資料8 科学技術・学術審議会総会(第13回)議事録(案)

科学技術・学術審議会
総会(第14回)
平成17年1月19日
文部科学省
科学技術・学術政策局

1.日時

 平成16年9月2日(木曜日) 10時~13時

2.場所

 東海大学校友会館「阿蘇の間」

3.出席者

委員

 末松会長、小林会長代理、青野委員、飯吉委員、池端委員、石井委員、石田委員、磯貝委員、板井委員、井上委員、今井委員、川崎委員、小平委員、笹月委員、澤岡委員、鈴木委員、平委員、田中委員、谷口委員、土居委員、西野委員、垣生委員

事務局

 結城文部科学審議官、近藤文部科学審議官、有本科学技術・学術政策局長、清水研究振興局長、井上国際統括官、永野科学技術政策研究所長、丸山官房審議官(官房担当)、青山科学技術・学術政策局次長、小田官房審議官(研究振興局担当)、惣脇高等教育企画課長、河村政策課長、森振興企画課長、藤嶋開発企画課長、他関係官

4.議事

(1)平成17年度概算要求について

 「科学技術・学術政策局、研究振興局、研究開発局」(資料1-1)、「高等教育局」(資料1-2)、「文教施設企画部」(資料1-3)における平成17年度概算要求事項の概要について、それぞれ事務局から説明があった。
 主な意見は以下のとおり(委員:○、事務局等:△)。

○ 来年度が第2期科学技術基本計画の最後の年になるが、第3期では、第2期の継続性も考えていただきたい。特に、競争的資金で、来年度新しく公募が行われた場合、次の年に大きく方向が変わって研究者のはしごが外されることのないように十分配慮いただきたい。

△ 大変重要な点だと思うので、心してまいりたい。

(2)各分科会等の審議状況について

1 「科学研究費補助金の在り方について(中間まとめ)」(資料3)について、池端学術分科会研究費部会長から、「これからの学術研究の推進に向けて」(資料4)について、小平学術分科会基本問題特別委員会主査から、「科学技術と社会という視点に立った人材養成を目指して」(資料5)について、小林人材委員会主査から、それぞれ説明があった。
2 「科学技術・学術の国際展開の戦略的推進について(中間報告)」(資料6)について、池端国際化推進委員会主査から説明があった。主な意見は以下のとおり。

○ 国際展開という言葉はこれまであまり使われてこなかったように思うが、展開という言葉を使った背景、具体的な意味を教えていただきたい。ここにいろいろ書いてあることを総合して展開という言葉を使っていると理解すれば、展開の言葉の定義を教えて欲しいという質問をすること自体が不適切なのかもしれないが、今まで、こういう文章の中で国際展開というのは聞いたことがなかったので、その辺の事情を聞かせていただきたい。

○ これは、議論の中で悩んだところで、まず、国際化推進という言葉があったが、科学技術・学術のいかなる分野にも国際化は入っており、それを推進するというキャッチアップ型みたいな発想は、もう古いのではないかというのがあった。
 それで、どのようにその科学技術・学術活動を国際的な場の中で展開させていったらいいかという言葉として展開を使い、ここに書かれている事柄すべてを総合して展開と考えられると言われたが、そういうこともあり、ただし、そのときも、展開でいいのか、何かいい言葉はないかと随分悩んだ。ぴったりとした言葉がなく、それでもこれまでよりはいいぞというつもりで使ったが、もう少し練った表現があるとすれば考えさせていただきたいと思う。

