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生命倫理・安全部会

2001/08/29議事録
生命倫理・安全部会疫学的手法を用いた研究の在り方に関する小委員会(第1回)議事録

生命倫理・安全部会疫学的手法を用いた研究の在り方に関する小委員会(第1回)議事録
     
1. 日   時 平成13年8月29日(水)   10:00〜12:00
     
2. 場   所 経済産業省別館8F   第827会議室
   
3. 出席者
 
(委   員) 高久主査、石井委員、位田委員、稲葉委員、小幡委員、珠玖委員、森崎委員
(事務局) 菱山生命倫理・安全対策室長、厚生労働省原口厚生科学課課長補佐   他
   
4. 議   事
  (1) 小委員会の運営について
  (2) 疫学的手法を用いた研究について
  (3) 疫学研究における倫理的課題の検討状況について
  (4) その他
   
5. 配布資料
 
資料1    疫学的手法を用いた研究の在り方に関する小委員会運営規則(案)
資料2    疫学的手法を用いた研究をめぐる状況
資料3    疫学について−最近の倫理問題を考慮しつつ−
資料4    厚生科学審議会科学技術部会疫学的手法を用いた研究等の適正な推進の在り方に関する専門委員会:疫学研究等に関する倫理指針(仮称)骨子案(たたき台)
資料5−1    全国医学部長病院長会議研究倫理に関する委員会:疫学研究等に関するガイドラインの考え方(案)
資料5−2    全国医学部長病院長会議研究倫理に関する委員会:疫学研究等に関するガイドライン試案
参考資料1    疫学的手法を用いた研究等における生命倫理問題及び個人情報保護のあり方の関する調査研究班:疫学の研究等における生命倫理問題及び個人情報保護の在り方に関する指針(案)
2    個人情報の保護に関する法律案
   
6. 議   事
  【高久主査】
       では、始めましょうか。
  【菱山室長】
       ただいまから科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会疫学的手法を用いた研究のあり方に関する小委員会の第1回会合を開催させていただきます。
   本日はお忙しい中、先生方お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。私、文部科学省研究振興局の生命倫理・安全対策室長の菱山と申します。
   本日は、疫学的手法の関係の研究のあり方に関する小委員会ということで、主に疫学に関する倫理的な指針に関してご議論いただきたいと考えております。疫学の意義についても先生方ご承知のとおり、医学の発展、あるいは人間の健康や、疾病に関する様々なことについて非常に役に立っているところでございます。特に、文部科学省の関係では大学の医学部とか、あるいは放射線関係でもいろんな疫学的な手法を用いた研究や事業をやっているところでございます。
   一方では、厚生労働省においては、平成12年度に1年間ほどかけまして、疫学的手法を用いた研究の倫理指針といったものの調査研究をするとともに、審議会において検討を行ってこられています。当初は厚生労働省関係の機関に対しての指針ということを考えていたということでございますけれども、むしろ我が国の疫学研究全体をカバーしたものをつくったほうがいいのではないかということでございまして、文部科学省も一緒に考えませんかということがございました。とは言われても、すぐには私どもは対応できないということもございまして、医学部長病院長会議に、特に医学部でいろいろな疫学研究をやられることが多いということから、ご検討をお願いしてまいりました。
   きょうここでご検討、ご審議いただきまして、今後各役所で別々に検討するのではなくて、厚生労働省と一緒の会議を開き、そこでご検討をしていただきたいなと考えております。
   スケジュールといたしましては、若干窮屈ではあるんですけれども、できれば年内にも指針という形でまとめていただきたいと考えております。いろんな個人情報を扱うとか、そういった問題が倫理的な問題として挙げられるかと考えておりますが、一方で、生殖医療、ESとかクローンとかいった問題とはまた違う問題があるかと考えております。しかし、非常に意見が対立するようなことはないんじゃないかなと期待しております。とは言いましても、非常に重要な研究でもあり、いろんな影響もあるということで、ぜひご検討いただきたいと考えております。
   まず事務的にこのお席に配られております資料についてちょっと確認をさせていただきたいと思います。
  【事務局】
       資料は1から5までございまして、運営の考え方につきますものが資料1、それから資料2につきましては疫学的手法を用いた研究をめぐる状況、3につきましては稲葉委員のほうからご説明いただきたいと思っております疫学についてという説明ペーパー、それから4につきましては厚生科学審議会のほうで出されております指針の骨子案(たたき台)、5につきましては1、2と枝番がついてございますが、これは後ほど珠玖先生のほうからのご説明に供するものということでございますが、全国医学部長病院長会議のほうで議論が行われています件につきまして用意してございます。あと参考資料といたしまして個人情報保護法制に関します法律案そのものです。それと厚生科学研究費補助金のほうで設置されておりました研究班の指針案、成果でございますが、そちらのほうを参考に添付させていただいております。
  【菱山室長】
       それからご就任いただきました委員の方々の紹介をさせていただきたいと思います。本小委員会につきましては、委員のお願いにつきまして生命倫理・安全部会長、高久先生にご相談をさせていただいております。まず高久先生は部会長でありますが、本委員会の主査もお願いしたいと考えております。高久先生からまず一言ごあいさつをお願いしたいと思います。
  【高久主査】
       今、事務局のほうから説明がありましたように、私は厚生労働省のほうで厚生科学審議会の中の専門委員会で委員長として議論を進めさせてきていただいており、また近い将来、厚生労働省と合同の委員会をつくって、統一したガイドラインをつくるという話がありますので、一応主査を受けさせていただきました。よろしくお願いします。
   この問題は、厚生労働省の専門委員会でかなり時間をかけて小委員会をつくって検討いたしました。それでもなかなか結論に至らずに、次に厚生科学研究費として、しばらく研究を続けていただいて、きょうが事務局からご説明があると思いますけれども、ようやくある程度の案ができています。一番難しかったのは、疫学的手法をどこまで広げるかというか、範囲が非常に広いものですから。どこまで及ぶかによって、いろんな懸念の声が出たという経緯もございます。ぜひ先ほどもお話にありましたように、本年度中に議論をまとめたいと思いますので、よろしくお願いします。
  【菱山室長】
       ありがとうございました。それでは続きまして、本小委員会の委員の先生方をご紹介をさせていただきたいと考えております。机の上に委員の名簿と先生方のお席の配置図がございますけれども、委員の先生方、一言ずつごあいさつをいただければと思います。順にご紹介申し上げますので、まず高久先生にごあいさついただきまして、ありがとうございました。それからこちら回りということで、石井先生。
  【石井委員】
       岩手県立大学の石井と申します。よろしくお願いいたします。
  【菱山室長】
       位田先生。
  【位田委員】
       京都大学の位田でございます。よろしくお願いいたします。
  【菱山室長】
       順天堂大学の医学部の稲葉先生は疫学の専門の先生でございますが、きょうはちょっと所用があって30分ほど遅れるということでございます。小幡先生。
  【小幡委員】
       上智大学の小幡でございます。法律のほうが専門でございます。
  【菱山室長】
       それからこの順番による金澤先生はきょう所用があってご欠席ということでございます。それでは珠玖先生。
  【珠玖委員】
       三重大学の医学部長の珠玖でございます。全国医学部長病院長会議の研究倫理に関する委員会というのがございまして、そこの委員長を承っております。よろしくお願いいたします。
  【菱山室長】
       寺田先生はきょうご欠席でございます。森崎先生よろしくお願いします。
  【森崎委員】
       国立循環器病センター研究所の森崎でございます。よろしくお願いします。
  【菱山室長】
       どうもありがとうございました。それでは、以降の議事進行については高久先生によろしくお願いいたします。
  【高久主査】
       それでは最初に議題の(1)の小委員会の運営についてということで、事務局のほうから資料が用意されていますので、よろしく説明をお願いします。
  【事務局】
       資料1のほうをごらんいただきたいと思います。この小委員会の運営につきまして1点のみ決定事項ということでお願いしとうございます。既に公開で行っておるわけなんですが、この会議及び会議資料の公開についてという点、それから議事録の公開についてという2点を列記しておりますが、この1番目、会議及び会議資料の公開に関しましては、この会議、会議資料は原則公開とする。ただし、審議の円滑な実施に影響が生じるものとして、主査が非公開とすることが妥当と判断した場合にはこの限りでないという点。議事録に関しましては、小委員会の会議の議事録を作成し、各委員の了承を得てこれを公開するものとする。
   この2点でございますが、よろしければご同意をいただきたいと思います。
  【高久主査】
       今、説明がありましたけれども、この2件については、特にご異論がないと思いますので、ご了承をいただきたいと思います。
   次に第2番目の議題ですけれども、疫学的手法を用いた研究については、事務局のほうから説明をお願いします。
  【事務局】
       生命倫理・安全部会などでも一度ご説明しております。その他先生方、既にお詳しいかと思いますが、一応疫学的手法を用いた研究に関する状況をおさらいする形でご説明させていただきたいと思います。
   まず疫学的手法を用いた研究をめぐる情勢という点でございますが、「疫学研究とは」という部分と、「疫学研究をめぐる情勢」というのが書いてございます。これは後ほど稲葉先生のほうから詳しくご説明いただいたほうがよいかと思いますが、簡単に申し上げますと、「疫学研究とは」というところでございますが、ごく一般的に申し上げましたら、疫学研究とは、健康関連の諸問題に対する有効な対策の樹立に利用ということを目的としまして、健康・疾病に関連したさまざまな事象の頻度と分布を分析し、これによりまして、健康・疾病に影響を与える要因を明らかにするといった学問かと考えられます。
