令和2年度消費者教育推進委員会(第1回)【配布資料・議事要旨】

1.日時

令和2年7月31日(金曜日)

2.場所

霞ヶ関ナレッジスクエア

3.議題

  1. (1)消費者教育推進委員会における検討内容の公開について
  2. (2)消費者教育推進委員会における検討事項等について
  3. (3)成年年齢引下げを見据え文部科学省において取組むべき事項について
  4. (4)その他

4.配付資料

5.議事要旨

議題1:消費者教育推進委員会における検討内容の公開について
 資料2に基づき、事務局より「消費者教育推進委員会における検討内容の公開」について説明を行い、委員からの承諾を得た。

議題2:消費者教育推進委員会における検討事項等について
 資料3-1~3-5に基づき、事務局より「消費者教育推進委員会の検討事項等」について説明を行った。
委員からの主な意見は以下のとおり。

○ 新たな社会に向けて歩まなければいけない、そして産業の在り方も消費の在り方も変わらなければならないときを迎えている。そのような中で、コロナと消費の在り方について、それをどのように教育の中に取り込んでいくのかといった視点から、情報収集及び検討を行い、来年度に生かすことが必要。

○ コロナ禍で学校教育も大きく変化しているというか、変化を余儀なくされている。休校状態が長く続き、学校再開後も、グループ学習や調理実習もできず、講義形式の授業が中心となっている。消費者教育は、むしろロールプレイやケーススタディーを通じて疑似体験あるいは自分たちの頭で考え、解決策を見いだしていくということが消費者教育実践の重要な観点であるが、それがなかなか思うようにできない状況となっている。また、大学に関して言えば、オンラインの講義が主流になってきている。さらに、消費生活センター等の講座、研修等が一切中止になり、正に教育啓発が事実上できないというような形の中で、それでもこれだけは出来るのではないかとか、あるいは逆にオンラインだからこそできのではないかとか、教材の提示の仕方についても、ウィズコロナとして、ひと工夫が必要となってくる。

○ ウィズコロナの時代をどうつくっていくのかという観点について、大学でオンラインでの講義を行った感想として、若者はオンラインに向いていると感じた。オンラインにすることで出席率上がり、ブレークアウトセッションでは、これまであまり発言をしてこなかった学生が発言できるようになった。確かに今は工夫するよいタイミングである。新しい消費者教育の方法を今年議論していくと新しい展開ができるのではないか。

○ 消費者教育フェスタについては、これまで同様の人を集めての開催であると、企画はしたものの、開催できなくなるという可能性も出てくるため、オンラインなど軌道修正がしやすいような形での設計をしていった方がよいと感じる。

○ 会社のセミナーなどは、オンサイトとオンラインのハイブリッド型など様々な工夫の下で開催されるようになっている。この状況の中で積極的にイベントを開催していくことの重要性というのもあると思う。

○ 実証的調査研究の委託先の一つの愛媛大学は、地方でのオンライン教材の開発、オンライン勉強会の実践という申請であった。愛媛だけではなくて四国地域に広げるにはどうしたらいいのかというのを試行錯誤されるというのが愛媛の申請であり、これまでに議論に関連しているため、参考になるのではないか。

○ オンラインでのシンポジウム等の開催は、遠隔地からも参加が可能である、かつ、講師も必ずしも会場にいる必要はない。質疑応答ができるようなセッティングも可能である、消費者教育フェスタもオンライン化することで、自宅やそれぞれの拠点にいて参加することができるようになり参加者が増えるのではないか。また、動画配信をすると、もっと多くの方に見ていただく機会が増えると思う。

