科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会
2001/06/20 議事録
平成13年6月20日
平成13年6月20日(水)10:00〜12:00
厚生労働省 省議室
高久主査、阿部委員、小澤委員、木村委員、渋谷委員、寺田委員、豊島委員、鳥井委員、垣生委員、吉倉委員、吉田委員
厚生労働省:佐蛹生科学課長、中垣企画官、山田主任研究官
文部科学省:菱山生命倫理・安全対策室長、吉澤学術調査官、郡生命倫理・安全対策室長補佐
他
【中垣企画官】
定刻になりましたので、ただいまから遺伝子治療臨床研究の在り方委員会合同会合を始めさせていただきます。本委員会は、正確に申し上げますと、厚生科学審議会科学技術部会遺伝子治療臨床研究の在り方に関する委員会と科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会遺伝子治療臨床研究専門委員会、この2つの合同の会合というものでございます。
遺伝子治療臨床研究の在り方につきましては、昨年12月に一度ご議論いただいたところでございますけれども、本年1月の省庁再編、あるいは審議会の再編がありまして、初めての会合となりますので、改めて委員の先生方をご紹介させていただきたいと思います。資料の1をごらんいただきたいと存じます。
まず最初が阿部委員でございますが、阿部委員は若干おくれて来られるという連絡が来ております。次は小澤委員でございます。
【小澤委員】
小澤です。よろしくお願いします。
【中垣企画官】
北委員は本日ご欠席でございます。次は木村委員でございます。
【木村委員】
よろしくお願いします。
【中垣企画官】
笹月委員は本日ご欠席というご連絡でございます。澁谷委員でございます。
【澁谷委員】
澁谷でございます。よろしくお願いいたします。
【中垣企画官】
高久委員でございます。
【高久委員】
高久です。よろしくお願いします。
【中垣企画官】
寺田委員でございます。
【寺田委員】
寺田でございます。
【中垣企画官】
豊島委員でございます。
【豊島委員】
豊島でございます。
【中垣企画官】
鳥井委員でございます。
【鳥井委員】
よろしくお願いします。
【中垣企画官】
垣生委員でございます。
【垣生委員】
よろしくお願いいたします。
【中垣企画官】
吉田委員でございます。
【吉田委員】
吉田です。よろしくお願いします。
【中垣企画官】
吉倉委員でございます。
【吉倉委員】
よろしくお願いします。
【中垣企画官】
申しわけございません。五音順がどこかで違っております。恐縮でございます。
今、阿部委員が来られましたので、阿部委員をご紹介させていただきたいと思います。阿部委員でございます。
続きまして、事務局のほうをご紹介申し上げます。事務局は厚生労働省と文部科学省とあわせて合同でやらせていただいておりますが、厚生労働省の厚生科学課長の佐蛯ナございます。
【佐蜑ロ長】
佐蛯ナございます。
【中垣企画官】
私、研究企画官の中垣でございます。
主任研究官の山田でございます。
【山田主任研究官】
よろしくお願いします。
【中垣企画官】
文部科学省の室長の菱山でございます。
【郡室長補佐】
ちょっとおくれてまいります。
【中垣企画官】
おくれて来るそうでございます。
学術調査官の吉澤でございます。
【吉澤学術調査官】
よろしくお願いいたします。
【中垣企画官】
室長補佐の郡でございます。
【郡室長補佐】
郡でございます。よろしくお願いします。
【中垣企画官】
本会議の議事録についてでございますけれども、先ほどご紹介申し上げました2つの審議会、これの運営規則に基づきまして、公開するということとさせていただいておりまして、両省のホームページに掲載させていただきますので、ご了承いただきますようお願い申し上げます。
それでは、初めての開催でございますので、事務局を代いたしまして、厚生労働省厚生科学課長の佐蛯ゥらごあいさつさせていただきます。
【佐蜑ロ長】
厚生労働省の厚生科学課長でございます佐蛯ニ申します。きょうは厚生労働省と文部科学省の合同会議ということでございますので、代しましてごあいさつということとさせていただきたいと思います。今回の会合は実質的には第2回ということでもございますので、各委員の方々におかれましては、この経緯について相当長い経験を積まれた方が多いわけでございますけれども、省庁再編後、第1回ということでもございますので、若干、今までの経緯なども含めてごあいさつさせていただきたいと思います。
厚生労働省、旧厚生省におきましては、平成6年にこの遺伝子治療研究ということにつきまして、その在り方、その手続なども含めて、指針という形でまとめ、告示してございます。また、旧文部省におきましても、平成6年、同様な形でガイドラインという形でまとめて告示しているわけでございます。その指針、ガイドラインに基づきまして、従前より個別の遺伝子治療の臨床研究の個々の事例について、それぞれ内容について審査をし、それぞれの意見を述べてきたという形でございまして、目下、今まで19例について、この遺伝子治療臨床研究についての遺伝子の導入という形がなされてきたという状況でございます。これだけの遺伝子治療臨床研究について実績も積まれてきたということもございまして、一昨年の5月に、旧厚生科学審議会――今回、厚生科学審議会は非常に大きくなってございますが、旧厚生科学審議会におきまして、実績も積まれてきたということもございまして、これからの遺伝子治療臨床研究について、その在り方をもう少しめりはりをつけたやり方をしたらどうかというような答申をいただいております。また、昨年の3月に、規制緩和にかかわります3カ年計画というのが閣議決定されてございますが、その中で遺伝子治療臨床研究についての検討につきましても、個々の事例それぞれについて、もう少し規制緩和という観点から中身について検討したらどうかという指摘を受けてございます。
こういうような動向がございまして、昨年の12月に、もとの厚生科学審議会の専門委員会と、学術審議会の専門委員会の合同という形で、この委員会の実質上第1回ということになりますが、この内容について、これからの在り方について検討していただくという経緯がございます。その後、省庁再編成ということになりましたものですから、組織が若干変わりましたけれども、引き続きそのテーマについてご検討いただきたいということをお願い申し上げたいと、こういうことでございます。
いずれにしましても、この遺伝子治療臨床研究について、社会的な関心は非常に高いわけでございまして、またその可性というものも高いものがございますので、分にその中身を斟酌をして、我が国においてそれが定着を図られていくような形、どのような形にしていくことがいいのかということを含めて、分見直しをしていただきたい。分な審議を得た上で、またパブリック・コメントなども求めまして、望むらくば今年度中にそのご審議いただいた内容について見直しの告示を行いたい、こういうふうに私どもは思ってございます。そういう点で分なご審議をよろしくお願い申し上げたいと思います。厚生労働省、文部科学省、連携しまして、執行審議について分な支えをさせていただければと願っている次第でございます。よろしくお願いします。
【中垣企画官】
それでは、本日の座長でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、厚生科学審議会と科学技術・学術審議会の合同会合という形になっておりますが、高久委員にお願いするということでよろしゅうございますでしょうか。それでは、高久委員、よろしくお願いいたします。
【高久委員長】
それでは、委員長を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、事務局から配付資料の確認をよろしくお願いします。
【中垣企画官】
まず、議事次第と座席の後、資料1として先ほどごらんいただきました委員の一覧、資料2として「遺伝子治療臨床研究の在り方の見直しについて」という背景、あるいはアメリカの現状をまとめたもの、資料3として論点を整理させていただいたもの、資料4として「遺伝子治療臨床研究の実施計画審査の流れ(イメージ)」と書いたもの、資料5がNIHのガイドラインの抜粋、参考資料1が旧厚生省の指針、参考資料2が、旧文部省のガイドライン、以上でございます。乱丁、落丁等ありましたらお申し出いただきますようお願いいたします。
【高久委員長】
この議題にありますように、遺伝子治療臨床研究の在り方についての検討ということでご審議をお願いしたいと思います。先ほど課長さんのごあいさつにもありましたように、これに関することについては、既に1回会合を持っています。ご出席の方の中で、多くの方がその会合にご出席いただいておりますが、その後の検討によって、きょうの会合に至った経緯を事務局のほうから説明していただけますか。