   疫学研究というのは、非常に適用範囲が広い一般的な研究手法であります。単に健康・疾病などの自然の姿を観察する観察的研究、それから被験者に異なるプログラムを割りつけて結果を比較する介入的研究に大きく言いますと大別されますが、このほかにも被験者由来の生体試料の分析を含むものなど、研究の形態が非常に多様であるという特徴がまず認識される必要があるかと思います。
   それから実績ということでございますが、疫学研究が広く行われておりまして、その結果、国民の健康や公衆衛生の向上に大きく貢献してきている。またたばこや食生活ですとかが健康に及ぼす影響、あるいは感染症の感染ルートの特定でありますとか、このほか変わったところでは、公害や内分泌かく乱物質でありますとか、放射線の影響ですとか、あらゆる面で活用されている。今後においても極めて重要な研究分野であることに変わりはない、あるいはむしろ発展的な分野ではないかという認識が必要かと考えております。
   それから疫学研究をめぐる情勢といたしまして、EBM(Evidence based medicene)と書いておりますが、医学の中では最近、今ある最良の情報、根拠などを的確に把握して患者のケアに使っていくというような形の学問ですとかが、非常に注目されておりますが、そのための情報、根拠となります疫学が進展し、応用される場面が大変拡大する傾向にある。
   それから、これは倫理面の関係でございますが、人権意識の高まりから、社会的に利益があるからと言って被験者個人の権利がいたずらに侵害されるということがあってはならないという意識が広がってきている。それから、それ以降2点につきましては、3枚目に別紙資料ということで、添付させていただいております。個人情報保護の法制化の流れがございまして、被験者の情報保護の必要性が認識されているということ。
   それから、ちょっと括弧書きがついてございますが、これは実は厚生労働省に対する指摘ということで整理されておりますので、当方といたしましては括弧書きをちょっとつけておりますが、いずれにせよ政府が考えておる計画ということでもございますので、ここで拾っておりますが、規制緩和推進3カ年計画、ことしの3月に閣議決定されたものの中におきまして疫学研究等について情報の適正な利活用を可能にする仕組みの整備が求められているといった環境があるということが情勢として重要な認識と考えてございます。
   それでは、疫学的手法を用いた研究の倫理的課題を考えていく場合の基本認識についてごく簡単に書いたのが2ポツ目でございまして、まず研究の特徴ということをよく念頭に置いた形で議論を進める必要があろうと。3つほど掲げてございますが、このほかにも先生方からご指摘がある部分があるかと思いますが、疫学的手法を用いるということは、すなわち個人の健康・疾病に関する資料等を大量に収集し、利用すると。大量というふうに程度問題は大幅にございますが、多くは統計的分析が可能な程度に収集利用するというのが特徴であると。
   それから場合によっては、長期にわたり個人の健康・疾病の状況を追跡する研究がある。個人情報などをフォローする、長く追いかけるというものがある。もう一つは研究の中には、インフォームド・コンセントを受けようとする行為自体が研究の結果に影響を与えて、データの信頼性が低下することがあり得る。例えば、一定の生活習慣が健康に及ぼす影響などを調べようという場合で、観察研究を行おうとしたときに、あまりこの研究のねらいなどを明確に説明し過ぎますと、被験者のほうの行動に影響を与えてしまう、バイアスがかかってしまうという観点からの特徴があろうかと。
   こういった特徴を踏まえて倫理的課題としてどういった配慮が必要なのかという極めて簡単な整理でございますが、まずは被験者の人権を守るという観点が非常に重要でございますけれども、あわせて研究データの信頼性を高く維持するということそのものが重要ということで、個人情報を含む資料等の管理に十分な配慮が必要という点を指摘してございます。
   もう一つにつきましては、研究の性格に合ったインフォームド・コンセントのあり方。さまざまな研究があるということ。先ほど言いましたような特徴があるということを踏まえたインフォームド・コンセントのあり方について考慮が必要。考慮して議論を進めていくべきという点を指摘してございます。
   それから3ポツ目はこれまでの検討の経緯でございますが、先ほど主査のほうからもご紹介がございましたように、旧厚生省時代の厚生科学審議会先端医療技術評価部会というのがございましたが、1年弱をかけまして、疫学的手法を用いた研究等における個人情報の保護等のあり方に関する専門委員会が開かれてございます。種々こういった勉強でございますとか、その次に書かれております厚生科研費によります事業での成果をさらに議論するような形で議論してきたという経緯がございます。
   それから、次のポツにつきましては、12年3月から翌年4月までということで、丸々1年以上の期間をかけて行われたものでございますが、厚生科研費の事業の中で神戸大学の丸山先生を班長といたしまして、「疫学的手法を用いた研究等における生命倫理及び個人情報保護の在り方に関する調査研究」というものを行っておられます。これにつきましては先ほど申しましたように、参考資料で最終的な指針の案を添付させていただいております。
   それから、厚生科学審議会科学技術部会、これは厚生労働省に移りましてからの新しい部会名ですが、こちらのほうにも疫学的手法を用いた研究等の適正な推進の在り方に関する専門委員会が設置されまして、既に2回の会合が開かれております。こういった検討が各方面で行われていると。
   それから、学会ですが、各関係学会等で自主的な取り組みのあり方を検討している。例えば日本産業衛生学会のほうでは学会が対象といたします労働衛生ですとか、そういったところに特に着目した考え方をまとめたり、あるいはそのほかでも地道な検討が行われているということだろうと思います。
   それから海外につきましては、世界医師会によるヘルシンキ宣言、これは特に疫学に限った話ではございませんが、人の試料を用いる場合の倫理的な規範が記されているもの。それから国際医科学評議会がWHOと協力いたしましてつくりました疫学研究のための国際的指針、これはエイズの蔓延とかを発端といたしまして策定された経緯がございますが、この中ではいろんな倫理的な規範が示されておりますが、これをもとに各国が規範をつくることを求めるなどの記述もございます。また、国際薬剤疫学会、GEPガイドラインというのをご紹介しておりますが、これにつきましては、どちらかと言いますと、疫学研究をいかにクオリティーの高いものとして実施するかという観点からまとめられたもので、上の国際医科学評議会のものとは大分性格が異なるかと思いますが、データの質ですとか、研究の質をどう保つか、研究デザインをいかに科学的につくっていくか。それから研究を具体的に実施する際にどういった配慮が必要かと。例えば研究デザインの中ですとか、研究の実施の中で倫理面への配慮が一部ございます。こういったものが参考になろうかと。それからアメリカの政府でも似たような指針が出されてございます。
   それから一番下のほうに書いてございますが、先ほど珠玖先生からもご紹介ございましたように、全国医学部長病院長会議の下に研究倫理に関する委員会。研究倫理に関する委員会が組織されまして、最初の課題として疫学研究のあり方について議論が行われています。これは最初の課題と書いてございますように、あくまでいろんな倫理の問題について主体的に議論を行っていこうという趣旨で設置されたものでございますが、この疫学研究に関する議論が進行中ということもございまして、まずはこれから取り組もうということで、6月以降かなりの頻度で開催されております。委員長が珠玖先生でいらっしゃいまして、ほか11名の臨床の先生、疫学の専門の先生で組織されております。研究者サイドからの自発的な議論というような性格を帯びて、鋭意議論が行われているということでございます。
   状況といたしましてはこういうことでございます。
  【高久主査】
       順番として次に稲葉委員から資料3の疫学についてということでご説明を願う予定でしたが、少し遅れておられますので、次のほうに進ませていただいて、資料の4ですね。稲葉委員が厚生科学審議会の中の疫学研究等に関する倫理指針についての専門委員会の骨子案が出ていますので、これについて説明をしていただいて稲葉先生が来られたら、疫学についてお話をいただく事にして、このほうを先にやっていただけますか。
  【事務局】
       その前にこちらは、厚生労働省厚生科学課の原口課長補佐です。
  【厚生科学課】
       原口でございます。遅れてまいりまして、大変失礼いたしました。
  【高久主査】
       よろしくお願いします。それではどなたが説明しますか。資料4ですね。
  【事務局】
       ご紹介ございましたように、第2回の厚生科学審議会の疫学的手法を用いた研究等の適正な推進の在り方に関する専門委員会の資料からそのまま使われたものをお話ししております。これにつきましては、まずたたき台ということで、ここにも書いてございますようにヘルシンキ宣言の考え方、あるいは個人情報保護法制の考え方、それからやはり厚生省サイドでは随分長い間議論してこられた厚生科研費における成果ですとか、そういったものに多方面に配慮しながら、最終的な指針としてどういった骨格を持つべきかという観点からつくられたたたき台ということでございます。
   まず基本的な考え方といたしまして、目的を明記する。これは当然でございますが、ここに書いてございますように、「疫学研究の重要性と学問の自由を踏まえ、個人の自己決定権及び個人情報保護等の人権が守られるよう疫学研究にかかわる全ての関係者が」遵守すべき内容を定めることにより、「人間の尊厳及び人権が尊重され、社会の理解と協力を得て、研究の適正な推進が図られることを目的と」する。この前段の括弧のほうが厚生科研費での研究班でまとめられました中身から引用しておる文でございます。後段の人間の尊厳以降の部分がヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針ということで、政府指針として実際に研究の現場で使われているものに記述された一節でございまして、こういったものを適宜組み入れまして、目的規定をつくってはどうかということが、ここで提案されてございます。
   2の本指針の適用範囲でございますが、対象となる疫学研究に携わる研究者すべてに遵守を求めるということで検討するということもございまして、厚生労働省並びに文部科学省の協力が前提となる必要があるのではないかということでございます。
