2 地震及び防災に関する検証、復興、再生及び安全性への貢献

 東日本大震災発生の可能性等を事前に国民に十分伝えられなかったこと及び発生後に適切な措置が十分に取られなかったことが、被害の深刻化を招いたことに鑑み、地震及び防災に関する従来の取組を十分検証する必要がある。また、安全・安心な社会の実現や防災力向上のための研究開発について、政府全体として責任を持った対応が必要である。

1.地震及び防災に関する従来の取組方針の検証

【地震研究等の抜本的見直し】

  1. 今般の大地震発生やそれに伴う巨大な津波の発生の可能性を事前に国民に十分伝えられなかったことが、被害の深刻化を招くこととなった。その理由を検証したところ、特定のモデルにとらわれすぎていたことなど、日本海溝軸付近で発生する地震がマグニチュード9に達する可能性を評価する取組が不足していたことや、このような地震や津波に対する観測、情報発表の体制が不十分であったことが判明した。
     このため、地震、火山、防災に関わる自然科学のみならず、社会学、考古学、歴史学等の人文・社会科学も含めた研究体制を構築し、歴史資料を含めあらゆる情報を収集するとともに、他の地震多発国とも一層連携を図ることにより、総合的かつ学際的に研究を推進する必要がある。また、今般の大地震に代表されるような低頻度で大規模な自然現象を正しく評価するとともに、防災や減災に十分に貢献できるよう、研究手法や研究体制の抜本的見直しを早急に行う必要がある。さらに、地震学や火山学などの現状を国民に対して丁寧に説明するとともに、科学的見地から、自然災害に対して地方自治体が適切な防災対策を取ることができるよう、助言を行う取組が必要である。また、大学等の知見については、その専門性の高さや成果が散逸している等の理由により、地方自治体が防災対策に十分に活用できていない状況にあるため改善が必要である。

A.具体的取組及び検討状況

(以下、測地学分科会)

  • 地震研究にあたり、人文・社会科学分野の研究者や、外国の研究者との連携を強化し、総合的かつ学際的に研究を推進する。また、東北地方太平洋沖地震のような低頻度大規模自然現象を対象とした研究を推進する。特に、今後の地震防災にとって極めて重要で、かつ緊急に開始しなければ現象を取り逃すおそれのある以下の事項について推進する。
     (1)海溝付近で起こる超巨大地震の発生機構の解明
     (2)超巨大地震の発生による日本列島規模の応力場の変化に伴う地震活動及び火山活動に関する研究
  • 平成26年度からの次期研究計画において、地震・火山噴火予知のみではなく、防災や減災に幅広く貢献できるように災害誘因(ハザード)の研究を行う。その際、理学だけではなく工学、人文・社会科学等の関連研究分野との連携を図る。このために、実施計画の立案、実施、成果報告の各段階で、関係研究分野の研究者の参画の仕組みを構築する。
  • 防災の専門家と連携し、住民や行政機関とこれまで以上に真摯に向き合い、地震や火山の研究の現状を分かりやすく継続的に説明するとともに、地震や火山噴火の仕組み、それによる災害、防災・減災の知識について一層のアウトリーチ活動を推進する。

(以下、研究計画・評価分科会 防災科学技術委員会)

  • 地域における重点的な地震防災研究で得た最新の科学的知見を、自治体の防災対策に資するため、地域研究会等を介して助言を行う取組を引き続き推進する。
  • 地域の防災力向上のための研究開発として、既知の研究成果が専門性の高さや散逸している等の理由により、防災対策に十分に活用されていない状況を克服するための取組を引き続き推進する。

B.平成26年度予算及び平成25年度補正予算への反映状況

(以下、研究開発局 地震・防災研究課)
 【日本海地震・津波調査プロジェクト及び南海トラフ広域地震防災研究プロジェクト】 1,026,621千円

  • 日本海地震・津波調査プロジェクト及び南海トラフ広域地震防災研究プロジェクトにおいて、地域における重点的な地震防災研究で得た最新の科学的知見を、地域研究会等により地域に展開する。

