内のとおり、ES細胞の関係の指針は、樹立に関する指針、分配機関に関する指針、使用に関する指針の三つがございます。主に改正が必要になりますのは使用機関、要はES細胞を使用してヒト胚モデルを作る方々に適用される指針の改正を考えておりますが、そちらを改正しますと、どうしても樹立指針や分配指針にも跳ねてくる部分がございますので、そういった跳ね返る規定の内容の御説明でございます。
まず、ES細胞の樹立指針と分配指針でございますが、この後御説明してまいります使用指針の中に、ES細胞を分譲する場合に、分譲先に対しても自分たちと同じようなルール、すなわち胎内移植の禁止等々のルールを相手にも求めるといったようなことの規定がございますので、そういった内容を樹立指針と分配指針にも反映させるということを考えてございます。また、樹立指針の改正に合わせまして、樹立指針で文言が古くなっている部分が幾つかございますので、そこも併せて改正をしてはいかがでしょうかということで、マル1、マル2、マル3を記載してございます。マル1は、研究者の変更に係る手続を、現行の大臣確認ではなくて、届出にランクダウンしてはどうかということでございます。この「研究者等」というのは、責任者ではなくて、あくまで研究室のメンバーでございます。仮に学生さんが入っていれば、年に1回、入れ替わりがございますし、そうでない研究者の方も人事異動等で頻繁に入れ替わりはあるかと思います。現状、その都度、確認手続を取っておりますが、他の指針と比べるといささか手続が強めの部分もございますので、他と合わせまして、いわゆる届出にランクダウンしてはどうかということを考えております。
マル2でございますが、デジタル原則に基づき、いわゆるインフォームド・コンセントに対して電磁的手法を認めてはどうか。現状は紙のみとなっていますが、これも他の指針では電磁的方法を認めておりますので、他と合わせるということを考えてございます。
マル3、ES細胞を樹立する際には提供者の方から受精胚を御提供いただく形になっておりますが、受精胚を使う他の指針におきましては事実婚の夫婦等からのヒト受精胚の提供も認めている形になっておりますけれども、こちらのES細胞の指針のほうは、そこの見直しが遅れておりまして、事実婚の方からの提供というのはできない形になっております。そこを見直してはいかがかということでございます。
私からの説明は、以上でございます。
【八代主査】 ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
お願いいたします。
【小板橋委員】 ありがとうございます。すごくシンプルな質問なんですけれど、これを機会にES細胞の指針と生殖細胞作成指針を一つにするという選択肢はないんですか。複数の指針があって、それだけでも研究者の方にとっては大変な負担なのではないかというのもございます。
【木村安全対策官】 ありがとうございます。ES細胞の使用指針と生殖細胞作成指針を統合するというところにつきましては、ヒト胚モデルを作成するというところだけを見ますと確かに統合できる側面もあるのかもしれませんが、ES細胞の指針につきましては、今し方御説明しましたとおり、ES細胞の樹立、分配、使用ということで、ES細胞を作成するところから様々な流れが関係する指針に分けて記載されている。他方で、生殖細胞作成指針につきましては、要は樹立の段階とか分配に係る規定というのはございませんので、そういった違いがございます。もう一つの違いといたしまして、ES細胞の指針のほうは、今回、御説明は入れてございませんが、あくまでES細胞の使用に係る指針でございますので、ヒト胚モデル以外にも、例えば、生殖細胞を作りますとか、あるいは、生殖系に関係のない、肝臓ですとか、心臓ですとか、そういった細胞を作っていきますという場合も適用されますという形になってきますので、いわゆる文法上、日本語としてくっつけるのは当然可能なんですけれども、様々な要素が入ってしまうと、結局、章立てが複雑になってしまいまして、かえって分かりづらいという側面もあるのかなあというふうに思っております。
分かりづらさという観点では、現状、ウェブサイト等を見ていただきますと指針がたくさん並んでいるのですが、自分の研究がどこに該当するのか、非常に分かりづらいという観点での御質問と認識しておりますので、例えばですが、施行に際しまして、ガイダンスの中に関係する指針のマッピングと言ったらいいんでしょうか、こういった研究はこの指針が適用されるよというのを分かりやすく出していくことのほうが、無理に指針をくっつけて日本語を難解にしていくよりはよろしいのかなと思っております。
【小板橋委員】 ありがとうございます。せっかくなので、柳田先生はどう思われているのか、お伺いさせていただいてもよろしいでしょうか。
【柳田参考人】 研究者サイドからしましては、本当のところを言いますと、ES細胞とiPS細胞の指針は同一にしていただきたいというのが本音ですが、私も全ての研究に関して把握しているわけではないので、一緒にできないというところがひょっとしたらあるのかもしれませんが、一緒にしていただきたいというのが、研究者サイドの意見です。
