1.平成19年度概算要求主要事項 科学技術創造立国の実現

3.国家基幹技術など戦略重点科学技術への重点投資

事項
前年度予算額(百万円) 平成19年度要求・要望額(百万円) 比較増減額(百万円) 備考
(1)分野別研究開発の戦略的推進 1 ライフサイエンス 69,909 88,681
うち戦略重点科学技術53,782
(前年度)26,304
18,772

〔一部再掲〕
○概要:今後のライフサイエンス研究の推進に当たっては、「生命現象の統合的全体像の理解」を目指した研究により生命の神秘に迫っていくとともに「研究成果の実用化のための橋渡し」を特に重視し、国民への成果還元を抜本的に強化していく必要があることから、以下のプロジェクト等を推進する。

◆研究成果の実用化のための橋渡し研究の推進【新規】(3,006百万円)
 先端医科学研究の成果を実際の医療に活用するための橋渡し研究の支援拠点を整備する。

◆ターゲットタンパク研究プログラム【新規】(7,425百万円)
 基本的な生命の解明、医学・薬学等への貢献、食品・環境等の産業応用に向けて、ターゲットとなる重要なタンパク質の構造・機能解析を推進する。

◆研究基盤整備のための統合データベースプロジェクト、バイオリソースプロジェクト等を推進する。また、革新的ながん治療法等の開発に向けた研究の推進、新興・再興感染症や分子イメージングの研究拠点の形成、テーラーメイド医療や再生医療の実現に向けた研究開発等を引き続き推進する。(72,912百万円)

2 情報通信 51,982 62,781
うち戦略重点科学技術18,543
(前年度)6,331
10,799

〔一部再掲〕
○概要:「国家基幹技術」である次世代スーパーコンピューティング技術のより一層の重点化をするとともに世界に先がけた安全・安心なユビキタス社会の構築を目指し、高度なIT基盤を支える人材の育成に努めていく。

◆最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用(8,700百万円)
 次世代スーパーコンピュータの開発・整備およびこれを最大限利活用するためのソフトウェアの開発・普及等を推進する。

◆先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム(1,050百万円)
 世界最高水準のソフトウェア技術者として求められる専門的スキルを有するとともに、社会情勢の変化等に先見性をもって柔軟に対処し、企業等において先導的役割を担う人材の育成拠点形成を支援する。

◆高機能・超低消費電力コンピューティングのためのデバイス・システム基盤技術の研究開発【新規】(600百万円)
 革新的なスピンデバイスおよび大容量・高速ストレージ基盤技術の開発と、それらの機能を環境・目的に応じて自律的に制御する“柔軟な”情報処理システム基盤技術を構築する。

3 環境 67,684 97,169
うち戦略重点科学技術41,593
(前年度)17,084
29,485

〔一部再掲〕
○概要:地球環境問題の解決のために科学技術が果たすべき役割への期待がますます高まっている状況を踏まえ、地球規模の観測・予測研究及び環境対策技術の研究開発を重点的に推進する。

◆21世紀気候変動予測革新プログラム【新規】(3,613百万円)
 温暖化予測精度の向上や集中豪雨等の発生予測精度の向上などを目指し、大気・陸域・海域の物理現象を再現する計算モデルを地球シミュレータを活用しつつ開発する。

◆全地球規模観測研究の推進
 人工衛星、ブイ等を活用し大気、海洋、陸域における観測等を行うとともに、温暖化等の地球環境変動のメカニズム解明を行う。また、これらから得られるデータを統合・高度処理して、幅広いユーザーに提供する。

・海洋観測や衛星による地球観測の高度化の推進(77,538百万円)
・データ統合・解析システム(1,000百万円)

◆一般・産業廃棄物・バイオマス複合処理・再資源化プロジェクト(475百万円)

4 ナノテクノロジー・材料 29,220 41,258
うち戦略重点科学技術22,324
(前年度)9,016
12,038

〔一部再掲〕
○概要:ナノテクノロジー及び材料技術は、我が国産業の国際競争力の源泉となっていることから、これまでの基礎研究の成果を生かしながら、戦略重点科学技術に重点的に投資することにより、国際競争に打ち克つ優れたイノベーションを産み出すための研究開発を推進する。

◆ナノテクロジー・イノベーション・ネットワーク拠点形成プログラム【新規】(4,000百万円)
 全国をカバーするナノテクノロジーの研究拠点のネットワーク化を図るとともに、ナノテクノロジーと他の研究分野との融合を目指すセンターを整備する。

◆X線自由電子レーザーの利用開発(7,764百万円)

◆ナノテクノロジー・材料を中心とした融合新興分野研究開発(2,500百万円)
 希少元素・有害元素の代替、戦略的利用のための物質・材料科学技術基盤の構築を「元素戦略」として実施する等、ナノテクロジーと他の研究分野との融合分野の研究開発を推進する。

5 原子力 267,471 285,481
うち戦略重点科学技術49,430
(前年度)33,110
18,010

〔一部再掲〕
○概要:エネルギーの安定供給、地球環境保全に資するとともに、人類共通の財産である知の獲得、国際的取組への協力、我が国産業の国際競争力強化にも貢献する原子力研究開発利用を、安全の確保と立地地域をはじめとする国民の理解と信頼を前提として着実に推進する。