 【地域防災対策支援研究プロジェクト】 50,000千円

  • 地域防災対策支援研究プロジェクトにおいて、地域の防災力向上のため、既知の研究成果の防災対策への活用を促進する。

C.平成27年度予算案及び平成26年度補正予算への反映状況

(以下、研究開発局 地震・防災研究課)
 【日本海地震・津波調査プロジェクト及び南海トラフ広域地震防災研究プロジェクト】 831,563千円

  • 前年に引き続き、日本海地震・津波調査プロジェクト及び南海トラフ広域地震防災研究プロジェクトにおいて、地域における重点的な地震防災研究で得た最新の科学的知見を、地域研究会等により地域に展開する。

 【地域防災対策支援研究プロジェクト】【拡充】 53,000千円

  • 地域防災対策支援研究プロジェクトにおいて、地域の防災力向上のため、既知の研究成果の防災対策への活用を促進し、かつ研究成果を活用するための体制構築及び展開手法の一般化を進める。平成27年度は、御嶽山の噴火を踏まえ、火山関連の課題を採択予定。
  1. これらを踏まえ、地震及び火山に関する新たな研究計画を策定すべきである。

A.具体的取組及び検討状況

(測地学分科会)

  • 平成26年度からの研究計画として、人文・社会科学や防災等の他分野との連携を強化するとともに、低頻度大規模現象も対象に加えた新たな地震・火山噴火の観測研究計画を策定した。
  • 平成26年9月27日の御嶽山の噴火を受けて、測地学分科会地震火山部会において、今後の火山観測研究の進め方について検討を行い、水蒸気噴火の先行現象に関する観測研究や水蒸気噴火の早期把握の実現のための観測研究の強化や、火山研究者の人材育成の取組とプロジェクト研究等を組み合わせた総合的な人材育成プログラムの構築について検討することなどについて、平成26年11月に「御嶽山の噴火を踏まえた火山観測研究の課題と対応について」をとりまとめた。

B.平成26年度予算及び平成25年度補正予算への反映状況

1.2.関係
(研究開発局 地震・防災研究課)
 【災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画】
 ※ 国立大学法人の運営費交付金等の内数(26予算)、国立大学法人設備整備費補助金の内数(25補正)

  • 平成26年度からの地震・火山研究の計画において、地震・火山噴火予知のみではなく、防災や減災に幅広く貢献できるように災害誘因(ハザード)の研究を行う。その際、理学だけではなく工学、人文・社会科学等の関連研究分野との連携を図る。このために、実施計画の立案、実施、成果報告の各段階で、関係研究分野の研究者の参画の仕組みを構築する。
  • 超巨大地震に関する研究計画は平成24年11月28日に関係大臣に建議した際に見直し計画に追加したが、平成26年度からの計画においても引き続き推進する。

C.平成27年度予算案及び平成26年度補正予算への反映状況

(研究開発局 地震・防災研究課)
 【災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画】
 ※ 国立大学法人の運営費交付金等の内数

  • 平成26年度からの5か年計画の2年目にあたり、引き続き計画を推進する。

 【火山観測研究の充実・強化のための観測体制の構築】 2,105,584千円※(26補正)

※ 文部科学省全体の関連予算の総額

  • 御嶽山の噴火を踏まえ、水蒸気噴火のメカニズム解明等のための火山災害の軽減に資する研究の充実・強化のための観測体制を構築。

【環境変化に強い基盤の構築】

  1. 東日本大震災により、防災の重要性が改めて認識された。研究者等は、社会との対話により、国民の声を十分取り入れた上で、国民の生命や財産を守るために何が必要かを専門的見地から追求する必要がある。その際、研究者等には、「ムラ」意識からの脱却が求められ、分野横断的な幅広い見地からの検討が求められる。また、専門家としての立場で出来ることと出来ないことの区別を明確に示し、能力、役割を越えることについては、関係機関等と密接な連携を図るべきである。
  2. 現状では、災害発生直後の対策は講じられてきているが、災害発生から回復までの間はほとんど考慮されていない。今後は、災害後に生活を速やかに回復するための、総合的、学際的な、社会の復元力を考慮した復興対策が重要である。
     例えば、減災対策も含めた各種災害からの復旧、復興に係る課題を対象とする新たな研究領域を確立し、理工系のみならず医学系や人文・社会科学系などの分野や組織を超えた連携により、時間軸も含め組織的かつ体系的な研究推進体制を整備し、世界中の災害への対策と迅速かつ効率的な復旧、復興に寄与すべきである。