ありがとうございます。
【小板橋委員】 どうもありがとうございます。
【八代主査】 ありがとうございます。
それでは、続いて、阿久津参考人から、お願いいたします。
【阿久津参考人】 事務局、文部科学省様、きれいにまとめていただいて、ありがとうございます。
研究を実施するサイドから、ちょっと御質問いたします。まず、1点目なんですけども、私の理解が及んでないところなので、既に説明した内容かもしれません。例えば、手続をしてES細胞による胚モデル研究を進めている研究者がこれからiPS細胞も同じように扱って研究するといったときに、3ページの御説明では、ES細胞使用指針の届出をもって新しい生殖細胞作成指針の届出に代えることができると規定するとしておりました。これは、スライド番号5の図で言いますと、iPS細胞を使うときに組織の委員会に申請しなくていいのか、するのか、結局のところ、どういうことになるでしょうか。
【木村安全対策官】 ありがとうございます。こちらの5ページの説明資料はやや舌足らずなところがあって、大変申し訳ございません。施行前から届出されている内容から変更がない場合には新たな届出はいただきませんという形になっておりますが、例えばですけれども、今は届け出ているES細胞の研究をしている。施行日が過ぎてからiPS細胞の部分を追加したいということであれば、そこは当然、追加分はいわゆる変更部分でございますので、新規の扱いなのか、ES細胞に合わせて変更にするのか、そこの細部は詰めたいと思いますけれども、点線を通り過ぎてから新しいものは要りませんよというのは、あくまで既存の届出の研究内容で読める場合、iPS細胞でやっている場合であれば不要ですよということになると思いますが、そうでない場合に、届出が不要であるということにはしないのかなというふうに思っております。
【阿久津参考人】 分かりました。ありがとうございます。
もう1点は、胚モデルではないんですけども、私たちはヒトのES細胞の樹立を行っておりますので、樹立に関する指針の改正についてのコメントになります。8ページの資料なんですけど、樹立指針について改正点を3点挙げていただきましたが、私たちも、特にマル1の研究者等の変更手続については大変ありがたいなと思っております。樹立指針の下での変更は全て、機関だけじゃなくて、大臣の確認も必要ということになっておりますので、ここは非常に助かるなというふうに思いました。
以上です。ありがとうございます。
【八代主査】 ありがとうございました。
それでは、続いて、小林委員、お願いいたします。
【小林委員】 小林です。まず、研究者サイドにいろいろ配慮いただき、このようなまとめ方をしていただいて、ありがとうございました。
その上で、一つ伺いたいのは、施行前から実施されている研究についての変更届に関してなんですが、基本的に、ヒト胚モデルに該当するか否か、自分が行っている研究がヒト胚モデルに該当するか否かというのは、自主的に判断して変更届を出すということでしょうか。というのは、先ほど柳田先生の紹介にもありましたけど、ヒト胚モデルと従来のオルガノイドとかガストロイドというところの境界がどんどん曖昧になっていくと思うんですが、そこら辺は、例えば、そちらのほうで事例ですとかガイドラインみたいなものをある程度、Q&Aみたいな形でいいんですけど、設定していただいて、自分がその研究に該当しているかどうかというのを判断する基準なんかをつくっていただけると助かると思うんですが、いかがでしょうか。
【木村安全対策官】 ありがとうございます。この後、私から指針の具体の改正案を御説明してまいりたいと思いますが、その中でヒト胚モデルについて定義を置く予定でございます。ただ、指針の中は、柔軟な運用をしていくことも大事でございますし、そもそも法令用語で書いておりますので、かなり短めに、必要最小限の記載しかしてございません。実際には、今、小林先生から御指摘のあったとおり、技術の進展に伴いましていろいろ悩まれることが出てくるかと思いますので、まず、1点目といたしましては、ガイダンスの中により詳細に、例えば、CSTIの報告書ではどういったような書かれ方をしているか、そういったような御紹介をしてまいりたいと思いますし、実際の適用関係につきましては、当然ながら文科省のほうに御質問いただくこともあると思いますので、必要に応じてQ&Aの整備等もしてまいりたいと思っています。
また、2点目といたしまして、これはCSTIの報告書にも書かれてございますが、ヒト胚モデルの研究自体、どんどん進展している状況でございます。CSTIにおかれましても、情報収集を続けて、必要があれば規制の見直しというお話もしておりますし、同じことは文科省にも言えるのかなと。届出をいただくというのは国として最低限必要な情報の収集を進めていくということにございますので、定義の部分で将来的に無理が生じてくるようであれば、必要に応じて指針の見直しというのも考えていく必要があるのかなというふうに思っております。ありがとうございます。
