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科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会

2001/07/31議事録

第3回遺伝子治療臨床研究専門委員会  合同会合議事録

第2回遺伝子治療臨床研究の在り方に関する委員会
第3回遺伝子治療臨床研究専門委員会  合同会合議事録

平成13年7月31日

1.日時

平成13年7月31日(火)  15:00〜17:00

2.場所

経済産業省別館920会議室

3.出席者

(委員)

高久委員長、小澤委員、木村委員、笹月委員、渋谷委員、豊島委員、鳥井委員、吉田委員

(事務局)

(厚生労働省)

佐蛹生科学課長、中垣企画官、原口課長補佐、山田主任研究官、中島専門官

(文部科学省)

菱山生命倫理・安全対策室長、郡生命倫理・安全対策室長補佐  他

4.議題

  • (1)日本における遺伝子治療臨床研究の実施状況
  • (2)遺伝子治療薬の薬事法上の規制について
  • (3)遺伝子治療臨床研究に関する指針の素案について
  • (4)その他

5.配布資料

資料1
 遺伝子治療臨床研究実施状況まとめ
資料2
 遺伝子治療薬に関する薬事法の規制について
資料3
 医薬品の開発プロセスと遺伝子治療薬の規制
資料4
 新指針概要(素案)
参考資料1
 現行指針比較表
参考資料2
 遺伝子治療臨床研究のあり方の見直し(論点)

6.議事

【中垣企画官】

  それでは、定刻になりましたので、ただいまから「遺伝子治療臨床研究の在り方に関する委員会」の合同会合を始めさせていただきたいと存じます。
  なお、本日は阿部委員、北委員、寺田委員、垣生委員、吉倉委員から御欠席という御連絡をいただいておりますし、また、笹月委員におかれましては、若干遅れてこられるという御連絡をいただいております。鳥井委員については、連絡をいただいておりませんが、恐らく若干遅れられているんだろうと推察いたしております。
  まず、本日の配付資料について確認をさせていただきたいと存じます。
  議事次第、座席表がございまして、資料1として「遺伝子治療臨床研究の実施状況まとめ」という資料がございます。
  資料2として「遺伝子治療薬に関する薬事法の規制について」
  資料3として「医薬品の開発プロセスと遺伝子治療薬の規制」
  資料4として「新指針概要(素案)」
  参考資料1として、「現行指針比較表」
  参考資料2として、第1回の委員会で配付した資料でございますが、「遺伝子治療臨床研究のあり方の見直し(論点)」という資料を用意いたしておりますけれども、乱丁、落丁等ございましたら、お申し出いただきますよう申し上げます。
  それでは、高久委員長よろしくお願いいたします。

【高久委員長】

  それでは、今から議事の方を進めさせていただきます。最初に「日本における遺伝子治療臨床研究の実施状況について」、これは事務局の方から説明してください。

【中垣企画官】

  それでは、事務局の方から御説明申し上げます。
  前回の委員会で、これまでどのような形で、どのくらいの臨床研究が行われてきたのかという御指摘がございましたので、各施設に御協力をいただいて、とりまとめさせていただいたものが資料1でございます。
  また、各施設からいただいた資料の中には、個人情報に触れかねないと思われる部分がございましたので、委員の先生方には今、追加資料をお配りいたしておりますけれども、エッセンスを口頭で御報告申し上げて、本会議の終了後、その資料は回収させていただきたいと思います。
  資料1に従って概要を御説明申し上げます。
  まず1番が北海道大学医学部付属病院で行われましたアデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症に由来するADA遺伝子をレトロウィルスベクターを用いて投与するというものでございます。これにつきましては、1例実施されておりまして、約1.5年にわたって11回の投与が行われております。遺伝子を導入された細胞は、現在においても患者の血液中に見られるということでございまして、現在、経過観察が行われているところでございます。
  2番目の東京大学医科学研究所でございますが、腎がんを対象に、ヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子と言われるサイトカインの一種だと思いますが、刺激因子の遺伝子をレトロウィルスベクターを用いて導入するというものでございまして、平成10年に実施して差し支えないという回答を行っておりす。
  これにつきましては、現在までに都合4例行われております。
  まず、1例目は4か月くらいにわたって10回の投与が行われております。見られました作用は、接種局所に発赤、あるいはかゆみ、硬結、これが2週間程度見られております。
  また、1例目においては、転移巣の増殖速度が鈍化したということが見られておりますが、投与終了から2、3か月後に死亡されております。
  2例目は、8か月くらいにわたって17回の投与が行われております。1例目と同様に、接種局所に発赤などの作用が見られております。
  また、投与終了3か月後、転移病巣のバイオプシーの結果から見ると、腫瘍部分はすべて壊死していたという報告がございます。この患者さんは、投与終了後既に1年半近くが経っておりますけれども、現時点においても、全身状態良好、経過観察中でございます。3例目は、7か月くらいにわたって15回の投与が行われております。接種局所には1例目と同様の作用がみられております。投与終了後退院なさっておりまして、投与終了後10か月経過したところてございますが、観察中ということでございます。
  4例目でございますけれども、3か月くらいにわたって6回の投与が行われております。接種局所には1例目と同様に、発赤等が見られております。
  また、最終投与時に接種された局所に水泡が見られ、その部位へガンマーナイフの治療が行われております。
  投与終了後2、3か月経った時点でインターロイキン2が投与され、肺腫瘍量が減少するということが見られております。現時点においても、全身状態は良好だと報告を受けております。
  3番目は、肺がんを対象にp53の遺伝子をアデノウィルスベクターを用いて投与するというものでございまして、RPRジェンセルという会社が治験を行っているものでございます。
  現在までに8例実施されておりすけれとも、まず1例目でございますが、約1年にわたって14回の投与が行われております。一時的に抗腫瘍効果が認められたという報告がございますが、退院し、投与から3か月後、原病によりお亡くなりになられております。
  2例目でございますが、8か月にわたって9回の投与が行われております。局所的に腫瘍組織の破壊と、閉塞気管支の再開通が認められております。しかしながら、転移が確認され、投与終了後の翌月に試験が中止になっております。中止して3か月後、原病によりお亡くなりになられております。
  3例目でございますけれども、2か月にわたって4回の投与が行われております。しかしながら、病変は進行し、投与終了後1か月後お亡くなりになられております。
  4例目は、このp53の遺伝子とシスプラチンという抗がん剤の併用でございます。
  約10か月にわたって10回の投与が行われております。腫瘍の増殖は抑制傾向であったと報告されておりますけれども、シスプラチンによると考えられます食欲不振、あるいは抹梢神経炎のため、臨床研究は中止になっておりまして、投与終了後1か月後退院され、その11か月後、投与終了から約1年後お亡くなりになられております。
  5例目もシスプチンとの併用でございますが、3か月にわたって3回の投与が行われております。病状は進行し、更にシスプラチンとよると考えられます食欲不振の作用が見られ、初回投与から3か月後に試験研究が中止になり、化学療法、あるいは外科的な療法が施されておりますが、投与終了後4か月後お亡くなりになられております。
  6例目も同じようにシスプラチンとの併用でございまして、1か月にわたって2回の投与が行われております。
  6例目においても、同様に食欲不振が見られております。また、転移が見られております。この転移のため試験が中止になりまして、最終投与から6か月後にお亡くなりになられております。
  7例目は、1回投与、単回の投与でございます。投与後、閉塞性の肺炎が見られておりますけれども、保存的に軽快されております。
  退院されたところでございますが、投与から3月後に死亡なさっておられます。
  8例目でございますが、3か月にわたって2回の投与が行われております。転移が認められため、研究が中止になっております。
  次が4番目の、千葉大学医学部付属病院の食道がんを対象とした試験研究でございます。これも先ほど申し上げました3番の岡山大の事例と同じようにp53の遺伝子をアデノウィスルスベクターをもって投与をするという、RPRジェンセルの治験の一環として行われているものでございます。
  これは3例現在までに研究が行われております。
  1例目は、2か月にわたって4回の投与が行われております。
  その後、本人の希望により、化学療法が追加されておりますが、現在も通院中であるという報告を受けております。
  2例目も、4か月にわたって10回の投与が行われております。現在入院中であるという報告を受けております。
  3例目、2か月にわたって6回の投与が行われております。グレード2と言われる発熱が見られております。
  また、転移が原因と考えられる腹部の疼痛が見られております。
  次が、5番目の癌研究会付属病院におきます乳がんを対象としたヒト多剤耐性遺伝子をレトロウィルスベクターに組み込んで導入しようというものでございます。
  これは現在までに1例、単回投与の試験が行われております。投与して2か月後に後療法としてタキソテールが投与されております。現在までに投与から4か月経っておりますが、原病の悪化というのは現在のところ見られていないという報告でございます。
  6番目が名古屋大学医学部付属病院で、悪性グリオーマを対象に、ヒトβ型インターフェロンの遺伝子を正電荷リポソームに包んで投与するというものでございます。
  これも1例試験が行われておりまして、約1か月のうちに6回の投与が行われております。
  内容的には、治療中に一過性の軽度な頭痛が見られておりますけれども、治療前に見られた腫瘍の成長というのは抑制された。また、治療終了後2か月半までは良好な経過をたどったというこでございます。
  しかしながら、退院後、すなわち投与から約2か月経った時点で退院されておりますけれども、それから1週間程度した後に痙攣が見られ、更に腫瘍の増大が見られ、投与開始から5か月半後にお亡くなりになられております。
  7番目が、慈恵会医科大学付属病院の肺がんを対象としたヒト正常型p53遺伝子をアデノウィルスベクターをもって投与するというものでございまして、3番目に御報告いたしました岡山大学と同じプロトコールに基づくもので、RPRジェンセルの治験の一環として行われるものでございます。
  現在までに1例試験が行われておりまして、単回投与でございます。既に7〜8か月経っておるわけでございますが、現状変化はないということでございます。
  8番目が東北大学加齢医学研究所付属病院でございますけれども、この加齢医学研究所は組織統合のため、東北大学医学部付属病院で継続して行われておりまして、12番にありますので、12番のところで御報告申し上げます。
  9番目が、岡山大学医学部付属病院の前立線がんを対象に、単純ヘルペスウィルスのチミジンキナーゼ遺伝子をアデノウィルスベクターをもって投与するというもので、ベクターはベイラー医科大学から提供されるというものでございます。
  現在までに1例試験が行われておりまして、単回投与でございます。腫瘍マーカーが上がるという状態というのは停止されておりますけれども、その後、腫瘍マーカーの再上昇が認められたということから、放射線治療に変更になっております。
  投与から現在4か月経っておりますけれども、経過観察中でございます。
  10番目の東京医科大学病院の肺がんを対象としたヒト正常型p53遺伝子をアデノウィルスベクターを通じて投与するという、岡山大学、更には東京慈恵医科大学と同じプロトコールの試験でございます。
  現在までに2例行われておりまして、最初の例が約1か月にわたって2回の投与を行われております。これはシスプラチンとの併用でございまして、シスプラチンによると考えられる悪心、嘔吐が観察されております。また、難聴、耳なりが見られております。
  患者の希望により、2回の投与で終了されておりまして、放射線治療が追加されております。
  投与終了5か月経っておりますけれども、現在経過観察中でございます。
  2例目は、1か月にわたって2回の投与が行われております。この例においても、シスプラチンによると思われる悪心、食欲不振、あるいは遺伝子治療後の一過性の発熱が見られております。
  腫瘍は退縮傾向だという報告が来ておりますけれども、まだ、投与終了後1か月が経過した時点でございます。
  11番目が大阪大学医学部付属病院でございまして、慢性閉塞性動脈硬化症、ビュルガー病を対象に、ヒトのHGF遺伝子をNakedプラスミドの形で大腿部筋肉内注射するというものでございます。
  現在までに4例の投与が行われております。
  1例は、予備投与が1回、本投与がその2週間後に1回行われております。
  遺伝子治療におきます重大な副作用というのは現在認められていない、病状の大きな変化も認められていないという報告でございます。
  2例目から4例目までは、少量を投与する予備投与がそれぞれ1回ずつ行われたところでございます。主な所見は見られておりません。
  12番目が東北大学医学部付属病院におきます肺がんに、ヒト正常型p53遺伝子をアデノウィルスベクターを通じて投与するという岡山大学、慈恵医科大学、東京医科大学と同じRPRジェンセルの治験でございます。
  これは1か月にわたって2回の投与が1例行われております。投与後肺炎を併発し、抗生物質の投与により軽快したということでございます。
  投与から1か月後に腫瘍の進行が見られておりまして、その時点で研究が中止になっております。
  その後経過観察されておりますが、徐々に腫瘍の拡大が見られ、病状の悪化が見られ、5か月後に死亡しておられます。
  以上が現在までに指針に基づいて意見が求められ、実施して差し支えないと回答した臨床研究の経過の概要でございますけれども、RPRジェンセルによる治験が幾つかあることを御報告させていただきましたけれども、RPRジェンセルは治験をやめるという意思表示をしておりまして、その取り扱いについては、今、研究機関において検討していただいておりますので、また、改めて別途御報告をさせていただきたいと思います。
  さらに、お亡くなりになられた例につきましては、1例ごとに作業グループに報告をさせていただいて、詳しい病状等を報告させていただいて、遺伝子治療との関係の有無について御審議を賜ってきたところでございますが、現在まで遺伝子治療によると考えられるもの、あるいは怪しいと考えられるものは報告されておりません。
  以上でございます。

