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科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会

2002/2/18議事録
科学技術・学術審議会 生命倫理・安全部会
試験研究における組換え生物の取扱いに関する小委員会(第2回)議事録

     
科学技術・学術審議会 生命倫理・安全部会
試験研究における組換え生物の取扱いに関する小委員会(第2回)議事録
     
1. 日時    平成14年2月18日(月)14:00〜16:00
     
2. 場所    経済産業省別館1014会議室
     
3. 出席者  
  (委   員) 吉倉主査、小幡委員、甲斐委員、加藤委員、鎌田委員、久保委員、杉山委員、
武田委員、広海委員、藤田委員、別府委員、水野委員
  (事務局) 菱山室長 外
     
4. 議題  
     (1)国内外の組換え生物に係る研究開発の動向等について
     (2)組換え生物に係る諸外国の規制(試験研究関連)について
     (3)試験研究に関連するカルタヘナ議定書担保事項について
     (4)その他
   
5. 配付資料
  資料2−1 組換え生物に係る開放的環境下での研究開発の状況
  資料2−2 組換え生物の取扱いに係る現状及び意向(アンケート調査中間整理)
  資料2−3 組換え生物に係る諸外国の規制(試験研究関連)
  資料2−4 試験研究関連のカルタヘナ議定書担保事項と検討のポイント(案)
  (参考資料)  
  参考資料1 生物の多様性に関する条約
  参考資料2 バイオセーフティーに関するカルタヘナ議定書(文部科学省仮訳)
  参考資料3 組換えDNA実験指針
  参考資料4 農林水産分野における組換え体の利用に関する指針
  参考資料5 組換えDNA技術工業化指針
  参考資料6 生物遺伝資源の収集・保全に関する取り組み
  参考資料7 OECD「組換えDNA技術の安全性の考察」
  参考資料8 OECD「バイオテクノロジーに関する安全性考察:作物のスケールアップ」
及び「組換え植物の野外試験の分析1986〜1992」


【吉倉主査】  それでは、大きい部屋を半分で使って、何となく落ちつかないんですが、始めたいと思います。よろしくお願いします。

【事務局】  田中委員が本日ご欠席でございます。それと、久保委員につきましては30分程度遅れてこられるということなんですが、ほか、別府先生、広海委員お二人は伺っておりませんが、間もなくお越しになると思います。よろしくお願いいたします。

【吉倉主査】  それでは、まずきょう配られた資料の確認をお願いいたします。

【事務局】  議事次第等を除きまして、資料につきましては、2−1から2−4までがございます。頭の2というのは2回目という意味でございまして、1つ目は「組換え生物に係る開放的環境下での試験研究の状況」、資料2−2が「アンケート調査中間整理」、2−3が「諸外国の規制」、それから2−4が「カルタヘナ議定書担保事項と検討のポイント(案)」ということでお配りしております。参考資料につきましては、前回のお約束どおりでございますが、この赤いファイルにとじさせていただいております。加えて、ちょっと古いんですけれども、OECDのほうでかつて封じ込めあるいは野外試験に出していくときに、どういった安全管理の考え方が必要かという観点でまとめられた報告書がございます。これは大分古いですが、非常に重要なターニングポイントになっているものでございますので、和訳を2つ、参考資料に添付させていただいております。以後、またそれをファイルの中に追加いたしまして、再度配付するようにいたしたいと思っております。
 不足がございましたら、随時ご指摘いただくようにお願いいたします。

【吉倉主査】  それでは、早速議題に入りたいと思うんですが、2回目ですけれども、そこにありますように、最初に、「国内外の組換え生物に係る研究開発の動向等について」、これは資料2−1と2−2、それから「諸外国の規制」、これはほんとうはもとのを見たほうがいいかもしれないですが、一応取りまとめいただいて、大体感じがわかると思うんです。それが資料2−3。あと、「検討のポイント」というので2−4、これは事務局がまとめられたもの、大体そういう順序でやりたいと思います。
 それでは、まずは国の内外の研究について調査されたところを、これは事務局からお願いします。

【事務局】  試験研究の現状ということで、前回も若干ご議論いただいたわけなんですけれども、あまりに時間が少のうございまして、十分な意見交換とか情報交換をしていただく余裕がございませんでしたので、新たに資料2−1、2−2をお示ししながら、そのあたりの意見交換の材料にしていただければという観点でまとめたものでございます。
 資料2−1のほうから簡単にご説明したいと思います。「組換え生物を用いた開放的環境下での試験研究の状況」ということでございますが、国内の状況を一番左に、それから真ん中に米国等国外の状況・取り組み例といったことを示しております。米国がほとんどでございますので、米国等と書いてございます。特に注記がない限りは米国に関する記述であるということでございます。あと、備考に関しましては、アメリカの規制を簡単に紹介してございます。
 このデータそのものは、一番下に書いてありますように、米国のバイオテクノロジー情報システムあるいはOECDのホームページから整理したものでございまして、正確性につきましてはどこまでのものかまだ明確ではございませんが、このあたりからの情報を参考にまとめたものでございます。
 共通事項としまして、全体で野外試験が、アメリカでございますが、7,400件強が行われておって、これは何らかの規制の枠組みにはまってくる植物、微生物、無脊椎動物等の集計になろうかと思います。ですから、屋外で飼養されている家畜等の実績はこの中には含まれておりません。
 それから、植物に移りますと、国内の状況におきましては、農林水産省の農林水産分野において組換え植物の生産・販売を行おうとする者の申請による模擬的環境利用、これがいわゆる隔離圃場での試験でございますが、166系統行われている。開放系利用を行ってよいかという申請につきまして確認が行われたのが、61件に及ぶ。これは稲、トウモロコシ、大豆等ございますが、そのほかパパイヤとか、かなりの幅に及んでございます。
 文部科学省のほうでは組換え植物の屋外隔離区画での栽培に関する計画を過去2件審査しております。これは大学のみの数字でございまして、大学以外ではその審査をしたことはございません。それから、非閉鎖系区画という屋外隔離圃場に出す一歩手前の網室等の区画におきましては、組換え植物の安全性評価を行うということで、新規計画として過去58件、審査してございます。これは旧科学技術庁所掌の指針に基づく枠組みでございましたので、大学等以外の数字のみでございます。
 植物で、米国等国外の状況・取り組み例を見てみますと、屋外実験の段階まで進んでいるものが7,000件ぐらいある。それから、特徴といたしましては、シロイヌナズナ等直接生産・販売に利用が見込まれない植物が屋外試験されている。あるいは木本類、ポプラ、松、果樹などの野外試験が非常に頻繁に行われている。
 参考といたしましては、アメリカの規制、連邦植物病害虫法の規制のもとに野外試験が行われているということが書いてございます。
 家畜につきましては、日本国内で言いますと、閉鎖系実験室・飼育室での飼育のみでございますが、海外におきましては組換え家畜の屋外飼育が行われておる。野外試験をやっているとして示しておりますものの中にはオランダあるいはニュージーランドもございます。アメリカには組換え家畜の野外試験を対象とする規制が現在見当たりませんが、単に屋外に畜舎がございまして、その周りに屋外柵がついておるというような状態での組換え家畜の飼育は野外試験の範疇に入らないという考え方のようでございます。
 それから、魚類につきましては、閉鎖系の水槽での飼育のみが国内で行われておりますが、海外では成長ホルモン産生遺伝子を導入したコイ、ナマズの野外試験が、アメリカでございますけれども、行われている。そのほかアメリカ、カナダの企業が水産利用を目的に、キングサーモンの親魚を増殖させる規模の水槽を利用して、今その実用を目指しているというところでございますけれども、開放系の水系に放飼が行われた実績はございません。米国には組換え魚類を対象とする野外実験を対象とする規制も、現在見当たりません。
 無脊椎動物につきましては、国内では、これまた閉鎖系実験室での飼育のみということになりますが、アメリカのほうでは、ダニ、線虫、蛾の野外試験、これはマーカー遺伝子を導入したこれら動物の環境中での動態を調べるというのが目的でございまして、直接にこの組換え体を利用していこうというような形ではございません。この無脊椎動物の野外試験は植物病害虫法の規制のもとに行われている場合が多うございます。
 それから、微生物につきましては、日本国内は組換えワクチン等は屋内での研究のみ、組換えワクチンを接種した動物個体を非閉鎖系区画で飼育する計画が、過去3件ほど審査した実績がございます。
 一方、海外に目を向けますと、組換えワクチンを接種した家畜の屋外での飼育が行われておりまして、その中でも、その実績を踏まえ、狂犬病ウイルスワクチンやオーエスキ病ウイルスワクチンなどが一部実用化にまで至っております。これは、フランス、オーストラリア、オランダ、ニュージーランドなどでもございます。また、バイオレメディエーションとか微生物農薬あるいは組換え根粒菌の野外実験などが行われています。
 これはアメリカにおきましては連邦植物病害虫法、先ほどから出ておりますこの法律と有害物質規制法、あるいはウイルス・血清・毒素法の規制のもとで行われているというのが現状でございます。
 最後の3枚目には、最近の読売新聞の記事で、比較的わかりやすくアメリカの現状が書かれたものがございましたので、添付しております。この中でも無脊椎動物の蛾の屋外試験の様子が書かれておりますが、クラゲのGFP遺伝子、緑色に蛍光する遺伝子を入れましたワタキバガをアリゾナ州の綿花畑に放つというようなことでございますが、いわゆるワタキバガの行動を追跡するような、極めて基礎的な実験として行われているというのがわかるかと思います。
 引き続きまして、資料2−2のほうに移らせていただきます。組換え生物の取扱いの現状及び意向ということで、アンケート調査をいたしました。まだ中間段階ではございますが、その中間段階の概要を、極めて簡単なまとめでございますが、お示ししたいと思います。
 このアンケート、国内措置の検討を行うに際しまして、特に試験研究における対応のあり方を検討するための基礎資料とするためのものです。組換えDNA実験実施機関が大体600から650機関程度になろうかと思うんですが、アンケート調査を送付いたしまして回答を求めました。今の段階では238機関からの回答について整理を行っております。質問内容につきましては、屋外の区画に組換え生物を導入する場合に焦点を当てるものとしたということで、多くの問いに関しましては、そういう場面の問いになってございます。
 ここで「屋外の区画」という言葉でございますが、アンケート中にも同じ定義を示しておるんですけれども、「屋外の区画」は文字どおり屋外の区画、隔離圃場とか通常の圃場、草地あるいは養魚池といいましょうか、人工池等を指しますが、ここではいわゆる閉鎖系の実験室・温室・動物舎、組換えDNA実験指針にいいます非閉鎖系区画以外の何らかの封じ込め措置がとられていない通常の温室、動物舎等が入るということで定義させていただいた上で、回答を求めております。
 問1、2につきましては、これは屋外の区画等とは関係のない質問なのでございますが、まず組換え生物をどの程度の機関がやり取りをしているかという実態を簡単に把握いたしました。238機関からの回答に対しまして、「国外から取り寄せることがある」と答えたのは186、「国内から譲り受けることがある」ということに関しましては221機関ということで、ほとんどの機関が組換え体を譲り受けながら仕事をしている。さらには「国外に送付することがある」のが140機関、「国内へ譲り渡すことがある」というので184機関ということで、組換え体は、むしろこの逆をとりますと、機関内のみで完結するような組換え体の作成なり実験だけ行っている機関は非常に少ないということが言えるかと思います。
 1枚めくりまして、「組換え生物の屋外の区画への導入を行う計画があるか(見込みを含む)」ということで、その件数を集めてみました。問3に関しましては、国内で開発した組換え生物を国内の屋外の実験区画に出すことがあるかどうか、問4は、国外から取り寄せた組換え生物を屋外の実験区画に出すことがあるかどうか、それから問5につきましては、国内開発のものを海外の屋外の区画で用いるために送付することがあるかどうか、このあたりを聞いてございます。
 国内開発LMOを国内の屋外区画へ今後出したいと考えているところは51機関ございます。それから海外開発LMOを国内の屋外区画へ出したい、輸入して、直ちにかどうかわかりませんが、それを屋外の区画に導入したいと考えておられるのが23機関、それから国内開発したけれども、海外の屋外区画に出して、その性能を調べるなり実験をしたいというのが16機関ということになってございます。
 問6につきましては、植物について、どのような屋外区画に出すかということを問うております。植物について屋外の区画で実験があり得るとする機関のみ、書いてございませんが、複数回答でお答えいただいております。いわゆる特にバリアを張りめぐらせたような形でない「通常の温室」でいいんだというところが33件、それから「屋外隔離圃場」でやりたいというのが35件、その枠も取り払った形での「一般の圃場」でやりたいというのが9機関ございます。
 それから、「組換え生物を屋外の区画に導入する目的は何か」ということでお伺いしております。これも複数回答可ということで書いてございますが、上のほうから、「実用への前段階として、主として組換え生物の環境に対する安全性を調べる」が34、同じく「組換え生物の利用上の有用性を調べる」というのが41、これに対比いたしまして、「その組換え生物そのものの利用はせず、導入した形質の環境に対する安全性を調べる」というのが10件、さらに「その組換え生物そのものの利用はせず、主として導入した目的形質の屋外での発現状況等を調べる」というのが23件、さらには「生態系等の理解のため」、先ほどの蛾の例などが近いと思いますが、「組換え生物を自然環境中に放飼し、その動態を調べる」というのが5機関、「その他の目的」等もございますが、そういった形でいっております。ですから、この真ん中、3本目から、5本目あたりは、比較的純粋に実験的性格を帯びたものというようなものございます。
 問8についてですが、「屋外の区画への導入に関し直面している状況等」、該当するものがあれば示してくださいということで、複数回答で求めております。現在、「屋外の区画に出すべき組換え生物を既に開発しており」、さらに屋外区画の「実験の準備中である」というのが24機関ございました。同じく「屋外の区画に出すべき組換え生物を既に開発しているが、区画設計やリスク評価の方法が明らかでない(わからない)ため、計画が進捗していない」に該当する機関が11機関。同じく開発済みであるが、「区画設計やリスク評価に掛かる労働力・経費等が用意できず、計画が進捗していない」という機関が13機関。それから「屋外の区画に出す組換え生物を作出中である」というのが14機関、あと「屋外の区画を整備済み」あるいは「整備を具体的に計画している」というのが5件ずつほど挙がっております。
 こういったとりあえずの取りまとめでございますけれども、意向なりがうっすらとは浮かび上がってくるのではないかと思います。ご参考にしていただければ幸いでございます。