【小林委員】 どうも、御回答、ありがとうございました。
【八代主査】 その他はいかがでしょうか。御質問等、ございませんでしょうか。
よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、事務局において、「ES細胞樹立指針」及び「ES細胞分配指針」の改正案の検討について、お願いいたします。
続きまして、前回の委員会におきまして「ES細胞使用指針」及び「生殖細胞作成指針」の見直しの方向性について議論をいたしましたけれども、本日は、事務局において、その結果を踏まえた指針改正案を条文比較表の形で作成しております。
まずは、事務局から、資料127-2-2に基づき、「ES細胞使用指針」の改正案について説明をお願いいたします。
【木村安全対策官】 では、初めに「ES細胞使用指針」につきまして、御説明をさせていただきます。
説明に先立ちまして、2点ほどお伝えさせていただきますと、まず、1点目といたしまして、今日、こういった形で改正案をお示ししておりまして、いわゆる法令面での精査というのは一定程度進めておりますが、今日、先生方からいただいた意見、また、法律の専門家による指摘、そういったものを踏まえて、今後、多少変更があり得るということにつきまして、あらかじめ御承知おきいただければと思います。
この資料、向かって左側が今ある指針、右側が改正案で、一番右、今、空欄になっていますが、備考のところなんですけれども、改正する趣旨について記載をする欄でございます。特に、CSTIの報告でいただいております、胎内移植の禁止や国への届出、培養期間の設定といった、主な論点のところにつきましては黄色でハイライトしている形になりますので、よろしくお願いいたします。
第一条、第二条のところは、特に変更は入れてございません。次のページを御覧いただければと思います。
第二条の第七項に、先ほど小林委員から御指摘がございましたけれども、ヒト胚モデルの定義を置いております。「ヒト幹細胞を分化させた細胞(生殖細胞に分化させたものを除く。)から作成する細胞群であってヒト胚の特性を示すものをいう。」としております。CSTIの報告では「細胞の集団」といった書き方をしておりますが、法令を見ますと「細胞の集団」といった言葉を使っているものはあまり事例がないものですから、法制面の観点で「細胞群」という言葉にさせていただいております。
また、「ヒト幹細胞を分化させた細胞から作成する」としていますが、括弧で「生殖細胞に分化させたものを除く。」と書いてございますのは、例えば、iPS細胞やES細胞から生殖細胞を作りました。その生殖細胞は精子・卵子そのものですので、それを受精させれば、胚そのものですので、胚の特性を示すものだと思うんですが、それを含めた形を胚モデルにしてしまいますと、現状認められていないヒト幹細胞由来の生殖細胞の受精研究をここで認めてしまう形になってしまいますので、定義から生殖細胞を抜いたという形にしてございます。この言葉だけだと科学者の方からすると非常に分かりづらいというところもあると思いますので、例えば、CSTIの報告書に記載されている定義ですとか、そういったものにつきましては、ガイダンスのほうにより丁寧に御説明をしていく形にしたいと考えております。
また、先ほどオルガノイドと胚モデルの境界線はどうするんだという御議論がございましたが、そういった情報につきましても、法制的にここに書き切るというのは難しいところがございますので、ガイドダンスの中でしっかり落とし込んでいくということを考えてまいりたいと思っております。
次のページを御覧いただければと思います。第四条に「ES細胞を使用して」とございますが、こちらは、記載の適正化ということで、法令的に記載を適正化したものでございます。
続きまして、第五条、黄色くハイライトしてございますが、こちらはCSTIの報告にもございました胎内への移植や個体産生の禁止ということでございまして、禁止行為のところに一つ加えまして、「ヒトES細胞を使用して作成したヒト胚モデルの人又は動物の胎内への移植その他の方法により当該ヒト胚モデルから個体を生成すること。」を禁止行為として定めております。
何枚かおめくりをいただきまして、第十一条を御覧いただければと思います。「使用機関の長の了承」ということで、機関の中で使用責任者が研究を開始するに当たって使用計画書を作ってくださいというところを規定しているところでございます。また、その使用計画について、使用機関の長の了承を求めてくださいということを規定しております。この使用計画書の中に一号加えまして、黄色のところですけれども、「ヒトES細胞を使用してヒト胚モデルを作成する場合には、当該ヒト胚モデルの培養期間と当該培養期間が使用の目的を達成するために必要最小限であることの説明」というのを記載していただく形になっております。CSTIから頂いた報告書では、例えば、ヒト胚のように14日ルールのようなものは設けないのだけれども、どういった培養期間が妥当であるかはIRBの中で審査をして決めてくださいということが書かれてございます。ですので、まず、そちらの計画書に培養期間とその理由を書いていただく。それをIRBで審査をしていただくという流れになっております。