A.具体的取組及び検討状況

(研究計画・評価分科会 防災科学技術委員会)

  • 都市の早期復旧や事業継続を図るために、地震後の建物の安全性を速やかに判断して継続利用を行うシステムを開発するとともに、地域の人口変動などの社会情勢を考慮した、都市計画的な立場での統合的な震災前復興計画の策定に資する議論や研究への取組を引き続き推進する。

B.平成26年度予算及び平成25年度補正予算への反映状況

 (研究開発局 地震・防災研究課防災科学技術推進室)
 【都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト及び南海トラフ広域地震防災研究プロジェクト】 758,417千円

  • 都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト及び南海トラフ広域地震防災研究プロジェクトにおいて、都市の早期復旧や事業継続を図るために、地震後の建物の安全性を速やかに判断して継続利用を行うシステムの開発や統合的な震災前復興計画の策定に資する研究等に取り組む。

C.平成27年度予算案及び平成26年度補正予算への反映状況

 (研究開発局 地震・防災研究課防災科学技術推進室)
 【都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト及び南海トラフ広域地震防災研究プロジェクト】 936,317千円

  • 都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト及び南海トラフ広域地震防災研究プロジェクトにおいて、都市の早期復旧や事業継続を図るために、地震後の建物基礎の安全性を速やかに判断するモニタリングシステムの開発や統合的な震災前復興計画の策定に資するため法制・危機対応体制・経済回復に関する研究等に取り組む。
  1. 東日本大震災発生直後に、事故関連の情報が不足し、離日する外国人研究者が続出したことを踏まえ、災害時に、迅速かつ正確に外国人研究者に対しても情報を提供するための仕組みが必要である。
  2. また、災害時において、研究への影響を最小限にし、研究が継続できる体制を構築することが必要であり、研究資源の分散管理、別機関での研究者等の受入れ体制の整備、研究基盤間のネットワーク構築等のリスク分散に向けた取組を推進することが有効である。

A.具体的取組及び検討状況

(先端研究基盤部会)

  • 産学官が共用可能な研究施設・設備の拡大を進めるため、共用施設・設備の適切な利用料金の考え方(海外企業による利用の取扱いなど)の明確化の検討を実施。更に研究施設・設備のネットワークなどによる研究開発プラットフォームの構築に必要となる具体的取組について引き続き検討を進める。

(研究計画・評価分科会 情報科学技術委員会)

  • 平成24年度から、情報基盤について、耐災害性強化、データ処理能力の向上、低消費電力化を進めるため、最適なシステム構成やデバイス及びその制御手法等について研究開発を実施。

(研究振興局 参事官(情報担当))

  • 平成25年度に耐災害性の強化等の観点から、大学間でクラウド基盤を連携、共有するアカデミッククラウド環境構築の在り方について検討。

B.平成26年度予算及び平成25年度補正予算への反映状況

(研究振興局 参事官(情報担当))
 【未来社会実現のためのICT基盤技術の研究開発】 548,520千円の内数

  • 「災害時において、研究への影響を最小限にし、研究が継続できる体制を構築することが必要」について、「未来社会実現のためのICT基盤技術の研究開発」において、スピントロニクス技術や高機能高可用性ストレージ基盤技術により、システムを超低消費電力、耐災害性に優れたものとするデバイスの開発等を推進。

(科学技術・学術政策局 研究開発基盤課)
 【先端研究基盤共用・プラットフォーム形成事業】 1,364,644千円

  • 「研究基盤間のネットワーク構築等のリスク分散に向けた取組推進」について、先端研究基盤共用・プラットフォーム形成事業において、大学・独法等が所有する先端研究施設・設備の産学官への共用を促進するとともに、これらの研究施設・設備間の技術領域別ネットワーク化等により、多様な利用ニーズに効果的に対応するプラットフォーム形成を推進。

(研究振興局 参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当))
 【ナノテクノロジープラットフォーム】 1,710,640千円

  • 「研究基盤間のネットワーク構築」について、ナノテクノロジープラットフォームにおいて、ナノテクノロジーに関する最先端の研究設備とその活用のノウハウを有する機関が協力して、全国的な共用体制を構築することで、産学官の利用者に対し、最先端設備の利用機会と高度な技術支援の提供を推進。