【吉倉主査】    そうすると、自分も関係していてわりとよく知っていると思っていたんですけれども、こうやって調査してみると、これはどういうことかなとちょっと疑問に思うところも多分にあるんです。これを見ると、1つは国内状況をデータベースから調べたもの、それからあとはアンケートです。アンケートはどういうスタンスで答えているか、解釈には多少とも注意したほうがいいと思いますが、一体今の組換え生物に関してどういう状況か、あと組換え生物の野外区画への導入を行う計画があるかが一応分かると思います。今後どうなるんだろうかというふうなことも少し分かると思います。というようなことで、少しこれについてご意見をいただきたいんですが、最初に、問1なんですが、これはコマーシャルで売っているベクターも入っているんでしょうか。

【事務局】  入っております。その辺、明確に問いの中で説明しておりませんので、解釈が割れている可能性がありますが、組換えウイルスであっても、組換え体の輸入に当たると思います。

【吉倉主査】  買っているのもひょっとしたら入っているかもしれないですね。
 それじゃ、委員の先生から、少しこれについてのコメントを。質問しても、これはアンケートなので、これ以上どうしようもないところもあるかもしれないんですが、鎌田先生あたりからいかがですか。

【鎌田委員】  1つは、今の主査の言っていた話で、要するに売っているものはどういうふうに解釈しているのかなと、若干これを見ていてわからない部分があって、多分売っているものもある意味では輸送したりしているということで、入れるということになれば、ほんとうはもっと多いのかなと、ほとんどすべてがそれでやっているはずだと思うんだけれども。
 あとは、組換え体の環境放出については、アンケートをいただいたときにちょっとわからなくて、要するにどれくらいのタームのことを将来として考えているかが若干見えなくて、我々の中では少し長目に考えてみたらということで、一応大学の中では調査依頼をしていただいたというところがあるんですね。まあ、でも、こんな数字かなというか、調査はまだあと2.5倍ぐらいあるわけですね。

【事務局】  はい、多分まだ2倍以上は集まっていると思います。

【鎌田委員】  それぐらいの数字かなという気がしないではないです。少なくとも植物を考えると、それぐらいが実数としてふさわしいかもしれない。

【加藤委員】  質問なんですけれども、今買っているとおっしゃったのは、組換え生物自体の売買ですか。

【吉倉主査】  ベクターでしょうね、ベクターでも組換え体には違いないから。

【加藤委員】  そういう意味ですか。わかりました。

【吉倉主査】  それにまた遺伝子を入れて使いますから。

【加藤委員】  ちょっと思いましたのは、EUですと、組換え生物自体を販売するときに規制がかかってくるはずなんですが、EUの規制の中ではベクターの売買は入ってこない・・・。

【吉倉主査】  これはいわゆるプラスミドベクターを入れているか入れていないか、ちょっとわからないんですね。いわゆる自律性のあるものだけをこのアンケートで答えているか、組換え体と言うと、組換え生物と言う場合、ベクターも頭に入れちゃって考えている人が多い。ひょっとしたら、アンケートを答える人によっては、ウィルスとか細菌とか、そういう組換え体を頭に入れている人もいるし、僕みたいに、今のプラスミドベクターみたいな、あんなのを入れている人もいるかもしれない。

【水野委員】  資料2−1のほうなんですけれども、これは組換え生物だけを書いておられるんですけれども、クローン生物、いわゆるクローン牛とかクローン豚とかいうのは今いろいろやられていますけれども、それは一応細胞融合というようなことからすればLMOに入ってくるわけですね。そういうものは全然入ってないんですね。

【事務局】  そうですね。入っておりません。

【水野委員】  ですから、家畜のほうではそういうところはわりあい多くなってくるんじゃないかなと思いますね。

【吉倉主査】  これは、組換え生物の定義はつけてやったんですか。

【事務局】  はい。カルタヘナ議定書の概要を頭につけてやっておりますので、一応基本的には簡単な説明を加えております。

【吉倉主査】  そうすると、プラスミドは除くようになっていますかね。

【事務局】  それは、回答欄で例えば実験用植物とか、そういうふうに生物種を切って実はお答えいただいておりまして、プラスミドというのはその回答欄からいたしましたら答えにくいので、その他分類がわからないものはここに書いてくださいという欄がございまして、もしそこにプラスミドと特記してあるものがあれば、私は一々全部見ておりませんので、答えられないんですが、除外することは可能だと思いますが、プラスミドを例えば植物とカウントして入れてくるというケースはあまりないと思いますので、純粋に組換え生物として意識して答えられているケースが多いと思います。
 あと、ウイルスにつきましては、病原性のある微生物という欄の中にウイルスを含みますということを書いておりますので、組換えウイルスについてもその欄に入れてくると思います。

【武田委員】  ちょっと質問になっちゃうんですけれども、アンケートの中の2−2の3、4、5の放出するということですけれども、この中身は大部分は植物なんですか。例えば今のところ、まだ現状では閉鎖系のみで飼育されている魚類、それから無脊椎動物、家畜なんかはこの中に希望として入ってきているわけですか。どのぐらいの割合ですか。

【事務局】  今回分析をお示しできてないんですが、次に多いのは微生物だと思いますが、動物なども含まれていたと思います。そのほかの生物は、済みませんが、詳細まで記憶に中に入っておりません。

【武田委員】  アンケートでは答えてもらっているんでしたっけ。

【事務局】  アンケートでは、実験用植物とそれ以外の植物、実験用というのはシロイヌナズナ等をイメージしているわけなんですけれども、それから動物につきましては、昆虫類、実験用のラット、マウス、そういったもの、それ以外の動物は家畜などを中心にですが、そういったもの。それから微生物につきましては、病原性のあるもの、ないものというような形で聞いておりますが、そのあたりどうしても明確に分けられないものですから、かなりの誤解を含んだ形での回答になってくると思いますが、ぼんやりとその様子は浮かんでくると思います。

【別府委員】  アンケートについて、質問と意見というかですけれども、質問は極めて変な質問なんだけれども、このアンケートは本委員会のこれからの作業にどういうぐあいに関係するのかということですね。要するに、これでこういう実験をやっているというのを調べ上げておられるわけだけれども、仮にこういう実験はやってないから、そこは本委員会は議論しないというわけにはいかない。要するにカルタヘナか何かで外枠は既に与えられている、そういう具合に考えますと、このアンケートは一体この作業にこれからどうフィードバックされるのかが、ちょっとイメージがわかないということが1つ。
 それからもう一つは、調査そのものなんですけれども、組換え生物という抽象的な質問になっているんだけれども、実際は組換え動物、組換え植物、組換え微生物、微生物でも例えば組換えワクチンというようなもう少し具体的な調査が、もしするならば、必要なんじゃないか。相反することを言っているみたいなんですけれども、ちょっと伺っておきたいなと思っているんです。