続きまして、第十二条、第十三条を御覧ください。CSTIの報告では、各機関におけるIRB審査、国への届出についてやるようにという報告をいただいておりますが、既存の指針の中に、IRBで審査、国への届出は規定されておりまして、こちらにつきましては特段の改正は不要であるというふうに考えてございます。
続きまして、第十八条を御覧ください。第十八条は、ヒトES細胞を他の機関に分配する場合の規定がございます。ヒト胚モデルではなくて、あくまでES細胞の分配でございます。ES細胞を分配する際には、相手の機関に対して、こういうことをしないでくださいねというのをお伝えいただくという形にしておりますが、お伝えいただく内容の中に、ヒト胚モデルを作成する場合には、人・動物の胎内への移植や個体の産生をしないでくださいというのをお伝えいただくという形を取っております。少し下に目を移していただきますと同じ規定がもう一度出てまいりますが、上のほうは国内の臨床利用機関、下のほうは海外機関に分配する場合ということになっております。
次のページを御覧ください。続いて、第十九条でございますが、今度はヒト胚モデルを分譲する場合の規定でございます。分譲する場合に、分譲先にどういったことをお願いするかということで、既存のヒト生殖細胞に合わせる形で規定を設けております。まず、分譲する場合には相手方にこういったことを伝えてくださいということで、下のほうの枠の中の3行目からでございますが、一号は、「ヒト胚モデルは、次のいずれかに資する基礎的研究に用いられること」ということで、ヒトの発生、分化及び再生機能の解明、新しい診断法、予防法もしくは治療法の開発または医薬品等の開発ということでございます。二号は、ヒト胚モデルの人胎内への移植の禁止や個体産生をしないこと。三号は、ヒト胚モデルから生殖細胞の作成を行う場合、当該生殖細胞を用いてヒト胚を作成しないこと。四号は、ヒト胚モデルを他の機関に譲渡しないこと。五号は、ヒト胚モデルを譲渡した使用機関が、前各号に掲げるヒト胚モデルの取扱いの状況について、必要に応じて譲渡先から報告を求めることができること。ということで、既存の指針に合わせた形になっております。また、分譲する場合の機関内の手続ということで、第2項は使用機関の長の了承。第3項は、機関の長は各規定に適合していることを確認すること。第4項は、使用機関の長は、了承した場合には文科省やIRBに報告すること。第5項は、ヒト胚モデルの使用機関が使用期間の終了後も引き続きヒト胚モデルを取扱う場合は、上記に掲げた事項をしっかりと確保することという規定でございます。
ちょっと説明が前後してしまって恐縮ですけれども、一番上を御覧いただきますと、「ヒト胚モデルは、次のいずれかに資する基礎的研究に用いられること」ということで、分譲先でヒト胚の発生や新しい診断法に係る研究に限定する形で記載されておりますが、今回、そもそもヒト胚モデルを作成する機関につきましても、この研究の範囲というのが適用される形になります。先ほど御説明に入りませんでしたが、従前からES細胞の研究というのはこういう範囲に限られておりますので、並びを取っている形になっております。
続いて、第二十条を御説明いたしたいと思います。まず、右側の備考欄を御覧いただければと思いますが、CSTIの報告の中では、いわゆる社会とのつながりといいますか、ヒト胚モデルの研究について、国民に対する普及啓発に努めるために、研究成果の報告や情報提供してくださいといったようなことが求められております。そのため、第二十条に新たな規定を設けておりまして、「使用責任者及び研究者等は、ヒトES細胞を使用してヒト胚モデルの作成を行う場合には、あらゆる機会を利用して、研究に関する情報提供を行うとともに、普及啓発に努めるものとする。」という規定を設けてございます。
最後のページでございます。まず、第二十一条でございます。指針不適合があった場合ということで、あってほしくはないことなんですけれども、万が一、不適合な事案があった場合には公表するということを規定してまいります。
また、第二十二条と附則が空欄になっておりますが、こちらは、先ほどパワーポイントで御説明をしました、ES細胞とiPS細胞等を同時に扱うような場合の規定ですとか、附則のほうには、指針施行前から実施されている研究の取扱いについて、こちらのほうに規定を設けまして、次回以降、御説明をしてまいりたいというふうに思っております。
御説明は、以上でございます。
【八代主査】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
山田委員、お願いいたします。