【中垣企画官】
それでは、資料の2と資料の4の左側をごらんいただきたいと存じます。
今、委員長のほうからご紹介がございましたとおり、昨年12月に一度ご議論を賜ったわけでございますけれども、その間にメンバーの変更もございますので、改めて背景等についてご説明申し上げます。まず、背景の(1)が厚生労働省、文部科学省の指針でございますけれども、資料の4の左側をごらんいただきますとおわかりいただけますように、それぞれの実施計画ごとに、実施施設の長から実施計画書を厚生労働大臣、文部科学大臣にそれぞれ出していただくこととなっております。もちろん、この提出に当たりましては、実施施設の中のIRB、審査委員会において分な審査をしていただいて、了承を得られた後、実施計画書が提出されるという形になっております。厚生労働省並びに文部科学省の中では、それぞれの実施計画ごとに厚生科学審議会、あるいは科学技術・学術審議会のご意見をいただくということとしております。その審議の中で、作業委員会とワーキンググループ、「WG」と書いてありますけれども、この科学的な審査を行うという点につきましては、両省庁で効率化をする、また整合性のある取組みをするという観点から、二重線を引っ張っておりますけれども、合同で会合を実施し、合同で審査をしていただいております。その結果をもって厚生科学審議会でございますと、科学技術部会で倫理的な面も含めて総合的なご審議をいただいておりますし、科学技術・学術審議会では、生命倫理・安全部会の遺伝子治療臨床研究専門委員会の中で同様のご審議をいただいておる。その手続を両者終わりますと、それぞれの大臣から実施施設の長に対して意見が正式に発出されるというような手続になっているところでございます。
資料の2の1の(1)のでございますけれども、薬事法の治験に該当するというものでございます。薬事法の治験に該当するというものというのは、通常は企業でございますけれども、企業が薬事法の承認、製造承認でございますとか、輸入承認でございますとか、その承認を得るために医療機関にお願いをして実施する研究でございますけれども、こういうものの場合には、別途、今ご説明をした指針、あるいはガイドラインに基づく審査のほか、別途、企業が今度は薬事法の規定に基づいて届出を出して、厚生労働大臣がそれを審査し、必要があれば意見を述べるという形になっております。
(2)でございますけれども、規制緩和推進3カ年計画というのが平成12年3月にございまして、その中で、ここに書いておりますとおり、「遺伝子治療等の新技術を、分な情報の下、自己責任で本人が治療方法として選択する場合、それを制限する合理的な事由は見あたらないことを踏まえ、新しい技術での治療を実質的に制限している状況を改善するよう検討する」というような項目が挙げられているわけでございます。
また、(3)でございますが、旧厚生科学審議会におきましては、ここの個別の事前審査において、ある程度普及したものについては審査準則を制定するとか、自主審査を充実するとかいうような方向性を検討したらどうだろうかというようなご意見をいただいているところでございます。
2番目の、これまでの検討というのは、先ほどから申し上げているとおり、12年の12月にご審議を一度賜ったところでございます。
アメリカの現状でございますけれども、アメリカにおいては、約400の遺伝子治療臨床研究が既に許可され、実施されておりまして、4,000例以上の患者に遺伝子治療が実施されておるというところであると聞いております。アメリカにおきます審査はどのような形になっているかということでございますけれども、国立健康研究所(NIH)と米国食品医薬品庁(FDA)の2つに分かれておるわけでございますが、NIHは、新規性、社会的重要性の高い研究計画のみに限り、遺伝子組換え諮問委員会、RACと通称呼ばれておりますけれども、ここで審査が行われておる。すなわち、NIHが新規性、社会的重要性の高いものを審査をするというものでございます。一方、FDAは、先ほど申し上げました治験、あるいは治験以外の臨床研究すべて届出を受けるというシステムになっているわけでございますけれども、臨床研究全般にわたって届出が義務づけられておって、その届出を審査をするというようなシステムになっているということです。すなわち、社会的重要性が高いものはNIHで、それ以外のものというのはFDAでチェックをするという形になっているということです。
*印で書いておりますのは、95年にNIHの方針が変わっておりますので、それをご紹介しているわけでありますけれども、従前、NIHのRACというのはすべての遺伝子治療臨床研究を審査をしてきたというところでございますが、95年に、当初心配されていたような予期できない副作用報告というのはない、あるいは、申請件数が大幅に増加しているというような理由から、新規性の高いものに限定をしたということでございます。
最後は今後の予定でございますけれども、事務局といたしましては、先ほど課長からご紹介させていただきましたとおり、できますればパブリック・コメントというような手続を経た後、今年度末を目途に指針の改正を行いたいと考えております。以上でございます。
【高久委員長】
どうもありがとうございました。今、資料の2についての説明がございましたが、どなたかご質問がおありでしょうか。
【木村委員】
どうもありがとうございました。ここに米国の現状というのが書いてございますが、一番最初に佐蜑ロ長が言われたように、我が国においても19例という、我が国の現状についての説明は一番最初にごあいさつの中であったんですけれども、例えば、北海道とか東大とか岡山とか自治医大とか、それぞれの病気の症状によって違う形のいろいろな遺伝子治療が行われてきたという報告を折に触れて見て、かつまた、それに伴う、関連するかどうかは別にしまして、患者が死亡したということについてはファックスをいただいたり、したわけです。そういうことをふまえて、これから、新しいステップに入るに当たって、日本での現状の総括みたいなのをやはりする必要があるんではないかという印象を持ったんです。米国の事例がはじめに出てきまして、確かに400例、日本19例は極めて少ないわけですが、これが北海道では一応うまくいったという話もあるわけでして、その他のところで日本ではどうなっているか、恐らく厚生省当局側ではその資料をお持ちかと思いますが、何か整理したようなものがございませんでしょうか。
【中垣企画官】
きょう、資料として用意させていただいておりませんので、口頭で簡単にご説明をし、また必要があれば次回にでも資料につけたいと思います。
平成6年の指針、あるいはガイドラインの制定以来、数個の研究計画、12だったか13だったか、正確な数字を覚えていませんが、数個の研究計画が申請されております。そのうち、取り下げられられましたのが1件ございまして、残りのものにつきましては、先ほどご説明しましたような両審議会の手続を経て、研究計画の一部を改正するであるとか、あるいは患者さんに対する説明文書、あるいは同意文書の内容を充実させていただくとかいう条件をした上で、実施して差し支えないというような厚生大臣、あるいは文部大臣の意見を回付したところでございます。その意見に基づきまして、各大学、あるいは研究機関において遺伝子治療の臨床研究が実施され、あわせて19例、現在までに計画が実施されたというところでございます。
それぞれの実施例につきましては、投与する前、あるいは投与した後にご報告いただいておりますし、患者が仮に死亡なさった際には、その原因でありますとか、遺伝子治療との関係でありますとか、ご報告いただき、それぞれの審議会、あるいは科学的な議論をしていただく作業委員会にご報告をし、ご討議を願ったりしてきたところでございますけれども、少なくとも遺伝子治療臨床研究の関与と申しますか、原因が遺伝子治療の臨床研究にあるというようなものというのは、国内では1例もまだ報告されていません。また、これまで行われました遺伝子治療の臨床研究、国内で行われておりますのは、主にphaseIと申し上げて、第一相の臨床試験、すなわち安全かどうかを見るという試験でございますから、そういう面で申し上げますと、有効性を客観的に評価できるような、例えば二重盲比較試験でありますとか、ランダム比較試験でありますとか、そういう手続がとられておりませんので、効いた、効かないという点について厳密な解釈をできるような状況ではないと存じておりますけれども、少なくとも安全にと申しますか、それが関与するような大きな副作用の事例というのは報告されておりません。というような状況です。以上です。
【木村委員】