   めくりますと、本指針は介入研究に手術や投薬等の医学的介入を含むものとするかという論点を示してございます。介入の場合でも極めて介入程度の大きいものについて、ここで入れていくべきかそうでないのかという議論を、ここで論点として示してございます。また、がん登録等の疾病登録事業については疫学研究についての基本的な考え方が整理された後に検討することとすると書かれてございます。これも事業という意味で一種特殊なものでございますし、まず登録という研究そのものではないわけでございますが、そういった事業との関連について疫学研究全般についての考え方の整理の後に、さらに検討を追加するという方針でここに示してございます。
   それから、3ポツ目でございますが、ここにすべての研究者が遵守すべき基本原則ということで、やはり基本的な倫理規範としての一番重要な項目を列記して理解を求めていくという考え方で各項目を例示してございます。こういったポツが8つほど並んでございますが、こういった項目について一定の記述をいたしまして、わかりやすく理解が進むような形にしたいという観点でございます。上のほう、研究の科学性・倫理性、それから研究対象者の尊厳、倫理的配慮の周知等がいろいろございます。
   それから、若干個別的ではございますが、研究対象者の選択の方法、倫理審査委員会の審査、インフォームド・コンセント、それから試料取得の原則、個人情報保護等研究結果の公表といった個別の点につきまして、重要な項目につきましても考え方を列挙している。その中でも、次の項にも関係していきますが、個別に特に重要な項目について細かく規定していくという趣旨で、4ポツ目以降を規定してはどうかという案になってございます。その中でまず倫理審査委員会というのが、やはりこういった指針は自主的に研究の適正を図っていくということが基本精神でございますから、それぞれ各機関の倫理審査委員会がいかに適切な運営をされるかという観点で必要な規定というのをここに盛り込む必要があろうかと。
   内容におきましては厚生科研費の研究班で出されました案の一部などを参考にいたしまして、倫理審査委員会の責務、それから設置運営の方法、付議することそのもの、そういった義務のこと、それから研究機関の長による許可の決定。これが責任の明確化だと思いますが、それから、研究にかかる報告等といった規定を、今後もう少し詳細にではありますが、順次設けていってはどうかという考え方を示しております。
   それから次のページに移りまして、インフォームド・コンセント等の取得ということでございます。これは研究の多様性に配慮し、場合分けをすることによりまして、考え方を明確にする。その方法をとることにより指針として使いやすいものとすることを念頭に考えられております。
   具体的には人体から採取された試料を用いるかどうか。その場合においても試料の提供が侵襲性を有するかどうか。それから、人体から採取された試料を用いない場合は介入研究、または観察研究かなどでございますが、そういった指標を用いて研究を分類いたしまして、それについてインフォームド・コンセントのあり方というのを一般化できないかというご提案がなされております。
   まずは人体から試料をもらう場合というのは非常に個人に対する配慮が必要という範疇という整理からまず書いてございますが、(1)人体から採取された試料を用いる疫学研究、そのうち特に侵襲性を有する場合、例えば血液を採取する場合に針を刺すとか、こういった場合については、やはり文書によるインフォームド・コンセントを原則として必要とするという考え方に立つべきではないかと。
   それから、試料の提供が侵襲性を有しない場合、これは例えば尿とか便になろうかと思いますが、インフォームド・コンセントを原則として必要とするということなんでございますが、口頭などの方法によってもよいのではないか。こういったことでどうかという提案をしてございます。
   それから(2)のほうですが、人体から採取された試料を用いない疫学研究。介入研究とさらに観察研究と分かれてございますが、まず介入研究のほうにつきましては、介入の効果を徹底する介入研究についてはとございますが、まずこの介入研究を徹底する介入研究というのは、介入の効果を徹底しない介入研究というのと並びなんでございますが、介入の効果の徹底しないという場合の例示といたしましては、4ページの中段にもございますように、例えば保健指導に従う集団と従わない集団。保健指導という介入があるわけなんですが、従う集団、従わない集団という形でそれを比較するような研究などを念頭に置いております。それ以降、無理やり従わせようというようなことではなく、従う集団、従わない集団というような成り行きを見守るという例示がございますが、介入の効果を徹底する研究というのは、それと対置される研究ということになろうかと思います。これにつきましては、インフォームド・コンセントを原則として必要とするか。この場合にインフォームド・コンセントは口頭でよいのではないか。こういった提案でございます。
   それから、先ほど申しました例示のような介入の効果を徹底しない介入研究については、インフォームド・コンセントを受けることまでは必ずしも必要としないが、研究実施についての情報を公開し、かつ研究対象となることを拒否する機会を保障しなければならないものとするかどうか。これは個々の意思の確認まではしないものの、この研究を行っているという情報を広く開示せしめることで知ろうという人には知ることができるような状況というのをつくる。それから、場合によっては研究に参加できないという拒否の機会をつくるといった方法がとれないかが提案されてございます。
   それから観察研究につきましては、研究立案時以後に収集した試料を用いる場合と、それから研究立案時において既に存在する試料のみを用いる研究ということで若干場合分けしてございます。研究立案時以後に収集した試料を用いる研究につきましては、インフォームド・コンセントを受けることまでは必ずしも必要としないが、研究実施についての情報を公開し、かつ研究対象となることの拒否の機会の保障を定めてはどうかと。
   それから既に存在する試料のみを用いる場合につきましては、これもインフォームド・コンセントを必ずしも必要とはしないし、さらに補償的な措置といたしましては、情報の公開のみを規定してはどうかという提案でございます。
   こういった詳細の場合分けによりまして、細かい説明を申し上げておりますと時間が足りませんので省きますが、こういった場合分けをして指針として使いやすいものにしてはどうかという配慮がございます。
   それから代諾者からの取得ということも考慮しなければならないわけでございますが、この件につきましては、ヒトゲノム遺伝子解析研究の指針におきまして非常に詳細な規定の前例がございますので、こういったものを参考として規定してはどうかということが書かれてございます。
   それから試料の取扱い等、第4というくくりになっておりますが、7番目以降でございます。こちらのほうは、先ほど研究の特徴上から申しましたように、試料をいかに適正に取得・管理することが重要かという研究でございますので、研究実施に当たっては、まず研究の実施に当たり情報管理体制を整備しなければならないと定める方向でどうかと。これは、研究班のほうにも同じような考え方が示されておりますが、まずそういう考え方を明記し、必要な事項を定めることでどうかということだと思います。
   それから次のページ、6ページの8番目、試料等の取得、保存、廃棄の方法等でございますが、研究責任者は研究等の計画書に従い、保存する場合を除き、試料の保存期間が研究等の計画書に定めた期間を過ぎた場合、試料を廃棄しなければならないこととする方向でどうか。これも研究班指針の7−4というのを参考に規定してはどうかという提案でございます。
   それから研究実施前に提供された試料の利用ですとか、ほかの研究に研究試料を提供する場合の措置などでどうすればいいか。原則としては、本人の同意を得ること。匿名化されていること。それぞれどちらにも寄れない場合は、次の代償措置を満たす必要があるというようなことで規定していってはどうかという提案がなされております。
   それから最後のページにつきましては、研究発表時の措置。研究の結果の発表時においては、研究対象者を匿名化することを原則としてはどうか。それから見直し、それから用語の定義。特にわかりにくい疫学研究そのものということもございますし、観察研究、それから介入研究の定義などを置いてはどうかといった規定になってございます。
   これを6月22日に議論されたわけなんですが、その議論の中で主にはインフォームド・コンセントの分類の中で、例えば介入の効果を徹底するしないというような場合分けが果たして現実的かどうかというような論点ですとか、研究試料について廃棄しなければならないというような規定というのは、長期にわたって保存することそのもののほうが大事ではないかというような観点とか、そういった部分について議論がございました。これにつきましては、また引き続き検討が必要な事項になっておるかと思います。
   以上でございます。
  【高久主査】
       どうもありがとうございました。
   遅れて稲葉委員が来られましたけれども、予定では実は今の厚生労働省の疫学研究等にかかる倫理指針の骨子案の前に稲葉委員に疫学についてご説明をいただくことになっていましたので、稲葉先生よろしくお願いします。
  【稲葉委員】
       すみません。遅れまして。今の指針の前にあったほうがほんとうはわかりやすかったかなと思います。既に疫学についてはご存じの方が多いのではないかと思いながら、基本的なことはちょっとお話ししておいたほうがいいと言われましたので、スライドのつもりでいたのですが、無理だということで、スライドの原稿がそのまま資料3になっております。それに従って簡単に疫学の基本的なことだけちょっと説明をさせていただきます。10分ぐらい……。
   epidemiologyという疫学という英語なんですけれども、epiとdemiとologyに分解して学生によくこういうふうに説明しています。epidemicという言葉があるわけですけれども、流行という、病気の流行について研究する学問ですが、スタートはそういうことで、感染症で始まりました。こう分解してみますと、こじつけというと変ですけれども、人間集団を扱う学問ということに一般化できるという方向にだんだん進んできております。次の2ページにありますように、流行病学という感染症の流行状況の把握、それから流行の様式を予測したり、決定したりする研究、そして感染症対策の評価、そういうものがスタートとして疫学の19世紀後半から中心になる考え方というか、対象だったわけです。20世紀の中ごろになりまして、この2のほう、人間集団における健康障害の頻度と分布、そしてそれを規定する諸要因について研究するという、これが大体一般的な疫学の定義になっています。