【山田委員】 じゃ、山田から確認をさせていただきたいなと思うんですが、ヒト胚モデルの定義のところで、今回の文言としては「ヒト幹細胞から分化させた細胞」というふうに書いてあるんですけれども、今日の柳田先生からの御発表の中では、幹細胞だけではなくて、幹細胞から分化した細胞、あるいは、そもそも体細胞のような分化細胞、これらを混ぜてヒト胚モデルを作成することも想定されるという御案内がございましたので、この言葉はそれら柳田先生が提示されたモデルが全て含まれるような表現となっているのかどうかというのを確認させていただきたいと思います。
【木村安全対策官】 ありがとうございます。法制的にはヒト幹細胞が入っていれば適用されるという形になりますので、例えば、ここは他の細胞を含むといったような書かれ方はしてございませんが、柳田先生がおっしゃったような事例というのは当然ここに含まれるというふうに考えておりますし、例えば、ヒト胚モデルに少し動物の細胞を混ぜるといったようなものにつきましても、適用される形になると考えております。法制的な言葉と、先生方の、いわゆる科学者の方々が使う言葉は、やはりどうしても差異があると思いますので、今御説明したような、補足する、解釈といいますか、そういったところにつきましては、しっかりガイダンスの中に落とし込んでいきたいというふうに思っております。
【山田委員】 ありがとうございます。
【八代主査】 阿久津参考人、お願いいたします。
【阿久津参考人】 御説明、ありがとうございます。
例えば、何をオルガノイドと言うかとか、胚モデルは何かとか、ガストロイドとか、いろいろありますけども、これはヒトES細胞の使用指針なので、ヒトES細胞から分化するという研究が包括的に含まれますので、ヒトES細胞の使用指針については特段細かな定義というのは、僕自身は必要ないなと。包括されるので、必要ないなと思っています。それはいずれにおいても研究者側にとってもいいことで、要するに、国のガイドラインに基づいて自分の研究を審査・承認いただいているというところは、論文等々を出す上でも非常に、世界的に見ても納得のいくことかなと思っています。一方、問題というわけではないんですけども、ちょっと詳細に検討しなきゃいけないというのは、iPS細胞を使った場合かなとは思います。ES細胞の使用指針というのは、胚モデル研究、あるいはそれに類するような研究をする上では、非常に有用かなあというふうには思っています。
以上になります。よろしくお願いします。
【八代主査】 その他、御意見等ございますでしょうか。
今の阿久津参考人の御意見等に対して、事務局のほうから補足等は大丈夫でしょうか。
【木村安全対策官】 そうしましたら、参考資料2の9ページの一番下のところに、「ルールが適用されるヒト胚モデルの範囲」とございます。ヒト胚モデルの定義につきましては、先ほどの指針の中では、2行ちょっとと、かなり言葉数少なく表現をしておりますが、科学的に表現したものと言い切っていいかどうか分かりませんけれども、CSTIの報告書の中ではもう少し具体に書かれているところでございます。CSTIの報告書が取りまとまる前には、作業部会が立てられまして、そちらのほうでも「ヒト胚モデルとは」という説明がございました。ですので、実際にガイダンスをつくる場合には、こういった表現をそのまま載せるほうが研究現場にいる方々の理解はより得やすいなと思っておりますので、まさにこういった、少なくともこのぐらいの表現はしっかりとガイダンスに載せていきたいというふうに思っております。
【八代主査】 ありがとうございます。
今、事務局からの補足もありましたけども、これも含めて、御質問等あれば、お願いいたします。いかがでしょうか。
阿久津参考人、お願いいたします。
【阿久津参考人】 すみません、何度も。この胚モデル、あるいは、それに類する、この分野の研究というのは、研究者の説明責任と、最初に柳田先生に御説明いただいたように、研究計画を作成し目的や方法など内容を、研究者は説明する責任が当然出てきます。それをきちんとするというのが、これは一般的なことかもしれませんけども、それが重要になってくるのかなというふうには思います。その上で、認めていただいた環境の中で研究を実施することができますし、論文等々、先ほど言ったことですけども、論文での審査を通っている、倫理委員会をきちんと通っていますよというところも非常に重要な点でありますので、そういうふうに私は思っております。
以上です。
【八代主査】 ありがとうございます。
その他、いかがでしょうか。
中村委員、お願いいたします。
【中村委員】 中村でございます。ありがとうございます。
この後のiPS細胞のほうの指針、生殖細胞の指針のほうとも絡むというか、そちらで御説明があるのかもしれませんけど、先ほどの、ヒトES細胞とiPS細胞、両方を用いたヒト胚モデルを作成する場合の御説明のところで、ES細胞使用指針の届出をもって生殖細胞作成指針の届出に代えることを規定するというような御説明があったかと思うんですが、そうしますと、今のヒトES細胞の指針の中では、特段、そこの言及はないかなと思うんですけど、ガイダンス等で読み込ませるという形で対応するという理解でよろしいでしょうか。