アメリカでも今から3年前ですけれども、遺伝子治療の10年間ということで、一応、総括をしまして、必ずしもこれがいい成果を生み出す方向に行っているとは限らないという報告が出たわけですが、にもかかわらず、いろいろな形で研究が推進されてきたわけですが、一昨年もペンシルバニア大学での大変に不幸な事件があって、インフォームド・コンセントが分でないままに患者が死亡したということに関連して、ご遺族の方々が訴訟を起こすという遺伝子治療関係の大きな事件が新聞をにぎわして、これにつきましては把握していたと思いますが、そういうことから、アメリカでも極めて慎重な方向にもう一遍動き出しているという情報がこちらに来ておりますけれども、それに関連して、この背景のところの一番最初にご説明いただきましたの薬事医師法上の治験に該当する場合の企業等の治験の届出ということにつきましては、厚生労働省側は何か情報をお持ちでございましょうか。ここに、これは今後のことということで書いてあるんですか。それとも、現在、日本の企業でもそういうような遺伝子治療研究についての研究が進んでいて、それを厚生省側でも把握しているという意味ですか。ちょっと不明なんですが。
【中垣企画官】
まず、ペンシルバニア大学の事例でございますけれども、ご承知のとおり、報道された次の日には先生方にファックスをお送りし、その内容を精査した上で審査ワーキンググループ、あるいは厚生科学審議会の中でもご議論いただいて、アデノウイルスベクターを使っているものについては、特にその投与量の関係とか、より詳細なご議論を賜ったところでございます。
2番目の治験の問題でございますけれども、国内の制度としては、もう既に薬事法に基づく規定がございまして、遺伝子治療臨床研究にかかわらず、企業が承認申請をするために医療機関にお願いをして実施する試験すべてについて届出を出す。さらにその届出を審査した上で、改善をする点があると判断した場合には、厚生労働大臣が意見を言うというのが法的に規定されております。
遺伝子治療の臨床研究を個別具体的に申し上げますと、数件、全部で今までに実施されておるということを申し上げたわけでございますが、またあいまいなことを申し上げて恐縮なんですが、そのうちのたしか4、5件が治験にも該当すると。すなわち、先ほど申し上げました指針の手続に基づいて、医療機関のほうから厚生労働大臣、文部科学大臣に申請がなされると同時に、その医療機関に頼んだ企業のほうから、別途、厚生労働大臣に届出をされるという二重のシステムになっているということです。
【高久委員長】
今のは1件で、施設が4つだと思いました。
皆さんもおわかりになったと思いますので、次のほうの議論に進めさせていただきます。本日の論点として、資料の3と4が事務局のほうから出されています。これについて事務局のほうから説明していただけますか。
【中垣企画官】
それでは、資料の3と資料の4に基づきまして、論点をまとめてみましたのでご報告させていただいて、論議の材料になればと考えております。
この論点をまとめた背景といたしましては、昨年一度、先生方のご意見を聞かせていただいた。その議論を踏まえて、今回、このような形でまとめさせていただいたものでございます。
まず、基本的な考え方でございますけれども、(1)でございますが、新規性の有無によって国が個別審査をするのか、しないのか、そのようなことを判断したらどうだろうか。特に、共同の臨床研究というのがあるわけでございまして、全く同じ研究計画でA大学とB大学が実施される。そのA大学とB大学それぞれごとに審査をするというのは幾ら何でもというところがございますし、同じようなベクターを使って同じような病気に対して行うものについては、NIHと同じように少し簡素化というのが考えられるんではないかというのがまず(1)の考え方です。
(2)は先ほど木村委員からご紹介がありました、薬事法の治験との考え方でございますが、先ほどご紹介申し上げたとおり、従来の指針と薬事法の規定に基づきます治験の届出というのは重複しておるわけでございまして、法的な規定に基づく薬事法上の届出に該当するようなものというのは、薬事法上の対応に委ねるというのが1つの考え方としてあるのではなかろうかというものでございます。
(3)でございますけれども、インフォームド・コンセントの在り方などについてでございますけれども、そういう意味から申し上げますと、若干古うございますので、一番新しいヒトノゲム・遺伝子解析研究の指針、これを参考に再整備したらどうだろうか。
(4)が実施計画書の作成マニュアルを整備するなど、施設の負担の軽減を図るというような方策をとれないだろうかと。
(5)でございますけれども、これは事務局勝手にやれよと言われると甚だあれでございますけれども、先ほどご紹介したように、厚生労働省と文部科学省と事務が重複しておりまして、その重複を排除するような方策というのはとれないのだろうかということでございます。
具体的にどのような方策を考えられるかということでございますけれども、まず(1)でございますけれども、国の審査について迅速的な審査手法を導入できないか。いわゆるGCPでいうところの倫理審査委員会の迅速審査という手続がございますが、類型化されたものについては一部の委員が判断をし、その結果に基づいて、その可否を決定していくという手続でございますが、それと同じような手法をとれないだろうかという観点でございます。
で書いておりますのが、個々の実施計画、薬事法上の治験に該当するものは、先ほどの観点から除くという形で整理しておりますけれども、個々の実施計画について(ア)〜(エ)、すなわちベクターが新しいのかどうか、あるいは疾病が新しいのかどうか、遺伝子導入方法が新しいのかどうか、それ以外の重要な事項を含んでいるかどうかというような4つの観点から、3人程度の専門家の意見を踏まえて、新規性があるかどうか、個別審査をする必要があるかどうか、これを一定期間に判断をしていただくというような方策をとり得ないだろうか。
でございますが、新規性があるといわれたものについては、従来どおり本格的な審査に入る。
でございますけれども、新規性がないと判断されたものについては、速やかに国としての意見を回答するというような方策はとり得ないだろうかということでございます。
(2)がインフォームド・コンセントの在り方等に関する整備の問題でございますけれども、インフォームド・コンセントは原則文書というような規定を取り入れたらどうだろうか。また、各施設の審査委員会の委員の成について、複数の外部委員でございますとか、男女両性の規定でございますとか、そういう規定を入れたらどうだろうかというのが2番でございます。
3番目は、現在、重大事態、すなわち患者が死亡されたとかいうような重大事態については報告が義務化されているんでございますけれども、これ以外に因果関係の有無にかかわらず、実施に影響を及ぼす可性がある情報、これについて報告を義務づけるといった必要がないだろうか。現在、指針ではなくて通知によって、因果関係の有無にかかわらず報告してくださいということはお願いしておりまして、各施設、それに基づいて、死亡例等の報告というのはいただいているわけでございますが、これを指針に格上げするという必要がないだろうかということでございます。
はその他必要な整備の問題です。
(3)でございますけれども、作成マニュアルを整備をすると。具体的には、実施計画書等の提出資料、あるいはできますれば施設内審査委員会の審査準則等のマニュアルを整備したらどうだろうかということでございます。もちろん、施設内審査委員会の審査準則的な施設内での審査に影響を及ぼすものがつくるのがいいのかどうかという問題も、またあわせて考えなきゃいけないだろうと思いますけれども、一応、そういう形で問題を提起させていただいております。
(4)番が省庁間の事務の重複の問題でございます。
資料の4でございますけれども、これを図示したものが右の改正後のイメージでございまして、国に対して実施計画書をご提出いただく。その実施計画書について、数人程度の専門家で新規性と申しますか、個別審査の必要性をご判断いただく。新規性があるといわれたものについては、審議会で本格的なご議論をいただきますし、新規性がないとご判断をいただいたものについては、速やかに国の意見を回答していく。もちろん、新規性なしといわれたものについても、審議会に後日報告をするという手続というのは必要になるかと思いますけれども、このような判断の経過でどうだろうかと。また、薬事法上の治験との重複は廃止をするということで、薬事法上の治験に該当するものというのは、そもそも実施計画書の提出の範囲から除いたらどうだろうかということを考えているわけでございます。