【高久委員長】

  どうもありがとうございました。現在までに行われた遺伝子治療研究の進行状況について、事務局から説明がありましたが、どなたか御質問、御意見おありでしょうか。

【木村委員】

  実施状況について大変簡にして要を得た御説明をいただきまして、どうもありがとうございました。
  先般、この資料がなかったものですから、日本でどうなっているかということで、資料の詳細を依頼させていただいたわけですけれども、全般的に見ますと、うまく行ったケースであるかのように見えるところ、また、原病により死亡といろいろございますが、私の見た印象では、大変に今までの資料には出てこなったような、例えば本人の希望で中止したというケースが資料1の2ページにございますし、それから本人の希望で化学療法を追加したということですね。それから、本人及び家族の希望で退院したというふうに、明確に本人及び家族、あるいは治療の内容についても、本人が参加しているということが、はっきりこういう資料の中に出てきたのは大変いいことだと思うんです。
  これからもこういう形で患者中心の発想と言いますか、本人の希望がこういう形で生かされたということが文書に出るような形で、是非資料をつくっていただければと思いました。
  私は医学の専門ではないので、わからないんですけれども、病気によって違うかとも思いますけれども、もし御説明いただければと思いますが、このシスプラチンの併用ということと、このシスプラチンというのが岡山大学の第5例目で、シスプラチンを使って食欲不振が激しかったというんですけれども、千葉大学の方では化学療法でアクプラというのを使っているんですが、これは具体的にはシスプラチンとアクプラというのは勿論、銘柄は違うんでしょうけれども、内容的には大分違うわけなんですか。

【中垣企画官】

  シスプラチンというのは、この名前からしておわかりいただけると思いますが、プラチナの化合物でございまして、こういう消化器系の副作用が出てくる、あるいは骨髄抑制が強く出るというのが、非常によく知られた化合物でございます。
  一方、アクプラというのは、物質名は、ネダプラチンというものでございまして、これもシスプラチンと同じようにプラチナ系の化合物でございます。やはり同じように食欲不振系の副作用が出るというものでございますが、同系統の化合物であると御理解いただければと思います。

【木村委員】

  そうですか。そうすると、これは特に併用による弊害が出たということを意味するんですか。それとも、片方ずつ使っていればよかったけれども、これを併用することによって弊害が出たというふうに理解するのでしょうか。そこのところをちょっとわからなかったものですから。

【中垣企画官】

  これは専門の先生方にお答えいただいた方がいいのかもしれませんが、シスプラチンを使うと、こういった食欲不振、あるいは骨髄抑制が起こるというのは、相当の頻度で、一般に起こると考えていただいていいと思います。
  ただ、シスプラチンというのは、標準的な薬剤の1つでございまして、これを使った上で、これと併用するという形で試験を組まれておるということなんだろうと思います。

【木村委員】

  そうですか、ですから千葉大学のところなんかは、経過のところで、本人の希望により化学療法の追加ということを、本人がそういう選択肢を与えられて非常な化学療法の知識を持っていて、特に本人が希望してそれを追加したということになるんでしょうか。ここのところは。

【中垣企画官】

  千葉大学の方は、岡山大学と違いまして、岡山大学の方は計画の中にまず標準的な治療法であるシスプラチンを投与をするということを決めておいて、その上乗せ効果として遺伝子治療を行ったという事例だと思います。
  千葉大学の1例目については、遺伝子治療が終わった後、遺伝子治療というのはまだ実験的な段階でございますので、この段階では効くか効かないかわからないということが正確な説明でございますから、御本人様が現在の標準的な化学療法もやってくださいということを言われたんだろうと思います。その御希望に基づいて、ネダプラチンと5FUと言われる現在の標準的と思われる化学療法を行ったということなんだろうと思います。

【木村委員】

  そうなんですか、わかりました、大変よく御説明いただきまして、ありがとうございました。

【高久委員長】

  それと、シスプラチンはかなり副作用がありますから。

【木村委員】

  そうですか。

【高久委員長】

  化学療法剤は、何でもありますけれども。

【木村委員】

  関連して、1つよろしいですか。

【高久委員長】

  どうぞ。

【木村委員】

  ただいま御説明いただきましたのは、遺伝子治療臨床研究の研究進行状況ということで、これではっきりしたんですが、ここで厚生労働省の方としては、勿論遺伝子治療臨床研究の予算の配分に伴って、基礎の方も恐らくこれで大分いっているということでございましょうけれども、今日は文部科学省の方もおいでということなんですが、いわゆる臨床研究というんではなくて、基礎の方で遺伝子治療については、マウスとか、あるいはサルとか、そういうことで、相当今は行われているというふうに思うんですけれども、その点についての情報は文部科学省の方にございますでしょうか。

【菱山室長】

  今日は、網羅的な資料はございません。勿論こういう人体の治療の研究の前に、動物実験をやっているのは当然です。

【高久委員長】

  遺伝子治療学会は、毎年1回行われていまして、そこにはたくさん演題が出ています。小澤先生、何題ぐらい出ていましたかね。

【小澤委員】

  大体最近140題ぐらいですね。

【高久委員長】

  ほとんどが基礎研究で、臨床研究はこの程度ぐらいですかね。ほかのものは基礎研究ですね。

【木村委員】

  御参考までにお伺いしたいんですけれども、その基礎研究というのは、比較的希望がある方向でのデータが相当出ているということになるわけですか。

【高久委員長】

  それはどうですか。小澤先生、吉田先生、澁谷先生がお詳しいと思うのですが。

【吉田委員】

  結構出ています。臨床研究の前段階として多数の基礎研究と前臨床研究が行われています。しかし現在のところ臨床に移るまで長期間のタイムラグがあります。我々のところも10年間の基礎研究の後臨床研究を始めております。現在は基礎研究を臨床研究と並行して行っています。そうすると、臨床研究をもう少しバージョンアップした形で実施出来ると考えています。
  だから、両方並行してやっていくのが望ましいと思います。