○ 日本は素直すぎる。日本の国内でもいわゆる、産学の学問は素直過ぎる気がする。それはなにかというと、例えば、基礎研究面では、日本は非常に立派な研究をしている、文部科学省管轄の中でもしっかりした研究分野が林立している。しかし、そういった研究を重ねている大学が、その次に社会貢献、もしくは経済面・政治面といった国益になるものというところまで発想しているかと考えたときに、基礎研究のところで息切れしてしまって、これは、単に研究そのものが息切れするだけではなくて、経済面でも息切れする。それから成果を焦るが余り、かなり国としてもつぎ込んだのに成果がなかったみたいな、一方での見方があったりというようなことで息切れするという面と、それからもう1つは、アイデアがない。
 要するに、基礎を利用した応用的な面で、アイデアが足りない。米国を始めとするいわゆる先進諸国の中で、例えばノーベル賞の数が少ないとか、いろいろなことがあるわけだが、国際面でも、助成から共同になったところで、発展的、戦略的であるのかなと読みとれたが、その上で、各国非常にしたたかなので、共同研究から生み出されたものをさらに発展させるという点では、お金は日本が出したが、いわゆる果実はほかの国が持っていったみたいなことの方が心配される気もする。
 セーフティ・アンド・セキュリティみたいな面のところまでを、どこで考えたらいいのか、人材なのか、その人材一人一人がそういったことを持たなければいけないのか、でも、学者にそれを任せることがいいのかどうか。考えると、何か1つシステム的に新しい研究の芽をさらに発展させるようなアイデア、センスを持つシステム、または、それに対してのセーフティ・アンド・セキュリティを考える目を持つシステムみたいなものが必要になってきている時代ではないだろうか。

○ これは非常に重要な視点だが、部分的にはこういう観点での議論は行われていると思う。それをまとめた、国益に関する安全、あるいはセキュリティという点で、システムがきちんとできているのかという検証まで進めるのは、大変重要な観点で、今後、検討を進めていただければと思う。

△ レポートには明示的になっていないが、国際化推進委員会でも、そういう議論があったと記憶している。
 例えば、具体的には、各大学がそれぞれ法人化も踏まえ、各国主要都市にリエゾンオフィスを展開し始めているが、これが国にとって最適化されているかどうかといった議論もあったはずである。そういう意味で、暫定的か分からないが、今まで大学の教官が、個人的に国際協力、国際交流をやっていたが、大学として受けとめてやろうということについて、17年度からサポートしようとしている。しかし、これは、決してまだナショナルレベルでどういうコーディネーションをすべきかというところがまだ十分議論がされていないと思っており、これは科学技術だけではなく、教育も含め文部科学省全体としてどう国際的、戦略的に展開するかというところも残っていると思うが、今後の重要な課題だと考えている。

○ やや各論的になるが、先ほど、アジアとの連携、その戦略化ということが出たので、最近の私の経験を述べさせていただく。昨年、胡錦涛主席と小泉首相がサンクトペテルブルグの会談でSARS(サーズ)に関する日中共同研究をやりましょうという約束をした。その後、ASEAN(アセアン)会議その他でも同じような合意がなされた。そうすると、そのような政府間で合意されたテーマについては、それを実際にスタートすべき準備のための費用が用意されていて、今回の場合、日本と中国でSARS(サーズ)研究の準備のためのミーティングをするための費用、それから、日本と中国だけで自己満足するのではなく、国際ワークショップもその中で開くなど、本当に国際的に一流の学者を呼んで、国際的なレベルの研究をするようにした。そこまでは非常によくて、日本と中国でそれを実施して、大変盛り上がって実際にやりましょうということになった。ところが実際にやるお金が準備されていない。後は、各省の一般の競争的資金に応募してやりなさいということである。
 いわゆる戦略ということからいえば、このようなテーマに関しては、日中の共同研究みたいな枠があって、そこで競争的にやらせるような仕組みを日中あるいは日韓レベルで設定していただければ、戦略的に実現できるのではないかと思う。

○ 国際化の場合、他省庁との協力が非常に大事だと思うが、来年1月の最終まとめに当たっては、他省庁、他機関と相談をしていくのか。それとも実際にこれを具体化するに当たって、他省庁との連携をしていくのか、そのあたりのプロセスを教えて欲しい。