C.平成27年度予算案及び平成26年度補正予算への反映状況

(研究振興局 参事官(情報担当))
 【未来社会実現のためのICT基盤技術の研究開発】 548,520千円の内数

  • 「災害時において、研究への影響を最小限にし、研究が継続できる体制を構築することが必要」について、「未来社会実現のためのICT基盤技術の研究開発」において、スピントロニクス技術や高機能高可用性ストレージ基盤技術により、システムを超低消費電力、耐災害性に優れたものとするデバイスの開発等を推進。

(科学技術・学術政策局 研究開発基盤課)
 【先端研究基盤共用・プラットフォーム形成事業】 1,159,947千円

  • 「研究基盤間のネットワーク構築等のリスク分散に向けた取組推進」について、先端研究基盤共用・プラットフォーム形成事業において、大学・独法等が所有する先端研究施設・設備の産学官への共用を促進するとともに、これらの研究施設・設備間の技術領域別ネットワーク化等により、多様な利用ニーズに効果的に対応するプラットフォーム形成を推進する。また、プラットフォームの連携を強化するために人材育成支援やユーザーニーズに基づく施設・設備の充実を図る。

(研究振興局 参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当))
 【ナノテクノロジープラットフォーム】 1,710,640千円

  • 「研究基盤間のネットワーク構築」について、ナノテクノロジープラットフォームにおいて、ナノテクノロジーに関する最先端の研究設備とその活用のノウハウを有する機関が協力して、全国的な共用体制を構築することで、産学官の利用者に対し、最先端設備の利用機会と高度な技術支援の提供を推進。

2.安全・安心な社会の実現や防災力向上のための研究開発の在り方

  1. 災害や環境変化に強い、より安全・安心な社会を構築していくため、原子力発電所事故のみならず、今回の地震や津波によってもたらされた様々な被害の状況や対応、復興過程を体系的かつ科学的に調査、検証し、得られた課題や教訓を踏まえ、これまでの「想定」を見直し、必要な対策を講じることが必要である。調査、検証には、自然科学と人文・社会科学の専門的知見を結集する枠組みを構築することが必要である。

A.具体的取組及び検討状況

(研究計画・評価分科会 ライフサイエンス委員会)

  • 大学・法人等をはじめとした放射線医科学に係る総合的な研究開発に関する方策の策定について調査検討を行っている。
  1. また、科学技術の限界を踏まえ、「想定外」の事象が起こり得ることも認識した上で、事前にこうしたリスクに対応する必要がある。特に、確率的に発生頻度が低いと評価される事象でも、発生した場合に被害規模が大きくなると予想されるものについては、それを無視したり、先送りしたりすることなく、必要なリスク管理のための対策を講じていくことが必要である。この際、リスク管理の在り方について、国民と認識を共有し、合意形成を図ることが必要である。
  2. また、これまでのハード主体の予防的手法や対症療法的アプローチのみならず、防災・危機管理教育、災害経験の伝承、災害時の情報システムや医療システムの強化等のソフト面での対策の充実を図るとともに、リスクコミュニケーション等により、国民一人一人が、被害を最小限にとどめるための備えを身に付けておくようにするなど、ハードとソフトが連携した総合的な研究開発を推進すべきである。

A.具体的取組及び検討状況

(研究計画・評価分科会 安全・安心科学技術及び社会連携委員会)

  • 平成24年度から、今後発生しうる災害等に備え、社会における具体的な問題の解決に向けて、自然科学と人文・社会科学の双方にまたがる知見を活用し、大学、地域、市民、行政・自治体、産業など、様々な関与者との協働により、社会実装を目指したハード・ソフト両面からの総合的な研究開発を実施している。

(研究計画・評価分科会 防災科学技術委員会)

  • 帰宅困難者や避難者、災害対応従事者等の円滑な応急・復旧対応を支援するためのシステムと災害対応従事者の能力と一般市民の自助力・共助力を育成するためのシステムをそれぞれ開発する取組を引き続き推進する。

(研究計画・評価分科会 情報科学技術委員会)