   2ダッシュというのをつけたのは、この研究の定義にプラスして健康増進とか、疾病の予防とか、そういうところまで、疫学の守備範囲を広げようという意図もこの段階で既にありました。上の頻度と分布の研究、そしてそれを規定する要因の研究ということだけですと、今の話である観察研究のところで大体とどまるんですけれども、健康増進とか予防のほうに入ってきますと、介入、実験的な研究というのが必要になってくるということです。最近では特に健康増進、予防というほうにかなりウエイトを置いた研究が多くなっているということです。
   3ページ目の応用疫学というのも、既にお話があったかと思いますけれども、ごく最近、epidemiologyという言葉自体、非常にいろんなものがくっつきやすいんですね。applied epidemiologyと言いましたけれども、何でも、何とかepidemiologyという、私が研究の最初はcancer epidemiologyというがんの疫学というのを中心にやってきました。neuro-epidemiologyとか、geno-epidemiologyとか、いろんなものがepidemiologyにくっつけられるものですから、いろんな分野が広がってきた。人間集団を対象にするものなら何でもいいということで、どんどん広がっているという状況があります。最近のmolecular epidemiology、これは分子生物学の発達とともに、人間集団にさまざまな現象が起きているのを分子のレベルで解明していこうということです。分布と頻度も分子生物学的なところまで踏み込んで広げていくとか、あるいは規定する要因、例えば病因と書いてありますが、O−157のような感染症でも、その細菌の遺伝子の形をチェックすると同じ菌が流行のもとになっているのか、違う菌なのか、そういう病因のほうの遺伝子の問題をチェックすることによって、流行を規定する因子がはっきりする。それから宿主側のほうも遺伝の多型と言いますけれども、いろいろな遺伝子のタイプによって喫煙をしていてもがんになりにくい体質とか、すぐにがんになる体質とかいうのがわかってきました。そういう研究が多くなってきておりまして、分子のレベルで、あるいは遺伝子のレベルで頻度を研究し、また頻度を規定する要因を研究する学問ということです。血清を保存して遺伝子を調べることによって、いろんな病気と関連させて研究を進めていこうということにつながっていると思います。
   その次のclinical epidemiology、これも最初はいろんな感染症の原因はフィールドでやってきたわけですけれども、慢性のがんとか、循環器だと、今度は病院に来ている患者さんを対象にするということで、hospital-based epidemiologyなんていう言葉があって、病院に来ている患者さん、だからclinicalな面で病院の検査のデータなんかと比べて病気の原因を調べていこうというのがスタートだったわけです。
   いわば臨床的なデータを使って疫学研究をしようというのがスタートだったんですけれども、最近のGCP(Good Clinical Practice)、それからEBM(Evidence-Based Medicine)ですけれども、こういうものになってきますと、今度は臨床のデータを疫学に使うんじゃなくて、疫学の研究手法を臨床の場面で応用する。そういう研究がかなり増えてきておりまして、臨床医学と疫学の区別というのは境目が非常にあいまいになってきたというか、難しくなってきているというのが現状だと思います。
   今まで集団を対象にやってきたいろんな現象を個人に応用する学問ということも言えるという言い方をしている人もいます。臨床の場面で介入研究を実際に行う、あるいは介入研究を行った結果を応用していくということが、研究として疫学会の中にも増えてきているということが事実です。そういうことで、範囲が広がって境目が非常にあいまいになっているという意味で応用疫学ということで少し話をさせていただきました。
   そして倫理の問題と関連して、柳川先生という、今埼玉大学の副学長をされていますけれども、自治医大の教授のときに出された『疫学マニュアル』という本に、疫学の教科書として倫理のことをかなり細かく言及しているのは、この本が唯一であろうと言われているんですが、これに倫理的な疫学研究について少し書いてありましたので、ご紹介いたします。
   1つは明確な目的を持つということ、目的がはっきりしない疫学研究は倫理的ではないということで、明確な目的というのはいずれの研究でもそうだと思いますけれども、重要だということです。
   それから2番目は公共の福祉に合致した目的を持つ。これは疫学が公衆衛生の一分野であって、公共の福祉の向上を目指した目的で行うことが前提になっている。好奇心からやるということは当然あるんですけれども、最終的には公共の目的にかなうような研究でなければならない、これは倫理の面では重要なことだと思っています。
   それから方法論として、目的を達成するための妥当な方法論が必要である。科学的な方法を用いなければならないというので、介入研究、これ、二重遮蔽法と書きましたけれども、最近は二重盲検法というのは、差別用語だという人がいて、double-blindじゃなくて、double-maskedということが言われているようです。もとの本では二重盲検なんですけれども、あえてこれを二重遮蔽と直しました。そういうdouble-blindでない介入研究というのをできれば避けたいというか、できるだけ科学的にやるためには、double-masked procedureというのがどうしても必要になるというのが、この方法論のところで言われていることです。
   4番目、次のページですけれども、これが今かなり問題になっているインフォームド・コンセントと関連して研究の対象者の自由な意思による参加ということを基本にしておこうと。特に介入研究、実験的な研究では重視されなくてはならないということです。これがインフォームド・コンセントにつながるものと思います。
   それから最後に公表で、成果が必ず報告書や学会発表、論文などに公共の目に見える形で発表されていかなければ、情報公開ということでしょうか。公表されるような研究でなくてはならないということです。
   6ページにこれから議論になることだと思いますけれども、疫学研究の方法とその付随する倫理問題ということでまとめてありますが、唯一あまり問題にならないのが生態学的研究という、ecological studyと我々は言っているんですけれども、ある集団のグループごとに比較をする、県別の死亡率と、県別の食塩の摂取量を比較するとか、グループごとの集団のデータを比較する場合にはおそらく個人の情報に関する倫理問題は出てこない。
   もちろん研究目的とか、先ほど言った場面で多少問題になることはあるかもしれませんが、一番問題が少ないのは、生態学的な研究だと思いますが、それ以外、記述疫学、それから横断的な研究、症例対照やコホート研究、介入研究、いずれも個人を対象にする場合には、対象者の参加の自由な意思が必要であり、個人情報をどのように取り扱うかということに関しては倫理的な問題が生ずるであろう。特に介入研究、実験的な研究に関しては、一種の人体実験ということですので、その実験の妥当性というものを十分に吟味してやらなくてはいけない。そこが重要なことになると思います。
   参考文献としては、3つ挙げてありますが、柳川先生の文献のほかに定義としてよく使われるのは、疫学会のものからの引用がいくつかありましたけれども、国際的に『疫学辞典』というのが出ておりまして、これは疫学会で訳していますので、こちらのほうが割に参考になるかと思います。それから重松先生の『新しい疫学』という本がありますが、これはいろんな新しい手法を疫学で勉強するには有用な教科書だと思っています。
  【高久主査】
       ありがとうございました。
   今の資料の3と4についてどなたかご質問は……。
   よろしいでしょうか。それでは次に先ほども紹介がありましたように、全国医学部長病院長会議の研究倫理に関する委員会でこの問題を検討されていますので、その主査の珠玖委員によろしくご説明お願いします。
  【珠玖委員】
       今ご紹介ありました委員会で、この疫学研究等に関するガイドラインについて検討してまいりましたが、そもそもはこの委員会はさまざまな生命科学研究、例えばゲノムの問題だとか、あるいはヒトの遺伝子の問題だとか、あるいはその他一般的な臨床研究の問題とか、そういう中で派生してきます生物学的な倫理観だとか、社会的な意味での倫理観だとか、そういうものと広い意味での医学研究をどういう形でハーモナイズさせていくのかということを考える場としてこの委員会が設置をされました。
   そういうタスクで出発をしたんですが、冒頭よりご紹介のございましたように、疫学的な手法を持った研究に関します議論とそのガイドラインの制定についての審議がかなり進んでいるということもございまして、この問題を特に当面の問題としてつかまえるという形で検討してまいりました。基本的には、その委員のお一人であります稲葉委員も含めて疫学等の専門の先生方を中心として検討を進めてまいっているわけでございます。
   委員会の機能としましては、実は私どもの医学分野にいますと、実際には疫学的手法等を用いました研究というのを疫学という言葉にかなり閉じ込めてしまいそうなんですが、実は疫学的手法を用いたとなりますと、これはかなりの人を対象とした研究を包括するという可能性が出てくるだろうということと、それから、さらには今後考えていかなくてはいけない、さまざまな形での臨床研究というところへの波及度、反映ということも非常に大きいだろうという意味で位置づけながら検討を進めているわけです。
   そういう中で、委員会が全国の医学部長病院長会議という中に設置されているものですから、やはり大学、医学部と、あとはいくつかの関連する学会というところとの意見の調整も含めながらこの問題を検討していくということをやってまいりまして、これまでに数回の検討をやってまいりました。お手元にございますような形でのガイドラインの考え方、それからガイドラインの試案というものを、一応本日の委員会には提起をさせていただきましたが、どちらもあくまでもまだ途中経過でございます。そういう意味で、これから委員会の中でもいろいろ意見がまだ一致していないところも多々ありますし、とりあえずご参考のために出させていただきました。
   そういう中で、この問題につきましては、まず1つにこういう形でのガイドラインというものはやはり必要であろうと。冒頭からいろんな方々がお話をしていらっしゃるように、委員会としてもこれは必要であろうということを片一方考えて、そして適切なガイドラインをつくるべきであろうということだったんです。
   もう一つは、しかしそういうものをつくるに当たって、今度は全国の医学部長病院長会議というような立場になっていますと、ではそれをどう運用するかという意味での倫理審査委員会というようなものをほんとうに整備するということが同時に必要であろうし、そのことは学会及び施設を含めて大切であろうと。そこのところを整備するという中で、ではどのような形のガイドラインが必要なのか、妥当なのかということを考えなくてはいけないのではないかということで検討を進めてまいりました。