【事務局】  2つ目の点につきましては、先ほど武田委員のほうにお答えしたのと同じように、生物種ごとの枠を掲げております。ただ、ちょっとそこが急造品でございまして、あまり精緻ではないんですが、組換えワクチンとかいうような形にはっきりと明記はしていないんですが、病原性のある微生物を入れる、入れない、病原性のない微生物を入れる、入れない、それから出したいとかいうような形で、分けては聞いております。

【別府委員】  微生物のときに、特に目に見えませんので、いわゆる環境放出で、バイオレメディエーションなんというので、プログラムが少しずつ近づいていますので、きちんと調べておいたほうがいいと僕は思うわけですね。だけど、一方で、ほかの昆虫とか植物というのも当然把握しておいたほうがいいだろう、そのアンケートをするという立場から言えば、そういうことが言えると思うんです。

【事務局】  昆虫、それから魚類の枠も設けております。それがどこまで正確に相手に理解されているかという意味でちょっと明確でないですが、ぼんやりした姿は多分お示しできるんじゃないかと思います。
 それと、このアンケートの位置づけでございますけれども、現状を踏まえて、その現状に対応するということではなく、当然制度設計の中で、現状をなるべく明らかにした上で、具体的なビジョンを持ったほうがいいという趣旨でございますから、あくまでこれは参考の議論ということで、もっとより将来を見渡して、あり得ることとか、またありそうなことについては、想像を膨らませた上での議論をしていただいて結構だと思います。

【別府委員】  いや、この委員会の結論の中に、このアンケートの調査結果みたいなのを述べるとすると、これはかなり微妙な問題もあるし、できるだけいろんな立場から考えてやらなければいけないと思うんですね。

【小幡委員】  私のみが法律が専門でして、技術的に素人の立場で加わっていて申しわけないんですが、問1と2の国内外取り寄せ、送付の形態ですが、素朴な素人としての疑問ですが、売り買いという形かどうかも含めて、こういう組換え生物についてのルートというか、そういう決まったものがあるのでしょうか。

【鎌田委員】  私のほうからお答えしましょうか。

【吉倉主査】  はい。

【鎌田委員】  1つは、例えば実験に使うときに、ヒトの遺伝子の解析をしたいときに、1つは会社が売っているものを買う、さもなかったら、それで足りなければ、例えば日本の研究者が持っている先生がいるとか外国に持っている先生がいるときに、連絡をして送ってもらうというふうにして手に入れるのが一般的です。

【小幡委員】  そうですね。そうすると、大体は有償で、何がしかの売買という形ですか。

【鎌田委員】  有償の場合と、研究者間だと普通は無償です。

【小幡委員】  あるいは外国の研究者との共同研究のようなものは入ってないのでしょうね、おそらく。

【鎌田委員】  いや、共同研究でも入ります。

【吉倉主査】  あともう一つは、もらうときに向こうからサインしてくれというのがありますね、研究所と研究所間のとりきめとして。要するにこれはこういうことにしか使っちゃいけない、そういうコントラクトみたいなもの、商業用に使ってはいけないとか・・・。

【小幡委員】  実験用にと。

【吉倉主査】  あるいはほかの人に渡しちゃいけない、そういういろんな制約がついているのもあるし、それから、どこでもあるようなものだと、まあ形態はいろいろだと思います。

【小幡委員】  研究者間、知り合いの研究者で譲り受けるという可能性もあるとすると、特に有償でなく、頻繁になされているということですね。

【杉山委員】  今ディスカスされていることですけれども、学術的に言いますと、学術論文に公表したものは、基本的には譲り受ける相手があったときには、出さなければいけないというのが一般化してきているんですね。

【小幡委員】  他の研究者にも譲り渡さなければいけないということですね。

【藤田委員】  今度ちょっと違うケースだと思うんですけれども、実は我々が今よく使っているのに、環境ホルモンをバイオアッセイするんですね。そのときに、実はヒトの遺伝子が入っている酵母を使っているんです、レセプターの中に。これは実は厄介なんです。というのは、我々のレベルだと問題ないんです。酵母もいただけます。ところが、それを商業利用したい会社が幾つも出てきているんですね。それを今どこかでひょっとしたらもうやっているかもわからないし、それはどこで許可をもらっているのかわからない、そういう場合もあるでしょう。そうすると、それは特許をとっているんだったら特許にかかわるし、あるいは特許はとっていなくてオープンにしているのであれば、もしかすると自由に使えるのかもしれないし、その辺のところはまだ確認はしていませんけれども。

【吉倉主査】  現実としてどういうぐあいに数字を見るかはあるんですが、実際上、かなりルーチンにやられている。
 それから、例えば国内開発の組換え、屋外区画というの、これは時々ありますね。甲斐さん、何か知っていますか。たしかリンダペーストなんかはこれに当たるんじゃないですか。

【甲斐委員】  どれでしょう。

【吉倉主査】  2ページ目の。国内開発した組換えを海外でやるというの。

【甲斐委員】  そうですね。まだ実験レベルですけれども。

【吉倉主査】  実験レベルは、国内で・・・。

【甲斐委員】  開発したものですね。

【吉倉主査】  開発したものを外国でやるというのはありますね。

【甲斐委員】  実験はイギリスでやっていますね。あと、やりたいというか、国家間での取り決めまでいって、実質的には行われなかったというのが、インドとケニアとも話し合いはしましたね。

【吉倉主査】  そうですね。

【甲斐委員】  ですから、そういうケースはあります。

【吉倉主査】  やり取りの場合は、何かの格好で文章のやり取りが伴うのが普通、まあ売り買いは別として、商売の場合は。

【武田委員】  実際にやり取りしている件数がこれだけあるということですが、みんなどのようにやり取りしているかという調査もやると・・・。(笑)

【吉倉主査】  基本的には、文部科学省の組換えだと、組換え体の受け入れ、それから譲渡の書式を使ってやることになっていますから。

【武田委員】  それが周知徹底されて、みんなそういうルールにのっとってやっているかどうかということなので、いいんですかね。

【杉山委員】  マテリアル・トランスファーということで、エキスパートの周辺の組織ではそういったものは最近随分加味されてきたですね。ですから、機関の長とかリーダーシップをサイエンティストとして持っているところが、サインをしながら、きちっとしたコントラクトがあってというのが、むしろ外から来るアメリカとかヨーロッパから来るものに触発されて、だんだん整備されているという状態だと思いますね。

【吉倉主査】  科研費のときはあれをつけないとまずいから、大体文部科学省科研費にかかわるものはついていますね、譲渡のものは。

【武田委員】  特許とか知的所有権のやり取りじゃなくて、つまり組換え体を出すときの別途のルールみたいな、どういうふうにやっているかというのは、つまりマテリアル・トランファー・アグリーメント、MTAみたいなの、それはどんな場合でも、いろんな場合で生じていますね。でも、事組換え体に関しては、いろんな国の事情があるし、私たちの国の事情もあるだろうし、その辺はどのようになっているのかなと。

【吉倉主査】  先生のところはどんなぐあいなんですか。

【武田委員】  ほとんどやったことがないので、僕のほうは。もちろんMTAを結ぶというのは最近増えていますし、いいんですけれども、例えば組換え体のリスク評価とか、そういうのは完全に研究者に任せて大丈夫だと何かサインがあれば、それで相手も通っちゃうし、こっちも通っちゃうものなのか、実はそれが僕はわからないんです。僕だけわからないかもしれないんですけれども、おそらく頼まれたときには自分で判断して出しちゃうという可能性もありますね、MTAとは別に。

【甲斐委員】  このアンケート、ほんとうに分類をしていただいたほうがいいと思うんですよ、植物の場合、動物の場合、微生物と、そういうふうに。全然目的も現状も違うので。

【吉倉主査】  一応分析できる迄のところで、まとめてもらったと考えてはどうでしょう。それと、アンケートというのは1回やって、それで完全にうまくいくわけじゃなくて、問題も出てくるから。この委員会は別に現状を全部知るためのものじゃなくて、今からカルタヘナ議定書の担保法をどうするかということについて大体のところを知りたい。そういうことでこれを見ると、かなり広範に活動がある。だから、日本の中でもこの辺のところ、少なくともこういうものをカバーするものは必要だ。今やっていることがいいとか悪いとかいうことじゃなくて。それも気にしていられるのかもしれないけれども。実際上、カルタヘナプロトコールを考えるときに、日本でこういうぐあいにアンケートをとってみると、いろんな計画、あるいは実際やられている可能性がある。そうすると、こういうのはカバーする必要があるなと、そういう情報として使っていただけるといいと思いますね。

【別府委員】  シグマとかタカラのカタログに一体どれぐらい載っていますか。

【鎌田委員】  たくさん出ていると思いますよ。

【別府委員】  そういうのもこの対象だとすると、買ったことがない研究機関なんて、まずないんじゃないか。

【鎌田委員】  ただ、クローニング用の宿主に大腸菌の宿主ベクター系を単独で売っているなんていうのは、多分ここには入ってこなくて・・・。

【別府委員】  入ってこない?

【鎌田委員】  ええ。

【別府委員】  それは何か抜け道があるんですか。

【鎌田委員】  というか、セルフクローニングは正確に言うと、基本的には組換え体に入らなくなるので。

【別府委員】  ただ、あの中にセルフクローニングとはとても言えないようなものもいろいろデバイスとしてありますね。

【鎌田委員】  だから、そういうものがどれぐらいあるかということを、売っている中でもちろんあるとは思うんですが。

【吉倉主査】  問1、問2についてはそうですけれども、問3以降になってくると、屋外放出の計画とかそういうものなので。

【別府委員】  ただ、売ったり買ったりということになると、そういうものも対象になるとすると、そういうものをどう取り扱うかというあたりは相当態度を決めておかないと。

【広海委員】  このアンケートはもちろん現状を知りたいためにやったんだけれども、このアンケートの結果は現状をどれぐらい反映しているんだろうかということを議論したいわけですね。

【吉倉主査】  これ自体のそもそもの意図は、現状の分析じゃなくて、カルタヘナ議定書のときに、こういうぐあいにざっとアンケートをとってみたときに、どのくらい実際日本の中でやられている、あるいはやる計画があるか、そういうところを見たわけで、現状を解析する段になると、また全然別のもっと厳密なことをやらなければまずいですね。

【広海委員】  でも、例えば問3以降なんですけれども、このアンケートが650の機関に送られる。おそらくその機関の中の組換えDNA委員会か何かにその処理は任されるんだろうと思うんです。そうしたら、その委員会が何をしたかと考えてみると、場合によっては、その機関のすべての研究者に、こういうアンケートが来たから当てはまるかどうか答えてくれということをやるかもしれないし、あるいは委員長が独断で判断するかもしれない。後者の場合だったら、当然将来の計画に関しては未知の場合が多いと思うんですね。現に我々の機関では、少なくとも私の記憶では、こういうアンケートが私のところまで回ってきたという記憶はない。