なお、資料の5にNIHのガイドラインの抜粋をつけておりますけれども、新規性の判断基準として示しております資料の3の2の(1)のの(ア)〜(エ)でございますけれども、これはNIHのガイドラインの3ページ目、資料の5の3ページ目、このあたりが重要という手書きのメモが書かれているところですが、いろいろ至りませんで申しわけございません。ここのFactorsから始まるパラグラフがございますけれども、(i)番のnewvextors/newgenedeliverysystemsから、(iv)番目のotherissuesconsideredtorequirefurtherpublicdiscussionというところと整合した考え方でございます。以上でございます。
【高久委員長】
どうもありがとうございました。何かご質問、あるいはご意見おありでしょうか。
アメリカの場合には新規性というと明らかなのですが、日本の場合に、インターナショナルで新規なのか、日本で新規なのかということで分かれると思います。そこのところはどう考えたら良いのですか。中垣さん、この場合の新規というのはインターナショナルのことを考えているのですか。
【中垣企画官】
国内でのご議論というのをやっぱり賜らなければいけないと考えておりますので、そういうもので考えますと、国内でそういった事例があるのかないのかというのが判断基準になってくるんだろうと。
【高久委員長】
はい、わかりました。ほかにどなたかご質問、ご意見。
国内でということになると、比較的件数が少なくなりますね。それは迅速審査になる。
【中垣企画官】
一番端的な例は、先ほど委員長からもご指摘いただいた共同研究4件というのがありますけれども、まさしくこれは新規性がないという判断が下るでしょうし、あるいは、昨今の事例ですと、東北大学で組織改正に伴って申請者が変わるということもありました。ただ、今後の動向というのは、木村委員から先ほどご指摘いただいたように、アメリカのNIHがまとめた遺伝子治療の過去の成果、あまり大したことがなかったということがまとめられておったかと思うんですけれども、一方では遺伝子治療が大きな可性を持っているというのもまた事実だろうし、そういう現もまたあったかと思うんですけれども、そういう形で申請が続いてくるのであれば、そちらのほうが徐々に広がっていくということになっていくんだろうと思います。
【高久委員長】
ほかにどなたか。
【木村委員】
NIHのほうを見ますと、ニューベクターとかニュージーンデリバリーシステムと書いてありますが、例えば、アメリカ、ヨーロッパで使われているベクターで、日本では新しく使うというのは新規性のあるということになるんですか、それとも国際的に認められたベクターを日本で使う分については、それは……。
【高久委員長】
それは今の議論で、それは日本では新規になる。日本での新規ということを議題にということでしたよね、中垣さん。
【中垣企画官】
日本では全く新しい、それを日本で使う場合は、一々それを全部審査するということになります。
【高久委員長】
そういうことです。ですから、日本独特のものもそうですけれども、外国で既に使われているけれども、日本ではまだ使われていないものは審査するということがこの事務局の案です。
【鳥井委員】
国がこういうことについて責任を持つ基本的な要因というのは、いつも申し上げますけれども、社会的影響が大きい場合に国が責任を持たなくちゃいけないだろうと思うんです。遺伝子治療の場合、この前も議論させていただいたんですけど、社会的大きいケースってあまり考えにくい面もあるんですけれども、例えば、集団投与とか、そんなことはしばらく起こらないと思いますけど、何らかの格好で社会的影響が著しく大きいと思われるものについては個別審査をするという、何が大きいかというのは、どういうケースがあるのかというのは言えと言われても言いにくいところがあるんですけど、そこは1項目入れておいたほうがいいような気がするという点が1点です。
もう1点ですが、これからこういうのが進んでいったときに、どういう形で何が行われたのかということで、いわゆる後になってからの過去をトレースするトレーサビリティーというのをいかに確保していくかということが、規制緩和の裏側にある要件だろうという感じがするわけで、トレーサビリティーの確保ということを視点としてきちんと入れておく必要がある。以上の2点であります。
【高久委員長】
後者に関しましては、今までも遺伝子治療の委員会でゴー・サイン出したものについては定期的に報告を受けてきたというふうに理解をしています。そうですね。
【中垣企画官】
報告を受けるだけではなくて……。
【高久委員長】
オープンにする……。
【中垣企画官】
オープンにするということに加え、それをきちんと保管しているということが極めて大事だということです。
【高久委員長】
ほかにどなたか。
【豊島委員】
先ほどのご議論にありました、一般の薬事審議会のほうにされる分については、当然、対象となる治験にあるところはGCP対象になるわけですよね。そうしたら、今、おっしゃったようなことは全部そこに含まれるということになると思いますし、それから、今の新規性が日本でか、外国でかというのも、もし、薬事審議会の中に遺伝子に関する専門委員会みたいなものが置かれれば、国際的に新規でないものはそこで文献その他に関してきちんとご議論いただければ大丈夫だというふうに思うんですが、もちろん、疾患対処が新しいという場合はちょっと別になると思いますが、いかがでしょうか。
【中垣企画官】
薬事法上の手続につきましては、薬事食品衛生審議会というのがございまして、その中に専門家から成る委員会というのが、この遺伝子、あるいは遺伝子組換えのために設けられておりまして、そこでご議論賜っているというふうに聞いております。
【高久委員長】
ほかに。この中で、基本的な考え方、資料3の1の(5)については、遺伝子治療のガイドラインができたとき、それから審査が始まった当初から関係者が希望していたことですから、ぜひ、この(5)に関しては、事務の重複を排除していただきたい。既に先ほど説明がありましたように、作業委員会は合同でやっていますけれども、できればファイナルの審査に関しても一本化していただければと。これにはご異存がないと思います。
ほかにどなたか。
【吉倉委員】
このアメリカのこれ、全部読んでいないんですけれども、ちょっと読むと、やはり除外対象として、ヒューマンヘルスは当然ですが、エンバイロメントというのも入っているところは、見直しの論点の中で、少し考えたほうがいいんではないかという具合に私は思います。というのは、ウイルスベクターの場合、ベクター自身が欠損性でも、環境中にあるウイルスによる相補がある場合、治療対象の患者さんの隔離とまではいきませんが、アイソレーションをお願いしたような経過があると思います。そういうことで、ここにあることで(ア)(イ)(ウ)(エ)というのは確かに1つの項目で出ているけど、環境影響といいますか、社会的な影響ということでいえば、やはりアメリカのこの辺の最初の五、六行の内容は注意してとり入れていくべきではないかという具合に私は思います。以上です。
【豊島委員】
先ほどおっしゃった中で、今のとは少し違うんですが、5番で事務の重複を排除する方法というところがありましたけれども、それに関しては、文部科学省側のは、届出義務というのでいいんじゃないかなという気がするんですが。条件として厚生労働省の審議をパスすることという条件で届出義務ということでクリアできるんじゃないかという気がするんですが。
【小澤委員】
これまでのお話のように、日本ではやはり新規性がないものというのはかなり少ないんじゃないかなと思うんですけれども、ただ、従来と同じようなもので、ほとんど新規性がないからといって、何でもやみくもに通していいかというのはまた問題になるかと思います。そういったところをどうやって評価していくかというのも少し考えていかないといけないと思います。ある段階でほんとうに臨床研究の意味があったかどうかを評価して、同じようなものを繰り返しあちこちでやっていくというのは避けなければいけないとは思います。
【高久委員長】
そうですね。おっしゃるとおりだと思います。ご存じのように肺がんのp53のとき使っている治療ですね。あれは2番目の施設からは新規性がないということで新規性の判断は、先ほどの提案では、3人ぐらいの専門家がするということになると思います。たしかに小澤委員がおっしゃったように、ある程度効果を見て、それからだめなものはもうやめる。これも専門家の判断ということでよろしいのではないでしょうか。
ほかにどなたか。どうぞ。
【吉田委員】