   このガイドラインの考え方に沿いまして、少しご紹介をさせていただきますが、実はこのガイドラインの考え方、あるいは試案というものは冒頭文部科学省のほうからご説明がありました、もともとは厚生労働省と文部科学省との両方の合同で検討しておられます、この骨子案(たたき台)、資料4と書いてあるものでございますが、これも十分に視野に含めつつ検討してまいりました。ただ、全体の構成の仕方がかなり違っておりますが、これは構成の仕方の違いそのものをけんけんがくがくとやるようなものではないだろうと思いますし、また多くのところは内容的にはかなり一致した部分も包括しているだろうとは考えております。
   ただ、前回の考え方としてはこういうガイドラインをつくるとすれば、基本的にはこのガイドラインというものが疫学を対象としていまして、先ほど稲葉委員からご説明がございましたように、疫学というのは非常に多様な手法で、多様な集団、しかも大量の情報を集めるということがあり、長期にわたってその情報を集めなくちゃいけない。要するにそういう意味では研究そのものが非常に多様であるというようなことがございまして、それから対象とされる人たちも千、万という単位の人たちを相手にした形で研究が行われることが決して珍しくはないということだとか、長期間にわたる追跡調査というようなことがあります。
   そういう意味では、全体の研究そのもののあり方というのを少し区分けをして、実は後で一番問題になります介入があるかないかというような形、あるいはインフォームド・コンセントをどういうふうにとるかという形でのたたき台でありますような形というのに当てはめていくことが可能であろうかどうかということが結構問題になりました。
   これはまた後でご議論を願いたいことだと思いますが、結論的には委員会の考え方としては全体のガイドラインというのは、原則論でむしろやっていただいたほうがいいんではないだろうかと。そしてそれは人権擁護ということと、それから疫学の科学性をどういう形できっちりと保っていくかという意味での原則論である。そして、あとそれを具体的にどう運用するかというようなことは各施設の倫理委員会というものがかなりきっちりとした判断をする。その判断の材料になるような形でのガイドラインであることが望ましいだろうと。その判断に困るものについては学会等がやはり支援をすべきじゃないかという、大体こういう基本的なスキームを考えたわけでございます。
   そういう意味では、ガイドラインそのものをあまり逐一的な手引き書的なものにするよりは、もう少し原理原則をきっちりと述べて、それに基づいて倫理委員会がどう判断するかというような形を考えるべきであろうし、今度は医学部長病院長会議等は各施設の倫理審査委員会等をどれくらいきちっと整備するかということを同時に責任を持ってやることではないだろうかという、大体この辺が基本的なスタンスでございます。
   ガイドラインの考え方と、それから試案についてご紹介いたしますが、逐項的にご紹介するというよりは、5−1と5−2を対比してごらんになっていただきますと、まず前文では、疫学的な研究そのものがいかに重要であるかという位置づけと、それからそういう意味での手法の多様性等について述べさせていただいて、そして後半はすべて、しかしながらその中での人権の保護の大切さということをきっちりとうたうという形になっております。
   私が今述べておりますのは、資料の5−1のほうでございますが、全体には、その前文以下ありまして、第1に基本理念としては、もう一個の5−2のほうの2ページ目の冒頭をごらんになっていただきたいと思いますが、疫学研究の実施に際しては、対象者の人権の尊重が最も重要であり、科学的、社会利益より優先されなければならないという基本理念は明確にするということでございます。適用範囲は例外的な事例をなるべくつくらないようにしようと。さらには後でも出てまいりますが、既に発効している他のガイドラインだとか、海外との共同研究等にもやはり言及しておく。
   そして、一番大切な部分が、この基本原則に入っているわけですが、その基本原則の中で、言ってみれば研究者、あるいは研究者が所属している機関の長、あるいは主任研究者。主任研究者というのは疫学の場合には往々にして非常にたくさんの研究、あるいはいろんなところに参加しておられる研究者が集まって1つ1つのプロジェクトをやっていくということになるものですから、その取りまとめ役としての研究代表者という形が主任研究者になるわけですが、そういう方。それから倫理審査委員会、それぞれの責務というものをまずは明確にするという部分と、それが実際的には基本原則の3番が研究者自身、4番が主任研究者、5が研究実施機関の長、それから6番が審査委員会となっているわけですが、そういう形で位置づけを明確にするというところでございます。
   対比するというわけではございませんが、次に研究対象者になっていた方の、まさに人権の保護というところを7と8。とりわけ7の中で7−1につきましては、先ほど来ご説明のございますインフォームド・コンセント、それから7−2は情報の保護。これは対象者の方の個人情報の保護という観点でこれを整理してございます。
   3、4、5、6についてはごらんになっていただければと思いますし、それからたたき台に出していただいたものと多少のことはあったとしても、おおむね一致する部分が多いんではないかと思いますが、7の研究対象者の保護というところで、インフォームド・コンセントにつきまして、これは後でもう一度稲葉先生のほうからご説明を追加をしていただいたほうがいいかもしれませんが、インフォームド・コンセントの必要性ということは前提としながらもインフォームド・コンセントをきっちりと取る場合と取らない場合、もしくは取れない場合ということをきっちりとすべきではないだろうかと。
   とりわけ取れない場合というよりは、むしろ疫学の科学性の保障ということを考えますと、先ほどの介入云々ということがございましたが、それを取るべきではないと考えられる場合も十分あり得るだろうと。そういう形で整理をすべきではないであろうかというところで、7−1に書いてありますように、インフォームド・コンセントの一般的な考え方、その必要性を左右する要因、インフォームド・コンセントを必要としない、不適切、不可能な場合に必要となる事項、あるいはインフォームド・コンセントが必要になるときの同意の取得方法といった形でまとめるべきと、こちらのほうの試案は全体を処しております。これについてもぜひご意見をいただきたいと思いますし、このことがたたき台として出していただいたものの中では、かなりきっちりと検討すべきことであろうと思います。
   7−2で情報の保護に触れさせていただきまして、第3として研究結果の公表及び情報の開示、そして第4が疾病登録に基づいた研究、そして第5が今後おそらくはどんどんと展開していくであろう海外との共同研究というものについて構成しているということでございます。
   具体的な内容につきましては、その都度の必要性に応じて、検討をしていただければと思いますが、それが大体のこれまで検討してまいりました委員会でのこういうガイドラインのあり方のスタンスと、ガイドラインをつくるに当たって、この資料4にございますたたき台として出していただいたものについてとの対比の中できっちりと考えたほうがいいんではないかということでの提案です。
  【高久主査】
       どうもありがとうございました。
   この資料の4の2ページ目に一番上のほうにある本指針の介入研究に手術や投薬等の医学的介入を含むとするかどうかについては、厚生省のほうではどういう議論になっていましたか。
  【厚生科学課】
       この6月22日に本日の資料の4で議論いたしました際には、2ページ目の2番目にあります本指針は介入研究に手術や投薬等の医学的介入を含むものとするかという点については、含まない方向でと基本的にはなっております。
  【高久主査】
       わかりました。
   それから、がん登録も後で検討しましょうということになりましたね。
   きょうは時間がまだありますので、おそらく資料の4と5との相違というと変ですけれども、これが一番問題になると思うのですが、基本的考え方や、適用範囲はあまり変わらない。一番違うのはインフォームド・コンセントですか。
  【珠玖委員】
       はい。それは1つの確かに大きな違いになっております。かなりこちらのほうでたたき台として出していただいているものについては、介入試験、介入するかしないか、介入を徹底するかどうかという形で区分けをしているんですが……。
  【高久主査】
       侵襲性があるかないかということですね。
  【珠玖委員】
       それで、こういう区分けをしてまいりますと、もともと疫学的な定義そのものがいろんな研究者がある意味では知恵を出して、どう研究していくかということで多様性を一生懸命つくろうとしている。ある意味では、多様性というのは研究の独自性の裏腹になるわけでして、そういうものをどうしてもこの場合はどうだ、この場合はどうだというふうにclassify(分類)していきますと、当てはまらないものやそういうものがどうしても出てきてしまうというふうにはならざるを得ないだろうと。
   それからこれは稲葉委員からご説明願ったほうがいいんだと思いますが、やはりこういう形での分類というのは、疫学のご専門の先生方から見ても少しなじまないんではないかという意見も、実は委員会の中では多々出されまして、そこは稲葉委員のほうから少し補足を願えればと思いますが。
  【稲葉委員】
       ちょっと細かくなります。いいですか。
   一番気になっていたのは、介入を徹底するとかしないとかいう言い方だと思いますね。大まかに分けたところでインフォームド・コンセントの要件をある程度言うのはいいんですが、あまり細かいところまで規定していくと、またさらに区分けが進んでくる可能性もあるので、際限なくなりかねないということもあって、疫学の研究の中では徹底するとかしないとかいう言い方はあまりしていないものですから。個別の研究の中でそういうことはあるかもしれませんけれども、教科書的にこういう分類を分けるようなときにはもうちょっと全体的なものを言う一般的な用語のほうがいいんじゃないかなと思います。できるだけ細かい分類はしない方向で大まかにできたらそれがいいんじゃないかというので、珠玖先生のほうの委員会では検討を進めてきたわけなんですけれども。これもまた逆に言うと、あまり大まか過ぎると何をやっているんだかわからないということがあって、その辺が調整しなければいけないところがあるとは思いますけれども。
  【高久主査】