○ 消費者教育フェスタの開催形式はハイブリッド形式での開催というものに賛成。2022年度からの成年年齢引下げ、学校教育関係では、学習指導要領の全面実施、中学校は来年の春から、高等学校は再来年の春からは待ったなしでやってくる。正に不要不急ではない状況。その中で、現場の先生方も、それから現場の関係者も、今、何か大きな会に出たいけれども出る時間もなく、余裕もない。また、会そのものがないという状況がある。そのため、まずそのような場を提供する。そのことによって、従来は、旅費の関係、時間の関係で参加できなかった方も参加ができるというようなメリットや、また副次的な効果として、このフェスタで工夫をして、例えばブレークアウトセッションなどの工夫の仕方も参加者に学んでいただき、県レベル・市区町村レベルで開催される研修において深めていただくとか、このようなやり方をすればオンラインでも研修ができるのだなというようなことのヒントとなるのではないか。
もう一点は、啓発資料の作成について、学校教育現場では、新学習指導要領に基づいた教科書はあるわけだが、その中で、教えるべき知識というものもある。これはどのように教えるかという専門的な部分もあろうかと思う。その指導の方法であるとかというようなことについてこの委員会でも検討していくということは有用なことでないのか。

○ 消費者アドバイザーの派遣についてもオンラインでの実施を検討してはどうか。学校の長期休暇によるネットアクセス機会の増加やキャッシュレス化拡大等による様々なリスクが増加している。こうした生の情報をいち早く現場の先生方に提供し、すでに課題を抱えている場合は、お伝えした方が良いだろうし、実際にそういうことが起こっているのであれば、こういうやり方もありますということを提示することができるアドバイザー派遣は有効。これまでのやり方である対面の方式であるとなかなか難しいのでオンラインでの実施も推進すべきである。

○ 消費者教育アドバイザーによる動画を作成し、研修会で使用してもらうというのも考えられる。

○ 今年度アドバイザーとして呼ばれたのだが、感染防止の観点からグループワークができないという事態が起きた。学校教育の中でも同様の対応だと思うが、対話的な学習の学びに代わる手法の提案も必要である。

○ オンライン会議システムでもワークショップ、グループワークができるツールが開発されているので、そのようなツールを活用する手法・事例の提供も有効だと思う。

○ インターネットショッピングの相談が増えており、特に多いのがサブスクリプションに関するトラブル。また、未成年者であれば「未成年者契約の取消」の法律により、条件によっては返金できる場合もあるが、そのことを知らない保護者もいる。啓発資料には、インターネットに関することをいくつか具体的に盛り込んでほしい。

○ 啓発資料の事例については、姫路市立豊富小学校では、地域では綿花産業が盛んであることから、休校期間中に子供たちが自宅で綿栽培を行ったり、綿花農家とオンラインでつないで授業を行ったりしている。コロナ禍で果敢にチャレンジしているような学校の取組事例なども紹介してはどうかと感じた。

○ キャッシュレスの有用な面と一方でデータが読み取られる、あるいは蓄積されていくというような面も知った上で利用することが必要であることから啓発資料で触れてもらいたい。

議題3:成年年齢引下げを見据え文部科学省において取組むべき事項について
 参考資料等に基づき事務局より「成年年齢引下げを見据え文部科学省において取組むべき事項」について説明を行った。委員からの主な意見は以下のとおり。

○ ただでさえコロナで授業時間が減っていて、消費者問題に関わる部分の授業実践がなおざりにされるのではないかというのが心配。また、オンラインでの実践で注意しなければならないのは、誰も声をかけない、誰も見ないという生徒が出てこないような配慮が必要だと感じた。

○ 新学習指導要領との絡みで言っても、やはり単に知識を与えるということではなくて、その知識がどう活用できるのかということを常に意識しながら学びのモチベーションを高めていくということが必要。小学校段階では、私とあなた、事業者と消費者との関係においてどういうメリット、デメリットがあるか。中学校段階では、社会の中にもう少し視点を広げて、契約とはどういう意味を持っているのか。高校段階になると、主体的な社会の形成者としての意識をより強めていくという、そういう観点がどうしてもなくてはいけないはずである。しかし、成年年齢引下げというと、私とあなたの世界にもう一回戻ってしまうが、そこだけに終始してしまうと、全体の高等学校で求められる学習の方向性と必ずしも整合しない形になってしまうのではないか。 あるいは、ニューノーマル、ポストコロナの時代を担う、正にこれから新しい社会をつくっていく子供たちが、社会の中で消費者としてどう生きていけばいいんだろうかという辺りを常に意識しながら、契約、安全、情報の問題などの様々な課題を考えていく視点が必要。