(3)の件です。施設内の審査委員会の件ですが、現在、おそらく各施設内で施設内の遺伝子治療審査マニュアルはばらばらだと思います。これから各施設で遺伝子治療臨床研究を計画する場合マニュアルが統一されていたほうがやりやすいと思います。現在どうやって中央の審査委員会に申請を上げていくかというのもわからない部分があると思います。そういう点も含めて施設内でのマニュアルを整備されたほうがよろしいんでないかと思います。特に、施設内でベクターをつくるようなこともこれからふえてくるんじゃないかと思うんですが、その点も考慮に入れて、施設内での審査基準というか、マニュアルを整備したほうがよろしいかと思います。
【高久委員長】
おっしゃるとおりだと思います。どうもありがとうございました。
ほかにどなたか。
【木村委員】
一番最初にも中垣企画官からも説明がありましたように、これは通知であって指針ではないということなんですが、参考資料の1と2を見ますと、片方のほうは厚生省の告示第23号、文部省のほうも告示になっています。両方とも告示で、しかも片方の厚生省のほうは指針とやってありまして、文部省のほうはガイドラインとなっているわけで、法律の性格上は、通知というより告示という形をとっているという点で、私は通知とは違うんではないかと思ったんですが、この点に関連して、これは先ほど委員長が事務方の重複を排除する方策ということが最初から期待の中にあったということでございましたけれども、このガイドラインと指針とを1つにまとめて、ヒトゲノム解析でやりましたように、1つのものにするという方向性はこれからあるんでしょうか。こういうところでそれを審議してやっていいんでしょうか。私どもは、やはり各省庁の縦割りがなるたけ1つになるように、2つにばらばらにならないように、人間的にもヒューマンリソースが1つであったほうが望ましいと思うので、1つにしたガイドラインなり指針なりという方向性でいくということができれば大変いいと思うんですが、その点も含めて、告示、通知、ガイドライン、指針についてお伺いしたいんですけれども。
【中垣企画官】
木村委員からも豊島委員からも高久委員からもご指摘いただいておるわけでございまして、恐らくお考えとしては二省の事務の重複を排除する方策はないかというようなことではなくて、こうしますというのを持ってこいよということなんだろうというふうに考えております。次回、あるいは次々回には文部科学省とよく協議をさせていただいて、答えをお示しさせていただきたいと思っております。
なお、通知なり、指針なり、あるいはガイドラインなり、告示なりという形式の問題がございますが、1点誤解を与えたようでございますので、謝りながら訂正させていただきますけれども、厚生省の平成6年というのは確かに指針という言葉を使い、同じ年にできました文部省のものはガイドラインという言葉を使っております。指針とガイドラインにそういう意味で文言的に違いはないんだろうと考えておりますが、旧厚生省、今でもそうだと思いますけれども、当時の大臣のご指示もあって、片仮名は使わない、美しい日本語を使うという方針でやっておりましたので、それから出てきたのだろうと考えております。
先ほど通知と申し上げましたのは、資料の3の(2)でございまして、「重大事態に加え」のところでございまして、重大事態については報告書というのは、この指針なりガイドラインでもう既に規定しております。ただ、その後の問題、特にペンシルバニア大のようなことを考えますと、因果関係を一義的に施設に判断させるのではなくて、施設では因果関係あるないにかかわらず報告してこいということを通知をしたということを申し上げておりまして、その通知を告示に、いうなれば格上げするというのはいかがでございましょうかということをご提案しておるということです。
【高久委員長】
わかりました。
【寺田委員】
先ほど言われたことのちょっと繰り返しになりますかもわかりませんけど、薬事法上の対応でいいかという(2)のところでございますけれども、先ほど事務局のほうから説明がありました、薬事食品衛生審議会ですか、そこでやっているという審議内容に関しましては、やはり先ほどいろいろ話が出ました環境への影響とか、フォローアップをきちんとやるとか、そういうこともそちらで、普通の薬とは違う扱いで審議をされているんでしょうか。
【中垣企画官】
詳しい点についてはちょっと資料を持っておりませんので、必要でございましたら、次回ご報告させていただきたいと思います。
【寺田委員】
こちらと同じような基準でやってくれるんだったら、私は外すというのは賛成ですけれども、そこのところはちゃんと担保されることが必要かなと思います。
【中垣企画官】
事務的に申しますと、実際上の審査をどうするのかという問題と、法的な観点から見たときの規定がどちらが強いのか、弱いのかという問題があるんだろうと思うんですけれども、片一方は薬事法という法律に基づく届出でございますから、不備があれば、厚生大臣は大臣命令として指示ができる。こちらのほうは、現状では法律までいかなくてよろしいんじゃないかと考えておりますし、そういう意味で申し上げますと、あくまで指針という形での整理でございますから、法的なバックグラウンドを持つほうは、そちらを優先したらどうかということでございまして、ただ、審査の中身、実体問題として、寺田委員のご指摘というのは答えなきゃいかんと思っておりますが、また資料を整理させていただきたいと思います。
【寺田委員】
アメリカのFDAとかRACがありましたけれども、向こうは4,000例もやっているんですね。情報量はたくさんあるわけです。ちなみに、今、参考にするといたしますと、イギリスとかフランスはどういうふうな形式をとっているのか、次回でも教えていただければありがたいと思います。
【高久委員長】
私の知っている限りでは、ヨーロッパはほとんどIRBで済ませている。アメリカは最初だったものですから、それでRACでやったと。日本はそれにフォローした。
【澁谷委員】
基本的にこういう形で全体の流れをスムーズにするということは結だと思うんですが、先ほどもお話に出ていましたように、今までの日本の実施例について、その結果と、それをしたグループがどう判断したかというところを含めて、一度まとめた格好のディスカッションがあってもいいんではないかなと思います。といいますのは、やはりほとんどphaseIですと、効果ということはあまりまだ期待していないわけですから、副作用がなければ次の段階に進んでもいいという話もあるわけです。そういう将来のことも含めて、現状がどうであるかということをある程度は把握してからのほうがいいかなと思います。
【高久委員長】
簡単な資料があれば、次回の前にでも報告していただければ、次回のときに議論しやすいと思います。そんなにたくさんの資料ではないので。
【中垣企画官】
わかりました。
【垣生委員】
私、前回というか、今までの経緯もあまりよく知らないんですけれども、今回の見直しについては省庁が再編成されたということが主な原因なんで、ここに書いてあるのを見ますと、それからもう一つは、資料の2のほうの2番目のいろいろな規制緩和の問題、この2つが主な原因なんでしょうか。この見直しに、もう1回やりましょうというきっかけでございますが。
【中垣企画官】
そのとおりでございます。
【垣生委員】
今、澁谷先生がご指摘になりましたようなことも、その1つかなと今思って、これからの展開の方向の資料というか、参考に大事なことなんではないかと思います。
それから、もう一つ伺いたいのは、規制緩和の資料2のほうのところの(2)のところでございますけれども、遺伝子治療の新技術を分な情報のもと、自己責任で本人がその治療法として選択する場合というのがございまして、これに対する新たな資料3のほうの、これを検討するというふうにございますけれども、それはインフォームド・コンセントの在り方というところで考えればよろしいんでしょうか。資料の3のところの(2)のインフォームド・コンセントの在り方について整理するというところがございますけれども、これは一般的なインフォームド・コンセントの資料のつくり方であって、治療を受ける人にぜひやりたいという強い意思があった場合のことが、資料2の(2)のお話かと思うんですけれども、そういうことを加味して、もう1回インフォームド・コンセントをつくり直すというい意味なのか、それとも一般的なものをつくるというだけのが資料3で、今度新しく出たものかということについてお伺いしたいと思います。
【中垣企画官】