  • 平成24年度から、情報基盤について、耐災害性強化、データ処理能力の向上、低消費電力化を進めるため、最適なシステム構成やデバイス及びその制御手法等について研究開発を実施。

B.平成26年度予算及び平成25年度補正予算への反映状況

(研究開発局 地震・防災研究課防災科学技術推進室)
 【都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト】 490,286千円

  • 都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクトにおいて、帰宅困難者や避難者、災害対応従事者等の円滑な応急・復旧対応を支援するためのシステムと災害対応従事者の能力と一般市民の自助力・共助力を育成するためのシステムをそれぞれ開発する。

(研究振興局 参事官(情報担当))
 【未来社会実現のためのICT基盤技術の研究開発】(再掲) 548,520千円の内数

  • 「ハードとソフトが連携した総合的な研究開発を推進すべき」について、「未来社会実現のためのICT基盤技術の研究開発」において、スピントロニクス技術や高機能高可用性ストレージ基盤技術により、システムを超低消費電力、耐災害性に優れたものとするデバイスの開発等を推進。

C.平成27年度予算案及び平成26年度補正予算への反映状況

(研究開発局 地震・防災研究課防災科学技術推進室)
 【都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト】 397,132千円

  • 都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクトにおいて、円滑な応急・復旧対応を支援するマイクロメディアサービスの利用実験及び災害情報提供サービスシステムの機能充実と検証並びに防災リテラシーハブプロトタイプによる研修・訓練システムの改善とコンテンツ充実を推進する。

(研究振興局 参事官(情報担当))
 【未来社会実現のためのICT基盤技術の研究開発】(再掲) 548,520千円の内数

  • 「ハードとソフトが連携した総合的な研究開発を推進すべき」について、「未来社会実現のためのICT基盤技術の研究開発」において、スピントロニクス技術や高機能高可用性ストレージ基盤技術により、システムを超低消費電力、耐災害性に優れたものとするデバイスの開発等を推進。
  1. 多様化、複雑化する脅威に対応するため、府省の枠を越えた分野横断的な研究開発が必要であり、分野を超えたネットワークの構築が必要である。具体的には、関係府省との連携の下、地域の大学等が核となり、産学官が一体となった体制を構築するとともに、総合的な防災研究開発を推進し、その成果を当該地域で実践することによって地域の防災力を強化すべきである。また、短期的な必要性のみにとらわれることなく、科学技術の発展の方向性に関する中長期的視点も踏まえた継続的な研究開発が必要である。

A.具体的取組及び検討状況

(研究計画・評価分科会 防災科学技術委員会)

  • 地域の大学等が核となり、産学官が一体となった体制を構築し、理学・工学・社会科学の総合的防災研究開発を推進し、その成果を地域で実践することにより、地域の防災力を強化する取組を引き続き推進する。

B.平成26年度予算及び平成25年度補正予算への反映状況

(研究開発局 地震・防災研究課防災科学技術推進室)
 【地域防災対策支援研究プロジェクト】 50,000千円

  • 地域防災対策支援研究プロジェクトにおいて、地域の大学等が核となり、産学官が一体となった体制を構築し、理学・工学・社会科学の研究成果を地域に展開することにより、地域の防災力の強化に貢献する取組を行う。

C.平成27年度予算案及び平成26年度補正予算への反映状況

(研究開発局 地震・防災研究課防災科学技術推進室)
 【地域防災対策支援研究プロジェクト】【拡充】 53,000千円

  • 地域防災対策支援研究プロジェクトにおいて、地域の大学等が核となり、産学官が一体となった体制を構築し、理学・工学・社会科学の研究成果の地域への展開手法の一般化を進めるなど、地域の防災力の強化に貢献する取組のさらなる充実化を図る。平成27年度は、御嶽山の噴火を踏まえ、火山関連の課題を採択予定。
  1. 災害対応研究は世界の共有知としての活用が見込まれるため、国が成果情報を取りまとめて発信することにより、国際的な研究交流の端緒とすべきである。