       そうですね。人体から採取された資料を用いる場合で侵襲性を有する場合に文書によるインフォームド・コンセントをとるのは当然だと思うのですが、確かに徹底しない介入研究という表現はよくわからないと思います。人体から採取された試料を用いない疫学研究で介入を徹底する、徹底しないという事ではなくて、もう少し皆さんがわかりやすい案でもおかしくはないような気がするのですが、どうなんですか。
  【稲葉委員】
       珠玖先生が先ほどちょっと言われたインフォームド・コンセントを取ることが不適当な、不適切な研究というのに少しかかわってくるんですけれども、保健行動のようなbehavior(行動)を見るようなときは、先に研究目的を言ってしまうと対象の人たちはそれに沿って行動しますので、介入という形にはならないわけですね。どういうふうに取るかというのは非常に難しいんですけれども、そういうことをやりますよということは、後でわかるというか、そんな形のものが今まではよく行動変容のための介入というときには、実際には最初はあまり知らせないでおいて、後でこういうことをやった結果、こうなったんですよというのが多かったように思うんですね。これを最初に取れと言われると、非常に研究としてはやりにくくなるかと。教育の方とか、社会調査の方とかそういうほうでも同じようなことが言えるかなと思うんですけれども。
  【高久主査】
       なるほどですね。どうぞ。
  【位田委員】
       私は医学が専門ではないので、よくわからないところがありまして、先ほど珠玖委員がおっしゃったと思うんですけど、疫学研究と、疫学的手法を用いた研究というのは少し違うということですよね。それから片方で稲葉委員のご説明の中で、応用疫学のところで、疫学手法を臨床の場で用いるとおっしゃた。すると今ここで議論をしようとしている疫学的手法を用いた研究というのは、どこからどこまでなのかということがよくわかりません。そこをある程度はっきりさせていただかないと困るのではないでしょうか。目的はまさに人権の保護、端的にはインフォームド・コンセントを取るか取らないか、どういうふうに取るかという問題になると思うんですが……。
  【高久主査】
       厚生省で、最初、疫学的手法を用いた研究という題にしたときに非常に議論になりまして、結局この資料4の2ページの介入研究の中の手術や投薬等のことは外した。手法になると、これも全部入ってしまうというので、わざわざ手法という言葉を除いた。例えば10例と20例でも疫学的手法を使う事になるものですから。そもそも疫学的手法を使う研究に全部入る形でスタートしましたら、収拾がつかなくなった。平成13年に新たにスタートしたときには、手法という言葉をなくしてしまい、その結果手術や、投薬等の臨床的な研究は外しましょうということになったという経緯があります。しかし非常に広い意味では、臨床医学研究の多くは疫学的手法にはいってしまいます。疫学的手法を用いない臨床研究なんてほとんどあり得なくなってしまった。それをやり出しますと、話が非常に大変になるものですから、外したという経緯があります。
   ですから、ここのところはもっと狭い意味の疫学と限ったという方が良いと思います。確かに人体から採取された試料を用いない介入研究のときに、稲葉先生がおっしゃったように、インフォーム(説明)すると研究結果にバイアスがはいってしまうという事がありますね。インフォームをすると研究にならなくなってしまうという。この場合には、口頭でもよいけれども、インフォームをしなさいと、ある程度介入を徹底する場合に……。そこのところが一番問題になりますかね。
  【小幡委員】
       私、医療の専門ではございませんので、むしろ一般的な立場からお伺いしているんですが、疫学というのは、公衆衛生の一分野であると書いてございますが、稲葉先生のペーパーにも書かれていますが、多分一般の方はそう考えると思うんですが、疫学とは、統計的な処理をする分野ではないかというのが、一番先に頭に浮かぶんですね。そういうような統計的処理をする分野というところにおいてのインフォームド・コンセントとか、個人の情報保護のあり方というのは、普通の医療の分野とまたちょっと違うのではないかなという感じが、素朴にはしております。統計的処理の場合は最終的に全く消えてしまうかどうかは別として、統計的処理をすることによって、何らかの科学的な成果を得るということを目的としておりますので、個別的なデータの個人との結びつきというのは、初めからある程度切って、そういう研究を進めるというのが疫学ではないかなと、非常に素人的ですが素朴な感じを持っております。
   ただ、そうは言いましても、臨床等の境がなくなっていくとか、疫学というもの自身の概念も様々なようですから、範囲をある程度明確にしないで、インフォームド・コンセントのやり方とか言いましても、逆に難しくなってくるのではないかなという感があります。ですから逆に医学のほうの方はそういう疫学のいろいろな方向へ広がっていく可能性というものをお考えになっているのではないかと思います。
   そうなってきますと、確かに初めからインフォームド・コンセントをしっかりしてやり出したら、役に立たない疫学研究もあるでしょうし、さまざまなものがあります。むしろ大事なのは、統計的な処理をほんとうにするか。つまり、個人データとして得られたものが悪用されない、あるいは個人にとって、影響がないようなきちんとした形で保管・処理されるかというところをしっかり担保していくということが一番重要ではないかなという感じを持っております。それではあるいは足りないのかもしれません。それは疫学の概念自身にかかわるのかもしれませんが。
   介入とか、介入の徹底とかいろいろな概念が出ておりますが、それで果たして疫学手法が全部尽きるかどうか、それで尽きると考えて、分類し尽くしているのかどうかというのに多少疑問はあります。もしもっと広がっていくものであればですね。
   ですから素朴な感想を申しましたが、ヒトゲノムのときに位田先生とご一緒に検討させていただきましたが、ゲノムの場合は、知らないうちに自分のゲノム解析がされてということ自身について非常に恐さが一般的にもあるのではないかということで、インフォームド・コンセントをよりきちんとやるべきではないかと思って、そこはそういう指針になってくるんですが、疫学の場合も全く同じかどうかということを考える必要があるかと思います。
  【高久主査】
       おそらくゲノムの場合とは非常に違う……。前の専門委員会のときに丸山先生がゲノムの指針にこだわられたものですから、ゲノムの発想でこの指針を作られると、かなわんというご意見が特に医学関係の人から大分出まして、厚生科学の研究のときには随分変えた経緯があります。その結果として、資料4のようなものになったのですが、前の厚労省の専門委員会で議論したときに、やはり今稲葉委員がおっしゃった人体から採取された試料を用いない介入研究は情報の公開は必要としても、インフォームド・コンセントを取るとバイアスがかかるのではないかという意見が出ました。
   ただ、侵襲性を有する試料を使うときにはどうしてもインフォームド・コンセントは取らざるを得ないと思います。侵襲性を有しない場合でも、本人の尿とかを使う場合には口頭でも了解を取る必要があるということで良いのではないかと思います。試料を用いない疫学研究については、むしろインフォームド・コンセントは要らないとして、もし要る場合にどういうことかとした方が、理論的という感じがいたしますが。
   ほかのところでは、先ほども事務局から説明がありましたように、確かに試料等の破棄の場合に期間を過ぎたときにすぐ破棄すると言っても、20年、30年たってしらべる必要が出てくる試料がある。コンピューターに入れておればかさばるわけでも何でもないからという議論がありました。今の医学部長病院長会議の議論では介入の点が一番問題ですね。これは議論する必要がありますよね。
  【位田委員】
       介入研究とか、もしくは介入を徹底するとかいろんな言い方が、科学的、医学の面からはあるかと思うんですけれども、いろんな説明をお聞きしていると、先ほど小幡委員がおっしゃったような統計的処理をするということが疫学研究のすべてというか、疫学研究というのは基本的に統計処理をするんだということで理解をしていいのか、もしくはそれ以外のことも入っているのか。
   まさに統計的手法を用いてというか、統計的な処理をするのであれば、確かに個人の名前とかそういうのは全く何も出てこないと思いますので、インフォームド・コンセントというのはかなり緩和されてもいいと思うんですけれども、しかし、疫学研究という場合には単に統計的処理ではなくて、もっとほかのことも含まれるのあれば、必ずしもそうとは言い切れぬ、つまりインフォームド・コンセントは簡単でいいとは言い切れないであろう。
   そうすると何が問題かというと、インフォームド・コンセントを取らないといけないというのは、やはりどこで個人が出てくるかという話だと思うんですね。集団を完全に集団として扱って、個人個人、Aさん、Bさんという話が全く出てこなければ、多分インフォームド・コンセントは緩和された条件でよいのかも知れません。まさに血液をとるときはチクリとやるわけですから、これはインフォームド・コンセントは要ると思うんですけれども、ただそうでない場合には個人というのはほとんど集団の中に埋没していますから、あまりインフォームド・コンセントのことを詳しく言う必要はないかもしれない。
   ただ、疫学研究と言いながら個人というのがどこかで出てくるとすれば、そこではインフォームド・コンセントなり、自己決定権なりという話が出てくる。そうすると介入研究かそうでないかという話ではなくて、個人をどこまでその研究の中で扱うかという、むしろそっちからのほうの考え方が必要なんじゃないかという気がするんですけれども。
  【小幡委員】
       そうなんです。ですから、位田先生がおっしゃったように概念というか、疫学研究という場合に、ほんとうに統計的処理だけなのかということころですよね。
  【位田委員】
       そう。さっきの稲葉先生のご説明で6ページの上のスライドのあれでは、これだけたくさん疫学研究があって、みんな統計処理をするのかというと、どうも私はそうじゃないんじゃないかと思ってしまって……。
  【稲葉委員】
       統計処理はするんですけれども。個人を同定した上で統計処理をするかどうかですね。
  【小幡委員】
       その仕方なんですね。
  【稲葉委員】
       生態学的研究だけは、もう集団同士で問題ないんですけれども、ほかはみんな個人が入ってきます。
  【高久主査】
       だけど名前は出てこないはずですね。
  【稲葉委員】