この資料の2の規制緩和のところの解釈の問題だろうというふうに考えるわけでございますが、この読み方といたしまして、1つ重要なことは、まず、先生ご指摘のとおり、本人が分な情報を得るというのが1つ。それと、2番目には、新しい技術での治療を実質的に制限している状況、これを改善をするというもの、この2つがあるんだろうというふうに考えておりまして、この実質的に制限している状況というのがどういうことなんだろうということを考えますと、ある面で申し上げますと、IRBでの審査であるとか、あるいは国での審査であるとか、本人が選択しているのであれば、もうやってもらえばいいではないかという考え方も一方ではあるんだと思いますし、もう一方では、時間を要している。実質的に制限しているという意味は時間がかかっているということで置きかえられる概念じゃないかと思いますし、そういう意味で申し上げますと、IRBの審査であるとか、国による審査であるとか、ここを効率化を図るというようなこともあるんだろうと考えているわけでございまして、今回の資料の3というのは、昨年のご議論も踏まえて、効率化を図るのが1つ。それと2番目には分な情報が正確に行くということを指針上明確にしようという、この2つで、これに対応しようとしておるものでございます。
【吉倉委員】
その後、もう少しこのアメリカのガイドラインを読んだんですが、この中で、アペンディックスのL、GeneTherapyPolicyConference(GTPC)というのがここに出ていますけれども、これはやはり規制緩和と同時に新しい技術の導入の際、非常に重要なことになっていると思うんです。規制緩和その他はいんですが、消費者のいろいろな意見、不安、そういうものに対応するということが今後重要になってくると思います。これに対応するものとして、確かにここの委員会もいろいろなバックグラウンドの人がいらして、それに近いものと言えなくもないけれども、それでよろしいのか。米国では、レギュラーにGTPCというのをやるというふうな提案になっているわけですけれども、そこら辺の考え方をどういう具合に考えていけばいいのか。こういう審議会だけでよろしいのか。あるいは、パブリック・コメントを求めるような、いわゆるコンセンサス会議、そういうのが必要なのか、ちょっとコメントいただければと思います。
【高久委員長】
これはどうですかね。
【中垣企画官】
事務局といたしましては、このような形でパブリックに開かれた形で会議をやっているというのもその1つだと思います。案をつくった上でパブリック・コメントをやるというのも、その手続の1つだろうと考えていますし、また、定期的な形ではありませんが、お申し出された方々とは我々、いつもお会いしているわけでございますし、それを確固とした1つのレギュラーな形と申しますか、定型的な形にしたほうがいいのかというのは、いろいろご議論があるところだろうと考えております。
また、患者個人からも、早くしてくれというようなご意見もご要望もたくさん承っておりますし、一方では、例えば、木村委員からご指摘のあった、ペンシルバニア大学の事例なんかを引いて、もっと厳しくしろというような団体からのご意見みたいなものも当然お聞きしております。それらの方々、いろいろな右から左からご意見があるんだろうと思いますけれども、この委員会の中でご審議を願い、総体的なご意見をパブリック・コメントとして受けたいと考えております。
【豊島委員】
先ほどの垣生先生のご質問に出てきた中で、あまり今まで触れられていなかったのは、やはりこの遺伝子治療というのが、今はだめだけれども、将来は非常に期待されているということが根底にあると思うんです。それで、今だめだというのは、やり方がまだ分検討されていない、まだだめなところがたくさんあるから今は効いていない。だけど、将来は理屈の上では効いて不思議のないものだという前提があるので、そこのところをうまくやられて、きれいにこれから発展するようにということが一番根底にあって、その上での今の議論だと思うんです。だから、そのことをやはり無視はできないんじゃないかと。それから、現在効いていないということは、逆のほうの無視してはいけない1つの大きなミッションだと思います。
そういう意味では、むしろ、多分、この委員会が負うべき一つの任務じゃないかと思うんですが、この委員会は現状を分析して、パブリックに対してきちんとそれをどういう状況であって、これからどういう方向に行くべきかということを、できることならステートメント、あるいはどこかでシンポジウム的なもの、一般の人向けをやっていくという義務を負うのが当然じゃないかなという気がします。
それから、もう一つ、先ほどから議論の中で少し気になったのは、私はむしろどこかの会社がベクターを申請してきて、それを薬事審議会にかけられるほうはいいと思うんですが、そうじゃなくて、大学でつくられる、さっき吉田先生がおっしゃったような分に関しては、感染性のない部分は比較的まだいいと思うんですが、そうじゃなくて、一応、感染性のあるものから由来したベクターなどに関しては、少し既知のものであっても、何らかの規制をどこかでやらなきゃいけないんじゃないか。あるいは、マニュアルを非常にきちんとつくってある。それを完全にフォローしているということが証明されるとか、そういうことが要るんで、基本的には薬事審議会を通ったものはGLPの通ったところでつくるというのが前提になっていると思いますが、大学はそれが前提になっていないということが、この際、ほかの薬とは違った1つの別の問題として出てくる可性があるというふうに私は思っています。
【小澤委員】
いろいろ簡略化していくというのは大賛成なんですが、どこかに「ある程度普及した」という文言があったんですけれども、若干誤解を招きかねない現であって、やはり遺伝子治療はまだ実験的医療であるというところからは、ずれていかないほうがいいかなと思います。
それから、簡略化との関係で些細な話ですが、お送りいただく資料が以前のように段ボール箱で送られてくるということはなくなって大分少なくなっているんですけれども、やはりあまり膨大な資料ですと、ちょとしり込みするところがあります。生のデータのようなものはできるだけ事務局のほうでチェックしていただいて、細かいものはリクエストに応じて送ってもらうほうがありがたいかなと思います。
【高久委員長】
資料3の後ろのほうに書いていますが、実施計画書の作成マニュアルをつくると、もう少し簡単な申請書が出てくると思います。
【鳥井委員】
今、先生方がおっしゃったことに関連してなんですけれども、この遺伝子治療というのは完全に発展していくという視点はとても大事なことだと思うんですけれども、それと個別の事例についてイエスorノーということは全く別のことだろうと思うんです。個別のことについてイエスorノーを皆言えるというのは、やっぱり最初に申し上げたとおり、パブリックに対するインパクトがどうかということに尽きる話でありまして、本人がリスクを負って何かして、周りに影響を与えないんなら、それは国がそこへかかわる必要も全くないことなんで、そこはよく考えて、この規制等の体系をつくらないとうまくないというんで、規制緩和委員会の言っていることは私は正しいと思うわけであります。
それとあわせて、遺伝子治療というのは今こういう状況だから、もうちょっとこういうふうにやりましょうとか、もうちょっと研究を進めましょうとか、いや、こういうのはやめましょうとかいうのは、ここの仕事という感じがするわけであります。それが第1点であります。
第2点は、総合科学技術会議も生命倫理の何かを持っていますよね。下手するとこの問題を扱いかねない可性がないわけではない。マクロの問題としては扱う可性があるわけです。それから、あと、科学技術・学術審議会と厚生科学審議会というのがあるわけですが、そこの役割をどう整理していくのかというのは1回ちゃんと考えておかないと、重複の問題云々するというときに、根本が整理されていないとちょっと考えにくいという点があると思います。
3番目ですが、文部省の旧学術審議会と、私はそっちから出てきているわけですが、これ、なぜこの問題についてかかわらなくちゃいけなかったんですか。大学だからということ、大学のことは何でもかかわらなくちゃいけないということですか。
【郡室長補佐】
実施主体が大学が中心になるということも当然背景にあったかと思いますけれども、むしろ、遺伝子治療という、その臨床研究というものを科学的妥当性、科学的な側面からの水準の確保がされているかどうかといったような観点からのチェックが必要であるということで、当時、この指針をつくってきたという経緯があると。その辺、る程度、科学的水準で、非常にその仕分けが難しいかもしれないんですけれども、2つのアプローチがあるということで、文部省のほうも関与していく必要がありという判断のもとに作成されたというふうに理解しておりますが。
【鳥井委員】
科学的な研究という意味で関与するというのはよくわかるんですけれども、それは個別の話じゃないですよね。本来は。個別のこの実験をするべきかしないべきかという話じゃなくて、こういう結果として、ここは科学として非常に進行するべきですねとか、そういう話ですよね、ほんとうは。よく考えてみると、個別の審査というのは、どうも学術とは関係ないんじゃないか。学術をもとにして個別の審査をするわけでしょう。