○ 他省庁、他機関との連携の必要性は、研究者の現場レベルから非常に盛んに出ていて、そこは拾い上げている。それから、データ収集というレベルでは、他省庁にわたってデータを集めていただいた。
 しかし、実際に、これをどうしていくかについては、個別に対応していってそれを解決しななければならない問題と、ベーシックなレベルで解決しておかなければならない問題があるのではないかと思うので、これらについては、事務局と協力して、これから実際にもっと突っ込んで検討をしていかなければならないと思う。

○ 確かにここに指摘されているように、世界共通の課題が非常に増えてきた。その代表は地球環境問題だと思うが、これは確かに国際的な協力のもとに研究を進める、その中で日本もそれなりのその役割を果たしていく、願わくはリーダーシップをとっていくというのは正しいと思う。
 ただ、ここで注意しなければならのは、そういう国際的な関心事、地球環境問題の解決には、正確な将来の予測が必要である。あるいは自然災害等も非常に激しい様相を見せるようになってきたが、こういうものの被害を軽減するには、しかるべき予測をしていかなければならない。しかしこれは、国際的に、単に協調して研究すれば解決できる問題ではない。こういう問題はほとんどもう壁に突き当たっている。これにはたくさんの研究資金が、我が国や世界各国でも投入されて、国際共同研究もたくさんやられているが、別に目立った進歩はない。これはただ、国際的にやれば解決できるという問題ではない。本当の意味でブレークスルーが必要である。
 日本が科学技術・学術の面で国際的に貢献していくためには、国際的な共通の問題に対して、我が国がそれを解決していくブレイクスルーをつくりだしていく研究を自から率先して推進していくというものがないと、せっかく、いろいろと戦略的な施策を考えても、それほど成果が上がらない。
 事実、そういう現実があるわけで、国際協調が盛んに行われ、大事な問題で目に見える論文はたくさん書かれるが、成果がなかなか出せないという非常に難しい問題に我々は直面しているわけで、そういう研究を国として推進していくということが、非常に大事ではないかと思う。

(3)第3期科学技術基本計画に向けた検討について

 「科学技術・学術審議会における委員会の設置」(資料7)について、事務局から説明があった。主な意見は以下のとおり。

○ 第1期、第2期の科学技術基本計画を通じて実行してきているいろいろな施策はそれぞれに効果を上げてきているが、その結果、科学技術政策と他の政策、例えば、厚生労働省や環境省の行う政策との間の調整問題が非常に重要になってきている。総合科学技術会議でもしかるべく調整されていると思うが、やはり、そういう他の政策との協調問題は、1つの政策の実効効果を上げるという観点から、この審議会の中でも、議論をしておくのが重要なポイントではないかと思う。
 先ほどの国際化推進委員会の中の議論でも、戦略性ということで議論があったが、それぞれの分野では戦略的にやっているつもりでも、トータルになったときに、決して戦略として使う人がいない。これが日本の実情で、それは、この審議会のマンデートの範囲に入るのか大変難しいところだと思うが、今度の第3期はそういう意味では、単なるインプットを戦略的にやるのではなく、活用面も戦略的にやれるように、他の政策との協調ということを重点的に取り扱っていただければと思う。

○ 文科省としての戦略ではなくて、国としての戦略としてぜひ検討していただきたいと思う。
そのときに、具体的にそういうことを議論するオフィシャルな場があるのかと、常に疑問に思っているが、その点はいかがか。もし、そういうものがないとすれば、やはり、そういうものを創設することが非常に緊急のテーマではないかと思う。
 もちろん、総合科学技術会議がその役割を任じていることは承知しているが、その前段階で必要ではないかと思う。例えば、新興・再興感染症に関する海外拠点の設置を文科省が考えているが、そのテーマ、あるいは中身を見ると、やはり、厚労省、農水省、外務省も一緒になって国の戦略としてやっていくべきテーマだと痛感したので、そういうことがどこで議論され、そして、総合科学技術会議でそれがまた議論されるということを、戦略として考えるべきではないか思う。