       結果として報告するときは、名前は一切出しませんけれども、そこで、例えばがん登録というのもこの記述研究になるわけですよね。そうすると、個人ががんであるかどうかというのは、試料としては残しているわけです。ですから、それはむしろ試料の取扱、情報管理体制というところに入ってきて、表に出てくるときには全く出てこない。これは臨床研究でもそうなんですね。ただやっぱり統計でないというか、症例報告は別にしまして、あとは全くこういうのは同定されないんだとして報告されることは事実なんです。
  【小幡委員】
       匿名化の話をするとまたいつかの結局何が匿名化か何かの話になりそうですが、入ってきた段階でもう個人名は切り離すということは……。
  【稲葉委員】
       難しい。というのは例えばフォローアップがどうかということですね。入ってきた段階でずっと性とか年齢というのはもう当然ですね。
  【小幡委員】
       性と年齢はあれだけれども、番号化して……。
  【高久主査】
       番号化してしまえばフォローアップもできるんですけれども、それをやればいいわけです。それが基本にあれば問題はない。背番号的にですね。背番号化すれば……。
  【小幡委員】
       疫学研究であれば、ほんとうは入ってきた段階で最終的に結びつけられる、情報を管理する人をきちっと責任者のところだけで結びつけられるという形の体制にして、あと全部番号にして処理するという形の体制をとっておけばよろしいですよね。
  【高久主査】
       それが情報管理体制を整備するということにつながって、実際には番号を付すれば、1カ所だけでrefer(参照)できればいいわけで、あとは研究者も知る必要がないわけですね、番号だけ知っておけば。個人名は知る必要が全然ないわけですから。
  【珠玖委員】
       基本的にはこの疫学手法を用いた研究等が、さまざまな臨床研究がほんとうはあり得る中で、何ゆえ先行して検討されたかというのは、いろんな事情があるんでしょうが、1つはやはり個人情報の保護ということがあるわけで、もちろんどんなものでも極端な言い方をすると、いろんな例外はありますが、原則的には位田委員がおっしゃったように、多くの場合登録してある情報を除いては公から情報収集せざるを得ないだろうと。公から得た情報をあとはいかなる形で解析をしていくか。そこは小幡委員のおっしゃったように典型的には統計解析という形で何となく浮かび出てくるような処理方法をしていくという。
   問題はそこのところはそういう形でやって、大切なのは、そこをこういうものだったらいい、こういうものだったらいけないという形で言うよりは、そこのところをどう情報管理をきちっとするかということを明確にすることが一番肝要であろうということで委員会では検討したわけですが、個人からの情報の集め方については、先ほども言いましたように、その研究の主題に応じて、もちろん多くの場合はインフォームド・コンセントを前提としたものになると思われますが、インフォームド・コンセントを取るべきではないと。あるいは取り得ないということがあることはきちっと踏まえるべきであろうと。
   では、取らなくてもいいというときとは、あるいは取るべきではないというのは最低どういうときかということは、この資料の5−2のほうの5ページ目の真ん中に書いてあるんですが、インフォームド・コンセントを取得しない場合というふうに明らかに明示をしまして、その中でインフォームド・コンセントの要件を緩和、または免除する際は以下の条件を満たす必要がある。 I 、研究が対象者に最低限のリスクしか与えない。 II 、インフォームド・コンセントを取得しないことが対象者の諸権利と福利に悪影響を与えない。 III 、緩和または免除しない限り、研究を実施できない。 IV 、被験者を含む社会に対して研究を実施していること、内容、方法などに関する情報を広報する。また必要に応じて拒否の機会を設けるという形にしておいて、あとはそれで妥当かどうかは委員会の判断に任せるべきであろうし、片一方は、ただし、そのときにそうであったとしても、情報の管理ということはきちっと責任を持ってやると。そういうことになるんじゃないかという……。
  【高久主査】
       この中に個人が同定できないと入れなくて良いのですか。緩和または免除するという……。対象者を同定できないという言葉は、一番重要なことでしょうから。
  【事務局】
       6ページのところに情報の保護のところで……。
  【高久主査】
       情報の保護ですけれども、インフォームド・コンセントの要件を緩和または免除するときに、個人が同定できないということが一番重要。ナンバー1で次に研究が対象者に最低限のリスクしか与えない……。
  【珠玖委員】
       近いような議論も実は委員会で出たんですが、そこをきちっとするのは当然の前提であろうというのが委員会で出た……。それで答えになるかどうかわかりませんが、それが情報の保護というところで極めて明確に書いてあるという、すなわちここの情報の保護をすることは、すべての研究に対して極めてもう不可欠の条件になっていると。そういう中で判断をすべきことであろうという考え方でつくられているんですが。
  【高久主査】
       それから、免除というのはいいと思います。緩和というのはどういうことですか?インフォームド・コンセントの要件の緩和というのは。これはちょっとわかりにくい表現だと思うのですが。口頭で言うというのか。
  【位田委員】
       ゲノムのときに議論していたのは、インフォームド・コンセントの基本は本来きちっと一人一人に説明をして、説明の文書を渡して、文書で同意をもらう。それ以外は緩和されたというか手続きとして。例えば口頭で、もしくは何か大きな説明会を開いてそれでやるという……。
  【高久主査】
       口頭ということですね、これは。
  【位田委員】
       いや、口頭だけには限らないと思うんですね。説明は口頭でして、同意を文書でもらうというのはあり得るわけです。
  【高久主査】
       ありますね。どうぞ。
  【珠玖委員】
       この文章の緩和という意味だけのことではないんですが、インフォームド・コンセントをどういう形で取るべきかということについても、基本的にはその前のところに書いてありますが、研究計画の内容によって委員会が判断するとなっているわけですが、実はインフォームド・コンセントの要件を緩和または免除する。免除するという、これは少しコンセプトの問題になるんですが、インフォームド・コンセントを取らないということがあり得るだろうと。これは免除ではなくてという考え方がそこに……。
  【高久主査】
       免除というのはおかしいと思いますね。
  【珠玖委員】
       ですからそういう意味を込めて緩和または免除というふうにしてあるということでご理解願いたいと思いますが、不適切だったら表現はもちろん変え得るものでありますが。
  【厚生科学課】
       この緩和ということについて考えられることがありますので、申し上げますと、インフォームド・コンセントを取ります場合は研究について、どのような研究であるかを緻密にご説明いただくことになりますが、まさに介入研究のような場合にバイアスがかかってしまうというような事情があって、限定的にしか説明できなくなる場合などがあるということでございましたので、そのインフォームド、情報の提供の部分についてどこまでご説明するか、その説明の程度を変えざるを得ないという場合があり得るのではないかと思いましたけれども、そうした趣旨もあるのではありませんでしょうか。
  【珠玖委員】
       少し違うんですが、委員会で話しました内容では、実は今度はその上のところのインフォームド・コンセントの必要性というところで、インフォームド・コンセントの必要性及び同意の取得方法については審査委員会で承認を得なくてはならないということで、ですからインフォームド・コンセントをどういう形で取るべきかということも一律に決めているわけじゃないものですから、それをさらに緩和するというような意味合いでこの下のところに書いたというのとは少し違うんです。あまりこの議論を深入りしても……。
  【高久主査】
       そうですね。
   もう一つ気になるのは、今の珠玖先生のお話ですと、倫理審査委員会でも話がされたということですが、疫学研究になると、施設で参加をすることが原則になりますと、ある程度のガイドラインをつくっていないと、Aという施設とBという施設とでノーと言ったり、イエスと言ったりして、混乱する可能性がないか。ですから、ガイドラインはある程度具体的なものにしておく必要があるのではないかと思うのですが。
  【珠玖委員】
       実は、次回委員会を開くことになっておりまして、そこで引き続いてこの倫理審査委員会というのをどうするかというところの検討を続けるんですが、そこで普通の臨床研究ですと、明らかにやっている施設、例えば大学なりいくつかのもの、病院がございまして、まさに研究者がいる場が研究をやる場でもあるという形に大体なっているわけです。ですから、そういう意味では例えば主任研究者がおられて、そこでもって倫理審査委員会で同意をしていただいてやる。そうすると多くの場合、例えばゲノムを含めてもそれをベースとしまして、そこに携わるというところでまた審査を受けますが、それは主たる主任研究者のところの委員会で了解をしていただければ、大体それに準じた形でやっていただくという考え方に成り立っていると思うんです。
   この疫学研究の場合にもそういう形に近いものをということも片一方は考えている。ですから、先生がおっしゃったようなことは基本的には主任研究者のところでの判断ということが大きなものになるであろうと。そこで実は委員会の中でまだ決着がつかなくて少し問題になっていますのは、研究を分担している方はAというところに主任研究者がいらっしゃって、B、C、D、Eというところにほかの研究者がいらっしゃる。ただし、研究をする場というのは全然関係ないところでやっているという形になるわけですね。
   そうしますと、これはその研究者がどういう研究に携わるかということの了解を得るという形になって、そこですべての研究施設での承認を得るかどうか、また疫学研究という性格上、これは必ずしも医学分野だけではないものですから、必ずしも倫理審査委員会を持っていらっしゃらないところに属している研究者の方もいらっしゃるだろう。そこのところをどういう形にするかということを、実は次回のところで検討するというふうになっているんです。話をもとに戻しますと、いわゆる臨床研究に最も近い形で考えますと基本的には主任研究者がいるところでもって、そのことをきちっと検討していただいて、その了解を得るということがベースになるというふうには考えつつあるんです。
  【位田委員】
       そうすると、疫学研究の研究計画の打診があるときに、こういう形でインフォームド・コンセントをやりますということを詳細に書いていただくということですね。それが倫理審査委員会にかかって、この方法であればよろしいという判断をする。
