科学技術・学術活動の国際化推進方策について 中間報告 (概要)

2002年6月14日 答申等
文部科学省

1.基本的考え方

 第2期基本計画の理念を実現するには、科学技術・学術活動の国際協力・交流の主体的、積極的な推進がきわめて重要。

1)先端研究における国際協力の戦略的推進

○ 我が国と先進諸国の研究水準、動向等を的確に把握し、共同、分担、競争の必要性について十分な戦略的、政策的検討を行い、効果的な協力を主体的に展開

○ 特に、巨大プロジェクトについては、国として適切な戦略的判断を時機を失せず下すためのシステムを整備

○ 先端研究の推進とその基盤強化の観点から、国際間の研究ネットワークの形成とそれを通じた先端研究の国際協力への取組みを強化

2)地球規模の問題解決への取組みの強化

○ 地球規模の問題の解決は、科学技術・学術活動の成果に待つところが大きく、そのための国際的協力の強力な推進が期待される

○ 研究者コミュニティーによる国際研究協力の発展を促進し、国際機関等による取組みに我が国の特長を活かして積極的に参加するなど、人類共通の諸課題解決のため、主体的国際協力活動を一層強化

3)アジア諸国との研究パートナーシップの構築

○ 将来、アジアが米欧と伍する世界の研究センターに発展することを目指して、長期的観点からアジア諸国との研究パートナーシップを構築する

○ 人材の養成、確保についての支援協力を強化

○ 地球的規模の課題への取組みについてアジア地域を中心にリージョナルな活動を展開

○ 米欧との研究協力に当たって、アジア諸国、特に研究活動の発展の著しい中国、韓国、インド等と提携して協力・交流を推進

4)国際交流・協力の基盤強化

○ 世界水準の施設・設備の整備と同時に、国際的に活躍できる人材の育成や研究機関の国際活動を日常化するための体制を整備

○ 研究者交流の拡充、国際研究集会の開催・参加、国際的論文誌の刊行、情報通信ネットワークの充実等により我が国研究活動の状況や成果を積極的に世界へ発信

2.早急に講ずべき方策

1)政府間合意に基づく重要課題協力の機動的推進

○ 政府間協議で、我が国が戦略的判断に立ってイニシアティブを発揮することは、重要政策課題の解決に向けた国際的協力の推進の上で重要

○ 重要課題の国際協力について、我が国の明確な政策形成のためのシステムを早急に整備

○ 合意された国際協力の確実な実行のため、文部科学省が関係府省等との連携の下に、国際会議の開催、国際共同研究の実施、専門家派遣等を機動的に進めるための資金を確保し、府省横断的に措置できるシステムを確立

○ 政府間合意のうち、学術協力、すなわち、研究者コミュニティーの自発的協力を促進することが適切なものについても支援方策を講じる必要

2)先端研究多国間ネットワークの構築

○ 最近の先端研究の国際的展開に対応するためには、従来の二国間の研究ネットワークだけでは不十分であり、新たに多国間ネットワークを早急に構築し、大型共同研究の実施や研究者交流を発展させる必要

○ 特に、学術協力においては、先進諸国との学術振興機関との協力の下に、重点分野を選んで各国の中心的大学・研究機関を拠点とするネットワーク形成を早急に推進

3)研究者国際交流の促進

 研究者の国際交流によるパーソナルネットワークの促進は、国際化推進の重要課題であり、次の諸点に重点をおいて、一層促進

1 外国人特別研究員招致の拡充と運用の弾力化

  • 外国人特別研究員事業を第1期科学技術基本計画に掲げられた2050人規模を目指して拡充
  • 運用の改善と受入れ体制の整備
  • 大学院生にも対象を拡大して短期受入れの道を開く
  • 優秀な外国人特別研究員が、大学、研究機関等に適切なポストを得られるようにする

2  若手研究者等の長期海外研究の促進

  • 特別研究員の一定期間海外派遣
  • 中国、韓国等への研究者長期派遣
  • 中堅研究者の長期海外派遣
  • 大学院博士課程後期の学生の派遣制度の整備拡充

3 国際研究集会支援の強化

4)国内の研究環境国際化の推進

○ 大学・研究機関の外国人スタッフの拡充に向けての採用努力が必要

○ 外国人研究者のための研究・生活環境を整備(特に、宿舎の確保、外国人研究者の競争的資金への応募の容易化、海外での研究発表の支援)

○ 国際的な学生交流の拠点の活用も有効な方策

○ 地域社会の国際化にも留意しつつ、我が国社会が、外国人受入れについて理解を深め、適切な対応へ一層の努力が払われるよう、働きかける

○ 国際担当副学長等の特定、国際担当部門の整備、優れた専門職員、ボランティアの採用、確保と研修の強化等の措置

5)国際的情報発信力の強化

 我が国の研究活動とその成果が、国際的に正当に評価され、認知されるためには、我が国の研究成果、研究者、研究機関に関する情報の海外への発信を情報通信ネットワークの活用等によって積極的に推進する必要

○ 我が国が国際的に高い研究水準にある分野における英文誌の刊行を促進するため、学会等の優れた試みに対してパイロットケースとして集中的に支援

○ 優れた研究論文の英文抄録等の発信に積極的に取り組む必要

○ 海外への情報発信に際し、在外公館他の関係機関との連携をとる

○ 我が国との研究交流経験者を中心とする研究者コミュニティーの形成を支援

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科学技術・学術政策局国際交流官付

(科学技術・学術政策局国際交流官付)