△ 2つあろうかと思う。まず、具体的な各省の科学技術・学術の施策についてのナショナルレベルでのコーディネーション機能については、既に総合科学技術会議の7月の本会議でも議論になり、17年度からは連携施策群と言っているが、総合科学技術会議が、8つくらいのテーマを指定して、きちんとしたナショナルレベルのコーディネーション機能を持って、企画段階から、プロジェクトの進行管理まで含めてやろうとしている。
 これは、私どもの省も非常に期待をしていて、ご存じのように、アメリカでは、連邦政府レベルで、ナショナルコーディネーターをつくって、5つ、6つのプロジェクトをやり、非常に効果が出ている。そういうのも参考にしながらやっていきたいと思っている。
 これが具体的なものだが、それから、第3期に向けては、アウトカムというところをきちんと見据えた上でいろいろな政策を議論しようという流れになっているので、この辺は、この特別委員会でも、1つの座標軸としてぜひ議論をいただきたい思っている。
 ただし、文部科学省としては、やはり、学術分科会のレポートにもあるように、萌芽的なものが非常に多様化しており、それこそ運営費交付金のような形できちんとサポートをする。その萌芽的なものから競争的資金に移り、あるいは戦略的なプロジェクトに移っていくというところでの、きちんとした基盤の整備は重要であり、これは文部科学省でしか議論ができないところだと思うので、この特別委員会でもきちんとした議論をいただいて、総合科学技術会議なり、あるいは、本会議の総理レベルでの議論にもインプットしていただきたいと思っている。

○ 各省庁横断の連携が重要な一方、この特別委員会では、文部科学大臣が総合科学技術会議の一員として本省を代表して持ち出していくものを練るということであるので、やはり、科学技術・学術関係での、この省でなければできない部分はきちんと押さえる必要があると思う。
 第1期、第2期の基本計画を通じて、特に第2期では、基礎研究の重要性が、重点分野と並んで強くうたわれているし、それを通じて、今回は人材の育成が非常に大きなテーマになってきているが、この2つはやはり文部科学省でなければ取り組めない部分なので、そこもぜひきちんと議論いただきたいと思う。

○ 大競争時代というか、いろいろな状況認識の中で、どうしても発想が、競争に勝つとか、負けないといった方向にいきがちなところが国全体としてある。それはそれで絶対に必要なことだが、その場合に注意しなければならないのは、そのように物事を考えると、戦争用語がしばしば使われる。戦略というのはそうなのだが、やはり、それだけではない重要な基盤の問題であるとか、人材養成、これはやはり発想というか、あるいは言葉で考える必要もあるのではないか。
 例えば、明治維新後、日本が、とにもかくにも近代化に一応成功した背景には、江戸時代におけるリテラシーの普及であるとか、さまざまな基盤があった。あの時代の人たちは戦略なんて考えなかったと思う。
 しかし、そういうものをきちんと厚みとして持っていたということが非常に大きな役割を果たしていることはもう間違いないわけで、その戦争用語、あるいは戦争的発想のもう1つ対になるような、じっくりとした基本計画が必要なのではないかと、それができるのがまた文部科学省であると思うので、よろしくお願いしたいと思う。

○ 長期的に考えたときの基盤といえば、人文社会科学における推進が、これから重要になってくると思うが。

○ 人文科学のみに係るものは除くというのが科学技術基本法の定義だが、人文社会系の人間からすると、やはり、少しひっかかるところがあって、この審議会では、科学技術と学術がいつでもつながって議論されているが、日本国全体としてやはりその問題はもう1度じっくり考え直してみる必要があるのではないか。科学技術は、もはや、いわゆる理科的なものだけではないことは、常識になりつつあるわけで、戦略を考えるときには、これはまさに人間の発想の問題であるので、やはり、国全体として議論すべき問題ではないか考えている。