【武田委員】  東大は回ってきました。答えました。遺伝研は聞かれなかったですか。

【広海委員】  ですから、問3以降に関してはアンダーエスティメートしている可能性が高いと思うし、現に半分以上の機関はまだ未回答なわけですから、もっと増えるという可能性は大いにあると思います。

【吉倉主査】  結構ゼロという返事があるなという感じですね。一応こういうことでこのアンケートは大体理解できるところにとどめてはどうでしょう。かなりバイアスもかかっているし、そういうのを一応頭に入れた上で、かなり広範に開放系のことを考えていると、云う理解でよろしいんじゃないでしょうか。
 それでは、これは4時までに終わらなければいけないので、次の件をやっていただいたほうがいいと思いますので、お願いします。国外のいろんな規制その他です。

【事務局】  前回から若干お話に出ておりましたので、諸外国におきます組換え体の規制についてご紹介したいと思います。
 資料2−3でございますが、アメリカ、EU、EUの中にありますイギリス、ドイツになりますが、それとノルウェー、オーストラリア、これら諸国につきまして、規制の状況を調べております。それから、資料の作成の仕方としまして、真ん中でばっさり分かれておりますが、意図的放出を伴わない試験研究に関する規制、それから意図的放出を伴う試験研究に関する規制、「関する」というだけで、特にこれに焦点が絞られているという意味では全くございません。そういう試験研究にかかわってくる規制という観点から調べております。この点、まだ調べが不十分な部分もあろうかと思いますが、概要ということでお聞きいただければと思います。
 アメリカ合衆国につきましては、まず左のほうから、意図的放出を伴わない試験研究に関する規制ということで、上のほうのガイドライン、NIH(国立衛生研究所)、大変研究資金を供給している機関になるわけですが、その研究支援を受けている研究等につきまして適用されるガイドラインとして、有名なNIHのガイドラインが設けられております。これにおいて、下の4つ目のポツにありますのが、物理的封じ込めレベルなどを設計しておりまして、それによって適切に封じ込めること等が書かれております。2つ上に戻りまして、審査の必要度による5段階の手続の分類が行われております。要はこれこれの特質のある研究については例えばNIH長官の承認を得なさい。あるいはこの程度であれば、NIHの中にありますOBA、NIHバイオテクノロジー事務局承認を得なさい。あるいはさらに低いものでありましたら、その機関内の承認で結構です。あるいは機関内の届け出でいいです。あるいは全くこれは手続から除外される研究等の規制が書かれてございます。これはガイドラインでございますので、あくまで任意でございますが、研究支援を受けている場合は、適正な使用のためには守る必要があるというふうな形になります。
 それから、意図的放出を伴わない場合で、下のほうにあります有害物質規制法というのがございます。これは基本的には商業目的のための組換え微生物を含む属間微生物の製造、加工、流通、それから開発が入ってくるわけなんですけれども、こういったものを規制するものでございます。特に商業化を目的としない試験研究は対象にならないわけなんですが、例えば研究用資材を得るために開発する、あるいは流通させるということは対象になります。こういった規制があります。特に商業目的でこの対象になってくる研究開発でありましても、上のNIHガイドラインを遵守する形のものは手続を免除するというような運用が行われております。
 そのまま1枚めくっていただきまして、左枠をすべて見ていただきたいんですが、ウイルス・血清・毒素法というのがございます。こちらはアメリカ国内の動物に対する無益または有害なウイルス等の製造及び販売を禁止するということで行われておりますが、組換え体を含む動物用生ワクチンにつきまして、実験的作製から隔離された動物飼育舎に移る際にUSDAの認可が必要になっております。これはまだあくまで隔離された状況下における行為ですが、USDAからの認可を求めているというような規制がございます。
 右の欄に移りまして、1ページ戻りますと、意図的放出を伴うものにつきまして、これはアメリカ全体に言えることなんですが、既存の法令の中で組換え体に関する規制は折り込んでいくという方針をとっておりますので、こういったいろんな法律等が関与してまいります。
 一番上の連邦植物病害虫法につきましては、植物病害虫の米国内への持ち込み、州間移動、それから環境導入に際して、動植物検疫局の審査と許可を求めるという枠組みでございます。
 その組換え生物につきまして、詳細が下の規則というところにいろいろ書かれておりますが、このあたりが実質上、野外試験を規制する仕組みとして機能しております。植物病害虫には、まさに病害虫である多くの微生物とか無脊椎動物が含まれることになりますが、この要素を含む植物、例えば下に書いてありますようにAgrobacterium tumefaciensのTiプラスミドが用いられた組換え植物といったものも広義の病害虫に当たるということで、対象にするという運用を行っております。
 規制の内容といたしましては、環境導入に際して許可が必要でございますが、下にございますように、一部の野外試験は届け出であったり、野外試験が積まれて、安全が確認されたものはその規制対象から外れる。それから、直接規制対象にはならない生物についても、行政サービスの範囲として審査を行っているということでございます。
 1枚めくりますと、連邦殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法というのがございまして、こちらは農薬成分をつくるものを殺虫剤であったり殺菌剤であるというようなみなしをいたしまして、こういった成分が入った作物とか微生物が対象になってまいります。こういうものは販売に登録が必要なわけでございますが、販売登録のために必要なデータを取得するために野外試験を行う場合、試験的使用許可が必要になってまいります。試験規模それから病原性の有無により手続が異なってくるというふうな中身です。
 先ほど左に出てまいりましたウイルス・血清・毒素法につきましては、生ワクチン関係で接種個体の飼育に係る屋外試験につきましても、USDAの認可が必要になっております。
 それから有害物質規制法、また微生物の関係が中心でございますけれども、これにつきましては、最終的な目的が商業目的である場合の試験研究開発につきましては、TSCAの実験放出申請を提出し、審査を受けるということになってございます。また一部の実験、特定の根粒菌を使用し、一定面積以下で行う等の条件に見合う小規模野外試験につきましては、こういった手続の除外証明を提出することのみによって行えるというような枠組みもございます。いろいろな法規のもとに野外実験が規制されたり、あるいはモニタリングされる仕組みになっておるということでございます。
 1枚さらにめくりまして、EUに移りますが、EUにつきましては国そのものではございません。指令という形で構成国に対して達成すべき目標を示す。その構成国では、この指令の内容を国内法によって担保し、執行していく義務を持つということでございますので、ある意味の法的ガイドラインになるという形だと思います。
 このEUにつきましては、閉鎖系利用に関するEC指令と意図的放出に関するEC指令というのが2つございます。片方、左のほうでございますが、閉鎖系利用における健康被害と環境への悪影響の排除を目的とするという形で、具体的な規制の内容としましては、下の欄の2つ目のポツ等にございますけれども、施設は事前に規制当局に届け出を提出する。リスクを4段階に分類し、それぞれに対応したレベルの封じ込めを求める。それからclass1につきましては、操作記録の保持でよいが、それ以上は所管当局への届け出を行うなどのルールが書かれております。微生物があくまで対象でございますが、これを接種した植物とか動物にも一定の枠組みがかかってくるのではないかと思われます。
 それから右のほうですが、意図的放出に関しましては、下の規制の内容に移っていただければいいかと思うんですけれども、上市、販売、譲渡する場合につきましては、最初に上市が行われる国の所管当局に対し申請し、EU委員会やほかの加盟国の同意を踏まえて、その可否が判断される。それから上市以外の意図的放出、要は野外試験になるわけなんですけれども、こういうものにつきましては、事前にその領土での放出が行われるための申請が行われますが、EU委員会あるいは他の加盟国に対しては協議を行う程度の枠組みになってございます。これが標準的な手続。ただし、その中でも生態系への放出の知見が十分で、かつ一定の基準を満たす場合は異なる手続ということで、若干簡略化された手続が提案できることとされております。
 これがEUのほうでの共通指令でございまして、これをまた各国がいろんな法規のもとに組み入れていっているという形になります。
 さらに1枚目めくりますと、イギリスでございますが、まず左のほうで、意図的放出を伴わない試験研究に関する規制に直接関連してまいります規則がございまして、遺伝子改変生物(封じ込め使用)規則というのがございます。これはどういった規則かといいますと、労働安全衛生法、The Health and Safety at Work etc. Actというのがございますが、要は職場環境における雇用者に対する安全確保等々が定められている法規のもとに、その法規の定める権限を行使するための規則という位置づけでもって定められております。組換え生物の封じ込め使用全般に適用されますが、組換え動植物の環境影響に関する側面については対象外としております。対象外といいますか、右側の法律にゆだねているというような形になっております。
 規制の内容といたしましては、やはりEUとの関係で似てきているわけなんですが、施設につきましては衛生安全局に届け出が必要。それから組換え微生物を取り扱う活動につきまして、これは接種する実験を含めてなんですが、リスク評価を行って、4段階の封じ込め方法を選択する。活動ごとに最も低いレベル、日本で言いますとP1レベルというような組換え実験を除きまして、HSE、衛生安全局のほうに届け出、あるいは届け出てさらに承認を受けた後でしか活動が開始できない等の規制が適用されます。さらに組換え動植物、接種されたほうじゃなくて、まさにトランスジェニックの動物あるいは植物につきましては、組換え前の生物よりヒトへのリスクが高くなる場合、これも労働安全衛生の観点からの規制でございますので、そういう場合のみ、衛生安全局のほうに届け出が必要になってくる。
 下に参考で書いてございますが、組換え体を含めて、感染性、アレルギー性、毒性その他人の健康に有害なものを産生する微生物の取扱いにつきましては、別途健康有害物質管理規則がございまして、この適用を受けるわけなんですが、遺伝子改変にかかる規則と重複しての手続は求められておりません。
 もう一つ、組換え動植物の環境保護の観点だけは、右側で後で説明いたします環境保護法並びにその関連法規により規制されている。要は、入手、輸入の場合にリスク評価を行ったり、記録を保持、あるいは環境影響の防止のために適切な封じ込めを実施することなどの諸規定がここには当てはまってくる。ただし、細かい封じ込め等は法規の中にはなくて、温室、動物舎等の封じ込めは衛生安全委員会遺伝子改変諮問委員会のガイダンスの中に書かれているという程度でございます。
 右側のほうに移りまして、意図的放出を伴う試験研究に関する規則につきましては、環境保護法がございます。これは遺伝子改変生物の輸入等に先立つリスク評価の実施、記録の保持、適切な取扱い等を求めるとともに、一部のものにつきましては承認を行う、あるいは違反に対して罰則を適用する等の規定がございます。
 この環境保護法を受けての規則としまして、下に規則が2つございますが、意図的放出に対する規則は基本的にはEU共通指令とほぼ整合的な内容になっております。もう一つ、リスク評価記録及び除外規則とかいう規則がございまして、このあたりは、先ほどの輸入、取得につきましてリスク評価を行うという原則について、それを適用除外していくものなどが書かれた規則でございます。ここには、輸入、取得に際し、微生物等はリスク評価の実施義務が免除されているという形になっております。
 1枚めくりまして、ドイツでございますが、遺伝子工学法という遺伝子組換えに的を絞りました法規がございます。これも意図的放出が伴わないほう、伴うほう、それぞれEU共通指令との整合が図られておるかと思いますが、左のほうの規制の内容の面を見ていただければわかりますように、4つの封じ込めレベルに格付されます。その操作は認可を受けた施設でのみ実施可能。それから、それぞれの操作でございますが、研究目的の場合は、実施前に届け出が必要。ただし、最も低い封じ込めレベルのものはその届け出も要らない。商業目的の場合は個々に許可が必要なんですが、最も封じ込めレベルが低い場合は届け出のみで足りる、こういったルールが規定されております。
 この辺、細かい、どういった技術的基準なのかというあたりにつきましては規則がございまして、「遺伝子工学施設における・・・」という長い規則が下に書いてございますが、その中にいろんな技術基準が書かれている。このほか、関連する規則が幾つかございますが、ここでは特に取り上げておりません。
 意図的放出に伴うものにつきましては、やはりEUとかなり整合的な内容になっております。
 1枚めくりまして、ノルウェーでございますが、ノルウェーは調べ切れてない部分が若干ありまして、恐縮なのでございますけれども、こちらも遺伝子組換えに焦点を当てております法律、遺伝子技術法がございます。これは、封じ込め実験室・施設は国王の承認が必要である。それから、組換え生物の使用には報告または承認が求められる。特に承認を求められるものの中には上市のための組換え生物の使用、あるいは実験研究目的を除くヒト遺伝物質の動植物、微生物への導入等、要は試験研究目的の場合はこういったものは報告でよいということになるんだろうと思いますが、そういったものを求めていくような枠組みでございます。あと、特定の教育活動を除外することができるという旨の規制もございます。
 意図的放出を伴うほう、右のほうでございますが、意図的放出とは野外試験とか商業目的、封じ込め承認を得ていない温室・動物舎、あるいは上市、輸入、輸送、こういったものを意図的放出と呼び、同じような規制の枠組みをはめますという整理になっておるようです。
 意図的放出には国王の承認が必要。さらに戻りますと、野外試験等、封じ込めの承認を得ていない温室等への導入はステップ・バイ・ステップをとりなさいというようなことまで書かれてございます。
 さらに1枚めくりまして、オーストラリアでございます。オーストラリアにつきましても、遺伝子組換え技術に着目いたしました遺伝子技術法というのがございます。これもEU各国でとられております規制の枠組みと似てはおるんですが、若干特徴的なのは、組換え生物の取扱いには生物ごとに当局からの免許取得が必要という意味で、規制の行い方が免許取得という方法がとられています。ただ、低リスクの組換え生物であるとして当局に届け出た場合、これは封じ込めといいましょうか意図的放出がない場合のみですが、こういったもの、それから登録簿に掲載された組換え生物を条件に沿って取り扱える場合は免許が要らないとされております。この登録簿というのは、使用経験がある者等がリストアップされて、特定の使用条件なども付記した形のものが整備されていき、それに沿った扱い方をする範囲ではという趣旨だと思われます。
 それから組織、要するに日本で言いますと実験実施機関のようなものですが、それは当局による組織認可を受ける。施設につきましては、当局による施設認証を受ける。
 また、免許を付与する場合に、それぞれの取扱いにつきまして、リスク評価・リスク管理計画を策定していく。これは当局のほうが策定していくということになるらしいんですが、こういったところでそれぞれの具体的な封じ込めのプランとか、そういったものも問われていくことになるんだろう。
 こういった枠組みについて、細かいルールは遺伝子技術規則というものに決まっておりまして、さらに遺伝子技術規制局が『オーストラリアにおける遺伝子技術規制の手引』という分厚い冊子を出しておりまして、その中に封じ込めの方法とか組織認可、施設認証等のガイドラインを示しているという構造になっております。
 野外放出につきましても、基本的には免許制がしかれるわけなのでございますが、この場合、免許が要らないと書いてあるのは、登録簿に掲載された組換え生物を条件に沿って取り扱う場合と書かれております。同じように、免許を付与する場合には、リスク評価・リスク管理計画を策定し、さらにはこれを国民への公告、公聴会等の手続を経て策定していき、公表するということまで明記されてございます。
 これらが諸外国の関連規制の概要でございます。