【木村委員】

  そうですか、先生のところは動物は何をお使いになっているんですか。

【吉田委員】

  基礎ですか。

【木村委員】

  はい。

【吉田委員】

  基礎研究ではマウス、ラットの小動物がほとんどです。それから、前臨床研究に関してはサルを使っております。

【木村委員】

  小澤先生のところは、何ですか。

【小澤委員】

  やはりいろいろなレベルで、マウス、ラット、サルなどを用い、複数の疾患を対象として、前臨床研究を進めています。厚生労働省のヒトゲノム再生医療等研究事業の中に、遺伝子治療研究も相当含まれていて、毎年研究報告がありますので、そういうところでも研究成果を発表させていただいております。

【木村委員】

  そうですか。

【高久委員長】

  それでは、時間の関係もありますので、次の「遺伝子治療薬に関する薬事法上の規制について」、これは事務局の方から御説明していただけますか。

【中島専門官】

  それでは、医薬局の方から御説明させていただきます。
  「資料2」と「資料3」の方をごらんください。恐縮でございますが「資料3」の方が全体の概要を表わしておりますので、まず「資料3」1枚紙でございますが、こちらの方をごらんいただければと思います。
  こちらの方は「医薬品の開発プロセス(薬事法の承認申請まで)と遺伝子治療薬の規制」という形になっております。これは、先進欧米諸国も含めまして、遺伝子治療薬として薬事法、あるいは諸外国の薬事法に該当する医薬品という形で、まだ承認されたものがございません。そういう意味で、今回遺伝子治療薬の規制の概要を説明するために、一般的なプロセスの中に遺伝子治療薬の規制というのを外挿をさせていただいたという形での流れ図になっております。
  関連部分、特に注意していただきたい部分につきまして「非臨床試験」と「臨床試験」の2つに分けて非臨床試験の部分から御説明をさせていただきたいと思います。
  医薬品の開発の場合、安全性を重視するということで、非臨床試験の段階で理化学試験でありますとか毒性試験、これは実験室レベルの「GLP」グッド・ラボラトリー・プラクティスに基づく試験、それから吸収・分布・代謝・排出試験というのが行われます。
  その後でございますが、これは括弧付けで書かせていただきますが、ここが遺伝子治療薬に特別の枠組みになっております。遺伝子治療薬の確認申請という形のものをやっていただくという形になります。ここからが臨床試験に入っていくところでございます。この細かい中身につきましては、また御説明を次の資料でさせていただきます。
  この確認申請を、申請者、企業の方からいただきまして、それにつきまして厚生労働省の方で適合確認をいたします。その適合確認を受けますと、その次に薬事法に基づく厚生労働大臣への治験計画の届出ということになります。この届出が出ますと、私どもの方で計画調査ということで、治験計画の届出が適切であるかどうかという調査をさせていただきます。これについても、詳細につきましては後ほど御説明をさせていただきます。
  この2つの臨床試験の前段階の申請が行われますと、次に実際の臨床試験という段階に入ります。これは、先生方御承知のとおり、第T相〜第V相までの臨床試験が、この右側にございますが、GCP、グッド・クリニカル・プラクティスに基づきまして行われるということです。このGCPに適切に行われたかどうかという部分につきまして、査察等が、これも厚生労働省によって行われるというスキームになっております。
  更にこういったデータを基に、臨床試験及び非臨床試験の評価を行いまして、最終的に適切な有効性及び安全性等が確保できるということになりますと、新医薬品の承認申請及び承認という形が全体の流れとなっております。
  遺伝子治療薬の科学的妥当性及び倫理性という部分につきましては、この遺伝子治療薬の確認申請、治験計画の届出、それからGCP、こういったところが該当してくるかというふうに思います。
  恐縮でございますが「資料2」の方をごらんいただければと思います。これは1枚紙でございますが、今、申し上げましたとおり、科学技術的な進歩と、科学的妥当性と倫理性に基づいて、薬事法の中の規定がどういうふうになっているのかというものを概説をしたものでございます。
  まず、事前確認申請ということで、先ほどの紙の診療試験の一番最初の部分でございますが、平成7年に遺伝子治療薬、医薬品の品質及び安全性の確保に関する指針というものが出ております。これに基づきまして、遺伝子治療薬の品質・安全性等を担保するための事前確認申請制度を設けております。
  (2)でございますが、当該申請に基づく確認の申請内容ということでございまして、かなりボリュームがあるわけでございますけれども、大きく分けますと、例えば品質及び安全性、それから臨床試験の概要、例えば臨床試験実施の妥当性です。遺伝子治療用医薬品により、どのような基準で治療効果が得られるのか、そういったメカニズム的なところが求められるということでございます。
  被験者の選択基準及び除外基準ということで、年間推定患者数あるいは対象患者数が多い場合は、選択法とか除外基準について記載することになっております。
  被験者の同意の取得方法ということで、これはインフォームドコンセントの実施方法です。こういったものが記載されます。
  そのほか、試験や臨床試験の全体の実施方法、患者の臨床試験を行った後、どういうフォーローをされるのか、必要に応じては生涯にわたる観察予定というものを記載していただく。
  それから、患者ではありませんが、患者以外への遺伝子導入の可能性ということで、周囲の患者以外の人への遺伝子導入の可能性。そういったものについて、記載をしていただいて、確認申請として申請をしていただく。
  こういった申請の内容につきましては、薬事・食品衛生審議会バイオテクノロジー特別部会という部会におきまして、内容を審議して確認を行うという形になっております。ここで確認して、次に進んでいいですよという段階になると、先ほどの図でありましたように「治験計画届」という形で、治験計画の届出を出していただくということになろうかと思います。「保健衛生上の見地から、治験の実態を特に把握しておく必要性が高いと考えられる医薬品については、治験の依頼をしようとする者はあらかじめ厚生労働大臣に治験の計画を届け出る必要がある」これは、先ほども申しましたけれども、遺伝子治療薬に特記したたものではなくて、すべての医薬品ということでございます。ですから、遺伝子治療薬にも当然これは関わってくるということでございます。当該治験の依頼を、科学的に正当と判断した理由を記した文章、あるいはインフォームドコンセントの内容、そういったものを示していただくということでございます。
  それにつきましては、厚生労働省の方で適切な治験計画であるかどうかということを調査させていただくという形になっております。計画届が出された後、GCPに基づく治験の実施ということで、実際に治験をやっていただくということになります。
  GCP、医薬品の臨床試験の実施の基準、これに基づいて実施されるかどうかということにつきましては、厚生労働省の方でGCPの調査という形で調査をさせていただくという形になっております。GCPの方につきましては、治験の依頼に関する基準、管理に関する基準、あるいは治験を行う基準、そういったものが記載をされておるというところでございます。
  4番目でございますが「副作用事例等の報告」ということで、治験薬であっても、承認された医薬品と同様、治験期間中に発生した国内外の副作用、感染症症例、海外措置に関する厚生労働省への報告が義務づけられております。また、必要に応じて治験の差し止め等の措置を実施することになっているということでございます。
  先ほど申しました、2番〜4番につきまして、これは法律に基づくものということで、厳密に実施が求められるという形になっております。
  簡単でございますが、概要を御説明させていただきました。

【高久委員長】

  どうもありがとうございました。RPRジェンセルのものは、中央薬審で審議してものですね。このルールでやられたわけですか。

【中島専門官】

  そうです。先ほど申しましたとおり、確認申請の届出が出されまして、臨床試験の段階に来ているということです。

【高久委員長】

  大体どれぐらい掛かるのですか、申請をしてから。

【中島専門官】

  先ほど、先生から御指摘いただいた1例だけですので、まだ十分に一般的な期間というのはありませんが、まだ完全にこういったシステムがルーチン化していませんので、時間を要していると。具体的な日数は、申し訳ございませんけれども、明確には把握しておりません。

【中垣企画官】

  覚えている範囲で申し上げますと、現在は、今議論いただいております指針に基づきます申請と、今、御説明のありました薬事法に基づきます申請と両方ありますから、このときは、私が覚えている限りで申し上げますと、お互いの進み具合を見ながら調整していった。要するに、最終的に両方をお受けにならないといけないという、完全に重複、もう一つ、当時の文部省もあるわけでございますが、3者あるわけでございますので、3者がお互いに横を見ながら進めていったというのが実態だと聞いております。

【高久委員長】

  それから「資料2」の「副作用事例等の報告」の中の「海外措置」というのは、どういう意味ですか。

【中島専門官】

  例えば、海外で副作用が起こったということで、回収措置を講じたというような場合につきましては、その報告が義務づけられております。

【高久委員長】

  ほかにどなたか御質問、よろしいでしょうか。
  それでは、今日の一番重要なテーマが、前回も御議論いただきましたが、遺伝子治療臨床研究に関する新しい指針の概要の素案が「資料4」に出ていますので、事務局の方から説明していただけますか。