【木村安全対策官】 失礼いたしました。私の説明がちょっと舌足らずだったかもしれませんが、今、画面表示をしていますES細胞の使用指針の第二十二条のところに書き込んでいくことになります。今日、方針を御説明させていただきまして御賛同いただいておりますので、実際に日本語化して、次回、こちらに書き込んでお示しをしたいと思っております。ES細胞の指針にも、iPS細胞の指針にも、両方書き込む形になるかなと思っています。iPS細胞のほうに何も書いてないと、いわゆる委任ではございませんが、あっちだよというのをしっかり書いた上で、ここで具体のルールを書いていくという形になるかなあと思います。
【中村委員】 「検討中」というのを見逃しておりました。失礼いたしました。ありがとうございます。
【八代主査】 ありがとうございます。
その他はどうでしょうか。
よろしいでしょうか。では、ありがとうございました。
続きまして、事務局のほうから、資料127-2-3に基づいて、生殖細胞作成指針の改正案についての御説明をよろしくお願いいたします。
【木村安全対策官】 それでは、資料127-2-3に沿いまして、iPS細胞関連の指針につきまして、御説明をいたします。資料の構成は、先ほどと同じでございます。
まず、iPS細胞に係る指針でございますが、現状は、枠の外でございますけれども、括弧書きの中にありますとおり、「ヒトiPS細胞又はヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針」という名称でございます。枠組みが似ていますのでこちらの指針の改正をしますが、まずはタイトルから変えないといけないということで、右側の欄でございますが、「ヒトiPS細胞等から生殖細胞又はヒト胚モデルの作成を行う研究に関する指針」ということで、名称の変更を考えてございます。
また、第一条の目的のところにつきましても、生殖細胞作成研究しか読めない内容になっておりましたので、ヒト胚モデル研究が読める形でということで、見直しをしております。
第二条の定義でございますが、まず、第二号の「生殖細胞作成研究」というところは、場所を移しております。言葉の定義を置いているんですが、登場箇所が非常に少ないということで、今回精査をいたしまして、第三条のほうに移しております。また、ヒト胚モデルの定義はES細胞指針と横並びを取った形で、第四号に同じ日本語で載せております。また、第六号、第七号、第八号に、研究計画、研究責任者、研究者等という言葉の定義を加えてございます。これは、今回、ES細胞の指針と指針間の整合を合わせるということで、こういった定義がES細胞の指針にはございますので、こちらのほうにも設けることで、この先の規定の日本語の表現をES細胞指針に全て合わせていくという形を取っております。そのための定義でございます。
続きまして、第三条でございます。指針の適用範囲ということで、現状は生殖細胞作成研究にしか適用されない形になっておりますので、ヒト胚モデル作成研究にも適用されるというところを第二号に追記してございます。また、生殖細胞作成研究のほうも少し長くなっておりますが、これは、生殖細胞作成研究の定義をこちらに移してきているために少し長くなっているという形になっております。
続きまして、第四条を御覧ください。まず、章名の改正、「第二章 生殖細胞作成研究の要件等」とございますが、生殖細胞を載せたままですとヒト胚モデルが読めませんので、「生殖細胞」の日本語を削るということをやっております。また、第四条の第二号におきましては、逆に生殖細胞しか読めない形になっておりましたので、ヒト胚モデルを読めるような形にしております。これは何を読めるようにしているかといいますと、上の箱になりますが、この指針が適用されるのは基礎的研究ですよと。また、「ヒトの発生、分化及び再生機能の解明」や「新しい診断法、予防法若しくは治療法の開発または医薬品等の開発」ということで、そういった研究分野に限ってヒト胚モデルの作成ができますよという規定でございます。
第五条でございます。こちらの研究機関の要件につきましても、ES細胞の指針に合わせる形での見直しをしております。また、ヒト胚モデルが読めるような形にしております。第五条3項につきましては、第十五条のほうに移しております。これも、表現の仕方をES細胞の指針に合わせる形にするために移しているというものになります。
第六条を御覧ください。禁止行為でございます。ES細胞由来のものと同様に、ヒト胚モデルの人または動物の胎内への移植や、その他の方法による個体の産生を禁止する条項でございます。
第七条を御覧ください。第七条の2項でございますが、こちらは、ES細胞の指針でもございましたが、作成したヒト胚モデルを他の研究機関に分譲する場合の取扱いでございまして、規定の内容につきましては、ES細胞の場合とそろえた形とさせていただいております。