【吉倉主査】  かなり長く説明してもらったんだけれども、さっぱりと頭に入らなかったかもしれないんですが、先ほどのアンケートと同じで、実際上これを現場の研究者が一体どういうぐあいにこれに対応してやっているかというのを、もしも先生方、できれば自分の友達なんかに、ノルウェーなりイギリスなりに友達がいたら、こういう法律のもとでどういうぐあいにやられているかを聞いてもらう事が理解する上でわりと大事なんじゃないかと思うんですね。
 それから、私、これを全部見ることはできなかったんですが、一応事務局のほうに、これはウェブサイトでダウンロードできるので、ウェブサイトの名前を後で配っていただいて、先生方が要するに自分たちでプリントアウトして読めるようにしたいと思います。
 これをざっと見て、何かご意見があれば。

【杉山委員】  先月、私、ワシントンのNSFに行って、資料を読んだんですけれども、中国が今度GMOを大々的にやるというのが、たしか私の記憶が間違いなければ、『サイエンス』の一番新しいのに特集号として出ているというんですけれども、どなたかご存じですか。

【鎌田委員】  直接見てないですが、出ているそうですね。

【杉山委員】  それは私、カルタヘナというこの委員会の多分原点だと思いますけれども、中国というのはこういうものに加盟するとかしない、署名するしないというのは何か情報はあるんですか。

【事務局】  検討には参加しておりますし、実際に農業生物遺伝子工学に関する安全管理実施規則などというものも定めたりしておりまして、今のところ何とも私が申し上げるわけにいかないんですが、議論に積極的に参加しているということは間違いございません。

【吉倉主査】  中国は、去年のちょうど今ごろですかね、もうちょっと後かもしれませんが、政府がジェネティック・エンジニアリングを大々的に研究を推進しようという国家科学技術政策の中に大きく取り上げました。私がちょうど中国に行っていたときでした。

【杉山委員】  何かそういう意味で中国自身がレギュレーションか何かを今持っているかどうかというのは、どなたかご存じないんでしょうか。

【藤田委員】  この間、ノースカロライナでこれの会議があったんですけれども、中国の多分先生がおっしゃるリーダーだと思うんですけれども、北京大学の先生が報告されました。いろんな例を出されましたけれども、明らかに研究だけではなく、フィールドでやっているということをずばり言われています。それから、おっしゃるとおり、多分もう既に法律は通したんだと思います。ついでですけれども、韓国が今検討中か、あるいはもう出したかぐらいだと思います。

【加藤委員】  中国は今年に入ってからつくったということがニュース誌には出ていますね。ただ、その中身は非常にわかりにくいというか、ウェブサイトからダウンロードしようとしたんですが、中国語なんですね。それで、どこなのかがよくわからなかったので、一応、でも・・・。

【吉倉主査】  教えておいてもらえば、中国語は大丈夫です。

【加藤委員】  アドレスはご連絡します。ですから、ちょっとそこから先へ進んでいないんですけれども、つくったということは言われています。ただ、外国というかアメリカ人なんかは、それについてどうもあまりはっきりしないというようなことをコメントしているようなことがありますが、いずれにしても、ウェブサイトをご連絡します。

【吉倉主査】  中国は非常におもしろい国ですからね。小幡先生、何か、時間があまりないと言ってらしたですね。

【小幡委員】  とりあえず外国がこうなっているということは大事なことだと思いますが、特に輸出入に関するところは、相手国と両方、輸入、輸出がありますので、そこのところは日本だけでどう決めるかという話でもほんとうはないんですね。次の検討のポイントのところにそれは入っているわけですが、そのあたりが大変重要ではないかなと思っています。

【久保委員】  これは確かに組換え体を中心にどういう規則なり規制があるかということを一覧表にされているので、ある意味で非常にわかりやすいと思うんですけれども、私どももう1点知りたいのは、組換え体でないものでも、端的な例は植物防疫の対象になるようなものは、持ち込むことによって環境に影響するとか、全体の生態系に影響するということがかなりあるわけですね。ですから、一般的にまず生物自体がある一定の環境の中に持ち込まれることによるリスク評価ということを行われて、その一環として組換え体というものもどの程度のリスクがあるかというふうに考えたいなと思うんです。アメリカの場合には確かに上のほうに出ているものは、組換え体に限らず、生物一般に関する規制だと思うんですけれども、ヨーロッパその他について、そういった観点での規制はどの程度あるんでしょうか。その辺はお調べになったことはあるんでしょうか。

【事務局】  調べた範疇では、組換え技術に着目する形での法規があるところが多うございますので、そういった例はアメリカのみしか出てきておらないと思います。

【久保委員】  おそらくほかにも、植物防疫法なり同じような、組換え体が存在する前から生態系を保護しなければならない、あるいは何らかの影響を規制するような形のものがあったのではないかと思います。

【吉倉主査】  それはそういう格好で探さないと。組換えで探すと、絶対出てこないと思うんですね。

【久保委員】  そうすると、法律の組み立て方あるいは規則の組み立て方がどうなっているかわかりませんけれども、歴史的に考えれば、組換え体というのは存在しなかったわけで、ある何らかのルールがあって、そこに新たに組換え体が出てきたので、組換え体の法律が出たと考えるのが自然ではないかと思います。それを理解する上で、そのバックグラウンドとなる規則体系は知っておく必要があるのではないかと思うんですが、どうですか。

【加藤委員】  私の知っている範囲ですと、オーストラリアとニュージーランドは特別な国ですので、特別なというか、生態系が非常に特殊ですので、少なくともオーストラリアにはあります。それから、ニュージーランドは導入生物と組換え体を一緒の規則でやっています。有害な化学物質も含めて、全部一緒にやっています、有害生物と有害化学物質。その有害生物の中に有害であるかどうかわからない組換え体も入っている、そういう格好です。ですから、オーストラリアは、導入生物に対して、既存のものがあった後で、組換え体に対しては初期の段階ではガイドラインでやっていたのを、最近になって組換え体に特化した法律をつくったということです。