【中垣企画官】

  それでは「資料4」と「参考資料1」及び「参考資料2」に基づきまして、御説明申し上げたいと思います。
  前回、御議論賜った際に、今まで行われてきた臨床研究の内容を総括しようというのが1つ。また、治験、薬事法におきます重複の問題については、薬事法の制度について議論しようというのがもう一つございまして、それを議題の1、議題の2としてやらせていただいたわけでございますが、その結果といたしまして「参考資料2」が前回御議論を賜りました論点でございますけれども、これをベースといたしまして、前回の御議論を踏まえて整理したのが「資料4」でございます。
  また「参考資料1」は、厚生労働省の指針と文部科学省の指針を対照表の形で比較整理したものでございまして、下線部あるいは網掛けになっている部分、あるいは青、緑で印刷された部分がございますけれども、これがお互いの指針で若干ずつ文言、規定のしぶりが違うというところを表しております。
  しかしながら、基本的な違いと申しますか、根本的な違いというのは、どうもないのではなかろうか、文言は確かに若干の表現は違いますけれども、意味しているところの基本としては、同じことをこの2つの指針というのは意味しておるというふうに考えております。
  それでは「資料4」について、御説明申し上げます。赤字で書いた部分が、従来の厚生労働省の指針、あるいは文部科学省の指針から見て、新しく変更になった、変更したらどうだろうかというふうに考えておる部分でございます。
  したがいまして、その部分を特に御説明をしたいと思います。
  まず「第一章総則第一目的」でございますけれども、従来の指針ですと、科学的妥当性及び倫理性というふうに、いずれの指針もなっておるわけでございますが、前回の御議論を踏まえますと、科学というよりは医療、あるいはパブリックという観点を考えるべきだというような御指摘を賜っておりますので、ここではこの方面で一番広い言葉、公衆衛生という言葉でどうだろうかというふうに考えたところでございます。また御意見を賜ればありがたいと思います。
  「定義」のところでございますけれども、前回の御議論、あるいは先ほど医薬局の方から説明がありましたとおり、薬事法の治験に該当するものは重複が見られますので、その点を整理したらどうだろうか、法的に厚生大臣による差し止めでございますとか、あるいは査察でございますとか、そういう規定がございます薬事法の世界にあるものについては、薬事法に委ねたらどうだろうかということで、ただし書きで遺伝子治療の定義から除外をしたらどうだろうかというふうに考えております。
  「第三対象疾患等」は、基本として変更ございませんで、致死的な疾患とQOLと申しますか、体、身体の機能を著しく損なう疾患の2つを考えております。
  「第四」〜「第八」については、従来と同じで差し支えないというふうに考えております。
  「第二章被験者の人権保護」のところでございますが「第二被験者の同意」につきまして、まず同意を文章によるということを明示したらどうだろうかということを考えております。
  2番目の代諾者の項でございますけれども、代諾者につきまして、従来被験者に代わって同意をなし得る者という定義になっている、同意をなし得るという表現が果たして適切かという問題がございますので、遺伝子解析の指針と同じように、被験者の意思及び利益を代弁できると考える者という形で定義したらどうだろうかと考えております。
  「第三被験者に対する説明事項」でございますが、ここも代諾者のところを書き改めたものでございます。
  2ページに入らせていただきまして「第三章」の「第二総括責任者」のところでございますが、一番最初の「目的」と同様に変更したらいいのではないかと考えております。「第三実施施設」のところですが、これは厚生労働省の指針と文部科学省の指針で、若干異なっておりまして、被験者の病状に応じたという形か、あるいは緊急時の対応ができるというふうに書いてあるかということなんですが、被験者の病状に応じたというのが、ある意味では緊急時も含んでありますので、広いという意味で被験者の病状に応じたでよろしいのではないかというふうに考えております。
  「第四実施施設の長」のところでございますけれども、一番最後の「○被験者の死亡その他遺伝子治療臨床研究の実際に際して生じた重大な事態」、この「重大な事態」というのは、通常死亡であるとか、あるいは大きな障害を残したとかというようなことを考えておるわけでございますが、これに加えて実施に影響を及す可能性があるということで、できるだけ幅広く報告をいただくようにしたらどうだろうかというふうに考えているところでございます。
  「第五審査委員会」の規定でございますけれども、第1点目は、目的規定と同様に整理をするというのが1点目。
  2点目は、男女両性からの構成、あるいは複数の外部委員を含むという規定を、新たに設けたらよろしいのではないかということを考えているところでございます。
  3点目は、審査が公正に行われるよう、委員会の活動の自由及び独立が保障されているというのが従来からございまして、それに合わせて実施計画書を提出している研究者は、審査に参加できないという規定もあったわけでございますが、その位置関係を明らかにするということから、現在の文部科学省の指針を基に規定したらよろしいのではないかというふうに考えているところでございます。
  最後の規定でございますけれども、審査過程の公開というところで、従来は公開の手続を定めなさいというふうになっておるわけでございますが、一歩進んで「審査の過程は、記録・保管し、個人の情報、研究の独創性、知的財産の保護に支障を生じるおそれのある事項を除き公開すること」ということで、公開を明記をするという方向性を打ち出したらよろしいのではないかというふうに考えております。
  「第四章研究実施の手続」の項でございますけれども、この項については、変更はございません。
  「第五章国の意見等」という項でございますけれども、ここが前回御議論を賜った、いわゆる迅速審査の規定を導入をしようということで整理をさせていただいております。すなわち、3番の○でございますけれども「国は、前項に基づき意見を求められたときは、次の観点から審議会に附議する必要性の有無について複数の有識者の意見を聞いて判断しなければならない」ということで、前回御議論を賜った4つ観点、すなわちベクターあるいは遺伝子導入系が新しいかどうか、疾病が新しいかどうか、遺伝子導入方法が新しいかどうか、その他特殊な事情を含んでいるのかどうかというような、4つの観点を出して、この観点から有識者の意見を聞いて判断をしますということを明記しております。
  その次でございますけれども、国は、前項において審議会に附議する必要がないと判断する場合、意見を求められた日から××日以内に、意見を回答する。基本的に差し支えないという回答になるんだろうと思いますけれども、何日以内、例えば30日にするのか60日にするのかという議論はあるんだろうと思いますが、一定期間以内に回答するということを義務づけようといふうに考えております。
  最後の規定が、国は、前々項において審議会に附議する必要があると判断する場合には、審議会の意見を聴取をするということでございます。
  「第二」が「重大な事態等に係る国の意見」ということで、重大な事態等について意見を述べる。
  「第三」が「国の調査等」ということで、必要があると認めるときは、調査を行うという規定を設けるおるわけです。
  「第六章雑則」でございますが「記録の保存」でございまして、記録の保存につきましては、従来保存をするという規定はあったわけでございますけれども、ではいつまで保存をするのかという問題がございますで、カルテの保存期間、あるいは先ほど御説明のありました、いわゆるGCP、臨床試験の記録の保存期間に合わせまして、5年ということを規定したらいかがかというふうに考えております。
  「第二秘密の保護」でございますけれども、従来から秘密の保持の規定があったわけでございますが、職を辞した後も同様であるという規定を追加したらよろしいのではないかといふうに考えております。
  以上、今回の御報告させていただきますのは、前回の議論を踏まえて事務局でまとめました素案でございますけれども、1点お断りしなければならないのは、前回御議論を賜った際に、厚生労働省と文部科学省の事務の重複の整理の問題が、先生方から数多く指摘をされたわけでございますけれども、精力的に協議したわけでございますが、今のところ合意に至ってはおりません。したがいまして、今回お出しした案というのは「国は」という形で、あるいは審議会も別に定めるというふうに書いておりますが、前回の御議論、あるいは今日の御議論を踏まえて、引き続き協議させていただき、その結果を御報告させていただきたいというふうに考えておりますので、その点平に御容赦いただきますよう申し上げます。

【高久委員長】

  どうもありがとうございました。新しい指針の概要ということで、説明していただきましたが「資料4」の各ページごとに御議論を願えればと思います。1ページに関して、何か御意見おありでしょうか。どうぞ。

【小澤委員】

  この「定義」ところで、新しく「ただし、薬事法に定める治験に該当するものを除く」というのが加わりましたけれども、そうしますと製薬企業が治研のような形で進める場合のことが少し気になります。先ほどの「資料2」のところですが、(2)の品質・安全性というところを主に遺伝子治療用医薬品の審査委員会がしっかりと審査をして、(3)のところは合同作業委員会の方で重点的に審査をするというように、一応何となく住み分けをしていたように思いますが、もしこういうふうに製薬企業が中心となってやる場合に、医薬品として審査だけということになると、そちらの方の審査委員会も治療ストラテジーと言いましょうか、全体的なことをきちんと審査できるメンバーを考えていかないといけないかなという気がします。

【中垣企画官】

  それは、当然の御指摘だろうと思いますし「資料2」にございますとおり、部内あるいは審査センターだけではなくて、薬事・食品衛生審議会のバイオテクノロジー特別部会で御審議を願うという形にしておりますので、その委員の選定というのがどこまでできるかという話はあるんだろうと思いますが、御趣旨を踏まえた形になるんだろうというふうに考えております。

【小澤委員】

  遺伝子治療用医薬品の審査委員会では、品質と安全性に関する点を中心に議論されていました。ですから、合同作業委員会の方で議論していた分を含めて、両方をやっていくとなると、結構大変かなという感じは持ちます。

【高久委員長】

  それでも、今までの2本立てよりは良いのではないですか。あれは大変ですからね。
  最初の「科学的妥当性、公衆衛生上の観点からの妥当性及び倫理性」という表現はこれで良いですか。前は、科学的妥当性及び倫理性だったのですね。

【木村委員】

  今度のは、全般的に非常に公共性の確保というか、公開性とか、そういうことがきちっと出てきたのは、大変よかったと思うんです。ただ、私なんかも読んでみますと、ただいま委員長から御指摘のあった「科学的妥当性は」言葉としていいと思うんですが、公衆衛生という言葉が、もうこれは長い長い歴史のある言葉で、ここにこれがどんと出てくると、何か公衆衛生上の観点からの妥当性というのでは、ちょっと新しい時代にふさわしい表現とは言えないんではないか。むしろ公衆衛生の歴史を踏まえた表現のような感じになりかねないので、私としてはここはどうしても政策的な問題が入って、いろんな問題があって、サイエンス・ポリシーの問題に関わってくるので、むしろ公共政策上の観点からの必要性、遺伝子治療についてはいろんな問題がある。また、この成果もわからない点もあるし、うまくいいけば点もあるかもしれないという、サイエンス・ポリシーの一環としてあるわけなので、バイオエシックス上の言葉としては、やはり公共政策上の観点からの必要性ということの方が、全体の趣旨に合っている表現になるんではないか。
  公衆衛生上の観点からの妥当性というのは、これはちょっと言葉としてここになじまないんではないかという気がするので、全体的に非常にこれは前向き、新しい方向、特にパブリック・パーティシペイションというか、パブリック・オープンネスというか、そういう点を出したわけですので、むしろそこら辺をはっきり、アメリカにはバイオエシックスのパブリック・ポリシーということを言われて、連邦政府ではそういう方針を打ち出しているわけですので、提案としては公共政策上観点からの必要性というにした方がいいんではないかという1つの提案です。それと、倫理性と。