次のページを御覧ください。第九条を御覧いただければと思います。こちらにつきましても、ヒト胚モデルを読めるようにしつつ、ES細胞の指針と表現を合わせるための見直しをしてございます。いわゆる研究責任者の方が研究計画を作成し、それを機関の長に出すというルールでございます。
第十条を御覧ください。こちらは、倫理審査委員会、機関内IRBの規定でございます。指針間で整合、ES細胞の指針と表現ぶりを合わせるということで見直しをしてきております。特に中ほど、たくさん書き換えているように見えますが、いわゆるIRBの委員の資格の要件でございます。左側を見ていただきますと「生物学、医学及び法律に関する専門家、生命倫理に関する意見を述べるにふさわしい識見を有する者並びに一般の立場に立って意見を述べられる者から構成されていること。」とございますが、こちらの規定、ES細胞の指針のほうが以前見直しをされておりまして、右側の表現に改められております。もともとこちらのiPS細胞の指針もES細胞の指針に合わせて書いていたんですけれども、先にES細胞の指針が変わってしまったということで、後追いになりますが、右側の形に見直しをさせていただければというふうに考えておりますけれども、引き続き、生物学・医学の専門家、倫理学・法律学の専門家、一般の立場に立って意見を述べられる者は含まれる形になっております。また、明文化するということで、第5項でございますが、研究計画を実施する研究責任者、研究者等は、IRBの、特に意思決定のときには同席をしない。説明はできるけれども、意思決定の場には同席をしないといったようなところを明文化する形を取らせていただいております。
続いて、第十一条を御覧ください。こちらは研究計画書に記載する事項についてでございます。こちらも、ES細胞の指針に合わせつつ、所要の見直しをしてございます。まず、黄色にしているところでございますが、ES細胞の指針のほうでも御紹介いたしましたけれども、いわゆる培養期間の設定に関する記載を設けております。第六号、第七号につきましては、ヒト胚モデル研究には適用されませんので、頭のところに「生殖細胞の作成を行う場合には、」という注意書きを新たに設けております。また、左側の第四号を御覧いただければと思うんですけれども、現状、研究計画書の中に「研究者の氏名、略歴及び研究業績」という欄を設けておりますが、こちらを、研究計画書本体から落とします。
次のページを御覧いただければと思います。第十三条でございます。文部科学省に御提出いただく際の資料の構成でございますけれども、先ほど申しました研究者の関係もございますが、今度は研究責任者ですけれども、その略歴ですとか、研究業績を示す資料。これは、近年、他の指針では研究計画書本体ではなくて添付という形にしておりますので、こちらの指針でもそれに合わせた形を取らせていただければと思っております。
続いて、第十四条を御覧いただければと思います。研究計画の変更の関係でございます。第1項につきましては、表現を改めたものでございます。他の指針では第1項の内容を二つに分けて記載していますので、こちらの指針でも二つに分けてということで、大きな変更はございません。変更がありますのは第5項でございますけれども、いわゆる実質的な内容に係らない変更があった場合には、倫理審査委員会及び文部科学大臣への届出ということで、実質内容を伴わない変更に係る規定がこれまでなかったものですから、そちらを明文化させていただきました。
続いて、第十五条を御覧ください。進捗状況の報告、IRBの報告ですとか、あるいは文部科学省とのやり取りの関係でございます。これも、他の指針に合わせる形での見直しをいたしております。
第十七条、こちらの指針ではICが書面に限定されておりましたので、電磁的手法につきましても付け加えさせていただきました。
また、第十八条でございますが、CSTIの報告書では、iPS細胞等を用いてヒト胚モデルを作成する場合には、ICの取り方については医学系指針に則った形としてくださいというふうに書かれております。既存の指針の中では生殖細胞の作成だからということで特別のICの取り方をしておりましたけれども、ヒト胚モデルにはそういった特別な取り方は適用されませんので、第十八条のところには、頭のところに「生殖細胞作成研究における」ということを明記いたしまして、ヒト胚モデルには適用せず、医学系指針に則ってやっていただくという形にしようと考えております。特別な規定がございませんので、こちらの指針の中にヒト胚モデルの場合にはこういったICを取ってくださいというのは条文上は書かれることにはなりませんが、研究者の方々への分かりやすさということで、ガイダンスのほうには、そういったICの手続が必要だと、解説につきましてはしっかりと書いていきたいと思っております。
続いて、第十九条、個人情報の保護でございます。「第六章に移動」とございますが、第五章は生殖細胞作成研究に限定して適用される章でございますので、個人情報の保護は当然ながらヒト胚モデル研究に適用されますので、章を移す形といたしております。