【吉倉主査】  今の件は、日本も植物防疫法とか幾つかありますね。それで、その法律の中で組換え体を除外しているとは書いてないんですね。そうすると、今の植物防疫法で組換え体をカバーしているか、その辺、具体的にどうか、水野先生、何かご存じですか。

【水野委員】  僕は植物のことはわかりませんけれども、動物の家畜伝染病予防法とかいろいろありますけれども、特にそれが組換え体とかそういうことでは何も記載してありません。

【鎌田委員】  植物も植物防疫法がありますが、組換え体ということではなくて、あくまで日本の既存の農作物なんかの保護を目的としていますので、組換え体という規制はないんですが、実務上は組換え体も同様に扱うということで扱われています。

【水野委員】  ただ、動物のほうは、例えば薬事審議会や何かはいろんな既成のものは出てきますけれども、組換え体は特別の会合を開くというんですかね・・・。

【吉倉主査】  上乗せですね、どっちかというと、既存のがあって。

【水野委員】  そうですね。既存のものから、もう一段階違うグループで審査するという形になっています。

【吉倉主査】  だから、今、久保先生がおっしゃったようなのはアメリカだけというわけですが、基本的には日本もこれに実際上近いんじゃないかと思うんです、そういうものについては。生物兵器の条約もあるし、植物防疫とか動物検疫・・・。

【鎌田委員】  ただ、さっきの久保さんのご質問の1つは、加藤さんがお答えになられたように、別に有害とかなんとかじゃなくて、いわゆる生態系に対しての影響を考えた法律が体系としてあるのかということを言うと、さっきのお話で、ニュージーランドとオーストラリアしかないですね、原則的には、そういう中での枠組みは。そうじゃなくて、まず商業用の作物とか家畜の保護のための植物検疫とかいろんな法律は過去にもちろんあるんですが、環境保護ということを前面に打ち出してうたっているのは2つの国しかなくて、アメリカでも実はそういう枠組みではなくて・・・。

【吉倉主査】  考えてみると、魚と木と微生物と同じようにマネージするわけにいかない。実際よく考えてみると、こういう法体系になるというのはわりとよくわかる話だと思うんです。ただ、EC指令にしろ、ドイツの遺伝子工学法にしろ、読んでも、一体これはどうやって使うのかなとよくわからない。教科書を読んでいるような感じで、これの実際の使い方というのがぴんと来ないですね。オーストラリアのはライセンスの話ばかりで、こんなに厚いけれども、見てもどこを読んでいいかよくわからないようなところもあるし、それからイギリスのものは閉鎖系なんかは日本の労働安全衛生法そのものみたいなところがあるし、各国それぞれ、ひょっとしたら目的は同じかもしれないけれども、表現形が大分違うなと。

【久保委員】  勉強していないので申し上げにくいんですけれども、要するにその理由は、導入生物に関するバックグラウンドが既にあって、それに対して組換え体に対する特殊性について、上乗せで規制をしているというのがこの現状なのかなと私は理解しているんです。ですから、農業保護のため、作物を保護するために例えば植物防疫法があるという形ですと、それじゃ、タンポポとかそのほかの生物の生態系を守るために一体どういう法律が実際に適用されているのかというところがないと、この辺は理解しにくいのではないかというのが私の危惧なんです。

【吉倉主査】  ちょっと今の質問がよくわからなかったんですけれども、何を調べればいいんですか。

【久保委員】  つまり導入生物に関する法律は、日本なり欧州なりではどのような形で植物防疫法なり野生生物保護法とかがあるのかないのか。

【鎌田委員】  先ほど言ったように、今大体世界の国が持っているのは植物検疫とか動物検疫で、それは産業を守るというベースの上に乗っかっている。そうじゃなくて、単に例えばタンポポみたいに商業的に何の意味もないというようなものについては、原則的に世界中が規制の対象外で、そんな法律で何も縛っていない。ただ、さっき言ったように、オーストラリアとニュージーランドだけは、過去のいろんな経緯があって、そういうものについても、その国に持ち込んでくることについて規制をしている。
 今回のこの議論も、もともとは生物多様性条約がそういう意味での各国の自然というものの保護をうたったような形になっているので、ほんとうはそういう法律が先になければいけないんだけれども、日本でも環境省あたりがやっていらっしゃいますが、それはまだどうにもできない。だから、そうではなくて、カルタヘナ議定書のみが今回の対象になっているので、そういうことは頭にあったとしても、法律としては全く別な枠組みをとらざるを得ないというのが今の状況である。だから、組換え体に特化した議論をしないと、タンポポを持ち込んでいいかという議論をここでしても始まらないだろうということなんですね。

【吉倉主査】  今の件は、カルタヘナ議定書をよくごらんになると、意図せずに放出されるかもしれないというのは扱ってないんですね。要するに意図せずに出た後の後始末のことは出ているんですよ。どうするかということについては、意図しない放出の可能性への対応については一切触れていない。基本的には意図する法律である。古タイヤを輸出して、それについて蚊が飛んでいっちゃったとか、そういうふうなのがありますね。虫が、法律を読むわけじゃないですから、そういうことで言うと、今の先生の話はどうしようもないところもある話でもあるんですね。

【久保委員】  ちょっと誤解されたかもしれないですが、意図的なものを十分考えているわけでして、例えば昆虫農薬とか、意図的に昆虫を放出して、害虫を抑えるということは実際に行われているわけです。要するに組換え体というもののリスクを評価する上で、一般的に導入生物についての考え方はどうなっているかと思いました。そういった意味では法整備はされてないと。

【吉倉主査】  一体外を飛んでいる虫などに対し、法整備ができるのかという問題がその前にありますね。ゴキブリが飛んでいくことに法律規制ができるのか、そういうふうな・・・。

【鎌田委員】  生物多様性条約の中では、そういうことも含めて考えてくださいというのはもともとの大枠としてはあるんですね。だけれども、それを担保されている法律としては、今言ったように2つしかないので、現実成り立つかと言われると、それは全く別な議論だろうと思っています。

【別府委員】  大体の整理でわかったんですけれども、ただ、今2つしかないということなんですけれども、確かにおっしゃられているように、このカルタヘナ議定書というのは生物多様性条約あたりから起こっているわけですね。あの生物多様性条約のもう一つのモチベーションは、自分の国が持っている種を守る、検疫という面がある。ここではリスク、ヒトに対する健康上のリスクと環境に対するリスクという意味で議論しているわけですけれども、もう一つの側面として、生物種が持っている検疫という問題がありますね。それは今回はこういうのでは議論しないんだ、そしてさらに組換え体に限るんだということで、僕はそうしないととてもじゃないけれどもできないと思うんですけれども、今法律が2つしかないというんだけれども、自分のところのを持ち出しちゃいけないという法律はたくさんあるんじゃないですか、あちこちに、よく知らないけれども。

【吉倉主査】  2つだけということはないと思います。

【別府委員】  そういう意味で、検疫を守るということに拡張すると・・・。

【鎌田委員】  検疫というよりも、やっぱり自分の国の生態系が乱されないように、持ち込みが禁止されているんですね。

【別府委員】  それは1つなんですけれども、もう一つのそこまでの側面も、生物種の移動については非常に各国関心があるわけですね。そこで何か法律が決まっているとしたら、この問題と絡んでくるかもしれない。

【吉倉主査】  明治何年からの検疫法、あれも一種そうですね。

【加藤委員】  私が、オーストラリアとニュージーランドにあると申しましたのは、記憶にはっきりあるという意味で、それしかないという意味ではないんです。ですから、それを調べようと思えば、全部調べないといけないだろうと思います。例えばうろ覚えなのは、イギリスもあったかなという気もしますけれども、それが確かでなかったので申し上げなかったんです。
 それから、先ほどの農薬として昆虫を使う、そういうのは例えばアメリカですと、それはそれとしてルールをつくっています。だから、パッチワークでいろいろあるかもしれないんですけれども、それはそれとして調べないとわからないと思います。要するにここで問題なのは、そういういろいろな仕組みがある中で、ここの問題についてどうするか、組換えについての輸出入ということでカルタヘナというのが出てきていて、そのバックグラウンドは国によってさまざまで、そこまで手はつけられなくて、とにかくここの切り取った部分だけは何とかしよう、そういうことなんだろうと思います。

【吉倉主査】  要するに法律で全部何でもかんでもできるわけじゃない。議論できるところに議論を狭めておかないと、例えば鎌倉のアナグマみたいな話で、アナグマを輸入するところはよくて、逃げてるのは悪い。そうすると、野良猫はいけないかとか、だんだん変な話になるので、そういうことで言うと、なるべく議論をしぼる必要があるでしょう。

【水野委員】  今はGMO、いわゆる遺伝子の改変だけでいいわけですね。例えば細胞融合とか、先ほどクローンのことも少し僕は言ったんですけれども、そういうものもほとんど周りにないような状況ですから、それもあまり考えないで、GMOだけ考えていこうということでよろしいですか。

【事務局】  カルタヘナ議定書の担保措置を考える上では、細胞融合が・・・。

【水野委員】  LMOということで。

【事務局】  LMOに含まれますから。ただ分析上あまりそういう枠で考えますと、ちょっと複雑になりますので、言っておりません。ただ、諸外国の規制の中には明示的に細胞融合を含むと書かれているものもあります。済みません、どこの国だったか思い出せないんです。加藤先生がそういうのはお詳しいかもしれませんが、それぞれ国によってスコープが若干ずつ違う。いずれにせよ組換え生物という部分だけを取り出して規制体系をご紹介したということでして、今後の議論の中には、もちろんそれ以外のLMOと言われるものを含めてご検討いただく必要があろうと思います。

【吉倉主査】  きょうはどうというわけにもいかないんですが、これをごらんになって、一体どの規制のやり方が日本にわりとしっくりいくのか、その辺も少し考えられたらと思いますが。

【小幡委員】  今回は試験研究ということがこの委員会の射程ですね。そうすると、従来試験研究についての法律ではなくて、大体ガイドラインでやってきたわけですから、我が国においては、試験研究分野について法的な罰則を伴うような形での規制はほとんどなかった、まあ人クローンだけですかね。今回は、カルタヘナ議定書を批准するための国内法措置が一定程度必要だということから始まったものですが、試験研究ですから、そのあたりが一番議論になるところですね。それから、縦割り的なことがよくわからないのですが、試験研究ということであれば全部こちらでひっかける、そういうことですか。