【高久委員長】

  確かに科学的に妥当であるということが必要だと思うのですが、次の必要性ですね。医療上の観点からの必要性という方が、もう少しわかりやすいような感じがします。医療の場合には、必要性ですね。それから、倫理性です。

【鳥井委員】

  公衆衛生上という言葉がいいかどうかはともかくとして、どれだけ広く社会に影響を及ぼすかという意味が必要なんだと思うんです。社会にほとんど影響を及ぼさなくて、個人の問題で限定されているときならば、いろいろなことをやってもいいよと言えるんだけれども、広く社会に、例えば、精神的にもあるかもしれませんけれども、影響を及ぼすということだったら、それはそこの時点からきちんと考えてくださいねということだろうと思うんです。ですから、ある意味では、政策とか何といということではなくて、どういう言葉がいいというとちょっとあれですけれども、もうちょっと社会性みたいな言葉が。

【高久委員長】

  これは遺伝子治療ですから、治療ということは個々の患者さんを対象にしている。社会的に影響がないわけではないのですが、医療はすべて社会的に影響があるわけですね。遺伝子治療だけではなくて、すべての医療行為は社会的にインパクトがあると思うのですが、ただ、これは一応研究になっていますが、最終的には治療を目指しているという意味では、余り社会ということを打ち出さなくて、その計画が科学的に妥当なものであるかということと、それから患者さんに対して医療上、本当に必要なのか。当然倫理性ということも出てくる、必要性だけでは問題がありますので、倫理性ということで、私は医療上の必要性及び倫理性の方がわかりやすいような気がするのですが、公衆衛生上でも良いですが、公衆衛生と言うと、何か。

【笹月委員】

  公衆衛生という説が出てきたのは、例えばウィルスベクターが感染するのではないかとか、そういう意味で出てきたのかなと私は思ったんですが。

【高久委員長】

  もっと幅が広い意味で取ったのですね。

【中垣企画官】

  笹月先生の御指摘も踏まえて、外に出ていく感染性、あるいは医療も踏まえ、全部踏まえると憲法上の言葉である公衆衛生という、非常に単純な発想で書いたところでございまして。

【高久委員長】

  だけど、だんだんウィルスベクターからプラスミド、そういう方向に移りつつあるとすると、外に広がるということは余り考えられなくなってきているのではないか。勿論、まだまだいろいろな方法がこれから出てくるから何とも言えないと思いますが。ほかにどなたか。

【豊島委員】

  私も今、委員長おっしゃった意見にどちらかと言えば賛成なんです。というのは、一番のウィークポイントはやはり科学的妥当性と倫理性だと思うんです。社会に開かれていることの必要性というのは別問題で、これは後ろの方に規定がかなり書かれていますから、社会に出されてきて、やはり基本的には科学的妥当性ということで、ベクターが簡単に広がるようなものであれば科学的妥当性がないと判断される。当然そうだと思うんですけれども、それと1人の患者さんに対する問題としては倫理性の問題にある。それだけではなくて、やはりいろいろな必要性と書いた場合には、ベクターの試験もできないかという問題も出てくることになっていたんですけれども。だから、その辺をどう考えるか。

【木村委員】

  これは、先端医科学技術に共通する以外に大きな問題が、今、鳥井委員の御指摘したこともありましたけれども、社会的なインパクトの強いということもありまして、この社会的意義や倫理性を明確にしてやるべきなのです。確かに、患者がいて、研究の科学的な水準がそこまで達していて、合意があればしていいじゃないかというところを、いや、公共性の観点からはそれではまずいんだと、それをオープンにしてやるという手続をきちんとやってくれと、税金を使っているんだからと、社会的な流れとしてはこういうふうになってきたわけです。
  ですから、個人が趣味でやっているならいざ知らず、やはり国の正式な機関が国民の税金を使ってやっている研究については、これをオープンにするということを、こうやって打ち出したわけですから、何かそこに公共性のニード、委員長が言われましたように、医療というのは確かに治療ということが目的になるわけですけれども、そういう公共性の確保ということがないと、これは科学的に妥当で倫理的に正当性を持っているというだけでは、これは古い時代の医師、患者関係になってしまう。そうではなくて、やはり社会的な広がりを持った中で、新しい、特に先端の遺伝子治療をやっていかなければならないということになりますと、やはりどこかに公共性というものが入ってくる必要があるというふうに私は考えるものですから、これは文言の上で、どうしても医療並びに公共性ということはここに入れる必要があるというふうに、科学的妥当性と倫理性プラス、それがどうしても入ってくるべきであるというふうに私は文言の上では考えますけれども、それは形容詞として入るか修飾語として入るか、ここに3つ並べる必要は必ずしもないわけです。そこら辺をちょっと考える必要があるのではないかと考えました。

【高久委員長】

  何かうまい言葉はあれば一番良いのですが、事務局で考えていただけますか。

【木村委員】

  これは文言をここで決めなければいけないというわけではないと思いますが。

【高久委員長】

  決めなくてもいいと思いますが、少し考えておいてください。

【中垣企画官】

  まず、3本柱は3本柱で科学的妥当性を医療上の必要性と倫理性という形にして、社会に開かれた形という、あるいは社会性とかいうのを別の文言で規定をするという形が1つあるのかなと思います。そうした場合に、追加しなければいけないのが、委員会の記録というのは公開というのがありますけれども、研究の成果とかの公表みたいな話の規定をどこかに追加しないといかんのかなというふうに考えておりまして、その辺りも含めて、ちょっと事務的に整理させてください。

【鳥井委員】

  ただし、薬事法のことなんですが、往々にしてあることでありまして、こういうある法律なり規定がこういうやり方をしちゃいますと、これは社会で普通に遺伝子治療といったときに、薬事法に定めるねものが除かれるのか除かれないのか、非常に混乱をするんです。だけど多分、遺伝子治療は遺伝子治療なんてす。だから、例えば、こういう定義の仕方をしちゃいますと、ある意味ではしばしば出会うんですが、これは遺伝子治療を定義しているんです。そうすると、除かれちゃうとちょっと困る。

【高久委員長】

  だから、これは手続のところに変えた方がいいかもしれませんね。

【鳥井委員】

  それならいいです。

【高久委員長】

  定義の中に入れるのは確かにおかしいと言えばおかしいですね。

【鳥井委員】

  しばしば何とか基準に言う遺伝子治療とか言わなければならない。

【高久委員長】

  だから、それはプロセスのところにうまく入れたらどうですか。

【中垣企画官】

  工夫させていただきます。

【高久委員長】

  定義の中に。

【中垣企画官】

  いや、難しいのは難しいんです。定義で入れてしまうと、一番最初からこの部分は別よという形になるんですが、手続のところに入れますと、概念的には薬事法上の遺伝子治療も入ってきて、どこから先が抜けるという形になりますので。

【鳥井委員】

  こういう指針も社会性を考えないといかぬですね。社会に混乱を与えてはいかぬと思うんですよ。

【豊島委員】

  ここも「遺伝子治療は」としてあるから、「遺伝子治療臨床研究は」と同じ文言を並べると、遺伝子臨床研究を経たものでなければ、恐らく薬事法のうちに入ってこないから、それで、研究途上ですか、こっちに入れると。

【高久委員長】

  遺伝子治療臨床研究もこれは薬事法の中に入りますね。

【豊島委員】

  そういう意味ではね。審査対象として変わるだけなんですね。

【高久委員長】

  ですから、指針の中で定義ということではなくて、最初に何かの形で入れておけば良いのではないですか。

【中島専門官】

  薬事法の指針の中にも「同じ遺伝子治療とは」というステージがございますので、先生がおっしゃったように、例えば、定義を適応できる範囲と。

【高久委員長】

  ですから、適応の範囲という事を。それも考えてください。

【中垣企画官】

  御趣旨はわかりました。何か法的に、なかなか難しいんだということも言われておりますけれども、御趣旨わかりましたので、できる限りやらせていただきます。

【原口補佐】

  大変恐縮でございますが、木村先生に整理に当たりまして確認させていただきたいのですが、先生には、公共政策上の必要というような概念を、という御意見もちょうだいしているわけでございますが、その公共政策上のということの必要性について、先ほどお話しになりましたときに、公費でもって公的機関が行う以上はということを言われていますが、この指針で対象にいたしますのは、公費によると限らず、また、民間機関を含めてということでございますので、そこの点はそのままというわけにもいかないと思いますので。

【木村委員】

  それを入れてくださいと言っているわけではないんですね。公費によるものも含めた、やはり社会的な責任というのは持っているのが、日本国で行われるこういう先端医科学技術については、例えば、NIHなどもモニターして、全部民間のものもきちんと資料を持ってやっているわけです。ですから、そういう意味からすれば、確かにおっしゃることの内容はよくわかりますけれども、公共政策という言葉が入ったので別に問題はないと。

【原口補佐】

  先ほどは、研究自体が公共政策の一環としてなされるべきであるというお話だったんですが、それは無理があるかなと思いましたもので。どういうふうに。

【木村委員】

  パブリック・ポリシーというのは基本的にはそういう民間のものも含めて国がどういう方向でやるかということを決めることを意味するわけです。基本的には。ですから、税金を買う使わないということとはまたちょっと違ってくるわけです。それも1つの大きな理由ではありますけれども、国の大きな方針、例えば、遺伝子治療はこういうふうにしようということは、バイオエシックス、パブリック・ポリシーとして出てくる場合には、民間企業も含めてやっていくわけです。