第二十条には、研究成果の公表等について、先ほど説明したものと同じ内容の規定がございます。
また、第二十二条と附則は空欄になってございますが、本日のパワーポイントで御説明をしました、iPS細胞指針とES細胞指針を兼ねる場合の規定ですとか、施行前後における対応についての規定をこちらに設けて、次回の会議で御説明をさせていただきます。
説明は、以上でございます。
【八代主査】 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等ありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
阿久津参考人、お願いします。
【阿久津参考人】 御説明、ありがとうございます。1点、ちょっと確認させてください。
生殖細胞分化の場合、IRBでの承認と国での審査ということになっていたと思うんですけども、胚モデルは届出でよろしいんですよねという確認です。
【木村安全対策官】 CSTIの報告におきましては国のほうに届出という形になっておりますので、国のほうで審査する形にはしておりません。あと、今、生殖細胞はとおっしゃっていましたけれども、今、幹細胞由来生殖細胞を受精する場合には国のほうで審査をしようという議論がCSTIのほうで進んでおりまして、仮に生殖細胞の受精が解禁されれば国での審査になるかと思いますが、現状、iPS細胞等から生殖細胞を作るまでであれば、届出の形といたしております。ですので、既存の指針と同じという形になります。
【阿久津参考人】 ありがとうございます。
もう1点は幹細胞由来の生殖細胞の受精のことが反映されているのかなという質問だったんですけども、まだ下には下りてきていないということになりますね。
【木村安全対策官】 さようでございます。今、CSTIのほうで議論が進んでおりまして、仮にそちらで結論が得られれば、こちらの指針に反映させていくことになりますが、今、お話のございました生殖細胞の受精の話につきましては、胚モデルと同時に改正いたしますと議論がかなり複雑になってしまって分かりづらいので、ちょっと切り離して、今回は胚モデルだけの御議論とさせていただいております。
【阿久津参考人】 分かりました。承知しました。ありがとうございます。
【八代主査】 ありがとうございます。
その他、いかがでしょうか。御質問、御確認の件等ありましたら、お願いいたします。
よろしいでしょうか。
それでは、ありがとうございました。本日の御意見を踏まえまして、事務局におきまして改正案を修正して、次回に提示いただきたいというふうに思います。
それでは、続きまして、事務局から、資料127-3に基づきまして、今後の検討予定についての御説明をよろしくお願いいたします。
【木村安全対策官】 本日は、貴重な意見を賜りまして、ありがとうございました。今後につきましてですが、来月下旬に改めてこちらの委員会を開催いたしまして、今日、空欄であった場所も含めまして、改めて改正案の御説明をいたしたいというふうに思います。仮にその場で御了承いただければの話でございますが、最速で8月以降、生命倫理・安全部会での御議論、パブリックコメントを実施していきたいと思っております。また、ガイダンスにつきましても、御相談をしながら、施行に向けて準備をしてまいりたいと思っております。
次回の会議の予定ですが、調整でき次第、対外的に公表してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
【八代主査】 ありがとうございます。
ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等ありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
ないようでしたら、事務局から説明があったとおり、今後も引き続き、具体的な検討を進めていきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日、こちらで準備いたしました議題に関しては、以上となります。
最後に、事務局から連絡事項がありましたら、お願いいたします。
【橋本室長補佐】 事務局でございます。事務局から連絡事項をお伝えさせていただきます。
本日の会議はYouTubeによるライブ配信で公開させていただきましたが、後日公開する議事録が公式な記録となります。本日の議事録につきましては、事務局において案を作成した後、委員の先生方に御確認をいただいた上で、文科省のホームページにて公開させていただきます。
事務局からは、以上でございます。
【八代主査】 ありがとうございます。
それでは、ちょっと早いですけれども、本日は閉会とさせていただきます。皆様、お忙しいところを御参加いただきまして、ありがとうございました。引き続き、よろしくお願いいたします。
―― 了 ――
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