◆高速増殖炉サイクルの推進(39,679百万円)
◆ITER(イーター)(国際熱核融合実験炉)計画等の推進(7,722百万円)
◆大強度陽子加速器(J-PARC)計画の推進(28,756百万円)
◆原子力空母横須賀港配備に伴う対応【新規】(317百万円)
◆原子力に対する理解増進と立地地域との共生(16,980百万円)
◆RI・研究所等廃棄物の円滑な処分【新規】(4,730百万円)

6 宇宙・航空 180,308 228,582
うち戦略重点科学技術76,492
(前年度)41,490
48,274

〔一部再掲〕
○概要:国民生活の安全・安心や質の向上、経済社会の発展、総合的な安全保障の確保、人類共通の知の創造等に資する宇宙・航空分野の研究開発を引き続き推進する。

◆宇宙輸送システム(44,362百万円)
◆国産旅客機開発等に関する航空科学技術の研究開発(6,025百万円)
◆宇宙科学研究の推進(27,709百万円)
◆国際宇宙ステーションの運用・利用等(19,364百万円)
◆宇宙の利用・産業化に資する民間等との連携の推進(11,813百万円)

7 南極観測・海洋地球科学技術 46,646 60,037
うち戦略重点科学技術12,096
(前年度)5,834
13,391

〔一部再掲〕
○概要:南極地域での研究・観測や国際共同観測を継続実施するために、南極地域(昭和基地)への輸送手段を確保する。また、地球深部探査船「ちきゅう」(平成17年7月完成)を統合国際深海掘削計画(IODP)における国際運用に供することにより、地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明を進める。さらに、大陸棚画定調査に資する研究開発を実施する。

◆南極地域観測事業
・南極観測船「しらせ」後継船の建造及びヘリコプター後継機の製造(10,971百万円)

◆深海地球ドリリング計画の推進(16,081百万円)
・「ちきゅう」の国際運用開始(平成19年9月を予定)に伴い、東南海地震の震源域である熊野灘の掘削を実施。

◆大陸棚画定調査への協力(2,507百万円)

8 地震・防災 20,511 29,351
うち戦略重点科学技術20,354
(前年度)11,636
8,840

○概要:自然災害に強い社会を目指すため、首都直下地震をはじめとした地震等の調査観測研究や災害発生時の被害軽減を目指した防災分野の研究開発を推進する。

◆首都直下地震防災・減災特別プロジェクト【新規】(3,794百万円)
◆地震調査研究推進本部の方針に基づく地震調査研究の推進(4,026百万円)
◆実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)を利用した実験研究等(2,694百万円)
◆災害監視衛星技術の開発・利用(10,011百万円)

9 ものづくり技術 4,851 7,091
うち戦略重点科学技術6,440
(前年度)4,200
2,240

〔一部再掲〕
○概要:科学に立脚したものづくり基盤技術を推進するほか、我が国の国際競争力の維持と世界への貢献を両立できる道筋を作るべく、新たなものづくりモデルを提示するための施策を推進する。特に、先端計測分析技術・開発事業の推進により、日本型ものづくり技術のさらなる進化、「可視化」技術の開発・高度化を推進する。

◆先端計測分析技術・機器開発事業(6,240百万円)
 新たにユーザーを取り込んだ応用領域(ものづくり)の産学協働開発を推進する。

10 新興・融合分野 13,855 16,491
うち戦略重点科学技術7,106
(前年度)4,496
2,636

〔一部再掲〕
○概要:「知」をめぐる世界的な大競争時代を迎える中、新たな知を創造するために、新興・融合領域の研究開発の推進、広範な領域への科学技術の活用、人文・社会科学の振興を図る。

◆異分野融合研究プログラム【新規】(1,000百万円)
 現代社会が抱えるさまざま課題解決に向け、数学と他の分野の連携、あるいは、教育・文化・芸術などの人文・社会科学分野と自然科学分野の連携により、異分野間の研究者等で構成されるチームを組織し、共同研究を実施する。

◆分子イメージング研究の推進(4,811百万円)
 生体内の様子を観察することを可能とする分子イメージング研究を推進する。

(2)国家基幹技術への集中投資 1 宇宙輸送システム 25,539 44,362 18,823

〔再掲〕
○概要:我が国が必要な時に、独自に宇宙空間に必要な人工衛星等を打ち上げる能力を確保・維持するための「宇宙輸送システム」は、我が国の総合的な安全保障や国際社会における我が国の自律性を維持する上で不可欠である。また、多くの技術により構築される巨大システムである本システムは、極めて高い信頼性をもって製造・運用する技術が要求され、幅広い分野に波及効果をもたらすため、長期的な国家戦略の下に推進する。

◆H-ⅡAロケットの開発・製造・打上げ(17,600百万円)
◆H-ⅡBロケットの開発(3,824百万円)
◆宇宙ステーション補給機(HTV)の開発(22,938百万円)