【原口補佐】

  そうだといたしますと、この指数自体が公共政策として策定され、運用されるものだと、まさにこういう方向で遺伝子治療がなければいけないということになる。

【木村委員】

  そうです。

【原口補佐】

  ということなものですから、そうすると、研究を、医療上必要なように、科学的に妥当なように倫理的にやってもらう、ということが公共政策であるので、次元がずれることになると思うんです。

【豊島委員】

  例えば、今のところで、科学的妥当性と倫理性を確保し、社会的な必要性を踏まえた適正な実施を図るためというふうな感じで入れれば、すんなり両方が入るような気もするんですけれどもね。

【高久委員長】

  そうですね。私はむしろ素直に臨床的必要性と倫理性の方が簡単でいいと思います。臨床研究ですから。

【豊島委員】

  倫理性というのは社会的なものを含まれているという感覚ですね。

【高久委員長】

  臨床研究ですから、それがいかに科学的に妥当であっても、臨床的に有用でなければ意味がないですね。それの方が皆さんにはわかりやすい気がするのですが。

【原口補佐】

  また、その点は整理していただきまして、メモなどを後日ちょうだいできたらと思いますけれども。

【木村委員】

  ちょっと確認だけしておきますが、結局この新指針というのは、適応される対象は、厚生省側としてはどうお考えなんですか。

【原口委員】

  すべての、日本国内で行われるのであれば、この薬事法上の治験に該当するものを除いて行うと、あるいはその費用にかかわらず、すべてについて届けていただきたい、ということです。

【木村委員】

  それはいいことですね。

【原口委員】

  今までもそういうふうにしておりますので、そういう性格でやっていきたいと思っております。

【鳥井委員】

  私が言っているのは、これは適切な例かどうかよくわからないんですが、例えば、遺伝子治療で治るかもしれないけれども、治さない方がいい、そういう病気ではないようなものですね。例えば、同性愛というのが遺伝的なものであると考えられて。

【高久委員長】

  これにはすぐには入ってこないと思います。

【鳥井委員】

  なるほど。

【渋谷委員】

  1つだけ確認をさせていただきたいんですが、薬事法に定めるものを除くというときには、結局、薬事法というのは、企業が中心で行うと考えてよろしいんでしょうか。それが、大学とかいろいろな研究所が中心で、恐らく企業とのいろいろな共同研究というのはこれからかなり盛んにはなると思いますので、どちらが主かということぐらいの違いになっていきそうな気がするんですけれども、企業がかなりサポートしてもともかく大学、あるいは研究所が中心でやるものがこちらに入るんだというような。

【中垣企画官】

  一般に申し上げますと、どちらが主かという話になりますと、研究自体は、医師が主でございますから、どちらのパターンにおいても、そういう意味での主というのは責任を持っておられる医師にあるんだろうと思います。
  治験というのは、特に企業あるいは大学でもよろしいんですけれども、薬事法上の医薬品としての製造あるいは輸入の承認を取ろうという人が行う治験、通常は医療機関に依頼をして行うものでございます。
  したがいまして、大学が承認を取ろうと思えば、大学が届出を出してやる。通常の場合には、製薬企業が承認を取ろうとしますから、企業が医療機関に委託をして行うという形になります。

【高久委員長】

  新しいGCPでは、企業が責任を持つのではないですか、最終的には。

【中島専門官】

  GCPの概念では、企業が当然申請者ですので、治験依頼者という形になりますから、ただ、当然、応分の負担をお医者さんにも。

【高久委員長】

  勿論ありますけれども、最終責任は企業だと理解しています。新GCPをつくる時に、その事が非常に問題になったのですよ。治験責任者が最終責任者なのか、企業が最終的な責任者なのかということが。最終的に企業になったと思います、治験の場合。

【中垣企画官】

  先生のおっしゃっている意味は、あくまで承認を取るための試験でございますから、そこに不適正な行為があったら、承認は与えませんよ、その被害をこうむるのはあくまで企業、治験依頼者という整理じゃないかと思うんです。

【高久委員長】

  この1ページ目の下の方の文書によるというのは、これは当然今までの流れからいって、前の趣旨には書いていませんでしたが、入れることには問題がないと思います。
  それから、この下の方の「意思及び利益を代弁できると考えられる者の」というのは、この表現で良いのですね。前のにはなかったと思います。
  それで、2ページ目に科学的妥当性云々がありますが、これは別にいたしまして、次の「被験者の病状に応じた」という方が、従来のは「緊急」という言葉が入っていますが、必ずしも緊急とは限らないということと、病状の中に当然緊急時ということも入りますので、表現としてはこちらの方がよろしいですね。そうだと思います。
  それから、国については、先ほど中垣さんの方から説明がありましたので、これは是非努力をしていただきたいと、この場合に、審査委員会とそれから今まで議論してきた文部科学省と厚生労働省の共通の委員会に提案を求めることになるのですね、国というのは。

【中垣企画官】

  国というのは、協議がまとまっておりませんので、中立的に国と書いておるわけでございまして、ここは先生方、前回の御意見でも、かなり明確な御意見を賜っておりましたので、共通の委員会としますと、最終的に大臣は別でございますから、今と同じシステムにならざるを得ないということになるだろうと思います。

【高久委員長】

  ですから、私、その報告は、各施設が属している省に報告をしても良いと思います。ただ、研究者の希望としては、同じような委員会に2回も出るのはかなわないから、1回にしてくれ。委員会を共通にしてもらえれば、いろいろな報告や情報については、各担当の省に報告するのは構わない。要するに、審査員もオーバーラップしていて、研究者は何回も出てくる必要がある。審査の委員会を共通にしてもらいたい。作業部会だけではなくて。審査委員会を共通にしてもらえれば、いろいろな報告や、緊急時の情報の提供は各施設がどこの省に属するかによって、国という表現でも構わないと思っていました。
  結局は、共通の委員会に報告が出てくるわけです、最終的には。どこかに両方が入っていればいいわけで、国という表現でも私は構わない、そうでもないですか。

【木村委員】

  この間の話では、できれば、常設の合同委員会みたいなものをつくって、1つにそれをまとめるということでしたが。

【高久委員長】

  そういうことです。それだけが問題でして。

【木村委員】

  この際、それをやるタイミングが今までは文部省と厚生省と科学技術庁とごちゃごちゃになっていたのをそれを1つにしようという方向性ですね。

【高久委員長】

  そういうことです。審査の迅速性という意味から言っても、それから、いろいろ手間も省くという意味で、国の審査は一本化してもらいたいというのが今までの議論でして、どこに報告するというとは余り議論していなかったと思います。

【木村委員】

  でも、国の審査をするという、一本化と同時に常設の合同委員会みたいなものを1つにしてしまった方がいいのではないでしょうか。

【高久委員長】

  そうですね。それは常設になりますね、年中出てきますから。その委員会に報告をいずれしてもらわなければならないと思います、まとめて。毎回毎回の報告は国で構わない。

【豊島委員】

  これは先ほどのページにあって、薬事法となるとはっきり厚生労働省になるんですね。そして、それ以外の部分をどうするかの問題で、それ以外の部分は非常に簡単に私などが思うと、一番初めは、総合科学技術会議というのができたから、全部それできれいになっちゃうのだと、一番初めはそう思ったんです。そうしたらそうではなくて、前の倫理規定の問題とか、そういうのも含めて、その総合科学技術会議で最終的には審議し責任を持つけれども、それは文部科学省に審査を依頼するとか、これはどこへ審査を依頼するということになっているので、ちょっとややこしくなってきているのではないかと。だから、これはそういう委員長がおっしゃるような形のものをどこかへ依頼するという形になるのではないかという気がしたんです。

【高久委員長】

  独立行政法人にみんななってしまえばまた話は別ですが、今の段階では、国立大学で遺伝子治療の事故が起きたときに、文部科学大臣に報告をする。国立病院で起きたときには、厚生労働大臣の方に報告をするという形に取らざるを得ないと思います。余りこだわる必要はないと思います。

【中垣企画官】

  それは1つの割り切りだろうと思うんです。例えば、大学は文部科学省に報告をして、文部科学大臣が意見を返すという形で組む。そして、それ以外は厚生労働大臣に報告をする。
  ところが、その問題の最大の問題というのは、文部科学大臣に報告があって、文部科学大臣が承認をする、回答をするというときに、なぜ合同の委員会に掛けるのかという問題が法令的には出てまいります。
  と申しますのは、ここは文部科学大臣で一貫しているわけですから、文部科学の委員会に意見を聞けば十分ではなかろうか、合同の委員会は何も使う必要は全くないんだろうと思います。

【高久委員長】

  要するに国のシステムよりは研究者の便利ということなのですが。

【笹月委員】

  合同のを使う必要はないとおっしゃったんですけれども、独立のものはもうつくらないということではないですか。

【高久委員長】

  我々としてみれば、合同の委員会をつくってくれということを言ったわけです。

【中垣企画官】

  合同のをつくるということを決めた段階で、合同の窓口、合同の大臣というのはいないわけですから、ある程度どこかに一本化せざるを得ないんだろうと思います。

【高久委員長】

  そうは、申請はおのおのの省に出して、審査を合同の委員会に頼んでくれたら良いのではないですか。

【中垣企画官】

  それは非常に正直言うと難しくて、この文部科学大臣で完結しているのをどうして厚生労働大臣との委員会に、あるいは厚生労働大臣が、その設置した国の委員会に関与するのかという問題がででまいります。

【高久委員長】

  今まで作業部会はやっていましたね。

【中垣企画官】

  作業部会をやっているのは、現時点では、両大臣に申請が上がってきていますから、両大臣が審査をする。よって合同の委員会という発想があるわけでございますが、両大臣に上がらない、片一方の大臣に上がるということなら、片一方の大臣が回答する。片一方の大臣に上がったら片一方の大臣が回答する。合同委員会という発想は全くなくて、泣き別れの世界になってしまう、非常に難しい問題がでてまいります。