○ 研究計画・評価分科会の中の委員会として、最近発足した、国として戦略的に推進すべき基幹技術に関する委員会は、第3期基本計画をにらんだ委員会で、技術オリエンテッドな看板を出しているのだが、3分の1近い委員が人文社会系の委員であり、今の指摘にあったような文化の衝突が起こるような議論が盛んに行われているので、この委員会からの発信も十分にインプットさせていただきたいと考えている。

○ 3点お願いしたいと思う。
 まず、第1点は、第3期基本計画で、具体的な資金目標を掲げていただきたい。第1期、第2期は、それぞれ17兆円、24兆円と掲げていたが、第3期についても、ぜひ積極的かつ持続的な目標を掲げるべきではないかと思う。
 科学技術創造立国を目指す、あるいは国家戦略的なテーマであるといっておきながら、予算の措置は一体どうなっているのか、甚だ不明確ではないかということを危惧している。
 この科学技術政策こそ大変重要だと思うので、ぜひお願いしたい。やらなければいけないことが、重点的に決められているが、実は予算が減っているケースは結構多いと理解している。ぜひ、お願いしたいと思う。
 第2点は、科学技術政策の遂行について、どちらかというと、計画偏重型の政策ではないかと懸念している。したがって、評価、チェック、それによってアクションというものを年度ごとにしっかり押さえていくことが必要だと思う。設置される特別委員会においても、どういうやり方で、あるいは、必要ならばどういう組織でそれをフォローしていくかということも、検討いただければと思う。
 第3点目が、第3期基本計画の分野の検討。第2期において決められた重点4分野は、これはこれでまさに重要だと思うが、それ以外の例えば、その他4分野、あるいは他の学術研究においても、極めて重要なものは多々あると思っている。3つの視点、つまり、1つ目は知の創造が強調されているが、使って最終的に役に立つ、ユーザーや社会の要請に基づく実用貢献度の高い技術。2つ目は産業競争力や日本のリーダーシップの発揮など、産業や国家の持続的発展にとって重要な技術。3つ目は国民の安全・安心、あるいは安全保障にかかわるようなエネルギー、あるいは宇宙開発事業を含む社会インフラの構築等々について、配慮いただいて、融合領域の発展、あるいは突発性の課題への柔軟な対応、あるいは省庁間の協力、人材の流動化促進、あるいは幅広い人材がこういうことをやることによって、育成されていくであろうと思う。これらを含めて、基本計画の分野の検討についても、配慮いただきたいと思う。

○ コンテンツについて、最近、ニュースで、科学博物館がディスプレーの方法を根本的に変えると聞いて、安心したというか、ある意味において、もっといろいろなことをやっていただきたいと思う。例えば、日本学術会議でアジア学術会議を創設するに当たって、近隣諸国のアカデミーの総裁、副総裁が5回にわたってこちらに来られた際に、ミュージアムに行かれたが、帰ってきての感想は、内容が粗末であるということだった。2、3年たってまた行ったら、感想は変わってないと。我が国には、主要な博物館まで入れるとすごい数のミュージアムがあるが、特に、サイエンスミュージアムなどは、海外を見ても、我が国ももう少し充実する必要がある。そういう点も文部科学省として、今後ともいろいろな観点から充実に向けていっていただきたい。
 さらには、デジタルミュージアムを考えると、コンテンツを含めたものは、やはり人文社会科学と一緒になって、充実させていく点が多々あると思うので、その点は十分、今後の検討の際には入れていただきたい。
 もう1つ、先ほど出たコーディネーションの話だが、我が国は、他国の文化、慣習、あるいは規則とは無関係に表層的にいい結果が出たものは、表層的な面だけ取り入れるという癖がある。そのうちの1つは総合科学技術会議だと思うが、アメリカのOSTP(科学技術政策局)、NSTC(国家科学技術委員会)は、NSTCは大統領が座長をやり、OSTPは補佐官がやるわけだが、その2つはある意味において、お金も持っている。我々の分野だと、ブルーブックを議会に出し、今年度これだけやったので、来年度これだけほしいということで取ってこられるわけだが、それ以外にコーディネーションオフィスがある。そのコーディネーションオフィスに相当するものが我が国では欠落している。
 その意味で科学技術会議のときに、いろいろ申し上げた結果、総合科学技術会議になったら作るからとおっしゃられて、文言上はこの科学技術・学術審議会及びその下にある研究計画・評価分科会がその役を負っているかもしれないが、これが横並びの省に置かれたことがなかなか悩ましい点だと思う。しかし、当時の総合科学技術会議の議員も、科学技術・学術に関しては、文部科学省が1段上に置かれているという認識で強くおっしゃられたこともあり、基本的には、コーディネーションの役割を、しょわされているという認識で動く必要があるのではないかと思っている。この点に関しては、なかなか難しい面があることは重々承知していて、できる限りのことを我々としてすべきではないかと考えている。