2 海洋地球観測探査システム 14,597 33,806 19,209

〔再掲〕
○概要:地球規模の環境問題や大規模自然災害等の脅威に対する危機管理を自律的に行うとともに、エネルギー安全保障を含む我が国の総合的な安全保障を実現するため、衛星による全球的な観測・監視技術と海底探査技術等により多様な観測データを収集するとともに、これらのデータを統合、解析及び提供するシステムを構築する。
◆次世代海洋探査技術
 うち「ちきゅう」による世界最高の深海底ライザー掘削技術(7,080百万円)
 うち次世代型深海探査技術(次世代巡航探査機、大深度高機能無人探査機)【新規】(800百万円)

◆衛星観測監視システム
 うち温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)(6,267百万円)
 うち準天頂高精度測位実験技術(4,435百万円)

◆データ統合・解析システム(1,000百万円)
 衛星観測、海洋観測、陸上観測などの様々な手段で得られた観測データを科学的・社会的に有用な情報に変換し、提供する。

3 高速増殖炉サイクル技術 24,126 31,080 6,954

〔再掲〕
○概要:エネルギー資源の乏しい我が国においては、使用済燃料を再処理し、回収されるウラン・プルトニウム等を高速増殖炉で有効利用する高速増殖炉サイクル技術を確立することにより、長期的なエネルギー安定供給を確保することは、国の存立基盤をなす重要な課題であり、国家基幹技術として強力に研究開発を推進する。

◆高速増殖原型炉「もんじゅ」(開発実証関係)(8,878百万円)
◆高速実験炉「常陽」(3,804百万円)
◆MOX燃料製造技術開発(4,938百万円)
◆高速増殖炉サイクル技術関連研究開発費(3,959百万円)
◆高速増殖炉サイクル実用化研究開発(6,500百万円)
◆原子力システム研究開発(主要概念)(3,000百万円)

4 次世代スーパーコンピュータ 3,547 8,700 5,153

〔再掲〕
○概要:今後とも我が国が世界をリードし科学技術や産業の発展を牽引し続けるため、平成23年度からの共用開始を目指し、世界最先端・最高性能の10ペタフロップス級計算機システムの開発・整備及び、スーパーコンピュータを最大限利活用するためのソフトウェアの開発・普及等を総合的に推進する。

5 X線自由電子レーザーの利用開発 2,306 7,764 5,458

〔再掲〕
○概要:現在の10億倍を上回る高輝度のX線レーザーを発振し、原子レベルの超微細構造、化学反応の超高速動態・変化を瞬時に計測・分析することを可能とする世界最高性能の研究施設を平成23年度からの共用開始を目指して整備する。また、ライフサイエンス分野やナノテクノロジー・材料分野など、様々な科学技術分野に新たな研究領域を開拓し、欧米に先んじる成果の創出を目指す。

(3)安全・安心に資する科学技術の推進 15,440 19,012 3,572

〔一部再掲〕
○概要:第3期科学技術基本計画においては、「社会・国民に支持され、成果を還元する科学技術」を基本姿勢とし、「安全が誇りとなる国-世界一安全な国・日本を実現」を一つの政策目標としていることに基づき、安全・安心な社会の構築に資する科学技術の研究開発等を推進する。

◆安全・安心に資する科学技術の推進【新規】(893百万円)
 社会・国民の安全・安心を脅かす事態に対処する公的機関等において、科学技術の成果が積極的に導入され、より一層効果的な対応を実現することを目的として、公的機関等におけるニーズに的確に対応した効果的・効率的な研究開発を推進するための機能を構築する。

◆個々の脅威に対する対策技術の研究開発等(18,110百万円)
 大規模自然災害、重大事故、新興・再興感染症、食品安全問題、情報セキュリティ、テロリズム、各種犯罪等の脅威に対する対策技術とともに、共通的な基盤技術の研究開発等を推進する。

(4)経済活性化のための研究開発プロジェクトの推進 42,041 90,177 48,136

〔再掲〕
○概要:我が国の経済を活性化するため、大学等での研究開発の成果や産学官の技術力の活用等により、実用化を視野に入れた研究開発プロジェクトを戦略的に推進する。

◆リーディングプロジェクト(LP)の推進(25,469百万円)
 大学等での研究成果や産学官の技術力の活用等により、実用化を視野に入れた研究開発を実施する。平成19年度においては、新たに臨床研究への橋渡し研究等に着手するとともに、バイオリソースプロジェクト等を引き続き積極的に推進する。

◆キーテクノロジー研究開発の推進(20,043百万円)
 我が国における経済社会の発展や安全・安心の確保など新たな我が国の維持・発展への課題を解決していくと考えられるキーテクノロジー研究開発を競争的環境において推進する。平成19年度においては、新たに高機能・超低消費電力コンピューティングのためのデバイス・システム基盤技術の研究開発に着手するほか、新興・再興感染症研究拠点形成プログラム等を引き続き積極的に推進する。

◆世界最高性能の研究設備(次世代スーパーコンピュータ、X線自由電子レーザー)の整備(16,464百万円)

◆宇宙・航空分野における産業化・利用の推進(15,964百万円)

※各事項の金額において、単位未満四捨五入をしているため、合計金額と一致しない場合がある。

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