【高久委員長】

  わかりました。よく検討してください。

【中垣企画官】

  ただ、御指摘はわかりましたので、御指摘も踏まえて検討させて頂きます。

【高久委員長】

  検討してください。
  それから、ここの中で、審査委員会は以下のすべての要件を満たすとありますが、その中で、審査委員のメンバーに関して、分子生物学と細胞生物云々と、これは要するに基礎医学の人が入ってくださいということですね。科学的な妥当性とかということに触れている。それから臨床的な有用性という事で臨床医がいなければならない。あと、社会的な倫理性という問題ということで、「法律に関する専門家、生命に関して意見を述べるふさわしい識見を有する者」というのは良いのですが、この「及び」というのはかなりきついのではないか、「あるいは」ぐらいにしてもらわないと非常に困るところが出てくるのではないかと思います。

【中垣企画官】

  これは従来の規定のままでございます。

【高久委員長】

  従来の規定はそうなっていましたか。

【中垣企画官】

  参考資料1の7ページの一番上のカラムでございますけれども、「基礎医学の専門家、臨床医、法律、生命倫理及び」になっておりますし、これはこのままいきたいと考えています。

【高久委員長】

  わかりました。小澤先生、単科医科大学も大丈夫ですか。

【小沢委員】

  外部の委員も入りますから、問題ないと思います。

【高久委員長】

  従来の規定がそうなっているんだから、それで。

【鳥井委員】

  男女両性というのを義務づけるんですか。

【高久委員長】

  私もこれがちょっと問題があるかなと。

【鳥井委員】

  それは、一番適当な人ということだろうと思うんですね。それは女性ばかりになるかもしれないし、男性ばかりになるかもしれないし。

【木村委員】

  これはもう論議があって、結局、ヒトゲノムのときに、その論議は数多くありまして、しかもあのときはパブリック・ヒアリングをやったり、それからパブリック・インプットがインターネットで出まして、フェミニズムのグループとか、そういうところから、特に倫理委員会の構成については、非常に具体的、積極的な意見をかなりもらったわけです。それを踏まえながら慎重に検討して、ヒトゲノムの解析のガイドラインについては、男女両性から構成されるというのを入れたんですね。もう既にそれを入れて機能しているということを踏まえてこれが出てきたものなんです。
  ですから、私は、男女参画共同社会というのをつくる前提からいっても、ここに当然これは入るべきであって、しかも入る可能性が極めて高い状況に今来ているわけですから、そういう点でこれはもう欠かせないというふうに思うんですね。たしかそうですよね。

【中垣企画官】

  ヒトゲムの指針については、木村委員御指摘のとおり、パブリック・コメントを受けた最後の審議会における議論の中で、当初、男女両性から構成するのが望ましいという規定で、パブリック・コメントにかけたかと思うんですけれども、意見がたくさん出てまいりましたし、アメリカのゲノムだけではございませんで、一般的な倫理審査委員会も男女両性というのを規定しておるということも踏まえまして、男女両性をもって構成しなければならないという義務規定に最終的に変えたところでございます。
  ただ、この場合に、遺伝子治療という特殊性があるのかどうかというのは御判断いただく必要があるのかもしれませんし、また、参考までに申し上げますと、今、総合科学技術会議で議論がされておりますES細胞の指針、これは受精卵からつくっていくという特殊性があるのかもしれませんが、これも、男女両性というのは義務規定として入っております。勿論、まだこれは確定版ではございません。

【高久委員長】

  そうですね。ESのときにたしかにそういう議論があったと思います。男女両性というのは、ESの場合には、特殊な細胞ですから。複数の外部委員で良いと思うのですが。個人的な意見としては男女両性とわざわざ書くのは、むしろ男女差別のような気がして、後進性を表すような気もするのですが。

【木村委員】

  実際にそういう意見もあったんですが、しかし、諸外国の常識的なケースでは、男女両性、平等の人数でなければいけないとなっているんです。女性5、男性5という人数まで入っているわけです。ですから、日本の場合には一応人数は入れないけれども男女両性から構成されるべきとしているわけです。これは女性側から言うと、恐らく人数まで入れて平等性を確保すべきということになると思うんです。

【鳥井委員】

  例えばヒトゲノムを解析するというのは極めて一般的な話です。それから、癌細胞の何とかというのも人類共通の話ですね。こういう話を男女両性が参画するというのは、意味があるような気がするんですが、遺伝子治療というのは特殊なことですね。ある意味では医者と患者で先ほど話があって、社会性というのは大事とは言ったものの、医者と患者の間で閉じた話なんです。
  そこで例えば5人とかそのくらいのことを考えるわけです。そこに男女を絶対入れなきゃいけないという規定を盛り込むというのは、何か変な感じがしますね。例えば、患者さんが女性ときには、女性の人を入れるとか、そういう判断というのは大いにあるだろうと思うんですけれども、そこは何が何でも入れなくちゃ、両性が入ってなくちゃいかぬといのうは苦しくはないですか。

【木村委員】

  これ倫理とか法律とか、社会的な問題については、男性と女性とが平等に発言するというシステムが今までできなかったわけです。だから、鳥井さんの言うのは、日本の今までの考え方と言えば、確かにいろんな問題が起こる可能性があるということになるかもしれませんけれども、これは厚生労働省がイニシアチブを取って、こういう形で男女から構成されるという筋を一本通すという方向で行くことの方が、これは極めて望ましい。これは私は避けて通るわけにはいかないと思うんです。
  特に倫理の問題については、今御指摘ありましたように、これを見ても、対象が患者が女性であるケースも極めて多いわけですから、そういう観点から、遺伝子治療だとか、あるいは先端医科学技術の問題、特に医療の分野で女性が少ないとかいう問題ではなくて、人間の生き方とか在り方とか、医学の在り方について、これは男性、女性共通に発言するような方向性をきちっと出さなくちゃいけない。理念としても実践としても、これは譲れないと思うんです。これはどうしてもこうするべきだと私は思います。

【高久委員長】

  いろいろなお考えがあると思いますが、入れておいても良いのではないですか。

【木村委員】

  これを入れなければ100年後戻りします。これは内閣の方針がそうなんですから。男女共同参画の方針が閣議で決定されている出ているときに、厚生労働省が指針としてどっちかの性で委員会を構成するようなものを出すわけにいかないと思います。

【鳥井委員】

  どっちかの性でやらなくちゃいけないということを言っているわけじゃないです。

【豊島委員】

  今おっしゃる意見の違いは、恐らく鳥井さんは、これは全部専門家と書いてあるんですね。だから、専門家として、一番適切な人を入れるべきであるから、それを規定するのはおかしいから、専門家でやるなら、人数が少なければ、ステップ的に専門家でやれと。普通、倫理委員会でどこでも女性の入っていないところはまずないと思います。だから、入れられるような専門家はまず探せると考えていいと思います。

【木村委員】

  時代は鳥井さん大きく変化しているんですよ。もう鳥井さんのお考えのような時代じゃないんです。

【高久委員長】

  私は逆に、わざわざこう書かなくても、両方全部入っているから、この男女両性からとわざわざ書くというのは、時代後れじゃないかと思っています。

【木村委員】

  それは今の段階で書いておかないと。

【高久委員長】

  そうですかね。我々のところはみんな入っています。

【鳥井委員】

  私は全然構わないんです。ただ、おやりになる方が大丈夫かなという心配をしているだけのことです。

【高久委員長】

  それはほとんど入っています。女性の教員も増えましたから、当然適正な方というのはほとんど入っていると思います。

【木村委員】

  鳥井委員の言われるように、私はそれでも構わないというのは内容的に問題です。構わないんじゃなくて、これは男性と女性とが共同に参画してやっていかなければいけないという認識であるべきです。「私は構わない」というのはちょっとまずいんじゃないですか。

【澁谷委員】

  私は男女両性と明記してあって結構だと思うんです。ただ、倫理委員会というのはどうしても専門委員の数が限られていますので、各施設とか臨床の病院とか、どの段階でつくるかというところが問題のように思います。おのおのの施設でつくりなさいということになると、現実には非常に動きが取れなくなって、そこのところで時間が遅くなってしまう。審査が後れてしまうという心配の方があるんじゃないでしょうか。ですから、倫理委員会の構成そのものはこれで私はすっきりしていると思うんですが、運用というか、どういう段階でどの程度の審査委員会をつくるのか、共通の格好で申請ができるようにするのかなど、検討の余地があると思います。

【木村委員】

  今、高久委員長が言われたように、ほとんどのところは現行で機能しているわけですので、それは澁谷委員の御心配は余りないと思うんです。

【高久委員長】

  遺伝子治療をやるとなりますと、かなり大きな施設でないとできないものですから、今までのところはほとんどこういう形でやっています。
  それでは、次のページのことで、前については既に前回のときに御議論をいただきまして、大体の御同意は得ていると思います。研究終了後に、5年間というのを入れたのが新しいことで、前はどうなっていたんですかね。

【中垣企画官】

  前は規定がございませんで、保管しなければならないという規定になっております。

【高久委員長】

  ということだと思いました。前回のときに従来既に行われてるものについては、云々という事がありましたね。前回専門家の意見を聞いて、審議会に付議する必要があるかどうかということを判断をしてもらう。この○○日以内というのは、大体何日くらいを想定しているんですか。

【中垣企画官】

  前回の資料で、例えば30日ということでお示しさせていただいたんでございますが、30日で実際上可能かどうかというのを最終的に洗っているところでございます。最初申し上げましたルートをどうするのかと密接に関わる問題でございますので、途中で両者で寄り集まるということになりますと、寄り集まる日数も必要でしょうし、その辺りのルートとの関係もあるんだろうと思います。できるだけ前回お示しした30日をベースに考えております。