△ 先ほども申し上げたが、連携施策群ということで、17年度から総合科学技術会議が7、8つの分野について指定をして、それについては、アドホックに先生方に集まっていただくのではなくて、ナショナルレベルでのコーディネーションの機能を恒常的にやるということは今考えられている。
 今、先生がおっしゃったことはそれ以外のこともあろうかと思うが、とりあえずこういったものを大事にして育てていくということではないかと思う。

○ 第2期が17年度が最終年度を迎えるということで、先ほど事務局から、来年度の概算要求について説明があったが、考えてみると、計画というのはやはり、Plan・Do・Seeで、評価が当然出てくるわけで、計画を立てた以上、その数値目標は、やはり達成するような努力をぜひ国としてもしていただく必要があるのではないか。
 今、国立大学が法人化されて、中期目標のもとに中期計画を策定して、数値目標を定め、それが6年後には達成度を評価をされて資源配分されるということで、各大学、研究環境、あるいは教育の高度化等について非常に努力をしているところであるので、そういう意味から、最終年度に向けた予算の確保は、これは前提条件になるのではないかと思う。
 それと、基礎研究の重視は、やはり文部科学省でしか主張できないところであって、そういう意味では、研究が、萌芽的研究から、それが成果を得て、重点分野にいくまでは、やはり20年、30年という中・長期的な観点で育成していかなければ、その成果が育っていかないという点もあるので、文部科学省として主張すべき点については、予算編成でもぜひ主張していただいて、それを前提に第3期が、この審議会で主張すべき重点的な課題等について、整理されていくのではないかと思うので、ぜひそういう点で文部科学省における努力をお願いしたいと思う。

○ 科学技術政策研究所の基本計画の達成効果の評価のための調査では、ある程度、第3期にどういうことが問題になるかということを事前に予測をしながら幾つかを調査の対象にしている。これを踏まえて、あえて、先ほどの国際化推進委員会の中間報告の中で、例えば、国際展開という言葉の使い方について、これ実は最終的に閣議決定される基本計画の段階では、まさに他省庁が絡んでくるわけで、ある意味でユニバーサルなアクセプタンスがあるかどうかというようなことは、先にいってからどうこうするというよりは、かなり早目にある程度の、それこそコーディネーションとかすり合わせが必要なのではないかと思う。
 それに絡んで、今度の新しい特別委員会ができるが、ほかの省庁でもこういう問題に絡んで、似たようなミッションを持ったグループができる計画があれば、そういうところとのすり合わせなどは、なるべく早目にやっておいた方がいいのではないかという気がするが、これはどういうことになっているのか伺いたい。
 それからもう1つは、やはり人文社会系の問題だが、これは人材委員会でも1次から2次、第3次にかけて非常に重要だという話があった。しかも、それは何のためかというと、世界レベルの研究者、まさに狭い意味での科学技術、そこですぐれたレベルを達成するためには、広い意味での教養が不可欠だと。それなのに、あえてその部分を除外していくというのは、これは全くロジカルでもないし、この辺はむしろ、次の計画で、明示的にきちんと入れていかなければけないのでないかなという気がする。
 そのようなことで、特に国際展開、先ほど国際化の推進という言葉がもう陳腐なのではないかという話があったが、あえて言えば、推進という言葉をかえれば役に立つのか、あるいは展開は、協力とか協調と同じレベルの段階で1つのフェーズを意味しているのか。うるさく言えばその辺のこともきちんと整理をしておかないと、ナショナルなレベルで国際展開という言葉のアクセプタンスは、それは文科省の定義ですかと、それによって閣議決定のペーパーをつくるわけにはいきませんということになるのでは、せっかくの努力が無になるのではないかと、そういう意味のコーディネーションも必要かなと思う。