3.大学及び公的研究機関の復興支援

  1. 大学及び公的研究機関の成果や人材を、更に被災地の復興に役立てるため、様々な分野の研究者等が、被災者の生活再建等に現場で関与していく体制作りが必要である。
  2. また、被災地の単なる復旧ではなく復興を目指すことが必要である。被災地は、関係者の多大な尽力と取組により徐々に復旧し始めているが、引き続き、被災地自治体主導による、地域の強みを生かした科学技術駆動型の地域発展モデル構築のための支援を行うとともに、被災地の大学を含め全国の大学等の革新的技術シーズを被災地企業において実用化する取組を支援し、被災地復興に貢献することが必要である。

A.具体的取組及び検討状況

(海洋開発分科会)

  • 東日本大震災の地震・津波により多量の瓦礫の堆積や藻場の喪失など東北太平洋沖の海洋生態系が破壊された。また、地元の基幹産業であった水産加工業も甚大な被害を受けた。これらに対応するため、以下の2つの取り組みを推進する。
  1. 海洋生態系の調査研究
     震災前から東北地方に拠点を有していた東北大学や東京大学及び沖合域の調査に強みを持つ独立行政法人海洋研究開発機構を中核機関として、女川湾や大槌湾などをモデル海域として、東北地方の主要海域の調査研究を実施。得られたデータを地元漁協や自治体等に提供し、養殖場の設定や漁業計画の策定に貢献している。
  2. 新たな産業の創成につながる技術開発
     東北の海の資源を有効に活用した新たな産業を東北地方で創出するため、全国の研究者が持つ技術シーズの中から産業化が特に有望な8課題を採択。有用魚種の養殖技術の高度化や水産加工技術の高度化等の課題を実施。

(産業連携・地域支援部会)

  • 地域の強みを活かした科学技術駆動型の地域発展モデル構築のための支援(地域イノベーション戦略支援プログラム(東日本大震災復興支援型))を行うとともに、東北経済連合会を始めとする産業・経済団体や自治体と連携のもと、マッチングプランナーによる被災地産学共同研究支援及び被災地域の産業界が望む課題の解決に資する基礎研究への支援(復興促進プログラム)を実施することで、被災地復興に貢献する

(研究計画・評価分科会 ナノテクノロジー・材料科学技術委員会)

  • 「東日本大震災からの復興の基本方針」に基づき、東北の大学や製造業が強みを有するナノテクノロジー・材料分野において、産学官の協働によるナノテクノロジー研究開発拠点を東北大学に形成し、世界最先端の技術を活用した先端材料を開発することにより、東北素材産業の発展を牽引し、東日本大震災からの復興に資する。

B.平成26年度予算及び平成25年度補正予算への反映状況

(以下、科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課)
 【地域イノベーション戦略支援プログラム(東日本大震災復興支援型)】 1,183,337千円

  • 地域の強みを生かした科学技術駆動型の地域発展モデル構築のための支援(地域イノベーション戦略支援プログラム(東日本大震災復興支援型))を行い、被災地復興に貢献するために引き続き取組を実施。

 【復興促進プログラム】 1,438,870千円

  • 東北経済連合会を始めとする産業・経済団体や自治体と連携の下、マッチングプランナーによる被災地産学共同研究支援及び被災地域の産業界が望む課題の解決に資する基礎研究への支援(復興促進プログラム)を実施することで被災地復興に貢献するために引き続き取組を実施。

(研究開発局 海洋地球課)
 【東北マリンサイエンス拠点形成事業】 1,308,464千円

  • 東日本大震災の地震・津波により多量の瓦礫の堆積や藻場の喪失など東北太平洋沖の海洋生態系が破壊された。また、地元の基幹産業であった水産加工業も甚大な被害を受けた。これらに対応するため、以下の2つの取り組みを推進する。
  1. 海洋生態系の調査研究
     震災前から東北地方に拠点を有していた東北大学や東京大学及び沖合域の調査に強みを持つ独立行政法人海洋研究開発機構を中核機関として、女川湾や大槌湾などをモデル海域として、東北地方の主要海域の調査研究を実施。得られたデータを地元漁協や自治体等に提供し、養殖場の設定や漁業計画の策定に貢献している。
  2. 新たな産業の創成につながる技術開発
     東北の海の資源を有効に活用した新たな産業を東北地方で創出するため、全国の研究者が持つ技術シーズの中から産業化が特に有望な8課題を採択。有用魚種の養殖技術の高度化や水産加工技術の高度化等の課題を実施。