【高久委員長】

  それは30日として、原則ということを入れた方がいいんじゃないですか。

【小澤委員】

  細かい話ですけれども、3ページ目の「次の観点から」というところですが、1番目の話と3番目の遺伝子導入方法は同じことを言っていますので、(3)は恐らく遺伝子治療法ということなんでしょうね。新規の遺伝子治療法、治療ストラテジー、治療方法が問題になるかなと思います。

【高久委員長】

  1番目に新規遺伝子導入系と書いていますから。

【山田主任研究官】

  これはNIHのガイドラインの文書を参考としたものなんですが、前回英語を付けておいたんですけれども、3つ目というのは、元はユニーク・アプリケーションとなっています。

【小澤委員】

  それでは遺伝子導入方法ではなくて、その応用、つまり遺伝子治療法、ストラテジーですね。

【山田主任研究官】

  そうなると思います。ここの文章が練れてないんですけれども。ユニーク・アプリケーションズ・オブ・ジーン・トランスファーというのが3番目の元の英語です。

【高久委員長】

  アプリケーションだから、メソドロジーではなくて、アプリケーション・ジーン・トランスファーだから、治療方法でいいのかな。

【木村委員】

  1番目の英語はどうなっているんですか。

【山田主任研究官】

  ニューベクターズ/ニュージーン・デリバリーシステムズです。

【小澤委員】

  前回も議論があったことですけれども、新規というのが国内で新規なのか、世界的に新規なのかいうのがあいまいな表現になっていますので、それもちょっとどこかで規定しておいた方がいいと思います。ほかの文言もよろしいですか。
  1ページ目の第三の「対象疾患等」のところですけれども、ガイドラインが当初できた時にも少し問題になりましたが「致死性の」というのが引っ掛かる人がいるんです。死ぬ病気と言われてしまうと困りますので、そういう言葉よりは、有効な治療法の確立されていない遺伝性疾患とか、何か別の言葉を考えた方がいいかなと思います。

【高久委員長】

  致死性というのは、確かに問題ですね。致死性を入れなくても良いのではないですか。「遺伝性疾患、がん、後天性免疫不全症」。

【中垣企画官】

  遺伝性疾患にはいろいろありますから、そこで遺伝性疾患の中で、実際問題としては、ちょっと例が挙がらないんですが、治療法が確立されていない遺伝性疾患でも、死なないようなものは対象外ではないんです。死なないという表現は適切ではないですが。

【高久委員長】

  血友病は致死性ではない。しかし血友病が今遺伝子治療のかなり大きなターゲットになっています。

【中垣企画官】

  これは「致死性の遺伝性疾患、がん、後天性免疫不全症候群その他の生命を脅かす疾患」でございますから、生命を脅かす疾患の例示が致死性の遺伝性疾患が1つ、がんが1つ、後天性免疫不全症候群が1つということになっておりますから、あくまで対象は生命を脅かす疾患でございます。ですから、遺伝性疾患の中で生命を脅かす疾患ではないものというのは、そもそも対象とならない。遺伝性疾患の中で生命を脅かす疾患というのを致死性の遺伝性疾患という表現をしたものでございます。

【小澤委員】

  生命を脅かすというのより、致死性というのは更に表現が強いんですね。

【中垣企画官】

  だから、変えられるとしても、生命を脅かす遺伝性疾患とか、それぐらいまでであって、治療法がないというのは別の概念ではないかと存じます。

【小澤委員】

  重篤なとか。

【高久委員長】

  致死性というのはちょっと強い。

【中垣企画官】

  わかりました。

【小澤委員】

  その後の文言は阪大の申請に伴って対応するようにつくったと思うんですけれども、今度変えるのでしたら、あえて「閉塞性血栓血管炎」という名前を独立して挙げる必要はないかなと思います。

【中垣企画官】

  検討します。

【高久委員長】

  その他で良いのではないかな。その他、身体の機能を著しく損なう疾患。

【小澤委員】

  もう一つ細かい話なんですけれども、第六のところに「生殖細胞」という言葉を使ってありますが、これも言葉に厳密な人はいろいろと言われるんです。ジャームラインと言うと、生殖細胞ではなくて、生殖系列細胞ということです。言葉を正確に使うと、生殖細胞では、精子か卵子ということになって、受精卵が外れてきてしまいますので、もし厳密な用語を使われるんでしたら、ここも変えた方がいいかなと思います。

【高久委員長】

  大分苦労されているようだから、聞いてください。生殖系列細胞かな。

【中垣企画官】

  ゲノムの指針のときに、ジャームラインを表現することで随分苦労しましたので、もう一回苦労してみます。要するに、ゲノムの指針と同じ言葉を使います。あのとき、いわゆる生殖細胞系列というのがわかりにくいという批判がパブリック・コメントをやったらたくさん来まして、括弧書きで表現をするとか、いわゆるを付けるとか、いろんな工夫をしたと思いますが、もう一回その表現を持ってきます。

【鳥井委員】

  記録の保存の5年という数字ですけれども、これはどんな感じなんでしょうかね。
  つまり、根拠と言われても困るだろうと思うんですけれども、なぜ5年という感じになったんですか。

【中垣企画官】

  まず第一には、保存期間が定められていないというのは、実際上あまりに過剰な負担を課しているのではないかと存じます。
  それでは、何年が適当かという議論に入るわけでございますけれども、カルテの保存期間が5年であるというのがまずあります。
  こういった研究の分野では、先ほど御説明のありましたGCPに関します記録の保存というのが5年。これもカルテから来ているんだろうと思います。そういう意味から申し上げますと、5年が適用ではないかと判断したわけでございます。

【鳥井委員】

  研究という立場から5年で十分ですか。

【高久委員長】

  臨床研究ですから、実際にやってどうですか。

【吉田委員】

  実際に必要なものは5年以上取っておきますが、そうではない部分は5年で処分します。

【高久委員長】

  義務としては5年。その後は内容によって置いておくということになると思います。そうしませんと、実際にね。ほかにどなたか。

【木村委員】

  参考資料1のところの2ページの、先ほど小澤先生が言われたときにも関連しますが、厚生労働省の方は、致死性の遺伝性疾患、この致死性というのはつくったときに大変意味があったと聞いておりますけれども、特に遺伝性疾患を始めるに当たって、この場合、致死性であるということが非常な条件となってこれができたわけですが、文部省の方はそういう意味ではそのことが生命を脅かすか、これは多分生活の質だと思うんです。生活の質を著しく損なう難治疾患ということでさらりと書いてあるわけですが、ここら辺も調整する必要が出てくると思うんですが、左側の閉鎖性血栓、これは血栓血管炎というんですが。

【高久委員長】

  そうです。

【木村委員】

  そうですね。こういうふうに例示的に行くのか。

【高久委員長】

  小澤先生の意見で例示を外そうということになりましたから、これはたまたま大阪大学から、さっきの説明のあったものですから。
  この致死性というのは実は文部省のガイドラインのときに議論があって、がんが、厚生労働省の文章ですと、この致死性というのがどこまで掛かるかよくわからないものですから、がんは致死性じゃないという意見があって、何となく。

【木村委員】

  そうですか。わかりました。

【高久委員長】

  ほかにどなたか。

【吉田委員】

  先ほどの薬事法のところに戻りますが、薬事法に定める治験というのは、一般には製薬企業がやることだと思うんですが、将来的には大学とか公的な施設が臨床研究の延長線上に、遺伝子治療の治験をすることがあり得ると考えてよろしんでしょうか。先ほど少しそのような内容をお話しされたと思いますが。

【中垣企画官】

  将来的なことを申しますと、特に国立大学が医薬品の製造承認を取れるかというのは、法律上なかなか難しい問題があるんだろうと思いますけれども、国立大学も独立行政法人化するとか、民営化するとかいう話でございますから、そういう意味では、そういった独立行政法人が企業と同じように製造承認を取って、自分のところで製造するとか、あるいは製造をよそに委託するということを始めるというのも、選択肢としてはあるんだろうと考えております。

【高久委員長】

  わかりました。それでは、そろそろ時間が近づいてまいりました。本日の御議論では、新しい指針の素案につきまして、いろいろ御議論があったと思います。その御議論を踏まえて、また案を事務局の方と私どもで検討させていただきたいと思います。
  それから、先ほどの国の問題、したがいまして、文部科学省と厚生労働省との事務の重複、特に審査委員会の問題とか、いろいろな問題がまだ残されていると思いますが、事務局の方で検討していただきまして、できれば夏休みの間くらいに方向性を出していただければと思います。よろしくお願いします。
  先生方には、またお集まりいただくか、あるいは書面で御審議いただくか、どちらかの形で御検討いただいて、案をまとめまして、その後、パブリック・コメントを受けなければなりませんので、それまでになるべく案を求めたいと思います。よろしく御協力をお願いしたいと思います。
  事務的なことについて何か連絡ありますか。

【中垣企画官】

  委員長におまとめいただきました点を御確認させていただきます。
  今日の御議論を踏まえて手直しするというのが1つ。それと、一番最初に御説明申し上げました厚生労働省と文部科学省の事務の重複をどうするかという点について、明らかにするというのが2番目でございますけれども、この2点につきまして、整理した上で、委員長の御判断でお集まり願うかどうかは御判断願うことでよろしいでしょうか。いずれにしても、先生方には新しい整理し直した案をお送りをし、一定期間のうちに御意見を賜る手続はしたいと思いますけれども、そういう形で進めてよろしゅうございますか。
  (「はい」と声あり)

【中垣企画官】

  少なくとも1か月くらいのうちには、案を固めた上で、委員長と御相談をし、先生方のお手元にお配りしたいと思いますので、暑い中ではありますけれども、ひとつ御協力をよろしくお願いします。
  どうもありがとうございました。

―――了―――

(研究振興局ライフサイエンス課)

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