△ 特別委員会の事務方の認識をお話しておきたい。
 先ほど来出ているように、私どもも、単に5年の時期が来たからそれをローリングで見直すということではなく、第2期の基本計画を議論し始めたのがちょうど5年前だが、それに比べて社会情勢、国際情勢、あるいはそれに対する国民の方々の意識は相当大きく変わっていると思っている。
 この設置要領の趣旨にも一部書かせていただいたが、政府全体の行政組織にしても、総合科学技術会議がこの間に設置され、旧文部省と科学技術庁が再編をされて、文部科学省ができた。それから、その間に国立大学が法人化し、それも非公務員型で法人化をしたということで、5年前に比べると明らかに大きく実施体制も変わっている。こういうことをきちんと見据えた上で第3期の議論をしていただく、それを我々事務方が支えるということで、少し、大きめに申し上げたが、それくらいの認識で対応させていただきたいと思っている。

○ 今、国際的なとか地球規模のいろいろな研究が要求されているが、まず、日本が国際化と言った場合にほとんど西欧を向いている。今度、初めて日本とアジアのパートナーシップというものが出てきたが、この部分でも韓国・中国のような非常に進んだ国を向いている。
 自然災害のようなアジアに限定されているような問題に関してはまだ日本がいろいろなサポートをしながらインフラストラクチャーをつくっていかなければならない問題があると思う。この場合に、非常に短期間の見直しで評価をして、計画をつくらなければならないとなると、国際的な協調がやりにくい部分がたくさんあると思う。先ほど、地球環境に関しては非常に予算も出て、いろいろなことがなされていて、今はブレイクスルーが必要なんだと言われたが、そういう部分でも、基礎的なものとインフラつくりのような応用的なものと、両方で協調していかなくては、到底ブレイクスルーなど出てこないと思う。長期に見据えて、そして日本が、まだまだ協力等をしながらやっていかなければならない部分もあるということを入れていただきたい。
 それは省庁間の壁を破っていかなければならない地球規模のものとして、予算でもその他いろいろな面でも、今の枠組みではできない部分があると思うので、次にはそういうことも見据えていただければと思っている。

○ SARS(サーズ)などを考えてみても、個別の省庁で抱え込んでいいのかと考えると、やはり、総理のイニシアチブ、前例として、橋本イニシアチブというのがあったが、そのような話になるのではないか。これは予算的なものもそうだが、セーフティ・アンド・セキュリティを考えても、そういうものになるのではないかという気がする。
 そういうことを考えると、今回、この基本計画を考えたときに、そういうものは今まではシャットアウトだったが、それはシャットアウトということではなくて、やはり発展的に考えたときに、そういうものの落としどころは別につくるぞというところまでを検討しておかれるのがいいと思う。いろいろな競争的な研究が出てきたときに、その研究の一部の部分はこれはどこに振ったらいいかというとき、国家プロジェクトに振るのか、それとも首相の名前で何かができるような社会貢献分野にもっていくのかみたいなことは、かなり振り分けてもいいのではないかと思う。
 日本は今まで、国際的なものは、どこかの国がやっているものにつき合いでやってきたが、今後は、自国から新しいアイデアを出してやらなければならない時代になってきているので、そこのところまでを頭の中に入れた上での検討をしていただけるといいと思う。

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