【事務局】  そこを、現状、農林水産省の例えば模擬的環境利用は試験のようで試験にあらずとかやり出しますと、非常に舌をかみますので、そこは試験研究的要素を持っているものということで、先生方には特にバリアを設けずに議論していただければいいんじゃないかと思います。ただあまりにも、例えば組換え植物ができまして、その栽培試験、栽植密度の試験をするとか、そういうところまで膨らませていただく必要はないかと思うんですけれども、環境リスクを評価をしていくとかいう意味では、その辺非常に重なり合う部分、あるいは整理ができていない部分は正直なところあるんだろうと思いますから、その辺はあまりはっきり分け過ぎずに議論していただければいいのではないかと思っています。

【吉倉主査】  今の先生のお話で、閉鎖系と開放系で分けて考えたほうがいいんじゃないでしょうか。閉鎖系ということで言うと、さっきのイギリスの法律は日本の労働安全基準法によく似ている。開放系になってくると、文部科学省の人が、農林水産省で輸入したものを大学で使うとか、そういうことで応用と研究開発は非常に入りまじったところがある。大学で魚の研究をやると、多分水産庁、農林水産省かが関係する。マネジメントになってきたときに、開放系の場合は現場、現場で非常に違うだろう。
 ドイツの遺伝子工学法が、この辺りをどう読んでいるのかよくわからない。読んでも、どうやってああいう法律が使えるのかよくわからないですね、ノルウェーのも。フランスはたしか開放系は申請1件当たり25万円、それから閉鎖系は2,000フランとかなんか書いてあるんだけれども、1件というのをどうやって数えているか、これもよくわからないですね。1回やるごとにあんな金を払ったら実験できないし、具体的に一体どうやって各国であんな法律を利用しているのか、よくわからないですね。加藤先生の解説を読んでも、具体的にこんな法律でどうやって研究者がやっているのか、非常にわからない。法律があるというのはわかるんですけれども、どうやって活用しているんでしょうね。
 そういうことですが、きょうはこれ以上あまり話しても限界があるので、最後のところをお願いします。小幡先生には後で文書か何かで連絡することにすると思います。

【事務局】  最後の資料2−4に移らさせていただきたいと思うんでが、「試験研究に関連するカルタヘナ議定書担保事項と検討のポイント」ということで、これは(案)というふうにさせていただいております。こちらのほうを若干ご説明させていただきたいと思います。カルタヘナ議定書の範疇は非常に広うございますけれども、試験研究には具体的にどういうふうにかかわってくるのかというのをある程度明確にした上で、その論点みたいなものを抽出できないかという趣旨でつくっております。
 上段のほうに書いてございますように、議定書を批准する場合、議定書に示される諸規定を満たすような措置を講じていく必要がある一方で、あまり行政が過度な関与をすることは適切でないということにも注意が必要。それで、議定書の中には、第2条1項におきまして、この議定書の義務を履行するために必要な適切な法律上、行政上及びその他の措置を講ずるとされております。政府としては、この意味を踏まえまして、一部明らかに法律の担保がないと達成できないような項目があるわけなんですが、そのほか、ここの議定書上に示されております諸事項について、どういった措置を置いていくべきか、法律上、行政上あるいはそのほか何らかの措置か、こういったあたりを検討していく必要があるわけです。その際、特に試験研究ならではの事情といったあたりをどういうふうに考慮していくかというのが重要ではないかということもありますので、この検討のポイントを用意しておるという趣旨でございます。
 まず上のほうから、ちょっと急ぎぎみに説明させていただきますが、まず1番「一般的義務」と2番「適用範囲」というのがございます。これは単に条文を引いただけでございますが、この議定書のスタンスをまず理解していただくために書いてございます。
 まず、「一般的義務」としまして、先ほど申しました、これを守るために「法律上、行政上及びその他の措置を講ずる」という点があること、さらには、「締約国は、あらゆるLMOの開発、取扱い、運搬、利用、移動及び放出が、人の健康に対する危険をも考慮し、生物の多様性に対するリスクを防止し、又は減少させる方法で行われることを確保する」という一般的な義務をまずしいております。
 さらに4条、第2の「適用範囲」のところでございますけれども、こちらでは、この議定書は、「すべてのLMOの国境を越える移動、通過、取扱い及び利用に適用する」ということで、適用範囲につきましては、特に国境を越える移動について、議定書の適用を明確にしている。
 こういう前提がございまして、次の3以降、「輸出入に関する手続」から、順番に「リスク管理」、「リスク評価」等と進んでいきたいと思います。
 「輸出入に関する手続」につきましては、第6条のほうに、まず封じ込めのもとで利用するものにつきましては、事前の情報に基づく同意手続、AIA手続というものなんですが、こちらのほうは「輸入締約国の基準に沿って行われる封じ込めの下での利用のための国境を越えるLMOの利用には適用しない」ということで、要は封じ込めのもとで使うものについてはAIA手続は適用しないというふうなことが書かれております。
 第7条から第12条につきましてはAIA手続の詳細が書かれている。
 それから13条につきましては、輸入締約国が特に意図的な国境を越える移動を通告と同時に実施してもよい場合、それからAIA手続から免除されるLMOの輸入あたりを明示することができるという規定がございます。
 これら規定を踏まえまして、検討のポイントといたしまして、下のほうに挙げております。まず、封じ込めのもとでの利用にはAIA手続を必ずしも適用しなくてよいが、試験研究に関しまして、「封じ込め」と「環境中への放出」との境界をどのように考えるべきか。例えば限定された区画での屋外試験はどのように考えるべきかというポイント、これはある意味、リスク管理に関する観点ということとも直結するのかもしれませんが、まず初めに出てまいりますので、ここで挙げさせていただいております。
 さらに、封じ込めのもとで利用するLMOの輸出入にも、特に議定書上は外に出す場合について着目しておるわけなんですが、何らかの手続が必要な場合があるかどうか、この点についても論点になるのではないか。
 それから、13条第1項の規定から、「輸入に際しての事前同意手続を免除するLMO等を示すことができる」とありますが、こういった枠組みを試験研究の中においてどのように位置づけられるのか、このあたりが輸出入に関して論点となるのではないかと考えております。
 次、リスク管理に移りますと、第16条にございますように、この議定書のリスク評価で特定されたリスクについて「規制し、管理し及び制御するための適当な制度、措置及び戦略を確立し、維持する」ということが書かれております。要はこの議定書に基づいてリスク評価をしてわかったリスク、整理されたリスクに関してはちゃんと管理するということが書かれております。
 検討のポイントに移りますが、試験研究に用いるLMOであっても、環境中への放出が伴う場合は締約国がリスク管理の義務を負うと解されるが、すべての場合において実用に用いるLMOと同様の管理を行うということでよいか、例えば限定された区画での屋外試験についてはどうか。
 それから6条第2項では、ここでは引用が前のほうにさかのぼってしまうわけなんですが、封じ込めのもとでの利用にはAIA手続を除外するが、その利用は「輸入締約国の批准に沿って行われる封じ込めの下での利用」としていること等を踏まえ、実験室・温室等の封じ込めのもとで利用される試験研究用LMOの管理についても何らかの法的な措置が必要か。
 それから、こういったものを検討する際に、病原性微生物等のLMOとそれ以外のLMOとがありますが、それぞれの性質をどのように踏まえていくべきか。
 「リスク評価」につきましては、輸入、AIA手続に基づく決定をするためにリスク評価が実施されることを確保するというのが第15条の2項に書かれております。
 16条の3項には、「各締約国は、LMOの意図的でない国境を越える移動を防止するため、LMOの最初の放出に先立って、リスク評価を実施することを義務づける措置を含む適当な措置をとる」とありまして、「最初の放出に先立って」ということであります。これは国内環境への放出であるかないかを問うておりませんので、国内開発のものを国内に放出する場合においても、リスク評価を実施することを義務づける措置を含む適切な措置をとらなければならないというふうにも読めてまいります。
 ここで検討すべき事項でございますが、試験研究に関するLMOでありましても、環境中への放出が伴う場合は締約国がリスク評価を実施する義務を負うと解されるところです。すべての場合において実用に用いるLMOと同様の評価を行うということでよいか。屋外区画等の限定された区画での屋外試験については簡素化するような枠組みはあり得るのか。あり得るとすれば、その根拠は何かという点。それから、放出前のリスク評価に対し、放出後のモニタリングの役割をどのように評価するかという点。封じ込めのもとで利用するLMOに関しましては、一般的義務等もございますので、このあたりも検討の対象になるかと思うんですけれども、封じ込めのもとで利用するLMOについては、環境影響に関するリスク評価はどのような位置づけになるのか、ちょっと抽象的で難しいかもしれませんが、こういった点もあろうかと思います。
 あと6、「取扱い、運搬、包装及び特定」という部分につきましては、第2条は余分でございまして、恐縮であります。第18条のほうに取扱い、運搬、包装及び特定のことが書かれておりまして、それぞれ適切に行うことは指示されておるわけなんですが、これにつきましては、検討のポイントにありますように、輸出入に際して実行されるべき取扱い、包装等の基準につきましては、国際的なハーモナイゼーションが不可欠であると考えられますが、試験研究に用いるLMOの輸出または輸入に際しまして、特別な視点から検討あるいは基準作成の際に考慮に入れていくべき事項があるかどうか。それから、議定書上は国際的なやり取りに着目しておるわけなんですが、国内輸送時についても輸出入と同様の取扱い等基準が必要か、この点も論点になろうかと思います。
 7番、「意図しない国境を越える移動」でございますけれども、こちらのほうは、締約国が他の国の領域等にまで影響を及ぼすような形でLMOが漏出した場合、意図的でなく出てしまった場合、その事実を知った場合に、ほかの国に通報するなり、あるいはBCH、バイオセーフティー・クリアリングハウスのほうに通報するなりという措置をとるように言われております。
 ここでは意図しない放出みたいなものがイメージされるわけなんですが、ここにおいて意図的でないLMOの放出がもたらすリスクを、「意図的な放出」のそれとの比較において、どのように評価すべきか、これはむしろリスク管理との観点に結びつくのかもしれませんが、まずはこういった漏れるということをどのように考えるかという点があるのではないか。それから、17条1項に示される措置を適切に遂行するためにどのような事態について把握するよう努める必要があるかという点についても、論点になろうかと思います。

【吉倉主査】  これはきょうすぐ議論できないので、できればメールか何かで意見を求めることにしますか。

【事務局】  次が約3週間後にセッティングされておりますので、基本的には10日ほどの間に先生方から各項目についてどう思うというあたりを意見をいただいて、あるいはまだこの辺について情報が必要だとか、そういった観点も含めてで結構なんですが、情報をいただきながら、それをまた整理しまして、場合によっては、その整理したものを再度送らせていただく形で、さらに意見を求めるというようなことをやりたいと思います。