【高久委員長】
文部科学省を応援するというわけではないのですが、ほとんどの遺伝子治療は大学病院で行われています。先ほど話がありましたように、ペンシルバニア大学のような事故があったときに、文部科学省が認可をしたことの責任を問われるという意味では、やむを得なかったと思います。従来の体制からいうと、文部省の委員会で許可を出す必要があったと思います。これが合同になれば別ですけれども、今まではですね。
【鳥井委員】
大学で起こったこと、起こることは全部文部科学省が責任を取るんですか。つまり、そこはちょっと、せっかくこういう省庁再編のチャンスですから、少しちゃんと考えないといけないのかもしれないですよね。いろいろな事象が文部科学省と絡んで、同時に厚生労働省と絡んでいることもあるでしょうし、そこは文部科学省というのは大学というものについてマクロに面倒を見るところだとして、個別の事柄については「餅は餅屋」という考え方って、これはここでそのことを決められるわけじゃないんですけど、重複を避けるという話だと、小手先をやるよりも、そういうことの抜本的な議論をしたほうがいいんじゃないかという気もしないでもないという感じがあるんですよね。
【郡室長補佐】
今、高久先生からご説明いただいた件、それから鳥井先生お聞きの件含めまして、もちろん重複を避けるということに関しましては、なぜ我々がそれに関与していくのか、あるいは手続、個別の件を審査する必要があるのかといったことを、やはり今の段階の現状を踏まえて精査しまして、それで役割は何かということを再度整理した上で体制を考えるということだと思いますので、今のところ、ちょっとまだお示しすることはできないんですが、そのあたりは、実質的な役割は何かということをもう一度精査したいと考えております。
【木村委員】
やはり、文部科学省なり文部教官なり、あるいは研究の資金なり、国民が拠出している税金の使用によるものが極めて多いということで、極めて多いというか、ほとんどそういうわけですけれども、その点に関しましては、やはり大学等における遺伝子治療臨床研究に関するガイドラインというところで恐らく相当審議されて、参考資料の2を見ますと、目的のところにも研究の科学的妥当性、倫理性の確保、その適切な実施、特に大学等におけるということで限定されながら、大変にこれは練れた文章ができていて、そして研究者とか実施施設とか大学についても、一々規定を置いているわけなんです。恐らくこれが統一されてくると、いろいろなところで修正が必要に当然なるわけですが、基本的にはやはり生命を脅かすか、生活の質を著しく損なう難疾患であるということを含めて、いろいろな具体的な、今、ご発言があった事項につきましては、厚生労働省は厚生労働省なりに、文部科学省は文部科学省なりに、極めて具体的なケースに即した、しかも日本における科学研究の推進の科学的妥当性と倫理性を保証するガイドラインと指針をつくっていくと。現在もこれが生きているわけですので、そこら辺のその中で、例えば、「文書または口頭により」というふうに書いてあることがいいのかどうか。自由意思による同意を得る。そういう場合に、口頭の場合には記録を残すとか、いろいろなことが書いてあって、その他の治験を受けている被験者の人権の保護、例えば特定の疾患の患者が特定されないような情報のいわば守秘義務があるとかというようなことを含めて、いろいろ新しい側面が、この間の肺がん治療につきましても、いろいろな情報が極めて大きくずれてきたことがあるわけですので、そういう点も踏まえて新しい状況が必要になるということで、これはやはり具体的な事例ではあるんだけれども、基本的には文部科学省なり厚生労働省なりが、今までの指針に沿ったという点からは、極めて妥当な方向で研究を行ってきているというふうに私は理解していますけれども。
【高久委員長】
どうもありがとうございます。この資料3にありますように、インフォームド・コンセントの在り方等については、ヒトゲノム・遺伝子解析研究の共通指針を参考に整備する必要があるのではないかと述べられていますので、指針、あるいはガイドラインに関しても、統一された指針をつくる必要があるのでしょうね。そういうふうになるのではないかと思います。
ほかにどなたか。
もうご存じの方もいらっしゃると思いますが、遺伝子治療もそんなに悲観的なものではなくて、少なくとも血友病に関しては、遺伝子治療だけでかなり改善をしたという報告が今月の『NewEnglandJournalofMedicine』にも載っておりましたし、先天性の免疫不全症でも、フランスのグループが遺伝子治療でかなりよくなったということを報告していまして、だんだん、遺伝子治療だけでもよくなる疾患が出てくる可性は非常に高いと思います。有効性がほんとうに明らかな場合には、この資料の2にありますような規制緩和の方向に進んでいく必要があると考えています。
ほかにどなたか。
【木村委員】
アメリカでもRAC、その他の会議に、私、20年近くアメリカにいたわけですが、全国公開でやっておりまして、その当時、日本では公開でなかったのが、このようにいろいろな時代的な変化を踏まえて、公開でやるようになってきているというのは、極めて大きい変化だと思うんです。しかも、その当時は印刷物が出てくるまでに時間がかかりましたが、今はインターネットでも、本日の議事の内容も含めて全部それが公開されるということで、やはりこういうことが行われているという事実、例えば、きょうも部外の傍聴の方もいらっしゃるわけですが、これがやはり大きい形で広がっていくというような情報をインターネットのみならず、ほかのニュースメディアにも流して、コンセンサス会議につながるような、こういう公開制の審議が行われているということの情報自体も広く大きく知らせる義務があるし、そこに参加を求めるという責任があるのではないかと思いますが、その点、ぜひ事務当局としてもご配慮いただければというふうに考えます。
【高久委員長】
どうもありがとうございました。ほかにどなたかご意見おありでしょうか。
この資料3の見直しの論点に関しまして、基本的にはご賛同いただけると考えます。そうすると、次回あるいは次々回ぐらいにの案の様なものをつくってご議論をいただくということになります。そういうことで、今のところ7月の終わり、あるいは8月の初めか半ばぐらいにこの会を開きたいと考えております。その際にはもう少し具体的な案を事務局のほうでまとめていただいてと考えています。その際に、ぜひ、何か注意をしておく、あるいは言っておきたいということがありましたら、どうぞ。
きょうの議題の中につけ足しではあると思いますが、名古屋大学の変更の報告については郡さんから説明していただきます。
【郡室長補佐】
恐れ入ります。本会議は、文部科学省の科学技術・学術審議会の遺伝子治療臨床研究専門委員会を兼ねているということでございますので、この場をお借りしまして1点だけ報告をさせていただきたいと思います。
名古屋大学医学部附属病院のほうから提出されています悪性グリオーマの実験計画について、一部変更の報告が出てございました。その件につきまして、それは昨年10月にできてきたわけなんでございますが、若干内容にもかかわっているということがございましたので、昨年10月と本年の5月に2回、ワーキンググループを開催し、その内容をご紹介いただいたと。その結果、変更内容につきましては3点ほどございまして、製剤剤型の変更、液剤から凍結剤または凍結乾燥製剤に変える、それから、投与量、投与回数につきまして、定位の手術による投与方法は1回15マイクログラムDNAを週2回で合計5回というところを、1回30マイクログラムDNAを週1回で合計3回行うという形。それから、追加療法についても、追加投与に関しての記載がなかったものを追加するという形の内容につきまして特段の差し支えはないといって、凍結乾燥製剤の安定性確認につきましては、後日報告いただければという点を委員会のほうからご意見があったということでございまして、この変更内容について名古屋大学のほうでは計画を進行されるということになってございます。以上、報告させていただきます。
【高久委員長】
せっかく吉田委員がご出席ですし、先ほどからも、今までの日本での遺伝子治療はどうなっているかという議論がありましたので、先生のところの少し経過をご報告いただけますか。
【吉田委員】