(研究振興局 参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当))
 【東北発 素材技術先導プロジェクト】 1,186,514千円

  • 被災地の大学を含め全国の大学等の革新的技術シーズを実用化する取組の支援として、東北発 素材技術先導プロジェクトにおいては、東北地方の大学や製造業が強みを有するナノテク・材料分野において、産学官協働によるナノテク研究開発拠点を形成し、東北産業の発展を牽引。

(以下、研究開発局 環境エネルギー課)
 【革新的エネルギー研究開発拠点形成】 1,282,100千円

  • 地域の強みを生かした科学技術駆動型の地域発展モデル構築を支援し、被災地復興へ貢献するため、引き続き革新的エネルギー研究開発拠点形成の事業を推進。

 【東北復興のためのクリーンエネルギー研究開発推進】 804,149千円

  • 地域の強みを生かした科学技術駆動型の地域発展モデル構築を支援し、被災地復興へ貢献するため、引き続き東北復興のためのクリーンエネルギー研究開発推進の事業を推進。

C.平成27年度予算案及び平成26年度補正予算への反映状況

(以下、科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課)
 【地域イノベーション戦略支援プログラム(東日本大震災復興支援型)】 830,722千円

  • 地域の強みを生かした科学技術駆動型の地域発展モデル構築のための支援(地域イノベーション戦略支援プログラム(東日本大震災復興支援型))を行い、被災地復興に貢献するために引き続き取組を実施。

 【復興促進プログラム】 333,500千円

  • 東北経済連合会を始めとする産業・経済団体や自治体と連携の下、マッチングプランナー(目利き人材)を活用し、被災地の企業が望む課題の解決及びその加速に資する支援を実施することで被災地復興に貢献するための取組を実施。

(研究開発局 海洋地球課)
 【東北マリンサイエンス拠点形成事業】 1,122,971千円

  • 東日本大震災の地震・津波により多量の瓦礫の堆積や藻場の喪失など東北太平洋沖の海洋生態系が破壊された。また、地元の基幹産業であった水産加工業も甚大な被害を受けた。これらに対応するため、以下の2つの取り組みを推進する。
  1. 海洋生態系の調査研究
     震災前から東北地方に拠点を有していた東北大学や東京大学及び沖合域の調査に強みを持つ独立行政法人海洋研究開発機構を中核機関として、女川湾や大槌湾などをモデル海域として、東北地方の主要海域の調査研究を引き続き実施。得られたデータを地元漁協や自治体等に提供し、養殖場の設定や漁業計画の策定に貢献する。
  2. 新たな産業の創成につながる技術開発
     東北の海の資源を有効に活用した新たな産業を東北地方で創出するため、全国の研究者が持つ技術シーズの中から産業化が特に有望な8課題を採択。最終年度であり、有用魚種の養殖技術の高度化や水産加工技術の高度化等について、技術移転等の取組を強化する。
    (研究振興局 参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当))

 【東北発 素材技術先導プロジェクト】 829,777千円

  • 被災地の大学を含め全国の大学等の革新的技術シーズを実用化する取組の支援として、東北発 素材技術先導プロジェクトにおいては、東北地方の大学や製造業が強みを有するナノテク・材料分野において、産学官協働によるナノテク研究開発拠点を形成し、東北産業の発展を牽引。

(以下、研究開発局 環境エネルギー課)
 【革新的エネルギー研究開発拠点形成】 373,997千円※

  • 地域の強みを生かした科学技術駆動型の地域発展モデル構築を支援し、被災地復興へ貢献するため、引き続き革新的エネルギー研究開発拠点形成の事業を推進。
      ※福島県における革新的エネルギー研究開発拠点の施設整備完了に伴う減

 【東北復興のためのクリーンエネルギー研究開発推進】 646,921千円

  • 地域の強みを生かした科学技術駆動型の地域発展モデル構築を支援し、被災地復興へ貢献するため、引き続き東北復興のためのクリーンエネルギー研究開発推進の事業を推進。

お問合せ先

科学技術・学術政策局政策課

学術政策第1係
電話番号:03‐5253‐4111(内線3848)
ファクシミリ番号:03‐6734‐4008
メールアドレス:shingist@mext.go.jp

(科学技術・学術政策局政策課)

-- 登録:平成27年06月 --