【吉倉主査】  手続としてはそうなんですが、問題がこれは文部科学省のものなので、研究開発というのに限って考えていただくのが1つポイントだと思うんですね。
 もう一つの点は、事務局のほうでこういうぐあいに幾つか検討のポイントというのを出されたわけですが、この中にはカルタヘナ議定書対応に非常に関係があるのと、かなり周辺的なものがある。例えば閉鎖系については基本的にはカルタヘナプロトコールは対象にしていないわけです。各国の閉鎖系に関するレギュレーションについては、may条項、権利条項ですが、shouldとかshallにはなっていない。そういうことで言うと、少しカルタヘナ議定書から離れているようなところがあります。だから、この質問の中で、カルタヘナ議定書に非常に関係あるところと、それから少し外れているところがあるように思うので、その辺、自分としては例えばこういう項目についてはこの委員会ではむしろ議論から外したほうがいいのではないか、そういうものもあれば、全部答えていただくほうがよい。どこを重点的に先生方が議論したいかということがわかりますから、その辺のところもコメントをつけていただけるといいと思います。
 これについて、あと5分ぐらい時間がありますので、何かご意見があれば、いただければと思います。

【加藤委員】  先ほど小幡先生がおっしゃっていらしたことともう一度重なるんですけれども、研究開発という定義というか、それで、大学の方は今までは文部科学省に出していたわけですね。企業の方は科学技術庁に出していて、それで、模擬的環境から役所にという感じだったわけですね。あと閉鎖系については、企業の方は例えば鉱工業分野でしたら、最初から通商産業省に出して・・・。

【菱山室長】  試験段階は・・・。

【加藤委員】  試験段階はやっぱりこちらなんですか。研究開発というのは、私は実際につくってないのでよくわからないのですけれども、自分はどの段階だったらどうだというのは企業の方は非常に明確に把握していらっしゃる、あるいは研究者の方は非常に明確にわかっていらっしゃるのですか。

【久保委員】  商業化していないものについては研究段階ということ・・・。

【吉倉主査】  今の定義は、文部科学省のほうに確認申請をお出しになるのが開発で、経済産業省あるいは農林水産省、厚生労働省に出すのが、開発じゃなくて事業という、そういうように割り切っちゃったほうがいいんじゃないかと思います。審査をやっていたり申請していたりする人は仕分けがわかるけれども、やってない人は意外とわかりにくいかもしれないですね。

【加藤委員】  自分がどっちに出すかというのを企業の方は明確にわかるんですね。

【久保委員】  いや、そこは非常に難しいところです。研究といいましても、例えば私どもは農学の分野ですので、今で言う模擬的環境などを通じてデータをとる場合も当然ありますので、どうなんでしょうかね。そこは非常に難しいんじゃないかなと思うんです。

【事務局】  そこが1つ重要な論点と思っていただいていいと思うんですけれども、今は、科学技術庁の場合は実用化を目指す研究が中心であったというものもありまして、屋内で行われている範囲においては、非閉鎖系実験区画というものも含めまして科学技術庁でやり、さらに指針上は屋外隔離圃場というのを想定はしておるわけなんですけれども、すべてが農林水産省のほう、表に出していくニーズがあれば、そちらのほうに流れていくという形でバトンタッチされていたわけなんです。大学のほうではむしろ潜在的にそういうものが多いわけなんですけれども、必ずしも利用を目的にするものではないような形で、放出といいましょうか、圃場でつくってみたり、性能をチェックしたりというようなニーズがどんどん生じてきている。そのあたりについては、むしろ我々もぱっと見てどちらかというのを判定しにくいのが実情であろうと思います。そこは明確に個々に判断して、今対応はしておるわけなんですけれども、そのあたりも踏まえて、どういうふうな管理が必要、モニタリングが必要というようなことでご議論なりご意見をちょうだいできたらと思っております。

【吉倉主査】  結局経済産業省に上がってくるのでも、委員の中では、科学技術庁でこういうのはやってからにしたらどうだとか、そういう意見なんかが出ることもある。それから、この前わりとおもしろい例は、農林水産省でいわゆる開放系利用をもう認めたもの、それを今度文部科学省に持ってきたときに、閉鎖系から始めなければいかんか、そういうふうなちょっと妙な議論、いろんなおもしろいケースがあるわけです。だから、今、関係する省庁が文部科学省があって、農林水産省があって、経済産業省があって、そういうぐあいになっていますね。その辺のところを、特に開放系に関して、どういうぐあいにリスク評価をやり、どういうぐあいにマネジメントをやるか、マネジメントの場合に責任をどこに持っていかせるべきかとか、具体的に審査とか報告を受けることを考えると、部会でもいろいろ判断に苦しむところが実際あると思います。

【別府委員】  何となしにまだ実感がわいていないので、質問なんですが、開放系とかいうのは多様性、環境、そっちのリスクですね。だけれども、人の健康に対する危険というのがもう一つの柱ですね。こっちのほうはどうするんですか。いわゆるclass1とか2、3とか言っている、それのclass2以上は全部この手続を必要とするんだみたいにはっきり割り切っちゃうのかどうかで、さっきご指摘があったけれども、研究の段階では法律からは外そうといって今まで最大限努力してきたガイドラインは、根底から変わっちゃうわけですね。人の健康と言ったらそういうことになっちゃうので、イエスかノーかみたいな議論になり得るような気が突然し出したんですけれども、それでよろしいんですか。

【吉倉主査】  それは先生方が考えていただくことです。さっきのイギリスの法律は、だから、実験者の病原体のへ暴露という意味で、いわゆる労働衛生法に非常に近い、文章を見ても、日本の労働安全衛生法に非常に近いですね。そういうぐあいになっている。

【別府委員】  というか、日本のガイドラインだって、実験者に対する病原性しか評価できないから、それで議論してきたわけですね、今までも。ただ、それをこれに乗せて法律にする必要があるのかどうか、そういうことなんですかね、この委員会は。

【吉倉主査】  いづれにせよ、法律そのものを少しごらんになったほうがいいんじゃないかと思うんですが。

【鎌田委員】  今の件は、環境省のほうでもそういうのが出てきて、要するに何で人の健康に対することをこの法律でうたっているのかという経緯があって、ある意味では何となく入ってきちゃったという部分があって・・・。

【別府委員】  むしろ生態系のほうが・・・。

【鎌田委員】  生態系がメーンで、最後になって、ごしゃごしゃの中で、ぽっと一言入ってしまったのが、発展途上国がそれをバックアップしたということもあって、ずっと残っているというふうに解釈されるというところなんです。

【別府委員】  あまり正面切ってやらないほうがよろしいなんて言うと、少し問題だけれども・・・。

【鎌田委員】  正面切ってそのことを表に取り上げてという格好ではなかったと。

【久保委員】  どこまでが封じ込めの部分か、どこまでが試験研究かという話なんですけれども、封じ込めのものは一応対象としないというのがこの議定書の精神ですね。そうすると、昔の科技庁に提出されているものは一応封じ込めというふうに考えられるんじゃないかと思うんです。それプラス、それ以外の部分で規定を決めようと考えているわけですから、当然試験研究の部分はそれよりもさらに広いカテゴリーと考えられるんじゃないかなと私は理解しているんです。

【事務局】  議定書上の封じ込めに関しましては、AIA手続が除外されるというのが明記されておるというだけで、ごく一般的な管理、取扱いに関しては、一般的義務としてうっすらと適切な措置をとるように求められている。それから、輸送、包装、添付文書に関しての規定、これについては封じ込め利用のものにも適用されている、そういう形になっておりまして、すべてにおいてずぼっと抜けているわけではなくて・・・。

【吉倉主査】  だから、それは、やっぱりカルタヘナ議定書を直接お読みになるほうがいいと思います。

【久保委員】  私が言っているのは、研究機関がイコール封じ込めの部分というふうに考えられるのはちょっと違うのではないかと考えて。

【事務局】  そうですね。

【久保委員】  その点の確認だけです。失礼しました。

【吉倉主査】  もう5分過ぎたんですが、あと、よろしいですか。そうしたら、具体的にどういうぐあいにこれに対して返事をもらうか。メールを先生方に差し上げるか何かして、それで返事をもらうのがわりと便利かと思うんです。

【事務局】  では、終了後、あしたまでの範囲でメールを送らせていただきまして、集め方についてはご案内させていただきます。適宜質問とかございましたら、ご遠慮なく上げていただきまして、どんな意見でも結構ですので、まずは出していただくというところから始めて、また疑問をぶつけ合うことによって議論が発展すると思いますので、ぜひお出しいただきたいと思います。

【吉倉主査】  それから、メールでやる場合に、この会議は原則というか、要するに公開になっているので、メールも公開ですか。その辺、どうですか。

【事務局】  これに関する意見につきましては、取りまとめさせていただいて、出てくるということになりますので、その前段階の問い合わせとかそういったものは事務的なやり取りということで・・・。

【吉倉主査】  公開対象にしない?

【事務局】  はい。意見につきましては、問いの投げかけでも結構なんですけれども、その取り上げるべき内容につきましては、もちろんまとめて出てまいりますので、そこで公開されるということになります。

【吉倉主査】  そうすると、メールのやり取りそのものは会議の一部にはしない、取りまとめたものが出た段階から会議の内容になる、そういう理解でよろしいですか。

【鎌田委員】  一言確認なんですが、その場合、途中でいろんなやり取りがもしあったとして、それは全部無視して、最終的に事務局で取りまとめたものを公表する、それが公表であるということですね。

【事務局】  そうですね、はい。

【鎌田委員】  そのときに事前に、最終的にこういうものですよというのが来るのか来ないのかだけ、確認なんですが。

【事務局】  時間的に間に合えば、もちろん。

【鎌田委員】  だから、公表するものはこれですというのが来るということですね。

【事務局】  はい。

【吉倉主査】  その段階で、これは自分の言ったことと違うということであれば、言ってもらったほうが・・・。

【鎌田委員】  そうなんです、そこをやりたかったから。

【吉倉主査】  そういうフィードバックがあるということを前提に置いて、そういう手続をとりたいと思います。
 それでは、どうもきょうは、ちょっと時間が過ぎてしまいましたが、ありがとうございました。

【事務局】  恐縮なんですが、4回目以降の日程、次回の日程は3月13日の午後1時から3時ということで、既にご案内をしております。4回目以降の日程は机上に置かせていただいておりまして、調整させていただきたいと思っております。今この場でご回答いただけるようでありましたら、ご記入いただいて、無理であれば、お持ち帰りいただいて、FAXで回答いただくようにお願いいたします。
(了)


(研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室)

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