  【珠玖委員】
       はい、そうです。
  【位田委員】
       もしくは、このインフォームド・コンセントが要らないというのであれば倫理委員会の承認があればいいということですね。
  【石井委員】
       確認ですが、倫理審査委員会というのは倫理的な側面だけではなくて、研究の目的、方法も審査すると思います。しかし方法によって、インフォームド・コンセントの程度は当然影響を与えると思います。そうしますと、それだけの評価ができるというレベルですが、今の現状を考えますと果たしてそういうところまで評価できないのではないかという危惧があります。その点をどう押さえるのか気になります。
  【珠玖委員】
       これもまた委員会の中で非常に大切な課題でして、少なくともこの委員会そのものが設置されていますのが、全国の医学部長病院長会議というところの母体の中でやられているものですから、そういうところにおきましては、基本的には倫理委員会というのがあるんです。ですから、そこに関してはそういう倫理委員会を置く。それから、専門的な方を必ず入れるというような形を倫理委員会は多分とれないであろうと。ですからそこは、倫理委員会の裁量でもって、基本的には必要に応じては疫学研究の専門家の方々か公衆衛生の方とか、そういう方たちの意見をお聞きして最終的な科学性と倫理性というところのバランスのとれた判断をするということがベースになるわけですね。
   ところで、必ずしもそういうところにいらっしゃらない方が主任研究者になられることもあり得ることであると。そこのところで、これは稲葉委員にもご助力を願っているんですが、そういうものの受け皿としての学会が責任を持ってそういう意味での倫理審査委員会体制をとるということも同時に必要であろうということを検討しているところです。
   ですから、まさにおっしゃっていただいたように、それに耐えないところ、あるいはそういうものが存在していないところをどう整備するかということも非常に大切な、どういう形の指針が出るとしても、ガイドラインが出るとしても、それは非常に大切なことだということで、1つの大切な拠点は学会であろうということです。実はそれとは別に、これもまた検討途中ではあるんですが、全国医学部長病院長会議、もしくは全国の国立大学の医学部長会議のもとにそういう機能を持った委員会をまたつくることも必要であろうという意見もあります。
  【高久主査】
       ヒトゲノムの遺伝子のときにも、必ずしもすべてのところで倫理委員会があるわけではないので、そのときには主任研究者のところに任せるとかいろんな方法があると思います。主任研究者がいるところで倫理委員会があればそこで判断をするというのは良いのですが、しかしある程度のガイドラインがないと、ある所でイエスと出て、こちら側のほうでノーと出ると困る。ガイドラインがないと困るのではないか。
   私はあまり過重な負担を倫理審査委員会にかけるのは無理で、倫理審査委員会が動きやすいような客観性を持ったガイドラインをつくっておかないと現場では困ると思います。これはまた合同委員会でいろいろ議論していただきたいと思いますが、人体から採取された試料を用いない疫学研究、介入研究の点などについて、もう少し皆さん方の納得のいく方向の内容になれば、この程度のガイドラインはあったほうが良いと思います。いかがですか。そこのところですね、一番医学部長会議病院長会議の……。
  【稲葉委員】
       ちょっと関連して、国際的な問題もあるんですね。日本でやっていてほかの国でやっていないとか、そういうのが出てきますとどうしてもばらついちゃうので、細かくすればするほど、今度はまたばらつくという点もあるんですね、やりにくくなる。その辺の加減というのは知恵を出し合って両方で相談していくしかないと思うんですけれども、国際的な基準も参考にしながらどこまで細かくしちゃうか。ゲノムのほうもちょっと問題になったんですけれども、日本が非常に厳しいのを出したためにほかの国との共同研究がやりにくくなって、非常に難しくなった。だからそういうことにならないようなことも一応考えないといけないですね。その辺もぜひお願いしたいと思います。
  【森崎委員】
       ゲノムのときの話にちょっとかかわってしまうんですが、今疫学研究で疫学的手法を用いた研究についての指針なりガイドラインの必要性、そのときの問題点、あるいはほかの研究との違いという点は、例えばインフォームド・コンセントを取れない、あるいは取らないほうがいいというような事例があるということについては、あまり今出ている2つのたたき台なり、考え方でも違いはないと思うんですが、高久先生が言われるようにガイドライン指針というものが実際に出るときに、疫学研究、あるいは疫学的手法を用いる人がどうすればいいのか、あるいはそれがうまくいくような形の線がきちんと出されないとうまく動かないんではないか。
   そう考えるときに倫理審査委員会が今まで例えばゲノム、あるいはほかの臨床研究で用いられるような形でいいのか。例えば先ほど出ましたけれども、もちろん1施設で行われることもあると思うんですが、他施設で行われる場合、あるいは大学病院等でない方が主任研究者になった場合にどの場で行うべきか、あるいは倫理審査委員会は審査するわけですが、実際にその境界についての決定というのは今までの通例ですと機関の長が決定するということがあったと思うんですが、そういうものは疫学的手法、あるいは疫学研究において妥当なのかどうかということもやはり考えなければならないんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  【高久主査】
       その問題はやりましたかね。
  【森崎委員】
       ちょっと大きいんですけれども。機関でいいのかどうか、あるいは情報というものをほぼ考えますと、特に臨床情報になりますと、保存ということは単にその研究者、あるいは研究機関にとどまるものではないという理解もやはり必要じゃないかと思うんですけれども。
  【高久主査】
       そうですね。疫学の場合研究責任者のところに他施設の資料が全部集まる可能性がありますね。そうすると、研究責任者の長に研究責任者と同じようにその情報を管理する責任ができてくるのではないでしょうか。そうですね。
  【稲葉委員】
       研究責任者の責任というのは非常に大きくなってきますね。特に大きな10万人規模のコホート研究なんか今やっているんですけれども、その研究班自体の中に倫理委員会をつくるということがあってね。それはまたある意味で手弁当なところがあるということで批判もされるんですけれども、つくらざるを得なかった。10年前につくるときはそういう形につくって。ですから、今後もそういうことが特に大きな研究の場合にはその中にもそういうのがあって、チェックし合いながら進むということはどうしても必要になるだろうとは思うんですね。
   たださっき言いました学会のような、日本学術会議が個人情報の保護に関して声明みたいなのを出していますけれども、そこでは学会がそういうものをつくることを前提にしていこうと。学会の倫理審査委員会というのを、もう少しきちんとしたほうがいいんじゃないかという方向も出ていますので、まだちょっと足並みはそろわないんですけれども、公衆衛生学会なんかも考え始めてはいるんですけれども。そういう学会として機関に所属しないような人たちのやる公衆衛生的な研究に関する倫理的なチェックというのはやらざるを得ないということは言っています。
  【位田委員】
       その疫学研究の規模が極めて大きい可能性があるというのはよくわかるんですが、でも例えば10人、20人でも疫学研究というのは成り立ち得るわけですよね。珠玖先生がやっておられるような全国医学部長病院長会議というのは、かなりしっかりした機関を対象にされて議論されているんじゃないかと思うんですが、先ほど森崎委員がおっしゃったように、いろんなケースがあり得ると思うので、私なんかが疫学研究というのを最初に聞いたときに、ぽっと頭に浮かんだのは保健所でやっているんではないか。保健所と言ってももちろんいろいろとあると思うんですが、そういうふうな場合にも当然これはかかってくるわけですよね。全国の医学部系の病院ということであれば多分これぐらいで大丈夫だと思うんですけれども、非常に小さなところまでもし含めるとすれば、ある程度は具体的なところまで書かざるを得ないのではないか。
  【高久主査】
       全国の保健所を対象にしてということはしばしばある。そういうときにはおそらく研究責任者が1人いると思います。そこはどういう人になるのかいろいろケースによっては違うと思います。保健所長が自分の保健所の管内で疫学研究をやるという場合もありますね。
  【位田委員】
       それを疫学研究というのか、私はよくわかりませんが……。
  【高久主査】
       ちょっと別の問題ですかね。研究なのか、事業なのかというところの問題、それから臨床にも関連する。保健所長がやる場合には保健所管内の健康のレベルをきちんとしたいということで、事業としてやるけれども、それを研究として学会発表もしたいということはあり得ますね。
  【稲葉委員】
       それは無理だと。それで公衆衛生学会でそういうことができるかどうかということもありますね。事業そのものはいいんですけれども、それを研究としてやろうとしたときにかなり問題になる。その一番問題点は計画がないんですよ。こういう
   目的の研究をやりますという計画をつくるわけじゃないので、やった後じゃないと学会発表するかどうか決まらない。だから研究の開始の時点でこういう倫理審査委員会にかけられない。臨床の場合も多分そういうのがあると思うんですね。症例を集めてきて、こういう結果になったので発表したいと。計画が全然立っていないわけですね。そのときに倫理審査委員会をどうするかというのは、これから非常に大きな問題にはなるんですね。
  【高久主査】
       わかりました。いろいろご議論いただき、問題点も指摘していただきました。時間がまいりましたので、本日の小委員会はここでおしまいとしたいと思います。次回の日程についていつごろになるか事務局のほうで……。
  【事務局】
       9月の中旬をめどに既に調整させていただいております。これは厚生労働省の厚生科学審議会のほうと合同でやります。18日4時から6時ということで具体的にさせていただいておりまして、また別途ご案内を差し上げますが、できる限りのご参加をお願いしたいと思います。
  【高久主査】
    じゃよろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。
(了)

 

(研究振興局ライフサイエンス課)

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