資料4 総合科学技術会議の審議状況について

1 総合科学技術会議の概要

 総合科学技術会議は、内閣総理大臣及び内閣を補佐する「知恵の場」として、我が国全体の科学技術を俯瞰し、一段高い立場から、総合的・基本的な科学技術政策の企画立案及び総合調整を行うことを目的とし、経済財政諮問会議などと並ぶ「重要政策に関する会議」として平成13年1月に内閣府に設置されたもの。なお、総合科学技術会議の下には、重要事項に関する専門的な知見を迅速に探るため、平成19年9月現在、5つの専門調査会を設けている。

総合科学技術会議の概要の図

2 総合科学技術会議の審議状況

平成19年3月1日

○ ライフサイエンス分野におけるリサーチツール特許の使用の円滑化に関する指針

 イノベーションに向けて研究開発を促進するため、大学等や民間企業のリサーチツール特許使用の円滑化を目的とし、本指針を打ち出した。


平成19年3月30日

○ 諮問第6号「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針の改正について」に対する答申

 本諮問に関する改正点は以下の4点であり、総合科学技術会議は改正について妥当として認めた。

  1. 樹立機関のほかにヒトES細胞の分配をする機関としての「分配機関の設置」を制度化
  2. 我が国で樹立されたヒトES細胞の「海外の機関への分配」を制度化
  3. 「分化細胞の譲渡及び保存等の手続き」を制度化
  4. その他

○ 科学技術によるイノベーション創出に向けて

 総合科学技術会議の有識者議員は、科学技術によるイノベーション創出に向けて以下のような提言を行った。
 イノベーションを推進するには、意欲ある人が思いきり能力を発揮できる環境を作るとともに、その人が生んだ成果を社会に生かしていくシステムを作ることに尽きる。また、科学技術に国境はなく、優れた人を外から受け入れ、また積極的に外に出て活躍できるよう、環境を整備することこそが、日本のイノベーション力を高め、人口減少下においても生産性を向上させ、持続的な発展を実現する途である。
 以上の考え方及び「イノベーション25中間とりまとめ」に盛り込まれた基本的考え方を踏まえ、以下の8つの改革に早急に取り組む必要がある。

  1. 若手研究者がチャレンジする機会を確実に保証し、意欲を高める改革
  2. 研究費使用の不正、無駄を排し、優れた研究成果を上げた人に報いる仕組みに改革
  3. 細切れの研究費支給をやめ、優れた研究を継続していくための研究費の支出に関する改革
  4. 人件費制約等法人の経営努力を阻害する制度的隘路の解消
  5. 大学院レベルで国籍を問わず優れた教員、大学院生を採用する環境作りなど、国際的に開かれ、魅力ある大学への改革
  6. 新技術導入加速に向けた公的調達の活用など出口政策の強化
  7. イノベーションの出口を強く意識した分野融合型研究開発プロジェクトの創設
  8. 環境・エネルギー分野における日本の強みを生かす政策の実行

 以上の新たな取組に加え、既存の施策の充実・強化とともに、20年度から以下の政策を実行すべきである。

  1. 若手研究者、意欲的・挑戦的研究への思い切った投資などの研究資金改革
  2. 大学等の国際競争力を高める改革
  3. あらゆる縦割りの排除と新技術の社会導入を促進するシステム改革
  4. 分野融合型プロジェクトの新しい方式での推進
  5. 環境・エネルギー技術による経済成長と国際貢献
  6. イノベーションの担い手となる若手のリーダーの育成

平成19年4月24日

○ 科学技術外交の強化に向けて

 科学技術国際協力の強化が重要な政策課題であること、イノベーションに向けた科学技術政策の課題としても環境問題などでの国際貢献が重要であることを総合科学技術会議では指摘しており、科学技術外交の具体的な取組として、有識者議員からの提言として以下の5つが挙げられた。

  1. アフリカを中心とした途上国との科学技術協力の強化
  2. 日本の優れた環境技術の世界への発信、実証
  3. 世界の環境リーダーの育成
  4. 先端科学技術分野での協力の強化
  5. 科学技術協力ネットワークの強化

平成19年5月18日

○ 知的財産戦略について

 知的財産戦略に関しては、1イノベーションの創出のためには、国内のみならず国際的な視点に立った知的財産戦略が重要。2知的財産は権利取得にとどまらず、その「活用」が重要。との視点から、以下の項目に重点を置く提言を行った。

  1. 国際的な産学連携体制の整備
  2. 基本特許の国際的な権利取得の促進
  3. 国際標準化活動の強化
  4. 事業ニーズを反映した研究開発の推進
  5. 事業化に向けた知的財産の流通の促進
  6. 大学発ベンチャーの育成支援
  7. 地域における大学とTLOの連携や大学間の連携を促進
  8. 分野の特性に配慮した知的財産戦略

平成19年6月14日

○ 平成20年度の科学技術に関する予算等の資源配分の方針
-科学技術によるイノベーション創出の推進に向けて-

 総合科学技術会議では、平成19年6月14日の本会において、「平成20年度の科学技術に関する予算等の資源配分の方針-科学技術によるイノベーション創出の推進に向けて-」を決定。以下のように平成20年度に向けた基本的方針を示した。

  • 第3期科学技術基本計画に掲げた取組を加速し、科学技術関係予算を充実し、科学技術への投資を強化
  • 平成20年度において優先すべき先駆的な取組については以下の課題を積極的に具体化。
    1. 次世代を担う人材への投資
    2. 研究開発の成果の社会還元を加速する取組
    3. 環境・エネルギー等日本の科学技術力を活かした科学技術外交
  • 国際競争力のある大学作りの推進
  • 戦略重点科学技術への一層の重点化の推進
  • 世界トップレベルの研究拠点づくりの着実な推進 等

○ 競争的資金の拡充と制度改革の推進について

 平成19年6月14日の総合科学技術会議において競争的資金の拡充と制度改革の推進について現状と課題を挙げた上で制度改革の方向性を示した。

3 専門調査会等の主な審議状況

○ 基本政策推進専門調査会(下記組織図参照)

 第3期科学技術基本計画の着実な推進を図るべく、「基本政策推進専門調査会(以下、基本専調)」を設置して調査審議を行っている。今後の審議案件として

  1. 科学技術の諸制度の改革
  2. 競争的資金制度の改革
  3. 科学技術関係人材の育成・確保
  4. 分野別推進戦略の実施
  5. 科学技術への国民理解の増進

が予定されている。

  • 平成19年4月24日の総合科学技術会議においての有識者議員からの提言を踏まえ、今後、我が国の科学技術力を最大限に活用して持続可能な社会の実現に向けた世界の諸課題に積極的かつ継続的に取り組みつつ、我が国のソフトパワーを高めるとともに、研究協力や技術協力を外交と連携させ、科学技術外交を推進するため、基本政策推進専門調査会の下に、科学技術外交の推進に関するワーキンググループ(科技外交WG)を設置。

4.分野別推進戦略については、基本専調の下に分野別推進戦略総合PT、さらにその下に各分野PTを設置。

基本政策推進専門調査会 組織図

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科学技術・学術政策局政策課

(科学技術・学術政策局政策課)

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