昨年4月に名古屋大学で脳腫瘍に対する遺伝子治療を行いました。対象の悪性グリオーマは非常に予後が悪い疾患で、しかも再発例となりますと、確立された治療法がないのが現状です。そうした患者さんを対象に臨床を行いました。ただ、今回用いた遺伝子治療用ベクターは、先ほど豊島先生からお話しがありましたように、感染性のないリポソームDNAというものを使い安全性には問題はないけれども、残念ながら、その時使用した製剤は液剤でありまして、安定性に問題があります。保存が1カ月ぐらいしかもたないため再治療が出来ず、残念ながら再増殖で第1例目は亡くなりました。そこで必要に応じた追加治療とか、あるいは患者さんが発生した時点ですぐに治療を開始することを可にするため、その後、製剤を改良しました。遺伝子治療薬の凍結乾燥化です。この場合には半年なり1年は十分保存可ということがわかりました。今回製剤の変更を加えて、プロトコールの変更をさせていただきました。
【高久委員長】
どうもありがとうございました。まだ少し時間がありますが、どなたかご意見があればどうぞ。
【豊島委員】
今の話にも多少は関連するかと思うんですが、それから、先ほどの初めのペンシルバニア大学の問題に関連するかと思うんですが、治験のときにphaseIでテストするのは、従来は必ずどこまで行けば毒性があるかということをテストするのが本来の治験だったわけです。これを遺伝子治療に関してはどう考えるかと。これから先も限りなくふやすということは、ちょっと合理性に欠けると思うんです。その辺をどう考えるかということが1つの問題。
それからもう一つの問題は、今のお話にもありました。それから、先ほど高久先生のおっしゃったスキッドとかの問題にもありましたけれども、これは合理的に考えると、発現がきちんと保てれば有効なわけですよね。これをランダマイズコントロールトライアルするのは、phaseII以降の問題ですけれども、非常に問題がある。これをどう考えるかというのもこれからの問題として、やはり議論していかなければいけない中に入るんじゃないかと私は思いますけれども。
【高久委員長】
そうですね。ほかにどなたか。
最後の点ですが、これからだんだんランダマイズド試験が難しくなってくるのではないかと思います。これは必ずしも遺伝子に限らないことなのですが。クリニカルトライアルの中で、プラセボとかランダマイズというのが受け入れられなくなってきていると理解しています。
ほかにどなたか。
【木村委員】
厚生省関係の審議会とか分科会とか専門会議とかで、従来、その疾患に直接関係ある方々、障害の方々などをお招きして、直接、染色医療とか、そういう関連でお話をお伺いしたこともあったわけでございますけれども、何かそういう、通常の委員会の中に組み入れてもいいですし、そうでなくても、何かそういうほんとうに参加している方々が何らかの意味で発言をしたいという方々の希望を入れるような、そういう発言できるような環境づくりといいますか、そういうことも含めたセッションを1回ぐらい、ほんとうはもっといっぱいあってもいいと思うんですが、少なくとも数回、1回以上やるというようなことも、新しい時代の中で、私たちが省庁再編も踏まえ、国民のいろいろな意見を反映させるような新しい科学技術の理にかなった展開を推進していくために、どうしてもそういうことが必要になると思うんです。そういうことも踏まえた可性があるのかどうかということにつきまして、私は提案したいんですけれども、ご検討いただいて、委員長と事務当局との話し合い、あるいは我々の間で、そういうことを踏まえた、何か特別のオープンなセッションをつくるということもご検討いただければというふうに願っております。
【高久委員長】
今、木村委員がおっしゃったのは、遺伝子治療臨床研究の在り方の見直しのときに、そういう人たちの意見を聞くということですか。
【木村委員】
ええ。
【高久委員長】
そうすると、対象というとどういう人になりますか。
【木村委員】
アメリカなんかですと、生殖医療だったら、それで実際にお子さんをお産みになったお母さんとか何とかが出かけてきたり、あるいは高校生とか、そういう人たちも議会に出かけてきて証言したりとか、いろいろなことがあったわけですが、実際にそれを担当なさった医師の方とか、あるいは患者さんのご家族の方とかで、お話ししたいという、そういうことを表明したいと、知られたくないという人も中にはいますけれども、そういうことに関連して参加されて、お亡くなりにはなったけれども、ご家族の方でそういうことについてご発言したいという方がいるかもしれませんので、そういう点を含めまして、可能性をぜひご検討いただければと思います。
何か、私が聞きましたところによりますと、東京大学の医科研で、何か大きいニュースになりますと、大変に多く、あのときには谷憲三朗先生のご発言にあったんですが、日本全国から私を対象にして組み入れてくれないかという希望も意外に多いということでございますので、それをとりさばくのが大変だと。谷先生じゃなかったかもしれませんけれども、地域によっては患者側のニーズも極めて大きい。それにこたえるような体制ができていないということは非常に残念だということを言われた、たしかご参考等ご意見を述べられたこともあったと思いますので、そういうニーズも極めて多いということを踏まえますと、やはりこれはセッションとしてはそういうことをやっておくというのは、この次のステップに極めて重要になると思いますけれども。
【高久委員長】
わかりました。
【中垣企画官】
木村委員のご指摘のとおり、谷先生の例を引くまでもなく、恐らく吉田先生のところもそうだと思いますけれども、個別具体的な事例になると、マスコミの報道を通じて、今、床に伏せっておられる患者さんのご家族の方々が、電話なり、あるいは面会が集中するということは我々もよく聞いております。それだけ期待が強いのだろうと思いますけれども。
一般的なこういう議論をするときに、今回の事例というのは、ターゲットポピュレーションというのか、かなりつかみにくいところがあるなと。先生もご存じだと思いますけれども、肝炎の在り方を検討したときには肝炎の患者の会というのがターゲットポピュレーションになりますからつかみやすいんですけれども、がんであるとか、血友病であるとか、あるいはエイズであるとか、あるいはこの間やりましたバージャー病であるとか、遺伝子治療という1つのテクニックでございますので、ちょっとつかみにくいかなと。それが先ほど、委員長の「だれを呼ぶんでしょうか」というところにあると思いますけれども、また委員長とご相談をして、最終的な取り扱いというのはやりたいと思いますけれども、直感的に申し上げますとそういうことです。
【木村委員】
確かにおっしゃるとおりなんですが、厚生労働省、前からの厚生省の先端科学医療技術の在り方そのもの、遺伝子治療もそれに含めて、に対して、非常にいろいろな側面から、人権とか治療の先進性とかいう側面から危機感を抱いている方々も結構一般にはいらっしゃるわけで、この問題点について相当長いスパンで、10年以上にわたって、非常にクリティカルないろいろなものを書いていらっしゃる方とか、研究会とかグラスルーツのグループもいろいろあるわけですので、情報の流し方によっては、やはりこれはそういう人たちに積極的に発言していただく機会をつくれるんではないか。そういう人たちが来る機会が持てることになるんではないか。そういうことが極めて新しい時代に必要になってきていると思いますので、その点、ぜひ。例えば、今までいろいろな形で、コンピューターのデータには、どういうところからどういう方々が、それぞれのテーマによって違いましても、必ずご発言いただいているグループがあるわけですので、そういう方々に届くような情報の出し方の必要があるんではないかと思いましたので、一言申し上げさせていただきました。
【高久委員長】
最初にご報告がありましたように、この案ができた段階でインターネットに出して、皆さんからのご意見をお伺いするということになると思います。多分、たくさん意見が来て、事務のほうで整理するのが大変ではないかなと思います。
ほかにどなたか。
お手元に7月と8月の開催調整のご予定のお伺いというがありますので、お時間が少しありますから、予定がもう決まっておられる方はご記入していただければと思います。
きょうは皆さんからいろいろなご意見を伺いました。きょうのご意見を参考にして、今のところ、できれば次回ぐらいに案を出して、またご意見をお伺いして、そこで訂正したものをインターネットに流して、一般の方々の、あるいはいろいろなグループの方々のご意見をお伺いして、そしてその結果をまとめたものを、またこの合同委員会で討論をしていただきたいと考えています。
この委員会以外の方に直接ご出席いただいてご意見を聞くかどうかにつきましては、また事務局のほうと相談をして決めさせていただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
もし特にご意見がなければ、少し早目ですが、これでこの委員会を終わらせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、どうも、きょうはありがとうございました。
――了――
(研究振興局ライフサイエンス課)