○ 成年年齢の引下げというところに向けて、若い人たちに対してということがメインの課題であるが、契約や、消費者市民社会の構築ということを含めて、大人がどれだけ分かっているか。社会教育の立場から、大人の方の啓発も気になっている。消費者教育はライフステージに応じた消費者教育への取組が必要であることから、こうした意識も持ちながら検討を進めてほしい。

○ コロナ禍では雇い止めなどで生活困窮者が増え、政府でも様々な支援策を講じているがタイムラグが生じていたり、そもそもそのことを知らない、相談する場所も分からないというような方もたくさんいらっしゃるということも聞いている。消費者教育は成人の方々を間違っても排除しないよう意識しながら進めていくべきである。

○ 学校現場の先生から、目前に迫った成年年齢引下げの課題に対し、公民科、家庭科といった関連のある科目以外の教師にもどうしたら危機感を持ってもらえるかという相談を受けることがある。成人の一人である教師自身も理解が進んでいない印象がある。例えば、こういった啓発冊子の最初のところに、教師に対して「社会への扉」にあるクイズのようなものを掲載し、これを見た先生が、自分も何かやらなければいけないと思うような仕掛けが必要なのではないか。もう一点、昨年度の取組状況調査では、消費者教育の推進における課題として「他の優先課題があり取り組めない」という割合が52.1%もあり、この部分を重く受け止めるべきである。主権者教育などのすでに取り組んでいることや別の課題に対する取組に消費者教育の観点を入れることで取組を推進していくことができることを伝えることが必要。

○ 成年層への教育は、消費者啓発の頭の痛い部分。なぜやりにくいかというと、集団がつかみにくいというのがあるが、解決方法の一つとして、保護者も一緒に学べるような視点を入れていくことも必要。

○ 専門学校の立場としては、学習指導要領が改訂され、高等学校で消費者教育をしっかり勉強してきているので専門学校では特に対応する必要はないと思ってしまう面もある。専門学校でもしっかり推進されるよう意識を変えるきっかけになるよう、オプション的な取組だけでなく、消費者教育の必要性をきちんと伝えることも必要ではないか。

○ 民法改正で成年年齢が引下げられる転機の主体になれるということで、高校生が誇りに思っているという話があった。この意識は注目すべき点だと考える。現代はスマホを使って契約がいとも簡単にでき、高校生たちは社会に直接関与できるという感覚も持っている。それをうまく生かして持続可能な社会の形成に、自分たちも関与できるということをきちんと伝えると、非常に誇りを感じながら積極的に取り組めるのではないか。食品ロス削減などがいい事例であるが自分の日常生活をエシカルに、自省的に考え、新しい持続可能な社会の形成に若い人たちに参加してもらえる良い機会になる。

○ 先ほど、保護者という話があったが、PTAとの連携が考えられる。一番効果的なのは、年度の初めに家族での約束事、特に携帯の使い方など各家庭それぞれ話し合ったりする家庭が多いため、例えば入学式前ガイダンスでのアナウンスなどを実施してもらえるように連携していくことも考えられる。

○ 消費者教育フェスタのオンラインでの開催の話があったが、日程とか時間とかというのを配慮することによって参加者の増減というのはかなり変わってくる。夕方に小分けにして参加できるようにした方が参加しやすいのではないか。

○ 関係省庁との連携については、コロナ禍だからこそ取りやすい。連携した対応ができるのではないか。

お問合せ先

男女共同参画共生社会学習・安全課
消費者教育推進係
電話番号:03-5253-4111
ファクシミリ番号:03-6734-3719
メールアドレス:consumer@mext.go.jp

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(男女共同参画共生社会学習・安全課)